説明

放射線検出素子及び放射線画像撮影装置

【課題】大型化するのを抑制しつつ、用途に応じた最適な解像度と、撮影スピードとを提供することができる、放射線検出素子及び放射線画像撮影装置を提供する。
【解決手段】列方向に複数の画素20のTFT2が同一の信号配線Dに接続されるよう構成されている。動画撮影の場合には、制御配線Mにより制御信号を出力して画素20のTFT2をオン状態にして、センサ部13から電荷を読み出す。2画素×2画素を1つの画素のようにみなして電荷を取り出すため、静止画に比べて解像度が低くなるものの、フレームレートを向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画出素子及び放射線画像撮影装置に係り、特に医療用の放射線画像の撮影に用いられる放射線検出素子及び放射線画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療診断を目的とした放射線撮影を行う放射線画像撮影装置が知られている。当該放射線画像撮影装置は、放射線照射装置から照射され、被検体を透過した放射線を検出して放射線画像を撮影する。当該放射線画像撮影装置は、照射された放射線に応じて発生した電荷を収集して読み出すことにより放射線画像の撮影を行う。このような放射線画像撮影装置としては、いわゆるカセッテ等のFPD(Flat Panel Detector)パネルが挙げられる。
【0003】
放射線撮影において、静止画と動画(透視画)撮影を同一の放射線画像撮影装置(パネル)を用いて行えることが望まれている。一般に、静止画の場合には、診断が目的であるため、高い解像度(高精細画素)での撮影が求められる。このように高解像度が求められる一方、フレームレート(撮影スピード)は低くてもよい。
【0004】
一方、動画の場合には、例えば、被検体のポジショニング等、静止画を撮影するための位置合わせを目的とする場合が多く、解像度は低く(粗く)てよい一方で、高いフレームレートが求められる。
【0005】
特許文献1には、ゲートドライバー回路部と各画素とを接続するゲート線として、各行又は各列の画素毎に接続された系統Aのゲート線と、複数行又は複数列の画素を共通に接続する系統Bのゲート線と、系統Aのデータラインと、系統Bのデータラインとを、設けて、目的に応じて、高速駆動と高精細画像の取得を可能とする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−46143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の技術では、系統Aのデータラインと、系統Bのデータラインとを備えており、目的に応じて、使用されるデータラインが異なる。そのため、配線数の増加や、データラインから出力されるデータを処理する信号検出回路等が増加するため、装置の大型化を招くという問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するために成されたものであり、大型化するのを抑制しつつ、用途に応じた最適な解像度と、撮影スピードとを提供することができる、放射線検出素子及び放射線画像撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の放射線検出素子は、照射された放射線に応じた電荷を発生するセンサ部、前記センサ部から前記電荷を読み出して前記電荷を出力する第1スイッチング素子、及び前記センサ部から前記電荷を読み出して前記電荷を出力する第2スイッチング素子を各々備え、かつ行列状に配列された複数の画素と、行方向に隣接する複数の画素の前記第1スイッチング素子の制御端に接続された複数の第1制御配線と、行方向に隣接する複数の画素の前記第2スイッチング素子の制御端に接続された複数の第2制御配線と、前記画素の列毎に信号配線を備え、かつ前記信号配線毎に列方向に隣接する複数の画素の前記第1スイッチング素子の出力端が接続されると共に、列方向に隣接する複数の画素の前記第2スイッチング素子の出力端及び、行方向に隣接する複数の前記第2スイッチング素子の出力端が、一部の前記信号配線に接続された信号配線群と、を備える。
【0010】
行列状に配列された複数の画素の各々が、センサ部、第1スイッチング素子、及び第2スイッチング素子を備えており、信号配線群が、画素の列毎に信号配線を備え、かつ信号配線毎に列方向に隣接する複数の画素の前記第1スイッチング素子の出力端が接続されると共に、列方向に隣接する複数の画素及び行方向に隣接する複数の画素の第2スイッチング素子の出力端が、一部の前記信号配線に接続されている。
【0011】
このように、列方向に複数の画素の第2スイッチング素子が信号配線群の同一の信号配線に接続される。従って、第2スイッチング素子により電荷を読み出す際は、複数の画素から同時に1つの信号配線に電荷が流れ出す。従って、第1スイッチング素子により電荷を読み出す場合に比べて解像度は低下する一方、フレームレートを向上させることができる。
【0012】
また、第2スイッチング素子から電荷を読み出す際も、第1スイッチング素子により電荷が流れる信号配線を用いているため、第2スイッチング素子用に、別途、信号配線を設ける必要が無く、放射線検出素子が大型化するのを抑制することができる。
【0013】
また本発明の放射線検出素子は、請求項2に記載の放射線検出素子のように、前記第2制御配線は、列方向に隣接する画素の前記第2スイッチング素子の制御端子に接続されていることが好ましい。
【0014】
このように構成することにより、同時に駆動させることができる第2スイッチング素子の数が増加するため、よりフレームレートを向上させることができる。
【0015】
また、請求項3に記載の放射線検出素子のように、前記第2制御配線は、偶数行の前記第1制御配線と奇数行の前記第1制御配線との間に配置されるように構成することが好ましい。
【0016】
このように構成することにより、第2スイッチング素子が第2制御配線を兼用することができるため、第2制御配線の本数を減らすことができ、従って、第1制御配線と第2制御配線との合計本数が増加するのを抑制することができる。
【0017】
また、請求項4に記載の放射線検出素子のように、一部の前記信号配線に前記第2スイッチング素子の出力端が接続され、かつ同一の前記第2制御配線に前記第2スイッチング素子の制御端が接続された複数の画素から成る画素群を有し、列方向に隣接する前記画素群を成す複数の画素の前記第2スイッチング素子の出力端は、前記画素群毎に異なる前記一部の前記信号配線に接続されていることが好ましい。
【0018】
