説明

操作入力装置

【課題】操作部の自動復帰機能を簡単な構造で実現できる、操作入力装置の提供。
【解決手段】非磁性体の基板30と、基板30に配置された永久磁石10と、基板30を挟んで永久磁石10の反対側に配置され、永久磁石10を基板30に接触させる磁力を永久磁石10の基板30との対向部位との間に発生させるためのコア20と、前記磁力と同じ向きの操作入力が作用することにより、前記対向部位の中心に対し前記操作入力の作用点側で前記対向部位が基板30に接触するエッジBを支点として、永久磁石10と共に傾動する方向キー40と、方向キー40の傾動を検出する導電パッド51〜54及び導電パターン61〜64とを備える、操作入力装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作入力を受ける操作入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作部に自動復帰機能を備えた操作入力装置が知られている(例えば、特許文献1,2,3を参照)。これらの操作入力装置では、自動復帰機能の実現に、磁石の吸引力が利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−277981号公報
【特許文献2】特開平9−265873号公報
【特許文献3】特開平8−185257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、軽量化やコスト削減等の要求から、操作入力を受ける操作部の自動復帰機構の簡素化が求められている。
【0005】
そこで、本発明は、操作部の自動復帰機能を簡単な構造で実現できる、操作入力装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る操作入力装置は、
非磁性体の基部と、
前記基部に配置された第1の磁性体と、
前記基部を挟んで前記第1の磁性体の反対側に配置され、前記第1の磁性体を前記基部に接触させる磁力を前記第1の磁性体の前記基部との対向部位との間に発生させるための第2の磁性体と、
前記磁力と同じ向きの操作入力が作用することにより、前記対向部位の中心に対し前記操作入力の作用点側で前記対向部位が前記基部に接触する部位を支点として、前記第1の磁性体と共に傾動する操作部と、
前記操作部の傾動を検出する検出部とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、操作部の自動復帰機能を簡単な構造で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態である操作入力装置1の分解斜視図である。
【図2】操作入力が作用していない初期位置状態での操作入力装置1の断面図である。
【図3】操作入力装置1の外観斜視図である。
【図4】方向キー40のX(+)側をZ(−)方向に押し込んで、導電パッド51が導電パターン61に接触するまでストロークさせた状態での操作入力装置1の断面図である。
【図5】導電パターン61を上方から見た図である。
【図6】操作入力が付与されていない初期位置状態での自動復帰機構の断面図である。
【図7】方向キー40がX(+)方向側で押された操作状態での自動復帰機構の断面図である。
【図8】方向キー40がX(−)方向側で押された操作状態での自動復帰機構の断面図である。
【図9】方向キー40の位置ずれ状態での自動復帰機構の断面図である。
【図10】フィードバック力としての吸引力F1の発生原理を説明するための図である。
【図11】フィードバック力としの反発力F2の発生原理を説明するための図である。
【図12】永久磁石10の位置ずれを防止するための凹部33を示した図である。
【図13】永久磁石10の位置ずれを防止するためのシート34を示した図である。
【図14】本発明の第2の実施形態である操作入力装置2の分解斜視図である。
【図15】操作入力が作用していない初期位置状態での操作入力装置2の断面図である。
【図16】ヨーク93bとコイル93aからなる検出部の断面図である。
【図17】ヨーク93bとコイル93aからなる検出部の断面斜視図である。
【図18】方向キー40のX(+)側をZ(−)方向に押し込んで、ヨーク91bがコイル91aに近づくまでストロークさせた状態での操作入力装置2の断面図である。
【図19】操作入力が付与されていない初期位置状態での自動復帰機構の断面図である。
