説明

放射線検出装置

【課題】X線検出に影響が発生することなく、X線検出パネル12を着脱可能に固定できるX線検出装置11を提供する。
【解決手段】外囲器18内に支持部材13を固定し、支持部材13上に中間部材16およびX線検出パネル12を配置し、X線検出パネル12の有効領域外bの周辺部に形成された挟持部材17を配置する。中間部材16および挟持部材17は、熱可塑性ゲル材料で形成する。外囲器18の組立により、支持部材13と挟持部材17との間でX線検出パネル12を挟持する。外囲器18を解体すれば、X線検出パネル12の挟持を解除し、X線検出パネル12を支持部材13から取り外す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線を検出する放射線検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放射線、特にX線を検出するX線検出装置は、工業用の非破壊検査や医療診断、構造解析などの科学研究用など広い分野で利用されている。
【0003】
X線検出装置の中でも、高感度で高鮮鋭な装置として、複数のフォトセンサおよびTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)が2次元に配置された光電変換素子部を有する光検出器上に、X線を光電変換素子部で検出可能な光に変換する蛍光体層が直接形成され、これらにて構成されたX線検出パネルを備えたX線検出装置が知られている。
【0004】
X線検出パネルは、板状の支持部材の一面に配置され、この支持部材によって外囲器内に支持されている。
【0005】
従来のX線検出装置では、X線検出パネルが支持部材上に接着剤で固定されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
または、X線検出パネルの有効領域全面と外囲器との間にクッション材を圧縮状態で配置し、このクッション材の反発力によりX線検出パネルが支持部材に対して押圧固定されている。
【特許文献1】特開2002−14168号公報(第4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、X線検出パネルを接着固定するX線検出装置では、接着固定するのに多くの時間を要し、また、接着固定した後にはX線検出パネルを分解したり回収することが困難になる問題がある。
【0008】
また、X線検出パネルの有効領域を覆うクッション材で、X線検出パネルを支持部材に対して押圧固定するX線検出装置では、クッション材を通過したX線をX線検出パネルが受けるためにクッション材の影響が検出画像に表れたり、クッション材の押圧にてX線検出パネルの有効領域に損傷を及ぼす可能性がある問題がある。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、放射線検出に影響が発生することなく、放射線検出パネルを着脱可能に固定できる放射線検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一面の中央部に放射線を検出する有効領域が形成されている放射線検出パネルと、この放射線検出パネルの他面を配置する支持部材と、この支持部材に配置された前記放射線検出パネルの有効領域外の周辺部を前記支持部材との間に挟持する挟持部材とを具備しているものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、支持部材に配置された放射線検出パネルの有効領域外の周辺部を、支持部材と挟持部材との間に挟持するため、放射線検出に影響が発生することなく、放射線検出パネルを着脱可能に固定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は放射線検出装置としてのX線検出装置の一部の断面図、図2はX線検出装置のX線検出パネルの正面図、図3はX線検出装置のX線検出パネルの一部の断面図である。
【0014】
放射線検出装置としてのX線検出装置11は、放射線検出パネルとしてのX線検出パネル12、このX線検出パネル12を一面に支持する板状の支持部材13、この支持部材13の他面に支持されX線検出パネル12を電気的に駆動する回路基板14、これらX線検出パネル12と回路基板14とを電気的に接続するフレキシブル回路基板15、X線検出パネル12と支持部材13との間に配置された中間部材16、支持部材13に配置された中間部材16との間にX線検出パネル12を挟持する挟持部材17、これらを収容する外囲器18などを備えている。
【0015】
X線検出パネル12は、光電変換基板としての光検出器21を有し、この光検出器21における放射線としてのX線の入射面側である一面に、X線を光検出器21で検出可能な光に変換する蛍光体層22が直接形成されている。
【0016】
光検出器21は、ガラス基板23を有し、このガラス基板23の一面でX線検出の有効領域a内には、2次元状に配置される複数の画素に対応して、CsIを用いた複数のフォトセンサおよびTFTが2次元に配置されていて、光を電気信号に変換する光電変換素子部24が形成されている。また、ガラス基板23の一面には光電変換素子部24に接続された配線部25が形成されているとともに、X線検出の有効領域外bであってガラス基板23の一面の周辺部には配線部25と接続された電荷取出部(電極パッド部)26が形成されている。
【0017】
また、支持部材13は、例えば金属製で、四角形の板状に形成され、組立時において外囲器18に連結固定される。
【0018】
また、回路基板14は、X線検出パネル12を制御する図示しない制御基板と、フレキシブル回路基板15からのアナログ信号を受信、処理およびデジタル信号への変換の少なくとも1つの機能を有するアナログ回路基板31と、他の基板の制御およびX線検出装置11の外部との通信の少なくとも1つの機能を有する図示しないデジタル回路基板と、他の基板に電源を供給するための図示しない電源回路基板と、などを備えている。この回路基板14は、支持部材13の他面に対して複数のスペーサ32によって離間した状態に支持されている。
【0019】
また、フレキシブル回路基板15は、フレキシブル基板41、およびこのフレキシブル基板41の一端に接続されたIC搭載基板42を備え、IC搭載基板42には検出用集積回路43が実装されている。フレキシブル基板41の他端は、X線検出パネル12の電荷取出部26上に異方導電性接着剤44を介して配置され、熱圧着により張り合わされている。また、IC搭載基板42の一端にはコネクタ45が設けられ、このコネクタ45によってIC搭載基板42がアナログ回路基板31に接続されている。
【0020】
また、中間部材16は、例えば、熱可塑性ゲル材料などの樹脂材料や、ゴム材料など、弾性を有するとともに防振性を有する材料で、シート状に形成され、X線検出パネル12の有効領域aより大きい面積に形成されているものであって、X線検出パネル12のガラス基板23の外形と同形状および同面積に形成されている。
【0021】
また、挟持部材17は、例えば、熱可塑性ゲル材料などの樹脂材料や、ゴム材料など、弾性を有するとともに防振性を有し、さらには熱伝導性を有する材料で、X線検出パネル12の有効領域aより外側の周辺部である有効領域外bに当接可能とする四角形の枠状に形成され、組立時において支持部材13と外囲器18との間にX線検出パネル12および中間部材16とともに挟み込まれて圧縮された状態で保持されている。挟持部材17がX線検出パネル12に当接する場所は、X線検出パネル12の有効領域外bであって、電荷取出部26上やこの電荷取出部26に接続されたフレキシブル回路基板15上としている。
【0022】
また、外囲器18は、X線検出パネル12のX線の入射面側を開口した箱状の筐体51と、X線検出パネル12の有効領域aに対応した開口部52を有していて筐体51の開口側に取り付けられる枠状のカバー53と、このカバー53の開口部52を覆うX線透過性を有する入射窓54とを備えている。筐体51の外部には、この筐体51に伝わった熱を冷却する例えばファンなどの図示しない冷却機構が配置されている。カバー53には、挟持部材17を位置決め保持する突起などの位置決め部を設けてもよいし、挟持部材17を接着剤などで接着固定してもよい。
【0023】
そして、X線検出装置11の組立時において、筐体51内に固定された支持部材13に中間部材を介してX線検出パネル12を配置し、このX線検出パネル12の有効領域外bの周辺部に挟持部材17を当接させて筐体51にカバー53を取り付けることにより、支持部材13とカバー53との間に中間部材16、X線検出パネル12および挟持部材17を挟み込む。これにより、例えば熱可塑性ゲル材料で形成されている挟持部材17および中間部材16がそれぞれ圧縮されてその反発力が発生し、この反発力によってX線検出パネル12を支持部材13に押圧した状態で挟持する。
【0024】
このように、支持部材13に配置されたX線検出パネル12の有効領域外bの周辺部を、支持部材13と挟持部材17との間に挟持するため、X線検出パネル12のX線検出に影響が発生することなく、X線検出パネル12を着脱可能に固定できる。そのため、筐体51からカバー53を外せば、X線検出パネル12の挟持を解除し、そのX線検出パネル12を支持部材13から容易に取り外すことができる。
【0025】
また、支持部材13とX線検出パネル12との間に中間部材16を配置しているため、この中間部材16と挟持部材17との間でX線検出パネル12を挟持でき、X線検出パネル12の防振機能を得ることができる。
【0026】
また、挟持部材17および中間部材16を、熱可塑性ゲル材料で形成すれば、X線検出パネル12の防振性を向上できる。
【0027】
また、挟持部材17は、フレキシブル回路基板15の接続部分をX線検出パネル12に対して押圧するため、フレキシブル回路基板15がX線検出パネル12から剥がれるのを防止でき、接続の信頼性を向上できる。
【0028】
また、挟持部材17は、外囲器18に接触されているため、X線検出パネル12の熱を挟持部材17から外囲器18に伝導して放熱させることができ、X線検出パネル12の動作温度が高くなるのを低減でき、画像むらの発生を抑制できる。
【0029】
また、中間部材16は、X線検出パネル12の有効領域aより大きい面積を有しているため、確実に支持できる。
【0030】
なお、挟持部材17は、外囲器18のカバー53との接触によってX線検出パネル12を挟持するようにしたが、これに限らず、筐体51や入射窓54との接触によってX線検出パネル12を挟持するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施の形態を示す放射線検出装置としてのX線検出装置の一部の断面図である。
【図2】同上X線検出装置のX線検出パネルの正面図である。
【図3】同上X線検出装置のX線検出パネルの一部の断面図である。
【符号の説明】
【0032】
11 放射線検出装置としてのX線検出装置
12 放射線検出パネルとしてのX線検出パネル
13 支持部材
14 回路基板
15 フレキシブル回路基板
16 中間部材
17 挟持部材
18 外囲器
a 有効領域
b 有効領域外