また、請求項5に記載の放射線検出素子のように、列方向に隣接する前記画素群を成す複数の画素の前記第2スイッチング素子の制御端が接続されている前記第2制御配線は、同一の外部端子に接続されているようにすることができる。
【0019】
また、請求項6に記載の放射線検出素子のように、前記第2制御配線は、各々異なる外部端子に接続されているようにすることができる。
【0020】
また、請求項7に記載の放射線検出素子のように、前記第1スイッチング素子は、1画素単位の画像情報取得に用いられ、前記第2スイッチング素子は、複数画素単位の画像情報取得に用いられることが好ましい。
【0021】
請求項8に記載の放射線画像撮影装置は、請求項7記載の放射線検出素子と、放射線画像の撮影を指示すると共に、放射線画像撮影装置から放射線画像を取得する制御手段と、を備え、前記制御手段が、外部からの指示に基づき、放射線検出素子の1画素単位の画素情報を取得する第1の画像取得方法と、複数画素単位の画像情報を取得する第2の画像取得方法と、を切り換える切換手段を有する。
【0022】
また、請求項9に記載の放射線画像撮影装置のように、請求項8に記載の放射線画像撮影装置は、放射線照射手段をさらに備え、前記制御手段が、前記放射線照射手段の制御に基づき、前記切換手段が前記第1の画像取得方法と前記第2の画像取得方法とを切り換えることが好ましい。
【0023】
また、請求項10に記載の放射線検出素子は、第1センサ部、前記第1センサ部に入力端が接続された第1スイッチング素子、及び前記第1センサ部に入力端が接続された第2スイッチング素子を備えた第1画素と、第2センサ部、前記第2センサ部に入力端が接続された第3スイッチング素子、及び前記第2センサ部に入力端が接続された第4スイッチング素子を備えた第2画素と、前記第1スイッチング素子の制御端及び前記第3スイッチング素子の制御端に接続された第1制御配線と、前記第2スイッチング素子の制御端及び前記第4スイッチング素子の制御端に接続された第2制御配線と、
【0024】
前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、及び前記第4スイッチング素子の出力端に接続された第1信号配線と、前記第3スイッチング素子の出力端に接続された第2信号配線と、を備える。
【0025】
また、請求項11に記載の放射線検出素子は、第1センサ部、前記第1センサ部に入力端が接続された第1スイッチング素子、及び前記第1センサ部に入力端が接続された第2スイッチング素子を備えた第1画素と、第2センサ部、前記第2センサ部に入力端が接続された第3スイッチング素子、及び前記第2センサ部に入力端が接続された第4スイッチング素子を備えた第2画素と、第3センサ部、前記第3センサ部に入力端が接続された第5スイッチング素子、及び前記第3センサ部に入力端が接続された第6スイッチング素子を備えた第3画素と、第4センサ部、前記第4センサ部に入力端が接続された第7スイッチング素子、及び前記第4センサ部に入力端が接続された第8スイッチング素子を備えた第4画素と、前記第1スイッチング素子の制御端及び前記第3スイッチング素子の制御端に接続された制御配線と、前記第5スイッチング素子の制御端及び前記第7スイッチング素子の制御端に接続された制御配線と、を含む第1制御配線と、前記第2スイッチング素子の制御端及び前記第4スイッチング素子の制御端に接続された制御配線と、前記第6スイッチング素子の制御端及び前記第8スイッチング素子の制御端に接続された制御配線と、を含む第2制御配線と、前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第4スイッチング素子、前記第5スイッチング素子、前記第6スイッチング素子、及び前記第8スイッチング素子の出力端に接続された第1信号配線と、前記第3スイッチング素子及び前記第7スイッチング素子の出力端に接続された第2信号配線と、を備える。
【0026】
また、請求項12に記載の放射線検出素子は、第1センサ部、前記第1センサ部に入力端が接続された第1スイッチング素子、及び前記第1センサ部に入力端が接続された第2スイッチング素子を備えた第1画素と、第2センサ部、前記第2センサ部に入力端が接続された第3スイッチング素子、及び前記第2センサ部に入力端が接続された第4スイッチング素子を備えた第2画素と、第3センサ部、前記第3センサ部に入力端が接続された第5スイッチング素子、及び前記第3センサ部に入力端が接続された第6スイッチング素子を備えた第3画素と、第4センサ部、前記第4センサ部に入力端が接続された第7スイッチング素子、及び前記第4センサ部に入力端が接続された第8スイッチング素子を備えた第4画素と、前記第1スイッチング素子の制御端及び前記第3スイッチング素子の制御端に接続された制御配線と、前記第5スイッチング素子の制御端及び前記第7スイッチング素子の制御端に接続された制御配線と、を含む第1制御配線と、前記第2スイッチング素子の制御端、前記第4スイッチング素子の制御端、前記第6スイッチング素子の制御端、及び前記第8スイッチング素子の制御端に接続された第2制御配線と、前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第4スイッチング素子、前記第5スイッチング素子、前記第6スイッチング素子、及び前記第8スイッチング素子の出力端に接続された第1信号配線と、前記第3スイッチング素子及び前記第7スイッチング素子の出力端に接続された第2信号配線と、を備える。
【0027】
また、請求項13に記載の放射線検出素子のように、第2制御配線は、前記第1スイッチング素子の制御端及び前記第3スイッチング素子の制御端に接続された制御配線と、前記第5スイッチング素子の制御端及び前記第7スイッチング素子の制御端に接続された制御配線との間に配置されることが好ましい。
【0028】
また、請求項14に記載の放射線検出素子のように、前記第1画素、前記第2画素、前記第3画素、前記第4画素、前記第1制御配線、前記第2制御配線、前記第1信号配線、及び前記第2信号配線をそれぞれ複数備え、列方向に隣接する前記画素群を成す前記第1画素、前記第2画素、前記第3画素、及び前記第4画素の前記第2スイッチング素子の出力端は、前記画素群毎に異なる前記一部の前記信号配線に接続されていることが好ましい。
【0029】
また、請求項15に記載の放射線検出素子のように、列方向に隣接する前記画素群を成す前記第1画素、前記第2画素、前記第3画素、及び前記第4画素の前記第2スイッチング素子の制御端が接続されている前記第2制御配線は、同一の外部端子に接続されていることが好ましい。
【0030】
