説明

撮像装置

【課題】 複数の撮像素子によって画像を取得する撮像装置において、低消費電力化を図る。また、画像データ量の縮小を図る。
【解決手段】 撮像対象物(225)の画像を取得する撮像装置(1)であって、光源(111)を含み前記光源から放射される光を撮像対象物に導く照明光学系(100)と、前記撮像対象物を撮像するための撮像光学系(300)と、前記撮像光学系の像面(C)に配置された複数の撮像素子(430)と、を有する撮像部と、前記撮像対象物の大きさを計測する計測部と、前記計測系の計測結果に基づいて、前記複数の撮像素子のうちで、前記撮像系によって前記撮像対象物を撮像する際に使用する撮像素子を決定する制御部(610)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、標本画像を撮像する撮像装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、検体全体から細胞組織までの外形情報を電子化画像にし、モニターに拡大・縮小を含めて表示させることができる撮像装置が注目されている。
【0003】
特許文献1や特許文献2は、視野が大きく、且つ解像度の高い対物レンズを用意し、撮像部に撮像素子を複数配置することで、高速で高倍撮像をする方法を開示している。これらは、標本もしくは撮像部を複数回駆動しつつ、そのたびに撮像し、撮像した画像を合成して全体画像を形成することで、検体全体から細胞組織までの外形情報を画像として取得する。ここで複数の撮像素子を用いるのは、あまりに広い視野に対して一括撮像できる大きな撮像素子を用意することが、非常に困難だからである。
【0004】
特許文献2や特許文献3のように広画角・高解像専用の光学系で検体全体の画像を形成すると、画角よりも撮像対象物の方が小さくなる場合がある。この場合、撮像に不必要な部分にまで照明・撮像を行うため、無駄な電力を使ってしまう可能性がある。
【0005】
画角より撮像対象物の方が小さくなる場合の照明の例を図2に示す。図2(a)は撮像対象物(検体225)を照明している図を表しており、220は検体225を保持する標本保持部(たとえばスライドガラス)、227は照明されている領域を表す。図2(b)は撮像装置の撮像面での様子を表しており、225Cは検体225の像、420は電気基板、430は撮像素子、227Cは撮像面で照明領域227が結像する領域を表す。
【0006】
上記のように、画角より小さい検体の画像を撮るために、撮像可能な領域の全面を照明している。撮像素子以外の部分に結像する光は撮像に関わらないので、消費電力の増大につながる上に、散乱光として装置内で反射して撮像素子に入射すると画質の低下を招く。
【0007】
そこで、検体の大きさに合わせて照明する方法として、例えば特許文献3の走査顕微鏡では、撮像対象物の近傍に、照明範囲を任意に規制する遮光物を配置することで、撮像したい部分に合わせて照明する方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−003016
【特許文献2】特開2009−063665
【特許文献3】特開2008−107403
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、遮光物による照明範囲の制御は、使用する光源の発光量を変えてはいないので、消費電力を低減することができるわけではない。また、撮像に関しては、画像データとは関係ない部分が多く撮像されてしまうと、画像処理に時間がかかる上に、画像データ量が不必要に大きくなってしまう。
【0010】
画像データが大きくなると、例えば、遠隔地で取得した画像を別の遠隔地から読み込む場合に、大きな画像データを送受信するための過大なインフラ整備を行う必要が出てくる。そうすると、ユーザーのコストを圧迫するという問題が生じる。
【0011】
