説明

操作機構

【課題】より簡単な構成で部品点数を可及的に少なくし、組み立て効率を向上させることができる操作機構を提供する。
【解決手段】操作レバー81aの第1方向Xに沿った操作に応じて、操作軸85が軸線方向移動され、作動アーム86が第1または第2シフトフォーク871,872に選択的に作動連結される。そして、操作レバー81aの第2方向Yに沿った操作に応じて、操作軸85が軸線回り回転され、選択されているシフトフォーク871,872が対応するシフタ3221s,3222sを移動させる。これにより、複数の変速機構3221,3222のうち、対応する変速機構3221,3222の駆動軸322aから従動軸322bへの動力伝達状態が切り替えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車輌等の変速操作に用いられる操作機構に関し、特に、複数の変速機構を選択的に操作する操作機構に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の変速機構、例えば、第1シフタによって第1駆動軸から第1従動軸への動力伝達状態が切り替えられる第1変速機構と、第2シフタによって第2駆動軸から第2従動軸への動力伝達状態が切り替えられる第2変速機構とを操作する操作機構において、単一の操作レバーを用いていずれかの変速機構を選択的に操作する構成が公知である。
このような操作機構においては、操作レバーの基部において複数系統(2系統)に分岐したリンク機構を有し、操作レバーの揺動操作に応じていずれかの系統に選択的に作動連結される(特許文献1,2参照)。つまり、このようなリンク機構においては、操作レバーの基部に係合する係合アームからリンクアームおよび操作軸を介して変速機構のギヤ列の組み替えを行うシフトフォークに至るまでの構成がすべて重複した複数系統として構成される。
【0003】
このように、上記構成の操作機構においては、操作レバーの基部と各変速機構との間のリンク機構が変速機構毎に複数(2つ)必要となり、部品点数が増大し、操作機構が複雑で組み立て効率も悪化する。
【特許文献1】特許第2658016号公報
【特許文献2】特開2003−154863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、より簡単な構成で部品点数を可及的に少なくし、組み立て効率を向上させることができる操作機構の提供を、一の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る操作機構は、第1シフタによって第1駆動軸から第1従動軸への動力伝達状態が切り替えられる第1変速機構と、第2シフタによって第2駆動軸から第2従動軸への動力伝達状態が切り替えられる第2変速機構とを操作する操作機構であって、第1方向および第2方向に人為操作可能とされた単一の操作レバーと、前記第1および第2変速機構を収容するミッションケースに軸線方向移動可能かつ軸線回り回転可能に支持された操作軸と、前記操作レバーの第1方向に沿った操作に応じて前記操作軸を軸線方向に移動させ、かつ、前記操作レバーの第2方向に沿った操作に応じて前記操作軸を軸線回りに回転させるように、前記操作レバーおよび前記操作軸を作動連結する操作リンク機構と、前記操作軸に相対移動不能に支持された作動アームと、前記第1シフタに係合する第1シフトフォークと、前記第2シフタに係合する第2シフトフォークとを備え、前記操作軸の軸線方向移動または軸線回り回転の一方の動きによって前記作動アームが前記第1または第2シフトフォークに選択的に作動連結し、かつ、前記操作軸の軸線方向移動または軸線回り回転の他方の動きによって選択されているシフトフォークが対応するシフタを移動させることを特徴とするものである。
【0006】
上記構成の操作機構によれば、第1シフトフォークが第1変速機構の第1シフタに係合され、第2シフトフォークが第2変速機構の第2シフタに係合されている。また、第1および第2変速機構を収容するミッションケースに操作軸が支持されている。
ここで、操作軸は、軸線方向移動可能かつ軸線回り回転可能に支持されている。一方、操作レバーは、第1および第2方向に人為操作可能であり、操作リンク機構を介して操作軸と作動連結される。そして、操作レバーの第1方向に沿った操作に応じて、操作軸が軸線方向に移動され、操作レバーの第2方向に沿った操作に応じて、操作軸が軸線回りに回転される。この際、操作軸の軸線方向移動または軸線回り回転の一方の動きによって作動アームが第1または第2シフトフォークに選択的に作動連結され、かつ、操作軸の軸線方向移動または軸線回り回転の他方の動きによって選択されているシフトフォークが対応するシフタを移動させて、対応する変速機構の駆動軸から従動軸への動力伝達状態が切り替えられる。
【0007】
このように、複数の変速機構に対して2方向に操作可能な単一の操作レバーを用いた操作機構において、操作レバーの2方向の操作を複数の変速機構の選択動作と選択された変速機構における変速動作とに分け、操作レバーの2方向への操作に応じた動きを単一の操作軸における軸線方向移動および軸線回り回転のいずれかの動きに変換させることにより、複数の変速機構間における共通の動作については同一系統とすることができる。したがって、操作機構の組み立て効率を向上させることができるとともに、操作レバーの基部と各変速機構との間のリンク機構を単純化することができるため、より簡単な構成で部品点数を可及的に少なくすることができる。
【0008】
好ましくは、前記第1シフトフォークを相対移動不能に支持する第1フォーク軸と、前記第2シフトフォークを相対移動不能に支持する第2フォーク軸とを備え、前記操作軸の前記一方の動きによって前記作動アームが前記第1または第2フォーク軸に選択的に係合し、前記操作軸の前記他方の動きによって前記作動アームを介して選択されたフォーク軸が移動するように構成される。
【0009】
この場合、第1フォーク軸に第1シフトフォークが相対移動不能に支持されるとともに、第2フォーク軸に第2シフトフォークが相対移動不能に支持される。作動アームは、第1および第2フォーク軸に選択的に係合され、係合された第1または第2フォーク軸を介して第1または第2シフトフォークを移動させる。
このように、フォーク軸を用いることにより、作動アームを支持する操作軸がシフトフォーク近傍に配置できない場合であっても、作動アームの動きをフォーク軸を介してシフトフォークに確実に伝えることができるため、簡単な構成で設計の自由度を向上させることができる。
【0010】
より好ましくは、前記第1および第2駆動軸は、共通の駆動軸とされ、前記第1および第2従動軸は前記共通駆動軸と略平行に配置された共通の従動軸とされており、前記第1および第2フォーク軸は、前記共通駆動軸および共通従動軸と略平行な状態で軸線方向移動可能に前記ミッションケースに支持されており、前記操作軸は、前記第1および第2フォーク軸と略直交するように前記ミッションケースに支持されており、前記操作軸の軸線方向移動によって前記作動アームが前記第1または第2フォーク軸に選択的に係合し、前記操作軸の軸線回り回転によって選択されたフォーク軸が軸線方向に移動し、対応するシフトフォークを介して対応するシフタが移動されるように構成される。
【0011】
この場合、第1および第2駆動軸が共通化され、第1および第2従動軸も共通化される。操作軸は、共通駆動軸および共通従動軸に略平行に配置された第1および第2フォーク軸と略直交するようにミッションケースに支持される。
そして、操作軸の軸線方向の移動により作動アームが第1または第2フォーク軸に選択的に係合され、軸線回りの回転により作動アームに選択係合されたフォーク軸が軸線方向に移動されて、対応する変速機構の動力伝達状態が切り替えられる。
このように、フォーク軸を共通駆動軸および共通従動軸に略平行かつ操作軸に略垂直に配置することにより、操作軸の軸線方向移動および軸線回り回転のそれぞれの動作を有効かつ効率的に伝達することができる。
【0012】
好ましくは、前記操作軸は、一端部が外方へ延在するように前記ミッションケースに支持されており、前記操作リンク機構は、前記操作レバーと前記操作軸の一端部とを作動連結するように構成される。
【0013】
この場合、操作リンク機構がミッションケースの外方に延在された操作軸の一端部に支持される。
