操作キーユニット
【課題】 操作キーの押下操作に基づく回路基板の反り、電子部品の損傷及び電子部品の回路基板からの剥離を防止できるようにする。
【解決手段】 筐体2の内部から外方に向けて付勢される操作キー4と、該操作キー4に対向して前記筐体2の内部に配される回路基板11の表面11aに形成されたスイッチパターン11bとを備え、前記操作キー4が、前記筐体2の外方に露出するキー本体15と、導電性を有すると共に前記スイッチパターン11bに対向する前記キー本体15の対向面15b側に配され、前記キー本体15を前記筐体2の内部に向けて押し下げた際に前記スイッチパターン11bに接触して該スイッチパターン11bを導通させる導通部23と、前記キー本体15と前記導通部23との間に配される弾性変形可能な弾性体17とを備えることを特徴とする操作キーユニット31を提供する。
【解決手段】 筐体2の内部から外方に向けて付勢される操作キー4と、該操作キー4に対向して前記筐体2の内部に配される回路基板11の表面11aに形成されたスイッチパターン11bとを備え、前記操作キー4が、前記筐体2の外方に露出するキー本体15と、導電性を有すると共に前記スイッチパターン11bに対向する前記キー本体15の対向面15b側に配され、前記キー本体15を前記筐体2の内部に向けて押し下げた際に前記スイッチパターン11bに接触して該スイッチパターン11bを導通させる導通部23と、前記キー本体15と前記導通部23との間に配される弾性変形可能な弾性体17とを備えることを特徴とする操作キーユニット31を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯電話機、簡易型携帯電話機(PHS(登録商標))、PDA(Personal Digital Assistants)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、パーソナルコンピュータ等の各種電子機器や扇風機、ドライヤー、電動歯ブラシ等の各種電気機器に使用する操作キーユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話機、簡易型携帯電話機、PDA、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、パーソナルコンピュータ等の各種電子機器や扇風機、ドライヤー、電動歯ブラシ等の電気機器には、その筐体の外方から内部に向けて押下操作する操作キーユニットが広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。この種の操作キーユニットは、筐体の外方側から内部に向けて押下操作可能な操作キーと、操作キーに対向する回路基板表面に形成されたスイッチパターンと、このスイッチパターンを覆うクリックドームとを備えている。
【0003】
この操作キーユニットでは、外方に露出した操作キーを回路基板に向けて押下した際に、回路基板から突出するクリックドーム(金属材料からなる)が弾性変形することにより、回路基板のスイッチパターンを導通させるように構成されている。
また、例えば、図6に示すように、操作キー51の本体53の先端にクリックドーム55側に突出する突起部57を設け、操作キー51を押下する圧力がクリックドーム55の一部に集中するように、この突起部57によりクリックドーム55を弾性変形させる構成を有する操作キーユニットもある。この構成の場合には、小さい力で操作キー51の本体53で押下しても、突起部57の先端にクリックドーム55を押圧する力が集中するため、クリックドーム55を容易かつ確実に弾性変形させて回路基板59のスイッチパターン61を導通させることができる。
【特許文献1】特開平7−58815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の操作キーユニットでは、小さな力でクリックドーム55を押下できるものの、操作キー51を押下する圧力が突起部57やクリックドーム55を介して回路基板59の一部に集中するため、回路基板59が撓んだり、回路基板59に搭載された電子部品が損傷したり、回路基板59の撓みによって回路基板59に実装された電子部品が回路基板59から剥離するという問題がある。また、クリックドーム55は回路基板59に取り付けられているため、クリックドーム55やクリックドーム55とスイッチパターン61との接触状態に不良があった場合には、回路基板59上で修理する必要があり、修理作業が面倒になるという問題もある。