また、請求項16に記載の放射線検出素子のように、前記第2制御配線は、各々異なる外部端子に接続されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、大型化するのを抑制しつつ、用途に応じた最適な解像度と、撮影スピードとを提供することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの一例の概略構成を示す概略構成図である。
【図2】第1の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の全体構成の一例を示す構成図である。
【図3】第1の実施の形態に係る放射線画像撮影装置における、静止画撮影動作、及び動画撮影動作を説明するための説明図である。
【図4】第2の実施の形態に係る放射線検出素子の概略構成の一例を示す構成図である。
【図5】第2の実施の形態に係る放射線検出素子における、静止画撮影動作、及び動画撮影動作を説明するための説明図である。
【図6】第3の実施の形態に係る放射線検出素子の概略構成の一例を示す構成図である。
【図7】第4の実施の形態に係る放射線検出素子の概略構成の一例を示す構成図である。
【図8】第4の実施の形態に係る放射線検出素子における、静止画撮影動作、及び動画撮影動作を説明するための説明図である。
【図9】その他の放射線検出素子の概略構成の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、各図面を参照して本実施の形態の一例について説明する。
【0034】
[第1の実施の形態]
【0035】
まず、本実施の形態の放射線画像撮影装置を用いた放射線画像撮影システムの概略構成について説明する。図1は、本実施の形態の放射線画像撮影システムの一例の概略構成図である。
【0036】
放射線画像撮影システム200は、放射線(例えばエックス線(X線)等)を被検体206に照射する放射線照射装置204と、放射線照射装置204から照射され、被検体206を透過した放射線を検出する放射線検出素子10を備えた放射線画像撮影装置100と、放射線画像の撮影を指示すると共に、放射線画像撮影装置100から放射画像を取得する制御装置202と、を備えて構成されている。制御装置202の制御に基づいたタイミングで、放射線照射装置204から照射され撮影位置に位置している被検体206を透過することで画像情報を担持した放射線は放射線画像撮影装置100に照射される。
【0037】
なお、放射線画像撮影システム200は、静止画撮影及び動画撮影を行う機能を有しており、制御装置202は、ユーザの指示、または、放射線照射装置204の制御に基づいて、静止画撮影及び動画撮影のいずれを行うかを切り換え、その旨を放射線画像撮影装置100に指示する。
【0038】
次に、本実施の形態の放射線画像撮影装置100の概略構成について説明する。本実施の形態では、X線等の放射線を一旦光に変換し、変換した光を電荷に変換する間接変換方式の放射線検出素子10に本発明を適用した場合について説明する。本実施の形態では、放射線画像撮影装置100は、間接変換方式の放射線検出素子10を備えて構成されている。なお、図2では、放射線を光に変換するシンチレータは省略している。
【0039】
放射線検出素子10には、光を受けて電荷を発生し、発生した電荷を蓄積するセンサ部13と、センサ部13に蓄積された電荷を読み出すためのスイッチング素子である2つのTFT(TFT1、TFT2)と、を含んで構成される画素20が複数、マトリックス状に配置されている。本実施の形態では、シンチレータによって変換された光が照射されることにより、センサ部13が、電荷を発生する。
【0040】
画素20は、一方向(図2の横方向、以下「行方向」ともいう)及び当該行方向に対する交差方向(図2の縦方向、以下「列方向」ともいう)にマトリックス状に複数配置されている。図2では、画素20の配列を簡略化して示しているが、例えば、画素20は行方向及び列方向に1024×1024個配置されている。
【0041】
また、放射線検出素子10には、TFT1のON/OFFを制御するための複数の制御配線G(図2では、G1〜G4)及びTFT2のON/OFFを制御するための複数の制御配線M(図2では、M1、M2)と、上記センサ部13に蓄積された電荷を読み出すための画素20の列毎に備えられた複数の信号配線D(図2では、D1〜D4)と、が互いに交差して設けられている。本実施の形態では、例えば、画素20が行向及び列方向に1024×1024個配置されている場合、制御配線G及び信号配線Dは1024本ずつ設けられている。また、この場合、制御配線Mは、制御配線Gの半分の本数、すなわち512本設けられている。
【0042】
なお、各画素20のセンサ部13は、図示を省略した共通配線に接続されており、共通配線を介して電源(図示省略)からバイアス電圧が印加されるように構成されている。
【0043】
制御配線Gには、各TFT1をスイッチングするための制御信号が流れる。このように制御信号が各制御配線Gに流れることによって、各TFT1がスイッチングされる。また、制御配線Mには、各TFT2をスイッチングするための制御信号が流れる。このように制御信号が各制御配線Mに流れることによって、各TFT2がスイッチングされる。
【0044】
信号配線Dには、各画素20のTFT1のスイッチング状態及びTFT2のスイッチング状態に応じて、各画素20に蓄積された電荷量に応じた電気信号がTFT1またはTFT2を介して流れる(詳細後述)。
【0045】
各信号配線Dには、各信号配線Dに流れ出した電気信号を検出する信号検出回路105が接続されている。各制御配線Gには、各制御配線GにTFT1をON/OFFするための制御信号を出力するスキャン信号制御回路104が外部端子11を介して接続されている。また、当該スキャン信号制御回路104は、各制御配線MにTFT2をON/OFFするための制御信号を出力するように各制御配線Mが外部端子12を介して接続されている。図2では、配線等の図示の簡略化のため、当該スキャン信号制御回路104を2つ(放射線検出素子10の左右両側)に記載しているが、本実施の形態ではこれらは別個のものではなく、同一のものである。なお、別個のものであってもよい。
【0046】
また、図2では、信号検出回路105及びスキャン信号制御回路104を1つに簡略化して示しているが、例えば、信号検出回路105及びスキャン信号制御回路104を複数設けて所定本(例えば、256本)毎に信号配線D又は制御配線G、制御配線Mを接続する。例えば、信号配線D及び制御配線Gが1024本ずつ設けられている場合、スキャン信号制御回路104を4個設けて256本ずつ制御配線Gを接続し、信号検出回路105も4個設けて256本ずつ信号配線Dを接続する。
【0047】