このように操作リンク機構がミッションケースの外方に設けられるため、ミッションケース内の機構が複雑化することによる組み立て効率の悪化を防止し、操作機構の整備性を向上させることができる。
【0014】
好ましくは、前記操作リンク機構は、前記操作レバーの第1方向に沿った操作に応じて前記操作軸を軸線方向に移動させる第1リンク機構と、前記操作レバーの第2方向に沿った操作に応じて前記操作軸を軸線回りに回転させる第2リンク機構とを備え、前記第1リンク機構は、前記操作レバーと前記操作軸との間に張設されたワイヤを有し、前記操作レバーの第1方向に沿った操作に応じて前記ワイヤが前記操作軸を引っ張ることにより、前記操作軸を軸線方向に移動させ、前記第2リンク機構は、前記操作軸に軸支され、前記操作レバーに作動連結されたリンクロッドを有し、前記操作レバーの第2方向に沿った操作に応じて前記リンクロッドが揺動することにより、前記操作軸を軸線回りに回転させるように構成される。
【0015】
この場合、操作レバーと操作軸との間に第1リンク機構のワイヤが張設されており、操作レバーの第1方向に沿った操作に応じてワイヤが引っ張られると、操作軸が軸線方向に移動される。加えて、操作レバーと操作軸とは第2リンク機構のリンクロッドにより作動連結されており、操作レバーの第2方向に沿った操作に応じてリンクロッドが揺動すると、操作軸が軸線回りに回転される。
このように、操作軸の軸線方向移動をワイヤの引っ張りにより行うことにより、操作リンク機構の構成をより簡単にし、部品点数を減少させることができる。
【0016】
さらに好ましくは、前記操作レバーには、前記ワイヤの一端部が取り付けられ、前記第1リンク機構は、前記操作軸に軸線方向移動不能に設けられた第1部材と、前記第1部材を前記操作軸の軸線方向に押圧可能かつ前記ワイヤの他端部が取り付けられた第2部材とを有し、前記操作レバーの第1方向に沿った操作に応じて前記第2部材が前記第1部材を前記操作軸の軸方向に押圧するように構成される。
【0017】
この場合、操作レバーの第1方向に沿った操作に応じてワイヤが引っ張られると、第1リンク機構のワイヤ取り付け部である第2部材により、操作軸に軸線方向移動不能に設けられた第1部材が操作軸の軸線方向に押圧される。これに伴って、操作軸が軸線方向に移動される。
したがって、ワイヤの引っ張る方向に関わらず、ワイヤの張力を操作軸の軸線方向移動の力に有効に変換することができる。
【0018】
さらに好ましくは、前記第2部材は、前記第1部材に設けられた枢支軸に軸支され、前記ワイヤの引っ張りにより前記枢支軸回り一方側への回転作用が生じるように構成される一方、前記回転作用を抑制する抑制部材が設けられ、前記抑制部材により抑制された前記回転作用の反力により、前記第1部材を前記操作軸の軸線方向に押圧するように構成される。
【0019】
この場合、第2部材がワイヤにより引っ張られると、第2部材を第1部材に軸支する枢支軸回り一方側への回転作用が第2部材に生じるが、抑制部材により当該回転作用が抑制されるため、第2部材には反力が生じる。こうして、当該第2部材に生じた反力により、第1部材が第2部材に押圧されて、操作軸を軸線方向に移動させる。
したがって、ワイヤを引っ張ることにより第2部材に生じる反力を利用して第1部材を押圧するため、ワイヤの張力を過大にすることなく操作軸の軸線方向の移動が容易に行うことができるため、操作レバーの第1方向に沿った操作を軽い力で行うことができる。
【0020】
さらに好ましくは、前記第2部材には、前記ワイヤの引っ張りにより前記第1部材に設けられた枢支軸回り他方側への付勢力を生じさせる弾性部材が設けられるように構成される。
【0021】
この場合、第2部材がワイヤにより引っ張られ、枢支軸回り一方側への回転作用が生じると、弾性部材により枢支軸回り他方側への付勢力が生じる。
したがって、操作レバーの第1方向への操作により操作軸の軸線方向一方側に移動させた操作軸を、操作レバーを第1方向に関して元の位置に戻すことにより(ワイヤの引っ張りを弱めることにより)、操作軸の軸線方向に関して元の位置に自動復帰させることができる。
【0022】
また、好ましくは、前記抑制部材は、前記第1部材に設けられた枢支軸に対して略垂直に前記第2部材から延びた突出部材と、前記ミッションケースに支持され、前記突出部材と係合することにより前記第1部材の前記回転作用に伴う前記突出部材の揺動を抑制する係合部材とを有するように構成される。
【0023】
この場合、第2部材がワイヤにより引っ張られると、軸回り一方側への回転作用が生じるとともに第2部材から延びた突出部材に軸回り一方側への揺動作用が生じるが、突出部材は、ミッションケースに支持された係合部材に係合されており、当該突出部材の揺動作用が抑制される。これにより、突出部材に連動する第2部材の回転作用も抑制される。
したがって、第2部材の回転作用を有効に抑制することができ、当該回転作用から反力を有効に生じさせることができる。
【0024】
好ましくは、前記操作レバーは、前記第1方向の一方側に付勢されており、前記第1方向の他方側へ人為操作可能とされているように構成される。
【0025】
この場合、操作レバーは第1方向の一方側に付勢されており、操作レバーを第1方向の他方側へ人為操作した際、その後第2方向への操作をしない場合、または第2方向の操作の後、第2方向に関して元の位置に戻せば、操作レバーは、第1方向に関して元の位置に自動復帰する。
したがって、操作レバーが第1方向の最も一方側にあるときに、複数の変速機構のうち、使用頻度の高い変速機構のシフタに係合するように構成することで、使用頻度の高い変速操作を容易かつ確実に行うことができ、変速に関する操作性をよくすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る操作機構によれば、複数の変速機構に対して2方向に操作可能な単一の操作レバーを用いた操作機構において、操作レバーの2方向の操作を複数の変速機構の選択動作と選択された変速機構における変速動作とに分け、操作レバーの2方向への操作に応じた動きを単一の操作軸における軸線方向移動および軸線回り回転のいずれかの動きに変換させることにより、複数の変速機構間における共通の動作については同一系統とすることができる。したがって、操作機構の組み立て効率を向上させることができるとともに、操作レバーの基部と各変速機構との間のリンク機構を単純化することができるため、より簡単な構成で部品点数を可及的に少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る操作機構の好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0028】
(a)全体構成
図1は、本発明に係る操作機構の一例が適用された作業車輌100(ここでは乗用トラクタ)の概略側面図であり、図2は、図1の作業車輌100における伝動模式図である。
図1に示す作業車輌100は、車輌幅方向に所定の間隔をおいて配置された左右一対の機体フレーム1であって、車輌前後方向(図中A方向)に延びる左右一対の機体フレーム1を有しており、この機体フレーム1に、駆動源2(ここではエンジン)とトランスミッション3(ミッションケース30)とを前後に離間して備え、該駆動源2からの駆動力を車輌前後方向A一方側AFおよび他方側ARにそれぞれ配置された左右一対の操向輪および左右一対の非操向輪に伝達し得るように構成されている。なお、本実施の形態においては、左右一対の操向輪が前輪4とされ、且つ、左右一対の非操向輪が後輪5とされている。
即ち、前記機体フレーム1の前部には前記前輪4を支持する前車軸4aが支承され、前記ミッションケース30から車輌幅方向外方へ向けて、前記後輪5を支持する後車軸5aが突出されている。
なお、本実施の形態では、前記駆動源2としてエンジンを用いるが電動モータを用いてもよい。
【0029】
また、前記作業車輌100は、作業機を付設し得るように構成されている。
前記ミッションケース30の後端部には、前記作業機を付設した際に該作業機への駆動力を出力する為のPTO軸18が後向きに突出するように設けられている。
【0030】
前記作業車輌100において、前記駆動源2は走行機体前部のボンネット6内部に配置されている。該ボンネット6の後方には運転部ケース9が配設されている。
