放射線画像撮影システム及び放射線画像の表示方法
【課題】被写体に対する被曝量の増加を抑えながらも、ステレオ視を行う場合の使い勝手を良好にし、ステレオ視による観察の普及を促進させる。
【解決手段】複数枚の放射線画像を再構成して、被写体の放射線断層画像を生成する画像再構成部16と、少なくとも放射線断層画像を表示するモニタ26とを有する放射線画像撮影システム10において、放射線画像又は放射線断層画像上の注目領域を設定する注目領域設定部18と、複数枚の放射線画像から、注目領域をステレオ視するための2枚の放射線画像を抽出する放射線画像抽出部20と、抽出された2枚の放射線画像をステレオ視可能にモニタ26に表示するように制御する第1ステレオ視表示制御部116a(又は第2ステレオ視表示制御部116b)とを有する。
【解決手段】複数枚の放射線画像を再構成して、被写体の放射線断層画像を生成する画像再構成部16と、少なくとも放射線断層画像を表示するモニタ26とを有する放射線画像撮影システム10において、放射線画像又は放射線断層画像上の注目領域を設定する注目領域設定部18と、複数枚の放射線画像から、注目領域をステレオ視するための2枚の放射線画像を抽出する放射線画像抽出部20と、抽出された2枚の放射線画像をステレオ視可能にモニタ26に表示するように制御する第1ステレオ視表示制御部116a(又は第2ステレオ視表示制御部116b)とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮影により断層画像を取得する放射線画像撮影システム及び放射線画像の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、X線撮影装置においても、患部をより詳しく観察するために、X線管を移動させて異なる角度から被写体にX線を照射して撮影を行い、得られた放射線画像を加算して所望の断層面を強調した断層画像を得ることができるトモシンセシス撮影(Tomosynthesis)が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
トモシンセシス撮影では、X線管をフラットパネル等の検出器と平行に移動させたり、円や楕円の弧を描くように移動させて、異なる撮影角で被写体を撮影した複数の放射線画像を取得して、これらの放射線画像を再構成して断層画像を作成する。この断層画像は、複数の放射線画像を平行移動させたり画像の大きさを調整して加算することにより取得することができる(例えば特許文献2参照)。
【0004】
そして、このトモシンセシス撮影を利用した撮影方法としては、例えば特許文献3〜6に記載がある。
【0005】
特許文献3に記載の方法は、CT(Computed Tomography)画像とトモシンセシス画像の双方を撮影できるシステムにおいて、トモシンセシス画像から対象物の位置、形状を決定し、決定した位置、形状に基づいて、対象物のCT撮影を行うというものである。
【0006】
特許文献4に記載の方法は、立体視(ステレオ視)用の左眼用画像と右眼用画像の対応する領域を設定し、左右の曝射条件を制御するようにしている。
【0007】
特許文献5に記載の方法は、撮影して得られた放射線透過画像を再構成して立体画像を作成し、この立体画像からパラメータを抽出した後、ステレオ視用の画像を撮影するための線源位置を決定し、撮影する、というものである。
【0008】
特許文献6に記載の方法は、ステレオ視用の左眼用画像と右眼用画像として、断層投影データセットから抽出された一対の投影画像を使用する、というものである。なお、特許文献6には、立体的観察方法(ステレオ視による観察)は、通常の視覚作業において人間の目により通常みられることと同様に距離又は深さの手掛かりを提供することが可能であり、体内のオブジェクトの間の相対的空間関係を一層明らかにすることができるため、放射線画像を観察する場合に有益である、との記載があり、ステレオ視による観察の有用性が述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭57−203430号公報
【特許文献2】特開2008−43757号公報
【特許文献3】特表2009−533086号公報
【特許文献4】特開平09−313471号公報
【特許文献5】特開2006−212056号公報
【特許文献6】特開2007−130487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述の特許文献3に記載の方法は、CT撮影に先立ってトモシンセシス撮影を行う必要から、被写体に対する被曝量が増加するという問題がある。
【0011】
特許文献4には、特に、ステレオ視観察のための画像を得るための放射線撮影の方法が記載されており、例えばステレオ視とは別に断層画像を得る場合は、別途断層画像を得るための放射線撮影が必要であり、この場合も、被写体に対する被曝量が増加するという問題がある。
【0012】
特許文献5に記載の方法は、立体画像を得るための放射線撮影を行った後、立体画像の情報に基づいてステレオ視用の撮影条件を決めて、ステレオ視用の放射線撮影を行うことから、この場合も、被写体に対する被曝量が増加するという問題がある。
【0013】
特許文献6に記載の方法は、断層画像を得るための放射線撮影を行った後、断層画像を構成する一対の放射線画像をステレオ視用の画像として利用しているため、上述した特許文献3〜5に記載の方法の問題を解消することができる。
【0014】
しかし、単に一対の放射線画像を選択して表示するだけであるため、断層画像を確認した後に、病変部分をステレオ視によって確認したい場合等に、どの放射線画像を抽出してステレオ視用に表示すればよいか、等の具体的な手法がなく、ステレオ視を行う場合の使い勝手が悪いという問題がある。
【0015】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、被写体に対する被曝量の増加を抑えながらも、ステレオ視を行う場合の使い勝手を良好にし、ステレオ視による観察の普及を促進させることができる放射線画像撮影システム及び放射線画像の表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
[1] 第1の本発明に係る放射線画像撮影システムは、放射線検出装置に対向して設けられた放射線照射部を複数の位置に移動しながら各位置において前記放射線照射部から前記放射線検出器上の被写体に対して異なる方向から放射線を照射して、前記放射線検出装置から出力される複数枚の放射線画像を取得する放射線画像取得部と、前記放射線画像取得部にて取得された前記複数枚の放射線画像を再構成して、前記被写体の放射線断層画像を生成する再構成部と、少なくとも前記放射線画像を表示する表示装置とを有する放射線画像撮影システムにおいて、ステレオ視のための注目領域を設定する注目領域設定部と、前記複数枚の放射線画像から、前記注目領域をステレオ視するための2枚の放射線画像を抽出する放射線画像抽出部と、前記抽出された2枚の放射線画像をステレオ視可能に前記表示装置に表示するように制御するステレオ視表示制御部とを有することを特徴とする。
【0017】
[2] 第1の本発明において、使用者が操作する入力装置と、前記放射線画像取得部にて取得された前記複数枚の放射線画像のうち、前記入力装置からの操作入力に基づいて選択された放射線画像を前記表示装置に表示するように制御する画像表示制御部とを有し、前記注目領域設定部は、選択された前記放射線画像上の注目領域を設定することを特徴とする。
【0018】
[3] 第1の本発明において、使用者が操作する入力装置と、前記再構成部にて生成された放射線断層画像のうち、前記入力装置からの操作入力に基づいて選択された断層の放射線断層画像を前記表示装置に表示するように制御する画像表示制御部とを有し、前記注目領域設定部は、選択された前記放射線断層画像上の注目領域を設定することを特徴とする。
【0019】
[4] 第1の本発明において、前記放射線画像抽出部は、前記放射線照射部での放射線照射が行われる前記複数の位置のうち、ステレオ視の中心となる1つの位置を、前記注目領域の座標に基づいて決定する第1位置決定部と、前記放射線照射部での放射線照射が行われる前記複数の位置のうち、前記決定された前記1つの位置を基準にそれぞれ対称の位置関係を有する2つの位置を決定する第2位置決定部とを有し、前記複数枚の放射線画像のうち、前記2つの位置から放射線を照射して得られた放射線画像を、前記2つの放射線画像として抽出することを特徴とする。
【0020】
[5] 第1の本発明において、前記第1位置決定部は、前記注目領域の座標に対応した前記放射線検出装置上の平面座標を求める注目座標演算部を有し、前記放射線照射部での放射線照射が行われる前記複数の位置のうち、平面座標が、得られた前記放射線検出装置上の平面座標に最も近い1つの位置を、前記ステレオ視の中心となる前記1つの位置として決定することを特徴とする。
【0021】
[6] 第1の本発明において、前記第2位置決定部は、前記ステレオ視の中心となる前記1つの位置に対応した前記放射線検出装置上の平面座標(基準座標)を求める基準座標演算部を有し、前記複数の位置のうち、前記1つの位置を基準にそれぞれ対称の位置関係を有する2つの位置であって、且つ、前記1つの位置と前記基準座標間の直線との各なす角が予め設定された角度である2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置として決定することを特徴とする。
【0022】
[7] 第1の本発明において、前記第2位置決定部は、前記1つの位置から前記放射線検出装置までの縦方向の距離と、前記1つの位置から前記複数の位置までの各横方向の距離とから求められるアスペクト比が、予め設定されたアスペクト比を満足する2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置として決定することを特徴とする。
【0023】
[8] 第1の本発明において、使用者が操作する入力装置を有し、前記第2位置決定部は、最初に前記1つの位置に最も近い2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置として選択する初期選択部と、前記入力装置からの次の位置に更新する操作入力に基づいて、前記選択された2つの位置に隣接する2つの位置を、改めてステレオ視用の2つの位置として選択する更新選択部とを有し、前記入力装置からの決定を示す操作入力に基づいて、前記選択された2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置として決定することを特徴とする。
【0024】
[9] 第1の本発明において、前記画像表示制御部は、前記表示装置への選択された前記放射線画像の表示と、前記表示装置への前記抽出された2枚の放射線画像の表示とを、前記入力装置からの操作入力に基づいて切り替えることを特徴とする。
【0025】
[10] 第1の本発明において、前記画像表示制御部は、前記表示装置における第1表示領域に、選択された前記放射線画像を表示し、前記ステレオ視表示制御部は、前記表示装置における第2表示領域に、前記抽出された2枚の放射線画像を表示することを特徴とする。
【0026】
[11] 第1の本発明において、前記画像表示制御部は、前記表示装置への選択された前記放射線断層画像の表示と、前記表示装置への前記抽出された2枚の放射線画像の表示とを、前記入力装置からの操作入力に基づいて切り替えることを特徴とする。
【0027】
[12] 第1の本発明において、前記画像表示制御部は、前記表示装置における第1表示領域に、選択された前記放射線断層画像を表示し、前記ステレオ視表示制御部は、前記表示装置における第2表示領域に、前記抽出された2枚の放射線画像を表示することを特徴とする。
【0028】
[13] 第1の本発明において、使用者が操作する入力装置を有し、前記注目領域設定部は、前記入力装置からの操作入力に基づいて、前記注目領域を設定することを特徴とする。
【0029】
[14] 第2の本発明に係る放射線画像の表示方法は、放射線検出装置に対向して設けられた放射線照射部を複数の位置に移動しながら各位置において前記放射線照射部から前記放射線検出装置上の被写体に対して異なる方向から放射線を照射して、前記放射線検出装置から出力される複数枚の放射線画像を取得する放射線画像取得部と、前記放射線画像取得部にて取得された前記複数枚の放射線画像を再構成して、前記被写体の放射線断層画像を生成する再構成部と、少なくとも前記放射線画像を表示する表示装置とを有する放射線画像撮影システムにて使用される放射線画像の表示方法において、ステレオ視のための注目領域を設定する注目領域設定ステップと、前記複数枚の放射線画像から、前記注目領域をステレオ視するための2枚の放射線画像を抽出する放射線画像抽出ステップと、前記抽出された2枚の放射線画像をステレオ視可能に前記表示装置に表示するステレオ視表示ステップとを有することを特徴とする。
【0030】
[15] 第2の本発明において、前記放射線画像撮影システムは使用者が操作する入力装置を有し、前記放射線画像取得部にて取得された前記複数枚の放射線画像のうち、前記入力装置からの操作入力に基づいて選択された放射線画像を前記表示装置に表示する画像表示ステップを有し、前記注目領域設定ステップは、選択された前記放射線画像上の注目領域を設定することを特徴とする。
【0031】
[16] 第2の本発明において、前記放射線画像撮影システムは使用者が操作する入力装置を有し、前記再構成部にて生成された放射線断層画像のうち、前記入力装置からの操作入力に基づいて選択された断層の放射線断層画像を前記表示装置に表示する画像表示ステップを有し、前記注目領域設定ステップは、選択された前記放射線断層画像上の注目領域を設定することを特徴とする。
【0032】
[17] 第2の本発明において、前記表示装置への選択された前記放射線画像の表示と、前記表示装置への前記抽出された2枚の放射線画像の表示とを、前記入力装置からの操作入力に基づいて切り替える画像切替ステップを有することを特徴とする。
【0033】
[18] 第2の本発明において、前記画像表示ステップは、前記表示装置における第1表示領域に、選択された前記放射線画像を表示し、前記ステレオ視表示制御ステップは、前記表示装置における第2表示領域に、前記抽出された2枚の放射線画像を表示することを特徴とする。
【0034】
[19] 第2の本発明において、前記表示装置への選択された前記放射線断層画像の表示と、前記表示装置への前記抽出された2枚の放射線画像の表示とを、前記入力装置からの操作入力に基づいて切り替える画像切替ステップを有することを特徴とする。
