改善された電力効率を有する電圧逓倍回路及びそのような電圧逓倍回路を設けられた機器
電圧逓倍回路は逓倍回路段のチェーン接続を有する。夫々の逓倍回路段STGjは、第1及び第2の入力IP1j、IP2jと、第1及び第2の出力OP1j、OP2jとを有し、逓倍回路段の第1及び第2の出力は、他の逓倍回路段の夫々の第1及び第2の入力へ結合され、夫々の逓倍回路段STGjは、第1の入力IP1jと第1の出力OP1jとの間に同じ導電方向で結合される2つのダイオードD1j、D2jの直列ダイオード配置を有する。夫々の逓倍回路段STGjは、第1の入力IP1jと第1の出力OP1jとの間に結合される第1のコンデンサC1jと、第2の入力IP2jと第2の出力OP2jとの間に結合される第2のコンデンサC2jとを更に有する。夫々の逓倍回路段STGjは、ダイオードD1j、D2jを流れる電流の時間の関数としての電流分布を一様にする等化手段VLSj;C2j、C3j、C4j、望ましくはコンデンサCsiを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、比較的低い交流(AC)電圧を、比較的高い直流(DC)電圧に変換する電圧逓倍回路に関する。このような電圧逓倍回路は、高い直流電圧によって給電されるべき部品又はモジュールを有する全ての種類の装置において使用され得る。このような部品は、例えば、テレビ受像機又はコンピュータにおける陰極線管でありうる。電圧逓倍回路は、また、レーザ及びプラズマ発生用途でも使用される。
【0002】
より具体的に、本発明は、X線を発生させるX線管であって、高い直流電圧によりX線管に電源を供給する装置を必要とするX線管を有するX線装置に関する。
【背景技術】
【0003】
低AC電圧を高DC電圧に変換する電圧逓倍回路は、幅広く使用されている。所謂“コッククロフト−ウォルトン(Cockroft and Walton)”カスケード整流器は、数十年間使用されている。このような電圧逓倍回路は、電圧逓倍回路、即ち、AC入力電圧をN倍高いDC電圧に変換する回路を形成するよう、一連の整流器ダイオード及びコンデンサによって構成される。なお、Nは整流器段の数である。このような電圧逓倍回路は、例えば、特開平3−028270号(JP3028270A)の図5に開示されている。この回路で、最初の段はダイオードD1及びD2と、コンデンサC1及びC5とから構成され、2番目の段はダイオードD3及びD4と、コンデンサC2及びC6とから構成され、その他同様に構成される。夫々の段は、AC入力電圧を受け取って、DC電圧を生成する最初の段を除いて、自身の前の段によって供給されるDC電圧を増大させる。
【0004】
一般的に、不必要な電力消費及び熱生成を回避するよう、高い電力効率を有する電圧逓倍回路を開発する必要がある。このことは、特に、携帯用途の場合に言える。電力効率が悪い主たる理由は、特に、高い動作周波数が使用される場合に、ダイオードでのエネルギー損失である。X線用途では、X線管に必要とされるDC電圧は、通常、極めて高く、例えば75kVである。CT(コンピュータ断層撮影)用途では、高出力のX線ビームが、例えば最大20秒間必要とされる。これは、その陽極が接地電位にあり、陰極が例えば−150kVにある、所謂回転陽極間(rotating anode tube)を必要とする。このような高電圧は、変圧器の絶縁によって適当に処理され得ない。従って、電圧逓倍回路は、変圧器を、例えば40kVといった、より低い電圧としたまま、適用される。
【0005】
管では、その経年劣化に随伴して、管アーク放電がますます起こる。この管アーク放電は、その管の中で不要なガス及び不純物が増えることによって引き起こされる破裂放電である。通常、アーク放電電流は、抵抗によって制限され、高電圧発生器、例えば電圧逓倍回路をオフすることができる制御電子回路によって検出される。しかし、電圧逓倍回路は、幾らかの出力キャパシタンスを有する。多くの場合において、この出力キャパシタンスは、DC出力電圧におけるACリップル電圧を最小限とするよう、平滑コンデンサの付加によって、意図的に更に大きくされる。従って、たとえ電圧逓倍回路が制御電子回路によってオフされたとしても、出力キャパシタンスの電荷が、管を通る放電電流を生じさせる。これは、更に管にダメージを与えうる。従って、電圧逓倍回路の出力キャパシタンスを小さくする必要がある。しかし、この出力キャパシタンスは、動作周波数(従って、逓倍回路のAC入力電圧)が増大する場合にのみ下げられ得る。そうでない場合には、ACリップル電圧は大きくなりすぎる。しかし、追加の手段を用いずとも、電圧逓倍回路の電力効率は、ダイオードにおいてエネルギー損失を増大させる動作周波数の増大により、下げられ得る。
【特許文献1】特開平3−028270号(JP3028270A)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は、増大した電力効率を有する電圧逓倍回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態で、電圧逓倍回路は、逓倍回路段のチェーン接続を有する。夫々の逓倍回路段は、第1及び第2の入力と、第1及び第2の出力とを有し、一の逓倍回路段の第1及び第2の出力は、最後の逓倍回路段を除く他の逓倍回路段の夫々の第1及び第2の入力へ結合され、最初の逓倍回路段の第1及び第2の入力は、前記チェーン接続の第1及び第2の入力を構成し、夫々の逓倍回路段は、前記第1の入力と前記第1の出力との間に同じ導電方向で結合される2つのダイオードの直列ダイオード配置と、前記ダイオードを流れる電流の時間の関数としての電流分布を一様にする等化手段とを有する。
【0008】
本発明は、従来の電圧逓倍回路で、導通しているダイオードを流れる電流がおおよそ順々に生ずるという見識に基づく。このことは、ダイオードで相当なエネルギー損失を引き起こす鋭いパルスの波形を生じさせる。本発明の電圧逓倍回路では、かかるパルスは、おおよそ同時に発生し、また、時間とともに広げられているので、それほど急でない。結果として、ダイオードにおけるエネルギー損失は小さくなり、電圧逓倍回路の電力効率は増大する。
【0009】
本発明の更なる実施形態で、電圧逓倍回路は、夫々の逓倍回路段が、前記第1の入力と前記第1の出力との間に結合される第1のコンデンサと、前記第2の入力と前記第2の出力との間に結合される第2のコンデンサとを有し、前記逓倍回路段のうちの少なくとも1つで、前記等化手段が、前記第2の出力と前記2つのダイオードの接点との間に結合される時間依存電圧レベルシフタを有し、残りの前記逓倍回路段で、前記等化手段は、前記第2の出力と前記2つのダイオードの接点との間との間に電気的結合を有する、ことを特徴とする。
【0010】
望ましくは、前記時間依存電圧レベルシフタは、平均電圧がおよそ零であるように設計され、従って、前記レベルシフタは、ダイオードの交流成分の電圧降下としてのみ機能する。このため、前記時間依存電圧レベルシフタは、望ましくは、電圧レベルシフトコンデンサによって実施される。そうすることによって、適切に設計されるならば、全ての逓倍回路段において、導通しているダイオードにおける等しい電流分布又は等しい電流をもたらすことが可能である。
【0011】
前記時間依存電圧レベルシフタとして機能するレベルシフトコンデンサが大いに好ましいが、例えば、時間依存の電流によってバイアスをかけられる抵抗のように、他の手段が、また、前記時間依存電圧レベルシフタの役目を果たすことができる。留意すべきは、特開昭63−240374号(JP63240374A)は、図1で、ダイオードへの電流経路に抵抗を設けられた電圧逓倍回路を開示する。しかし、かかる抵抗は、時間依存の電流によってバイアスをかけられず、従って、本発明の電圧逓倍回路のようには機能しない。このように、かかる抵抗は、本発明で使用される時間依存電圧レベルシフタの定義に該当しない。JP63240374Aで、抵抗は、ダイオードを流れるラッシュ電流を小さくする働きしかしない。このことは、また、若干は電力効率を増大させるのに役立つが、ダイオードを流れる波形は依然として急であり、連続して互いの後に続き、それによって、本発明の電圧逓倍回路とは対照的に、相当量のエネルギー損失を引き起こす。
【0012】
本発明の他の更なる実施形態で、所謂“星形配置(star arrangement)”における3つの接続されたコンデンサのグループは、所謂“三角形配置(triangle arrangement)”における3つのコンデンサによって置換される。電圧増倍回路の機能は、前記3つのコンデンサが適切に設計されるならば変化しない。どのように“三角形配置”における3つのコンデンサの大きさ決定が“星形配置”から導き出されるべきかは、所謂“星形−三角形変形(star-triangle transformation)”が、例えば、“Delftse Uitgevers Maatschappij”(1981年第3版発行)における第2章第7項の54〜57頁に公表された、著者ir.A.Hendersonによるオランダ語テキスト“ELEKTRISCHE NETWERKEN”に記載される周知の技術であることから明らかである。
【0013】
本発明の全ての実施形態で、平滑コンデンサが随意に付加されても良い。この平滑コンデンサは、最後の逓倍回路段の第1の出力と、最初の逓倍回路段の第1の入力との間に結合される。
【0014】
本発明は、半波又は全波電圧逓倍回路において適用され得る。全波逓倍回路が使用されるならば、逓倍回路段の第1の出力と第1の入力との間に結合されるコンデンサは、特に、同時に選択肢として前記平滑コンデンサを付加することが選択された場合に、望まれても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明について、添付の図面を参照して、より詳細に記載する。
【0016】
図面において、同様の機能若しくは目的を有する部分又は要素は、同じ参照符号を付される。故に、例えば、図9における段STG1の第1のコンデンサC21は、図5における段STG1の第2のコンデンサC21と同じ機能を有する。
【0017】
図1は、一般にN個の逓倍回路段STG1〜STGNのチェーン接続を有する従来の半波電圧逓倍回路VMを示す。
【0018】
本出願の全体にわたって、整数jは特定の段を参照するために使用される(STGj)。このように、例えば、コンデンサC1j(j=1)は、概して、j番目の段STGjにおけるコンデンサC1の表示であり、より具体的には、C11(j=1)は、1番目の段STG1におけるコンデンサC1を意味し、C12は、2番目の段STG2におけるコンデンサC2を意味し、C1N(j=N)は、N番目(即ち、最後)の段STGNにおけるコンデンサC1を意味し、以下同様である。以降、整数Nは、一例として、明細書及び図面の全体にわたって、4であるとする。しかし、整数Nは自由に選択され得る。Nの適切な値は、チェーン接続の第1及び第2の入力IVM1、IVM2の間の交流電圧U1の振幅と、チェーン接続のノードにおける直流出力電圧の所望の値とに従って、選択されるべきである。チェーン接続のノードは、例えば、チェーン接続の出力OPであっても良い。
【0019】
夫々の段STGjは、第1及び第2の入力IP1j、IP2jと、第1及び第2の出力OP1j、OP2jとを有する。最初の段STG1の第1及び第2の入力IP11、IP21は入力IVM1、IVM2を構成する。一の段STGjの第1及び第2の出力OP1j、OP2jは、最後の段STG4を除く他の段STGjの夫々の第1及び第2の入力IP1j、IP2jへ接続されている。夫々の逓倍回路段STGjは、第1の入力IP1jと第1の出力OP1jとの間に接続された第1のコンデンサC1jと、第2の入力IP2jと第2の出力OP2jとの間に接続された第2のコンデンサC2jとを有する。夫々の逓倍回路段STGjは、第1の入力IP1jと第1の出力OP1jとの間に接続された2つのダイオードの直列ダイオード配置を更に有する。例えば、最初の段STG1で、第1のダイオードD11は、その陽極を第1の入力IP11に接続され、その陰極を第2のダイオードD21の陽極に接続されている。第2のダイオードD21の陰極は、出力OP11に接続されている。ダイオードD11及びD21の陽極及び陰極は、また、全てを逆にされても良い。ダイオードD11及びD21は同じ導電方向を有するべきである。従って、ダイオードD11及びD21のダイオード直列配置の接点は、常に、ダイオードD11及びD21の陽極及び陰極によって形成される。他の全ての段STGjに関しても同様である。更に、電圧逓倍回路VMにおける全てのダイオードの導電方向は等しくあるべきである。それは、基本的に、電圧逓倍回路VMにおける全てのダイオードが同じ導電方向で直列に接続されることを意味する。夫々の段STGjにおける第1のダイオードD1jを流れる電流はIjによって示される。夫々の段STGjで、直列ダイオード配置の接点は、第1の出力OP2jに接続されている。