図3は、図1の作業車輌100の運転部ケース9に配設される運転席周辺の概略斜視図である。
運転部ケース9内且つ前記ミッションケース30の上方には運転席90が配設されている。運転席9前方には、ステアリングコラム(図示せず)が設けられている。また、運転席90の前側下方からステップ台12が設けられ、このステップ台12の後方に前記後輪フェンダー11および運転部フレーム91が設けられている。そして、運転部フレーム91上に運転席90が配設される。
【0031】
さらに、運転席90の前進方向左側と後輪フェンダー11との間には、複数の操作レバー81a,81b,81cを有する操作レバーユニット8が設けられている。操作レバーユニット8は、操作レバー81a,81b,81cの一部が外部に突出した状態で外装部材80により覆われている。本実施形態においては、操作レバー81aは、出力部材である操作リンク機構84a1,84a2を介して後述するPTO系変速装置320を人為操作可能としている。また、操作レバー81bは、出力部材である操作リンク機構84bを介して後述する副変速装置として作用する機械式変速装置312を人為操作可能としている。さらに、操作レバー81cは、出力部材である操作リンク機構84cを介して、図2においては図示していないが、超低速作業用のクリープ装置として作用する超低速用機械式変速装置を人為操作可能としている。なお、運転席90の前進方向右側と後輪フェンダー11との間にも同様に少なくとも1つの操作レバーを有する操作レバーユニット8’が設けられている。
【0032】
(b)操作レバーユニット
図4は、図3における運転席周辺の側方端面図である。また、図5は、図4の操作レバーユニット8の後方斜視図であり、図6は、図4の操作レバーユニット8の上方斜視図である。なお、図6においては、機械式変速装置312用の操作レバー81bおよびそのリンク機構ならびにクリープ装置用の操作レバー81cは、図示を省略している。
操作レバーユニット8は、上記複数の変速機構を操作する操作レバー81a,81b,81cと、前記操作レバー81a,81b,81cを少なくとも軸線回り揺動可能に軸支する枢支軸82a,82b,82cと、前記枢支軸82a,82b,82cが支持され、作業車輌100の取付部位である運転部フレーム91に取り付けられるブラケット83と、前記操作レバー81a,81b,81cに作動連結され、前記操作レバー81a,81b,81cの揺動を前記変速機構に伝動する出力部材である操作リンク機構84a1および84a2,84b,84cとを具備する。そして、前記ブラケット83は、前記操作レバー81a,81bの前記枢支軸82a,82b回りの揺動に伴った前記操作リンク機構84a1および84a2,84bの動きを許容しつつ、所定範囲外の前記操作リンク機構84a1および84a2,84bの動きを規制するように構成される。操作レバー8’も同様の構成として実現できる。
【0033】
上記構成の操作レバーユニット8によれば、変速機構を操作する操作レバー81a,81b,81cを軸支する枢支軸82a,82b,82cがそれぞれ単一のブラケット83に支持される。
なお、ブラケット83に支持される操作レバー81a,81b,81cは、仕様等に応じて適宜取捨選択可能である。例えば、図2に示すようなクリープ機構を有しない作業車輌においては、操作レバー81c(および操作リンク機構84c)は、取り付けない。この際、枢支軸82cは、剛性強化のために取り付けられていてもよい。また、変速装置等が自動変速とされる場合に、対応する操作レバーを取り付けない構成とすることもできる。
本実施形態において、前記ブラケット83は、互いに対向する第1側面831および第2側面832を有し、前記複数の枢支軸82a,82b,82cは、互いに略平行となるように(第1側面831および第2側面832に略垂直に)、前記第1側面831および前記第2側面832に支持される。ここでは、第1側面831および第2側面832の互いに対応する位置に軸孔が設けられ、当該軸孔に枢支軸82a,82b,82cが係止されている。
【0034】
一方、出力部材である操作リンク機構84a1および84a2,84b,84cは、操作レバー81a,81b,81cの操作に応じて揺動可能に作動連結される。
本実施形態において、前記枢支軸82a,82b,82cは、前記ブラケット83に軸線回り回動可能に取り付けられる。また、前記操作レバー81a,81bおよび前記操作リンク機構84a1および84a2,84bは、前記枢支軸82a,82bに相対移動不能(枢支軸82a,82bとともに枢支軸82a,82b回り回動可能)に固定される。操作レバー81cは、枢支軸2cに相対移動不能に固定されるとともに、操作リンク機構84cが枢支軸2cと平行な軸線回り揺動可能に固定される。
枢支軸82a,82b,82cが両端で支持されることにより、操作レバーユニット8全体の剛性を高めることができ、より確実な変速動作を行うことができる。
【0035】
前記ブラケット83は、前記第1側面831および前記第2側面832の間にわたって設けられた第3側面(底面)833を有している。
【0036】
前記第3側面833には、前記操作リンク機構84a1および84a2,84bを挿通可能な連通孔834a,834bが設けられており、当該連通孔834a,834bには、操作リンク機構84a1および84a2,84bを囲繞する樹脂等により形成された弾性のブーツ部材840a,840bが嵌合される。しかも、前記ブーツ部材840a,840bは、前記操作レバー81a,81bの前記枢支軸82a,82b回りの揺動に伴った前記操作リンク機構84a1および84a2,84bの動きを許容しつつ、所定範囲外の前記操作リンク機構84a1および84a2,84bの動きを規制する。
なお、本実施形態においては、ブーツ部材840aは、操作レバー81aの出力部材である操作リンク機構84a1,84a2の双方を囲繞するように形成される。
ここで、前記所定範囲とは、操作レバー81a,81bの揺動に伴う動きの範囲に限られず、操作リンク機構84a1および84a2,84bがブラケット83の取付時において邪魔にならない程度の範囲を意味し、操作レバー81a,81bの揺動に伴う動きの範囲より大きめに設定される。
【0037】
このような操作レバーユニット8は、ブラケット83の第3側面833が作業車輌100の取付部位である運転部フレーム91上にボルト締めまたは溶接等によって固定される。
また、本実施形態のブーツ部材840a,840bは、作業車輌100の取付部位である運転部フレーム91に嵌合可能に構成されるように構成される。
【0038】
この場合、ブラケット83が運転部フレーム91上に取り付けられる際、ブーツ部材8400a,840bが運転部フレーム91に設けられた連接孔(図示せず)に嵌合される。
したがって、ブラケット83を運転部フレーム91に取り付けた際に、ブラケット83と運転部フレーム91との間をブーツ部材840a,840bでシールしつつ、出力部材の位置決めを容易に行うことができ、変速機構への連結を容易に行うことができる。
なお、本実施形態のブーツ部材840cは、ブラケット83を介さずに運転部フレーム91に設けられた連通孔に直接嵌合されるが、操作リンク機構84a1および84a2,84bと同様に、操作リンク機構84cについてもブラケット83およびブーツ部材840cを用いて所定範囲外の動きを規制することとしてもよい。
【0039】
以上のように、操作レバー81a,81b,81cおよび枢支軸82a,82b,82cを出力部材である操作リンク機構84a1および84a2,84b,84cとともにブラケット83に設けることにより、操作レバー81a,81b,81c周辺の機構をユニット化することができる。そして、当該ユニットをまず組み立ててから取付部位(作業車輌本体)に取り付けることにより、作業スペースの効率化を図ることができるとともに、作業時間を短縮することができ、組み立て効率を上げることができる。
しかも、ブラケット83および当該ブラケット83に嵌合されるブーツ部材840a,840bにより複数の操作リンク機構84a1および84a2,84bの所定範囲外の動きが規制されるため、運転部フレーム91への取り付け時に複数の操作リンク機構84a1および84a2,84bがぶらついて取り付けの邪魔となることを防止することができ、より迅速かつ容易に取付作業を行うことができる。
