説明

改良されたRaf阻害剤

本発明は、ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンの誘導体を提供する。これらの化合物は、腫瘍細胞などに対して抗増殖活性を示す化合物を含むRafなどの阻害剤又はキナーゼであり、癌を含む疾病の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンの誘導体を提供する。これらの化合物は、腫瘍細胞などの細胞に対して抗増殖活性を示す化合物を含む、癌を含む疾病の治療に有用なRafなどのキナーゼの阻害剤である。
【背景技術】
【0002】
キナーゼは、細胞分裂及び細胞増殖を制御するといった本質的な細胞機能を行い、細胞の制御されていない増殖及び分化を特徴とする病状のような多数の病状において決定的な役割を果たすと考えられている重要な細胞内酵素である。これらの病状は、癌、アテローム性動脈硬化及び再狭窄などの様々な細胞種及び疾患を包含する。
【0003】
キナーゼをターゲットにする薬剤、及び、特にキナーゼの活性を抑制する小分子化合物をベースとする薬剤は、癌などの衰弱性の高い疾患に罹患した患者を含む全世界の人々の健康、寿命又は生活の質を著しく改善することができる重要な薬である。実際に、薬剤「イマチニブ」(GLEEVEC/グリベック;Novartis社)は、キナーゼを抑制し、特定のタイプの白血病(CML)及び消化器癌(GIST)を含むあるタイプの癌を成功裏に治療するために用いられる薬剤である。CMLに対する以前の標準的治療と比較したその改善された有効性、及び、緩和された副作用を示し、一般に耐用性が非常に優れていることにより、イマチニブは、タイムマガジンの表紙となり、癌を戦うための「弾丸」と記載された。
【0004】
チロシンキナーゼは、細胞周期進行、細胞増殖、分化及び移動を生じさせる成長因子シグナル伝達の伝播に不可欠である。チロシンキナーゼは、FGFr及びPDGFrなどの細胞表面成長因子レセプタチロシンキナーゼ(RTK)並びにc−Src及びLckを含む非レセプタチロシンキナーゼを含む。これらの酵素の阻害は、抗腫瘍及び抗血管形成活性を生じさせることが実証されている(Hamby et al.,Pharmacol.Ther,1999;82[2−3]:169−193)。
【0005】
細胞増殖及び生存を制御する分子機構及びシグナル経路は、抗癌剤開発のための潜在的ターゲットとして高い注目を集めている。近年、多様なRTK及びGタンパク結合レセプタによって開始される増殖シグナルを統合するMAPK経路をターゲットとした多くの努力がなされている。
【0006】
MAPKシグナルカスケードは、3つのキナーゼ:Raf、MEK1/2及びERK1/2からなるコアモジュールの上流で機能するRasとして知られたGタンパクを含む。このシグナルのカスケードにおいて、Raf(セリン/トレオニンキナーゼ)は、MEK1/2をリン酸化、従って活性化し、次に、究極的にはERK1/2の活性化を生じさせる。Rasシグナル伝達におけるRaf機能の理解は、高度に保存されたアミノ末端制御領域とカルボキシル末端の触媒ドメインとを共有する68kD〜74kDの高度に保存されたタンパク(Daum et al.,Trends Biochem.Sci.1994,19:474−480)をコードする3つの遺伝子(A−raf、B−raf及びC−raf(raf−1)からなる遺伝子ファミリーによって哺乳動物においてRafがコードされるという事実によって複雑になる。Rafタンパクは、通常は細胞質ゾルであるが、小さいGタンパクRasによって原形質膜に動員される。これは、成長因子、サイトカイン及びホルモンによるRaf活性化のための本質的なステップである。膜におけるRaf活性化は、立体構造変更、他のタンパクへの結合、脂質への結合、並びに、いくつかの残基のリン酸化及び脱リン酸化を含む非常に複雑なプロセスを介して生じる。
【0007】
Rafキナーゼ及び特にB−Rafは、癌関連シグナル伝達の潜在的チェックポイントとしての重要性によって、創薬及び治療的介入の魅力的なターゲットであると長い間考えられている(Tuveson et al.,Cancer Cell,2003,4:95−98;Strumberg and Seeber,Onkologie,2005,28:101−107;Beeram et al.,J.Clin. Oncol.2005,23:6771−6790)。
【0008】
腫瘍細胞の増殖及び生存に対するMAPKシグナリングカスケードの重要性は、ヒト腫瘍におけるB−Rafの多数の突然変異活性化の発見に続いて、近年増大している。Raf突然変異の活性化は、メラノーマ、甲状腺、結腸及びその他の癌において確認されている(Davies et al, Nature,2002,417:949−954;Cohen et al.,J.Natl.Cancer Inst.,2003,95:625−627;Mercer and Pritchard,Biochim Biophys Acta,2003,1653:25−40;Oliveira et al., Oncogene,2003,22:9192−9196;Pollock et al.,Nat.Genet.2003,33:19−20;Domingo et al.,Genes Chromosomes Cancer 2004,39:138−142;Shih and Kurman,Am.J.Pathol.,2004,164:1511−1518)。従って、Ras突然変異又は活性化された成長因子レセプタによって腫瘍を抑制する役割に加えて、Rafキナーゼの阻害剤は、B−Raf腫瘍誘発遺伝子を有する腫瘍に対する治療的潜在力を有している(Sharma et al.,Cancer Res.2005,65:2412−2421)。
【0009】
アンチセンスのオリゴヌクレオチド及び小分子を含む様々な薬剤がRafキナーゼを阻害することがわかっている。これらの阻害因子は、Rafタンパクの発現を阻止するか、Ras/Raf相互作用をブロックするか、又は、そのキナーゼ活性を阻害する。siRNAによるB−Raf活性のダウンレギュレーションは、1205Lu細胞の腫瘍形成性能力を低下させ(Sharma et al.,Cancer Research,2005,65:2412−2421)、また、キナーゼ阻害剤BAY43−9006(ソラフェニブ)によるB−Raf活性のダウンレギュレーションは、メラノーマ細胞の増殖を阻害する(Panka et al.,Cancer Research.,2006,66:1611−9)。現在臨床評価を受けているRaf阻害剤は、耐用性の高い安全な特性と共に抗癌有効性の有望な証拠を示している。最も進んだものは、Raf阻害剤ソラフェニブ(ネクサバール(登録商標))であり、転移性腎細胞癌の治療のための臨床試験がされており(Ratain et al.,Proc.Am.Soc.Clin.Oncol.(ASCO Meeting Abstract),2004,23:Abstract 4501;Motzer et al.,J.Clin.Oncol.2006,24:16−24)、進行した腎細胞癌を有する患者の治療用にEMEAによって2007年に認可された。先のインターフェロンアルファ又はインターロイキン−2をべースとした治療に失敗した(RCC)又は腎臓癌は、そのような治療に適していないとみなされており、また、FDAによって、癌が手術不可能である場合に肝細胞癌として知られている肝臓癌の形態を有する患者における使用に適していないとされている。
【0010】
マイトジェン活性化タンパク(MAP)キナーゼのファミリーは、二重リン酸化によってそれらの基質を活性化する、プロリンを対象とするセリン/トレオニンキナーゼである。キナーゼは、栄養ストレス及び浸透ストレス、紫外線、成長因子、内毒素、並びに、炎症性サイトカインを含む様々なシグナルによって活性化される。マップキナーゼの一群は、様々なアイソフォーム(例えば、p38a、p39ss、p38又はp388)を含むp38キナーゼ群である。
【0011】
p38キナーゼは、転写因子及びその他のキナーゼをリン酸化して活性化することに関与しており、物理的ストレス及び化学的ストレス、炎症誘発性サイトカイン、並びに、細菌性脂質多糖体によって活性化される。
【0012】
さらに重要なことに、p38リン酸化の生成物は、TNF、IL−1及びシクロオキシゲナーゼ−2を含む炎症性サイトカインの生成を媒介することが示されている。これらのサイトカインは、多数の病状及び様相に関与していた。例えば、TNF−αは、活性化された単球及びマクロファージによって主として生産されるサイトカインである。その過剰な又は無秩序な生成は、慢性関節リウマチの発病原因に関係している。さらに近年になって、TNF生産の阻害は、炎症、炎症性腸疾患、多発性硬化症及び喘息の治療において広い用途があることが示されている。
【0013】
TNFもまた、HIV、インフルエンザウイルス、並びに、単純ヘルペスウイルスタイプ−1(HSV−1)、単純ヘルペスウイルスタイプ−2(HSV−2)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘帯状ヘルペスウイルス(VZV)、エプスタインバーウイルス、ヒトヘルペスウイルスタイプ−6(HHV−6)、ヒトヘルペスウイルス−7(HHV−7)、ヒトヘルペスウイルス−8(HHV−8)、仮性狂犬病及び鼻気管炎ウイルスを含むヘルペスウイルスなどのウイルス感染に特に関与している。
【0014】
同様に、IL−1は、活性化された単球及びマクロファージによって生産され、慢性関節リウマチ、発熱、及び、骨吸収の低下を含む多数の病態生理学的反応において役割を果たす。
【0015】
さらに、p38は、卒中、アルツハイマー病、骨関節炎、肺損傷、敗血症性ショック、血管形成、皮膚炎、乾癬及びアトピー性皮膚炎に関与している(例えばJ.Exp.Opin.Ther.Patents,(2000)10(1)を参照されたい)。
【0016】
p38キナーゼの阻害による前述のサイトカインの阻害は、これらの1つ以上の病状の制御、低減及び/又は緩和において有益であり得る。
【0017】
進歩がなされてきたにもかかわらず、低分子量キナーゼ阻害剤化合物、特にRafキナーゼを阻害する化合物であって、癌、腫瘍及びその他の増殖性疾患を含む様々な疾病、又は、再狭窄、血管形成、糖尿病性網膜症、乾癬、外科的癒着、黄斑変性及びアテローム性動脈硬化を含む疾病、又は、その他の疾患、又は、上述した疾病を治療するのに有用な化合物のために研究が続いている。従って、キナーゼ抑制活性、特に1つ以上のRafキナーゼに対する抑制活性を有するか、又は、腫瘍細胞などの細胞に対する抗増殖活性を有する組成物、医薬品及び/又は薬剤を提供する強い必要性がある。そのような組成物、医薬品及び/又は薬剤は、そのような活性を有しているだけでなく、その他の抗増殖性薬剤と比べて、耐用性が高い、許容可能な、又は、低減された副作用を与えるものであってもよい。更に、そのような組成物、医薬品及び/又は薬剤による治療に反応する腫瘍又はその他の疾病の範囲は、広範囲であってもよい。そのような組成物、医薬品及び/又は薬剤の活性成分は、上述した適応症において単剤及び/又は併用療法として適切であってもよく、その他の治療薬と、放射線と、手術/外科手術、温熱療法、又は、上述した適応症において知られているその他のあらゆる治療と組み合わされてもよい。
【0018】
特定の方法で置換された特定のクラスのピリド[2,3−d]ピリミジンは、薬理学的に有用な特性を有していることがわかっている。特に、ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンの特定の誘導体は、抗増殖活性を有することがわかっている。しかしながら、これらの化合物は、本発明の化合物とは構造的に類似していない。
【0019】
WO96/34867は、チロシンキナーゼを抑制し、腫瘍モデルにおいて特定の活性を有することが示された2−置換された及び2,8−置換された6−アリール−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン及びその7−イミノ誘導体を開示している(米国特許第5,620,981号及び米国特許第5,733,914号参照)。WO01/55147は、同様の活性を有する5,6−置換された2,7−ジアミノ−ピリド[2,3−d]ピリミジンを開示している。WO01/70741は、Cdk阻害剤活性を有することが示されている、置換された2−アミノ−5−(アルキル,アリール)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンを開示している。WO02/18380は、p38を含むプロテインキナーゼを抑制することが示されている、8位が置換されていない及び8位が置換された2−アミノ−6−アリール−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンを開示している。WO02/18380及びWO03/088972は、キナーゼを抑制し、従って、様々なサイトカインの生成を阻害できることが示されている2,4,8位が置換されたピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンを開示している。WO02/064594は、p38を含むプロテインキナーゼを抑制することが示されている、8位が置換されていない及び8位が置換された2−アミノ−6−(アミノ,オキシ)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン及びその7−イミノ誘導体を開示している。WO03/062236は、Cdk4の有力な阻害剤であることが示されている、(選択的に5、6及び/又は8位が置換された)2−(ピリド−2−イル)アミノ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンを開示している。WO03/066630は、Cdkの阻害剤であることが示されており、また、虚血性脳血管障害モデルにおいて活性を示した(選択的に2、4及び/又は5位が置換された)6−(モノシクリル)−ピリド[2、3−d]ピリミジン−7−オンを開示している。WO2004/063195は、Bcr−Ablキナーゼを抑制することが示されている、2−アミノ−8−メチル−6−フェニル−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンの誘導体を開示している。
【0020】
特に、PCT公開公報WO03/062236は、(選択的に5、6及び/又は8位が置換された)2−(ピリド−2−イル)アミノ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン及び2−(ピリド−2−イル)アミノ−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンを、Cdk4(及びCdk6)の強力な選択的阻害薬として開示しており、特定のそのような化合物を、WO98/33798及びWO01/70741に開示されているようにそれらのC2フェニルアミノ類似化合物と比較している。WO03/062236において開示されて特許請求の範囲に記載されている一般的マーカッシュ構造は、特に、8位の窒素に示された置換基を含み、一般化して記載されている置換基がC〜Cのアルコキシである。WO07/136465は、異常なキナーゼ活性に関連した疾病及び疾患の治療のための特定の6−(アルコキシ−アミノカルボニルフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンを開示している。WO07/136465において開示されて特許請求の範囲に記載されている一般的マーカッシュ構造は、特に、8位の窒素に示された置換基を含み、一般化して記載されている−Rを有する置換基−O−Rが「C〜C」のアルコキシを含む。
【発明の概要】
【0021】
我々は、C−Raf及びB−Raf又はp38などの多数のプロテインキナーゼの阻害剤として活性、並びに、腫瘍細胞などの細胞に対する抗増殖活性を含む驚くべき特性を示す化合物を含む8位が置換されたピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンのクラスを発明した。ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンのそのような誘導体は、癌又は炎症性障害などのキナーゼ脱制御又は細胞増殖に関連した疾病のための新規で有効な治療を開発する機会を提供する。
【0022】
以下にさらに詳しく論じるように、本発明の化合物は、ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンの特定の誘導体である。前に記載されている特定のピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンとの類似性において、本発明の化合物は、さらなる臨床前又は臨床研究、並びに、癌、増殖性、退行性、炎症性及びその他の疾患及び疾病を含む様々な疾患及び疾病の治療に向けた開発に適している。本発明は、癌及び他の疾病などの衰弱性疾病、及び、ここで一覧されているものを含む疾患に対して特に有効な治療及び治療方法を提供する。
【0023】
本発明の一態様は、以下に与えられる式(I)で表される構造を有する8−オキシ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン又はその互変異体若しくは立体異体の形態であって、キナーゼ阻害剤として有用であり、従って、癌などの増殖性の疾患又は疾病、及び、炎症性の疾患又は疾病を含むここで言及されている疾患又は疾病を治療するのに有用なものに関する。
【0024】
別の一態様において、本発明は、薬学的に許容可能な希釈剤、添加剤又は担体と、例えば、癌などの増殖性の疾患又は疾病並びに炎症性の疾患又は疾病を含むここで言及されている疾患又は疾病の影響を改善すると予想されるそのようなキナーゼ阻害剤の治療的有効量などの用量と、を含む医薬品組成物に関する。
【0025】
本発明のもう1つの態様は、そのような医薬品組成物と、前記医薬品組成物が癌などの増殖性の疾患又は疾病並びに炎症性の疾患又は疾病を含むここで言及されている疾患又は疾病に罹患している患者の治療に用いることができることを示す説明書と、を含む医薬品パッケージに関する。
【0026】
別の一態様において、本発明は、対象、細胞、組織、器官又は生命体に、本明細書に開示されている化合物又は医薬品組成物の治療的有効量を投与又は接触させるステップを含む方法に関する。これらの方法は、限定されるものではないが、癌などの増殖性の疾患又は疾病並びに炎症性の疾患又は疾病を含むここで言及されている疾患又は疾病の予防及び/又は治療を含む。
【0027】
別の一態様において、本発明は、癌などの増殖性の疾患又は疾病並びに炎症性の疾患又は疾病を含むここで言及されている疾患又は疾病の治療用医薬品を調製するための本発明の化合物の使用に関する。
【0028】
別の一態様において、本発明は、炎症性の疾患又は疾病の治療用医薬品を調製するための本発明の化合物の使用に関する。
【0029】
本発明の別の一態様は、本発明の化合物を合成する方法、及び、そのような化合物のための中間体に関する。
【0030】
従って、本発明は、一般式(I)

前記Rは水素、−NH、及び、置換された又は置換されていない:−NH−C1−6−アルキル、−NH−シクロアルキル、−NH−ヘテロシクロアルキル、−NHアリール、−NH−ヘテロアリール、−NH−C1−6アルキレン−OR、及び、−NH−C1−6アルキレン−NRから選択され;
前記Rは水素、−ハロゲン、−メチル、−CHF、−CHF、−CF、−O−メチル、−O−CHF、−O−CHF、及び、−O−CFから選択され;
及びRの1つは水素であり、他方は−NH−C(=O)−(NH)−(CH−Rであり、x及びyは0及び1から独立して選択され;
は水素、置換された又は置換されていない:−アルキル、−アルケニル、−アルキニル、−シクロアルキル、−シクロアルケニル、−(Cが連結されたヘテロシクロアルキル)、−(Cが連結されたヘテロシクロアルケニル)、−アリール、及び、−ヘテロアリールから選択され;
は置換された又は置換されていないアリール並びに置換された又は置換されていないヘテロアリールから選択され;
は水素及びC1−6アルキルから独立して選択される;
によって表される構造を有する化合物若しくはその任意の互変異性体であるか、又は、これらの薬学的に許容可能な塩又はN−オキシドの任意の化合物であるが;
(i)前記Rが置換された又は置換されていない−NH−フェニルではなく;(ii)化合物(A):

