撮像装置
【課題】インピーダンスを乱す原因となる導電性を有する構造体に対する差動信号の保護と、差動信号伝送路の縮小の両立が可能にする撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像素子と、撮像素子が実装される第一のプリント基板と、第一のプリント基板と電気的に接続される第二のプリント基板と、導電性を有する構造体と、を有し、第一のプリント基板は、撮像素子から第二のプリント基板に差動信号を伝送する差動信号ラインが形成される第一の配線部と、電源信号を伝送する電源ラインが形成される第二の配線部とを有し、第一及び第二の配線部の少なくとも一部が重なるように第一のプリント基板を折り畳み、第一及び第二の配線部の向かい合う面の少なくともいずれか一方にグラウンドラインが形成され、グラウンドラインが電源ラインと差動信号ラインの間に配置されるように、第一の配線部と構造体との間に第二の配線部を配置する。
【解決手段】撮像素子と、撮像素子が実装される第一のプリント基板と、第一のプリント基板と電気的に接続される第二のプリント基板と、導電性を有する構造体と、を有し、第一のプリント基板は、撮像素子から第二のプリント基板に差動信号を伝送する差動信号ラインが形成される第一の配線部と、電源信号を伝送する電源ラインが形成される第二の配線部とを有し、第一及び第二の配線部の少なくとも一部が重なるように第一のプリント基板を折り畳み、第一及び第二の配線部の向かい合う面の少なくともいずれか一方にグラウンドラインが形成され、グラウンドラインが電源ラインと差動信号ラインの間に配置されるように、第一の配線部と構造体との間に第二の配線部を配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置の配線に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、CCDやCMOSを撮像素子とするデジタルカメラなどの撮像装置が広く使用されるようになってきた。近年のCCDやCMOSの画素数の増加は著しく、これに伴って駆動周波数の高速化、読出データ数も増加してきている(特許文献1を参照)。そのため、撮像素子から信号処理部へのデータ転送にLVDS(Low Voltage Differential Signaling)伝送方式を採用したものが提案されている(特許文献1を参照)。このLVDS伝送方式は、互いに相反する(極性の異なる)振幅の小さい差動信号を用いることにより、伝送速度の高速化および消費電力の低下を図るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−032765号公報
【特許文献2】特開2005−244709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、LVDSなどの差動信号伝送方式を採用した場合、差動信号伝送方式以外の方式と比較して、配線の本数が2倍となる。撮像素子の制御用信号が増大している中で、制御信号を差動信号伝送方式を用いて伝送する基板の面積は増加し、デジタルカメラ本体の小型化を妨げてしまうという問題点がある。
【0005】
さらに、差動信号方式は2本の信号線間の差動モードインピーダンスだけでなくコモンモードインピーダンスも所定の範囲に収まることが必要である。そのため、接地用配線と信号線との物理的な配置を制御することが必要となるが、カメラ筐体内部にはインピーダンスを乱す原因となる金属部品が多数配置されている。したがって、この金属部品と差動伝送信号が近接するとインピーダンス値は乱れてしまい、信号特性が低下してしまう不具合が生じる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、差動信号伝送方式を採用した基板の配線において、伝送基板の投影面積を小さくし、かつ差動信号のインピーダンスを乱すことなく配線できるプリント基板を有する撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としての撮像装置は、撮像素子と、前記撮像素子が実装される第一のプリント基板と、前記第一のプリント基板と電気的に接続される第二のプリント基板と、導電性を有する構造体と、を有し、前記第一のプリント基板は、前記撮像素子から前記第二のプリント基板に差動信号を伝送する差動信号ラインが形成される第一の配線部と、電源信号を伝送する電源ラインが形成される第二の配線部とを有し、前記第一の配線部及び前記第二の配線部の少なくとも一部が重なるように前記第一のプリント基板を折り畳み、前記第一の配線部及び前記第二の配線部の向かい合う面の少なくともいずれか一方にグラウンドラインが形成され、前記グラウンドラインが前記電源ラインと前記差動信号ラインの間に配置されるように、前記第一の配線部と前記構造体との間に前記第二の配線部を配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、インピーダンスを乱す原因となる導電体を有する構造体に対する差動信号の保護と、差動信号伝送路の縮小の両立が可能にする撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に適用される実施例1の撮像装置の断面図である。
