説明

撮影装置、その制御方法、プログラム

【課題】 適切なタイミングでネットワークスキャンを行うことにより、取得される位置情報の制度を向上させる。
【解決手段】 撮影装置の周辺の無線基地局の情報を取得するためのネットワークスキャンを実行するよう無線通信手段を制御する通信制御手段を有し、撮影開始の指示または撮影終了の指示が受け付けられたことに応じて、ネットワークスキャンを実行するよう無線通信手段を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信により位置の情報を取得する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルビデオカメラなどの装置において、撮影位置の情報を画像に付加して整理するというニーズが高まっている。
【0003】
位置情報を取得する方法として、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して、受信した時刻情報や軌道情報から位置を計算する方法が知られている。しかし、GPS衛星からの電波の受信は、場所(一般的に屋外)が限られているうえ、位置計算を行うための軌道情報取得までに時間がかかる。また、専用の受信アンテナが必要であるため、デザイン的に制約を受けたり、コストがかかる場合がある。
【0004】
そこで、無線通信手段を有する装置において、無線通信の基地局が定期的に送信するビーコン信号に含まれる位置情報を取得する手法が知られている(特許文献1)。また、ビーコン信号に位置情報を含まない無線基地局に対して、ビーコン情報に含まれる無線基地局の物理アドレス(MACアドレス)情報をもとに、位置情報データベースを参照することで、位置情報を取得する方法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−89396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような基地局情報を取得する技術を用いることで、撮影装置において撮影画像と撮影位置の関連付けを行うことが考えられる。この際、撮影位置を精度良く取得するためには、撮影処理を行った時点の基地局情報を取得するのが最も望ましい。しかしながら、特許文献1に記載の記述では、無線通信を使用した基地局情報の取得に関してのみの記載にとどまり、撮影のタイミングを考慮した基地局情報の取得については考慮されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る撮影装置は、画像データを記録媒体へ記録する撮影装置であって、被写体を撮影し、画像データを得る撮影手段と、前記撮影手段による撮影に関する指示を受け付ける操作手段と、前記撮影装置の周辺の無線基地局の情報を取得するためのネットワークスキャンを実行するよう無線通信手段を制御する通信制御手段とを有し、前記通信制御手段は、前記操作手段により撮影開始の指示または撮影終了の指示が受け付けられたことに応じて、前記ネットワークスキャンを実行するよう無線通信手段を制御し、取得された前記無線基地局の情報は、前記撮影装置の位置情報を求めるのに用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、撮影に応じたタイミングの基地局情報を取得することができるため、取得される位置情報の制度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態におけるDVCおよびメモリカードのブロック図の一例である。
【図2】第1の実施形態における表示画面の一例である。
【図3】第1の実施形態における通信処理を示すフローチャートの一例である。
【図4】第1の実施形態におけるAP接続処理を示すフローチャートの一例である。
【図5】第1の実施形態における撮影の際の通信処理を示すフローチャートの一例である。
【図6】第1の実施形態におけるネットワークスキャン処理を示すフローチャートの一例である。
【図7】第2の実施形態における撮影の際の通信処理を示すフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
[ハード構成]
図1は、本実施形態に係る撮影装置の一例であるデジタルビデオカメラ(以下「DVC」)100と、記録媒体の一例であるメモリカード200のブロック図である。
【0011】
システムコントローラ130は、例えばMPU(Micro Processing Unit)であり、プロセッサコアや、IO汎用ポート、AD変換機などの周辺回路を含んでいる。このシステムコントローラ130が入力信号やプログラムにしたがい各部を制御することにより、撮影制御、記録制御、通信制御、表示制御などが実現される。なお、DVC100の制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0012】
システムコントローラ130には、一次記憶装置の一例であるRAM(Random Access Memory)170、およびプログラムが格納されている二次記憶装置の一例であるROM(Read only Memory)180が接続されている。
