説明

撮影装置

【課題】ICタグを装着した撮影対象を撮影する撮影装置および撮影方法に関し、撮影対象物にICタグを装着することで、対象物を検出およびその距離を測定して焦点合わせし、簡単かつ正確に焦点の合った状態で対象物を自動撮影する。
【解決手段】撮影対象に装着されたICタグまでの距離を測定する手段と、測定した距離をもとに撮影機器の焦点合わせを行った後、前記撮影対象を撮影する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグを装着した撮影対象物を撮影する撮影装置および撮影方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラで撮影対象物を撮影する場合、カメラのビューファインダの焦点合わせの領域内にその撮影対象物が来るように調整し、後は自動的にフォーカス、更に、明るさを調整して撮影していた。
【0003】
この際、対象物が動いたときに撮影する手法として、カメラで画像を得て、当該画像上で前回のフレームと、今回のフレームとの間で所定距離以上動く対象物が検出されたときに、自動撮影開始する技術がある。
【0004】
また、写真館にて、撮影受付したお客様に識別IDを付与し、これをICタグに書き込んで衣装に貼付し、撮影時に衣装を着たお客様を撮影したときに当該衣装に貼付したICタグから読み取った識別IDを併せて記録し、後でプリントした写真がいずれのお客様であるかを簡易に識別および管理することが行われている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−37798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した前者の技術では、前回のフレームと、今回のフレームとの間で相関などを演算して対象物が所定距離以上動いたことを検出するシステムが必要となり、装置が大げさになると共に処理が複雑になるという問題があった。
【0006】
また、上述した後者の技術では、写真撮影したお客様の衣装に貼付されたICタグから読み取った識別IDを、写真に記録することができるのみで、対象物および当該対象物までの距離を自動測定して焦点合わせして撮影できないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、これらの問題を解決するため、撮影対象物にICタグを装着し、ICタグリーダで信号強度を変えてICタグまでの距離を測定し焦点調整して撮影することを目的としている。
【0008】
従って、撮影対象物にICタグを装着することで、対象物を検出およびその距離を測定して焦点合わせし、簡単かつ正確に焦点の合った状態で対象物を自動撮影することが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本願発明は、撮影対象物にICタグを装着することで、対象物を検出およびその距離を測定して焦点合わせし、簡単かつ正確に焦点の合った状態で対象物を自動撮影することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、撮影対象物にICタグを装着し、ICタグリーダで信号強度を変えてICタグまでの距離を測定し焦点調整して対象物を自動撮影することを実現した。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明のシステム構成図を示す。
図1において、撮影装置1は、被写体(撮影対象物)を撮影する装置であって、ここでは、撮影/ICタグ読取起動手段2、ICタグ読取手段3、ICタグ情報記憶テーブル4、タグ距離測定手段5、終点距離調整手段6、撮影手段7、撮影画像記憶手段8、および表示手段9などから構成されるものである。
【0012】
撮影/ICタグ読取起動手段2は、図示外の撮影機器(例えばカメラ、ビデオカメラなどの撮影機器)を起動したり、ICタグ読取装置(例えばICタグリーダ)を起動してICタグに向けて信号強度(電波強度)を変えて送信し、当該ICタグからの信号(電波)を受信してそのデータを読み取る準備をさせたりなどするものである。
【0013】
ICタグ読取手段3は、ICタグに向けて信号強度(電波強度)を変えて送信し、当該ICタグから送信された信号(電波)を受信してそのデータを読み取るものである。
【0014】
ICタグ情報記憶テーブル4は、ICタグの情報(いずれの対象物にICタグを装着したかの情報、およびICタグから読み取った情報)を記憶するものである。
【0015】