【0020】
このような半波電圧逓倍回路VMの動作原理は、先行技術から一般に知られている。簡単に述べると、動作は以下の通りである。周期的な交流(AC)入力電圧U1が、第1及び第2の入力IVM1、IVM2の間に印加され得るとする。この入力電圧は、通常は正弦波である。しかし、また、他の波形が使用されても良い。図1の例で、第2の入力IVM2での電位(電圧)が第1の入力IVM1での電位よりも高いならば、ダイオードD11は電流を導き、結果として、コンデンサ21は充電され得る。第2の入力IVM2での電位が最大値に達する場合に、コンデンサC21は完全に充電され得る。次いで、第2の入力IVM2での電圧は下がり始める。結果として、ダイオードD11は非導通状態となる。これは、コンデンサC21の両端の電圧が、初期状態で一定のままであるためである。更に、第2の入力IVM2での電位が下がるのと同時に、第1の入力IVM1での電位が増大する。故に、周期的なAC入力電圧の時間周期の半分が過ぎた後、入力IVM1及びIVM2での電位は逆転する。即ち、第1の入力IVM1での電位は最大値に達し、第2の入力IVM2での電位は最小値(負側の最大値)に達する。電位反転プロセスの最後の半周期の間、ダイオードD21は導通状態であり、コンデンサC21の電荷の一部をコンデンサC11へ伝送する。周期的なAC入力電圧U1の多数の周期の後、電圧逓倍回路VMは、所謂“定常状態”に達し、全ての第1のコンデンサC1j及び全ての第2のコンデンサC2jは完全に充電され得る。夫々の第1のコンデンサC1jの両端の電圧は、およそAC入力電圧U1のピーク・ツー・ピーク(peak-to-peak)値の2倍に等しくなりうる。従って、図1では4個の段(N=4)が使用されるので、電圧逓倍回路VMの出力OPと第2の入力IVM2との間の直流(DC)出力電圧は、およそAC入力電圧U1のピーク・ツー・ピーク値の8倍に等しくなりうる。
【0021】
上記例では、電圧逓倍回路VMは出力負荷に結合されていないとされた。例として、X線管が、例えば出力OPに結合されている場合には、コンデンサでの電圧は減少し、結果として、出力OPでの出力電圧は減少しうる。その場合に、出力電圧はまた、リップルを有しうる。出力電圧は減少し、同時に、リップル電圧は、出力(負荷)電流の増大に随伴して増大する。しかし、夫々の段STGjでの第1及び第2の両コンデンサC1j、C2jの値が高くなればなるほど、出力電圧の減少は小さくなり、また、リップルの増大も小さくなる。しかし、電圧逓倍回路のi.a.weightのために、キャパシタンス値は、必要以上に高く選択されるべきではない。
【0022】
図2は、従来の全波電圧逓倍回路VMを示す。それは、基本的に、2つの半波電圧逓倍回路を有する。かかる半波電圧逓倍回路は結合されて、夫々の段STGjにおいて第1のC1jを共有する。(図1に対応する)段STGjは、破線長方形により示されている。図1の実施例に加えて、夫々の段STGjは、2つのダイオードD1jA、D2jAの更なる直列ダイオード配置と、第3のコンデンサC2jAとを有する。文字“A”で終わっている参照符号を有する要素は、最後の文字“A”を有さない点を除いて同じ参照符号を有する対応する要素に対応しており、同様の機能を有する。このように、例えば、ダイオードD11Aは、ダイオードD11と同様の機能を有する。
【0023】
この全波電圧逓倍回路VMは、第3の入力IVM3を有する。図2には、一次巻線及び二次巻線を有する変圧器Tが示されている。この変圧器Tは、一次巻線の端子間の交流電圧(図2には図示せず。)を、電圧逓倍回路VMの第2の入力IVM2と第3の入力IVM3との間のAC入力電圧Uiに変換するために使用される。AC入力電圧Uiは、望ましくは可能な限り高く選択されるが、変圧器Tの絶縁が電圧Uiを扱うことができないほど高くは選択されない。電圧逓倍回路VMは、更に、このAC入力電圧Uiを、より一層高く、更には整流された、例えば出力端子OPでの出力電圧へ変換する。
【0024】
半波電圧逓倍回路と比較される全波電圧逓倍回路の利点は、出力電圧におけるリップルが低減される点である。随意に、変圧器Tの二次巻線は、第1の入力IVM1へ接続されている(破線によって示される)中点を設けられる。この中点が、例えば、接地することによって、基準電圧として使用されるならば、二次巻線での如何なる点での最大絶対電圧も、AC入力電圧Uiのピーク・ツー・ピーク電圧の半分の電圧よりも高くはない。これは、変圧器Tの絶縁に関して有利である。第2の入力IVM2と第1の入力IVM1との間の電圧差はU1によって示され、第1の入力IVM1と第3の入力IVM3との間の電圧差はU2によって示される。
【0025】
図3は、図1に従う従来の半波電圧逓倍回路VMのダイオード又は図2の全波電圧逓倍回路VMの上側若しくは下側のダイオードを流れる電流のダイアグラムを示す。故に、一例として、図1を参照して、夫々のダイオードD11、D12、D13及びD14を流れる電流I1、I2、I3及びI4は、電圧逓倍回路VMがその定常状態に達した状態で、図3に示される。図3から明らかなように、電流I1、I2、I3及びI4は、おおよそ互いの後に続き、ダイオードD11、D12、D13及びD14において相当のエネルギー損失を引き起こす鋭いパルスの波形を、共に形成する。このような鋭いパルス波形は、第2の入力IVM2での電圧が第1の入力IVM1での電圧よりも高くなるところのAC入力電圧Uiの半周期の間に起こる。第1の入力IVM1での電圧が第2の入力IVM2での電圧よりも高くなるところのAC入力電圧Uiの残り半周期の間、同様の鋭いパルス波形が、おおよそ続いて起こる夫々のダイオードD11、D12、D13及びD14を流れる電流(図示せず。)によって生ずる。
【0026】
図5は、半波又は全波電圧逓倍回路VMの第1の本発明の実施例の回路図を示す。図2の回路図との相違は、電圧逓倍回路VMが、ダイオードD1j、D2jを流れる電流Ijの時間の関数としての電流分布を均一にする等化手段を更に有し、全波電圧逓倍回路の場合には、この等化手段は、また、ダイオードD1jA、D2jAを流れる電流IjAの時間の関数としての電流分布を均一にする点である。以下で、一例として、この回路の作用は、破線長方形の中に示された半波電圧逓倍回路VMのみを参照することによって説明される。等化手段は、望ましくは、夫々の段STGjにおいて、第2の出力OP2jと、2つのダイオードD1j、D2jの接点との間に結合された時間依存電圧レベルシフタVLSjを有する。望ましくは、且つ、最も容易に、時間依存電圧レベルシフタVLSjは、電圧レベルシフトコンデンサCsjによって実施される。たとえ望ましくとも、厳密には、従来の電圧逓倍回路に対して向上した電力効率を得るために、全ての段に電圧レベルシフトコンデンサCsjを挿入する必要はない。
【0027】
図6は、第1の実施例と比較してコンデンサの数が少ない半波又は全波電圧逓倍回路の第2の本発明の実施例の回路図を示す。図5に示される第1の実施例との相違は、最初の段STG1で、第2のコンデンサC21が電気的接続に置き換えられ、最後の段STG4で、電圧レベルシフトコンデンサCs4が、また、電気的接続に置き換えられている点である。最後の段STG4に関し、それは、第2のコンデンサC24がレベルシフトコンデンサCs4(図5)の機能を引き継ぐことを意味する。図5及び6の回路の動作は同様である。
【0028】
一例として、電圧レベルシフトコンデンサCsjの部品決定について図6を参照して説明する。全てのダイオードはおおよそ同じI−V特性を有するとする。これは、そのような状態が最も良い結果をもたらすことによる。説明において、電流は、AC入力電圧Uiの半周期の間、ダイオードD11、D12、D13及びD14を流れているとする。(AC入力電圧Uiの残り半周期の間、ダイオードD21、D22、D23及びD24は、ダイオードD11、D12、D13及びD14に代わって電流を導き、AC入力電圧Uiの当該半周期の間の計算は、同じ結果をもたらしうる。)電力効率において最良の高まりを得るために、図3に示されるような鋭いパルス波形を、より鋭くないパルス波形に変換することが望ましい。このとき、電流Ijは、図4を参照して、おおよそ同じタイミングで生ずる。電流Ijに関して、式[1]が有効である:
∀j:Ij=I [1]。
【0029】
結果として、コンデンサC24、Cs3、Cs2及びCs1を流れる電流はIに等しく、コンデンサC23を流れる電流は2Iに等しく、コンデンサC22を流れる電流は3Iに等しい。更に、式[1]の結果として、ダイオードD11、D12、D13及びD14の両端での電圧降下は等しい。一般的な既知の物理法則(特にキルヒホッフの第1及び第2の法則)を上記情報に補足することにより、エレクトロニクス分野において通常の知識を有する者であれば、コンデンサCsjとコンデンサC2jとの間の所要の関係を計算することができる。
【0030】
特に、X線応用に関しては、電圧逓倍回路の高い動特性が好ましい。この動特性は、コンデンサC2jの両端でリップル電圧の平衡を保つことによって、最適化され得る。これは、式[2]で表されるように:
∀j:C2j=C [2]、
夫々のコンデンサC2jに関して同じコンデンサ値Cを選択することによって行われ得る。
【0031】
式[2]の仮定の下で、コンデンサCsjの一般式は導き出され、式[3]:
【数1】
に示される。
【0032】
例えば、N=4(4個の段が図示されるように使用される)ならば、以下の式[4]:
【数2】
が式[3]から得られる。これより、コンデンサCsjに関して、以下の値が得られる:
j=3 => Cs3=C、
j=2 => Cs2=C/3、
j=1 => Cs1=C/6。
【0033】
図7は、半波又は全波電圧逓倍回路の第3の本発明の実施例の回路図を示す。それは、(半波逓倍回路に関して、)夫々の段STGjで、コンデンサCsjが、第2の入力IP2jと第2の出力OP2jとの間に接続された第3及び第4のコンデンサC3j、C4jの直列コンデンサ配置に置き換えられ、その直列コンデンサ配置の接点が、直列ダイオード配置の接点に接続されている点で、図5に示される第1の実施例と相違する。
【0034】
上述されたように、どのように、所謂“星形配置(star arrangement)”における3つの接続されたコンデンサのグループが、所謂“三角形配置(triangle arrangement)”における3つのコンデンサによって置換され得るかは、一般に知られている。図5から、例えば、コンデンサC21、Cs1及びC22が、図7におけるコンデンサC21、C31及びC41によって形成される“三角形配置”に変形され得る“星形配置”を形成することは明らかである。しかし、コンデンサC21、Cs1及びC22(図5)は、全て同じ段にあるわけではない。これにより、全てのコンデンサC2j及びCsjに対して変形を行うことは困難となる。これは、その場合に、例えば、2番目の段がコンデンサCs2のみを持ち続けることによる。従って、一般に、変形を行うための好ましい方法は、夫々のコンデンサC2jを、2つのコンデンサの直列配置に(念のために)分けることである。このとき、夫々の直列配置は、“元の”単一コンデンサC2jのキャパシタンスと同じ置換値の総キャパシタンスを有する。必ずしも必要ではないが、“元の”単一コンデンサC2jのキャパシタンス値の2倍の値を夫々有する直列な2つのコンデンサを(念のために)使用することが好ましく、且つ、最も都合が良い。その場合に、図5における夫々の段STGjが、“三角形配置”(図7参照。)に容易に変形され得る“星形配置”を有すると考えられることは、容易に理解され得る。特別の注意が最初の段STG1には必要とされる。最初の段STG1では、コンデンサC21を2つの部分に(念のために)分けることは適切でない。これは、コンデンサC21が他の段に接続されず、第2の入力IVM2に接続されているためである。同様に、特別の注意が、より高次の段への接続を当然に有さない最後の段STG4にも必要とされる。このように、“不足している(missing)”コンデンサは、(念のために)付加されて、一方の端部がコンデンサC24及びコンデンサCs4の接点へ接続され、他の端部が接続されないままであるべきである。
【0035】
図8は、図7に示される第3の実施例と比較してコンデンサの数が少ない半波又は全波電圧逓倍回路の第4の本発明の実施例の回路図を示す。図7に示される第3の実施例との相違は、最初の段STG1で、コンデンサC21及びC31が除かれて、電気的接続が第2の入力IP21と第2の出力OP21との間で形成され、且つ、最後の段STG4で、コンデンサC24、C34及びC44が除かれて、電気的接続が第2の入力IP24、第2の出力OP24、及び直列ダイオード配置の接点の間に形成されている点である。エレクトロニクス分野で通常の知識を有する者ならば、必要ならば、式[1]及び[2]を参照して先に説明されたのと同じ原理の下で、電力効率の最適な高まりを再び得るために、コンデンサの値を適合させることができる。
