説明

放射線硬化型導電性インキ及び放射線硬化型導電性インキを用いた導電基板の製造方法

【課題】製造コストを効果的に削減することができる放射線硬化型導電性インキ及びこの導電性インキを用いた導電基板の製造方法の提供。
【解決手段】放射線硬化型導電性インキが少なくとも被覆層を備えた導電粉と感光性結合剤を含み、この放射線硬化型導電性インキをスクリーン印刷法で基板表面に印刷し、導電性インキに紫外線、可視光線、電子線のいずれかの放射線を照射して化学架橋反応を起こさせ、導電基板を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線硬化型導電性インキ及び導電性インキを用いた導電基板の製造方法に関し、詳細には、無線自動識別(RFID)アンテナ、プリント配線板、スマートカード(非接触ICカード)部材、スマートラベル、プリントエレクトロニクス、耐電磁干渉(EMI)及び耐静電材料を含む電子材料に用いることができる放射線硬化型導電性インキ及び導電性インキを用いた導電基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
技術的進歩の推進力は、さまざまな電子製品の設計における多機能化と小型化をより顕著にしている。特に、近年のネットワーキング及びワイヤレス通信における急速な発展により、ポータブル電子製品のさまざまな領域で絶え間のない改良が行われ、21世紀のビジネス形態の限りない潜在性に変化を与えている。
【0003】
電子製品の小型化における進歩と電子材料との間には深い関係がある。例えば、積層タイプのアンテナが従来のステムアンテナに取って代わり、プリント配線板の積層構造が小型携帯電話を市場に送りだすことを可能にした。さらに、近年の無線自動識別(RFID)の急速な発展は、電子マネーやアニマルチップ読取機、スマートカード(非接触ICカード)、スマートショッピング等におけるRFIDのアプリケーションを可能にし、すでに消費者の生活に欠かせないものとなっている。
【0004】
図1にスマートカード(非接触ICカード)に応用する無線自動識別(RFID)の例を示す。ここでは原則的にスマートカード10上のチップ11から積層アンテナ12を介して読取機20へと信号の伝送が行われる。読取機20のアンテナ21がその信号を受信し、マイクロプロセッサ22がその信号を読取可能な情報へと解読する。さらに、読取機20はその他データをスマートカード10へ伝送することができ、それを受けてスマートカード10上のチップ11が書込み操作を行う。この伝送方法は誘導タイプ(コイル共鳴を用いて高周波信号誘導を起こすタイプ)であるため、スマートカード10に電力供給源を設置する必要がない。
【0005】
原則的に、前述の無線自動識別の伝送ターミナルは、あらゆる廉価の製品に組み込むことができ、現在さまざまな商品に使用されているバーコードをすべて代替することさえ可能であるため、無限の利便性をもたらし、現今ライフスタイルのトレンドを完全に変化させることができる。
【0006】
また、図2に主に積層基板13上に巻きコイルを配置して構成され、信号の送受信を行うことができるスマートカード10の積層アンテナ12を示す。積層基板13上に巻きコイルを配置するために従来のエッチング法が用いられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述の積層タイプのアンテナやプリント配線板、無線自動識別システムは使用上の利便性をもたらしているが、それらの製造コストは未だ非常に高く、多くの革新的製品や新しいビジネス形態は、理論の域を出ることができなかったり、実行不能であったりという結果となっている。
【0008】
現在の技術では、無線自動識別システムの高いコストの問題を未だ克服することができずにおり、これは主に前述のアンテナが、チップ以上にコストが高いためである。従来のエッチング法は、作業が複雑であるため、大量生産をしてもコスト削減が困難である。
【0009】
ここで、積層基板上に巻きコイルを直接設置するときにスクリーン印刷法を用いることができれば、作業手順を効果的に簡略化し、コストを削減することが可能である。現今の技術ではすでに回路基板におけるスクリーン印刷が広く採用されているが、現在主に使用されている従来の純銀粉を含む熱硬化型導電性インキは、前述のような無線自動識別システムのアンテナや回路基板に用いる場合、製造コストを効果的に削減することはできない。また、一般的には、導電粉はその遮光効果と特定の比重により、金属粉の沈降が迅速に発生し、放射線硬化型導電性インキが理想的な硬化の程度を得ることが難しくなる。さらに、金属粉を均一に分散させて十分な厚さの導電性インキを得ることも困難である。