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、操作キーを押下した際に確実にスイッチパターンを導通させると共に、操作キーの押下操作に基づく回路基板の反り、電子部品の損傷及び電子部品の回路基板からの剥離を防止できる操作キーユニットの提供、また、容易に修理作業できる操作キーユニットの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る操作キーユニットは、筐体の内部から外方に向けて付勢される操作キーと、該操作キーに対向して前記筐体の内部に配される回路基板の表面に形成されたスイッチパターンとを備え、前記操作キーが、前記筐体の外方に露出するキー本体と、導電性を有すると共に前記スイッチパターンに対向する前記キー本体の対向面側に配され、前記キー本体を前記筐体の内部に向けて押し下げた際に前記スイッチパターンに接触して該スイッチパターンを導通させる導通部と、前記キー本体と前記導通部との間に配される弾性変形可能な弾性体とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る操作キーユニットは、前記弾性体が、金属製薄板を前記キー本体の対向面から前記導通部側に突出する略凸形状に形成してなることを特徴とする。
【0006】
さらに、本発明に係る操作キーユニットは、前記弾性体が、前記導通部を取り付ける平坦面を有する先端壁部と、前記キー本体の対向面から前記先端壁部の周縁に向けて延びる側壁部と、これら側壁部及び先端壁部の間に形成され、凸状の曲面を有する曲面壁部とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る操作キーユニットは、前記操作キーが、前記キー本体の対向面から前記回路基板側に延びる支持部を備え、該支持部の先端が、前記対向面からの導通部の先端位置よりもキー本体側に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、筐体の外方側から内部に向けてキー本体を押し下げ、導通部がスイッチパターンに接触した状態からさらにキー本体を押し下げた際には、キー本体と導通部の間に配された弾性体が弾性変形してキー本体を押し下げる力を吸収するため、回路基板が過度な力で押し付けられることを抑制できる。したがって、キー本体により回路基板を押圧する力による回路基板の反り、回路基板に搭載される電子部品の損傷、及び電子部品の回路基板からの剥離を防止することができる。
また、弾性体や導通部に不良が発生した際には、操作キーのみを交換すればよいため、操作キーユニットの修理作業を容易に行うこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1から図5は本発明に係る一実施形態を示しており、ここで説明する実施の形態は、この発明を携帯電話機に適用した場合のものである。図1に示すように、この実施の形態に係る携帯電話機1は、平面視略矩形の板状に形成された筐体2と、数字キー、通話キー及び終話キー等の複数の操作キー4を有する操作部3と、各種の情報を表示する表示部5と、通話用のマイクロフォン部及びスピーカ部(不図示)とを備えている。操作部3の操作キー4及び表示部5の表示面は、筐体2の一方の主面2aから外方に露出している。
マイクロフォン部及びスピーカ部は、筐体2の内部のうち、筐体2の長手方向の両端部2b,2cにそれぞれ配されており、スピーカ部は主面2aのうち一端に形成された放音口7aを通じて音声等を放音するようになっている。また、マイクロフォン部は筐体2の主面2aのうち他端に形成された集音口7bを通じて音声等を集音するようになっている。なお、スピーカ部を配した筐体2の長手方向の一端部2bには、基地局との無線通信を行うためのアンテナ9が設けられている。
【0009】
筐体2の内部には、図2に示すように、前述した表示部5、アンテナ9、マイクロフォン部及びスピーカ部等を電気的に接続する回路基板11が配されている。この回路基板11の表面11aには、携帯電話機1の通話機能、表示機能、入力操作機能等の各種機能を制御するための電子部品(不図示)が搭載され、また、後述する操作キー4の導通部に接触させるための2つの電極部(スイッチパターン)11bが形成されている。この回路基板11の表面11aには、弾性変形可能な略シート状のゴムシート13が配されている。このゴムシート13には、回路基板11の電極部11bに対向配置された操作キー4が設けられている。
【0010】
操作キー4は、ゴムシート13に一体的に形成されたキー本体15と、キー本体15の裏面(対向面)15bの略中央部に設けられた弾性変形可能な弾性体17と、弾性体17の周囲に位置するキー本体15の裏面15bに設けられた支持部19と、弾性体17の先端部に設けられた略柱状の突起部21と、2つの電極部11bに対向するように突起部21の先端に配される導通部23とを備えている。
キー本体15は、ゴムシート13の弾性力によって回路基板11の表面11aから離間する方向に付勢されており、外力を受けない状態において、回路基板11との間に所定の隙間を有して配置されている。また、キー本体15は、その表面15aが筐体2の主面2aから外方に露出するように筐体2に形成された開口部2dに挿通されている。このキー本体15は、その周縁部13aを弾性変形させることにより、回路基板11の表面11aに近づけることができる。