そこで、本発明は、複数の撮像素子が配置された撮像部によって画像を取得する撮像装置において、低消費電力化を図ることが可能な撮像装置を提供することを目的とする。また、画像データ量の縮小を図ることが可能な撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、撮像対象物の画像を取得する撮像装置は、光源を含み前記光源から放射される光を撮像対象物に導く照明光学系と、前記撮像対象物を撮像するための撮像光学系と、前記撮像光学系の像面に配置された複数の撮像素子と、を有する撮像部と、前記撮像対象物の大きさを計測する計測部と、前記計測部の計測結果に基づいて、前記複数の撮像素子のうちで前記撮像部によって前記撮像対象物を撮像する際に使用する撮像素子を決定する制御部と、を有することを特徴とする。
【0013】
また、撮像対象物の画像を取得する撮像装置は、複数の光源を含み前記複数の光源から放射される光を撮像対象物に離散的に導く照明光学系と、前記撮像対象物を撮像するための撮像光学系と、前記撮像光学系の像面に配置された複数の撮像素子と、を有する撮像部と、前記撮像対象物の大きさを計測する計測部と、前記計測部の計測結果に基づいて、前記複数の光源のうち前記撮像部によって前記撮像対象物を撮像する際に前記撮像対象物に照射されずに前記撮像素子に導かれる光源を使用しない決定をし、前記複数の撮像素子のうち前記撮像部によって前記撮像対象物を撮像する際に前記撮像対象物の像が結像されない撮像素子を使用しない決定をする制御部と、を有することを特徴とする。
【0014】
また、撮像対象物の画像を取得する撮像装置は、複数の光源を含み前記複数の光源から放射される光を撮像対象物に離散的に導く照明光学系と、前記撮像対象物を撮像するための撮像光学系と、前記撮像光学系の像面に配置された複数の撮像素子と、を有する撮像部と、前記撮像対象物の大きさを計測する計測部と、前記計測部の計測結果に基づいて、前記撮像部によって前記撮像対象物を撮像する際に前記複数の光源のうち前記撮像対象物に照射されない光源を使用しない決定をする制御部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の撮像素子を用いて画像を取得する撮像装置において、低消費電力化を図ることが可能な撮像装置を提供することが可能となる。また、画像データ量の縮小を図ることが可能な撮像装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の撮像装置全体の説明図
【図2】光軸対称な領域を照明した場合の照明状態についての説明図
【図3】図1の光源ユニットからオプティカルロッド部の説明図
【図4】図1のオプティカルロッド部射出面の照度分布
【図5】図1で大きい検体を撮像する場合の照明・撮像状態の説明図
【図6】図1で小さい検体を撮像する場合の照明・撮像状態の説明図
【図7】図1で大きい検体の全体像を撮像する場合の照明・撮像状態の説明図
【図8】図1で小さい検体の全体像を撮像する場合の照明・撮像状態の説明図
【図9】図1で小さい検体の全体像を撮像する場合の照明・撮像状態の説明図
【図10】図1で小さい検体の全体像を撮像する場合の照明・撮像状態の説明図
【図11】図1の撮像部における照明部と撮像素子の関係についての説明図
【図12】図1のオプティカルインテグレータ部の説明
【図13】図1のオプティカルインテグレータ部の説明
【図14】図1のオプティカルインテグレータ部の説明
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例の撮像装置について説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明の実施形態の透過型顕微鏡を用いた撮像装置の概要図である。図1において、撮像装置1は、光源ユニット110からの光を被照射面Bに導く照明光学系100と標本部200を有する。更に、被照射面B上の対象物の像を結像するための撮像光学系300と、撮像光学系300の撮像面(像面)Cに複数のCCDやCMOS等の撮像素子430を配置した撮像部400と、撮像対象物の大きさと位置を測定する計測光学系500を有する。計測光学系500は、計測用照明光学系510と計測用撮像光学系520で構成される。ここでは、照明光学系100、撮像光学系300、複数の撮像素子430を含む系を撮像部とし、計測光学系500を含む系を計測部とする。
【0019】