【0036】
図9は、全波電圧逓倍回路VMの第5の本発明の実施例の回路図を示す。図5に示される第1の実施例との相違は、この第5の実施例では、図5の第1のコンデンサC1jが図9において除かれている点である。しかし、これは、全波電圧逓倍回路においてのみ可能である。(図9の破線長方形と、図5の破線長方形とを比較されたし。)従って、図9で、夫々の逓倍回路段STGjは、同様に、更なる直列ダイオード配置のダイオードD1jA及びD2jAと、更なるレベルシフトコンデンサCs1Aとを有する。第2の実施例に対する第5の実施例の利点は、全波電圧逓倍回路VMの大きさ及び重さが削減される点である。請求項6の目的のために、夫々の段STGjで、目下、コンデンサC2jは第1のコンデンサと称され、コンデンサC2jAは第2のコンデンサと称される。
【0037】
図10は、第5の実施例と比較してコンデンサの数が少ない全波電圧逓倍回路の第6の本発明の実施例の回路図を示す。図9に示される第5の実施例との相違は、最初の段STG1で、第1のコンデンサC21が電気的接続に置き換えられ、第2のコンデンサC21Aが電気的接続に置き換えられ、且つ、最後の段STG4で、電圧レベルシフトコンデンサCs4が電気的接続に置き換えられ、更なる電圧レベルシフトコンデンサCs4Aが電気的接続に置き換えられている点である。最後の段STG4に関し、それは、第1のコンデンサC24がレベルシフトコンデンサCs4(図9)の機能を引き継ぎ、第2のコンデンサC24Aが更なるレベルシフトコンデンサCs4A(図9)の機能を引き継ぐことを意味する。図9及び図10の回路の動作は同様である。
【0038】
図11は、全波電圧逓倍回路の第7の本発明の実施例の回路図を示す。図7に示される第3の実施例との相違は、この第7の実施例で、図7の第1のコンデンサC1jが図11では除かれている点である。しかし、これは、全波電圧逓倍回路でのみ可能である。従って、図11で、夫々の逓倍回路段STGjは、また、更なる直列ダイオード配置のダイオードD1jA及びD2jAと、更なる直列コンデンサ配置のコンデンサC3jA及びC4jAとを有するべきである。(図11の破線長方形と、図7の破線長方形とを比較されたし。)第3の実施例に対する第7の実施例の利点は、全波電圧逓倍回路VMの大きさ及び重さが削減される点である。請求項8の目的のために、夫々の段STGjで、目下、コンデンサC2jは第1のコンデンサと称され、コンデンサC2jAは第2のコンデンサと称され、コンデンサC3jは第3のコンデンサと称され、コンデンサC4jは第4のコンデンサと称され、コンデンサC3jAは第5のコンデンサと称され、コンデンサC4jAは第6のコンデンサと称される。
【0039】
図12は、全波電圧逓倍回路の第8の本発明の実施例の回路図を示す。図11に示される第7の実施例との相違は、最初の段STG1で、コンデンサC21、C32、C21A及びC31Aが除かれて、電気的接続が第2の入力IP21と第2の出力OP21との間に形成され、電気的接続が第3の入力IP31と第3の出力OP31との間に形成され、且つ、最後の段STG4で、コンデンサC24、C34、C44、C24A、C34A及びC44Aが除かれて、電気的接続が第2の入力IP24、第2の出力OP24、及び直列ダイオード配置の接点の間に形成され、電気的接続が第3の入力IP34、第3の出力OP34、及び更なる直列ダイオード配置の接点の間に形成されている点である。エレクトロニクス分野で通常の知識を有する者ならば、必要ならば、式[1]及び[2]を参照して先に説明されたのと同じ原理の下で、電力効率の最適な高まりを再び得るために、コンデンサの値を適合させることができる。
【0040】
図13は、N個の段を有し、平滑コンデンサC0を設けられた半波又は全波電圧逓倍回路の第9の本発明の実施例を示す。平滑コンデンサC0は、最後の逓倍回路段STGNの出力OP1Nと、最初の逓倍回路段STG1の入力IP11との間に接続されている。幾つかの用途で、出力電圧におけるリップルを更に低減するためにこの平滑コンデンサC0を適用することが有利である。特に、図9、10、11及び12の夫々で示された第5、第6、第7及び第8の実施例において有利である。これは、かかる実施例では、コンデンサC1jが除かれているためである。しかし、留意すべきは、通常、平滑コンデンサC0(又はその一部)として働く寄生キャパシタンスは、例えば出力OPに接続された(部分的に)容量性の負荷によって与えられる点である。このような容量性の負荷は、例えば、出力OPとX線管(及びX線管自体)との間の高電圧接続ケーブルでありうる。
【0041】
図14は、高電圧発生装置を有するX線装置XRの図の例を示す。高電圧発生装置は、ガラス真空X線管XRTの陽極Aと陰極Cとの間に高電圧を供給する本発明の電圧逓倍回路VMを有する。電圧逓倍回路VMは、出力OPからケーブルCBLを介して、正の高電圧を陽極Aへ供給する。陰極Cは接地されており、従って、本例では、変圧器Tの中点へ接続されている。(陽極Aを接地して、高い負電圧を陰極Cへ供給することも可能である。)陰極Cは加熱フィラメントである。動作の間、電流はフィラメントを流れ、そのフィラメントを温める。熱は、フィラメント表面から電子を跳ね飛ばす。通常はタングステンから作られた平坦なディスクである陽極Aは、正に帯電されており、管XRTを越えて電子を引き込む。陽極Aと陰極Cとの間の電圧差は極めて高く、故に、電子(電子ビームEB)は、多大な力を伴って管XRTを飛ぶ。高速で動いている電子がタングステン原子に衝突すると、その電子は、原子のより低い軌道の1つにある電子を押し出す。より高い軌道にある電子は、直ぐに、より低いエネルギーレベルに下がり、その余剰エネルギーを光子の形で放つ。それは大きな降下であるので、光子は高いエネルギーを有し、従って、それがX線光子となる。X線生成における衝撃力の大きい衝突は、多くの熱を発生させる。このため、モータMは陽極Aを回転させる。従って、電子ビームEBは、必ずしも常に、陽極Aの同じ領域に焦点を合わせられているわけではない。これによって、陽極A(の一部)が溶解することが回避される。管容器を囲む冷却油浴OBも熱を吸収する。管XRTは、厚い鉛遮蔽体PBによって囲まれている。これにより、X線が全ての方向に漏れることが防がれる。遮蔽体PBにおける小さな窓は、狭X線ビームXRBにおいて、X線光子の一部を逃がす。ビームXRBは、例えば患者に至る途中で、一続きのフィルタFを通る。
【0042】
図15は、スクリーンSCR上に画像を生成する陰極線管CRTを有する機器の図を示す。陰極線管CRTは、この陰極線管の電極の間に1又はそれ以上の高電圧を供給する本発明の電圧逓倍回路VMを備えた高電圧発生装置を有する。CRTは、例えば、TV、コンピュータモニタ、オシロスコープ、スペクトラムアナライザ等で使用される。本例で、CRTは、陽極A1、A2、A3、A4及びA5における(陽極Cに対して)高い正電圧によって、スクリーンSCRに向けて電子ビームEBを放射することができる陰極Cを有する。集束コイルFCLSはビームEBの焦点を合わせ、偏向コイルDCLSはビームEBを偏向させる。従って、鮮明且つ十分に形成された画像がスクリーンSCRから伝えられる。本例で、CRTは、陽極A1、A2、A3、A4及びA5で、幾つかの高電圧を必要とする。かかる高電圧のうちの一部は異なる値を有する。このため、電圧逓倍回路VMは複数の出力を設けられる。(最も高い高電圧を有する)出力OPは陽極A1に接続され、(最も低い高電圧を有する)出力OPA及びOPBは陽極A4及びA5に接続され、(中間の高電圧を有する)出力OPC及びOPDは陽極A2及びA3に接続されている。
【0043】
逓倍回路段STGjの一部に関してのみ、接続されたコンデンサのグループに所謂“星形−三角形変形(star-triangle transformation)”を適用することが可能である。従って、複合構造が可能である。例えば、第1の実施例(図5)及び第3の実施例(図7)からの段の複合が、電圧逓倍回路を構成するために使用されても良い。
【0044】
留意すべきは、EMI(電磁波妨害雑音)の発生を低減するために、抵抗及びコンデンサのEMI直列配置は、電圧逓倍回路VMの第1、第2、及び第3の入力IVM1、IVM2、IVM3のうちの少なくとも1つと直列に接続されても良い点である。変圧器Tが中点を設けられる全波電圧逓倍回路の実施例の場合に、望ましくは、EMI直列配置は、電圧逓倍回路VMの第1の入力IVM1と、変圧器Tの中点との間に接続される。
【0045】
留意すべきは、上述された実施例は、本発明を限定しているのではなく、説明している点である。また、留意すべきは、当該技術において通常の知識を有する者であれば、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を逸脱することなく、代替の実施例を設計することができる点である。特許請求の範囲で、括弧内の如何なる参照符号も、特許請求の範囲を限定するよう解釈されるべきではない。語“有する(comprising及びcomprises)”及び同様のものは、いずれかの請求項に又は本願の全体において挙げられている以外の要素の存在を排除しているわけではない。要素の単一参照は、そのような要素の複数参照を排除しているわけではない。ある手段が相互に異なる従属請求項に挙げられているという単なる事実は、かかる手段の組合せが使用されないことを示しているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】従来の半波電圧逓倍回路を示す。
【図2】従来の全波電圧逓倍回路を示す。
【図3】図1に従う従来の半波電圧逓倍回路のダイオード又は図2の全波電圧逓倍回路の上側若しくは下側のダイオードを流れる電流のダイアグラムを示す。
【図4】本発明に従う半波電圧逓倍回路のダイオード又は本発明に従う全波電圧逓倍回路の上側若しくは下側のダイオードを流れる電流のダイアグラムを示す。
【図5】ダイオードへの電流経路に電圧レベルシフトコンデンサを設けられた半波又は全波電圧逓倍回路の第1の本発明の実施例(請求項2に対応。)の回路図を示す。
【図6】第1の実施例と比較してコンデンサの数が少ない半波又は全波電圧逓倍回路の第2の本発明の実施例(請求項3に対応。)の回路図を示す。
【図7】3つの接続されたコンデンサのグループに対する所謂“星形−三角形変形(star-triangle transformation)”が適用される点で第1の実施例と相違する半波又は全波電圧逓倍回路の第3の本発明の実施例(請求項4に対応。)の回路図を示す。
【図8】第3の実施例と比較してコンデンサの数が少ない半波又は全波電圧逓倍回路の第4の本発明の実施例(請求項5に対応。)の回路図を示す。
【図9】全波電圧逓倍回路の第5の本発明の実施例(請求項6に対応。)の回路図を示す。
【図10】第5の実施例と比較してコンデンサの数が少ない全波電圧逓倍回路の第6の本発明の実施例(請求項7に対応。)の回路図を示す。
【図11】3つの接続されたコンデンサのグループに対する所謂“星形−三角形変形”が適用される点で第5の実施例と相違する全波電圧逓倍回路の第7の本発明の実施例(請求項8に対応。)の回路図を示す。
【図12】第7の実施例と比較してコンデンサの数が少ない全波電圧逓倍回路の第8の本発明の実施例(請求項9に対応。)の回路図を示す。
【図13】N個の段を有し、最後の逓倍回路段の出力と最初の逓倍回路段の入力との間に結合される平滑コンデンサを設けられた半波又は全波電圧逓倍回路の第9の本発明の実施例を示す。
【図14】X線管の陽極と陰極との間に高電圧を供給する本発明の電圧逓倍回路を有する高電圧発生装置を備えたX線装置の図を示す。
【図15】陰極線管の電極間に1又はそれ以上の高電圧を供給する本発明の電圧逓倍回路を有する高電圧発生装置を有するスクリーン上に画像を生成する陰極線管を備えた機器の図を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、比較的低い交流(AC)電圧を、比較的高い直流(DC)電圧に変換する電圧逓倍回路に関する。このような電圧逓倍回路は、高い直流電圧によって給電されるべき部品又はモジュールを有する全ての種類の装置において使用され得る。このような部品は、例えば、テレビ受像機又はコンピュータにおける陰極線管でありうる。電圧逓倍回路は、また、レーザ及びプラズマ発生用途でも使用される。
【0002】
より具体的に、本発明は、X線を発生させるX線管であって、高い直流電圧によりX線管に電源を供給する装置を必要とするX線管を有するX線装置に関する。
【背景技術】
【0003】