【0010】
そこで、本発明の目的は、製造コストを効果的に削減することができる放射線硬化型導電性インキ及びこの導電性インキを用いた導電基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1に記載された放射線硬化型導電性インキに対応する実施例においては、放射線を導電性インキに照射することにより化学架橋反応を得、そのうち、この使用される放射線が紫外線、可視光線、電子線のいずれか、或いはこれら3つの光線のうち1つ以上の組み合わせであり、前記導電性インキが、少なくとも導電粉の表面を被覆層で覆ってなる導電粉体と、放射線を照射することにより化学架橋反応が得られる感光性結合剤とを含む。また、導電粉、被覆層及び感光性結合剤は、以下の条件のものとする。
(a)導電粉の銀成分重量が、該導電粉の重量の90%以下である。
(b)前記被覆層の銀成分重量が前記被覆層の重量の30%以上であり、かつ前記被覆層の重量が前記導電粉及び前記被覆層の総重量の80%以下である。
(c)導電粉体の平均サイズが40ミクロン以下である。
(d)感光性結合剤は、温度25℃の条件下で粘度が5000cps以下であり、かつ、重合を実施可能な少なくとも1つの反応性環化有機化合物を含んでいる。なお、前記重合は、反応性環化モノマーや反応性環化オリゴマー等による重合である。
【0012】
本発明の請求項2に記載された放射線硬化型導電性インキに対応する実施例においては、放射線を導電性インキに照射することにより化学架橋反応を得、そのうち、使用される前記放射線が紫外線、可視光線、電子線のいずれか、或いはこれら3つの光線のうち1つ以上の組み合わせであり、前記導電性インキが少なくとも導電粉の表面を被覆層で覆ってなる導電粉体と、放射線を照射することにより化学架橋反応が得られる感光性結合剤とを含む。また、導電粉、被覆層及び感光性結合剤は、以下の条件のものとする。
(a)導電粉の銅成分重量が、該導電粉の重量の30%以上である。
(b)前記被覆層の銀成分重量が前記被覆層の重量の30%以上であり、かつ前記被覆層の重量が前記導電粉及び前記被覆層の総重量の80%以下である。
(c)導電粉体の平均サイズが40ミクロン以下である。
(d)感光性結合剤は、温度25℃の条件下で粘度が5000cps以下であり、かつ、重合を実施可能な少なくとも1つの反応性環化有機化合物を含んでいる。なお、前記重合は、反応性環化モノマーや反応性環化オリゴマー等による重合である。
【0013】
本発明の請求項3に記載された放射線硬化型導電性インキに対応する実施例においては、放射線を導電性インキに照射することにより化学架橋反応を得、そのうち、使用される前記放射線が紫外線、可視光線、電子線のいずれか、或いはこれら3つの光線のうち1つ以上の組み合わせであり、前記導電性インキが少なくとも導電粉の表面を被覆層で覆ってなる導電粉体と、放射線を照射することにより化学架橋反応が得られる感光性結合剤とを含む。また、導電粉、被覆層及び感光性結合剤は、以下の条件のものとする。
(a)導電粉のアルミニウム成分重量が、該導電粉の重量の30%以上である。
(b)前記被覆層の銀成分重量が前記被覆層の重量の30%以上であり、かつ前記被覆層の重量が前記導電粉及び前記被覆層の総重量の80%以下である。
(c)導電粉体の平均サイズが40ミクロン以下である。
(d)感光性結合剤は、温度25℃の条件下で粘度が5000cps以下であり、かつ、重合を実施可能な少なくとも1つの反応性環化有機化合物を含んでいる。なお、前記重合は、反応性環化モノマーや反応性環化オリゴマー等による重合である。
【0014】
本発明の請求項4に記載された放射線硬化型導電性インキに対応する実施例においては、放射線を導電性インキに照射することにより化学架橋反応を得、そのうち、使用される放射線が紫外線、可視光線、電子線のいずれか、或いはこれら3つの光線のうち1つ以上の組み合わせであり、前記導電性インキが少なくとも以下の成分を含む。
(a)金属性導電粉であって、かつ平均サイズが40ミクロン以下である導電粉。
(b)温度25℃の条件下で粘度が5000cps以下であり、かつ、重合を実施可能な少なくとも1つの反応性環化有機化合物を含み、放射線を照射することにより化学架橋反応が得られる感光性結合剤。なお、前記重合は、反応性環化モノマーや反応性環化オリゴマー等による重合である。