を除く化合物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明のその他の特徴及び長所は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかになる。
【0032】
発明の詳細な説明
定義
「アルキル」という用語は、1個から約7個の炭素原子を有する基を含む、1個から約20個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状鎖飽和炭化水素基を意味する。いくつかの実施形態においては、アルキル置換基が低級アルキル置換基であってもよい。「低級アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、いくつかの実施形態においては1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。限定されるものではないが、アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、及び、n−ヘキシルが含まれる。
【0033】
「アルケニル」という用語は、2個〜約20個の炭素原子を有する基であって、炭素炭素結合の少なくとも1つが二重結合である一方で、その他の結合が単結合又はさらなる二重結合であってもよい基を意味する。「アルキニル」という用語は、2個〜約20個の炭素原子を有する基であって、炭素炭素結合の少なくとも1つが三重結合である一方で、その他の結合が単結合、二重結合、又は、さらなる三重結合であってもよい基を意味する。アルケニル基の例には、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチル−2−プロペニルなどが含まれる。アルキニル基の例には、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニルなどが含まれる。
【0034】
ここで用いられているように、「シクロアルキル」は、あらゆる安定な単環系又は多環系の一部である環であって、そのような環が3個〜約12個の炭素原子を有するが、ヘテロ原子を有しておず、また、そのような環が完全に飽和している環を意味するように意図されている。「シクロアルケニル」という用語は、あらゆる安定な単環系又は多環系の一部である環であって、そのような環が3個〜約12個の炭素原子を有するが、ヘテロ原子を有しておらず、また、そのような環が少なくとも部分的に不飽和である(あらゆるアリール環を除く)環を意味するように意図されている。限定されるものではないが、シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、シクロオクチル、[2.2.2]ビシクロオクタンなどのビシクロオクタンと、[4.3.0]ビシクロノナンなどのビシクロノナンと、[4.4.0]ビシクロデカン(デカリン)などのビシクロデカンとを含むビシクロアルキル、又は、スピロ化合物が含まれる。限定されるものではないが、シクロアルケニルの例には、シクロペンテニル又はシクロヘキセニルが含まれる。明瞭性のために、置換基が上述したような多環系であって、1つの環が少なくとも部分的に不飽和であって、置換が少なくとも部分的に不飽和の環を介して生じていれば、そのような置換基は「シクロアルケニル」と呼ばれ、また、完全に飽和した環を介して置換が生じていれば、そのような置換基は「シクロアルキル」と呼ばれる。
【0035】
「Cx−y」という用語は、ここで定義されている基と組み合わせて用いられたとき、置換基を除いた、各基に存在する炭素原子の範囲を示すように意図されている。例えば、「C1−6−アルキル」という用語は、1個の炭素原子(すなわちメチル基)から6個の炭素原子(例えばn−ヘキシル)を有するアルキル基を意味する。「C3−6−シクロアルキル」という用語は、3個の炭素原子(すなわちシクロプロピル)から6個の炭素原子(例えばシクロヘキシル)を有するアルキル基を意味する。
【0036】
ここで用いられているように、「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロシクロアルケニル」という用語は、あらゆる安定な単環系又は多環系の一部である環であって、そのような環が4個〜約12個の原子を有し、そのような環が炭素原子と、特にN、O及びSからなる群より独立して選択される少なくとも1つのヘテロ原子といった少なくとも1つのヘテロ原子とからなる環を意味するように意図されており、ヘテロシクロアルキルは完全に飽和したそのような環を意味し、ヘテロシクロアルケニルは少なくとも部分的に不飽和の環(あらゆるアリール又はヘテロアリールを除く)を意味する。明瞭性のために、置換基が多環系であり、1つの環が本明細書に記載されている少なくとも1つのヘテロ原子を含んでおり、置換がヘテロ原子を含む環を介して生じていれば、そのような置換基は「ヘテロシクロアルキル/アルケニル」と呼ばれる。ヘテロシクロアルキル基及びヘテロシクロアルケニル基は、炭素環原子を介してその他の基に連結されていてもよいし(それぞれ「Cで連結されたヘテロシクロアルキル」及び「Cで連結されたヘテロシクロアルケニル」)、又は、窒素環原子(それぞれ「Nで連結されたヘテロシクロアルキル」及び「Nで連結されたヘテロシクロアルケニル」)を介してその他の基に連結されていてもよい。窒素及び硫黄などのヘテロ原子は、選択的に酸化されてN−オキシド又はスルホキシド及びスルホンをそれぞれ形成してもよい。いくつかの実施形態においては、複素環の窒素が四級化されていてもよい。いくつかの実施形態においては、複素環のS原子及びO原子の総数が1よりも多い場合には、これらのヘテロ原子が互いに隣接しない。特定の実施形態においては、複素環のS原子の総数が1以下である。
【0037】
ヘテロシクロアルキルの例は、限定されるものではないが、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラニジル、ピペリジニル、及びデカヒドロキノリニル(ピペリジニル部位を介して連結されている場合)を含む。ヘテロシクロアルケニルの例は、限定されるものではないが、ピロリニル、及び、インドレニル(5−員環を介して連結されている場合)含む。他に含まれるのは、例えば、ヘテロ原子含有環に連結されている各場合において、上記のあらゆる複素環を含む縮合環系及びスピロ化合物である。
【0038】
ここで用いられているように、「アリール」という用語は、あらゆる安定な単環系又は多環系の一部である環又は環系であって、そのような環又は環系が3個から約20個の炭素原子を有するが、ヘテロ原子を有さず、その環又は環系が「(4n+2)π電子則」によって定義される芳香族部位からなる環又は環系を意味するように意図されている。明瞭性のために、置換基が多環系であり、前記多環系に含まれている1つの環又は環系がここで定義されている芳香族部位からなっており、置換が前記芳香族部位を介して生じていれば、そのような置換基は「アリール」と呼ばれる。これは、限定されるものではないが、例えばナフタレン、アントラセンといったフェニル及び縮合ベンゼン環系、若しくは、フェナントレン環系、又は、例えば、1つ以上のシクロアルキル部位に縮合して、例えばインダニル、フルオレニル、テトラヒドロナフチル(テトラリン)を形成するベンゼン環、若しくは、例えばインドレニルといった1つ以上のヘテロシクロアルキル環に縮合したベンゼン環を含むが、そのような各場合において、そのような縮合系が芳香族部位を介して置換基として連結されていることが条件である。
【0039】
ここで用いられているように、「ヘテロアリール」という用語は、あらゆる安定な単環系又は多環系の一部である環又は環系であって、そのような環又は環系が3個から約20個の間の原子を有し、その環又は環系が、「(4n+2)π電子則」によって定義される芳香族部位からなり、炭素原子並びに1つ以上の窒素、硫黄及び/又は酸素ヘテロ原子を含む環又は環系を意味する。明瞭性のために、置換基が多環系であり、前記多環系に含まれている環又は環系がここで定義されているヘテロ原子を含む芳香族部位からなっており、置換がヘテロ原子を含む芳香族部位を介して生じていれば、そのような置換基は「ヘテロアリール」と呼ばれる。いくつかの実施形態においては、ヘテロアリールのN、S及びO原子の総数が1個〜約4個である。いくつかの実施形態においては、芳香族ヘテロアリールのS及びOの原子の総数が1以下である。いくつかの実施形態においては、複素環中の窒素は四級化されていてもよいし又はN−オキシドに酸化されていてもよい。ヘテロアリールの例は、限定されるものではないが、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリルインドリル、ベンズイミダゾリル、フラニル、ベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、キノリニル、キナゾリニルを含む。
【0040】
ヘテロアリールという用語に含まれている他のものは、例えば、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルに縮合した上記ヘテロアリールを含む縮合したヘテロアリールである(各場合において、そのような縮合系が少なくとも1個のヘテロ原子を含む芳香族部位を介して置換基として連結されていると仮定する)。
【0041】
本明細書中においてどのように指示されていたとしても、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルケニル基、アリール基及びヘテロアリール基、並びに、部分構造中に少なくとも1つの水素を含むその他の部分構造は、1個以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0042】
「置換されている」は、示されている原子の通常の価数又は置換されている基の適切な原子の価数が過剰ではなく、かつ、その置換によって安定な化合物をもたらすという条件で、「置換されている」という表現を用いて示されている原子又は基の1個以上の水素が、示されている基から選択されるもので置換されていることを意味するように意図されている。「置換された又は置換されていない」又は「選択的に置換された」という用語は、ある化合物又は化合物の部分構造が、ここで定義されているように置換されていないか、又は、示されているように若しくは以下に定義されているように1個以上の置換基で置換されていることを意味するように意図されている。
【0043】
置換された部位において、置換基の特定の一覧が明示的に提供されていなければ、その部位「M」の少なくとも1個の水素原子が置換基−[(RSm]で置換されており、mは1からnの整数であり、nは1〜約15の任意値であり、RSmがそれぞれ以下のリスト(A)及び(B)から独立して選択される。
(A):アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、Cで連結されたヘテロシクロアルキル、Cで連結されたヘテロシクロアルケニル、アリール、Cで連結されたヘテロアリール、−O−R、−ON(R、−S−R、−S−N(R、Nで連結されたヘテロシクロアルキル、Nで連結されたヘテロアリール、−N(R)−R及び−N(R)−OR、−N(R)−SR、−N(R)−N(R、−F、−Cl、−Br、−I;
(B):−C(=O)−R、−C(=S)−R、−C(=NR)−R、−C(=N−OR)−R、−C(=N−N(R)−R、−C(=O)−OR、−C(=S)−OR、−C(=O)−N(R、−C(=S)−N(R、−C(=NR)−N(R、−C(=N−OR)−N(R、−C(=N−N(R)−N(R、−C(=O)−N(R)−N(R、−C(=S)−N(R)−N(R、−C(=NR)−N(R)−N(R、−CN、−O−N=C(R、−O−C(=O)−R、−O−C(=S)−R、−O−C(=NR)−R、−O−C(=N−OR)−R、−O−C(=N−N(R)−R、−O−C(=NR)−OR、−O−C(=NR)−SR、−O−C(=NR)−N(R、−S−N(R)−N(R、−S−N=C(R、−S−N=NR、−SO−R、−SO−OR、−SO−SR、−SO−N(R、−SO−N(R)−N(R、−SO−R、−SO−OR、−SO2−SR、−SO−N(R、−SO−N(R)−N(R、−N(R)−N=C(R、−N(R)−C(=O)−R、−N(R)−C(=S)−R、−N(R)−C(=NR)−R、−N(R)−C(=N−OR)−R、−N(R)−C(=N−N(R)−R、−N(R)−C(=O)−OR、−N(R)−C(=S)−OR、−N(R)−C(=NR)−OR、−N(R)−C(=N−OR)−OR、−N(R)−C(=N−N(R)−OR、−N(R)−C(=O)−N(R、−N(R)−C(=S)−N(R、−N(R)−C(=NR)−N(R、−N(R)−C(=N−OR)−N(R、−N(R)−C(=N−N(R)−N(R、−N(R)−C(=O)−N(R)−N(R、−N(R)−C(=S)−N(R)−N(R、−N(R)−C(=NR)−N(R)−N(R、−N(R)−C(=N−OR)−N(R)−N(R、−N(R)−C(=N−N(R)−N(R)−N(R、−N(R)−N(R)−C(=O)−R、−N(R)−N(R)−C(=S)−R、−N(R)−N(R)−C(=NR)−R、−N(R)−N(R)−C(=N−OR)−R、−N(R)−N(R)−C(=N−N(R)−R、−N(R)−N(R)−C(=O)−OR、−N(R)−N(R)−C(=S)−OR、−N(R)−N(R)−C(=NR)−OR、−N(R)−N(R)−C(=N−OR)−OR、−N(R)−N(R)−C(=N−N(R)−OR、−N(R)−N(R)−C(=O)−N(R、−N(R)−N(R)−C(=S)−N(R、−N(R)−N(R)−C(=NR)−N(R、−N(R)−N(R)−C(=N−OR)−N(R、−N(R)−N(R)−C(=N−N(R)−N(R、−N(R)−N(R)−C(=O)−N(R)−N(R、−N(R)−N(R)−C(=S)−N(R)−N(R、−N(R)−N(R)−C(=NR)−N(R)−N(R、−N(R)−N(R)−C(=N−OR)−N(R)−N(R、−N(R)−N(R)−C(=N−N(R)−N(R)−N(R、−N(R)−N(R)−C(=NR)−N=C(R、−N(R)−N(R)−C(=N−OR)−N=C(R、−N(R)−N(R)−C(=N−N(R)−N=C(R、−N(R)−SO−R、−N(R)−SO−OR、−N(R)−SO−N(R、−N(R)−SO−NR−N(R、−N(R)−SO−R、−N(R)−SO−OR、−N(R)−SO−N(R、−N(R)−SO−NR−N(R、−NO、−N、−F、−Cl、−Br、−I;
前記Rは、−H及びRから独立して選択され、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、Cで連結されたヘテロシクロアルキル、Cで連結されたヘテロシクロアルケニル、アリール、及び、Cで連結されたヘテロアリールからそれぞれ独立して選択され、代替的に、2つの置換基Rは、同じ窒素原子に結合している場合には、結合している窒素原子と共に、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルケニル基又はヘテロアリール基を形成することができ、RS1はそのような部位Mに結合しており、任意のさらなるRSxは、存在する場合には、基RSyの残基Rの水素原子を置換しており、x>yである。
【0044】
シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルケニル部位の環内に存在するメチレン基は、下記リスト(C):=O、=S、=NR、=N−OR及び=N−N(Rから選択される置換基Rによって同様に置換されていてもよく、そのような各置換基について、非置換部位のメチレン基の両方の水素が置換されている。アミン又は窒素含有複素環などの窒素含有部分構造は、第四級アミン又はN−オキシドの形成によって同様に置換されていてもよく、Rがアルキル又は−Oである。
【0045】
例えば、置換基−CH−O−CH2−CH−Fを、−RS3が−Fであり、その−Fが−O−C−アルキルであるRS2中の水素原子を置換しており、そのようなRS2が、CアルキルであるRS1中の水素原子を置換する−[(RSm]として記載することができる。この例において、−[(RSm]中の個別要素RSmは、−[(RSm]中のすべてのRSxがx=y+1で(すなわち、RS3がRS2に連結されるなどのように)RSyに連結されているので、「直線的」態様で配置されている。
【0046】
第2の例として、置換基−CH2−O−CH2−CFを、すべてのRS3、RS4及びRS5が−F原子であり、そのF原子が−O−C2−アルキルであるRS2の水素原子を置換しており、そのようなRS2が、C−アルキルであるRS1中の水素原子を置換している−[(RSm]として記載することができる。この例において、−[(RSm]中の個別要素RSmは、少なくとも1つのRSx(例えば、この場合はRS4又はRS5)がRSy(この場合はRS2)に連結されているので、x>y+1で「分岐的」態様で配置されている。
【0047】
いかなる当業者にも容易に明らかであるように、可能な個別要素Rの多数の組合せが存在する。しかしながら、同様に当業者に明らかなように、低安定性、高反応性、又は、低溶解度などの不利な物理化学的特性のせいで、結果的にあまり好ましくない配置となり、本発明の化合物の設計及び合成において考慮されないであろう組合せが存在する。具体例は、限定されるものではないが、セミアセタール又はセミケタール(−O−CR2−OH)、Michael系(例えば、−C(=O)−CR=CR)、α−ハロゲンカルボニル化合物(例えば、−C(=O)−CR2−Br)、多環式芳香族系などを含む。
【0048】
特定の実施形態においては、上記リスト(B)及び(C)から選択される置換基−[(RSm]中の要素Rの番号が2以下である。特定の実施形態においては、上記リスト(B)及び(C)から選択される置換基−[(RSm]中に1以下の要素Rが存在する。
【0049】
特定の実施形態において、置換基−[(RSm]中のnは、1から約12までの任意の値、1〜約10までの任意の値、1〜約8までの任意の値、又は、1〜約6までの任意の値である。
【0050】
特定の実施形態において、置換基−[(RSm]中のnは、−F又は−Clではないすべての置換基について、1から約6までの任意の値、1〜約5までの任意の値、1〜約4までの任意の値、又は、1〜約3まで任意の値である。
【0051】
特定の実施形態において、置換基−[(RSm]中の原子の数は、1から約80までの任意の値、1から約60までの任意の値、1から約50までの任意の値、1から約40までの任意の値、1から約30までの任意の値、1から約20までの任意の値、1から約15までの任意の値、又は、1から約10までの任意の値である。
【0052】
特定の実施形態において、置換基−[(RSm]中のすべての原子の合計分子量は、1から約360までの任意の値、1から約300までの任意の値、1から約240までの任意の値、1から約180までの任意の値、1から約120までの任意の値、1から約90までの任意の値、又は、1から約60までの任意の値である。
【0053】
「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨード置換基を意味する。
【0054】
本明細書で用いられている「立体異性体」及び「互変異性体」という用語は、本発明の化合物のあらゆる立体異性及び互変異性体を含む。本発明の化合物が1つ以上の不斉中心を含む場合には、あり得るすべての鏡像異性体及びジアステレオマーの形態が含まれる。
【0055】
本発明は、本化合物に存在する原子のすべてのアイソトープを含むように意図されている。アイソトープは、同じ原子番号であるが異なる質量数を有する原子である。限定されるものではないが、一般的な例によれば、水素のアイソトープは、三重水素及び重水素を含む。炭素のアイソトープは、12C及び14Cを含む。
【0056】
ここで用いられているように、「代謝産物」という用語は、代謝又は代謝プロセスによって作られるあらゆる物質を意味する。ここで用いられているように、代謝は、細胞、組織、器官、身体、動物、個体、患者又はヒトに存在する分子又は化合物の変換に関与する様々な物理的/化学的/生化学的/薬理学的反応を意味する。
【0057】
ここで用いられているように、「IC50」という用語は、例えば、腫瘍細胞などの細胞の増加又は増殖といった、測定可能な活性、表現型、又は、反応が50%に抑制される濃度を意味する。適切な用量反応曲線から、例えば、目視によって、又は、適切な曲線フィッティング、又は、統計ソフトウェアを用いることによって、IC50値を推定することができる。より正確には、非線形回帰分析を用いてIC50値を決定してもよい。
【0058】
ここで用いられているように、「個体」は、多細胞生命体(例えば霊長類を含む哺乳類などの動物)を意味する。ヒトなどの霊長類に加えて、様々な他の哺乳動物を、本発明の1つ以上の化合物を用いる方法で治療することができる。例えば、メスウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、ラット又は他のウシ、ヒツジ、ウマ、イヌ、ネコ、げっ歯動物又はマウスを含むがこれらに限定されない哺乳動物を用いることができる。
【0059】
ここで用いられているように、「増殖性疾患」又は「増殖性疾病」は、細胞の成長、分化又は増殖プロセスに影響する疾病又は疾患を含む。
【0060】
ここで用いられているように、「細胞の成長、分化又は増殖プロセス」は、細胞がその他の細胞の特性とは異なる特殊化した特性群を発達させることによって、又は、細胞が特定の位置又は刺激のより近く又は遠くに移動することによって、細胞が、数、大きさ又は内容物において増大するプロセスである。細胞の成長、分化又は増殖プロセスは、アミノ酸輸送及び分解並びに細胞のその他の代謝プロセスを含む。細胞増殖性疾患は、異常に制御された細胞の成長、増殖、分化又は移動を特徴とすることもある。細胞増殖性疾患は、腫瘍形成性の疾病又は疾患を含む。
【0061】
ここで用いられているように、「腫瘍形成性の疾病又は疾患」は、異常に制御された細胞の成長、増殖、分化、付着又は移動であって、結果的に腫瘍生成又は腫瘍生成傾向を生じさせることを特徴とする疾病又は疾患を含む。ここで用いられているように、「腫瘍」は、良性又は悪性の組織集団を含む。細胞の成長又は増殖の疾患の例は、限定されるものではないが、腫瘍、癌、自己免疫性疾患、ウイルス病、菌類病、神経変性障害及び心臓血管疾患を含む。
【0062】
ここで用いられているように、「抗ガン剤」又は「抗増殖剤」という用語は、それぞれ、抗ガン特性及び抗増殖特性を有する化合物を意味する。これらの化合物は、以下に限定されるものではないが、アルトレタミン、ブスルファン、クロラムブチル、シクロホスファミド、イホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、チオテパ、クラドリビン、フルオロウラシル、フロクスウリジン、ゲムシタビン、チオグアニン、ペントスタチン、メトトレザト、6−メルカプトプリン、シタラビン、カルマスティン、ロムスチン、ストレプトゾトシン、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、ピコプラチン、LA−12、イプロプラチン、テトラプラチン、ロバプラチン、JM216、JM335、サトラプラチン、フルダラビン、アミノグルテチミド、フルタミド、ゴセレリン、リュープロリド、酢酸メゲストロール、酢酸シプロテロン、タモキシフェン、アナストロゾール、ビカルタミド、デクサメタゾーン、ジエチルスチルベストロール、プレドニゾン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、ロソキサントロン、マイトマイシン−c、プリカマイシン、パクリタキセル、ドセタセル、トポテカン、イリノテカン、9−アミノカンプトテカン、9−ニトロのカンプトテカン、GS−211、JM118、エトポシド、テニポシド、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、プロカルバジン、アスパラギナーゼ、ペガスパルガーゼ、オクトレオチド、エストラムスチン及びヒドロキシ尿素を含む。前記用語は、以下に限定されるものではないが、さらに、例えば1D09C3といった抗体及びWO01/87337及びWO01/97338に記載されているその他の抗HLA−DR抗体などの非小分子治療剤、米国特許第5,736,137号、米国特許第5,776,456号、米国特許第5,843,437号に記載されているリツキサン、4D5、Mab225、C225、ダクリズマブ(ゼナパックス)、アンテグレン、CDP870、CMB−401、MDX−33、MDX−220、MDX−477、CEA−CIDE、AHM、ビタキシン、3622W94、Therex、5Gl.1、IDEC−131、HU−901、マイロターグ、ザミル(SMART M195)、MDX−210、フミケード(Humicade)、リンパCIDE、ABX−EGF、17−1A、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標)、rhuMAb)、エプラツズマブ、セツキシマブ(アービタックス(登録商標))、ペルツズマブ(オムニターグ(登録商標)、2C4)、R3、CDP860、ベバシズマブ(アバスチン(登録商標))、トシツモマブ(ベキサール(登録商標))、イブリツモマブチウクセタン(ゼバリン(登録商標))、M195、1D10、Hu1D10(レミトゲン(登録商標)、アポリズマブ)、ダントン/DN1924、HD4又はHD8などの「HD」抗体、CAMPATH−I及びCAMPATH−IH若しくはこれらの変異体、断片、接合体、誘導体及び修飾物又は改善若しくは最適化された特性を有するその他の均等組成、並びに、例えば、「Trends in Biotechnology(2003),21(12),p.556−562」に記載されているタンパクを含む。
【0063】
ここで用いられているように、「炎症性障害」又は「炎症性疾患」は、炎症プロセスによって生じる又は炎症プロセスに伴う疾病又は疾患を含む。これは、限定されるものではないが、慢性関節リウマチ、脊椎関節症、痛風性関節炎、骨関節炎、全身性紅斑性狼瘡及び若年性関節炎、骨関節炎、痛風性関節炎、並びに、その他の関節炎病状を含む関節炎などの疾病又は疾患;成人呼吸窮迫症候群、肺サルコイドーシス、喘息、珪肺症、及び、慢性肺炎症性疾患を含む肺疾患又は肺炎症;敗血、敗血症性ショック、グラム陰性菌敗血、マラリア、髄膜炎、感染又は悪性腫瘍に続発する悪液質、後天性免疫不全症候群(AIDS)に続発する悪液質、AIDS、ARC(エイズ関連症候群)、肺炎、及び、ヘルペスウイルスを含むウイルス感染及び細菌感染;骨粗鬆症などの骨吸収疾病、エンドトキシンショック、中毒性ショック症候群、再潅流障害、移植片対宿主反応と、同種異系移植片拒絶反応とを含む自己免疫性疾患、アテローム性動脈硬化と、血栓症と、うっ血性心不全と、心臓再潅流障害とを含む心臓血管疾患、腎再潅流障害、肝臓病及び腎炎、並びに、感染による筋痛症;アルツハイマー病、インフルエンザ、多発性硬化症、癌、糖尿病、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、乾癬、湿疹、熱傷、皮膚炎、ケロイド形成及び瘢痕組織形成などの皮膚関連病;炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群及び潰瘍性大腸炎などの胃腸病;網膜炎、網膜症、ブドウ膜炎、視覚羞明、及び、眼組織に対する急性損傷などの眼疾病;新生組織形成を含む血管形成;転移;角膜移植片拒絶反応、眼球血管新生、損傷又は感染に続く血管新生を含む網膜血管新生、糖尿病性網膜症、後水晶体繊維増殖症及び血管新生緑内障などの眼科的病状;胃潰瘍などの潰瘍性疾病;幼児性血管腫、鼻咽腔の血管線維腫、及び、無腐性骨壊死を含む血管腫などの病的であるが悪性ではない病状;糖尿病性腎症及び心筋症;及び、子宮内膜症などの女性生殖器系の疾患を含む。
【0064】
ここで用いられているように、「薬学的に許容可能な塩」は、開示されている化合物の誘導体であって、該化合物の誘導体の親化合物が酸性塩又は塩基塩を作ることによって修飾されたものを意味する。薬学的に許容可能な塩の例は、限定されるものではないが、アミンなどの塩基性残基の無機酸性塩又は有機酸性塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリ性塩又は有機塩等を含む。薬学的に許容可能な塩は、例えば非毒性の無機酸又は有機酸から形成される親化合物の従来の非毒性塩又は第四級アンモニウム塩を含む。例えば、そのような従来の非毒性塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸に由来するもの;及び、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2つのアセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタン、ジスルホン酸、シュウ酸、及び、イセチオン酸などの有機酸から調製される塩を含む。
【0065】
本発明の薬学的に許容可能な塩は、従来の化学的方法によって塩基性部位又は酸性部位を含む親化合物から合成可能である。通常、そのような塩は、水、有機溶媒又はこれらの混合物中において、これらの化合物の遊離酸又は塩基形態を理論量の適切な塩基又は酸性と反応させることによって調製可能である。通常、エーテル、EtOAc、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリルなどの非水性溶媒が好ましい。適切な塩のリストは、「Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th ed., Mack Publishing Company,Easton,PA,1990,p.1445」にみつけることができ、その開示は、ここで言及することによって組み込まれている。
【0066】
本明細書に含まれている化合物の望ましい生物活性を保持し、かつ、望ましくない又は毒性効果を示さないか又は最小限に示すあらゆる塩もまた、本発明に含まれるように意図されている。薬学的に許容可能な塩は、薬学的に許容可能な有機又は無機の酸及び塩基に由来するものを含む。非薬学的に許容可能な酸及び塩基は、例えば、対象化合物の合成及び/又は精製といったことにも用途がみいだされる。従って、すべて「塩」もまた、本発明の範囲に包含される。
【0067】
適切な塩の非限定的な例は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、両炭酸、及び、炭酸といった無機酸に由来する塩;及び、例えば、ギ酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、マロン酸、アスコルビン酸、クエン酸、安息香酸、タンニン酸、パルモ酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、トシル酸、メタンスルホン酸、ナフタリンスルホン酸、ナフタレン二スルホン酸、α−ケトグルタル酸、β−グリセロリン酸、及び、ポリガラクツロン酸といった有機酸を用いて形成される塩を含む。適切な塩は、リチウム、カリウム及びナトリウムなどのアルカリ金属、カルシウム及びマグネシウムなどのアルカリ土類金属、及び、当業者に知られているその他の酸に由来する塩を含む。その他の適切な塩は、亜鉛、ビスマス、バリウム若しくはアルミニウムなどの金属陽イオン、又は、アンモニア、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、D−グルコサミン、テトラエチルアンモニウム若しくはエチレンジアミンなどのアミンから形成される陽イオンに由来する塩を含む。さらに、適切な塩は、例えばタンニン酸亜鉛塩といった酸と塩基との組合せに由来する塩を含む。
【0068】
「薬学的に許容可能な」というフレーズは、本明細書において、これらの化合物、材料、組成物及び/又は投薬形態であって、適切な医療的判断の範囲内であり、人間及び動物の組織に接触した使用に適しており、過度な毒性、刺激、アレルギー反応、又は、合理的な利益/リスク比と同程度のその他の問題若しくは合併症を伴わないものを意味するように用いられる。
【0069】
ここで用いられているように、「プロドラッグ」という用語は、ここで定義されている化合物のような、インビボにおいて薬理学的に活性な親薬剤に変換される薬剤を意味する。「プロドラッグ」という用語は、そのようなプロドラッグが動物に投与されたときにインビボにおいて本発明の活性親薬剤を放出する、共有結合で接合したあらゆる担体を含む。プロドラッグは、医薬品(例えば溶解性、生体有用性、生産、輸送、薬動動態等)の多数の望ましい品質を高めることがわかっているので、本発明の化合物をプロドラッグの形態で送達してもよい。プロドラッグは、例えば、親薬剤がそうでない場合でさえも、経口投与によって生物学的に利用可能であることもある。従って、本発明は、特許請求の範囲に記載されている化合物のプロドラッグ、そのプロドラッグを送達する方法、及び、そのプロドラッグを含む組成物を包含するように意図されている。本発明のプロドラッグは、その化合物中に存在する官能基を修飾することによって調製される。その修飾は、ルーティーン的操作又はインビボにおいて親化合物に開裂されるような態様である。プロドラッグは、本発明の化合物であって、本発明のプロドラッグを哺乳類対象に投与したときに、ヒドロキシ基、アミノ基又はスルフヒドリル基が任意の基に結合するものを含み、それは開裂して、それぞれ、遊離水酸基、遊離アミノ基、又は、遊離スルフヒドリル基を形成する。プロドラッグの例は、限定されるものではないが、本発明の化合物のアルコール官能基及びアミン官能基の酢酸塩、蟻酸塩及び安息香酸塩誘導体を含む。
【0070】
一般的に言えば、プロドラッグは、投与後に生理活性種への変換又は代謝を受ける薬剤自体の誘導体である。その変換は、生理的環境における加水分解のような自発的なものであってもよいし、又は、酵素触媒されていてもよい。プロドラッグは、酸化されて、還元されて、アミノ化されて、脱アミノされて、ヒドロキシ化されて、脱ヒドロキシ化されて、加水分解されて、エステル化されて、アルキル化されて、脱アルキル化されて、アシル化されて、脱アシル化されて、リン酸化されて、及び/又は、脱リン酸化されて、活性化化合物を生じさせ得る化合物を含む。
【0071】
一般にプロドラッグを取り扱う多数の科学文献の中でも先の例:Gangwar et al., "Prodrug, molecular structure and percutaneous delivery", Des.Biopharm.Prop.Prodrugs Analogs, [Symp.]Meeting Date 1976, 409-21.(1977);Nathwani and Wood, "Penicillins:a current review of their clinical pharmacology and therapeutic use", Drugs 45(6):866-94 (1993);Sinhababu and Thakker, "Prodrugs of anticancer agents", Adv.Drug Delivery Rev. 19(2):241-273 (1996);Stella et al., "Prodrugs.Do they have advantages in clinical practice?", Drugs 29(5):455-73 (1985);Tan et al."Development and optimization of anti-HIV nucleoside analogs and prodrugs:A review of their cellular pharmacology, structure-activity relationships and pharmacokinetics", Adv.Drug Delivery Rev. 39(1-3):117-151 (1999);Design of Prodrugs (Bundgaard H. ed.) 1985 Elsevier Science Publishers B. V. (Biomedical Division), Chapter 1;Design of Prodrugs:Bioreversible derivatives for various functional groups and chemical entities (Hans Bundgaard);Bundgaard et al. Int.J. of Pharmaceutics 22 (1984) 45 - 56 (Elsevier);Bundgaard et al. Int.J. of Pharmaceutics 29 (1986) 19 - 28 (Elsevier);Bundgaard et al.J. Med.Chem. 32 (1989) 2503 - 2507 Chem. Abstracts 93, 137935y (Bundgaard et al.);Chem. Abstracts 95, 138493f {Bundgaard et al.);
Chem. Abstracts 95, 138592n (Bundgaard et al);Chem. Abstracts 110, 57664p (Alminger et al);
Chem. Abstracts 115, 64029s (Buur et al);Chem. Abstracts 115, 189582y (Hansen et al);
Chem. Abstracts 117, 14347q (Bundgaard et al);Chem. Abstracts 117, 55790x (Jensen et al);
及び、Chem. Abstracts 123, 17593b (Thomsen et al)を引用する。
【0072】
「投与された」、「投与」又は、化合物を「投与する」という用語は、そのような患者をそのような化合物に接触させることによって、又は、その他の方法でそのような患者をそのような化合物に暴露させることによって、動物を含む治療を必要とする個体に本発明の任意の化合物を提供することを意味することは理解されるであろう。
【0073】
「インビトロ」という用語は、身体外の人工条件における生物学的存在、生物学的プロセス、又は、生体反応を意する。例えば、インビトロにおいて培養された細胞は、例えばチューブ、培養トレイ又はマイクロタイタープレートといった身体外環境において培養された細胞として理解されるように意図されている。
【0074】
「治療的有効量」という用語は、対象化合物の量であって、例えば癌若しくは腫瘍といった増殖性の疾患又は疾病などの疾患又は疾病の影響/症状を緩和すること、又は、例えば腫瘍細胞などの増殖細胞の増殖を消滅又は阻害することといった、研究者、科学者、薬理学者、薬剤師、獣医、医師、又は、その他の臨床家によって求められている細胞、組織、器官、身体、動物、個体、患者、又は、ヒトの生物学的、生理的、薬理学的、治療的、又は、医療的反応を誘発する量を意味する。この治療的有効量は、以下の「投薬量」のセクションに記載されているものを含む標準的手順によって決定可能である。
【0075】
「さらに治療される」、「さらなる投与」又は「さらに投与された」という用語は、様々な治療薬又は化合物を、代替的に又は断続的に投与してもよいことを意味する。そのようなさらなる投与は、例えば、異なる回数で、異なる日数で、又は、異なる態様若しくは投与経路を介して、時間的に又は空間的に分離されていてもよい。
【0076】
本発明の特定の化合物
本発明の一態様は、式(I)で表される構造を有する化合物又はその任意の互変異性形態若しくは立体異性形態であって、1つ以上のR、R及び/又はR中の「置換された又は置換されていない」と示されている部位中の1つ以上の水素原子が、上述されている置換基−[(RSm]の1つ以上によって独立して置換されていてもよい化合物に関する。
【0077】
表4は、置換されたアリール又はヘテロアリールを、R、すなわち、基−R−[(RSm]として有する本発明の例示的化合物の選択、及び、各ケースにおいてどのように置換基−[(RSm]を分析することができるかを示している。
【0078】
本発明の一態様は、式(I)で表される構造を有する化合物又は上記に定義されているその任意の互変異性形態若しくは立体異性形態であって、Rが、置換された又は置換されていない−NH−ピリド−2−イルである化合物に関する。
【0079】
本発明の一態様は、式(I)で表される構造を有する化合物又はその任意の互変異性形態若しくは立体異性形態であって、Rが、水素、−NH、及び、置換された又は置換されていない:−NH−C1−6アルキル、−NH−シクロアルキル、−NH−ヘテロシクロアルキル、−NH−C1−6−アルキレン−OR、及び、−NH−C1−6−アルキレン−NRから選択され、R、R、R、R及びRが上記定義と同じである化合物に関する。
【0080】
本発明のさらなる一態様は、式(I)で表される構造を有する化合物又はその任意の互変異性形態若しくは立体異性形態であって、Rが、置換された又は置換されていない−NH−C1−6−アルキレン−NRであり、R、R、R、R及びRが上記定義と同じである化合物に関する。
【0081】
本発明のもう1つの態様は、式(I)で表される構造を有する化合物又はその任意の互変異性形態若しくは立体異性形態であって、Rが水素及び塩素から選択され、R、R、R及びRが上記定義と同じである化合物に関する。いくつかの実施形態においては、Rが−塩素である。
【0082】
本発明のもう1つの態様は、式(I)で表される構造を有する化合物又はその任意の互変異性形態若しくは立体異性形態であって、Rが水素であり、Rが−NH−C(=O)−(NH)−(CH−Rであり、x及びyは0及び1から独立して選択され、R、R、R及びRが上記定義と同じである化合物に関する。特定の実施形態においては、yが0である。
【0083】
本発明のもう1つの態様は、式(I)で表される構造を有する化合物又はその任意の互変異性形態若しくは立体異性形態であって、Rが水素であり、Rが−NH−C(=O)−(NH)−(CH−Rであり、x及びyが0及び1から独立して選択され、R、R、R及びRが上記定義と同じである化合物に関する。特定の実施形態においてはxが0である。その他の実施形態においてはyが0である。特定の実施形態においてはx及びyが0である。
【0084】
本発明のもう1つの態様は、式(I)で表される構造を有する化合物又はその任意の互変異性形態若しくは立体異性形態であって、Rが、置換された又は置換されていない:−アルキル及び−シクロアルキルから選択され、R、R、R及びRが上記定義と同じである化合物に関する。いくつかの実施形態においては、Rが、置換された又は置換されていない:−C1−6−アルキル及び−C3−8−シクロアルキルから選択される。いくつかの実施形態においてはRが置換された又は置換されていない−C1−6−アルキルであり、特定の実施形態においてはRがメチルである。
【0085】
当業者は、本明細書に開示されている化合物の可変領域、すなわち、R、R、R、R及びRの個々のある得る残基のすべての特定の組合せが本発明の範囲内であることを認識するであろう。
【0086】
本発明の一実施形態においては、本発明の化合物が、350〜1000、好ましくは400〜800、より好ましくは400〜600、さらに好ましくは400〜550の分子量を有している。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、(i)水素結合供与体が5個以下である、(ii)水素結合受容体が10個以下である、(iii)回転可能な結合(末端原子への結合を除く)が10個以下である、という特性の1つ以上を有している。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物が、500未満の分子量、5個以下の水素結合供与体、10個以下の水素結合受容体、及び、−2から5の間のcLogP値を有することによって、リピンスキーの「5の法則」(Lipinski,Adv.Drug Del.Rev. 1997;23:3)に従う。
【0087】
本発明の一実施形態においては、本発明の化合物がB−Rafの活性の阻害剤である。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、1μM未満のIC50値でB−Raf活性を阻害する。そのようなIC50値は、以下に示されている実施例に記載されているB−Raf阻害分析に従って決定される。いくつかの実施形態において、IC50値は、0.5μM未満、0.2μM未満、0.1μM未満、又は、0.01μM未満である。
【0088】
本発明の別の実施形態においては、本発明の化合物がp38の活性の阻害剤である。いくつかの実施形態においては、本発明の化合物が1μM未満のIC50値でp38活性を阻害する。いくつかの実施形態において、IC50値が0.5μM未満、0.2μM未満、0.1μM未満、又は、0.01μM未満である。
【0089】
本発明の一実施形態においては、本発明の化合物が90%以上、95%以上、98%以上又は99%以上の純度を有する。そのような化合物は、2つ以上の多様な形態を含む1つ以上の結晶形態で存在していてもよいし、乾燥固体、又は、決まった量の水を含む水和物を含む、決まった量の溶媒を含む溶媒和物として存在していてもよい。
【0090】
もう1つの実施形態において、本発明の化合物は、合成化学構想の計画された意図的な生成物である。すなわち、本発明の化合物は、分解、代謝若しくは発酵によってではなく、反応容器中で実行される計画された特定の化学的プロセスによって生成されるか、又は、その他の化合物の合成における不純物又は副産物として生成される。
【0091】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、例えば、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%(少なくとも97%、少なくとも98%、又は、少なくとも99%など)の純度を有するように精製又は分離される。純度は、本明細書において用いられているように、絶対的純度又は相対的純度を意味し得る。絶対的純度は、1以上の精製ステップの前又は後に、合成化学構想の生成物として得られる本発明の化合物の量を意味する。相対的純度は、副産物、分解産物(例えば代謝産物、酸化又は加水分解の生成物等)、及び/又は、分解して本発明の化合物を形成する化合物(例えば前駆物質又はプロドラッグ)であって、例えば合成化学スキームの生成物中に存在することがある化合物などの1つ以上の不純物に対する本発明の化合物の量を意味する。従って、相対純度が添加剤、安定剤又はその他の共投与用医薬品などの無関係な化合物の添加によって通常影響されない一方で、絶対純度は、他のすべてのものに対する化合物の量を意味する。純度は、1つの化合物のその他の化合物に対する重量、体積、又は、分子比に基づいて評価することができる。純度は、元素存在度、紫外線可視分光光度計、HPLC、GC−MS、NMR、質量分析法及び薄層クロマトグラフィーを含む様々な分析技術によって、好ましくはHPLC、GC−MS又はNMRによって、測定することができる。
【0092】
本発明のさらに別の一態様は、上記化合物のプロドラッグに関する。
【0093】
特定の実施形態
特定の態様において、本発明は、式(Ia)

