説明

操作装置及び画像形成装置

【課題】特定の図形の大きさに関する情報を操作情報として利用することが出来る操作装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】操作装置が、撮像部が撮像した特定の図形に基づいて操作指示を判断する操作装置であって、前記特定の図形の大きさに基づいて操作指示を判断するという手段を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、バーコードまたは2次元コード等の特殊な特定の図形を光センサを具備する撮像部が撮像し、撮像によって撮像部が作成した画像データの特定の図形の形状に応じて制御部が種々の制御処理を実行する技術が存在する。例えば、下記特許文献1には、2次元コード読取部と、2次元コード変換部を具備し、外部の電子機器が表示する2次元コードを2次元コード読取部が読み取り、2次元コード読取部が読み取った2次元コードの画像データを2次元変換部が解読することによって外部の電子機器の状態を示す情報を取得する画像形成装置が開示されている。また、下記特許文献2には、2次元コード化されたプログラムデータを画像データとして取り込み、画像処理機能及びデコード機能によって画像データをプログラムデータに変換し、当該プログラムデータを制御プログラムとしてインストールする電子カメラが開示されている。
【特許文献1】特開2007−185851号公報
【特許文献2】特開2004−171461号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来技術では、撮像部が撮像する特定の図形の形状に関する情報を操作情報として利用しているが、撮像部と特定の図形との撮像距離に応じて変化する画像データ中の特定の図形の大きさも一種の操作情報とみなし、利用することは可能である。つまり、上記従来技術には、この特定の図形の大きさ情報を第2の操作情報として利用するという点に、改良の余地が残されている。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、特定の図形の大きさに関する情報を操作情報として利用することが出来る操作装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明では、操作装置に係る第1の解決手段として、撮像部が撮像した特定の図形に基づいて操作指示を判断する操作装置であって、前記特定の図形の大きさに基づいて操作指示を判断するという手段を採用する。
【0006】
本発明では、操作装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記特定の図形の大きさ毎に操作指示を対応付けたテーブルを記憶する記憶部と、前記撮像部から入力された画像信号から前記特定の図形の有無及び大きさを判定し、当該判定に基づく前記特定の図形の大きさに基づいて前記テーブルを検索することにより操作指示を判断する制御部とを具備するという手段を採用する。
【0007】
本発明では、操作装置に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記特定の図形は、QRコードであるという手段を採用する。
【0008】
また、本発明では、画像形成装置に係る第1の解決手段として、上記第1〜第3いずれかの解決手段を採用する操作装置から得られる操作指示に基づいて画像形成を行うという手段を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操作装置が、撮像部が撮像した特定の図形の大きさに基づいて操作指示を判断する為、この特定の図形の大きさに関する情報を操作情報として利用することが出来る。
さらに、操作装置が具備する制御部が、撮像部から入力された画像信号における特定の図形の大きさを判定し、記憶部が記憶するテーブルから、特定の図形の大きさに応じた操作指示を判断することによって、操作装置は、特定の図形の大きさに基づいて各種操作情報を取得することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本発明の画像形成装置の一つである複写機能及び印刷機能等を併せ持つ複合機に関する。図1は本実施形態に係る複合機Aの機能ブロック図である。複合機Aは、CPU(Central Processing Unit)1、ROM(Read Only Memory)2、RAM(Random Access Memory)3、各種センサ群4、用紙搬送部5、画像読取部6、印刷データ記憶部7、画像形成部8、通信I/F部9、操作表示部10を及びカメラ11を備えている。
【0011】
