説明

操作誘導システム、操作誘導装置、操作誘導プログラム及び自動化機器

【課題】携帯端末との連携を図りながら、自動化機器の操作時間を短縮させることができ、自動化機器の開発コストを従来よりも抑えることができるようにする。
【解決手段】本発明の操作誘導システムは、1又は複数の処理を実行するホストコンピュータの処理に必要な情報を操作表示手段から取り込み、その情報をホストコンピュータに与える1又は複数の自動化機器と、各自動化機器における操作手順を示す1又は複数の操作手順情報を記憶する操作手順情報記憶手段と、携帯端末から操作手順情報の取得要求を受けると、その要求された操作手順情報を携帯端末に提供する操作手順情報提供手段とを備えることを特徴とする操作誘導システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作誘導システム、操作誘導装置、操作誘導プログラム及び自動化機器に関し、例えば、自動取引装置(ATM:Automated Teller Machine)等の自動化機器を操作する際に、利用者に操作手順を誘導する操作誘導システムに適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、金融機関の自動取引装置を用いて行う取引は複数ある。それぞれの取引の操作手順は異なるものであり、自動取引装置で取引操作を行う顧客にとっては、複雑な操作である。そのため、顧客が円滑に自動取引装置を操作することができるように、取引操作手順を表示することが行われている。
【0003】
従来、取引操作手順を表示する技術として、自動取引装置の表示部に取引操作手順を表示する技術や、あるいは、顧客によるヘルプキーの押下で取引操作手順の詳細を追加表示する技術が主流である。
【0004】
特許文献1には、操作者がキー入力するキー入力部としてのエリアと、操作手順を示すガイダンスを表示する表示エリアとを有する操作表示部を備える自動取引装置の技術が記載されている。これにより、操作者は、表示エリアに表示されるガイダンスを見ながら、必要な情報の入力を行うことができる。
【0005】
特許文献2には、取引操作手順の表示の指示を受けた場合に、その取引操作の手順を示す流れ図を表示する自動取引装置の技術が記載されている。
【0006】
さらに、顧客が持つ携帯電話機を利用した技術もある。例えば、顧客は、取引に必要な情報を事前に携帯電話機に入力しておき、取引を行うときに、携帯電話機に入力した情報を自動取引装置に与えるというような技術である。これは、携帯電話機を、自動取引装置の入力装置として利用する技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−262291号公報
【特許文献2】特開2002−123859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した自動取引装置の表示部に取引操作手順を表示したり、あるいは、ヘルプキーの押下により取引操作手順の詳細を追加表示したりする場合、自動取引装置における顧客の操作時間がより長くなってしまうという課題が生じ得る。
【0009】
また、自動取引装置での取引操作手順が変更される場合もある。この場合、ソフトウェア開発側は、取引操作手順の変更のたびに、自動取引装置のソフトウェアの変更が必要となる。このことは、ソフトウェア開発者にとって大きな負担となり、また経済的にも大きな負担となり得る。
【0010】
さらに、上述した携帯電話機を用いて事前入力を行う技術は、データ入力のセキュリティを高める必要がある。なぜなら、従来は、自動取引装置の入力装置として携帯電話機を用いているので、例えば事前に携帯電話機に入力されたデータが不正に使用されることもあるからである。また、携帯電話機の事前入力を利用する場合、自動取引装置での取引操作を簡略化する仕組みであるため、自動取引装置の各操作と携帯電話機の入力データとを連携させることが必要となる。しかし、どのようにして、携帯電話機に事前入力されたデータを、自動取引装置の取引処理に反映させるかという仕組みが非常に難しく、自動取引装置の簡単な取引操作を実現するのは困難であった。
【0011】
上記の課題は、自動取引装置だけでなく、例えば、自動通帳発行機、コンビニエンスストアや駅等に配置されているKIOSK端末、航空券自動発券機、自動発券機など、操作画面を表示して自動処理を行う自動化機器にも共通する。
【0012】
そのため、携帯端末との連携を図りながら、自動化機器の操作時間を短縮させることができ、自動化機器の開発コストを従来よりも抑えることができる操作誘導システム、操作誘導装置、操作誘導プログラム及び自動化機器が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる課題を解決するために、第1の本発明の操作誘導システムは、(1)1又は複数の処理を実行するホストコンピュータの処理に必要な情報を操作表示手段から取り込み、その情報をホストコンピュータに与える1又は複数の自動化機器と、(2)各自動化機器における操作手順を示す1又は複数の操作手順情報を記憶する操作手順情報記憶手段と、(3)携帯端末から操作手順情報の取得要求を受けると、その要求された操作手順情報を携帯端末に提供する操作手順情報提供手段とを備えることを特徴とする操作誘導システム。
【0014】
第2の本発明の操作誘導装置は、1又は複数の処理を実行するホストコンピュータの処理に必要な情報を操作表示手段から取り込み、その情報をホストコンピュータに与える自動化機器での操作手順情報を誘導する操作誘導装置であって、(1)各自動化機器における操作手順を示す1又は複数の操作手順情報を記憶する操作手順情報記憶手段と、(2)携帯端末から操作手順情報の取得要求を受けると、その要求された操作手順情報を携帯端末に提供する操作手順情報提供手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
第3の本発明の操作誘導プログラムは、1又は複数の処理を実行するホストコンピュータの処理に必要な情報を操作表示手段から取り込み、その情報をホストコンピュータに与える自動化機器での操作手順情報を誘導する操作誘導プログラムであって、(1)自動化機器における操作手順を示す1又は複数の操作手順情報を記憶する操作手順情報記憶手段を備えるコンピュータを、(2)携帯端末から操作手順情報の取得要求を受けると、その要求された操作手順情報を携帯端末に提供する操作手順情報提供手段として機能させることを特徴とする。
【0016】
