撮像装置
【課題】小さい回路規模で、十分なオートフォーカス性能を確保しつつ、高精細動画像の撮影時においても、高画質の撮像画像を得る。
【解決手段】 撮像装置は、撮像用画素が2次元状に配列されると共に、該配列の一部に複数の焦点検出用画素が配列された撮像素子と、上記撮像素子の所定画素間隔の複数の画素の画素値を加算する画素値加算回路と、上記複数の画素が上記焦点検出用画素を含む場合の上記画素値加算回路の第1の画素加算結果を、上記複数の画素が上記焦点検出用画素を囲む場合の上記画素値加算回路の第2の画素加算結果に従って、補正した結果を出力する補正回路と、を具備する。
【解決手段】 撮像装置は、撮像用画素が2次元状に配列されると共に、該配列の一部に複数の焦点検出用画素が配列された撮像素子と、上記撮像素子の所定画素間隔の複数の画素の画素値を加算する画素値加算回路と、上記複数の画素が上記焦点検出用画素を含む場合の上記画素値加算回路の第1の画素加算結果を、上記複数の画素が上記焦点検出用画素を囲む場合の上記画素値加算回路の第2の画素加算結果に従って、補正した結果を出力する補正回路と、を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画像等を撮像可能な撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラなどの撮影機能付き携帯機器(撮像装置)は、静止画のみならず、動画撮影機能を有するものが多い。この種の撮像装置には、撮像用画素の他にAF用センサ(瞳分割機能を有するAF画素)を配置した撮像素子を採用して、瞳分割位相差法によりオートフォーカスを行うものがある。この手法を採用することにより高速なオートフォーカスが可能である。
【0003】
しかし、オートフォーカス性能を高くするためには、撮像素子内に比較的多くのAF用センサを配置する必要があり、AF用センサ部分の画像信号の欠落によって、撮像画像の画質が劣化するという欠点がある。近年、テレビジョンのハイビジョン化等に伴い、動画撮影時の撮影画質の品位向上が求められており、AF用センサの画素に相当する画像信号を正しく補間する技術が必要となっている。
【0004】
例えば、特許文献1においては、焦点検出用画素の周囲の撮像用画素の出力に基づいて、焦点検出用画素の位置における画像の出力を演算することで、動画撮影時の画質を向上させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2007−282107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の提案では、高速の処理は困難であり、高速での連写や動画撮影時、ライブビュー表示等においては採用することはできない。
【0007】
本発明は、小さい回路規模で、十分なオートフォーカス性能を確保しつつ、高精細動画像の撮影時においても、高画質の撮像画像を得ることができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る撮像装置は、撮像用画素が2次元状に配列されると共に、該配列の一部に複数の焦点検出用画素が配列された撮像素子と、上記撮像素子の所定画素間隔の複数の画素の画素値を加算する画素値加算回路と、上記複数の画素が上記焦点検出用画素を含む場合の上記画素値加算回路の第1の画素加算結果を、上記複数の画素が上記焦点検出用画素を囲む場合の上記画素値加算回路の第2の画素加算結果に従って、補正した結果を出力する補正回路と、を具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、小さい回路規模で、十分なオートフォーカス性能を確保しつつ、高精細動画像の撮影時においても、高画質の撮像画像を得ることができる撮像装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置の回路構成を示すブロック図。
【図2】瞳分割位相差法を説明するためのための説明図。
【図3】第1の実施の形態において採用される撮像素子の画素配列を示す説明図。
【図4】第1の実施の形態において採用される補間方法を説明するための説明図。
【図5】図1中の受光部14a及び垂直アナログ加算回路14bの具体的な構成の一例を示す回路図
【図6】動画撮像時における撮像部14の処理を説明するためのフローチャート。
【図7】第1の実施の形態におけるカメラ制御を説明するためのタイミングチャート。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る撮像装置の回路構成を示すブロック図。
【図9】受光部44aにおけるベイヤー配列を説明するための説明図。
【図10】第2の実施の形態における補間方法を説明するための説明図。
【図11】第2の実施の形態における補間方法を示すフローチャート。
【図12】本実施の形態におけるカメラ制御を説明するためのタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置の回路構成を示すブロック図である。
【0013】
先ず、図2乃至図4の説明図を参照して、本実施の形態における動画撮像時の手法について説明する。図2は瞳分割位相差法を説明するためのための説明図である。
【0014】
被写体31から各光路を介して撮像装置に入射する光学像は撮影レンズ32によって撮像素子33の入射面に結像する。AF検出用の画素(以下、AF画素という)として2つの撮像部(例えば、R撮像部とL撮像部)を構成し、各光路を射出瞳において例えば右方向と左方向とに分割して、右方向からの光(右光)と左方向からの光(左光)とを、R撮像部とL撮像部とにそれぞれ入射する。例えば、図2(a)において、撮像素子33の一部33aを拡大して示すように、撮影レンズ32の光軸に対してR,L撮像部を偏心させることで、右光と左光とを各R,L撮像部にそれぞれ入射させることができる。
【0015】
ピントが合っている場合には、R,L撮像部には被写体の同一点からの光が入射する。従って、水平方向に配置したAF検出用の複数のR撮像部によって得られる画像信号と複数のL撮像部によって得られる画像信号とは同一となる。ピントがずれると、図2(a)に示すように、被写体の同一点からの光は、ピントのずれ量に応じてずれた位置のR撮像部とL撮像部とに入射する。従って、水平方向に配置したAF検出用の複数のR撮像部によって得られる画像信号(実線)34と複数のL撮像部によって得られる画像信号(破線)35とは位相がずれ、位相のずれ量はピントのずれ量に対応する。R,L撮像部によって得られる画像信号34,35同士の位相差に基づいて、ピント調整用のレンズを駆動することで、オートフォーカスを実現することができる。
【0016】
なお、図2(a)はAF画素と通常画素(撮像用画素)との構造を共通化するために、R撮像部のみを有する画素(以下、R画素という)とL撮像部のみを有する画素(以下、L画素という)によってAF画素を構成した例を示している。更に、図2(b)は、L画素を省略し、AF画素としてR画素のみを用いて、複数の通常画素(以下、N画素ともいう)によって得られる画像信号(実線)36の位相とR撮像部によって得られる画像信号(破線)35の位相とを比較することで、ピントのずれ量を求める例を示している。
【0017】
図3は本実施の形態において採用される撮像素子の画素配列を示す説明図である。
【0018】
本実施の形態においては、画素配列としてベイヤー配列を採用する例について説明する。図3において密なハッチングは、青色のフィルタが配置された青色の画素を示し、粗なハッチングは赤色のフィルタが配置された赤色の画素を示し、無地は緑色のフィルタが配置された緑色の画素を示し、縁取りのある枠はAF画素を示している。
【0019】
図3に示すように、ベイヤー配列では、水平及び垂直2×2画素を単位として同一の配列が繰り返される。即ち、2×2画素のうち斜めに青と赤の画素が配置され、残りの斜めの2画素には緑の画素が配置される。図3中、A〜Hの符号は、画素を特定するためのものであり、画素RはAF検出用のR画素である。なお、図3の画素Rの位置には、緑色の画素を得るための緑色のフィルタが配置されている。
【0020】
静止画撮影時には、各画素から読み出した信号をそのまま撮像画像の各画素値として用い、撮像後に画素補間等の画像処理を行う。一方、動画撮像時には、同色の4画素の画素値を加算することでその色の1画素を生成する。例えば、緑色の画素E〜Hを加算して緑色の1画素を生成し、この生成した画素の隣の画素は、画素A,C,R,Dを加算して生成する。他の色についても同様である。
【0021】
しかしながら、画素RはN画素ではないので、画素A,C,R,Dをそのまま用いて1画素を構成すると、画質劣化が生じる。そこで、本実施の形態においては、図4に示す補間方法を採用する。なお、図3及び図4においては、AF画素としてR画素のみを用いる例について説明するが、L画素のみを用いる場合、R,L画素の両方を用いる場合にも同様に適用可能である。
【0022】
動画撮像時には、同色の2つの行の2つの列の画素によって1画素を生成する処理を高速に行うために、撮像素子からの読み出しに際して、同色の2行の画素を加算して読み出す。画素A〜H,Rの画素値をA〜H,Rで表すと、図4(a),(b)に示すように、緑色の画素については、加算画素値(E+G),(F+H),…,(A+R),(C+D),…が出力される。更に、撮像素子から読み出された加算画素値について、同色の2列の画素加算を行うことで、図4(c),(d)に示すように、加算画素値(E+F+G+H),…,(A+C+R+D),・・が得られる。なお、上述したように、画素Rは、射出瞳の右方向から入射した光のみによる画素値を出力するR画素である。
【0023】