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面の中央部に放射線を検出する有効領域が形成されている放射線検出パネルと、
この放射線検出パネルの他面を配置する支持部材と、
この支持部材に配置された前記放射線検出パネルの有効領域外の周辺部を前記支持部材との間に挟持する挟持部材と
を具備していることを特徴とする放射線検出装置。
【請求項2】
前記支持部材と前記放射線検出パネルの他面との間に配置された中間部材を具備している
ことを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項3】
前記挟持部材および前記中間部材は、熱可塑性ゲル材料によって形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の放射線検出装置。
【請求項4】
前記放射線検出パネルを駆動する回路基板と、
前記放射線検出パネルに有効領域外の周辺部にて接続され、前記放射線検出パネルと前記回路基板とを電気的に接続するフレキシブル回路基板とを具備し、
前記挟持部材は、前記フレキシブル回路基板の接続部分を前記放射線検出パネルに対して押圧する
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれかに記載の放射線検出装置。
【請求項5】
前記放射線検出パネルを収容する外囲器を具備し、
前記挟持部材は、前記外囲器に接触されている
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれかに記載の放射線検出装置。
【請求項6】
前記中間部材は、前記放射線検出パネルの有効領域より大きい面積を有している
ことを特徴とする請求項1ないし5いずれかに記載の放射線検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−145349(P2010−145349A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325757(P2008−325757)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(503382542)東芝電子管デバイス株式会社 (369)
【Fターム(参考)】