の構造によって表される化合物又はその任意の互変異性形態若しくは立体異性形態であって、Xが−O−、−NR−から選択され、R、R及びRが上記定義と同じであるが、化合物(A):

ではない化合物に関する。
【0094】
いくつかの実施形態において、Xは−NR−である。特定の実施形態においては両方のRがメチルである。
【0095】
その他のいくつかの実施形態においては、Rが水素であり、Rが−NH−C(=O)−(NH)−(CH−Rであり、x及びyが独立して0及び1から選択され、Rが上記定義と同じである。特定の実施形態においてはyが0である。
【0096】
その他の特定の実施形態においては、Rが水素であり、Rが−NH−C(=O)−(NH)−(CH−Rであり、x及びyが独立して0及び1から選択され、Rが上記定義と同じである。いくつかの実施形態においてはxが0である。その他の実施形態においてはyが0である。特定の実施形態においてはx及びyが0である。
【0097】
式Iのいくつかの実施形態において、上記化合物が:
4−クロロ−N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
5−tert−ブチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド
3,4−ジクロロ−N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−ベンズアミド
5−tert−ブチル−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]フェニル}−アミド
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド
1−メチル−1H−インドール−2−カルボキシル酸{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−2−メトキシ−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−2−メトキシ−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−2−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
3−クロロ−N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−ベンズアミド
5−tert−ブチル−N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−2−メトキシ−ベンズアミド
N−4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]フェニル}−2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド
3−クロロ−N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−4−メトキシ−ベンズアミド
3,5−ジクロロ−N−4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−ベンズアミド
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド
N−(4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ))−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−2−モルフォリン−4−イル−イソニコチンアミド
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−4−フェノキシ−ベンズアミド
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド
2−クロロ−N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド
4−クロロ−N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−トリフルオロメトキシ−ベンズアミド
5−tert−ブチル−2−フェニル−2H−ピラゾール−3−カルボキシル酸{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド
3−クロロ−N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−ベンズアミド
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−ベンズアミド
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンズアミド
2−クロロ−N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−ベンズアミド
4−tert−ブチル−N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]フェニル}−ベンズアミド
4−クロロ−N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル−)−ベンズアミド
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−2−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
6−フルオロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−カルボキシル酸{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド
1−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル−3−(3−クロロ−4−メトキシ−フェニル)−尿素
1−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素
1−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素
1−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−(3−クロロ−フェニル)−尿素
1−(4−tertブチル−フェニル)−3−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−尿素
1−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−(4−フェノキシ−フェニル)−尿素
1−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−(4−クロロ−フェニル)−尿素
1−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノエチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−(4−メチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素
1−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−(2−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素
1−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素
1−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−3−({4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−尿素
4−クロロ−N−{3−クロロ−4−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
N−{3−クロロ−4−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−2−メトキシ−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド
4−クロロ−N−{3−クロロ−4−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
N−{3−クロロ−4−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ベンズアミド
N−{3−クロロ−4−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−2−モルフォリン−4−イル−イソニコチンアミド
3−クロロ−N−{3−クロロ−4−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−ベンズアミド
5−tert−ブチル−2−フェニル−2H−ピラゾール−3−カルボキシル酸{3−クロロ−4−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド
N−{3−クロロ−4−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−2−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド
2,6−ジクロロ−N−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−イソニコチンアミド
2−クロロ−N−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−6−ピロリジン−1−イル−イソニコチンアミド
2−クロロ−N−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−6−ジメチルアミノ−イソニコチンアミド
2−クロロ−N−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−6−ピペリジン−1−イル−イソニコチンアミド
2−クロロ−N−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−6−モルフォリノ−4−イル−イソニコチンアミド
2−クロロ−N−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−イソニコチンアミド
2−クロロ−N−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−6−ジエチルアミノ−イソニコチンアミド
2−クロロ−N−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−6−エチルアミノ−イソニコチンアミド
2−クロロ−N−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−6−イソプロピルアミノ−イソニコチンアミド
2−クロロ−N−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−6−(2−ジメチルアミノエチルアミノ)−イソニコチンアミド
2−クロロ−N−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−6−1−メチル−ピペリジン−4−イルアミノ)−イソニコチンアミド
2−クロロ−N−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−6−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジルアミノ)−イソニコチンアミド
N−(4−クロロ−3−(8−メトキシ−2−(2−メトキシ−エチルアミノ)−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−フェニル)−ベンズアミド
N−(4−クロロ−3−(2−エチルアミノ−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
N−(3−(2−アミノ−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−4−クロロフェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
N−(4−クロロ−3−(8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
N−{4−クロロ−3−[2−(3−ジメチルアミノ−プロピルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;から選択される。このような化合物は、下記表1に示されている構造を有する。上記に与えられている化合物名と表1に示されている対応する構造のとが相違する場合には、構造を正しいものとみなし、それに従って名前を修正すべきである。
【0098】
製剤、投薬量及び用途
本発明は、そのような化合物又はプロドラッグの治療的有効量を含む医薬品組成物を含む、上記化合物又はそのプロドラッグと、薬学的に許容可能な希釈剤、添加剤又は担体とを含む医薬品組成物をさらに提供する。
【0099】
製剤
本発明の組成物を製剤及び投与して、個体の身体内において細胞などの薬剤の作用部位と活性成分との接触を生じさせるあらゆる手段によって、必要性がある個体を治療することができる。これらを、単一の治療活性成分として又は治療活性成分の組合せとして、医薬品と組み合わせた使用に用いることができるあらゆる従来的手段によって投与することができる。これらを、単独で投与することもできるが、通常は、選択した投与経路及び標準的薬学的慣習に基づいて選択される薬学的に許容可能な希釈剤、添加剤又は担体と共に投与する。
【0100】
抗ガン剤などのその他の医薬品組成物と組み合わせて用いる場合は、そのような組合せが治療的に有効であるか又は予防療法に有用であるように、治療的有効量よりも少ない上記化合物又はそのプロドラッグの任意のものを含む医薬品組成物を用いてもよい。
【0101】
本発明の使用のための医薬品組成物は、1つ以上の薬学的に許容可能な希釈剤、添加剤又は担体を用いて、従来の方法で製剤してもよい。本発明の医薬品組成物は、全身投与及び局所的投与又は局部的投与を含む様々な投与経路用に製剤することができる。技術及び製剤は、通常、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Meade Publishing社、イーストン、ペンシルバニア)においてみつけることができる。以下に説明するように、本発明の医薬品組成は、(1)経口投与、例えば、飲薬(水性若しくは非水性溶液又は懸濁液)、錠剤、カプセル剤、ボーラス、粉末、顆粒、舌に用いるためのパスタ剤;(2)非経口投与、例えば無菌の溶液又は懸濁液として、例えば皮下注射、筋肉内注射又は静脈注射によって;(3)局所適用、例えば、クリーム、軟膏又はスプレイとして皮膚に塗布する;(4)膣内に又は直腸内に、例えば、ペッサリー、クリーム又は発泡として、などに適したものを含む、固体形態又は液体形態の投与用に特別に製剤されてもよい。いくつかの実施形態においては、その医薬品製剤が非発熱性、すなわち、実質的に患者の体温を上昇させないものであってもよい。
【0102】
ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムなどの湿潤剤、乳化剤及び潤滑剤、並びに、着色剤、剥離剤、コーティング剤、スイートニング、香味剤、芳香剤、保存剤及び酸化防止剤が組成物中に存在していてもよい。
【0103】
薬学的に許容可能な酸化防止剤の例には:(1)アスコルビン酸、塩酸システイン、硫酸水素ナトリウム、及び、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性抗酸化剤;(2)アスコルビン酸パルミテート、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、プロピルガレート、α−トコフェロールなどの油溶性抗酸化剤;(3)クエン酸、エチレンジアミン、四酢酸(EDTA)、ソルビトール、及び、酒石酸、リン酸などの金属キレート剤が含まれる。
【0104】
本発明の製剤は、経口投与、鼻投与、局所的投与(口腔及び舌下腺を含む)、直腸投与、膣投与、及び/又は、非経口投与に適切なものを含む。その製剤は、単位投薬形態において簡便に提供されてもよいし、又は、薬学分野において知られているあらゆる方法によって調製されてもよい。単位投薬形態を作るために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、治療する対象及び投与の特定様式に応じて変わるであろう。単位投薬形態を作るために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、通常、治療効果を生じさせる阻害剤の量となるであろう。活性成分のこの量は、100パーセントのうち、通常、約1パーセントから約99パーセント、好ましくは約5パーセントから約70パーセント、最も好ましくは約10パーセントから約30パーセントである。
【0105】
これらの製剤又は組成物を調製する方法は、本発明の化合物を担体及び選択的に1つ以上の副成分と会合させるステップを含む。通常、この製剤は、本発明の化合物を液体担体、微粉固体担体又はこれらの両方と均一かつ密に会合させ、次に必要であれば生成物を成形することによって調製される。
【0106】
全身投与には、筋肉内注射、静脈内注射、腹腔内注射、及び、皮下注射(それぞれ筋肉内注射、腹腔内注射、静脈内注射、及び、皮下注射)を含む注射が好ましい。これらの「全身投与」、「全身に投与される」、「末梢投与」、及び、「末梢に投与される」というフレーズは、ここで用いられているように、化合物、薬剤又はその他の材料の中枢神経系内への直接的投与であって、患者の器官に入り、従って、例えば皮下投与といった他のプロセスのように代謝及びその他を受ける投与を意味する。
【0107】
注射のために、本発明の医薬品組成物を、液体溶液に、好ましくはハンク溶液又はリンゲル液などの生理学的に適合するバッファ中に製剤することができる。さらに、この医薬品組成物を固体形態として製剤し、使用の直前に再融解又は懸濁させてもよい。凍結乾燥された形態も含まれる。
【0108】
経口投与に適するように製剤される本発明の医薬品組成物は、カプセル剤、カシェ剤、小袋、ピル、錠剤、ロゼンジ(香味付けられた主成分、一般にスクロース及びアラビアゴム又はトラガントを用いる)、粉末、顆粒の形態として、又は、水性若しくは非水性溶液又は懸濁液として、又は、水中油滴乳濁液若しくは油中水滴乳濁液として、又は、エリキシル若しくはシロップとして、又は、パステル剤(ゼラチン及びグリセリン、又は、スクロース及びアカシアなどの不活性成分を用いて)として、及び/又は、口内洗剤などとして、それぞれが活性成分として本発明の化合物を所定量で含むものとして存在してもよい。本発明の化合物を、ボーラス、舐剤又はペーストとして投与してもよい。
【0109】
経口的投与(経口投与)(カプセル剤、錠剤、ピル、ドラジェ、粉末、顆粒など)用の固体投薬形態の本発明の医薬品組成物を製剤する場合には、活性成分としての本発明の化合物は、クエン酸ナトリウム又はリン酸カルシウム、及び/又は、下記のもの:(1)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及び/又は、ケイ酸などの充填材又は増量剤;(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及び/又は、アラビアゴムといったバインダ;(3)グリセロールなどの湿潤剤;(4)寒天、炭酸カルシウム、ポテト又はタピオカ澱粉、アルギン酸、特定のケイ酸塩、及び、炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;(5)パラフィンなどの溶液緩染剤;(6)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;(7)例えばセチルアルコール及びグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤;(8)カオリン及びベントナイト粘土などの吸収剤;(9)滑石、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及び、これらの混合物などの潤滑剤;及び、(10)着色剤などの1つ以上の薬学的に許容可能な担体と混合される。カプセル剤、錠剤及びピルの場合には、医薬品組成物が緩衝剤を含んでいてもよい。同様のタイプの固体組成物を、ラクトース又は乳糖及び高分子量ポリエチレングリコールなどの添加剤を用いた柔らかく又は堅く満たされたゼラチンカプセル剤中の充填材として使用されてもよい。
【0110】
ゼラチンカプセル剤は、活性成分としての本発明の化合物、並びに、ラクトース、デンプン、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸などの粉末状担体を含む。同様の担体を用いて圧縮錠剤を作ることができる。錠剤及びカプセル剤の両方は、数時間に渡る薬剤の連続的放出を提供する徐放性製剤として製造することができる。圧縮錠剤を、シュガーコーティング又はフィルムコーティングすることによってあらゆる不快な味を隠して環境から錠剤を保護するができ、又は、腸溶コーティングすることによって胃腸管内において選択的に消化させることができる。同様のタイプの固形組成物が軟ゼラチンカプセル剤又は硬ゼラチンカプセル剤中の充填材として使用される。この結合における好ましい材料には、ラクトース又は乳糖及び高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。好ましい製剤は、例えばオリーブオイル、ミグリオール、カプムル(Capmul)といった油脂の溶液又は懸濁液を含む軟ゼラチンカプセルである。必要に応じて酸化防止剤を添加することによって長期的分解を防止してもよい。
【0111】
選択的に1つ以上の副成分と共に圧縮又は成形することによって錠剤を作ってもよい。バインダ(例えばゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えばナトリウムスターチグリコラート又は架橋されたカルボキシルメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤又は分散剤を用いて、圧縮錠剤を調製してもよい。不活性液体希釈剤で湿らせた粉末状阻害剤の混合物を適切な機械で成型することによって成型錠剤を作成してもよい。
【0112】
ドラジェ、カプセル剤、ピル及び顆粒などの本発明の医薬品組成物の錠剤及びその他の固体投薬形態は、選択的に、腸溶性コーティング及び医薬品製剤分野において知られているその他のコーティングなどのコーティング及びシェルを用いて提供又は調製されてもよい。これらは、例えば、望ましい放出プロファイルを提供するための比率の変更におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース、その他のポリマーマトリクス、リポソーム、及び/又は、小球体を用いて、活性成分の遅い放出又は制御された放出を提供する製剤であってもよい。これらは、例えば、バクテリアを保持するフィルタによる濾過によって、又は、滅菌水中で溶解可能な無菌固形組成物の形態の滅菌剤を組み込むことによって、又は、いくつかのその他の無菌注射可能溶媒によって直前使用に、殺菌されていてもよい。これらの組成物は、選択的に不透明剤を含んでいてもよく、活性成分のみを、又は、好ましくは、胃腸管内の特定部分において選択的に遅延的態様で放出する組成物であってもよい。使用可能な埋め込み組成物の例には、高分子化合物及びろうが含まれる。この活性成分は、適切な場合には上記添加剤の1つ以上と共に、マイクロカプセル化された形態であってもよい。
【0113】
本発明の医薬品組成物の経口投与用の液体投薬形態は、薬学的に許容可能なエマルション、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ剤及びエリキシル剤を含む。この液体投薬形態は、この活性成分に加えて、例えば、水又はその他の溶媒、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の可溶化剤及び乳化剤、油脂(特に、綿実、落花生類、鶏眼、胚芽、オリーブ、キャスター及び胡麻油)、グリセロール、テトラヒドロフラニルアルコール、ポリエチレングリコール、及び、ソルビタンの脂肪酸エステル、並びに、これらの混合物といった当業界で一般に用いられる不活性希釈剤を含んでいてもよい。
【0114】
経口投与用医薬品組成物は、不活性希釈剤に加えて、湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、甘味料、香味剤、着色剤、芳香剤、並びに、保存剤などの添加物を含んでいてもよい。
【0115】
懸濁液は、本発明の医薬品組成物に加えて、例えば、エトキシ化されたイソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、大結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天、及び、トラガント、並びに、これらの混合物などの懸濁化剤を含んでいてもよい。
【0116】
口腔投与用に、医薬品組成物は、従来の方法で製剤された錠剤又はロゼンジの形態であってもよい。
【0117】
吸入による投与のために、本発明の医薬品組成物は、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、その他の適切なガスといった適切な噴射剤を用いて、加圧パック又は噴霧器からエアゾルスプレイ組成の形態で簡便に送達される。加圧エアゾールの場合には、投与単位が、測定量を送達する弁を提供することによって決定されてもよい。例えば吸入器又は注射器において使用されるゼラチンのカプセル剤及びカートリッジは、治療薬の粉末混合物、及び、ラクトース又はデンプンなどの適切な粉末基剤を含むように製剤されてもよい。
【0118】
医薬品組成物は、例えば大量注射又は持続的注射といった注射による非経口投与用に製剤されてもよい。注射用製剤は、例えばアンプルといった単位投薬形態で提供してもよいし、又は、防腐剤を加えて複数用量容器中に提供してもよい。医薬品組成物は、油性媒体又は水性媒体中における懸濁液、溶液又はエマルションなどの形態であってもよく、懸濁化剤、安定化剤、及び/又は、分散剤などの製剤化剤を含んでいてもよい。代替的に、活性成分は、使用前に、例えば発熱物質非含有水といった適切な媒体を含む組成のための粉末形態であってもよい。
【0119】
「非経口投与」及び「非経口的に投与される」というフレーズは、ここで用いられているように、通常は、腸内投与及び局所的投与以外の注射による投与の態様を意味し、限定されるものではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、脊髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内、及び、胸骨内の注射及び注入を含む。
【0120】
非経口投与に適した本発明の医薬品組成物は、1つ以上の薬学的に許容可能な無菌等張の水性溶液又は非水性溶液、分散液、懸濁液若しくはエマルション、又は、使用直前に無菌注射剤溶液又は分散液に再構成することができる無菌性粉末と組み合わせて、本発明の1つ以上の阻害剤を含む。この非経口投与に適した本発明の医薬品組成物は、酸化防止剤、バッファ、静菌薬、製剤を意図されているレシピエントの血液と等張にする溶質、又は、懸濁化剤若しくは増粘剤を含んでいてもよい。
【0121】
本発明の医薬品組成物において使用してもよい適切な水性担体及び非水性担体の例は、水、エタノール、多価アルコール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、及び、これらの適切な混合物、オリーブオイルなどの植物油、並びに、オレイン酸エチルなどの注射可能な有機酸エステルを含む。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材の使用によって、分散液の場合には必要とされる粒子径の維持、及び、界面活性剤の使用によって、維持することができる。
【0122】
これらの医薬品組成物は、保存剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤などの添加物を含んでいてもよい。例えば、パラベン、クロロブタノール、及び、フェノールソルビン酸といった様々抗菌性物質及び抗真菌物質の混合によって微生物を防止する作用を確保してもよい。医薬品組成物が糖及び塩化ナトリウムなどの等張剤を含むことが望ましいこともある。さらに、モノステアリン酸アルミニウム及び/又はゼラチンなどの吸収を遅らせる薬剤を混合することによって、注射可能な医薬品形態の持続的吸収を生じさせてもよい。
【0123】
前に記載した製剤に加えて、医薬品組成物を持効性製剤として製剤してもよい。そのような長期的作用製剤を移植(例えば皮下又は筋肉内)又は筋肉内注射によって投与してもよい。従って、例えば、医薬品組成物を、適切な重合体若しくは疎水性材料(例えば許容可能な油脂中のエマルションとして)又はイオン交換樹脂を用いて製剤してもよいし、又は、例えば難溶性塩といった難溶性誘導体として製剤してもよい。
【0124】
全身投与は、口腔粘膜的又は経皮的手段によるものであってもよい。口腔粘膜投与又は経皮的投与のために、隔膜を浸透するのに適切な浸透剤を製剤において用いる。そのような浸透剤は、当業界において一般に知られており、例えば、口腔粘膜投与のための胆汁酸塩及びフシジン酸誘導体を含む。さらに、洗剤を用いて浸透を容易にしてもよい。口腔粘膜投与は、鼻内噴霧であってもよいし又は坐薬を用いていてもよい。局所的投与のために、本発明の医薬品組成物は、当業界において一般に知られている軟膏剤、軟膏剤、ゲル剤、又は、クリーム剤に製剤される。洗剤溶液を局所的に用いて、損傷又は炎症を治療して治癒を促進させることができる。
【0125】
いくつかの場合においては、阻害剤の治療効果を延ばすために、皮下注射又は筋肉内注射からの阻害剤の吸収を遅延させることが望ましい。これを、水溶解性が低い結晶性又は非結晶性物質の液体懸濁液の使用によって達成してもよい。その場合、阻害剤の吸収速度は、結晶サイズ及び結晶形態に依存するその溶解速度に応じて変化する。代替的に、非経口的に投与された阻害剤形態の吸収の遅延は、油性媒体中に阻害剤を溶解又は懸濁させることによって達成される。
【0126】
本発明の医薬品組成物を、直腸投与又は膣投与のための坐薬として製剤してもよい。この坐薬は、本発明の1つ以上の化合物を、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、坐薬ろう又はサリチル酸塩を含む1つ以上の適切な非刺激性の添加剤又は担体と混合することによって調製することができる。この坐薬は、室温において固体であるが、体温において液体であり、従って、直腸又は膣腔で溶解して活性阻害剤を放出する。
【0127】
膣投与に適した本発明の医薬品組成物の製剤は、当業界において適切であると知られているそのような担体を含む、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、又は、スプレイの製剤である。
【0128】
本発明の化合物の局所的投与又は経皮的投与用の投薬形態は、粉末、スプレイ、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、溶液、パッチ及び吸入剤を含む。そのような化合物は、無菌条件下で薬学的に許容可能な担体、及び、必要とされるあらゆる保存剤、バッファー又は噴射剤と混合されていてもよい。
【0129】
軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤及びゲル剤は、本発明の化合物に加えて、動物性脂肪及び植物性脂肪、油脂、ろう、パラフィン、デンプン、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、ケイ酸、滑石並びに酸化亜鉛、又は、これらの混合物といった添加剤を含んでいてもよい。