信号検出回路105は、各信号配線D毎に、入力される電気信号を増幅する増幅回路(図示省略)を内蔵している。信号検出回路105では、各信号配線Dより入力される電気信号を増幅回路により増幅し、ADC(アナログ・デジタル変換器、図示省略)によりデジタル信号へ変換する。
【0048】
この信号検出回路105及びスキャン信号制御回路104には、信号検出回路105において変換されたデジタル信号に対してノイズ除去などの所定の処理を施すとともに、信号検出回路105に対して信号検出のタイミングを示す制御信号を出力し、スキャン信号制御回路104に対してスキャン信号の出力のタイミングを示す制御信号を出力する制御部106が接続されている。
【0049】
本実施の形態の制御部106は、マイクロコンピュータによって構成されており、CPU(中央処理装置)、ROMおよびRAM、フラッシュメモリ等からなる不揮発性の記憶部を備えている。制御部106は、放射線検出用の画素20の画像データに所定の処理を施し、照射された放射線が示す放射線画像を生成して出力する。
【0050】
次に、本実施の形態の放射線画像撮影装置100(放射線検出素子10)による放射線画像の撮影動作について図3を参照して、説明する。放射線画像撮影装置100は、放射線の照射開始を検出して放射線検出素子10の各画素20で電荷を蓄積し、蓄積した電荷に応じた画像データに基づいた放射線画像を出力することにより放射線画像を撮影する。
【0051】
本実施の形態の放射線画像撮影装置100では、高い解像度で撮影を行う場合(例えば、静止画の撮影)と、高いフレームレート(例えば、動画の撮影)で撮影を行う場合と2種類の撮影を行うことができるものであるが、それぞれの種類に応じて、動作が異なる。以下、高い解像度で撮影を行う場合を静止画の撮影、高いフレームレートで撮影を行う場合を動画の撮影とし、それぞれの撮影に応じて、説明する。
【0052】
なお、本実施の形態では、制御装置202からの指示に基づいて、静止画の撮影及び動画の撮影のいずれを行う。なお、静止画の撮影及び動画の撮影に係わらず、照射された放射線に応じた電荷が、センサ部103により蓄積される。
【0053】
まず、静止画の撮影を行う場合について説明する。
【0054】
静止画の撮影を行う場合、TFT2をオフにするよう、制御配線Mに外部端子12を介してスキャン信号制御回路104から制御信号が出力される。一方、TFT1をオンにするよう、順次、制御配線Gに外部端子11を介してスキャン信号制御回路104から制御信号が出力される。TFT1がオン状態の画素20では、センサ部13から電荷が読み出され、信号配線Dに電荷が出力される。
【0055】
このように、本実施の形態の放射線画像撮影装置100では、静止画の撮影を行う場合では、信号配線D1〜D4の全てに、各列毎に、電荷が流れる。すなわち、各画素20毎に、信号配線Dに電荷が流れる。
【0056】
信号検出回路105により、電荷に応じた電気信号が、デジタル信号に変換され、制御部106により、当該電気信号に応じた画像データに基づいた放射線画像を生成する。
【0057】
次に、動画の撮影を行う場合について説明する。
【0058】
動画の撮影を行う場合、TFT1をオフにするよう、制御配線Gに外部端子11を介してスキャン信号制御回路104から制御信号が出力される。一方、TFT2をオンにするよう、順次、制御配線Mに外部端子12を介してスキャン信号制御回路104から制御信号が出力される。TFT2がオン状態の画素20では、センサ部13から電荷が読み出され、信号配線Dに電荷が出力される。
【0059】
図3に示すように、制御配線M1に、TFT2をオンにするよう制御信号が出力されると、8個の画素20(20(1)〜20(8))のTFT2がオン状態になり、4個の画素20(20(1)、20(2)、20(5)、20(6))の電荷が、信号配線D1に出力される。また、4個の画素20(20(3)、20(4)、20(7)、20(8))の電荷が、信号配線D3に出力される。
【0060】
さらに、制御配線M2に、TFT2をオンにするよう制御信号が出力されると、8個の画素20(20(9)〜20(16))のTFT2がオン状態になり、4個の画素20(20(9)、20(10)、20(13)、20(14))の電荷が、信号配線D2に出力される。また、4個の画素20(20(11)、20(12)、20(15)、20(16))の電荷が、信号配線D4に出力される。
【0061】
このように、本実施の形態の放射線画像撮影装置100では、動画の撮影を行う場合では、2画素×2画素の電荷の和が、隣接する信号配線Dに交互に(偶数番号が付与された信号配線Dと奇数番号が付与された信号配線Dとで交互に)流れる。
【0062】
このように本実施の形態では、動画の撮影を行う場合は、2画素20×2画素20を1つの画素30のようにみなして電荷を取り出すため、静止画に比べて解像度が低くなるものの、フレームレートを2倍(フレーム期間を1/2)にすることができる。
【0063】
以上説明したように本実施の形態の放射線画像撮影装置100(放射線検出素子10)では、列方向に複数の画素20のTFT2が同一の信号配線Dに接続されるよう構成されている。動画撮影の場合には、制御配線Mにより制御信号を出力して画素20のTFT2をオン状態にして、センサ部13から電荷を読み出す。2画素20×2画素20を1つの画素30のようにみなして電荷を取り出すため、静止画に比べて解像度が低くなるものの、フレームレートを2倍(フレーム期間を1/2)が2倍になる。
【0064】
従って、動画撮影時に電荷を流すための信号配線Dを別途設ける必要がないため、放射線検出素子10が大型化するのを抑制しつつ、静止画及び動画という撮影用途に応じた最適な解像度と、撮影スピードとを提供することができる。
【0065】
また、2画素(画素20)×2画素(画素20)を1つの画素(画素30)とみなして複数画素単位で電荷を読み出すため、1つの積分期間に同時に読み出される画素数が4倍になり、従って、データ信号Sを4倍にすることができる。これにより、画素密度(S/N)を向上することができる。
【0066】
[第2の実施の形態]
【0067】
第2の実施の形態の放射線画像撮影装置は、第1の実施の形態の放射線画像撮影装置100と略同様の構成であるため、同一部分にはその旨を記し、詳細な説明を省略する。なお、本実施の形態の放射線画像撮影装置は放射線検出素子の構成が、第1の実施の形態の放射線検出素子10と異なるため、本実施の形態における放射線検出素子について詳細に説明する。
【0068】
図4に、本実施の形態の放射線検出素子の概略構成の一例の構成図を示す。
【0069】
本実施の形態の放射線検出素子50は、第1の実施の形態の放射線検出素子10と同様に、センサ部13と、センサ部13に蓄積された電荷を読み出すためのスイッチング素子である2つのTFT(静止画用TFT1、動画用TFT2)と、を含んで構成される画素20が複数、マトリックス状に配置されている。