低AC電圧を高DC電圧に変換する電圧逓倍回路は、幅広く使用されている。所謂“コッククロフト−ウォルトン(Cockroft and Walton)”カスケード整流器は、数十年間使用されている。このような電圧逓倍回路は、電圧逓倍回路、即ち、AC入力電圧をN倍高いDC電圧に変換する回路を形成するよう、一連の整流器ダイオード及びコンデンサによって構成される。なお、Nは整流器段の数である。このような電圧逓倍回路は、例えば、特開平3−028270号(JP3028270A)の図5に開示されている。この回路で、最初の段はダイオードD1及びD2と、コンデンサC1及びC5とから構成され、2番目の段はダイオードD3及びD4と、コンデンサC2及びC6とから構成され、その他同様に構成される。夫々の段は、AC入力電圧を受け取って、DC電圧を生成する最初の段を除いて、自身の前の段によって供給されるDC電圧を増大させる。
【0004】
一般的に、不必要な電力消費及び熱生成を回避するよう、高い電力効率を有する電圧逓倍回路を開発する必要がある。このことは、特に、携帯用途の場合に言える。電力効率が悪い主たる理由は、特に、高い動作周波数が使用される場合に、ダイオードでのエネルギー損失である。X線用途では、X線管に必要とされるDC電圧は、通常、極めて高く、例えば75kVである。CT(コンピュータ断層撮影)用途では、高出力のX線ビームが、例えば最大20秒間必要とされる。これは、その陽極が接地電位にあり、陰極が例えば−150kVにある、所謂回転陽極間(rotating anode tube)を必要とする。このような高電圧は、変圧器の絶縁によって適当に処理され得ない。従って、電圧逓倍回路は、変圧器を、例えば40kVといった、より低い電圧としたまま、適用される。
【0005】
管では、その経年劣化に随伴して、管アーク放電がますます起こる。この管アーク放電は、その管の中で不要なガス及び不純物が増えることによって引き起こされる破裂放電である。通常、アーク放電電流は、抵抗によって制限され、高電圧発生器、例えば電圧逓倍回路をオフすることができる制御電子回路によって検出される。しかし、電圧逓倍回路は、幾らかの出力キャパシタンスを有する。多くの場合において、この出力キャパシタンスは、DC出力電圧におけるACリップル電圧を最小限とするよう、平滑コンデンサの付加によって、意図的に更に大きくされる。従って、たとえ電圧逓倍回路が制御電子回路によってオフされたとしても、出力キャパシタンスの電荷が、管を通る放電電流を生じさせる。これは、更に管にダメージを与えうる。従って、電圧逓倍回路の出力キャパシタンスを小さくする必要がある。しかし、この出力キャパシタンスは、動作周波数(従って、逓倍回路のAC入力電圧)が増大する場合にのみ下げられ得る。そうでない場合には、ACリップル電圧は大きくなりすぎる。しかし、追加の手段を用いずとも、電圧逓倍回路の電力効率は、ダイオードにおいてエネルギー損失を増大させる動作周波数の増大により、下げられ得る。
【特許文献1】特開平3−028270号(JP3028270A)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は、増大した電力効率を有する電圧逓倍回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態で、電圧逓倍回路は、逓倍回路段のチェーン接続を有する。夫々の逓倍回路段は、第1及び第2の入力と、第1及び第2の出力とを有し、一の逓倍回路段の第1及び第2の出力は、最後の逓倍回路段を除く他の逓倍回路段の夫々の第1及び第2の入力へ結合され、最初の逓倍回路段の第1及び第2の入力は、前記チェーン接続の第1及び第2の入力を構成し、夫々の逓倍回路段は、前記第1の入力と前記第1の出力との間に同じ導電方向で結合される2つのダイオードの直列ダイオード配置と、前記ダイオードを流れる電流の時間の関数としての電流分布を一様にする等化手段とを有する。
【0008】
本発明は、従来の電圧逓倍回路で、導通しているダイオードを流れる電流がおおよそ順々に生ずるという見識に基づく。このことは、ダイオードで相当なエネルギー損失を引き起こす鋭いパルスの波形を生じさせる。本発明の電圧逓倍回路では、かかるパルスは、おおよそ同時に発生し、また、時間とともに広げられているので、それほど急でない。結果として、ダイオードにおけるエネルギー損失は小さくなり、電圧逓倍回路の電力効率は増大する。
【0009】
本発明の更なる実施形態で、電圧逓倍回路は、夫々の逓倍回路段が、前記第1の入力と前記第1の出力との間に結合される第1のコンデンサと、前記第2の入力と前記第2の出力との間に結合される第2のコンデンサとを有し、前記逓倍回路段のうちの少なくとも1つで、前記等化手段が、前記第2の出力と前記2つのダイオードの接点との間に結合される時間依存電圧レベルシフタを有し、残りの前記逓倍回路段で、前記等化手段は、前記第2の出力と前記2つのダイオードの接点との間との間に電気的結合を有する、ことを特徴とする。
【0010】
望ましくは、前記時間依存電圧レベルシフタは、平均電圧がおよそ零であるように設計され、従って、前記レベルシフタは、ダイオードの交流成分の電圧降下としてのみ機能する。このため、前記時間依存電圧レベルシフタは、望ましくは、電圧レベルシフトコンデンサによって実施される。そうすることによって、適切に設計されるならば、全ての逓倍回路段において、導通しているダイオードにおける等しい電流分布又は等しい電流をもたらすことが可能である。
【0011】
前記時間依存電圧レベルシフタとして機能するレベルシフトコンデンサが大いに好ましいが、例えば、時間依存の電流によってバイアスをかけられる抵抗のように、他の手段が、また、前記時間依存電圧レベルシフタの役目を果たすことができる。留意すべきは、特開昭63−240374号(JP63240374A)は、図1で、ダイオードへの電流経路に抵抗を設けられた電圧逓倍回路を開示する。しかし、かかる抵抗は、時間依存の電流によってバイアスをかけられず、従って、本発明の電圧逓倍回路のようには機能しない。このように、かかる抵抗は、本発明で使用される時間依存電圧レベルシフタの定義に該当しない。JP63240374Aで、抵抗は、ダイオードを流れるラッシュ電流を小さくする働きしかしない。このことは、また、若干は電力効率を増大させるのに役立つが、ダイオードを流れる波形は依然として急であり、連続して互いの後に続き、それによって、本発明の電圧逓倍回路とは対照的に、相当量のエネルギー損失を引き起こす。
【0012】
本発明の他の更なる実施形態で、所謂“星形配置(star arrangement)”における3つの接続されたコンデンサのグループは、所謂“三角形配置(triangle arrangement)”における3つのコンデンサによって置換される。電圧増倍回路の機能は、前記3つのコンデンサが適切に設計されるならば変化しない。どのように“三角形配置”における3つのコンデンサの大きさ決定が“星形配置”から導き出されるべきかは、所謂“星形−三角形変形(star-triangle transformation)”が、例えば、“Delftse Uitgevers Maatschappij”(1981年第3版発行)における第2章第7項の54〜57頁に公表された、著者ir.A.Hendersonによるオランダ語テキスト“ELEKTRISCHE NETWERKEN”に記載される周知の技術であることから明らかである。
【0013】
本発明の全ての実施形態で、平滑コンデンサが随意に付加されても良い。この平滑コンデンサは、最後の逓倍回路段の第1の出力と、最初の逓倍回路段の第1の入力との間に結合される。
【0014】
本発明は、半波又は全波電圧逓倍回路において適用され得る。全波逓倍回路が使用されるならば、逓倍回路段の第1の出力と第1の入力との間に結合されるコンデンサは、特に、同時に選択肢として前記平滑コンデンサを付加することが選択された場合に、望まれても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明について、添付の図面を参照して、より詳細に記載する。
【0016】
図面において、同様の機能若しくは目的を有する部分又は要素は、同じ参照符号を付される。故に、例えば、図9における段STG1の第1のコンデンサC21は、図5における段STG1の第2のコンデンサC21と同じ機能を有する。
【0017】
図1は、一般にN個の逓倍回路段STG1〜STGNのチェーン接続を有する従来の半波電圧逓倍回路VMを示す。
【0018】
本出願の全体にわたって、整数jは特定の段を参照するために使用される(STGj)。このように、例えば、コンデンサC1j(j=1)は、概して、j番目の段STGjにおけるコンデンサC1の表示であり、より具体的には、C11(j=1)は、1番目の段STG1におけるコンデンサC1を意味し、C12は、2番目の段STG2におけるコンデンサC2を意味し、C1N(j=N)は、N番目(即ち、最後)の段STGNにおけるコンデンサC1を意味し、以下同様である。以降、整数Nは、一例として、明細書及び図面の全体にわたって、4であるとする。しかし、整数Nは自由に選択され得る。Nの適切な値は、チェーン接続の第1及び第2の入力IVM1、IVM2の間の交流電圧U1の振幅と、チェーン接続のノードにおける直流出力電圧の所望の値とに従って、選択されるべきである。チェーン接続のノードは、例えば、チェーン接続の出力OPであっても良い。
【0019】
夫々の段STGjは、第1及び第2の入力IP1j、IP2jと、第1及び第2の出力OP1j、OP2jとを有する。最初の段STG1の第1及び第2の入力IP11、IP21は入力IVM1、IVM2を構成する。一の段STGjの第1及び第2の出力OP1j、OP2jは、最後の段STG4を除く他の段STGjの夫々の第1及び第2の入力IP1j、IP2jへ接続されている。夫々の逓倍回路段STGjは、第1の入力IP1jと第1の出力OP1jとの間に接続された第1のコンデンサC1jと、第2の入力IP2jと第2の出力OP2jとの間に接続された第2のコンデンサC2jとを有する。夫々の逓倍回路段STGjは、第1の入力IP1jと第1の出力OP1jとの間に接続された2つのダイオードの直列ダイオード配置を更に有する。例えば、最初の段STG1で、第1のダイオードD11は、その陽極を第1の入力IP11に接続され、その陰極を第2のダイオードD21の陽極に接続されている。第2のダイオードD21の陰極は、出力OP11に接続されている。ダイオードD11及びD21の陽極及び陰極は、また、全てを逆にされても良い。ダイオードD11及びD21は同じ導電方向を有するべきである。従って、ダイオードD11及びD21のダイオード直列配置の接点は、常に、ダイオードD11及びD21の陽極及び陰極によって形成される。他の全ての段STGjに関しても同様である。更に、電圧逓倍回路VMにおける全てのダイオードの導電方向は等しくあるべきである。それは、基本的に、電圧逓倍回路VMにおける全てのダイオードが同じ導電方向で直列に接続されることを意味する。夫々の段STGjにおける第1のダイオードD1jを流れる電流はIjによって示される。夫々の段STGjで、直列ダイオード配置の接点は、第1の出力OP2jに接続されている。
【0020】
このような半波電圧逓倍回路VMの動作原理は、先行技術から一般に知られている。簡単に述べると、動作は以下の通りである。周期的な交流(AC)入力電圧U1が、第1及び第2の入力IVM1、IVM2の間に印加され得るとする。この入力電圧は、通常は正弦波である。しかし、また、他の波形が使用されても良い。図1の例で、第2の入力IVM2での電位(電圧)が第1の入力IVM1での電位よりも高いならば、ダイオードD11は電流を導き、結果として、コンデンサ21は充電され得る。第2の入力IVM2での電位が最大値に達する場合に、コンデンサC21は完全に充電され得る。次いで、第2の入力IVM2での電圧は下がり始める。結果として、ダイオードD11は非導通状態となる。これは、コンデンサC21の両端の電圧が、初期状態で一定のままであるためである。更に、第2の入力IVM2での電位が下がるのと同時に、第1の入力IVM1での電位が増大する。故に、周期的なAC入力電圧の時間周期の半分が過ぎた後、入力IVM1及びIVM2での電位は逆転する。即ち、第1の入力IVM1での電位は最大値に達し、第2の入力IVM2での電位は最小値(負側の最大値)に達する。電位反転プロセスの最後の半周期の間、ダイオードD21は導通状態であり、コンデンサC21の電荷の一部をコンデンサC11へ伝送する。周期的なAC入力電圧U1の多数の周期の後、電圧逓倍回路VMは、所謂“定常状態”に達し、全ての第1のコンデンサC1j及び全ての第2のコンデンサC2jは完全に充電され得る。夫々の第1のコンデンサC1jの両端の電圧は、およそAC入力電圧U1のピーク・ツー・ピーク(peak-to-peak)値の2倍に等しくなりうる。従って、図1では4個の段(N=4)が使用されるので、電圧逓倍回路VMの出力OPと第2の入力IVM2との間の直流(DC)出力電圧は、およそAC入力電圧U1のピーク・ツー・ピーク値の8倍に等しくなりうる。
