説明

放送受信装置およびそれを備えたテレビ

【課題】 ユーザのニーズに応じて、チャンネル選択時の受信方向決定の処理を複数の動作モードで実行できる放送受信装置およびそれを備えたテレビを提供する。
【解決手段】 ユーザがチャンネルを選択した場合に、制御部10は、予め設定された自動または手動モードに応じて、選択されたチャンネルに対応する受信方向を検索候補の中から決定する。また、検索候補には、予め全受信方向または格納された受信方向のいずれかを設定できる。自動モードでは、制御部10は、検索候補の中から受信方向を順次選択し、受信可能な受信方向を決定する。手動モードでは、ユーザは、表示画面を確認しながら受信方向を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は放送受信装置およびそれを備えたテレビに関し、特に指向性の切換えが可能なアンテナを使用する放送受信装置およびそれを備えたテレビに関するものである。
【背景技術】
【0002】
テレビ放送には、VHF(Very High Frequency)およびUHF(Ultra High Frequency)の周波数帯域が割当てられている。一般的に、テレビ放送の信号受信には八木アンテナが用いられる。
【0003】
八木アンテナは、反射器、放射器および導波器で構成されており、反射器の働きにより導波器側へ強い指向性を有し、利得も大きいといった長所がある。
【0004】
良好な受信ができるように、八木アンテナは、その指向性が放送局の方向と一致するように設置される。一般的に、アンテナは家屋の屋根等に固定して設置されるので、一旦設置されてしまうと、その指向性を変更することは容易ではない。
【0005】
そのため、複数の放送局が分散して存在している場合には、その指向性に応じた特定の方向にある放送局の放送信号しか受信できなかった。
【0006】
そこで、指向性を複数種類に切換えて、分散して存在する各放送局からの電波を受信できるスマートアンテナが考案されている。
【0007】
このスマートアンテナは、複数のアンテナ素子で構成され、各アンテナ素子を適当な振幅および位相により励振することで指向性を切換えることができる。
【0008】
したがって、上述のスマートアンテナを用いることで、放送局が分散して存在している場合でも各放送局からの電波が受信可能となる。
【0009】
特許文献1には、複数の八木アンテナに対して位相差給電を行うことで、指向性を変更できるアンテナが示されている。
【0010】
また、特許文献2には、リモコンによるチャンネル選択によって、当該チャンネルに対応するようにアンテナの指向性を調整するアンテナ切換器が示されている。
【特許文献1】特開平11−330840号公報
【特許文献2】特開2001−168627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
放送受信装置は、ユーザフレンドリーの観点からテレビ放送に割当てられているチャンネル群の中から、実際に視聴可能なチャンネルを検索して自動割付を行う、いわゆるオートスキャン機能を備えている。
【0012】
スマートアンテナを用いた放送受信装置においては、オートスキャン時にチャンネルの他に受信方向についても検索が行われ、受信可能なチャンネルとそのチャンネルに対応する受信方向が取得されるが、記憶領域を最小化する目的から、チャンネルのみが記憶領域に格納される。
【0013】
そのため、チャンネル選択時にそのチャンネルに対応する受信方向を決定する必要がある。
【0014】
ユーザフレンドリーの観点からは、自動的に受信可能な受信方向を検索して決定する機能を備える放送受信装置が望まれる。
【0015】
一方、放送受信装置が受信可否を判断するためには、受信された放送信号を信号処理して判断する必要があり、ユーザが表示される映像を見て瞬時に判断する場合と比べて時間を要する。そのため、受信方向決定の迅速化の観点からは、ユーザが受信方向を選択し、表示される映像を見て所望の受信方向を決定できる機能を備える放送受信装置が望まれる。
【0016】
また、最適な受信方向を決定する観点からは、スマートアンテナの全受信方向の中から受信方向を決定することが望まれる。
【0017】
一方、スマートアンテナの受信方向が増加すると、受信方向決定までの時間がかかるようになる。そのため、受信方向決定の迅速化の観点からは、可能性のある受信方向候補の中から受信方向を決定することが望まれる。
【0018】
このようなさまざまなニーズに応じて受信方向決定の機能を切換えられる放送受信装置はこれまで存在しなかった。