まず、計測光学系500で撮像対象物の大きさと位置を計測する。撮像対象物は、標本保持部220にある検体225であり、例えばスライドガラスとカバーガラス(不図示)に挟まれている。標本部200は、標本ステージ210と標本保持部220で構成されている。標本ステージ210は、標本保持部220の位置を光軸方向や光軸と垂直な方向に、もしくは光軸に対して傾くように駆動することができる。検体225を被照射面Dと一致するように保持させると、計測用照明光学系510により照明された検体225が計測用撮像光学系520で撮像され、その大きさが計測される。大きさや位置の計測は、例えば、計測用撮像光学系520に含まれるCCDやCMOS等の撮像素子から得られる情報を用いて行われる。
【0020】
計測用照明光学系510は、検体を照明するための光束を放射しており、例えば1つまたは複数のハロゲンランプやキセノンランプ、LD、LEDなどで構成されている。計測用撮像光学系520は、被照明面Dでの検体225の像を撮像し、その位置と大きさを計測するが、大きさと位置を認識するための光学系であるため、撮像光学系300と比べると解像度の低い光学系であってもよい。
【0021】
このようにして、計測光学系500で検体の大きさを計測した後、検体225を面Bに一致させるように標本ステージ210を駆動し、照明光学系100と撮像光学系300と撮像部400を使って撮像を行う。ただし、ここでは光を用いて検体の大きさを計測する例を示しているが、検体の大きさを計測できればその構成に特に限定は無い。
【0022】
照明光学系100は、光源ユニット110と、複数のオプティカルロッド(ロッドインテグレータ)120aを有するオプティカルロッド部120と、共役光学系130で構成される。光源ユニット110は、標本部200の検体を照明するための光束を放射しており、例えば1つまたは複数のハロゲンランプやキセノンランプ、LED等で構成される。
【0023】
また、光源ユニット110は、複数のオプティカルロッド120aにのみ光を供給する。例えば、図3(a)に示すように、電気基板115上に配置した複数の光源111からの発散光をレンズアレイ112aで平行化し、レンズアレイ112bにて所望の位置及び角度で集光し、独立して各オプティカルロッドに光を供給する。もしくは、図3(b)に示すように、電気基板115上に配置した複数の光源111からの光を、それぞれその後段にある各オプティカルロッドに入射させる。
【0024】
オプティカルロッド部120は、光源ユニット110から放射される光束を内面全反射により側面に漏らすことなく導光し、各オプティカルロッド120aの射出端面で均一な照明面を形成する。オプティカルロッド部120の射出面を面Aとしたとき、この面Aは、図5(a)に示すように複数のオプティカルロッド120aに対応して離散的に均一な照明分布を形成している。各オプティカルロッド120aに光を供給する光源のOn/Offを切り替えれば、ロッド射出面では様々な形態の照明ができる。ここでは、オプティカルロッドの射出面Aと撮像光学系300の撮像面Cとが共役関係を持つように構成されている。ただし、完全に共役な位置に配置されている必要は無く、略共役な位置に配置されていればよい。
【0025】
図4に例を示すと、全ての光源をOn状態にすると図4(a)にしめす照度分布ができる。また、一部の光源をOff状態にすると図4(b)や図4(c)のような照度分布を形成することができる。ここで、光源On状態時のロッド端面を白抜きで表し、光源Off状態時のロッド端面を斜線で表す。
【0026】
この面を共役光学系130で結像し、被照射面Bを照明する。なお、共役光学系130は、被照明面Bで撮像に必要な均一性が得られるのであれば、標本面Bと面Aとが完全に共役な位置に配置されている必要は無く、略共役な位置に配置されていればよい。
【0027】