【0013】
撮影部150はレンズやイメージセンサなどを含み、被写体像を撮影する。撮影後、被写体像を変換し画像ファイル作成部160で画像データを含む画像ファイルとする。システムコントローラ130は、カードインタフェース部142を通して、画像ファイル作成部160で作成した画像ファイルをメモリカード200へ書き込む。ここでカードインタフェース部142は、メモリカード200に対して規定されたタイミングにて信号を入出力することができる。また、メモリカード200への電力供給のオン/オフも制御することが可能である。表示部110は、システム情報の表示、記録されている画像ファイルの再生画像の表示、無線通信設定に関するメニューの表示など、各種情報を表示するために用いられる。ユーザは、操作部120により各種操作を行い、操作を受け付けた操作部120はシステムコントローラ130へユーザからの指示を伝える。例えば操作部120は撮影ボタンを含み、撮影ボタンが1回押下されると動画の撮影・記録が開始され、もう1回押下されると動画の撮影・記録を終了する。また、いわゆるメニュー操作を行うためのメニューボタンや十字ボタンなどもここに含まれる。電力は、二次電池であるバッテリ300から供給され、電源制御回路103にて、バッテリの出力電圧を検出して、システムコントローラ130へ通知する。また、190は外部装置と無線通信を行うための無線通信回路であり、191は無線通信用のアンテナである。DVC100は、この無線通信回路190を介して、撮影により得られた画像データを外部装置に送信することが可能である。具体的には、システムコントローラ130は、周辺に送信可能な外部装置を検出すると、メモリカード200に記録された画像ファイルを無線通信にて送出する。なお、システムコントローラ130は、無線通信回路190を制御することで、無線通信のための電波出力をオン/オフすることができる。この点については後述する。
【0014】
メモリカード200は、カードコントローラ210、NAND型フラッシュメモリ素子220、RAM(Random Access Memory)270、ROM(Read only Memory)280で構成されている。カードコントローラ210は、MPU(Micro Processing Unit)である。カードコントローラ210には、一次記憶装置であるRAM270、及びプログラムが格納されている二次記憶装置であるROM280、NAND型フラッシュメモリ素子220が接続されている。カードコントローラ210は、ホストであるDVC100のシステムコントローラ130からのコマンドに応じて、記憶素子であるNAND型フラッシュメモリ素子220へ画像ファイルを読み出しや書き込みを行う。
【0015】
図2(a)および、図2(b)は、ユーザが無線通信機能の設定を行うための設定画面の表示例である。システムコントローラ130は、ユーザ操作に応じて表示部110に図2(a)、(b)に示す画面が表示されるよう制御する。そして、ユーザが操作部120を操作することで、システムコントローラ130はユーザの操作指示を受け付け、RAM170に指示された設定を保存する。以下、図2(a)および、図2(b)に示す画面を介した設定について詳しく説明する。
【0016】
まず図2(a)は、DVC100の機能選択のための画面であり、メニュー操作などに応じて表示される。図2(a)に示す画面に表示された項目のうち、ユーザにより無線機能ボタン201が選択されると、図2(b)に示す、無線機能の設定を行うための項目を含む画面が表示される。
【0017】
図2(b)に示す画面において設定可能な項目は、無線機能「OFF」202、「OFFするときのバッテリ残量」203、「常時ON」204である。ここで、無線機能「OFF」202は、基本的に無線機能をオフし、電波を出力しないようにする設定である。「OFFするときのバッテリ残量」203は、DVC100のバッテリ残量が所定の閾値以下になったことを条件に無線機能をオフする設定である。設定したバッテリ残量の具体的な数値は、予め決めた値でも、ユーザが自由に変更できても良い。また、「常時ON」204は、原則としてDVC100の電源がオンのときは無線機能をオンにしておく設定である。
【0018】
[基本的な通信処理]
図3は、撮影した画像ファイルを外部装置へ送信するためのタスク処理を示すフローチャートである。なお、以下の処理は、システムコントローラ130が入力信号やプログラムにしたがい、DVC100の各部を制御することにより実現される。特に断らない限り、その他のフローチャートも同様である。なお、本実施形態におけるDVC100は、撮影などにより新規な画像ファイルが作成された場合、その画像ファイルを自動的に外部装置に送信するものとする。
【0019】
まず、システムコントローラ130は、撮影や、画像ファイルのメモリカード200へのコピーなどにより、新たな送信対象となるファイル(以下、「送信ファイル」)が存在するか否かを定期的にチェックする(S301)。
【0020】
