説明

放射線変換器用クレードル

【課題】放射線変換器に対する有効な充電処理を行うことができるとともに、当該放射線変換器の補正情報を作成することのできる放射線変換器用クレードルを提供することを目的とする。
【解決手段】クレードル30は、充電処理部92において、装填された電子カセッテ28に搭載されたバッテリ50の充電処理を行うとともに、カセッテ情報作成部99において、電子カセッテ28から取得した放射線画像情報に基づき、補正情報を作成し、この補正情報をカセッテ情報としてカセッテ情報メモリ91に記憶させる。また、取得した放射線画像情報は、補正処理部103において、補正情報を用いて補正処理された後、コンソール34に送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体の放射線画像を撮影する撮影装置の近傍に配置され、前記被写体を透過した放射線を検出して画像情報に変換する放射線変換器の充電処理を行う放射線変換器用クレードルに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、被写体に放射線を照射し、被写体を透過した放射線を放射線変換器に導いて放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置が広汎に使用されている。
【0003】
この場合、照射された放射線を直接電気信号に変換し、あるいは、放射線をシンチレータで可視光に変換した後、電気信号に変換して読み出すことのできるアモルファスシリコン等からなる固体検出素子を用いた放射線変換器(電子カセッテ)が開発されている。放射線変換器には、多数の個体検出素子からなる画素がマトリックス状に配列され、各画素が放射線を画像情報に変換することにより、2次元放射線画像が取得される。
【0004】
ところで、前記各画素の変換特性は、全て同じである訳ではなく、通常は個々に変換特性が異なっている。また、放射線が照射されることにより、経時的に変換特性が変動するだけでなく、画像情報を得ることのできない欠陥画素が生じることもある。
【0005】
そこで、このような画素毎の変換特性を検出して補正情報を作成し、撮影によって得られた画像情報を前記補正情報を用いて補正するようにした技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
一方、前記放射線変換器には、バッテリを搭載し、持ち運び可能に構成された携帯型のものがある。この場合、搭載するバッテリの容量が大きいと、放射線変換器の重量が増加するため、取り扱いに不具合が生じる。そのため、バッテリの容量を制限して軽量化を図る一方、撮影室内又は撮影装置の近傍に充電用クレードルを配置し、適時バッテリの充電を行うようにしている(特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2000−132662号公報
【特許文献2】特開2006−208306号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に開示された充電用クレードルは、放射線変換器の補正情報を作成する機能を有していないため、場合によっては、不適切な状態にある放射線変換器に対して無駄な充電処理を行ってしまうことが考えられる。
【0009】
本発明は、放射線変換器に対する有効な充電処理を行うことができるとともに、当該放射線変換器の補正情報を作成することのできる放射線変換器用クレードルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の放射線変換器用クレードルは、被写体の放射線画像を撮影する撮影装置の近傍に配置され、前記被写体を透過した放射線を検出して画像情報に変換する放射線変換器の充電処理を行う放射線変換器用クレードルであって、
前記放射線変換器に搭載されたバッテリに対する充電処理を行う充電処理部と、
前記放射線変換器から前記画像情報を取得する画像情報取得部と、
取得した前記画像情報を用いて、前記放射線変換器に対する補正情報を作成する補正情報作成部と、
作成した前記補正情報を当該放射線変換器に関連させて記憶する補正情報記憶部と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、撮影装置の近傍に配置された放射線変換器用クレードルにおいて、当該放射線変換器に対して有効な充電処理を行うことができるとともに、当該放射線変換器から取得した画像情報を用いて、補正情報の作成処理を行うことができる。また、放射線変換器用クレードルでは、作成した補正情報を用いて画像情報に対する補正処理を行うことができる。そのため、補正された適切な画像情報を供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の放射線変換器用クレードルが適用される放射線画像撮影システム20の説明図である。放射線画像撮影システム20は、撮影条件に従った線量からなる放射線Xを患者22(被写体)に照射する放射線源24と、放射線源24を制御する線源制御装置26と、患者22を透過した放射線Xを検出する電子カセッテ28(放射線変換器)と、電子カセッテ28の充電処理、電子カセッテ28により検出した放射線Xに基づく画像情報の送受信処理、画像情報を用いて電子カセッテ28の補正情報を作成する補正情報作成処理、補正情報、患者情報(被写体情報)及び撮影条件の表示処理を行うクレードル30と、放射線源24の撮影スイッチを有し、撮影作業を含む状態確認のために技師が所持する携帯情報端末32と、線源制御装置26、クレードル30及び携帯情報端末32を制御するとともに、必要な情報の送受信を行うコンソール34とを備える。
