説明

攪拌装置及び分析装置

【課題】発生した音波のエネルギーの無駄を抑えて、攪拌効率の良い攪拌装置及び分析装置を提供すること。
【解決手段】容器に保持された液体を音波によって攪拌する攪拌装置及び分析装置。攪拌装置20は、液体に照射する音波を発生させる表面弾性波素子24と、音波によって液体L内に生ずる流れの時間変化に応じて表面弾性波素子24の駆動条件を制御する駆動制御回路23とを備えている。表面弾性波素子24の駆動条件は、表面弾性波素子の駆動時間,間欠駆動のタイミング,印加電圧又は駆動周波数の少なくとも一つである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、攪拌装置及び分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、分析装置は、容器に保持した検体や試薬を含む液体を音波発生手段が発生した音波によって攪拌する攪拌装置を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された分析装置は、分析対象ごとに効果的な攪拌を行うため、分析対象ごとに音波の照射位置や照射強度を制御している。
【0003】
【特許文献1】特許第3642713号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、音波発生手段が発生した音波を液体に照射して攪拌する場合、音波を照射し始めて一定時間が経過すると、液体内に生じる音響流は同一の位置を同じ流速で流れる定常流となる。このため、液体内に定常流を生じさせると、定常流の外側や内側に流れの滞留部が生じてしまう。従って、分析対象ごとに音波の照射位置や照射強度を制御しても、液体内に定常流が生じると、発生した音波のエネルギーが無駄になり、液体の攪拌効率が悪くなるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、発生した音波のエネルギーの無駄を抑えて、攪拌効率の良い攪拌装置及び分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に係る攪拌装置は、容器に保持された液体を音波によって攪拌する攪拌装置において、前記液体に照射する前記音波を発生させる音波発生手段と、前記音波によって前記液体内に生ずる流れの時間変化に応じて前記音波発生手段の駆動条件を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る攪拌装置は、上記の発明において、音波発生手段の駆動条件は、前記音波発生手段の駆動時間,間欠駆動のタイミング,印加電圧又は駆動周波数の少なくとも一つであることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記制御手段は、前記音波発生手段の特性、前記液体の特性、前記容器の形状又は所望する攪拌領域の少なくとも一つに応じて前記音波発生手段の駆動条件を制御することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記音波発生手段の特性は、前記音波を発生する発音部の大きさ、数又は中心周波数の少なくとも一つであることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記液体の特性は、当該液体の粘性,密度,表面張力又は液面高さの少なくとも一つであることを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記音波発生手段は、表面弾性波素子であることを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記音波発生手段は、一方向に沿って厚さが増加する圧電基板と、当該圧電基板の両面に設けられる電極とを有する厚み縦振動子であることを特徴とする。
【0013】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項8に係る分析装置は、複数の異なる液体を攪拌して反応させ、反応液の光学的特性を測定して前記反応液を分析する分析装置であって、前記攪拌装置を用いて検体と試薬との反応液を光学的に分析することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の攪拌装置は、液体に照射する音波を発生させる音波発生手段と、音波によって液体内に生ずる流れの時間変化に応じて音波発生手段の駆動条件を制御する制御手段とを備え、また、本発明の分析装置は、前記攪拌装置を備えているので、音波発生手段が発生した音波のエネルギーの無駄を抑えて、容器に保持された液体を効率良く攪拌することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施の形態1)
以下、本発明の攪拌装置、容器及び分析装置にかかる実施の形態1について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、攪拌装置を備えた実施の形態1の自動分析装置の概略構成図である。図2は、図1に示す自動分析装置を構成するキュベットホイールのA部を拡大し、一部を断面にして示す斜視図である。図3は、反応容器を収容したキュベットホイールをホイール電極の位置で水平に切断した断面平面図である。図4は、実施の形態1の攪拌装置の概略構成を反応容器の斜視図と共に示すブロック図である。
【0016】
自動分析装置1は、図1及び図2に示すように、試薬テーブル2,3、キュベットホイール4、検体容器移送機構8、分析光学系12、洗浄機構13、制御部15及び攪拌装置20を備えている。
【0017】
試薬テーブル2,3は、図1に示すように、それぞれ周方向に配置される複数の試薬容器2a,3aを保持し、駆動手段に回転されて試薬容器2a,3aを周方向に搬送する。
【0018】
キュベットホイール4は、図1に示すように、周方向に沿って設けた複数の仕切り板4aによって反応容器5を配置する複数のホルダ4bが周方向に形成され、図示しない駆動手段によって矢印で示す方向に回転されて反応容器5を搬送する。キュベットホイール4は、図2に示すように、各ホルダ4bの下部に対応する位置に半径方向に測光孔4cが形成され、測光孔4cの上部に設けた上下2つの挿通孔4dのそれぞれを利用してホイール電極4eが取り付けられている。ホイール電極4eは、図2及び図3に示すように、挿通孔4dから延出した一端が折り曲げられてキュベットホイール4の外面に当接し、挿通孔4dから延出した他端は同様に折り曲げられてホルダ4bの内面近傍に配置され、ホルダ4bに配置した反応容器5をばね力によって保持している。キュベットホイール4の近傍には、試薬分注機構6,7が設けられている。
【0019】