第4の本発明の自動化機器は、操作手順情報提供手段から携帯端末に提供された操作手順情報に従った操作を受けて操作表示手段から情報を取り込み、その情報をホストコンピュータに与える自動化機器であって、(1)操作手順情報の操作手順に対応する操作手順対応識別情報を有し、少なくとも当該操作に必要な操作キーのみを有する特有の操作画面を記憶する操作画面記憶手段と、(2)携帯端末に提供された操作手順情報に従った操作を受ける場合に、操作画面記憶手段に記憶される特有の操作画面を操作表示手段に表示させる表示制御手段と、(3)特有の操作画面を表示する操作表示手段から入力された情報を、操作手順対応識別情報に対応する手順で要求した情報として取り込む処理制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、携帯端末との連携を図りながら、自動化機器の操作時間を短縮させることができ、自動化機器の開発コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態の自動取引システムの全体構成を示す全体構成図である。
【図2】第1の実施形態の自動取引装置の内部構成を示す内部構成図である。
【図3】第1の実施形態の携帯端末及び操作手順情報提供サーバの内部構成を示す内部構成図である。
【図4】第1の実施形態のホストコンピュータの内部構成を示す内部構成図である。
【図5】第1の実施形態の操作誘導処理の動作を示すシーケンス図である。
【図6】第1の実施形態の携帯端末及び自動取引装置に表示される画面例を示す画面図である。
【図7】第1の実施形態において取引情報を通知する際の携帯端末及び自動取引装置に表示される画面例を示す画面図である(その1)。
【図8】第1の実施形態において取引情報を通知する際の携帯端末及び自動取引装置に表示される画面例を示す画面図である(その2)。
【図9】第2の実施形態のホストコンピュータの内部構成を示す内部構成図である。
【図10】第2の実施形態の操作誘導処理の動作を示すシーケンス図である。
【図11】第2の実施形態において取引情報を通知する際の携帯端末及び自動取引装置に表示される画面例を示す画面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(A)第1の実施形態
以下、本発明の操作誘導システム、操作誘導装置、操作誘導プログラム及び自動化機器の第1の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0020】
第1の実施形態では、自動化機器の一例として、金融機関等の自動取引装置(ATM)を適用する場合を例示する。
【0021】
(A−1)第1の実施形態の構成
(A−1−1)全体構成
図1は、第1の実施形態に係る自動取引システムの全体構成を示す全体構成図である。図1において、第1の実施形態の自動取引システム10は、ネットワーク5を介して、携帯端末1、自動取引装置2、操作手順情報提供サーバ3、ホストコンピュータ4を少なくとも有して構成される。図1では、1台の自動取引装置2を図示するが、複数台備えるようにしてもよい。
【0022】
なお、ネットワーク5は、専用回線、公衆回線、又はこれら回線を結合した通信網とすることができる。またネットワーク5は、有線回線、無線回線又はこれらを結合した通信網とすることができる。
【0023】
自動取引装置2は、例えば銀行等の金融機関や駅やコンビニエンスストア等の店に設置されるものである。自動取引装置2は、例えば、利用者の操作により振込取引、入金取引(例えば預入取引など)、出金取引(例えば引き出し取引など)等の金融取引を行うものである。自動取引装置2は、利用者の希望する取引種別や取引に必要な情報を取り込み、その取引種別や取引に必要な情報を、ネットワーク5を介してホストコンピュータ4に送信する。
【0024】
また、自動取引装置2は、ホストコンピュータ4が処理した取引結果をホストコンピュータ4から受信し、その取引結果を表示したり、その取引結果に基づいて取引明細票(以下、明細票ともいう)を印刷して出力したりするものである。
【0025】
ホストコンピュータ4は、金融機関のセンタ側のホストコンピュータである。ホストコンピュータ4は、ネットワーク5を介して、自動取引装置2から取引に必要な情報を受け取り、その取引情報に基づいて利用者が希望する取引の実行を行うものである。また、ホストコンピュータ4は、ネットワーク5を介して取引結果を自動取引装置2と携帯端末1のいずれか又は双方に送信するものである。
【0026】
携帯端末1は、自動取引装置2を利用する者が持つ通信端末である。ここで、従来、携帯端末1は入力手段として利用されるのに対して、この実施形態では、表示手段として携帯端末1が利用される。
【0027】
すなわち、利用者が自動取引装置2を操作する際に、利用者の操作を受けて、携帯端末1は、操作手順情報提供サーバ3にアクセスして自動取引装置2の操作画面の取引操作手順を誘導する操作手順情報を取得する。携帯端末1は、受信した操作手順情報に基づく操作手順を表示部に表示する。これにより、利用者は、携帯端末1に表示された操作手順情報を見ながら、自動取引装置1での取引操作を行うことができる。
【0028】
なお、携帯端末1は、通信機能を有する端末であれば広く適用することができ、例えば、携帯電話機、パーソナルコンピュータ、PDA、PHS端末、ゲーム端末、電子書籍端末等を適用することができる。
【0029】
操作手順情報提供サーバ3は、自動取引装置2の取引操作手順を誘導する操作手順情報を提供するサーバ(例えばWebサーバ)である。操作手順情報提供サーバ3は、自動取引装置2が行う1又は複数の取引についての操作手順情報を記憶している。操作手順情報提供サーバ3は、ネットワーク5を介して携帯端末1から操作手順情報の取得要求を受けると、要求された操作手順情報を携帯端末1に与えるものである。
【0030】
このとき、操作手順情報提供サーバ3は、携帯端末1に対して利用者の希望する取引の種別を取得し、その取引の種別に対応する操作手順情報を読み出し、その操作手順情報を携帯端末1に提供する。
【0031】
(A−1−2)自動取引装置2の内部構成
図2は、自動取引装置2の内部構成を示す内部構成図である。図2において、自動取引装置2は、制御部21、通信部22、操作表示部23、カード処理部24、プリンタ部25、紙幣・硬貨入出金部26、通帳処理部27、記憶部28を少なくとも有する。
【0032】
制御部21は、自動取引装置2の処理を制御する処理部又は装置である。制御部21は、操作表示部23、カード処理部24、プリンタ部25、紙幣・硬貨入出金部26、通帳処理部27、通信部22、記憶部28と接続しており、それぞれの構成要素の処理を制御する。