【0070】
放射線検出素子10には、TFT1のON/OFFを制御するための複数の制御配線G(図4では、G1〜G4)及びTFT2のON/OFFを制御するための複数の制御配線M(図4では、M1)と、上記センサ部13に蓄積された電荷を読み出すための画素20の列毎に備えられた複数の信号配線D(図4では、D1〜D5)と、が互いに交差して設けられている。なお、図4中では、制御配線Mは、1本(制御配線M1)のみ記載しているが、画素20の行数に応じた本数、より具体的には制御配線Gの数(画素20の行数)の1/4の本数が備えられている。
【0071】
本実施の形態の放射線検出素子50は、同一のセンサ部13に接続されているTFT1、TFT2各々の制御端子が接続する制御配線G及び制御配線Mの画素20に対する位置関係が画素配列の偶数行と奇数行とで反転するように構成されている。図4に示すように、制御配線Gの偶数ラインと、奇数ラインとで、TFT1、TFT2、及びセンサ部13の配置関係が反転するように構成されている。すなわち、例えば、画素20(1)及び画素20(5)を参照すればわかるように、制御配線Mを挟んで、配置位置が線対称になるように、TFT1、TFT2、及びセンサ部13が配置されている。このように各素子を配置することにより、画素20(1)及び画素20(5)のTFT2が制御配線Mを兼用することができるため、制御配線Mの本数を第1の実施の形態に比べて少なくすることができる。従って、制御配線の本数(制御配線G+制御配線M)を第1の実施の形態に比べて少なくすることができる。
【0072】
図2に示した第1の実施の形態の放射線検出素子10では、制御配線Gは制御配線G1〜G4の4本、制御配線Mは、制御配線M1、M2×2の4本、合計8本の制御配線が必要となる。従って、行数×2本の制御配線が必要となる。一方、本実施の形態の図4に示した放射線検出素子50では、制御配線Gは制御配線G1〜G4の4本、制御配線Mは、制御配線M1×2の2本、合計6本の制御配線が必要となる。従って、行数×1.5本の制御配線が必要となる。このように本実施の形態の放射線検出素子50では、制御配線の本数を少なくすることができる。
【0073】
また、本実施の形態の放射線検出素子50では、TFT1は、TFT2よりも制御配線Gに近い位置に配置されているため、TFT1を制御配線Gへ接続する接続配線を短くすることができる。一方、TFT2は、TFT1よりも制御配線Mに近い位置に配置されているため、TFT2を制御配線Mへ接続する接続配線を短くすることができる。これにより、製造歩留まりを向上させることがでる、という効果が得られる。
【0074】
次に、本実施の形態の放射線検出素子50による放射線画像の撮影動作について図5を参照して、説明する。
【0075】
まず、静止画の撮影を行う場合について説明する。
【0076】
静止画の撮影を行う場合、TFT2をオフにするよう、制御配線Mに外部端子12を介してスキャン信号制御回路104から制御信号が出力される。一方、TFT1をオンにするよう、順次、制御配線Gに外部端子11を介してスキャン信号制御回路104から制御信号が出力される。TFT1がオン状態の画素20では、センサ部13から電荷が読み出され、信号配線Dに電荷が出力される。
【0077】
このように、本実施の形態の放射線検出素子50では、静止画の撮影を行う場合では、第1の実施の形態と同様に、信号配線D1〜D4の全てに、各列毎に、電荷が流れる。すなわち、各画素20毎に、信号配線Dに電荷が流れる。
【0078】
次に、動画の撮影を行う場合について説明する。
【0079】
動画の撮影を行う場合、TFT1をオフにするよう、制御配線Gに外部端子11を介してスキャン信号制御回路104から制御信号が出力される。一方、TFT2をオンにするよう、制御配線Mに外部端子12を介してスキャン信号制御回路104から制御信号が出力される。TFT2がオン状態の画素20では、センサ部13から電荷が読み出され、信号配線Dに電荷が出力される。
【0080】
図5に示すように、制御配線M1に、TFT2をオンにするよう制御信号が出力されると、16個の画素20(20(1)〜20(16))のTFT2がオン状態になる。2個の画素20(20(1)、20(5))の電荷が、信号配線D1に出力される。また、4個の画素20(20(9)、20(10)、20(13)、20(14))の電荷が、信号配線D2に出力される。また、4個の画素20(20(2)、20(3)、20(6)、20(7))の電荷が、信号配線D3に出力される。さらに、4個の画素20(20(11)、20(12)、20(15)、20(16))の電荷が、信号配線D4に出力される。またさらに、2個の画素20(20(4)、20(8))の電荷が、信号配線D5に出力される。
【0081】
このように、本実施の形態の放射線検出素子50では、動画の撮影を行う場合では、2画素×2画素の電荷の和が、隣接する信号配線Dに流れる。このように本実施の形態では、動画の撮影を行う場合は、2画素20×2画素20を1つの画素30のようにみなして電荷を取り出すため、静止画に比べて解像度が低くなるものの、フレームレートを4倍(フレーム期間を1/4)にすることができる。
【0082】
以上説明したように、本実施の形態の放射線検出素子10では、2画素20×2画素20を予め、1画素30とみなせるように各素子(TFT1、TFT2、センサ部13)を配列している。従って、静止画の撮影に比べて、フレームレートを向上することができる。特に、本実施の形態では、1画素とみなせる画素30が列方向に、互い違いの位置になるように配列されている。従って、1回の読み出しで隣接する信号配線Dに電荷を流すことができるため、フレームレートを4倍にすることができる。
【0083】
また、制御配線Mに対して線対称になるように、配置しているため、制御配線の本数の増加を抑制することができるので、TFT1、TFT2出力と、信号配線Dとの接続電極(図示省略)の長さを短くすることできる。これにより、製造歩留まりを高く維持することができる。
【0084】
[第3の実施の形態]
【0085】
第3の実施の形態の放射線画像撮影装置は、放射線検出素子の構成の一部が、第2の実施の形態の放射線検出素子50の構成と異なるため、本実施の形態における放射線検出素子について詳細に説明する。なお、第2の実施の形態と略同様の構成、動作については、同様である旨を記し、詳細な説明を省略する。
【0086】