一方、反応容器5は、光学的に透明な素材から成形され、図2に示すように、液体を保持する保持部5a(図4参照)を有する四角筒状の容器であり、側壁5bに表面弾性波素子24が取り付けられると共に、表面弾性波素子24の一組の入力端子24dのそれぞれと接続される電極パッド5eが取り付けられている。反応容器5は、後述する分析光学系12から出射された分析光(340〜800nm)に含まれる光の80%以上を透過する素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス,環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂が使用される。反応容器5は、表面弾性波素子24を取り付けた部分に隣接する下部側の点線によって囲まれた部分が前記分析光を透過させる測光用の窓5cとして利用される。反応容器5は、使用に際しては、上部に防滴用のゴムキャップ5dを被せ、表面弾性波素子24を仕切り板4a側に向けてホルダ4bにセットされる。これにより、反応容器5は、図3に示すように、各電極パッド5eが対応するホイール電極4eと接触する。ここで、電極パッド5eは、表面弾性波素子24の入力端子24d(図5参照)上に一体的に設けられている。
【0020】
試薬分注機構6,7は、キュベットホイール4に保持された反応容器5に試薬テーブル2,3の試薬容器2a,3aから試薬を分注する。試薬分注機構6,7は、それぞれ水平面内を矢印方向に回動するアーム6a,7aに試薬を分注するプローブ6b,7bが設けられ、洗浄水によってプローブ6b,7bを洗浄する洗浄手段を有しており、試薬の分注量に関する信号を駆動制御回路23へ出力する。
【0021】
検体容器移送機構8は、図1に示すように、フィーダ9に配列した複数のラック10を矢印方向に沿って1つずつ移送する移送手段であり、ラック10を歩進させながら移送する。ラック10は、検体を収容した複数の検体容器10aを保持している。ここで、検体容器10aは、検体容器移送機構8によって移送されるラック10の歩進が停止するごとに、水平方向に回動するアーム11aとプローブ11bとを有する検体分注機構11によって検体が各反応容器5へ分注される。このため、検体分注機構11は、洗浄水によってプローブ11bを洗浄する洗浄手段を有している。また、検体分注機構11は、検体の分注量に関する信号を駆動制御回路23へ出力する。
【0022】
分析光学系12は、試薬と検体とが反応した反応容器5内の液体試料を分析するための分析光(340〜800nm)を出射するもので、図1に示すように、発光部12a,分光部12b及び受光部12cを有している。発光部12aから出射された分析光は、反応容器5内の液体試料を透過し、分光部12bと対向する位置に設けた受光部12cによって受光される。受光部12cは、制御部15と接続されている。
【0023】
洗浄機構13は、ノズル13aによって反応容器5内の液体試料を吸引して排出した後、ノズル13aによって洗剤や洗浄水等の洗浄液等を繰り返し注入し、吸引することにより、分析光学系12による分析が終了した反応容器5を洗浄する。
【0024】
制御部15は、自動分析装置1の各部の作動を制御すると共に、発光部12aの出射光量と受光部12cが受光した光量に基づく反応容器5内の液体試料の吸光度に基づいて検体の成分濃度等を分析する部分であり、例えば、マイクロコンピュータ等が使用される。制御部15は、図1に示すように、入力部16及び表示部17と接続されている。入力部16は、制御部15へ検査項目等を入力する操作を行う部分であり、例えば、キーボードやマウス等が使用される。入力部16は、攪拌装置20の表面弾性波素子24に入力する駆動信号の周波数を切り替える操作等にも使用される。表示部17は、分析内容や警報等を表示するもので、ディスプレイパネル等が使用される。
【0025】
攪拌装置20は、図4に示すように、駆動制御部21と表面弾性波素子24とを有している。駆動制御部21は、表面弾性波素子24が発する音波によって反応容器5が保持した液体内に生ずる流れの時間変化に応じ、制御部15を介して入力部16から入力される表面弾性波素子24の特性、液体の特性、反応容器5の形状又は反応容器5の所望する攪拌領域等の情報に基づいて表面弾性波素子24の駆動条件を制御する。駆動制御部21は、キュベットホイール4の外周にキュベットホイール4と対向させて配置され(図1参照)、ハウジング21aに設けたブラシ状の接触子21b(図3参照)の他に、ハウジング21a内に信号発生器22と駆動制御回路23を備えている。接触子21bは、2つのホイール電極4eと対向するハウジング21aに設けられ、キュベットホイール4が停止すると対応するホイール電極4eと接触し、駆動制御部21と反応容器5の表面弾性波素子24とが電気的に接続される。
【0026】
ここで、表面弾性波素子24の駆動条件は、例えば、表面弾性波素子24の駆動時間,間欠駆動のタイミング,印加電圧又は駆動周波数等があり、駆動制御部21はこれらの少なくとも一つを制御する。表面弾性波素子24の特性は、例えば、音波を発生する振動子24bの大きさ、数又は中心周波数等があり、駆動制御部21はこれらの少なくとも一つに応じて表面弾性波素子24の駆動条件を制御する。一方、液体の特性としては、例えば、液体の粘性,密度,表面張力又は液面高さ等があり、駆動制御部21はこれらの少なくとも一つに応じて表面弾性波素子24の駆動条件を制御する。
【0027】
このとき、液面高さは、図4に示すように、表面弾性波素子24の振動子24bが出射するバルク波Wbが側壁5bから液体Lへ入射する入射点Piにおける側壁5bの法線Nとなす伝搬角θと、反応容器5に分注した際に、試薬分注機構6,7や検体分注機構11から入力される試薬や検体の分注量に関する信号から駆動制御回路23が求める。また、入射点Piからバルク波Wbの進行方向に沿った底壁までの距離をd1とし、同じく液面までの距離をd2とする。
【0028】
信号発生器22は、駆動制御回路23から入力される制御信号に基づいて発振周波数を変更可能な発振回路を有しており、数MHz〜数百MHz程度の高周波の駆動信号を表面弾性波素子24に入力する。駆動制御回路23は、メモリとタイマを内蔵した電子制御手段(ECU)が使用され、制御部15を介して入力部16から入力される制御信号に基づいて信号発生器22の作動を制御することにより、信号発生器22が表面弾性波素子24へ出力する駆動信号の電圧や電流を制御する。駆動制御回路23は、表面弾性波素子24の駆動条件と、信号発生器22の作動を制御する。駆動制御回路23は、例えば、表面弾性波素子24が発する音波の特性(周波数,強度,位相,波の特性)、波形(正弦波,三角波,矩形波,バースト波等)或いは変調(振幅変調,周波数変調)等を制御する。また、駆動制御回路23は、内蔵したタイマに従って信号発生器22が発振する高周波信号の周波数を変化させる。
【0029】
表面弾性波素子24は、図5に示すように、圧電基板24aの表面に櫛歯状電極(IDT)からなる振動子24bが僅かな距離を置いて配置されている。振動子24bは、駆動制御部21から入力された駆動信号をバルク波(音波)に変換する発音部であり、振動子24bを構成する複数のフィンガーが圧電基板24aの長手方向に沿って配列されている。また、表面弾性波素子24は、図2に示すように、各入力端子24d上に電極パッド5eの端部が重ねられ、駆動制御部21と一組の入力端子24dとの間がホイール電極4eに接触する接触子21bによって接続されている。振動子24bは、入力端子24dとの間がバスバー24eによって接続されている。表面弾性波素子24は、エポキシ樹脂等の接着剤からなる音響整合層を介して反応容器5の側壁5bに取り付けられる。ここで、表面弾性波素子24は、液体に音波を照射する際に、液体やジェル等の音響整合層を介して反応容器5に離接可能に当接される構成としてもよい。