照明光学系100の構成では、上述のように様々な形態の照明が可能なので、検体225の大きさによって照明部分を適切に制御することが可能である。検体225が大きい場合は、全てのオプティカルロッドに光を供給し、全てのオプティカルロッド射出面で均一照明を行うことで、被照射面Bで図5(b)に示すように各照明領域227で均一かつ離散的な照明を行う。ここで、図5(b)の点線は、照明されている領域を表す。一方、検体225が小さい場合は、撮像に必要な領域のみ照明するように、使用する光源のみをOn状態にする。そのとき、オプティカルロッド部射出面Aの照度分布は図6(a)のようになり、標本面Bの照度分布は図6(b)に示すようになる。こうすると、一部の光がOff状態となるため、不必要な部分を照明せずに、消費電力を低減できる。
【0028】
撮像光学系300は、被照射面Bで照明された標本の像を、広画角かつ高い解像度で撮像面Cに結像する光学系である。撮像面Cにおいて、検体225は、撮像光学系300によって図5(c)の点線で示すように像225Cとして結像する。そして、図のように各光源からの光が、各撮像素子430に1対1で対応して導かれるように構成されている。
【0029】
ここで、撮像部400は、撮像ステージ410と、電気基板420と撮像素子430で構成されている。撮像素子430は、図2(b)や図5(c)で示すように、電気基板420上に隙間を空けて配置されており、撮像ステージ410で撮像光学系300の撮像面Cに一致するように配置されている。撮像面Cでは、検体225が照明されている各照明領域の像の大きさ227Cと、撮像素子の大きさ430とを一致させている。ちなみに、必ずしも完全に一致させる必要はないが、同じ大きさに近いほど光を効率的に利用することが可能となる。また、撮像素子以外の領域に照射される光が低減されるので、画質の低下を招く散乱光の影響を低減することが可能となる。
【0030】
撮像光学系の光学系倍率をβ、共役光学系の光学系倍率をβ’としたとき、撮像素子430の大きさが□Tであれば、ロッド端面の大きさは、□T×(1/β)×(1/β’)となる。また、各撮像素子に検体の像が□T×a(mm)(ただしa>1)の領域だけ結像するように少し余裕を持たせてもよく、その場合、ロッドの端面の大きさは図5(a)に示すように□T×a×(1/β)×(1/β’)となる。もしくは、撮像素子が長方形ならば、ロッド端面の形は、撮像素子の形と相似関係にある長方形にする。ここでは例として長方形を挙げたが、長方形に限らず、撮像素子とロッド端面の形状を互いに対応した形状にするとよい。対応した形状とは、撮像素子の形状が矩形や六角形である場合、オプティカルロッドの射出面の形状もそれに合わせて矩形や六角形にすることである。撮像素子の形状とオプティカルロッドの射出面の形状を相似関係や、相似とまではいかなくともそれに近くすれば、撮像素子の受光面積をより有効に利用することが可能となる。
【0031】
撮像光学系の光学系倍率をβ、共役光学系の光学系倍率をβ’としたとき、撮像素子430の大きさがX方向でTx、Y方向でTyであるならば、ロッド端面のX方向長さはTx×(1/β)×(1/β’)、Y方向長さはTy×(1/β)×(1/β’)とする。このとき、計測光学系500で計測された検体225が大きい場合、図5(c)において、撮像面Cで照明領域227Cに対応する全ての撮像素子を使用する。また、計測光学系500で計測された検体225が小さい場合、撮像に必要な一部の光源のみOn状態にする。そして、図6(c)において、撮像面Cで照明領域227Cに対応する一部の撮像素子のみ使用する(言い換えると、対象物の像が結像されない撮像素子を使用しない)。物体光が結像している撮像素子のみ撮像すれば、他の撮像素子は撮像しないために消費電力を低減できる。この場合では、ロッド端面1つと撮像素子1つが対応しているため、使用する光源を決定すれば、使用する撮像素子も一意に決定できる。
【0032】
本発明の撮像装置では、光軸と直交する面内において、オプティカルロッド射出面Aと標本面Bと撮像面Cのうち、少なくとも一つ以上の面の相対的位置を変えて、被照射面上の対象物を複数回撮像する。図5のように、検体が画角相当以上の大きさを有する場合では、複数の光源111も複数の撮像素子430も全て使用するが、このときの検体全体の画像を取得する方法を示す。
【0033】