【0033】
制御部21は、図2に示すように、機能的な構成として、取引処理部211、取引情報通知部212を少なくとも有する。
【0034】
取引処理部211は、自動取引装置2が行う取引処理を行うものである。取引処理部211は、操作表示部23から利用者により選択された取引種別を取り込み、その取引種別に応じた操作画面情報を記憶部22から読み出し、その操作画面情報を操作表示部23に与える。
【0035】
また、取引処理部211は、利用者が操作表示部23に入力した情報や、カード処理部24及び又は通帳処理部27からカード及び又は通帳に書き込まれている情報を取り込み、取引に必要な取引情報を取得する。
【0036】
さらに、取引処理部211は、ホストコンピュータ4から取引結果を受け取り、その取引結果を操作表示部23、カード処理部24、プリンタ部25、紙幣・硬貨入出金部26、通帳処理部27に与えるものである。
【0037】
取引情報通知部212は、取引処理部211が取得した取引情報を、通信部22を介してホストコンピュータ212に通知するものである。
【0038】
ここで、取引情報は、例えば、取引日時、取引種別、取引内容(例えば、振込先、受取人等)、取引金額、カードや通帳に格納されている情報などの取引の詳細な情報を含むものである。カードや通帳に格納されている情報は、少なくとも利用者を識別する識別情報を含むものである。この識別情報は、特に限定されないが、ホストコンピュータ4が管理するユーザ情報に対応付けられている情報を適用することが望ましい。例えば、識別情報は、カード等に付与された利用者識別情報、口座番号などを用いることができる。
【0039】
記憶部28は、操作表示部23に表示する操作画面や、利用者により入力された情報や、ホストコンピュータ4から受け取った確認操作情報等を記憶するものである。
【0040】
ここで、記憶部28は、利用者が携帯端末1に表示される操作手順情報に従って取引を行う場合に表示する専用の操作画面を記憶する。この専用の操作画面には、操作画面を識別する画面識別情報(例えば、「画面No.」等)が付与されている。この「画面No.」を設けることにより、自動取引装置2での取引操作手順と利用者の入力情報との関連性をリンクさせることができる。つまり、取引処理部211は、取引手順の各ステップで入力された情報を、そのステップで要求した情報と捉えて処理することができる。
【0041】
操作表示部23は、制御部21の制御の下、取引の操作画面を表示する表示手段と、利用者により入力された情報を取り込む操作手段とからなるものである。操作表示部23は、例えば、タッチパネル表示等のように操作手段と表示手段とが一体となったものや、又例えば、操作手段と表示手段とが別々の構成のものであってもよい。
【0042】
操作表示部23は、利用者により入力された情報を制御部21に与える。例えば、振込取引の場合、振込先の金融機関名、店名、科目、口座番号、受取人名、依頼人名、依頼人電話番号、振込金額などを入力情報とする。また、預け入れ、引き落としなどの取引の場合、口座番号、暗証番号、入出金金額などを入力情報とする。
【0043】
カード処理部24は、受入口から受け入れた銀行カードや振込カード等の取引に用いるカードに記録されている情報を読み取り、その読み取った情報を制御部21に与えるものである。また、カード処理部24は、制御部21から受け取った情報を上記カードに書き込み、排出口からカードを排出するものである。カードとしては、例えば、ICチップ等を搭載したカードや、磁気的方法により情報を格納できるカード等を適用することができる。カード処理部24は、これら電気的方法や磁気的方法で情報を格納するカードに対応することができる。なお、図2では、1個のカード処理部24のみを示しているが、例えば、それぞれ電気的方法、磁気的方法等で処理する構成要素を別々に備えるようにしてもよい。
【0044】
プリンタ部25は、制御部21から受け取った取引情報を媒体(例えば紙など)に印刷し、明細票として排出口から排出するものである。
【0045】
紙幣・硬貨入出金部26は、受入口から受け入れられた紙幣、硬貨を取り込み、その紙幣、硬貨の金額を計算して収納庫(図示しない)に収納したり、取り込んだ紙幣、硬貨の金額を制御部21に与えたりするものである。また、紙幣・硬貨入出金部26は、制御部21から指示された金額に相当する紙幣、硬貨を収納庫から取り出し、その紙幣、硬貨を出力口から排出するものである。
【0046】
通帳処理部27は、受入口から受け入れられた通帳に記録されている情報を読み取り、その情報を制御部21に与えるものである。また、通帳処理部27は、制御部21から受け取った情報を通帳に記入し、記入後の通帳を出力口から出力するものである。
【0047】
通信部22は、ネットワーク5を通じてホストコンピュータ4との間で情報の授受を行う処理部及び装置である。例えば、記憶部28に取引に必要な情報が記憶され、利用者から当該情報で選択した取引を行うことの確認が得られると、通信部22は、記憶部28に記憶される情報をホストコンピュータ4に送信する。また、通信部22は、ホストコンピュータ4から取引結果を受け取ると、その取引結果を制御部21に与えて取引結果を制御部21に与える。
【0048】
(A−1−3)携帯端末1及び操作手順情報提供サーバ3の内部構成
図3は、携帯端末1及び操作手順情報提供サーバ3の内部構成を示す内部構成図である。
【0049】
携帯端末1は、既存の携帯端末を適用することができる。図3において、携帯端末1は、制御部11、表示部12、操作部13、通信部14を有する。通信部14は、ネットワーク5と通信することができれば、特に限定されることなく広く適用することができる。通信部14は、例えば、携帯電話網を介して電子メールやWebアクセスを可能とする通信部、WiFi(登録商標)等に代表される無線LAN通信部、近距離無線通信部等を適用することができる。携帯端末1は、操作手順情報提供サーバ3に対して、自動取引装置2の操作手順情報の取得を要求する。
【0050】
また、図3において、操作手順情報提供サーバ3は、制御部31、通信部32、操作手順情報記憶部33、ユーザ情報記憶部34を少なくとも有する。
【0051】
制御部31は、操作手順情報提供サーバ3の処理を制御する処理部又は装置である。制御部31は、機能的な構成として、操作手順情報提供部311を有する。なお、制御部31は、利用者のユーザ認証を行う機能を備えるようにしてもよい。
【0052】