【0030】
ここで、表面弾性波素子24の特性の一つである振動子24bの大きさとは、図5に示す振動子24bを構成する複数のフィンガーのうち両端位置するフィンガーの中央を結ぶ距離Ssをいう。また、図5に示す表面弾性波素子24を含め、以下に説明する表面弾性波素子を示す図面は、構成を示すことを主目的とするため、振動子を構成する複数のフィンガーの線幅又はピッチは必ずしも正確に描いていない。なお、入力端子24d上に図2の電極パッド5eが一体的に設けられるか、入力端子24d自体が電極パッド5eであっても良い。
【0031】
以上のように構成される自動分析装置1は、回転するキュベットホイール4によって周方向に沿って搬送されてくる複数の反応容器5に試薬分注機構6,7が試薬容器2a,3aから試薬を順次分注する。試薬が分注された反応容器5は、検体分注機構11によってラック10に保持された複数の検体容器10aから検体が順次分注される。そして、キュベットホイール4が停止する都度、接触子21bがホイール電極4eと接触し、駆動制御部21と反応容器5の表面弾性波素子24とが電気的に接続される。このため、反応容器5は、分注された試薬と検体が攪拌装置20によって順次攪拌されて反応する。
【0032】
自動分析装置1においては、通常、試薬の量に比べて検体の量が少なく、攪拌によって液体中に生ずる一連の流れによって反応容器5に分注された少量の検体が多量の試薬に引き込まれて検体と試薬との反応が促進される。このようにして検体と試薬が反応した反応液は、キュベットホイール4が再び回転したときに分析光学系12を通過し、発光部12aから出射された光束が透過する。このとき、反応容器5内の試薬と検体の反応液は、受光部12cで側光され、制御部15によって成分濃度等が分析される。そして、分析が終了した反応容器5は、洗浄機構13によって洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
【0033】
このとき、自動分析装置1は、制御部15を介して入力部16から予め入力された制御信号に基づき、キュベットホイール4の停止時に駆動制御部21が接触子21bから入力端子24dに駆動信号を入力する。これにより、表面弾性波素子24は、入力される駆動信号の周波数に応じて振動子24bが駆動され、バルク波(音波)を誘起する。誘起されたバルク波(音波)は、音響整合層から反応容器5の側壁5b内へと伝搬し、図4に示すように、入射点Piから音響インピーダンスが近い液体L中へバルク波Wbが漏れ出してゆく。この結果、反応容器5が保持した試薬と検体等の液体L内には、漏れ出したバルク波Wbによって音響流が生じ、液体Lがこの音響流によって攪拌される。
【0034】
この攪拌に際し、駆動制御部21は、表面弾性波素子24が発する音波によって反応容器5が保持した液体内に生ずる流れの時間変化に応じ、制御部15を介して入力部16から入力される表面弾性波素子24の特性、分析対象となる試薬と検体等を含む液体の特性、反応容器5の形状又は反応容器5の所望する攪拌領域等の情報に基づいて表面弾性波素子24の駆動条件を制御する。例えば、駆動制御部21は、駆動制御回路23が求めた液面高さ及び入力部16から入力される表面弾性波素子24の特性として振動子24bの中心周波数に応じて表面弾性波素子24の駆動条件である間欠駆動のタイミングを制御する。この場合、駆動制御部21は、表面弾性波素子24の中心周波数がf0の場合、図6に示すように、駆動制御部23が信号発生器22から入力端子24dに周波数f0の駆動信号を、時分割で駆動時間T1,T2(秒)の間に信号照射のない切替え時間Toff(秒)を介して表面弾性波素子24に出力し、間欠駆動する。
【0035】
このような表面弾性波素子24の間欠駆動によって反応容器5が保持した液体L中に非定常な音響流が発生し、分注された試薬と検体が攪拌される。ここで、内法の縦×横×高さが4×4×15mmの反応容器5、振動子24bの大きさSs=1mm,中心周波数f0=81MHzの表面弾性波素子24を使用し、反応容器5が保持した液体Lを攪拌する際の入射点Piからバルク波Wbの進行方向(伝搬角θ=15°)に沿った距離と音響流の流速との関係を求めた。このとき、表面弾性波素子24は、駆動時間T1=T2=0.1,0.5,1,2,3秒、切替え時間Toff=10秒で駆動した。その結果を、入射点Piからバルク波Wbの進行方向に沿った距離(mm)を横軸、液体L中に発生する音響流の流速(mm/秒)を横軸として、表面弾性波素子24の駆動時間ごとに図7に示す。
【0036】
図7に示す結果から明らかなように、駆動時間0.1秒及び0.5秒の場合、音響流は、不規則な流れ場を形成しながら成長してゆき、駆動時間1秒程度で入射点Pi(図4参照)から比較的近い領域が定常流となる。一般に、液体を攪拌する場合、流線が安定している定常流よりも、過渡的で、かつ、速い流れを有し、流線が不安定な非定常流の方が効率良く液体を攪拌することができる。
【0037】
このため、例えば、所望する攪拌領域の範囲としてバルク波Wbの進行方向に沿った距離がd1=3mmの場合、図7に示す結果から、表面弾性波素子24の駆動時間T1を0.5≦T1<1(秒)とすると、入射点Piからの距離が同じであっても音響流の流速が異なり、定常流よりも複雑な流れ場となる。一方、所望する攪拌領域の範囲としてバルク波Wbの進行方向に沿った距離がd1=6mmの場合には、同様にして、表面弾性波素子24の駆動時間T1を1≦T1<2(秒)とすることが望ましい。このとき、切替え時間Toffは、駆動制御部21の性能に左右される割合が大きいが、攪拌に有効な複雑な流れ場を形成するためには、可能な範囲で短く設定する方が良く、100m秒以下であることが好ましい。
【0038】
従って、攪拌装置20は、表面弾性波素子24が発する音波によって反応容器5が保持した液体内に生ずるこのような流れの時間変化を予め駆動制御回路23に記憶させておき、所望する攪拌領域の範囲に応じて間欠駆動のタイミングを制御することにより、反応容器5が保持した液体を非定常な流れによって音波のエネルギーの無駄を抑えて、効率良く攪拌することができる。しかも、このように優れた効果を達成するうえで、攪拌装置20は、従来の攪拌装置に必要とされる構成要素に加えて新たに追加する構成要素は不要なことから、安価なうえ、自動分析装置が大型化することも回避することができる。
【0039】