【0035】
[20] 前記画像表示ステップは、前記表示装置における第1表示領域に、選択された前記放射線断層画像を表示し、前記ステレオ視表示ステップは、前記表示装置における第2表示領域に、前記抽出された2枚の放射線画像を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係る放射線画像撮影システム及び放射線画像の表示方法によれば、被写体に対する被曝量の増加を抑えながらも、ステレオ視を行う場合の使い勝手を良好にし、ステレオ視による観察の普及を促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本実施の形態に係る放射線画像撮影システムを示す構成図である。
【図2】本実施の形態に係る注目領域設定部、放射線画像抽出部、画像表示制御部を示す構成図である。
【図3】放射線検出装置に内蔵される放射線検出器の構成を示す回路図である。
【図4】本実施の形態に係る第2位置決定部による2つの位置(左眼用位置及び右眼用位置)の決定手法を示す説明図である。
【図5】モニタに表示される第1観察画面の一例を示す説明図である。
【図6】図6A及び図6Bはモニタに表示される第2観察画面の一例を示す説明図である。
【図7】本実施の形態に係る放射線画像撮影システムの動作を示すフローチャートである。
【図8】第1の変形例に係る第2位置決定部が組み込まれた放射線画像撮影システムの要部を構成図である。
【図9】第1の変形例に係る第2位置決定部による2つの位置(左眼用位置及び右眼用位置)の決定手法を示す説明図である。
【図10】第2の変形例に係る第2位置決定部が組み込まれた放射線画像撮影システムの要部を構成図である。
【図11】第2の変形例に係る第2位置決定部が組み込まれた放射線画像撮影システムの動作を示すフローチャート(その1)である。
【図12】第2の変形例に係る第2位置決定部が組み込まれた放射線画像撮影システムの動作を示すフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明に係る放射線画像撮影システム及び放射線画像の表示方法の実施の形態例を図1〜図12を参照しながら説明する。
【0039】
本実施の形態に係る放射線画像撮影システム10は、図1に示すように、放射線検出装置12と、放射線画像取得部14と、図2に示すように、画像再構成部16と、注目領域設定部18と、放射線画像抽出部20と、画像表示制御部22と、入力装置24と、モニタ26と、これらを制御する主制御部28(図1参照)とを有する。なお、図2において、主制御部28の図示を省略してある。
【0040】
放射線画像取得部14は、図1に示すように、放射線検出装置12に対向して設けられた放射線照射部30と、該放射線照射部30を予め設定された複数の位置(P1、P2、P3・・・)に移動させる移動機構32と、放射線照射部30が予め設定された複数の位置に到達した時点で、放射線照射部30から放射線検出装置12上の被写体34に対して放射線36を照射するように制御する放射線制御部38と、放射線検出装置12から順次送られてくる放射線画像(生データ)を画像メモリ40の第1記憶領域42a(図2参照)に例えば時系列に記憶する画像記憶部44とを有する。すなわち、この放射線画像取得部14は、放射線検出装置12に対向して設けられた放射線照射部30を複数の位置に移動しながら各位置において放射線照射部30から放射線検出装置12上の被写体34に対して異なる方向から放射線36を照射することによって、放射線検出装置12から複数枚の放射線画像を取得するように動作する。
【0041】
なお、放射線画像取得部14での撮影は、放射線照射部30が予め設定された複数の位置に到達した時点で行われる個々の撮影という概念と、これら個々の撮影全体を1つの撮影として捉える概念が存在する。そこで、個々の撮影を「放射線撮影」と記し、個々の撮影全体を1つの撮影として捉えた撮影を「トモシンセシス撮影」と記す。
【0042】
画像再構成部16は、画像メモリ40の第1記憶領域42aに記憶された複数の放射線画像を再構成して、被写体34の断層画像、特に、被写体34の注目領域46における放射線検出装置12の検出面に平行な断層画像を生成して画像メモリ40の第2記憶領域42bに記憶する。再構成方法としては、例えば単純逆投影法やフィルタ逆投影法を採用することができる。ここで、単純逆投影法は、複数の放射線画像に再構成フィルタをかけずにそのまま複数の放射線画像をそれぞれ逆投影した後、加算処理して再構成画像を得る方法である。一方、フィルタ逆投影法は、複数の放射線画像に再構成フィルタを畳み込みフィルタとしてかけてから逆投影した後、加算処理して再構成画像を得る方法と、複数の放射線画像を一旦フーリエ変換して周波数空間のデータに置き換え、該データに再構成フィルタをかけてから逆投影した後、加算処理して再構成画像を得る方法とがあるが、いずれを採用してもよい。なお、単純逆投影法及びフィルタ逆投影法を総称して逆投影法と記す。
【0043】
放射線検出装置12は、筐体50(図1参照)と、図3に示すように、筐体50内に収容されたバッテリ52と、放射線検出器54と、検出器制御部56とを有する。
【0044】
放射線検出器54は、放射線36(図1参照)を感知して電荷を発生させるアモルファスセレン(a−Se)等の物質からなる光電変換層58を行列状の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)60のアレイの上に配置した構造を有し、発生した電荷を蓄積容量62に蓄積した後、各行毎にTFT60を順次オンにして、電荷を画像信号として読み出す。図3では、光電変換層58及び蓄積容量62からなる1つの画素64と1つのTFT60との接続関係のみを示し、その他の画素64の構成については省略している。なお、アモルファスセレンは、高温になると構造が変化して機能が低下してしまうため、所定の温度範囲内で使用する必要がある。従って、筐体50内に放射線検出器54を冷却する手段を配設することが好ましい。
【0045】
各画素64に接続されるTFT60には、行方向と平行に延びるゲート線66と、列方向と平行に延びる信号線68とが接続される。各ゲート線66は、ライン走査駆動部70に接続され、各信号線68は、読取回路を構成するマルチプレクサ72に接続される。
【0046】
ゲート線66には、行方向に配列されたTFT60をオンオフ制御する制御信号Von、Voffがライン走査駆動部70から供給される。この場合、ライン走査駆動部70は、ゲート線66を切り替える複数の第1スイッチSW1と、第1スイッチSW1の1つを選択する選択信号を出力する行アドレスデコーダ74とを備える。行アドレスデコーダ74には、検出器制御部56からアドレス信号が供給される。
【0047】
また、信号線68には、列方向に配列されたTFT60を介して各画素64の蓄積容量62に保持されている電荷が流出する。この電荷は、増幅器76によって増幅される。増幅器76には、サンプルホールド回路78を介してマルチプレクサ72が接続される。マルチプレクサ72は、信号線68を切り替える複数の第2スイッチSW2と、第2スイッチSW2の1つを選択する選択信号を出力する列アドレスデコーダ80とを備える。列アドレスデコーダ80には、検出器制御部56からアドレス信号が供給される。マルチプレクサ72には、A/D変換器82が接続され、A/D変換器82によってデジタル信号に変換された放射線画像が検出器制御部56を介して出力され、図2に示すように、画像メモリ40の第1記憶領域42aに記憶されることになる。つまり、放射線画像撮影システム10において放射線撮影が行われるたびに放射線検出装置12から放射線画像が出力され、出力された放射線画像が画像メモリ40の第1記憶領域42aに例えば時系列で記憶される。
【0048】
また、図2に示す注目領域設定部18は、入力装置24からの操作入力に基づいて、放射線画像上又は放射線断層画像上の注目領域46を設定する。この設定方法としては以下のように行われる。例えばオペレータがモニタ26に表示された放射線画像又は放射線断層画像を確認しながら、入力装置24のうち、座標入力装置(マウス等)を使って、注目領域46の画像を囲む枠(矩形状の枠、円形の枠等)を表示し、決定(左クリック等)の入力をすることで、枠の中心の二次元座標が注目領域46の座標として決定され、第1レジスタに登録される。枠が矩形状の枠であれば、例えば2つの対角線の交点の二次元座標が第1レジスタに登録され、枠が円形状の枠であれば、その中心の二次元座標が第1レジスタに登録される。ここで、二次元座標は、画像メモリ40における放射線画像上又は放射線断層画像上の座標を示す。
【0049】
放射線画像抽出部20は、第1位置決定部90と、第2位置決定部92とを有し、画像メモリ40の第1記憶領域42aに記憶された複数枚の放射線画像から、注目領域46をステレオ視(立体視)するための2枚の放射線画像を抽出する。
【0050】
第1位置決定部90は、放射線照射部30での放射線照射が行われる複数の位置(P1、P2、P3・・・)のうち、ステレオ視の中心となる1つの位置(中心位置)を、放射線画像上又は放射線断層画像上の注目領域46の座標(第1レジスタに登録された二次元座標)に基づいて決定する。具体的には、第1位置決定部90は、放射線画像上又は放射線断層画像上の注目領域46の座標に対応した放射線検出装置12上の平面座標を求める注目座標演算部94を有する。ここで、平面座標は、空間座標のうち、高さ方向の座標を除く座標を示す。そして、第1位置決定部90は、放射線照射部30での放射線照射が行われる複数の位置(P1、P2、P3・・・)のうち、平面座標が、注目座標演算部94にて得られた放射線検出装置12上の平面座標Pcに最も近い1つの位置(図4の例ではP5)を、ステレオ視の中心となる1つの位置(中心位置)として決定する。決定された中心位置の平面座標は第2レジスタに登録される。
【0051】
第2位置決定部92は、放射線照射部30での放射線照射が行われる複数の位置(P1、P2、P3・・・)のうち、第1位置決定部90にて決定された中心位置を基準にそれぞれ対称の位置関係を有する2つの位置を決定する。
【0052】
具体的には、第2位置決定部92は、ステレオ視の中心となる中心位置に対応した放射線検出装置12上の平面座標(基準座標:図4の例では座標Pc)を求める基準座標演算部96を有する。そして、第2位置決定部92は、複数の位置のうち、中心位置(図4ではP5)を基準にそれぞれ対称の位置関係を有する2つの位置であって、且つ、中心位置と基準座標演算部96にて得られた基準座標(図4ではPc)との間の直線との各なす角が予め設定された角度θである2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置(左眼用位置及び右眼用位置)として決定する。図4の例では、例えば位置P3及びP7が左眼用位置及び右眼用位置として決定される。左眼用位置及び右眼用位置の平面座標は第3レジスタに登録される。
【0053】
通常、人間の左眼と右眼間の距離は個人差があるため、上述した角度θは、ステレオ視で観察する医師に応じて設定される。ステレオ視で観察する医師が複数いれば、医師に対応するIDコードと角度が登録された角度情報テーブル98をもつようにしてもよい。この場合、第2位置決定部92は、入力装置24を用いて操作入力されたIDコード(今回ステレオ視の観察を行う医師のIDコード)に応じた角度θを、角度情報テーブル98から読み出し、読み出した角度θに基づいて、上述のように、左眼用位置及び右眼用位置を求めるようにしてもよい。
【0054】
そして、放射線画像抽出部20は、画像メモリ40の第1記憶領域42aに記憶されている複数枚の放射線画像のうち、左眼用位置及び右眼用位置から放射線を照射して得られた2つの放射線画像を、ステレオ視用の放射線画像(左眼用放射線画像及び右眼用放射線画像)として抽出して画像メモリ40の第3記憶領域42cに記憶する。
【0055】
画像表示制御部22は、第1表示形態表示部100aと、第2表示形態表示部100bと、表示形態切替部102とを有する。
【0056】
表示形態切替部102は、入力装置24からの第1表示形態を要求する操作入力に基づいて第1表示形態表示部100aを起動し、入力装置24からの第2表示形態を要求する操作入力に基づいて第2表示形態表示部100bを起動する。
【0057】
第1表示形態表示部100aは、第1観察画面104aを表示する第1観察画面表示部106aを有する。第1観察画面104aは、図5に示すように、例えば左側に第1表示領域108aが配置され、右側に第2表示領域108bが配置されている。第1表示領域108aには、オペレータが入力装置24を使って選択した1つの放射線画像109又は1つの放射線断層画像110が表示され、第2表示領域108bの左側には左眼用放射線画像112aが表示され、第2表示領域108bの右側には右眼用放射線画像112bが表示されるようになっている。従って、第1表示形態表示部100aは、上述の第1観察画面表示部106aに加えて、第1観察画面104aの第1表示領域108aに放射線画像109又は放射線断層画像110を表示する第1画像表示制御部14aと、第1観察画面104aの第2表示領域108bの左側に左眼用放射線画像112aを表示し、第2表示領域108bの右側に右眼用放射線画像112bを表示する第1ステレオ視表示制御部116aとを有する。
【0058】
同様に、第2表示形態表示部100bは、第2観察画面104bを表示する第2観察画面表示部106bを有する。第2観察画面104bは、図6A及び図6Bに示すように、1つの表示領域108が配置されている。表示領域108には、オペレータが入力装置24を使って選択した1つの放射線画像109又は1つの放射線断層画像110(図6A参照)と、ステレオ視用の画像(左眼用放射線画像112a及び右眼用放射線画像112b:図6B参照)が切り替え表示されるようになっている。従って、第2表示形態表示部100bは、上述の第2観察画面表示部106bに加えて、第2観察画面104bの表示領域108に放射線画像109又は放射線断層画像110を表示する第2画像表示制御部114bと、第2観察画面104bの表示領域108の左側に左眼用放射線画像112aを表示し、表示領域108の右側に右眼用放射線画像112bを表示する第2ステレオ視表示制御部116bとを有する。
【0059】
放射線画像撮影システム10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作について図7も参照しながら説明する。
【0060】