【0019】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ユーザのニーズに応じて、チャンネル選択時の受信方向決定の処理を複数の動作モードで実行できる放送受信装置およびそれを備えたテレビを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この発明によれば、指向性を切換えることにより放送信号の受信可能方向を変更できる受信アンテナに対して、選択した受信方向の指令信号を出力する指令手段と、受信アンテナを介して受信する複数のチャンネルを含む放送信号の中から、選択したチャンネルに対応する放送信号を抽出する選局手段と、選局手段から受けたテレビ放送信号を信号処理する処理手段と、情報を表示するための信号を生成する表示信号生成手段と、ユーザからの指令を受付ける入力手段と、制御手段とを備える放送受信装置である。制御手段は、記憶手段と、テレビ放送に割当てられる複数のチャンネルの中から視聴可能なチャンネルおよび受信方向を取得する取得手段と、選択されたチャンネルに対して、受信方向候補の中から受信方向を検索して決定する自動決定手段と、選択されたチャンネルに対して、ユーザからの指令に応じて受信方向候補の中から受信方向を選択して決定する手動決定手段と、ユーザからの指令に応じて、チャンネル選択時に自動決定手段における処理または手動決定手段における処理のいずれを実行させるかを選択する第1のモード選択手段と、ユーザからの指令に応じて、受信アンテナの受信方向または取得手段において取得された受信可能な受信方向のいずれを受信方向候補とするかを選択する第2のモード選択手段と、第1および第2のモード選択手段におけるそれぞれの選択状況を表示する第1の表示手段とを含む。取得手段は、テレビ放送に割当てられる複数のチャンネルの中から1つのチャンネルを順次選択するチャンネル選択手段と、チャンネル選択手段における選択チャンネルに対して、受信アンテナの受信方向の中から受信方向を順次選択する第1の方向選択手段と、第1の方向選択手段における選択受信方向に対して、放送信号を受信できたか否かを処理手段から受けた情報に基づいて判定する第1の判定手段と、第1の判定手段において放送信号を受信可能と判定されたチャンネルおよび受信方向を記憶手段に格納する格納手段と、チャンネル選択手段においてすべてのチャンネルを選択するまで、第1の方向選択手段、第1の判定手段および格納手段における各処理を繰返し実行させる検索手段とを含む。自動決定手段は、第2のモード選択手段において選択された受信方向候補の中から受信方向を順次選択する第2の方向選択手段と、第2の方向選択手段における選択受信方向に対して、放送信号を受信できたか否かを処理手段から受けた情報に基づいて判定する第2の判定手段と、第2の判定手段において放送信号を受信可能と判定された受信方向を選択チャンネルに対する受信方向と決定する第1の決定手段とを含む。手動決定手段は、第2のモード選択手段において選択された受信方向候補の中からユーザからの指令に応じて受信方向を選択する第3の方向選択手段と、第3の方向選択手段における選択受信方向を表示する第2の表示手段と、第3の方向選択手段においてユーザが所望する受信方向を選択チャンネルに対する受信方向と決定する第2の決定手段とを含む。
【0021】
また、この発明によれば、指向性を切換えることにより放送信号の受信可能方向を変更できる受信アンテナに対して、選択した受信方向の指令信号を出力する指令手段と、受信アンテナを介して受信する複数のチャンネルを含む放送信号の中から、選択したチャンネルに対応する放送信号を抽出する選局手段と、選局手段から受けた放送信号を信号処理する処理手段と、外部からの指令に応じて設定された動作モードに従って、選択されたチャンネルに対する受信方向を決定する制御手段とを備える放送受信装置である。制御手段は、選択されたチャンネルに対して、受信方向候補の中から受信方向を順次選択し、処理手段から受けた情報に基づいて受信できたか否かを判断し、受信可能な受信方向を決定する第1の手段と、選択されたチャンネルに対して、外部からの選択指令に応じて受信方向候補の中から受信方向を選択し、外部からの決定指令に応じて受信方向を決定する第2の手段と、外部からの指令に応じて、チャンネル選択時に第1の手段における処理または第2の手段における処理のいずれを実行させるかを選択する第3の手段と、外部からの指令に応じて、受信アンテナの受信方向またはあらかじめ取得された受信方向のいずれを受信方向候補とするかを選択する第4の手段とを含む。
【0022】
好ましくは、制御手段は、第3および第4の手段におけるそれぞれの選択状況を表示する信号を生成する手段をさらに含む。
【0023】
好ましくは、制御手段は、第2の手段において選択される受信方向を表示する信号を生成する手段をさらに含む。
【0024】
好ましくは、放送に割当てられる複数のチャンネルの中からあらかじめ視聴可能なチャンネルおよび受信方向を取得して記憶領域に格納する手段をさらに備える。
【0025】