【0130】
粉末及びスプレイは、本発明の化合物に加えて、ラクトース、滑石、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、及び、ポリアミド粉末、又は、これらの物質の混合物といった添加剤を含んでいてもよい。スプレイは、クロロフルオロ炭化水素、並びに、ブタン及びプロパンなどの揮発性の非置換炭化水素といった従来の噴射剤をさらに含んでいてもよい。
【0131】
経皮的パッチは、身体への本発明の化合物の制御された送達を提供するというさらなる長所を有している。適切な溶媒中に本発明の阻害剤を溶解又は分散させることによってそのような投薬形態を作ることができる。吸収促進剤を用いて皮膚を通過する薬剤の流量を増加させることもできる。そのような流量の速度は、速度制御膜を提供することによって又はポリマーマトリクス若しくはゲル中に本発明の化合物を分散させることによって、制御可能である。
【0132】
眼病用製剤、眼軟膏剤、粉末、及び、溶液等も本発明の範囲内として意図されている。
【0133】
この医薬品組成物を、必要であれば、活性成分を含む1単位以上の投薬形態を含むことができるパック又はディスペンサ装置として提供してもよい。このパックは、例えば、ブリスターパックなどの金属薄膜又はプラスチック薄膜で構成されていてもよい。このパック又はディスペンサ装置に投与に関する説明書を添付してもよい。その他の実施形態においては、このパック又はディスペンサが外箱でさらにパッケージされていてもよい。
【0134】
本発明の医薬品組成物を、継続的及び/又は時限的な放出製剤としても製剤することができる。そのような継続的及び/又は時限的な放出製剤は:米国特許第3,845,770号;米国特許第3,916,899号;米国特許第3,536,809号;米国特許第3,598,123号;米国特許第4,008,719号;米国特許第4,710,384号;米国特許第5,674,533号;米国特許第5,059,595号;米国特許第5,591,767号;米国特許第5,120,548号;米国特許第5,073,543号;米国特許第5,639,476号;米国特許第5,354,556号;及び、米国特許第5,733,566号に記載されている当業者に周知の持続的放出手段又は送達装置によって作成可能である。これらの全開示はここで言及することによって組み込まれている。本発明の医薬品組成物は、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、その他のポリマーマトリクス、ゲル剤、透過性膜、浸透性系、多層コーティング、微粒子、及び、リポソーム、ミクロスフェアなど、又は、これらの組合せを用いて、活性成分の1つ以上の遅延した放出又は持続的放出を提供するために用いることができ、可変比率において望ましい放出プロファイルを提供する。本発明の医薬品組成物と共に使用するために、本明細書に記載されているものを含む当業者に知られている適切な持続的放出製剤を容易に選択することができる。従って、これらに限定されるものではないが、持続的放出のために構成された錠剤、カプセル剤、ジェルキャップ、カプレット及び粉末などの経口投与に適した単位用量形態は、本発明に包含される。
【0135】
注射可能な持効性形態は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性高分子中に対象阻害剤のマイクロカプセル化マトリクスを形成することによって作られる。ポリマーに対する薬剤の比率及び使用した特定の重合体の特性に依存することによって、薬物放出の速度を制御することができる。その他の生分解性高分子の例には、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が含まれる。持効性注射可能製剤は、体組織に適合するリポソーム又はマイクロエマルジョン中に薬剤を取り込ませることによっても調製される。
【0136】
本発明の化合物を医薬品としてヒト及び動物などの個体に投与する場合、その医薬品組成物自体を与えることもできるし、又は、例えば、活性成分の0.1%〜99.5%(特定の実施形態においては0.5%〜90%)の量で組み合わせた薬学的に許容可能な担体を含む医薬品組成物として与えることができる。
【0137】
本発明は、本明細書において開示されている化合物若しくはプロドラッグ、互変異体、薬学的に許容可能な塩、N−オキシド形態、又は、これらの立体異性形態の少なくとも1つの治療的有効量といった量を投与することによって、癌を含む増殖性疾患、退行性疾患及びその他の疾患又は疾病を治療する新規な方法を提供する。本発明は、これらの化合物の少なくとも1つともう1つの癌抗剤又は抗増殖剤との治療的に有効な組合せを投与することによって、癌を含む増殖性疾患、退行性疾患及びその他の疾患又は疾病を治療する方法をさらに提供する。
【0138】
本発明の化合物は、個体に投与するときに本明細書に定義されている化合物のような又はそれ自体が活性を示す親化合物を直接的に又は間接的に提供することができる塩又はプロドラッグとして投与されてもよい。非限定的な例には、「生理的に許容可能な塩」と代替的に呼ばれる薬学的に許容可能な塩が含まれる。さらに、化合物になされる修飾は、その生物活性に影響することがあり、ある場合においては親化合物よりも活性が増大する。この活性は、化合物の塩又はプロドラッグの形態を調製し、本明細書に記載されている方法又は当業者に知られているその他の方法を用いることによってその活性を試験することによって評価可能である。
【0139】
当業者に明らかであるように、ある対象化合物のプロドラッグの使用を通じて、そのようなプロドラッグを投与された又はそのようなプロドラッグで治療された動物などの個体は、従って、間接的に投与された対象化合物に露出される。そのような手順は、癌を含む増殖性の疾患又は疾病などの病気に関係した細胞を対象化合物に暴露させるものであってもよい。
【0140】
本発明の化合物は、非対称的に置換された炭素原子を含んでいてもよいし、光学活性形態又はラセミ体で分離されてもよい。ラセミ体の分解によって、又は、光学的に活性な出発物質からの合成によって光学活性形態を調製する方法は、当業界において周知である。特定の原子配置又は異性体形態が特に示されなければ、すべてのキラル型、ジアステレオマー型、ラセミ体、及び、構造の幾何学的異性体形態のすべてが意図されている。本発明の化合物を調製するために用いられるプロセス及びそのプロセスにおいて生成される中間体のすべては、本発明の一部であるとみなされる。
【0141】
投薬量
医師、薬剤師若しくは看護婦などの医療関係者によって、例えば癌又は腫瘍の症状を改善するのに充分であるか又は合理的であると予想されるその化合物の治療的有効量となる投与用量は、当然のことながら、特定活性成分の薬力学的特性並びに投与の態様及び経路;レシピエントの年齢、性別、健康状態及び体重;症状の特性及び程度;併用療法の種類、治療頻度、並びに、所望する効果といった公知の要因に応じて変化するであろう。
【0142】
予防療法において対象化合物を投与してもよい。望ましくない病状(例えば、ホスト動物の疾病又はその他の望ましくない状態)の臨床症状前に化合物を投与する場合、その治療は予防である(すなわち、発病、進行、又は、さらなる望ましくない病状が生じることから個体を守ることである)。癌などの病状、疾患若しくは疾病、又は、心不全又はその他の病状などの症候群を予防するために対象化合物を投与してもよい。これは、化合物を受けない個体と比較して、症状の症状の頻度を減少させるか又は症状の症状の開始を遅らせるように意図された化合物の投与を含む。従って、癌の予防は、例えば、治療していないコントロール集団に比べて予防療法を受けた患者集団において検出可能な癌性増殖、腫瘍又は悪性腫瘍の数を減らすこと、治療していないコントロール集団に比べて治療された集団において検出可能な癌腫瘍の出現を遅らせること、及び/又は、例えば統計的に及び/又は臨床的に有意な量によって疾患進行を遅延させること及び/又は患者生活の質を改善することを含む。
【0143】
本発明の医薬品組成物の毒性及び治療的有効性は、例えばLD50(集団の50%に対する致死量)及びED50(集団の50%における治療的有効量)を決定するような、細胞培養又は実験動物における標準的な薬学的方法によって決定することができる。有毒効果と治療効果との用量比が治療指数であり、その比は比率LD50/ED50として表される。大きい治療指数を示す治療薬は、多くの状況に有用である。特定の状況においては、衰弱性副作用又は有毒性副作用を示すと考えられる治療的組成物を、病気になっていない細胞に対する潜在的ダメージを最小化することによって副作用を低減又は局在化させるために、そのような治療薬が病気になった組織の部位をターゲットにするような送達システムを設計するのに注意して用いることができる。
【0144】
細胞培養アッセイ及び動物研究から得られるデータは、ヒトで使用するための様々な投薬量を製剤するのに使用可能である。投薬量は、好ましくは、毒性が殆どないか又は毒性が全くないED50を含む血中濃度の範囲内である。使用した投薬形態及び利用した投与経路に応じて、この投薬量は、この範囲内で変化してもよい。本発明の方法において用いられるあらゆる薬剤について、まず細胞培養分析から治療的有効量を推定することができる。投薬量は、細胞培養において決定されるIC50(すなわち、症状の半減又は生物化学的活性の半減を達成する試験治療薬の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するための動物モデルにおいて製剤されてもよい。そのような情報は、ヒトにおける有効な用量をより正確に決定するために用いることができる。例えば高速液体クロマトグラフィーによって血漿濃度を測定してもよい。
【0145】
例えば医師などの当業者に知られている多数の要因に応じて治療薬の適切な用量が変化することは理解されるであろう。対象化合物の用量は、例えば、治療を行う対象又はサンプルの固有性、サイズ及び状態に応じて変わり、該当する場合には組成物を投与する経路に応じても変わる。細胞、核酸又はポリペプチド等のターゲットの治療的ターゲットに対して治療薬が有していることを施術者によって望まれる、疾病原因、症状又は効果を終わらせるその効果が媒介される。
【0146】
例示的用量は、例えば、1キログラム当たり約1マイクログラムから1キログラム当たり約500ミリグラム、1キログラム当たり約100マイクログラムから1キログラム当たり約50ミリグラム、1キログラム当たり約1ミリグラムから1キログラム当たり約5ミリグラムといった、対象又はサンプル重量1キログラム当たりの本発明の化合物のミリグラム又はマイクログラムの量を含む。
【0147】
当業者は、体表面基準で用量を算出できることを理解するであろう。70kgの人は、1.8平方メートルの近似的体表面積を有しており、用量は、例えば、1平方メートル当たり約50マイクログラムから1平方メートル当たり約15グラム、1平方メートル当たり約5ミリグラムから1平方メートル当たり約1.5グラム、又は、1平方メートル当たり約50ミリグラムから1平方メートル当たり約150ミリグラムといった対象又はサンプルの体表面積当たりの化合物のミリグラム又はマイクログラムの量として表すことができる。
【0148】
用途
本発明は、治療のための上記化合物をさらに提供する。その他の態様において、本発明は、予防的用途のための本発明の化合物を提供する。
【0149】
いくつかの実施形態において、前記治療的使用又は予防的使用は、腫瘍又は癌などの増殖性疾患又は疾病の治療又は予防である。いくつかの実施形態においては、前記治療が、B−Raf又はその突然変異体の活性の阻害などの、タンパクキナーゼ又はその突然変異体の活性の阻害によって治療することができる癌の治療である。
【0150】
ある他の実施形態においては、前記療法又は予防的使用が炎症性疾患又は疾病の治療又は予防である。いくつかの実施形態においては、前記治療が、p38又はそのアイソフォームの活性の阻害などの、タンパクキナーゼの活性の阻害によって治療することができる炎症性の疾患又は疾病の治療である。
【0151】
従って、本発明は、増殖性の疾患若しくは疾病又は炎症性の疾患若しくは疾病のグループから選択される病状を有する哺乳類などの個体を治療する方法であって、上述した本発明の化合物、プロドラッグ又は医薬品組成物の治療的有効量を前記個体に投与するステップを具える方法をさらに提供する。いくつかの実施形態においては前記患者がヒトである。いくつかの実施形態においては前記増殖性の疾患又は疾病が癌である。いくつかの実施形態においては、前記治療が、B−Raf又はその突然変異体の活性の阻害などの、タンパクキナーゼの活性の阻害によって治療することができる癌の治療である。いくつかの実施形態においては、前記治療が、p38又はそのアイソフォームの活性の阻害などの、タンパクキナーゼの活性の阻害によって治療することができる炎症性の疾患又は疾病の治療である。
【0152】
本発明は、哺乳類、特にヒトを含む動物などの個体の予防的治療の方法であって、組成物を受けない対象と比較して、対象において癌などの病状の症状の頻度を減少させるか又は発病を遅らせることを意図する方法を提供する。
【0153】
更なる一態様において、本発明は、家畜哺乳類、ネコ、イヌ、ウマ、ヒツジ、ウシ、げっ歯動物及びヒトを含む哺乳類などの疾病に罹患している個体を治療又は予防する方法であって、前記個体を治療的有効量の対象化合物に暴露させるステップを具える方法を提供する。いくつかの実施形態においては、その病気が癌又は腫瘍などの増殖性の疾患又は疾病である。さらに別の実施形態においては、癌に含まれている腫瘍細胞を含む、前記増殖性の疾患又は疾病に関係している細胞を対象化合物に暴露させる。いくつかの実施形態においては、前記化合物又はそのプロドラッグを前記患者に投与する。いくつかの実施形態においては、前記治療が、B−Raf又はその突然変異体の活性の阻害などの、、タンパクキナーゼの活性の阻害によって治療することができる癌の治療である。いくつかの実施形態においてはその病気が炎症性の疾患又は疾病である。さらに別の実施形態においては、前記炎症性の疾患又は疾病に関係している細胞を対象化合物に暴露させる。いくつかの実施形態においては、前記化合物又はそのプロドラッグを前記個体に投与する。いくつかの実施形態においては、前記治療が、p38又はそのアイソフォームの活性の阻害などの、タンパクキナーゼの活性の阻害によって治療することができる炎症性の疾患又は疾病の治療である。
【0154】
更なる一態様において、本発明は、細胞の増殖又は成長を消滅又は抑制する方法であって、その細胞を本発明の化合物と接触させるステップを具える方法を提供する。一実施形態においては細胞がインビトロにおいて培養されるが、代替的実施形態においては細胞が個体内に存在する。特定の実施形態においては、細胞が、例えば、腫瘍細胞株に由来する細胞、又は、B−Raf若しくはその突然変異体の活性の阻害などの、ようにタンパクキナーゼ若しくはその突然変異体の活性の阻害によって治療することができる腫瘍に由来する癌細胞を含む腫瘍に含まれている細胞といった、癌細胞である。
【0155】
本発明のさらに別の態様は、B−Raf又は突然変異体の活性の阻害などのタンパクキナーゼ又はその突然変異体の活性の阻害によって治療することができる癌を含む癌などの増殖性の疾患又は疾病の治療用又は予防用の医薬品を調製するための上記化合物又はそのプロドラッグの使用に関する。さらに、本発明は、上記化合物又はそのプロドラッグ、及び、薬学的に許容可能な希釈剤、添加剤又は担体を含み、B−Raf又は突然変異体の活性の阻害などのタンパクキナーゼ又はその突然変異体の活性の阻害によって治療することができる癌を含む癌などの増殖性の疾患又は疾病を治療する医薬品組成物に関する。
【0156】
さらに、本発明のさらに別の態様は、p38又はアイソフォームの活性の阻害などのタンパクキナーゼ又はその突然変異体の活性の阻害によって治療することができる炎症性の疾患又は疾病を含む炎症性の疾患又は疾病の治療用又は予防用の医薬品を調製するための上記化合物又はそのプロドラッグの使用に関する。さらに、本発明は、上記化合物又はそのプロドラッグ、及び、薬学的に許容可能な希釈剤、添加剤又は担体を含み、p38又はアイソフォームの活性の阻害などのタンパクキナーゼ又はその突然変異体の阻害によって治療することができる癌を含む炎症性の疾患又は疾病を治療するための医薬品組成物に関する。
【0157】
対象化合物は、増殖性の疾患又は疾病及び炎症性の疾患又は疾病を含む様々な疾患又は疾病を治療するのに有用である。「増殖性の疾患又は疾病」という用語は、当該技術分野において認められており、個体細胞の亜群の異常な又はその他の望ましくない態様の増殖によって特徴付けられる動物などの個体に影響を与える疾患又は疾病を含む。癌及び腫瘍は増殖性の疾患又は疾病である。腫瘍を含む細胞又は腫瘍に由来する細胞は、増殖細胞であり、典型的には過剰増殖細胞であること、及び、その他の状況においては、腫瘍細胞が形成異常であってもよいし又は増殖していてもよいことは、一般的に理解されるであろう。いくつかの実施形態においては、前記治療が、B−Raf又はその突然変異体の活性の阻害などの、タンパクキナーゼ又はその突然変異体の活性の阻害によって治療することができる癌の治療である。
【0158】
対象化合物を含む方法、医薬品組成物及びパッケージされた医薬品が、その他の増殖性の疾患又は疾病の治療に、又は、腫瘍細胞を含む増殖細胞を死滅又は抑制させることに有用であろうことは、本発明の開示を参照した当業者に明らかであろう。
【0159】
本発明の化合物は、癌、良性前立腺肥大、家族性腺腫症ポリポシス、神経線維腫症、乾癬、真菌感染、エンドトキシンショック、肥厚性瘢痕形成、炎症性腸疾患、移植拒絶反応、アテローム性動脈硬化に付随する血管平滑筋細胞増殖、乾癬、肺線維症、関節炎、糸球体腎炎、血管形成又は血管手術後の再狭窄、並びに、その他の術後の狭窄及び再狭窄を含む過剰増殖性疾病などの異常細胞増殖を特徴とする疾病過程の治療に有用である。例えば、米国特許第6,114,365号及び第6,107,305号を参照されたい。
【0160】
本明細書において開示されている化合物は、癌などの増殖性又は過剰超増殖性の疾患又は疾病、自己免疫性疾患、ウイルス病、真菌症、神経変性障害、及び、心臓血管疾患の治療に有用であると予想される。
【0161】
いくつかの実施形態においては、腫瘍が、血液、骨髄又はリンパ系以外の体組織の癌である固形腫瘍であってもよい。その他の実施形態においては、腫瘍が、白血病及びリンパ腫などの血液系腫瘍であってもよい。白血病は、悪性に変化した白血球の増殖を特徴とする悪性腫瘍疾患を意味する集合語である。リンパ組織から生じる疾病は、リンパ腫と呼ばれる。
【0162】
固形腫瘍は、肝臓癌、胃癌、結腸癌、乳癌、膵癌、前立腺癌、皮膚癌、腎癌、骨癌、甲状腺癌、扁平上皮癌を含む皮膚癌、食道癌、腎臓癌、膀胱癌、胆嚢癌、子宮頚部癌、卵巣癌、肺癌、気管支小細胞肺癌及び気管非小細胞肺癌、胃癌、並びに、頭頚部癌から選択され得る。
【0163】
血液系の腫瘍は、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性リンパ性白血病、急性白血病、急性前骨髄球性白血病、慢性顆粒球性白血病(CGL)、慢性白血病、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病、通常型急性リンパ芽球性白血病、好酸球性白血病、赤白血病、節外性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、毛様細胞白血病、単球性白血病、前リンパ球白血病などの白血病であり得る。
【0164】
血液系腫瘍は、B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、悪性皮膚T細胞リンパ腫、高悪性度リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、低悪性度リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、帯域リンパ腫、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、T細胞リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、本態性血小板血症、毛様細胞リンパ腫、髄外骨髄腫、及び、顆粒球性肉腫などのリンパ腫でもあり得る。
【0165】
血液系腫瘍は、急性及び慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、並びに、前骨髄球性白血病を含む骨髄細胞系列に由来する腫瘍でもあり得る。
【0166】
腫瘍は、線維肉腫及び横紋筋肉腫などの間葉性源に由来することもある。更に、腫瘍は、星細胞腫、神経芽腫、神経膠腫、及び、シュワン細胞腫などの中枢神経系及び末梢神経系の腫瘍でもあり得る。腫瘍は、メラノーマ、セミノーマ、奇形癌、骨肉腫、色素性転皮症(xenoderoma pigmentosum)、角化性棘細胞腫(keratoctanthoma)、甲状腺濾胞癌、及び、カポジ肉腫などのその他の腫瘍でもあり得る。
【0167】
その他の癌抗薬剤又は抗増殖剤による治療に対して耐性又は無反応性を有する腫瘍は、本発明の方法及び医薬品組成物による治療から利益が得られることもある。
【0168】
本明細書に開示されている化合物は、癌の化学的予防において有用である可能性がある。化学的予防は、変異原的現象の始まりをブロックすることによって、又は、既に損傷を受けた腫瘍の増殖をブロックすること若しくは腫瘍再発を阻害することなどのように前悪性細胞の進行のブロックすることによって、浸潤癌の進行を阻害することとして定義される。
【0169】
本明細書に開示されている化合物は、腫瘍血管形成及び転移を抑制するのに有用である可能性もある。
【0170】
本発明の化合物は、放射線治療などの公知の抗癌治療との、又は、抗癌剤、抗増殖剤、細胞増殖抑制剤若しくは細胞毒性剤との(同時に又は連続的に投与する)組み合わせにおいても有用であることもある。本発明の化合物と組み合わせて用いてもよいその他の抗癌剤及び抗増殖剤には、本明細書に記載されているものが含まれる。併用療法においては、本明細書に開示されているその他のあらゆる抗癌剤及び抗増殖剤と共に、本発明の化合物をさらに投与してもよい。
【0171】
固定用量として製剤する場合、そのような組合せの製品は、本明細書に記載されている投薬量範囲内の本発明の化合物、及び、承認された投薬量範囲内のその他の薬学活性薬剤又は治療を使用する。例えば、cdc2阻害剤オロモウシンは、アポトーシスの誘導において公知の細胞毒性薬と相乗的に作用することがわかっている(J.Cell Sci.,108,2897(1995))。組合せの製剤が不適当であれば、本明細書に記載されている化合物を公知の抗癌剤又は抗増殖剤と連続的に投与してもよい。本発明は、投与の順序において限定されていない。公知の抗癌剤又は抗増殖剤の投与前又は投与後に本明細書に記載されている化合物を投与してもよい。例えば、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤フラボピリドールの細胞毒性活性は、抗癌剤による投与の順序によって影響される(Cancer Research,57,3375(1997))。
【0172】
本発明のさらなる態様
本発明のもう1つの態様は、本発明のあらゆる形態の化合物を含む医薬品パッケージを提供する。いくつかの実施形態において、このパッケージは、ヒトなどの必要性がある個体の治療に前記組成物を用いてもよいことを示す説明書を具える。ある別の実施形態において、この医薬品パッケージは、抗癌剤又は抗増殖剤などのその他の薬剤成分と共に配合された1つ以上の本発明の化合物を含む。この場合、本発明の化合物及びその他の薬剤成分を、別々に、かつ、個別の投薬量で配合してもよい。
【0173】
本発明の化合物と共に又は別々に配合することができるその他の薬剤成分は、限定されるものではないが、上述したその他の抗癌剤又は抗増殖剤を含む。さらなる実施形態において、この医薬品パッケージは、そのような治療を必要とする患者を治療する説明書を含む。さらに別の態様において、本発明は、腫瘍又は癌などの増殖性の疾患又は疾病に罹患した患者の治療用の医薬品パッケージであって、少なくとも1つの本発明の化合物を含むパッケージを提供する。さらなる実施形態において、この医薬品パッケージは、疾患を治療する説明書を含む。
【0174】
「医薬品パッケージ」又は「医薬品パック」という用語は、ここで用いられているように、薬剤の個別用量を貯蔵及び分注するためのあらゆるパッケージシステムを意味する。好ましくは、医薬品パッケージは、充分な1日用量単位を、治療期間に対して適切な量、又は、患者の投薬計画のコンプライアンスを容易にする量で含む。いくつかの実施形態において、医薬品パックは、例えば本発明の化合物といった活性成分を含む1つ以上の容器を含む。そのような容器は、ボトル、バイアル、注射器又はカプセルなどの容器であってもよいし、又は、ピルなどの単位投薬形態であってもよい。例えば、活性成分を、薬学的に許容可能な形態で容器内に提供してもよいし、又は、凍結乾燥された粉末として提供してもよい。さらなる実施形態において、医薬品パックは、投与用活性成分を調製するための溶媒をさらに含んでいてもよい。いくつかの実施形態においては、活性成分をあらかじめ注射器などの繰出装置内に提供してもよいし、又は、適切な繰出装置がパックに含まれていてもよい。医薬品パッケージは、ピル、液体、ゲル剤、錠剤、ドラジェ、又は、その他のあらゆる適切な形態の製剤を含んでいてもよい。その容器は、1日当たりの薬学的容量単位の任意数を含んでいてもよい。その容器は任意の形状であってもよく、単位投薬形態は、円形、三角形、台形、六角形、その他のパターンなどのあらゆるパターンで配置されていてもよい。例えば、色分け、ラベル、印刷、浮き出し、スコア付け又はパターンを用いてそのような用量又はサブユニットを明らかにすることなどによって、用量又はサブユニットの1つ以上を示して、医師、薬剤師又は患者を支援することができる。医薬品パッケージは、患者、医師、薬剤師又はその他の関連する人のための説明書を含んでいてもよい。
【0175】
ある実施形態は、本明細書において開示されている化合物を含む1つよりも多い活性成分の投与を含む。そのような投与を同時に又は連続的に行ってもよい。1回の投与によって両方の成分が送達されるように、活性成分を共に製剤してもよい。代替的に、活性成分を別々に製剤してもよい。医薬品パッケージは、本発明の化合物とその他の薬剤成分とを単一製剤中に含んでいてもよい。すなわち、これらを共に製剤していてもよい。あるいは、医薬品パッケージは、本発明の化合物とその他の薬剤成分とを別々の製剤中に含んでいてもよい。すなわち、これらを別々に製剤していてもよい。各製剤は、本発明の化合物とその他の薬剤成分とを、個別の投薬用量で(略同一又は同一ではない量で)含んでいてもよい。本発明の化合物及びその他の薬剤成分の投与は、組合せによる治療的有効量となる濃度を生じさせる。
【0176】
「説明書」という用語は、ここで用いられているように、製品ラベル、及び/又は、キット又はパッケージされた医薬品の組立、調製又は用途に関連した適切な材料又は方法を説明する文書若しくはその他の情報を意味する。これらの資料は、背景情報、従うべきステップ又は手順、成分の一覧、提案される投薬量、あり得る副作用に関する警告、薬剤を投与するための説明、技術サポート、及び、その他の関係書類の任意の組合せを含んていてもよい。説明書を、パッケージラベル又は添付文書などの印刷された形態で与えることができる。パッケージされた医薬品又は医薬品組成物のための説明書を、例えば添付文書、及び、米国食品医薬品局(FDA)などの管轄監督機関によって認可されたテキストとして送達用の箱又は完成パッケージ中に挿入することができる。代替的に又は追加的に、説明書を、例えば、コンピュータ可読メモリ装置などのコンピュータ可読記憶媒体、集中化されたデータベース、ハードディスク、フロッピーディスク及び磁気テープなどの磁気媒体;コンパクトディスク、CD−ROM及びホログラフィ装置などの光学媒体;光フロッピーディスクなどの光磁気媒体;及び、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)及びROM(リード オンリ メモリ)及びRAM(ランダム アクセス メモリー)装置などのプログラムコードを保存及び実行するように特別に構成されたハードウェア装置、といった電子的形態で保存してもよい。説明書は、さらに詳細な説明をダウンロードすることができるインターネットウェブサイトのウェブアドレスを含んでいてもよいし、又は、記録された表示を含んでいてもよい。説明書は、1個若しくは複数個の文書又は将来のアップデートを含んでいてもよい。
【0177】
従って、一態様において、本発明は、本発明の医薬品組成物と、必要性がある患者の治療に前記医薬品組成を用いてもよいことを示す説明書とを含む医薬品パッケージに関する。
【0178】
そのような医薬品パッケージのいくつかの実施形態において、前記説明書は、前記医薬品組成物をヒトの治療に用いてもよいことを示す。
【0179】
そのような医薬品パッケージのいくつかの実施形態において、前記説明書は、疾患又は疾病に罹患した患者の治療に前記医薬品組成物を用いてもよいことを示す。
【0180】
そのような医薬品パッケージのいくつかの実施形態において、前記説明書は、疾患又は疾病に罹患したヒトの治療に前記医薬品組成物を用いもよいことを示す。
【0181】
別の一態様において、本発明は、個体の疾患又は疾病を治療する方法であって、前記疾患又は疾病に含まれている細胞を本発明の化合物に暴露させるステップを具える方法に関する。
【0182】
そのような方法のいくつかの実施形態においては、前記化合物又はそのプロドラッグを前記個体に投与する。
【0183】
そのような方法のいくつかの実施形態においては、前記個体が、家畜哺乳類、ネコ、イヌ、ウマ、ヒツジ、ウシ、げっ歯動物及びヒトから選択される哺乳類である。
【0184】
そのような方法のいくつかの実施形態においては前記哺乳類がヒトである。
【0185】
別の一態様において、本発明は、細胞増殖を抑制する方法であって、細胞を本発明の化合物に接触させるステップを具える方法に関する。
【0186】
別の一態様において、本発明は、疾患又は疾病の治療用の医薬品を調製するための本発明の化合物の使用に関する。
【0187】
別の一態様において、本発明は、本発明の化合物と薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は添加剤とを含む、疾患又は疾病の治療用の医薬品組成物に関する。
【0188】
本発明のそのような医薬品組成物、医薬品パッケージ、方法、又は、使用のいくつかの実施形態においては、疾患又は疾病が増殖性の疾患又は疾病である。
【0189】
そのような実施形態においては、前記増殖性の疾患又は疾病が癌である。
【0190】
そのような実施形態においては、前記疾患又は疾病が炎症性の疾患又は疾病である。
【0191】
実施例
本発明の範囲内の化合物の選択は表1に一覧されている。表1の化合物を以下の実施例1〜8に従って合成した。実施例9〜11従って決定された、生化学的分析における驚くべき抑制活性、及び、これらの化合物の細胞分析における抗増殖活性は、それぞれ表2及び表3に示されている。
【0192】
A:8−ヒドロキシ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン誘導体の合成(実施例1−8)
本発明の化合物を機構1に示されている合成順序で調製してもよい。例えば、実施例1−8は、機構1の合成ステップを詳細に示す。機構1に示されているように、1,8−オキシピリド[2,3−d]ピリミドンは、フェニル酢酸ヒドロキシアミド誘導体と6−クロロ−5−ホルミル−2−メチルチオピリミジンとから1ステップで形成されてもよい。当業者は、その他の合成経路を同様に用いてもよいことを理解するであろう。特に、本発明の特定の態様にその他の合成経路を実際に適用してもよい。当業者は、March's Advanced Organic Chemistry (Michael B. Smith & Jerry March, Wiley-Interscience, 2000), The Practice of Medicinal Chemistry (Camile G. Wermuth, Academia Press, 2003)、及び、Protective Groups in Organic Synthesis (Theosora W. Greene & Peter G.M. Wuts; John Wiley & Sons Inc, 1999)などの一般的教科書を参照する。