操作手順情報提供部311は、携帯端末1から操作手順情報の取得要求を受けると、要求する取引の操作手順情報を操作手順情報記憶部33から読み出し、その操作手順情報を携帯端末1に与えるものである。
【0053】
ここで、操作手順情報の提供方法は、種々の方法を広く適用することができる。例えば、アクセスしてきた携帯端末1に対してWeb情報として操作手順情報を提供するようにしてもよいし、また携帯端末1の電子メールアドレス宛に操作手順情報を含む電子メールを送信するようにしてもよい。さらに、操作手順情報提供部311は、操作手順情報の取得要求のみをアクセス処理とし、操作手順情報の提供については、電子メールで行うようにしてもよい。
【0054】
なお、電子メールで操作手順情報を送信する場合、操作手順情報提供部311は、携帯端末1から利用者の識別情報を取得し、その識別情報に対応するユーザ情報を後述するユーザ情報記憶部34から検索する。これにより、登録ユーザが登録した携帯端末1の電子メールアドレスに対して電子メールを送信することができる。
【0055】
操作手順情報記憶部33は、自動取引装置2の1又は複数の操作手順情報を記憶するものである。操作手順情報記憶部33は、取引種別毎に操作手順情報を記憶する。操作手順情報は、例えば、操作画面の画像を盛り込んで操作手順を説明したものとしてもよいし、操作手順を文章で説明したものとしてもよい。
【0056】
ユーザ情報記憶部34は、登録ユーザのユーザ情報を記憶するものである。登録を希望するユーザは予め定められた所定の登録処理を行う。これにより登録されたユーザのユーザ情報がユーザ情報記憶部34に記憶される。ユーザ情報は、利用者の識別情報に対応付けられているものであり、例えば、氏名、住所、電子メールアドレス、年齢などが該当する。また、電子メールアドレスは、携帯端末1の電子メールアドレスを少なくとも含むものとする。さらに、電子メールアドレスは、1個だけでなく、複数個を登録するようにしてもよい。
【0057】
通信部32は、ネットワーク5を介して通信処理を行うものである。通信部32は、携帯端末1、自動取引装置2、ホストコンピュータ4との間で通信を可能とする方式を広く適用することができる。
【0058】
(A−1−4)ホストコンピュータ4の内部構成
図4は、ホストコンピュータ4の内部構成を示す内部構成図である。図4において、ホストコンピュータ4は、制御部41、通信部42、取引データベース43、ユーザ情報記憶部44を少なくとも有する。
【0059】
制御部41は、ホストコンピュータ4の処理を制御する処理部又は装置である。制御部41は、機能的な構成として、取引処理実行部411、取引情報通知部412を少なくとも有する。
【0060】
取引処理実行部411は、自動取引装置2から受信した取引情報に基づいて、取引処理を実行するものである。また、取引処理実行部411は、取引処理を実行すると、取引結果を取引データベース43に記憶すると共に、取引結果を通信部42を介して自動取引装置2に与える。例えば、取引処理実行部411は、取引を識別する取引識別番号を付与し、取引識別番号を取引情報に対応付けて取引データベース43に記憶させる。ホストコンピュータ4と自動取引装置2との間のデータの送受信には、上記取引識別番号を用いて行う。
【0061】
取引情報通知部412は、自動取引装置2から取引情報を受信すると、その取引の内容を含む取引情報を携帯端末1に対して通知するものである。ここで、携帯端末1への取引情報の通知方法としては、例えば電子メールを利用する方法を適用できる。
【0062】
例えば、自動取引装置2からの取引情報には、利用者の識別情報が含まれる。また、ホストコンピュータ4のユーザ情報記憶部44で管理されるユーザ情報は、利用者の識別情報に対応付けられている。取引情報通知部412は、自動取引装置2からの取引情報に含まれる利用者の識別情報に基づき、これに対応するユーザ情報をユーザ情報記憶部44から検索する。そして、取引情報通知部412は、検索したユーザ情報に含まれる登録ユーザの携帯端末1の電子メールアドレスを読み取り、この電子メールアドレスを送信先とし、取引情報を含む電子メールを送信するようにする。
【0063】
取引データベース43は、取引処理実行部411により実行された取引結果を記憶するデータベースである。
【0064】
ユーザ情報記憶部44は、登録ユーザのユーザ情報を記憶するものである。
【0065】
通信部42は、ネットワーク5を介して通信処理を行うものである。通信部42は、自動取引装置2、携帯端末1との間で通信を可能とする方式を広く適用することができる。
【0066】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態の自動取引システム10における操作誘導処理の動作を、図面を参照しながら説明する。
【0067】
図5は、第1の実施形態の操作誘導処理の動作の一例を示すシーケンス図である。以下では、利用者が所定の登録処理を行っており、当該利用者のユーザ情報が、操作手順情報提供サーバ3及びホストコンピュータ4において管理されているものとする。
【0068】
図5において、まず、自動取引装置2を利用する利用者は、自身の携帯端末1を用いて、ネットワーク5に接続して操作手順情報提供サーバ3にアクセスする(ステップS101)。携帯端末1は、利用者の操作により、操作手順情報提供サーバ3に対して、取引の操作手順情報の取得要求を行う(ステップS102)。
【0069】
操作手順情報サーバ3では、操作手順情報提供部311が、携帯端末1からの要求に応じて、要求された取引種別の操作手順情報を操作手順情報記憶部33から読み出し、その操作手順情報を携帯端末1に送信する(ステップS103)。
【0070】
携帯端末1は、操作手順情報提供サーバ3から受信した操作手順情報に基づく操作手順を表示部12に表示する(ステップS104)。そして、利用者は、携帯端末1の表示部12に表示された操作手順に従って、自動取引装置2の操作表示部23を操作する(ステップS105)。
【0071】
図6は、携帯端末1の表示部12に表示される画面例と、自動取引装置2の操作表示部23に表示される画面例である。なお、図6では、利用者が引き出し取引を選択した場合の操作手順を例示する。
【0072】
例えば、携帯端末1が操作手順情報提供サーバ3にアクセスすると、携帯端末1の表示部12には、図6(A−1)に示す画面が表示される。利用者は、携帯端末1の操作部13を操作して、希望する引き出し取引を選択する。この選択した情報は、ネットワーク3を介して、操作手順情報の取得要求として操作手順情報提供サーバ3に与えられる。
【0073】