ここで、操作リンク機構84a1および84a2,84bの規制部材として弾性のブーツ部材840a,840bを用いることにより操作リンク機構84a1および84a2,84bの規制を緩やかに行うことができ、操作リンク機構84a1および84a2,84bや連通孔834a,834bの耐久性を向上させることができる。
【0040】
また、異なる仕様の操作機構とする場合もユニット内の仕様変更(ブラケット83に対する操作レバーの配置変更等)を行うことにより、ブラケット83を共通化することができるため、作業車輌本体側の仕様変更を可及的に少なくすることができ、仕様変更の自由度をより高くすることができる。
【0041】
加えて、複数の操作レバー81a,81b,81cが軸支されるそれぞれの枢支軸82a,82b,82cが互いに略平行となるように、1つのブラケット83内に組み込まれるため、ユニット化されたブラケット83を取付部位である作業車輌100の運転部フレーム91に取り付けることにより、複数の操作レバー81a,81b,81cを一度に取り付けることができる。したがって、複数の操作レバー81a,81b,81cを取り付ける場合であっても、作業時間を短縮することができ、組み立て効率をさらに上げることができる。しかも、それぞれの操作レバー81a,81b,81cの位置決めを枢支軸82a,82b,82cとブラケット83との位置決めにより一括して容易に行うことができる。
【0042】
(c)操作レバーガイド
また、本実施形態の操作レバーユニット8は、図5に示すように、前記操作レバー81aの揺動をガイドするガイド部材89を具備する。ここでは、ガイド部材89は、前記枢支軸82aに略平行となるように前記ブラケット83に固定されることにより、前記第1側面831、第2側面832および第3側面833のそれぞれと略直交するブラケット83の一側面(ここでは後側面である第4側面890)が形成されている。ガイド部材89は、ブラケット83とともに鉄板等の剛体により形成される。
図5および図6に示すように、操作レバー81a(後述する第2軸813)には、ガイドロッド818が相対移動不能に設けられており、操作レバー81aの枢支軸82a回りの揺動に応じてガイドロッド818が揺動される。なお、本実施形態の操作レバー81aは、後述するように2方向X,Yに揺動操作可能であり、枢支軸82a回りの揺動操作(第2方向Y)のみならず、第1方向回動軸812回りの揺動操作(第1方向X)に基づく操作レバー81aの揺動に応じても、ガイドロッド818は揺動される。
一方、前記ガイド部材89には、前記ガイドロッド818の揺動範囲の周囲が囲繞されるガイド孔891を有している。
【0043】
この場合、操作レバー81aの揺動に応じて揺動するガイドロッド818がガイド部材89の第4側面890に設けられたガイド孔891に挿通されて、操作レバー81aの揺動に伴うガイドロッド818の揺動範囲内の揺動が誘導される一方、揺動範囲外への揺動が規制される。
【0044】
このように、操作レバー81aを軸支する枢支軸82aが支持されるブラケット83にガイド部材89が設けられることにより、操作レバー81aの揺動範囲の可及的に短い領域で操作レバー81aをガイドすることができるため、ガイド部材89を可及的に小さくすることができる。
また、作業車輌100の後輪フェンダー11上部等にガイドを形成した金属製フレームを取り付ける必要もなくなるため、車輌重量を可及的に低減させるとともに、製造コストを抑えることができる。しかも、操作レバー81aを軸支する枢支軸82aが支持されるブラケット83にガイド部材89が設けられるため、ガイド部材89を高剛性とすることにより、操作レバーユニット8全体が高剛性を得ることができる。
さらに、操作レバー81aの仕様変更の際にも、ガイド部材89を変更するだけでよいため、外装部材80(特に、操作レバー揺動用の孔の形状)を変更することなく(外装部材80で操作レバーをガイドさせずに、操作レバーの揺動範囲が予め複数種類許容されるように外装部材が形成される)、容易に仕様変更することができる。また、ガイド部材89が操作レバー81aおよび枢支軸82aとともにブラケット83を用いて1つのユニットを形成することにより、上記構成の組み付けコストを低減させることができる。
【0045】
加えて、操作レバー81aをガイドロッド818を用いて間接的にガイドさせることにより、操作レバー81aの軸部分にガイド部材89の設置空間を確保し難い場合であっても、ガイドロッド818の揺動範囲が可及的に短い範囲においてガイド部材89を取り付けることができ、操作レバー81aの誘導・規制を確実に行いつつ、設計自由度を高くすることができる。
【0046】
また、ガイド部材89がブラケット83の一側面である第4側面890を形成することにより、ブラケット83において対向する第1側面831および第2側面832を当該第1側面831および第2側面832に支持された枢支軸82aおよび第3側面833に加えて、枢支軸82aに略平行な第4側面890で支持することにより、枢支軸82a、第3側面833および第4側面890が梁構造となる(ブラケット83が箱型構造となる)。
これにより、他の部材を用いることなく、ブラケット83の剛性をより高めることができる。
【0047】
本実施形態においては、操作レバー81aにガイドロッド818が設けられ、当該ガイドロッド818がガイド部材89のガイド孔891に挿通される構成について説明したが、操作レバー81aの軸部分(本実施形態において後述する第2軸813)の揺動範囲の周囲を囲繞するガイド孔を形成することとしてもよい。具体的には、ブラケット83の上面に第4側面890を形成するガイド部材89を設けることとしてもよい。
【0048】
この場合、ガイド部材89に設けられたガイド孔に操作レバー81aの軸部分が挿通されて、操作レバー81aの揺動範囲内の揺動が誘導される一方、揺動範囲外への揺動が規制される。
したがって、操作レバー81aをガイド部材89により直接的に適用することにより、操作レバーの誘導・規制をより確実に行うことができる。
【0049】
(d)伝動ユニットおよびトランスミッション
本実施形態において、前記駆動源2および前記トランスミッション3は、車輌前後方向に離間配置されており、前記伝動ユニット200は、図1および図2に示すように、前記駆動源2側に備えられている。
前記伝動ユニット200は、前記駆動源2の出力軸2aとは変位した位置で、後続する前記トランスミッション3に向けて回転動力を出力する為に備えられている。
【0050】
すなわち、前記伝動ユニット200は、入力軸210と、入力軸210の軸心位置に対して下方に変位した位置で該入力軸210に略平行に配設された出力軸220と、入力軸210および出力軸220との間で動力を伝達可能なギヤ伝動機構230とを有しており、駆動源2からの動力をトランスミッション3の入力軸31に伝達する。なお、ここでは駆動源2における駆動軸2aは、前記伝動ユニット200における入力軸210とされている(入力軸210に直接的に連結されている)が、入力軸210に伝動機構を介して間接的に連結するようにしてもよい。
【0051】
本実施の形態において、前記伝動ユニット200は、フライホイール7を介して前記駆動源2から回転動力を入力するように構成されている。
前記フライホイール7は、前記出力軸2aに作動連結されるフライホイール本体7aと、ダンパー7bを介して前記フライホイール本体7aに連結される出力部7cと、前記フライホイール本体7aおよび前記出力部7cを囲繞するフライホイールハウジング13とを有している。
本実施の形態においては、前記フライホイールハウジング13は、伝動方向上流側が前記駆動源2に連結されており、且つ、前記伝動方向下流側が前記伝動ユニット200を支持している。
【0052】
前記トランスミッション3は、前記伝動ユニット200を介して前記駆動源2からの回転動力を入力するように構成されている。
本実施の形態においては、前記トランスミッション3は、自在継ぎ手付き伝動軸17を介して前記伝動ユニット200から回転動力を入力している。
【0053】
前記トランスミッション3は、図2に示すように、走行系伝動機構310と、PTO系伝動機構320と、前記走行系伝動機構310および前記PTO系伝動機構320を支持または収容するミッションケース30とを備えている。