【図20】方向キー40がX(+)方向側で押された操作状態での自動復帰機構の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態の説明を行う。本発明の一実施形態である操作入力装置は、操作者の手指等による力を受けて、その受けた力に応じて変化する出力信号を出力する操作インターフェイスである。その出力信号に基づいて操作者による操作入力が検出される。操作入力の検出によって、その検出された操作入力に対応する操作内容をコンピュータに把握させることができる。
【0010】
例えば、家庭用又は携帯可能なゲーム機、携帯電話や音楽プレーヤーなどの携帯端末、パーソナルコンピュータ、電化製品などの電子機器において、そのような電子機器に備えられるディスプレイの画面上の表示物(例えば、カーソルやポインタなどの指示表示や、キャラクターなど)を、操作者が意図した操作内容に従って、移動させることができる。また、操作者が所定の操作入力を与えることにより、その操作入力に対応する電子機器の所望の機能を発揮させることができる。
【0011】
図1は、本発明の第1の実施形態である操作入力装置1の分解斜視図である。図2は、操作入力が作用していない初期位置状態での操作入力装置1の断面図である。図3は、操作入力装置1の外観斜視図である。操作入力装置1は、X,Y,Z軸によって定まる直交座標系のZ軸方向側(図上、上方)から入力される操作者の力を受け付けるものである。なお、Z軸方向は、Z軸に平行な方向である。また、「上方」とは、斜め上方を含むものとし、「下方」とは、斜め下方を含むものとする。
【0012】
操作入力装置1は、方向キー40の下面43に各方向に設けられた導電パッド51〜54と基板30の上面31に各方向に設けられた導電パターン61〜64との接触を検出することによって、操作入力によって方向キー40がいずれかの方向に押されたことを検知可能にするものである。
【0013】
操作入力装置1は、主な構成要素として、基板30と、導電パターン61〜64と、永久磁石10と、コア20と、コイル70と、方向キー40と、導電パッド51〜54とを備える。
【0014】
基板30は、複数の導電パターン(図1の場合、4個の導電パターン61〜64)が配置される上面31を有する基部である。上面31は、操作入力装置1の低背化の点で、XY平面に平行な平面であることが好ましい。基板30は、非磁性体であればよく、その具体例として、ガラスエポキシ樹脂製のプリント基板が挙げられる。基板30は、ケース80の内側で固定される。
【0015】
導電パターン61〜64は、原点Oとの距離が等しい点を結んでできる仮想的な円の円周方向に並んで配置された固定電極である。原点Oは、三次元の直交座標系の基準点である。導電パターン61〜64は、操作者の力のベクトルを算出しやすくするという点で、その円周方向に等間隔に配置されることが好ましい。導電パターン61〜64は、X(+),X(−),Y(+),Y(−)の4方向に、円周方向に90°毎に配置されている。X(−)方向は、XY平面上でX(+)方向に対して180°反対向きの方向であり、Y(−)方向は、XY平面上でY(+)方向に対して180°反対向きの方向である。導電パターン61は、原点Oに対して正側のX軸上に配置され、導電パターン62は、原点Oに対して正側のY軸上に配置され、導電パターン63は、原点Oに対して負側のX軸上に配置され、導電パターン64は、原点Oに対して負側のY軸上に配置されている。
【0016】
なお、導電パターン61〜64は、X軸とY軸に挟まれるXY平面内の斜め45°の4方向に、円周方向に90°毎に配置されていてもよい。例えば、導電パターン61は第1象限に配置され、導電パターン62は第2象限に配置され、導電パターン63は第3象限に配置され、導電パターン64は第4象限に配置される。
【0017】
永久磁石10は、鉄等の磁性体を着磁して円柱状に形成された磁石であって、基板30の上面31に配置される。永久磁石10は、永久磁石10の重心を通るZ軸方向の軸Sが原点Oを通るように、方向キー40の下面43の中央部に固定されている。永久磁石10の上面11及び下面12が、着磁面である。下面12は、基板30の上面31と対向する部位である。永久磁石10が基板30に接触する下面12を平面にすることによって、操作入力装置1を低背化できるとともに、初期位置状態での方向キー40の位置を安定化できる。
【0018】
コア20及びコア20の周囲に配置されたコイル70は、基板30を挟んで永久磁石10の反対側に配置される。コア20は、コイル70との組み合わせによって、全体として電磁石を形成する。コア20は、円柱状の磁性体(例えば、鉄)である。コア20の上面21が基板30を挟んで永久磁石10の下面12に正対するように、コア20は基板30の下面32に固定される。コア20は、永久磁石10を基板30の上面31に接触させる磁力Fを及ぼす磁界Hを、永久磁石10の下面12との間に発生させるための磁性体である。すなわち、磁力Fの向き(磁界Hの向き)は、図上、下向きである。
