説明

放射線検出器およびその製造方法

【課題】 クロストークが小さく、かつシンチレータ素子の接合強度が高い放射線検出器および放射線検出装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 複数の半導体光検出素子がマトリクス状に配列された半導体光検出素子アレイ上に、複数のシンチレータ素子の各々がその底面を各半導体光検出素子に対向して配列され、シンチレータ素子の底面以外の面に光反射材を設けた放射線検出器であって、前記シンチレータ素子は互いに100μm以下の間隔をもって隣り合って配列され、隣り合うシンチレータ素子の光反射材の間には金属接合材を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線、α線、β線、γ線などの放射線を扱うコンピュータ断層撮影(CT)装置に用いられる放射線検出器に関するものであり、特にシンチレータ素子を用いた分解能の高いX線CT装置用放射線検出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
放射線CT装置は、被撮影体を中心に対称の位置関係で放射線源(例えばX線管)と放射線検出器とを配置したもので、検出位置ごとの放射線強度を測定して被撮影体の内部構造を観察する構成になっている。
【0003】
放射線検出器の基本構造は、複数の配列した半導体光検出素子にシンチレータ素子を配置したものであり、シンチレータ素子が放射線源側に開口してX線などの放射線を受けるようになっている。シンチレータ素子は一般的に柱状に加工されたCdWO、BiGe12、GdSなどのいずれかの材料からなり、複数のシンチレータ素子が互いに隣接する素子と間隔をあけて2次元配置されている。放射線がシンチレータ素子の開口面に入射すると、シンチレータ素子自身が発光して可視光を発し、この可視光を開口面の反対面に配置された半導体光検出素子が受光して電気信号を出力する。放射線CT装置では、隣り合って配置された複数のシンチレータ素子がCT画像の各画素に相当する。従って、放射線検出器のシンチレータ素子は、出来るだけ小さくかつ隣の素子との間隔が狭くなるように設計され、解像度、分解能の向上が図られている。
【0004】
柱状に加工されたシンチレータ素子の外周面は、半導体光検出素子との対向面を除いて光反射材が被覆されている。特許文献1には、酸化チタンなどの粉末をエポキシ系などの樹脂で混練した白色塗料(光反射材)をシンチレータ素子に被覆する例が開示されている。シンチレータ素子の外周面を光反射材で被覆することより、シンチレータ素子で発光した可視光はシンチレータ素子内部に閉じ込められ、効率良く半導体光検出素子に導かれる。
【0005】
特許文献2には、シンチレータ素子を被覆する光反射材の他の例として、スパッタリング法、又はCVD(化学気相堆積)法などの方法でシンチレータ素子表面にAu、Ag、Al、Ni等のいずれかの金属反射材を被覆する例が開示されている。
【0006】
特許文献3には、シンチレータ基板を重ねて樹脂で接着し、切断した後に樹脂を除去して白色塗料を充填する方法が開示されている。隣り合うシンチレータ素子の隙間は充填層の厚みで規定されている。
【0007】
特許文献4には、X線グリッドとして、シンチレータ層側面の反射膜の外面を囲む金属材料の被膜が形成されている。X線グリッドを構成するものとして、アルミニウム又は鉛が開示されている(段落0044参照)。
【0008】
特許文献5には、シンチレータスラブを含む検出器ストリップを、はめこみ型に挿入するシンチレータ装置が開示されている。個々の検出器ストリップの間にある横部品の上方にある残りの空間を、X線吸収層即ち吸収材料により充填する場合、低い融点を有する金属合金を使用する例が開示されている(段落0026参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平5―019060号公報
【特許文献2】特開2005―189234号公報
【特許文献3】特許第4215318号公報
【特許文献4】特開2004−151007号公報
【特許文献5】特開2003−043150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
放射線CT装置の高解像度化の要求に伴い、シンチレータ素子を用いた放射線検出器は、シンチレータ素子の開口面積は小さく、隣の素子との間隔は狭く配置する改良がなされてきた。近年では、隣り合うシンチレータ素子の間隔を小さくすることが要求されるようになってきている。狭い間隔でシンチレータ素子を並べる放射線検出器の作製では、従来技術において以下のような問題があった。
【0011】
特許文献1のように、シンチレータ基板に格子状に溝を形成して2次元配置されたシンチレータ素子を形成し、隣り合うシンチレータ素子の溝の中に、反射材とシンチレータ素子の接着材を兼ねて、酸化チタンなどの粉末をエポキシ系樹脂などで混練した白色塗料を充填していた。図12に従来技術による放射線検出器の断面拡大図を示す。この方法では、シンチレータ素子131が発した可視光は、白色塗料133及び134中の酸化チタン粉末で反射して、接着層105を透過して、半導体光検出素子121に導かれる。
【0012】