【0054】
本実施形態において、前記走行系伝動機構310は、主変速装置として作用する静油圧式無段変速装置(HST)311と、副変速装置として作用する機械式変速装置312とを含んでいる。
前記HST311は、前記伝動ユニット200を介して前記駆動源2からの回転動力を入力するポンプ軸311aと、前記ポンプ軸311aによって回転駆動される油圧ポンプ本体311bと、前記油圧ポンプ本体311bに流体接続された油圧モータ本体311cと、前記油圧モータ本体311cによって回転駆動されるモータ軸311dと、前記油圧ポンプ本体311bおよび前記油圧モータ本体311cを収容するHSTハウジング19とを有し、前記油圧ポンプ本体311bおよび前記油圧モータ本体311cの少なくとも何れか一方が可変容積型とされている。なお、本実施の形態においては、図2に示すように、前記油圧ポンプ本体311bが可変容積型とされている。
【0055】
前記HSTハウジング19は、前記ミッションケース30の伝動方向上流側の端面に支持されている。
前記ポンプ軸311aは、入力端部を形成する伝動方向上流側の端部が前記HSTハウジング19から外方へ延在され、且つ、伝動方向下流側の端部が前記ミッションケース30内へ延在するように、前記HSTハウジング19に支持されている。
前記モータ軸311dは、出力端部を形成する伝動方向下流側の端部が前記ミッションケース30内へ突入するように、前記HSTハウジング19に支持されている。
【0056】
本実施形態において、前記走行系伝動機構310は、変速幅を拡大させる為に、前記HST311および前記機械式変速装置312に加えて、遊星歯車装置313を備えている。
前記遊星歯車装置313は、前記HST311と共働してHMTを構成している。
詳しくは、前記遊星歯車装置313は、前記ポンプ軸311aを介して定速動力を入力する第1要素と、前記モータ軸311dを介して変速動力を入力する第2要素と、出力部材として作用する第3要素とを有している。
本実施の形態においては、図2に示すように、リングギヤ313aが前記第1要素を構成し、サンギヤ313bが前記第2要素を構成し、且つ、キャリア313cが前記第3要素を構成している。
【0057】
前記機械式変速装置312は、図2に示すように、駆動軸312aと、従動軸312bと、複数のギヤ列312cとを有しており、該複数のギヤ列312cの何れか一のギヤ列を選択することにより、前記従動軸312bの回転速度を前記駆動軸312aに対して多段的に変速させ得るように構成されている。
本実施の形態において、前記機械式変速装置312は、前記駆動軸312aと、前記従動軸312bと、前進側伝動経路に介挿された前進高速段用ギヤ列312c1および前進低速段用ギヤ列312c2と、後進側伝動経路に介挿された後進用ギヤ列312c3と、前記HMTの出力を前進側伝動経路に伝達する前進出力状態、前記HMTの出力を後進側伝動経路に伝達する後進出力状態、または、前記HMTの出力を両伝動経路に対して遮断する中立状態を選択的にとり得る油圧クラッチユニット312dと、前記前進高速段用ギヤ列312c1または前記前進低速段用ギヤ列312c2を選択的に係合させるシフタ(図示せず)とを有している。
【0058】
前記走行系伝動機構310は、図2に示すように、さらに、前記機械式変速装置312からの回転動力を一対の主駆動軸5aに差動的に伝達する主駆動輪用ディファレンシャルギヤ装置314を有している。
【0059】
さらに、本実施形態においては、前記走行系伝動機構310は、図2に示すように、前記構成に加えて、副駆動輪用動力取出装置315を有している。
前記副駆動輪用動力取出装置315は、前記主駆動輪5へ向けて出力される回転動力と同期した回転動力を、副駆動軸4aを介して前記副駆動輪4へ向けて出力し得るように構成されている。
【0060】
本実施の形態おいて、前記副駆動輪用動力取出装置315は、前記副駆動輪4を前記主駆動輪5に同期させて駆動する4駆状態と、前記副駆動輪4を前記主駆動輪5よりも増速駆動させる増速状態と、前記副駆動輪4への出力を遮断する中立状態とをとり得るように構成されている。
具体的には、前記副駆動輪用動力取出装置315は、駆動軸315aと、従動軸315bと、前記副駆動輪4および前記従動軸315bの間に配設された4駆用ギヤ列315c1および増速用ギヤ列315c2と、前記駆動軸315aを前記4駆用ギヤ列315c1を介して前記従動軸315bに作動連結させる4駆状態、前記駆動輪を前記増速用ギヤ列315c2を介して前記従動軸315bに作動連結させる増速状態または前記駆動軸315aから前記従動軸315bへの動力伝達を遮断させる中立状態をとり得る油圧クラッチユニット315dとを有している。
【0061】
前記PTO系伝動機構320は、前記駆動源2からの回転動力を、付設される作業機へ向けて出力し得るように構成されている。
図7は、図2においてPTO系伝動機構320部分を拡大した伝動模式図である。
本実施の形態において、前記PTO系伝動機構320は、前記作業機へ向けて回転動力を出力し得るように前記ミッションケース30に支持されたPTO軸18と、前記トランスミッション3の入力軸(本実施形態においては前記ポンプ軸311a)から前記PTO軸18へ至るPTO系伝動経路に介挿されたPTO油圧クラッチユニット321およびPTO変速装置322とを有している。
【0062】
前記PTO油圧クラッチユニット321は、駆動側が前記ポンプ軸311aに作動連結され且つ従動側が前記PTO変速装置322に作動連結されている。
なお、本実施形態においては、図2に示すように、前記PTO系伝動機構320は、さらに、前記PTO油圧クラッチユニット321と背反的に作動するPTO油圧ブレーキユニット323を有している。
すなわち、前記PTO油圧ブレーキユニット323は、前記PTO油圧クラッチユニット321が動力伝達状態の際には前記PTO油圧ブレーキユニット323が非作動状態とされ、且つ、前記PTO油圧クラッチユニット321が動力遮断状態の際には前記PTO油圧クラッチユニット321の従動側に制動力を付加するように構成されている。
【0063】
PTO変速装置322は、第1シフタ3221sによって第1駆動軸3221aから第1従動軸3221bへの動力伝達状態が切り替えられる第1変速機構3221と、第2シフタ3222sによって第2駆動軸3222aから第2従動軸3222bへの動力伝達状態が切り替えられる第2変速機構3222とを具備する。
また、第1変速機構3221は、PTOの正転(作業車輌100における前進方向回転)変速用のギヤ列322−1(第1速),322−2(第2速),322−3(第3速),322−4(第4速)を有している。そして、第1シフタ3221sは、第1従動軸3221b上に設けられ、前記ギヤ列のうち、隣合う第2速および第3速のギヤ列322−2,322−3における動力伝達状態を切り替えるシフタ3221s1と、第1速および第4速のギヤ列322−1,322−4における動力伝達状態を切り替えるシフタ3221s2とを有している。
一方、第2変速機構3222は、PTOの逆転(作業車輌100における後進方向回転)用のギヤ列322−Rを有しており、第2従動軸3222b上に設けられた第2シフタ3222sにより動力伝達状態が切り替えられる。
【0064】
ここで、本実施形態においては、第1駆動軸3221aおよび第2駆動軸3222aが共通の駆動軸322aとされ、第1従動軸3221bおよび第2従動軸3222bも共通の従動軸322bとされる。
共通駆動軸322aには、トランスミッション3の入力軸(ポンプ軸311a)からPTO油圧クラッチユニット321を介して動力が伝達され、第1シフタ3221sまたは第2シフタ3222sによりいずれかのギヤ列322−n(n=1,2,3,4,R)と共通従動軸322bとが選択的に係合されることにより、共通従動軸322bが伝動状態となる。
【0065】
(e)操作機構
続いて、上記PTO系伝動機構320を操作する操作機構について説明する。
図8は、図1の作業車輌100におけるPTO系変速機構320近傍の斜視図である。なお、図8においては説明のためミッションケース30を省略してある。また、図9は、図1の作業車輌100のPTO系変速機構320近傍における操作軸85の一端部側斜視図である。
