説明

改良された圧縮装置

改良された圧縮装置であって、
入口(3)と出口(4)とを有する圧縮機(2)、
圧縮機(2)の出口(4)をユーザーネットワーク(6)に接続する圧縮空気ライン(5)、
前記圧縮空気ライン(5)内に備えられている乾燥機(7)であって、少なくとも二つの空気溜め(13、16)を有し、これらの空気溜めのそれぞれが入口(14)と出口(15)とを備え、除湿剤または乾燥剤が装填されており、これらの空気溜め(13、16)が交互に働いて、1つの空気溜め(13)が圧縮気体を乾燥している間に、他の空気溜め(16)が再生されるような乾燥機(7)、
圧縮機(2)が無負荷または部分負荷で働いているときに、圧縮機によって圧縮された気体の少なくとも一部を放出するための放出器(28)、
から成る改良された圧縮装置において、
放出器(28)によって放出される圧縮気体の前記一部を、再生されつつある空気溜め(13)を通して導くことを可能にする手段が備えられている、
ことを特徴とする改良された圧縮装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された圧縮装置に関する。
【0002】
本発明は、特に、
入口と出口とを有する圧縮機と、
圧縮機の前記出口をユーザーネットワークに接続する圧縮空気ラインと、
前記圧縮空気ライン内に備えられている乾燥機であって、少なくとも二つの空気溜めを有し、これらの空気溜めのそれぞれが入口と出口とを備え、除湿剤または乾燥剤が装填されており、これらの空気溜めが交互に働いて、1つの空気溜めが圧縮気体を乾燥している間に、他の空気溜めが再生されるようになっている乾燥機と、
前記圧縮機が無負荷または部分負荷で働いているときに、前記圧縮機によって圧縮された気体の少なくとも一部を放出するための放出器と、
から成るタイプの圧縮装置、
に関する。
【背景技術】
【0003】
全負荷運転の場合、すなわち圧縮器が最大送出量で運転されている場合、圧縮気体のこの最大送出量全体を、圧縮機の出口から、再生される空気溜めを通して送り、この圧縮気体の熱を使用して前記空気溜め内の乾燥剤から水分を取り除き、この乾燥剤を再生するようになっている。
【0004】
しかし、部分負荷運転の場合、すなわち圧縮機の圧縮気体の一部だけが使用される場合、圧縮機の残りの送出気体は、圧縮機の出口から、放出器を通して、大気中に放出される。
【0005】
無負荷運転の場合、言い換えると、圧縮気体が使用されていない場合、圧縮機の全送出気体が、前記放出器を通して、大気中に放出される。
【0006】
そのような公知のタイプの圧縮装置の欠点は、部分負荷運転の場合、圧縮機の使用可能な送出量の一部分しか、再生される空気溜めの乾燥剤の再生に使用されず、したがって条件によっては、乾燥剤の不十分な再生しか得られないことがある、ということである。
【0007】
この欠点は、圧縮装置が無負荷運転されている場合にはさらに大きくなる。その場合、圧縮機からの全送出気体が放出され、したがって送出圧縮気体が、まったく、再生される空気溜めの乾燥剤の再生に使用できないからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、前記欠点およびその他の欠点を克服することであり、そのために、消費量によらず、また圧縮装置が全負荷、部分負荷、または無負荷のどれで運転されているかにかかわりなく、圧縮機送出気体のすべてを常に乾燥剤の再生に使用する圧縮装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、本発明は、放出器によって放出される、圧縮気体の一部を、再生されつつある空気溜めを通して導くことを可能にする手段が備えられている改良された前記タイプの圧縮装置に関する。
【0010】
このようにすることにより、十分な量の高温圧縮気体が、常に、再生される空気溜めを通って流れ、したがって常に確実に乾燥剤の効率的再生が行われる。
【0011】
実用的実施形態においては、前記手段は、前記空気溜めの入口の間に1つ以上の接続管を有し、また前記放出器はこれらの接続管の1つに接続された枝管によって構成される。
【0012】
