説明

改良されたケミカルメカニカル研磨パッドならびに同研磨パッドの製造法および使用法

【課題】最小限の摩耗性コンディショニングで再生することができ、パッド耐用寿命を延ばす研磨面を有するCMP研磨パッドを提供する。
【解決手段】稠密化状態にある研磨層を含み、研磨層が本来の形状30とプログラム形状との間で変形可能な形状記憶マトリクス材料36を含み、研磨層が、形状記憶マトリクス材料36が本来の形状30にあるときにはOTの厚さを示し、プログラム形状にあるときには稠密化厚さDTを示し、DT<OTの80%であり、形状記憶マトリクス材料の温度が(Tg−20℃)から(Tg+20℃)に上昇するとき、形状記憶マトリクスが貯蔵弾性率における≧70%の減少を示し、研磨層が基材を研磨するために適合された研磨面を有するものである研磨パッド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にケミカルメカニカルポリッシング用の研磨パッドの分野に関する。特に、本発明は、磁性、光学及び半導体基材のケミカルメカニカルポリッシングに有用な稠密化状態にある研磨層を有する形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドに関する。
【0002】
集積回路及び他の電子装置の製造においては、導体、半導体及び絶縁材料の多数の層を半導体ウェーハの表面に付着させ、半導体ウェーハの表面から除去する。導体、半導体及び絶縁材料の薄層は、多数の付着技術によって付着させることができる。最新のウェーハ加工で一般的な付着技術としては、とりわけ、スパッタリングとも知られる物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD)、プラズマ増強化学蒸着法(PECVD)及び電気化学的めっき法がある。一般的な除去技術としては、とりわけ、湿式及び乾式の等方性及び異方性エッチングがある。
【0003】
材料層が順次に付着され、除去されるにつれ、ウェーハの一番上の面が非平坦になる。後続の半導体加工(たとえばメタライゼーション)はウェーハが平坦面を有することを要するため、ウェーハは平坦化されなければならない。望ましくない表面トポグラフィーならびに表面欠陥、たとえば粗面、凝集した材料、結晶格子の損傷、スクラッチ及び汚染された層又は材料を除去するためにはプラナリゼーションが有用である。
【0004】
ケミカルメカニカルプラナリゼーション又はケミカルメカニカルポリッシング(CMP)とは、半導体ウェーハのような加工物を平坦化又は研磨するために使用される一般的な技術である。従来のCMPでは、ウェーハキャリヤ又は研磨ヘッドがキャリヤアセンブリに取り付けられる。その研磨ヘッドがウェーハを保持し、ウェーハを、CMP装置内でテーブル又はプラテンに取り付けられた研磨パッドの研磨層と接する位置に配する。キャリヤアセンブリがウェーハと研磨パッドとの間に制御可能な圧力を提供する。同時に、研磨媒(たとえばスラリー)が研磨パッド上に小出しされ、ウェーハと研磨層との間の隙間に引き込まれる。研磨を施行するためには、研磨パッド及びウェーハが一般に互いに対して回転する。研磨パッドがウェーハの下で回転すると、ウェーハは一般に環状の研磨トラック又は研磨領域を掃き出し、その中でウェーハの表面が研磨層と直接的に対面する。ウェーハ表面は、研磨層及び表面上の研磨媒の化学的かつ機械的作用によって研磨され、平坦化される。
【0005】
従来の研磨パッドの場合、安定した研磨性能のための一貫した研磨面を維持するためにパッド表面の「コンディショニング」又は「ドレッシング」が非常に重要である。時間とともに研磨パッドの研磨面はすり減って、研磨面のミクロテキスチャが均されてゆく―「グレージング」と呼ばれる現象。グレージングの起こりは、パッドと加工物との接触点における摩擦加熱及び剪断によるポリマー材料の塑性流である。さらには、CMP工程からの研磨くずが、表面の空隙及び研磨媒が研磨面を流れるときに通過するミクロチャネルを目詰まりさせるおそれがある。これが起こると、CMP工程の研磨速度が低下し、結果としてウェーハ間又はウェーハ内での不均一な研磨を生じさせることがある。コンディショニングは、CMP工程において所望の研磨速度及び均一さを維持するのに有用な新たなテキスチャを研磨面上に創製する。
【0006】
従来の研磨パッドコンディショニングは、一般に、コンディショニングディスクによって研磨面を機械的に摩耗させることによって達成される。コンディショニングディスクは、一般には埋め込まれたダイヤモンドポイントで構成された粗いコンディショニング面を有する。コンディショニングディスクは、CMP工程の断続的な中断の間、研磨が停止しているとき(「エクスサイチュー」)又はCMP工程が進行中であるとき(「インサイチュー」)、研磨面と接触させられる。一般に、コンディショニングディスクは、研磨パッドの回転軸に対して固定された位置で回転し、研磨パッドが回転するとき環状のコンディショニング領域を掃き出す。上記のようなコンディショニング工程は、パッド材料を摩耗させ、掘り起こし、研磨テキスチャを再生しながら、パッド表面に微視的な溝を刻み込む。
【0007】
従来のコンディショニングディスク上のダイヤモンドは使用とともに鈍化するため、コンディショニングディスクは、一定期間の使用ののち、交換されなければならない。また、耐用寿命中でも、コンディショニングディスクの有効性は絶えず変化する。
【0008】
従来のコンディショニング工程はCMPパッドの摩耗速度に大きく影響する。パッドの摩耗の約95%がダイヤモンドコンディショナの摩耗から生じ、加工物(たとえば半導体ウェーハ)との実際の接触から生じる摩耗は約5%しかないということが一般的である。
【0009】
CMP加工効率を改善するための一つの手法がSatoへの米国特許第5,736,463号に開示されている。Satoは、形状記憶材料で作られた構造を含む研磨パッドの使用を含むケミカルメカニカルポリッシングの方法であって、構造が、研磨に使用される前には前記研磨パッドに対して直立状態を有し、研磨に使用された後には疲労状態を有し、研磨を中止すると、形状記憶材料で作られた前記構造が前記直立状態に戻るものである方法を開示している。
【0010】
それにもかかわらず、最小限の摩耗性コンディショニングで再生することができ、ひいてはパッド耐用寿命を延ばす研磨面を有するCMP研磨パッドに対する必要性が絶えずある。
【0011】
本発明の一つの態様で、磁性基材、光学基材及び半導体基材の少なくとも一つから選択される基材を研磨するための形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドであって、稠密化状態にある研磨層を含み、研磨層が、本来の形状とプログラム形状との間で変形可能な形状記憶マトリックス材料を含み、研磨層が、形状記憶マトリックス材料が本来の形状にあるときには本来の厚さOTを示し、研磨層が、形状記憶マトリックス材料がプログラム形状にあるときには稠密化状態で稠密化厚さDTを示し、DT<OTの80%であり、形状記憶マトリックス材料の温度が(Tg−20℃)から(Tg+20℃)に上昇するとき、形状記憶マトリックス材料が貯蔵弾性率における≧70%の減少を示し、研磨層が、基材を研磨するために適合された研磨面を有するものである形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドが提供される。
【0012】
本発明のもう一つの態様で、形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドを製造する方法であって、本来の形状とプログラム形状との間で変形可能な形状記憶マトリックス材料を提供すること、本来の形状にある形状記憶マトリックス材料を含む、本来の厚さOTを示す本来の状態にある研磨層を調製すること、研磨層を外力に付すこと、形状記憶マトリックス材料をプログラム形状にセットして、稠密化厚さDTを示す稠密化状態にある研磨層を提供すること、外力を解除することを含み、DT<OTの80%であり、形状記憶マトリックス材料の温度が(Tg−20℃)から(Tg+20℃)に上昇するとき、形状記憶マトリックス材料が貯蔵弾性率における≧70%の減少を示し、研磨層が、磁性基材、光学基材及び半導体基材の少なくとも一つから選択される基材を研磨するために適合された研磨面を有するものである方法が提供される。
【0013】
本発明のもう一つの態様で、基材を研磨する方法であって、磁性基材、光学基材及び半導体基材の少なくとも一つから選択される基材を提供すること、稠密化状態にある研磨層を含み、研磨層が、本来の形状とプログラム形状との間で変形可能な形状記憶マトリックス材料を含み、本来の状態にある研磨層が、形状記憶マトリックス材料が本来の形状にあるときには本来の厚さOTを示し、研磨層が、形状記憶マトリックス材料がプログラム形状にあるときには稠密化厚さDTを示し、DT<OTの80%であり、形状記憶マトリックス材料の温度が(Tg−20℃)から(Tg+20℃)に上昇するとき、形状記憶マトリックス材料が貯蔵弾性率における≧70%の減少を示すものである形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドを提供すること、及び研磨層の研磨面と基材との間に動的接触を形成して基材の表面を研磨することを含む方法が提供される。
【0014】
本発明のもう一つの態様で、基材を研磨する方法であって、磁性基材、光学基材及び半導体基材の少なくとも一つから選択される基材を提供すること、稠密化状態にある研磨層を含み、研磨層が、本来の形状とプログラム形状との間で変形可能な形状記憶マトリックス材料を含み、本来の状態にある研磨層が、形状記憶マトリックス材料が本来の形状にあるときには本来の厚さOTを示し、研磨層が、形状記憶マトリックス材料がプログラム形状にあるときには稠密化状態で稠密化厚さDTを示し、DT<OTの80%であり、形状記憶マトリックス材料の温度が(Tg−20℃)から(Tg+20℃)に上昇するとき、形状記憶マトリックス材料が貯蔵弾性率における≧70%の減少を示すものある形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドを提供すること、研磨層の研磨面と基材との間に動的接触を形成して基材の表面を研磨すること、及び研磨層のうち、少なくとも研磨面に隣接する部分を活性化刺激に暴露することによって研磨層の研磨面をコンディショニングすることを含み、研磨層のうち、活性化刺激に暴露された研磨面に隣接する部分が稠密化状態から復元状態に転移するものである方法が提供される。
【0015】
詳細な説明
請求の範囲を含む本明細書で使用する「繊維形態」とは、位相ドメインが三次元形状を有し、その一つの次元が他の二つの次元よりもずっと大きい位相の形態をいう。
【0016】
請求の範囲を含む本明細書で使用する「研磨媒」とは、砥粒含有研磨溶液及び非砥粒含有溶液、たとえば無砥粒及び反応液研磨溶液を包含する。
【0017】
請求の範囲を含む本明細書で使用する「実質的弛緩」とは、花崗岩ベース比較器(たとえば、Chicago Dial Indicatorカタログ番号6066-10)を使用して計測して、研磨層の平均厚さの≧2%増を生じさせるのに十分な、研磨層中の形状記憶マトリックス材料の弛緩をいう。
【0018】
請求の範囲を含む本明細書で研磨面を参照して使用する「実質的に円形の断面」とは、中心軸から研磨面の外周までの断面の半径rがその断面に関して≦20%しか変化しないことをいう(図4を参照)。
【0019】
請求の範囲を含む本明細書で使用するガラス転移温度(「Tg」)は、貯蔵弾性率対温度曲線における変曲点をTg値として記録する動的機械分析(DMA)によって計測される。
【0020】