【図2】本発明に適用される実施例1の撮像装置の斜視図である。
【図3】本発明に適用される実施例1の撮像装置のブロック図である。
【図4】本発明に適用される実施例1の撮像信号伝達基板の斜視図である。
【図5】本発明に適用される実施例1の撮像信号伝達基板のパターン図である。
【図6】本発明に適用される実施例1のプリント基板のパターン図である。
【図7】本発明に適用される実施例2の撮像装置の断面図である。
【図8】本発明に適用される実施例2の撮像装置の斜視図である。
【図9】本発明に適用される実施例3の撮像装置の正面図である。
【図10】本発明に適用される実施例3の撮像装置の断面図である。
【図11】本発明に適用される実施例3の撮像装置及び鏡筒ユニットと撮像信号伝達基板の斜視図である。
【図12】本発明に適用される実施例3の撮像信号伝達基板のパターン図である。
【図13】本発明に適用される実施例3の撮像装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図面を参照しながら本発明に適用される撮像装置の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0011】
図3は、本発明に適用される撮像装置のブロック図である。
【0012】
後述するプリント基板(第二のプリント基板)100に各種信号の処理や制御を行うCPU101、レンズ制御部102が実装されている。
【0013】
鏡筒ユニット200には撮影レンズ202が搭載され、レンズ制御部102により駆動される事で撮像素子201上に被写体を結像させる。撮像素子201で撮像光を光電変換し、電気信号となって撮像信号伝達基板(第一のプリント基板)300を通りプリント基板100のCPU(信号処理IC)101に伝送される。すなわち、プリント基板100と撮像信号伝達基板300は電気的に接続されている。
【0014】
CPU101は、撮像信号伝達基板300を通して撮像素子201を駆動することにより光電変換されたデータを取得し、信号処理された画像データとして記録装置103に出力する。記録装置103は内臓メモリーに限定されるものではなく、SDカードなどの外部メモリーも含まれるものとする。
【0015】
撮影時或いは再生時には、CPU101からLCD(表示ユニット)400に画像データが出力され、画像が表示される。さらに、CPU101は、メモリ106に接続されている。メモリ106には、ユーザによる設定情報や出荷時の調整値等、デジタルカメラの電源がOFFの間も保持すべきデータが格納されている。CPU101は操作手段107の操作に応じて、撮影動作開始の指示を与えたり、撮影と再生のモードの切り換えなどの各種制御を行う。
【0016】
図2は、本発明を実施した撮像装置の基本構造を示す斜視図である。
【0017】
図2は、前カバーや後カバーといったカバー類、レリーズボタンやメインスイッチの乗ったトップカバー、表示器であるLCDユニット、補助光となるストロボユニットなどのユニット類は外した状態の撮像装置を示している。
【0018】
図2(a)は前方向から見た斜視図、図2(b)は後ろ方向から見た斜視図で、撮像装置はメインシャーシ600に部品を取り付けることで組み立てられる。
【0019】
図2(a)において、メインシャーシ600の左側には電池ケース(電池収納室)500が固定ビスにより取り付けられている。電池ケース500の下面には図示されない開口部が設けられており、この開口部から電源を供給する電池を電池収納部へ入れる。この開口部には開口部を閉鎖または開放するための電池ケース蓋501が取り付けられている。
【0020】
電池ケース500を取り付けた後、その右側に鏡筒ユニット200を取り付ける。鏡筒ユニット200の背面側には撮像信号伝達基板300が固定プレートを介して取り付けられている。
【0021】
図4は、本発明を実施した撮像信号伝達基板の斜視図である。撮像信号伝達基板300は、両面配線可能で二俣に分かれた細長い多層構造のプリント基板である。本実施例では、撮像信号伝達基板300にフレキシブル基板を使用しているが、フレキシブル基板と同様の屈曲性を有する部位を備えたリジッドフレキシブル基板を使用してもよい。撮像信号伝達基板300は、鏡筒ユニット200に取り付ける際に第1の経路(第一の配線部)300aと第2の経路(第二の配線部)300bが重なるように折り畳む。
【0022】
撮像信号伝達基板300の一端には、前もって固定プレートに位置決めし、接着固定した撮像素子201が半田付けされている。撮像信号伝達基板300の他端には、BtoBコネクタ108とFPCコネクタ109に差し込むフレキ端子部が設けられている。そして、第1の経路300aと第2の経路300bが重なるようにあらかじめ折癖をつけておく。