【0019】
方向キー40は、磁力F(磁界H)と同じ向きの操作入力(すなわち、図上、上方から下方に向けての操作入力)が作用することにより、基板30の上面31と永久磁石10との接触部位を支点として、Z軸上に位置する永久磁石10と共に傾動する操作部である。方向キー40は、操作入力される位置に応じて、X(+/−),Y(+/−)の方向に、永久磁石10と共に傾動する。
【0020】
方向キー40は、基板30に対して操作者の力が入力されてくる側に設けられた操作部材である。方向キー40は、板状の円盤キーであって、基板30に設けられた導電パターン61〜64の上側に配置される。方向キー40は、導電パターン61〜64が配置された基板30の上面31に対向している下面43と、操作者の力が作用しうる操作面41(図上、方向キー40の上側の面)とを有している。
【0021】
方向キー40には、フランジ42が設けられている。方向キー40が基板30と対向している下面43(特には、フランジ42の下面)には、基板30の上面31に配置された複数の導電パターン61〜64と同数の導電パッド51〜54が設けられている。導電パッドと導電パターンは、一対一で、互いに対向する位置に配置された一対の検出部である。導電パッドは、導電性を有する弾性体である。方向キー40は、操作者の力が操作面41に作用することにより、方向キー40の下面43が基板30の上面31に近づくことによって、導電パッドを導電パターンに接触させる。4組ある一対の検出部のいずれかで導電パッドと導電パターンとの接触が検出されることによって、原点Oに対する操作入力の入力方向を検知することができる。
【0022】
操作入力装置1は、方向キー40がケース80の上部に形成された円状の開口部81に嵌合するように、ケース80の内側に取り付けられて支持されている。ケース80は、操作入力装置1が取り付けられる携帯電話やゲーム機などの電子機器の筐体である。操作入力装置1自体が、ケース80を備えていてもよい。ケース80は、開口部81によって、方向キー40を下方に向けて傾動可能にガイドする。
【0023】
次に、操作入力装置1の動きについて説明する。
【0024】
図4は、方向キー40のX(+)側をZ(−)方向に押し込んで、導電パッド51が導電パターン61に接触するまでストロークさせた状態での操作入力装置1の断面図である。図5は、導電パターン61を上方から見た図である。導電パターン61は、銅箔等の導体であり、少なくとも2面以上の複数の面に分割されている(他の導電パターン62〜64も同様)。図5には、基板30の上面31に形成された導電パターン61の2つの分割面61a,61bが示されている。
【0025】
操作入力によって方向キー40が永久磁石10のX軸正側のエッジBを支点として傾動することにより、導電パッド51が導電パターン61に接触すると、分割面61aと61bが導電パッド51を介して短絡する。分割面61aと61bのそれぞれは、不図示の検知回路に接続される。この短絡を検知回路が検知することによって、方向キー40が、原点Oに対して、導電パッド51及び導電パターン61から構成される一対の検出部が配置されている側の作用点Aで押されたことを検知することができる。方向キー40は、操作入力の作用点Aの反対側でフランジ42がケース80の内側上面82に当接するまで傾動する。又は、操作入力の作用点Aの反対側でフランジ42がケース80の内側上面82に当接する手前で、作用点A側の一対の検出部の導電パッドと導電パターンとが当接することによって、方向キー40の傾動角度が制限されてもよい。
【0026】
次に、図6〜図9に従って、方向キー40の初期位置状態への自動復帰機能について説明する。
【0027】
図6は、操作入力が付与されていない初期位置状態での自動復帰機構の断面図である。初期位置状態での方向キー40は、下面43に固定された永久磁石10とコア20との間で発生する磁力(磁界)による吸引力Fによって永久磁石10の下面12が基板30の上面31に密着するため、常に基板30に対して平行に維持される。
【0028】
図7は、方向キー40がX(+)方向側で押された操作状態での自動復帰機構の断面図である。永久磁石10の下面12のX軸正側のエッジB(すなわち、下面12が軸Sに対しX(+)方向側で上面31に接触する部位)を支点として、方向キー40は永久磁石10と共に傾動する。図示の通り、方向キー40が下面12のX軸正側のエッジBを支点として傾動していることにより、方向キー40が傾動した状態でも、下面12をコア20の上面21に対向させることができる。そのため、下面12と上面21との間の吸引力Fを、永久磁石10を基板30に接触させる力として利用するだけでなく、コア20から離れる方向への方向キー40の傾動に抗する力としても利用できる。すなわち、X(+)方向側での操作入力により傾動した方向キー40を図6の初期位置状態に復帰させる自動の原点復帰機構を簡素な構成で実現している。