本実施の形態においては、1画素がR撮像部とL撮像部によって構成されており、R撮像部の画素値とL撮像部の画素値とを加算できれば、このようなAF画素からもN画素と同等の画素値が得られるものと考える。即ち、本実施の形態においては、画素Rの位置においてR撮像部だけでなくL撮像部も設けられているとした場合におけるL撮像部の画素値を推定し、画素Rの画素値に推定したL撮像部の画素値を加算することで、画素Rの位置においてN画素が構成されていた場合の画素値を求めるようになっている。
【0024】
なお、動画撮像時には、高速処理のために、撮像素子において上述した加算読み出しを行っており、動画撮像時においては撮像素子から単独の画素の画素値を読み出すこと等、加算読み出し以外の読み出しはできない。従って、画素Rの画素値を直接読み出すこともできず、画素Rの2倍の画素値を画素Rの位置におけるN画素の値として直接求めることもできない。
【0025】
図3に示すように、画素Rの位置は、画素E〜Fによって囲まれた中央の位置であり、この位置においてN画素が構成されていた場合の画素値を、加算画素値(E+F+G+H)/4と推定する。更に、R撮像部とL撮像部の画素値が略同一の値であり、これらの画素値の和がN画素の画素値であるものとして、加算画素値(E+F+G+H)/8を画素Rの位置におけるL撮像部の画素値とする(図4(c))。こうして、加算画素値(A+C+R+D)にL撮像部の画素値である加算画素値(E+F+G+H)/8を加えた値を、画素A,C,R,Dを全てN画素で構成した場合の加算画素値とする(図4(d))。
【0026】
一方、動画撮像時のAF処理のために、画素Rにおける画素値(R撮像部の画素値)を求める必要がある。撮像素子からは、加算画素値(A+R)が出力されており、この加算画素値(A+R)から画素Aの画素値を推定して減算することで、画素Rの画素値を得る。画素Aは画素E〜Hによって囲まれた中央の画素に近接した同色画素であるので、画素Aの画素値を加算画素値(E+F+G+H)/4であるものと推定する。こうして、加算画素値(A+R)−加算画素値(E+F+G+H)/4によって、画素Rの画素値を求める(図4(e))。
【0027】
(回路構成)
図1に示すように、撮像装置1の図示しない本体筐体内には本体回路部10が設けられ、本体筐体に着脱自在に取り付けられる交換レンズ部20には交換レンズ回路部21が設けられている。本体回路部10には、通信部12が設けられており、交換レンズ回路部21には通信部23が設けられている。本体回路部10の通信部12は、交換レンズ回路部21の通信部23との間で、相互に情報を送受することができるようになっている。
【0028】
交換レンズ20は、撮影レンズ26を有している。撮影レンズ26は、駆動部25に駆動されることで合焦を可能にするオートフォーカス機能を備えている。交換レンズ20のレンズ制御部22は、本体回路部10からの信号により又はユーザ操作に基づく操作部24からの信号によって、駆動部25を制御して、撮影レンズ26を駆動し、撮影レンズ26における絞り、ピント、ズーム等を制御することができるようになっている。
【0029】
レンズ制御部22の通信部23は、所定の伝送路を介して本体回路部10の通信部12との間で情報の送受を行う。レンズ制御部22は、本体回路部10の通信部12との間の通信が確立すると、レンズに関する情報を通信部23によって本体回路部10に送信させることができる。これにより、本体回路部10は、交換レンズ20のズーム倍率、焦点距離、明るさナンバー等を認識することができる。
【0030】
本体回路部10は、CMOSセンサ等の撮像素子によって構成された撮像部14を有している。撮像部14は、交換レンズ20からの被写体の光を受光する受光部14aを有する。交換レンズ20からの被写体の光学像は、受光部14aに結像するようになっている。受光部14aは、上述した図3のベイヤー配列の画素を有するものとする。撮像部14は、信号処理及び制御部11によって駆動制御される。撮像部14は、受光部14aから2つの行の画素の値を加算して読み出す垂直アナログ加算回路14bを有する。垂直アナログ加算回路14bは、受光部14aからの2つの行の加算画素値を水平デジタル加算回路14cに出力する。水平デジタル加算回路14cは、2つの行の加算画素値を2つの列に亘って加算して4画素の加算画素値を出力する。なお、水平デジタル加算回路14cは、加算画素値に対する乗算処理、加減算処理等の演算が可能である。受光部はAF用メモリ14dを有している。水平デジタル加算回路14cは、演算結果を動画像撮像時における加算画素値として出力すると共に、演算結果をAF用画素の画素値としてAF用メモリ14dに与えて記憶させることができるようになっている。
【0031】
図5は図1中の受光部14a及び垂直アナログ加算回路14bの具体的な構成の一例を示す回路図である。受光部14aは、マトリクス状に配置された複数の画素によって構成されており、図5ではそのうちの同色の2行の2つの画素(破線)の構成のみを示している。
【0032】
各画素はフォトダイオードPD、転送トランジスタT1、フローティングディフュージョンFD、リセットトランジスタT2、増幅トランジスタT3によって構成される。フォトダイオードPDは受光した光に応じて電荷を発生する。フォトダイオードPDに発生した電荷は、転送トランジスタT1によってフローティングディフュージョンFDに転送されて蓄積される。リセットトランジスタT2によってフローティングディフュージョンFDのリセット及び蓄積期間が設定され、フローティングディフュージョンFDの信号電荷に基づく電圧が増幅トランジスタT3によって増幅される。
【0033】
行選択スイッチT4は、行選択信号によってオン,オフし、トランジスタT3からの信号電流をカラム線CAを介してCDS回路41に出力する。1列の全ての行選択スイッチT4は共通のカラム線CAに接続され、同一行の全ての行選択スイッチT4が同時にオンになることで、同一行の全ての画素から各カラム線CAを介して信号が各CDS回路41に供給される。
【0034】
静止画撮影時には、図示しない垂直走査回路によって行選択スイッチT4がライン毎に選択的にオンとなる。動画撮像時には、垂直走査回路は、1ライン毎の同一色の2行の行選択スイッチT4をオンにする。これにより、動画撮影時には、同一色の2つの行の画素の画素値が、カラム線CAを介して出力される。
【0035】
CDS回路41は、同一色の2つの行の画素値のリセットノイズを除去して出力する。CDS回路41の出力は、トランジスタT5を介してコンデンサC1に蓄積される。動画撮像時には、コンデンサC1には2画素の画素値の和の電荷が蓄積されることになる。コンデンサC1の蓄積電荷は、アンプ42を介してアナログデジタル変換部(ADC)43に供給されてデジタル信号に変換されて出力される。こうして、各カラム線CA毎に設けられたADC43からは、同色の2つの行の画素の加算画素値が出力されることになる。なお、各ADC43の出力は、図示しない水平走査回路によって順次出力される。
【0036】
なお、受光部14aの構造を簡単化すると共に、処理を高速化するために、各画素の構造及び読み出しの手順等を画素間で共通化する必要があり、このため、動画撮影時には、同色の2つの行の画素の加算画素値のみが出力され、単一の画素の画素値を出力することはできない。
【0037】
動画撮影時には、水平走査回路によって2行の画素の読み出しが終了すると、次の2行の画素の読み出しが行われる。なお、2行の画素の読み出しが終了する毎に、これらの行の各画素がリセットされる。
【0038】
図6は動画撮像時における撮像部14の処理を説明するためのフローチャートである。
【0039】
撮像部14は、図6のステップS1において、上述した図4に示す演算を行うための変数L,M,Nを0に初期化する。次に、撮像部14は、垂直アナログ加算回路14bによって、1行おきの2つの行の2画素を加算する。これにより、例えば図3の緑色の画素E,Gの加算画素値(E+G)、画素F,Hの加算画素値(F+H),…が得られる。撮像部14は、ステップS6において、全列の処理が終了したか否かを判定し、終了していない場合には、ステップS7において列を変更して2画素加算を繰り返す。また、撮像部14は、ステップS16において、全行の処理が終了したか否かを判定し、終了していない場合には、ステップS17において行を変更して2画素加算を繰り返す。
【0040】
いま、垂直アナログ加算回路14bが、図3の緑色の画素A,Rの加算画素値(A+R)を加算するものとする。垂直アナログ加算回路14bが加算する画素RはAF画素であるので、垂直アナログ加算回路14bは、ステップS3から処理をステップS4に移行して、変数Lをインクリメントし、加算画素値S1(L)=(A+R)をAF用メモリ14dに与えて仮記録する。ステップS3〜S5によって、AF画素を含む全ての2画素の加算画素値がAF用メモリ14dに記憶される。
【0041】
次に、撮像部14は、ステップS8において、水平デジタル加算回路14cによって、1列おきの4つの画素を加算する。これにより、例えば、加算画素値(E+G)と加算画素値(F+H)とが加算される。撮像部14は、ステップS9において加算した4画素がAF画素を囲むか否かを判定する。図3の例では画素E〜HはAF画素Rを囲むので、水平デジタル加算回路14cは、ステップS10において変数Mをインクリメントし、加算画素値S2(M)=(E+F+G+H)をAF用メモリ14dに与えて仮記録する。ステップS9〜S11によって、AF画素を囲む全ての4画素の加算画素値がAF用メモリ14dに記憶される。
【0042】