先ず、図7のステップS1において、撮影対象である患者(被写体34)の患者情報が、撮影に先立ち、主制御部28に予め登録される。撮影部位や撮影方法が予め決まっている場合には、これらの撮影条件も予め登録される。
【0061】
その後、ステップS2において、被写体34(患者)を放射線画像撮影システム10に誘導し、撮影部位等に応じたポジショニングを行う。
【0062】
ポジショニングが終了した段階で、ステップS3に進み、オペレータの主制御部28への操作指示に基づいてトモシンセシス撮影を開始する。すなわち、ステップS3において、計数値nを1にリセットする。その後、ステップS4において、放射線画像取得部14は、放射線照射部30がn番目の位置に到達させるように移動機構32を制御する。放射線照射部30がn番目の位置に到達した段階で、次のステップS5に進み、n番目の放射線撮影を行う。このn番目の放射線撮影によるn枚目の放射線画像は、画像メモリ40の第1記憶領域42aに記憶される。すなわち、n番目の放射線画像が取得されることになる。その後、ステップS6において、計数値nが+1更新される。その後、ステップS7において、放射線撮影が規定の回数(例えば100回)行われたか否かが判別される。放射線撮影の回数が規定の回数未満であれば、ステップS5に戻り、該ステップS5以降の処理を繰り返す。
【0063】
そして、ステップS7において、放射線撮影の回数が規定の回数となった段階で、次のステップS8に進み、画像メモリ40の第1記憶領域42aに記憶された規定の回数分の放射線画像を、逆投影方法を用いて再構成することによって、被写体34の放射線断層画像110を生成する。生成された放射線断層画像110は、画像メモリ40の第2記憶領域42bに記憶される。
【0064】
次に、ステップS9において、画像表示制御部22は、放射線画像109又は放射線断層画像110の表示要求(操作入力による選択)に基づいて、モニタ26に放射線画像109又は放射線断層画像110を表示する。例えば第1表示形態による放射線画像109又は放射線断層画像110の表示要求であれば、第1表示形態表示部100aの第1観察画面表示部106aは、モニタ26に第1観察画面104a(図5参照)を表示する。その後、第1画像表示制御部114aは、入力装置24からの操作入力(画像の選択操作)に基づく1つの放射線画像109又は1つの放射線断層画像110を画像メモリ40の第1記憶領域42a又は第2記憶領域42bから読み出して、第1観察画面104aの第1表示領域108aに表示する。一方、第2表示形態による放射線画像109又は放射線断層画像110の表示要求であれば、第2表示形態表示部100bの第2観察画面表示部106bは、モニタ26に第2観察画面104b(図6A参照)を表示する。その後、第2画像表示制御部114bは、入力装置24からの操作入力(画像の選択操作)に基づく1つの放射線画像109又は1つの放射線断層画像110を画像メモリ40の第1記憶領域42a又は第2記憶領域42bから放射線断層画像110を読み出して、第2観察画面104bの表示領域108に表示する。
【0065】
その後、ステップS10において、注目領域設定部18は、入力装置24からの操作入力に基づいて、放射線画像109上又は放射線断層画像110上の注目領域46を設定する。上述したように、例えばオペレータがモニタ26に表示された放射線画像109又は放射線断層画像110を確認しながら、入力装置24のうち、座標入力装置(マウス等)を使って、注目領域を囲む枠(矩形状の枠、円形の枠等)を表示し、決定(左クリック等)の入力をすることで、枠の中心の二次元座標が、注目領域46の座標として決定される。
【0066】
その後、ステップS11において、放射線画像抽出部20の第1位置決定部90は、放射線照射部30での放射線照射が行われる複数の位置(P1、P2、P3・・・)のうち、注目領域46に対するステレオ視の中心となる1つの位置(中心位置)を、放射線画像109上又は放射線断層画像110上の注目領域46の座標(第1レジスタに登録された二次元座標)に基づいて決定する。上述したように、放射線照射部30での放射線照射が行われる複数の位置のうち、平面座標が、注目座標演算部94にて得られた放射線検出装置12上の注目領域46の平面座標に最も近い1つの位置が、ステレオ視の中心となる1つの位置(中心位置)として決定され、第2レジスタに登録される。
【0067】
その後、ステップS12において、放射線画像抽出部20の第2位置決定部92は、複数の位置のうち、中心位置を基準にそれぞれ対称の位置関係を有する2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置(左眼用位置及び右眼用位置)として決定する。特に、この実施の形態では、複数の位置のうち、中心位置を基準にそれぞれ対称の位置関係を有する2つの位置であって、且つ、中心位置と基準座標演算部にて得られた基準座標との間の直線との各なす角が予め設定された角度θである2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置(左眼用位置及び右眼用位置)として決定する。決定された左眼用位置及び右眼用位置の平面座標(又は空間座標)は第3レジスタに登録される。
【0068】
その後、ステップS13において、放射線画像抽出部20は、画像メモリ40の第1記憶領域42aに記憶されている複数枚の放射線画像のうち、左眼用位置及び右眼用位置から放射線を照射して得られた2つの放射線画像を、ステレオ視用の放射線画像(左眼用放射線画像112a及び右眼用放射線画像112b)として抽出して画像メモリ40の第3記憶領域42cに記憶する。
【0069】
その後、ステップS14において、画像表示制御部22は、ステレオ視の表示要求(操作入力)に基づいて、モニタ26にステレオ視用の放射線画像(左眼用放射線画像112a及び右眼用放射線画像112b)を表示する。例えば第1表示形態による表示要求であれば、第1表示形態表示部100aの第1ステレオ視表示制御部116aは、画像メモリ40の第3記憶領域42cから左眼用放射線画像112a及び右眼用放射線画像112bを読み出して、モニタ26に表示されている第1観察画面104aの第2表示領域108bに表示する(図5参照)。このとき、第1観察画面104aには、放射線画像109又は放射線断層画像110、左眼用放射線画像112a及び右眼用放射線画像112bがマルチ表示されることになる。一方、第2表示形態による表示要求であれば、第2表示形態表示部100bの第2ステレオ視表示制御部116bは、画像メモリ40の第3記憶領域42cから左眼用放射線画像112a及び右眼用放射線画像112bを読み出して、モニタ26に表示されている第2観察画面104bの表示領域108に表示する(図6B参照)。すなわち、いままで表示されていた放射線画像109又は放射線断層画像110に代えて、左眼用放射線画像112a及び右眼用放射線画像112bが表示されることとなる。
【0070】
上述の本実施の形態に係る放射線画像撮影システム10においては、トモシンセシス撮影が行われる複数の位置のうち、注目領域46に最も近い位置を中心位置とし、該中心位置を基準にそれぞれ対称の位置関係を有する2つの位置をステレオ視用の2つの位置(左眼用位置及び右眼用位置)として決定し、画像メモリ40の第1記憶領域42aに記憶されている複数枚の放射線画像のうち、左眼用位置及び右眼用位置から放射線を照射して得られた2つの放射線画像を、ステレオ視用の放射線画像(左眼用放射線画像112a及び右眼用放射線画像112b)として抽出したので、放射線画像109又は放射線断層画像110に基づいて設定された注目領域46の画像を、ステレオ視によって良好に観察できるようになる。しかも、左眼用位置及び右眼用位置を決定する際に、中心位置と基準座標との間の直線との各なす角が予め設定された角度θである2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置(左眼用位置及び右眼用位置)として決定し、このとき、前記角度θを、読影する医師に対応して設定するようにしたので、読影する医師にとってステレオ視し易い画像で、注目領域46の左眼用放射線画像112a及び右眼用放射線画像112bを表示することが可能となる。また、トモシンセシス撮影の後に、改めてステレオ視用の放射線撮影を行う必要がないため、被写体34に対する被曝量の増加を抑えることができる。さらに、第1表示形態では、選択した放射線画像109又は放射線断層画像110とステレオ視用の画像(左眼用放射線画像112a及び右眼用放射線画像112b)を並べて表示したので、選択した放射線画像109又は放射線断層画像110と比較しながら注目領域46をステレオ視することが可能となる。一方、第2表示形態では、放射線画像109又は放射線断層画像110とステレオ視用の画像を切り替えて表示するようにしたので、ステレオ視用の画像だけを確認したい場合に有効となる。しかも、第1表示形態と第2表示形態を簡単に切り替えることができ、放射線画像109又は放射線断層画像110とステレオ視用の画像の観察における使い勝手がよくなる。
【0071】
このように、本実施の形態に係る放射線画像撮影システム10においては、被写体に対する被曝量の増加を抑えながらも、ステレオ視を行う場合の使い勝手を良好にし、ステレオ視による観察の普及を促進させることができる。
【0072】
次に、上述した放射線画像抽出部20における第2位置決定部92の変形例について図8〜図12を参照しながら説明する。
【0073】
第1の変形例に係る第2位置決定部92aは、図8及び図9に示すように、第1位置決定部90にて決定された中心位置(図9の例ではP5)から放射線検出装置12までの縦方向の距離Hと、中心位置から複数の位置(放射線照射部での放射線照射が行われる複数の位置:P1、P2、P3・・・)までの各横方向の距離Dとから求められるアスペクト比が、予め設定されたアスペクト比を満足する2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置(左眼用位置及び右眼用位置)として決定する。図9では、例えば位置P3及びP7が左眼用位置及び右眼用位置として決定された例を示す。
【0074】
通常、人間の左眼と右眼間の距離は個人差があるため、上述したアスペクト比も角度θと同様に、ステレオ視で観察する医師に応じて設定される。ステレオ視で観察する医師が複数いれば、医師に対応するIDコードと角度が登録されたアスペクト比情報テーブル(図8参照)をもつようにしてもよい。この場合、第2位置決定部92は、入力装置24を用いて操作入力されたIDコード(今回ステレオ視の観察を行う医師のIDコード)に応じたアスペクト比を、アスペクト比情報テーブル118から読み出し、読み出したアスペクト比に基づいて、上述のように、左眼用位置及び右眼用位置を求めるようにしてもよい。
【0075】
第2の変形例に係る第2位置決定部92bは、図10に示すように、初期選択部120と、更新選択部122とを有する。
【0076】
初期選択部120は、最初に第1位置決定部90にて決定された中心位置に最も近い2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置(左眼用位置及び右眼用位置)として選択する。図4を使って説明すると、中心位置として位置P5が決定されることから、位置P5に最も近い2つの位置P4及びP6が左眼用位置及び右眼用位置として選択される。
【0077】
更新選択部122は、入力装置24からの次の位置に更新する操作入力(更新要求)に基づいて、選択された2つの位置にそれぞれ隣接する2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置(左眼用位置及び右眼用位置)として選択する。更新要求の操作入力としては、例えばモニタに表示された更新用のボタンに対する左クリック等が挙げられる。もちろん、更新用のボタンとしては、2種類(例えば+更新及び−更新)設定してもよい。この場合、+更新のボタンを選択操作することで、ステレオ視用の2つの位置が中心位置から遠ざかる方向に更新され、−更新のボタンを選択操作することで、ステレオ視用の2つの位置が中心位置に近づく方向に更新されるようにしてもよい。すなわち、図4を使って説明すると、+更新のボタンを選択操作する毎に、位置P3及びP7、位置P2及びP8が順次選択されていき、位置P2及びP8が選択されている状態から、−更新のボタンを選択操作する毎に、位置P3及びP7、位置P4及びP6が順次選択されていく。
【0078】
そして、第2位置決定部92bは、入力装置24からの決定を示す操作入力に基づいて、前記選択された2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置(左眼用位置及び右眼用位置)として決定する。
【0079】
具体的に、この第2の変形例に係る第2位置決定部92bが組み込まれた放射線画像撮影システム10の処理動作について図11及び図12のフローチャートも参照しながら説明する。
【0080】
先ず、図11に示すように、トモシンセシス撮影を行った後、再構成を行って放射線断層画像110を生成する(ステップS101〜ステップS108)。その後、入力装置24からの操作入力に基づいて選択された1つの放射線画像109又は1つの放射線断層画像を表示する(ステップS109)。その後、放射線画像109上又は放射線断層画像110上の注目領域を設定した後(ステップS110)、注目領域46に対するステレオ視の中心位置を決定する(ステップS111)。
【0081】
そして、図12のステップS112において、第2位置決定部92bの初期選択部120は、トモシンセシス撮影が行われる複数の位置(P1、P2、P3・・・)のうち、第1位置決定部90にて決定された中心位置に最も近い2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置(左眼用位置及び右眼用位置)として選択する(初期選択)。
【0082】
その後、ステップS113において、画像メモリ40の第1記憶領域42aに記憶されている複数枚の放射線画像のうち、左眼用位置及び右眼用位置から放射線を照射して得られた2つの放射線画像を、ステレオ視用の放射線画像(左眼用放射線画像及び右眼用放射線画像)として抽出して画像メモリ40の第3記憶領域42cに記憶する。
【0083】
その後、ステップS114において、画像表示制御部22は、ステレオ視の表示要求(操作入力)に基づいて、モニタ26にステレオ視用の放射線画像(左眼用放射線画像112a及び右眼用放射線画像112b)を表示する。
【0084】
その後、ステップS115において、選択されたステレオ視用の2つの位置について更新要求あるいは決定要求があるか否かが判別される。この判別は、入力装置24からの操作入力が更新要求であるか決定要求であるかで行われる。