ところが、隣り合うシンチレータ素子の間隔が狭くなると、充填される白色塗料が薄くなってしまい、シンチレータ素子が発した可視光の一部は酸化チタン粉末で反射せず、白色塗料を透過して隣り合うシンチレータ素子に侵入してしまう。この現象はクロストークと呼ばれるもので、放射線検出器の解像度、分解能を下げる原因となってしまう。
【0013】
図13は、酸化チタン粉末とエポキシ系樹脂を混練した白色塗料(反射材)の厚みと、波長500nmの光の光透過率との関係を示したものである。反射材である白色塗料が薄くなると光透過率は増大する傾向がある。特に100μm以下の厚さになると光透過率の増大が顕著であり、このような光透過率では、放射線検出器においてクロストークの発生は避けられない。
【0014】
この問題に対して、エポキシ系樹脂と混練する酸化チタン粉末の量を増やし、酸化チタン粉末の密度を上げて光が透過しないようにする方法が考えられる。しかし、酸化チタン粉末の量を増やすほど白色塗料の粘度が高くなり、隣り合うシンチレータ素子の隙間に充填しにくくなる。
【0015】
また、前記白色塗料に含まれるエポキシ系樹脂は、隣り合うシンチレータ素子の接着材としての役割も果たしているが、隣り合うシンチレータ素子の間隔が狭くなり、酸化チタン粉末量が増えると、エポキシ系樹脂の量が少なくなり、接着強度が低下するという問題があった。
【0016】
さらに、シンチレータ基板に形成する溝の幅が狭くなるため、溝加工が困難になるという問題があった。例えば、隣り合うシンチレータ素子の隙間が10μm、シンチレータ素子の厚みが1.7mmとすると、幅10μm、深さ1.7mmの溝を機械加工で形成しなければならないことになる。
【0017】
従って、隣り合うシンチレータ素子の間隔が狭い放射線検出器において、シンチレータ基板に溝を形成し、溝の中に酸化チタンなどの粉末をエポキシ系樹脂などで混練した白色塗料を充填することは、接合強度、光学特性の両立の観点から困難であることがわかっている。
【0018】
一方、特許文献2には、反射材に金属を用い、シンチレータ素子の接着材に樹脂を用いる方法が開示されている。反射材が金属の場合、概ね厚さが0.1μm以上の金属であれば、可視光を透過することなく全て反射することが可能である。従って、シンチレータ素子を被覆する反射材に金属を用いれば、隣り合うシンチレータ素子の間隔が狭くなってもクロストークを回避することができる。
【0019】
しかし、隣り合うシンチレータ素子の隙間が100μm以下、特に10μm以下の場合、その隙間に樹脂を形成するのは、隙間に対してシンチレータ素子が厚いので非常に困難である。例えば、隣り合うシンチレータ素子の隙間が10μm、シンチレータ素子の厚みが1.7mmとすると、幅10μm、深さ1.7mmの溝の中に樹脂を形成しなければならないことになる。このようにアスペクト比の高い溝の中に樹脂を充填するのは困難である。また、樹脂を充填したとしても、樹脂の量が少なく、かつ薄いため、接着強度の低下が避けられないという問題がある。
【0020】
また、特許文献3には、シンチレータ基板を重ねて樹脂で接着し、切断した後に樹脂を除去して白色塗料を充填する方法が開示されている。この場合、隣り合うシンチレータ素子の隙間は充填層の厚みで規定されるため、特許文献1で開示された、溝で隙間を形成する方法と比較して、狭い隙間を形成することは容易である。しかし、隙間に白色塗料を充填するのが困難であること、クロストークが大きくなること、接合強度が低下することは、特許文献1、及び特許文献2と同様である。
【0021】
特許文献4には、シンチレータ素子間の溝の側壁に、側面反射膜及びX線グリッドとなる金属材料被膜を形成している(段落0043〜0046参照)。しかし、溝の間隔を狭くすると、溝の側壁に側面反射膜を均一に成膜することが困難となり、クロストークが大きくなる。
【0022】
特許文献5には、「切断段階を経ることによる精度の低下をなくす」(段落0020参照)為に、はめこみ型を用いている。しかし、ストリップ自体の接合強度を向上することを目的としてはいない。低い融点を有する金属合金はX線吸収のための充填材であり、接合強度の向上やクロストークの抑制を目的とするものではない。
【0023】
本願発明は、以上の問題を解決するものであり、隣り合うシンチレータ素子の間隔が狭くても、接合強度が高く、かつクロストークが小さい、放射線検出器およびその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本願発明の放射線検出器は、複数の半導体光検出素子がマトリクス状に配列された半導体光検出素子アレイ上に、複数のシンチレータ素子の各々がその底面を各半導体光検出素子に対向して配列され、シンチレータ素子の底面以外の面に光反射材を設けた放射線検出器であって、
前記シンチレータ素子は互いに100μm以下の間隔をもって隣り合って配列され、
前記光反射材は下地材と金属反射材とが順に形成されたものであり、
隣り合うシンチレータ素子の光反射材の間には金属接合材を有することを特徴としている。
【0025】
前記シンチレータ素子は、互いに、50μm以下、さらには10μm以下の間隔をもって隣り合って配列されている構成にすることができる。
【0026】