また、この発明によれば、上述の放送受信装置を備えたテレビである。
【発明の効果】
【0026】
この発明によれば、ユーザは、煩わしい受信方向決定操作が不要なモードと、ユーザ自身の操作により短時間で受信方向を決定できるモードのいずれかを選択できるため、ニーズに合わせて受信方向が決定できる。
【0027】
また、この発明によれば、最適な受信方向を決定できるように全受信方向を候補とするモードと、短時間で受信方向を決定できるように受信可能となった受信方向を候補とするモードのいずれかを選択できるため、ニーズに合わせて受信方向が決定できる。
【0028】
また、この発明によれば、画面上で確認しながら動作モードの設定を行えるため、ユーザは容易に操作ができる。
【0029】
また、この発明によれば、ユーザ自身の操作により受信方向を決定する場合に、画面上で確認しながら受信方向の選択を行えるため、ユーザは容易に操作ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0031】
この発明の実施の形態においては、チャンネルが選択された場合に、ユーザにより選択された動作モードに応じて受信方向を決定するデジタルテレビ放送の放送受信装置について説明する。
【0032】
チャンネル選択時における受信方向決定モードとして、受信可能な受信方向を自動的に検索して決定する「自動決定モード」、またはユーザが自身の選択により受信方向を決定する「手動決定モード」が選択される。
【0033】
さらに、上述の「自動決定モード」および「手動決定モード」のいずれにおいても、受信方向候補の中から受信方向が決定される。
【0034】
ユーザは、スマートアンテナの全受信方向を受信方向候補とする「全方向モード」、またはオートスキャンで取得された受信方向を受信方向候補とする「取得方向モード」を選択できる。
【0035】
したがって、上述した2つのモードの組合せにより、ユーザは合計4つの動作モードを選択できる。
【0036】
図1は、この発明の実施の形態に従う放送受信装置の概略構成図である。
【0037】
図1を参照して、この発明の実施の形態に従う放送受信装置1は、スマートアンテナ30から放送信号を受信し、スマートアンテナ30に対して受信方向切換信号を出力する。また、放送受信装置1は、テレビ40に対して映像信号および音声信号を出力する。さらに、放送受信装置1は、リモコン42から指令信号を受信する。
【0038】
スマートアンテナ30は、放送受信装置1から受信方向切換信号を受けて、各アンテナ素子に対する励振を変化させて指向性を切換える。
【0039】
テレビ40およびリモコン42は、周知であるので詳細な説明は省略する。
【0040】
放送受信装置1は、制御部10と、チューナ16と、デジタルデコーダ18と、OSD(On Screen Display)20と、MPEGデコーダ22と、受信方向切換部24と、リモコン受信部26とからなる。
【0041】
制御部10は、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)10aと、実行されるプログラム、プログラム実行中のデータ、およびプログラム実行結果のデータを記憶するメモリ10bとからなる。
【0042】
チューナ16は、受信した放送信号の中から、制御部10からの指令に応じて選択されたチャンネルに対応する放送信号を抽出して、デジタルデコーダ18へ出力する。
【0043】
デジタルデコーダ18は、チューナ16から放送信号を受けて、映像および音声の信号であるMPEG信号に復号し、そのMPEG信号をMPEGデコーダ22へ出力する。
【0044】
ここで、デジタルテレビ放送信号は、リード・ソロモン符号および畳み込み符号で符号化されて送信される。そのため、デジタルデコーダ18は、上述の復号処理において誤り訂正ができる。この誤り訂正の処理過程において、デジタルデコーダ18は、受信した放送信号の受信データ誤り率を演算し、その受信データ誤り率を制御部10へ出力する。このとき、デジタルデコーダ18は、受信した放送信号に含まれる所定のデータ数毎に誤り訂正を行うので、受信開始から1フレーム(1/30秒)以内で受信データ誤り率の演算ができる。
【0045】
なお、デジタルテレビ放送には、日本のISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting for Terrestrial)方式の他に、米国のATSC(Advanced Television Systems Committee)方式およびヨーロッパのDVB−T(Digital Video Broadcasting for Terrestrial)がある。いずれの方式においても、放送信号は符号化されて送信されるため、誤り訂正が可能であり、その処理過程において受信データ誤り率が演算できる。したがって、この発明の実施の形態におけるデジタルデコーダ18は、上述のいずれの方式を用いてもよい。