CPU1は、ROM2に記憶されている制御プログラム、印刷データ記憶部7に記憶されている印刷データ、通信I/F部9を介して外部機器から入力される印刷指示、操作表示部10から入力される操作指示に基づいて複合機Aの全体動作を制御する。このCPU1の制御処理の詳細については、以下に複合機Aの動作として説明する。
ROM2は、CPU1で実行される制御プログラム、QRコード対応処理登録テーブル及びその他のデータを記憶する不揮発性メモリである。図2は、上記QRコード対応処理情報登録テーブルを示す模式図である。
【0012】
このQRコード対応処理情報登録テーブルは、QRコードが有するコード情報及びQRコードの大きさ比率情報毎に応じてCPU1が実行する所定の処理の処理情報が登録されたデータテーブルである。上記大きさ比率情報とは、QRコードの基準の大きさに対するカメラ11が最終的に撮像した画像データのQRコードの大きさの比率を示したものである。CPU1による上記大きさ比率情報の算出方法の詳細については、以下に複合機Aの動作として説明する。
【0013】
そして、上記処理情報には、両面印刷設定、上下方向集約印刷設定、左右方向集約印刷設定、印刷倍率設定等の複写処理における各種複写条件の設定処理に関する情報が登録されている。例えば、CPU1は、処理情報の両面印刷設定が「ON」となっている場合には、複写処理において両面印刷設定を有効し、「OFF」の場合には、両面印刷設定を無効、すなわち通常の片面印刷設定を有効にする。
【0014】
RAM3は、CPU1が制御プログラムを実行して各種動作を行う際に、データの一時保存先となるワーキングエリアとして用いられる揮発性メモリである。
各種センサ群4は、例えば用紙切れ検出センサや、用紙詰まり検出センサ、用紙位置検出センサ、温度センサ等の画像形成動作に必要な各種センサであり、それぞれのセンサで検出した各種の情報を検出信号としてCPU1に出力する。
用紙搬送部5は、用紙トレイに収納されている用紙を画像形成部8に搬送するための搬送ローラ及び搬送ローラ駆動用のモータや、画像形成処理後の用紙を図示しない排紙トレイに搬送するための搬送ローラ及び搬送ローラ駆動用のモータなどから構成されている。
【0015】
画像読取部6は、ADF(自動原稿送り装置)とCCD(Charge Coupled Device)センサ等を備え、ADFによって順次給紙される原稿の画像をCCDセンサに読み取らせ、原稿画像に基づく印刷データを出力する。なお、画像読取部6は、印刷データをCPU1に出力し、一方、CPU1は、原稿の印刷データを印刷データ記憶部7に記憶させる。
【0016】
印刷データ記憶部7は、例えばフラッシュメモリであり、CPU1の要求に応じて原稿の印刷データを記憶する一方、原稿の印刷データをCPU1に出力する。
画像形成部8は、CPU1の制御の下、印刷データ記憶部7に記憶されている印刷データに基づいて、用紙搬送部5から搬送される用紙にトナー像を転写し、当該トナー像の定着処理を行う。
通信I/F部9は、ローカルエリアネットワークによって図示しないパーソナルコンピュータ等の外部機器に接続し、上記外部機器との間で各種信号の送受信を行う。
【0017】
操作表示部10は、スタートキー、ストップキー、電源キー、テンキー(数値入力キー)、タッチパネル、クリアキーやその他の各種操作キー、を備えており、それぞれのキーの操作指示をCPU1に出力すると共に、CPU1の制御の下、タッチパネルに種々の画面を表示する。
【0018】
カメラ11は、CPU1の指示に基づいて前方画像を撮像し、前方画像の撮像によって作成した画像データをCPU1に出力する。このカメラ11は、例えばCCD(Charge Coupled Device)方式またはCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)方式の撮像素子を備えたデジタルカメラである。
【0019】
次に、上記のように構成された本実施形態に係る複合機Aの動作について図3を参照して詳しく説明する。図3は、本実施形態に係る複合機Aの動作を示すフローチャートである。
CPU1は、常にカメラ11へ所定の間隔で前方画像を撮像させる(ステップS1)と共に前方画像の撮像によって作成される画像データを監視し、画像データにQRコードが含まれているか否か判定する(ステップS2)。CPU1は、ステップS2において画像データにQRコードの切り出しシンボルが1つまたは3つ含まれる場合に、画像データにQRコードが含まれていると判定する。なお、切り出しシンボルとは、画像データ中のQRコードの位置を検出する為の画像パターンであり、QRコードの4箇所の角の内の3箇所また1箇所に配置されている。
【0020】