また、本願発明の放射線検出器は、前記金属接合材がSn、Ag、Cu、Zn、Au、In、Bi、Ni、Al、Crから選ばれる少なくとも1つの金属を有することを特徴としている。より好ましくは、これらの金属元素を主成分を構成する。前記金属材は、シンチレータ素子間に設けると共に熱処理による硬化プロセスを経ることで高い接合強度を得る。特に環境への負荷を抑えられる鉛フリー半田で前記金属接合材を構成することが望ましい。
【0027】
また、本願発明の放射線検出器は、前記金属接合材が2種類以上の金属層の積層構造を有することを特徴としている。
【0028】
また、本願発明の放射線検出器は、前記金属反射材と前記金属接合材が少なくとも1種類以上の共通の金属を有することを特徴としている。
【0029】
また、本願発明の放射線検出器は、縦横にアレイ状に配列された複数のシンチレータ素子のうち、縦方向に並んだシンチレータ素子間に形成された金属接合材が、横方向に並んだシンチレータ素子間に形成された金属接合材とは融点の異なる材料で構成されていることを特徴としている。この縦横の配列は、格子状の2次元配置に相当する。
【0030】
本願発明において、第1及び第2の金属接合材は同種或いは同一の材料であり、1回目の熱処理の軟化点が、固化後における2回目の熱処理の軟化点よりも低い材料を用いることもできる。すなわち、第1の金属接合材が1回目の熱処理による温度T1で軟化し、T1から冷却すると固化して合金となり、2回目の熱処理による温度T1では、合金化した第1の金属接合材は軟化せず、第2の金属接合材が軟化し、T1から冷却すると第2の金属接合材が固化して合金となる。例えば、SnCu系半田を用いる。
【0031】
本願発明において、熱処理の際に金属接合材が金属反射材と反応し得る材料を選択する場合、両者の反応を避けるために、層間にバリア層を設けることが望ましい。
【0032】
本願発明の他の放射線検出器は、複数の半導体光検出素子がマトリクス状に配列された半導体光検出素子アレイ上に、複数のシンチレータ素子の各々がその底面を各半導体光検出素子に対向して配列され、シンチレータ素子の底面以外の面に光反射材を設けた放射線検出器であって、
前記シンチレータ素子は互いに100μm以下の間隔をもって隣り合って配列され、
前記光反射材は金属反射材で構成され、
隣り合うシンチレータ素子の光反射材の間には金属接合材を有することを特徴としている。
より好ましくは、前記金属接合材を半田で構成する。
【0033】
本願発明の放射線検出器の製造方法は、
所定の厚みのシンチレータ基板を作製する工程、
前記シンチレータ基板の両面に下地材、金属反射材、第1の金属接合材を順に形成して第1の金属接合材付きシンチレータ基板を得る工程、
前記第1の金属接合材付きシンチレータ基板を所定枚数重ねて接合し、第1のシンチレータ基板接合体を形成する工程、
前記第1のシンチレータ基板接合体を所定厚みにスライスし、棒状のシンチレータ材の集合体であるシンチレータ接合基板を形成する工程、
前記シンチレータ接合基板を所定の厚みに加工する工程、
加工されたシンチレータ接合基板の両面に下地材、金属反射材、第2の金属接合材を順に形成して第2の金属接合材付きシンチレータ基板を形成する工程、
前記第2の金属接合材付きシンチレータ基板を所定枚数重ねて接合し、第2のシンチレータ基板接合体を形成する工程、
前記第2のシンチレータ基板接合体を所定厚みにスライスし、複数のシンチレータ素子を格子状に2次元配置したシンチレータアレイを形成する工程、
複数の半導体光検出素子を有する半導体光検出素子アレイと前記シンチレータアレイとを、半導体光検出素子とシンチレータ素子とが対向するように接着する工程を備えることを特徴としている。
【0034】
本願発明の放射線検出器の他の製造方法は、
所定の厚みのシンチレータ基板を作製する工程、
前記シンチレータ基板の両面に金属反射材、第1の金属接合材を順に形成して第1の金属接合材付きシンチレータ基板を得る工程、
前記第1の金属接合材付きシンチレータ基板を所定枚数重ねて接合し、第1のシンチレータ基板接合体を形成する工程、
前記第1のシンチレータ基板接合体を所定厚みにスライスし、棒状のシンチレータ材の集合体であるシンチレータ接合基板を形成する工程、
前記シンチレータ接合基板を所定の厚みに加工する工程、
加工されたシンチレータ接合基板の両面に金属反射材、第2の金属接合材を順に形成して第2の金属接合材付きシンチレータ基板を形成する工程、
前記第2の金属接合材付きシンチレータ基板を所定枚数重ねて接合し、第2のシンチレータ基板接合体を形成する工程、
前記第2のシンチレータ基板接合体を所定厚みにスライスし、複数のシンチレータ素子を格子状に2次元配置したシンチレータアレイを形成する工程、
複数の半導体光検出素子を有する半導体光検出素子アレイと前記シンチレータアレイとを、半導体光検出素子とシンチレータ素子とが対向するように接着する工程を備えることを特徴としている。
【0035】
また、本願発明の放射線検出器の製造方法では、第1又は第2の金属接合材をスパッタリング法、蒸着法、CVD法、スクリーン印刷法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、めっき法、スプレーコート法、インクジェット印刷法、ディスペンス法のいずれかの方法で形成することも特徴としている。