請求の範囲を含む本明細書で本発明の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドの研磨層を参照して使用する「本来の状態」とは、それを外力に付して可逆性変形を「固定」して研磨層を稠密化状態にセットする前の、作られたままの状態をいう。
【0021】
請求の範囲を含む本明細書で研磨面を参照して使用する「ミクロテキスチャ」とは、製造後の研磨面に固有の微視的バルクテキスチャをいう。研磨面の静的形態又は微視的バルクテキスチャに影響する要因のいくつかは、波、穴、しわ、うね、スリット、凹み、突起及び隙間をはじめとする性質及びテキスチャならびに個々の形体又はアーチファクトのサイズ、形状及び分布、頻度又は間隔である。ミクロテキスチャは一般に、概ねランダムであり、研磨層の製造方法に固有の要因の結果である。
【0022】
請求の範囲を含む本明細書で研磨面を参照して使用する「マクロテキスチャ」とは、研磨面のエンボス加工、スカイビング、穿孔及び/又は機械加工によって加えることができる大きめのテキスチャ付きアーチファクトをいう。
【0023】
請求の範囲を含む本明細書で使用する「有溝周割合」又は「CF」は以下の式によって規定される。
CF={(所与の半径Rにおける、任意の溝を横断して位置する円周の部分)/(所与の半径Rにおける全円周)}
CFが所与の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドの研磨面の半径の関数として一定であるならば、所与の半径で溝を有する(又は有しない)研磨面の割合の部分もまた半径の関数として一定になることに注目するされたい。
【0024】
請求の範囲を含む本明細書で使用する「形状記憶マトリックス材料」とは、形状記憶効果を示す能力を有する材料をいう。すなわち、以下の固有性を示す材料又は材料の組み合わせである。(1)外力に暴露されたとき少なくとも一つの空間次元で変形することができる。(2)外力を解除したのち少なくとも一つの空間次元における変形の程度を固定し、維持することができる。(3)活性化刺激に付されたとき少なくとも一つの空間次元で復元を示すことができる。形状記憶マトリックス材料は、その環境の変化に応じて所定のやり方で反応するように設計され、製造されている高性能材料の1種である。形状記憶マトリックス材料は、本来の形状から変形させ、一時的(プログラム)形状に固定することができ、活性化刺激に暴露されると、反応して本来の形状を近似する復元形状に復元することができる。
【0025】
形状記憶効果は、形状記憶マトリックス材料において「プログラム形状」をプログラミングすること及び、その後、形状記憶マトリックス材料が活性化刺激に暴露されたとき、形状記憶マトリックス材料をして「復元形状」(本来の形状を近似する)に復元させることを含む。形状記憶マトリックス材料は、従来の方法によって本来の形状に加工される。その後、外力への暴露によって変形させられ、所望のプログラム形状が固定される。この後者の工程を本明細書でプログラミングと呼ぶ。
【0026】
本発明の形状記憶マトリックス材料の「貯蔵弾性率」とは、形状記憶マトリックス材料中に貯蔵された弾性エネルギーの測度である。貯蔵弾性率は、加えられるひずみに対する応力(そのひずみと同相)の比を表し、TA Q800動的機械分析装置により、シングルカンチレバークランプセットアップ及び計器の「マルチ周波数ひずみ」試験モードを使用して計測される。
【0027】
本発明のいくつかの実施態様では、磁性基材、光学基材及び半導体基材の少なくとも一つから選択される基材を研磨するための形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドは、稠密化状態にある研磨層を含み、研磨層が、本来の形状とプログラム形状との間で変形可能な形状記憶マトリックス材料を含み、研磨層が、形状記憶マトリックス材料が本来の形状にあるときには本来の厚さOTを示し、研磨層が、形状記憶マトリックス材料がプログラム形状にあるときには超密化状態で稠密化厚さDTを示し、DT<OTの80%であり、形状記憶マトリックス材料の温度が(Tg−20℃)から(Tg+20℃)に上昇するとき、形状記憶マトリックス材料が貯蔵弾性率における≧70%の減少を示し、研磨層が、基材を研磨するために適合された研磨面を有するものである。これらの実施態様のいくつかの態様では、形状記憶マトリックス材料は、形状記憶マトリックス材料の温度が(Tg−20℃)から(Tg+20℃)、(Tg−10℃)から(Tg+10℃)又は(Tg−5℃)から(Tg+5℃)に上昇するとき、貯蔵弾性率における≧75%の減少、≧80%の減少、≧85%の減少又は≧90%の減少を示す。これらの実施態様のいくつかの態様では、貯蔵弾性率における減少は、≧800MPa、≧900MPa、≧1,000MPa、≧800MPaかつ≦10,000MPa、≧800MPaかつ≦5,000MPa又は≧800MPaかつ≦2,500MPaの大きさを有する。これらの実施態様のいくつかの態様では、形状記憶マトリックス材料は、形状記憶マトリックス材料の温度が(Tg−10℃)から(Tg+10℃)に上昇するとき、貯蔵弾性率における≧90%の減少を示し、その際、貯蔵弾性率における減少は≧800MPaの大きさを有する。
【0028】
本発明のいくつかの実施態様では、形状記憶マトリックス材料は、一定の温度の範囲で貯蔵弾性率の転移を示すように選択される。概して、貯蔵弾性率の転移の大きさが高ければ高いほど、転移が起こる温度の範囲が狭ければ狭いほど、形状記憶マトリックス材料の形状記憶効果は良好である。
【0029】
本発明のいくつかの実施態様では、形状記憶マトリックス材料は少なくとも一つのポリマーを含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、形状記憶マトリックス材料は、少なくとも一つの硬質セグメント及び少なくとも一つの軟質セグメントを含むセグメント化ブロックコポリマーから選択される少なくとも一つのポリマーを含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、形状記憶マトリックス材料は、ポリエステルベースの熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテルベースのポリウレタン、ポリエチレンオキシド、ポリ(エーテルエステル)ブロックコポリマー、ポリアミド、ポリ(アミドエステル)、ポリ(エーテルアミド)コポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアスパラギン酸、マレイン酸無水物メチルビニルエーテルコポリマー、ポリアクリル酸及びポリアクリル酸エステルのポリビニルメチルエーテルコポリマー、スチレン系ポリマー、エポキシドベースのポリマー、ポリシアヌレートならびにそれらの組み合わせ(たとえばコポリマー及びブレンド)から選択される少なくとも一つのポリマーを含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、形状記憶マトリックス材料は、少なくとも一つの硬質セグメント及び少なくとも一つの軟質セグメントを含むセグメント化ブロックコポリマーを含み、その場合、軟質セグメント、硬質セグメント又はそれらの両方が、「刺激応答性」である、すなわち、活性化刺激に暴露されたとき所望の量の形状復元を可能にする官能基又は受容体部位を含有する。
【0030】
本発明のいくつかの実施態様では、形状記憶マトリックス材料はセグメント化ブロックコポリマーを含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、セグメント化ブロックコポリマーは、ポリウレタンエラストマー、ポリエーテルエラストマー、ポリ(エーテルアミド)エラストマー、ポリエーテルポリエステルエラストマー、ポリアミドベースのエラストマー、熱可塑性ポリウレタン、ポリ(エーテルアミド)ブロックコポリマー、熱可塑性ゴム(たとえば非架橋ポリオレフィン)、スチレン−ブタジエンコポリマー、シリコンゴム、合成ゴム(たとえばニトリルゴム及びブチルゴム)、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、スチレン−イソプレンコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレンコポリマー及びそれらの組み合わせから選択される。これらの実施態様のいくつかの態様では、形状記憶マトリックス材料は非弾性ポリマーをさらに含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、非弾性ポリマーは、ポリエチレンオキシド、ポリ乳酸のコポリマー及びそれらの組み合わせから選択される。
【0031】
本発明のいくつかの実施態様では、形状記憶マトリックス材料はポリウレタンを含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、ポリウレタンは、ポリエステルベースの芳香族ポリウレタン、ポリエステルベースの脂肪族ポリウレタン、ポリエーテルベースの脂肪族及び芳香族ポリウレタンならびにそれらの組み合わせから選択される。
【0032】
本発明のいくつかの実施態様では、形状記憶マトリックス材料は、ポリエーテルベースのトルエンジイソシアネート終端化液体ウレタンプレポリマー及び4,4′−メチレンビス(2−クロロアニリン)を含む混合物の反応生成物を含む。
【0033】
本発明のいくつかの実施態様では、形状記憶マトリックス材料は、グリセロールプロポキシレート、ポリカルボジイミド修飾ジフェニルメタンジイソシアネートならびにポリテトラヒドロフラン及びポリカプロラクトンの少なくとも一つを含む混合物の反応生成物を含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、形状記憶マトリックス材料は、グリセロールプロポキシレート、ポリカルボジイミド修飾ジフェニルメタンジイソシアネート及びポリテトラヒドロフランを含む混合物の反応生成物を含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、形状記憶マトリックス材料は、グリセロールプロポキシレート、ポリカルボジイミド修飾ジフェニルメタンジイソシアネート及びポリカプロラクトンを含む混合物の反応生成物を含む。
【0034】
本発明のいくつかの実施態様では、形状記憶マトリックス材料は、≧45℃かつ≦80℃のTgを示すように選択される。これらの実施態様のいくつかの態様では、形状記憶マトリックス材料は、≧45℃かつ≦75℃、≧50℃かつ≦75℃、≧55℃かつ≦75℃、≧55℃かつ≦70℃又は≧55℃かつ≦65℃のTgを示すように選択される
【0035】
本発明のいくつかの実施態様では、研磨層は複数の微小要素をさらに含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、複数の微小要素は研磨層中に均一に分散している。これらの実施態様のいくつかの態様では、複数の微小要素は、閉じ込められた気泡、中空コアポリマー材料、液体充填中空コアポリマー材料、水溶性材料及び不溶性相材料(たとえば鉱油)から選択される。これらの実施態様のいくつかの態様では、複数の微小要素は、研磨層全体に均一に分散した中空コアポリマー材料を含む。
【0036】
本発明のいくつかの実施態様では、研磨層は、ガス充填中空コアポリマー粒子を含む複数の微小要素をさらに含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、中空コアポリマー粒子の少なくとも一部は一般に可撓性である。
【0037】
本発明のいくつかの実施態様では、研磨層は、流体充填中空コアポリマー粒子を含む複数の微小要素をさらに含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、微小要素は、研磨作業中に研磨パッドが使用されるときの摩耗によって微小要素が破裂したとき小出しされる研磨流体で充填されている。