送信ファイルが存在すると判断した場合、システムコントローラ130は、無線機能の設定において無線機能「OFF」202に設定されているかチェックする(S302)。
【0021】
無線機能「OFF」202に設定されていると判断した場合、S303に移行し、システムコントローラ130は無線通信の電波出力をオフするよう無線通信回路190を制御する(S303)。一方、S302において無線機能「OFF」202に設定されていないと判断された場合、S304へ移行する。
【0022】
S304において、システムコントローラ130は、無線機能の設定が「OFFするときのバッテリ残量」203に設定されているか判断する。設定されていると判断した場合はステップS305へ移行し、設定されていないと判断した場合はS311へ移行する。
【0023】
S305では、現在のDVC100のバッテリ残量と、図2(b)に示す画面において設定した無線通信をオフするバッテリ残量の閾値とを比較する。現在のバッテリ残量が閾値以下である場合は、S306へ移行し、システムコントローラ130は無線通信の中断処理として、無線通信の電波出力をオフするよう無線通信回路190を制御する(S306)。
【0024】
一方、S305において現在のバッテリ残量が閾値より多い場合はS311に移行する。S311では、システムコントローラ130は無線通信を行うために、無線通信回路190を制御し無線通信の電波出力をオンに設定する。
【0025】
そしてS312では、システムコントローラ130は無線基地局の一例であるアクセスポイント(AP)への接続シーケンスを実行する。この接続シーケンスの詳細は、図4を用いて後述する。S313においてアクセスポイントの接続に成功したかどうかのチェックを行う。アクセスポイントへの接続に失敗した場合、S306へ移行する。アクセスポイントへの接続に成功した場合、全ファイルの送信が終わるまで、ファイルの送信を行う(S322、S323)。全ファイルの送信が完了すると、S306へ移行する。
【0026】
ここで、S303における処理とS306における処理の違いについて説明する。両者は、無線の電波出力をオフする点では同じ処理を行う。ただし、S303における処理(以下、「禁止処理」)は、ユーザが意図的に電波出力を禁止する目的で電波出力をオフしているため、基本的にユーザからのオフ設定の解除指示がない限り、電波の発生を禁止する。この状態を禁止状態と呼ぶ。一方、S306における処理(以下、「中断処理」)は、ビデオカメラの電力消費を抑える目的で、システムコントローラ130が電波出力を自動的にオフするものである。この処理が行われた状態では、システムコントローラ130が適切と判断したタイミングで再度電波出力をオンにすることもある点で、禁止状態とは異なる。この状態を中断状態と呼ぶ。
【0027】
図4は、DVC100が無線通信を行う際の、システムコントローラ130におけるアクセスポイントへの接続シーケンスを示す。DVC100が無線通信を行うためには、事前に通信を行うアクセスポイントの情報をDVC100へ登録する必要がある。アクセスポイントの情報とは、アクセスポイントのSSID(Service Set Identifier)や、セキュリティ方式、セキュリティの暗号化キーなどである。アクセスポイントの情報をDVC100へ登録する方法は、DVC100のユーザインタフェースを用いる方法やPCと接続して設定する方法など、公知の技術があるため、詳細な説明は省略する。
【0028】
まず、システムコントローラ130は無線通信回路190を制御し、事前に登録したアクセスポイントの検索を行う(S401)。検索方法は、登録済みのアクセスポイントへプローブリクエスト信号を送出し、アクセスポイントからの応答を待つアクティブスキャン方式や、登録済みのアクセスポイントからのビーコン信号を待つパッシブスキャン方式が知られている。
【0029】
S402において、アクセスポイントからの応答があると判断した場合は、アクセスポイントへの接続が成功したとして、処理を終了する(S404)。S402において、アクセスポイントからの応答が無い場合は、アクセスポイントへの接続が失敗したとして、処理を終了する(S403)。なお、アクセスポイントからの応答が無い場合、直ちに処理を終了せず、S401の処理を数回繰り返すいわゆるリトライ処理を行ってもよい。
【0030】
[撮影処理における動作]
図5は、DVC100による被写体の撮影開始が指示された場合の、無線通信に関する処理のフローチャートを示したものである。まずS501において、システムコントローラ130は、ユーザにより操作部120が操作され、撮影開始が指示されたかを判断する。
【0031】
撮影開始が指示されたと判断すると、システムコントローラ130は、無線設定において無線機能がオフに設定されているかをチェックする(S502)。S502において、無線機能がオフに設定されていると判断した場合、処理を終了する。S502において、無線機能がオフに設定されていないと判断した場合は、S503へ移行する。
【0032】