操作手順情報提供サーバ3において、操作手順情報提供部311が、要求された引き出し取引の操作手順情報を携帯端末1に与える。なお、上述したように、操作手順情報の送信方法としては、Web情報として提供するようにしてもよいし、登録されているユーザ情報の電子メールアドレスを送信先とする電子メールで提供するようにしてもよい。図6(A−2)〜(A−5)は、引き出し取引の操作手順の画面例である。
【0074】
利用者が取り扱う自動取引装置2の操作表示部23には図6(B−1)に示すメニュー画面が表示される。
【0075】
また、携帯端末1には、引き出し取引の最初の操作を示す図6(A−2)の画面が表示される。図6(A−2)の画面は、「…「引き出し2」を押してください。」というものである。利用者は、この画面に従って、自動取引装置2の操作表示部23に表示される画面から、「引き出し2」のボタンを選択する。
【0076】
自動取引装置2では、利用者の操作を受けて、操作表示部23が、次の取引操作である図6(B−2)の画面を表示する。
【0077】
なお、図6(B−1)に示す「引き出し2」は、携帯端末1を利用した取引操作と、自動取引装置2での通常の「引き出し」取引操作とを区別するために設けたボタンである。これにより、自動取引装置2は、携帯端末1を利用した取引操作で用いる特別な操作画面を表示させることができ、又ホストコンピュータ4に対して携帯端末1を利用した取引操作であることを通知することができる。
【0078】
次に、携帯端末1には、引き出し取引の最初の操作を示す図6(A−3)の画面が表示される。図6(A−3)の画面は、「「画面1」が表示されたら、カードを入れて下さい。」というものである。利用者は、この画面に従って、カードをカード処理部24の受け入れ口に挿入する。
【0079】
ここで、自動取引装置2に表示される画面には、「画面No.」が付与されている。この「画面No.」は、自動取引装置2での取引操作手順と利用者の操作とをリンクさせるための番号である。つまり、「画面No.」を付与することで、自動取引装置2が要求する内容と、そのときの入力との関連性を持たせることができるので、自動取引装置2での操作要求と入力との連携を図ることができる。さらに、この自動取引装置2での操作要求と入力との連携を図ることができるので、自動取引装置2の表示画面には、詳細な操作手順を表示させず、必要最低限の基本的なキーのみを表示すればよくなる。
【0080】
例えば、自動取引装置2には、「画面1」を表示した画面が表示される。利用者は、「画面1」が表示されているときに、カードを挿入する。「画面1」は、カード挿入を要求する画面である。そのため、自動取引装置2では、カード処理部24が、カードの受け入れを許容し、受け入れたカードに格納される情報を読み取る。なお、図6(B−2)の画面には、最小限必要なキーの一例として、「取消」キーのみを表示している。
【0081】
このようにすることで、利用者にとって操作が分かりやすい操作画面を提供することができる。さらに、金融機関等に対しては、取引手順の変更した場合でも柔軟かつコストを抑えた簡単な操作画面の自動取引装置2を提供することができる。
【0082】
次に、携帯端末1には、引き出し取引の最初の操作を示す図6(A−4)の画面が表示される。図6(A−4)の画面は、「「画面2」が表示されたら、ATMで暗証番号を入力して下さい。」というものである。利用者は、この画面に従って、操作表示部23に暗証番号を入力する。
【0083】
このとき、例えば、自動取引装置2には、「画面2」を表示した画面が表示される。「画面2」は、暗証番号の入力を要求する画面である。そのため、「画面2」には、暗証番号の入力に必要なテンキーを更に表示している。利用者は、「画面2」上のテンキーを押下して、自身の暗証番号を入力する。また、自動取引装置2では、取引処理部211が、「画面2」で入力された情報を、暗証番号として取り込む。
【0084】
次に、携帯端末1には、引き出し取引の最初の操作を示す図6(A−5)の画面が表示される。図6(A−5)の画面は、「「画面3」が表示されたら、ATMで引き出し金額入力して下さい。」というものである。利用者は、この画面に従って、操作表示部23に引き出し金額を入力する。
【0085】
このとき、例えば、自動取引装置2には、「画面3」を表示した画面が表示される。「画面3」は、引き出し金額の入力を要求する画面である。そのため、「画面3」には、「画面2」と同様に、引き出し金額を入力するテンキーが表示される。利用者は、「画面3」上のテンキーを押下して、希望する引き出し金額を入力する。自動取引装置2では、取引処理部211が、「画面3」で入力された情報を、引き出し金額として取り込む。
【0086】
上記のようにして、自動取引装置2の取引処理部211が取引情報を取り込むと、取引情報通知部212は、上記取引情報をホストコンピュータ4に送信する(ステップS106)。
【0087】
次に、利用者に取引内容の確認をさせる。ここで、取引内容の確認を求める方法として、ホストコンピュータ4が携帯端末1に取引情報を通知する方法や、又は自動取引装置2が明細票を印字して出力する方法等を適用することができる。
【0088】
そこで、ホストコンピュータ4が携帯端末1に取引情報を通知する方法と、自動取引装置2が明細票を印字して出力する方法とを説明する。
【0089】
まず、ホストコンピュータ4が携帯端末1に取引情報を通知する方法を説明する。
【0090】
図7は、ホストコンピュータ4が携帯端末1に取引情報を通知する際に、携帯端末1の表示部13の画面例等を示す図である。図7(A)の画面は、図6(A−5)の画面に続く画面である。
【0091】
図7(A)の画面は、取引内容を電子メールで送信した旨(「あなたのメールに取引内容を送りました。」)と、取引内容の確認後の操作手順(「よろしければATMで確認を押してください。誤っていればATM上で取消を押してください。」)とが表示される。
【0092】
一方、ホストコンピュータ4では、図5に示すように、自動取引装置2から取引情報を取得すると、取引情報通知部412が、当該取引情報に含まれる利用者の識別情報(例えば、カード等に格納されている情報等)に対応するユーザ情報をユーザ情報記憶部44から読み出す。そして、取引情報通知部412は、ユーザ情報に含まれる携帯端末1の電子メールアドレスを送信先として、取引内容を示す取引情報を電子メールで通知する(ステップS107、S108)。
【0093】
携帯端末1は、受信した電子メールを開き、図7(B)に例示する取引内容の画面を表示する(ステップS109)。これにより、利用者、携帯端末1の表示画面を見て、取引内容が正しいか否かを確認することができる。
【0094】