【0038】
本発明のいくつかの実施態様では、研磨層は、研磨作業中に存在する水によって溶かされる水溶性材料を含む複数の微小要素をさらに含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、複数の微小要素は、水溶性無機塩、水溶性糖及び水溶性粒子から選択される。これらの実施態様のいくつかの態様では、複数の微小要素は、ポリビニルアルコール、ペクチン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシエーテルアクリライト、デンプン、マレイン酸コポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリウレタン、シクロデキストリン及びこれらの組み合わせから選択される。これらの実施態様のいくつかの態様では、複数の微小要素は10〜100μmの重量平均粒度を有する。これらの実施態様のいくつかの態様では、複数の微小要素は15〜90μmの重量平均粒度を有する。これらの実施態様のいくつかの態様では、複数の微小要素は15〜50μmの重量平均粒度を有する。これらの実施態様のいくつかの態様では、複数の微小要素を、たとえば分枝化、ブロッキング及び架橋によって化学的に修飾して、その溶解度、膨潤度及び他の固有性を変化させることもできる。これらの実施態様のいくつかの態様では、複数の微小要素は、ポリアクリロニトリルとポリ塩化ビニリデンとの中空コアコポリマー(たとえば、スウェーデンSundsvallのAkzo NobelのExpancel(商標))を含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、複数の微小要素はシクロデキストリンを含む。
【0039】
本発明のいくつかの実施態様では、研磨層は、格子構造を形成する形状記憶マトリックス材料を含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層は、本来の状態にあるとき、形状記憶マトリックス材料を≦70容量%含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層は少なくとも二つの格子構造の反復層を含む。
【0040】
本発明のいくつかの実施態様では、研磨層中の形状記憶マトリックス材料は網状ネットワークを形成する。これらの実施態様のいくつかの態様では、網状ネットワークはらせん配列形態を示す。これらの実施態様のいくつかの態様では、網状ネットワークは繊維形態を示す。これらの実施態様のいくつかの態様では、網状ネットワークは構造部材の相互接続ネットワークを含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、構造部材の相互接続ネットワークは、個々の要素が完全な水平から完全な垂直までのすべての角度で配置されている開放相互接続ネットワークを包含する。これらの実施態様のいくつかの態様では、相互接続ネットワークは、それによって形成される空間に対して明確に反復するサイズ又は形状が存在しない細長い相互接続要素の完全にランダムなアレイを含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層は、空間に対して明確に反復するサイズ又は形状が存在しない又は多くの要素が高度にカーブ、枝分かれ又は絡み合っている細長い相互接続要素の完全にランダムなアレイに形成された形状記憶マトリックス材料を含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、相互接続ネットワークは、橋のトラス、高分子の他着モデル及びヒトの相互接続神経ネットワークに似ている。
【0041】
本発明のいくつかの実施態様では、研磨層は、本来の状態にあるとき、0.2〜80容量%の気孔及び/又は微小要素の組み合わせ濃度を有する。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層は、本来の状態にあるとき、0.3〜80容量%の気孔及び/又は微小要素の組み合わせ濃度を有する。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層は、本来の状態にあるとき、0.55〜70容量%の気孔及び/又は微小要素の組み合わせ濃度を有する。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層は、本来の状態にあるとき、0.6〜60容量%の気孔及び/又は微小要素の組み合わせ濃度を有する。
【0042】
本発明のいくつかの実施態様では、磁性基材、光学基材及び半導体基材の少なくとも一つから選択される基材を研磨するための形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドは、稠密化状態にある研磨層を含み、研磨層が、本来の形状(すなわち、作られたままの形状)とプログラム形状との間で変形可能な形状記憶マトリックス材料を含み、研磨層が、形状記憶マトリックス材料が本来の形状にあるときには本来の厚さOTを示し、研磨層が、形状記憶マトリックス材料がプログラム形状にあるときには稠密化状態で稠密化厚さDTを示し、DT≦OTの80%であり、研磨層が、基材を研磨するために適合された研磨面を有するものである。これらの実施態様のいくつかの態様では、稠密化厚さDT≦本来の厚さOTの70%である。これらの実施態様のいくつかの態様では、稠密化厚さDTは本来の厚さOTの70〜40%である。これらの実施態様のいくつかの態様では、基材は半導体基材である。これらの実施態様のいくつかの態様では、基材は半導体ウェーハである。
【0043】
本発明のいくつかの実施態様では、研磨層は20〜150ミルの稠密化厚さを有する。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層は30〜125ミルの稠密化厚さを有する。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層は40〜120ミルの稠密化厚さを有する。
【0044】
本発明のいくつかの実施態様では、形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドは、研磨機のプラテンと対面するように適合されている。これらの実施態様のいくつかの態様では、形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドは、プラテンに固着されるように適合されている。これらの実施態様のいくつかの態様では、形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドは、感圧接着剤又は真空の少なくとも一つを使用してプラテンに固着されるように適合されている。
【0045】
本発明のいくつかの実施態様では、形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドは、中心軸を有し、その中心軸を中心に回転するように適合されている(図4を参照)。これらの実施態様のいくつかの態様では、形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドの研磨層210は、中心軸212に対して実質的に垂直な面にある。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層210は、中心軸212に対して80〜100°の角度γにある面で回転するように適合されている。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層210は、中心軸212に対して85〜95°の角度γにある面で回転するように適合されている。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層210は、中心軸212に対して89〜91°の角度γにある面で回転するように適合されている。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層210は、中心軸212に対して垂直な実質的に円形の断面を有する研磨面214を有する。これらの実施態様のいくつかの態様では、中心軸212に対して垂直な研磨面214の断面の半径rは、その断面に関して≦20%変化する。これらの実施態様のいくつかの態様では、中心軸212に対して垂直な研磨面214の断面の半径rは、その断面に関して≦10%変化する。
【0046】
本発明のいくつかの実施態様では、形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドは、ベース層と対面する研磨層を含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層は、接着剤を使用してベース層に取り付けられる。これらの実施態様のいくつかの態様では、接着剤は、感圧接着剤、ホットメルト接着剤、コンタクト接着剤及びそれらの組み合わせから選択される。これらの実施態様のいくつかの態様では、接着剤はホットメルト接着剤である。これらの実施態様のいくつかの態様では、接着剤はコンタクト接着剤である。これらの実施態様のいくつかの態様では、接着剤は感圧接着剤である。
【0047】
本発明のいくつかの実施態様では、形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドは、研磨層、ベース層及びベース層と研磨層との間に挿入された少なくとも一つのさらなる層を含む。
【0048】
本発明のいくつかの実施態様では、形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドは、基材の研磨を促進するためにマクロテキスチャ及びミクロテキスチャの少なくとも一つを示す研磨面を有する。
【0049】
本発明のいくつかの実施態様では、形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドは、マクロテキスチャを示す研磨面を有する。これらの実施態様のいくつかの態様では、マクロテキスチャは、ハイドロプレーニングの少なくとも一つを緩和し、研磨媒の流れに影響し、研磨層の剛性を変化させ、エッジ効果を減らし、研磨面と基材との間の区域からの研磨くずの移送を促進するように設計されている。
【0050】
本発明のいくつかの実施態様では、形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドは、穿孔及び溝の少なくとも一つから選択されるマクロテキスチャを示す研磨面を有する。これらの実施態様のいくつかの態様では、穿孔は、研磨面から研磨層の実際の厚さの一部又は全部にわたって延びることができる。これらの実施態様のいくつかの態様では、溝は、研磨中にパッドが回転すると、少なくとも一つの溝が基材の上を掃くように研磨面に配設されている。これらの実施態様のいくつかの態様では、溝は、カーブした溝、直線状の溝及びそれらの組み合わせから選択される。
【0051】