図7は、標本保持部220を光軸に対して垂直なXY方向に撮像素子430の有効寸法だけずらした場合の撮像部400での撮像素子430と検体225の像225Cの関係を示す。図7の例において、使用する撮像素子と検体の像の関係は、1回目の撮像では図7(a)、2回目の撮像では図7(b)、3回目の撮像では図7(c)、4回目の撮像では図7(d)とする。また、図7(e)〜図7(h)は、図7(a)〜(d)の各撮像時までに撮像した画像を表す。
【0034】
図7(a)の位置で1回目の撮像を行った場合、検体225の像225Cは図7(e)に示すように撮像素子の存在する領域のみが離散的に撮像される。
【0035】
次に、標本保持部220をずらし、図7(b)の位置で2回目の撮像を行った場合、先に取得した画像と組み合わせると図7(f)に示す部分を撮像していることになる。
【0036】
図7(e)〜図7(h)では、直前に撮像した部分を実線で囲んで表し、その他の点線の部分は先に撮像した部分を表す。
【0037】
更に、標本保持部220をずらし、図7(c)の位置で3回目の撮像をすると図7(g)が撮像されていることになり、最後に図7(d)で4回目の撮像を行えば、図7(h)に示す部分を全体として撮像していることになる。
【0038】
こうして撮像した複数の画像を制御部610に含まれる画像処理手段で合成し、撮像領域全体を画像化することができる。一方、検体が画角よりも小さい図6の場合では、光源111と撮像素子430を一部だけ使用して検体全体の画像を取得する。
【0039】
図8は、先ほどの図7と同様に、標本保持部220を光軸に対して垂直なXY方向に、撮像素子430の有効寸法だけずらした場合の撮像部400での撮像素子430と検体225の像225Cの関係を示す。図8(a)〜(d)では、使用している撮像素子430を実線で表し、使用していない撮像素子430を点線で表す。本形態では、使用している撮像素子430に対応する光源のみOn状態にしている。
【0040】
図8(a)は一回目の撮像であり、真ん中の9つの照明領域だけ照明するために光源は9つ使用し、撮像も真ん中の9つだけ使用して、検体225の像225Cは図8(e)に示すように撮像素子の存在する領域のみを離散的に撮像する。
【0041】
次に標本保持部220をずらし、図8(b)の位置で2回目の撮像を行うと、先に取得した画像と組み合わせて、図8(f)に示す部分を撮像していることになる。
【0042】
図8(e)〜図8(h)では、直前に撮像した部分を実線で囲んで表し、その他の点線の部分は先に撮像した部分を表す。
【0043】
更に、先に取得した画像を張り合わせることを前提にすると、標本保持部220をずらし、図8(c)の位置で3回目の撮像をすると図8(g)が撮像されていることになる。そして、最後に図8(d)で4回目の撮像を行えば、図8(h)に示す部分を撮像していることになる。
【0044】
こうして、複数枚の画像データを図1における画像処理手段を含む制御部610で合成し、その画像をメモリ等の記録部630に格納し、モニター等の画像表示部620に表示する。制御部610では、画像処理の他に、使用する光源や撮像素子の決定や、標本ステージ210の駆動制御を行う機能を有する。ここでは、これらの機能を一つの制御部610が行う構成としたが、それぞれ別の制御部を用意し、それらがそれぞれの役割を担う構成でもよい。
【0045】
このように、検体の大きさに応じて使用する光源と撮像素子を決定すると、検体が小さい場合は、一部の光源と撮像素子だけを使うことで、低消費電力でかつ検体全体を小さいデータ量で画像化することができる。
【0046】
(第2実施形態)
第1実施形態では4回の撮像で1つの検体の全体画像を取得する際に、1回目から4回目まで全て同じ光源と撮像素子を使用しているが、各撮像時で使用する光源と撮像素子を変えることもできるので、その例を図9に示す。図9の例において、使用する撮像素子と検体の像の関係は、1回目の撮像では図9(a)、2回目の撮像では図9(b)、3回目の撮像では図9(c)、4回目の撮像では図9(d)とする。図9(a)〜(d)では、使用している撮像素子430を実線で表し、使用していない撮像素子430を点線で表す。本形態では、使用している撮像素子430に対応する光源のみOn状態にしている。
【0047】