タグ距離測定手段5は、ICタグに向けて信号強度を変えて送信し、ICタグからの信号を読み取れたとき(あるいは読み取れなくなったとき)の信号強度をもとにテーブルを参照してICタグまでの距離を測定するものである(図4および図5を用いて後述する)。
【0016】
焦点距離調整手段6は、撮影機器の焦点距離を調整するものである。
撮影手段7は、焦点距離調整手段6によってICタグに焦点調整された状態で、静止画(カメラ)や動画を撮影(ビデオカメラ)するものである。
【0017】
撮影画像記憶手段8は、撮影手段7で撮影させて取得した画像を記憶するもの(例えばハードディスク装置)である。
【0018】
表示手段9は、撮影手段7で撮影した画像を表示したりなどするものである。
被写体(撮影対象物)11は、撮影の対象物であって、ここでは、ICタグ12を装着した撮影対象物である。撮影対象物としては、動く人や車などの移動体、更に、後述する地滑りの監視ポストなどがある。
【0019】
ICタグ12は、無線で読み書き可能なICタグであって、無線でその電力を供給したり、自身に電池を持つものである。
【0020】
図2は、本発明の動作説明フローチャート(対象物のタグ情報の読み込み)を示す。
図2において、S1は、対象物のタグIDを読み込む。これは、これから撮影しようとする対象物のタグIDを、当該対象物に装着されたタグIC12から読み込む。
【0021】
S2は、ICタグ情報記憶テーブルに保存する。これは、S1で対象物に装着されたICタグから読み込んだタグIDをICタグ情報記憶テーブル4に保存する。そして、以降当該テーブルに保存したタグIDを装着した対象物の距離を測定して撮影する。
【0022】
以上によって、ICタグまでの距離を測定して撮影する対象物の設定が完了したこととなる。
【0023】
次に、図3のフローチャートの順番に、図1の構成の動作を詳細に説明する。
図3は、本発明の動作説明フローチャート(指定した対象物の撮影)を示す。
【0024】
図3において、S11は、ICタグ情報記憶テーブルから指定のICタグ情報をリードする。
【0025】
S12は、指定のICタグ情報をICタグ読取手段3にセットする。
S13は、電界強度を変えてICタグ読取を実行する。これは、例えばタグリーダ13から送信する電波強度を段階的に変えてICタグ12から情報が読み取れるまで繰り返す。
【0026】
S4は、指定のICタグ情報と一致するデータが有るか判別する。これは、S13で読み取った情報中に、指定のICタグ情報と一致するデータが有るか判別する。YESの場合には、撮影対象物に装着したICタグ12から読み取ったデータがあると判明したので、S15に進む。一方、NOの場合には、焦点合わせする必要がないと判明したので、S17に進む。
【0027】
S15は、S14のYESで指定のICタグ情報と読み取った情報が一致すると判明したので、タグ距離を算出する。これは、送信する電波強度を変えて読み取れたとき(あるいは読み取れなくなったとき)の電波強度をもとに、テーブルを参照してICタグ12までの距離を算出する(図4および図5を用いて後述する)。
【0028】
S16は、焦点調整する。これは、S15で算出したICタグ12までの距離をもとに、図示外の撮影手段7である、例えばカメラ、ビデオカメラの焦点を調整して当該ICタグ12の装着した対象物11に焦点を合わせる。
【0029】
S17は、撮影する。これは、S16で焦点調整した後、撮影手段7で対象物11を撮影する。
【0030】
S18は、記録モードか判別する。YESの場合には、記録モードと設定されていたので、S19で撮影画像を記録(例えばハードディスク装置に記録)し、S20で表示する。一方、S18のNOの場合には、記録モードと設定されていないと判明したので、S20で表示する。
【0031】
以上によって、対象物11にICタグ12を装着して当該ICタグ12のタグ情報について焦点調整する旨と設定、更に、記録する旨と設定することにより、所定時間毎あるいは指定された時に、対象物11に装着されているICタグ12に向けて送信する電波強度を変えて情報が読み取れたとき(あるいは読み取れなくなったとき)の電波強度をもとにテーブルを参照して距離を算出し、撮影手段7の焦点調整した後、撮影して記録することが可能となる。
【0032】
次に、図4のフローチャートの順番に従い、図5を参照して対象物11に装着されたICタグ12までの距離の測定について詳細に説明する。
【0033】
図4は、本発明の動作説明フローチャート(距離測定)を示す。