更に、撮像部14は、ステップS8において加算した4画素がAF画素を含むか否かを判定する(ステップS12)。図4(d)のように画素A,C,R,DはAF画素Rを含むので、水平デジタル加算回路14cは、ステップS13において変数Nをインクリメントし、4画素の加算結果(A+C+R+D)を加算画素値S3(N)に代入する。そして、撮像部14は、S3(N)にS2(M)/8を加算して、図4(d)の右辺の加算画素値を得る(ステップS15)。
【0043】
撮像部14は、ステップS15によって得た加算画素値を動画撮像時における4画素の画素値として出力する。これらの4画素には、R撮像部のみを有するAF画素Rが含まれているが、画素Rの位置にL撮像部を構成した場合におけるL撮像部の画素値Lを推定して、4画素の加算結果に加算しており、画素RをN画素で構成した場合と同様の加算画素値を得ることができる。
【0044】
信号処理及び制御部11は、撮像部14に駆動信号を出力すると共に、撮像部14からの画素値を取り込む。信号処理及び制御部11には画像処理部45cが設けられており、画像処理部45cは、撮像素子からの画素値に対して、所定の信号処理、例えば、色信号生成処理、マトリックス変換処理、その他各種のデジタル処理を行う。信号処理及び制御部11は、画像信号及び音声信号等の記録に際して、符号化処理を施して圧縮した画像情報及び音声情報等を出力することもできるようになっている。
【0045】
信号処理及び制御部11には、AF信号算出部45bが設けられている。AF信号算出部45bは、撮像部14からR撮像部の画素値、L撮像部の画素値及びN画素の画素値のうちの少なくとも2つの画素値を読み出して、これらの画素値によって得られる画像信号同士の位相差に基づいて、瞳分割位相差法よるAF信号を生成する。信号処理及び制御部11は、AF信号算出部45bによって算出されたAF信号を通信部12,23を介して駆動部25に供給することで、ピント合わせを行うようになっている。
【0046】
また、本体回路部10には、時計部15、操作判定部16も配設されている。時計部15は信号処理及び制御部11が用いる時間情報を発生する。操作判定部16は、撮像装置1に設けられた撮像開始終了ボタンや撮影モード設定等の図示しない各種スイッチに対するユーザ操作に基づく操作信号を発生して、信号処理及び制御部11に出力するようになっている。信号処理及び制御部11は、操作信号に基づいて、各部を制御する。
【0047】
また、本体回路部10には、記録再生部17及び表示部18が設けられている。記録再生部17は、信号処理及び制御部11からの画像情報及び音声情報を図示しない記録媒体に記録することができるようになっている。なお、記録再生部17としては例えばカードインターフェースを採用することができ、記録再生部17はメモリカード等に画像情報及び音声情報等を記録可能である。また、記録再生部17は、記録媒体に記録された画像情報及び音声情報を読み出して信号処理及び制御部11に供給することができる。信号処理及び制御部11は、記録再生部17からの画像情報及び音声情報を復号化して、画像信号及び音声信号を得ることができるようになっている。
【0048】
表示部18は、撮像部14からの撮像画像や記録再生部17からの再生画像が信号処理及び制御部11から供給されて、これらの画像表示を行うことができる。また、表示部18は信号処理及び制御部11に制御されて、撮影機器1の操作を行うためのメニュー表示等を表示することもできるようになっている。
【0049】
信号処理及び制御部11は、生成した映像信号を記録再生部17に与えて記録させる場合には、ユーザ操作に基づいて記録した映像信号のファイル化を行うようになっている。なお、ファイル化によって、記録再生部17に記録されてファイル化された映像信号(以下、映像ファイルという)に対してユーザ操作に基づく各種処理、例えば再生処理が可能となる。
【0050】
次に、このように構成された実施の形態の作用について図7を参照して説明する。図7は本実施の形態におけるカメラ制御を説明するためのタイミングチャートである。
【0051】
撮像装置1に電源が投入されると、信号処理及び制御部11は、図7のステップS21において、撮影モードが指示されたか否かを判定する。撮影モードが指示されていない場合には、信号処理及び制御部11は、ステップS22において、再生モードが指示されたか否かを判定する。再生モードが指示されると、信号処理及び制御部11は、ステップS23において、サムネイルの一覧表示を行う。サムネイル一覧を参照したユーザによる画像の選択が行われると、ステップS24からステップS25に処理を移行して、信号処理及び制御部11は選択画像の再生を行う。ファイル選択が行われない場合には、ステップS26において再生モードの終了を判定する。
【0052】
一方、撮影モードが指示されると、信号処理及び制御部11は、ステップS31において、撮像部14からの画像信号に基づいて、表示部18に撮像画像(スルー画)をライブビュー表示させる。なお、この場合には、信号処理及び制御部11は、撮像部14からの撮像画像を、表示部18の表示画素数に応じて間引き処理した後、表示部18に与える。
【0053】
次のステップS32,33において、撮影操作が行われたか否かが判定される。例えばレリーズボタン操作等によって静止画撮影が指示されると、信号処理及び制御部11は、ステップS34においてオートフォーカス処理を行う。静止画撮影時には、撮像部14は1画素ずつ読み出しを行っており、AF画素の画素値がAF用メモリ14dに記憶される。信号処理及び制御部11のAF信号算出部11bは、AF用メモリ14dに記憶されているAF画素の画素値を読み出し、複数のR撮像部から得られる画像信号と複数のL撮像部から得られる画像信号との位相差を検出して、交換レンズ回路部21の駆動部25を制御するためのAF信号を発生する。AF信号は、通信部12,23を介して交換レンズ回路21の駆動部25に供給され、駆動部25はAF信号に基づいて撮影レンズ26を駆動して、ピント合わせを行う。
【0054】
なお、受光部14aに、AF画素としてR画素のみが構成されている場合には、AF信号算出部11bは、N画素とR画素との演算によってL撮像部の画素値を求めればよる。また、AF信号算出部11bは、AF画素の画素値を読み出し、複数のR撮像部から得られる画像信号と複数のN画素から得られる画像信号との位相差を検出して、交換レンズ回路部21の駆動部25を制御するためのAF信号を発生するようにしてもよい。
【0055】
信号処理及び制御部11は、ピント合わせを行った後、撮像部14からの撮像画像に対して所定の信号処理を施して記録用の画像を生成する。信号処理及び制御部11は、生成した撮像画像を図示しないメモリに記録する(ステップS35)。信号処理及び制御部11は、記録された撮像画像中のAF画素については、当該AF画素の周囲の画素を用いた補間処理によって、このAF画素をN画素で構成した場合の画素を求めて、AF画素位置の画素値とする(ステップS36)。
【0056】
信号処理及び制御部11は、AF画素の画素値が補正された撮像画像を記録再生部17にファイル化する(ステップS37)。また、信号処理及び制御部11は、記録した撮像画像を表示部18に与えて、レックビュー表示を行う(ステップS38)。
【0057】
信号処理及び制御部11は、ステップS51において、電源オフ操作が行われた否かを判定する。電源オフ操作が行われていない場合には、信号処理及び制御部11は、撮影・再生モードの変更操作を受付けた後、処理をステップS21に戻す。電源オフ操作が行われた場合には、信号処理及び制御部11は電源をオフにする(ステップS53)。
【0058】
一方、ステップS32において、ユーザが動画撮影を指示したものと判定された場合には、信号処理及び制御部11は、処理をステップS41に移行して、図6に示した動画時画素読み出しを行う。即ち、ステップS41の処理によって、垂直アナログ加算回路14bによって加算されるAF画素を含む2画素の加算値S1(L)(図4(d)参照)、同一色の4画素によって囲まれる画素がAF画素である場合の当該4画素の加算画素値S2(M)(図4(c)参照)がAF用メモリ14dに記憶されている。
【0059】
なお、上述したように、ステップS41の処理では、R画素を含む同一色の4画素の加算画素値に、当該R画素の画素位置においてL撮像部を構成した場合の当該L撮像部の画素値を加算する処理(図4(d)参照)によって、AF画素をN画素で構成した場合の4画素の加算画素値が得られている。
【0060】
動画撮像時には、撮像部14から単独の画素の画素値を読み出すことはできない。そこで、信号処理及び制御部11は、以下のステップS42〜S44の処理によって、AF画素の画素値を求める。
【0061】
即ち、信号処理及び制御部11は、ステップS42において、同一色の4画素によって囲まれる画素がAF画素である場合の当該4画素の加算画素値S2(J)を1/4することで、当該AF画素がN画素で構成された場合の画素値N(J)を推定する。
【0062】
信号処理及び制御部11は、ステップS43において、R画素を含む2画素の加算値S1(J)から当該R画素がN画素で構成された場合の画素値N(J)を減算することで、R画素の画素値R(J)を推定する(図4(e)参照)。
【0063】
また、信号処理及び制御部11は、ステップS44において、AF画素がN画素で構成された場合の画素値N(J)から当該AF画素がR画素で構成された場合の画素値R(J)を減算することで、当該AF画素がL画素で構成された場合の画素値L(J)を推定する。
【0064】
次に、信号処理及び制御部11は、ステップS45において、推定した複数の画素値R(J)によって得られる画像信号と推定した複数の画素値L(J)によって得られる画像信号との相関を検出する。また、信号処理及び制御部11は、ステップS46において、推定した複数の画素値R(J)によって得られる画像信号と推定した複数の画素値N(J)によって得られる画像信号との相関を検出する。