また、1回目の撮像で得られる画像データを図9(e)、2回目の撮像で得られる画像データを図9(f)、3回目の撮像で得られる画像データを図9(g)、4回目の撮像で得られる画像データを図9(h)とする。図9(e)〜図9(h)では、直前に撮像した部分を実線で囲んで表しており、その他の点線の部分は先に撮像した部分を表す。
【0048】
図8では、1回目から4回目の撮像まで9つの撮像素子を常に使用していたが、本実施形態では図9に示すように、撮像のタイミング毎に使用する撮像素子の数を変更して、全体として使用する撮像素子の数を更に減らしている。そのため、図8と図9では同じ大きさの検体を撮像しているが、最終的に出来上がる画像は、図9(h)の方が図8(h)よりも小さい。
【0049】
全てのタイミングで同じ光源・撮像素子を使うのではなく、図9(a)〜図9(d)のように各撮像時で使用する光源と撮像素子を変えることで、最終的に図9(h)のように不要なデータを抑えて検体全体の画像を撮像できる。
【0050】
(第3実施形態)
一般的に、画像は矩形で持つことが多いが、検体が全て矩形かそれに近い形ではないため、撮像する画像も矩形でなくすことで、使用する光源と撮像素子を減らすことや、処理を軽くすることができる。図10の例において、使用する撮像素子と検体の像の関係は、1回目の撮像では図10(a)、2回目の撮像では図10(b)、3回目の撮像では図10(c)、4回目の撮像では図10(d)とする。図10(a)〜(d)では、使用している撮像素子430を実線で表し、使用していない撮像素子430を点線で表す。本形態では、使用している撮像素子430に対応する光源のみOn状態にしている。
【0051】
また、1回目の撮像で得られる画像データを図10(e)、2回目の撮像で得られる画像データを図10(f)、3回目の撮像で得られる画像データを図10(g)、4回目の撮像で得られる画像データを図10(h)となる。図10(e)〜図10(h)では、直前に撮像した部分を実線で囲んで表しており、その他の点線の部分は先に撮像した部分を表す。
【0052】
図10から分かるように、図9の場合よりも1回目の撮像で使用する光源と撮像素子の数が少ない。
【0053】
左隅には検体の像が無いため、1回目の左隅は撮像せずに図10(h)の画像を合成する。ただし、一般的には画像データは矩形で持つため、画像の張り合わせ時に、左隅部を未処理部の空白画像として画像データを作る。
【0054】
この方法では、使用する光源と撮像素子がまた一段と減り、張り合わせ部が少なくなることにより処理を軽くすることができる。
【0055】
(第4実施形態)
第1から第3実施形態までは、オプティカルロッド端面1つと撮像素子1つが対応しているため、使用する光源を決定すれば、使用する撮像素子も一意に決定できた。
【0056】
しかし、撮像光学系の光学系倍率βや共役光学系の光学系倍率β’、撮像領域等の設計事項の制約により、ロッド1つと撮像素子1つを対応させるのが難しい場合がある。その場合は、ロッド1つと複数の撮像素子を対応させればよい。
【0057】
例えば、図11(a)のように、撮像素子4つで占められる領域を均一に照明するために1つのロッドから照明しても良いし、図11(b)のように、撮像素子全てを占める領域を均一に照明するために1つのロッドから照明しても良い。これらの場合、図11(a)ではロッド端面1つと撮像素子4つが対応しており、図11(b)ではロッド端面1つと全ての撮像素子が対応しており、使用する光源が決定しても、使用する撮像素子を一意に決定することが出来ない。
【0058】
しかし、計測結果から、使用する撮像素子を決定すれば、撮像に不必要な照明が一部でなされていても、撮像素子側では、不必要な部分を撮像せずにすむ。
【0059】
(第5実施形態)
第1から第4実施形態までは、照明光学系で使用するインテグレータとして全てオプティカルロッドを使用していたが、レンズアレイを用いることもできる。その例を図12に示す。
【0060】
各光源111から放射された光を平行化レンズ群116での各レンズで平行化し、さらに微小なレンズからなるレンズアレイ122で集光もしくは発散させ、平行化レンズ群123の各レンズでオプティカルロッド射出面に相当する面(照明面)Aを照明する。ここでは、面Aと撮像光学系300の撮像面Cとが共役関係を持つように構成されている。ただし、完全に共役な位置に配置されている必要は無く、略共役な位置に配置されていればよい。