図4において、S21は、弱い電波を送信する。これは、ICタグリーダから対象物11に装着したICタグ12に向けて、一番弱い電波強度で信号を送信する。
【0034】
S22は、読み取れたか判別する。これは、S21で送信した電波強度の信号に対して、対象物11に装着したICタグ12から応答の信号が送信され、ICタグリーダ13でその信号が受信されて読み取れたか判別する。YESの場合には、ICタグ12の情報が読み取れたので、S23で図5の(c)の距離変換テーブルを参照して距離を算出し、終了する。NOの場合には、S24に進む。
【0035】
S24は、S22のNOでICタグ12の情報が読み取れなかったので、強度を1段階アップする。
【0036】
S25は、S24で強度を1段階アップし、最大強度を超えたか判別する。YESの場合には、最大強度を超えたと判明したので、終了する。一方、NOの場合には、S26に進む。
【0037】
S26は、送信する。これにより、電波強度を順次1段階づつアップし、対象物11に装着したICタグ12に向けて電波を送信することが可能となる。そして、S22以降を繰り返す。
【0038】
以上によって、電波強度を一番弱い信号から始めて順次1段階づつアップした信号を、対象物11に装着したICタグ12に向けて順次送信し、当該ICタグ12から応答の信号が送信されて受信して当該ICタグ12の情報が読み取れたときの電波強度を測定し、テーブルを参照してICタグ12までの距離を測定することが可能となる。尚、電波強度を最大強度の信号から始めて順次1段階づつダウンした信号を、対象物11に装着したICタグ12に向けて順次送信し、当該ICタグ12から応答の信号が送信されなくて受信できなくったときの直前の電波強度を測定し、テーブルを参照してICタグ12までの距離を測定するようにしてもよい。
【0039】
図5は、本発明の説明図を示す。
図5の(a)は、ICタグ情報記憶テーブル4の例を示す。これは、対象物11に装着するICタグ12のタグ情報(例えばタグID)と、当該装着した対象物11の対象物IDとを対応づけて登録したものであって、図示の下記の情報を対応づけて登録したものである。
【0040】
・対象物ID:
・タグ情報:
・その他:
ここで、対象物IDは対象物11を一意に識別するIDである。タグ情報は対象物11に装着したICタグ12に書き込んだ一意のID(あるいは予め書き込まれた一意のID)である。
【0041】
以上のように、撮影対象物11を一意に表す対象物IDと、ICタグ12に電波を送信して一意に呼び出してその応答信号を送信させて受信するためのタグ情報とを対応づけて登録することにより、対象物11に装着したICタグ12に送信する電波強度を変えてその読み取れたときの電波強度から当該ICタグ12までの距離を測定することが可能となる。
【0042】
図5の(b)は、タグ距離測定例を示す。タグリーダ13から電界強度の一番弱い信号から強く変えて信号をICタグ12に向けて順次送信し、受信できたときの電界強度とその距離を実験でそれぞれ測定した様子を示す。そして、電界強度とそのときに読取が出来た距離(最大距離)とを組にし、テーブルに登録すると図5の(c)の距離変換テーブル14となる。
【0043】
図5の(c)は、距離変換テーブル14の例を示す。距離変換テーブル14は、図5の(b)に模式的に示すように、タグリーダ13から送信する信号の電界強度と、そのときにICタグ12から読み取れる最大距離との関係を実験で求め、その対(電界強度と距離)を登録したものである。ICタグ12の読取感度が異なる毎に作成する。
【0044】
図6は、本発明の動作説明フローチャート(地滑り監視・撮影)を示す。この例は、山間などで雨による地滑りの監視およびその地滑り発生時の状況をカメラ(ビデオカメラ)で撮影するときに適用した例を示す。
【0045】
図6において、S31は、監視ポイントにタグを取り付ける。これは、地滑りの監視ポイントとなる樹木、岩などの撮影対象物11にICタグ12を取り付ける。
【0046】
S32は、電波強度を変えて距離測定する。これは、S31で監視ポイントに取り付けたICタグ12に向けて、電波強度を変えて距離を測定する(既述した図4のフローチャートに従いタグリーダ13と監視ポイントに取り付けたICタグ12との間の距離を所定時間毎に測定する)。
【0047】
S33は、距離を記録する。
S34は、電波強度を変えて距離を測定する。
【0048】
