説明

撮像装置

【課題】小型化を図り、かつ、ストロボ撮影時に良好な照射光が得られる撮像装置を提供する。
【解決手段】本発明の撮像装置は、撮影位置と沈胴位置を切り替えることによりレンズ前面を開閉するバリア羽根14を備えるレンズ鏡筒2を搭載する。そして、バリア羽根14が閉じられている時にはバリア羽根14に被覆され、バリア羽根14が開かれている時にはバリア羽根14から露出される位置に光源(LED9)を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のデジタルカメラ等の撮像装置の照明装置においては、キセノン(Xe)管を発光させるストロボ装置が一般的に用いられている。近年、カメラの小型化、薄型化のために、鏡筒とストロボをより近接させることで、カメラ自体の長辺及び短辺方向の大きさを決めている。
【0003】
しかし、最近では鏡筒の高倍率化により鏡筒径が大きくなったため、小型化するためにはストロボの開口を小さくせざる得なくなり、その結果、ストロボ光の到達距離が短くなっている。また、最近では発光ダイオード(以下LEDと称する)も高輝度化され、小型でノイズも少なく、かつローコストであることから各種照明に利用されるようになってきている。
【0004】
また、ストロボ光源として使用するために、発光ダイオードを、放熱効果を有する金属製のリング状の化粧板部材に取り付け、この化粧板部材を撮影レンズ鏡筒の前面全体に取り付けた撮像装置もある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−154523号公報(第10頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のような、キセノン(Xe)管で発光させるストロボ構成で到達距離を確保しようとするとストロボの開口及び奥行きを大きく取らなければならないため、カメラ自体が大きくなってしまうと言う問題がある。
【0007】
また、小型化のため鏡筒とストロボが近接されている場合、鏡筒の繰り出された時にストロボ光が鏡筒外径部に遮断されてしまい、撮影画角に対して十分な照射が行えず、撮影画角の左右の隅に影ができてしまうと言う欠点がある。
【0008】
また、ストロボ光にLEDを利用した場合、近年、LEDが高輝度化されているとはいえ、十分な到達距離を確保する光量を得ることはでききないと言う問題もある。
【0009】
また、上記特許文献1の構成では、鏡筒前面の化粧板部にLEDを配置しているため、鏡筒光軸方向に厚くなり、その分鏡筒の沈胴長が増加することによってカメラ本体の厚みが増えてしまうと言う欠点がある。
【0010】
更に、ストロボ光源としてLEDを複数個使用しているので、十分な発光量を得るためにはLEDに多くの電流を流さなければならず、結果的に消費電流が増え、撮影枚数が限定されると言う問題もある。
【0011】
本発明の目的は、小型化を図り、かつ、ストロボ撮影時に良好な照射光が得られる撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、撮影位置と沈胴位置を切り替えることによりレンズ前面を開閉するバリア羽根を備えるレンズ鏡筒を搭載する撮像装置において、前記バリア羽根が閉じられている時には前記バリア羽根に被覆され、前記バリア羽根が開かれている時には前記バリア羽根から露出される位置に光源を配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この構成により、小型化を図り、かつ、ストロボ撮影時に良好な照射光が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る撮像装置としての電子スチルカメラの外観斜視図である。
【図2】図1における、第1の実施の形態に係るレンズ鏡筒のバリア羽根の沈胴位置を示す正面図である。
【図3】図1における、第1の実施の形態に係るレンズ鏡筒のバリア羽根の撮影位置を示す正面図である。
【図4】図1における、第1の実施の形態に係るレンズ鏡筒の分解斜視図である。
【図5】図1における、第1の実施の形態に係るレンズ鏡筒の1群レンズ鏡筒部分を中心に示す分解斜視図である。
【図6】図1における、第2の実施の形態に係るレンズ鏡筒のバリア羽根の沈胴位置を示す正面図である。
【図7】図1における、第2の実施の形態に係るレンズ鏡筒のバリア羽根の撮影位置を示す正面図である。
【図8】図1における、第2の実施の形態に係るレンズ鏡筒の1群レンズ鏡筒部分を中心に示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係る撮像装置としての電子スチルカメラの外観斜視図である。
【0017】
図1において、電子スチルカメラは、カメラ筐体1、撮影光学系を構成しているレンズ鏡筒2、レンズ鏡筒2の撮影光学系に連動して所定の位置で被写体像を観察するためのファインダ3は、電源ボタン4、レリーズボタン5、ストロボ6を備える。また、カメラ筐体1の図示しない背面部にはファインダ接眼部や液晶表示パネル、操作キー等が配設される。
【0018】
図2は、図1における、第1の実施の形態に係るレンズ鏡筒のバリア羽根の沈胴位置を示す正面図である。図3は、図1における、第1の実施の形態に係るレンズ鏡筒のバリア羽根の撮影位置を示す正面図である。図4は、図1における、第1の実施の形態に係るレンズ鏡筒の分解斜視図である。図5は、図1における、第1の実施の形態に係るレンズ鏡筒の1群レンズ鏡筒部分を中心に示す分解斜視図である。