【0061】
レンズアレイ122は、X方向の曲率とY方向の曲率が異なるトロイダル面を持った矩形のレンズが、複数つなぎあって形成されている。そして、レンズアレイ122の各レンズは、図13に示すように、円形ではなく矩形にし、二方向での曲率を変えることで面Aのx方向の大きさ(xA)とy方向の大きさ(yA)を変え、撮像素子の大きさに合わせた形状に光を整形する。もしくは、レンズアレイ122は、図14に示すように、片側の面に一方向のみ曲率をもつシリンドリカル面を持ち、もう片側の面が平面となるシリンドリカルレンズを組み合わせて用いてもよい。
【0062】
この例では、X方向から見ると、一つはX方向に曲率を持っており、もう一つは平板としてみなすことができる(図14(a))。また、Y方向から見ると、一つは平板で、もう1つはY方向に曲率を持っているとみなすことができる(図14(b))。
【0063】
図12に戻ると、レンズアレイ122と平行化レンズ群123は、平行化レンズ群123のレンズの焦点距離fだけ離れており、さらにf離れた面Aを照明する。 このとき、レンズアレイ122の複数のレンズからの光束は、平行化レンズ群123の各レンズに入射し(図12の光線で図示)、面Aで重畳され、均一な照明を形成する(ケーラー照明)。
【0064】
この例では、面Aにおいて、各光源に対応してケーラー照明で均一照明されている照明部が、離散的に複数形成されることになる。面Aでは空中像が形成できるため、共役光学系を取り除いて面Aと標本面Bを一致させても良いし、設計事情に合わせて変倍光学系として共役光学系を配置しても良い。
【0065】
こうすると、オプティカルロッドを用いた場合と同様に、離散的に配置され撮像素子の大きさと配置に合わせて、離散的かつ均一な照明部を形成できる(図5(c)・図6(c))。
【0066】
よって、このようなレンズアレイを用いた構成でも、第1から第4実施形態で示したように、検体の大きさに応じて使用する光源と撮像素子を決定すれば、低消費電力かつ画像データ量の縮小化ができる。
【0067】
使用する光源・撮像素子の決定方法を第1から第4実施形態で示したが、レンズアレイを用いた構成でも、設計事情によって最も効率的な方法を選択すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上、本発明の光学系の実施例として顕微鏡に適用した場合について説明した。
各実施例では標本に照射する光の透過光を像面に結像する透過型の光学系について示したが、反射型の光学系でも良い。
また顕微鏡以外の撮像装置についても同様に適用できる。
【符号の説明】
【0069】
1 撮像装置
100 照明光学系
110 光源ユニット
111 光源
120 オプティカルロッド部
120a オプティカルロッド
225 検体(撮像対象物)
300 撮像光学系
400 撮像部
430 撮像素子
500 計測光学系
610 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像対象物の画像を取得する撮像装置であって、
光源を含み前記光源から放射される光を撮像対象物に導く照明光学系と、前記撮像対象物を撮像するための撮像光学系と、前記撮像光学系の像面に配置された複数の撮像素子と、を有する撮像部と、
前記撮像対象物の大きさを計測する計測部と、
前記計測部の計測結果に基づいて、前記複数の撮像素子のうちで前記撮像部によって前記撮像対象物を撮像する際に使用する撮像素子を決定する制御部と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮像装置は、前記撮像光学系の光軸に対して直交する方向に前記撮像対象物と前記複数の撮像素子との相対的位置を変えることで複数回撮像を行い1つの画像を取得するものであって、