ここで、駆動制御部21は、周波数f0の駆動信号に関し、例えば、図8に示すように、振幅が100%の駆動時間T1=T2の間に振幅が0%の切替え時間Toffを介して表面弾性波素子24を間欠駆動してもよい。また、駆動制御部21は、図9に示すように、振幅が100%の駆動時間T1=T2の間に、振幅を駆動時間T1,T2の振幅の50%とする切替え時間Tchを介して表面弾性波素子24を所定時間連続的に駆動してもよい。このように、振幅変調制御の下に表面弾性波素子24を駆動すると、攪拌装置20は、表面弾性波素子24の駆動時間を短縮し、攪拌に要するエネルギーを低減することができる。この場合、駆動制御部21は、駆動信号をオフ、即ち、振幅を0%とせず極めて低い振幅を有する駆動信号で表面弾性波素子24を駆動する場合もある。
【0040】
一方、音響流の流速分布図に関し、振動子24bの大きさがSs=1,2,2.5mmの3種類の表面弾性波素子24を使用し、駆動周波数50MHzの下に流速分布を図7と同様にして求めたところ図10〜図12に示す結果が得られた。これらの結果から、表面弾性波素子24は、振動子の大きさの違いによって音響流の流速分布が異なり、振動子24bの大きさSsが大きくなるのに伴って発生する音響流の流速が増加すると共に、バルク波Wbの進行方向に沿った音響流の入射点Piからの到達距離が延び、所望する攪拌領域の範囲が拡がること、また、所望する攪拌領域の範囲と表面弾性波素子24の駆動時間が同じであれば、振動子24bが大きい方が音響流の流速が速くなり、定常流よりも複雑な流れ場となることが分かった。従って、攪拌装置20は、振動子の大きさに応じて駆動条件を制御してやることで、反応容器5が保持した液体を非定常な流れによって音波のエネルギーの無駄を抑えつつ、効率良く攪拌することができる。
【0041】
(実施の形態2)
次に、本発明の攪拌装置及び分析装置にかかる実施の形態2について、図面を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1の攪拌装置及び分析装置は、振動子が1つの表面弾性波素子を使用している。これに対し、実施の形態2の攪拌装置及び分析装置は、振動子が2つの表面弾性波素子を使用している。
【0042】
図13は、実施の形態2に係る自動分析装置のキュベットホイールの図2に対応する斜視図である。図14は、攪拌装置の概略構成を反応容器の斜視図と共に示すブロック図である。ここで、実施の形態2を含めて以下に説明する攪拌装置及び自動分析装置は、基本構成が実施の形態1の攪拌装置及び自動分析装置と同一の場合、同一の構成部分には同一の符号を用いて説明している。
【0043】
実施の形態2の自動分析装置は、図13及び図14に示すように、攪拌装置30が振動子を2つ有する表面弾性波素子25を使用している。即ち、攪拌装置30の表面弾性波素子25は、圧電基板25aの表面に櫛歯状電極(IDT)からなる振動子25b,25cが僅かな距離を置いて配置されている。振動子25b,25cは、駆動制御部21から入力された駆動信号をバルク波(音波)に変換する発音部であり、振動子25b,25cを構成する複数のフィンガーが圧電基板25aの長手方向に沿って配列されている。また、表面弾性波素子25は、一組の入力端子25dと単一の駆動制御部21との間がホイール電極4eに接触する接触子21bによって接続されている。振動子25b,25cは、入力端子25dとの間がバスバー25eによって接続されている。表面弾性波素子25は、一組の入力端子25dを上側に配置した状態で音響整合層を介して反応容器5の側壁5bに取り付けられる。
【0044】
ここで、振動子25b,25cは、それぞれ駆動周波数に対するインピーダンス及び位相が図15に示す周波数特性を有するものを使用し、振動子25bの中心周波数をf1とし、振動子25cの中心周波数をf2(>f1)とする。このとき、表面弾性波素子25は、振動子25b,25cのそれぞれの中心周波数(f1,f2)における電気インピーダンスが外部電気系と同じ50Ωとなるように設計しておき、その中心周波数で駆動する。すると、振動子25b,25cと外部電気系のインピーダンスが一致するため、表面弾性波素子25は、電気的な反射なしに振動子25b,25cに駆動信号を入力することができる。
【0045】
このとき、表面弾性波素子25は、振動子25b,25cのインピーダンスをそれぞれZ1,Z2として等価回路を示すと図16に示すようになる。このため、例えば、駆動制御部21が表面弾性波素子25に周波数f1の駆動信号を入力すると、振動子25bはインピーダンスが50Ω、振動子25cはインピーダンスが∞となる。従って、表面弾性波素子25は、見掛け上、図17に示すように、振動子25cが存在せず(絶縁状態)、入力された駆動信号(f1)によって振動子25bのみが駆動されることになる。
【0046】
一方、駆動制御部21が表面弾性波素子25に周波数f2の駆動信号を入力すると、振動子25bはインピーダンスが∞、振動子25cはインピーダンスが50Ωと逆になる。従って、表面弾性波素子25は、見掛け上、図18に示すように、振動子25bが存在せず(絶縁状態)、入力された駆動信号(f2)によって振動子25cのみが駆動されることになる。なお、外部電気系のインピーダンスが他の値、例えば、75Ωの場合には、振動子25b,25cの中心周波数における電気インピーダンスが75Ωとなるように設計しておけばよい。
【0047】
このため、攪拌装置30は、表面弾性波素子25が発する音波によって反応容器5が保持した液体内に生ずる上述の流れの時間変化を予め駆動制御回路23に記憶させておき、試薬分注機構6,7や検体分注機構11から入力される試薬や検体の分注量に関する信号から求めた液体の量をもとに駆動制御回路23が表面弾性波素子25に出力する駆動信号を切り替える。例えば、液体の量が少ない場合、駆動制御回路23は、振動子25bを駆動するように駆動信号を切り替える。これにより、自動分析装置は、キュベットホイール4が停止したときに接触子21bがホイール電極4eと接触すると、駆動制御部21から表面弾性波素子25に周波数f1の駆動信号が入力される。
【0048】
これにより、攪拌装置30は、表面弾性波素子25の振動子25bが、図19に示すように、キュベットホイール4の停止時間中に、駆動時間T1,T2(秒)の間に信号照射のない切替え時間Toff(秒)を介して時分割で入力される周波数f1の駆動信号によって間欠駆動される。この結果、振動子25bによって誘起されたバルク波(音波)は、音響整合層から反応容器5の側壁5b内へと伝搬し、音響インピーダンスが近い液体試料中へ漏れ出す。この漏れ出した音波によって音響流が生じ、分注された試薬と検体とが攪拌される。
【0049】
このとき、振動子25bは、図14に示したように、反応容器5の下側に配置されている。このため、図20に示すように、反応容器5の液体L中へ漏れ出すバルク波は、液体L中の振動子25bに対応する位置を起点として斜め下方へ向かうバルク波Wb1と斜め上方へ向かうバルク波Wb2が生ずる。従って、反応容器5に保持された液体L中には、この2方向に対応した2つの音響流が生じ、分注された試薬と検体とを音波のエネルギーの無駄を抑えて、効率良く攪拌することができる。
【0050】