【0085】
更新要求であれば、次のステップS116に進み、現在選択されている2つの位置にそれぞれ隣接する2つの位置がステレオ視用の2つの位置(左眼用位置及び右眼用位置)として選択される。その後、上述のステップS113に戻り、該ステップS113以降の処理を繰り返す。
【0086】
そして、ステップS115において、決定要求であると判別された段階で、この放射線画像撮影システム10での処理が終了する。
【0087】
このように、第2の変形例に係る第2位置決定部92bが組み込まれた放射線画像撮影システム10においては、最初に中心位置から最も近い2つの位置が選択され、該選択された2つの位置に基づいてステレオ視用の放射線画像が抽出されて表示され、その後の更新要求に基づいて2つの位置が順次更新されながら、更新選択された2つの位置に基づくステレオ視用の放射線画像が抽出、表示されていくことになることから、読影する医師にとって最適と思われる、あるいは読影するにあたって好ましい(違和感のない)と思われるステレオ視用の画像を医師自身が決めることができ、放射線断層画像110とステレオ視用の画像の観察における使い勝手がよくなる。
【0088】
上述の例では、放射線断層画像110とステレオ視用の放射線画像の表示において、第1表示形態と第2表示形態を任意に切り替え選択できるようにしたが、第1表示形態のみ表示させてもよいし、第2表示形態のみ表示させるようにしてもよい。
【0089】
また、第2位置決定部92での2つの位置の決定手順を、角度による決定(図2及び図4参照)、アスペクト比による決定(図8及び図9参照)、更新選択による決定(図10〜図12参照)を、読影する医師が入力装置24からの操作入力によって任意に選択できるようにしてもよい。
【0090】
なお、本発明に係る放射線画像撮影システムは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0091】
例えば、放射線検出装置12の放射線検出器54は、入射した放射線36の線量を光電変換層58によって直接電気信号に変換するもの(直接変換方式)であるが、これに代えて、入射した放射線Xをシンチレータによって一旦可視光に変換した後、この可視光をアモルファスシリコン(a−Si)等の固体検出素子を用いて電気信号に変換するように構成(間接変換方式)した放射線検出器を用いてもよい(特許第3494683号公報参照)。
【0092】
また、光読出方式の放射線検出器を利用して放射線画像情報を取得することもできる。この光読出方式の放射線検出器では、マトリクス状に配列された各固体検出素子に放射線が入射すると、その線量に応じた静電潜像が固体検出素子に蓄積記録される。静電潜像を読み取る際には、放射線検出器に読取光を照射し、発生した電流の値を放射線画像情報として取得する。なお、放射線検出器は、消去光を放射線検出器に照射することで、残存する静電潜像である放射線画像情報を消去して再使用することができる(特開2000−105297号公報参照)。
【0093】
また、上述した放射線検出器54では、TFT60を用いた例を示したが、その他、CMOS(Complementary Metal−Oxside Semiconductor)イメージセンサ等、他の撮像素子と組み合わせて実現してもよい。さらにまた、TFT60で言うところのゲート信号に相当するシフトパルスにより電荷をシフトしながら転送するCCD(Charge−Coupled Device)イメージセンサに置き換えることも可能である。
【符号の説明】
【0094】
10…放射線画像撮影システム 12…放射線検出装置
14…放射線画像取得部 16…画像再構成部
18…注目領域設定部 20…放射線画像抽出部
22…画像表示制御部 24…入力装置
26…モニタ 28…主制御部
30…放射線照射部 34…被写体
40…画像メモリ 90…第1位置決定部
92、92a、92b…第2位置決定部 94…注目座標演算部
96…基準座標演算部 100a…第1表示形態表示部
100b…第2表示形態表示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮影により断層画像を取得する放射線画像撮影システム及び放射線画像の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、X線撮影装置においても、患部をより詳しく観察するために、X線管を移動させて異なる角度から被写体にX線を照射して撮影を行い、得られた放射線画像を加算して所望の断層面を強調した断層画像を得ることができるトモシンセシス撮影(Tomosynthesis)が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
トモシンセシス撮影では、X線管をフラットパネル等の検出器と平行に移動させたり、円や楕円の弧を描くように移動させて、異なる撮影角で被写体を撮影した複数の放射線画像を取得して、これらの放射線画像を再構成して断層画像を作成する。この断層画像は、複数の放射線画像を平行移動させたり画像の大きさを調整して加算することにより取得することができる(例えば特許文献2参照)。
【0004】
そして、このトモシンセシス撮影を利用した撮影方法としては、例えば特許文献3〜6に記載がある。
【0005】
特許文献3に記載の方法は、CT(Computed Tomography)画像とトモシンセシス画像の双方を撮影できるシステムにおいて、トモシンセシス画像から対象物の位置、形状を決定し、決定した位置、形状に基づいて、対象物のCT撮影を行うというものである。
【0006】
特許文献4に記載の方法は、立体視(ステレオ視)用の左眼用画像と右眼用画像の対応する領域を設定し、左右の曝射条件を制御するようにしている。
【0007】
特許文献5に記載の方法は、撮影して得られた放射線透過画像を再構成して立体画像を作成し、この立体画像からパラメータを抽出した後、ステレオ視用の画像を撮影するための線源位置を決定し、撮影する、というものである。
【0008】
特許文献6に記載の方法は、ステレオ視用の左眼用画像と右眼用画像として、断層投影データセットから抽出された一対の投影画像を使用する、というものである。なお、特許文献6には、立体的観察方法(ステレオ視による観察)は、通常の視覚作業において人間の目により通常みられることと同様に距離又は深さの手掛かりを提供することが可能であり、体内のオブジェクトの間の相対的空間関係を一層明らかにすることができるため、放射線画像を観察する場合に有益である、との記載があり、ステレオ視による観察の有用性が述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭57−203430号公報
【特許文献2】特開2008−43757号公報
【特許文献3】特表2009−533086号公報
【特許文献4】特開平09−313471号公報
【特許文献5】特開2006−212056号公報
【特許文献6】特開2007−130487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述の特許文献3に記載の方法は、CT撮影に先立ってトモシンセシス撮影を行う必要から、被写体に対する被曝量が増加するという問題がある。
【0011】
特許文献4には、特に、ステレオ視観察のための画像を得るための放射線撮影の方法が記載されており、例えばステレオ視とは別に断層画像を得る場合は、別途断層画像を得るための放射線撮影が必要であり、この場合も、被写体に対する被曝量が増加するという問題がある。
【0012】
特許文献5に記載の方法は、立体画像を得るための放射線撮影を行った後、立体画像の情報に基づいてステレオ視用の撮影条件を決めて、ステレオ視用の放射線撮影を行うことから、この場合も、被写体に対する被曝量が増加するという問題がある。
【0013】
特許文献6に記載の方法は、断層画像を得るための放射線撮影を行った後、断層画像を構成する一対の放射線画像をステレオ視用の画像として利用しているため、上述した特許文献3〜5に記載の方法の問題を解消することができる。
【0014】
しかし、単に一対の放射線画像を選択して表示するだけであるため、断層画像を確認した後に、病変部分をステレオ視によって確認したい場合等に、どの放射線画像を抽出してステレオ視用に表示すればよいか、等の具体的な手法がなく、ステレオ視を行う場合の使い勝手が悪いという問題がある。
【0015】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、被写体に対する被曝量の増加を抑えながらも、ステレオ視を行う場合の使い勝手を良好にし、ステレオ視による観察の普及を促進させることができる放射線画像撮影システム及び放射線画像の表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
[1] 第1の本発明に係る放射線画像撮影システムは、放射線検出装置に対向して設けられた放射線照射部を複数の位置に移動しながら各位置において前記放射線照射部から前記放射線検出器上の被写体に対して異なる方向から放射線を照射して、前記放射線検出装置から出力される複数枚の放射線画像を取得する放射線画像取得部と、前記放射線画像取得部にて取得された前記複数枚の放射線画像を再構成して、前記被写体の放射線断層画像を生成する再構成部と、少なくとも前記放射線画像を表示する表示装置とを有する放射線画像撮影システムにおいて、ステレオ視のための注目領域を設定する注目領域設定部と、前記複数枚の放射線画像から、前記注目領域をステレオ視するための2枚の放射線画像を抽出する放射線画像抽出部と、前記抽出された2枚の放射線画像をステレオ視可能に前記表示装置に表示するように制御するステレオ視表示制御部とを有することを特徴とする。
【0017】
[2] 第1の本発明において、使用者が操作する入力装置と、前記放射線画像取得部にて取得された前記複数枚の放射線画像のうち、前記入力装置からの操作入力に基づいて選択された放射線画像を前記表示装置に表示するように制御する画像表示制御部とを有し、前記注目領域設定部は、選択された前記放射線画像上の注目領域を設定することを特徴とする。
【0018】
[3] 第1の本発明において、使用者が操作する入力装置と、前記再構成部にて生成された放射線断層画像のうち、前記入力装置からの操作入力に基づいて選択された断層の放射線断層画像を前記表示装置に表示するように制御する画像表示制御部とを有し、前記注目領域設定部は、選択された前記放射線断層画像上の注目領域を設定することを特徴とする。
【0019】
[4] 第1の本発明において、前記放射線画像抽出部は、前記放射線照射部での放射線照射が行われる前記複数の位置のうち、ステレオ視の中心となる1つの位置を、前記注目領域の座標に基づいて決定する第1位置決定部と、前記放射線照射部での放射線照射が行われる前記複数の位置のうち、前記決定された前記1つの位置を基準にそれぞれ対称の位置関係を有する2つの位置を決定する第2位置決定部とを有し、前記複数枚の放射線画像のうち、前記2つの位置から放射線を照射して得られた放射線画像を、前記2つの放射線画像として抽出することを特徴とする。
【0020】
[5] 第1の本発明において、前記第1位置決定部は、前記注目領域の座標に対応した前記放射線検出装置上の平面座標を求める注目座標演算部を有し、前記放射線照射部での放射線照射が行われる前記複数の位置のうち、平面座標が、得られた前記放射線検出装置上の平面座標に最も近い1つの位置を、前記ステレオ視の中心となる前記1つの位置として決定することを特徴とする。
【0021】
[6] 第1の本発明において、前記第2位置決定部は、前記ステレオ視の中心となる前記1つの位置に対応した前記放射線検出装置上の平面座標(基準座標)を求める基準座標演算部を有し、前記複数の位置のうち、前記1つの位置を基準にそれぞれ対称の位置関係を有する2つの位置であって、且つ、前記1つの位置と前記基準座標間の直線との各なす角が予め設定された角度である2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置として決定することを特徴とする。
【0022】
[7] 第1の本発明において、前記第2位置決定部は、前記1つの位置から前記放射線検出装置までの縦方向の距離と、前記1つの位置から前記複数の位置までの各横方向の距離とから求められるアスペクト比が、予め設定されたアスペクト比を満足する2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置として決定することを特徴とする。
【0023】
[8] 第1の本発明において、使用者が操作する入力装置を有し、前記第2位置決定部は、最初に前記1つの位置に最も近い2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置として選択する初期選択部と、前記入力装置からの次の位置に更新する操作入力に基づいて、前記選択された2つの位置に隣接する2つの位置を、改めてステレオ視用の2つの位置として選択する更新選択部とを有し、前記入力装置からの決定を示す操作入力に基づいて、前記選択された2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置として決定することを特徴とする。
【0024】
[9] 第1の本発明において、前記画像表示制御部は、前記表示装置への選択された前記放射線画像の表示と、前記表示装置への前記抽出された2枚の放射線画像の表示とを、前記入力装置からの操作入力に基づいて切り替えることを特徴とする。
【0025】
[10] 第1の本発明において、前記画像表示制御部は、前記表示装置における第1表示領域に、選択された前記放射線画像を表示し、前記ステレオ視表示制御部は、前記表示装置における第2表示領域に、前記抽出された2枚の放射線画像を表示することを特徴とする。
【0026】
[11] 第1の本発明において、前記画像表示制御部は、前記表示装置への選択された前記放射線断層画像の表示と、前記表示装置への前記抽出された2枚の放射線画像の表示とを、前記入力装置からの操作入力に基づいて切り替えることを特徴とする。
【0027】
[12] 第1の本発明において、前記画像表示制御部は、前記表示装置における第1表示領域に、選択された前記放射線断層画像を表示し、前記ステレオ視表示制御部は、前記表示装置における第2表示領域に、前記抽出された2枚の放射線画像を表示することを特徴とする。
【0028】
[13] 第1の本発明において、使用者が操作する入力装置を有し、前記注目領域設定部は、前記入力装置からの操作入力に基づいて、前記注目領域を設定することを特徴とする。