【0011】
弾性体17は、図3に示すように、ステンレス鋼等の金属製材料からなる薄板をキー本体15の裏面15bから突出する略凸形状に形成したものであり、突起部21を取り付ける先端壁部25と、キー本体15の裏面15bから先端壁部25の周縁に向けて延びる側壁部27と、これら先端壁部25と側壁部27との間に配され、凸状の曲面29aを有する曲面壁部29とを備えている。
先端壁部25は、回路基板11の表面11aに対向する平坦面25aを有しており、この平坦面25aに突起部21が取り付けられるようになっている。曲面壁部29は、先端壁部25の周縁全体にわたって形成されている。この曲面壁部29は、略直線状に延びる先端壁部25や側壁部27と比較して曲率が小さいため、容易に変形させることができる、すなわち、弾性体17の弾性変形は、この曲面壁部29の変形により行われる。
【0012】
突起部21は、弾性体17の先端壁部25に接着されており、変形しない硬い材料から形成することが好ましい。これは、先端壁部25を変形させることなく、曲面壁部29を確実に弾性変形させるためである。導通部23は、導電性を有する材料からなり、2つの電極部11bに跨って接触することにより、2つの電極部11b間を相互に導通させるものである。
支持部19は、図2に示すように、略柱状に形成されており、キー本体15の裏面15bに接着されている。キー本体15が外力を受けない状態においては、支持部19の先端は、キー本体15の裏面15bを基準とした導通部23の先端位置よりもキー本体側に位置している。すなわち、キー本体15の裏面15bを基準とした支持部19の高さ寸法は、弾性体17、突起部21及び導通部23の高さ寸法の合計よりも小さい。
以上のように構成された操作キー4及び回路基板11の電極部11bにより、押下操作を行うための操作キーユニット31が構成されている。
【0013】
上述した操作キーユニット31において、キー本体15を押下した際には、キー本体15の周縁部13aが弾性変形して、図4に示すように、導通部23が2つの電極部11bに跨って接触し、2つの電極部11b間を電気的に導通させる。
その後、この接触状態からさらに力を加えてキー本体15を押し下げた際には、弾性体17が弾性変形する。すなわち、図5に示すように、弾性体17のうち、先端壁部25と側壁部27との間に配される曲面壁部29が弾性変形して、弾性体17の先端がキー本体15の裏面15b側に凹むことになる。この弾性変形は、弾性体17が金属製薄板からなるため、瞬間的に行われる。
【0014】
また、この弾性変形の際には、図4に示すように、支持部19の先端が回路基板11の表面11aに近接して、キー本体15を基準とした導通部23の先端位置と支持部19の先端位置とが等しくなり、支持部19の先端が導通部23と共に回路基板11の表面11aに当接することになる。
この状態においては、導通部23の先端に加えて支持部19の先端も回路基板11を押さえつけることになるため、キー本体15により回路基板11を押圧する力が導通部23の先端及び支持部19の先端の双方に分散されることになる。すなわち、回路基板11の表面に接触する支持部19の先端の面積は大きいことが好ましい。
【0015】
以上のように、操作キーユニット31によれば、導通部23が2つの電極部11bに接触した状態からさらにキー本体15を押し下げても、弾性体17が弾性変形してキー本体15を押し下げる力を吸収するため、回路基板11が過度な力で押し付けられることを抑制できる。また、支持部19を設けることにより、キー本体15により回路基板11を押圧する力が、導通部23の先端及び支持部19の先端の双方に分散されることになるため、キー本体15の押圧力が回路基板11の一部に集中することを防止できる。
以上のことから、キー本体15により回路基板11を押圧する力による回路基板11の反り、回路基板11に搭載される各種電子部品の損傷、及び電子部品の回路基板11からの剥離を防止することができる。
【0016】
また、弾性体17や導通部23に不良が発生した際には、電子部品を多数搭載した回路基板11を交換することなく、ゴムシート13に形成された操作キー4のみを交換すれば良いため、操作キーユニット31の修理作業を容易に行うこともできる。なお、弾性体17の不良とは、例えば、弾性体17の弾性変形が不十分になることを示している。また、導通部23の不良とは、例えば、接触しても2つの電極部11b間の導通が不十分になることを示している。
さらに、弾性体17の曲面壁部29のみを局所的に弾性変形させることができ、また、この弾性変形は瞬間的に行われるため、キー本体15を押し下げる際には良好なクリック感を得ることができる。
【0017】
また、弾性体17と導通部23との間に硬い材料から形成された突起部21を設けているため、導通部23が電極部11bに接触した状態からキー本体15をさらに押し下げた際に、先端壁部25を変形させることなく、先端壁部25に隣接する曲面壁部29を確実に弾性変形させることができる。