【0046】
OSD20は、制御部10からの指令に応じて、テレビ40の画面上に情報を表示するための信号を生成して、MPEGデコーダ22へ出力する。
【0047】
MPEGデコーダ22は、デジタルデコーダ18から受けたMPEG信号とOSD20が生成した信号とを合成した後、映像信号および音声信号に復号してテレビ40へ出力する。
【0048】
受信方向切換部24は、制御部10からの指令に応じて、受信方向切換信号をスマートアンテナ30へ出力する。
【0049】
リモコン受信部26は、リモコン42からの指令を受信して制御部10へ出力する。ユーザは、所望の動作を行わせるためリモコン42を用いて、指令を送信する。
【0050】
実施の形態では、スマートアンテナ30は、指向性を切換えることにより水平面に対して16分割された各方向に受信方向を変更できるとして説明する。
【0051】
図2は、この発明の実施の形態に従うスマートアンテナ30の受信方向切換図である。簡単化のため、図2に示すように時計回りに1,2,・・・,16と各受信方向に番号付けを行う。
【0052】
まず、オートスキャンを実行して、放送に割当てられているチャンネルの中から視聴可能なチャンネルおよび受信方向を取得する処理について説明する。
【0053】
図3は、この発明の実施の形態に従うオートスキャンを実行するプログラムのフローチャートである。
【0054】
図3を参照して、制御部10は、テレビ放送に割当てられているチャンネルの中から先頭のチャンネルを選択する(ステップS10)。
【0055】
次に、制御部10は、先頭の受信方向を選択する(ステップS12)。すなわち、制御部10は、図2に示す受信方向「1」を選択する。
【0056】
受信方向切換部24は、受信方向「1」への切換信号をスマートアンテナ30へ出力する。スマートアンテナ30は、受信方向切換部24から受信方向切換信号を受けて、各アンテナ素子に対する励振を変化させて指向性を切換える。
【0057】
また、チューナ16は、スマートアンテナ30から受信した放送信号の中から、制御部10からの指令に応じて選択された先頭のチャンネルに対応する放送信号を抽出して、デジタルデコーダ18へ出力する。デジタルデコーダ18は、チューナ16から放送信号を受けて、MPEG信号に復号する。また、デジタルデコーダ18は、受信データ誤り率の演算を行い、その受信データ誤り率を制御部10へ出力する。
【0058】
制御部10は、受信可否を判断するため、受信データ誤り率が規定値以下か否かを判断する(ステップS14)。実施の形態においては、一例として規定値を10%として、受信データ誤り率が10%以下であれば、受信可能と判断する。
【0059】
受信データ誤り率が規定値を超えている場合(ステップS14においてNOの場合)には、制御部10は、最後の受信方向が選択されているか否かを判断する(ステップS16)。すなわち、制御部10は、図2に示す受信方向「16」を選択しているか否かを判断する。
【0060】
最後の受信方向が選択されていない場合(ステップS16においてNOの場合)には、制御部10は、次の受信方向を選択する(ステップS18)。
【0061】
以下、上述したステップS14,S16,S18を、ステップS14において受信データ誤り率が規定値以下となるか、またはステップS16において最後の受信方向が選択されるまで繰返す。
【0062】
受信データ誤り率が規定値以下の場合(ステップS14においてYESの場合)には、制御部10は、受信可能と判断して、選択しているチャンネル番号を格納(ステップS20)する。さらに、制御部10は、選択している受信方向番号を格納する(ステップS22)。
【0063】
ここで、チャンネル番号と受信方向番号は対応付けて格納される必要はなく、チャンネル格納領域と受信方向格納領域を独立させて設ける。このようにそれぞれを独立されることにより、受信方向格納領域がチャンネル格納領域に比例して増大することを避け、記憶領域の最小化が図られる。
【0064】
受信方向番号が格納(ステップS22)され、または最後の受信方向が選択された場合(ステップS16においてYESの場合)には、制御部10は、最後のチャンネルが選択されているか否かを判断する(ステップS24)。
【0065】
最後のチャンネルが選択されていない場合(ステップS24においてNOの場合)には、制御部10は、次のチャンネルを選択する(ステップS26)。
【0066】
以下、上述したステップS12,S14,S16,S18,S20,S22,S24,S26を、ステップS24において最後のチャンネルが選択されるまで繰返す。
【0067】
以上の処理により、放送に割当てられているチャンネルの中から視聴可能なチャンネルが取得され、自動割付けがなされる。また、放送信号を受信可能な受信方向が取得される。