本発明のいくつかの実施態様では、研磨層は、溝パターンを含むマクロテキスチャを有する。これらの実施態様のいくつかの態様では、溝パターンは少なくとも一つの溝を含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、溝パターンは複数の溝を含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、少なくとも一つの溝は、カーブした溝、まっすぐな溝及びそれらの組み合わせから選択される。これらの実施態様のいくつかの態様では、溝パターンは、たとえば同心的溝(円形でもらせん形でもよい)、カーブした溝、クロスハッチ溝(たとえばパッド表面上にX−Yグリッドとして配設)、他の規則的設計(たとえば六角形、三角形)、タイヤトレッド型パターン、不規則な設計(たとえばフラクタルパターン)及びそれらの組み合わせを含む溝設計から選択される。これらの実施態様のいくつかの態様では、溝パターンは、ランダム、同心的、らせん形、クロスハッチ、X−Yグリッド、六角形、三角形、フラクタル及びそれらの組み合わせから選択される。これらの実施態様のいくつかの態様では、溝断面形状は、まっすぐな側壁を有する長方形から選択されるか、又は、溝の断面は「V」字形、「U」字形、三角形、鋸歯状及びそれらの組み合わせであってもよい。これらの実施態様のいくつかの態様では、溝パターンは、研磨面上で変化する溝設計である。これらの実施態様のいくつかの態様では、溝設計は、具体的な用途に合わせて工作される。これらの実施態様のいくつかの態様では、特定の設計における溝寸法をパッド表面上で変化させて、異なる溝密度の領域を形成することもできる。
【0052】
本発明のいくつかの実施態様では、形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドは、CFが、研磨面の外半径ROから研磨面の中心にある原点Oまでの大部分の距離を延びる区域における研磨パッド半径Rの関数としてその平均値の25%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内である、少なくとも一つの溝を含む溝パターンを含むマクロテキスチャを有する。これらの実施態様のいくつかの態様では、CFは、基礎円半径RBから外半径ROまで延びる区域における研磨パッド半径Rの関数としてその平均値の25%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内である(図10を参照)。
【0053】
本発明のいくつかの実施態様では、形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドは、少なくとも一つの溝を含むマクロテキスチャを有する。これらの実施態様のいくつかの態様では、少なくとも一つの溝は≧20ミルの深さを有する。これらの実施態様のいくつかの態様では、少なくとも一つの溝は20〜100ミルの深さを有する。これらの実施態様のいくつかの態様では、少なくとも一つの溝は20〜60ミルの深さを有する。これらの実施態様のいくつかの態様では、少なくとも一つの溝は20〜50ミルの深さを有する。
【0054】
本発明のいくつかの実施態様では、形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドは、≧15ミルの深さ、≧10ミルの幅及び≧50ミルのピッチを有する少なくとも二つの溝を含む溝パターンを含むマクロテキスチャを有する。これらの実施態様のいくつかの態様では、溝パターンは、≧20ミルの深さ、≧15ミルの幅及び≧70ミルのピッチを有する少なくとも二つの溝を含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、溝パターンは、≧20ミルの深さ、≧15ミルの幅及び≧90ミルのピッチを有する少なくとも二つの溝を含む。
【0055】
本発明のいくつかの実施態様では、形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドは、ミクロテキスチャを示す研磨面を有する。
【0056】
本発明のいくつかの実施態様では、形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドを製造する方法は、本来の形状とプログラム形状との間で変形可能な形状記憶マトリックス材料を提供すること、本来の形状にある形状記憶マトリックス材料を含む、本来の厚さOTを示す本来の状態にある研磨層を調製すること、研磨層を外力に付すこと、形状記憶マトリックス材料をプログラム形状にセットして、稠密化厚さDTを示す稠密化状態にある研磨層を提供すること、外力を解除することを含み、DT≦OTの80%であり、形状記憶マトリックス材料の温度がTg−20℃からTg+20℃に上昇するとき、形状記憶マトリックス材料が貯蔵弾性率における≧70%の減少を示し、研磨層が、磁性基材、光学基材及び半導体基材の少なくとも一つから選択される基材を研磨するために適合された研磨面を有するものである。これらの実施態様のいくつかの態様では、稠密化厚さDT≦本来の厚さOTの70%である。これらの実施態様のいくつかの態様では、稠密化厚さDTは本来の厚さOTの70〜40%である。これらの実施態様のいくつかの態様では、形状記憶マトリックス材料は、形状記憶マトリックス材料の温度が(Tg−20℃)から(Tg+20℃)、(Tg−10℃)から(Tg+10℃)又は(Tg−5℃)から(Tg+5℃)に上昇するとき、貯蔵弾性率における≧75%の減少、≧80%の減少、≧85%の減少又は≧90%の減少を示す。これらの実施態様のいくつかの態様では、貯蔵弾性率における減少は、≧800MPa、≧900MPa、≧1,000MPa、≧800MPaかつ≦10,000MPa、≧800MPaかつ≦5,000MPa又は≧800MPaかつ≦2,500MPaの大きさを有する。これらの実施態様のいくつかの態様では、形状記憶マトリックス材料は、形状記憶マトリックス材料の温度が(Tg−10℃)から(Tg+10℃)に上昇するとき、貯蔵弾性率における≧90%の減少を示し、その際、貯蔵弾性率における減少は≧800MPaの大きさを有する。これらの実施態様のいくつかの態様では、基材は半導体基材である。これらの実施態様のいくつかの態様では、基材は半導体ウェーハである。
【0057】
本発明のいくつかの実施態様では、形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドを製造する方法は、研磨層をベース層と対面させることをさらに含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層は、接着剤を使用してベース層と対面させる。これらの実施態様のいくつかの態様では、接着剤は、感圧接着剤、コンタクト接着剤、ホットメルト接着剤及びそれらの組み合わせから選択される。
【0058】
本発明のいくつかの実施態様では、形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドを製造する方法は、本来の形状とプログラム形状との間で変形可能な形状記憶マトリックス材料を提供すること、本来の形状にある形状記憶マトリックス材料を含む、本来の厚さOTを示す本来の状態にある研磨層を調製すること、研磨層を≧(Tg+10℃)の温度まで加熱すること、研磨層を、研磨層を軸方向に圧縮する軸方向力である外力に付すこと、形状記憶マトリックス材料をプログラム形状にセットして、稠密化厚さDTを示す稠密化状態にある研磨層を提供すること、軸方向力を維持しながら研磨層を<(Tg−10℃)の温度まで冷却して、研磨層を稠密化状態にセットすること、及び外力を解除することを含み、Tgは形状記憶マトリックス材料のガラス転移温度であり、DT≦OTの80%であり、研磨層が、磁性基材、光学基材及び半導体基材の少なくとも一つから選択される基材を研磨するために適合された研磨面を有するものである。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層は、≧(Tg+10℃)かつ形状記憶マトリックス材料の分解温度未満の温度まで加熱される。これらの実施態様のいくつかの態様では、基材は半導体基材である。これらの実施態様のいくつかの態様では、基材は半導体ウェーハである。これらの実施態様のいくつかの態様では、方法は、研磨層をベース層と対面させることをさらに含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層を加熱し、厚さ方向に圧縮して、形状記憶マトリックス材料のプログラミングを容易にし、研磨層を本来の状態から稠密化状態に転移させる。
【0059】
本発明のいくつかの実施態様では、形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドを製造する方法は、マクロテキスチャを研磨層に組み込むことをさらに含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、マクロテキスチャは少なくとも一つの溝を含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、マクロテキスチャは多数の穿孔を含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、マクロテキスチャは、少なくとも一つの溝と多数の穿孔との組み合わせを含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、マクロテキスチャは、研磨層が稠密化状態にあるとき研磨層に組み込まれる。これらの実施態様のいくつかの態様では、マクロテキスチャは、研磨層が本来の状態にあるとき研磨層に組み込まれる。これらの実施態様のいくつかの態様では、マクロテキスチャは、研磨層が本来の状態にあるとき研磨層に組み込まれ、マクロテキスチャのいくらかは、研磨層が稠密化状態にあるとき研磨層に組み込まれる。
【0060】
本発明のいくつかの実施態様では、マクロテキスチャは、研磨層が稠密化状態にあるとき研磨層に組み込まれる。これらの実施態様のいくつかの態様では、マクロテキスチャは、切削ビットを使用して研磨層に組み込まれる。これらの実施態様のいくつかの態様では、マクロテキスチャ組み込み加工を考慮して、切削ビット又は研磨層又は両方を冷却して、プログラム形状から復元形状に転移する形状記憶マトリックス材料の量を減らすことが望ましいかもしれない。これらの実施態様のいくつかの態様では、マクロテキスチャを研磨層に組み込む方法は、切削ビットを冷却すること、研磨層のうち切削ビットに隣接する領域を冷却すること又はそれらの組み合わせを含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、冷却は、種々の技術によって、たとえば、圧縮ガスを切削ビットに吹き付けて対流を促進すること、冷気を切削ビットに吹き付けること、切削ビットに水を噴霧すること又は冷却ガスを切削ビットに吹き付けることによって達成することができる。これらの実施態様のいくつかの態様では、冷却は、冷却、液化又は極低温ガス(たとえばアルゴン、二酸化炭素、窒素)を切削ビット、研磨パッドのうち切削ビットに隣接する領域又はそれらの組み合わせに直接吹き付けることによって達成される。これらの実施態様のいくつかの態様では、冷却、液化又は極低温ガスは、専用のノズルを通して噴霧され、そのノズルの中で急速に膨張し、冷却し、固体結晶又は液体を形成して熱伝達を促進する。これらの実施態様のいくつかの態様では、そのような冷却技術の使用は、物質(たとえば気体、液体又は結晶)の流れを形成させること及びその流れを指向させて切削ビット、研磨層のうち切削ビットに隣接する領域又は両方と遭遇させることを含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、切削ビットに隣接する領域で研磨パッドに向けられる物質の流れは、マクロテキスチャ組み込み工程で形成された破片の除去を支援するさらなる効果を有する。そのような破片の除去は、破片が融解、溶融又は溶接によって研磨層に再付着する危険性を減らすという点で有益であることができる。マクロテキスチャ組み込み工程での破片除去が研磨層に再付着する破片の数を減らすという程度まで、研磨層を使用する後続の研磨作業における欠陥を回避することができる。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層全体が極低温に冷却される。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層全体及び切削ビットを作動させるために使用される機械加工器具が極低温に冷却される。