さらに、弾性体17と導通部23との間に突起部21を配することにより、回路基板11の表面11aと筐体2の開口部2dとの距離が携帯電話機1のデザイン等により変更されたとしても、突起部21の長さ寸法のみを変えることにより、導通部23と電極部11bとのクリアランスを適宜変更することができる。このため、ゴムシート13に一体的に形成されるキー本体15や、弾性体17、支持部19を汎用的に使用することができ、携帯電話機1の製造コスト削減を図ることができる。
【0018】
なお、上記実施形態において、導通部23は、突起部21を介して弾性体17の先端に取り付けられるとしたが、これに限ることはなく、少なくとも弾性体17の先端に導通部23が取り付けられていればよい。すなわち、導通部23は、例えば、弾性体17の平坦面25aに直接取り付けられるとしてもよい。
また、曲面壁部29は、先端壁部25の周縁全体にわたって形成されるとしたが、これに限ることはなく、少なくとも側壁部27が先端壁部25を支持するように形成されていればよい。
また、弾性体17は、金属製薄板から形成されるとしたが、これに限ることはなく、少なくとも弾性変形可能な材料から形成されていればよい。すなわち、弾性体17は、弾性変形可能な樹脂材料から形成されるとしても構わない。
【0019】
さらに、キー本体15は、キー本体の周縁部13aにより筐体2の外方側に付勢されるとしたが、これに限ることはなく、少なくとも筐体2の内部から外方側に付勢されていればよい。すなわち、例えば、支持部19の先端に弾性変形可能な弾性部材を取り付けて、この弾性部材によりキー本体15を付勢するとしてもよい。この構成においては、キー本体15の押下を解除した際に弾性部材が弾性復帰することにより、キー本体15が筐体2の外方側に付勢されることになる。
この構成の場合には、複数の操作キー4を1つのゴムシート13に一体的に設けずに、複数の操作キー4を各々独立して形成することができるため、弾性体17や導通部23に不良が発生した際に、個々の操作キー4のみを交換すれば良いため、操作キーユニット31の修理作業をさらに容易に行うことができる。
【0020】
また、キー本体15、弾性体17及び支持部19は、別個の部材から形成されるとしたが、これに限ることはなく、例えば、ゴムシート13に一体的に形成されるとしても構わない。
さらに、操作キーユニット31は、1つの筐体2からなる携帯電話機1に設けられるとしたが、これに限ることはなく、2つの筐体を重ね合わせ可能に連結した携帯電話機に設けてもよいし、PDAやデジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、パーソナルコンピュータ等の各種電子機器や扇風機、ドライヤー、電動歯ブラシ等の各種電気機器に設けるとしても構わない。
【0021】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の一実施形態に係る操作キーユニットを搭載した携帯電話機を示す斜視図である。
【図2】図1の携帯電話機において、操作キーユニットを示す拡大断面図である。
【図3】図1の携帯電話機において、操作キーユニットの弾性体を示す拡大断面図である。
【図4】図1の携帯電話機において、操作キーユニットの操作キーを押し下げた状態を示す拡大断面図である。
【図5】図1の携帯電話機において、操作キーユニットの操作キーを押し下げた状態における弾性体を示す拡大断面図である。
【図6】従来の操作キーユニットの一例を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0023】
2 筐体
4 操作キー
11 回路基板
11a 表面
11b 電極部(スイッチパターン)
15 キー本体
15b 裏面(対向面)
17 弾性体
19 支持部
23 導通部
25 先端壁部
25a 平坦面
27 側壁部
29 曲面壁部
29a 曲面
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯電話機、簡易型携帯電話機(PHS(登録商標))、PDA(Personal Digital Assistants)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、パーソナルコンピュータ等の各種電子機器や扇風機、ドライヤー、電動歯ブラシ等の各種電気機器に使用する操作キーユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話機、簡易型携帯電話機、PDA、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、パーソナルコンピュータ等の各種電子機器や扇風機、ドライヤー、電動歯ブラシ等の電気機器には、その筐体の外方から内部に向けて押下操作する操作キーユニットが広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。この種の操作キーユニットは、筐体の外方側から内部に向けて押下操作可能な操作キーと、操作キーに対向する回路基板表面に形成されたスイッチパターンと、このスイッチパターンを覆うクリックドームとを備えている。