【0013】
なお、患者情報とは、患者22の氏名、性別、患者ID番号等、患者22を特定するための情報である。撮影条件とは、患者22の撮影部位に対して、適切な線量からなる放射線Xを照射するための管電圧、管電流、照射時間等を決定するための条件であり、例えば、撮影部位、撮影方法等の条件を挙げることができる。患者情報及び撮影条件は、コンソール34から取得することができる。
【0014】
放射線源24、線源制御装置26及びクレードル30は、撮影室36内に配置され、コンソール34は、撮影室36外の操作室38に配置される。また、線源制御装置26と携帯情報端末32、携帯情報端末32とコンソール34との間では、無線通信による必要な情報の送受信が行われる。
【0015】
図2は、電子カセッテ28の内部構成図である。電子カセッテ28は、放射線Xを透過させる材料からなるケーシング40を備える。ケーシング40の内部には、放射線Xが照射される照射面側から、患者22による放射線Xの散乱線を除去するグリッド42、患者22を透過した放射線Xを検出する放射線変換パネル44、及び、放射線Xのバック散乱線を吸収する鉛板46が順に配設される。
【0016】
ケーシング40の内部には、電子カセッテ28の電源であるバッテリ50と、バッテリ50から供給される電力により放射線変換パネル44を駆動制御する制御部52と、放射線変換パネル44によって放射線Xから電気信号に変換された情報を含む信号をクレードル30に無線送信する送受信部54とが収容される。なお、制御部52及び送受信部54には、放射線Xが照射されることによる損傷を回避するため、ケーシング40の照射面側に鉛板等を配設しておくことが好ましい。
【0017】
図3は、放射線変換パネル44を含む電子カセッテ28の回路構成ブロック図である。放射線変換パネル44は、放射線Xを感知して電荷を発生させるアモルファスセレン(a−Se)等の物質からなる光電変換層56を行列状の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)58のアレイの上に配置した構造を有し、発生した電荷を蓄積容量60に蓄積した後、各行毎にTFT58を順次オンにして、電荷を画像信号として読み出す。図3では、光電変換層56及び蓄積容量60からなる1つの画素62と1つのTFT58との接続関係のみを示し、その他の画素62の構成については省略している。なお、アモルファスセレンは、高温になると構造が変化して機能が低下してしまうため、所定の温度範囲内で使用する必要がある。従って、電子カセッテ28内に放射線変換パネル44を冷却する手段を配設することが好ましい。
【0018】
各画素62に接続されるTFT58には、行方向と平行に延びるゲート線64と、列方向と平行に延びる信号線66とが接続される。各ゲート線64は、ライン走査駆動部68に接続され、各信号線66は、読取回路を構成するマルチプレクサ76に接続される。
【0019】
ゲート線64には、行方向に配列されたTFT58をオンオフ制御する制御信号Von、Voffがライン走査駆動部68から供給される。この場合、ライン走査駆動部68は、ゲート線64を切り替える複数のスイッチSW1と、スイッチSW1の1つを選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ70とを備える。アドレスデコーダ70には、制御部52からアドレス信号が供給される。
【0020】
また、信号線66には、列方向に配列されたTFT58を介して各画素62の蓄積容量60に保持されている電荷が流出する。この電荷は、増幅器72によって増幅される。増幅器72には、サンプルホールド回路74を介してマルチプレクサ76が接続される。マルチプレクサ76は、信号線66を切り替える複数のスイッチSW2と、スイッチSW2の1つを選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ78とを備える。アドレスデコーダ78には、制御部52からアドレス信号が供給される。マルチプレクサ76には、A/D変換器80が接続され、A/D変換器80によってデジタル信号に変換された放射線画像情報が制御部52に供給される。
【0021】
図4は、放射線画像撮影システム20の構成ブロック図である。
【0022】
電子カセッテ28の制御部52には、放射線変換パネル44によって検出された放射線画像情報を記憶する画像メモリ51と、電子カセッテ28の固有の情報であるカセッテ情報を記憶するカセッテ情報メモリ53と、送受信部54と、電子カセッテ28に電力を供給するバッテリ50とが接続される。なお、カセッテ情報とは、例えば、当該電子カセッテ28に対して放射線画像情報を記録した回数である使用回数、電子カセッテ28に曝射された放射線Xの累積曝射線量、放射線変換パネル44を構成する各画素62から得られる放射線画像情報に基づいて検出した補正情報を挙げることができる。