【0023】
図5は、本発明に適用される撮像信号伝達基板300のパターン図である。第1の経路300aには、撮像素子201により光電変換されたデータを転送するLVDS信号パターン(差動信号ライン)301と、LVDS信号パターン301と結合するグランドパターン303aが形成されている。また、LVDS信号パターン301が配線されている層の反対側の層にはグランドパターン(グラウンドライン)303bが形成されている。そして、第2の経路300bには、撮像素子201の電源ライン302が形成されており、LVDS信号パターン301は含んでいない。また、第2の経路300bには、電源ライン302だけでなく、センサからの出力ライン等が形成されている場合もある。このように、LVDS信号パターン301と電源ライン302の経路を分けることにより、撮像信号伝達基板300内でのLVDS信号パターンのインピーダンス値を容易に管理することができる。
【0024】
このとき、第1の経路300aと第2の経路300bが重なっている箇所ではグランドパターン303b同士が隣接している。これにより、撮像信号伝達基板300の投影面積を小さくすることができ、さらにグランドパターン同士を隣接させることにより、LVDSの配線が電源信号などの他の信号に影響されることを防いでいる。
【0025】
図2に戻って、鏡筒ユニット200を組み付けた後、BtoBコネクタ(第一のコネクタ)108及びフレキ端子部が前に来るように、メインシャーシ600と電池ケース500を挟むように、プリント基板100をメインシャーシ600に取り付ける。プリント基板100には各種信号の処理や制御を行うCPU101や鏡筒ユニット200を制御するレンズ制御部102やBtoBコネクタ108のメス側とFPCコネクタ(第二のコネクタ)109も実装されている。
【0026】
プリント基板100を取り付けた後、FPCコネクタ109にフレキ端子部を差込み固定した後、BtoBコネクタ108を差し込む。
【0027】
この後、LCD保持板金(保持部材)401に保持されたLCD400をメインシャーシ600の背面側に設置する。
【0028】
さらに補助光となるストロボユニットなどのユニット類を組み付けて、レリーズボタンやメインスイッチが載置されるトップカバーユニットや、前カバー、後カバーといったカバー類を組み込んでカメラが完成する。
【0029】
図1は、本発明を実施した撮像装置の断面図であり、カメラが完成した状態での撮像素子201や、BtoBコネクタ108、FPCコネクタ109といった撮像信号伝達基板300主要部品を含む断面図である。
【0030】
図1に示すようにLVDS信号パターン301を含む第1の経路300aと導電材料で形成されるLCD保持板金401の間にLVDS信号パターン301を含まない第2の経路300bが配置されている。このとき、第1の経路300aとLCD保持板金401との間にグランドパターン303bが挟まれていることで、第1の経路300aとLCD保持板金401が近接してLVDS信号パターン301のインピーダンス値が乱されるのを防いでいる。本実施例では、第1の経路300a及び第2の経路300bのいずれにもグランドパターン303bが形成されているが、いずれか一方に形成されている場合にも同様の効果を奏する。また、BtoBコネクタ108、FPCコネクタ109はそれぞれ高さが異なっているため、第1の経路300aと第2の経路300bの二つの経路は投影上、重なって接続することができる。さらに、BtoBコネクタ108とFPCコネクタ109とを近距離に配置することが出来るため、コネクタに接続される直前まで、インピーダンス値が乱されるのを防ぐことが出来る。
【0031】
本実施例では、導電性を有する構造体としてLCD保持板金401を想定した場合を考えているが、シャーシ等の導電性を有する構造体であれば、インピーダンス値を軽減することができる。 LVDS信号パターン301は高周波成分の信号が往復することから、輻射電波を少なくするためにも、出来るだけ短く設計することが望ましい。
【0032】
ここで、図6は、本発明のプリント基板のパターン図であるが、BtoBコネクタ108とCPU101はプリント基板100上において近傍に実装されている。BtoBコネクタ108のCPU101側の端子108aと、CPU101のBtoBコネクタ108側の端子101aにそれぞれLVDS信号パターン301に接続する信号が割り当てられている。端子108aから端子101aまではプリント基板100の表層を伝って撮像素子201からのデータが伝達されるようにLVDS信号のパターン(差動信号配線パターン)110が形成されている。
【0033】
以上の構成によりインピーダンスを乱す原因となる差動信号の保護と、差動信号伝送路の縮小の両立が可能となっている。また、鏡筒と電池収納室との間の狭い切り欠き部に二重に折りたたんで配置することで、多くの信号を狭い幅の隙間を通すことができ、カメラの大型化を防いでいる。
【実施例2】
【0034】