【発明の効果】
【0036】
本願発明によれば、隣り合うシンチレータ素子の間隔が100μm以下と狭くても、クロストークが小さく、シンチレータ素子の接合強度が高い放射線検出器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本願発明の実施の形態に係る放射線検出器の斜視図である。
【図2】本願発明の実施の形態に係る放射線検出器の一部拡大した断面図である。
【図3】本願発明の実施の形態に係る放射線検出器の一部拡大した断面図である。
【図4】本願発明の他の実施の形態に係る放射線検出器の一部拡大した断面図である。
【図5】本願発明の他の実施の形態に係る放射線検出器の一部拡大した断面図である。
【図6】本願発明の他の実施の形態に係る放射線検出器の一部拡大した断面図である。
【図7】本願発明の他の実施の形態に係る放射線検出器の一部拡大した断面図である。
【図8】本願発明の他の実施の形態に係る放射線検出器の一部拡大した断面図である。
【図9】本願発明の実施例に係る放射線検出器の製造方法を示す説明図である。
【図10】本願発明の実施例に係る放射線検出器の製造方法を示す説明図である。
【図11】本願発明の実施例に係る放射線検出器の製造方法を示す説明図である。
【図12】従来の放射線検出器の一部拡大した断面図である。
【図13】従来の白色塗料反射材の厚さと光透過率の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本願発明の放射線検出器及びその製造方法を以下に図面を参照しながら詳細に説明する。
【0039】
(実施の形態1)
図1は、本実施形態の放射線検出器を示す斜視図である。本願発明の放射線検出器1は、半導体光検出素子アレイ2上にシンチレータアレイ3が接着層5を介して取り付けられたものである。半導体光検出素子アレイ2は、複数の半導体光検出素子21が長さと幅方向の平板状に配列されたものである。柱状に加工されたシンチレータ素子31は隣り合うシンチレータ素子31の隙間に形成された金属接合材4によって互いに接合されており、底面を半導体光検出素子21に接着層5を介して取り付けられ、シンチレータアレイ3が形成されている。隣り合うシンチレータ素子31の間隔は10μm以下である。
【0040】
シンチレータ素子31は、例えば、CdWO、BiGe12、GdS、GGAGなどのいずれかのセラミックスシンチレータ材料を用いることができ、接着層5は光透過率が高い光学用接着剤を用いることができる。図1中には示されていないが、シンチレータ素子31の側面および上面(半導体光検出素子21と対向する面の反対面)には、シンチレータ素子31が発した可視光を反射する反射材が形成されている。
【0041】
図2は図1に示した放射線検出器1の断面拡大図である。また、図3は図1に示した放射線検出器1の一部を拡大して上面方向から見た拡大図である。図3中には示されていないが、シンチレータ素子31の上面(半導体光検出素子21と対向する面の反対面)には上面反射材34が形成されている。シンチレータ素子31の側面を囲むように、下地材32a、金属反射材32bが順に形成され、隣り合うシンチレータ素子31の間には金属接合材4が形成されている。図2の左から右へ、積層構造を符号で示すと、4/32b/32a/31/32a/32b/4/32b/32a/31/32a/32b/4である。
【0042】
下地材32aには、酸化シリコンや酸化チタンなど、シンチレータ素子31の発光波長において光透過率が高い無機酸化物材料を用いて、10nm〜10μmの厚さとするのが好ましい。より好ましくは0.1〜1.5μmの厚さとする。下地材としては、SiOスパッタ膜、溶融ガラスコーティング膜など、シンチレータ材の発光波長付近で光損失が少なくなれば、他の材料、膜形成方法を用いても良い。例えば、塗布したSOG液を焼成して得た無機酸化物材を用いることができる。SOG液の塗布には、ディップコーティング法を用いて塗布したが、スクリーン印刷法、スピンコーティング法、ディスペンス法などの方法を用いてもよい。
【0043】
金属反射材32bには、Ag、Au、Al、Ni、Rhから選ばれる少なくとも1つを含み、シンチレータ素子31の発光波長付近において光反射率が高い材料を用いて、0.1μm〜10μmの厚さとするのが好ましい。より好ましくは0.1〜数μmとする。膜形成方法にスパッタ法、蒸着法などの方法を用いてもよい。金属反射材32bの酸化を防ぐために、金属反射材32bの上にさらに酸化シリコンなどの保護材をコーティングしてもよい。この保護材は、金属反射材と金属接合材の間に設けられる。
【0044】
また、金属反射材としては、有機金属化合物液を塗布・焼成したものを形成してもよい。ただし、シンチレータ素子との間に下地材を設ける場合、先に述べた無機酸化物材(例えばSOG膜)を用いる。もし、下地材にシリコーン樹脂を用いると、金属反射材を設けようとする際に、有機金属化合物液で下地材が溶かされてしまう為、好ましくない。有機金属化合物液の塗布方法として、ディップコーティング法、スクリーン印刷法、スピンコーティング法、ディスペンス法などを用いることができる。
【0045】