【0193】
一般:
分析的LCMS:
系1:アジレント1200/アジレント6120Quadmpole API−ESI−MS/215nm、254nm及び310nmにおけるMWD検出
方法A:溶媒A 1%MeCN、0.1%ギ酸、0.2%1M水性ギ酸アンモニウムを含む水;溶媒B 1%水、0.1%ギ酸、0.2%水性ギ酸アンモニウムを含むMeCN;カラム アジレントZORBAX SB−Aq Narrow−Bore RR 2.1×50mm 3.5μM
勾配(0.8mL/分):
0分〜0.5分、5%溶媒B
0.5分〜6分、5%〜95%溶媒B
6分〜8分、95%溶媒B
8.0分〜8.1分、100%溶媒B
8.1分〜10分、100%溶媒B
10.0分〜10.1分、5%溶媒B
10.1分〜12分、5%溶媒B
【0194】
方法B:溶媒A 1%MeCN、0.1%ギ酸、0.2%1M水性ギ酸アンモニウムを含む水;溶媒B 1%水、0.1%ギ酸、0.2%水性ギ酸アンモニウムを含むMeCN;カラム アジレントZORBAX Bonus−RP 4.6×75mm、3.5μM
勾配(0.8mL/分):
0分〜0.5分、5%溶媒B
0.5分〜6分、5%〜95%溶媒B
6分〜8分、95%溶媒B
8.0分〜8.1分、100%溶媒B
8.1分〜10分、100%溶媒B
10.0分〜10.1分、5%溶媒B
10.1分〜13分、5%溶媒B
系2:アジレント1100/マイクロマスZQ API−ESI−MS/DAD検出200−800nm
【0195】
方法C:溶媒A 0.1%水性ギ酸;溶媒B 0.1%ギ酸を含むMeCN;カラム Waters XTerra C18 MS 4.6×50mm 5μM
勾配(0.8mL/分):
0分〜5分、3%〜100%溶媒B
5.0分〜5.5分、100%溶媒B
5.50分〜5.51分、3%溶媒B
5.51分〜6.1分、3%溶媒B
【0196】
方法D:溶媒A 0.1%水性ギ酸;溶媒B 0.1%ギ酸を含むとMeCN;カラム Waters XTerra C18 MS 4.6×50mm 5μM
勾配(0.8mL/分):
0分〜1.5分、3%溶媒B
1.5分〜8.5分、3%〜70%溶媒B
8.5分〜8.6分、70%〜100%溶媒B
8.6分〜10.6分、100%溶媒B
10.6分〜10.7分、3%溶媒B
10.7分〜12分、3%溶媒B
5.0分〜5.5分、100%溶媒B
予備LCMシステム:アジレント1100/アジレント6120Quadrupole API−ESI−MS/215nm、254nm及び310nmにおけるMWD検出
溶媒A 水;溶媒B MeCN;カラム Phenomenex Axia Gemini C18 Prep21.2×100mm、5μM
【0197】
実施例1
4−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルバルデヒド

エチル4−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキシラート(67mmol)をTHF(900mL)に溶解させて黄色溶液を得た。その混合物を窒素雰囲気下の−78℃の槽内(内部温度約−70℃)で冷却した。DIBAL−H(THF中に1M;200mmol)を注射器によって45分間以上にわたって添加した。この添加後にこの反応を−60℃に暖め、次に、一晩で0℃までゆっくりと暖まるようにした。塩化アンモニウム飽和水溶液(200mL)をゆっくりと加えることよってこの反応を停止させた。次いで、その混合物を室温に暖めた。エーテル(400mL)及び酒石酸カリウムナトリウム飽和水溶液(200mL)を加えた。この混合物を30分間激しく撹拌した。層の分離後に、水層をエーテル及び塩水で洗浄した複合有機物を用いて抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、フィルターし、真空下で濃縮することによって、(4−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−イル)メタノールを固体として得た(84%)。
【0198】
LCMS(方法B)6.07分;Mass M+H191;UV230nm、265nm、315nm
【0199】
(4−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−イル)メタノール(105mmol)をCHCl(500mL)に溶解させて黄色懸濁液を得た。マンガン(IV)オキシド(546mmol)を0.5gの量で15分間に渡って加えた。この混合物を室温で6時間撹拌した。再び、マンガン(IV)オキシド(210mmol)を加えた。この混合物を室温で18時間撹拌した。再び、酸化マンガン(IV)(210mmol)を加えた。この混合物を室温で20時間撹拌し、次いで、40℃で4時間撹拌し、次いで、室温で一晩撹拌した。次いで、この混合物を、40℃で6時間撹拌し、室温まで冷まし、セライトでフィルタリングし、400mLのCHClで洗浄し、減圧下で濃縮して4−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルバルデヒドを固体として得た(72%)。
【0200】
LCMS(方法B)3.72分;Mass M+H193;UV310nm
【0201】
実施例2
6−(5−アミノ−2−クロロフェニル)−2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン

2−(2−クロロフェニル)酢酸(500mmol)の濃硫酸溶液(0.7mL/mmol)を−10℃に冷却した。発煙硝酸(809mmol)と硫酸(1.6mol)との新たに調製した混合物を−10℃においてゆっくりと加えた。この混合物を1時間で0℃まで暖まるようにして、0℃で4時間撹拌した。その溶液を破砕された氷/水(3L)上にゆっくりと注いだ。この混合物を激しく撹拌し、形成された沈殿物を濾過によって分離した。白色固形残留物を過剰な水(4L)で洗浄して乾燥させることによって2−(2−クロロ−5−ニトロフェニル)酢酸(80%)を得た。
【0202】
LCMS(方法A)7.98分;mass M−H−214;UV230nm、275nm、310nm
【0203】
2−(2−クロロ−5−ニトロフェニル)酢酸(49.9mmol)及びCDI(59.9mmol)をDMF(300mL)に溶解させて黄色溶液を得た。O−メチルヒドロキシアミン塩酸塩(59.9mmol)を加えた。この混合物を室温で4時間撹拌した。次いで、その反応混合物を減圧下で約50mLに濃縮し、300mLの酢酸エチルを用いて希釈した。有機層を250mLの水で2回洗浄した。次いで、水層を塩水で飽和させ、酢酸エチルで逆抽出した。有機層を、300mLの1M水性HCl、300mLのNaHCO飽和水溶液、及び、300mLの塩水で洗浄した。この有機層を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタリングし、真空下で濃縮することによって2−(2−クロロ−5−ニトロフェニル)−N−メトキシアセトアミド(69%)を固体として得た。
【0204】
LCMS(方法A)7.98分;mass M−H−214;UV235nm、270nm、305nm
【0205】
4−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルバルデヒド(90mmol)と2−(2−クロロ−5−ニトロフェニル)−N−メトキシアセトアミド(98mmol)とをDMF(1L)に溶解させて茶色溶液を得た。その反応混合物を0℃に冷却した。炭酸カリウム(197mmol)を加えた。この混合物を0℃で2時間撹拌し、次いで、一晩で室温まで暖まるようにした。炭酸カリウムを濾過によって除去し、その濾液を約100mLに濃縮した。その残留物を水(1L)で希釈して濾過した。濾過ケーキを350mLのEtOHで洗浄して真空下で乾燥させることによって茶色の固体を得た。副産物(Z)−6−(2−クロロ−5−ニトロフェニル)−2−(メチルチオ)−7H−ピラノ[2,3−d]ピリミジン−7−オン Oメチルオキシムは、EtOH中における4時間に渡る混合物の還流、及び、焼結ガラス漏斗による懸濁液の熱濾過によって分離された。その濾液の気化及び乾燥によって、6−(2−クロロ−5−ニトロフェニル)−8−メトキシ−2−(メチルチオ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(52%)を固体として得た。
【0206】
LCMS(方法A)5.20分;mass M+H379;UV220nm、240nm、290nm、345nm
【0207】
酢酸(400mL)中にタングステン酸ナトリウム二水和物(5.26mmol)が懸濁した無色懸濁液に、窒素雰囲気下の室温において、6−(2−クロロ−5−ニトロフェニル)−8−メトキシ−2−(メチルチオ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(52.3mmol)及び30%過酸化水素水溶液(160mmol)を加えた。その反応混合物を室温で18時間撹拌した。次いで、その混合物を減圧下で約60mLに濃縮した。高速で攪拌しながら500mLの水を加えた。沈殿物をろ過し、過剰な水で洗浄した。残った固体を真空下で一晩乾燥させて、6−(2−クロロ−5−ニトロフェニル)−8−メトキシ−2−(メチルスルホニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(78%)を固体として得た。
【0208】
LCMS(方法A)4.95分;mass M+H411;UV220nm、275nm、325nm
【0209】
6−(2−クロロ−5−ニトロフェニル)−8−メトキシ−2−(メチルスルホニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(4.87mmol)、N,N−ジメチルエタン−1,2−ジアミン(11.3mmol)及び濃縮塩酸水溶液(2.0mL)を電子レンジ容器中に置き、2−プロパノール(18mL)に溶解させた。この混合物を密封容器内においてマイクロ波照射によって100℃で15分間加熱した。この反応混合物を減圧下で濃縮し、EtOAcで抽出した。有機層を水及び水性バッファ(KHPO及びNaOH水溶液、pH7.0)で洗浄した。水層をEtOAc(4×50mL)で逆抽出した。有機層を、NaSO上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮することによって、室温精製を行うことなく、固体の6−(2−クロロ−5−ニトロフェニル)−2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(53%)が得られた。
【0210】
LCMS(方法A)4.53分;mass M+H419;UV215nm、320nm、375nm
【0211】
6−(2−クロロ−5−ニトロフェニル)−2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(73.2mmol)が溶解したEtOH(700mL)溶液に、濃塩酸水溶液(170mL)及び鉄粉(732mmol)を加え、その混合物を80℃で6時間撹拌した。この混合物を室温まで冷ましてセライトのパッドでろ過した。その濾液をEtOAc(700mL)で希釈し、NaHCO飽和水溶液(700mL)で洗浄した。水層をEtOAc(8×300mL)で逆抽出した。有機層を混合してNaCl飽和水溶液(1×700mL)で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させ、溶媒を蒸散させることによって、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィ(ジクロロメタン/トリエチルアミン 95:5、その後のジクロロメタン/MeOH/トリエチルアミン 90:5:5)によって精製された粗製生成物が得られた。回収した画分を、ジクロロメタンに溶解させ、水で洗浄してトリエチルアミン塩を除去した。水層をジクロロメタンで逆抽出し、有機層を混合し、NaSO上で乾燥させ、ろ過し、蒸発させることによって、6−(5−アミノ−2−クロロフェニル)−2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(32%)を固体として得た。
【0212】
LCMS(方法B)4.90分;mass M+H389;UV225nm、295nm、345nm
【0213】
実施例3
4−クロロ−N−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミドの例示的調製