実施例1ではプリント基板100を電池ケース500の正面側に配置したが、背面側に配置してもよい。図7は本実施例の撮像装置の断面図であり、図8は本実施例の撮像装置の斜視図である。
【0035】
本実施例の撮像装置において、プリント基板100は電池ケース500の背面側に配設されている。撮像信号伝達基板300は、第1の経路300aと第2の経路300bが折り畳まれた状態でプリント基板100にそれぞれ高さの異なるBtoBコネクタ111とFPCコネクタ112に差し込むフレキ端子部で接続している。これによりプリント基板100を背面側に配置することにより、撮像信号伝達基板300内のLVDS信号パターン301の配線長を短くすることでき、不要輻射を抑えることができる。
【実施例3】
【0036】
図9は、本実施例の撮像装置の正面図である。図10は、本実施例の撮像装置の断面図である。図11は、本実施例の撮像装置及び鏡筒ユニットと撮像信号伝達基板の斜視図である。図12は、本実施例の撮像信号伝達基板のパターン図である。図12(a)は撮像素子が実装され、LVDS信号パターンが配線される面であり、図12(b)はグランドのベタ面が配線される面である。図13は、本実施例の撮像装置の斜視図である。図13(a)はカメラ正面側の斜視図であり、図13(b)はカメラ背面側の斜視図である。
【0037】
実施例3の撮像装置において、電池ケース500の電池が収納される内壁の一部に切り欠き部502を形成して、鏡筒ユニットの最外径部203が切り欠き部502にはめ込まれるように構成されている。鏡筒ユニットの最外径部203が電池ケース500の内壁を兼ねることにより、さらにカメラ本体の小型化が可能となる。このとき、撮像信号伝達基板300は、図11(b)に示すように鏡筒ユニットの最外径部203である切り欠き部502を避け、鏡筒ユニット200と電池ケース500の間の切り欠き部502とは異なる狭い切り欠き部を通して配線しなければならない。図12に示すように撮像信号伝達基板300の経路を分けて折り畳んで配線することにより、電池ケース500の内壁を兼ねている鏡筒の最外径部203からカメラ本体上部までの限られたスペースの中で、多くの信号を狭い幅の隙間で通すことが可能になる。
【0038】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0039】
100 プリント基板
200 鏡筒ユニット
201 撮像素子
300 撮像信号伝達基板
300a 第1の経路
300b 第2の経路
301 LVDS信号パターン
302 電源ライン
303b グランドパターン
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置の配線に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、CCDやCMOSを撮像素子とするデジタルカメラなどの撮像装置が広く使用されるようになってきた。近年のCCDやCMOSの画素数の増加は著しく、これに伴って駆動周波数の高速化、読出データ数も増加してきている(特許文献1を参照)。そのため、撮像素子から信号処理部へのデータ転送にLVDS(Low Voltage Differential Signaling)伝送方式を採用したものが提案されている(特許文献1を参照)。このLVDS伝送方式は、互いに相反する(極性の異なる)振幅の小さい差動信号を用いることにより、伝送速度の高速化および消費電力の低下を図るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−032765号公報
【特許文献2】特開2005−244709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、LVDSなどの差動信号伝送方式を採用した場合、差動信号伝送方式以外の方式と比較して、配線の本数が2倍となる。撮像素子の制御用信号が増大している中で、制御信号を差動信号伝送方式を用いて伝送する基板の面積は増加し、デジタルカメラ本体の小型化を妨げてしまうという問題点がある。
【0005】
さらに、差動信号方式は2本の信号線間の差動モードインピーダンスだけでなくコモンモードインピーダンスも所定の範囲に収まることが必要である。そのため、接地用配線と信号線との物理的な配置を制御することが必要となるが、カメラ筐体内部にはインピーダンスを乱す原因となる金属部品が多数配置されている。