図6に、本実施の形態の放射線検出素子の概略構成の一例の構成図を示す。第2の実施の形態では、4行の画素20が接続される制御配線M1を備え、制御配線M1は1つの外部接続端子12を介してスキャン信号制御回路104に接続されるよう構成した。一方、本実施の形態では、図6に示すように放射線検出素子55は、2行の画素20が接続される制御配線M(M1、M2)を備えるよう構成されている。すなわち、本実施の形態では、4個の画素20により成る画素30の行毎に、制御配線Mを備えている。
【0087】
具体的には、本実施の形態の放射線検出素子55は、制御配線G1、G2に接続されるTFT1を備えた画素20のTFT2が接続される制御配線M1、及び制御配線G3、G4に接続されるTFT1を備えた画素20のTFT2が接続される制御配線M2を、TFT2に制御信号を同タイミング(略同タイミングも含むものとする)で出力する一組の制御配線M(第2の実施の形態の制御配線M1に対応する)として備えている。また、同様に放射線検出素子55は、制御配線G5、G6に接続されるTFT1を備えた画素20のTFT2が接続される制御配線M3、及び制御配線G7、G8に接続されるTFT1を備えた画素20のTFT2が接続される制御配線M4を、TFT2に制御信号を同タイミング(略同タイミングも含むものとする)で出力する一組の制御配線Mとして備えている。また、放射線検出素子55は、制御配線Mの組毎に、外部端子12を介してスキャン信号制御回路104に接続されるよう構成されている。
【0088】
この場合においても制御配線Mの組毎に、同時に駆動する(スキャン信号制御回路104から制御信号を出力する)ことにより、フレームレートを4倍にすることができる。
【0089】
また、本実施の形態では、1本の制御配線Mに接続されるTFT2の数が、第2の実施の形態において制御配線Mに接続されるTFT2の数よりも少なくなる。具体的には、図6に示した本実施の形態の場合では、制御配線M1に8個の画素20のTFT2が接続されている。一方、図5に示した第2の実施の形態の場合では、制御配線M1に16個の画素20のTFT2が接続されている。
【0090】
このように本実施の形態では、制御配線M毎に接続されているTFT2の数が第2の実施の形態に比べて少ないため、制御配線M、1本当りの配線容量を低減させることができる。これにより、接続されるTFT2の数の増加に起因する制御信号の遅延を抑制することができる。また、スキャン信号制御回路104にかかる負荷を低減させることができる。
【0091】
なお、本実施の形態のように、制御配線Mを画素30の行毎に備えるか否かは、スキャン信号制御回路104の駆動能力等により定めるようにしてもよい。
【0092】
[第4の実施の形態]
【0093】
第4の実施の形態の放射線画像撮影装置(放射線検出素子)は、第1の実施の形態の放射線検出素子10、第2の実施の形態の放射線検出素子50、及び第3の実施の形態の放射線検出素子55と略同様の構成であるため、同一部分にはその旨を記し、詳細な説明を省略する。
【0094】
図7に、本実施の形態の放射線検出素子の概略構成の一例の構成図を示す。
【0095】
本実施の形態の放射線検出素子60は、第1の実施の形態の放射線検出素子10及び第2の実施の形態の放射線検出素子50と同様に、センサ部13と、センサ部13に蓄積された電荷を読み出すためのスイッチング素子である2つのTFT(静止画用TFT1、動画用TFT2)と、を含んで構成される画素20が複数、マトリックス状に配置されている。
【0096】
放射線検出素子60には、TFT1のON/OFFを制御するための複数の制御配線G(図6では、G1〜G4)及びTFT2のON/OFFを制御するための複数の制御配線M(図6では、M1、M2)と、上記センサ部13に蓄積された電荷を読み出すための画素20の列毎に備えられた複数の信号配線D(図6では、D1〜D5)と、が互いに交差して設けられている。
【0097】
本実施の形態の放射線検出素子60は、図7に示すように、第2の実施の形態の放射線検出素子50と同様に、制御配線Gの偶数ラインと、奇数ラインとで、TFT1、TFT2、及びセンサ部13の配置関係が反転するように構成されている。従って、制御配線の本数を第1の実施の形態に比べて少なくすることができる。
【0098】
次に、本実施の形態の放射線検出素子60による放射線画像の撮影動作について図8を参照して、説明する。
【0099】
まず、静止画の撮影を行う場合について説明する。
【0100】
静止画の撮影を行う場合、TFT2をオフにするよう、制御配線Mに外部端子12を介してスキャン信号制御回路104から制御信号が出力される。一方、TFT1をオンにするよう、順次、制御配線Gに外部端子11を介してスキャン信号制御回路104から制御信号が出力される。TFT1がオン状態の画素20では、センサ部13から電荷が読み出され、信号配線Dに電荷が出力される。
【0101】
このように、本実施の形態の放射線検出素子60では、静止画の撮影を行う場合では、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様に、信号配線D1〜D4の全てに、各列毎に、電荷が流れる。すなわち、各画素20毎に、信号配線Dに電荷が流れる。
【0102】
次に、動画の撮影を行う場合について説明する。
【0103】
動画の撮影を行う場合、TFT1をオフにするよう、制御配線Gに外部端子11を介してスキャン信号制御回路104から制御信号が出力される。一方、TFT2をオンにするよう、制御配線Mに外部端子12を介してスキャン信号制御回路104から制御信号が出力される。TFT2がオン状態の画素20では、センサ部13から電荷が読み出され、信号配線Dに電荷が出力される。
【0104】
図8に示すように、まず、制御配線M1に、TFT2をオンにするよう制御信号が出力されると、8個の画素20(20(1)〜20(8))のTFT2がオン状態になる。4個の画素20(20(1)、20(2)、20(5)、20(6))の電荷が、信号配線D2に出力される。また、4個の画素20(20(3)、20(4)、20(7)、20(8))の電荷が、信号配線D4に出力される。
【0105】
次に、制御配線M2に、TFT2をオンにするよう制御信号が出力されると、4個の画素20(20(9)、20(10)、20(13)、20(14))の電荷が、信号配線D2に出力される。また、4個の画素20(20(11)、20(12)、20(15)、20(16))の電荷が、信号配線D4に出力される。
【0106】
このように、本実施の形態の放射線検出素子60では、動画の撮影を行う場合では、2画素×2画素の電荷の和が、1本おきに、信号配線Dに流れる。このように本実施の形態では、動画の撮影を行う場合は、2画素20×2画素20を1つの画素30のようにみなして電荷を取り出すため、静止画に比べて解像度が低くなるものの、フレームレートを2倍(フレーム期間を1/2)にすることができる。