【0021】
上記例では、電圧逓倍回路VMは出力負荷に結合されていないとされた。例として、X線管が、例えば出力OPに結合されている場合には、コンデンサでの電圧は減少し、結果として、出力OPでの出力電圧は減少しうる。その場合に、出力電圧はまた、リップルを有しうる。出力電圧は減少し、同時に、リップル電圧は、出力(負荷)電流の増大に随伴して増大する。しかし、夫々の段STGjでの第1及び第2の両コンデンサC1j、C2jの値が高くなればなるほど、出力電圧の減少は小さくなり、また、リップルの増大も小さくなる。しかし、電圧逓倍回路のi.a.weightのために、キャパシタンス値は、必要以上に高く選択されるべきではない。
【0022】
図2は、従来の全波電圧逓倍回路VMを示す。それは、基本的に、2つの半波電圧逓倍回路を有する。かかる半波電圧逓倍回路は結合されて、夫々の段STGjにおいて第1のC1jを共有する。(図1に対応する)段STGjは、破線長方形により示されている。図1の実施例に加えて、夫々の段STGjは、2つのダイオードD1jA、D2jAの更なる直列ダイオード配置と、第3のコンデンサC2jAとを有する。文字“A”で終わっている参照符号を有する要素は、最後の文字“A”を有さない点を除いて同じ参照符号を有する対応する要素に対応しており、同様の機能を有する。このように、例えば、ダイオードD11Aは、ダイオードD11と同様の機能を有する。
【0023】
この全波電圧逓倍回路VMは、第3の入力IVM3を有する。図2には、一次巻線及び二次巻線を有する変圧器Tが示されている。この変圧器Tは、一次巻線の端子間の交流電圧(図2には図示せず。)を、電圧逓倍回路VMの第2の入力IVM2と第3の入力IVM3との間のAC入力電圧Uiに変換するために使用される。AC入力電圧Uiは、望ましくは可能な限り高く選択されるが、変圧器Tの絶縁が電圧Uiを扱うことができないほど高くは選択されない。電圧逓倍回路VMは、更に、このAC入力電圧Uiを、より一層高く、更には整流された、例えば出力端子OPでの出力電圧へ変換する。
【0024】
半波電圧逓倍回路と比較される全波電圧逓倍回路の利点は、出力電圧におけるリップルが低減される点である。随意に、変圧器Tの二次巻線は、第1の入力IVM1へ接続されている(破線によって示される)中点を設けられる。この中点が、例えば、接地することによって、基準電圧として使用されるならば、二次巻線での如何なる点での最大絶対電圧も、AC入力電圧Uiのピーク・ツー・ピーク電圧の半分の電圧よりも高くはない。これは、変圧器Tの絶縁に関して有利である。第2の入力IVM2と第1の入力IVM1との間の電圧差はU1によって示され、第1の入力IVM1と第3の入力IVM3との間の電圧差はU2によって示される。
【0025】
図3は、図1に従う従来の半波電圧逓倍回路VMのダイオード又は図2の全波電圧逓倍回路VMの上側若しくは下側のダイオードを流れる電流のダイアグラムを示す。故に、一例として、図1を参照して、夫々のダイオードD11、D12、D13及びD14を流れる電流I1、I2、I3及びI4は、電圧逓倍回路VMがその定常状態に達した状態で、図3に示される。図3から明らかなように、電流I1、I2、I3及びI4は、おおよそ互いの後に続き、ダイオードD11、D12、D13及びD14において相当のエネルギー損失を引き起こす鋭いパルスの波形を、共に形成する。このような鋭いパルス波形は、第2の入力IVM2での電圧が第1の入力IVM1での電圧よりも高くなるところのAC入力電圧Uiの半周期の間に起こる。第1の入力IVM1での電圧が第2の入力IVM2での電圧よりも高くなるところのAC入力電圧Uiの残り半周期の間、同様の鋭いパルス波形が、おおよそ続いて起こる夫々のダイオードD11、D12、D13及びD14を流れる電流(図示せず。)によって生ずる。
【0026】
図5は、半波又は全波電圧逓倍回路VMの第1の本発明の実施例の回路図を示す。図2の回路図との相違は、電圧逓倍回路VMが、ダイオードD1j、D2jを流れる電流Ijの時間の関数としての電流分布を均一にする等化手段を更に有し、全波電圧逓倍回路の場合には、この等化手段は、また、ダイオードD1jA、D2jAを流れる電流IjAの時間の関数としての電流分布を均一にする点である。以下で、一例として、この回路の作用は、破線長方形の中に示された半波電圧逓倍回路VMのみを参照することによって説明される。等化手段は、望ましくは、夫々の段STGjにおいて、第2の出力OP2jと、2つのダイオードD1j、D2jの接点との間に結合された時間依存電圧レベルシフタVLSjを有する。望ましくは、且つ、最も容易に、時間依存電圧レベルシフタVLSjは、電圧レベルシフトコンデンサCsjによって実施される。たとえ望ましくとも、厳密には、従来の電圧逓倍回路に対して向上した電力効率を得るために、全ての段に電圧レベルシフトコンデンサCsjを挿入する必要はない。
【0027】
図6は、第1の実施例と比較してコンデンサの数が少ない半波又は全波電圧逓倍回路の第2の本発明の実施例の回路図を示す。図5に示される第1の実施例との相違は、最初の段STG1で、第2のコンデンサC21が電気的接続に置き換えられ、最後の段STG4で、電圧レベルシフトコンデンサCs4が、また、電気的接続に置き換えられている点である。最後の段STG4に関し、それは、第2のコンデンサC24がレベルシフトコンデンサCs4(図5)の機能を引き継ぐことを意味する。図5及び6の回路の動作は同様である。
【0028】
一例として、電圧レベルシフトコンデンサCsjの部品決定について図6を参照して説明する。全てのダイオードはおおよそ同じI−V特性を有するとする。これは、そのような状態が最も良い結果をもたらすことによる。説明において、電流は、AC入力電圧Uiの半周期の間、ダイオードD11、D12、D13及びD14を流れているとする。(AC入力電圧Uiの残り半周期の間、ダイオードD21、D22、D23及びD24は、ダイオードD11、D12、D13及びD14に代わって電流を導き、AC入力電圧Uiの当該半周期の間の計算は、同じ結果をもたらしうる。)電力効率において最良の高まりを得るために、図3に示されるような鋭いパルス波形を、より鋭くないパルス波形に変換することが望ましい。このとき、電流Ijは、図4を参照して、おおよそ同じタイミングで生ずる。電流Ijに関して、式[1]が有効である:
∀j:Ij=I [1]。
【0029】
結果として、コンデンサC24、Cs3、Cs2及びCs1を流れる電流はIに等しく、コンデンサC23を流れる電流は2Iに等しく、コンデンサC22を流れる電流は3Iに等しい。更に、式[1]の結果として、ダイオードD11、D12、D13及びD14の両端での電圧降下は等しい。一般的な既知の物理法則(特にキルヒホッフの第1及び第2の法則)を上記情報に補足することにより、エレクトロニクス分野において通常の知識を有する者であれば、コンデンサCsjとコンデンサC2jとの間の所要の関係を計算することができる。
【0030】
特に、X線応用に関しては、電圧逓倍回路の高い動特性が好ましい。この動特性は、コンデンサC2jの両端でリップル電圧の平衡を保つことによって、最適化され得る。これは、式[2]で表されるように:
∀j:C2j=C [2]、
夫々のコンデンサC2jに関して同じコンデンサ値Cを選択することによって行われ得る。
【0031】
式[2]の仮定の下で、コンデンサCsjの一般式は導き出され、式[3]:
【数1】
に示される。
【0032】
例えば、N=4(4個の段が図示されるように使用される)ならば、以下の式[4]:
【数2】
が式[3]から得られる。これより、コンデンサCsjに関して、以下の値が得られる:
j=3 => Cs3=C、
j=2 => Cs2=C/3、
j=1 => Cs1=C/6。
【0033】
図7は、半波又は全波電圧逓倍回路の第3の本発明の実施例の回路図を示す。それは、(半波逓倍回路に関して、)夫々の段STGjで、コンデンサCsjが、第2の入力IP2jと第2の出力OP2jとの間に接続された第3及び第4のコンデンサC3j、C4jの直列コンデンサ配置に置き換えられ、その直列コンデンサ配置の接点が、直列ダイオード配置の接点に接続されている点で、図5に示される第1の実施例と相違する。
【0034】
上述されたように、どのように、所謂“星形配置(star arrangement)”における3つの接続されたコンデンサのグループが、所謂“三角形配置(triangle arrangement)”における3つのコンデンサによって置換され得るかは、一般に知られている。図5から、例えば、コンデンサC21、Cs1及びC22が、図7におけるコンデンサC21、C31及びC41によって形成される“三角形配置”に変形され得る“星形配置”を形成することは明らかである。しかし、コンデンサC21、Cs1及びC22(図5)は、全て同じ段にあるわけではない。これにより、全てのコンデンサC2j及びCsjに対して変形を行うことは困難となる。これは、その場合に、例えば、2番目の段がコンデンサCs2のみを持ち続けることによる。従って、一般に、変形を行うための好ましい方法は、夫々のコンデンサC2jを、2つのコンデンサの直列配置に(念のために)分けることである。このとき、夫々の直列配置は、“元の”単一コンデンサC2jのキャパシタンスと同じ置換値の総キャパシタンスを有する。必ずしも必要ではないが、“元の”単一コンデンサC2jのキャパシタンス値の2倍の値を夫々有する直列な2つのコンデンサを(念のために)使用することが好ましく、且つ、最も都合が良い。その場合に、図5における夫々の段STGjが、“三角形配置”(図7参照。)に容易に変形され得る“星形配置”を有すると考えられることは、容易に理解され得る。特別の注意が最初の段STG1には必要とされる。最初の段STG1では、コンデンサC21を2つの部分に(念のために)分けることは適切でない。これは、コンデンサC21が他の段に接続されず、第2の入力IVM2に接続されているためである。同様に、特別の注意が、より高次の段への接続を当然に有さない最後の段STG4にも必要とされる。このように、“不足している(missing)”コンデンサは、(念のために)付加されて、一方の端部がコンデンサC24及びコンデンサCs4の接点へ接続され、他の端部が接続されないままであるべきである。
【0035】
図8は、図7に示される第3の実施例と比較してコンデンサの数が少ない半波又は全波電圧逓倍回路の第4の本発明の実施例の回路図を示す。図7に示される第3の実施例との相違は、最初の段STG1で、コンデンサC21及びC31が除かれて、電気的接続が第2の入力IP21と第2の出力OP21との間で形成され、且つ、最後の段STG4で、コンデンサC24、C34及びC44が除かれて、電気的接続が第2の入力IP24、第2の出力OP24、及び直列ダイオード配置の接点の間に形成されている点である。エレクトロニクス分野で通常の知識を有する者ならば、必要ならば、式[1]及び[2]を参照して先に説明されたのと同じ原理の下で、電力効率の最適な高まりを再び得るために、コンデンサの値を適合させることができる。
【0036】
図9は、全波電圧逓倍回路VMの第5の本発明の実施例の回路図を示す。図5に示される第1の実施例との相違は、この第5の実施例では、図5の第1のコンデンサC1jが図9において除かれている点である。しかし、これは、全波電圧逓倍回路においてのみ可能である。(図9の破線長方形と、図5の破線長方形とを比較されたし。)従って、図9で、夫々の逓倍回路段STGjは、同様に、更なる直列ダイオード配置のダイオードD1jA及びD2jAと、更なるレベルシフトコンデンサCs1Aとを有する。第2の実施例に対する第5の実施例の利点は、全波電圧逓倍回路VMの大きさ及び重さが削減される点である。請求項6の目的のために、夫々の段STGjで、目下、コンデンサC2jは第1のコンデンサと称され、コンデンサC2jAは第2のコンデンサと称される。
【0037】
図10は、第5の実施例と比較してコンデンサの数が少ない全波電圧逓倍回路の第6の本発明の実施例の回路図を示す。図9に示される第5の実施例との相違は、最初の段STG1で、第1のコンデンサC21が電気的接続に置き換えられ、第2のコンデンサC21Aが電気的接続に置き換えられ、且つ、最後の段STG4で、電圧レベルシフトコンデンサCs4が電気的接続に置き換えられ、更なる電圧レベルシフトコンデンサCs4Aが電気的接続に置き換えられている点である。最後の段STG4に関し、それは、第1のコンデンサC24がレベルシフトコンデンサCs4(図9)の機能を引き継ぎ、第2のコンデンサC24Aが更なるレベルシフトコンデンサCs4A(図9)の機能を引き継ぐことを意味する。図9及び図10の回路の動作は同様である。
【0038】