したがって、この金属部品と差動伝送信号が近接するとインピーダンス値は乱れてしまい、信号特性が低下してしまう不具合が生じる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、差動信号伝送方式を採用した基板の配線において、伝送基板の投影面積を小さくし、かつ差動信号のインピーダンスを乱すことなく配線できるプリント基板を有する撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としての撮像装置は、撮像素子と、前記撮像素子が実装される第一のプリント基板と、前記第一のプリント基板と電気的に接続される第二のプリント基板と、導電性を有する構造体と、を有し、前記第一のプリント基板は、前記撮像素子から前記第二のプリント基板に差動信号を伝送する差動信号ラインが形成される第一の配線部と、電源信号を伝送する電源ラインが形成される第二の配線部とを有し、前記第一の配線部及び前記第二の配線部の少なくとも一部が重なるように前記第一のプリント基板を折り畳み、前記第一の配線部及び前記第二の配線部の向かい合う面の少なくともいずれか一方にグラウンドラインが形成され、前記グラウンドラインが前記電源ラインと前記差動信号ラインの間に配置されるように、前記第一の配線部と前記構造体との間に前記第二の配線部を配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、インピーダンスを乱す原因となる導電体を有する構造体に対する差動信号の保護と、差動信号伝送路の縮小の両立が可能にする撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に適用される実施例1の撮像装置の断面図である。
【図2】本発明に適用される実施例1の撮像装置の斜視図である。
【図3】本発明に適用される実施例1の撮像装置のブロック図である。
【図4】本発明に適用される実施例1の撮像信号伝達基板の斜視図である。
【図5】本発明に適用される実施例1の撮像信号伝達基板のパターン図である。
【図6】本発明に適用される実施例1のプリント基板のパターン図である。
【図7】本発明に適用される実施例2の撮像装置の断面図である。
【図8】本発明に適用される実施例2の撮像装置の斜視図である。
【図9】本発明に適用される実施例3の撮像装置の正面図である。
【図10】本発明に適用される実施例3の撮像装置の断面図である。
【図11】本発明に適用される実施例3の撮像装置及び鏡筒ユニットと撮像信号伝達基板の斜視図である。
【図12】本発明に適用される実施例3の撮像信号伝達基板のパターン図である。
【図13】本発明に適用される実施例3の撮像装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図面を参照しながら本発明に適用される撮像装置の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0011】
図3は、本発明に適用される撮像装置のブロック図である。
【0012】
後述するプリント基板(第二のプリント基板)100に各種信号の処理や制御を行うCPU101、レンズ制御部102が実装されている。
【0013】
鏡筒ユニット200には撮影レンズ202が搭載され、レンズ制御部102により駆動される事で撮像素子201上に被写体を結像させる。撮像素子201で撮像光を光電変換し、電気信号となって撮像信号伝達基板(第一のプリント基板)300を通りプリント基板100のCPU(信号処理IC)101に伝送される。すなわち、プリント基板100と撮像信号伝達基板300は電気的に接続されている。
【0014】
CPU101は、撮像信号伝達基板300を通して撮像素子201を駆動することにより光電変換されたデータを取得し、信号処理された画像データとして記録装置103に出力する。記録装置103は内臓メモリーに限定されるものではなく、SDカードなどの外部メモリーも含まれるものとする。
【0015】
撮影時或いは再生時には、CPU101からLCD(表示ユニット)400に画像データが出力され、画像が表示される。さらに、CPU101は、メモリ106に接続されている。メモリ106には、ユーザによる設定情報や出荷時の調整値等、デジタルカメラの電源がOFFの間も保持すべきデータが格納されている。CPU101は操作手段107の操作に応じて、撮影動作開始の指示を与えたり、撮影と再生のモードの切り換えなどの各種制御を行う。
【0016】
図2は、本発明を実施した撮像装置の基本構造を示す斜視図である。
【0017】
図2は、前カバーや後カバーといったカバー類、レリーズボタンやメインスイッチの乗ったトップカバー、表示器であるLCDユニット、補助光となるストロボユニットなどのユニット類は外した状態の撮像装置を示している。
【0018】
図2(a)は前方向から見た斜視図、図2(b)は後ろ方向から見た斜視図で、撮像装置はメインシャーシ600に部品を取り付けることで組み立てられる。
【0019】
図2(a)において、メインシャーシ600の左側には電池ケース(電池収納室)500が固定ビスにより取り付けられている。電池ケース500の下面には図示されない開口部が設けられており、この開口部から電源を供給する電池を電池収納部へ入れる。この開口部には開口部を閉鎖または開放するための電池ケース蓋501が取り付けられている。
【0020】
電池ケース500を取り付けた後、その右側に鏡筒ユニット200を取り付ける。鏡筒ユニット200の背面側には撮像信号伝達基板300が固定プレートを介して取り付けられている。