【0068】
次に、ユーザが所望する動作モードとなるように設定を行う処理について説明する。
【0069】
図4は、この発明の実施の形態に従う動作モード設定表示画面の一例である。
【0070】
図4(a)は、ユーザからの動作モード設定開始の指令を受けた場合の表示画面の一例である。
【0071】
図4(b)は、「手動決定モード」を選択した場合の表示画面の一例である。
【0072】
なお、ユーザフレンドリーの観点から、図4に示す表示画面においては、「自動決定モード」と「手動決定モード」を『自動方向検索ON』と『自動方向検索OFF』に対応させ、「取得方向モード」と「全方向モード」を『おすすめ方向設定ON』と『おすすめ方向設定OFF』に対応させている。
【0073】
まず、ユーザは、リモコン42を用いて動作モード設定開始の指令を送信する。すると、リモコン受信部26がリモコン42からの指令を受信して制御部10へ出力する。
【0074】
制御部10は、リモコン受信部26からの指令を受信して、格納している動作モードの設定を読出し、所定の画面を表示するようにOSD20に指令を送信する。OSD20は、所定の画面を表示するための信号を生成する。MPEGデコーダ22は、OSD20の作成した信号とデジタルデコーダ18からの信号とを合成してテレビ40へ出力する。
【0075】
すると、図4(a)に示すような設定変更の表示が、テレビ40の画面上に表示される。
【0076】
次に、ユーザが「手動決定モード」に変更する場合を説明する。
【0077】
ユーザは、リモコン42を用いて、『自動方向検索ON/OFF』の項目を選択して『OFF』の変更指令を送信する。すると、上述の動作と同様にして、図4(b)に示すような『自動方向検索ON/OFF』が『OFF』となった画面が、テレビ40の画面上に表示される。
【0078】
さらに、所望の設定となった後に、ユーザは、リモコン42を用いて決定指令を送信する。すると、リモコン受信部26がリモコン42からの指令を受信して制御部10へ出力する。
【0079】
制御部10は、選択されている動作モードを格納し、画面の表示を終了するようにOSD20に指令を送信する。
【0080】
以上のように、ユーザは、表示画面で設定内容を確認しながら、所望の動作モードを設定できる。
【0081】
図5は、この発明の実施の形態に従う動作モードの設定を受付けるプログラムのフローチャートである。
【0082】
図5を参照して、制御部10は、記憶領域から設定内容を読出す(ステップS40)。
【0083】
制御部10は、「自動/手動決定モード」について変更を受付けたか否かを判断する(ステップS42)。
【0084】
「自動/手動決定モード」についての変更を受付けた場合(ステップS42においてYESの場合)には、制御部10は、「自動/手動決定モード」の設定を変更する(ステップS44)。
【0085】
「自動/手動決定モード」の設定が変更(ステップS44)され、または「自動/手動決定モード」についての変更を受付けなかった場合(ステップS42においてNOの場合)には、制御部10は、「全/取得方向モード」について変更を受付けたか否かを判断する(ステップS46)。
【0086】
「全/取得方向モード」についての変更を受付けた場合(ステップS46においてYESの場合)には、制御部10は、「全/取得方向モード」の設定を変更する(ステップS48)。
【0087】
「全/取得方向モード」の設定が変更(ステップS48)され、または「全/取得方向モード」についての変更を受付けなかった場合(ステップS46においてNOの場合)には、制御部10は、決定指令を受付けたか否かを判断する(ステップS50)。
【0088】
以下、上述したステップS42,S44,S46,S48,S50を、ステップS50において決定指令を受付けるまで繰返す。
【0089】
決定指令を受付けた場合(ステップS50においてYESの場合)には、制御部10は、記憶領域に設定内容を格納する(ステップS52)。
【0090】
以上の処理により、ユーザの所望する動作モードが設定される。
【0091】
最後に、ユーザがチャンネルを選択した時の受信方向の決定処理について説明する。
【0092】
ユーザが上述のオートスキャンにより取得した視聴可能なチャンネルの中からチャンネルを選択すると、上述の動作モードに応じて、チャンネルに対応する受信方向が決定される。
【0093】
「自動決定モード」が選択されている場合には、制御部10が受信可能な受信方向を検索して決定する。
【0094】
図6は、この発明の実施の形態に従う「手動決定モード」における画面表示の一例である。
【0095】
「手動決定モード」が選択されている場合には、図6に示すようにテレビ40の画面上に選択受信方向表示100が表示される。
【0096】
