説明

操作者識別装置

【課題】車載装置を操作する者を精度良く識別する操作者識別装置を提供する。
【解決手段】操作者識別装置3は、運転者座席11と同乗者座席12の間に近赤外線4Aによって透過照明を行うことができるセンサモジュール30が設けられたアームレスト13を有している。センサモジュール30は、近赤外線4Aを発光する発光ダイオード301と、対象物からの反射である反射光4Bを受光して電気信号を出力するフォトダイオード302と、を有する。アームレスト13の前方に設けられたスイッチ部14を操作する者がいるとき、ECU31は、フォトダイオード302から出力された電気信号に基づいて生成された画像データに対して2値化処理及びラベリング処理を行い、ラベリング処理によってラベリングされた第1及び第2の連結成分63、64を解析することによって、スイッチ部14を操作する者が、運転者2Aなのか同乗者2Bなのかを識別することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置を操作する者が、運転者か、同乗者かを識別することができる操作者識別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、車両の運転者座席と助手席の前方に設けられ、車載装置の操作項目を表示する表示操作部と、表示操作部と表示操作部へ伸ばされた運転者の左手、及び助手席着座者の右手を共に視野にいれて撮像可能に車両中心線上である運転者座席と助手席の中心に設けられた遠赤外線カメラと、遠赤外線カメラで撮像した画像データを処理して操作者を判別する画像処理部と、を備えた操作者判別装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この操作者判別装置によれば、画像データから抽出された操作者の手の重心が、画像内に設定された基準線の左側領域にあるか右側領域にあるかによって操作者を判別し、その判別結果と車両の走行状態に基づいて表示操作部に表示された操作項目の許可範囲を制限することができる。
【0004】
また、従来の技術として、車両のインナーミラーに設けられたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラと、CMOSカメラによって撮像された画像データに対して強調処理、消去処理及び抽出処理を行う画像処理制御部と、を備えた操作者判定装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
この操作者判定装置によれば、CMOSカメラによって車両に搭載されたコントローラを操作した乗員の腕を撮像し、画像処理制御部は、この撮像によって得られた画像データに対して上記の処理を行う。処理の結果、助手席側乗員の腕と推定された画素が残り、この残された画素が、助手席乗員の腕と判定された場合、画像処理制御部は、コントローラを操作した乗員が助手席の乗員であると判定する。また、この操作者判定装置は、CMOSカメラに替えて、人体が発する遠赤外線を感知可能な遠赤外線カメラを使用することもできる。
【特許文献1】特開2004−067031号公報
【特許文献2】特開2002−133401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の操作者判別装置では、熱い飲料の入った容器、高温の電子機器、直射日光によって熱せられた物体などの、高温の物体が操作部の近傍に存在するとき、及び、オクルージョン、すなわち、遠赤外線カメラと操作者の手の間に物体が存在するとき、操作者の手の判別精度が悪化する可能性があった。また、従来の操作者判別装置では、遠赤外線カメラは、運転者座席と助手席の間に設置されるため、後部座席からの視界を遮る可能性があった。また、従来の操作者判別装置に用いる遠赤外線カメラは高価で入手しにくいという問題があった。
【0007】
また、従来の操作者判定装置は、乗員の腕と背景の反射率に差が少ないとき、腕の検出が困難であるという問題があった。また、オクルージョン、すなわち、遠赤外線カメラと操作者の手の間に物体が存在するとき、腕の検出が困難であった。また、遠赤外線カメラを用いた場合、やはり熱い飲料の入った容器、高温の電子機器、直射日光によって熱せられた物体などの、高温の物体が操作部の近傍に存在するとき、操作者の腕の判別制度が悪化する可能性があった。また、遠赤外線カメラを用いた場合、やはり遠赤外線カメラは高価で入手しにくいという問題があった。
【0008】