【0019】
図2を中心として、バリア装置の概略動作と構成を併せて説明する。
【0020】
撮像装置に搭載される1群レンズ鏡筒11は、1群レンズ01を保持しており、撮影者の操作に応じて光軸方向に沿って沈胴繰出しする。2群レンズ鏡筒12は、2群レンズ02を保持しており、撮影者の操作に応じて1群レンズ鏡筒11と同様に光軸方向に沿って沈胴繰出しする。
【0021】
直進規制筒13は、外周に形成された溝部13aに1群レンズ鏡筒11内周に形成されたキーが嵌合することによって、撮像装置に搭載された1群レンズ鏡筒11の回転を規制する。また、貫通溝13bに2群レンズ鏡筒12のフォロアピン12aが嵌合することによって、2群レンズ鏡筒12の回転を規制する。
【0022】
貫通溝13bは120°等分で3箇所に設けられている。直進規制筒13の貫通溝13b先端部には、部品の剛性を高めるためのアーチ状の補強形状部13cが形成されている。
【0023】
回転筒18において、内周に形成された1群カム18aには、1群レンズ鏡筒11の外周に設けられた1群フォロアピン11aが係合し、2群カム18bには、2群レンズ鏡筒12の外周に設けられた2群フォロアピン12aが係合している。
【0024】
回転筒18と直進規制筒13は回転自由に結合しており、回転筒18が不図示のモータによって回転すると、直進規制筒13によって回転を規制された1群レンズ鏡筒11と2群レンズ鏡筒12がカム溝の軌跡に従って光軸方向に移動する。
【0025】
1群レンズ鏡筒11の先端には、開閉可能に軸支されたバリア羽根14と、バリア羽根14を駆動するバリア駆動部材15、及び撮影用開口部16aが形成されたバリアカバー16が設けられている。これにより沈胴時には、バリア羽根14によって撮影用開口部16aが覆われる。
【0026】
バリア駆動部材15は、1群レンズ鏡筒11に対し回動可能に支持されている。レンズ前面を開閉するためのバリア羽根14とバリア駆動部材15の間には、引張りコイルバネがバリア駆動バネ17として設けられている。バリア駆動バネ17は、バリア羽根14がバリア駆動部材15に当接する方向に付勢しており、これによって、バリア駆動部材15の回動とバリア羽根14の開閉が連動する。
【0027】
バリア駆動部材15と直進規制筒13には、それぞれカム面15d、13dが形成されている。レンズ鏡筒2が沈胴するとカム面同士が当接し、バリア駆動バネ17をチャージしながらバリア駆動部材15を、図4における矢印A方向に強制的に回動する。バリア駆動部材15は、「バリア閉じ位相」まで回動されてバリア羽根14を閉じる。
【0028】
レンズ鏡筒11が繰出すと、当接しているカム面同士が離れ、バリア駆動バネ17のチャージを開放しながらバリア駆動部材15が図4における矢印B方向に回動する。バリア駆動部材15は、「バリア開き位相」まで回動してバリア羽根14を開く。
【0029】
ここで、開いているバリア羽根14が閉じないよう拘束してレンズ鏡筒11が沈胴すると、バリア駆動バネ17をチャージしながらバリア駆動部材15が「バリア閉じ位相」まで回動する。そして、その状態でバリア羽根14の拘束を解除すると、バリア駆動バネ17のチャージを開放しながらバリア羽根14が閉じる。
【0030】
さらに、沈胴時にバリア羽根14を強制的に開くと、バリア駆動バネ17がチャージされながらバリア羽根14が開き、バリア羽根14の強制開きを解除すると、バリア駆動バネ17のチャージを開放しながらバリア羽根14が閉じる。
【0031】
次に、図5を中心にして、バリア内部の構成を説明する。
【0032】
まず、フレキシブルプリント基板10上にLED9が半田付け等で実装されており、フレキシブルプリント基板10が、1群レンズ鏡筒11前面部に形成されている面11cに不図示のボス等の位置決め手段により規制され接着等の係止手段で保持されている。
【0033】
さらに、フレキシブルプリント基板10は、1群レンズ鏡筒11内周に形成された溝11bを通って不図示のシステム動作基板上に実装されているコネクタに接続或いは半田付け等で接続されている。
【0034】
また、バリアカバー16上に形成されている穴16bにLED窓8が嵌合され、接着等の係止手段で保持され、バリアカバー16と1群レンズ鏡筒11はそれぞれ不図示の係止手段で保持されている。さらに、その上からレンズ鏡筒カバー7に形成されている穴7aがLED窓8と嵌合して、1群レンズ鏡筒11と接着等の係止手段で保持される。
【0035】
本実施の形態では、レンズ鏡筒カバー7とバリアカバー16を別体としているが一体にしてもよい。また、バリアカバー16とLED窓8を別体としているが窓部だけを抜いた印刷等で一体にしてもよい。
【0036】
次に、図2、図3を中心にしてバリア羽根とLEDの位置関係を説明する。
【0037】
図2に示す沈胴状態では、レンズ鏡筒11が沈胴されており、バリア駆動部材15と直進規制筒13のそれぞれカム面15d、13d同士が当接し、バリア駆動バネ17をチャージしながらバリア駆動部材15を矢印A方向に強制的に回動する。バリア駆動部材15は、「バリア閉じ位相」まで回動されてバリア羽根14を閉じている。
【0038】
また、図3に示す撮影状態では、レンズ鏡筒11が繰出されており、当接しているバリア駆動部材15と直進規制筒13のそれぞれカム面15d、13d同士が離れ、バリア駆動バネ17のチャージを開放しながらバリア駆動部材15が矢印B方向に回動する。バリア駆動部材15は、「バリア開き位相」まで回動してバリア羽根14を開いている。