ユーザはリモコン42を用いて受信方向選択指令を送信して受信方向を切換えていく。さらに、ユーザの所望する受信方向となったときに、ユーザはリモコン42を用いて受信方向決定指令を送信して、受信方向が決定される。
【0097】
図7は、この発明の実施の形態に従う受信方向を決定するプログラムのフローチャートである。
【0098】
図7を参照して、制御部10は、ユーザからの指令に応じてチャンネルを選択する(ステップS60)。
【0099】
制御部10は、「自動決定モード」が選択されているか否かを判断する(ステップS62)。
【0100】
「自動決定モード」が選択されている場合(ステップS62においてYESの場合)には、制御部10は、「取得方向モード」が選択されているか否かを判断する(ステップS64)。
【0101】
「取得方向モード」が選択されている場合(ステップS64においてYESの場合)には、制御部10は、オートスキャンで取得した受信方向番号を読出して受信方向候補を作成する(ステップS66)。
【0102】
「全方向モード」が選択されている場合(ステップS64においてNOの場合)には、制御部10は、スマートアンテナの全受信方向からなる受信方向候補を作成する(ステップS68)。
【0103】
次に、制御部10は、作成した受信方向候補の先頭の受信方向を選択する(ステップS70)。
【0104】
受信方向切換部24は、制御部10からの指令に応じて、受信方向切換信号をスマートアンテナ30へ出力する。スマートアンテナ30は、受信方向切換部24から受信方向切換信号を受けて、各アンテナ素子に対する励振を変化させて指向性を切換える。
【0105】
デジタルデコーダ18は、チューナ16から放送信号を受けて、MPEG信号に復号する。また、デジタルデコーダ18は、受信データ誤り率の演算を行い、その受信データ誤り率を制御部10へ出力する。
【0106】
制御部10は、受信可否を判断するため、受信データ誤り率が規定値以下か否かを判断する(ステップS72)。
【0107】
受信データ誤り率が規定値を超えている場合(ステップS72においてNOの場合)には、制御部10は、受信方向候補の最後の受信方向が選択されているか否かを判断する(ステップS74)。
【0108】
受信方向候補の最後の受信方向が選択されていない場合(ステップS74においてNOの場合)には、制御部10は、受信方向候補の次の受信方向を選択する(ステップS76)。
【0109】
以下、上述したステップS72,S74,S76を、ステップS72において受信データ誤り率が規定値以下となるか、またはステップS74において受信方向候補の最後の受信方向が選択されるまで繰返す。
【0110】
制御部10は、最終的に選択されている受信方向を選択チャンネルに対する受信方向として決定する(ステップS78)。
【0111】
また、「手動決定モード」が選択されている場合(ステップS62においてNOの場合)には、制御部10は、「取得方向モード」が選択されているか否かを判断する(ステップS80)。
【0112】
「取得方向モード」が選択されている場合(ステップS80においてYESの場合)には、制御部10は、オートスキャンで取得した受信方向番号を読出して受信方向候補を作成する(ステップS82)。
【0113】
「全方向モード」が選択されている場合(ステップS80においてNOの場合)には、制御部10は、スマートアンテナの全受信方向からなる受信方向候補を作成する(ステップS84)。
【0114】
次に、制御部10は、作成した受信方向候補の先頭の受信方向を選択する(ステップS86)。
【0115】
受信方向切換部24は、制御部10からの指令に応じて、受信方向切換信号をスマートアンテナ30へ出力する。スマートアンテナ30は、受信方向切換部24から受信方向切換信号を受けて、各アンテナ素子に対する励振を変化させて指向性を切換える。
【0116】
制御部10は、受信方向選択指令を受付けたか否かを判断する(ステップS88)。
【0117】
受信方向選択指令を受付けた(ステップS88においてYESの場合)場合には、選択指令に応じて、制御部10は、受信方向候補の中から受信方向を選択する(ステップS90)。上述の動作と同様にして、スマートアンテナ30は、指向性を切換える。
【0118】
受信方向が選択(ステップS90)され、または受信方向選択指令を受付けなかった場合(ステップS88においてNOの場合)には、制御部10は、受信方向決定指令を受付けたか否かを判断する(ステップS92)。
【0119】
受信方向の決定指令を受付けなかった場合(ステップS92においてNOの場合)には、制御部10は、受信方向選択指令を受付けたか否かを判断する(ステップS88)。
【0120】
以下、上述したステップS88,S90,S92を、ステップS92において受信方向決定指令を受付けるまで繰返す。
【0121】