従って本発明の目的は、車載装置を操作する者を精度良く識別する操作者識別装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は上記目的を達成するため、運転者及び同乗者から操作可能な位置に設けられた車載装置の操作部を操作する者の腕が上部を通過する位置に設けられ、光が透過する光透過性部材によって一部、又は全体が作製されたケースと、前記ケースの内部に設けられ、前記光透過性部材を介して透過照明を行う照明光源と、前記ケースの前記内部に設けられ、操作する前記者の腕によって反射した前記透過照明を前記光透過性部材を介して受光し、受光した前記反射した前記透過照明に基づいた電気信号を出力する受光部と、前記受光部から出力された前記電気信号に基づいて画像データを生成して前記画像データの解析を行い、前記操作部を操作する前記者が前記運転者であるか前記同乗者であるかの識別を行う解析部と、を備えたことを特徴とする操作者識別装置を提供する。
【0010】
上記した構成によれば、車載装置を操作する者を精度良く識別することができる。
【0011】
(2)本発明は上記目的を達成するため、運転者及び同乗者から操作可能な位置に設けられた車載装置の操作部を操作する者の腕が上部を通過する位置に設けられ、光が透過する光透過性部材によって一部、又は全体が作製されたケースと、前記ケースの内部に設けられ、前記光透過性部材を介して透過照明を行う照明光源と、前記ケースの前記内部に設けられ、操作する前記者の腕によって反射した前記透過照明を前記光透過性部材を介して受光する受光部と、前記受光部から出力された前記電気信号に基づいて画像データを生成して前記画像データの解析を行い、前記操作部を操作する前記者が前記運転者であるか前記同乗者であるかの識別を行う解析部と、を備え、前記解析部は、前記画像データに対して2値化処理を行い、前記2値化処理を行った前記画像データに対してラベリング処理を行い、前記ラベリング処理によって得られた連結成分の重心の算出を行い、前記算出した前記重心が前記運転者側にあるか前記同乗者側にあるかに基づいて前記操作部を操作する前記者が前記運転者であるか前記同乗者であるかの識別を行うことを特徴とする操作者識別装置を提供する。
【0012】
上記した構成によれば、車載装置を操作する者を、さらに精度良く識別することができる。
【発明の効果】
【0013】
このような構成によれば、車載装置を操作する者を精度良く識別する操作者識別装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の操作者識別装置の実施の形態を図面を参考にして詳細に説明する。
【0015】
[実施の形態]
(車両1の構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る操作者識別装置を搭載した車両の概略図である。本実施の形態における後述する操作者識別装置は、車両1に搭載され、一例として、後述する車載装置としてのカーナビゲーション部を操作する者(操作者)の識別を行うものとする。なお、本実施の形態としてカーナビゲーション部を例にとって説明するが、これに限定されず、カーオーディオ等の電子機器に適用されても良い。また、表示部50を運転者2A側及び同乗者側の2画面に分け、それぞれに異なる操作メニューを表示し、スイッチ部14を操作する者を識別することによって、識別された操作する者側の画面に表示された操作メニューのみを操作可能にするようにしても良く、これに限定されない。ここで同乗者とは、運転者2Aの隣に着座する者を指すものとする。
【0016】
車両1は、図1に示すように、後述するECU(Electronic Control Unit)を搭載する車両本体10と、運転者2Aが着座する運転者座席11と、運転者座席11と後述する同乗者座席との間に設けられ、上蓋130と収納部131とによって構成され、後述する操作者識別装置のセンサモジュールを上蓋130に有するケースとしてのアームレスト13と、アームレスト13の前方に設けられた後述するナビゲーション部の操作部としてのスイッチ部14と、画像や操作メニュー等を表示する後述するカーナビゲーション部の表示部50と、を備えて概略構成されている。なお、スイッチ部14の位置は、これに限定されず、表示部50の近傍でも良く、これに限定されない。また、本実施の形態における車両1は、屋根を有するタイプであるが、これに限定されず、操作者識別装置は、屋根の無いオープンカーのような車種にも搭載可能である。
【0017】
(操作者識別装置3の構成)
図2(a)は、本発明の実施の形態に係るセンサモジュールが設けられたアームレストの概略図であり、図2(b)は、本発明の実施の形態に係る図2(a)のA―A線断面図であり、図2(c)は、本発明の実施の形態に係るセンサの概略図であり、図3は、本発明の実施の形態に係る操作者識別装置のブロック図である。