小三角形型磁気撹拌子を装備した3mLのバイアル瓶内に、6−(5−アミノ−2−クロロフェニル)−2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(348μmol)を入れた。トリエチルアミン(344μmol)を加え、その後に、HATU(320μmol)及び4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)安息香酸(129μmol)のDMF原液の分割量を加えた。この混合物を室温で一晩撹拌した。この溶液を最大回収HPLCバイアル瓶内に移し、予備的HPLC−MSによって精製した。回収した画分を、遠心分離バイアル瓶に移し、凍結乾燥することによって、4−クロロ−N−(4−クロロ−3−(2−2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド(70%)を固体として得た。
【0214】
LCMS(方法B)6.81分;mass M+H595;UV240nm、290nm、340nm
【0215】
実施例4
1−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−3−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)尿素の例示的調製

小三角形型磁気撹拌子を装備した3mLのバイアル瓶内に、6−(5−アミノ−2−クロロフェニル)−2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(165μmol)を入れた。2−クロロ−4−イソシアナト−1−メトキシベンゼンのTHF(2mL、129mmol)溶液を加えた。この混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を一晩気化させ、残った固体をDMSOに溶解させ、最大回収HPLCバイアル瓶に移し、準備的HPLC−MSによって精製した。回収した画分を遠心分離バイアル瓶に移して凍結乾燥することによって、1−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−3−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)尿素(56%)を固体として得た。
【0216】
LCMS(方法B)6.56分;mass MH+H572;UV230nm、260nm、345nm
【0217】
実施例5
6−(4−アミノ−2−クロロフェニル)−2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン

NaH(288mmol)を0℃の窒素雰囲気下でDMF(370mL)に懸濁させた。マロン酸ジメチル(261mmol)を含むDMF(30mL)を0℃において20分間に渡って液滴によって加え、0℃において撹拌を30分間続けた。次いで、1,2−ジクロロ−4−ニトロベンゼン(130mmol)を含むDMF(35mL)を、0℃において20分間に渡って液滴によって加えた。この混合物を70℃で15時間撹拌した。この反応混合物を室温に冷まし、NHClで停止させた。この溶液をEtOAc(1×100mL、1×250mL)及び水(2×150mL)で連続的に洗浄した。層の分離を容易にするためにNaCl飽和水溶液(20mL)を加えた。有機層を分離し、NaCl飽和水溶液(2×100mL)で洗浄した。水層をEtOAc(2×50mL)で逆抽出した。有機層をNaSO上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をEtOHから再結晶させることによって、ジメチル2−に(2−クロロ−4−ニトロフェニル)マロナート(74%)が固体として得られた。
【0218】
LCMS(方法C)4.08分;mass M+H288;UV210nm、270nm
【0219】
ジメチル2−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)マロナート(96mmol)を酢酸(175mL)に懸濁させた。濃硫酸(3.5mL)を加え、その混合物を80℃で一晩撹拌した。水(30mL)を加え、その混合物を100℃で2時間撹拌し、その後に濃硫酸(1mL)を加えた。この混合物を室温で一晩撹拌した。形成された沈殿物をろ過によって除去し、水で洗浄した。残った固体を減圧下で乾燥することによって、2−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)酢酸(80%)を固体として得た。
【0220】
LCMS(方法C)5.87分;mass(M−H)2−429;UV210nm、280nm
【0221】
2−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)酢酸(67.2mmol)をDMF(500mL)に溶解させて無色の溶液を得た。CDI(87mmol)を一度で加えた。溶液が泡立つまでこの混合物を室温で撹拌した。室温においてメトキシルアミン塩酸塩(87mmol)を追加し、得られた混合物を室温で一晩撹拌した。得られた懸濁液を減圧下で100mLに濃縮し、次に、EtOAc(1200mL)で希釈された。得られた溶液を水(2×700mL)で洗浄し、水層をEtOAc(2×600mL)で逆抽出した。有機層を混合し、NaHCO飽和水溶液(1×1200mL)及びNaCl飽和水溶液(1×1200mL)で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮することによって、2−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)−N−メトキシアセトアミド(85%)を固体として得た。
【0222】
LCMS(方法C)3.03分;mass M+H245;UV210nm、270nm
【0223】
2−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)−N−メトキシアセトアミド(49.3mmol)及び4−クロロ2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルバルデヒド(41.2mmol)をDMF(600mL)に溶解させた。この溶液を0℃に冷まし、室温においてKCO(91mmol)を加えた。この混合物を0℃で2時間撹拌し、次いで室温で48時間撹拌した。この反応混合物をろ過し、その濾液を減圧下で60mLに濃縮した。水(600mL)を加えた。沈殿物をろ過し、EtOHで2回洗浄し、乾燥させた。副産物(Z)−6−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)−2−(メチルチオ)−7H−ピラノ[2,3−d]ピリミジン−7−オン O−メチルオキシムをEtOH中における混合物の4時間の還流及び焼結ガラス漏斗による懸濁液の熱濾過によって分離した。濾液の蒸散及び乾燥によって、6−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)−8−メトキシ−2−(メチルチオ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(63%)を固体として得た。
【0224】
LCMS(方法A)5.22分;mass M+H+379;UV215nm、255nm、340nm
【0225】
タングステン酸ナトリウム二水和物(0.633mmol)を濃酢酸(55mL)に懸濁させた。6−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)−8−メトキシ−2−(メチルチオ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(6.33mmol)を加え、その後に、30%過酸化水素水溶液(2mL)を加えた。この混合物を室温で一晩撹拌した。その反応混合物を減圧下で5mLに濃縮した。この溶液を水(100mL)で希釈した。沈殿物を濾過によって分離し、水で洗浄し、真空下で乾燥させることによって、6−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)−8−メトキシ−2−(メチルスルホニルピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(77%)を固体として得た。
【0226】
LCMS(方法A)4.97分;mass M+H+411;UV215nm、265nm、320nm
【0227】
6−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)−8−メトキシ−2−(メチルスルフォニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(4.74mmol)の2−プロパノール(15mL)懸濁液に、N,N−ジメチルアミノエチルアミン(47.4mmol)を加え、次いで、濃塩酸(300μL)を加えた。この混合物を密封容器においてマイクロ波照射によって15分間100℃に加熱した。この反応混合物に溶液となるまでジクロロメタンを加えた。次いで、この溶液を減圧下で濃縮し、6−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)−2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(95%)を固体として得た。
【0228】
LCMS(方法A)4.47分;mass M+H+419;UV245nm、340nm
【0229】
6−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)−2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(8.36mmol)のEtOH溶液(300mL)及び塩酸(20mL)に、鉄粉(91mmol)を加えた。この混合物を80℃で2時間撹拌した。次いで、この混合物を室温に冷まし、セライトのパッドでろ過した。濾液をEtOAc(300mL)で希釈し、NaHCO飽和水溶液(300mL)で洗浄した。水層をEtOAc(8×150mL)で逆抽出した。有機層を混合し、塩水(1×300mL)で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸散させることによって、6−(4−アミノ−2−クロロフェニル)−2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(43%)を固体として得た。
【0230】
LCMS(方法B)5.09分;mass M+H389;UV220nm、245nm、290nm、345nm
【0231】
実施例6
4−クロロ−N−(3−クロロ−4−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミドの例示的調製

小三角形型磁気撹拌子を装備した6mLの最大回収HPLCバイアル瓶内に、6−(5−アミノ−2−クロロフェニル)−2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(347μmol)を入れた。トリエチルアミン(344μmol)を加え、次いで、HATU(320μmol)及び4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)安息香酸(129μmol)のDMF原液の分割量を加えた。この混合物を室温で一晩撹拌した。この溶液を予備的HPLC−MSによって精製した。回収した画分を、遠心分離バイアル瓶に移し、凍結乾燥することによって、4−クロロ−N−(3−クロロ−4−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド(85%)を固体として得た。
【0232】
LCMS(方法B)6.86分;mass M+H595を集中させる;UV235nm、300nm、350nm
【0233】
実施例7
2,6−ジクロロ−N−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−イソニコチンアミド

2,6−ジクロロイソニコチン酸(0.37g)を含む10mLのTHF溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(0.449mL)を加え、その後にHATU(0.733g)を加えた。10分後に1mLのDCM及び2mLのDMFを加えた。次いで、6−(5−アミノ−2−クロロフェニル)−2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(0.5g)を、1mLのDCM及び2mLのDMFを含むTHF溶液(10mL)として加えた。この反応を室温において1時間攪拌した。この反応混合物を10mLのDCMで希釈し、5mLのメタノールで処理し、15gのalox(neutral社)上で蒸散させた。
【0234】
粗混合物を、90/10/1(DCM/MeOH/TEA)から80/20/1(DCM/MeOH/TEA)になるフラッシュマスタシステムを室温においてを用いたシリカによるクロマトグラフィで分離して、1.09gの粗生成物を得た。
【0235】
MeCN/水(0.1%ギ酸)における予備的HPLC−MSで50mgの粗生成物を精製することによって、25mgの精製された最終化合物を得た。
【0236】
実施例8
2−クロロ−N−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−6−ジエチルアミノ−イソニコチンアミド

40mgの2,6−ジクロロ−N−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−イソニコチンアミド及び50μlのジエチルアミンを、5mLのDMSOに溶解させ、マイクロ波で10分間100℃に加熱した。反応が完了するまで、ジエチルアミンのさらなる追加及び電子レンジによる加熱を複数回繰り返した。MeCN/水(1%ギ酸)中のHPLC−MSによってその反応混合物を精製することによって23mgを得た。
【0237】
B:生物活性分析(実施例9−12)
本発明の化合物の生物活性及び実用性は、以下により詳細に記載されているものを含む1つ以上の分析によって証明することができる。
【0238】
実施例9:キナーゼ活性の阻害に対するIC50値の試験
本発明の化合物のプロテインキナーゼに対するインビトロにおける抑制活性は、そのIC50値を決定することによって特徴付けることができる。
a)C−Raf(MAPH分析)
キナーゼ:C−Raf Raf−1(短縮された)及び活性(Upstate社;カタログ番号14−352)
反応容積: 40μl
反応時間: 60分間
反応温度: 室温
分析プレート: 96ウェルU底部プレート(Greiner、650161)
マルチスクリーンPHプレート:96ウェルMAPHフィルタプレート(Millipore、MAPHNOB50)
フィルタ洗浄溶液: 0.75%HPO
シンチレーション液体: スーパー混合物液体シンチレータ(パーキンエルマ、1200−439)

コントロール:
ネガティブコントロール(C−):100mM EDTA、阻害剤なし
ポジティブコントロール(C+):阻害剤なし

反応緩衝液(最終濃度):
20mMのトリス、pH7.5
2mM MnCl
1mM DTT
0.01% Tween20

最終の分析濃度:
キナーゼ:キナーゼ濃縮物を用いて滴定試験で決定される10%のATP回転を生じさせる
ATP:5.78μM
アデノシン5’−[γ−33P]三リン酸塩:12.5μCi/mL(Amersham Biosciences社、BF1000)
基質:ミエリン塩基性タンパク 57.8μM(Invitrogen社、13228−010)

ピペット操作順序:
1)4倍濃縮基質+4倍濃縮ATPを含む3倍濃縮反応緩衝液10μlを分析プレートの各ウェルに加える
2)4倍濃縮阻害剤を含む4%DMSO水溶液10μlをC−ウェル及びC+ウェル以外の各ウェルに加える(出発点:最終阻害剤濃度10μM;希釈系に基づいたIC50決定)
3)4%DMSO水溶液10μlをC−ウェル及びC+ウェルに加える
4)500mM EDTA水溶液10μlをC−ウェルに加える
5)50μCi/mLアデノシン5’−[γ−33P]三リン酸塩の水溶液10μlを各ウェルに加える
6)4倍濃縮キナーゼを含む反応緩衝液10μlを各ウェルに加える
7)室温で1時間インキュベートする
8)50mMのEDTAを含む水溶液10μlをC−ウェル以外の各ウェルに加える
9)0.75%HPOを含む溶液200μlを各ウェルに加えることによってMAPHプレートを調製する
10)Millipore社の真空ステーションを用いて0.75%のHPOをなくす。
11)0.75%HPOを含む溶液60μlをMAPHフィルタプレートの各ウェルに加える
12)分析プレートから1ウェル当たり30μlのサンプルをMAPHフィルタプレートの対応ウェルに移す
13)室温で30分間インキュベートする
14)MAPHフィルタプレートの各ウェルを、Millipore社の真空ステーションを用いて0.75%HPO200μlで3回に洗浄する
15)MAPHフィルタプレートの各ウェルに20μlのシンチレーション液を加える
16)シールMAPHフィルタプレート
17)MAPHフィルタプレートを暗闇に30分間置く
18)シンチレーション計数器(MicroBeta、パーキンエルマ)を用いて、放射能量を定量する
【0239】
b)C−Raf(IMAP分析)
キナーゼ:C−Raf Raf−1(短縮された)及び活性(Upstate社;カタログ番号14−352)
IMAP分析:
反応容積:8.0108μl
反応時間:60分間
反応温度:室温
IMAPインキューベーション時間:60分間
分析プレート:384ウェルU底、PP、黒、低容量(Corning、3676)
化合物プレート:384ウェルU底、PS(Falcon、3995)
IMAP結合緩衝液A:Molecular Devices、R7282
IMAP結合緩衝液B:Molecular Devices、R7283
IMAP結合試剤:Molecular Devices、R7207

コントロール:
ネガティブコントロール(C−):キナーゼなし、阻害剤なし
ポジティブコントロール(C+):阻害剤なし
反応緩衝液:
20mM Hepes、pH7.5
1mM DTT
10mM MnCl
0.01%Brij35

最終分析濃度:
キナーゼ:
滴定試験c−Raf(Upstate14−352)で決定される50%基質回転を産出するキナーゼ濃縮物
ATP:4.87μM
基質:5FI−SGQLIDSMANSFV−NH 400nM(jpt Peptide Technologies GmbH、ベルリン、ドイツ)

IMAP結合溶液: 75%IMAP結合緩衝液A
25%IMAP結合緩衝液B
IMAP結合試剤1:800

ピペット操作配列:
1)1.33倍濃縮基質+1.33倍濃縮ATPを含む1倍濃縮反応緩衝液6μlを分析プレートの各ウェルに加える
2)ピンツール(CyBio、Jena、ドイツ)を用いて、740倍濃縮阻害剤を含む100%DMSO10.8nlをC−ウェル及びC+ウェル以外の各ウェルに加える(開始点:最終阻害剤濃度10μM;希釈系に基づいたIC50決定)
3)ピンツールを用いて、100%DMSO10.8nlをC−ウェル及びC+ウェルに加える
4)反応緩衝液2μlをC−ウェルに加える
5)4倍濃縮キナーゼを含む反応緩衝液2μlをC−ウェル以外の各ウェルに加える
6)室温における反応時間に従ってインキュベートする
7)IMAP結合溶液15μlを各ウェルに加える
8)室温においてIMAPインキューベーション時間に従ってインキュベートする
9)蛍光偏光を測定する(Analyst GT、Molecular Devices)
【0240】
c)B−Raf
キナーゼ:B−Rafデルタ1−415(例えば、Upstateカタログ番号14−530)
反応容積:40μl
反応時間:60分間
反応温度:室温
分析プレート:96ウェルU底部プレート(Greiner、650161)
マルチスクリーンPHプレート:96ウェルMAPHフィルタプレート(Millipore、MAPHNOB50)
フィルタ洗浄溶液:0.75%HPO
シンチレーション液:Supermix Liquid Szintillator(パーキンエルマー、1200−439)

コントロール:
ネガティブコントロール(C−):100mM EDTA、阻害剤なし
ポジティブコントロール(C+):阻害剤なし

反応緩衝液:20mM Mops、pH 7.0
10mM MgCl
0.4mM MnCl
100mM NaCl
1mM DTT
0.01%NP40

最終分析濃度:
キナーゼ:滴定試験で決定される50%基質回転を生じさせるキナーゼ濃縮物
ATP:27.15μM
アデノシン5’−[γ−33P]三リン酸塩:12.5μCi/mL(Amersham Biosciences、BF1000)
基質:MEK1不活性 2μM(Upstate14−420)

ピペット操作順序:
1)4倍濃縮基質を含む3倍濃縮反応緩衝液10μlを分析プレートの各ウェルに加える
2)4倍濃縮阻害剤を含む4%DMSO水溶液10μlをC−ウェル及びC+ウェル以外の各ウェルに加える(開始点:最終阻害剤濃度10μM;希釈系に基づいたIC50決定)
3)4%DMSO水溶液10μlをC−ウェル及びC+ウェルに加える
4)500mM EDTA水溶液10μlをC−ウェルに加える
5)50μCi/mlアデノシン5’[γ―33P]三リン酸塩の水溶液10μl+4倍非標識ATPを各ウェルに加える
6)4倍濃縮キナーゼを含む反応緩衝液10μlを各ウェルに加える
7)室温で1時間インキュベートする
8)50mM EDTA水溶液10μlをC−ウェル以外の各ウェルに加える
9)200μlの0.75%HPOを各ウェルに加えることによってMAPHプレートを調製する
10)Millipore社の真空ステーションを用いて0.75%HPOをなくす
11)60μlの0.75%HPOをMAPHフィルタプレートの各ウェルに加える
12)分析プレートから1ウェル当たり30μlのサンプルをMAPHフィルタプレートの対応ウェルに移す
13)室温で30分間インキュベートする
14)Millipore社の真空ステーションを用いて、200μlの0.75%HPOでMAPHフィルタプレートの各ウェルを3回洗浄する
15)20μlのシンチレーション液をMAPHフィルタプレートの各ウェルに加える
16)シールMAPHフィルタプレート
17)MAPHフィルタプレートを暗闇に30分間置く
18)シンチレーション計数器(MicroBeta、パーキンエルマー)を用いて放射能量を定量する。
【0241】
d)B−Raf/B−Raf(V600E)(SelectScreen(商標)アッセイ)
非開示かつ非普及かつ不使用の状態で、選択した本発明の化合物を、SelectScreen(商標)キナーゼプロファイリングサービス(Invitrogen社、マディソン、ウィスコンシン53719、米国)において、B−Raf及びB−Raf(V600E)[「Invitrogen社によって用いられる用語で「V599E」]に対して試験した。簡潔に説明すると、化合物11及び化合物39(表1参照)は、Invitrogen社において、キナーゼ/試験化合物の5時間のプレインキュベーションを行って又は行わずに、B−Raf及びB−Raf(V600E)に対して試験が行われた。表9(d)は、これらの試験において観察されたIC50値を示している。驚くべきことに、本発明の化合物は、野生型B−RafよりもB−Raf(V600E)変異体をより強く抑制する。更に、5時間のプレインキュベーションの後にはるかに低いIC50値が観察されたことは、本発明の化合物が、平衡反応においてゆっくり形成されるB−Rafキナーゼの立体異性体に優先的に結合することを示している。
【0242】
表9(d)