前記制御部は、前記複数回の撮像のうちで、前記撮像部によって前記撮像対象物を撮像する際に使用する撮像素子を変更することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記計測部の計測結果に基づいて、前記複数の撮像素子のうち前記撮像対象物の像が結像される撮像素子のみ使用する決定を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記照明光学系は複数の光源を含み、前記複数の光源から放射される光を前記撮像対象物に離散的に導き、
前記制御部は、前記複数の光源と前記複数の撮像素子とのうち前記撮像部によって前記撮像対象物を撮像する際に使用する光源と撮像素子とを決定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記計測部の計測結果に基づいて、前記複数の光源のうち前記撮像対象物の領域を照明する光源のみ使用する決定を行うことを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記照明光学系は複数のロッドインテグレータを有し、前記複数の光源は前記複数のロッドインテグレータに独立して光を供給し、前記複数のロッドインテグレータの射出面と前記撮像光学系の像面とが共役関係を持つことを特徴とする請求項4または5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記照明光学系は複数のレンズアレイを有し、前記複数の光源は前記複数のレンズアレイで形成された各照明面に独立に光を供給し、前記複数のレンズアレイで形成された前記各照明面と前記撮像光学系の像面とが共役関係を持つことを特徴とする請求項4または5に記載の撮像装置。
【請求項8】
撮像対象物の画像を取得する撮像装置であって、
複数の光源を含み前記複数の光源から放射される光を撮像対象物に離散的に導く照明光学系と、前記撮像対象物を撮像するための撮像光学系と、前記撮像光学系の像面に配置された複数の撮像素子と、を有する撮像部と、
前記撮像対象物の大きさを計測する計測部と、
前記計測部の計測結果に基づいて、前記複数の光源のうち前記撮像部によって前記撮像対象物を撮像する際に前記撮像対象物に照射されずに前記撮像素子に導かれる光源を使用しない決定をし、前記複数の撮像素子のうち前記撮像部によって前記撮像対象物を撮像する際に前記撮像対象物の像が結像されない撮像素子を使用しない決定をする制御部と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
前記複数の光源と前記複数の撮像素子とは1対1で対応しており、
前記制御部は、前記複数の光源のうち前記撮像部によって前記撮像対象物を撮像する際に使用しない光源を決定し、前記複数の撮像素子のうち前記使用しない光源に対応する撮像素子を使用しない決定をすることを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記複数の光源と前記複数の撮像素子とは1対1で対応しており、
前記制御部は、前記複数の撮像素子のうち前記撮像部によって前記撮像対象物を撮像する際に使用しない撮像素子を決定し、前記複数の光源のうち前記使用しない撮像素子に対応する光源を使用しない決定をすることを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項11】
撮像対象物の画像を取得する撮像装置であって、
複数の光源を含み前記複数の光源から放射される光を撮像対象物に離散的に導く照明光学系と、前記撮像対象物を撮像するための撮像光学系と、前記撮像光学系の像面に配置された複数の撮像素子と、を有する撮像部と、
前記撮像対象物の大きさを計測する計測部と、
前記計測部の計測結果に基づいて、前記撮像部によって前記撮像対象物を撮像する際に前記複数の光源のうち前記撮像対象物に照射されない光源を使用しない決定を行う制御部と、を有することを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−95131(P2012−95131A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241208(P2010−241208)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】