金属接合材4には、Sn、Ag、Cu、Zn、Au、In、Bi、Ni、Al、Crの少なくとも1つを含む金属が用いられる。具合的には、AuSn、SnAgCu、SnCu、SnZnBi、SnInBiなどが用いられる。この金属接合材により、樹脂材料で結合する場合に比べて、強固な接合を実現できる。金属接合材を用いるとボイドの発生が抑制される。これに対して、シンチレータ素子間の狭幅の溝に合金材料を充填する方法では、雰囲気を巻き込んで金属合金充填材の中にボイドを形成するので好ましくない。
【0046】
シンチレータ素子31の半導体光検出素子21と対向する面の反対面には、上面反射材34が形成される。この上面反射材34はシンチレータ素子31の側面と同様に、従来の放射線検出器で反射材として用いられる酸化チタン粉末などをエポキシ系樹脂などで混練した白色塗料を用いる。そして、実施の形態1の放射線検出器は、解像度、分解度が高い、高解像度X線CT装置用放射線検出器として用いることができる。
【0047】
(実施の形態2)
図4に本願発明の他の実施形態を示す。図4は、図3と同様に放射線検出器の一部を拡大して上面方向から見た拡大図である。金属接合材の部分を除いて、放射線検出器の構成は図1〜3と同様である。図4中には示されていないが、シンチレータ素子31の上面(半導体光検出素子21と対向する面の反対面)には上面反射材が形成されている。金属接合材は第1の金属接合材41と第2の金属接合材42の2層構造となっている。金属反射材32bと接する第2の金属接合材42には、金属反射材への付着力に優れ、かつ第1の金属接合材41と金属反射材32bとの拡散反応を抑制できるCrやNiなどの金属が用いられ、第1の金属接合材41には低融点で接合性に優れた、Sn、Ag、Cu、Zn、Au、In、Bi、Ni、Al、Crの少なくとも1つを含む金属合金を用いる。具合的には、AuSn、SnAgCu、SnCu、SnZnBi、SnInBiなどが用いられる。第1或いは第2の金属接合材は半田であることが好ましい。実施形態2では金属接合材が2層の構成を示したが、3層以上の構成としても良い。
【0048】
(実施の形態3)
図5に本願発明の他の実施形態を示す。図5は、図3と同様に放射線検出器の一部を拡大して上面方向から見た拡大図である。金属接合材の部分を除いて、放射線検出器の構成は図1〜3と同様である。図5中には示されていないが、シンチレータ素子31の上面(半導体光検出素子21と対向する面の反対面)には上面反射材が形成されている。シンチレータ素子31の向かい合う2つの面に沿って形成された第1の金属接合材43と、第1の金属接合材43が形成された面に直交する他の2つの面に沿って形成された第2の金属接合材44には、融点の異なる金属が用いられている。実施形態3では第1の金属接合材43および第2の金属接合材44はいずれも1層の例を示したが、実施形態2と同様に、2層以上であっても構わない。
【0049】
なお、シンチレータ素子同士を半田の金属接合材を介して接合するプロセスにおいては、素子間の距離を正確に規定するために、スペーサを介して積層させてから熱処理する。前記スペーサ球に代えて、基板間に爪を挿入する治具を用いることも可能である。スペーサや爪は基板の中央、端或いは隅の近傍で介在させる。ただし、基板を切り分ける際に、スペーサや爪がタッチしていた箇所は捨て代として除外し、爪跡やスペーサが残っていない基板のみ、放射線検出器の組み立てに利用する。スペーサ(球状又はファイバー状)或いは爪は、300℃以上で荷重を加えたときに変形しない材料であることが好ましい。
【0050】
(実施の形態4)
図6に本願発明の他の実施形態を示す。図6は、図3と同様に放射線検出器の一部を拡大して上面方向から見た拡大図である。光反射材の部分を除いて、放射線検出器の構成は図1〜3と同様である。光反射材は金属反射材32dのみで構成されている。金属反射材とシンチレータ素子の間に下地層は無い。金属反射材には、Ag、Au、Al、Ni、Rhから選ばれる少なくとも1つを含み、シンチレータ素子31の発光波長付近において光反射率が高い材料を用いて、0.1μm〜10μmの厚さとするのが好ましい。より好ましくは0.1〜数μmとする。金属接合材としては、例えば、AuSn、SnAgCu、SnCu、SnZnBi、SnInBiなどの少なくとも1つが用いられる。
【0051】
(実施の形態5)
図7に本願発明の他の実施形態を示す。図7は、図6と同様に放射線検出器の一部を拡大して上面方向から見た拡大図である。金属接合材の部分を除いて、放射線検出器の構成は図6と同様である。金属接合材は第1の金属接合材41と第2の金属接合材42の2層構造となっている。金属反射材32dと接する第2の金属接合材42には、金属反射材への付着力に優れ、かつ第1の金属接合材41と金属反射材32dとの拡散反応を抑制できるCrやNiなどの金属が用いられ、第1の金属接合材41には低融点で接合性に優れた、Sn、Ag、Cu、Zn、Au、In、Bi、Ni、Al、Crの少なくとも1つを含む金属合金を用いる。具合的には、AuSn、SnAgCu、SnCu、SnZnBi、SnInBiなどが用いられる。第1或いは第2の金属接合材は半田であることが好ましい。実施形態5では金属接合材が2層の構成を示したが、3層以上の構成としても良い。
【0052】
(実施の形態6)