【0243】
e)その他のキナーゼ
標準的キナーゼ阻害分析を用いるのと同様に、本発明の化合物がp38及びKDRを含むその他のキナーゼの阻害剤であることを示すことができる。WO06/002119に記載されているような当業界で知られている分析を用いて、チロシンキナーゼ及びセリントレオニンキナーゼを含むその他のキナーゼに対する抑制活性について、本発明の化合物を試験する。様々なキナーゼ酵素又は様々なキナーゼファミリー間における特定の化合物又は特定の化合物クラスの選択性を、そのような分析から得たIC50値の比較によって調査する。例えば、非開示かつ非普及かつ不使用の状態において、選択した本発明の化合物を、c−Raf、p38及び22個のその他のキナーゼ(Proteros biostructures GmbH、Martinsried/Munich、ドイツ)を含む標準的選択性パネルにおいて試験した。簡潔に説明すると、選択した本発明の化合物を、c−Raf、p38に対して、及び、Abl、Akt1、Aur A、c−Kit、c−Raf、Cdk1/CycB、Chk1、FGFR3、Flt3、Fyn、IGF1−R、INSR、Lyn、MAPK−ERK1、PAK4、PKCアルファ、Plk1、Ret、ROCK2、RSK1、c−Src、TIE2及びVEGF−R2に対して、1mMにおいて3回反復して試験した。すべての試験化合物がc−Raf及びp38を約70%から約100%抑制した。c−Kitは、抑制値がより低かった(約50%から約90%)ものの、ほとんどすべての化合物によって同様に抑制された。R4=−NH−C(=O)−Rである化合物は、Fyn、Lyn、Srcに対して高程度から中程度の抑制活性を示し、Abl及びRetに対して中程度の抑制活性を示した。R4=−NH−C(=O)−NH−Rである化合物は、Lynに対して中程度の抑制活性を示し、その他すべてのキナーゼに対して弱い抑制活性を示した。約13個のキナーゼは、すべてのケースにおける抑制が約30%未満であった。
【0244】
実施例10:B−Rafに対する本発明の化合物の向上した親和性
驚くべきことに、本発明の化合物は、式(I)が−NH−C−(=O)−(NH)−(CH−R(x及びyが0及び1から独立して選択され;Rが置換された又は置換されていないアリール並びに置換された又は置換されていないヘテロアリールから選択される)である置換基R又はRを有しない構造的関連化合物と比べても、インビトロアッセイにおいてB−Rafタンパクに対する向上した結合親和性を示すことがわかった。そのような置換を有しないそのような構造的い関連化合物は、以前に提出された特許出願:EP06122344.2、PCT/US2007/013299及びPCT/IB2007/054209に記載されている。
【0245】
本発明の化合物の結合親和性(K)を、修正されたFRETをベースとする(蛍光共鳴エネルギー転移)HTRF(ホモジニアス時間分解蛍光検出、Fluorescence resonance energy transfer)競合アッセイ用いて推定した。簡潔に説明すると、GSTとB−RafのキナーゼドメインとのN末端融合体(「GST−B−Rafデルタ1−415」)7nMを、15nMのユーロピウムでラベルされた抗GST抗体(61GSTKLB;CisBio)と共に120分間インキュベートすることによって、ユーロピウムドナー部位でラベルされた抗体/キナーゼ複合体を生じさせた。レセプタ部位としてCy5でラベルされた1mMの「化合物X」を加えた後に、本発明の試験化合物を様々な濃度で加え、Analyst(登録商標)GTマルチモードリーダ(Molecular Devices)のHTRF検出モードを用いて340nmにおける励起及び665nm波長における検出で、試験化合物による化合物X/B−Raf相互作用の競合によって生じるFRETシグナルの減衰を記録する。
【0246】
GST−B−Rafデルタ1−415融合タンパクは、適切に構築したタンパク発現真核ベクターに由来する標準的手法を用いて、発現及び精製される。
【0247】
化合物Xは、標準手法によって合成され、以下に記載されているようにCy5でラベルされている。

【0248】
約400nmolの化合物Xを含むDMSO(50μl)を、(Cy5に対して)モル当量のDIEA(ジ−イソプロピル−エチルアミン;Hunig Base)の存在下において、250−350nmol Cy5モノリアクティブ染料パック(PA25001;Amersham Biosciences)に加え、暗闇において室温で一晩インキュベートした。得られたCy5ラベルされた化合物Xを、水性TFAとMeCN(acentonitrile)との勾配を用いた逆相カラム(C18,5μm)を有するHPLCによって精製し、その純度を質量分析法で決定した。
【0249】
化合物X/B−Raf複合体のHTFRから得られるFRETシグナルにおける試験化合物濃度依存的かつ時間依存的低下は、試験化合物の各濃度のKobsを推定するために用いられる(Excel Fit、モデルy=y+y0*exp(−Kobs)tを用いたIDBS)。次に、試験化合物濃度に対するKobs値のプロットは、モデルKobs=Kon[試験化合物]+Koffを用いたそのようなデータの線形回帰からのKon及びKoffの推定を可能にする。従って、Kは、本発明の試験化合物のそれぞれについてK=Kon/Koffとして決定される。
【0250】
この方法(又は蛍光相互相関分光法などの親和性を決定する類似したその他の方法)を用いて、本発明の化合物は、通常、式(I)が−NH−C(=O)−(NH)−(CH−R(x及びyが独立して0及び1から選択され;Rが置換された又は置換されていないアリール並びに置換された又は置換されていないヘテロアリールから選択される)である置換R又はRを有しない構造上関連化合物と比較して、B−Rafに対して向上した結合親和性を示すことが明らかになった。例えば、本発明の化合物は、一般に100nM未満(20nM〜50nMなど)のK値を示し、構造的関連化合物は、一般に100nM超(150nM〜500nMなど)のK値を示す。
【0251】
実施例11:BRAF V600E突然変異を有する癌細胞株の増殖に対する本発明の化合物のインビトロにおける抗増殖活性
驚くべきことに、本発明の化合物がHT−29腫瘍細胞の増殖を阻害するのに有効であることがわかった(表3参照)。細胞を、IC50を決定するのに適切な様々な濃度の試験化合物に72時間暴露させ、Shekan et al(J Natl Cancer Inst (1990)82, 1107−112)に従ったSRB分析によって細胞増殖を測定し、表3に示されているIC50値を推定した。簡潔に説明すると、表11.1に指示されている濃度で化合物を加える24時間前に、細胞を96ウェルディッシュに被覆させた。

【0252】
増殖培養液を除去した後に10%氷冷TCAを加えることによってアッセイを終了させ、プレートを4℃で一晩インキュベートした。次いで、そのプレートを水で5回洗浄し、スルホロダミンB溶液(4%)100μlを各ウェルに加えた。次いで、1%酢酸で洗浄することによって結合していない色素を除去する前に、プレートを室温で10分間インキュベートした。結合した色素を10mMのTrizma Baseで可溶化させ、OD520において吸収度を読み取った。化合物の抑制活性を、溶媒(DMSO)で処理した細胞と比較した細胞増殖の%阻害として計算した。表3は、本発明の特定の化合物についての細胞増殖の阻害についてのIC50値を表しており、その化合物がBRAF V600E突然変異を有する癌細胞株に対して特異的に明確かつ顕著な抗増殖活性を発揮したことが示されている。
【0253】
実施例12:異種移植腫瘍モデルにおける化合物の活性
この分析によって、インビボ異種移植モデル中の腫瘍細胞に対する本発明の化合物の活性を実証する。
方法:
化合物調製
本発明の化合物(表1参照)を、生物学的に適合する溶媒(例えば、10%DMA/50%PEG300/水;又は、5%Cremophor EL/5%エタノール/90%食塩水において)中に腹腔内投与用に調製した。すべての調製を新たに行い、注射容積を体重に調整した(例えば、40〜80mg/kgのマウスの化合物投薬量となった)。

マウス/家畜飼育法
マウスをCharles River Laboratory(CRL)から入手し、固定微隔離器に収容し、水及び標準的な被照射齧歯動物飼料(Purina Pico−Lab Rodent Diet 20)を無制限に与えた。

【0254】
標準的プロトコル
無胸腺マウスにおける試験
CRLから入手した無胸腺nu/nuメスマウス(6週齢〜8週齢)を少なくとも4日間順応させた。ヒトHT−29細胞(ATCC)結腸癌細胞株を10%FCS及び1%Pen/Strepを加えたマッコイ培地(ATCC)中で培養した。約80%コンフルエンスの細胞の第2継代を研究で用いた。簡潔に説明すると、第0日に浅麻酔下で右脇腹下部に皮下注射することによって、0.1mL(合計5×10個の細胞)のHT−29細胞懸濁液(マトリゲルと1:1で混合されたサプリメント非含有マッコイ培地1mL中に50×10個の細胞)をマウスに接種した。平均腫瘍が100mgを超えるときに、適切な腫瘍サイズを有する動物を選抜し、ランダムに治療グループ(各10匹の動物)に分けた。
【0255】
腫瘍増殖及び体重を週2回モニターして記録した。デジタル測径器を用いて腫瘍の長さ及び幅を決定することによって腫瘍を測定した。下記式:腫瘍重量(mg)=(w×l)/2(wは幅であり、lは腫瘍のmm単位での長さである)を用いて腫瘍重量を推定した。
【0256】
腫瘍増殖阻害(TGI)%は:%TGI=100(l−T/C)(ここで、Tは、化合物で治療されたグループのある日の平均腫瘍サイズであり、Cは、溶媒コントロールグループの同じ日の平均腫瘍サイズである。)のように算出した。
【0257】
中毒死は、進行した病状によってではなく化合物の治療によって引き起こされた死亡として定義される。最後の化合物による処理から1週間以内に動物が死亡し、かつ、腫瘍サイズが1000mgに達していない場合に死亡を中毒であるとみなした。また、この時点の後に非腫瘍関連死がされても、中毒死とみなさなかった。
【0258】
1グループを溶媒のみ(例えば、10%DMA/50%PEG300/40%重水素減少水、po)で処理し、化合物及び治療スケジュールごとの3グループのマウスを各化合物の増加する量で処理した(例えば、40mg/kg、60mg/kg及び80mg/kgの用量で5日間又は10日間投薬した)。
【0259】
腫瘍が1000mm終了点容積に達したときにマウスを屠殺した。治療有効性をLogCellKill(LCK)として決定した。LCKは、治療の開始後に死亡したと推定される腫瘍細胞のパーセンテージを決定する計算であり、有効性の量的基準:LCK=(T−C)/(3.32)(Td)として用いられ得る。ここで、Tは、マウスの治療グループが1000mgのサイズに達するのに必要な平均時間であり、Cは、コントロールグループの腫瘍が1000mgのサイズに達する平均時間であり、Tdは、対数増殖中のコントロールグループ腫瘍の半対数増殖プロットからの線形回帰分析から推定した腫瘍倍増時間であり、3.32は、集団が1−log10単位を増加させるのに必要な倍増数である。各LCK単位は、細胞致死の1−log10単位(例えば、1LCKは90%致死であり、2LCKは99%致死であるなど)を表す。
【0260】
C:薬剤候補の選択及び開発
実施例13
さらなる試験を行うのに最も適切な化合物を選択するために、及び、癌などの疾患及び疾病の治療のための治療的組成物として使用される適合性を評価するために、さらにデータを集めた。そのようなデータは、IC50又は腫瘍細胞株のパネル全域の増殖の阻害、並びに、腫瘍増殖阻害又は減少データ及びインビボ動物モデルから得た生存期間データによって測定されるような、キナーゼなどのターゲット分子のインビトロにおける阻害を含んでいてもよい。更に、そのような試験は、対象化合物の作用機構、対象化合物のターゲット若しくはターゲットプロファイル、並びに、ターゲットに対する化合物の結合親和性若しくはターゲット上の化合物の結合部位及び薬物動態的特性などの対象化合物のその他の特性の解明及び/又は決定を含んでいてもよい。そのような試験は、薬剤ターゲット相互作用の分子モデリング、及び、投与後に生じる代謝産物の同定を含んでいてもよい。
【0261】
ターゲット阻害に対するIC50、細胞増殖の阻害、様々な腫瘍細胞株を透過したスペクトル、腫瘍増殖の阻害若しくは腫瘍減少データ、並びに/又は、動物生存期間データ、並びに/又は、ADME、薬物動態的特性及び薬力学的特性を含むその他の特徴について最も適した結果を示す化合物を選択して更なる試験を行ってもよい。そのような試験は、例えば、動物における治療的プロファイリング及び毒性学的検査、ヒトにおける第1相臨床試験、及び、その他の臨床試験を含んでいてもよい。
【0262】
当業者は、本発明が、目的を達成し、記載されている結果及び利益並びにそこにおいて固有のものを得るのに適切に構成されていることを容易に認識するであろう。本明細書に記載されている方法及び薬剤は、好ましい実施形態の代表であり、例示的であり、本発明の範囲を限定するものとして意図されていない。そこにおける修飾及びその他の使用は当業者によって想起されるであろう。これらの修飾は、本発明の精神に包含されており、特許請求の範囲によって定められる。
【0263】
当業者は、ルーティーン試験以上のことを行わずに、本明細書に記載されている本発明の特定の実施形態との多数の均等物を認識又は確認することができるであろう。そのような均等物は、以下の請求項に包含されるように意図されている。当業者は、実施形態のすべての組合せ、ここに記載されている特許請求の範囲の態様又は特徴の組合せが本発明の範囲内であることをも認識するであろう。
【0264】
表1














【0265】
表2




【0266】
表3




【0267】
表4
例示的化合物のためのRにおける置換パターン:
化合物32:
置換基R:置換されたアリール

アリール=フェニル
置換基A(m−Cl)=−[(RSm]、ここで、n=1:RS1=−Cl
置換基B(p−OR)=−[(RSm]、ここで、n=3:RS1=−O−R;RS2=−アリール;RS3=−F

化合物52:
置換基R:置換されたアリール

アリール=フェニル
置換基A(p−Cl)=−[(RSm]、ここで、n=1:RS1=−Cl
置換基B(m−OCF)=−[(RSm]、ここで、n=4:RS1=−O−R;RS2,RS3,RS4=−F

化合物67:
置換基R:置換されたヘテロアリール

ヘテロアリール=ピリジル
置換基A(2−Cl)=−[(RSm]、ここで、n=1:RS1=−Cl
置換基B(6−NHR)=−[(RSm]、ここで、n=4:RS1=−N(R;RS2=−アリール;RS3=ヘテロシクロアルキル;RS4=−アルキル
【0268】
均等物
当業者は、ルーティーン試験以上のことを行わずに、本明細書に記載されている本発明の特定の実施形態に対する多数の均等物を認識又は確認することができるであろう。そのような均等物は、添付の特許請求の範囲に包含されるように意図されている。引用されている上記参考文献及び刊行物のすべては、ここで言及することによって組み込まれている。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)

(ここで、Rは水素、−NH、並びに、置換された又は置換されていない:−NH−C1−6−アルキル、−NH−シクロアルキル、−NH−ヘテロシクロアルキル、−NH−C1−6−アルキレン−OR及び−NH−C1−6−アルキレン−NRから選択され;
は水素、−ハロゲン、−メチル、−CHF、−CHF、−CF、−O−メチル、−O−CHF、−O−CHF、及び、−O−CFから選択され;
及びRの一方は水素であり、他方は−NH−C(=O)−(NH)−(CH−Rであり、x及びyは0及び1から独立して選択され;
は水素、並びに、置換された又は置換されていない:−アルキル、−アルケニル、−アルキニル、−シクロアルキル、−シクロアルケニル、−(Cで連結されたヘテロシクロアルキル)、−(Cで連結されたヘテロシクロアルケニル)、−アリール、及び−ヘテロアリールから選択され;
は置換された又は置換されていないアリール並びに置換された又は置換されていないヘテロアリールから選択され;
は水素及び−C1−6−アルキルから独立して選択される)で表される構造を有する化合物若しくはその任意の互変異性体又はその薬学的に許容可能な任意の塩若しくはN−オキシドであって、
化合物(A):

ではないことを特徴とする化合物。
【請求項2】
前記Rが、置換された又は置換されていない−NH−C1−6−アルキレン−N(Rであることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記Rが水素及び塩素から選択されることを特徴とする請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
前記Rが、置換された又は置換されていないアルキル基、並びに、置換された又は置換されていないシクロアルキル基から選択されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
前記Rがメチルであることを特徴とする請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
式(Ia)

で表される構造又はその任意の互変異性形態若しくは立体異性形態を有し、Xが−O−及び−NR−から選択されることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
前記Xが−NRであることを特徴とする請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
前記化合物が:
4−クロロ−N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;
5−tert−ブチル−2H−ピラゾ−ル−3−カルボキシ酸{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド;
3,4−ジクロロ−N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−ベンズアミド;
5−tert−ブチル−2−メトキシ−2H−ピラゾ−ル−3−カルボキシ酸{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド;
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド;
1−メチル−1H−インドール−2−カルボキシ酸{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド;
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−2−メトキシ−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−2−メトキシ−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド;
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−2−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド;
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;
3−クロロ−N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−ベンズアミド;
5−tert−ブチル−N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−2−メトキシ−ベンズアミド;
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド;
3−クロロ−N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−4−メトキシ−ベンズアミド;
3,5−ジクロロ−N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−ベンズアミド;
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド;
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−2−モルフォリン−4−イル−イソニコチンアミド;
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−4−フェノキシ−ベンズアミド;
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;
2−クロロ−N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;
4−クロロ−N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−トリフルオロメトキシ−ベンズアミド;
5−tert−ブチル−2−フェニル−2H−ピラゾ−ル−3−カルボキシ酸{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド;
3−クロロ−N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−ベンズアミド;
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−ベンズアミド;
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド;
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンズアミド;
2−クロロ−N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−ベンズアミド;
4−tert−ブチル−N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−ベンズアミド;
4−クロロ−N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−ベンズアミド;
N−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−2−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;
6−フルオロ−1H−ベンズアミダゾール−2−カルボキシ酸{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド;
1−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−(3−クロロ−4−メトキシ−フェニル)−尿素;
1−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素;
1−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素;
1−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−(3−クロロ−フェニル)−尿素;
1−(4−tert−ブチル−フェニル)−3−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−尿素;
1−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−(4−フェノキシ−フェニル)−尿素;
1−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−(4−クロロ−フェニル)−尿素;
1−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−(4−メチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素;
1−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−(2−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素;
1−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素;
1−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−3−{4−クロロ−3−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−尿素;
4−クロロ−N−{3−クロロ−4−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;
N−{3−クロロ−4−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−2−メトキシ−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド;
4−クロロ−N−{3−クロロ−4−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−トリフルオロメトキシ−ベンズアミド;
N−{3−クロロ−4−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ベンズアミド;
N−{3−クロロ−4−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−2−モルフォリン−4−イル−イソニコチンアミド;
3−クロロ−N−{3−クロロ−4−[2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]フェニル)−4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−ベンズアミド;
5−tert−ブチル−2−フェニル−2H−ピラゾール−3−カルボキシ酸{3−クロロ−4−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド;
N−{3−クロロ−4−[2−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−2−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド;
2,6−ジクロロ−N−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−イソニコチンアミド;
2−クロロ−N−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−6−ピロリジン−1−イル−イソニコチンアミド;
2−クロロ−N−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−6−ジメチルアミノ−イソニコチンアミド;
2−クロロ−N−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−6−ピペリジン−1−イル−イソニコチンアミド;
2−クロロ−N−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−6−モルフォリン−4−イル−イソニコチンアミド;
2−クロロ−N−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−イソニコチンアミド;
2−クロロ−N−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−6−ジエチルアミノ−イソニコチンアミド;
2−クロロ−N−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−6−エチルアミノ−イソニコチンアミド;
2−クロロ−N−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−6−イソプロピルアミノ−イソニコチンアミド;
2−クロロ−N−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−6−(2−ジメチルアミノエチルアミノ)−イソニコチンアミド;
2−クロロ−N−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−6−(1−メチル−ピペリジン−4−イルアミノ)−イソニコチンアミド;
2−クロロ−N−(4−クロロ−3−(2−(2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−6−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジルアミノ)−イソニコチンアミド;
N−(4−クロロ−3−(8−メトキシ−2−(2−メトキシ−エチルアミノ)−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−フェニル)−ベンズアミド;
N−(4−クロロ−3−(2−エチルアミノ−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;
N−(3−(2−アミノ−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−4−クロロ−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;
N−(4−クロロ−3−(8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;及び、
N−{4−クロロ−3−[2−(3−ジメチルアミノ−プロピルアミノ)−8−メトキシ−7−オキソ−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;
から選択されることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の化合物と、薬学的に許容可能な希釈剤、添加剤又は担体とを含むことを特徴とする医薬品組成物。
【請求項10】
前記化合物又はそのプロドラッグの治療的有効量を含むことを特徴とする請求項9に記載の医薬品組成物。
【請求項11】
必要性がある患者の治療用であることを特徴とする請求項9又は10に記載の医薬品組成物。
【請求項12】
前記患者がヒトであることを特徴とする請求項11に記載の医薬品組成物。
【請求項13】
個体の疾患又は疾病を治療する方法において、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の化合物又は請求項9乃至12のいずれか1項に記載の医薬品組成物の治療的有効量を投与するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項14】
前記個体が、家畜哺乳類、ネコ、イヌ、ウマ、ヒツジ、ウシ、げっ歯動物及びヒトから選択される哺乳類であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記哺乳類がヒトであることを特徴とする請求項14に記載の方法。


【公表番号】特表2011−518204(P2011−518204A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505427(P2011−505427)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【国際出願番号】PCT/EP2009/002930
【国際公開番号】WO2009/130015
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(510279077)フォーマ セラピューティクス,インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】FORMA THERAPEUTICS,INC.
【Fターム(参考)】