【0107】
以上説明したように、本実施の形態の放射線検出素子60では、動画の撮影の際には、2画素20×2画素20を、1画素30として電荷が信号配線Dに流れるため、静止画の撮影に比べて、フレームレートを向上することができる。
【0108】
なお、本実施の形態の放射線検出素子60では、TFT2からは、1本おきの信号配線Dに電荷が流れるように構成しているため、静止画の撮影に比べて、フレームレートを2倍にすることができるものであり、第2の実施の形態の放射線検出素子50と比べてフレームレート低下するものの、4画素分の電荷が1つの積分期間に読み出されるため、静止画の撮影に比べて、画素密度を向上させることができる。
【0109】
以上、上述の第1の実施の形態〜第4の実施の形態で、説明したように、列方向に複数の画素20のTFT2が同一の信号配線Dに接続されるよう構成されている。動画撮影の場合には、制御配線Mを介して制御信号が出力されて画素20のTFT2をオン状態にして、センサ部13から電荷を読み出す。2画素×2画素を1つの画素のようにみなして電荷を取り出すため、静止画に比べて解像度が低くなるものの、フレームレートを向上させることができる。
【0110】
従って、動画撮影時に電荷を流すための信号配線Dを別途設ける必要がないため、放射線検出素子10が大型化するのを抑制しつつ、静止画及び動画という撮影用途に応じた最適な解像度と、フレームレート(撮影スピード)とを提供することができる。
【0111】
なお、上述の第1の実施の形態〜第4の実施の形態では、2画素×2画素を1つの画素とみなして動画撮影時に読み出す場合について説明したが、複数画素×複数画素を1つの画素とみなして動画撮影時に読み出すものであれば、これに限らない。具体的一例として、4画素×4画素=16画素を1つの画素とみなして動画撮影時に読み出す構成の放射線検出素子70の概略構成を図9に示す。
【0112】
図9は、4画素×4画素=16画素を1つの画素32とみなして動画撮影時に読み出す構成の放射線検出素子70の概略構成を示している。放射線検出素子70において、動画の撮影の際には、制御配線G(G1〜G16)にTFT1をオフするよう制御信号が外部端子11を介して104から出力され、制御配線M1にTFT2をオンするよう制御信号が外部端子12を介してスキャン信号制御回路104から出力される。これにより、4画素×4画素分(画素32)分の電荷が信号配線Dに流れる。
【0113】
具体的には、信号配線D1には、画素32(1)とみなせる4画素×4画素=16画素分の電荷が流れる。同様に、信号配線D2には、画素32(2)の電荷が流れ、信号配線D3には、画素32(3)の電荷が流れ、信号配線D4には、画素32(4)の電荷が流れる。このように、図9に示した放射線検出素子70では、制御配線M1に静止画をオンにするための制御信号が出力されると、信号配線D1〜D16(図8では、信号配線D9〜D16の図示省略)の各々に、4画素×4画素分の電荷が流れる。従って、フレームレートを静止画撮影の場合に比べて、16倍にすることができる。なお、図9に示した放射線検出素子70の場合においても、上述の第3の実施の形態と同様に、画素32の行毎に制御配線Mを外部端子12を介してスキャン信号制御回路104に接続させるように構成してもよい。
【0114】
また、上述の第1の実施の形態〜第4の実施の形態では、TFT1を用いて静止画の撮影を行い、TFT2を用いて動画の撮影を行う場合について説明したが静止画及び動画の撮影に限るものではない。例えば、TFT1を用いて1画素単位毎に画像データを取得する動画の撮影を行ってもよいし、TFT2を用いて複数の画素単位毎に画像データを取得するよう静止画の撮影を行ってもよい。
【0115】
なお、本実施の形態で説明した放射線画像撮影装置100、放射線検出素子10、50、60、70等の構成、動作等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることは言うまでもない。
【0116】
また、本実施の形態では、本発明の放射線は、特に限定されるものではなく、X線やγ線等を適用することができる。
【符号の説明】
【0117】
1、2 TFT
10、50、55、60、70 放射線検出素子
13 センサ部13
20 画素
100 放射線画像撮影装置
G 制御配線
M 制御配線
D 信号配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射された放射線に応じた電荷を発生するセンサ部、前記センサ部から前記電荷を読み出して前記電荷を出力する第1スイッチング素子、及び前記センサ部から前記電荷を読み出して前記電荷を出力する第2スイッチング素子を各々備え、かつ行列状に配列された複数の画素と、
行方向に隣接する複数の画素の前記第1スイッチング素子の制御端に接続された複数の第1制御配線と、
行方向に隣接する複数の画素の前記第2スイッチング素子の制御端に接続された複数の第2制御配線と、
前記画素の列毎に信号配線を備え、かつ前記信号配線毎に列方向に隣接する複数の画素の前記第1スイッチング素子の出力端が接続されると共に、列方向に隣接する複数の画素の前記第2スイッチング素子の出力端及び、行方向に隣接する複数の画素の前記第2スイッチング素子の出力端が、一部の前記信号配線に接続された信号配線群と、
を備えた、放射線検出素子。
【請求項2】
前記第2制御配線は、列方向に隣接する画素の前記第2スイッチング素子の制御端に接続されている、請求項1に記載の放射線検出素子。
【請求項3】
前記第2制御配線は、偶数行の前記第1制御配線と奇数行の前記第1制御配線との間に配置される、請求項1または請求項2に記載の放射線検出素子。
【請求項4】
一部の前記信号配線に前記第2スイッチング素子の出力端が接続され、かつ同一の前記第2制御配線に前記第2スイッチング素子の制御端が接続された複数の画素から成る画素群を有し、列方向に隣接する前記画素群を成す複数の画素の前記第2スイッチング素子の出力端は、前記画素群毎に異なる前記一部の前記信号配線に接続されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の放射線検出素子。
【請求項5】
列方向に隣接する前記画素群を成す複数の画素の前記第2スイッチング素子の制御端が接続されている前記第2制御配線は、同一の外部端子に接続されている、請求項4に記載の放射線検出素子。
【請求項6】
前記第2制御配線は、各々異なる外部端子に接続されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の放射線検出素子。
【請求項7】