一方、例えば、液体の量が多い場合、駆動制御回路23は、試薬分注機構6,7や検体分注機構11から入力される試薬や検体の分注量に関する信号から求めた液体の量をもとに、振動子25b,25c交互に駆動するように駆動信号を切り替える。これにより、攪拌装置30は、図21に示すように、キュベットホイール4の停止時間中に、駆動時間T1,T2(=T1)(秒)の間に切替え時間Toff(秒)を介して周波数f1と周波数f2の駆動信号が表面弾性波素子25に交互に入力される。これにより、自動分析装置は、キュベットホイール4が停止する毎に、駆動制御部21によって表面弾性波素子25に入力される駆動信号の周波数が変更され、音波を発生する振動子25b,25cが自己選択的に切り替えられる。
【0051】
この結果、反応容器5は、図22に示すように、下側に配置された振動子25bから周波数f1のバルク波Wb11,Wb12が、上側に配置された振動子25cから周波数f2の音波Wb21,Wb22が、保持した液体L中へそれぞれ交互に漏れ出して音響流が発生する。このため、反応容器5が保持した液体Lは、エネルギーの無駄を抑えて反応容器5の底部から気液界面に至るまで効率良く攪拌される。なお、周波数f1,f2の切り替え時間は、必ずしも1:1である必要はなく、検体の特性等に応じて適宜設定,変更しても良い。
【0052】
このとき、攪拌装置30は、表面弾性波素子25の数に関係なく、図14に示すように、単一の駆動制御部21と一組の入力端子25dとの間がホイール電極4eに接触する接触子21bによって接続されている。また、表面弾性波素子25は、駆動制御部21によって駆動信号の周波数を変更することによって、音波を発生する振動子25b,25cが自己選択的に切り替わる。このため、攪拌装置30は、従来の攪拌手段のようなスイッチ回路が必要ないことと相俟って、発音部となる共振周波数の異なる複数の振動子25b,25cを有していても、配線数の増加を抑え、簡単な構成で音波を発生する振動子25b,25cを特定の振動子25b,25cに容易に切り替えることができる。
【0053】
しかも、攪拌装置30は、位置によって共振周波数が異なる振動子を有する表面弾性波素子25を用いることによって、駆動制御部21と一組の入力端子25dとの間を接続することから配線数を少なくすることができる。このため、攪拌装置30は、小さい容器へ表面弾性波素子25を取り付けることが可能となり、容器の小型化のみならず分析装置の小型化も可能となる。
【0054】
(実施の形態3)
次に、本発明の攪拌装置及び分析装置にかかる実施の形態3について、図面を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1,2の攪拌装置及び分析装置は、振動子を構成する複数のフィンガーが総て同じ方向に配列された表面弾性波素子を使用している。これに対し、実施の形態3の攪拌装置及び分析装置は、複数の振動子相互間でフィンガーの向きが90°異なる表面弾性波素子を使用している。
【0055】
図23は、実施の形態3に係る自動分析装置のキュベットホイールの図2に対応する斜視図である。図24は、実施の形態3に係る攪拌装置の概略構成を反応容器の斜視図と共に示すブロック図である。図25は、反応容器の斜視図である。図26は、反応容器の底壁外面に取り付ける表面弾性波素子の正面図である。
【0056】
実施の形態3の攪拌装置40は、図23及び図24に示すように、駆動制御部21と反応容器5の底壁外面に取り付ける表面弾性波素子26とを有しており、キュベットホイール4のホルダ4bに反応容器5を収容すると、ホイール電極4fを介して駆動制御部21から表面弾性波素子26に駆動信号が入力される。ここで、ホイール電極4fは、攪拌装置20,30のホイール電極4eと異なり、図23に示すように、挿通孔4dから延出した一端が折り曲げられてキュベットホイール4の外面に当接し、挿通孔4dから延出した他端は同様に折り曲げられてホルダ4bの内面に当接した後、下方へ延びてホルダ4bの底部で底部に沿って折り曲げられている。
【0057】
表面弾性波素子26は、音響整合層を介して反応容器5の底壁外面に取り付けられ、図26に示すように、バスバー26eによって直列に接続された振動子26b,26c(中心周波数f1,f2)と、同様に直列に接続された振動子26f,26g(中心周波数f3,f4)とが一組の入力端子26dに対して並列に接続されている。このとき、振動子26b,26fと振動子26c,26gは、圧電基板26aの板面上でフィンガーの向きが90°異なっている。また、中心周波数f1〜f4は、f1>f2>f3>f4の大小関係にある。表面弾性波素子26は、例えば、周波数f1の駆動信号を入力すると振動子26bが励振されてバルク波が発生する。このようにして発生したバルク波は、圧電基板26a,音響整合層,反応容器5の底壁を伝搬してゆき、図24に示すように、反応容器5が保持した液体L中にバルク波Wbが漏れ出す。この漏れ出したバルク波Wbは、反応容器5が保持した液体L中に音響流を発生させ、液体Lを攪拌する。
【0058】
攪拌装置40は、表面弾性波素子26が発する音波によって反応容器5が保持した液体内に生ずる流れの時間変化を予め駆動制御回路23に記憶させておき、駆動制御回路23に表面弾性波素子26の駆動条件を制御させることにより、反応容器5が保持した液体を非定常な流れによって音波のエネルギーの無駄を抑えつつ、効率良く攪拌する。
【0059】
実施の形態3の自動分析装置は、以上のように構成される攪拌装置40を使用しており、キュベットホイール4の停止時に、音波によって反応容器5が保持した液体内に生ずる流れの時間変化に応じて駆動制御回路23から表面弾性波素子26に異なる周波数の駆動信号が切り替えて入力される。即ち、駆動制御回路23が、図27に示すように、周波数f4〜f1の駆動信号を駆動時間T1〜T4(秒)の間隔で切り替えながら表面弾性波素子26に入力する。これにより、自動分析装置は、キュベットホイール4が停止する毎に、音波を発生する振動子26b,26c,26f,26gが自己選択的に切り替えられる。
【0060】
このため、攪拌装置40は、振動子26bが駆動されると、図28に示すように、周波数f4の音波が底壁から液体L中へ漏れ出して音響流SA4が発生する。次に、攪拌装置40は、振動子26cが駆動されると、図29に示すように、周波数f3の音波が底壁から液体L中へ漏れ出して音響流SA3が発生する。次いで、攪拌装置40は、振動子26fが駆動されると、図30に示すように、周波数f2の音波が底壁から液体L中へ漏れ出して音響流SA2が発生する。そして、攪拌装置40は、振動子26gが駆動されると、図31に示すように、周波数f1の音波が反応容器5の底壁から液体L中へ漏れ出して音響流SA1が発生する。ここで、例えば、音響流SA1は、流速が大きく主要な流れとなる音響流SA1aと、音響流SA1aの後方に向かい、流速が小さい音響流SA1bとが発生し、他の音響流SA2〜SA4においても同様である。
【0061】
この結果、反応容器5が保持した液体L中には、音響流SA4〜SA1が順番に発生する。これらの音響流のうち流速が大きい音響流SA4a〜SA1aが連なって、反応容器5が保持した液体L中には、反時計方向の旋廻流が形成される。このように、表面弾性波素子26が発生する音波によって反応容器5が保持した液体中に生ずる流れの時間変化に応じ、上述のように駆動制御回路23が表面弾性波素子26に異なる周波数の駆動信号を切り替えて入力すると、反応容器5が保持した液体中に旋廻流が生ずる。