図8に本願発明の他の実施形態を示す。図8は、図6と同様に放射線検出器の一部を拡大して上面方向から見た拡大図である。金属接合材の部分を除いて、放射線検出器の構成は図6と同様である。シンチレータ素子31の向かい合う2つの面に沿って形成された第1の金属接合材43と、第1の金属接合材43が形成された面に直交する他の2つの面に沿って形成された第2の金属接合材44には、融点の異なる金属が用いられている。実施形態6では第1の金属接合材43および第2の金属接合材44はいずれも1層の例を示したが、実施形態5のように膜の部分を2層以上で構成してもかまわない。
【実施例】
【0053】
(実施例1)
図9〜図11を用いて、実施例1の放射線検出器の製造方法を、工程を追いながら説明する。
【0054】
まず工程1として、GdSの組成からなるシンチレータセラミックスのブロックを切断して複数毎のシンチレータ基板に分けた。各々のシンチレータ基板6を幅73mm、高さ22mm、厚さ1.0mmに加工した(図9(a))。
【0055】
次に工程2として、シンチレータ基板6の両面に、下地材及び金属反射材からなる光反射材33を積層形成した(図9(b))。下地材と金属反射材の境界は図示していないが、右から左へ、積層構造は金属反射材/下地材/シンチレータ基板6/下地材/金属反射材となっている。
【0056】
詳細には、シンチレータ基板6の両面にSOG液(日立化成工業(株)製:HSG−R7−13)をディップコーティング法で塗布した後、焼成して下地材を得た。焼成には電気炉を用い、室温から昇温して400℃で30分間保持した。焼成中の雰囲気の酸素濃度vol%は1000ppm以下(即ち0.1vol%以下)とした。焼成後、酸化シリコンを含む下地材(SOG膜)がシンチレータ基板6の両面に形成され、面荒れが緩和された。下地材の厚さは1.0μm、表面粗さRaは500nm以下となった。AFM(Digital Instruments社製:Nano Scope III)を用い、タッピングモードで5μm角の領域を測定し、Raを算出した。
【0057】
ついで、下地材を形成したシンチレータ基板6を有機金属化合物液に浸漬して、シンチレータ基板6の両面に有機金属化合物液(藤倉化成(株)製:ナノ・ドータイト XA−9069)を塗布した。
【0058】
ついで、塗膜となった有機金属化合物液を焼成してAgからなる金属反射材を形成した。焼成にはホットプレートを用い、150℃で30分間保持した。焼成前の有機金属化合物液の塗膜は無色透明であったが、焼成中にAg粒子が析出すると茶色に変色し、その後Ag粒子どうしが結合して銀色の連続膜になった。Agからなる金属反射材の厚さは0.3μmであった。
【0059】
次に工程3として、下地材、金属反射材を形成したシンチレータ基板6の両面に、第1の金属接合材45を形成した。第1の金属接合材45には80重量パーセントのAuと20重量パーセントのSnからなるAuSn合金めっき膜を用いた。AuSnめっき膜の膜厚は10μmとした(図9(c))。
【0060】
次に工程4として、各々の面に下地材、金属反射材、第1の金属接合材45を順に形成したシンチレータ基板6を複数枚重ねて真空容器内に設置した。真空ポンプで0.1Paまで減圧した真空容器内において、ホットプレートで基板を300℃に加熱しながら1000Nの荷重を30分間加えて接合し、第1のシンチレータ基板接合体71を得た(図9(d))。
【0061】
次に工程5として、第1のシンチレータ基板接合体71を、外周スライサーを用いて厚さ1.1mmの基板状に切断した(図10(e))。図10(e)は、切り分けた基板が並んでいる状態を図示しており、基板同士が積層されているわけではない。
【0062】
次に工程6として、切断で得た基板の両面をラップし、切断面を平坦化するとともに、基板の厚みを1mmとした。このようにして、下地材、金属反射材が形成された複数の棒状シンチレータ材を第1の金属接合材45で接合してなる、第1のシンチレータ接合基板81を得た(図10(f))。このとき、第1の金属接合材45の厚みは荷重及び加熱を伴った接合によって圧縮されていて7μmとなっており、下地材、金属反射材の厚みも加えたシンチレータ材同士の間隔は10μmとなった。
【0063】
次に工程7として、第1のシンチレータ接合基板81の両面に、下地材及び金属反射材で構成された光反射材22を積層形成した(図10(g))。下地材及び金属反射材は工程2で示した光反射材33と同じ内容で形成した。さらに下地材と金属反射材を形成したシンチレータ接合基板81の両面に第2の金属接合材46を形成した。第2の金属接合材46には、3.0重量パーセントのAgと0.5重量パーセントのCu、残部はSnからなる、SnAgCuめっき膜を用いた。SnAgCuめっき膜の膜厚は10μmとした。
【0064】
次に工程8として、下地材、金属反射材、第2の金属接合材46を形成した第1のシンチレータ接合基板を複数枚重ねて真空容器内に設置し、真空ポンプで0.1Paまで減圧した真空容器内において、ホットプレートで基板を230℃に加熱しながら1000Nの荷重を30分間加えて接合し、第2のシンチレータ基板接合体72を得た(図11(h))。第1の金属接合材45に用いたAuSnめっき膜の融点は約280℃であるため、工程8の加熱によって第1の金属接合材45が再溶融して厚みが変化したり、シンチレータ接合基板が剥がれたりすることはなかった。このように、第2の金属接合材46の融点を第1の金属接合材45の融点より低い構成とすることで、第2の金属接合材46で接合する際の温度を第1の金属接合材45の融点より十分に低い温度とすることができ、寸法精度を損なうことなく接合することが可能である。