CPU1はステップ2において『NO』と判定する場合には、すなわち画像データに切り出しシンボルが1または3つ含まれない為に画像データにQRコードが含まれていないと判定した場合には、ステップS1における前方画像の撮像をカメラ11に継続して実行させ、ステップ2において『YES』と判定する場合には、すなわち画像データに切り出しシンボルが1つまたは3つ含まれることで画像データにQRコードが含まれていると判定した場合には、QRコードを含むこの画像データを第1の画像データとしてROM2に記憶させる(ステップS3)。
【0021】
CPU1は、ステップS3の後もカメラ11に所定の間隔で前方画像を撮像させることによって画像データを作成させ(ステップS4)、カメラ11に撮像させた最新の画像データのQRコードと前回撮像分の画像データのQRコードの大きさを比較することによってQRコードの大きさが変化しているか否か判定する(ステップS5)。CPU1は、ステップS5において『YES』と判定した場合には、すなわちQRコードの大きさが変化していると判定した場合には、ステップS4においてカメラ11に前方画像の撮像を継続して実行させ、ステップS5において『NO』と判定した場合には、すなわちQRコードの大きさが変化していないと判定した場合には、カメラ11に撮像させた最新の画像データ(第2の画像データ)のQRコードを解読する(ステップS6)。
【0022】
CPU1は、ステップS6において第2の画像データのQRコードを解読できたか否か判定し(ステップS7)、ステップS7において『NO』と判定した場合には、すなわち第2の画像データのQRコードを解読できなかった場合には、ステップS4においてカメラ11に撮像を再度実行させ、ステップS7において『YES』と判定した場合には、すなわち第2の画像データのQRコードの解読に成功し、QRコードからコード情報を抽出することができた場合には、第1の画像データのQRコードの大きさに対する第2の画像のQRコードの大きさの比率(大きさ比率情報)を算出する(ステップS8)。
【0023】
CPU1は、QRコードから抽出したコード情報、第1の画像データのQRコードの大きさに対する第2の画像データのQRコードの大きさの比率及びQRコード対応処理情報登録テーブルに基づいて複写処理における設定を決定すると共に決定した設定に基づいて設定処理を実行する。(ステップS9)。
その後に、CPU1は、画像読取部6のADFに原稿がセットされ、操作表示部10がスタートキーの押下による複写開始指示を受け付けると、ステップS9において設定された設定に基づいて複写を実行する。
【0024】
図4は、カメラ11による第1の画像データ及び第2の画像データ作成時におけるQRコードの位置の例を示す図である。この図4を参照して、上記ステップS8及びステップS9についてより具体的に説明する。
例えば、ユーザがQRコードを図4に示すカメラ11の前方かつ20cm離れた位置に差し出し、CPU1が、上記ステップS3においてこのQRコードが撮像された画像データを第1の画像データとしてROM2に記憶させた場合に、QRコードがほぼ同じ位置で撮像されることによって第2の画像データが作成された場合には、大きさ比率情報は、ほぼ100%となる。
【0025】
QRコードが図4に示す10cmの位置で撮像されることによって第2の画像データが作成された場合には、大きさ比率情報は100%より大きくなり、QRコードが図4に示す30cmの位置で撮像されることによって第2の画像データが作成された場合には、大きさ比率情報は100%より小さくなる。すなあち、上記大きさ比率情報は、第1の画像データが作成された時のQRコードの位置及び第2の画像データが作成された時のQRコードの位置に応じて変化する。
【0026】
例えば、QRコードが20cmの位置で撮像されることによって第1の画像データが作成され、かつQRコードが10cmの位置で撮像されることによって第2の画像データが作成された場合の大きさ比率情報を150%として、またQRコードが30cmの位置で撮像されることによって第2の画像データが作成された場合の大きさ比率情報を50%とした場合に、このQRコードから解読されたコード情報がコード情報パターン1であるとすると、CPU1が、ステップS9において大きさ比率情報が150%であると判定した場合、すなわちQRコードが10cmの位置で撮像されることによって第2の画像データが作成された場合には、QRコード対応処理情報テーブルに基づき両面印刷設定及び上下方向集約印刷設定を有効かつ印刷倍率設定を50%に設定する。
【0027】