【0061】
本発明のいくつかの実施態様では、形状記憶マトリックス材料をプログラム形状にセットするために研磨層に加えられる外力は、≧150psiの公称圧力を研磨層に加える公称軸方向力である。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層に加えられる公称圧力は≧300psiである。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層に加えられる公称圧力は150〜10,000psiである。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層に加えられる公称圧力は300〜5,000psiである。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層に加えられる公称圧力は300〜2,500psiである。
【0062】
本発明のいくつかの実施態様では、形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドを製造する方法は、本来の形状とプログラム形状との間で変形可能な形状記憶マトリックス材料を提供すること、複数の微小要素を提供すること、複数の微小要素を形状記憶マトリックス材料中に分散させること、本来の形状にある形状記憶マトリックス材料を含む、本来の厚さOTを示す本来の状態にある研磨層を調製すること、研磨層を、形状記憶マトリックス材料のガラス転移温度Tgよりも高い温度まで加熱すること、研磨層の温度を形状記憶マトリックス材料のTgよりも高い温度に維持しながら軸方向力を加えて研磨層を稠密化厚さDTまで軸方向に圧縮すること、軸方向力を維持しながら研磨層を形状記憶マトリックス材料のTg未満の温度まで冷却することによって形状記憶マトリックス材料をプログラム形状でセットすること、及び軸方向力を解除することを含み、DT≦OTの80%であり、形状記憶マトリックス材料の温度が(Tg−20℃)から(Tg+20℃)に上昇するとき、形状記憶マトリックス材料が貯蔵弾性率における≧70%の減少を示し、研磨層が、磁性基材、光学基材及び半導体基材の少なくとも一つから選択される基材を研磨するために適合された研磨面を有するものである。これらの実施態様のいくつかの態様では、形状記憶マトリックス材料は、形状記憶マトリックス材料の温度が(Tg−20℃)から(Tg+20℃)、(Tg−10℃)から(Tg+10℃)又は(Tg−5℃)から(Tg+5℃)に上昇するとき、貯蔵弾性率における≧75%の減少、≧80%の減少、≧85%の減少又は≧90%の減少を示す。これらの実施態様のいくつかの態様では、貯蔵弾性率における減少は、≧800MPa、≧900MPa、≧1,000MPa、≧800MPaかつ≦10,000MPa、≧800MPaかつ≦5,000MPa又は≧800MPaかつ≦2,500MPaの大きさを有する。これらの実施態様のいくつかの態様では、形状記憶マトリックス材料は、形状記憶マトリックス材料の温度が(Tg−10℃)から(Tg+10℃)に上昇するとき、貯蔵弾性率における≧90%の減少を示し、その際、貯蔵弾性率における減少は≧800MPaの大きさを有する。これらの実施態様のいくつかの態様では、方法は、研磨層を研磨機のプラテンと対面させることをさらに含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、方法は、感圧接着剤及び真空の少なくとも一つを使用して研磨層をプラテンと対面させることをさらに含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、方法は、研磨層をベース層と対面させることをさらに含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、方法は、接着剤を使用して研磨層をベース層に付着させること及び感圧接着剤及び/又は真空を使用してベース層を研磨機のプラテンと対面させることをさらに含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、稠密化厚さDT≦本来の厚さOTの70%である。これらの実施態様のいくつかの態様では、稠密化厚さDTは本来の厚さの70〜40%である。これらの実施態様のいくつかの態様では、基材は半導体基材である。これらの実施態様のいくつかの態様では、基材は半導体ウェーハである。
【0063】
本発明のいくつかの実施態様では、その本来の形状にある形状記憶マトリックス材料を含む研磨層が公知の手段によって調製されて、本来の厚さOTを示す本来の状態にある研磨層を提供する。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層は、注入成形法、射出成形法(反応射出成形法を含む)、押し出し成形法、ウェブコーティング法、光重合法、焼結法、プリント法(インクジェットプリント法及びスクリーンプリント法を含む)、スピンコーティング法、ウィービング法、スカイビング法及びそれらの組み合わせから選択される方法によって製造される。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層は、注入成形法とスカイビング法との組み合わせによって調製される。
【0064】
本発明のいくつかの実施態様では、研磨層は、形状記憶マトリックス材料のガラス転移温度Tgの周辺又はそれよりも高い温度で力を加えて研磨層を圧縮し、研磨層をTg未満の温度まで冷却して稠密化厚さDTで固定し、研磨層を圧縮するために加えた力を解除することにより、本来の厚さOTを有する本来の状態から稠密化厚さDTを有する稠密化状態に転換される。
【0065】
プログラム形状にある研磨層中の形状記憶マトリックス材料は、活性化刺激に付されると、復元形状に転移することによって反応する。本発明のいくつかの実施態様では、形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドは、基材を研磨するときの使用中に定期的にコンディショニングされて研磨面を再生する。これらの実施態様のいくつかの態様では、コンディショニング工程は、活性化刺激を研磨層の少なくとも一部に適用することを含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、活性化刺激は、熱、光、電場、磁場、超音波、水及びそれらの組み合わせへの暴露から選択される。活性化刺激に暴露されると、活性化された研磨層の部分が厚さを復元厚さRTまで増す。理想的には、稠密化厚さ全体が活性化刺激に暴露されたときの研磨層の全復元厚さTRT(以下、「最大全復元厚さMTRT」)は研磨層の本来の厚さを近似するであろう。しかし、実際には、最大全復元厚さが本来の厚さに等しいということは重要ではない。これらの実施態様のいくつかの態様では、最大全復元厚さMTRT≧本来の厚さOTの80%である。これらの実施態様のいくつかの態様では、最大全復元厚さMTRT≧本来の厚さOTの85%である。これらの実施態様のいくつかの態様では、最大全復元厚さMTRT≧本来の厚さOTの90%である。
【0066】
本発明のいくつかの実施態様では、形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドの研磨層は、研磨層のうち、少なくとも研磨面に隣接する部分を形状記憶マトリックス材料のガラス転移温度Tg又はそれよりも高い温度まで加熱することにより、使用中に定期的にコンディショニングされる。この加熱の結果として、研磨層中の形状記憶マトリックス材料のうち、研磨面に隣接するいくらかが復元形状に転移して、研磨面を変更し、再コンディショニングする。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨面はまた、従来のコンディショニング加工にも付される。それにもかかわらず、研磨層の形状記憶マトリックス材料のうち、少なくとも研磨面に隣接する部分による、復元形状に転移する応答は、類似した研磨特性を有するいくつかの基材の研磨を可能にし、従来のコンディショニング加工を使用してパッドを定期的にドレッシング又はコンディショニングする必要性を減らす。従来のコンディショニングにおけるこの減少が、形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドの耐用寿命を延ばすのに役立ち、それらの使用コストを下げる。
【0067】
本発明のいくつかの実施態様では、パッドの穿孔、導電性ライニング付き溝の導入又は導体、たとえば導電性繊維、導電性ネットワーク、金属グリッドもしくは金属ワイヤの組み込みが形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドをeCMP(「エレクトロケミカルメカニカルプラナリゼーション」)研磨パッドに変えることができる。
【0068】
本発明のいくつかの実施態様では、形状記憶マトリックス材料の転移温度は、標準研磨条件が研磨層のその稠密化状態からの実質的弛緩を生じさせないように選択される。
【0069】
本発明のいくつかの実施態様では、形状記憶マトリックス材料の転移温度は、研磨工程中に存在する条件によって誘発される、研磨層中の形状記憶マトリックス材料のうち、研磨面に隣接する部分のプログラム形状から復元形状への転移を促進するように選択される。これらの実施態様のいくつかの態様では、転移は、スラリーを加熱することによって誘発される。これらの実施態様のいくつかの態様では、転移は、研磨工程の厳しさから研磨面で発生する熱によって誘発される。
【0070】
本発明のいくつかの実施態様では、基材を研磨する方法は、磁性基材、光学基材及び半導体基材の少なくとも一つから選択される基材を提供すること、稠密化状態にある研磨層を含み、研磨層が、本来の形状とプログラム形状との間で変形可能な形状記憶マトリックス材料を含み、本来の状態にある研磨層が、形状記憶マトリックス材料が本来の形状にあるときには本来の厚さOTを示し、研磨層が、形状記憶マトリックス材料がプログラム形状にあるときには稠密化厚さDTを示し、DT≦OTの80%であり、形状記憶マトリックス材料の温度がTg−20℃からTg+20℃に上昇するとき、形状記憶マトリックス材料が貯蔵弾性率における≧70%の減少を示すものである形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドを提供すること、及び研磨層の研磨面と基材との間に動的接触を形成して基材の表面を研磨することを含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、方法は、研磨層のうち、少なくとも研磨面に隣接する部分を活性化刺激に暴露することにより、研磨面をインサイチュー又はエクスサイチューで再生することをさらに含み、その場合、活性化刺激が、研磨層のうち、研磨面に隣接する部分を復元状態に転移させる。これらの実施態様のいくつかの態様では、稠密化厚さDT≦本来の厚さOTの70%である。これらの実施態様のいくつかの態様では、稠密化厚さDTは本来の厚さOTの70〜40%である。これらの実施態様のいくつかの態様では、方法は、形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドを研磨機のプラテンと対面させることをさらに含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、方法は、感圧接着剤及び真空の少なくとも一つを使用して形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドを研磨機のプラテンと対面させることをさらに含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、基材は半導体基材を含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、基材は半導体ウェーハを含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、基材は、一連のパターン付けされた半導体ウェーハを含む。