好ましくは、絞り弁が、圧縮機の入口に備えられ、該絞り弁は無負荷運転のときに作動させられ、したがって、無負荷の場合に、圧縮空気が絞りによって追加加熱され、したがってより効率的な再生が行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の特徴をさらに十分に説明するために、本発明の改良された圧縮装置の好ましい実施形態について、添付の図面を参照しつつ説明する。この実施形態は一つの例であり、本発明を限定するものではない。
【0014】
図1の圧縮装置1は、主として、入口3と出口4とを有する圧縮機2、圧縮機2の出口4をユーザーネットワーク6に接続する圧縮空気ライン5、および前記圧縮空気ライン5に備えられた乾燥機7から成る。
【0015】
この場合、圧縮機2は、主として、圧力管10によって直列に接続された低圧力段8と高圧力段9とから成り、圧力管10には、順次に、中間冷却器11と水分離器12とが備えられている。
【0016】
乾燥機7は、第一の断熱空気溜め13と第二の断熱空気溜め16とを有し、第一の空気溜め13は、入口14と出口15とを有し、シリカゲルまたは他の乾燥剤を収容しており、第二の空気溜め16は、入口17と出口18とを有し、これも乾燥剤としてシリカゲルを収容している。
【0017】
二つの空気溜め13および16のそれぞれの出口15および18は、分岐管19と該管19の各分岐部分19Aおよび19Bに備えられた弁20とにより、圧縮空気ライン5に接続されている。ここで、この圧縮空気ライン5は、圧縮空気ライン5上の分岐部分19Aおよび19Bの前記接続部分の間で中断されている。
【0018】
入口14は、三つの接続管によって相互接続されており、ここで、第一の接続管21は二つの止め栓22を有し、第二の接続管23は互いに逆向きに働く二つの逆止め弁24を有し、また第三の接続管25も二つの止め栓26を有している。
【0019】
第一および第二の接続管は、冷却器27によって橋渡しされ、該冷却器は入口が第二の接続管23に、詳しくはこの管23の逆止め弁24の間に接続され、また該冷却器は出口が第一の接続管21に、詳しくはこの管21の止め栓22の間に接続されている。
【0020】
圧縮気体の放出のための放出器28が、止め栓22の間で第一の接続管21に接続されていて、大気に開放されている枝管の形で備えられている。
【0021】
この放出器28には、止め栓29が備えられ、また放出器28の出口には吸音器30が備えられている。
【0022】
また、この場合、放出器28は、第三の接続管25にも接続されており、詳しくはこの管の止め栓26の間で、止め栓29の下流に接続されている。
【0023】
圧縮装置1は、好ましくは、図には示さない制御器をも備え、該制御器は、圧縮機2の運転条件を設定することを可能にし、また、圧縮装置1の必要運転条件に応じて、弁20および止め栓22と26を開放または閉鎖することを可能にする。
【0024】
圧縮装置1は、温度、圧力、また必要であれば露点をも測定する測定装置を備えることもでき、この測定装置は圧縮装置1を制御するために前記制御器に接続される。
【0025】
本発明の改良された圧縮装置1の動作は簡単であり、それを図1〜4によって説明する。ここで、弁20および止め栓22と26は、閉じられているときには黒で、開放されているときには白で示し、また、圧縮気体が通る経路を太線で示す。
【0026】
図1は、圧縮機2が全負荷で作動しているとき、すなわちその最大能力で作動しているときの、圧縮装置1を示す。
【0027】
この場合、圧縮機2の出口4からやってくる非冷却圧縮気体流の全体が、空気溜め13内を逆向きに、すなわち出口15から入口14に向って導かれ、ここで、この圧縮気体流は、この圧縮気体に含まれる熱によって、乾燥剤または除湿剤たとえばシリカゲルを再生する。
【0028】
次に、圧縮気体流は、冷却器27内に導かれて冷却され、それから空気溜め16内を流れて、乾燥される。
【0029】
ここで、空気溜め16の出口18は、1つ以上の圧縮気体消費者(図示せず)が接続されたユーザーネットワーク6に接続されている。
【0030】
図2は、部分負荷運転状態の圧縮装置1を示す。この場合、ユーザーネットワーク6は圧縮機2の送出気体の一部を必要とするだけである。
【0031】
この場合、全負荷の場合とまったく同様に、送出圧縮気体の全体が、再生される空気溜め13内を逆向きに導かれて、乾燥剤が再生されるが、この送出気体は、空気溜め13を通過したあと、消費者ネットワーク6の限られた需要に対して必要な部分と過剰な部分とに分けられる。前者は、冷却器27と乾燥空気溜め16を通じてネットワーク6に供給され、後者は、本発明により、放出器28を通じて大気中に放出される。