【0029】
[14] 第2の本発明に係る放射線画像の表示方法は、放射線検出装置に対向して設けられた放射線照射部を複数の位置に移動しながら各位置において前記放射線照射部から前記放射線検出装置上の被写体に対して異なる方向から放射線を照射して、前記放射線検出装置から出力される複数枚の放射線画像を取得する放射線画像取得部と、前記放射線画像取得部にて取得された前記複数枚の放射線画像を再構成して、前記被写体の放射線断層画像を生成する再構成部と、少なくとも前記放射線画像を表示する表示装置とを有する放射線画像撮影システムにて使用される放射線画像の表示方法において、ステレオ視のための注目領域を設定する注目領域設定ステップと、前記複数枚の放射線画像から、前記注目領域をステレオ視するための2枚の放射線画像を抽出する放射線画像抽出ステップと、前記抽出された2枚の放射線画像をステレオ視可能に前記表示装置に表示するステレオ視表示ステップとを有することを特徴とする。
【0030】
[15] 第2の本発明において、前記放射線画像撮影システムは使用者が操作する入力装置を有し、前記放射線画像取得部にて取得された前記複数枚の放射線画像のうち、前記入力装置からの操作入力に基づいて選択された放射線画像を前記表示装置に表示する画像表示ステップを有し、前記注目領域設定ステップは、選択された前記放射線画像上の注目領域を設定することを特徴とする。
【0031】
[16] 第2の本発明において、前記放射線画像撮影システムは使用者が操作する入力装置を有し、前記再構成部にて生成された放射線断層画像のうち、前記入力装置からの操作入力に基づいて選択された断層の放射線断層画像を前記表示装置に表示する画像表示ステップを有し、前記注目領域設定ステップは、選択された前記放射線断層画像上の注目領域を設定することを特徴とする。
【0032】
[17] 第2の本発明において、前記表示装置への選択された前記放射線画像の表示と、前記表示装置への前記抽出された2枚の放射線画像の表示とを、前記入力装置からの操作入力に基づいて切り替える画像切替ステップを有することを特徴とする。
【0033】
[18] 第2の本発明において、前記画像表示ステップは、前記表示装置における第1表示領域に、選択された前記放射線画像を表示し、前記ステレオ視表示制御ステップは、前記表示装置における第2表示領域に、前記抽出された2枚の放射線画像を表示することを特徴とする。
【0034】
[19] 第2の本発明において、前記表示装置への選択された前記放射線断層画像の表示と、前記表示装置への前記抽出された2枚の放射線画像の表示とを、前記入力装置からの操作入力に基づいて切り替える画像切替ステップを有することを特徴とする。
【0035】
[20] 前記画像表示ステップは、前記表示装置における第1表示領域に、選択された前記放射線断層画像を表示し、前記ステレオ視表示ステップは、前記表示装置における第2表示領域に、前記抽出された2枚の放射線画像を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係る放射線画像撮影システム及び放射線画像の表示方法によれば、被写体に対する被曝量の増加を抑えながらも、ステレオ視を行う場合の使い勝手を良好にし、ステレオ視による観察の普及を促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本実施の形態に係る放射線画像撮影システムを示す構成図である。
【図2】本実施の形態に係る注目領域設定部、放射線画像抽出部、画像表示制御部を示す構成図である。
【図3】放射線検出装置に内蔵される放射線検出器の構成を示す回路図である。
【図4】本実施の形態に係る第2位置決定部による2つの位置(左眼用位置及び右眼用位置)の決定手法を示す説明図である。
【図5】モニタに表示される第1観察画面の一例を示す説明図である。
【図6】図6A及び図6Bはモニタに表示される第2観察画面の一例を示す説明図である。
【図7】本実施の形態に係る放射線画像撮影システムの動作を示すフローチャートである。
【図8】第1の変形例に係る第2位置決定部が組み込まれた放射線画像撮影システムの要部を構成図である。
【図9】第1の変形例に係る第2位置決定部による2つの位置(左眼用位置及び右眼用位置)の決定手法を示す説明図である。
【図10】第2の変形例に係る第2位置決定部が組み込まれた放射線画像撮影システムの要部を構成図である。
【図11】第2の変形例に係る第2位置決定部が組み込まれた放射線画像撮影システムの動作を示すフローチャート(その1)である。
【図12】第2の変形例に係る第2位置決定部が組み込まれた放射線画像撮影システムの動作を示すフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明に係る放射線画像撮影システム及び放射線画像の表示方法の実施の形態例を図1〜図12を参照しながら説明する。
【0039】
本実施の形態に係る放射線画像撮影システム10は、図1に示すように、放射線検出装置12と、放射線画像取得部14と、図2に示すように、画像再構成部16と、注目領域設定部18と、放射線画像抽出部20と、画像表示制御部22と、入力装置24と、モニタ26と、これらを制御する主制御部28(図1参照)とを有する。なお、図2において、主制御部28の図示を省略してある。
【0040】
放射線画像取得部14は、図1に示すように、放射線検出装置12に対向して設けられた放射線照射部30と、該放射線照射部30を予め設定された複数の位置(P1、P2、P3・・・)に移動させる移動機構32と、放射線照射部30が予め設定された複数の位置に到達した時点で、放射線照射部30から放射線検出装置12上の被写体34に対して放射線36を照射するように制御する放射線制御部38と、放射線検出装置12から順次送られてくる放射線画像(生データ)を画像メモリ40の第1記憶領域42a(図2参照)に例えば時系列に記憶する画像記憶部44とを有する。すなわち、この放射線画像取得部14は、放射線検出装置12に対向して設けられた放射線照射部30を複数の位置に移動しながら各位置において放射線照射部30から放射線検出装置12上の被写体34に対して異なる方向から放射線36を照射することによって、放射線検出装置12から複数枚の放射線画像を取得するように動作する。
【0041】
なお、放射線画像取得部14での撮影は、放射線照射部30が予め設定された複数の位置に到達した時点で行われる個々の撮影という概念と、これら個々の撮影全体を1つの撮影として捉える概念が存在する。そこで、個々の撮影を「放射線撮影」と記し、個々の撮影全体を1つの撮影として捉えた撮影を「トモシンセシス撮影」と記す。
【0042】
画像再構成部16は、画像メモリ40の第1記憶領域42aに記憶された複数の放射線画像を再構成して、被写体34の断層画像、特に、被写体34の注目領域46における放射線検出装置12の検出面に平行な断層画像を生成して画像メモリ40の第2記憶領域42bに記憶する。再構成方法としては、例えば単純逆投影法やフィルタ逆投影法を採用することができる。ここで、単純逆投影法は、複数の放射線画像に再構成フィルタをかけずにそのまま複数の放射線画像をそれぞれ逆投影した後、加算処理して再構成画像を得る方法である。一方、フィルタ逆投影法は、複数の放射線画像に再構成フィルタを畳み込みフィルタとしてかけてから逆投影した後、加算処理して再構成画像を得る方法と、複数の放射線画像を一旦フーリエ変換して周波数空間のデータに置き換え、該データに再構成フィルタをかけてから逆投影した後、加算処理して再構成画像を得る方法とがあるが、いずれを採用してもよい。なお、単純逆投影法及びフィルタ逆投影法を総称して逆投影法と記す。
【0043】
放射線検出装置12は、筐体50(図1参照)と、図3に示すように、筐体50内に収容されたバッテリ52と、放射線検出器54と、検出器制御部56とを有する。
【0044】
放射線検出器54は、放射線36(図1参照)を感知して電荷を発生させるアモルファスセレン(a−Se)等の物質からなる光電変換層58を行列状の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)60のアレイの上に配置した構造を有し、発生した電荷を蓄積容量62に蓄積した後、各行毎にTFT60を順次オンにして、電荷を画像信号として読み出す。図3では、光電変換層58及び蓄積容量62からなる1つの画素64と1つのTFT60との接続関係のみを示し、その他の画素64の構成については省略している。なお、アモルファスセレンは、高温になると構造が変化して機能が低下してしまうため、所定の温度範囲内で使用する必要がある。従って、筐体50内に放射線検出器54を冷却する手段を配設することが好ましい。
【0045】
各画素64に接続されるTFT60には、行方向と平行に延びるゲート線66と、列方向と平行に延びる信号線68とが接続される。各ゲート線66は、ライン走査駆動部70に接続され、各信号線68は、読取回路を構成するマルチプレクサ72に接続される。
【0046】
ゲート線66には、行方向に配列されたTFT60をオンオフ制御する制御信号Von、Voffがライン走査駆動部70から供給される。この場合、ライン走査駆動部70は、ゲート線66を切り替える複数の第1スイッチSW1と、第1スイッチSW1の1つを選択する選択信号を出力する行アドレスデコーダ74とを備える。行アドレスデコーダ74には、検出器制御部56からアドレス信号が供給される。
【0047】
また、信号線68には、列方向に配列されたTFT60を介して各画素64の蓄積容量62に保持されている電荷が流出する。この電荷は、増幅器76によって増幅される。増幅器76には、サンプルホールド回路78を介してマルチプレクサ72が接続される。マルチプレクサ72は、信号線68を切り替える複数の第2スイッチSW2と、第2スイッチSW2の1つを選択する選択信号を出力する列アドレスデコーダ80とを備える。列アドレスデコーダ80には、検出器制御部56からアドレス信号が供給される。マルチプレクサ72には、A/D変換器82が接続され、A/D変換器82によってデジタル信号に変換された放射線画像が検出器制御部56を介して出力され、図2に示すように、画像メモリ40の第1記憶領域42aに記憶されることになる。つまり、放射線画像撮影システム10において放射線撮影が行われるたびに放射線検出装置12から放射線画像が出力され、出力された放射線画像が画像メモリ40の第1記憶領域42aに例えば時系列で記憶される。
【0048】
また、図2に示す注目領域設定部18は、入力装置24からの操作入力に基づいて、放射線画像上又は放射線断層画像上の注目領域46を設定する。この設定方法としては以下のように行われる。例えばオペレータがモニタ26に表示された放射線画像又は放射線断層画像を確認しながら、入力装置24のうち、座標入力装置(マウス等)を使って、注目領域46の画像を囲む枠(矩形状の枠、円形の枠等)を表示し、決定(左クリック等)の入力をすることで、枠の中心の二次元座標が注目領域46の座標として決定され、第1レジスタに登録される。枠が矩形状の枠であれば、例えば2つの対角線の交点の二次元座標が第1レジスタに登録され、枠が円形状の枠であれば、その中心の二次元座標が第1レジスタに登録される。ここで、二次元座標は、画像メモリ40における放射線画像上又は放射線断層画像上の座標を示す。
【0049】
放射線画像抽出部20は、第1位置決定部90と、第2位置決定部92とを有し、画像メモリ40の第1記憶領域42aに記憶された複数枚の放射線画像から、注目領域46をステレオ視(立体視)するための2枚の放射線画像を抽出する。
【0050】
第1位置決定部90は、放射線照射部30での放射線照射が行われる複数の位置(P1、P2、P3・・・)のうち、ステレオ視の中心となる1つの位置(中心位置)を、放射線画像上又は放射線断層画像上の注目領域46の座標(第1レジスタに登録された二次元座標)に基づいて決定する。具体的には、第1位置決定部90は、放射線画像上又は放射線断層画像上の注目領域46の座標に対応した放射線検出装置12上の平面座標を求める注目座標演算部94を有する。ここで、平面座標は、空間座標のうち、高さ方向の座標を除く座標を示す。そして、第1位置決定部90は、放射線照射部30での放射線照射が行われる複数の位置(P1、P2、P3・・・)のうち、平面座標が、注目座標演算部94にて得られた放射線検出装置12上の平面座標Pcに最も近い1つの位置(図4の例ではP5)を、ステレオ視の中心となる1つの位置(中心位置)として決定する。決定された中心位置の平面座標は第2レジスタに登録される。
【0051】
第2位置決定部92は、放射線照射部30での放射線照射が行われる複数の位置(P1、P2、P3・・・)のうち、第1位置決定部90にて決定された中心位置を基準にそれぞれ対称の位置関係を有する2つの位置を決定する。
【0052】
具体的には、第2位置決定部92は、ステレオ視の中心となる中心位置に対応した放射線検出装置12上の平面座標(基準座標:図4の例では座標Pc)を求める基準座標演算部96を有する。そして、第2位置決定部92は、複数の位置のうち、中心位置(図4ではP5)を基準にそれぞれ対称の位置関係を有する2つの位置であって、且つ、中心位置と基準座標演算部96にて得られた基準座標(図4ではPc)との間の直線との各なす角が予め設定された角度θである2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置(左眼用位置及び右眼用位置)として決定する。図4の例では、例えば位置P3及びP7が左眼用位置及び右眼用位置として決定される。左眼用位置及び右眼用位置の平面座標は第3レジスタに登録される。
【0053】
通常、人間の左眼と右眼間の距離は個人差があるため、上述した角度θは、ステレオ視で観察する医師に応じて設定される。ステレオ視で観察する医師が複数いれば、医師に対応するIDコードと角度が登録された角度情報テーブル98をもつようにしてもよい。この場合、第2位置決定部92は、入力装置24を用いて操作入力されたIDコード(今回ステレオ視の観察を行う医師のIDコード)に応じた角度θを、角度情報テーブル98から読み出し、読み出した角度θに基づいて、上述のように、左眼用位置及び右眼用位置を求めるようにしてもよい。
【0054】
そして、放射線画像抽出部20は、画像メモリ40の第1記憶領域42aに記憶されている複数枚の放射線画像のうち、左眼用位置及び右眼用位置から放射線を照射して得られた2つの放射線画像を、ステレオ視用の放射線画像(左眼用放射線画像及び右眼用放射線画像)として抽出して画像メモリ40の第3記憶領域42cに記憶する。
【0055】