このとき、自動取引装置2には、例えば、図7(C)の画面が表示される。利用者は、取引内容が正しい場合には、自動取引装置2の画面上の「確認」キーを押下して、取引を続行する。そうでない場合、利用者は「取消」キーを押下して取引を取り消す。そして、自動取引装置2は、利用者による操作情報を、ホストコンピュータ4に送信する(ステップS111)。
【0095】
次に、自動取引装置2が明細票を印字して出力する方法を説明する。
【0096】
図8は、自動取引装置2が明細票を印字する際に、携帯端末1の表示部13の画面例等を示す図である。図8(A)の画面は、図6(A−5)の画面に続く画面である。
【0097】
図8(A)の画面には、取引内容の明細票を印字した旨と、取引内容の確認後の操作手順とが表示される。自動取引装置2は、取引情報を媒体に印字し、図8(B)に示すような明細票を出力する。利用者は、自動取引装置2が印字して出力した明細票を見て、取引内容を確認する。
【0098】
このとき、自動取引装置2には、例えば、図8(C)の画面が表示される。利用者は、取引内容が正しい場合には、自動取引装置2の画面上の「確認」キーを押下して、取引を続行する。そうでない場合、利用者は「取消」キーを押下して取引を取り消す。そして、自動取引装置2は、利用者による操作情報を、ホストコンピュータ4に送信する。
【0099】
ここで、自動取引装置2は、図7(C)、図8(C)に例示する画面を表示する。図7(C)、図8(C)の画面は、必要最小限のキーの一例として、「確認」キー及び「取消」キーのみを表示している。しかし、これらキーの他に、取引内容を訂正する「訂正」キーを設けるようにしてもよい。「訂正」キーの押下により、取引内容の入力画面に戻り、一部訂正又は全部訂正できるようにしてもよい。
【0100】
ホストコンピュータ4において、自動取引装置2から操作情報を受け取ると、取引処理実行部411が、自動取引装置2からの取引情報に基づいて取引を実行し(ステップS112)、その取引結果を自動取引装置2に送信する(ステップS113)。そして、自動取引装置2が取引結果を表示して取引の処理が完了する(ステップS114)。
【0101】
(A−3)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、自動取引装置の操作画面に、詳細な手順を表示せず、必要最小限のキーのみを表示することができるので、操作手順に変更があっても、自動取引装置のソフトウェアの大きな変更を行う必要がない。さらに、顧客にとって、わかりやすい操作画面を提供することができる。
【0102】
また、第1の実施形態によれば、携帯端末を表示手段として利用する。そのため、従来のように携帯端末を入力装置として利用しないので、データのセキュリティ面に新たなリスクが発生しない。その結果、導入の障壁が低くなるので、携帯端末との連携を図った仕組みを導入することができる。
【0103】
さらに、第1の実施形態によれば、自動取引装置の操作画面を簡単にすることができる。そのため、操作画面のコストを抑えることができるので、自動取引装置自体のコストも抑えることができる。これによって、従来よりも安価な自動取引装置を金融機関等に提供することができる。
【0104】
(B)第2の実施形態
次に、本発明の操作誘導システム、操作誘導装置、操作誘導プログラム及び自動化機器の第2の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0105】
第2の実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、ホストコンピュータが、セキュリティ効果を高めるために、利用者による自動取引装置の操作の正当性を判断する点である。
【0106】
(B−1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態は、ホストコンピュータの構成及び処理が第1の実施形態と異なる。そのため、第2の実施形態でも、図1〜図3を用いて説明する。
【0107】
ホストコンピュータ4は、第1の実施形態の機能に加えて、利用者が携帯端末1を利用して自動取引装置2を操作する場合、自動取引装置2を操作する者の正当性を確認するための確認操作を指示すると共に、利用者による操作が正当化否かの判定を行う。
【0108】
例えば、ホストコンピュータ4は、確認操作に係る確認キーをランダムに決定して、その決定した確認キーを確認操作情報として携帯端末1に通知する。また、利用者が自動取引装置2を操作すると、ホストコンピュータ4は、自動取引装置2から受信した利用者の操作が、指示したとおりの操作であるか否かを判定する。これにより、確認操作を要求した者と自動取引装置2の操作者との同一性を判定できるので、セキュリティを高めることができる。
【0109】
図9は、第2の実施形態のホストコンピュータ4の内部構成を示す内部構成図である。第2の実施形態のホストコンピュータ4は、基本的には、第1の実施形態と同様の構成を備えるが、制御部41の機能的な構成が異なる。
【0110】
図9において、制御部41は、取引処理実行部411、取引情報通知部412の他に、確認操作情報決定部413、確認操作判定部414を有する。
【0111】
確認操作情報決定部413は、取引毎に確認操作情報を決定するものである。確認操作情報決定部413は、決定した確認操作情報を、利用者の識別情報又は当該取引の取引識別番号に対応付けて一時的に記憶させる。これにより、割り当てた確認操作情報と利用者による操作との対応関係を得ることができる。
【0112】
ここで、確認操作とは、携帯端末1に表示される操作手順情報を見ながら、自動取引装置2を操作している利用者の正当性を確かめるために、登録ユーザに対して要求する操作をいう。
【0113】
確認操作情報の決定方法は、特に限定されるものではなく種々の方法を広く適用することができる。例えば、予め定められた確認操作の中からランダムに選択する方法や、予め定められた選択方法に従って確認操作を決定する方法等を適用することができる。また、例えば振込取引、引き出し取引等のような取引毎に異なる確認操作情報を決定するようにしてもよい。
【0114】
確認操作情報とは、利用者に要求する確認操作の内容を示す情報である。例えば、確認操作情報の一例として、「取引内容が正しければ、自動取引装置2上の7番のキーを押してください。そうでなければ、2番のキーを押してください。」というように、確認キーを指定する情報を適用することができる。この一例の場合、確認操作情報決定部413は、上記確認キーの種類について、取引毎に異なるものと決定することができる。