【0032】
本発明においては、部分負荷の場合にも、圧縮機2の送出気体全体が、再生される空気溜めを通って流れる。これは、公知のシステムの場合と異なる。公知のシステムにおいては、ネットワーク6が必要とする量の送出気体だけを再生される溜め13を通して導き、過剰な送出気体は、再生される空気溜め13を通過させることなく圧縮機2の出口4で直接大気中に放出される。
【0033】
本発明による圧縮装置1は、部分負荷の場合にも、再生される空気溜め13内の乾燥剤が常に最大限に再生されるという利点を与える。
【0034】
図3は、部分負荷運転の変形を示す。ここでは、放出器28を通じて大気中に放出される過剰な送出気体は、冷却器27の下流ではなく上流で枝分かれする。したがって、上述の送出気体の大気中への放出の場合と異なり、冷却のための追加エネルギーが必要でない。
【0035】
図4は、圧縮装置1の無負荷運転を示す。すなわち、この場合、圧縮気体がユーザーネットワーク6によって取り込まれない。
【0036】
この場合、圧縮機2は空運転され、無負荷(pressureless)状態にある。ここでは、最小限の量の気体が吸入され、圧縮されて、大気中に放出される。
【0037】
本発明の場合、公知の圧縮装置と異なり、圧縮気体は出口4から直接放出されることはなく、まず再生されている空気溜めを通して送られ、それから放出器28によって大気中に放出される。
【0038】
このようにして、無負荷運転時にも、再生されている空気溜め13内の乾燥剤の最低限の再生が保証される。
【0039】
この場合、図からわかるように、放出すべき送出気体は空気溜め13と逆止め弁24との間で分割され、圧力下にある気体が、ユーザーネットワーク6にはいらずに放出器28を通じて大気中に逃げ出すことがないようになっている。
【0040】
圧縮機2の入口3には、少なくとも無負荷運転時に作動させられる絞り弁(throttle device)を、随意に備えることができる。
【0041】
この絞りにより、圧縮気体は圧縮機の出口4においてより高い温度に達し、その結果、より高温の気体が、再生されている空気溜めを通して送られ、したがって乾燥剤のより良い再生が行われる。
【0042】
明らかに、弁20、ならびにそれぞれの止めコック22、26および逆止め弁24を有する接続管21、23、および25の代わりに、部分負荷および無負荷運転の場合に圧縮気体の過剰な非使用部分を再生されている空気溜め13を通して送ることを可能にする他の手段を備えることができる。
【0043】
やはり明らかに、放出は必ずしも大気中に行う必要はなく、たとえば医療用の気体の場合、この放出は、圧縮機2の出口4における圧力よりも低い圧力の制御された環境に対して行うことができる。
【0044】
圧縮機2は、必ずしも多段圧縮機である必要はない。
【0045】
空気溜め13、16の入口14、17および出口15、18という言葉は、空気溜めが気体を乾燥する空気溜めとして使用されている場合に対応するように使用した。ここに示す例の場合、乾燥剤の再生時に、圧縮気体は空気溜め13内を逆向きに、すなわち出口から入口に向って流れる。
【0046】
当然のことながら、本発明は上で説明した改良された圧縮装置のみに限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することのない、あらゆる種類の形態と組合せで実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の改良された圧縮装置を示す図である。
【図2】図1の圧縮装置を示す図であるが、他の運転状態のものである。
【図3】図1の圧縮装置を示す図であるが、他の運転状態のものである。
【図4】図1の圧縮装置を示す図であるが、他の運転状態のものである。
【符号の説明】
【0048】
1 圧縮装置
2 圧縮機
3 入口
4 出口
5 圧縮空気ライン
6 ユーザーネットワーク
7 乾燥機
8 低圧力段
9 高圧力段
10 圧力管
11 中間冷却器
12 水分離器
13 第一の断熱空気溜め
14 入口
15 出口
16 第二の断熱空気溜め
17 入口