【0003】
この操作キーユニットでは、外方に露出した操作キーを回路基板に向けて押下した際に、回路基板から突出するクリックドーム(金属材料からなる)が弾性変形することにより、回路基板のスイッチパターンを導通させるように構成されている。
また、例えば、図6に示すように、操作キー51の本体53の先端にクリックドーム55側に突出する突起部57を設け、操作キー51を押下する圧力がクリックドーム55の一部に集中するように、この突起部57によりクリックドーム55を弾性変形させる構成を有する操作キーユニットもある。この構成の場合には、小さい力で操作キー51の本体53で押下しても、突起部57の先端にクリックドーム55を押圧する力が集中するため、クリックドーム55を容易かつ確実に弾性変形させて回路基板59のスイッチパターン61を導通させることができる。
【特許文献1】特開平7−58815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の操作キーユニットでは、小さな力でクリックドーム55を押下できるものの、操作キー51を押下する圧力が突起部57やクリックドーム55を介して回路基板59の一部に集中するため、回路基板59が撓んだり、回路基板59に搭載された電子部品が損傷したり、回路基板59の撓みによって回路基板59に実装された電子部品が回路基板59から剥離するという問題がある。また、クリックドーム55は回路基板59に取り付けられているため、クリックドーム55やクリックドーム55とスイッチパターン61との接触状態に不良があった場合には、回路基板59上で修理する必要があり、修理作業が面倒になるという問題もある。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、操作キーを押下した際に確実にスイッチパターンを導通させると共に、操作キーの押下操作に基づく回路基板の反り、電子部品の損傷及び電子部品の回路基板からの剥離を防止できる操作キーユニットの提供、また、容易に修理作業できる操作キーユニットの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る操作キーユニットは、筐体の内部から外方に向けて付勢される操作キーと、該操作キーに対向して前記筐体の内部に配される回路基板の表面に形成されたスイッチパターンとを備え、前記操作キーが、前記筐体の外方に露出するキー本体と、導電性を有すると共に前記スイッチパターンに対向する前記キー本体の対向面側に配され、前記キー本体を前記筐体の内部に向けて押し下げた際に前記スイッチパターンに接触して該スイッチパターンを導通させる導通部と、前記キー本体と前記導通部との間に配される弾性変形可能な弾性体とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る操作キーユニットは、前記弾性体が、金属製薄板を前記キー本体の対向面から前記導通部側に突出する略凸形状に形成してなることを特徴とする。
【0006】
さらに、本発明に係る操作キーユニットは、前記弾性体が、前記導通部を取り付ける平坦面を有する先端壁部と、前記キー本体の対向面から前記先端壁部の周縁に向けて延びる側壁部と、これら側壁部及び先端壁部の間に形成され、凸状の曲面を有する曲面壁部とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る操作キーユニットは、前記操作キーが、前記キー本体の対向面から前記回路基板側に延びる支持部を備え、該支持部の先端が、前記対向面からの導通部の先端位置よりもキー本体側に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、筐体の外方側から内部に向けてキー本体を押し下げ、導通部がスイッチパターンに接触した状態からさらにキー本体を押し下げた際には、キー本体と導通部の間に配された弾性体が弾性変形してキー本体を押し下げる力を吸収するため、回路基板が過度な力で押し付けられることを抑制できる。したがって、キー本体により回路基板を押圧する力による回路基板の反り、回路基板に搭載される電子部品の損傷、及び電子部品の回路基板からの剥離を防止することができる。
また、弾性体や導通部に不良が発生した際には、操作キーのみを交換すればよいため、操作キーユニットの修理作業を容易に行うこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1から図5は本発明に係る一実施形態を示しており、ここで説明する実施の形態は、この発明を携帯電話機に適用した場合のものである。図1に示すように、この実施の形態に係る携帯電話機1は、平面視略矩形の板状に形成された筐体2と、数字キー、通話キー及び終話キー等の複数の操作キー4を有する操作部3と、各種の情報を表示する表示部5と、通話用のマイクロフォン部及びスピーカ部(不図示)とを備えている。操作部3の操作キー4及び表示部5の表示面は、筐体2の一方の主面2aから外方に露出している。