【0023】
クレードル30の制御部90には、装填された電子カセッテ28のバッテリ50の充電処理を行う充電処理部92と、当該電子カセッテ28の補正情報を含むカセッテ情報を作成するカセッテ情報作成部99と、補正情報を用いて放射線画像情報の補正処理を行う補正処理部103と、カセッテ情報を記憶するカセッテ情報メモリ91と、コンソール34から取得した患者情報及び撮影条件を記憶する患者情報メモリ93及び撮影条件メモリ101と、電子カセッテ28にカセッテ情報を書き込む一方、電子カセッテ28から放射線画像情報を読み出す情報読み書き処理部95と、読み出された放射線画像情報を記憶する画像メモリ97と、カセッテ情報、患者情報、撮影条件及び取得した放射線画像情報を含む必要な情報を表示する表示部96と、必要な情報を技師等に報知するためのスピーカ98と、電子カセッテ28及びコンソール34との間で情報の送受信を行う送受信部94とが接続される。なお、送受信部94は、電子カセッテ28と無線通信による信号の送受信を行う。また、電子カセッテ28のバッテリ50に対する充電処理は、送受信部94を介した非接触状態、あるいは、クレードル30に装填された電子カセッテ28の図示しないコネクタを介した接触状態で行うことができる。
【0024】
携帯情報端末32の制御部100は、放射線源24を駆動する撮影スイッチ102によって生成された撮影信号を送受信部104を介して線源制御装置26に供給する。また、制御部100は、送受信部104を介してコンソール34から受信した患者情報、撮影条件等を表示部106に表示するとともに、必要な情報をスピーカ108を鳴動させることで技師等に報知する処理を行う。なお、携帯情報端末32は、必要な情報を設定することのできる操作部110を有する。
【0025】
コンソール34は、制御部112と、線源制御装置26、クレードル30及び携帯情報端末32に対して、必要な情報を無線通信により送受信する送受信部114と、患者情報を設定する患者情報設定部116と、線源制御装置26による撮影に必要な撮影条件を設定する撮影条件設定部118と、クレードル30を介して電子カセッテ28から供給された放射線画像情報に対する画像処理を行う画像処理部120と、処理した放射線画像情報を記憶する画像メモリ122と、放射線画像情報及びその他必要な情報を表示する表示部124と、必要な情報を技師等に報知するためのスピーカ126とを備える。
【0026】
コンソール34には、病院内の放射線科において取り扱われる放射線画像情報やその他の情報を統括的に管理する放射線科情報システム(RIS)82が接続され、また、RIS82には、病院内の医事情報を統括的に管理する医事情報システム(HIS)84が接続される。患者情報及び撮影条件を含む撮影のオーダリング情報は、コンソール34で直接設定し、あるいは、RIS82を介してコンソール34に外部から供給することができる。
【0027】
本実施形態の放射線画像撮影システム20は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作について説明する。
【0028】
患者22の放射線画像を撮影する際、コンソール34の患者情報設定部116を用いて当該患者22の患者情報を設定するとともに、撮影条件設定部118を用いて必要な撮影条件を設定する。なお、これらの情報は、送受信部114を介して上流のRIS82、HIS84から取得してもよい。設定された患者情報及び撮影条件は、表示部124に表示して確認することができる。
【0029】
次に、設定された患者情報及び撮影条件は、送受信部114から撮影室36内に配置されているクレードル30に送信され、制御部90によってクレードル30の表示部96に表示される。この場合、技師は、表示部96に表示された患者情報に従い、撮影を行う患者22の氏名等を確認する。この確認処理により、患者の取り違い等の事故を未然に回避することができる。また、技師は、表示された撮影条件に従い、撮影部位、撮影方法等の確認を行うことができる。
【0030】
一方、クレードル30には、撮影に供せられる電子カセッテ28が装填され、充電処理部92によってバッテリ50の充電処理が行われている。情報読み書き処理部95は、この電子カセッテ28のカセッテ情報メモリ53に対して、撮影対象となる患者22に係る患者情報を記録する。
【0031】
また、患者情報及び撮影条件は、コンソール34の送受信部114から無線通信により技師が所持する携帯情報端末32に送信され、その表示部106に表示される。この場合、技師は、携帯情報端末32の表示部106に表示された患者情報及び撮影条件を確認して、所望の撮影準備を行うことができる。
【0032】
さらに、撮影条件は、線源制御装置26に送信される。線源制御装置26は、送信された撮影条件である管電圧、管電流、照射時間を放射線源24に設定し、撮影準備を行う。
【0033】