【0065】
信号処理及び制御部11は、高い相関が得られる組み合わせをピント合わせの位相差検出に採用する。例えば、画素値R(J)によって得られる画像信号と複数の画素値L(J)によって得られる画像信号との相関の方が高い場合には、画素値R(J)によって得られる画像信号と複数の画素値L(J)によって得られる画像信号との位相差を検出して、検出した位相差に基づいて交換レンズ回路部21の駆動部25を制御するためのAF信号を発生する。このAF信号が駆動部25に供給され、駆動部25は撮影レンズ26を駆動してピント合わせを行う(ステップS47)。
【0066】
信号処理及び制御部11は、ピント合わせ後の4加算画素値を用いて、動画撮像時の画像を生成し、所定の信号処理を施した後、表示部18に表示する。また、信号処理及び制御部11は、生成した撮像画像に符号化処理を施した後記録生成部17に記録させる。信号処理及び制御部11は、ステップS49において動画撮影の終了が指示されると、記録再生部17に記録された動画像をファイル化する(ステップS37)。
【0067】
このように本実施の形態においては、動画時の高速処理のために、AF画素を有する撮像部から、複数の画素の画素値が加算された後出力される場合でも、簡単な演算処理によって、AF画素が通常画素である場合の加算画素値を推定することができ、高画質の動画像を得ることができる。また、この場合でも、簡単な演算処理によって、AF画素の画素値を取得することができ、ピント合わせを高精度に行うことができる。なお、簡単な演算処理とは、加算する複数の画素が、AF画素を含む画素であるかAF画素を囲む画素であるかによって、各場合毎に加算結果を夫々記憶し、記憶した加算結果に対する簡単な四則演算を行うことであり、高速処理が可能である。
【0068】
(第2の実施の形態)
図8は本発明の第2の実施の形態に係る撮像装置の回路構成を示すブロック図である。図8において図1と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0069】
本実施の形態においては、撮像部14並びに信号処理及び制御部11を有する本体回路部10に代えて撮像部44並びに信号処理及び制御部45を有する本体回路部40を採用した点が第1の実施の形態と異なる。
【0070】
撮像部44は、CMOSセンサ等の撮像素子によって構成されており、ベイヤー配列の受光部44aを有する。図9は受光部44aにおけるベイヤー配列を説明するための説明図である。図9は図3と同様の手法により記載したものである。
【0071】
本実施の形態においては、撮像部44は、受光部44aから2つの行及び2つの列の4画素の画素値を加算して読み出す垂直水平アナログ加算回路44bを有する。例えば、受光部44aの1列の回路構成を図5の構成からアンプ42及びADC43を除く構成とし、2列のコンデンサC1の信号電荷をアンプ42及びADC43によって取り出すことにより、2つの行及び2つの列の4画素の加算画素値を出力することができる。
【0072】
演算回路44cは、垂直水平アナログ加算回路44bの出力に対する演算処理によって、動画撮像時の画素値を出力すると共に、AFに用いる画素値を生成してAF用メモリ44dに記憶させるようになっている。
【0073】
図10は第2の実施の形態における補間方法を説明するための説明図であり、図11は第2の実施の形態における補間方法を示すフローチャートである。図10及び図11は夫々図4又は図6に対応するものである。
【0074】
本実施の形態においても、加算する画素がAF画素を囲む画素であるか、AF画素を含む画素であるかの場合毎に加算画素値を記憶し、加算画素値に対する演算によって、AF画素をN画素で構成した場合と同様の画素値を得るようになっている。
【0075】
撮像部44は、図11のステップS61において、列毎の4画素の加算読み出しを開始する。即ち、垂直水平アナログ加算回路44bによって、2つの行を読み出し(図10(a))、図10(c)に示すように1列おきの4画素を加算する。撮像部44は、ステップS62において、演算を行うための変数M,Nを0に初期化する。
【0076】
ステップS63,S66では、垂直水平アナログ加算回路44bにおいて画素加算を行う4画素が、AF画素を囲む画素であるかAF画素を含む画素であるかの判定が行われる。画素E〜Hは、図9に示すように、AF画素(R画素)を囲むので、撮像部44は、処理をステップS64に移行し、Mをインクリメントし、加算画素値(E+F+G+H)をAF用メモリ44dにS5(M)として記憶させる。
【0077】
1列の読み出し及び画素加算が終了すると、ステップS70からステップS71に処理を移行して、次の行の画素加算が行われる。次に、例えば、図10(b)に示す読み出しが行われて、図10(d)に示す画素加算が行われる。図10(d)に示す画素R,C,A,Dは、AF画素(R画素)を含むので、処理はステップS67に移行して変数Nがインクリメントされる。次に、加算画素値(R+C+A+D)をAF用メモリ44dにS6(N)として記憶させる(ステップS68)。
【0078】
S5(M)の画素値は、当該4画素によって囲まれるR画素の位置においてL撮像部を構成した場合のL撮像部の画素値の8倍の値と推定される。また、R撮像部とL撮像部の画素値の加算値は、R画素の位置においてN画素を構成した場合の画素値と推定できる。そこで、演算回路44cは、ステップS69において、図10(e)に示す演算、即ち、S5(M)の1/8とS6(N)の加算を行って、画素R,C,A,Dの加算画素値を得る。この加算画素値は、R画素をN画素で構成した場合の加算画素値と考えることができる。
【0079】
以上の処理をステップS73において行を変更しながら、ステップS72において全列が終了したと判定されるまで繰り返す。
【0080】
次に、このように構成された実施の形態の作用について図12を参照して説明する。図12は本実施の形態におけるカメラ制御を説明するためのタイミングチャートである。図12において図7と同一の手順には同一符号を付して説明を省略する。
【0081】
図12のフローは、ステップS42,S43に夫々代えてステップS81,S82を採用した点が図7のフローと異なる。本実施の形態においては、受光部44aから4画素の加算画素値が読み出されるようになっており、単独の画素の画素値又は2画素の加算画素値を読み出すことはできない。
【0082】
そこで、信号処理及び制御部11は、ステップS81においては、AF信号算出部45aは、ステップS81において、同一色の4画素によって囲まれる画素がAF画素である場合の当該4画素の加算画素値S5(J)を、当該AF画素がN画素で構成された場合の画素値N(J)と推定する。
【0083】
信号処理及び制御部11は、ステップS82において、R画素を含む4画素の加算値S6(J)を、当該AF画素がR画素で構成された場合の画素値R(J)と推定する
他の作用は第1の実施の形態と同様であり、推定された画素値R(J),L(J),N(J)を用いて、ステップS45〜S47においてピント合わせが行われる。また、AF画素を含む4画素の加算画素値は、この4画素が全てN画素で構成されている場合と同様の画素値に補正されており、高画質の撮像画像を得ることができる。
【0084】
このように本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、動画時の高速処理のために、AF画素を有する撮像部から、複数の画素の画素値が加算された後出力される場合でも、簡単な演算処理によって、AF画素が通常画素である場合の加算画素値を推定することができ、高画質の動画像を得ることができる。
【0085】
また、本実施の形態においても、AF画素としてR画素のみを用いる例について説明したが、L画素のみを用いる場合、R,L画素の両方を用いる場合にも同様に適用可能である。
【0086】
また、上記各実施の形態においては、AF画素として水平左右方向からの光を受光するL,R撮像部を有する画素を用いる例について説明したが、AF画素として垂直上下方向からの光を受光する2つの撮像部を有する画素を用いる例についても、同様に適用できることは明らかである。
【符号の説明】
【0087】
10…本体回路部、11…信号処理及び制御部、14…撮像部、14a…受光部、14b…垂直アナログ加算回路、14c…水平デジタル加算回路、14d…AF用メモリ、17…記録再生部、18…表示部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画像等を撮像可能な撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラなどの撮影機能付き携帯機器(撮像装置)は、静止画のみならず、動画撮影機能を有するものが多い。この種の撮像装置には、撮像用画素の他にAF用センサ(瞳分割機能を有するAF画素)を配置した撮像素子を採用して、瞳分割位相差法によりオートフォーカスを行うものがある。この手法を採用することにより高速なオートフォーカスが可能である。
【0003】
しかし、オートフォーカス性能を高くするためには、撮像素子内に比較的多くのAF用センサを配置する必要があり、AF用センサ部分の画像信号の欠落によって、撮像画像の画質が劣化するという欠点がある。近年、テレビジョンのハイビジョン化等に伴い、動画撮影時の撮影画質の品位向上が求められており、AF用センサの画素に相当する画像信号を正しく補間する技術が必要となっている。
【0004】