マイクロフォン部及びスピーカ部は、筐体2の内部のうち、筐体2の長手方向の両端部2b,2cにそれぞれ配されており、スピーカ部は主面2aのうち一端に形成された放音口7aを通じて音声等を放音するようになっている。また、マイクロフォン部は筐体2の主面2aのうち他端に形成された集音口7bを通じて音声等を集音するようになっている。なお、スピーカ部を配した筐体2の長手方向の一端部2bには、基地局との無線通信を行うためのアンテナ9が設けられている。
【0009】
筐体2の内部には、図2に示すように、前述した表示部5、アンテナ9、マイクロフォン部及びスピーカ部等を電気的に接続する回路基板11が配されている。この回路基板11の表面11aには、携帯電話機1の通話機能、表示機能、入力操作機能等の各種機能を制御するための電子部品(不図示)が搭載され、また、後述する操作キー4の導通部に接触させるための2つの電極部(スイッチパターン)11bが形成されている。この回路基板11の表面11aには、弾性変形可能な略シート状のゴムシート13が配されている。このゴムシート13には、回路基板11の電極部11bに対向配置された操作キー4が設けられている。
【0010】
操作キー4は、ゴムシート13に一体的に形成されたキー本体15と、キー本体15の裏面(対向面)15bの略中央部に設けられた弾性変形可能な弾性体17と、弾性体17の周囲に位置するキー本体15の裏面15bに設けられた支持部19と、弾性体17の先端部に設けられた略柱状の突起部21と、2つの電極部11bに対向するように突起部21の先端に配される導通部23とを備えている。
キー本体15は、ゴムシート13の弾性力によって回路基板11の表面11aから離間する方向に付勢されており、外力を受けない状態において、回路基板11との間に所定の隙間を有して配置されている。また、キー本体15は、その表面15aが筐体2の主面2aから外方に露出するように筐体2に形成された開口部2dに挿通されている。このキー本体15は、その周縁部13aを弾性変形させることにより、回路基板11の表面11aに近づけることができる。
【0011】
弾性体17は、図3に示すように、ステンレス鋼等の金属製材料からなる薄板をキー本体15の裏面15bから突出する略凸形状に形成したものであり、突起部21を取り付ける先端壁部25と、キー本体15の裏面15bから先端壁部25の周縁に向けて延びる側壁部27と、これら先端壁部25と側壁部27との間に配され、凸状の曲面29aを有する曲面壁部29とを備えている。
先端壁部25は、回路基板11の表面11aに対向する平坦面25aを有しており、この平坦面25aに突起部21が取り付けられるようになっている。曲面壁部29は、先端壁部25の周縁全体にわたって形成されている。この曲面壁部29は、略直線状に延びる先端壁部25や側壁部27と比較して曲率が小さいため、容易に変形させることができる、すなわち、弾性体17の弾性変形は、この曲面壁部29の変形により行われる。
【0012】
突起部21は、弾性体17の先端壁部25に接着されており、変形しない硬い材料から形成することが好ましい。これは、先端壁部25を変形させることなく、曲面壁部29を確実に弾性変形させるためである。導通部23は、導電性を有する材料からなり、2つの電極部11bに跨って接触することにより、2つの電極部11b間を相互に導通させるものである。
支持部19は、図2に示すように、略柱状に形成されており、キー本体15の裏面15bに接着されている。キー本体15が外力を受けない状態においては、支持部19の先端は、キー本体15の裏面15bを基準とした導通部23の先端位置よりもキー本体側に位置している。すなわち、キー本体15の裏面15bを基準とした支持部19の高さ寸法は、弾性体17、突起部21及び導通部23の高さ寸法の合計よりも小さい。
以上のように構成された操作キー4及び回路基板11の電極部11bにより、押下操作を行うための操作キーユニット31が構成されている。
【0013】
上述した操作キーユニット31において、キー本体15を押下した際には、キー本体15の周縁部13aが弾性変形して、図4に示すように、導通部23が2つの電極部11bに跨って接触し、2つの電極部11b間を電気的に導通させる。
その後、この接触状態からさらに力を加えてキー本体15を押し下げた際には、弾性体17が弾性変形する。すなわち、図5に示すように、弾性体17のうち、先端壁部25と側壁部27との間に配される曲面壁部29が弾性変形して、弾性体17の先端がキー本体15の裏面15b側に凹むことになる。この弾性変形は、弾性体17が金属製薄板からなるため、瞬間的に行われる。
【0014】