図11は、全波電圧逓倍回路の第7の本発明の実施例の回路図を示す。図7に示される第3の実施例との相違は、この第7の実施例で、図7の第1のコンデンサC1jが図11では除かれている点である。しかし、これは、全波電圧逓倍回路でのみ可能である。従って、図11で、夫々の逓倍回路段STGjは、また、更なる直列ダイオード配置のダイオードD1jA及びD2jAと、更なる直列コンデンサ配置のコンデンサC3jA及びC4jAとを有するべきである。(図11の破線長方形と、図7の破線長方形とを比較されたし。)第3の実施例に対する第7の実施例の利点は、全波電圧逓倍回路VMの大きさ及び重さが削減される点である。請求項8の目的のために、夫々の段STGjで、目下、コンデンサC2jは第1のコンデンサと称され、コンデンサC2jAは第2のコンデンサと称され、コンデンサC3jは第3のコンデンサと称され、コンデンサC4jは第4のコンデンサと称され、コンデンサC3jAは第5のコンデンサと称され、コンデンサC4jAは第6のコンデンサと称される。
【0039】
図12は、全波電圧逓倍回路の第8の本発明の実施例の回路図を示す。図11に示される第7の実施例との相違は、最初の段STG1で、コンデンサC21、C32、C21A及びC31Aが除かれて、電気的接続が第2の入力IP21と第2の出力OP21との間に形成され、電気的接続が第3の入力IP31と第3の出力OP31との間に形成され、且つ、最後の段STG4で、コンデンサC24、C34、C44、C24A、C34A及びC44Aが除かれて、電気的接続が第2の入力IP24、第2の出力OP24、及び直列ダイオード配置の接点の間に形成され、電気的接続が第3の入力IP34、第3の出力OP34、及び更なる直列ダイオード配置の接点の間に形成されている点である。エレクトロニクス分野で通常の知識を有する者ならば、必要ならば、式[1]及び[2]を参照して先に説明されたのと同じ原理の下で、電力効率の最適な高まりを再び得るために、コンデンサの値を適合させることができる。
【0040】
図13は、N個の段を有し、平滑コンデンサC0を設けられた半波又は全波電圧逓倍回路の第9の本発明の実施例を示す。平滑コンデンサC0は、最後の逓倍回路段STGNの出力OP1Nと、最初の逓倍回路段STG1の入力IP11との間に接続されている。幾つかの用途で、出力電圧におけるリップルを更に低減するためにこの平滑コンデンサC0を適用することが有利である。特に、図9、10、11及び12の夫々で示された第5、第6、第7及び第8の実施例において有利である。これは、かかる実施例では、コンデンサC1jが除かれているためである。しかし、留意すべきは、通常、平滑コンデンサC0(又はその一部)として働く寄生キャパシタンスは、例えば出力OPに接続された(部分的に)容量性の負荷によって与えられる点である。このような容量性の負荷は、例えば、出力OPとX線管(及びX線管自体)との間の高電圧接続ケーブルでありうる。
【0041】
図14は、高電圧発生装置を有するX線装置XRの図の例を示す。高電圧発生装置は、ガラス真空X線管XRTの陽極Aと陰極Cとの間に高電圧を供給する本発明の電圧逓倍回路VMを有する。電圧逓倍回路VMは、出力OPからケーブルCBLを介して、正の高電圧を陽極Aへ供給する。陰極Cは接地されており、従って、本例では、変圧器Tの中点へ接続されている。(陽極Aを接地して、高い負電圧を陰極Cへ供給することも可能である。)陰極Cは加熱フィラメントである。動作の間、電流はフィラメントを流れ、そのフィラメントを温める。熱は、フィラメント表面から電子を跳ね飛ばす。通常はタングステンから作られた平坦なディスクである陽極Aは、正に帯電されており、管XRTを越えて電子を引き込む。陽極Aと陰極Cとの間の電圧差は極めて高く、故に、電子(電子ビームEB)は、多大な力を伴って管XRTを飛ぶ。高速で動いている電子がタングステン原子に衝突すると、その電子は、原子のより低い軌道の1つにある電子を押し出す。より高い軌道にある電子は、直ぐに、より低いエネルギーレベルに下がり、その余剰エネルギーを光子の形で放つ。それは大きな降下であるので、光子は高いエネルギーを有し、従って、それがX線光子となる。X線生成における衝撃力の大きい衝突は、多くの熱を発生させる。このため、モータMは陽極Aを回転させる。従って、電子ビームEBは、必ずしも常に、陽極Aの同じ領域に焦点を合わせられているわけではない。これによって、陽極A(の一部)が溶解することが回避される。管容器を囲む冷却油浴OBも熱を吸収する。管XRTは、厚い鉛遮蔽体PBによって囲まれている。これにより、X線が全ての方向に漏れることが防がれる。遮蔽体PBにおける小さな窓は、狭X線ビームXRBにおいて、X線光子の一部を逃がす。ビームXRBは、例えば患者に至る途中で、一続きのフィルタFを通る。
【0042】
図15は、スクリーンSCR上に画像を生成する陰極線管CRTを有する機器の図を示す。陰極線管CRTは、この陰極線管の電極の間に1又はそれ以上の高電圧を供給する本発明の電圧逓倍回路VMを備えた高電圧発生装置を有する。CRTは、例えば、TV、コンピュータモニタ、オシロスコープ、スペクトラムアナライザ等で使用される。本例で、CRTは、陽極A1、A2、A3、A4及びA5における(陽極Cに対して)高い正電圧によって、スクリーンSCRに向けて電子ビームEBを放射することができる陰極Cを有する。集束コイルFCLSはビームEBの焦点を合わせ、偏向コイルDCLSはビームEBを偏向させる。従って、鮮明且つ十分に形成された画像がスクリーンSCRから伝えられる。本例で、CRTは、陽極A1、A2、A3、A4及びA5で、幾つかの高電圧を必要とする。かかる高電圧のうちの一部は異なる値を有する。このため、電圧逓倍回路VMは複数の出力を設けられる。(最も高い高電圧を有する)出力OPは陽極A1に接続され、(最も低い高電圧を有する)出力OPA及びOPBは陽極A4及びA5に接続され、(中間の高電圧を有する)出力OPC及びOPDは陽極A2及びA3に接続されている。
【0043】
逓倍回路段STGjの一部に関してのみ、接続されたコンデンサのグループに所謂“星形−三角形変形(star-triangle transformation)”を適用することが可能である。従って、複合構造が可能である。例えば、第1の実施例(図5)及び第3の実施例(図7)からの段の複合が、電圧逓倍回路を構成するために使用されても良い。
【0044】
留意すべきは、EMI(電磁波妨害雑音)の発生を低減するために、抵抗及びコンデンサのEMI直列配置は、電圧逓倍回路VMの第1、第2、及び第3の入力IVM1、IVM2、IVM3のうちの少なくとも1つと直列に接続されても良い点である。変圧器Tが中点を設けられる全波電圧逓倍回路の実施例の場合に、望ましくは、EMI直列配置は、電圧逓倍回路VMの第1の入力IVM1と、変圧器Tの中点との間に接続される。
【0045】
留意すべきは、上述された実施例は、本発明を限定しているのではなく、説明している点である。また、留意すべきは、当該技術において通常の知識を有する者であれば、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を逸脱することなく、代替の実施例を設計することができる点である。特許請求の範囲で、括弧内の如何なる参照符号も、特許請求の範囲を限定するよう解釈されるべきではない。語“有する(comprising及びcomprises)”及び同様のものは、いずれかの請求項に又は本願の全体において挙げられている以外の要素の存在を排除しているわけではない。要素の単一参照は、そのような要素の複数参照を排除しているわけではない。ある手段が相互に異なる従属請求項に挙げられているという単なる事実は、かかる手段の組合せが使用されないことを示しているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】従来の半波電圧逓倍回路を示す。
【図2】従来の全波電圧逓倍回路を示す。
【図3】図1に従う従来の半波電圧逓倍回路のダイオード又は図2の全波電圧逓倍回路の上側若しくは下側のダイオードを流れる電流のダイアグラムを示す。
【図4】本発明に従う半波電圧逓倍回路のダイオード又は本発明に従う全波電圧逓倍回路の上側若しくは下側のダイオードを流れる電流のダイアグラムを示す。
【図5】ダイオードへの電流経路に電圧レベルシフトコンデンサを設けられた半波又は全波電圧逓倍回路の第1の本発明の実施例(請求項2に対応。)の回路図を示す。
【図6】第1の実施例と比較してコンデンサの数が少ない半波又は全波電圧逓倍回路の第2の本発明の実施例(請求項3に対応。)の回路図を示す。
【図7】3つの接続されたコンデンサのグループに対する所謂“星形−三角形変形(star-triangle transformation)”が適用される点で第1の実施例と相違する半波又は全波電圧逓倍回路の第3の本発明の実施例(請求項4に対応。)の回路図を示す。
【図8】第3の実施例と比較してコンデンサの数が少ない半波又は全波電圧逓倍回路の第4の本発明の実施例(請求項5に対応。)の回路図を示す。
【図9】全波電圧逓倍回路の第5の本発明の実施例(請求項6に対応。)の回路図を示す。
【図10】第5の実施例と比較してコンデンサの数が少ない全波電圧逓倍回路の第6の本発明の実施例(請求項7に対応。)の回路図を示す。
【図11】3つの接続されたコンデンサのグループに対する所謂“星形−三角形変形”が適用される点で第5の実施例と相違する全波電圧逓倍回路の第7の本発明の実施例(請求項8に対応。)の回路図を示す。
【図12】第7の実施例と比較してコンデンサの数が少ない全波電圧逓倍回路の第8の本発明の実施例(請求項9に対応。)の回路図を示す。
【図13】N個の段を有し、最後の逓倍回路段の出力と最初の逓倍回路段の入力との間に結合される平滑コンデンサを設けられた半波又は全波電圧逓倍回路の第9の本発明の実施例を示す。
【図14】X線管の陽極と陰極との間に高電圧を供給する本発明の電圧逓倍回路を有する高電圧発生装置を備えたX線装置の図を示す。
【図15】陰極線管の電極間に1又はそれ以上の高電圧を供給する本発明の電圧逓倍回路を有する高電圧発生装置を有するスクリーン上に画像を生成する陰極線管を備えた機器の図を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
逓倍回路段のチェーン接続を有する電圧逓倍回路であって、
夫々の逓倍回路段は、第1及び第2の入力と、第1及び第2の出力とを有し、
一の逓倍回路段の第1及び第2の出力は、最後の逓倍回路段を除く他の逓倍回路段の夫々の第1及び第2の入力へ結合され、
最初の逓倍回路段の第1及び第2の入力は、前記チェーン接続の第1及び第2の入力を構成し、
夫々の逓倍回路段は、前記第1の入力と前記第1の出力との間に同じ導電方向で結合される2つのダイオードの直列ダイオード配置と、前記ダイオードを流れる電流の時間の関数としての電流分布を一様にする等化手段とを有する、電圧逓倍回路。
【請求項2】
夫々の逓倍回路段は、前記第1の入力と前記第1の出力との間に結合される第1のコンデンサと、前記第2の入力と前記第2の出力との間に結合される第2のコンデンサとを有し、
前記逓倍回路段のうちの少なくとも1つで、前記等化手段は、前記第2の出力と前記2つのダイオードの接点との間に結合される時間依存電圧レベルシフタを有し、
残りの前記逓倍回路段で、前記等化手段は、前記第2の出力と前記2つのダイオードの接点との間との間に電気的結合を有する、ことを特徴とする請求項1記載の電圧逓倍回路。
【請求項3】
夫々の逓倍回路段は、前記第1の入力と前記第1の出力との間に結合される第1のコンデンサを有し、
最初の逓倍回路段を除く夫々の逓倍回路段は、前記第2の入力と前記第2の出力との間に結合される第2のコンデンサを有し、
前記最初の逓倍回路段は、前記第2の入力と前記第2の出力との間に電気的結合を有し、
前記逓倍回路段のうちの少なくとも1つで、前記等化手段は、前記第2の出力と前記2つのダイオードの接点との間に結合される時間依存電圧レベルシフタを有し、
残りの前記逓倍回路段で、前記等化手段は、前記第2の出力と前記2つのダイオードの接点との間に電気的結合を有する、ことを特徴とする請求項1記載の電圧逓倍回路。
【請求項4】
夫々の逓倍回路段は、前記第1の入力と前記第1の出力との間に結合される第1のコンデンサと、前記第2の入力と前記第2の出力との間に結合される第2のコンデンサと、前記第2の入力と前記第2の出力との間に結合される第3及び第4のコンデンサの直列コンデンサ配置と、前記第3及び第4のコンデンサの接点と前記2つのダイオードの接点との間の電気的結合とを有する、ことを特徴とする請求項1記載の電圧逓倍回路。
【請求項5】
夫々の逓倍回路段は、前記第1の入力と前記第1の出力との間に結合される第1のコンデンサを有し、
最初の逓倍回路段及び最後の逓倍回路段を除く夫々の逓倍回路段は、前記第2の入力と前記第2の出力との間に結合される第2のコンデンサと、前記第2の入力と前記第2の出力との間に結合される第3及び第4のコンデンサの直列コンデンサ配置と、前記第3及び第4のコンデンサの接点と前記2つのダイオードの接点との間の電気的結合とを有し、