【0062】
このため、攪拌装置40は、この旋廻流によって反応容器5に保持した液体Lを音波のエネルギーの無駄を抑えて、効率良く攪拌することができる。この場合、攪拌装置40は、試薬分注機構6,7や検体分注機構11から駆動制御回路23に入力される試薬や検体の分注量に関する信号から求めた反応容器5が保持する液体の量をもとに、駆動制御回路23によって音波を発生する振動子26b,26c,26f,26gを特定の振動子に切り替えることで、反応容器5に保持した液体Lを音波のエネルギーの無駄を抑えて、効率良く攪拌することもできる。
【0063】
ここで、攪拌装置40は、反応容器5に保持した液体Lを音波のエネルギーの無駄を抑えて、効率良く攪拌することができれば、駆動制御回路23によって表面弾性波素子26を駆動する駆動信号の周波数を切り替える順序は、必ずしもf4,f3,f2,f1の順である必要はなく、また、振動子26b,26c,26f,26gの配置位置も図26に示す位置に限定されるものではない。従って、攪拌装置40は、駆動制御回路23によって表面弾性波素子26を周波数f4,f3,f2,f1の順に駆動した後、周波数f1,f2,f3,f4の順に駆動してもよいし、他の順で駆動してもよい。このように攪拌順序を逆にすると、攪拌対象によっては、反応容器5に保持した液体L中に生ずる音響流の向きが乱れて複雑な流れ場が形成されるため、音波のエネルギーの無駄を抑えつつ、液体Lの攪拌効果を向上させることができる。
【0064】
また、攪拌装置40は、振動子26b,26c,26f,26gを有する表面弾性波素子26を、図32に示すように、反応容器5の側壁5b外面に取り付けてもよい。このようにすると、攪拌装置40は、駆動制御回路23によって周波数f4〜f1の駆動信号を切り替えて表面弾性波素子26に入力することにより、音響流SA4,SA3,SA2,SA1が交互に発生し、側壁5bから液体L中へ漏れ出す4種類のバルク波Wbによって生ずる旋廻流Fを上下方向に流れる対流とすることができる。このため、攪拌装置40のみならず、自動分析装置の設計上の自由度が増す。
【0065】
(実施の形態4)
次に、本発明の攪拌装置及び分析装置にかかる実施の形態4について、図面を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1〜3の攪拌装置及び分析装置は、音波発生手段として表面弾性波素子を使用している。これに対し、実施の形態4の攪拌装置、容器及び分析装置は、音波発生手段として厚み縦振動子を使用している。
【0066】
図33は、実施の形態4に係る自動分析装置のキュベットホイールの図2に対応する斜視図である。図34は、実施の形態4に係る攪拌装置の概略構成を反応容器の断面図と共に示すブロック図である。図35は、図34に示す攪拌装置で使用する厚み縦振動子の斜視図である。図36は、圧電基板の長手方向に沿った位置と中心周波数との関係を示す厚み縦振動子の周波数特性図である。
【0067】
実施の形態4に係る自動分析装置は、図33及び図34に示すように、駆動制御部21と厚み縦振動子51とを有する攪拌装置50を備えており、厚み縦振動子51は反応容器5の側壁5b外面に取り付けられている。反応容器5は、2つの電極パッド5eのそれぞれが厚み縦振動子51の信号線電極51b及びグランド電極51cと接続され、キュベットホイール4のホルダ4bに収容すると、電極パッド5eがホイール電極4eと接続される。従って、反応容器5は、接触子21bがホイール電極4eと接触すると、駆動制御部21から厚み縦振動子51に駆動信号が入力される。
【0068】
厚み縦振動子51は、図34及び図35に示すように、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる圧電基板51aの一方の面に信号線電極51bが設けられ、他方の面にグランド電極51cが設けられている。信号線電極51b,グランド電極51cは、駆動制御部21から送電された電力を表面弾性波(音波)に変換する発音部であり、グランド電極51cから音波が出射される。圧電基板51aは、グランド電極51cを設ける一方の面に対して信号線電極51bを設ける他方の面が傾斜した楔型に成形されている。
【0069】
このため、厚み縦振動子51は、図35に示す点PA,PBを基準とする圧電基板51aの長手方向に沿った位置と中心周波数との関係が、圧電基板51aの厚さが増すに従って中心周波数が直線的に小さくなる特性を有している。即ち、厚み縦振動子51は、図36に示すように、厚みが最も薄い位置PAの中心周波数がf2であり、厚みが増すのに従って中心周波数が減少し、最も厚い位置PBにおける中心周波数がf1(<f2)となる。従って、厚み縦振動子51は、中心周波数が直線的に変化する多数の発音部が長手方向に沿って点状に配列されたものと見なすことができる。
【0070】
従って、攪拌装置50は、ホイール電極4eを介して駆動制御部21から厚み縦振動子51に異なる周波数の駆動信号を入力すると、入力した駆動信号の周波数と共振する中心周波数を有する圧電基板51aの厚さの位置にあるグランド電極51cから励振された音波が出射され、発音部の位置が長手方向に沿って変化する。
【0071】
実施の形態4の自動分析装置は、以上のように構成される攪拌装置50を使用しており、厚み縦振動子51が発する音波によって反応容器5が保持した液体内に生ずる流れの時間変化を予め駆動制御回路23に記憶させておき、駆動制御回路23に厚み縦振動子51の駆動条件である駆動信号の周波数を制御することにより、反応容器5が保持した液体を非定常な流れによって音波のエネルギーの無駄を抑えて、効率良く攪拌する。
【0072】
ここで、図36に示す位置PA,PB間の距離が1mm、位置PBにおける中心周波数f1=50MHz、位置PAにおける中心周波数f2=81MHzの厚み縦振動子51を有する攪拌装置50に関し、図7と同様にして音響流の流速分布図を求めた。このとき、厚み縦振動子51は、周波数f1の駆動信号の場合、駆動時間T1=T2=2秒、切替え時間Toff=10秒で駆動し、周波数f2の駆動信号の場合、駆動時間T1=T2=0.5,1,2秒、切替え時間Toff=10秒で駆動して反応容器5が保持した液体を攪拌する際の入射点から表面弾性波の進行方向(伝搬角θ=0°)に沿った距離と音響流の流速との関係を求めた。その結果を、入射点から表面弾性波の進行方向に沿った距離(mm)を横軸、液体中に発生する音響流の流速(mm/秒)を横軸として、厚み縦振動子51の駆動時間ごとに図37に示す。
【0073】
図37に示す結果から明らかなように、厚み縦振動子51の駆動時間が1秒未満である0.5秒の場合、音響流は、不規則な流れ場を形成しながら成長してゆき、駆動時間1秒程度で入射点から比較的近い領域が定常流となる。このとき、音響流が液体を攪拌する範囲は、音源の大きさと駆動周波数に依存する。厚み縦振動子51は、上述のように多数の発音部(音源)が長手方向に沿って点状に配列されたものと見なされる。
【0074】