【0029】
なお、円柱状の永久磁石10の底面(すなわち、下面12)の輪郭は円のため、エッジBはその円周上の一点に相当する。方向キー40が傾いた状態で、永久磁石10と基板30とがエッジBでの点接触であっても、吸引力FがエッジBにも働いているため、方向キー40の傾動を安定させることができる。また、下面12の輪郭が円のため、その輪郭上の任意の点を方向キー40の傾動の支点とすることができる。そのため、方向キー40を原点Oに対し360°任意の方向に傾けることができるので、任意の方向の操作入力を検知可能にすることができる。
【0030】
図8は、方向キー40がX(−)方向側で押された操作状態での自動復帰機構の断面図である。この場合の支点は、永久磁石10の下面12のX軸負側のエッジCである。この場合でも同様に、X(−)方向側での操作入力により傾動した方向キー40を図6の初期位置状態に復帰させる作用がある。
【0031】
図9は、方向キー40の位置ずれ状態での自動復帰機構の断面図である。永久磁石10の下面12の径とコア20の上面21の径を略同一にすることによって、方向キー40が基板30に対して相対的にXY平面上で位置ずれを起こしても、永久磁石10とコア20のそれぞれの軸中心が重なるように吸引力Fが発生するので、そのような位置ずれに対しても図6の初期位置状態に復帰させる作用がある。
【0032】
次に、操作入力装置1が操作者の指先に対して強制的な負荷(フィードバック力)を方向キー40を介して付与する原理について、図10,11に従って説明する。フィードバック力を発生させるため、永久磁石10には、コイル70の軸に対して垂直な方向に端面着磁が施されている。例えば、永久磁石10の上面11は、S極に着磁され、下面12は、N極に着磁される。着磁極性は、この逆(下面12がS極)でもよい。
【0033】
図10は、フィードバック力として生成される吸引力F1の発生原理を説明するための図である。方向キー40が傾動した状態では、永久磁石10とコア20による復帰力(吸引力)の反力が操作者の指先に付与されている。このとき、コア20周辺に配置されたコイル70に電圧を印加し、コイル70に電流を流す。例えば、図10に示す方向に電流を流した場合、端面着磁された永久磁石10により発生している磁界H1の向きとコイル70により発生している磁界H2の向きが略同一のため、永久磁石10を吸引する力はコイル70に電流を流していない状態に比較して強くなる。したがって、操作者の指先に付与されている上向きの反力の大きさは増加し、その増加分の力の変化が操作者に伝わる。この変化する力がフィードバック力として利用される。コイル70に流す電流の波形は、直流でも矩形波でもよい。また、正弦波、三角波、のこぎり波でもよい。
【0034】
図11は、フィードバック力として生成される反発力F2の発生原理を説明するための図である。コア20周辺に配置されたコイル70に、図10の場合とは逆向きに電圧を印加して、電流を流す。そうすると、図11に示す方向に電流が流れることから、端面着磁された永久磁石10により発生している磁界H1の向きとコイル70により発生している磁界H2の向きが略反対のため、永久磁石10とコイル70(コア20)間で反発力が発生する。したがって、操作者の指先に付与されている上向きの反力の大きさは減少し、その減少分の力の変化が操作者に伝わる。この変化する力がフィードバック力として利用される。上記同様、コイル70に流す電流の波形は、直流でも矩形波でもよい。また、正弦波、三角波、のこぎり波でもよい。
【0035】
また、傾動した永久磁石10とコイル70(コア20)間で発生した反発力F2は、XY平面に対して完全には垂直でないため、XY平面に平行な方向が発生し、永久磁石10がその方向にずれる。永久磁石10をずらす横反発力F3は、操作者の指先と方向キー40との摩擦によって、操作者の指先への刺激を与える感触を操作者に与える効果がある。
【0036】
また、図10と図11に示す方向の電流を交互にコイル70に流すことにより、吸引力F1の増加と反発力F2の発生を繰り返して、操作者の指先に刺激を与えることができる。また、コイル70に流す電流の大きさを変化させることによって、吸引力F1や反発力F2や横反発力F3の大きさを変化させることができる。つまり、コイル70に流れる電流の電流値を増加させれば、これらの力を強くすることができ、電流値を減少させれば、これらの力を弱くすることができる。
【0037】