【0015】
スクリーン印刷を用いた導電基板の製造方法は、前述の本発明の放射線硬化型導電性インキの成分を用いることで、作業手順を短縮すると共にコストを削減することができるものであり、この方法は次の通りである。前記導電基板の製造方法は次の手順を含む。
(a)前記放射線硬化型導電性インキを基板表面にスクリーン印刷法で印刷する。
(b)前記放射線硬化型導電性インキに放射線を照射し、そのうち、使用される前記放射線が紫外線、可視光線、電子線のいずれか、或いはこれら3つの光線のうち1つ以上の組み合わせであり、これにより前記放射線硬化型導電性インキに化学架橋反応を起こさせ、導電基板を形成する。
という手順を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明の放射線硬化型導電性インキは、上述の従来の導電粉の短所を改良することができ、迅速な硬化反応で、理想的な金属粉の分散性と優れた導電性及び優れた導電安定性、抗酸化性、低コストを可能にする。
【0017】
スクリーン印刷を用いた導電基板の製造方法は、前述の本発明の放射線硬化型導電性インキとこの導電性インキを用いて導電基板を製造する方法を利用することで、作業手順の簡略化とコスト削減という目的を達することができる。この方法は、特に無線自動識別(RFID)アンテナ、プリント配線板、スマートカード(非接触ICカード)部材、スマートラベル、プリントエレクトロニクス、耐EMI及び耐静電材料におけるアプリケーションに適している。
【0018】
さらに、前述の構成部材を混合した放射線硬化型導電性インキは、従来の熱硬化型樹脂(例:熱硬化型エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂)が2分〜3時間という所要時間と約80℃−220℃の温度を必要とするのに対し、数秒の化学架橋反応を経るだけであるため、本発明は迅速な硬化と省エネという利点がある。
【0019】
前述の材料を組み合わせた導電粉が放射線架橋反応を経ると、硬化速度が迅速であるだけでなく、製造された導電基板により優れた導電性と抗酸化性を持たせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の目的及び技術的特徴についてより理解を促すため、以下、最良の実施例と図面に基づき詳細に説明する。
【0021】
本発明の放射線硬化型導電性インキは、放射線の照射によって化学架橋反応を起こすものであり、そのうち、前記導電性インキは少なくとも導電粉の表面を被覆層で覆ってなる導電粉体と、放射線を照射することにより化学架橋反応が得られる感光性結合剤とを含む。また、導電粉、被覆層及び感光性結合剤は、以下の条件のものとする。
(a)導電粉の銀成分重量が、該導電粉の重量の90%以下である導電粉。または、導電粉の銅成分重量が、該導電粉の重量の30%以上である導電粉。または、導電粉のアルミニウム成分重量が、該導電粉の重量の30%以上である導電粉。
(b)前記(a)に記載される導電粉のうちのいずれかの導電粉の表面を覆う被覆層であって、被覆層の銀成分重量が被覆層の重量の30%以上であり、かつ前記被覆層の重量が前記導電粉及び前記被覆層の総重量の80%以下である。
(c)導電粉体の平均サイズが40ミクロン以下である。
(d)感光性結合剤は、温度25℃の条件下で粘度が5000cps以下であり、反応性環化モノマーや反応性環化オリゴマー等の重合を実施可能な少なくとも1つの反応性環化有機化合物を含む。
【0022】
本発明の導電基板材料の迅速な製造手順において、本発明の放射線硬化型導電性インキは、主に被覆層を備えた導電粉と感光性結合剤を含んで成る。導電基板の製造方法は次の手順を含む。
(1)前記(a)に記載の導電粉をつくる。
(2)前記導電粉を前記(b)に記載の被覆層で覆う。
(3)前記(2)で得た被覆層で覆ってなる導電粉体と、温度25℃の環境下で粘度5,000cps以下の感光性結合剤を混合し、放射線硬化型導電性インキを形成する。
(4)前記(3)で得た放射線硬化型導電性インキをスクリーン印刷法で基板表面上にプリントする。
(5)基板表面上にプリントされた放射線硬化型導電性インキに放射線を照射し、前記放射線硬化型導電性インキに化学架橋反応を起こさせ、導電基板を形成する。
【0023】