【0071】
本発明のいくつかの実施態様で、基材を研磨する方法は、研磨面と基材との界面に研磨媒を提供することをさらに含む。
【0072】
本発明のいくつかの実施態様では、基材を研磨する方法は、研磨層の研磨面をコンディショニングすることをさらに含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、コンディショニングは、研磨層のうち、少なくとも研磨面に隣接する部分を活性化刺激に暴露することを含み、研磨層のうち、活性化刺激に暴露された研磨面に隣接する部分は稠密化状態から復元状態に転移する。これらの実施態様のいくつかの態様では、活性化刺激は、熱、光、磁場、電場、水及びそれらの組み合わせへの暴露から選択される。これらの実施態様のいくつかの態様では、活性化刺激は熱への暴露である。これらの実施態様のいくつかの態様で、活性化刺激は熱への暴露であり、研磨層の研磨面のコンディショニングは、研磨層のうち、研磨面に隣接する部分の温度を≧Tgの温度(Tgは形状記憶マトリックス材料のガラス転移温度である)まで上げることを含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層のうち、研磨面に隣接する部分の温度は≧(Tg+10℃)の温度まで加熱される。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層のうち、研磨面に隣接する部分の温度は≧(Tg+20℃)の温度まで加熱される。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層のコンディショニングは、研磨層の実際の厚さのうち、研磨面に隣接する≦5%の部分を≧形状記憶マトリックス材料のガラス転移温度Tgの温度まで加熱することを含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層のコンディショニングは、研磨層の実際の厚さのうち、研磨面に隣接する≦2%を≧形状記憶マトリックス材料のガラス転移温度Tgの温度まで加熱することを含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層のコンディショニングは、研磨層の実際の厚さのうち、研磨面に隣接する≦1%を≧形状記憶マトリックス材料のガラス転移温度Tgの温度まで加熱することを含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨層のコンディショニングは、研磨層の実際の厚さのうち、研磨面に隣接する0.1〜5%を≧形状記憶マトリックス材料のガラス転移温度Tgの温度まで加熱することを含む。研磨層のうち、研磨面に隣接する部分だけに熱を適用することが、形状記憶マトリックス材料のうち、研磨層のその部分にあるいくらかを復元形状に転移させると同時に研磨層の残り部分にある形状記憶マトリックス材料をプログラム形状にとどまらせるのに十分である。
【0073】
本発明のいくつかの実施態様では、研磨層の研磨面のコンディショニングは従来のコンディショニング法を含む。これらの実施態様のいくつかの態様では、研磨面のコンディショニングは、コンディショニングディスク、たとえばダイヤモンドディスクで研磨することを含む。
【0074】
本発明のいくつかの実施態様では、研磨層の研磨面のコンディショニングは、従来のコンディショニング法と活性化刺激への暴露との組み合わせを含む。
【0075】
図面を参照しながら本明細書で説明する具体的な実施態様では、活性化刺激は熱への暴露である。それにもかかわらず、本明細書で提供される教示を与えられるならば、当業者は、他の活性化刺激、たとえば光、磁場、電場及び/又は水への暴露を使用する方法を察知するであろう。
【0076】
図1には、本発明の一つの実施態様の研磨層の立面図の比較描写が示されている。特に、図1は、本来の厚さOTを有する本来の状態10にある研磨層と、稠密化厚さDTを有する稠密化状態20にある同じ研磨層との比較を提供する。
【0077】
図2には、本発明の一つの実施態様の研磨層の立面図の比較描写が示されている。特に、図2は、本来の厚さOTを有する本来の状態30にある研磨層と、稠密化厚さDTを有する稠密化状態40にある同じ研磨層と、全復元厚さTRTを有し、研磨面32に隣接する復元部分が復元厚さRTを有する部分復元状態50にある同じ研磨層との比較を提供する。図2に示す研磨層は、形状記憶マトリックス材料36内に分散した複数の微小要素34を含む。
【0078】
図3には、本発明の一つの実施態様の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドの立面図が示されている。特に、図3の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッド60は、研磨面72を有する研磨層70を含み、その研磨層は、形状記憶マトリックス材料74全体に均一に分散した複数の微小要素76を含む。図3の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッド60は、研磨層70と対面したベース層90をさらに含む。詳細には、ベース層90は接着剤層80によって研磨層70に接着されている。
【0079】
図4には、本発明の一つの実施態様の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドの斜視図が示されている。特に、図4は、稠密化厚さDTを有する稠密化状態にある単層形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッド210を示す。形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッド210は研磨面214及び中心軸212を有する。研磨面214は、中心軸212に対して角度γにある面で中心軸212から研磨面215の外周までの半径rを有する実質的に円形の断面を有する。
【0080】
図5には、本発明の一つの実施態様の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドの平面図が示されている。特に、図5は、複数のカーブした溝305の溝パターンを有する研磨面302を有する形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッド300を示す。
【0081】
図6には、本発明の一つの実施態様の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドの平面図が示されている。特に、図6は、複数の同心円形の溝315の溝パターンを有する研磨面312を有する形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッド310を示す。
【0082】
図7には、本発明の一つの実施態様の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドの平面図が示されている。特に、図7は、X−Yグリッドパターンにある複数の直線状の溝325の溝パターンを有する研磨面322を有する形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッド320を示す。
【0083】
図8には、本発明の一つの実施態様の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドの平面図が示されている。特に、図8は、複数の穿孔338と複数の同心円形溝335との組み合わせを有する研磨面332を有する形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッド330を示す。
【0084】
図9には、本発明の一つの実施態様の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドの平面図が示されている。特に、図9は、複数の穿孔348を有する研磨面342を有する形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッド340を示す。
【0085】
図10は、本発明のいくつかの実施態様の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッド400の平面図を示し、図中、研磨パッド400は、少なくとも一つの溝404を含む溝パターンを含むマクロテキスチャを有する。研磨パッド400は、外半径RO及び少なくとも一つの溝404が中に形成されている研磨面402を有する。図10には一つの溝404しか示されていないが、溝パターンは二つ以上の溝404を含むこともできる(たとえば図11〜13を参照)。研磨パッド半径Rは、研磨面402の中心にある原点Oから計測される。また、図10には、円周2πRを有する半径Rのところに描かれた円CR(破線)が示されている。研磨パッド400の外半径はROである。溝404が、基礎円半径RBから、研磨面402の外周406を画定する外半径ROまで延びている。これらの実施態様のいくつかの態様では、溝404は基礎円半径RBから外周406まで延びている(図10〜13に示す)。これらの実施態様のいくつかの態様では、溝404は、原点Oと基礎円半径RBとの間の点から外周406まで延びている。これらの実施態様のいくつかの態様では、溝404は、原点Oから外周406まで延びている。図14は、図10の溝404の溝セグメントの拡大図を示し、溝404の小さな微分セグメント410を示す。所与の半径Rで、溝404は、所与の幅Wと、原点Oを所与の半径Rに接続する半径方向線Lに対して角度θ(「溝角」)を形成する中心軸Aとを有する。これらの実施態様のいくつかの態様では、形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドは、CFが、研磨面の外半径ROから原点Oまでの大部分の距離を延びる区域における研磨パッド半径Rの関数としてその平均値の25%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内である溝パターンを含むマクロテキスチャを有する。これらの実施態様のいくつかの態様では、形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドは、CRが基礎円半径RBから外半径ROまで延びる区域における研磨パッド半径Rの関数としてその平均値の25%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内である溝パターンを含むマクロテキスチャを有する。
【0086】