技師は、クレードル30の表示部96に表示された患者情報を確認した後、充電処理が完了し、且つ、患者情報が記録された電子カセッテ28をクレードル30から取り出し、指定された撮影条件に従い、患者22の所望の撮影部位に電子カセッテ28を設定する。
【0034】
患者22に対して電子カセッテ28が適切な状態に設定された後、技師は、携帯情報端末32の撮影スイッチ102を操作し、放射線画像の撮影を行う。撮影スイッチ102が操作されると、携帯情報端末32の制御部100は、送受信部104を介して撮影開始信号を線源制御装置26に送信する。撮影開始信号を受信した線源制御装置26は、予めコンソール34から供給されている撮影条件に従って放射線源24を制御し、放射線Xを患者22に照射する。
【0035】
患者22を透過した放射線Xは、電子カセッテ28のグリッド42によって散乱線が除去された後、放射線変換パネル44に照射され、放射線変換パネル44を構成する各画素62の光電変換層56によって電気信号に変換され、蓄積容量60に電荷として保持される(図3参照)。次いで、各蓄積容量60に保持された患者22の放射線画像情報である電荷情報は、制御部52からライン走査駆動部68及びマルチプレクサ76に供給されるアドレス信号に従って読み出される。
【0036】
すなわち、ライン走査駆動部68のアドレスデコーダ70は、制御部52から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW1の1つを選択し、対応するゲート線64に接続されたTFT58のゲートに制御信号Vonを供給する。一方、マルチプレクサ76のアドレスデコーダ78は、制御部52から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW2を順次切り替え、ライン走査駆動部68によって選択されたゲート線64に接続された各画素62の蓄積容量60に保持された電荷情報である放射線画像情報を信号線66を介して順次読み出す。
【0037】
放射線変換パネル44の選択されたゲート線64に接続された各画素62の蓄積容量60から読み出された放射線画像情報は、各増幅器72によって増幅された後、各サンプルホールド回路74によってサンプリングされ、マルチプレクサ76を介してA/D変換器80に供給され、デジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された放射線画像情報は、制御部52に接続された画像メモリ51に一旦記憶される。
【0038】
同様にして、ライン走査駆動部68のアドレスデコーダ70は、制御部52から供給されるアドレス信号に従ってスイッチSW1を順次切り替え、各ゲート線64に接続されている各画素62の蓄積容量60に保持された電荷情報である放射線画像情報を信号線66を介して読み出し、マルチプレクサ76及びA/D変換器80を介して制御部52に接続された画像メモリ51に一旦記憶される。
【0039】
撮影が完了し、患者22の放射線画像情報が記録された電子カセッテ28は、撮影室36内に配置されているクレードル30に装填され、充電処理部92によりバッテリ50の充電処理が行われるとともに、情報読み書き処理部95により放射線画像情報の読み出し処理が行われる。情報読み書き処理部95は、電子カセッテ28の画像メモリ51に記憶された放射線画像情報を読み出して画像メモリ97に記憶させる。
【0040】
カセッテ情報作成部99は、装填されている電子カセッテ28の使用回数、すなわち、放射線Xを曝射した回数をカウントし、カセッテ情報としてカセッテ情報メモリ91に記録する。また、カセッテ情報作成部99は、画像メモリ97に記憶された放射線画像情報に基づき、使用開始から今回の撮影までの放射線Xの累積曝射線量を、放射線変換パネル44の各画素62毎、あるいは、各画素62の累積曝射線量の平均値として算出し、カセッテ情報メモリ91に記録する。
【0041】
さらに、カセッテ情報作成部99は、画像メモリ97に記憶された放射線画像情報に基づき、例えば、隣接する画素62間の放射線画像情報を比較することにより、欠陥画素の有無、欠陥の程度等に係る補正情報を算出し、カセッテ情報メモリ91に記録する。なお、欠陥画素を検出する方法としては、例えば、暗画像(暗電流)を用いる方法、患者22を配置しない状態で所定量の放射線Xを電子カセッテ28に一様に照射(露光)して得られる放射線画像情報を用いる方法、その他、各種の放射線画像撮影装置で実行されている欠陥画素の検出方法を利用することができる(特願2007−84797号[0026]参照)。
【0042】
以上のようにして作成されたカセッテ情報は、画像メモリ97から読み出されたプレビュー画像としての放射線画像情報とともに、表示部96に表示される。技師は、表示された電子カセッテ28に係るカセッテ情報に基づき、当該電子カセッテ28の使用状態等を確認することができる。この場合、例えば、使用可能な電子カセッテ28に対してのみ充電処理を施すことができる。また、表示された患者情報に基づき、所望の患者22に対して適切な撮影が行われたか否かを撮影室36内において確認することができる。
【0043】
クレードル30のカセッテ情報作成部99において作成されたカセッテ情報は、電子カセッテ28に送信され、カセッテ情報メモリ53に記憶される。
【0044】