受信方向決定指令を受付けた場合(ステップS92においてYESの場合)には、制御部10は、選択されている受信方向を選択チャンネルに対する受信方向として決定する(ステップS94)。
【0122】
以上の処理により、ユーザがチャンネルを選択すると、動作モードに応じて受信方向が決定される。
【0123】
これにより、「自動決定モード」または「手動決定モード」、および「取得方向モード」または「全方向モード」をそれぞれ選択できるため、ユーザのニーズに対応した処理により受信方向を決定できる。
【0124】
また、「取得方向モード」では、事前に受信可能となった受信方向を選択候補とするため効率がよく、短時間で受信方向を決定できる。
【0125】
また、動作モードの選択状態および「手動決定モード」時の選択受信方向が画面上に表示されるため、ユーザは、情報を瞬時に把握でき、容易に操作できる。
【0126】
なお、上述の実施の形態においては、デジタルテレビ放送について説明したが、アナログテレビ放送についてもオートスキャンは可能であり同様に適用できることは言うまでもない。その場合、アナログテレビ放送に含まれる水平同期信号の捕捉の可否等で受信の可否を判断できる。
【0127】
さらに、事前に受信方向候補となる受信方向を取得するためには、オートスキャン機能を用いることに限られず、ユーザが手動で受信可能な受信方向を検索することも可能であり、また、別の受信放送装置により取得された情報を転送等することにより取得してもよい。
【0128】
上述の実施の形態においては、受信方向切換部24は「指令手段」を構成し、チューナ16は「選局手段」を構成し、デジタルデコーダ18は「処理手段」を構成し、OSD22は「表示信号生成手段」を構成し、リモコン受信部26は「入力手段」を構成し、制御部10は「制御手段」を構成する。
【0129】
また、制御部10は「記憶手段」、「取得手段」、「自動決定手段」、「手動決定手段」、「第1のモード選択手段」、「第2のモード選択手段」および「第1の表示手段」を構成する。
【0130】
さらに、制御部10は「チャンネル選択手段」、「第1の方向選択手段」、「第1の判定手段」、「格納手段」、「検索手段」、「第2の方向選択手段」、「第2の判定手段」、「第1の決定手段」、「第3の方向選択手段」、「第2の表示手段」および「第2の決定手段」を構成する。
【0131】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】この発明の実施の形態に従う放送受信装置の概略構成図である。
【図2】この発明の実施の形態に従うスマートアンテナ30の受信方向切換図である。
【図3】この発明の実施の形態に従うオートスキャンを実行するプログラムのフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態に従う動作モード設定表示画面の一例である。
【図5】この発明の実施の形態に従う動作モードの設定を受付けるプログラムのフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態に従う「手動決定モード」における画面表示の一例である。
【図7】この発明の実施の形態に従う受信方向を決定するプログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
【0133】
1 放送受信装置、10 制御部、10a CPU、10b メモリ、16 チューナ、18 デジタルデコーダ、20 OSD、22 MPEGデコーダ、24 受信方向切換部、26 リモコン受信部、30 スマートアンテナ、40 テレビ、42 リモコン、100 選択受信方向表示。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指向性を切換えることにより放送信号の受信可能方向を変更できる受信アンテナに対して、選択した受信方向の指令信号を出力する指令手段と、
前記受信アンテナを介して受信する複数のチャンネルを含む放送信号の中から、選択したチャンネルに対応する放送信号を抽出する選局手段と、
前記選局手段から受けたテレビ放送信号を信号処理する処理手段と、
情報を表示するための信号を生成する表示信号生成手段と、
ユーザからの指令を受付ける入力手段と、
制御手段とを備え、
前記制御手段は、
記憶手段と、
テレビ放送に割当てられる複数のチャンネルの中から視聴可能なチャンネルおよび受信方向を取得する取得手段と、
選択されたチャンネルに対して、受信方向候補の中から受信方向を検索して決定する自動決定手段と、
選択されたチャンネルに対して、ユーザからの指令に応じて前記受信方向候補の中から受信方向を選択して決定する手動決定手段と、
ユーザからの指令に応じて、チャンネル選択時に前記自動決定手段における処理または前記手動決定手段における処理のいずれを実行させるかを選択する第1のモード選択手段と、