S503において、システムコントローラ130は、無線通信が中断状態であるかどうかのチェックを行う。無線通信が中断状態であると判断した場合は、無線通信の電波出力をオンに設定して(S504)、ネットワークのスキャンを行う。ネットワークのスキャンについては、図6を用いて後述する。そしてネットワークスキャンを行った後、再び無線通信の電波出力をオフに設定し、中断状態に再度移行する(S506)。
【0033】
S503にて中断状態ではないと判断した場合、システムコントローラ130は、S507においてファイルの転送中であるかをチェックする。これは、以前に撮影した画像ファイルの転送がまだ完了していない場合があるためである。ファイルの転送中であると判断した場合は、ファイル転送の中断処理として、後でファイルの転送を再開するためのレジューム処理などを行い、現在接続中のアクセスポイントとのネットワーク接続の切断を行う(S508)。
【0034】
そしてS508の後、システムコントローラ130はネットワークスキャンを行い(S509)、その終了後、S510において、再度ネットワークへ接続してファイルの転送を再開し、処理を終了する。
【0035】
なお、S507においてファイルの転送中ではないと判断した場合、S511においてシステムコントローラ130はネットワークのスキャンを行い、処理を終了する。
【0036】
図6は、S505、S509、S511におけるネットワークスキャン処理のフローチャートである。まず、システムコントローラ130は無線チャンネルの初期化処理を行う(S601)。次にシステムコントローラ130は全チャンネルのスキャンが終了しているかを判断する(S602)。終了していないと判断した場合は、周辺のアクセスポイントからビーコンの受信を行う。ビーコンはアクセスポイントから定期的に出力される信号であり、アクセスポイントのSSIDや物理アドレス情報など、アクセスポイントの位置を割り出すのに必要な情報を含んでいる。ビーコンが受信できた場合、システムコントローラ130は受信したビーコンに含まれるアクセスポイントの情報と、電波強度、時刻情報をDVC100内部のRAM170へ保存する(S604)。なお、S603において一定時間ビーコンが受信できなかった場合も、S605に移行するものとする。
【0037】
システムコントローラ130は無線のチャンネルを変更し(S605)、処理をS602へ戻して再度全チャンネルのスキャンが終了したかを判断する。S602において、全チャンネルのスキャンが終了していると判断した場合は、S606へ移行する。
【0038】
S606において、システムコントローラ130はS604でRAM170へ保存した各チャンネルの情報を、まとめてネットワークスキャン情報としてメモリカード200へ保存し、処理を終了する。
【0039】
システムコントローラ130は、このメモリカード200へ保存したネットワークスキャン情報と、ROM180またはメモリカード200に保存された位置情報データベースとを比較することで、自機の位置情報を算出することが可能となる。つまり、撮影位置周辺のアクセスポイント情報から、撮影を開始した位置の情報を取得することができる。
【0040】
なお、本実施形態では、一般的なパッシブスキャン方式を説明している。しかし、特定のアクセスポイントに対してプローブリクエストコマンドを送出してアクセスポイントからの応答を待つパッシブスキャン方式を採用しても良いし、両方式を組み合わせても良い。スキャンするチャンネルや順序に関しては問わず、必要なすべてチャンネルのスキャンができればよい。
【0041】
なお、撮影開始の指示に応じて、システムコントローラ130は本処理のバックグラウンドで動画撮影を開始しているものとする。つまり、本実施形態におけるDVC100は、撮影とネットワークスキャンを並行して実行することが可能である。
【0042】
以上説明したとおり、本実施形態では、無線通信が中断状態であっても、無線通信により特定のアクセスポイントへ接続中であっても、撮影開始に同期したタイミングで、ネットワークスキャンを行い、周辺のアクセスポイントの情報を取得することとした。このようにすることで、撮影位置が精度良く取得できることになる。特に動画の撮影において、動画の代表画像として使われるサムネイル画像は、記録開始の際の先頭フレームの画像を使用することが多い。そのため、サムネイル画像を撮影した時刻におけるDVC100の位置が、対応する動画の撮影位置とするのが好ましいと考えられる。従って本実施形態では、撮影開始のタイミングでネットワークスキャンを実行することとした。
【0043】
なお、DVC100が、撮影開始から所定時間経過後のフレームを代表画像として用いるよう設定されている場合、ネットワークスキャンのタイミングをそのフレームを撮影するタイミングまで遅延させてもよい。
【0044】
また、本実施形態では、禁止状態の場合はネットワークスキャンを行わず、中断状態の際にネットワークスキャンを行うようにしたが、禁止状態の場合でも撮影開始のタイミングで一旦ネットワークスキャンを行い、その後禁止状態に戻るようにしてもよい。