前記最初の逓倍回路段は、前記第2の出力と前記2つのダイオードの接点との間に結合される第2のコンデンサを有し、
前記最後の逓倍回路段は、前記第2の入力、前記第2の出力、及び前記2つのダイオードの接点の間に電気的結合を有する、ことを特徴とする請求項1記載の電圧逓倍回路。
【請求項6】
夫々の逓倍回路段は、第3の入力と、前記最後の逓倍回路段を除く他の逓倍回路段の夫々の第3の入力へ結合される第3の出力と、前記第2の入力と前記第2の出力との間に結合される第1のコンデンサと、前記第3の入力と前記第3の出力との間に結合される第2のコンデンサとを有し、
最初の逓倍回路段の第3の入力は、前記チェーン接続の第3の入力を構成し、
夫々の逓倍回路段は、前記第1の入力と前記第1の出力との間に、前記直列ダイオード配置と同じ導電方向でいずれも結合される2つのダイオードの更なる直列ダイオード配置を有し、
前記逓倍回路段のうちの少なくとも1つで、前記等化手段は、前記第2の出力と、前記直列ダイオード配置の前記2つのダイオードの接点との間に結合される時間依存電圧レベルシフタを有し、残りの前記逓倍回路段で、前記等化手段は、前記第2の出力と、前記直列ダイオード配置の前記2つのダイオードの接点との間に電気的結合を有し、
前記逓倍回路段のうちの少なくとも1つで、前記等化手段は、前記第3の出力と、前記更なる直列ダイオード配置の前記2つのダイオードの接点との間に結合される更なる時間依存電圧レベルシフタを有し、残りの前記逓倍回路段で、前記等化手段は、前記第3の出力と、前記更なる直列ダイオード配置の前記2つのダイオードの接点との間に電気的結合を有する、ことを特徴とする請求項1記載の電圧逓倍回路。
【請求項7】
夫々の逓倍回路段は、第3の入力と、最後の逓倍回路段を除く他の逓倍回路段の夫々の第3の入力へ結合される第3の出力とを有し、
前記チェーン接続の最初の逓倍回路段の第3の入力は、前記チェーン接続の第3の入力を構成し、
夫々の逓倍回路段は、前記第1の入力と前記第1の出力との間に、前記直列ダイオード配置と同じ導電方向でいずれも結合される2つのダイオードの更なる直列ダイオード配置を有し、
最初の逓倍回路段を除く夫々の逓倍回路段は、前記第2の入力と前記第2の出力との間に結合される第1のコンデンサと、前記第3の入力と前記第3の出力との間に結合される第2のコンデンサとを有し、
前記最初の逓倍回路段は、前記第2の入力と前記第2の出力との間の第1の電気的結合と、前記第3の入力と前記第3の出力との間の第2の電気的結合とを有し、
前記逓倍回路段のうちの少なくとも1つで、前記等化手段は、前記第2の出力と、前記直列ダイオード配置の前記2つのダイオードの接点との間に結合される時間依存電圧レベルシフタを有し、残りの前記逓倍回路段で、前記等化手段は、前記第2の出力と、前記直列ダイオード配置の前記2つのダイオードの接点との間に電気的結合を有し、
前記逓倍回路段のうちの少なくとも1つで、前記等化手段は、前記第3の出力と、前記更なる直列ダイオード配置の前記2つのダイオードの接点との間に結合される更なる時間依存電圧レベルシフタを有し、残りの前記逓倍回路段で、前記等化手段は、前記第3の出力と、前記更なる直列ダイオード配置の前記2つのダイオードの接点との間に電気的結合を有する、ことを特徴とする請求項1記載の電圧逓倍回路。
【請求項8】
夫々の逓倍回路段は、第3の入力と、最後の逓倍回路段を除く他の逓倍回路段の夫々の第3の入力へ結合される第3の出力とを有し、
最初の逓倍回路段の第3の入力は、前記チェーン接続の第3の入力を構成し、
夫々の逓倍回路段は、前記第1の入力と前記第1の出力との間に、前記直列ダイオード配置と同じ導電方向でいずれも結合される2つのダイオードの更なる直列ダイオード配置を有し、
夫々の逓倍回路段は、更に、
前記第2の入力と前記第2の出力との間に結合される第1のコンデンサと、
前記第3の入力と前記第3の出力との間に結合される第2のコンデンサと、
前記第2の入力と前記第2の出力との間に結合される第3及び第4のコンデンサの直列コンデンサ配置と、
前記第3の入力と前記第3の出力との間に結合される第5及び第6のコンデンサの更なる直列コンデンサ配置と、
前記第3及び第4のコンデンサの接点と、前記直列ダイオード配置の前記2つのダイオードの接点との間の電気的結合と、
前記第5及び第6のコンデンサの接点と、前記更なる直列ダイオード配置の前記2つのダイオードの接点との間の更なる電気的結合とを有する、ことを特徴とする請求項1記載の電圧逓倍回路。
【請求項9】
夫々の逓倍回路段は、第3の入力と、最後の逓倍回路段を除く他の逓倍回路段の夫々の第3の入力へ結合される第3の出力とを有し、
最初の逓倍回路段の第3の入力は、前記チェーン接続の第3の入力を構成し、
夫々の逓倍回路段は、前記第1の入力と前記第1の出力との間に、前記直列ダイオード配置と同じ導電方向でいずれも結合される2つのダイオードの更なる直列ダイオード配置を有し、
前記最初の逓倍回路段及び前記最後の逓倍回路段を除く夫々の逓倍回路段は、
前記第2の入力と前記第2の出力との間に結合される第1のコンデンサと、
前記第3の入力と前記第3の出力との間に結合される第2のコンデンサと、
前記第2の入力と前記第2の出力との間に結合される第3及び第4のコンデンサの直列コンデンサ配置と、
前記第3の入力と前記第3の出力との間に結合される第5及び第6のコンデンサの更なる直列コンデンサ配置と、
前記第3及び第4のコンデンサの接点と、前記直列ダイオード配置の前記2つのダイオードの接点との間の電気的結合と、
前記第5及び第6のコンデンサの接点と、前記更なる直列ダイオード配置の前記2つのダイオードの接点との間の更なる電気的結合とを有し、
前記最初の逓倍回路段は、
前記第2の出力と、前記直列ダイオード配置の前記2つのダイオードの接点との間に結合される第1のコンデンサと、
前記第3の出力と、前記更なるダイオード配置の前記2つのダイオードの接点との間に結合される第2のコンデンサとを有し、
前記最後の逓倍回路段は、
前記第2の入力、前記第2の出力、及び前記直列ダイオード配置の前記2つのダイオードの接点の間の電気的結合と、
前記第3の入力、前記第3の出力、及び前記更なるダイオード配置の前記2つのダイオードの接点の間の更なる電気的結合を有する、ことを特徴とする請求項1記載の電圧逓倍回路。
【請求項10】
少なくとも1つの時間依存電圧レベルシフタは電圧レベルシフトコンデンサを有する、ことを特徴とする請求項2又は3記載の電圧逓倍回路。
【請求項11】
夫々の逓倍回路段で、前記等化手段は、電圧レベルシフトコンデンサを有する時間依存電圧レベルシフタを有する、ことを特徴とする請求項2記載の電圧逓倍回路。
【請求項12】
最後の逓倍回路段を除く夫々の逓倍回路段で、前記等化手段は、電圧レベルシフトコンデンサを有する時間依存電圧レベルシフタを有する、ことを特徴とする請求項3記載の電圧逓倍回路。
【請求項13】
前記レベルシフトコンデンサの全てのキャパシタンス値は、前記ダイオードを流れる電流が、動作の間、時間の関数として等しい電流分布を有するように決定される、ことを特徴とする請求項11又は12記載の電圧逓倍回路。
【請求項14】
少なくとも1つの時間依存電圧レベルシフタは電圧レベルシフトコンデンサを有し、
電圧レベルシフトコンデンサを有する時間依存電圧レベルシフタに対応する少なくとも1つの更なる時間依存電圧レベルシフタは、更なる電圧レベルシフトコンデンサを有する、ことを特徴とする請求項6又は7記載の電圧逓倍回路。
【請求項15】
夫々の逓倍回路段で、前記等化手段は、電圧レベルシフトコンデンサを有する時間依存電圧レベルシフタと、更なる電圧レベルシフトコンデンサを有する更なる時間依存電圧レベルシフタとを有する、ことを特徴とする請求項6記載の電圧逓倍回路。
【請求項16】
最後の逓倍回路段を除く夫々の逓倍回路段で、前記等化手段は、電圧レベルシフトコンデンサを有する時間依存電圧レベルシフタと、更なる電圧レベルシフトコンデンサを有する更なる時間依存電圧レベルシフタとを有する、ことを特徴とする請求項7記載の電圧逓倍回路。
【請求項17】
前記レベルシフトコンデンサの全てのキャパシタンス値は、前記直列ダイオード配置の前記ダイオードを流れる電流が、動作の間、時間の関数として等しい電流分布を有するように決定され、
前記更なるレベルシフトコンデンサの全てのキャパシタンス値は、前記更なる直列ダイオード配置の前記ダイオードを流れる電流が、動作の間、時間の関数として等しい電流分布を有するように決定される、ことを特徴とする請求項15又は16記載の電圧逓倍回路。
【請求項18】
夫々の逓倍回路段で、前記第2、第3及び第4のコンデンサのキャパシタンス値は、導通するダイオードを流れる電流が、動作の間、時間の関数として等しい電流分布を有するように決定される、ことを特徴とする請求項4記載の電圧逓倍回路。
【請求項19】
前記最初の逓倍回路段における前記第2のコンデンサのキャパシタンス値と、前記最初の逓倍回路段及び前記最後の逓倍回路段を除く夫々の逓倍回路段における前記第2、第3及び第4のコンデンサのキャパシタンス値とは、前記ダイオードを流れる電流が、動作の間、時間の関数として等しい電流分布を有するように決定される、ことを特徴とする請求項5記載の電圧逓倍回路。
【請求項20】
夫々の逓倍回路段で、前記第1、第2及び第3のコンデンサのキャパシタンス値は、前記直列ダイオード配置の前記ダイオードを流れる電流が、動作の間、時間の関数として等しい電流分布を有するように決定される、ことを特徴とする請求項8記載の電圧逓倍回路。
【請求項21】
前記最初の逓倍回路段における前記第1のコンデンサのキャパシタンス値と、前記最初の逓倍回路段及び前記最後の逓倍回路段を除く夫々の逓倍回路段における前記第1、第2及び第3のコンデンサのキャパシタンス値とは、前記直列ダイオード配置の前記ダイオードを流れる電流が、動作の間、時間の関数として等しい電流分布を有するように決定される、ことを特徴とする請求項9記載の電圧逓倍回路。
【請求項22】
最後の逓倍回路段の第1の出力と、最初の逓倍回路段の第1の入力との間に結合される平滑コンデンサを更に有する、ことを特徴とする請求項1乃至21のうちいずれか一項記載の電圧逓倍回路。
【請求項23】
高電圧を発生させる装置を有する機器であって、
前記高電圧を発生させる装置は、請求項1乃至22のうちいずれか一項記載の電圧逓倍回路を有する、ことを特徴とする機器。
【請求項24】
X線を発生させるX線管であって、当該X線管のための高電圧を発生させる装置を有するX線管を有する機器であって、
前記高電圧を発生させる装置は、請求項1乃至22のうちいずれか一項記載の電圧逓倍回路を有する、ことを特徴とする機器。
【請求項25】
スクリーン上に画像を生成する陰極線管であって、当該陰極線管のための高電圧を発生させる装置を有する陰極線管を有する機器であって、
前記高電圧を発生させる装置は、請求項1乃至22のうちいずれか一項記載の電圧逓倍回路を有する、ことを特徴とする機器。
【請求項1】
逓倍回路段のチェーン接続を有する電圧逓倍回路であって、
夫々の逓倍回路段は、第1及び第2の入力と、第1及び第2の出力とを有し、
一の逓倍回路段の第1及び第2の出力は、最後の逓倍回路段を除く他の逓倍回路段の夫々の第1及び第2の入力へ結合され、
最初の逓倍回路段の第1及び第2の入力は、前記チェーン接続の第1及び第2の入力を構成し、
夫々の逓倍回路段は、前記第1の入力と前記第1の出力との間に同じ導電方向で結合される2つのダイオードの直列ダイオード配置と、前記ダイオードを流れる電流の時間の関数としての電流分布を一様にする等化手段とを有する、電圧逓倍回路。
【請求項2】
夫々の逓倍回路段は、前記第1の入力と前記第1の出力との間に結合される第1のコンデンサと、前記第2の入力と前記第2の出力との間に結合される第2のコンデンサとを有し、
前記逓倍回路段のうちの少なくとも1つで、前記等化手段は、前記第2の出力と前記2つのダイオードの接点との間に結合される時間依存電圧レベルシフタを有し、
残りの前記逓倍回路段で、前記等化手段は、前記第2の出力と前記2つのダイオードの接点との間との間に電気的結合を有する、ことを特徴とする請求項1記載の電圧逓倍回路。
【請求項3】
夫々の逓倍回路段は、前記第1の入力と前記第1の出力との間に結合される第1のコンデンサを有し、
最初の逓倍回路段を除く夫々の逓倍回路段は、前記第2の入力と前記第2の出力との間に結合される第2のコンデンサを有し、
前記最初の逓倍回路段は、前記第2の入力と前記第2の出力との間に電気的結合を有し、
前記逓倍回路段のうちの少なくとも1つで、前記等化手段は、前記第2の出力と前記2つのダイオードの接点との間に結合される時間依存電圧レベルシフタを有し、
残りの前記逓倍回路段で、前記等化手段は、前記第2の出力と前記2つのダイオードの接点との間に電気的結合を有する、ことを特徴とする請求項1記載の電圧逓倍回路。