また、この弾性変形の際には、図4に示すように、支持部19の先端が回路基板11の表面11aに近接して、キー本体15を基準とした導通部23の先端位置と支持部19の先端位置とが等しくなり、支持部19の先端が導通部23と共に回路基板11の表面11aに当接することになる。
この状態においては、導通部23の先端に加えて支持部19の先端も回路基板11を押さえつけることになるため、キー本体15により回路基板11を押圧する力が導通部23の先端及び支持部19の先端の双方に分散されることになる。すなわち、回路基板11の表面に接触する支持部19の先端の面積は大きいことが好ましい。
【0015】
以上のように、操作キーユニット31によれば、導通部23が2つの電極部11bに接触した状態からさらにキー本体15を押し下げても、弾性体17が弾性変形してキー本体15を押し下げる力を吸収するため、回路基板11が過度な力で押し付けられることを抑制できる。また、支持部19を設けることにより、キー本体15により回路基板11を押圧する力が、導通部23の先端及び支持部19の先端の双方に分散されることになるため、キー本体15の押圧力が回路基板11の一部に集中することを防止できる。
以上のことから、キー本体15により回路基板11を押圧する力による回路基板11の反り、回路基板11に搭載される各種電子部品の損傷、及び電子部品の回路基板11からの剥離を防止することができる。
【0016】
また、弾性体17や導通部23に不良が発生した際には、電子部品を多数搭載した回路基板11を交換することなく、ゴムシート13に形成された操作キー4のみを交換すれば良いため、操作キーユニット31の修理作業を容易に行うこともできる。なお、弾性体17の不良とは、例えば、弾性体17の弾性変形が不十分になることを示している。また、導通部23の不良とは、例えば、接触しても2つの電極部11b間の導通が不十分になることを示している。
さらに、弾性体17の曲面壁部29のみを局所的に弾性変形させることができ、また、この弾性変形は瞬間的に行われるため、キー本体15を押し下げる際には良好なクリック感を得ることができる。
【0017】
また、弾性体17と導通部23との間に硬い材料から形成された突起部21を設けているため、導通部23が電極部11bに接触した状態からキー本体15をさらに押し下げた際に、先端壁部25を変形させることなく、先端壁部25に隣接する曲面壁部29を確実に弾性変形させることができる。
さらに、弾性体17と導通部23との間に突起部21を配することにより、回路基板11の表面11aと筐体2の開口部2dとの距離が携帯電話機1のデザイン等により変更されたとしても、突起部21の長さ寸法のみを変えることにより、導通部23と電極部11bとのクリアランスを適宜変更することができる。このため、ゴムシート13に一体的に形成されるキー本体15や、弾性体17、支持部19を汎用的に使用することができ、携帯電話機1の製造コスト削減を図ることができる。
【0018】
なお、上記実施形態において、導通部23は、突起部21を介して弾性体17の先端に取り付けられるとしたが、これに限ることはなく、少なくとも弾性体17の先端に導通部23が取り付けられていればよい。すなわち、導通部23は、例えば、弾性体17の平坦面25aに直接取り付けられるとしてもよい。
また、曲面壁部29は、先端壁部25の周縁全体にわたって形成されるとしたが、これに限ることはなく、少なくとも側壁部27が先端壁部25を支持するように形成されていればよい。
また、弾性体17は、金属製薄板から形成されるとしたが、これに限ることはなく、少なくとも弾性変形可能な材料から形成されていればよい。すなわち、弾性体17は、弾性変形可能な樹脂材料から形成されるとしても構わない。
【0019】
さらに、キー本体15は、キー本体の周縁部13aにより筐体2の外方側に付勢されるとしたが、これに限ることはなく、少なくとも筐体2の内部から外方側に付勢されていればよい。すなわち、例えば、支持部19の先端に弾性変形可能な弾性部材を取り付けて、この弾性部材によりキー本体15を付勢するとしてもよい。この構成においては、キー本体15の押下を解除した際に弾性部材が弾性復帰することにより、キー本体15が筐体2の外方側に付勢されることになる。
この構成の場合には、複数の操作キー4を1つのゴムシート13に一体的に設けずに、複数の操作キー4を各々独立して形成することができるため、弾性体17や導通部23に不良が発生した際に、個々の操作キー4のみを交換すれば良いため、操作キーユニット31の修理作業をさらに容易に行うことができる。
【0020】
また、キー本体15、弾性体17及び支持部19は、別個の部材から形成されるとしたが、これに限ることはなく、例えば、ゴムシート13に一体的に形成されるとしても構わない。
さらに、操作キーユニット31は、1つの筐体2からなる携帯電話機1に設けられるとしたが、これに限ることはなく、2つの筐体を重ね合わせ可能に連結した携帯電話機に設けてもよいし、PDAやデジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、パーソナルコンピュータ等の各種電子機器や扇風機、ドライヤー、電動歯ブラシ等の各種電気機器に設けるとしても構わない。