ユーザからの指令に応じて、前記受信アンテナの受信方向または前記取得手段において取得された受信可能な受信方向のいずれを前記受信方向候補とするかを選択する第2のモード選択手段と、
前記第1および第2のモード選択手段におけるそれぞれの選択状況を表示する第1の表示手段とを含み、
前記取得手段は、
前記テレビ放送に割当てられる複数のチャンネルの中から1つのチャンネルを順次選択するチャンネル選択手段と、
前記チャンネル選択手段における選択チャンネルに対して、前記受信アンテナの受信方向の中から受信方向を順次選択する第1の方向選択手段と、
前記第1の方向選択手段における選択受信方向に対して、前記放送信号を受信できたか否かを前記処理手段から受けた情報に基づいて判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段において前記放送信号を受信可能と判定されたチャンネルおよび受信方向を前記記憶手段に格納する格納手段と、
前記チャンネル選択手段においてすべてのチャンネルを選択するまで、前記第1の方向選択手段、前記第1の判定手段および前記格納手段における各処理を繰返し実行させる検索手段とを含み、
前記自動決定手段は、
前記第2のモード選択手段において選択された受信方向候補の中から受信方向を順次選択する第2の方向選択手段と、
前記第2の方向選択手段における選択受信方向に対して、前記放送信号を受信できたか否かを前記処理手段から受けた情報に基づいて判定する第2の判定手段と、
前記第2の判定手段において前記放送信号を受信可能と判定された受信方向を前記選択チャンネルに対する受信方向と決定する第1の決定手段とを含み、
前記手動決定手段は、
前記第2のモード選択手段において選択された受信方向候補の中からユーザからの指令に応じて受信方向を選択する第3の方向選択手段と、
前記第3の方向選択手段における選択受信方向を表示する第2の表示手段と、
前記第3の方向選択手段においてユーザが所望する受信方向を前記選択チャンネルに対する受信方向と決定する第2の決定手段とを含む、放送受信装置。
【請求項2】
指向性を切換えることにより放送信号の受信可能方向を変更できる受信アンテナに対して、選択した受信方向の指令信号を出力する指令手段と、
前記受信アンテナを介して受信する複数のチャンネルを含む放送信号の中から、選択したチャンネルに対応する放送信号を抽出する選局手段と、
前記選局手段から受けた放送信号を信号処理する処理手段と、
外部からの指令に応じて設定された動作モードに従って、選択されたチャンネルに対する受信方向を決定する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
選択されたチャンネルに対して、受信方向候補の中から受信方向を順次選択し、前記処理手段から受けた情報に基づいて受信できたか否かを判断し、受信可能な受信方向を決定する第1の手段と、
選択されたチャンネルに対して、外部からの選択指令に応じて前記受信方向候補の中から受信方向を選択し、外部からの決定指令に応じて受信方向を決定する第2の手段と、
外部からの指令に応じて、チャンネル選択時に前記第1の手段における処理または前記第2の手段における処理のいずれを実行させるかを選択する第3の手段と、
外部からの指令に応じて、前記受信アンテナの受信方向またはあらかじめ取得された受信方向のいずれを前記受信方向候補とするかを選択する第4の手段とを含む、放送受信装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第3および第4の手段におけるそれぞれの選択状況を表示する信号を生成する手段をさらに含む、請求項2に記載の放送受信装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第2の手段において選択される受信方向を表示する信号を生成する手段をさらに含む、請求項2または3に記載の放送受信装置。
【請求項5】
放送に割当てられる複数のチャンネルの中からあらかじめ視聴可能なチャンネルおよび受信方向を取得して記憶領域に格納する手段をさらに備える、請求項2〜4のいずれか1項に記載の放送受信装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の放送受信装置を備えたテレビ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−42182(P2006−42182A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−222058(P2004−222058)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】