【0065】
次に工程9として、第2のシンチレータ基板接合体72を、外周スライサーを用いて切断し、厚さ1.1mmの基板を複数枚得た(図11(i))。
【0066】
次に工程9で切断した基板の両面をラップし、切断面を平坦化するとともに、基板の厚みを1mmとし、シンチレータ素子が2次元配列した第2のシンチレータ接合基板82を得た(図11(j))。次に第2のシンチレータ接合基板82の上面に、上面反射材を形成した(図示せず)。実施例1では、上面反射材として、エポキシ樹脂((株)スリーボンド製:主剤2023、硬化剤2131D)を、主剤100:硬化剤30(重量比)で混合したものに、平均粒径約0.3μmの酸化チタン粉末を混練して白色塗料としたものを用い、シンチレータ接合基板82の上面にスクリーン印刷法で塗布した。このようにして、シンチレータアレイ3を得た。
【0067】
最後にシンチレータ素子31と半導体光検出素子21とが対向するようにして、シンチレータアレイ3の上面反射材の反対面と半導体光検出素子アレイ2の表面とを接着層(Epoxy Technologies社製光学接着剤:Epo−Tek301)を介して接着した。電気炉中80℃で1時間加熱することで、シンチレータアレイ3と半導体光検出素子アレイ2間の接着層は硬化して、放射線検出器が完成した。
【0068】
なお、実施例1では、シンチレータ基板6又は第1のシンチレータ接合基板81について、複数枚重ねて真空容器内に設置するという工程を採用している。そこで、各基板を重ねる際には、それらの間にスペーサ球(酸化シリコン製)を配置した。配置箇所は、基板の4隅及び中央の付近とした。前記スペーサ球の直径は、目標とする基板間隔の寸法と同じにしたので、積層構造のピッチを正確に規定することが出来た。ただし、最終的に切り分けた複数の第2のシンチレータ接合基板82のうち、前記スペーサ球を金属接合層内に内包したものは、捨て代として、図11(j)以降のプロセスからは除外した。
【0069】
(実施例2)
実施例1の構成について、AuSnめっき膜厚及びSnAgCuめっき膜厚を変更した以外は同様の方法で放射線検出器を作製した。試料2−1は、下地材、金属反射材の厚みも加えたシンチレータ素子同士の間隔を、第1金属接合材の側及び第2金属接合材の側の双方で50μmとした。試料2−2は、更にめっき膜厚を大きくすることにより、下地材、金属反射材の厚みも加えたシンチレータ素子同士の間隔を、第1金属接合材の側及び第2金属接合材の側の双方で100μmとした。いずれの放射線検出器も、十分な接合強度を確保し、クロストークを抑制することができた。
【0070】
(実施例3)
Agの金属反射材とSnAgCuの金属接合材の層間にバリア層としてNi層を付加する以外は、実施例1と同様にして本発明に係る放射線検出器を作製した。
【0071】
(実施例4)
下地材を設けず、金属反射材としてスパッタで形成したAg膜を用いた以外は、実施例1と同様にして本発明に係る放射線検出器を作製した。Ag膜の膜厚は0.3μmとした。
【0072】
(実施例5)
AuSn材をSnZnBi材に変更した以外は、実施例1と同様にして本発明に係る放射線検出器を作製した。
【0073】
(実施例6)
AuSn材をSnInBi材に変更した以外は、実施例1と同様にして本発明に係る放射線検出器を作製した。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本願発明は、放射線を扱うコンピュータ断層撮影(CT)装置等に用いられる放射線検出器として好適に用いられる。
【符号の説明】
【0075】
1 放射線検出器、
2 半導体光検出素子アレイ、
21 半導体光検出素子、
22 光反射材、
3 シンチレータアレイ、
31 シンチレータ素子、
32a 下地材、
32b 金属反射材、
32d 金属反射材、
33 光反射材、
34 上面反射材、
4 金属接合材、
41,43,45 第1の金属接合材、
42,44,46 第2の金属接合材、
5 接着層、
6 シンチレータ基板、
71 第1のシンチレータ基板接合体、
72 第2のシンチレータ基板接合体、
81 第1のシンチレータ接合基板、
82 第2のシンチレータ接合基板



【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体光検出素子がマトリクス状配列された半導体光検出素子アレイ上に、複数のシンチレータ素子の各々がその底面を各半導体光検出素子に対向して配列され、シンチレータ素子の底面以外の面に光反射材を設けた放射線検出器であって、
前記シンチレータ素子は互いに100μm以下の間隔をもって隣り合って配列され、
前記光反射材は下地材と金属反射材とが順に形成されたものであり、
隣り合うシンチレータ素子の光反射材の間には金属接合材を有することを特徴とする放射線検出器。
【請求項2】