前述の方法を用いた本発明の導電基板材料は、少なくとも無線自動識別(RFID)アンテナ、プリント配線板、スマートカード誘導部材、スマートラベル、プリントエレクトロニクス、耐EMI(電磁干渉)及び耐静電材料などの範囲に応用することができる。
【0024】
また、上記手順(4)では、スクリーン印刷を用いて放射線硬化型導電性インキを基板上に印刷するが、印刷されるラインは少なくとも網状、格子状、蜂の巣状とすることができ、前述の線形の隙間に放射線を照射することができるため、照射範囲を増加して硬化効率を向上し、十分な厚みを得ることができる。
【0025】
さらに、前述の放射線硬化型導電性インキと本発明の導電性インキを用いた導電基板の製造方法に用いる放射線は、紫外線、可視光線、電子線のうちのいずれか、或いは1つ以上を組み合わせた放射線とする。
【0026】
前述の放射線硬化型導電性インキと放射線硬化型導電性インキを用いた導電基板の製造方法の構成部材における導電粉は、銀または銅、アルミニウムを含み、その内容は次のうちのいずれか、または次の3つの実施例のうちの1つ以上の組み合わせとする。
(a)被覆層で覆う前の導電粉の銀成分重量が、被覆層なしの導電粉の重量の90%以下である。
(b)被覆層で覆う前の導電粉の銅成分重量が、被覆層なしの導電粉の重量の30%以上である。
(c)被覆層で覆う前の導電粉のアルミニウム成分重量が、被覆層なしの導電粉の重量の30%以上である。
【0027】
前述の被覆層で覆ってなる導電粉体は、そのうちの導電粉体の平均サイズが40ミクロン以下であるものとする。
【0028】
前記導電粉体は、感光性結合剤と混合される。この感光性結合剤は反応性環化モノマーや反応性環化オリゴマー等の重合を実施可能な少なくとも1つの反応性環化有機化合物を含み、さらに前記感光性結合剤は390−800mm波長帯の可視光線を吸収することができる少なくとも1つの光開始剤を含み、そのうち、この光開始剤の重量は前記放射線硬化型導電性インキの総重量の20%以下であるものとする。前記光開始剤は、TPO(ジフェニル―(2.4.6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、CAS No.75980−60−8)、チバ・イルガキュア−819(Bis(2.4.6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド)、ITX(イソプロピルチオキサントン、CAS No.5495−84−1及び83846−86−0)、CPTX(1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン 1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン 1−クロロ−4−Hs プロポキシ−9S−チオキサンテン−9−オン CAS No.142770−42−1)、EPD(エチル4−(ジメチルアミノ)安息香酸エチルp−(ジメチルアミノ)安息香酸、CAS No.10287−53−3)等とすることができ、硬化効率を向上する。
【0029】
本発明の放射線硬化型導電性インキの別の実施例においては、本発明の放射線硬化型導電性インキは放射線の照射によって化学架橋反応を起こすものであり、そのうち、前記導電性インキは少なくとも次の部材を含む。
(a)金属性導電粉であって、かつ平均サイズが40ミクロン以下である導電粉。
(b)温度25℃の条件下で粘度が5000cps以下であり、反応性環化モノマーや反応性環化オリゴマー等の重合を実施可能な少なくとも1つの反応性環化有機化合物を含み、放射線を照射することにより化学架橋反応が得られる感光性結合剤。
【0030】
本発明の導電基板材料の迅速な製造手順において、本発明の放射線硬化型導電性インキは、主に導電粉と感光性結合剤を含んで成る。製造方法は次の手順を含む。
(1)金属性導電粉をつくる。
(2)前記(1)の金属性導電粉と感光性結合剤を混合して放射線硬化型導電性インキを得る。
(3)前記(2)で得た放射線硬化型導電性インキをスクリーン印刷法で基板表面上にプリントする。
(4)基板表面上にプリントされた放射線硬化型導電性インキに放射線を照射し、前記放射線硬化型導電性インキに化学架橋反応を起こさせ、導電基板を形成する。
【0031】
前述の方法を用いた本発明の導電基板材料は、少なくとも無線自動識別(RFID)アンテナ、プリント配線板、スマートカード誘導部材、スマートラベル、プリントエレクトロニクス、耐EMI(電磁干渉)及び耐静電材料などの範囲に応用することができる。