【請求項4】
夫々の逓倍回路段は、前記第1の入力と前記第1の出力との間に結合される第1のコンデンサと、前記第2の入力と前記第2の出力との間に結合される第2のコンデンサと、前記第2の入力と前記第2の出力との間に結合される第3及び第4のコンデンサの直列コンデンサ配置と、前記第3及び第4のコンデンサの接点と前記2つのダイオードの接点との間の電気的結合とを有する、ことを特徴とする請求項1記載の電圧逓倍回路。
【請求項5】
夫々の逓倍回路段は、前記第1の入力と前記第1の出力との間に結合される第1のコンデンサを有し、
最初の逓倍回路段及び最後の逓倍回路段を除く夫々の逓倍回路段は、前記第2の入力と前記第2の出力との間に結合される第2のコンデンサと、前記第2の入力と前記第2の出力との間に結合される第3及び第4のコンデンサの直列コンデンサ配置と、前記第3及び第4のコンデンサの接点と前記2つのダイオードの接点との間の電気的結合とを有し、
前記最初の逓倍回路段は、前記第2の出力と前記2つのダイオードの接点との間に結合される第2のコンデンサを有し、
前記最後の逓倍回路段は、前記第2の入力、前記第2の出力、及び前記2つのダイオードの接点の間に電気的結合を有する、ことを特徴とする請求項1記載の電圧逓倍回路。
【請求項6】
夫々の逓倍回路段は、第3の入力と、前記最後の逓倍回路段を除く他の逓倍回路段の夫々の第3の入力へ結合される第3の出力と、前記第2の入力と前記第2の出力との間に結合される第1のコンデンサと、前記第3の入力と前記第3の出力との間に結合される第2のコンデンサとを有し、
最初の逓倍回路段の第3の入力は、前記チェーン接続の第3の入力を構成し、
夫々の逓倍回路段は、前記第1の入力と前記第1の出力との間に、前記直列ダイオード配置と同じ導電方向でいずれも結合される2つのダイオードの更なる直列ダイオード配置を有し、
前記逓倍回路段のうちの少なくとも1つで、前記等化手段は、前記第2の出力と、前記直列ダイオード配置の前記2つのダイオードの接点との間に結合される時間依存電圧レベルシフタを有し、残りの前記逓倍回路段で、前記等化手段は、前記第2の出力と、前記直列ダイオード配置の前記2つのダイオードの接点との間に電気的結合を有し、
前記逓倍回路段のうちの少なくとも1つで、前記等化手段は、前記第3の出力と、前記更なる直列ダイオード配置の前記2つのダイオードの接点との間に結合される更なる時間依存電圧レベルシフタを有し、残りの前記逓倍回路段で、前記等化手段は、前記第3の出力と、前記更なる直列ダイオード配置の前記2つのダイオードの接点との間に電気的結合を有する、ことを特徴とする請求項1記載の電圧逓倍回路。
【請求項7】
夫々の逓倍回路段は、第3の入力と、最後の逓倍回路段を除く他の逓倍回路段の夫々の第3の入力へ結合される第3の出力とを有し、
前記チェーン接続の最初の逓倍回路段の第3の入力は、前記チェーン接続の第3の入力を構成し、
夫々の逓倍回路段は、前記第1の入力と前記第1の出力との間に、前記直列ダイオード配置と同じ導電方向でいずれも結合される2つのダイオードの更なる直列ダイオード配置を有し、
最初の逓倍回路段を除く夫々の逓倍回路段は、前記第2の入力と前記第2の出力との間に結合される第1のコンデンサと、前記第3の入力と前記第3の出力との間に結合される第2のコンデンサとを有し、
前記最初の逓倍回路段は、前記第2の入力と前記第2の出力との間の第1の電気的結合と、前記第3の入力と前記第3の出力との間の第2の電気的結合とを有し、
前記逓倍回路段のうちの少なくとも1つで、前記等化手段は、前記第2の出力と、前記直列ダイオード配置の前記2つのダイオードの接点との間に結合される時間依存電圧レベルシフタを有し、残りの前記逓倍回路段で、前記等化手段は、前記第2の出力と、前記直列ダイオード配置の前記2つのダイオードの接点との間に電気的結合を有し、
前記逓倍回路段のうちの少なくとも1つで、前記等化手段は、前記第3の出力と、前記更なる直列ダイオード配置の前記2つのダイオードの接点との間に結合される更なる時間依存電圧レベルシフタを有し、残りの前記逓倍回路段で、前記等化手段は、前記第3の出力と、前記更なる直列ダイオード配置の前記2つのダイオードの接点との間に電気的結合を有する、ことを特徴とする請求項1記載の電圧逓倍回路。
【請求項8】
夫々の逓倍回路段は、第3の入力と、最後の逓倍回路段を除く他の逓倍回路段の夫々の第3の入力へ結合される第3の出力とを有し、
最初の逓倍回路段の第3の入力は、前記チェーン接続の第3の入力を構成し、
夫々の逓倍回路段は、前記第1の入力と前記第1の出力との間に、前記直列ダイオード配置と同じ導電方向でいずれも結合される2つのダイオードの更なる直列ダイオード配置を有し、
夫々の逓倍回路段は、更に、
前記第2の入力と前記第2の出力との間に結合される第1のコンデンサと、
前記第3の入力と前記第3の出力との間に結合される第2のコンデンサと、
前記第2の入力と前記第2の出力との間に結合される第3及び第4のコンデンサの直列コンデンサ配置と、
前記第3の入力と前記第3の出力との間に結合される第5及び第6のコンデンサの更なる直列コンデンサ配置と、
前記第3及び第4のコンデンサの接点と、前記直列ダイオード配置の前記2つのダイオードの接点との間の電気的結合と、
前記第5及び第6のコンデンサの接点と、前記更なる直列ダイオード配置の前記2つのダイオードの接点との間の更なる電気的結合とを有する、ことを特徴とする請求項1記載の電圧逓倍回路。
【請求項9】
夫々の逓倍回路段は、第3の入力と、最後の逓倍回路段を除く他の逓倍回路段の夫々の第3の入力へ結合される第3の出力とを有し、
最初の逓倍回路段の第3の入力は、前記チェーン接続の第3の入力を構成し、
夫々の逓倍回路段は、前記第1の入力と前記第1の出力との間に、前記直列ダイオード配置と同じ導電方向でいずれも結合される2つのダイオードの更なる直列ダイオード配置を有し、
前記最初の逓倍回路段及び前記最後の逓倍回路段を除く夫々の逓倍回路段は、
前記第2の入力と前記第2の出力との間に結合される第1のコンデンサと、
前記第3の入力と前記第3の出力との間に結合される第2のコンデンサと、
前記第2の入力と前記第2の出力との間に結合される第3及び第4のコンデンサの直列コンデンサ配置と、
前記第3の入力と前記第3の出力との間に結合される第5及び第6のコンデンサの更なる直列コンデンサ配置と、
前記第3及び第4のコンデンサの接点と、前記直列ダイオード配置の前記2つのダイオードの接点との間の電気的結合と、
前記第5及び第6のコンデンサの接点と、前記更なる直列ダイオード配置の前記2つのダイオードの接点との間の更なる電気的結合とを有し、
前記最初の逓倍回路段は、
前記第2の出力と、前記直列ダイオード配置の前記2つのダイオードの接点との間に結合される第1のコンデンサと、
前記第3の出力と、前記更なるダイオード配置の前記2つのダイオードの接点との間に結合される第2のコンデンサとを有し、
前記最後の逓倍回路段は、
前記第2の入力、前記第2の出力、及び前記直列ダイオード配置の前記2つのダイオードの接点の間の電気的結合と、
前記第3の入力、前記第3の出力、及び前記更なるダイオード配置の前記2つのダイオードの接点の間の更なる電気的結合を有する、ことを特徴とする請求項1記載の電圧逓倍回路。
【請求項10】
少なくとも1つの時間依存電圧レベルシフタは電圧レベルシフトコンデンサを有する、ことを特徴とする請求項2又は3記載の電圧逓倍回路。
【請求項11】
夫々の逓倍回路段で、前記等化手段は、電圧レベルシフトコンデンサを有する時間依存電圧レベルシフタを有する、ことを特徴とする請求項2記載の電圧逓倍回路。
【請求項12】
最後の逓倍回路段を除く夫々の逓倍回路段で、前記等化手段は、電圧レベルシフトコンデンサを有する時間依存電圧レベルシフタを有する、ことを特徴とする請求項3記載の電圧逓倍回路。
【請求項13】
前記レベルシフトコンデンサの全てのキャパシタンス値は、前記ダイオードを流れる電流が、動作の間、時間の関数として等しい電流分布を有するように決定される、ことを特徴とする請求項11又は12記載の電圧逓倍回路。
【請求項14】
少なくとも1つの時間依存電圧レベルシフタは電圧レベルシフトコンデンサを有し、
電圧レベルシフトコンデンサを有する時間依存電圧レベルシフタに対応する少なくとも1つの更なる時間依存電圧レベルシフタは、更なる電圧レベルシフトコンデンサを有する、ことを特徴とする請求項6又は7記載の電圧逓倍回路。
【請求項15】
夫々の逓倍回路段で、前記等化手段は、電圧レベルシフトコンデンサを有する時間依存電圧レベルシフタと、更なる電圧レベルシフトコンデンサを有する更なる時間依存電圧レベルシフタとを有する、ことを特徴とする請求項6記載の電圧逓倍回路。
【請求項16】
最後の逓倍回路段を除く夫々の逓倍回路段で、前記等化手段は、電圧レベルシフトコンデンサを有する時間依存電圧レベルシフタと、更なる電圧レベルシフトコンデンサを有する更なる時間依存電圧レベルシフタとを有する、ことを特徴とする請求項7記載の電圧逓倍回路。
【請求項17】
前記レベルシフトコンデンサの全てのキャパシタンス値は、前記直列ダイオード配置の前記ダイオードを流れる電流が、動作の間、時間の関数として等しい電流分布を有するように決定され、
前記更なるレベルシフトコンデンサの全てのキャパシタンス値は、前記更なる直列ダイオード配置の前記ダイオードを流れる電流が、動作の間、時間の関数として等しい電流分布を有するように決定される、ことを特徴とする請求項15又は16記載の電圧逓倍回路。
【請求項18】
夫々の逓倍回路段で、前記第2、第3及び第4のコンデンサのキャパシタンス値は、導通するダイオードを流れる電流が、動作の間、時間の関数として等しい電流分布を有するように決定される、ことを特徴とする請求項4記載の電圧逓倍回路。
【請求項19】
前記最初の逓倍回路段における前記第2のコンデンサのキャパシタンス値と、前記最初の逓倍回路段及び前記最後の逓倍回路段を除く夫々の逓倍回路段における前記第2、第3及び第4のコンデンサのキャパシタンス値とは、前記ダイオードを流れる電流が、動作の間、時間の関数として等しい電流分布を有するように決定される、ことを特徴とする請求項5記載の電圧逓倍回路。
【請求項20】
夫々の逓倍回路段で、前記第1、第2及び第3のコンデンサのキャパシタンス値は、前記直列ダイオード配置の前記ダイオードを流れる電流が、動作の間、時間の関数として等しい電流分布を有するように決定される、ことを特徴とする請求項8記載の電圧逓倍回路。
【請求項21】
前記最初の逓倍回路段における前記第1のコンデンサのキャパシタンス値と、前記最初の逓倍回路段及び前記最後の逓倍回路段を除く夫々の逓倍回路段における前記第1、第2及び第3のコンデンサのキャパシタンス値とは、前記直列ダイオード配置の前記ダイオードを流れる電流が、動作の間、時間の関数として等しい電流分布を有するように決定される、ことを特徴とする請求項9記載の電圧逓倍回路。
【請求項22】
最後の逓倍回路段の第1の出力と、最初の逓倍回路段の第1の入力との間に結合される平滑コンデンサを更に有する、ことを特徴とする請求項1乃至21のうちいずれか一項記載の電圧逓倍回路。
【請求項23】
高電圧を発生させる装置を有する機器であって、
前記高電圧を発生させる装置は、請求項1乃至22のうちいずれか一項記載の電圧逓倍回路を有する、ことを特徴とする機器。
【請求項24】
X線を発生させるX線管であって、当該X線管のための高電圧を発生させる装置を有するX線管を有する機器であって、
前記高電圧を発生させる装置は、請求項1乃至22のうちいずれか一項記載の電圧逓倍回路を有する、ことを特徴とする機器。
【請求項25】
スクリーン上に画像を生成する陰極線管であって、当該陰極線管のための高電圧を発生させる装置を有する陰極線管を有する機器であって、
前記高電圧を発生させる装置は、請求項1乃至22のうちいずれか一項記載の電圧逓倍回路を有する、ことを特徴とする機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2009−505617(P2009−505617A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525682(P2008−525682)
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【国際出願番号】PCT/IB2006/052625
【国際公開番号】WO2007/017793
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【国際出願番号】PCT/IB2006/052625
【国際公開番号】WO2007/017793
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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