例えば、特許文献1においては、焦点検出用画素の周囲の撮像用画素の出力に基づいて、焦点検出用画素の位置における画像の出力を演算することで、動画撮影時の画質を向上させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2007−282107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の提案では、高速の処理は困難であり、高速での連写や動画撮影時、ライブビュー表示等においては採用することはできない。
【0007】
本発明は、小さい回路規模で、十分なオートフォーカス性能を確保しつつ、高精細動画像の撮影時においても、高画質の撮像画像を得ることができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る撮像装置は、撮像用画素が2次元状に配列されると共に、該配列の一部に複数の焦点検出用画素が配列された撮像素子と、上記撮像素子の所定画素間隔の複数の画素の画素値を加算する画素値加算回路と、上記複数の画素が上記焦点検出用画素を含む場合の上記画素値加算回路の第1の画素加算結果を、上記複数の画素が上記焦点検出用画素を囲む場合の上記画素値加算回路の第2の画素加算結果に従って、補正した結果を出力する補正回路と、を具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、小さい回路規模で、十分なオートフォーカス性能を確保しつつ、高精細動画像の撮影時においても、高画質の撮像画像を得ることができる撮像装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置の回路構成を示すブロック図。
【図2】瞳分割位相差法を説明するためのための説明図。
【図3】第1の実施の形態において採用される撮像素子の画素配列を示す説明図。
【図4】第1の実施の形態において採用される補間方法を説明するための説明図。
【図5】図1中の受光部14a及び垂直アナログ加算回路14bの具体的な構成の一例を示す回路図
【図6】動画撮像時における撮像部14の処理を説明するためのフローチャート。
【図7】第1の実施の形態におけるカメラ制御を説明するためのタイミングチャート。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る撮像装置の回路構成を示すブロック図。
【図9】受光部44aにおけるベイヤー配列を説明するための説明図。
【図10】第2の実施の形態における補間方法を説明するための説明図。
【図11】第2の実施の形態における補間方法を示すフローチャート。
【図12】本実施の形態におけるカメラ制御を説明するためのタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置の回路構成を示すブロック図である。
【0013】
先ず、図2乃至図4の説明図を参照して、本実施の形態における動画撮像時の手法について説明する。図2は瞳分割位相差法を説明するためのための説明図である。
【0014】
被写体31から各光路を介して撮像装置に入射する光学像は撮影レンズ32によって撮像素子33の入射面に結像する。AF検出用の画素(以下、AF画素という)として2つの撮像部(例えば、R撮像部とL撮像部)を構成し、各光路を射出瞳において例えば右方向と左方向とに分割して、右方向からの光(右光)と左方向からの光(左光)とを、R撮像部とL撮像部とにそれぞれ入射する。例えば、図2(a)において、撮像素子33の一部33aを拡大して示すように、撮影レンズ32の光軸に対してR,L撮像部を偏心させることで、右光と左光とを各R,L撮像部にそれぞれ入射させることができる。
【0015】
ピントが合っている場合には、R,L撮像部には被写体の同一点からの光が入射する。従って、水平方向に配置したAF検出用の複数のR撮像部によって得られる画像信号と複数のL撮像部によって得られる画像信号とは同一となる。ピントがずれると、図2(a)に示すように、被写体の同一点からの光は、ピントのずれ量に応じてずれた位置のR撮像部とL撮像部とに入射する。従って、水平方向に配置したAF検出用の複数のR撮像部によって得られる画像信号(実線)34と複数のL撮像部によって得られる画像信号(破線)35とは位相がずれ、位相のずれ量はピントのずれ量に対応する。R,L撮像部によって得られる画像信号34,35同士の位相差に基づいて、ピント調整用のレンズを駆動することで、オートフォーカスを実現することができる。
【0016】
なお、図2(a)はAF画素と通常画素(撮像用画素)との構造を共通化するために、R撮像部のみを有する画素(以下、R画素という)とL撮像部のみを有する画素(以下、L画素という)によってAF画素を構成した例を示している。更に、図2(b)は、L画素を省略し、AF画素としてR画素のみを用いて、複数の通常画素(以下、N画素ともいう)によって得られる画像信号(実線)36の位相とR撮像部によって得られる画像信号(破線)35の位相とを比較することで、ピントのずれ量を求める例を示している。
【0017】
図3は本実施の形態において採用される撮像素子の画素配列を示す説明図である。
【0018】
本実施の形態においては、画素配列としてベイヤー配列を採用する例について説明する。図3において密なハッチングは、青色のフィルタが配置された青色の画素を示し、粗なハッチングは赤色のフィルタが配置された赤色の画素を示し、無地は緑色のフィルタが配置された緑色の画素を示し、縁取りのある枠はAF画素を示している。
【0019】
図3に示すように、ベイヤー配列では、水平及び垂直2×2画素を単位として同一の配列が繰り返される。即ち、2×2画素のうち斜めに青と赤の画素が配置され、残りの斜めの2画素には緑の画素が配置される。図3中、A〜Hの符号は、画素を特定するためのものであり、画素RはAF検出用のR画素である。なお、図3の画素Rの位置には、緑色の画素を得るための緑色のフィルタが配置されている。
【0020】
静止画撮影時には、各画素から読み出した信号をそのまま撮像画像の各画素値として用い、撮像後に画素補間等の画像処理を行う。一方、動画撮像時には、同色の4画素の画素値を加算することでその色の1画素を生成する。例えば、緑色の画素E〜Hを加算して緑色の1画素を生成し、この生成した画素の隣の画素は、画素A,C,R,Dを加算して生成する。他の色についても同様である。
【0021】
しかしながら、画素RはN画素ではないので、画素A,C,R,Dをそのまま用いて1画素を構成すると、画質劣化が生じる。そこで、本実施の形態においては、図4に示す補間方法を採用する。なお、図3及び図4においては、AF画素としてR画素のみを用いる例について説明するが、L画素のみを用いる場合、R,L画素の両方を用いる場合にも同様に適用可能である。
【0022】
動画撮像時には、同色の2つの行の2つの列の画素によって1画素を生成する処理を高速に行うために、撮像素子からの読み出しに際して、同色の2行の画素を加算して読み出す。画素A〜H,Rの画素値をA〜H,Rで表すと、図4(a),(b)に示すように、緑色の画素については、加算画素値(E+G),(F+H),…,(A+R),(C+D),…が出力される。更に、撮像素子から読み出された加算画素値について、同色の2列の画素加算を行うことで、図4(c),(d)に示すように、加算画素値(E+F+G+H),…,(A+C+R+D),・・が得られる。なお、上述したように、画素Rは、射出瞳の右方向から入射した光のみによる画素値を出力するR画素である。
【0023】
本実施の形態においては、1画素がR撮像部とL撮像部によって構成されており、R撮像部の画素値とL撮像部の画素値とを加算できれば、このようなAF画素からもN画素と同等の画素値が得られるものと考える。即ち、本実施の形態においては、画素Rの位置においてR撮像部だけでなくL撮像部も設けられているとした場合におけるL撮像部の画素値を推定し、画素Rの画素値に推定したL撮像部の画素値を加算することで、画素Rの位置においてN画素が構成されていた場合の画素値を求めるようになっている。
【0024】
なお、動画撮像時には、高速処理のために、撮像素子において上述した加算読み出しを行っており、動画撮像時においては撮像素子から単独の画素の画素値を読み出すこと等、加算読み出し以外の読み出しはできない。従って、画素Rの画素値を直接読み出すこともできず、画素Rの2倍の画素値を画素Rの位置におけるN画素の値として直接求めることもできない。
【0025】
図3に示すように、画素Rの位置は、画素E〜Fによって囲まれた中央の位置であり、この位置においてN画素が構成されていた場合の画素値を、加算画素値(E+F+G+H)/4と推定する。更に、R撮像部とL撮像部の画素値が略同一の値であり、これらの画素値の和がN画素の画素値であるものとして、加算画素値(E+F+G+H)/8を画素Rの位置におけるL撮像部の画素値とする(図4(c))。こうして、加算画素値(A+C+R+D)にL撮像部の画素値である加算画素値(E+F+G+H)/8を加えた値を、画素A,C,R,Dを全てN画素で構成した場合の加算画素値とする(図4(d))。
【0026】
一方、動画撮像時のAF処理のために、画素Rにおける画素値(R撮像部の画素値)を求める必要がある。撮像素子からは、加算画素値(A+R)が出力されており、この加算画素値(A+R)から画素Aの画素値を推定して減算することで、画素Rの画素値を得る。画素Aは画素E〜Hによって囲まれた中央の画素に近接した同色画素であるので、画素Aの画素値を加算画素値(E+F+G+H)/4であるものと推定する。こうして、加算画素値(A+R)−加算画素値(E+F+G+H)/4によって、画素Rの画素値を求める(図4(e))。
【0027】
(回路構成)
図1に示すように、撮像装置1の図示しない本体筐体内には本体回路部10が設けられ、本体筐体に着脱自在に取り付けられる交換レンズ部20には交換レンズ回路部21が設けられている。本体回路部10には、通信部12が設けられており、交換レンズ回路部21には通信部23が設けられている。本体回路部10の通信部12は、交換レンズ回路部21の通信部23との間で、相互に情報を送受することができるようになっている。