このため、例えば、表面弾性波Waの進行方向に沿った所望する攪拌領域の範囲を距離5mmとするには、周波数f1で厚み縦振動子51を駆動する場合には、駆動時間T1(=T2)として約2秒必要とするが、周波数f2で厚み縦振動子51を駆動する場合には、1秒≦T1<2秒の駆動時間T1(=T2)とすればよい。
【0075】
従って、攪拌装置50は、厚み縦振動子51が発する音波によって反応容器5が保持した液体内に生ずるこのような流れの時間変化を予め駆動制御回路23に記憶させておき、所望する攪拌領域の範囲に応じて厚み縦振動子51の駆動時間を制御する。これにより、攪拌装置50は、反応容器5が保持した液体を非定常な流れによって音波のエネルギーの無駄を抑えて、効率良く攪拌することができる。しかも、このように優れた効果を達成するうえで、攪拌装置50は、従来の攪拌装置に必要とされる構成要素に加えて新たに追加する構成要素は不要なことから、安価なうえ、自動分析装置が大型化することも回避することができる。
【0076】
ここで、攪拌装置50は、試薬分注機構6,7や検体分注機構11から駆動制御回路23に入力される試薬や検体の分注量に関する信号から求めた反応容器5が保持する液体の量をもとに、駆動制御回路23が駆動信号の周波数を変更する。例えば、液体の量が少ない場合には、駆動制御回路23が周波数f1の駆動信号を厚み縦振動子51に入力する。すると、自動分析装置は、キュベットホイール4が停止したときに接触子21bがホイール電極4eと接触し、駆動制御回路23から厚み縦振動子51に周波数f1の駆動信号が入力される。
【0077】
このとき、厚み縦振動子51は、キュベットホイール4の停止時間中に、図38に示すように、駆動時間T1(=T2)、切替え時間Toffで周波数f1の駆動信号が駆動制御回路23から入力される。この結果、キュベットホイール4の停止中に厚み縦振動子51によって誘起された表面弾性波(音波)は、音響整合層から反応容器5の側壁5b内へと伝搬し、図34に示すように、音響インピーダンスが近い液体L中へ表面弾性波Wa1が漏れ出す。このため、反応容器5が保持した液体には、漏れ出した表面弾性波Wa1によって音響流が生じ、分注された試薬と検体とが攪拌される。
【0078】
ここで、厚み縦振動子51は、周波数f1の駆動信号によって励振される位置が反応容器5の下側に位置する。このため、図34に示すように、液体L中へ漏れ出す音波Wa1は、厚み縦振動子51の点PB(図35参照)に対応した反応容器5の下側を起点として、矢印で示す斜め上方と斜め下方の2方向に向かう。従って、反応容器5に保持された液体L中には、この2方向に対応した2つの音響流が生じ、分注された試薬と検体とが攪拌される。
【0079】
一方、例えば、液体の量が多い場合、駆動制御回路23は、周波数f1の駆動信号と周波数f2(>f1)の駆動信号が厚み縦振動子51に交互に入力されるように設定する。これにより、攪拌装置50は、図39に示すように、キュベットホイール4の停止時間中に、駆動時間T1,T2(=T1)(秒)の間に切替え時間Toff(秒)を介して周波数f1と周波数f2の駆動信号が厚み縦振動子51に交互に切り替えて入力される。この結果、自動分析装置は、キュベットホイール4が停止する毎に、厚み縦振動子51の点PA(図35参照)に対応した位置と点PB(図35参照)に対応した位置との間で音波を発生する位置が自己選択的に交互に切り替わる。
【0080】
これにより、攪拌装置50は、図34に示すように、厚み縦振動子51のグランド電極51cから周波数f1の音波Wa1と周波数f2の音波Wa2が液体L中へ交互に漏れ出して音響流が発生する。従って、攪拌装置50は、気液界面付近であっても効果的な流れが発生し、反応容器5が保持した液体Lをエネルギーの無駄を抑えて効率良く攪拌することができる。ここで、駆動制御回路23は、周波数f1〜f2の間であればいずれの周波数を厚み縦振動子51に入力してよく、駆動時間T1,T2(秒)と切替え時間Toff(秒)も任意に設定してよい。なお、攪拌に必要な複雑な流れ場を形成するためには、切り替え時間Toffは、可能な範囲で短く設定する方が良い。
【0081】
このとき、攪拌装置50は、厚み縦振動子51の数に関係なく、図34に示すように、単一の駆動制御部21と一組の入力端子である信号線電極51bとグランド電極51cとの間がホイール電極4eに接触する接触子21bによって接続されている。また、厚み縦振動子51は、駆動制御回路23によって駆動信号の周波数を周波数f1〜f2の間で変更することによって、グランド電極51c上の音波を発生する発音部である位置を自己選択的に切り替えている。このため、攪拌装置50は、従来の攪拌手段のようなスイッチ回路が必要ないことと相俟って、共振周波数の異なる複数の発音部を有していても、配線数の増加を抑え、簡単な構成で音波を発生する特定の発音部に容易に切り替えることができる。
【0082】
更に、実施の形態4に係る攪拌装置50は、図40に示すように、反応容器5と厚み縦振動子51とを離隔させて音響整合層となる恒温水Ltを収容した恒温槽55内に配置してもよい。ここで、厚み縦振動子51は、表面弾性波素子25の振動子25b,25c等に比べて発生する音波Waの周波数が低くなるので、反応容器5から離隔配置しても音波の減衰が小さくなり、液体L中に流れFを発生させるうえで十分使用可能である。このとき、厚み縦振動子51は、信号線電極51bを内側に向けると共に、グランド電極51cを反応容器5に向けて防水ケース52に取り付ける。
【0083】
なお、上述の各実施の形態においては、駆動制御部21は、一箇所のみに設けたが、攪拌用途によっては複数箇所に設けてもよい。また、上述の各実施の形態においては、音波発生手段としての表面弾性波素子24,25,26や厚み縦振動子51は、反応容器5が保持した液体に対して非接触となるように、反応容器5の外側に配置されている。しかし、表面弾性波素子24,25,26は、一組の入力端子によって駆動制御部21と接続され、厚み縦振動子51は、一組の入力端子である信号線電極51bとグランド電極51cとによって駆動制御部21と接続されていれば、反応容器5の一部を構成し、反応容器5が保持した液体と接触していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】攪拌装置を備えた実施の形態1の自動分析装置の概略構成図である。
【図2】図1に示す自動分析装置を構成するキュベットホイールのA部を拡大し、一部を断面にして示す斜視図である。
【図3】反応容器を収容したキュベットホイールをホイール電極の位置で水平に切断した断面平面図である。
【図4】実施の形態1の攪拌装置の概略構成を反応容器の斜視図と共に示すブロック図である。
【図5】実施の形態1の攪拌装置で使用する表面弾性波素子の斜視図である。
【図6】駆動制御部が表面弾性波素子を間欠駆動する際の駆動信号の第一の例を示す波形図である。
【図7】表面弾性波素子の駆動時間ごとに求めた液体への入射点からバルク波の進行方向に沿った距離に関する音響流の流速分布図である。
【図8】駆動制御部が表面弾性波素子を駆動する際の駆動信号の第二の例を示す波形図である。
【図9】駆動制御部が表面弾性波素子を駆動する際の駆動信号の第三の例を示す波形図である。