【0018】
操作者識別装置3は、不可視光線としての近赤外線4Aの発光、及び反射光4Bの受光を行うセンサモジュール30と、センサモジュール30から出力される電気信号に基づいて画像データを生成し、生成した画像データを解析することによって、操作する者を識別する解析部としてのECU31と、を備えて構成されている。
【0019】
(センサモジュール30について)
センサモジュール30は、図2(b)に示すように、近赤外線4A及び対象物によって反射した反射光4Bを透過するポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂等の光透過性部材によって作製されたアームレスト13の上蓋130に設けられている。また、センサモジュール30は、アームレスト13の上面のほぼ全体に亘って格子状に設けられた複数のセンサ300から構成され、センサ300は、図2(c)に示すように、近赤外線4Aを発光する照明光源としての発光ダイオード301と、対象物によって反射した反射光4Bを受光し、反射光4Bに基づいた電気信号を出力する受光部としてのフォトダイオード302と、を備えて構成されている。
【0020】
発光ダイオード301は、一例として不可視光線の領域であるおよそ波長850nmの近赤外線4Aを発光する。なお、発光ダイオード301の数は、図2(a)に示す数に限定されず、用途に応じて自由に変更可能である。また、発光ダイオード301は、一例としておよそ波長850nmの近赤外線4Aを発光するが、これに限定されず、不可視光線の領域の光であり、人体に影響が無い波長領域のものであれば、波長は自由に変更可能である。
【0021】
フォトダイオード302は、一例としてpn型、pin型、ショットキ型またはアバランシュ型を有する光センサであり、光に対する光起電力効果によって、光量に比例した光電流(電気信号)を発生する。なお、本実施の形態においてセンサ300は、スイッチ部14付近に設けられているが、これに限定されず、アームレスト13の全体に設けられても良い。
【0022】
(ECU31について)
図4は、本発明の実施の形態に係る2値化された2値化画像データの概略図である。横軸をX軸、縦軸をY軸とし、図面左側が、矢印で示す車両1の前方(進行方向)である。
【0023】
ECU31は、発光ダイオード301の点灯・消灯を制御するLED(Light−Emitting Diode)制御部32を備えて構成され、図2(a)に示すセンサモジュール30に格子状に並べられたセンサ300を1つの画素と見なし、図4に示すブロック60に対応させて画像データを生成する。またECU31は、フォトダイオード302から出力された電気信号の値に基づいて対応するブロック60の画素値を変化させる。
【0024】
ECU31は、予め設定されたしきい値に基づいて生成した画像データに対して2値化処理を行い、図4に示す2値化画像6を生成する。ECU31は、例えば判別識別法、モード法、kittler法、3σ法等を用いて画像データの2値化処理を行う。
【0025】
図4に示す塗りつぶされた透過領域61は、発光ダイオード301から発光された近赤外線4Aが、反射光4Bとしてフォトダイオード302によって受光されなかった、または反射光4Bの光量が非常に小さいブロック60を表しており、白抜きで表された反射領域62は、近赤外線4Aが対象物、すなわち運転者2A又は同乗者の腕によって反射したことによって、フォトダイオード302が、その反射光4Bを受光したことを表している。
【0026】
操作者識別装置3は、フォトダイオード302を対象物(被検出対象)の直近に設けることができるので、反射光4Bの光量が十分確保でき、センサ300を調整することによって、2値化処理に適した画像データを生成することができる。一例として、ECU31は、操作する者の腕と背景の分離(2値化処理)を、服のテクスチャーに依存せず、精度良く行うことができる。よって操作者識別装置3は、受光によって出力される電気信号のS/N比が高く、対象物の未検出・誤検出を極めて低くすることができる。
【0027】
(動作)
以下に本発明の実施の形態における操作者識別装置の動作を図1〜4、及び後述する図5、6を参照し、図7のフローチャートに従って詳細に説明する。
【0028】
