説明

操作パネル装置および面発光装置

【課題】 操作部の下方に配設された収納ケース内を眩しさのない柔らかな光で照明して照明品位を高めることができる操作パネル装置を提供する。
【解決手段】前面が操作部(前面ケース3)になっている箱状の筐体1の下方に収納ケース2を積層配置し、この収納ケース2内を筐体1内に配置した光源(LED7)の光で照明するようにした操作パネル装置において、筐体1の底面に収納ケース2に連通する開口4aを開設すると共に、この開口4a内に平板状の光拡散部材8を配置し、LED7の光をこの光拡散部材8で拡散させて収納ケースの内部に照射するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のインストルメントパネル等に配設される操作パネル装置に係り、特に、操作部の下方に収納ケースを配置した操作パネル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両のインストルメントパネルに、前面を操作部としたエアコンやオーディオ等のコントロール機器を組み込むと共に、このコントロール機器の外殻をなす筐体の下方に前面を開放した収納ケースを配設し、筐体の内部に配置した光源の光で収納ケース内を照明するようにした操作パネル装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に開示された操作パネル装置では、筐体の底面に収納ケースに連通する複数の小穴を開設すると共に、筐体の内部に配置した導光体に各小穴の真上まで延びる先鋭状の分岐部を形成し、光源から発せられる光を導光体の内部を通って分岐部の先端まで導くことにより、各分岐部の先端から出射する光が対応する小穴を挿通して収納ケースの内部を照明するようになっている。
【特許文献1】特開2005−309111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した従来の操作パネル装置においては、導光体の分岐部の先端に傾斜方向を異にする複数の傾斜面を形成することにより、分岐部の先端から出射する光が収納ケースの内部に万遍なく行き渡るように工夫されているが、導光体から出射される光の方向が分岐部の各傾斜面の傾斜角度で特定される鏡面光となるため、特定方向から見た出射光が眩しくぎらついて照明品位を低下させるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、操作部の下方に配設された収納ケース内を眩しさのない柔らかな光で照明して照明品位を高めることができる操作パネル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の操作パネル装置は、底面に開口を有し前面が操作部となっている箱状の筐体と、この筐体の内部に配置された光源と、天面を前記開口に連通させて前面が開放部となっている収納ケースと、前記開口内に配置された平板状の光拡散部材とを備え、前記光源の光を前記光拡散部材で拡散させて前記収納ケースの内部に照射するように構成した。
【0007】
このような構成によれば、筐体内の光源から発せられた光が底面の開口内に配置した光拡散部材に入射すると、この入射光が光拡散部材内で乱反射してあらゆる方向へ均等に広がって収納ケース内へ出射されるため、収納ケース内を眩しくぎらつかない柔らかな光で照明することができ、上質な雰囲気を醸し出す照明品位の高い操作パネル装置を実現することができる。
【0008】
上記の構成において、筐体の底面に開設された開口と光拡散部材との間に隙間があってもよいが、開口を光拡散部材で蓋閉して両者間の隙間をなくすことが好ましく、このような構成を採用すると、塵埃等の異物が収納ケースから開口を通って筐体内に侵入することを光拡散部材によって確実に防止できる。
【0009】
また、上記の構成において、開口内に配置される光拡散部材の姿勢は特に限定されないが、光拡散部材を収納ケースの後面から前面に向かって斜め下方へ傾斜するように開口内に配置すると、収納ケースの前面の開放部から光拡散部材が見えにくくなると共に、収納ケース内の奥側へ向かう光量が多くなって好ましい。
【0010】
また、光を放射状に出射する光源と、この光源から出射される光の方向に隔離配置され、該光源に対向する側が入射面で反対側が出射面になっている平板状導光部材とを備えた面発光装置において、前記平板状導光部材の前記入射面に、前記光源と近接する中心位置から拡がる方向に中心側傾斜面および周辺側傾斜面からなる山脈状突条部を複数形成すると、光源から出射されて平板状導光部材の入射面に向かう光は中心側傾斜面でほとんど屈折せずに入射し、平板状導光部材の出射面で中心位置から拡がる方向に屈折するため、光源からの距離の違いに起因する光量のばらつきを補正することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の操作パネル装置は、筐体内の光源から発せられた光が底面の開口内に配置した光拡散部材に入射すると、この入射光が光拡散部材内で乱反射してあらゆる方向へ均等に広がって収納ケース内へ出射されるため、操作部の下方に配設された収納ケース内を眩しくぎらつかない柔らかな光で照明することができ、上質な雰囲気を醸し出す照明品位の高い操作パネル装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1は本発明の実施形態例に係る操作パネル装置の縦断面図、図2は図1のII−II線に沿う断面図、図3は該操作パネル装置の分解斜視図、図4は該操作パネル装置に備えられる筐体を斜め下方から見た斜視図、図5は該操作パネル装置に備えられる光拡散部材の斜視図、図6は該光拡散部材を通過する光路を示す説明図である。
【0013】
本実施形態例に係る操作パネル装置は、前面に操作部を有する箱状の筐体1と、この筐体1の下方に積層配置された収納ケース2とを備えており、これら筐体1と収納ケース2は車両のインストルメントパネルに組み込まれるようになっている。筐体1は、操作部をなす前面ケース3と、前面ケース3の背面側に位置するメインケース4と、メインケース4の上面開放端を蓋閉するカバー5とで構成されており、これら前面ケース3とメインケース4およびカバー5はスナップやねじ止め等の固定手段を用いて一体化されている。収納ケース2の前面と天面は開放されているが、この収納ケース2の天面は筐体1の底面によって塞がれている。