【0028】
交換レンズ20は、撮影レンズ26を有している。撮影レンズ26は、駆動部25に駆動されることで合焦を可能にするオートフォーカス機能を備えている。交換レンズ20のレンズ制御部22は、本体回路部10からの信号により又はユーザ操作に基づく操作部24からの信号によって、駆動部25を制御して、撮影レンズ26を駆動し、撮影レンズ26における絞り、ピント、ズーム等を制御することができるようになっている。
【0029】
レンズ制御部22の通信部23は、所定の伝送路を介して本体回路部10の通信部12との間で情報の送受を行う。レンズ制御部22は、本体回路部10の通信部12との間の通信が確立すると、レンズに関する情報を通信部23によって本体回路部10に送信させることができる。これにより、本体回路部10は、交換レンズ20のズーム倍率、焦点距離、明るさナンバー等を認識することができる。
【0030】
本体回路部10は、CMOSセンサ等の撮像素子によって構成された撮像部14を有している。撮像部14は、交換レンズ20からの被写体の光を受光する受光部14aを有する。交換レンズ20からの被写体の光学像は、受光部14aに結像するようになっている。受光部14aは、上述した図3のベイヤー配列の画素を有するものとする。撮像部14は、信号処理及び制御部11によって駆動制御される。撮像部14は、受光部14aから2つの行の画素の値を加算して読み出す垂直アナログ加算回路14bを有する。垂直アナログ加算回路14bは、受光部14aからの2つの行の加算画素値を水平デジタル加算回路14cに出力する。水平デジタル加算回路14cは、2つの行の加算画素値を2つの列に亘って加算して4画素の加算画素値を出力する。なお、水平デジタル加算回路14cは、加算画素値に対する乗算処理、加減算処理等の演算が可能である。受光部はAF用メモリ14dを有している。水平デジタル加算回路14cは、演算結果を動画像撮像時における加算画素値として出力すると共に、演算結果をAF用画素の画素値としてAF用メモリ14dに与えて記憶させることができるようになっている。
【0031】
図5は図1中の受光部14a及び垂直アナログ加算回路14bの具体的な構成の一例を示す回路図である。受光部14aは、マトリクス状に配置された複数の画素によって構成されており、図5ではそのうちの同色の2行の2つの画素(破線)の構成のみを示している。
【0032】
各画素はフォトダイオードPD、転送トランジスタT1、フローティングディフュージョンFD、リセットトランジスタT2、増幅トランジスタT3によって構成される。フォトダイオードPDは受光した光に応じて電荷を発生する。フォトダイオードPDに発生した電荷は、転送トランジスタT1によってフローティングディフュージョンFDに転送されて蓄積される。リセットトランジスタT2によってフローティングディフュージョンFDのリセット及び蓄積期間が設定され、フローティングディフュージョンFDの信号電荷に基づく電圧が増幅トランジスタT3によって増幅される。
【0033】
行選択スイッチT4は、行選択信号によってオン,オフし、トランジスタT3からの信号電流をカラム線CAを介してCDS回路41に出力する。1列の全ての行選択スイッチT4は共通のカラム線CAに接続され、同一行の全ての行選択スイッチT4が同時にオンになることで、同一行の全ての画素から各カラム線CAを介して信号が各CDS回路41に供給される。
【0034】
静止画撮影時には、図示しない垂直走査回路によって行選択スイッチT4がライン毎に選択的にオンとなる。動画撮像時には、垂直走査回路は、1ライン毎の同一色の2行の行選択スイッチT4をオンにする。これにより、動画撮影時には、同一色の2つの行の画素の画素値が、カラム線CAを介して出力される。
【0035】
CDS回路41は、同一色の2つの行の画素値のリセットノイズを除去して出力する。CDS回路41の出力は、トランジスタT5を介してコンデンサC1に蓄積される。動画撮像時には、コンデンサC1には2画素の画素値の和の電荷が蓄積されることになる。コンデンサC1の蓄積電荷は、アンプ42を介してアナログデジタル変換部(ADC)43に供給されてデジタル信号に変換されて出力される。こうして、各カラム線CA毎に設けられたADC43からは、同色の2つの行の画素の加算画素値が出力されることになる。なお、各ADC43の出力は、図示しない水平走査回路によって順次出力される。
【0036】
なお、受光部14aの構造を簡単化すると共に、処理を高速化するために、各画素の構造及び読み出しの手順等を画素間で共通化する必要があり、このため、動画撮影時には、同色の2つの行の画素の加算画素値のみが出力され、単一の画素の画素値を出力することはできない。
【0037】
動画撮影時には、水平走査回路によって2行の画素の読み出しが終了すると、次の2行の画素の読み出しが行われる。なお、2行の画素の読み出しが終了する毎に、これらの行の各画素がリセットされる。
【0038】
図6は動画撮像時における撮像部14の処理を説明するためのフローチャートである。
【0039】
撮像部14は、図6のステップS1において、上述した図4に示す演算を行うための変数L,M,Nを0に初期化する。次に、撮像部14は、垂直アナログ加算回路14bによって、1行おきの2つの行の2画素を加算する。これにより、例えば図3の緑色の画素E,Gの加算画素値(E+G)、画素F,Hの加算画素値(F+H),…が得られる。撮像部14は、ステップS6において、全列の処理が終了したか否かを判定し、終了していない場合には、ステップS7において列を変更して2画素加算を繰り返す。また、撮像部14は、ステップS16において、全行の処理が終了したか否かを判定し、終了していない場合には、ステップS17において行を変更して2画素加算を繰り返す。
【0040】
いま、垂直アナログ加算回路14bが、図3の緑色の画素A,Rの加算画素値(A+R)を加算するものとする。垂直アナログ加算回路14bが加算する画素RはAF画素であるので、垂直アナログ加算回路14bは、ステップS3から処理をステップS4に移行して、変数Lをインクリメントし、加算画素値S1(L)=(A+R)をAF用メモリ14dに与えて仮記録する。ステップS3〜S5によって、AF画素を含む全ての2画素の加算画素値がAF用メモリ14dに記憶される。
【0041】
次に、撮像部14は、ステップS8において、水平デジタル加算回路14cによって、1列おきの4つの画素を加算する。これにより、例えば、加算画素値(E+G)と加算画素値(F+H)とが加算される。撮像部14は、ステップS9において加算した4画素がAF画素を囲むか否かを判定する。図3の例では画素E〜HはAF画素Rを囲むので、水平デジタル加算回路14cは、ステップS10において変数Mをインクリメントし、加算画素値S2(M)=(E+F+G+H)をAF用メモリ14dに与えて仮記録する。ステップS9〜S11によって、AF画素を囲む全ての4画素の加算画素値がAF用メモリ14dに記憶される。
【0042】
更に、撮像部14は、ステップS8において加算した4画素がAF画素を含むか否かを判定する(ステップS12)。図4(d)のように画素A,C,R,DはAF画素Rを含むので、水平デジタル加算回路14cは、ステップS13において変数Nをインクリメントし、4画素の加算結果(A+C+R+D)を加算画素値S3(N)に代入する。そして、撮像部14は、S3(N)にS2(M)/8を加算して、図4(d)の右辺の加算画素値を得る(ステップS15)。
【0043】
撮像部14は、ステップS15によって得た加算画素値を動画撮像時における4画素の画素値として出力する。これらの4画素には、R撮像部のみを有するAF画素Rが含まれているが、画素Rの位置にL撮像部を構成した場合におけるL撮像部の画素値Lを推定して、4画素の加算結果に加算しており、画素RをN画素で構成した場合と同様の加算画素値を得ることができる。
【0044】
信号処理及び制御部11は、撮像部14に駆動信号を出力すると共に、撮像部14からの画素値を取り込む。信号処理及び制御部11には画像処理部45cが設けられており、画像処理部45cは、撮像素子からの画素値に対して、所定の信号処理、例えば、色信号生成処理、マトリックス変換処理、その他各種のデジタル処理を行う。信号処理及び制御部11は、画像信号及び音声信号等の記録に際して、符号化処理を施して圧縮した画像情報及び音声情報等を出力することもできるようになっている。
【0045】
信号処理及び制御部11には、AF信号算出部45bが設けられている。AF信号算出部45bは、撮像部14からR撮像部の画素値、L撮像部の画素値及びN画素の画素値のうちの少なくとも2つの画素値を読み出して、これらの画素値によって得られる画像信号同士の位相差に基づいて、瞳分割位相差法よるAF信号を生成する。信号処理及び制御部11は、AF信号算出部45bによって算出されたAF信号を通信部12,23を介して駆動部25に供給することで、ピント合わせを行うようになっている。
【0046】
また、本体回路部10には、時計部15、操作判定部16も配設されている。時計部15は信号処理及び制御部11が用いる時間情報を発生する。操作判定部16は、撮像装置1に設けられた撮像開始終了ボタンや撮影モード設定等の図示しない各種スイッチに対するユーザ操作に基づく操作信号を発生して、信号処理及び制御部11に出力するようになっている。信号処理及び制御部11は、操作信号に基づいて、各部を制御する。
【0047】