【0021】
図4は、本発明を実施した撮像信号伝達基板の斜視図である。撮像信号伝達基板300は、両面配線可能で二俣に分かれた細長い多層構造のプリント基板である。本実施例では、撮像信号伝達基板300にフレキシブル基板を使用しているが、フレキシブル基板と同様の屈曲性を有する部位を備えたリジッドフレキシブル基板を使用してもよい。撮像信号伝達基板300は、鏡筒ユニット200に取り付ける際に第1の経路(第一の配線部)300aと第2の経路(第二の配線部)300bが重なるように折り畳む。
【0022】
撮像信号伝達基板300の一端には、前もって固定プレートに位置決めし、接着固定した撮像素子201が半田付けされている。撮像信号伝達基板300の他端には、BtoBコネクタ108とFPCコネクタ109に差し込むフレキ端子部が設けられている。そして、第1の経路300aと第2の経路300bが重なるようにあらかじめ折癖をつけておく。
【0023】
図5は、本発明に適用される撮像信号伝達基板300のパターン図である。第1の経路300aには、撮像素子201により光電変換されたデータを転送するLVDS信号パターン(差動信号ライン)301と、LVDS信号パターン301と結合するグランドパターン303aが形成されている。また、LVDS信号パターン301が配線されている層の反対側の層にはグランドパターン(グラウンドライン)303bが形成されている。そして、第2の経路300bには、撮像素子201の電源ライン302が形成されており、LVDS信号パターン301は含んでいない。また、第2の経路300bには、電源ライン302だけでなく、センサからの出力ライン等が形成されている場合もある。このように、LVDS信号パターン301と電源ライン302の経路を分けることにより、撮像信号伝達基板300内でのLVDS信号パターンのインピーダンス値を容易に管理することができる。
【0024】
このとき、第1の経路300aと第2の経路300bが重なっている箇所ではグランドパターン303b同士が隣接している。これにより、撮像信号伝達基板300の投影面積を小さくすることができ、さらにグランドパターン同士を隣接させることにより、LVDSの配線が電源信号などの他の信号に影響されることを防いでいる。
【0025】
図2に戻って、鏡筒ユニット200を組み付けた後、BtoBコネクタ(第一のコネクタ)108及びフレキ端子部が前に来るように、メインシャーシ600と電池ケース500を挟むように、プリント基板100をメインシャーシ600に取り付ける。プリント基板100には各種信号の処理や制御を行うCPU101や鏡筒ユニット200を制御するレンズ制御部102やBtoBコネクタ108のメス側とFPCコネクタ(第二のコネクタ)109も実装されている。
【0026】
プリント基板100を取り付けた後、FPCコネクタ109にフレキ端子部を差込み固定した後、BtoBコネクタ108を差し込む。
【0027】
この後、LCD保持板金(保持部材)401に保持されたLCD400をメインシャーシ600の背面側に設置する。
【0028】
さらに補助光となるストロボユニットなどのユニット類を組み付けて、レリーズボタンやメインスイッチが載置されるトップカバーユニットや、前カバー、後カバーといったカバー類を組み込んでカメラが完成する。
【0029】
図1は、本発明を実施した撮像装置の断面図であり、カメラが完成した状態での撮像素子201や、BtoBコネクタ108、FPCコネクタ109といった撮像信号伝達基板300主要部品を含む断面図である。
【0030】
図1に示すようにLVDS信号パターン301を含む第1の経路300aと導電材料で形成されるLCD保持板金401の間にLVDS信号パターン301を含まない第2の経路300bが配置されている。このとき、第1の経路300aとLCD保持板金401との間にグランドパターン303bが挟まれていることで、第1の経路300aとLCD保持板金401が近接してLVDS信号パターン301のインピーダンス値が乱されるのを防いでいる。本実施例では、第1の経路300a及び第2の経路300bのいずれにもグランドパターン303bが形成されているが、いずれか一方に形成されている場合にも同様の効果を奏する。また、BtoBコネクタ108、FPCコネクタ109はそれぞれ高さが異なっているため、第1の経路300aと第2の経路300bの二つの経路は投影上、重なって接続することができる。さらに、BtoBコネクタ108とFPCコネクタ109とを近距離に配置することが出来るため、コネクタに接続される直前まで、インピーダンス値が乱されるのを防ぐことが出来る。
【0031】
本実施例では、導電性を有する構造体としてLCD保持板金401を想定した場合を考えているが、シャーシ等の導電性を有する構造体であれば、インピーダンス値を軽減することができる。 LVDS信号パターン301は高周波成分の信号が往復することから、輻射電波を少なくするためにも、出来るだけ短く設計することが望ましい。
【0032】