【0066】
本実施形態における操作機構は、図4,6および7に示すように、第1方向Xおよび第2方向Yに人為操作可能とされた単一の操作レバー81aと、前記第1および第2変速機構3221,3222を収容するミッションケース30に軸線方向移動可能かつ軸線回り回転可能に支持された操作軸85と、前記操作レバー81aの第1方向Xに沿った操作に応じて前記操作軸85を軸線方向に移動させ、かつ、前記操作レバーの第2方向Yに沿った操作に応じて前記操作軸85を軸線回りに回転させるように、前記操作レバー81aおよび前記操作軸85を作動連結する操作リンク機構84a1,84a2と、前記操作軸85に相対移動不能に支持された作動アーム86と、前記第1シフタ3221sに係合する第1シフトフォーク871と、前記第2シフタ3222sに係合する第2シフトフォーク872とを備えている。
本実施形態においては、前記第1シフトフォーク871を相対移動不能に支持する第1フォーク軸881と、前記第2シフトフォーク872を相対移動不能に支持する第2フォーク軸882とをさらに備えている。
そして、前記操作軸85の軸線方向移動の動きによって前記作動アーム86が第1または第2フォーク軸881,882に係合することにより、前記第1または第2シフトフォーク871,872に選択的に作動連結し、かつ、前記操作軸85の軸線回り回転の動きによって選択されているシフトフォーク871,872が対応するシフタ3221s,3222sを移動させることを特徴とするものである。
【0067】
本実施形態において、前記第1および第2フォーク軸881,882は、前記共通駆動軸322aおよび共通従動軸322bと略平行な状態で軸線方向移動可能に前記ミッションケース30(図8において図示せず)に支持されており、前記操作軸85は、前記第1および第2フォーク軸881,882と略直交するように前記ミッションケース30に支持されている。
【0068】
上記構成の操作機構によれば、第1シフトフォーク871が第1変速機構3221の第1シフタ3221sに係合され、第2シフトフォーク872が第2変速機構3222の第2シフタ3222sに係合されている。第1シフトフォーク871は、第1フォーク軸881に相対移動不能に支持され、第2シフトフォーク872は、第2フォーク軸882に相対移動不能に支持される。
また、第1および第2変速機構3221,3222を収容するミッションケース30に操作軸85が支持されている。操作軸85は、軸線方向移動可能かつ軸線回り回転可能に支持されている。操作軸85には、作動アーム86が相対移動不能に支持されている。
【0069】
一方、操作レバーユニット8の操作レバー81aは、第1方向X(ここでは車輌幅方向)および第2方向Y(ここでは車輌前後方向Aと略同じ方向)に人為操作可能であり、操作リンク機構84a1,84a2を介して操作軸85と作動連結される。
【0070】
ここで、操作軸85は、操作レバー81aの第1方向Xに沿った操作に応じて、軸線方向に移動され、操作レバー81aの第2方向Yに沿った操作に応じて、軸線回りに回転される。詳細は後述する。
このとき、操作軸85の軸線方向移動の動きによって、操作軸85に支持された作動アーム86が第1および第2フォーク軸881,882に選択的に係合される。より具体的には、第1および第2フォーク軸881,882には、アーム受部881a,882aがそれぞれ相対移動不能に設けられており、作動アーム86の自由端部86aがアーム受部881a,882aのいずれかに選択的に係合されることにより、作動アーム86が第1および第2フォーク軸881,882に選択的に係合される。一方、操作軸85の軸線回り回転の動きによって、係合された第1または第2フォーク軸881,882が軸線方向に移動することにより第1または第2シフトフォーク871,872が移動する。
この第1または第2シフトフォーク871,872の移動に伴って、対応するシフタ3221s,3222sが移動し、対応する変速機構3221,3222において、駆動軸322aから従動軸322bへの動力伝達状態が切り替えられる。
【0071】
このように、複数の変速機構3221,3222に対して2方向X,Yに操作可能な単一の操作レバー81aを用いた操作機構において、操作レバー81aの2方向X,Yの操作を複数の変速機構3221,3222の選択動作と選択された変速機構3221,3222における変速動作とに分け、操作レバー81aの2方向X,Yへの操作に応じた動きを単一の操作軸85における軸線方向移動および軸線回り回転のいずれかの動きに変換させることにより、複数の変速機構3221,3222間における共通の動作については同一系統とすることができる。
したがって、操作機構の組み立て効率を向上させることができるとともに、操作レバー81aの基部と各変速機構3221,3222との間のリンク機構を単純化することができるため、より簡単な構成で部品点数を可及的に少なくすることができる。
また、作動アーム86の動作をフォーク軸881,882を介してシフトフォーク871,872に伝えることにより、作動アーム86を支持する操作軸85がシフトフォーク871,872近傍に配置できない場合であっても、作動アーム86の動きをフォーク軸881,882を介してシフトフォーク871,872に確実に伝えることができるため、簡単な構成で設計の自由度を向上させることができる。
【0072】
ここで、本実施形態における前記操作リンク機構84a1,84a2についてより詳細に説明する。
まず、操作レバー81a近傍の構成について説明する。
本実施形態における操作レバー81aは、図6に示すように、ブラケット83に支持された枢支軸(第2方向回動軸)82a回り揺動可能に支持された第1軸811と、前記第1軸811に前記枢支軸82aと直交する方向に支持された第1方向回動軸812と、前記第1方向回動軸812回り揺動可能に支持された第2軸813と、前記第2軸813の自由端部に設けられた把持部814とを具備する。
【0073】
また、操作レバーユニット8の操作レバー81aに関する出力部材である操作リンク機構は、前記操作レバー81aの第1方向Xに沿った操作に応じて前記操作軸85を軸線方向に移動させる第1リンク機構84a1と、前記操作レバー81aの第2方向Yに沿った操作に応じて前記操作軸85を軸線回りに回転させる第2リンク機構84a2とを備えている。
【0074】
前記第1リンク機構84a1は、前記操作レバー81aと前記操作軸85との間に張設されたワイヤ822を有している。
より具体的には、ワイヤ822は、前記第1軸811に相対移動不能に設けられた第1プレート部材815に一端部近傍が固定されたワイヤチューブ821に挿通され、ワイヤ822の一端が第2軸813に相対移動不能に設けられた第2プレート部材816に係止されている。本実施形態において、第1および第2プレート部材815,816は、それぞれ第1および第2軸に対して第1方向Xの一方側(車輌幅方向左側XL)に延出して設けられている。
【0075】
加えて、前記操作レバー81aは、前記第1方向Xの一方側XLに付勢されており、前記第1方向Xの他方側(車輌幅方向右側XR)へ人為操作可能とされている。具体的には、前記第1プレート部材815および第2プレート部材816に互いを連結する弾性部材817が設けられている。
【0076】
また、前記第2リンク機構84a2は、前記操作軸85に軸支される一方、前記操作レバー81aに作動連結されたリンクロッド823を有する。本実施形態においては、第1軸811が枢支軸82aに相対移動不能に固定されるとともに、枢支軸82aがブラケットに対して枢支軸82a回り回動可能に支持されており、当該枢支軸82aには、プレート部材824が相対移動不能に固定され、プレート部材824の自由端部に前記リンクロッド823の一端が連結されている。また、リンクロッド823の他端部823aは、図8に示す操作軸85の一端部に相対移動不能に設けられたプレート部材851に係合される。
【0077】
このような構成において、操作レバー81aの把持部814を第2方向Yに沿って操作することにより、第1軸811が第2軸813とともに枢支軸82a回りに回動される。第1軸811が枢支軸82a回りに回動することにより、枢支軸82a自体も回動し、枢支軸82aに固定されたプレート部材824を揺動させる。プレート部材824の揺動は、リンクロッド823を介して操作軸85のプレート部材851に伝達され、操作軸85が軸線回りに回転される。