また、本体回路部10には、記録再生部17及び表示部18が設けられている。記録再生部17は、信号処理及び制御部11からの画像情報及び音声情報を図示しない記録媒体に記録することができるようになっている。なお、記録再生部17としては例えばカードインターフェースを採用することができ、記録再生部17はメモリカード等に画像情報及び音声情報等を記録可能である。また、記録再生部17は、記録媒体に記録された画像情報及び音声情報を読み出して信号処理及び制御部11に供給することができる。信号処理及び制御部11は、記録再生部17からの画像情報及び音声情報を復号化して、画像信号及び音声信号を得ることができるようになっている。
【0048】
表示部18は、撮像部14からの撮像画像や記録再生部17からの再生画像が信号処理及び制御部11から供給されて、これらの画像表示を行うことができる。また、表示部18は信号処理及び制御部11に制御されて、撮影機器1の操作を行うためのメニュー表示等を表示することもできるようになっている。
【0049】
信号処理及び制御部11は、生成した映像信号を記録再生部17に与えて記録させる場合には、ユーザ操作に基づいて記録した映像信号のファイル化を行うようになっている。なお、ファイル化によって、記録再生部17に記録されてファイル化された映像信号(以下、映像ファイルという)に対してユーザ操作に基づく各種処理、例えば再生処理が可能となる。
【0050】
次に、このように構成された実施の形態の作用について図7を参照して説明する。図7は本実施の形態におけるカメラ制御を説明するためのタイミングチャートである。
【0051】
撮像装置1に電源が投入されると、信号処理及び制御部11は、図7のステップS21において、撮影モードが指示されたか否かを判定する。撮影モードが指示されていない場合には、信号処理及び制御部11は、ステップS22において、再生モードが指示されたか否かを判定する。再生モードが指示されると、信号処理及び制御部11は、ステップS23において、サムネイルの一覧表示を行う。サムネイル一覧を参照したユーザによる画像の選択が行われると、ステップS24からステップS25に処理を移行して、信号処理及び制御部11は選択画像の再生を行う。ファイル選択が行われない場合には、ステップS26において再生モードの終了を判定する。
【0052】
一方、撮影モードが指示されると、信号処理及び制御部11は、ステップS31において、撮像部14からの画像信号に基づいて、表示部18に撮像画像(スルー画)をライブビュー表示させる。なお、この場合には、信号処理及び制御部11は、撮像部14からの撮像画像を、表示部18の表示画素数に応じて間引き処理した後、表示部18に与える。
【0053】
次のステップS32,33において、撮影操作が行われたか否かが判定される。例えばレリーズボタン操作等によって静止画撮影が指示されると、信号処理及び制御部11は、ステップS34においてオートフォーカス処理を行う。静止画撮影時には、撮像部14は1画素ずつ読み出しを行っており、AF画素の画素値がAF用メモリ14dに記憶される。信号処理及び制御部11のAF信号算出部11bは、AF用メモリ14dに記憶されているAF画素の画素値を読み出し、複数のR撮像部から得られる画像信号と複数のL撮像部から得られる画像信号との位相差を検出して、交換レンズ回路部21の駆動部25を制御するためのAF信号を発生する。AF信号は、通信部12,23を介して交換レンズ回路21の駆動部25に供給され、駆動部25はAF信号に基づいて撮影レンズ26を駆動して、ピント合わせを行う。
【0054】
なお、受光部14aに、AF画素としてR画素のみが構成されている場合には、AF信号算出部11bは、N画素とR画素との演算によってL撮像部の画素値を求めればよる。また、AF信号算出部11bは、AF画素の画素値を読み出し、複数のR撮像部から得られる画像信号と複数のN画素から得られる画像信号との位相差を検出して、交換レンズ回路部21の駆動部25を制御するためのAF信号を発生するようにしてもよい。
【0055】
信号処理及び制御部11は、ピント合わせを行った後、撮像部14からの撮像画像に対して所定の信号処理を施して記録用の画像を生成する。信号処理及び制御部11は、生成した撮像画像を図示しないメモリに記録する(ステップS35)。信号処理及び制御部11は、記録された撮像画像中のAF画素については、当該AF画素の周囲の画素を用いた補間処理によって、このAF画素をN画素で構成した場合の画素を求めて、AF画素位置の画素値とする(ステップS36)。
【0056】
信号処理及び制御部11は、AF画素の画素値が補正された撮像画像を記録再生部17にファイル化する(ステップS37)。また、信号処理及び制御部11は、記録した撮像画像を表示部18に与えて、レックビュー表示を行う(ステップS38)。
【0057】
信号処理及び制御部11は、ステップS51において、電源オフ操作が行われた否かを判定する。電源オフ操作が行われていない場合には、信号処理及び制御部11は、撮影・再生モードの変更操作を受付けた後、処理をステップS21に戻す。電源オフ操作が行われた場合には、信号処理及び制御部11は電源をオフにする(ステップS53)。
【0058】
一方、ステップS32において、ユーザが動画撮影を指示したものと判定された場合には、信号処理及び制御部11は、処理をステップS41に移行して、図6に示した動画時画素読み出しを行う。即ち、ステップS41の処理によって、垂直アナログ加算回路14bによって加算されるAF画素を含む2画素の加算値S1(L)(図4(d)参照)、同一色の4画素によって囲まれる画素がAF画素である場合の当該4画素の加算画素値S2(M)(図4(c)参照)がAF用メモリ14dに記憶されている。
【0059】
なお、上述したように、ステップS41の処理では、R画素を含む同一色の4画素の加算画素値に、当該R画素の画素位置においてL撮像部を構成した場合の当該L撮像部の画素値を加算する処理(図4(d)参照)によって、AF画素をN画素で構成した場合の4画素の加算画素値が得られている。
【0060】
動画撮像時には、撮像部14から単独の画素の画素値を読み出すことはできない。そこで、信号処理及び制御部11は、以下のステップS42〜S44の処理によって、AF画素の画素値を求める。
【0061】
即ち、信号処理及び制御部11は、ステップS42において、同一色の4画素によって囲まれる画素がAF画素である場合の当該4画素の加算画素値S2(J)を1/4することで、当該AF画素がN画素で構成された場合の画素値N(J)を推定する。
【0062】
信号処理及び制御部11は、ステップS43において、R画素を含む2画素の加算値S1(J)から当該R画素がN画素で構成された場合の画素値N(J)を減算することで、R画素の画素値R(J)を推定する(図4(e)参照)。
【0063】
また、信号処理及び制御部11は、ステップS44において、AF画素がN画素で構成された場合の画素値N(J)から当該AF画素がR画素で構成された場合の画素値R(J)を減算することで、当該AF画素がL画素で構成された場合の画素値L(J)を推定する。
【0064】
次に、信号処理及び制御部11は、ステップS45において、推定した複数の画素値R(J)によって得られる画像信号と推定した複数の画素値L(J)によって得られる画像信号との相関を検出する。また、信号処理及び制御部11は、ステップS46において、推定した複数の画素値R(J)によって得られる画像信号と推定した複数の画素値N(J)によって得られる画像信号との相関を検出する。
【0065】
信号処理及び制御部11は、高い相関が得られる組み合わせをピント合わせの位相差検出に採用する。例えば、画素値R(J)によって得られる画像信号と複数の画素値L(J)によって得られる画像信号との相関の方が高い場合には、画素値R(J)によって得られる画像信号と複数の画素値L(J)によって得られる画像信号との位相差を検出して、検出した位相差に基づいて交換レンズ回路部21の駆動部25を制御するためのAF信号を発生する。このAF信号が駆動部25に供給され、駆動部25は撮影レンズ26を駆動してピント合わせを行う(ステップS47)。
【0066】
信号処理及び制御部11は、ピント合わせ後の4加算画素値を用いて、動画撮像時の画像を生成し、所定の信号処理を施した後、表示部18に表示する。また、信号処理及び制御部11は、生成した撮像画像に符号化処理を施した後記録生成部17に記録させる。信号処理及び制御部11は、ステップS49において動画撮影の終了が指示されると、記録再生部17に記録された動画像をファイル化する(ステップS37)。
【0067】
このように本実施の形態においては、動画時の高速処理のために、AF画素を有する撮像部から、複数の画素の画素値が加算された後出力される場合でも、簡単な演算処理によって、AF画素が通常画素である場合の加算画素値を推定することができ、高画質の動画像を得ることができる。また、この場合でも、簡単な演算処理によって、AF画素の画素値を取得することができ、ピント合わせを高精度に行うことができる。なお、簡単な演算処理とは、加算する複数の画素が、AF画素を含む画素であるかAF画素を囲む画素であるかによって、各場合毎に加算結果を夫々記憶し、記憶した加算結果に対する簡単な四則演算を行うことであり、高速処理が可能である。
【0068】
(第2の実施の形態)
図8は本発明の第2の実施の形態に係る撮像装置の回路構成を示すブロック図である。図8において図1と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0069】
本実施の形態においては、撮像部14並びに信号処理及び制御部11を有する本体回路部10に代えて撮像部44並びに信号処理及び制御部45を有する本体回路部40を採用した点が第1の実施の形態と異なる。
【0070】
撮像部44は、CMOSセンサ等の撮像素子によって構成されており、ベイヤー配列の受光部44aを有する。図9は受光部44aにおけるベイヤー配列を説明するための説明図である。図9は図3と同様の手法により記載したものである。