図5(a)及び(b)は、本発明の実施の形態に係る運転者と同乗者の位置関係を表した概略図である。図5(b)は、運転者2Aと同乗者2Bの腕が、アームレスト13上で交差している場合について表している。また一例として、同乗者座席12に着座する同乗者2Bが、カーナビゲーション部5の表示部50を見ながら、アームレスト13に設けられたスイッチ部14の操作を行う場合について説明する。なお、カーナビゲーション部5は、一例として、運転操作中の運転者2Aによる、目的地入力、目的地及びルート検索等の運転操作に支障をきたす操作を制限するが、同乗者2Bに対しては許可するものとする。以下に、まず運転者2Aと同乗者2Bの腕が交差しない場合について説明する。
【0029】
(運転者2Aと同乗者2Bの腕が交差しない場合)
運転者2Aは、車両1の操作を行い、目的地に向けて走行を開始する。ECU31は、LED制御部32を介して発光ダイオード301を制御し、発光ダイオード301は、アームレスト13の上蓋130を介して上方に向けて透過照明を行う。フォトダイオード302は、発光ダイオード301から発光される近赤外線4Aの反射光4Bを受光し、受光に基づいた電気信号をECU31に出力する。
【0030】
ECU31は、受信した電気信号に基づいて画像データを生成し、生成した画像データに対して2値化処理を行う(S1)。ECU31は、一例として、以下の手順によって画像データの2値化処理を行う。
【0031】
ECU31は、対象物に対して直近にセンサモジュール30を設けることができるため、背景及び対象物がそれぞれほぼ一様な輝度を持つことを利用して、一例として、モード法と呼ばれる濃度ヒストグラムを用いた、背景(透過領域61)と対象物(反射領域62)のピークの谷をしきい値として選択する2値化処理を行い、図4に示す2値化画像6を生成する。
【0032】
ECU31は、2値化処理が終了したのち、2値化画像6に対してラベリング処理を行う(S2)。ここで言うラベリング処理とは、一例として、2値化画像6に対して走査(例えば図4の2値化画像6のブロック60を上部の左から右、続いて上部から下部へと順番に行う)を行い、反射領域62が見つかったとき、その反射領域62を中心として、「8連結」の領域に反射領域62が存在するか否かを解析する。なお、「8連結」とは、注目するブロック60の上下左右及び斜め方向に位置する隣接するブロック60に対して、注目するブロック60(この場合は、反射領域62)と同じ反射領域62があるか否かを調査することである。「4連結」とは、注目するブロック60の上下左右方向に反射領域62があるか否かを調査することであり、この「4連結」に基づいてラベリング処理が行われても良い。
【0033】
続いて、「8連結」の領域に反射領域62が存在するときは、最初に見つけた反射領域62に付された符号と同じ符号を付し、再び走査を行う。これらを繰り返して図4に示す第1の連結成分63(反射領域62が隣接し、繋がった部分)に対してすべて同じ符号を付す。同様に図4に示す第2の連結成分64に対してすべて同じ符号を付す。
【0034】
ECU31は、2値化画像6に対してラベリング処理を行ったのち、第1及び第2の連結成分63、64が、スイッチ部14が設けられているアームレスト13の先端部(前方)に近い一列目(Y軸方向)のブロック60を含むか否かによって、第1及び第2の連結成分63、64の何れが、操作する者の腕であるのかの識別を行う。図4に示すように第2の連結成分64が、アームレスト13の先端部に近い一列目のブロック60を含むので、ECU31は第2の連結成分64に対して重心の算出を行う。
【0035】
ここで言う重心とは、位置的中心のことである。この重心の算出は、一例として、第2の連結成分64のブロック60に割り当てられた座標の横軸X成分及び縦軸Y成分をそれぞれ加算し、その平均を取ることによって行われ、その算出された重心(x、y)座標にあるブロック60が、図4に示す中心線を基準にして、運転者2A側にあるのか、同乗者2B側にあるのかによって第2の連結成分64が、運転者2Aの腕なのか、同乗者2Bの腕なのかを識別する(S3)。
【0036】
ここで、ECU31は、例えば、2値化画像6における第1及び第2の連結成分63、64の面積を算出し、その面積の大小と、上記の処理を合わせて識別を行うようにしても良い。また、ECU31は、算出した重心が、スイッチ部14側にあるか否か(上記の場合前方にあるか否か)を識別することで、より精度良く識別することができる。さらに、ECU31は、第1及び第2の連結成分63、64に外接する長方形を用いて、この外接する長方形の中心点を重心として用いても良く、第1及び第2の連結成分63、64の周囲長(ブロック60の辺の長さで算出)と面積を用いて、複雑度(円形度とも言う)を算出することで、識別しても良い。また、パターンマッチングやテンプレートマッチング等の画像認識技術を用いても良く、さらに上記の例を組み合わせて使用されても良く、これに限定されない。
【0037】