【0045】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、撮影位置情報を取得するタイミングは、ユーザが撮影開始の操作を行ったタイミングとした。これに対し、第2の実施形態では、撮影終了の操作を行ったタイミングで撮影位置情報を取得することととする。なお、本実施形態は第1の実施形態と共通する部分が多いため、共通の部分は説明を省略し、本実施形態に特有の部分を中心に説明する。
【0046】
図7は、DVC100が画像の撮影を終了するときの、システムコントローラ130における無線通信に関する処理のフローチャートを示したものである。なお、このフローチャートは、ユーザ操作に応じて動画撮影が開始された場合に開始するものとする。
【0047】
まずS701において、システムコントローラ130は、ユーザにより撮影終了のための操作が行われたかを判断する。操作が行われていないと判断した場合は処理を終了する。操作が行われたと判断した場合は、S702に移行する。なお、撮影終了のための操作が行われたことに応じて、システムコントローラ130はバックグラウンドで撮影した動画をファイル化してメモリカード200に書き込む処理を並行して開始する。
【0048】
S702において、システムコントローラ130は、無線機能の設定において無線機能「OFF」202に設定されているかチェックする。無線設定において無線機能「OFF」202に設定されていると判断した場合は、処理を終了する。一方、無線機能「OFF」202に設定されていない場合は、メモリカード200への画像の書込みを一時中断して(S720)、S703へ移行する。
【0049】
S703において、システムコントローラ130は無線通信が中断状態であるかチェックを行う。無線通信が中断状態であると判断した場合は、無線通信の電波出力をオンに設定して(S704)、ネットワークのスキャンを行う(S705)。そしてネットワークスキャンを行った後、システムコントローラ130は再び無線通信の電波出力をオフに設定し、無線通信を中断状態に戻す(S706)。そして、中断していたメモリカード200への画像の書込みを再開し(S721)、処理を終了する。
【0050】
S703において、無線通信の中断状態ではないと判断した場合、システムコントローラ130はS707において、無線通信回路190を介してファイルを転送している最中であるかどうかをチェックする。ファイルの転送中であると判断した場合は、ファイル転送中断処理として、後ほどファイルの転送を再開できるようにするためのレジューム処理などを行い、現在接続中のアクセスポイントからネットワーク接続の切断を行う(S708)。
【0051】
S708の後、ネットワークスキャンを行い(S709)、S710において、ファイル転送を再開するため、再度ネットワークへ接続して、ファイルの転送を再開し、S721へ移行する。S707においてファイルの転送中では無いと判断したときは、S711において、ネットワークのスキャンを行い、S721へ移行する。
【0052】
以上説明した通り、本実施形態では、撮影終了に同期したタイミングで、ネットワークスキャンを行うことで、周辺のアクセスポイントの情報を得ることができる。また、ネットワークスキャン実行の際にはメモリカード200へのファイルの書込みを一時中断することで、ネットワークスキャン情報の書込みとの排他処理を行うことができ、ネットワークスキャンとファイル書込みの処理の負荷を分散させることも可能となる。
【0053】
<第3の実施形態>
第1、第2の実施形態では、無線通信回路190をDVC100本体に内蔵した形態で実施形態を説明した。しかし、無線通信回路190は、例えば無線アダプタなどのDVC100に着脱可能な外部装置へ実装しても構わないし、メモリカード200の内部に存在してもよい。無線通信回路190を外部装置やメモリカード200へ実装する場合は、システムコントローラ130がネットワークスキャンの実行を外部装置やメモリカード200に指示し、得られたネットワークスキャン情報をDVC100が取得する。このようにすることで、システムコントローラ130は無線通信回路190を内蔵しなくとも間接的に制御することが可能となり、ネットワークスキャンの実行のタイミングを制御することが可能となる。
【0054】
また、無線通信回路190がメモリカード200内部に存在する場合、ネットワークスキャン情報から位置情報を算出する処理をカードコントローラ210が実行してもよい。この場合、NAND型フラッシュメモリ素子220へ保存された画像ファイルに対して、位置情報をシステムコントローラ130を介さずに関連付けることができるため、システムコントローラ130での処理負荷を減らすことができる。また、ネットワークスキャン情報からの位置情報の算出は必ずしもDVC100またはメモリカード200で行う必要はない。例えば、無線通信にて画像ファイルとネットワークスキャン情報を外部装置へ送出し、外部装置にて位置情報を算出し、画像ファイルと位置情報の関連付けを行った後、DVC100が受信してもよい。
【0055】
<他の実施形態>