図12は、永久磁石10の位置ずれを防止するための凹部33を示した図である。永久磁石10の直径よりもわずかに大きい(方向キー40及び永久磁石10を傾けることが可能な)凹部33を基板30の上面31に設けることによって、永久磁石10の位置ずれを防止することができる。
【0038】
図13は、永久磁石10の位置ずれを防止するためのシート34を示した図である。永久磁石10の位置ずれが生じない摩擦係数の高いマット状のシート34(例えば、ゴムシート)を、基板30の上面31に固定する。これにより、永久磁石10の支点位置のずれを防ぐことができる。
【0039】
図14は、本発明の第2の実施形態である操作入力装置2の分解斜視図である。図15は、操作入力が作用していない初期位置状態での操作入力装置2の断面図である。上述の実施形態と同様の部分については、その説明を省略する。
【0040】
通常、コイル(巻線)等のインダクタのインダクタンスLは、係数をK、透磁率をμ、コイルの巻数をn、断面積をS、磁路長をdとした場合、
L=KμnS/d
という関係式が成り立つ。この関係式から明らかなように、コイルの巻数や断面積といった形状に依存するパラメータを固定した場合、周囲の透磁率と磁路長の少なくともいずれかを変化させるかによって、インダクタンスが変化する。
【0041】
操作入力装置2は、方向キー40に設置されたヨークに対向するように基板30に設置されたコイルのインダクタンスを検出することによって、方向キー40が操作入力によって下方に変位したときのストローク量を検知可能にするものである。
【0042】
つまり、操作入力装置2は、操作入力装置1の導電パターンをコイルに置き換え、操作入力装置1の導電パッドをヨークに置き換えたものである。操作入力装置1の導電パターンをヨークに置き換え、操作入力装置1の導電パッドをコイルに置き換えてもよい。図14には、コイル91a〜94a及びヨーク91b〜94bが示されている。ヨークは、比透磁率が1よりも高い材質であればよい。例えば、比透磁率は1.001以上あると好適であり、具体的には、鋼板(比透磁率5000)などが好ましい。ヨークは、方向キー40と別部品にするのではなく、フェライトなどで一体にすることもできる。基板30は、樹脂製の非磁性体基板である。方向キー40が傾動し、コイルにヨークが近づくと、コイル周辺の透磁率が増加し、コイルのインダクタンスが増加する。これを電気的に検出することによって、方向キー40の傾動動作が検出可能となる。
【0043】
すなわち、方向キー40がX(+)方向側の操作面41が押されると(図18)、ヨーク91bがコイル91aに近づくことによりコイル91aのインダクタンスが増加する方向に変化する一方で、ヨーク93bがコイル93aから離れることによりコイル93aのインダクタンスが減少する方向に変化する。したがって、方向キー40の傾動量と各コイルのインダクタンスとの対応関係を予め測定しておくことによって、所定の操作入力検知装置は、予め測定されたその対応関係に従って、計測されたインダクタンスに対応する方向キー40の傾動量を検知できる。これにより、方向キー40の傾動量(アナログ量)に基づいてコイル70に流す電流を調整することによって、方向キー40の傾動量(アナログ量)に応じたフィードバック力を発生させることも可能である。
【0044】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形、改良及び置換を加えることができる。また、上述の複数の実施形態それぞれの一部を組み合わせて構成された別の実施形態も考えられ得る。
【0045】
例えば、非磁性体の基部に配置される第1の磁性体として永久磁石10を例示し、その基部を挟んで第1の磁性体の反対側の第2の磁性体としてコア20を例示した。この点、第1の磁性体と第2の磁性体との間に、第1の磁性体を基部に接触させる磁力を発生させるためには、第1の磁性体と第2の磁性体の少なくとも一方が着磁されていればよいので、第1の磁性体が着磁されずに第2の磁性体が着磁されていてもよいし、その両方の磁性体が着磁されていてもよい。また、磁界の変化を起こすことができるように、第1の磁性体にコイルが巻いて、全体として電磁石として機能させてもよい。
【0046】
また、図19,20は、第1の磁性体の他の形態例である。永久磁石110の基板30との対向面(すなわち、下面112)は、球面である。方向キー40は、下面43に固定された永久磁石110とコア20との間で発生する磁力による吸引力Fによって、永久磁石110の下面112は基板30の上面31に密着するため、常に基板30に対して平行に維持される。下面112は球面のため、永久磁石110と基板30は接点Dで接している。そして、図20に示されるように、永久磁石110の下面112のX軸正側の円弧上の点E(すなわち、下面112が軸Sに対しX(+)方向側で基板30の上面31に接触する部位)を支点として、方向キー40は永久磁石110と共に傾動する。