また、ECU31は、腕の肘の部分を識別し、肘の位置によってスイッチ部14を操作する者を識別するようにしても良い。これらの識別方法は、スイッチ部14がアームレスト13側に無いときにおいても有効である。
【0038】
ECU31は、上記した識別のための処理を行い、第2の連結成分64が、面積も大きく、重心がスイッチ部14に近いことから、同乗者2Bの腕であると識別し、同乗者2Bがスイッチ部14を操作する者であると判断する。
【0039】
よってECU31は、識別結果に基づいてカーナビゲーション部5を制御して、一例として、同乗者2Bに許可された操作メニューを表示部50に表示する。
【0040】
(運転者2Aと同乗者2Bの腕が交差する場合)
図6(a)は、本発明の実施の形態に係る運転者2Aと同乗者2Bの腕が交差する場合の画像の概略図であり、図6(b)は、本発明の実施の形態に係る運転者2Aと同乗者2Bの腕が交差する場合の2値化画像の概略図である。図5(b)に示すように、操作する者である同乗者2Bの腕の上方に運転者2Aの腕が交差している場合について説明する。図6(a)における画像7の第1の連結成分63の反射領域62aは、運転者2Aの腕からの反射光4Bを受光したセンサ300に対応したブロック60であり、その輝度は、反射領域62よりも低いので斜線で表している。
【0041】
同乗者2Bの腕の上方に運転者2Aの腕が交差している場合は、図6(a)に示すように、センサモジュール30に近い同乗者2Bの腕からの反射光4Bの光量が、同乗者2Bの腕よりもセンサモジュール30から遠い位置にある運転者2Aからの反射光4Bの光量よりも大きい。光量差が大きいことを利用して、濃度ヒストグラムに3つのピークが現れるように、センサ300を調整することが容易になる。よってECU31は、一例として、光量が多い同乗者2Bの腕からの反射光4Bのピーク値に基づいてしきい値を定め、このしきい値に基づいて2値化処理を行い、図6(b)に示す2値化画像6を生成する。この2値化処理は、一例に過ぎず、上記の自動2値化処理の何れか、または組み合わせ、または場合に応じた使い分けが行われても良く、これに限定されない。
【0042】
ECU31は、生成した図6(b)に示す2値化画像6に基づいて前述の識別のための処理を行い、第2の連結成分64の重心がスイッチ部14に近いことから、第2の連結成分64は同乗者2Bの腕であると識別し、同乗者2Bがスイッチ部14を操作する者であると判断する。
【0043】
よってECU31は、識別結果に基づいてカーナビゲーション部5を制御して、一例として、同乗者2Bに許可された操作メニューを表示部50に表示する。
【0044】
(効果)
上記した実施の形態によると、光を透過する光透過性部材で作製されたアームレスト13の上蓋130の内部にセンサモジュール30を設けるので、運転者2A、同乗者2B及び図示しない後部座席の乗員の視界を遮る事なく、スイッチ部14を操作する者を精度良く識別することができる。また、識別すべき運転者2A又は同乗者2Bの腕が、センサモジュール30の直近にあるので、受光によって出力される電気信号のS/N比が高く、識別すべき運転者2A又は同乗者2Bの腕の未検出・誤検出を極めて低くすることができ、操作する者を精度良く識別することができる。また、腕と背景の反射率の差に影響されにくいことからS/N比が高く、直射日光に影響されない。また、発光ダイオード301及びフォトダイオード302を用いるので、消費電力を抑制することができ、また、高温の物体の存在によって識別率が悪化してしまうこともなく、また、遠赤外線カメラを用いる構成よりも安価にできる。さらに、運転者2A及び同乗者2Bの腕が交差していても、スイッチ部14を操作する者を精度良く識別することができる。
【0045】
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されず、本発明の技術思想を逸脱あるいは変更しない範囲内で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態に係る操作者識別装置を搭載した車両の概略図である。
【図2】(a)は、本発明の実施の形態に係るセンサモジュールが設けられたアームレストの概略図であり、(b)は、本発明の実施の形態に係る図2(a)のA―A線断面図であり、(c)は、本発明の実施の形態に係るセンサの概略図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る操作者識別装置のブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る2値化された2値化画像データの概略図である。