画像表示制御部22は、第1表示形態表示部100aと、第2表示形態表示部100bと、表示形態切替部102とを有する。
【0056】
表示形態切替部102は、入力装置24からの第1表示形態を要求する操作入力に基づいて第1表示形態表示部100aを起動し、入力装置24からの第2表示形態を要求する操作入力に基づいて第2表示形態表示部100bを起動する。
【0057】
第1表示形態表示部100aは、第1観察画面104aを表示する第1観察画面表示部106aを有する。第1観察画面104aは、図5に示すように、例えば左側に第1表示領域108aが配置され、右側に第2表示領域108bが配置されている。第1表示領域108aには、オペレータが入力装置24を使って選択した1つの放射線画像109又は1つの放射線断層画像110が表示され、第2表示領域108bの左側には左眼用放射線画像112aが表示され、第2表示領域108bの右側には右眼用放射線画像112bが表示されるようになっている。従って、第1表示形態表示部100aは、上述の第1観察画面表示部106aに加えて、第1観察画面104aの第1表示領域108aに放射線画像109又は放射線断層画像110を表示する第1画像表示制御部14aと、第1観察画面104aの第2表示領域108bの左側に左眼用放射線画像112aを表示し、第2表示領域108bの右側に右眼用放射線画像112bを表示する第1ステレオ視表示制御部116aとを有する。
【0058】
同様に、第2表示形態表示部100bは、第2観察画面104bを表示する第2観察画面表示部106bを有する。第2観察画面104bは、図6A及び図6Bに示すように、1つの表示領域108が配置されている。表示領域108には、オペレータが入力装置24を使って選択した1つの放射線画像109又は1つの放射線断層画像110(図6A参照)と、ステレオ視用の画像(左眼用放射線画像112a及び右眼用放射線画像112b:図6B参照)が切り替え表示されるようになっている。従って、第2表示形態表示部100bは、上述の第2観察画面表示部106bに加えて、第2観察画面104bの表示領域108に放射線画像109又は放射線断層画像110を表示する第2画像表示制御部114bと、第2観察画面104bの表示領域108の左側に左眼用放射線画像112aを表示し、表示領域108の右側に右眼用放射線画像112bを表示する第2ステレオ視表示制御部116bとを有する。
【0059】
放射線画像撮影システム10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作について図7も参照しながら説明する。
【0060】
先ず、図7のステップS1において、撮影対象である患者(被写体34)の患者情報が、撮影に先立ち、主制御部28に予め登録される。撮影部位や撮影方法が予め決まっている場合には、これらの撮影条件も予め登録される。
【0061】
その後、ステップS2において、被写体34(患者)を放射線画像撮影システム10に誘導し、撮影部位等に応じたポジショニングを行う。
【0062】
ポジショニングが終了した段階で、ステップS3に進み、オペレータの主制御部28への操作指示に基づいてトモシンセシス撮影を開始する。すなわち、ステップS3において、計数値nを1にリセットする。その後、ステップS4において、放射線画像取得部14は、放射線照射部30がn番目の位置に到達させるように移動機構32を制御する。放射線照射部30がn番目の位置に到達した段階で、次のステップS5に進み、n番目の放射線撮影を行う。このn番目の放射線撮影によるn枚目の放射線画像は、画像メモリ40の第1記憶領域42aに記憶される。すなわち、n番目の放射線画像が取得されることになる。その後、ステップS6において、計数値nが+1更新される。その後、ステップS7において、放射線撮影が規定の回数(例えば100回)行われたか否かが判別される。放射線撮影の回数が規定の回数未満であれば、ステップS5に戻り、該ステップS5以降の処理を繰り返す。
【0063】
そして、ステップS7において、放射線撮影の回数が規定の回数となった段階で、次のステップS8に進み、画像メモリ40の第1記憶領域42aに記憶された規定の回数分の放射線画像を、逆投影方法を用いて再構成することによって、被写体34の放射線断層画像110を生成する。生成された放射線断層画像110は、画像メモリ40の第2記憶領域42bに記憶される。
【0064】
次に、ステップS9において、画像表示制御部22は、放射線画像109又は放射線断層画像110の表示要求(操作入力による選択)に基づいて、モニタ26に放射線画像109又は放射線断層画像110を表示する。例えば第1表示形態による放射線画像109又は放射線断層画像110の表示要求であれば、第1表示形態表示部100aの第1観察画面表示部106aは、モニタ26に第1観察画面104a(図5参照)を表示する。その後、第1画像表示制御部114aは、入力装置24からの操作入力(画像の選択操作)に基づく1つの放射線画像109又は1つの放射線断層画像110を画像メモリ40の第1記憶領域42a又は第2記憶領域42bから読み出して、第1観察画面104aの第1表示領域108aに表示する。一方、第2表示形態による放射線画像109又は放射線断層画像110の表示要求であれば、第2表示形態表示部100bの第2観察画面表示部106bは、モニタ26に第2観察画面104b(図6A参照)を表示する。その後、第2画像表示制御部114bは、入力装置24からの操作入力(画像の選択操作)に基づく1つの放射線画像109又は1つの放射線断層画像110を画像メモリ40の第1記憶領域42a又は第2記憶領域42bから放射線断層画像110を読み出して、第2観察画面104bの表示領域108に表示する。
【0065】
その後、ステップS10において、注目領域設定部18は、入力装置24からの操作入力に基づいて、放射線画像109上又は放射線断層画像110上の注目領域46を設定する。上述したように、例えばオペレータがモニタ26に表示された放射線画像109又は放射線断層画像110を確認しながら、入力装置24のうち、座標入力装置(マウス等)を使って、注目領域を囲む枠(矩形状の枠、円形の枠等)を表示し、決定(左クリック等)の入力をすることで、枠の中心の二次元座標が、注目領域46の座標として決定される。
【0066】
その後、ステップS11において、放射線画像抽出部20の第1位置決定部90は、放射線照射部30での放射線照射が行われる複数の位置(P1、P2、P3・・・)のうち、注目領域46に対するステレオ視の中心となる1つの位置(中心位置)を、放射線画像109上又は放射線断層画像110上の注目領域46の座標(第1レジスタに登録された二次元座標)に基づいて決定する。上述したように、放射線照射部30での放射線照射が行われる複数の位置のうち、平面座標が、注目座標演算部94にて得られた放射線検出装置12上の注目領域46の平面座標に最も近い1つの位置が、ステレオ視の中心となる1つの位置(中心位置)として決定され、第2レジスタに登録される。
【0067】
その後、ステップS12において、放射線画像抽出部20の第2位置決定部92は、複数の位置のうち、中心位置を基準にそれぞれ対称の位置関係を有する2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置(左眼用位置及び右眼用位置)として決定する。特に、この実施の形態では、複数の位置のうち、中心位置を基準にそれぞれ対称の位置関係を有する2つの位置であって、且つ、中心位置と基準座標演算部にて得られた基準座標との間の直線との各なす角が予め設定された角度θである2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置(左眼用位置及び右眼用位置)として決定する。決定された左眼用位置及び右眼用位置の平面座標(又は空間座標)は第3レジスタに登録される。
【0068】
その後、ステップS13において、放射線画像抽出部20は、画像メモリ40の第1記憶領域42aに記憶されている複数枚の放射線画像のうち、左眼用位置及び右眼用位置から放射線を照射して得られた2つの放射線画像を、ステレオ視用の放射線画像(左眼用放射線画像112a及び右眼用放射線画像112b)として抽出して画像メモリ40の第3記憶領域42cに記憶する。
【0069】
その後、ステップS14において、画像表示制御部22は、ステレオ視の表示要求(操作入力)に基づいて、モニタ26にステレオ視用の放射線画像(左眼用放射線画像112a及び右眼用放射線画像112b)を表示する。例えば第1表示形態による表示要求であれば、第1表示形態表示部100aの第1ステレオ視表示制御部116aは、画像メモリ40の第3記憶領域42cから左眼用放射線画像112a及び右眼用放射線画像112bを読み出して、モニタ26に表示されている第1観察画面104aの第2表示領域108bに表示する(図5参照)。このとき、第1観察画面104aには、放射線画像109又は放射線断層画像110、左眼用放射線画像112a及び右眼用放射線画像112bがマルチ表示されることになる。一方、第2表示形態による表示要求であれば、第2表示形態表示部100bの第2ステレオ視表示制御部116bは、画像メモリ40の第3記憶領域42cから左眼用放射線画像112a及び右眼用放射線画像112bを読み出して、モニタ26に表示されている第2観察画面104bの表示領域108に表示する(図6B参照)。すなわち、いままで表示されていた放射線画像109又は放射線断層画像110に代えて、左眼用放射線画像112a及び右眼用放射線画像112bが表示されることとなる。
【0070】
上述の本実施の形態に係る放射線画像撮影システム10においては、トモシンセシス撮影が行われる複数の位置のうち、注目領域46に最も近い位置を中心位置とし、該中心位置を基準にそれぞれ対称の位置関係を有する2つの位置をステレオ視用の2つの位置(左眼用位置及び右眼用位置)として決定し、画像メモリ40の第1記憶領域42aに記憶されている複数枚の放射線画像のうち、左眼用位置及び右眼用位置から放射線を照射して得られた2つの放射線画像を、ステレオ視用の放射線画像(左眼用放射線画像112a及び右眼用放射線画像112b)として抽出したので、放射線画像109又は放射線断層画像110に基づいて設定された注目領域46の画像を、ステレオ視によって良好に観察できるようになる。しかも、左眼用位置及び右眼用位置を決定する際に、中心位置と基準座標との間の直線との各なす角が予め設定された角度θである2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置(左眼用位置及び右眼用位置)として決定し、このとき、前記角度θを、読影する医師に対応して設定するようにしたので、読影する医師にとってステレオ視し易い画像で、注目領域46の左眼用放射線画像112a及び右眼用放射線画像112bを表示することが可能となる。また、トモシンセシス撮影の後に、改めてステレオ視用の放射線撮影を行う必要がないため、被写体34に対する被曝量の増加を抑えることができる。さらに、第1表示形態では、選択した放射線画像109又は放射線断層画像110とステレオ視用の画像(左眼用放射線画像112a及び右眼用放射線画像112b)を並べて表示したので、選択した放射線画像109又は放射線断層画像110と比較しながら注目領域46をステレオ視することが可能となる。一方、第2表示形態では、放射線画像109又は放射線断層画像110とステレオ視用の画像を切り替えて表示するようにしたので、ステレオ視用の画像だけを確認したい場合に有効となる。しかも、第1表示形態と第2表示形態を簡単に切り替えることができ、放射線画像109又は放射線断層画像110とステレオ視用の画像の観察における使い勝手がよくなる。
【0071】
このように、本実施の形態に係る放射線画像撮影システム10においては、被写体に対する被曝量の増加を抑えながらも、ステレオ視を行う場合の使い勝手を良好にし、ステレオ視による観察の普及を促進させることができる。
【0072】
次に、上述した放射線画像抽出部20における第2位置決定部92の変形例について図8〜図12を参照しながら説明する。
【0073】
第1の変形例に係る第2位置決定部92aは、図8及び図9に示すように、第1位置決定部90にて決定された中心位置(図9の例ではP5)から放射線検出装置12までの縦方向の距離Hと、中心位置から複数の位置(放射線照射部での放射線照射が行われる複数の位置:P1、P2、P3・・・)までの各横方向の距離Dとから求められるアスペクト比が、予め設定されたアスペクト比を満足する2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置(左眼用位置及び右眼用位置)として決定する。図9では、例えば位置P3及びP7が左眼用位置及び右眼用位置として決定された例を示す。
【0074】
通常、人間の左眼と右眼間の距離は個人差があるため、上述したアスペクト比も角度θと同様に、ステレオ視で観察する医師に応じて設定される。ステレオ視で観察する医師が複数いれば、医師に対応するIDコードと角度が登録されたアスペクト比情報テーブル(図8参照)をもつようにしてもよい。この場合、第2位置決定部92は、入力装置24を用いて操作入力されたIDコード(今回ステレオ視の観察を行う医師のIDコード)に応じたアスペクト比を、アスペクト比情報テーブル118から読み出し、読み出したアスペクト比に基づいて、上述のように、左眼用位置及び右眼用位置を求めるようにしてもよい。
【0075】
第2の変形例に係る第2位置決定部92bは、図10に示すように、初期選択部120と、更新選択部122とを有する。
【0076】
初期選択部120は、最初に第1位置決定部90にて決定された中心位置に最も近い2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置(左眼用位置及び右眼用位置)として選択する。図4を使って説明すると、中心位置として位置P5が決定されることから、位置P5に最も近い2つの位置P4及びP6が左眼用位置及び右眼用位置として選択される。
【0077】
更新選択部122は、入力装置24からの次の位置に更新する操作入力(更新要求)に基づいて、選択された2つの位置にそれぞれ隣接する2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置(左眼用位置及び右眼用位置)として選択する。更新要求の操作入力としては、例えばモニタに表示された更新用のボタンに対する左クリック等が挙げられる。もちろん、更新用のボタンとしては、2種類(例えば+更新及び−更新)設定してもよい。この場合、+更新のボタンを選択操作することで、ステレオ視用の2つの位置が中心位置から遠ざかる方向に更新され、−更新のボタンを選択操作することで、ステレオ視用の2つの位置が中心位置に近づく方向に更新されるようにしてもよい。すなわち、図4を使って説明すると、+更新のボタンを選択操作する毎に、位置P3及びP7、位置P2及びP8が順次選択されていき、位置P2及びP8が選択されている状態から、−更新のボタンを選択操作する毎に、位置P3及びP7、位置P4及びP6が順次選択されていく。