S35は、前回の距離と異なるか判別する。これは、今回測定したタグリーダ13と監視ポイントに取り付けたICタグ12との間の距離と、前回測定した距離とを比較して所定閾値以上の距離差となったか判別する。YESの場合には、予め設定した距離差以上に前回と今回の距離差が発生し、監視ポイントが移動したと判明したので、S36で撮影(カメラ)あるいは撮影を開始(ビデオカメラ)し、S37で距離を記録し、S38に進む。一方、S35のNOの場合には、S38に進む。
【0049】
S38は、終了か判別する。YESの場合には、撮影を終了する。NOの場合には、S34に戻り繰り返す。
【0050】
以上によって、地滑りの発生しそうな監視ポイントにICタグ12を取り付け、当該監視ポイントを撮影する適切な安全な場所に本願の撮影装置を設置し、当該撮影装置内のタグリーダ13から信号の電波強度を変えてICタグ12に向けて送信し読み取れたときの電波強度から距離を算出して記録することを所定時間毎に繰り返し、前回と今回の距離差が所定閾値以上となったときに地滑り発生と判断し、自動的に撮影装置で監視ポイントに取り付けたICタグ12に焦点合わせして撮影(カメラ)あるいは撮影開始(ビデオカメラ、所定時間毎(例えば1秒毎)に連続して撮影するカメラ)することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、撮影対象物にICタグを装着することで、対象物を検出およびその距離を測定して焦点合わせし、簡単かつ正確に焦点の合った状態で対象物を自動撮影することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明のシステム構成図である。
【図2】本発明の動作説明フローチャート(対象物のタグ情報の読み込み)である。
【図3】本発明の動作説明フローチャート(指定した対象物の撮影)である。
【図4】本発明の動作説明フローチャート(距離測定)である。
【図5】本発明の説明図である。
【図6】本発明の動作説明フローチャート(地滑り監視・撮影)である。
【符号の説明】
【0053】
1:撮影装置
2:撮影/ICタグ読取起動手段
3:ICタグ読取手段
4:ICタグ情報記憶テーブル
5:タグ距離測定手段
6:焦点距離調整手段
7:撮影手段
8:撮影画像記憶手段
9:表示手段
11:被写体(対象物)
12:ICタグ
13:タグリーダ
14:距離変換テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICタグを装着した撮影対象を撮影する撮影装置において、
撮影対象に装着されたICタグまでの距離を測定する手段と、
前記測定した距離をもとに撮影機器の焦点合わせを行った後、前記撮影対象を撮影する手段と
を備えたことを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記ICタグまでの距離は、ICタグリーダから信号強度を順次変化させて送信し当該ICタグから情報が読み取れたとき、あるいは読み取れなくなったときの当該信号強度について、予め信号強度と距離の関係を求めて登録したテーブルを参照して距離を測定することを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
【請求項3】
前記測定した撮影対象までの距離が所定距離以上変化したときに撮影することを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の撮影装置。
【請求項4】
前記撮影対象毎に装着するICタグのIDをテーブルに登録しておき、所定時間毎にあるいは指定されたときに、テーブルから取り出したID毎にその距離を測定して当該IDの撮影対象に焦点合わせして撮影することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の撮影装置。
【請求項5】
ICタグを装着した撮影対象を撮影する撮影方法において、
撮影対象に装着されたICタグまでの距離を測定するステップと、
前記測定した距離をもとに撮影機器の焦点合わせを行った後、前記撮影対象を撮影するステップと
を有する撮影方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−113316(P2006−113316A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−300956(P2004−300956)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(598057291)富士通サポートアンドサービス株式会社 (147)
【Fターム(参考)】