【0078】
一方、操作レバー81aの把持部814を第1方向Xに沿って第1方向他方側XRに向けて操作することにより、第2軸813が第1方向回動軸812回りに回動される。このとき、第2プレート部材816も第1方向回動軸812回りに回動される一方、第1プレート部材815の位置は保持されるため、第2プレート部材816に係止されたワイヤ822は、第1プレート部材815に固定されたワイヤチューブ821に対して相対的に引っ張られることとなる。
【0079】
この際、第1プレート部材815および第2プレート部材816の間に設けられた弾性部材817も引っ張られるため、第2軸813に第1方向他方側XLへの付勢力が生じる。
したがって、操作レバー81aの第1方向他方側XRへの操作後、第2方向Yへの操作をしない場合、または第2方向Yの操作の後、第2方向Yに関して元の位置に戻した場合、操作レバー81aは、第1方向Xに関して元の位置に自動復帰する。
これにより、操作レバー81aが第1方向Xの最も一方側XLにあるときに、複数の変速機構3221,3222のうち、使用頻度の高い正転変速用の第1変速機構3221の第1シフタ3221s1,3221s2に係合するように構成することで、使用頻度の高い変速操作を容易かつ確実に行うことができ、変速に関する操作性をよくすることができる。
【0080】
次に、前記第1リンク機構84a1のワイヤ822の他端側の構成について説明する。図10および図11は、図8の操作軸85の一端部近傍を示す図である。図10は、レバー操作前を示す図であり、図11は、第1方向他方側XRへのレバー操作後を示す図である。また、図12は、図8の斜視図におけるレバー操作後を示す図である。
【0081】
前記第1リンク機構83a1は、図10に示すように、前記操作軸85に軸線方向移動不能に設けられた第1部材841と、前記第1部材841を前記操作軸85の軸線方向に押圧可能かつ前記ワイヤ822の他端部が取り付けられた第2部材842とを有し、前記操作レバー81aの第1方向Xに沿った操作に応じて前記第2部材842が前記第1部材841を前記操作軸85の軸方向に押圧するように構成される。
ここで、第1部材841は、操作軸85に直交する規制ピン882により軸線方向両端が規制されることにより、操作軸85に対して軸線方向移動不能に設けられる。
また、前記第2部材842は、操作軸85に直交し、前記第1部材841に設けられた枢支軸843に軸支され、前記ワイヤ822の引っ張りにより前記枢支軸843回り一方側への回転作用R1が生じるように構成される一方、前記回転作用R1を抑制する抑制部材844が設けられ、前記抑制部材844により抑制された前記回転作用の反力R2により、前記枢支軸843を介して前記第1部材841を前記操作軸85の軸線方向に押圧するように構成される。
前記抑制部材844は、前記第2部材842から前記枢支軸843に対して略垂直に延びた突出部材844aと、前記ミッションケース30に支持され、前記突出部材844aと係合することにより前記第1部材841の前記回転作用R1に伴う前記突出部材844aの揺動を抑制する係合部材844bとを有している。
【0082】
ワイヤチューブ821の他端部は、第1部材841に相対移動不能に固定され、ワイヤ822が操作レバー81aの第1方向他方側XR方向操作に応じて引っ張られると、ワイヤ822の他端部が取り付けられた第2部材842には、枢支軸843回り一方側への回転作用R1が生じる。
このとき、第2部材842から延びた突出部材844aにも枢支軸843回り一方側への揺動作用が生じるが、突出部材844aは、ミッションケース30に支持された係合部材844bに係合されているため、当該突出部材844aの揺動作用が抑制される。これにより、突出部材844aに連動する第2部材842の回転作用R1も抑制される。
このように、抑制部材844により当該回転作用R1が抑制されることにより、第2部材841には枢支軸843回り他方側への反力R2が生じる。こうして、当該第2部材842に生じた反力R2により、第1部材841が枢支軸843を介して第2部材842に押圧されて、操作軸85を軸線方向のミッションケース30外方(図11に示す矢符Rの方向)に移動させる。
【0083】
この操作軸85の軸線方向移動により、図12に示すように、操作軸85の作動アーム86が係合するフォーク軸が第1フォーク軸881から第2フォーク軸882に切り替えられる。そしてさらに、操作レバー81aを第2方向Yの一方側(ここでは後方側)に操作することにより、第2フォーク軸882が軸線方向移動し、これに伴って、第2シフトフォーク872およびそれに係合された第2シフタ3222sが軸線方向移動して、逆転用の第2変速機構3222のギヤ列322−Rが伝動状態となる(作業機が逆転可能となる)。
【0084】
このように、操作軸85の軸線方向移動をワイヤ822の引っ張りにより行うことにより、操作リンク機構84a1の構成をより簡単にし、部品点数を減少させることができる。
また、ワイヤ822を引っ張ることにより第2部材842に生じる反力R2を利用して第1部材841を押圧するため、ワイヤ822の引っ張る方向に関わらず、ワイヤ822の張力を操作軸85の軸線方向移動の力に有効に変換することができるとともに、ワイヤ822の張力を過大にすることなく操作軸85の軸線方向の移動が容易に行うことができ、操作レバー81aの第1方向Xに沿った操作を軽い力で行うことができる。
【0085】
本実施形態において、前記第2部材842には、前記ワイヤ822の引っ張りにより前記枢支軸843回り他方側への付勢力を生じさせる弾性部材845が設けられるように構成される。より具体的には、弾性部材845の一端部が第2部材842の突出部材844aと枢支軸843とを結ぶ線分Lを基準としてワイヤ822の係止箇所842aとは反対側の係止箇所842bに係止され、他端部が第1部材841に係止されている。
【0086】
この場合、第2部材842がワイヤ822により引っ張られ、枢支軸回り一方側への回転作用R1が生じると、弾性部材845により枢支軸843回り他方側への付勢力が生じる。
したがって、操作レバー81aの第1方向他方側XRへの操作により操作軸85の軸線方向一方側に移動させた操作軸85を、操作レバー81aを第1方向Xに関して元の位置に戻す(第1方向一方側XLに移動させる)ことにより、すなわち、ワイヤ822の引っ張りを弱めることにより、操作軸85の軸線方向に関して元の位置に自動復帰させることができる。
【0087】
上述した操作リンク機構84a1,84a2は、図9に示すように、外方へ延在された操作軸85の一端部に作動連結されている。より具体的には、前記第1部材841、第2部材842、抑制部材844、弾性部材845、およびリンクロッド823の取付部であるプレート部材851がミッションケース30の外方に設けられ、抑制部材844の係合部材844bは、ミッションケース30の外側に固定されている。
【0088】
このように操作リンク機構84a1,84a2がミッションケース30の外方に設けられるため、ミッションケース30内の機構が複雑化することによる組み立て効率の悪化を防止し、操作機構の整備性を向上させることができる。
【0089】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
【0090】
例えば、上記実施形態においては、変速機構を2つ(正転用1つおよび逆転用1つ)有する構成について説明したが、変速機構を3つ以上有する変速機構に対しても適用可能である。変速機構を3つ以上有する変速機構に対して用いた場合、複数の変速機構間における共通の動作について同一系統とすることにより、それぞれ別系統とした場合に比較してより有効に部品点数を少なくすることができる。
【0091】
また、本実施形態においては、作動アーム86がフォーク軸881,882を介してシフトフォーク871,872を移動させる構成について説明したが、作動アーム86がシフトフォーク871,872に直接係合することにより、シフトフォーク871,872を移動させることとしてもよい。この場合、例えば、シフトフォーク871,872は、フォーク軸881,882に軸方向移動可能に支持されるとともに、シフトフォーク871,872自身にアーム受部881a,882aが設けられる。