図15には、半導体ウェーハを研磨するための、本発明の一つの実施態様の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドを使用する研磨機が示されている。特に、図15は、研磨装置100を、中心軸112、研磨面118を有する研磨層116及びベース層114を有する形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッド110とともに示す。図15はさらに、ベース層114が固着されている研磨プラテン120を示す。研磨プラテン120は、研磨パッド110の中心軸112と一致する中心軸125を有する。研磨装置100はさらに、中心軸135を有するウェーハキャリヤ130を含む。ウェーハキャリヤ130は半導体ウェーハ150を担持する。ウェーハキャリヤ130は、ウェーハキャリヤを研磨パッド110に対して側方に動かすための平行移動アーム140に取り付けられている。ウェーハキャリヤ130及びプラテン120(これに研磨パッド110が取り付けられる)は、それぞれの中心軸を中心に回転し、研磨面118と半導体ウェーハ150との動的接触を促進するように設計されている。研磨パッド厚さ及び溝の深さから選択される少なくとも一つの研磨パッド固有性の計測を容易にするために、モニタ155が研磨面に対して配置(場合によっては可動式に配置)されている。活性化刺激への研磨層の選択的暴露を容易にして研磨層の暴露部分が稠密化状態から復元状態に転移するようにするために、源(source)160が研磨面18の近くに可動式に配置されている。コンディショニング装置165が研磨面118のための研磨コンディショニングを提供する。制御装置170が、モニタ155、源160及びコンディショニング装置165とアクティブに通信し、一貫した研磨パッド厚さ及び/又は溝深さを維持するようにプログラムされている。
【0087】
図16には、本発明の一つの実施態様の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドを研磨媒(たとえば研磨スラリー)とともに使用する研磨装置が示されている。特に、図16は、研磨面214及び外周215を有する単層形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッド210を含む装置200を示す。研磨パッド210はプラテン220と対面している。研磨パッド210は、プラテン220の中心軸225と一致する中心軸212を有する。装置200はさらに、中心軸235を有するウェーハキャリヤ230を含む。ウェーハキャリヤ230は半導体ウェーハ250を保持する。装置200はさらに、研磨媒260及び研磨媒を研磨面214上に小出しするためのスラリーディスペンサ270を含む。半導体ウェーハ250の研磨中、プラテン220及び研磨パッド210はそれぞれの中心軸を中心に回転し、ウェーハキャリヤはその中心軸を中心に回転する。研磨中、研磨パッド及びウェーハは互いに動的に接触し、研磨媒がシステムに導入されて半導体ウェーハと研磨パッドの研磨層との間を通過することができる。モニタ280は、研磨パッド厚さ及び溝の深さから選択される少なくとも一つの研磨パッド固有性の計測を容易にするために、研磨面に対して配置(場合によっては可動式に配置)されている。源285は、活性化刺激への研磨層の選択的暴露を容易にして研磨層の暴露部分が稠密化状態から復元状態に転移するようにするために、研磨面214の近くに可動式に配置されている。コンディショニング装置290は、表面214のための研磨コンディショニングを提供する。制御装置298は、モニタ280、源285及びコンディショニング装置290とアクティブに通信し、一貫した研磨パッド厚さ及び/又は溝深さを維持するようにプログラムされている。
【0088】
次に、本発明のいくつかの実施態様を以下の実施例で詳細に説明する。
【0089】
実施例1:形状記憶研磨パッド
市販の充填材入りポリウレタン研磨パッド(Rohm and Haas Electronic Materials CMP社からIC1000(商標)として市販)から試料を調製した。試料は、研磨パッドから打ち抜いた直径約12.7mmの円板を含むものであった。
【0090】
実施例2:形状記憶研磨パッド材料調製
グリセロールプロポキシレート(平均M約266)227g、ポリテトラヒドロフラン(平均M約650)279g、及びポリカルボジイミド修飾ジフェニルメタンジイソシアネート(The Dow ChemicalCompanyからIsonate(登録商標)143Lとして市販)494gを約50℃及び大気圧で混合することによって形状記憶ポリマーマトリックス材料を調製した。そして、この混合物に対し、非接触遊星形高剪断ミキサを2000rpmで使用して、中空の弾性ポリマー微小球(Akso NobelからExpancel(登録商標)551DEとして市販)18gをブレンドして、微小球を形状記憶マトリックス材料中に均一に分散させた。そして、最終混合物を、2.54mm離間した2枚の平坦なガラス面の間に流し込み、形成した直径約254mmの流し込みシートを約10分間ゲル化させた。
【0091】
そして、厚さ2.54mmの流し込みシートをガラス面とともに硬化炉に入れ、約105℃で約16〜18時間硬化させた。そして、硬化したシートを、シート温度が約25℃になるまで室温で約8時間冷やした。
【0092】
実施例3:形状記憶研磨パッド材料調製
グリセロールプロポキシレート(平均M約266)216g、ポリ(カプロラクトン)ジオール(平均M約775)315g及びポリカルボジイミド修飾ジフェニルメタンジイソシアネート(The Dow Chemical CompanyからIsonate(登録商標)143Lとして市販)496gを約50℃及び大気圧で混合することによって形状記憶ポリマーマトリックス材料を調製した。そして、この混合物に対し、非接触遊星形高剪断ミキサを2000rpmで使用して、中空の弾性ポリマー微小球(Akzo NobelからExpancel(登録商標)551DEとして市販)18gをブレンドして、微小球を形状記憶マトリックス材料中に均一に分散させた。そして、最終混合物を、2.54mm離間した2枚の平坦なガラス面の間に流し込み、形成した直径約254mmの流し込みシートを約10分間ゲル化させた。このシートを実施例2と同様に硬化させた。
【0093】
実施例4:貯蔵弾性率対温度計測
Rohm and Haas Electronic Materials CMP社から市販のIC1000(商標)研磨パッドで使用されている形状記憶マトリックス材料(ただし、Expancel(登録商標)材料を添加していない)に関して、動的機械分析装置(DMA、TA InstrumentsのQ800モデル)を使用して、貯蔵弾性率(MPa)対温度(℃)曲線をプロットした。プロットした曲線を図17に示す。
【0094】
実施例5:貯蔵弾性率対温度計測
実施例2及び3と同様に調製した形状記憶マトリックス材料(ただし、Expancel(登録商標)材料を添加していない)に関して、機械分析装置(DMA、TA InstrumentsのQ800モデル)を使用して、貯蔵弾性率(MPa)対温度(℃)をプロットした。プロットした曲線を図18に示す。
【0095】
実施例6:稠密化状態にある研磨パッドの調製
実施例1にしたがって調製した形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッド試料をインストロン試験機(Instron Tester)の直径2”上下プラテンの間に配置した。内部温度が制御可能である加熱チャンバが、プラテン及び試料パッドをわたす空間を包囲した。試料パッドを120℃で20分間加熱し、プラテンを使用して軸方向力を試料パッドに加えた。この軸方向力は、試料パッドをその本来の厚さの約50%まで圧縮するのに十分な公称圧力を試料パッドに加えた。試料パッドに加えられた公称圧力は約1,000〜5,000psiであった。圧力を維持しながら試料パッドを室温まで冷やして、その中の形状記憶マトリックス材料をプログラム形状でセットし、稠密化状態にある試料パッドを得た。
【0096】
実施例7:稠密化状態にある研磨パッドの提供
実施例2及び3にしたがって製造したシートから直径12.5mmの試料パッドを打ち抜いた。そして、その試料パッドをインストロン試験機の直径2”上下のプラテンの間に配置した。内部温度が制御可能である加熱チャンバが、プラテン及び試料パッドをわたす空間を包囲した。そして、試料パッドを90℃で20分間加熱し、プラテンを使用して軸方向力を試料パッドに加えた。この軸方向力は、試料パッドをその本来の厚さの約50%まで圧縮するのに十分な公称圧力を試料パッドに加えた。軸方向力によって試料パッドに加えられた圧力は約1,000〜5,000psiであった。この加えられた圧力を維持しながら試料パッドを室温まで冷やして、試料パッド中の形状記憶マトリックス材料をプログラム状態でセットし、稠密化状態にある試料パッドを得た。
【0097】
実施例8:研磨パッドの復元状態への復元
実施例6にしたがって調製した稠密化状態にある研磨パッド試料を炉中120℃で10〜20分間加熱した。そして、各研磨パッド試料の実際の厚さを計測した。各研磨パッド試料は、復元状態に転移していることが認められ、最大全復元厚さ>本来の厚さの99%であった。
【0098】
実施例9:研磨パッドの復元状態への復元
実施例7にしたがって調製した稠密化状態にある研磨パッド試料を炉中90℃で10〜20分間加熱した。そして、各研磨パッド試料の実際の厚さを計測した。各研磨パッド試料は、復元状態に転移していることが認められ、最大全復元厚さ>本来の厚さの99%であった。
【0099】
実施例10:稠密化状態にある形状記憶研磨パッドの調製
市販のIC1000(商標)研磨パッドから直径203mmの形状記憶研磨パッドを打ち抜いた。そして、その形状記憶研磨パッドを2枚の直径254mm、厚さ12.7mmの平坦な硬化鋼プレートの間に配置し、150トンHannifin37”×36”下向き作用4ポスト液圧プレスの下プラテンの上に配置した。形状記憶研磨パッドの温度が120℃に達するまで上下のプラテンを60分超の間、電気加熱した。そして、形状記憶研磨パッドに対して1,000〜5,000psiの圧力を加える軸方向力の下、形状記憶研磨パッドを本来の厚さの約50%まで圧縮した。この加えられた圧力を維持しながら形状記憶研磨パッドを室温まで冷やして、その中の形状記憶材料をプログラム形状にセットし、稠密化状態にある形状記憶研磨パッドを得た。
【0100】
実施例11:熱コンディショニングを使用する形状記憶研磨パッドによる研磨
Center for Tribology社のケミカルメカニカルデスクトップ研磨機で以下の実験を実施した。研磨機を、ダウンフォース2.4psi、研磨溶液流量50cc/min、プラテン速度160rpm及びキャリヤ速度160rpmにセットした。使用した研磨媒は、Rohm and Haas Electronic Materials CMP社から市販の銅CMP用EPL2362スラリーであった。これらの実験に使用したウェーハは、SilyBから市販の、厚さ15,000Åの電気めっき銅層を有する100mmシリコン基材ウェーハであった。ウェーハを研磨して銅を除去した。本明細書で報告する銅除去速度(Å/min)は、上記条件下でウェーハを2分間研磨したのちサブミリグラム化学天秤(AINSWORTHモデル番号CC-204)を使用するウェーハ重量損計測を使用して測定した。
【0101】
市販のIC1000(商標)研磨パッドから打ち抜いた直径203mmの対照パッドを使用して研磨試験を実施した。対照パッドは、その本来の状態で使用した(すなわち、稠密化状態に転移させなかった)。13枚のウェーハを研磨したのち、ダイヤモンドディスクコンディショニングを使用して対照パッドの表面を再生したことに注意されたい。本来の状態にある対照パッドをダイヤモンドディスクコンディショニングとともに使用して実施した研磨試験に関する除去速度対ウェーハ枚数データを図19に示す。
【0102】