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【0056】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを記録媒体へ記録する撮影装置であって、
被写体を撮影し、画像データを得る撮影手段と、
前記撮影手段による撮影に関する指示を受け付ける操作手段と、
前記撮影装置の周辺の無線基地局の情報を取得するためのネットワークスキャンを実行するよう無線通信手段を制御する通信制御手段とを有し、
前記通信制御手段は、前記操作手段により撮影開始の指示または撮影終了の指示が受け付けられたことに応じて、前記ネットワークスキャンを実行するよう無線通信手段を制御し、取得された前記無線基地局の情報は、前記撮影装置の位置情報を求めるのに用いられることを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記通信制御手段は、所定の条件を満たした場合に前記無線通信手段による電波の出力を自動的にオフするように制御し、
前記通信制御手段により、前記無線通信手段による電波の出力が自動的にオフされた状態で、前記操作手段により撮影開始の指示または撮影終了の指示が受け付けられた場合、前記通信制御手段は前記ネットワークスキャンを実行するよう無線通信手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記無線通信手段による電波の出力を設定する設定手段をさらに有し、
前記通信制御手段は、前記操作手段により撮影開始の指示または撮影終了の指示が受け付けられた場合は、前記設定手段により前記電波が出力されないよう設定されていても、前記無線通信手段に電波を出力させて前記ネットワークスキャンを実行するよう制御することを特徴とする請求項1または2に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記操作手段により前記撮影開始の指示が受け付けられた場合、前記撮影手段による撮影と前記無線通信手段による前記ネットワークスキャンは並行して実行されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項5】
前記操作手段により撮影開始の指示または撮影終了の指示が受け付けられた際に前記無線通信手段が外部装置にデータを転送中である場合、前記通信制御手段は、前記外部装置へのデータの転送を中断させて前記ネットワークスキャンを実行させ、前記ネットワークスキャンを実行した後、前記データの転送を再開させるよう前記無線通信手段を制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項6】
前記撮影手段により得られた画像データの前記記録媒体への書込みを制御する記録制御手段をさらに有し、
前記操作手段により前記撮影終了の指示が受け付けられた場合、前記記録制御手段は前記無線通信手段によるネットワークスキャンが実行された後、前記記録媒体への画像データの書込みを実行することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項7】
前記無線通信手段は、前記撮影装置に着脱可能な装置に備わっていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項8】
前記記録媒体は前記撮影装置に着脱可能なメモリカードであって、
前記無線通信手段は、前記記録媒体に備わっていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項9】
前記無線通信手段は、前記撮影手段により新たな画像データが得られた場合、前記画像データを外部装置に自動的に送信することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項10】
画像データを記録媒体へ記録する撮影装置の制御方法であって、
被写体を撮影し、画像データを得る撮影ステップと、
前記撮影ステップでの撮影に関する指示を受け付ける受け付けステップと、
前記操作ステップにより撮影開始の指示または撮影終了の指示が受け付けられたことに応じて、前記撮影装置の周辺の無線基地局の情報を取得するためのネットワークスキャンを実行するよう無線通信部を制御する通信制御ステップとを有し、取得された前記無線基地局の情報は、前記撮影装置の位置情報を求めるのに用いられることを特徴とする撮影装置の制御方法。
【請求項11】
コンピュータを、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の撮影装置として機能させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−120178(P2011−120178A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278014(P2009−278014)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】