【0032】
また、上記手順(3)では、スクリーン印刷を用いて放射線硬化型導電性インキを基板上に印刷するが、印刷されるラインは少なくとも網状、格子状、蜂の巣状とすることができ、前述の線形の隙間に放射線を照射することができるため、照射範囲を増加して硬化効率を向上し、十分な厚みを得ることができる。
【0033】
さらに、前述の放射線硬化型導電性インキと本発明の導電性インキを用いた導電基板の製造方法に用いる放射線は、紫外線、可視光線、電子線のうちのいずれか、或いは1つ以上を組み合わせた放射線とする。
【0034】
前記感光性結合剤は、390−800mm波長帯の可視光線を吸収することができる少なくとも1つの光開始剤を含み、そのうち、この光開始剤の重量は前記放射線硬化型導電性インキの総重量の20%以下であるものとする。前記光開始剤は、TPO(ジフェニル―(2.4.6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、CAS No.75980−60−8)、チバ・イルガキュア−819(Bis(2.4.6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド)、ITX(イソプロピルチオキサントン、CAS No.5495−84−1及び83846−86−0)、CPTX(1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン 1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン 1−クロロ−4−Hs プロポキシ−9S−チオキサンテン−9−オン CAS No.142770−42−1)、EPD(エチル4−(ジメチルアミノ)安息香酸エチルp−(ジメチルアミノ)安息香酸、CAS No.10287−53−3)等とすることができ、硬化効率を向上する。
【0035】
前述の放射線硬化型導電性インキ及び本発明の導電性インキを用いた導電材料の製造方法の構成要素は、さらに総重量の10%以下の揮発性有機化合物、沈降防止剤、または総重量の15%以下の有機分散剤を含むことができる。前記沈降防止剤はケイ酸塩、有機分散剤は界面活性剤とし、前記導電粉の分散性を向上し、沈降を防止または抑制することができ、放射線硬化を経た後の導電性インキの導電性及び導電安定性を向上する。
【0036】
前述の放射線硬化型導電性インキ及び本発明の導電性インキを用いた導電材料の製造方法の構成要素は、さらに少なくとも1つのカップリング剤を含むことができ、このカップリング剤の重量は、導電性インキの総重量の25%以下とし、これにより放射線照射による架橋反応を経た後の導電性インキの材料性質を向上し、導電安定性と無機材料(導電粉、ガラス、セラミック等)との結合強度を向上することができる。
【0037】
前述の放射線硬化型導電性インキ及び本発明の導電性インキを用いた導電材料の製造方法の構成要素は、さらに酸化防止剤または金属腐食防止剤を含むことができ、その重量は総重量の5%以下とし、特に、高温硬質または腐食環境に置かれたときの導電性インキの耐熱性、耐久性、導電安定性を向上することができる。
【0038】
前述の放射線硬化型導電性インキ及び本発明の導電性インキを用いた導電材料の製造方法の構成要素は、さらに15ppm−5000ppmの重合防止剤を含むことができる。この重合防止剤はMEHQ(モノメチルエーテルヒドロキノン)またはHQ(ヒドロキノン)のいずれかとすることができ、保存安定性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】従来の無線自動識別システムのスマートカードへの適用を示す模式図である。
【図2】従来のスマートカード内に設置された無線自動識別システム部材を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
10 スマートカード
11 チップ
12 積層アンテナ
13 積層基板
20 読取機
21 アンテナ
22 マイクロプロセッサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線硬化型導電性インキであって、そのうち、導電粉の表面を被覆層で覆ってなる導電粉体と、放射線を照射することにより化学架橋反応が得られる感光性結合剤とを含み、
(a)前記導電粉の銀成分重量が、該導電粉の重量の90%以下であり、