【図5】(a)及び(b)は、本発明の実施の形態に係る運転者と同乗者の位置関係を表した概略図である。
【図6】(a)は、本発明の実施の形態に係る運転者2Aと同乗者2Bの腕が交差する場合の画像の概略図であり、(b)は、本発明の実施の形態に係る運転者2Aと同乗者2Bの腕が交差する場合の2値化画像の概略図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
1…車両、2A…運転者、2B…同乗者、3…操作者識別装置、4A…近赤外線、4B…反射光、5…カーナビゲーション部、6…2値化画像、7…画像、10…車両本体、11…運転者座席、12…同乗者座席、13…アームレスト、14…スイッチ部、30…センサモジュール、31…ECU、32…LED制御部、50…表示部、60…ブロック、61…透過領域、62…反射領域、62a…反射領域、63…第1の連結成分、64…第2の連結成分、130…上蓋、131…収納部、300…センサ、301…発光ダイオード、302…フォトダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者及び同乗者から操作可能な位置に設けられた車載装置の操作部を操作する者の腕が上部を通過する位置に設けられ、光が透過する光透過性部材によって一部、又は全体が作製されたケースと、
前記ケースの内部に設けられ、前記光透過性部材を介して透過照明を行う照明光源と、
前記ケースの前記内部に設けられ、操作する前記者の腕によって反射した前記透過照明を前記光透過性部材を介して受光し、受光した前記反射した前記透過照明に基づいた電気信号を出力する受光部と、
前記受光部から出力された前記電気信号に基づいて画像データを生成して前記画像データの解析を行い、前記操作部を操作する前記者が前記運転者であるか前記同乗者であるかの識別を行う解析部と、
を備えたことを特徴とする操作者識別装置。
【請求項2】
前記光透過性部材は、不可視光線を透過し、
前記照明光源は、格子状に並べられた複数の前記不可視光線を発光する発光ダイオードであり、
前記受光部は、前記不可視光線を受光し、受光した前記不可視光線に基づいて前記電気信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の操作者識別装置。
【請求項3】
前記受光部は、格子状に並べられた複数のフォトダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の操作者識別装置。
【請求項4】
前記ケースは、車両の運転者座席と同乗者座席の間に設けられることを特徴とする請求項1に記載の操作者識別装置。
【請求項5】
前記解析部は、前記画像データに対して2値化処理を行い、前記2値化処理を行った前記画像データに対してラベリング処理を行い、前記ラベリング処理によって得られた連結成分の重心の算出を行い、前記算出した前記重心が前記運転者側にあるか前記同乗者側にあるかに基づいて前記操作部を操作する前記者が前記運転者であるか前記同乗者であるかの識別を行うことを特徴とする請求項1に記載の操作者識別装置。
【請求項6】
運転者及び同乗者から操作可能な位置に設けられた車載装置の操作部を操作する者の腕が上部を通過する位置に設けられ、光が透過する光透過性部材によって一部、又は全体が作製されたケースと、
前記ケースの内部に設けられ、前記光透過性部材を介して透過照明を行う照明光源と、
前記ケースの前記内部に設けられ、操作する前記者の腕によって反射した前記透過照明を前記光透過性部材を介して受光する受光部と、
前記受光部から出力された前記電気信号に基づいて画像データを生成して前記画像データの解析を行い、前記操作部を操作する前記者が前記運転者であるか前記同乗者であるかの識別を行う解析部と、
を備え、
前記解析部は、前記画像データに対して2値化処理を行い、前記2値化処理を行った前記画像データに対してラベリング処理を行い、前記ラベリング処理によって得られた連結成分の重心の算出を行い、前記算出した前記重心が前記運転者側にあるか前記同乗者側にあるかに基づいて前記操作部を操作する前記者が前記運転者であるか前記同乗者であるかの識別を行うことを特徴とする操作者識別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−143288(P2009−143288A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320448(P2007−320448)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】