前記第1スイッチング素子は、1画素単位の画像情報取得に用いられ、前記第2スイッチング素子は、複数画素単位の画素情報取得に用いられる、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の放射線検出素子。
【請求項8】
請求項7記載の放射線検出素子と、
放射線画像の撮影を指示すると共に、放射線画像撮影装置から放射線画像を取得する制御手段と、を備え、
前記制御手段が、外部からの指示に基づき、放射線検出素子の1画素単位の画素情報を取得する第1の画像取得方法と、複数画素単位の画像情報を取得する第2の画像取得方法と、を切り換える切換手段を有する放射線画像撮影装置。
【請求項9】
放射線照射手段をさらに備え、
前記制御手段が、前記放射線照射手段の制御に基づき、前記切換手段が前記第1の画像取得方法と前記第2の画像取得方法とを切り換える請求項8に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項10】
第1センサ部、前記第1センサ部に入力端が接続された第1スイッチング素子、及び前記第1センサ部に入力端が接続された第2スイッチング素子を備えた第1画素と、
第2センサ部、前記第2センサ部に入力端が接続された第3スイッチング素子、及び前記第2センサ部に入力端が接続された第4スイッチング素子を備えた第2画素と、
前記第1スイッチング素子の制御端及び前記第3スイッチング素子の制御端に接続された第1制御配線と、
前記第2スイッチング素子の制御端及び前記第4スイッチング素子の制御端に接続された第2制御配線と、
前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、及び前記第4スイッチング素子の出力端に接続された第1信号配線と、
前記第3スイッチング素子の出力端に接続された第2信号配線と、
を備えた放射線検出素子。
【請求項11】
第1センサ部、前記第1センサ部に入力端が接続された第1スイッチング素子、及び前記第1センサ部に入力端が接続された第2スイッチング素子を備えた第1画素と、
第2センサ部、前記第2センサ部に入力端が接続された第3スイッチング素子、及び前記第2センサ部に入力端が接続された第4スイッチング素子を備えた第2画素と、
第3センサ部、前記第3センサ部に入力端が接続された第5スイッチング素子、及び前記第3センサ部に入力端が接続された第6スイッチング素子を備えた第3画素と、
第4センサ部、前記第4センサ部に入力端が接続された第7スイッチング素子、及び前記第4センサ部に入力端が接続された第8スイッチング素子を備えた第4画素と、
前記第1スイッチング素子の制御端及び前記第3スイッチング素子の制御端に接続された制御配線と、前記第5スイッチング素子の制御端及び前記第7スイッチング素子の制御端に接続された制御配線と、を含む第1制御配線と、
前記第2スイッチング素子の制御端及び前記第4スイッチング素子の制御端に接続された制御配線と、前記第6スイッチング素子の制御端及び前記第8スイッチング素子の制御端に接続された制御配線と、を含む第2制御配線と、
前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第4スイッチング素子、前記第5スイッチング素子、前記第6スイッチング素子、及び前記第8スイッチング素子の出力端に接続された第1信号配線と、
前記第3スイッチング素子及び前記第7スイッチング素子の出力端に接続された第2信号配線と、
を備えた放射線検出素子。
【請求項12】
第1センサ部、前記第1センサ部に入力端が接続された第1スイッチング素子、及び前記第1センサ部に入力端が接続された第2スイッチング素子を備えた第1画素と、
第2センサ部、前記第2センサ部に入力端が接続された第3スイッチング素子、及び前記第2センサ部に入力端が接続された第4スイッチング素子を備えた第2画素と、
第3センサ部、前記第3センサ部に入力端が接続された第5スイッチング素子、及び前記第3センサ部に入力端が接続された第6スイッチング素子を備えた第3画素と、
第4センサ部、前記第4センサ部に入力端が接続された第7スイッチング素子、及び前記第4センサ部に入力端が接続された第8スイッチング素子を備えた第4画素と、
前記第1スイッチング素子の制御端及び前記第3スイッチング素子の制御端に接続された制御配線と、前記第5スイッチング素子の制御端及び前記第7スイッチング素子の制御端に接続された制御配線と、を含む第1制御配線と、
前記第2スイッチング素子の制御端、前記第4スイッチング素子の制御端、前記第6スイッチング素子の制御端、及び前記第8スイッチング素子の制御端に接続された第2制御配線と、
前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第4スイッチング素子、前記第5スイッチング素子、前記第6スイッチング素子、及び前記第8スイッチング素子の出力端に接続された第1信号配線と、
前記第3スイッチング素子及び前記第7スイッチング素子の出力端に接続された第2信号配線と、
を備えた放射線検出素子。
【請求項13】
前記第2制御配線は、前記第1スイッチング素子の制御端及び前記第3スイッチング素子の制御端に接続された制御配線と、前記第5スイッチング素子の制御端及び前記第7スイッチング素子の制御端に接続された制御配線との間に配置される、請求項9に記載の放射線検出素子。
【請求項14】
前記第1画素、前記第2画素、前記第3画素、前記第4画素、前記第1制御配線、前記第2制御配線、前記第1信号配線、及び前記第2信号配線をそれぞれ複数備え、列方向に隣接する前記画素群を成す前記第1画素、前記第2画素、前記第3画素、及び前記第4画素の前記第2スイッチング素子の出力端は、前記画素群毎に異なる前記一部の前記信号配線に接続されている、請求項13に記載の放射線検出素子。
【請求項15】
列方向に隣接する前記画素群を成す前記第1画素、前記第2画素、前記第3画素、及び前記第4画素の前記第2スイッチング素子の制御端が接続されている前記第2制御配線は、同一の外部端子に接続されている、請求項4に記載の放射線検出素子。
【請求項16】
前記第2制御配線は、各々異なる外部端子に接続されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の放射線検出素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−130656(P2012−130656A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181699(P2011−181699)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】