【0014】
前面ケース3には図示せぬ複数の操作リングと操作キーが取り付けられており、ユーザがこれら操作リングや操作キーを回転操作または押圧操作することにより種々の制御動作、例えばエアコンの温度調整や風量調整等が行われるようになっている。
【0015】
メインケース4の内部にはプリント基板6が配置されており、このプリント基板6の裏面に光源であるチップ状のLED7が実装されている。また、メインケース4の底面には平面視方形状の開口4aが設けられており、この開口4aは筐体1の下方に配置された収納ケース2の天面に連通している。開口4aの内壁面には光拡散部材8が圧入やスナップ等の固定手段を用いて取り付けられており、この光拡散部材8によって開口4aは緊密状態に蓋閉されている。光拡散部材8は透過性樹脂中に染料やビーズ等の拡散剤を分散させた平板状の成形品からなり、図1に示すように、光拡散部材8は前下がりの傾斜姿勢で開口4a内に配置されている。この光拡散部材8はLED7に対向する上面側を入射面8aとし、収納ケース2の内部に対向する下面側を出射面8bとするもので、LED7から放射状に出射された光が光拡散部材8の入射面8aに入射されるようになっている。また、光拡散部材8の入射面8aには全体的にセレーション形状をなす複数の山脈状突条部9が形成されており、図2に示すように、LED7はこれら山脈状突条部9の中央位置で光拡散部材8の入射面8aに対向している。図6に示すように、山脈状突条部9は中心側傾斜面9aと周辺側傾斜面9bからなり、各山脈状突条部9はLED7と近接する中心位置から外側へ拡がる方向に連続形成されている。各中心側傾斜面9aの入射面8aに対する傾斜角は中心位置から外側へ拡がるにつれて大きくなるようにしてあり、LED7からの光が各中心側傾斜面9aに略直角に入射するようになっている。これら山脈状突条部9はLED7からの距離の違いに起因する光量のばらつきを調整するものであり、本実施形態例の場合、LED7が光拡散部材8の中心から大きくオフセットするレイアウトになっている関係上、LED7の入射角に対応する入射面8aのほぼ半分領域に各山脈状突条部9が形成されている。
【0016】
このように構成された操作パネル装置では、夜間等の暗所においてLED7が点灯されると、LED7の光が開口4a内に配置された光拡散部材8の入射面8aに入射した後、光拡散部材8内で乱反射してあらゆる方向へ均等に広がって出射面8bから出射されるため、開口4aに連通する収納ケース2内が眩しくぎらつかない柔らかな光で照明され、上質な雰囲気を醸し出す照明品位の高い操作パネル装置を実現することができる。その際、光拡散部材8の入射面8aにLED7と近接する中心位置から外側へ拡がる方向に中心側傾斜面9aと周辺側傾斜面9bからなる山脈状突条部9が複数形成されているため、図6に示すように、LED7の光は中心側傾斜面9aでほとんど屈折せずに入射面8aから入射し、出射面8bで中心位置から外側へ拡がる方向に屈折するため、LED7からの距離の違いに起因する光量のばらつきが各山脈状突条部9によって補正され、収納ケース2内を明るさにムラのない均一な光で照明することができる。
【0017】
しかも、この光拡散部材8は収納ケース2の後面から前面に向かって斜め下方へ傾斜する前傾姿勢で開口4aに取り付けられているので、収納ケース2内の奥側へ向かう光量が多くなって効果的に照明の均一化が図れると共に、収納ケース2の前面の開放部から光拡散部材8が見えにくくなって意匠性を高めることができる。さらに、この光拡散部材8はメインケース4の底面の開口4aを緊密状態に蓋閉しているため、車内に浮遊する塵埃等の異物が収納ケース2から開口4aを通ってメインケース4(筐体1)内に侵入することが光拡散部材8によって阻止され、メインケース4内に配置されたプリント基板6上の回路部品等に対して高い防塵性を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態例に係る操作パネル装置の縦断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】該操作パネル装置の分解斜視図である。
【図4】該操作パネル装置に備えられる筐体を斜め下方から見た斜視図である。
【図5】該操作パネル装置に備えられる光拡散部材の斜視図である。
【図6】該光拡散部材を通過する光路を示す説明図である。
【符号の説明】
【0019】
1 筐体
2 収納ケース
3 前面ケース(操作部)
4 メインケース
4a 開口
5 カバー
6 プリント基板
7 LED(光源)
8 光拡散部材
8a 入射面
8b 出射面
9 山脈状突条部
9a 中心側傾斜面
9b 周辺側傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面に開口を有し前面が操作部となっている箱状の筐体と、この筐体の内部に配置された光源と、天面を前記開口に連通させて前面が開放部となっている収納ケースと、前記開口内に配置された平板状の光拡散部材とを備え、前記光源の光を前記光拡散部材で拡散させて前記収納ケースの内部に照射するように構成したことを特徴とする操作パネル装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記開口が前記光拡散部材によって蓋閉されていることを特徴とする操作パネル装置。
【請求項3】
請求項1または2の記載において、前記光拡散部材の姿勢が前記収納ケースの後面から前面に向かって斜め下方へ傾斜していることを特徴とする操作パネル装置。
【請求項4】
光を放射状に出射する光源と、この光源から出射される光の方向に隔離配置され、該光源に対向する側が入射面で反対側が出射面になっている平板状導光部材とを備えた面発光装置であって、前記平板状導光部材の前記入射面に、前記光源と近接する中心位置から拡がる方向に中心側傾斜面および周辺側傾斜面からなる山脈状突条部を複数形成したことを特徴とする面発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−196706(P2007−196706A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−14079(P2006−14079)
【出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】