ここで、図6は、本発明のプリント基板のパターン図であるが、BtoBコネクタ108とCPU101はプリント基板100上において近傍に実装されている。BtoBコネクタ108のCPU101側の端子108aと、CPU101のBtoBコネクタ108側の端子101aにそれぞれLVDS信号パターン301に接続する信号が割り当てられている。端子108aから端子101aまではプリント基板100の表層を伝って撮像素子201からのデータが伝達されるようにLVDS信号のパターン(差動信号配線パターン)110が形成されている。
【0033】
以上の構成によりインピーダンスを乱す原因となる差動信号の保護と、差動信号伝送路の縮小の両立が可能となっている。また、鏡筒と電池収納室との間の狭い切り欠き部に二重に折りたたんで配置することで、多くの信号を狭い幅の隙間を通すことができ、カメラの大型化を防いでいる。
【実施例2】
【0034】
実施例1ではプリント基板100を電池ケース500の正面側に配置したが、背面側に配置してもよい。図7は本実施例の撮像装置の断面図であり、図8は本実施例の撮像装置の斜視図である。
【0035】
本実施例の撮像装置において、プリント基板100は電池ケース500の背面側に配設されている。撮像信号伝達基板300は、第1の経路300aと第2の経路300bが折り畳まれた状態でプリント基板100にそれぞれ高さの異なるBtoBコネクタ111とFPCコネクタ112に差し込むフレキ端子部で接続している。これによりプリント基板100を背面側に配置することにより、撮像信号伝達基板300内のLVDS信号パターン301の配線長を短くすることでき、不要輻射を抑えることができる。
【実施例3】
【0036】
図9は、本実施例の撮像装置の正面図である。図10は、本実施例の撮像装置の断面図である。図11は、本実施例の撮像装置及び鏡筒ユニットと撮像信号伝達基板の斜視図である。図12は、本実施例の撮像信号伝達基板のパターン図である。図12(a)は撮像素子が実装され、LVDS信号パターンが配線される面であり、図12(b)はグランドのベタ面が配線される面である。図13は、本実施例の撮像装置の斜視図である。図13(a)はカメラ正面側の斜視図であり、図13(b)はカメラ背面側の斜視図である。
【0037】
実施例3の撮像装置において、電池ケース500の電池が収納される内壁の一部に切り欠き部502を形成して、鏡筒ユニットの最外径部203が切り欠き部502にはめ込まれるように構成されている。鏡筒ユニットの最外径部203が電池ケース500の内壁を兼ねることにより、さらにカメラ本体の小型化が可能となる。このとき、撮像信号伝達基板300は、図11(b)に示すように鏡筒ユニットの最外径部203である切り欠き部502を避け、鏡筒ユニット200と電池ケース500の間の切り欠き部502とは異なる狭い切り欠き部を通して配線しなければならない。図12に示すように撮像信号伝達基板300の経路を分けて折り畳んで配線することにより、電池ケース500の内壁を兼ねている鏡筒の最外径部203からカメラ本体上部までの限られたスペースの中で、多くの信号を狭い幅の隙間で通すことが可能になる。
【0038】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0039】
100 プリント基板
200 鏡筒ユニット
201 撮像素子
300 撮像信号伝達基板
300a 第1の経路
300b 第2の経路
301 LVDS信号パターン
302 電源ライン
303b グランドパターン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子と、
前記撮像素子が実装される第一のプリント基板と、
前記第一のプリント基板と電気的に接続される第二のプリント基板と、
導電性を有する構造体と、を有し、
前記第一のプリント基板は、前記撮像素子から前記第二のプリント基板に差動信号を伝送する差動信号ラインが形成される第一の配線部と、電源信号を伝送する電源ラインが形成される第二の配線部とを有し、
前記第一の配線部及び前記第二の配線部の少なくとも一部が重なるように前記第一のプリント基板を折り畳み、
前記第一の配線部及び前記第二の配線部の向かい合う面の少なくともいずれか一方にグラウンドラインが形成され、
前記グラウンドラインが前記電源ラインと前記差動信号ラインの間に配置されるように、前記第一の配線部と前記構造体との間に前記第二の配線部を配置することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第一のプリント基板及び前記第二のプリント基板は、フレキシブル基板またはリジッドフレキシブル基板であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記構造体は、表示ユニットの保持部材であることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第一のプリント基板は、第二の配線部において折り畳まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第一のプリント基板は、多層構造であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮像素子が固定される鏡筒ユニットと、