【0092】
また、本実施形態においては、前記操作レバー81a,81bが枢支軸82a,82bに相対移動不能に固定されるとともに、枢支軸82a,82bがブラケット83に対して枢支軸82a,82b回り回動可能に支持されている構成について説明したが、枢支軸82a,82bがブラケット83に軸線回り回動不能に固定される一方、操作レバー81a,81bが枢支軸82a,82b回り揺動可能に軸支されるとともに、出力部材である操作リンク機構84a1および84a2,84bが操作レバー81a,81bに固定される構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明に係る操作機構の一例が適用された作業車輌の概略側面図である。
【図2】図1の作業車輌における伝動模式図である。
【図3】図1の作業車輌の運転部ケースに配設される運転席周辺の概略斜視図である。
【図4】図3における運転席周辺の側方端面図である。
【図5】図4の操作レバーユニット8の後方斜視図である。
【図6】図4の操作レバーユニット8の上方斜視図である。。
【図7】図2においてPTO系伝動機構部分を拡大した伝動模式図である。
【図8】図1の作業車輌におけるPTO系変速機構近傍の斜視図である。
【図9】図1の作業車輌のPTO系変速機構近傍における操作軸の一端部側斜視図である。
【図10】図8の操作軸の一端部近傍(レバー操作前)を示す図である。
【図11】図8の操作軸の一端部近傍(レバー操作後)を示す図である。
【図12】図8の斜視図におけるレバー操作後を示す図である。
【符号の説明】
【0094】
100…作業車輌
3…ミッションケース
3221…第1変速機構、3222…第2変速機構
322a…共通駆動軸、322b…共通従動軸
3221s…第1シフタ、3222s…第2シフタ
81a…操作レバー
817…弾性部材
822…ワイヤ
823…リンクロッド
84a1…第1リンク機構(操作リンク機構),84a2…第2リンク機構(操作リンク機構)
841…第1部材、842…第2部材、843…枢支軸
844a…突出部材(抑制部材)、844b…係合部材(突出部材)
85…操作軸
86…作動アーム
871…第1シフトフォーク、872…第2シフトフォーク
881…第1フォーク軸、882…第2フォーク軸
X…第1方向、Y…第2方向
R1…回転作用、R2…反力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1シフタによって第1駆動軸から第1従動軸への動力伝達状態が切り替えられる第1変速機構と、第2シフタによって第2駆動軸から第2従動軸への動力伝達状態が切り替えられる第2変速機構とを操作する操作機構であって、
第1方向および第2方向に人為操作可能とされた単一の操作レバーと、
前記第1および第2変速機構を収容するミッションケースに軸線方向移動可能かつ軸線回り回転可能に支持された操作軸と、
前記操作レバーの第1方向に沿った操作に応じて前記操作軸を軸線方向に移動させ、かつ、前記操作レバーの第2方向に沿った操作に応じて前記操作軸を軸線回りに回転させるように、前記操作レバーおよび前記操作軸を作動連結する操作リンク機構と、
前記操作軸に相対移動不能に支持された作動アームと、
前記第1シフタに係合する第1シフトフォークと、
前記第2シフタに係合する第2シフトフォークとを備え、
前記操作軸の軸線方向移動または軸線回り回転の一方の動きによって前記作動アームが前記第1または第2シフトフォークに選択的に作動連結し、かつ、前記操作軸の軸線方向移動または軸線回り回転の他方の動きによって選択されているシフトフォークが対応するシフタを移動させることを特徴とする操作機構。
【請求項2】
前記第1シフトフォークを相対移動不能に支持する第1フォーク軸と、
前記第2シフトフォークを相対移動不能に支持する第2フォーク軸とを備え、
前記操作軸の前記一方の動きによって前記作動アームが前記第1または第2フォーク軸に選択的に係合し、前記操作軸の前記他方の動きによって前記作動アームを介して選択されたフォーク軸が移動することを特徴とする請求項1記載の操作機構。
【請求項3】
前記第1および第2駆動軸は、共通の駆動軸とされ、前記第1および第2従動軸は前記共通駆動軸と略平行に配置された共通の従動軸とされており、
前記第1および第2フォーク軸は、前記共通駆動軸および共通従動軸と略平行な状態で軸線方向移動可能に前記ミッションケースに支持されており、
前記操作軸は、前記第1および第2フォーク軸と略直交するように前記ミッションケースに支持されており、
前記操作軸の軸線方向移動によって前記作動アームが前記第1または第2フォーク軸に選択的に係合し、
前記操作軸の軸線回り回転によって選択されたフォーク軸が軸線方向に移動し、対応するシフトフォークを介して対応するシフタが移動されることを特徴とする請求項2記載の操作機構。
【請求項4】
前記操作軸は、一端部が外方へ延在するように前記ミッションケースに支持されており、
前記操作リンク機構は、前記操作レバーと前記操作軸の一端部とを作動連結することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の操作機構。
【請求項5】
前記操作リンク機構は、前記操作レバーの第1方向に沿った操作に応じて前記操作軸を軸線方向に移動させる第1リンク機構と、前記操作レバーの第2方向に沿った操作に応じて前記操作軸を軸線回りに回転させる第2リンク機構とを備え、
前記第1リンク機構は、前記操作レバーと前記操作軸との間に張設されたワイヤを有し、前記操作レバーの第1方向に沿った操作に応じて前記ワイヤが前記操作軸を引っ張ることにより、前記操作軸を軸線方向に移動させ、
前記第2リンク機構は、前記操作軸に軸支され、前記操作レバーに作動連結されたリンクロッドを有し、前記操作レバーの第2方向に沿った操作に応じて前記リンクロッドが揺動することにより、前記操作軸を軸線回りに回転させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の操作機構。
【請求項6】
前記操作レバーには、前記ワイヤの一端部が取り付けられ、
前記第1リンク機構は、前記操作軸に軸線方向移動不能に設けられた第1部材と、前記第1部材を前記操作軸の軸方向に押圧可能かつ前記ワイヤの他端部が取り付けられた第2部材とを有し、
前記操作レバーの第1方向に沿った操作に応じて前記第2部材が前記第1部材を前記操作軸の軸線方向に押圧することを特徴とする請求項5記載の操作機構。
【請求項7】
前記第2部材は、前記第1部材に設けられた枢支軸に軸支され、前記ワイヤの引っ張りにより前記枢支軸回り一方側への回転作用が生じるように構成される一方、前記回転作用を抑制する抑制部材が設けられ、前記抑制部材により抑制された前記回転作用の反力により、前記第1部材を前記操作軸の軸線方向に押圧することを特徴とする請求項6記載の操作機構。
【請求項8】
前記第2部材には、前記ワイヤの引っ張りにより前記軸回り他方側への付勢力を生じさせる弾性部材が設けられることを特徴とする請求項7記載の操作機構。
【請求項9】
前記抑制部材は、前記第1部材に設けられた前記枢支軸に対して略垂直に前記第2部材から延びた突出部材と、前記ミッションケースに支持され、前記突出部材と係合することにより前記第1部材の前記回転作用に伴う前記突出部材の揺動を抑制する係合部材とを有することを特徴とする請求項7または8記載の操作機構。
【請求項10】
前記操作レバーは、前記第1方向の一方側に付勢されており、前記第1方向の他方側へ人為操作可能とされていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の操作機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−157372(P2008−157372A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347742(P2006−347742)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】