【0047】
このように、下面112の中心に対し操作入力の作用点側の接点Eを支点として、方向キー40が永久磁石110と共に傾動するので、永久磁石110を基板30に接触させる力としてだけでなく、コア20から離れる方向への方向キー40の傾動に抗する力として、吸引力Fを利用することができる。すなわち、X(+)方向側での操作入力により傾動した方向キー40を図19の初期位置状態に復帰させる自動の原点復帰機構を簡素な構成で実現している。
【0048】
また、第1の磁性体が非磁性体の基部に対向している部位の形状は、上述の実施例では円であったが、四角形や八角形などの多角形でもよい。この場合、多角形の辺を支点として、方向キーは第1の磁性体と共に傾動する。また、第1の磁性体が非磁性体の基部に対向している部位の形状は、凹面でもよい。この場合、凹面の輪郭が基部に接触し、その輪郭上の点を支点として、方向キーは第1の磁性体と共に傾動する。
【0049】
また、操作入力を受ける操作部として、円盤状の方向キー40を例示したが、入力方向は4方向に限らない。当該操作部は、360°の任意の方向に操作可能なものでもよい。
【0050】
また、導電パッドと導電パターンとの接触を検知することにより方向キー40の傾動を検出する構成と、インダクタンスの変化を検知することにより方向キー40の傾動を検出する構成を例示したが、方向キー40の傾動を検出する検出部の構成は、これらの構成に限らない。例えば、方向キー40の下面43に固定された可動電極と基板30の上面31に固定された固定電極との間の静電容量の変化を検知することにより、方向キー40の傾動量を検出する構成でもよい。
【0051】
また、操作入力装置は、手指に限らず、手のひらで操作するものあってもよい。また、足指や足の裏で操作するものであってもよい。また、操作者が触れる面は、平面でも、凹面でも、凸面でもよい。
【符号の説明】
【0052】
1,2 操作入力装置
10 永久磁石(第1の磁性体)
20 コア(第2の磁性体)
30 基板
40 方向キー
42 フランジ
51〜54 導電パッド
61〜64 導電パターン
70 コイル
80 ケース
91a〜94a コイル
91b〜94b ヨーク
110 永久磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性体の基部と、
前記基部に配置された第1の磁性体と、
前記基部を挟んで前記第1の磁性体の反対側に配置され、前記第1の磁性体を前記基部に接触させる磁力を前記第1の磁性体の前記基部との対向部位との間に発生させるための第2の磁性体と、
前記磁力と同じ向きの操作入力が作用することにより、前記対向部位の中心に対し前記操作入力の作用点側で前記対向部位が前記基部に接触する部位を支点として、前記第1の磁性体と共に傾動する操作部と、
前記操作部の傾動を検出する検出部とを備える、操作入力装置。
【請求項2】
前記第2の磁性体の周囲にコイルを備え、
前記コイルに印加する電圧に応じて、前記第1の磁性体と前記第2の磁性体との間に発生する磁力が調整される、請求項1に記載の操作入力装置。
【請求項3】
前記第1の磁性体と前記第2の磁性体との間に反発力を発生させる電圧が、前記コイルに印加される、請求項2に記載の操作入力装置。
【請求項4】
前記反発力が、前記操作部が傾動した状態で発生する、請求項3に記載の操作入力装置。
【請求項5】
前記第1の磁性体が、磁石である、請求項1から4のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項6】
前記対向部位の形状が、平面である、請求項1から5のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項7】
前記対向部位の輪郭が、円である、請求項1から6のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項8】
前記対向部位の大きさが、前記第2の磁性体の前記対向部位との対向部分の大きさに略等しい、請求項1から7のいずれか一項に記載の操作入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−258389(P2011−258389A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131382(P2010−131382)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】