前記鏡筒ユニットに隣接し、電源を供給する電池が収納される電池収納室と、を有し、
前記電池収納室には、切り欠き部が形成され、
前記鏡筒ユニットの一部は、前記切り欠き部にはめ込まれることにより前記電池収納室の内壁の一部を兼ねており、
前記第一のプリント基板は、前記切り欠き部を避けるように配線されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第一の配線部は第一のコネクタで、前記第二の配線部は第二のコネクタで前記第二のプリント基板と接続されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第一のコネクタと前記第二のコネクタは高さが互いに異なることを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第二のプリント基板は、前記撮像素子から出力される信号を処理し、前記第一のコネクタの近傍に配置されている信号処理ICを有し、
前記第二のプリント基板の表層に差動信号配線パターンを形成することにより、前記第一のコネクタと前記信号処理ICとの間を接続することを特徴とする請求項7又は8に記載の撮像装置。
【請求項1】
撮像素子と、
前記撮像素子が実装される第一のプリント基板と、
前記第一のプリント基板と電気的に接続される第二のプリント基板と、
導電性を有する構造体と、を有し、
前記第一のプリント基板は、前記撮像素子から前記第二のプリント基板に差動信号を伝送する差動信号ラインが形成される第一の配線部と、電源信号を伝送する電源ラインが形成される第二の配線部とを有し、
前記第一の配線部及び前記第二の配線部の少なくとも一部が重なるように前記第一のプリント基板を折り畳み、
前記第一の配線部及び前記第二の配線部の向かい合う面の少なくともいずれか一方にグラウンドラインが形成され、
前記グラウンドラインが前記電源ラインと前記差動信号ラインの間に配置されるように、前記第一の配線部と前記構造体との間に前記第二の配線部を配置することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第一のプリント基板及び前記第二のプリント基板は、フレキシブル基板またはリジッドフレキシブル基板であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記構造体は、表示ユニットの保持部材であることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第一のプリント基板は、第二の配線部において折り畳まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第一のプリント基板は、多層構造であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮像素子が固定される鏡筒ユニットと、
前記鏡筒ユニットに隣接し、電源を供給する電池が収納される電池収納室と、を有し、
前記電池収納室には、切り欠き部が形成され、
前記鏡筒ユニットの一部は、前記切り欠き部にはめ込まれることにより前記電池収納室の内壁の一部を兼ねており、
前記第一のプリント基板は、前記切り欠き部を避けるように配線されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第一の配線部は第一のコネクタで、前記第二の配線部は第二のコネクタで前記第二のプリント基板と接続されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第一のコネクタと前記第二のコネクタは高さが互いに異なることを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第二のプリント基板は、前記撮像素子から出力される信号を処理し、前記第一のコネクタの近傍に配置されている信号処理ICを有し、
前記第二のプリント基板の表層に差動信号配線パターンを形成することにより、前記第一のコネクタと前記信号処理ICとの間を接続することを特徴とする請求項7又は8に記載の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−26891(P2013−26891A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160880(P2011−160880)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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