18 出口
19 分岐管
19A 分岐部分
19B 分岐部分
20 弁
21 第一の接続管
22 止め栓
23 第二の接続管
24 逆止め弁
25 第三の接続管
26 止め栓
27 冷却器
28 放出器
29 止め栓
30 吸音器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
改良された圧縮装置であって、
入口(3)と出口(4)とを有する圧縮機(2)と、
圧縮機(2)の出口(4)をユーザーネットワーク(6)に接続する圧縮空気ライン(5)と、
前記圧縮空気ライン(5)内に備えられている乾燥機(7)であって、少なくとも二つの空気溜め(13、16)を有し、これらの空気溜めのそれぞれが入口(14, 17)と出口(15, 18)とを備え、除湿剤または乾燥剤が装填されており、これらの空気溜め(13、16)が交互に働いて、1つの空気溜め(13)が圧縮気体を乾燥している間に、他の空気溜め(16)が再生されるようになっている乾燥機(7)と、
圧縮機(2)が無負荷または部分負荷で働いているときに、圧縮機によって圧縮された気体の少なくとも一部を放出するための放出器(28)と、
から成る改良された圧縮装置において、
放出器(28)によって放出される圧縮気体の前記一部を、再生されつつある空気溜め(13)を通して導くことを可能にする手段が備えられている、
ことを特徴とする改良された圧縮装置。
【請求項2】
当該手段が、当該空気溜め(13、16)の入口(14、17)の間に1つ以上の接続管(21、23、25)を有し、放出器(28)が、これらの接続管の1つ、より詳しくは第一の接続管(21)に接続された枝管から成ることを特徴とする請求項1に記載の改良された圧縮装置。
【請求項3】
当該第一の接続管(21)が二つの止めコック(22)を備え、放出器(28)がこれら二つの止めコック(22)の間で前記接続管(21)に接続されることを特徴とする請求項2に記載の改良された圧縮装置。
【請求項4】
少なくとも第二の接続管(23)に、逆向きに働く二つの逆止め弁(24)が備えられ、ここで、第一と第二の接続管(21、23)が冷却器(27)によって橋渡しされ、該冷却器の入口が前記第二の接続管(23)の逆止め弁(24)の間に接続され、該冷却器の出口が前記第一の接続管(21)の止めコック(22)の間に接続されていることを特徴とする請求項3に記載の改良された圧縮装置。
【請求項5】
当該放出器(28)が止めコック(29)を備えていることを特徴とする請求項3または4に記載の改良された圧縮装置。
【請求項6】
二つの止めコック(26)を備えた第三の接続管(25)を有し、放出器(28)が、放出器(28)の当該止めコック(29)よりも下流で、この第三の接続管に、より詳しくはこの第三の接続管(25)の止めコックの間に接続されていることを特徴とする請求項4に記載の改良された圧縮装置。
【請求項7】
放出器(28)が大気に向って開放されていることを特徴とする請求項1に記載の改良された圧縮装置。
【請求項8】
放出器(28)が吸音器(30)を備えていることを特徴とする請求項7に記載の改良された圧縮装置。
【請求項9】
圧縮器(2)の入口(3)が絞り弁を有し、該絞り弁を、少なくとも、圧縮機(2)が無負荷で運転されているときに、作動させうることを特徴とする請求項1に記載の改良された圧縮装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−508466(P2008−508466A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524139(P2007−524139)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【国際出願番号】PCT/BE2005/000120
【国際公開番号】WO2006/012710
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(593074329)アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ (45)
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
【Fターム(参考)】