そして、実施例10で記載した工程を使用して得られた稠密化状態に転換された市販のIC1000(商標)研磨パッドを使用して研磨試験を実施した。稠密化状態にある研磨パッドの研磨面を、120℃に加熱された直径254mm、厚さ6.4mmの黄銅プレートと約1分間接触させることにより、稠密化状態にある研磨パッドの研磨面を加熱した。この1分間、電気制御ホットプレート(Corning番号PC-220)を使用し、研磨面と接触した黄銅プレートの表面温度をモニタリングしながら黄銅プレートの加熱を継続した。試験パッドの研磨面の加熱は、研磨パッドのうち、研磨面に隣接する部分を復元状態に転移させたが、研磨パッドの実際の厚さの残り部分は稠密化状態にとどまった。そして、研磨パッドを使用して13枚のウェーハを研磨した。そして、上記の工程を使用して研磨パッド表面を再び加熱して、研磨パッドのうち、研磨面に隣接するもう一つの部分を復元状態に転移させた。そして、そのパッドを使用して14枚目のウェーハを研磨した。稠密化状態にある研磨パッドを熱コンディショニングとともに使用して実施した研磨試験に関する除去速度対ウェーハ枚数データを図20に示す。
【0103】
実施例12:形状記憶マトリックス材料調製
グリセロールプロポキシレート(平均M約266)175g、ポリカプロラクトン(平均M約530-b-530)349g及びポリカルボジイミド修飾ジフェニルメタンジイソシアネート(The Dow ChemicalCompanyからIsonate(登録商標)143Lとして市販)476gを混合する(約50℃及び大気圧で)ことによって形状記憶マトリックス材料を調製した。
【0104】
実施例13:貯蔵弾性率対温度測定
実施例12と同様に調製した形状記憶マトリックス材料に関して、機械分析装置(DMA、TA InstrumentsのQ800モデル)を使用して、貯蔵弾性率(MPa)対温度(℃)をプロットした。プロットした曲線を図21に示す。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の研磨層を本来の状態及び稠密化状態で比較して示す立面図である。
【図2】本発明の研磨層を本来の状態、稠密化状態及び部分復元状態で比較して示す立面図である。
【図3】本発明の一つの実施態様の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドの立面図である。
【図4】本発明の一つの実施態様の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドの斜視図である。
【図5】研磨面の溝パターンを示す、本発明の一つの実施態様の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドの平面図である。
【図6】研磨面の溝パターンを示す、本発明の一つの実施態様の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドの平面図である。
【図7】研磨面の溝パターンを示す、本発明の一つの実施態様の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドの平面図である。
【図8】研磨面における穿孔と溝パターンとの組み合わせを示す、本発明の一つの実施態様の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドの平面図である。
【図9】研磨面における複数の穿孔を示す、本発明の一つの実施態様の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドの平面図である。
【図10】研磨面に溝パターンを有する本発明の一つの実施態様の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドの平面図である。
【図11】研磨面に溝パターンを有する本発明の一つの実施態様の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドの平面図であって、研磨パッドが24インチパッド外半径RO及び10インチ基礎円半径RBならびに8本のカーブした溝を示す図である。
【図12】研磨面に溝パターンを有する本発明の一つの実施態様の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドの平面図であって、研磨パッドが24インチパッド外半径RO、6インチ基礎円半径RB及び8本のカーブした溝を示す図である。
【図13】研磨面に溝パターンを有する本発明の一つの実施態様の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドの平面図であって、研磨パッドが24インチパッド外半径RO及び2インチ基礎円半径RBを示す図である。
【図14】図10の溝404の溝セグメントの拡大図である。
【図15】本発明の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドを使用して半導体ウェーハを研磨する研磨機の図である。
【図16】本発明の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドを研磨スラリーとともに使用して半導体ウェーハを研磨する研磨装置の図である。
【図17】市販のIC1000(商標)研磨パッドで使用されている組成物に関する貯蔵弾性率対温度曲線を示すグラフである。
【図18】二つの形状記憶マトリックス材料に関する貯蔵弾性率対温度曲線を示すグラフである。
【図19】ダイヤモンドディスクコンディショニングを使用しながら本来の状態にある市販のIC1000(商標)研磨パッドを使用した場合の、除去速度対研磨ウェーハ枚数のグラフ表示である。
【図20】熱コンディショニングを使用しながら稠密化状態にあるIC1000(商標)研磨パッドを使用した場合の、除去速度対研磨ウェーハ枚数のグラフ表示である。
【図21】もう一つの形状記憶マトリックス材料に関する貯蔵弾性率対温度曲線を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性基材、光学基材及び半導体基材の少なくとも一つから選択される基材を研磨するための形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドであって、
稠密化状態にある研磨層を含み、
研磨層が、本来の形状とプログラム形状との間で変形可能な形状記憶マトリックス材料を含み、
研磨層が、形状記憶マトリックス材料が本来の形状にあるときには本来の厚さOTを示し、
研磨層が、形状記憶マトリックス材料がプログラム形状にあるときには稠密化状態で稠密化厚さDTを示し、
DT≦OTの80%であり、
形状記憶マトリックス材料の温度が(Tg−20℃)から(Tg+20℃)に上昇するとき、形状記憶マトリックス材料が貯蔵弾性率における≧70%の減少を示し、
研磨層が、基材を研磨するために適合された研磨面を有するものである形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッド。
【請求項2】
貯蔵弾性率における減少が≧800MPaの大きさを有する、請求項1記載の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッド。
【請求項3】
形状記憶マトリックス材料が≧45℃かつ<80℃のTgを示す、請求項1記載の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッド。
【請求項4】
形状記憶マトリックス材料の温度が(Tg−10℃)から(Tg+10℃)に上昇するとき、形状記憶マトリックス材料が貯蔵弾性率における≧90%の減少を示し、貯蔵弾性率における減少が≧800MPaの大きさを有する、請求項1記載の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッド。
【請求項5】
形状記憶マトリックス材料が、グリセロールプロポキシレート、ポリカルボジイミド修飾ジフェニルメタンジイソシアネートならびにポリテトラヒドロフラン及びポリカプロラクトンの少なくとも一つを含む混合物の反応生成物を含む、請求項1記載の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッド。
【請求項6】
形状記憶マトリックス材料が、ポリエーテルベースのトルエンジイソシアネート終端化液体ウレタンプレポリマー及び4,4′−メチレンビス(2−クロロアニリン)を含む混合物の反応生成物を含む、請求項1記載の形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッド。
【請求項7】
形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドを製造する方法であって、
本来の形状とプログラム形状との間で変形可能な形状記憶マトリックス材料を提供すること、
本来の形状にある形状記憶マトリックス材料を含む、本来の厚さOTを示す本来の状態にある研磨層を調製すること、
研磨層を外力に付すこと、
形状記憶マトリックス材料をプログラム形状にセットして、稠密化厚さDTを示す稠密化状態にある研磨層を提供すること、
外力を解除すること
を含み、
DT≦OTの80%であり、
形状記憶マトリックス材料の温度が(Tg−20℃)から(Tg+20℃)に上昇するとき、形状記憶マトリックス材料が貯蔵弾性率における≧70%の減少を示し、
研磨層が、磁性基材、光学基材及び半導体基材の少なくとも一つから選択される基材を研磨するために適合された研磨面を有するものである方法。
【請求項8】
複数の微小要素を提供すること、
複数の微小要素を形状記憶マトリックス材料中に分散させること、
研磨層を、形状記憶マトリックス材料のガラス転移温度Tgよりも高い温度Tまで加熱すること
をさらに含み、
外力が、研磨層の温度を形状記憶マトリックス材料のTgよりも高い温度に維持しながら研磨層を稠密化厚さDTまで軸方向に圧縮する軸方向力であり、形状記憶マトリックス材料が、軸方向力を維持しながら研磨層を形状記憶マトリックス材料のTg未満の温度まで冷却することによってプログラム形状にセットされる、請求項7記載の方法。
【請求項9】
基材を研磨する方法であって、
磁性基材、光学基材及び半導体基材の少なくとも一つから選択される基材を提供すること、
稠密化状態にある研磨層を含み、研磨層が、本来の形状とプログラム形状との間で変形可能な形状記憶マトリックス材料を含み、本来の状態にある研磨層が、形状記憶マトリックス材料が本来の形状にあるときには本来の厚さOTを示し、研磨層が、形状記憶マトリックス材料がプログラム形状にあるときには稠密化厚さDTを示し、DT≦OTの80%であり、形状記憶マトリックス材料の温度がTg−20℃からTg+20℃に上昇するとき、形状記憶マトリックス材料が貯蔵弾性率における≧70%の減少を示すものである形状記憶ケミカルメカニカル研磨パッドを提供すること、及び
研磨層の研磨面と基材との間に動的接触を形成して基材の表面を研磨すること
を含む方法。
【請求項10】
研磨層のうち、少なくとも研磨面に隣接する部分を活性化刺激に暴露することによって研磨層の研磨面をコンディショニングすること
をさらに含み、
研磨層のうち、活性化刺激に暴露された研磨面に隣接する部分が稠密化状態から復元状態に転移する、請求項9記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−78348(P2009−78348A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−209140(P2008−209140)
【出願日】平成20年8月15日(2008.8.15)
【出願人】(504089426)ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】