【0115】
なお、上記の確認操作情報の例は、取引内容の確認の際に提示する場合を例示しているが、それ以外の取引手続きの中で、適宜確認操作を求めるようにしてもよい。また、確認キーの選択については、番号キーに限定されるものではなく、文字、記号等のキーとしてもよい。
【0116】
さらに、確認操作情報決定部413は、決定した確認操作情報を取引情報通知部412に与える。これにより、確認操作情報を含む取引情報を携帯端末1に与えることができる。
【0117】
確認操作判定部414は、自動取引装置2から受け取った利用者の操作情報が、指示した確認操作で行われているか否かを判定するものである。確認操作判定部414は、自動取引装置2から操作情報を受け取ると、その操作情報に対応付けられている利用者の識別情報又は取引識別情報に基づき、一時的に記憶されている確認操作情報を読み出す。そして、確認操作判定部414は、利用者の操作情報が確認操作情報で指示した操作であるか否かを判定する。確認操作判定部414は、確認操作が正当であれば、その旨を取引処理実行部411に通知する。
【0118】
なお、確認操作が不当である場合、当該利用者が不正であるおそれがある。この場合、確認操作判定部414は、例えば、利用者に対して再操作を要求するようにしてもよい。さらに再操作が所定回数連続して不当であれば、ホストコンピュータ4は、自動取引装置2が設置されている店のセキュリティシステム(図示しない)への報知や、所定のセキュリティ処理を行うようにしてもよい。
【0119】
(B−2)第2の実施形態の動作
図10は、第2の実施形態の操作誘導処理の動作の一例を示すシーケンス図である。図10において、ステップS101〜S106は、第1の実施形態と同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0120】
ホストコンピュータ4では、自動取引装置2から取引情報を取得すると、確認操作情報決定部413が、確認操作情報の決定を行う(ステップS201)。
【0121】
確認操作情報決定部413は、確認操作情報を決定すると、その決定した確認操作情報を、利用者の識別情報又は取引識別情報に対応付けて一時的に記憶する。また、確認操作情報決定部413は、決定した確認操作情報を取引情報通知部412に与える。
【0122】
取引情報通知部412は、確認操作情報と取引情報とを含む情報を、携帯端末1に電子メールで通知する(ステップS202、S203)。携帯端末1は、受信した電子メールを開き、取引情報、確認操作情報の画面を表示する(ステップS204)。
【0123】
図11は、携帯端末1の表示部12に表示される画面例と、自動取引装置2の操作表示部23に表示される画面例である。図11(A)の画面は、第1の実施形態で説明した図6(A−5)の画面に続く画面である。
【0124】
図11(A)の画面は、取引内容を電子メールで送信した旨(「あなたのメールに取引内容を送りました。」)が表示される。
【0125】
その後、携帯端末1が、ホストコンピュータ4から電子メールを受信すると、携帯端末1は、図11(B)に例示する画面を表示する。図11(B)の画面には、取引内容と、取引内容の確認操作の方法(「よろしければATMで7番のキーを押してください。誤っていればATM上で2番のキー押してください。」)とが表示される。これにより、利用者は、携帯端末1の表示画面を見て、取引内容が確認を行い、さらにその確認に応じた操作を自動取引装置2に対して行う。
【0126】
このとき、自動取引装置2には、図11(C)の画面が表示される。図11(C)の画面には、複数個の番号キーが表示される。なお、図11(C)では、テンキーを表示する場合を例示するが、ランダムに配置された複数の番号キーを表示するようにしてもよい。
【0127】
自動取引装置2では、操作表示部23が利用者により押下された操作情報を取り込み、その操作情報をホストコンピュータ4に送信する(ステップS206)。
【0128】
ホストコンピュータ4では、確認操作判定部414が、自動取引装置2から受信した操作情報に対応付けられている利用者の識別情報又は取引識別情報に基づき、一時的に記憶されている確認操作情報を読み出し、利用者の操作情報が確認操作情報で指示した操作であるか否かを判定する(ステップS207)。
【0129】
そして、利用者の操作情報が、取引内容を正しいと確認するものであれば、取引処理実行部411は、自動取引装置2からの取引情報に基づいて取引を実行し(ステップS112)、その取引結果を自動取引装置2に送信する(ステップS113)。そして、自動取引装置2が取引結果を表示して取引の処理が完了する(ステップS114)。
【0130】
利用者の操作情報が、取引内容を正しいと確認するものでないときには取引を終了する。
【0131】
(B−3)第2の実施形態
以上のように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、確認操作を要求することで、自動取引装置2の操作についてセキュリティを高くすることができる。
【0132】
(C)他の実施形態
(C−1)上述した第1及び第2の実施形態では、自動化機器の一例として、自動取引装置を適用した場合を例示した。しかし、操作表示手段を備えて自動化処理を行うものであれば、例えば、KIOSK端末、航空券自動発券機、自動通帳発行機、発券機、明細票処理機、金融機関の窓口端末などの自動化機器に広く適用することができる。
【0133】
(C−2)上述した第1及び第2の実施形態において、ホストコンピュータが、操作手順情報提供サーバの機能を備えるようにしてもよい。
【0134】
また、上述した第1及び第2の実施形態において、操作手順情報提供サーバは、ユーザ情報記憶部を備えるものとして説明したが、操作手順情報を電子メールで送信する場合に、利用者の携帯端末の電子メールアドレスを検索するために必要なものである。そのため、操作手順情報をWeb情報等として送信する場合には備えないようにしてもよい。
【0135】
(C−3)上述した第1及び第2の実施形態では、ホストコンピュータが確認操作を判定する場合を例示したが、自動取引装置等の自動化機器が確認操作判定を行うようにしてもよい。この場合、例えば、ホストコンピュータが決定した確認操作情報を自動化機器に与えるようにし、自動化機器が、その確認操作情報と操作表示部から入力した操作情報とに基づいて判定する方法を適用することができる。
【0136】