また、CPU1は、ステップS9において大きさ比率情報が100%であると判定した場合、すなわちQRコードが20cmの位置で第2の画像データが作成された場合には、QRコード対応処理情報テーブルに基づき両面印刷設定及び上下方向集約印刷設定を有効かつ印刷倍率設定を100%に設定し、大きさ比率情報が50%であると判定した場合、すなわちQRコードが30cmの位置で第2の画像データが作成された場合には、上下方向集約印刷設を有効かつ印刷倍率設定を100%に設定する。
【0028】
以上のように、本実施形態に係る複合機Aでは、CPU1が、カメラ11に前方画像を撮像させることによって作成される第1の画像データのQRコードと、その後にカメラ11に前方画像を撮像させることによって作成させる第2の画像データのQRコードとの大きさの比率を算出している為、QRコードの大きさ比率、すなわちQRコードの大きさに関する情報を操作情報として利用することが出来る。また、複合機Aでは、上記QRコードの大きさ比率のみならず、QRコードのコード情報も操作情報として利用する為、QRコードの大きさ比率及びコード情報の組み合わせ応じてCPU1に幅広い処理を実行させることが出来る。
【0029】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、例えば以下のような変形が考えられる。
(1)上記実施形態では、カメラ11が撮像した画像データのQRコードに応じてCPU1が処理を実行したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、カメラ11が撮像する画像データのバーコードに応じてCPU1が処理を実行するようにしてもよい。また、QRコード及びバーコード等のデジタル情報コードではなく、カメラ11が撮像した画像データの三角形及び四角形等の図形に応じてCPU1が処理を実行するようにしてもよい。
【0030】
(2)上記実施形態では、CPU1が、QRコードから解読したコード情報及び第1の画像データのQRコードに対する第2の画像データのQRコードの大きさの比率に応じて複写処理における各種条件設定の設定処理を実行したが、本発明はこれに限定されない。
CPU1は、QRコードの大きさ比率及びコード情報に基づいて複写処理における各種条件設定を行うだけではなく、複写処理の実行まで行ってもよい。また、複写処理だけではなく、複合機Aが備えるFAX送信処理またはメール送信処理に対する各種条件設定の設定処理等を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る複合機Aの機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る複合機AのQRコード対応処理情報登録テーブルを示す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る複合機Aの動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る複合機Aのカメラ11による第1の画像データ及び第2の画像データ作成時におけるQRコードの位置の例を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
A…複合機、1…CPU、2…ROM、3…RAM、4…各種センサ群、5…用紙搬送部、6…画像読取部、7…印刷データ記憶部、8…画像形成部、9…通信I/F部、10…操作表示部、11…カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部が撮像した特定の図形に基づいて操作指示を判断する操作装置であって、
前記特定の図形の大きさに基づいて操作指示を判断することを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記特定の図形の大きさ毎に操作指示を対応付けたテーブルを記憶する記憶部と、
前記撮像部から入力された画像信号から前記特定の図形の有無及び大きさを判定し、当該判定に基づく前記特定の図形の大きさに基づいて前記テーブルを検索することにより操作指示を判断する制御部と
を具備することを特著とする請求項1記載の操作装置。
【請求項3】
前記特定の図形は、QRコードであることを特徴とする請求項1また2記載の操作装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の操作装置から得られる操作指示に基づいて画像形成を行うことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−225251(P2009−225251A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−69232(P2008−69232)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】