【0078】
そして、第2位置決定部92bは、入力装置24からの決定を示す操作入力に基づいて、前記選択された2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置(左眼用位置及び右眼用位置)として決定する。
【0079】
具体的に、この第2の変形例に係る第2位置決定部92bが組み込まれた放射線画像撮影システム10の処理動作について図11及び図12のフローチャートも参照しながら説明する。
【0080】
先ず、図11に示すように、トモシンセシス撮影を行った後、再構成を行って放射線断層画像110を生成する(ステップS101〜ステップS108)。その後、入力装置24からの操作入力に基づいて選択された1つの放射線画像109又は1つの放射線断層画像を表示する(ステップS109)。その後、放射線画像109上又は放射線断層画像110上の注目領域を設定した後(ステップS110)、注目領域46に対するステレオ視の中心位置を決定する(ステップS111)。
【0081】
そして、図12のステップS112において、第2位置決定部92bの初期選択部120は、トモシンセシス撮影が行われる複数の位置(P1、P2、P3・・・)のうち、第1位置決定部90にて決定された中心位置に最も近い2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置(左眼用位置及び右眼用位置)として選択する(初期選択)。
【0082】
その後、ステップS113において、画像メモリ40の第1記憶領域42aに記憶されている複数枚の放射線画像のうち、左眼用位置及び右眼用位置から放射線を照射して得られた2つの放射線画像を、ステレオ視用の放射線画像(左眼用放射線画像及び右眼用放射線画像)として抽出して画像メモリ40の第3記憶領域42cに記憶する。
【0083】
その後、ステップS114において、画像表示制御部22は、ステレオ視の表示要求(操作入力)に基づいて、モニタ26にステレオ視用の放射線画像(左眼用放射線画像112a及び右眼用放射線画像112b)を表示する。
【0084】
その後、ステップS115において、選択されたステレオ視用の2つの位置について更新要求あるいは決定要求があるか否かが判別される。この判別は、入力装置24からの操作入力が更新要求であるか決定要求であるかで行われる。
【0085】
更新要求であれば、次のステップS116に進み、現在選択されている2つの位置にそれぞれ隣接する2つの位置がステレオ視用の2つの位置(左眼用位置及び右眼用位置)として選択される。その後、上述のステップS113に戻り、該ステップS113以降の処理を繰り返す。
【0086】
そして、ステップS115において、決定要求であると判別された段階で、この放射線画像撮影システム10での処理が終了する。
【0087】
このように、第2の変形例に係る第2位置決定部92bが組み込まれた放射線画像撮影システム10においては、最初に中心位置から最も近い2つの位置が選択され、該選択された2つの位置に基づいてステレオ視用の放射線画像が抽出されて表示され、その後の更新要求に基づいて2つの位置が順次更新されながら、更新選択された2つの位置に基づくステレオ視用の放射線画像が抽出、表示されていくことになることから、読影する医師にとって最適と思われる、あるいは読影するにあたって好ましい(違和感のない)と思われるステレオ視用の画像を医師自身が決めることができ、放射線断層画像110とステレオ視用の画像の観察における使い勝手がよくなる。
【0088】
上述の例では、放射線断層画像110とステレオ視用の放射線画像の表示において、第1表示形態と第2表示形態を任意に切り替え選択できるようにしたが、第1表示形態のみ表示させてもよいし、第2表示形態のみ表示させるようにしてもよい。
【0089】
また、第2位置決定部92での2つの位置の決定手順を、角度による決定(図2及び図4参照)、アスペクト比による決定(図8及び図9参照)、更新選択による決定(図10〜図12参照)を、読影する医師が入力装置24からの操作入力によって任意に選択できるようにしてもよい。
【0090】
なお、本発明に係る放射線画像撮影システムは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0091】
例えば、放射線検出装置12の放射線検出器54は、入射した放射線36の線量を光電変換層58によって直接電気信号に変換するもの(直接変換方式)であるが、これに代えて、入射した放射線Xをシンチレータによって一旦可視光に変換した後、この可視光をアモルファスシリコン(a−Si)等の固体検出素子を用いて電気信号に変換するように構成(間接変換方式)した放射線検出器を用いてもよい(特許第3494683号公報参照)。
【0092】
また、光読出方式の放射線検出器を利用して放射線画像情報を取得することもできる。この光読出方式の放射線検出器では、マトリクス状に配列された各固体検出素子に放射線が入射すると、その線量に応じた静電潜像が固体検出素子に蓄積記録される。静電潜像を読み取る際には、放射線検出器に読取光を照射し、発生した電流の値を放射線画像情報として取得する。なお、放射線検出器は、消去光を放射線検出器に照射することで、残存する静電潜像である放射線画像情報を消去して再使用することができる(特開2000−105297号公報参照)。
【0093】
また、上述した放射線検出器54では、TFT60を用いた例を示したが、その他、CMOS(Complementary Metal−Oxside Semiconductor)イメージセンサ等、他の撮像素子と組み合わせて実現してもよい。さらにまた、TFT60で言うところのゲート信号に相当するシフトパルスにより電荷をシフトしながら転送するCCD(Charge−Coupled Device)イメージセンサに置き換えることも可能である。
【符号の説明】
【0094】
10…放射線画像撮影システム 12…放射線検出装置
14…放射線画像取得部 16…画像再構成部
18…注目領域設定部 20…放射線画像抽出部
22…画像表示制御部 24…入力装置
26…モニタ 28…主制御部
30…放射線照射部 34…被写体
40…画像メモリ 90…第1位置決定部
92、92a、92b…第2位置決定部 94…注目座標演算部
96…基準座標演算部 100a…第1表示形態表示部
100b…第2表示形態表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線検出装置に対向して設けられた放射線照射部を複数の位置に移動しながら各位置において前記放射線照射部から前記放射線検出器上の被写体に対して異なる方向から放射線を照射して、前記放射線検出装置から出力される複数枚の放射線画像を取得する放射線画像取得部と、前記放射線画像取得部にて取得された前記複数枚の放射線画像を再構成して、前記被写体の放射線断層画像を生成する再構成部と、少なくとも前記放射線画像を表示する表示装置とを有する放射線画像撮影システムにおいて、
ステレオ視のための注目領域を設定する注目領域設定部と、
前記複数枚の放射線画像から、前記注目領域をステレオ視するための2枚の放射線画像を抽出する放射線画像抽出部と、
前記抽出された2枚の放射線画像をステレオ視可能に前記表示装置に表示するように制御するステレオ視表示制御部とを有することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項2】
請求項1記載の放射線画像撮影システムにおいて、
使用者が操作する入力装置と、
前記放射線画像取得部にて取得された前記複数枚の放射線画像のうち、前記入力装置からの操作入力に基づいて選択された放射線画像を前記表示装置に表示するように制御する画像表示制御部とを有し、
前記注目領域設定部は、
選択された前記放射線画像上の注目領域を設定することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項3】
請求項1記載の放射線画像撮影システムにおいて、
使用者が操作する入力装置と、
前記再構成部にて生成された放射線断層画像のうち、前記入力装置からの操作入力に基づいて選択された断層の放射線断層画像を前記表示装置に表示するように制御する画像表示制御部とを有し、
前記注目領域設定部は、
選択された前記放射線断層画像上の注目領域を設定することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記放射線画像抽出部は、
前記放射線照射部での放射線照射が行われる前記複数の位置のうち、ステレオ視の中心となる1つの位置を、前記注目領域の座標に基づいて決定する第1位置決定部と、
前記放射線照射部での放射線照射が行われる前記複数の位置のうち、前記決定された前記1つの位置を基準にそれぞれ対称の位置関係を有する2つの位置を決定する第2位置決定部とを有し、
前記複数枚の放射線画像のうち、前記2つの位置から放射線を照射して得られた放射線画像を、前記2つの放射線画像として抽出することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項5】
請求項4記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記第1位置決定部は、
前記注目領域の座標に対応した前記放射線検出装置上の平面座標を求める注目座標演算部を有し、
前記放射線照射部での放射線照射が行われる前記複数の位置のうち、平面座標が、得られた前記放射線検出装置上の平面座標に最も近い1つの位置を、前記ステレオ視の中心となる前記1つの位置として決定することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項6】
請求項4又は5記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記第2位置決定部は、
前記ステレオ視の中心となる前記1つの位置に対応した前記放射線検出装置上の平面座標(基準座標)を求める基準座標演算部を有し、
前記複数の位置のうち、前記1つの位置を基準にそれぞれ対称の位置関係を有する2つの位置であって、且つ、前記1つの位置と前記基準座標間の直線との各なす角が予め設定された角度である2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置として決定することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項7】
請求項4又は5記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記第2位置決定部は、
前記1つの位置から前記放射線検出装置までの縦方向の距離と、前記1つの位置から前記複数の位置までの各横方向の距離とから求められるアスペクト比が、予め設定されたアスペクト比を満足する2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置として決定することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項8】
請求項4又は5記載の放射線画像撮影システムにおいて、
使用者が操作する入力装置を有し、
前記第2位置決定部は、
最初に前記1つの位置に最も近い2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置として選択する初期選択部と、
前記入力装置からの次の位置に更新する操作入力に基づいて、前記選択された2つの位置に隣接する2つの位置を、改めてステレオ視用の2つの位置として選択する更新選択部とを有し、
前記入力装置からの決定を示す操作入力に基づいて、前記選択された2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置として決定することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項9】
請求項2記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記画像表示制御部は、前記表示装置への選択された前記放射線画像の表示と、前記表示装置への前記抽出された2枚の放射線画像の表示とを、前記入力装置からの操作入力に基づいて切り替えることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項10】
請求項2記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記画像表示制御部は、前記表示装置における第1表示領域に、選択された前記放射線画像を表示し、
前記ステレオ視表示制御部は、前記表示装置における第2表示領域に、前記抽出された2枚の放射線画像を表示することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項11】
請求項3記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記画像表示制御部は、前記表示装置への選択された前記放射線断層画像の表示と、前記表示装置への前記抽出された2枚の放射線画像の表示とを、前記入力装置からの操作入力に基づいて切り替えることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項12】
請求項3記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記画像表示制御部は、前記表示装置における第1表示領域に、選択された前記放射線断層画像を表示し、
前記ステレオ視表示制御部は、前記表示装置における第2表示領域に、前記抽出された2枚の放射線画像を表示することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項13】
請求項1記載の放射線画像撮影システムにおいて、
使用者が操作する入力装置を有し、
前記注目領域設定部は、前記入力装置からの操作入力に基づいて、前記注目領域を設定することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項14】