(C−4)上述した第1及び第2の実施形態で説明した携帯端末及び自動取引装置の表示画面は一例であり、説明した画面例に限定されるものではない。例えば、図6(B−3)、図6(B−4)では、自動取引装置での複数の画面が切り替る場合を例示した。しかし、これに限定されず、自動取引装置が取引に必要な情報を一括して取り込めるように、複数の項目欄(エリア)からなる1画面としてもよい。
【0137】
例えば、自動取引装置の画面が、第1の項目欄と、第2の項目欄と有する画面とする。携帯端末に表示される操作手順として、「その画面で、第1の項目欄に暗証番号を入力して下さい。」と表示する。次の手順として、「その画面で、第2の項目欄に引き出し金額を入力して下さい。」と表示する。これにより、利用者は1画面で情報入力できる。また、項目欄の指定をしているので、自動取引装置は、操作手順と入力情報と連携も確保できる。
【0138】
(C−5)上述した第1及び第2の実施形態で説明した、ホストコンピュータ、自動取引装置、操作手順情報提供サーバ及び携帯端末の処理は、ソフトウェア処理により実現することができる。例えば、ホストコンピュータ、自動取引装置、操作手順情報提供サーバ及び携帯端末のハードウェア構成は、CPU、ROM、RAM、EEPROM等から構成されており、第1及び第2の実施形態で説明した処理が処理プログラムとしてROMに格納されている。CPUは、ROMに格納される処理プログラムを実行することで、各処理を実現することができる。
【符号の説明】
【0139】
1…携帯端末、
11…制御部、12…表示部、13…操作部、14…通信部、
2…自動取引装置、
21…制御部、211…取引処理部、212…取引情報通知部、22…通信部、
23…操作表示部、28…記憶部、
3…操作手順情報提供サーバ、
31…制御部、311…操作手順情報提供部、32…通信部、
33…操作手順情報記憶部、34…ユーザ情報記憶部、
4…ホストコンピュータ、
42…通信部、41…制御部、411…取引処理実行部、412…取引情報通知部、
413…確認操作情報決定部、414…確認操作判定部、43…取引データベース、
44…ユーザ情報記憶部、
5…ネットワーク、10…自動取引システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の処理を実行するホストコンピュータの上記処理に必要な情報を操作表示手段から取り込み、その情報を上記ホストコンピュータに与える1又は複数の自動化機器と、
上記各自動化機器における操作手順を示す1又は複数の操作手順情報を記憶する操作手順情報記憶手段と、
携帯端末から上記操作手順情報の取得要求を受けると、その要求された上記操作手順情報を上記携帯端末に提供する操作手順情報提供手段と
を備えることを特徴とする操作誘導システム。
【請求項2】
上記携帯端末に提供された上記操作手順情報に従った操作で上記自動化機器に入力された情報を上記自動化機器から受け取り、上記処理に必要な情報を上記携帯端末に通知する情報通知手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の操作誘導システム。
【請求項3】
上記携帯端末に提供された上記操作手順情報に従って上記自動化機器を操作する場合に、上記自動化機器の上記操作表示手段での特定の操作を上記携帯端末に指示し、上記操作表示手段でなされた操作が上記特定の操作に対応するものであるか否かを判定する確認操作判定手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の操作誘導システム。
【請求項4】
上記各自動化機器が、
上記操作手順情報の操作手順に対応する操作手順対応識別情報を有し、少なくとも当該操作に必要な操作キーのみを有する特有の操作画面を記憶する操作画面記憶部と、
上記携帯端末に提供された上記操作手順情報に従った操作を受ける場合に、上記操作画面記憶部に記憶される上記特有の操作画面を上記操作表示手段に表示させる表示制御部と、
上記特有の操作画面を表示する上記操作表示手段から入力された情報を、上記操作手順対応識別情報に対応する操作で要求した情報として取り込む処理制御部と
を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の操作誘導システム。
【請求項5】
1又は複数の処理を実行するホストコンピュータの上記処理に必要な情報を操作表示手段から取り込み、その情報を上記ホストコンピュータに与える自動化機器での操作手順情報を誘導する操作誘導装置であって、
上記各自動化機器における操作手順を示す1又は複数の操作手順情報を記憶する操作手順情報記憶手段と、
携帯端末から上記操作手順情報の取得要求を受けると、その要求された上記操作手順情報を上記携帯端末に提供する操作手順情報提供手段と
を備えることを特徴とする操作誘導装置。
【請求項6】
1又は複数の処理を実行するホストコンピュータの上記処理に必要な情報を操作表示手段から取り込み、その情報を上記ホストコンピュータに与える自動化機器での操作手順情報を誘導する操作誘導プログラムであって、
上記自動化機器における操作手順を示す1又は複数の操作手順情報を記憶する操作手順情報記憶手段を備えるコンピュータを
携帯端末から上記操作手順情報の取得要求を受けると、その要求された上記操作手順情報を上記携帯端末に提供する操作手順情報提供手段として機能させることを特徴とする操作誘導プログラム。
【請求項7】
操作手順情報提供手段から携帯端末に提供された操作手順情報に従った操作を受けて操作表示手段から情報を取り込み、その情報をホストコンピュータに与える自動化機器であって、
上記操作手順情報の操作手順に対応する操作手順対応識別情報を有し、少なくとも当該操作に必要な操作キーのみを有する特有の操作画面を記憶する操作画面記憶手段と、
上記携帯端末に提供された上記操作手順情報に従った操作を受ける場合に、上記操作画面記憶手段に記憶される上記特有の操作画面を上記操作表示手段に表示させる表示制御手段と、
上記特有の操作画面を表示する上記操作表示手段から入力された情報を、上記操作手順対応識別情報に対応する操作で要求した情報として取り込む処理制御手段と
を備えることを特徴とする自動化機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−8631(P2012−8631A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141507(P2010−141507)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591051645)株式会社OKIソフトウェア (173)
【Fターム(参考)】