(b)前記被覆層の銀成分重量が前記被覆層の重量の30%以上であり、かつ前記被覆層の重量が前記導電粉及び前記被覆層の総重量の80%以下であり、
(c)前記導電粉体の平均サイズが40ミクロン以下であり、
(d)前記感光性結合剤は、温度25℃の条件下で粘度が5000cps以下であり、かつ、重合を実施可能な少なくとも1つの反応性環化有機化合物を含んでいる、
ことを特徴とする放射線硬化型導電性インキ。
【請求項2】
放射線硬化型導電性インキであって、そのうち、導電粉の表面を被覆層で覆ってなる導電粉体と、放射線を照射することにより化学架橋反応が得られる感光性結合剤とを含み、
(a)前記導電粉の銅成分重量が、該導電粉の重量の30%以上であり、
(b)前記被覆層の銀成分重量が前記被覆層の重量の30%以上であり、かつ前記被覆層の重量が前記導電粉及び前記被覆層の総重量の80%以下であり、
(c)前記導電粉体の平均サイズが40ミクロン以下であり、
(d)前記感光性結合剤は、温度25℃の条件下で粘度が5000cps以下であり、かつ、重合を実施可能な少なくとも1つの反応性環化有機化合物を含んでいる、
ことを特徴とする放射線硬化型導電性インキ。
【請求項3】
放射線硬化型導電性インキであって、そのうち、導電粉の表面を被覆層で覆ってなる導電粉体と、放射線を照射することにより化学架橋反応が得られる感光性結合剤とを含み、
(a)前記導電粉のアルミニウム成分重量が、該導電粉の重量の30%以上であり、かつ平均サイズが40ミクロン以下であり、
(b)前記被覆層の銀成分重量が前記被覆層の重量の30%以上であり、かつ前記被覆層の重量が前記導電粉及び前記被覆層の総重量の80%以下であり、
(c)前記導電粉体の平均サイズが40ミクロン以下であり、
(d)前記感光性結合剤は、温度25℃の条件下で粘度が5000cps以下であり、かつ、重合を実施可能な少なくとも1つの反応性環化有機化合物を含んでいる、
ことを特徴とする放射線硬化型導電性インキ。
【請求項4】
放射線硬化型導電性インキであって、そのうち、少なくとも
(a)金属性導電粉であって、かつ平均サイズが40ミクロン以下である導電粉と、
(b)温度25℃の条件下で粘度が5000cps以下であり、かつ、重合を実施可能な少なくとも1つの反応性環化有機化合物を含み、放射線を照射することにより化学架橋反応が得られる感光性結合剤と、
を含むことを特徴とする放射線硬化型導電性インキ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のうちのいずれか1つに記載の放射線硬化型導電性インキであって、前記感光性結合剤が少なくとも1つの光開始剤を含み、前記光開始剤が可視光線を吸収することができるもので、前記光開始剤の重量が前記放射線硬化型導電性インキの総重量の20%以下であることを特徴とする放射線硬化型導電性インキ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のうちのいずれか1つに記載の放射線硬化型導電性インキであって、前記放射線硬化型導電性インキが、さらに少なくとも1つのカップリング剤を含み、前記カップリング剤の重量が前記放射線硬化型導電性インキの総重量の25%以下であることを特徴とする放射線硬化型導電性インキ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のうちのいずれか1つに記載の放射線硬化型導電性インキを用いた導電基板の製造方法であって、
(a)前記放射線硬化型導電性インキを基板表面にスクリーン印刷法で印刷する。
(b)前記放射線硬化型導電性インキに放射線を照射し、前記放射線硬化型導電性インキに化学架橋反応を起こさせ、導電基板を形成する。
という手順を含む、放射線硬化型導電性インキを用いた導電基板の製造方法。
【請求項8】
照射に使用される前記放射線が、紫外線、可視光線及び電子線のうちより選ばれた少なくとも1つ以上を組合せた放射線である請求項7に記載の放射線硬化型導電性インキを用いた導電基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−197641(P2007−197641A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−21116(P2006−21116)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(504020577)
【Fターム(参考)】