また、カセッテ情報メモリ53から読み出された当該電子カセッテ28の使用回数、累積曝射線量、放射線変換パネル44の欠陥情報等を表示部96に表示することにより、電子カセッテ28が適切な使用状態にあるか否かを確認することができる。
【0045】
一方、クレードル30の画像メモリ97に記憶された放射線画像情報は、補正処理部103において、カセッテ情報作成部99により作成された補正情報に従って補正処理が施された後、患者情報メモリ93に記憶された患者情報とともに、送受信部94を介してコンソール34に送信される。コンソール34では、画像処理部120により放射線画像情報に対する画像処理が施された後、患者情報と関連付けられた状態で画像メモリ122に記憶される。次いで、画像メモリ122に記憶された放射線画像情報は、表示部124に表示されることで、画像の最終確認を行うことができる。
【0046】
コンソール34に送信された放射線画像情報は、必要に応じて圧縮処理が施された後、送受信部114から技師が所持する携帯情報端末32に送信され、プレビュー画像として表示部106に表示させるようにしてもよい。また、放射線画像情報は、クレードル30又は電子カセッテ28から直接携帯情報端末32に送信するように構成することも可能である。
【0047】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0048】
例えば、電子カセッテ28に収容される放射線変換パネル44は、入射した放射線Xの線量を光電変換層56によって直接電気信号に変換するものであるが、これに代えて、入射した放射線Xをシンチレータによって一旦可視光に変換した後、この可視光をアモルファスシリコン(a−Si)等の固体検出素子を用いて電気信号に変換するように構成した放射線変換パネルを用いてもよい(特許第3494683号公報参照)。
【0049】
また、光変換方式の放射線変換パネルを利用して放射線画像情報を取得することもできる。この光変換方式の放射線変換パネルでは、マトリクス状に配列された各固体検出素子に放射線が入射すると、その線量に応じた静電潜像が固体検出素子に蓄積記録される。静電潜像を読み取る際には、放射線変換パネルに読取光を照射し、発生した電流の値を放射線画像情報として取得する。なお、放射線変換パネルは、消去光を放射線変換パネルに照射することで、残存する静電潜像である放射線画像情報を消去して再使用することができる(特開2000−105297号公報参照)。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本実施形態に係る放射線画像撮影システムの説明図である。
【図2】電子カセッテの内部構成図である。
【図3】電子カセッテを構成する放射線変換パネルの回路構成ブロック図である。
【図4】放射線画像撮影システムの構成ブロック図である。
【符号の説明】
【0051】
20…放射線画像撮影システム
22…患者
24…放射線源
26…線源制御装置
28…電子カセッテ
30…クレードル
32…携帯情報端末
34…コンソール
36…撮影室
38…操作室
44…放射線変換パネル
50…バッテリ
51、97、122…画像メモリ
53、91…カセッテ情報メモリ
82…RIS
84…HIS
93…患者情報メモリ
96、106、124…表示部
95…情報読み書き処理部
99…カセッテ情報作成部
101…撮影条件メモリ
103…補正処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の放射線画像を撮影する撮影装置の近傍に配置され、前記被写体を透過した放射線を検出して画像情報に変換する放射線変換器の充電処理を行う放射線変換器用クレードルであって、
前記放射線変換器に搭載されたバッテリに対する充電処理を行う充電処理部と、
前記放射線変換器から前記画像情報を取得する画像情報取得部と、
取得した前記画像情報を用いて、前記放射線変換器に対する補正情報を作成する補正情報作成部と、
作成した前記補正情報を当該放射線変換器に関連させて記憶する補正情報記憶部と、
を備えることを特徴とする放射線変換器用クレードル。
【請求項2】
請求項1記載の放射線変換器用クレードルにおいて、
前記補正情報を表示する表示部を有することを特徴とする放射線変換器用クレードル。
【請求項3】
請求項1記載の放射線変換器用クレードルにおいて、
前記補正情報に従い、当該放射線変換器から取得した前記画像情報の補正処理を行う補正処理部を有することを特徴とする放射線変換器用クレードル。
【請求項4】
請求項1記載の放射線変換器用クレードルにおいて、
前記補正情報は、放射線を画像情報に変換する前記放射線変換器を構成する各画素の欠陥情報であることを特徴とする放射線変換器用クレードル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−180537(P2009−180537A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−17674(P2008−17674)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】