【図10】振動子の大きさが1mmの表面弾性波素子に関し、駆動周波数を変化させずに図7と同様にして求めた音響流の流速分布図である。
【図11】振動子の大きさが2mmの表面弾性波素子に関し、駆動周波数を変化させずに図7と同様にして求めた音響流の流速分布図である。
【図12】振動子の大きさが2.5mmの表面弾性波素子に関し、駆動周波数を変化させずに図7と同様にして求めた音響流の流速分布図である。
【図13】実施の形態2に係る自動分析装置のキュベットホイールの図2に対応する斜視図である。
【図14】攪拌装置の概略構成を反応容器の斜視図と共に示すブロック図である。
【図15】図14に示す反応容器に取り付けた表面弾性波素子のインピーダンス及び位相の周波数特性図である。
【図16】図14に示す表面弾性波素子の等価回路図である。
【図17】図14に示す表面弾性波素子を周波数f1で駆動した場合の等価回路図である。
【図18】図14に示す表面弾性波素子を周波数f2で駆動した場合の等価回路図である。
【図19】キュベットホイールの停止時間中に表面弾性波素子の振動子を周波数f1で駆動する駆動信号の波形図である。
【図20】振動子を周波数f1の駆動信号で駆動した場合に反応容器の液体試料中に生ずる音響流を、反応容器を断面にして攪拌装置の概略構成を示すブロック図と共に示す断面図である。
【図21】キュベットホイールの停止時間中に表面弾性波素子の振動子を周波数f1,f2で切り替えて駆動する駆動信号の波形図である。
【図22】振動子を周波数f1,f2の駆動信号で切り替えて駆動した場合に反応容器の液体試料中に生ずる音響流を、反応容器を断面にして攪拌装置の概略構成を示すブロック図と共に示す断面図である。
【図23】実施の形態3に係る自動分析装置のキュベットホイールの図2に対応する斜視図である。
【図24】実施の形態3に係る攪拌装置の概略構成を反応容器の斜視図と共に示すブロック図である。
【図25】反応容器の斜視図である。
【図26】反応容器の底壁外面に取り付ける表面弾性波素子の正面図である。
【図27】キュベットホイールの停止時間中に表面弾性波素子の振動子を周波数f1〜f4に切り替えて駆動する駆動信号の波形図である。
【図28】表面弾性波素子の振動子を周波数f4の駆動信号で駆動した際に、反応容器の液体試料中へ漏れ出す音波と音波によって生ずる音響流を示す反応容器の平面図である。
【図29】表面弾性波素子の振動子を周波数f3の駆動信号で駆動した際に、反応容器の液体試料中へ漏れ出す音波と音波によって生ずる音響流を示す反応容器の平面図である。
【図30】表面弾性波素子の振動子を周波数f2の駆動信号で駆動した際に、反応容器の液体試料中へ漏れ出す音波と音波によって生ずる音響流を示す反応容器の平面図である。
【図31】表面弾性波素子の振動子を周波数f1の駆動信号で駆動した際に、反応容器の液体試料中へ漏れ出す音波と音波によって生ずる音響流を示す反応容器の平面図である。
【図32】表面弾性波素子を反応容器の側壁に取り付けた攪拌装置の変形例を攪拌装置の概略構成を示すブロック図及び反応容器の斜視図と共に示す図である。
【図33】実施の形態4に係る自動分析装置のキュベットホイールの図2に対応する斜視図である。
【図34】実施の形態4に係る攪拌装置の概略構成を反応容器の断面図と共に示すブロック図である。
【図35】図34に示す攪拌装置で使用する厚み縦振動子の斜視図である。
【図36】圧電基板の長手方向に沿った位置と中心周波数との関係を示す厚み縦振動子の周波数特性図である。
【図37】厚み縦振動子の駆動時間ごとに求めた液体への入射点から表面弾性波の進行方向に沿った距離に関する音響流の流速分布図である。
【図38】厚み縦振動子を周波数f1で駆動する駆動信号の波形図である。
【図39】厚み縦振動子を周波数f1,f2で交互に切り替えて駆動する駆動信号の波形図である。
【図40】実施の形態4に係る攪拌装置の変形例の概略構成を反応容器及び恒温槽の断面図と共に示すブロック図である。
【符号の説明】
【0085】
1 自動分析装置
2,3 試薬テーブル
4 キュベットホイール
5 反応容器
6,7 試薬分注機構
8 検体容器移送機構
9 フィーダ
10 ラック
11 検体分注機構
12 分析光学系
13 洗浄機構
15 制御部
16 入力部
17 表示部
20 攪拌装置
21 駆動制御部
22 信号発生器
23 駆動制御回路
24,25 表面弾性波素子
26 表面弾性波素子
30,40 攪拌装置
50 攪拌装置
51 厚み縦振動子
52 防水ケース
55 恒温槽
F 旋廻流
L 液体
Lt 恒温液
SA1〜SA4 音響流
Wa 表面弾性波
Wb バルク波

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に保持された液体を音波によって攪拌する攪拌装置において、
前記液体に照射する前記音波を発生させる音波発生手段と、
前記音波によって前記液体内に生ずる流れの時間変化に応じて前記音波発生手段の駆動条件を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする攪拌装置。
【請求項2】
前記音波発生手段の駆動条件は、前記音波発生手段の駆動時間,間欠駆動のタイミング,印加電圧又は駆動周波数の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記音波発生手段の特性、前記液体の特性、前記容器の形状又は所望する攪拌領域の少なくとも一つに応じて前記音波発生手段の駆動条件を制御することを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項4】
前記音波発生手段の特性は、前記音波を発生する発音部の大きさ、数又は中心周波数の少なくとも一つであることを特徴とする請求項3に記載の攪拌装置。
【請求項5】
前記液体の特性は、当該液体の粘性,密度,表面張力又は液面高さの少なくとも一つであることを特徴とする請求項3に記載の攪拌装置。
【請求項6】
前記音波発生手段は、表面弾性波素子であることを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項7】
前記音波発生手段は、一方向に沿って厚さが増加する圧電基板と、当該圧電基板の両面に設けられる電極とを有する厚み縦振動子であることを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項8】
複数の異なる液体を攪拌して反応させ、反応液の光学的特性を測定して前記反応液を分析する分析装置であって、請求項1〜7のいずれか一つに記載の攪拌装置を用いて検体と試薬との反応液を光学的に分析することを特徴とする分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2007−248298(P2007−248298A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−73002(P2006−73002)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】