【0071】
本実施の形態においては、撮像部44は、受光部44aから2つの行及び2つの列の4画素の画素値を加算して読み出す垂直水平アナログ加算回路44bを有する。例えば、受光部44aの1列の回路構成を図5の構成からアンプ42及びADC43を除く構成とし、2列のコンデンサC1の信号電荷をアンプ42及びADC43によって取り出すことにより、2つの行及び2つの列の4画素の加算画素値を出力することができる。
【0072】
演算回路44cは、垂直水平アナログ加算回路44bの出力に対する演算処理によって、動画撮像時の画素値を出力すると共に、AFに用いる画素値を生成してAF用メモリ44dに記憶させるようになっている。
【0073】
図10は第2の実施の形態における補間方法を説明するための説明図であり、図11は第2の実施の形態における補間方法を示すフローチャートである。図10及び図11は夫々図4又は図6に対応するものである。
【0074】
本実施の形態においても、加算する画素がAF画素を囲む画素であるか、AF画素を含む画素であるかの場合毎に加算画素値を記憶し、加算画素値に対する演算によって、AF画素をN画素で構成した場合と同様の画素値を得るようになっている。
【0075】
撮像部44は、図11のステップS61において、列毎の4画素の加算読み出しを開始する。即ち、垂直水平アナログ加算回路44bによって、2つの行を読み出し(図10(a))、図10(c)に示すように1列おきの4画素を加算する。撮像部44は、ステップS62において、演算を行うための変数M,Nを0に初期化する。
【0076】
ステップS63,S66では、垂直水平アナログ加算回路44bにおいて画素加算を行う4画素が、AF画素を囲む画素であるかAF画素を含む画素であるかの判定が行われる。画素E〜Hは、図9に示すように、AF画素(R画素)を囲むので、撮像部44は、処理をステップS64に移行し、Mをインクリメントし、加算画素値(E+F+G+H)をAF用メモリ44dにS5(M)として記憶させる。
【0077】
1列の読み出し及び画素加算が終了すると、ステップS70からステップS71に処理を移行して、次の行の画素加算が行われる。次に、例えば、図10(b)に示す読み出しが行われて、図10(d)に示す画素加算が行われる。図10(d)に示す画素R,C,A,Dは、AF画素(R画素)を含むので、処理はステップS67に移行して変数Nがインクリメントされる。次に、加算画素値(R+C+A+D)をAF用メモリ44dにS6(N)として記憶させる(ステップS68)。
【0078】
S5(M)の画素値は、当該4画素によって囲まれるR画素の位置においてL撮像部を構成した場合のL撮像部の画素値の8倍の値と推定される。また、R撮像部とL撮像部の画素値の加算値は、R画素の位置においてN画素を構成した場合の画素値と推定できる。そこで、演算回路44cは、ステップS69において、図10(e)に示す演算、即ち、S5(M)の1/8とS6(N)の加算を行って、画素R,C,A,Dの加算画素値を得る。この加算画素値は、R画素をN画素で構成した場合の加算画素値と考えることができる。
【0079】
以上の処理をステップS73において行を変更しながら、ステップS72において全列が終了したと判定されるまで繰り返す。
【0080】
次に、このように構成された実施の形態の作用について図12を参照して説明する。図12は本実施の形態におけるカメラ制御を説明するためのタイミングチャートである。図12において図7と同一の手順には同一符号を付して説明を省略する。
【0081】
図12のフローは、ステップS42,S43に夫々代えてステップS81,S82を採用した点が図7のフローと異なる。本実施の形態においては、受光部44aから4画素の加算画素値が読み出されるようになっており、単独の画素の画素値又は2画素の加算画素値を読み出すことはできない。
【0082】
そこで、信号処理及び制御部11は、ステップS81においては、AF信号算出部45aは、ステップS81において、同一色の4画素によって囲まれる画素がAF画素である場合の当該4画素の加算画素値S5(J)を、当該AF画素がN画素で構成された場合の画素値N(J)と推定する。
【0083】
信号処理及び制御部11は、ステップS82において、R画素を含む4画素の加算値S6(J)を、当該AF画素がR画素で構成された場合の画素値R(J)と推定する
他の作用は第1の実施の形態と同様であり、推定された画素値R(J),L(J),N(J)を用いて、ステップS45〜S47においてピント合わせが行われる。また、AF画素を含む4画素の加算画素値は、この4画素が全てN画素で構成されている場合と同様の画素値に補正されており、高画質の撮像画像を得ることができる。
【0084】
このように本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、動画時の高速処理のために、AF画素を有する撮像部から、複数の画素の画素値が加算された後出力される場合でも、簡単な演算処理によって、AF画素が通常画素である場合の加算画素値を推定することができ、高画質の動画像を得ることができる。
【0085】
また、本実施の形態においても、AF画素としてR画素のみを用いる例について説明したが、L画素のみを用いる場合、R,L画素の両方を用いる場合にも同様に適用可能である。
【0086】
また、上記各実施の形態においては、AF画素として水平左右方向からの光を受光するL,R撮像部を有する画素を用いる例について説明したが、AF画素として垂直上下方向からの光を受光する2つの撮像部を有する画素を用いる例についても、同様に適用できることは明らかである。
【符号の説明】
【0087】
10…本体回路部、11…信号処理及び制御部、14…撮像部、14a…受光部、14b…垂直アナログ加算回路、14c…水平デジタル加算回路、14d…AF用メモリ、17…記録再生部、18…表示部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像用画素が2次元状に配列されると共に、該配列の一部に複数の焦点検出用画素が配列された撮像素子と、
上記撮像素子の所定画素間隔の複数の画素の画素値を加算する画素値加算回路と、
上記複数の画素が上記焦点検出用画素を含む場合の上記画素値加算回路の第1の画素加算結果を、上記複数の画素が上記焦点検出用画素を囲む場合の上記画素値加算回路の第2の画素加算結果に従って、補正した結果を出力する補正回路と、
を具備したことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
上記画素値加算回路は、上記第1及び第2の画素加算結果を、4画素の画素値の加算によって得る
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
上記補正回路は、上記焦点検出用画素を含む2画素の第3の画素加算結果と上記第2の画素加算結果との差分によって、上記焦点検出用画素の画素値を求める
ことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
上記画素値加算回路は、上記撮像素子の垂直方向の2つの撮像用画素を加算するアナログ加算回路と、上記アナログ加算回路の2画素の加算結果を加算する水平デジタル加算回路と
を具備したことを特徴とする請求項1乃至3に記載の撮像装置。
【請求項5】
上記画素値加算回路は、上記撮像素子の水平及び垂直方向の4つの撮像用画素を加算する加算回路を
を具備したことを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項1】
撮像用画素が2次元状に配列されると共に、該配列の一部に複数の焦点検出用画素が配列された撮像素子と、
上記撮像素子の所定画素間隔の複数の画素の画素値を加算する画素値加算回路と、
上記複数の画素が上記焦点検出用画素を含む場合の上記画素値加算回路の第1の画素加算結果を、上記複数の画素が上記焦点検出用画素を囲む場合の上記画素値加算回路の第2の画素加算結果に従って、補正した結果を出力する補正回路と、
を具備したことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
上記画素値加算回路は、上記第1及び第2の画素加算結果を、4画素の画素値の加算によって得る
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
上記補正回路は、上記焦点検出用画素を含む2画素の第3の画素加算結果と上記第2の画素加算結果との差分によって、上記焦点検出用画素の画素値を求める
ことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
上記画素値加算回路は、上記撮像素子の垂直方向の2つの撮像用画素を加算するアナログ加算回路と、上記アナログ加算回路の2画素の加算結果を加算する水平デジタル加算回路と
を具備したことを特徴とする請求項1乃至3に記載の撮像装置。
【請求項5】
上記画素値加算回路は、上記撮像素子の水平及び垂直方向の4つの撮像用画素を加算する加算回路を
を具備したことを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−15566(P2013−15566A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146351(P2011−146351)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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