放射線検出装置に対向して設けられた放射線照射部を複数の位置に移動しながら各位置において前記放射線照射部から前記放射線検出装置上の被写体に対して異なる方向から放射線を照射して、前記放射線検出装置から出力される複数枚の放射線画像を取得する放射線画像取得部と、前記放射線画像取得部にて取得された前記複数枚の放射線画像を再構成して、前記被写体の放射線断層画像を生成する再構成部と、少なくとも前記放射線画像を表示する表示装置とを有する放射線画像撮影システムにて使用される放射線画像の表示方法において、
ステレオ視のための注目領域を設定する注目領域設定ステップと、
前記複数枚の放射線画像から、前記注目領域をステレオ視するための2枚の放射線画像を抽出する放射線画像抽出ステップと、
前記抽出された2枚の放射線画像をステレオ視可能に前記表示装置に表示するステレオ視表示ステップとを有することを特徴とする放射線画像の表示方法。
【請求項15】
請求項14記載の放射線画像の表示方法において、
前記放射線画像撮影システムは使用者が操作する入力装置を有し、
前記放射線画像取得部にて取得された前記複数枚の放射線画像のうち、前記入力装置からの操作入力に基づいて選択された放射線画像を前記表示装置に表示する画像表示ステップを有し、
前記注目領域設定ステップは、
選択された前記放射線画像上の注目領域を設定することを特徴とする放射線画像の表示方法。
【請求項16】
請求項14記載の放射線画像の表示方法において、
前記放射線画像撮影システムは使用者が操作する入力装置を有し、
前記再構成部にて生成された放射線断層画像のうち、前記入力装置からの操作入力に基づいて選択された断層の放射線断層画像を前記表示装置に表示する画像表示ステップを有し、
前記注目領域設定ステップは、
選択された前記放射線断層画像上の注目領域を設定することを特徴とする放射線画像の表示方法。
【請求項17】
請求項15記載の放射線画像の表示方法において、
前記表示装置への選択された前記放射線画像の表示と、前記表示装置への前記抽出された2枚の放射線画像の表示とを、前記入力装置からの操作入力に基づいて切り替える画像切替ステップを有することを特徴とする放射線画像の表示方法。
【請求項18】
請求項15記載の放射線画像の表示方法において、
前記画像表示ステップは、前記表示装置における第1表示領域に、選択された前記放射線画像を表示し、
前記ステレオ視表示ステップは、前記表示装置における第2表示領域に、前記抽出された2枚の放射線画像を表示することを特徴とする放射線画像の表示方法。
【請求項19】
請求項16記載の放射線画像の表示方法において、
前記表示装置への選択された前記放射線断層画像の表示と、前記表示装置への前記抽出された2枚の放射線画像の表示とを、前記入力装置からの操作入力に基づいて切り替える画像切替ステップを有することを特徴とする放射線画像の表示方法。
【請求項20】
請求項16記載の放射線画像の表示方法において、
前記画像表示ステップは、前記表示装置における第1表示領域に、選択された前記放射線断層画像を表示し、
前記ステレオ視表示ステップは、前記表示装置における第2表示領域に、前記抽出された2枚の放射線画像を表示することを特徴とする放射線画像の表示方法。
【請求項1】
放射線検出装置に対向して設けられた放射線照射部を複数の位置に移動しながら各位置において前記放射線照射部から前記放射線検出器上の被写体に対して異なる方向から放射線を照射して、前記放射線検出装置から出力される複数枚の放射線画像を取得する放射線画像取得部と、前記放射線画像取得部にて取得された前記複数枚の放射線画像を再構成して、前記被写体の放射線断層画像を生成する再構成部と、少なくとも前記放射線画像を表示する表示装置とを有する放射線画像撮影システムにおいて、
ステレオ視のための注目領域を設定する注目領域設定部と、
前記複数枚の放射線画像から、前記注目領域をステレオ視するための2枚の放射線画像を抽出する放射線画像抽出部と、
前記抽出された2枚の放射線画像をステレオ視可能に前記表示装置に表示するように制御するステレオ視表示制御部とを有することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項2】
請求項1記載の放射線画像撮影システムにおいて、
使用者が操作する入力装置と、
前記放射線画像取得部にて取得された前記複数枚の放射線画像のうち、前記入力装置からの操作入力に基づいて選択された放射線画像を前記表示装置に表示するように制御する画像表示制御部とを有し、
前記注目領域設定部は、
選択された前記放射線画像上の注目領域を設定することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項3】
請求項1記載の放射線画像撮影システムにおいて、
使用者が操作する入力装置と、
前記再構成部にて生成された放射線断層画像のうち、前記入力装置からの操作入力に基づいて選択された断層の放射線断層画像を前記表示装置に表示するように制御する画像表示制御部とを有し、
前記注目領域設定部は、
選択された前記放射線断層画像上の注目領域を設定することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記放射線画像抽出部は、
前記放射線照射部での放射線照射が行われる前記複数の位置のうち、ステレオ視の中心となる1つの位置を、前記注目領域の座標に基づいて決定する第1位置決定部と、
前記放射線照射部での放射線照射が行われる前記複数の位置のうち、前記決定された前記1つの位置を基準にそれぞれ対称の位置関係を有する2つの位置を決定する第2位置決定部とを有し、
前記複数枚の放射線画像のうち、前記2つの位置から放射線を照射して得られた放射線画像を、前記2つの放射線画像として抽出することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項5】
請求項4記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記第1位置決定部は、
前記注目領域の座標に対応した前記放射線検出装置上の平面座標を求める注目座標演算部を有し、
前記放射線照射部での放射線照射が行われる前記複数の位置のうち、平面座標が、得られた前記放射線検出装置上の平面座標に最も近い1つの位置を、前記ステレオ視の中心となる前記1つの位置として決定することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項6】
請求項4又は5記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記第2位置決定部は、
前記ステレオ視の中心となる前記1つの位置に対応した前記放射線検出装置上の平面座標(基準座標)を求める基準座標演算部を有し、
前記複数の位置のうち、前記1つの位置を基準にそれぞれ対称の位置関係を有する2つの位置であって、且つ、前記1つの位置と前記基準座標間の直線との各なす角が予め設定された角度である2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置として決定することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項7】
請求項4又は5記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記第2位置決定部は、
前記1つの位置から前記放射線検出装置までの縦方向の距離と、前記1つの位置から前記複数の位置までの各横方向の距離とから求められるアスペクト比が、予め設定されたアスペクト比を満足する2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置として決定することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項8】
請求項4又は5記載の放射線画像撮影システムにおいて、
使用者が操作する入力装置を有し、
前記第2位置決定部は、
最初に前記1つの位置に最も近い2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置として選択する初期選択部と、
前記入力装置からの次の位置に更新する操作入力に基づいて、前記選択された2つの位置に隣接する2つの位置を、改めてステレオ視用の2つの位置として選択する更新選択部とを有し、
前記入力装置からの決定を示す操作入力に基づいて、前記選択された2つの位置を、ステレオ視用の2つの位置として決定することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項9】
請求項2記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記画像表示制御部は、前記表示装置への選択された前記放射線画像の表示と、前記表示装置への前記抽出された2枚の放射線画像の表示とを、前記入力装置からの操作入力に基づいて切り替えることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項10】
請求項2記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記画像表示制御部は、前記表示装置における第1表示領域に、選択された前記放射線画像を表示し、
前記ステレオ視表示制御部は、前記表示装置における第2表示領域に、前記抽出された2枚の放射線画像を表示することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項11】
請求項3記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記画像表示制御部は、前記表示装置への選択された前記放射線断層画像の表示と、前記表示装置への前記抽出された2枚の放射線画像の表示とを、前記入力装置からの操作入力に基づいて切り替えることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項12】
請求項3記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記画像表示制御部は、前記表示装置における第1表示領域に、選択された前記放射線断層画像を表示し、
前記ステレオ視表示制御部は、前記表示装置における第2表示領域に、前記抽出された2枚の放射線画像を表示することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項13】
請求項1記載の放射線画像撮影システムにおいて、
使用者が操作する入力装置を有し、
前記注目領域設定部は、前記入力装置からの操作入力に基づいて、前記注目領域を設定することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項14】
放射線検出装置に対向して設けられた放射線照射部を複数の位置に移動しながら各位置において前記放射線照射部から前記放射線検出装置上の被写体に対して異なる方向から放射線を照射して、前記放射線検出装置から出力される複数枚の放射線画像を取得する放射線画像取得部と、前記放射線画像取得部にて取得された前記複数枚の放射線画像を再構成して、前記被写体の放射線断層画像を生成する再構成部と、少なくとも前記放射線画像を表示する表示装置とを有する放射線画像撮影システムにて使用される放射線画像の表示方法において、
ステレオ視のための注目領域を設定する注目領域設定ステップと、
前記複数枚の放射線画像から、前記注目領域をステレオ視するための2枚の放射線画像を抽出する放射線画像抽出ステップと、
前記抽出された2枚の放射線画像をステレオ視可能に前記表示装置に表示するステレオ視表示ステップとを有することを特徴とする放射線画像の表示方法。
【請求項15】
請求項14記載の放射線画像の表示方法において、
前記放射線画像撮影システムは使用者が操作する入力装置を有し、
前記放射線画像取得部にて取得された前記複数枚の放射線画像のうち、前記入力装置からの操作入力に基づいて選択された放射線画像を前記表示装置に表示する画像表示ステップを有し、
前記注目領域設定ステップは、
選択された前記放射線画像上の注目領域を設定することを特徴とする放射線画像の表示方法。
【請求項16】
請求項14記載の放射線画像の表示方法において、
前記放射線画像撮影システムは使用者が操作する入力装置を有し、
前記再構成部にて生成された放射線断層画像のうち、前記入力装置からの操作入力に基づいて選択された断層の放射線断層画像を前記表示装置に表示する画像表示ステップを有し、
前記注目領域設定ステップは、
選択された前記放射線断層画像上の注目領域を設定することを特徴とする放射線画像の表示方法。
【請求項17】
請求項15記載の放射線画像の表示方法において、
前記表示装置への選択された前記放射線画像の表示と、前記表示装置への前記抽出された2枚の放射線画像の表示とを、前記入力装置からの操作入力に基づいて切り替える画像切替ステップを有することを特徴とする放射線画像の表示方法。
【請求項18】
請求項15記載の放射線画像の表示方法において、
前記画像表示ステップは、前記表示装置における第1表示領域に、選択された前記放射線画像を表示し、
前記ステレオ視表示ステップは、前記表示装置における第2表示領域に、前記抽出された2枚の放射線画像を表示することを特徴とする放射線画像の表示方法。
【請求項19】
請求項16記載の放射線画像の表示方法において、
前記表示装置への選択された前記放射線断層画像の表示と、前記表示装置への前記抽出された2枚の放射線画像の表示とを、前記入力装置からの操作入力に基づいて切り替える画像切替ステップを有することを特徴とする放射線画像の表示方法。
【請求項20】
請求項16記載の放射線画像の表示方法において、
前記画像表示ステップは、前記表示装置における第1表示領域に、選択された前記放射線断層画像を表示し、
前記ステレオ視表示ステップは、前記表示装置における第2表示領域に、前記抽出された2枚の放射線画像を表示することを特徴とする放射線画像の表示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−183021(P2011−183021A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52760(P2010−52760)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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