前記金属接合材がSn、Ag、Cu、Zn、Au、In、Bi、Ni、Al、Crから選ばれる少なくとも1つの金属を有することを特徴とする請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項3】
前記金属接合材が2種類以上の金属層の積層構造を有することを特徴とする請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項4】
前記金属反射材と前記金属接合材が少なくとも1種類以上の共通の金属を有することを特徴とする請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項5】
縦横にアレイ状に配列された複数のシンチレータ素子のうち、縦方向に並んだシンチレータ素子間に形成された金属接合材が、横方向に並んだシンチレータ素子間に形成された金属接合材とは融点の異なる材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項6】
所定の厚みのシンチレータ基板を作製する工程、
前記シンチレータ基板の両面に下地材、金属反射材、第1の金属接合材を順に形成して第1の金属接合材付きシンチレータ基板を得る工程、
前記第1の金属接合材付きシンチレータ基板を所定枚数重ねて接合し、第1のシンチレータ基板接合体を形成する工程、
前記第1のシンチレータ基板接合体を所定厚みにスライスし、棒状のシンチレータ材の集合体であるシンチレータ接合基板を形成する工程、
前記シンチレータ接合基板を所定の厚みに加工する工程、
加工されたシンチレータ接合基板の両面に下地材、金属反射材、第2の金属接合材を順に形成して第2の金属接合材付きシンチレータ基板を形成する工程、
前記第2の金属接合材付きシンチレータ基板を所定枚数重ねて接合し、第2のシンチレータ基板接合体を形成する工程、
前記第2のシンチレータ基板接合体を所定厚みにスライスし、複数のシンチレータ素子を格子状に2次元配置したシンチレータアレイを形成する工程、
複数の半導体光検出素子を有する半導体光検出素子アレイと前記シンチレータアレイとを、半導体光検出素子とシンチレータ素子とが対向するように接着する工程を備えることを特徴とする放射線検出器の製造方法。
【請求項7】
第1又は第2の金属接合材をスパッタリング法、蒸着法、CVD法、スクリーン印刷法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、めっき法、スプレーコート法、インクジェット印刷法、ディスペンス法のいずれかの方法で形成することを特徴とする請求項6に記載の放射線検出器の製造方法。
【請求項8】
複数の半導体光検出素子がマトリクス状に配列された半導体光検出素子アレイ上に、複数のシンチレータ素子の各々がその底面を各半導体光検出素子に対向して配列され、シンチレータ素子の底面以外の面に光反射材を設けた放射線検出器であって、
前記シンチレータ素子は互いに100μm以下の間隔をもって隣り合って配列され、
前記光反射材は金属反射材で構成され、
隣り合うシンチレータ素子の光反射材の間には金属接合材を有することを特徴とする放射線検出器。
【請求項9】
前記金属接合材は半田で構成されていることを特徴とする請求項8に記載の放射線検出器。
【請求項10】
所定の厚みのシンチレータ基板を作製する工程、
前記シンチレータ基板の両面に金属反射材、第1の金属接合材を順に形成して第1の金属接合材付きシンチレータ基板を得る工程、
前記第1の金属接合材付きシンチレータ基板を所定枚数重ねて接合し、第1のシンチレータ基板接合体を形成する工程、
前記第1のシンチレータ基板接合体を所定厚みにスライスし、棒状のシンチレータ材の集合体であるシンチレータ接合基板を形成する工程、
前記シンチレータ接合基板を所定の厚みに加工する工程、
加工されたシンチレータ接合基板の両面に金属反射材、第2の金属接合材を順に形成して第2の金属接合材付きシンチレータ基板を形成する工程、
前記第2の金属接合材付きシンチレータ基板を所定枚数重ねて接合し、第2のシンチレータ基板接合体を形成する工程、
前記第2のシンチレータ基板接合体を所定厚みにスライスし、複数のシンチレータ素子を格子状に2次元配置したシンチレータアレイを形成する工程、
複数の半導体光検出素子を有する半導体光検出素子アレイと前記シンチレータアレイとを、半導体光検出素子とシンチレータ素子とが対向するように接着する工程を備えることを特徴とする放射線検出器の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図12】
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【図13】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−145212(P2011−145212A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7182(P2010−7182)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000005083)日立金属株式会社 (2,051)
【Fターム(参考)】