【0039】
このとき、バリア羽根14は、Cを回動中心としてDの軌跡を移動するため、LED9はバリア羽根14の開閉によって塞がれない位置となっているので、いつでも発光が可能である。
【0040】
本発明の第1の実施の形態においては、LED9はレンズ鏡筒11上に配置しているが、バリア駆動部材15上に配置させても同様の効果が得られる。また、レンズ前面を開閉するためのバリア羽根14は2枚構成となっているが、バリア羽根14が多数枚の構成になっても同様の効果が得られる。
【0041】
また、本発明の第1の実施の形態においては、鏡筒周辺部にストロボ6を配設しているので、万が一このストロボ光が鏡筒外径部に遮断されてしまう場合に、LED9をストロボ光源として併用すれば、撮影画角に対して十分な照射が可能となる。また、ストロボ光源だけではなく別の光源としてAF補助光やマクロ撮影時のライト光源に使用すれば、カメラ本体に余計なスペースが必要としないため、カメラの小型化にもつながる効果もある。
【0042】
図6は、図1における、第2の実施の形態に係るレンズ鏡筒のバリア羽根の沈胴位置を示す正面図である。図7は、図1における、第2の実施の形態に係るレンズ鏡筒のバリア羽根の撮影位置を示す正面図である。図8は、図1における、第2の実施の形態に係るレンズ鏡筒の1群レンズ鏡筒部分を中心に示す分解斜視図である。
【0043】
本発明の第2の実施の形態においては、LEDのレイアウト位置を変更させているので、詳細な構成は、本発明の第1の実施の形態を応用することにより割愛する。
【0044】
8を中心としてバリア内部の構成と動作を併せて説明する。
【0045】
フレキシブルプリント基板10上にLED9が半田付け等で実装されており、フレキシブルプリント基板10が、1群レンズ鏡筒11前面部に形成されている面11cに不図示のボス等の位置決め手段により規制され、接着等の係止手段で保持されている。
【0046】
さらに、フレキシブルプリント基板10は、1群レンズ鏡筒11内周に形成された溝11bを通って不図示のシステム動作基板上に実装されているコネクタに接続或いは半田付け等で接続されている。
【0047】
また、バリアカバー16上に形成されている切欠き穴16bにLED窓8が嵌合され、接着等の係止手段で保持され、バリアカバー16と1群レンズ鏡筒11はそれぞれ不図示の係止手段で保持されている。さらに、その上からレンズ鏡筒カバー7が1群レンズ鏡筒11と接着等の係止手段で保持される。
【0048】
本発明の第2の実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様に、レンズ鏡筒カバー7とバリアカバー16を別体としているが一体にしてもよい。また、バリアカバー16とLED窓8を別体としているが窓部だけを抜いた印刷等で一体にしても同様の効果が得られる。
【0049】
図6に示す沈胴状態では、LED9はバリア羽根14に塞がれており、図7に示す撮影状態において、バリア羽根14が回動されるとLED9を露出させる位置となっているので、撮影時は発光し、非撮影時にはLED9を被覆して保護することが可能である。
【0050】
本発明の第2の実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様に、LED9はレンズ鏡筒11上に配置しているが、バリア駆動部材15上に配置させても同様の効果が得られる。
【0051】
本発明の第2の実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様に、バリア羽根14は2枚構成となっているが、バリア羽根が多数枚の構成になっても同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、1眼レフカメラ、レンズシャッタカメラ、ビデオカメラ、デジタルカメラ等種々の形態のカメラ、更にはカメラ以外の光学機器やその他の電子機器に適用できる。
【符号の説明】
【0053】
1 カメラ筐体
2 レンズ鏡筒
3 ファインダ
4 電源ボタン
5 レリーズボタン
6 ストロボ
7 レンズ鏡筒カバー
8 LED窓
9 LED
10 フレキシブルプリント基板
11 1群レンズ鏡筒
12 2群レンズ鏡筒
13 直進規制筒
14 バリア羽根
15 バリア駆動部材
16 バリアカバー
17 バリア駆動バネ
18 回転筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影位置と沈胴位置を切り替えることによりレンズ前面を開閉するバリア羽根を備えるレンズ鏡筒を搭載する撮像装置において、
前記バリア羽根が閉じられている時には前記バリア羽根に被覆され、前記バリア羽根が開かれている時には前記バリア羽根から露出される位置に光源を配置することを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−194570(P2012−194570A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−120581(P2012−120581)
【出願日】平成24年5月28日(2012.5.28)
【分割の表示】特願2007−8217(P2007−8217)の分割
【原出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】