【0021】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の一実施形態に係る操作キーユニットを搭載した携帯電話機を示す斜視図である。
【図2】図1の携帯電話機において、操作キーユニットを示す拡大断面図である。
【図3】図1の携帯電話機において、操作キーユニットの弾性体を示す拡大断面図である。
【図4】図1の携帯電話機において、操作キーユニットの操作キーを押し下げた状態を示す拡大断面図である。
【図5】図1の携帯電話機において、操作キーユニットの操作キーを押し下げた状態における弾性体を示す拡大断面図である。
【図6】従来の操作キーユニットの一例を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0023】
2 筐体
4 操作キー
11 回路基板
11a 表面
11b 電極部(スイッチパターン)
15 キー本体
15b 裏面(対向面)
17 弾性体
19 支持部
23 導通部
25 先端壁部
25a 平坦面
27 側壁部
29 曲面壁部
29a 曲面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部から外方に向けて付勢される操作キーと、該操作キーに対向して前記筐体の内部に配される回路基板の表面に形成されたスイッチパターンとを備え、
前記操作キーが、前記筐体の外方に露出するキー本体と、導電性を有すると共に前記スイッチパターンに対向する前記キー本体の対向面側に配され、前記キー本体を前記筐体の内部に向けて押し下げた際に前記スイッチパターンに接触して該スイッチパターンを導通させる導通部と、前記キー本体と前記導通部との間に配される弾性変形可能な弾性体とを備えることを特徴とする操作キーユニット。
【請求項2】
前記弾性体が、金属製薄板を前記キー本体の対向面から前記導通部側に突出する略凸形状に形成してなることを特徴とする請求項1に記載の操作キーユニット。
【請求項3】
前記弾性体が、前記導通部を取り付ける平坦面を有する先端壁部と、前記キー本体の対向面から前記先端壁部の周縁に向けて延びる側壁部と、これら側壁部及び先端壁部の間に形成され、凸状の曲面を有する曲面壁部とを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の操作キーユニット。
【請求項4】
前記操作キーが、前記キー本体の対向面から前記回路基板側に延びる支持部を備え、
該支持部の先端が、前記対向面からの導通部の先端位置よりもキー本体側に位置することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の操作キーユニット。
【請求項1】
筐体の内部から外方に向けて付勢される操作キーと、該操作キーに対向して前記筐体の内部に配される回路基板の表面に形成されたスイッチパターンとを備え、
前記操作キーが、前記筐体の外方に露出するキー本体と、導電性を有すると共に前記スイッチパターンに対向する前記キー本体の対向面側に配され、前記キー本体を前記筐体の内部に向けて押し下げた際に前記スイッチパターンに接触して該スイッチパターンを導通させる導通部と、前記キー本体と前記導通部との間に配される弾性変形可能な弾性体とを備えることを特徴とする操作キーユニット。
【請求項2】
前記弾性体が、金属製薄板を前記キー本体の対向面から前記導通部側に突出する略凸形状に形成してなることを特徴とする請求項1に記載の操作キーユニット。
【請求項3】
前記弾性体が、前記導通部を取り付ける平坦面を有する先端壁部と、前記キー本体の対向面から前記先端壁部の周縁に向けて延びる側壁部と、これら側壁部及び先端壁部の間に形成され、凸状の曲面を有する曲面壁部とを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の操作キーユニット。
【請求項4】
前記操作キーが、前記キー本体の対向面から前記回路基板側に延びる支持部を備え、
該支持部の先端が、前記対向面からの導通部の先端位置よりもキー本体側に位置することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の操作キーユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2006−210174(P2006−210174A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−21220(P2005−21220)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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