説明

放送受信装置及び方法

【課題】 受信機がリボークの対象となった場合でも、リボーク実施前に録画したデジタル放送番組を視聴可能とする。
【解決手段】 リボークが実施されてデバイス鍵生成手順が更新される場合に、デバイス鍵生成手順が更新される前に、録画トランスポートストリームを更新前のデバイス鍵を用いて復号し、再度暗号化処理を施して保存手段に保存する。これにより、著作権保護機能を保ちながら、リボーク実施前に録画された番組も視聴可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送を受信し、受信した放送コンテンツを録画・再生する放送受信装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル放送では著作権保護対策が施されることがある。デジタル放送では、送信されるコンテンツにスクランブル処理を施し、視聴契約に基づいた正規の受信機のみをデスクランブル可能とする方式が用いられる。日本では、ICカードを用いた限定受信方式(CAS:Conditional Access System)が採用されている。
【0003】
限定受信方式で重要なことは正規の受信機を特定することと、コンテンツを安全に暗号化して送信し、正規の受信機のみが正常にデスクランブル可能にすることである。ここで、正規の受信機とは著作権保護に違反しない機能と性能を有すると認められ、正規の視聴契約をした受信機を意味する。有料放送の場合などでは、視聴に伴う課金が正常に行われていることも必要である。
【0004】
ICカード内には、カード固有のID番号とコンテンツのデスクランブルに必要なマスター鍵の情報が含まれる。このカード内の情報を用いて、正規の受信機を特定する。コンテンツは、マスター鍵情報を含む3重の鍵で暗号化されている。
【0005】
一方、ICカードを使わない新たな限定受信方式が追加規格化された(非特許文献1参照)。以下この規格を新RMP(Right Management Protection)方式と呼ぶ。地上デジタル放送受信機や携帯型受信端末は新RMP方式に従って設計される可能性がある。
【0006】
新RMP方式の具体的な方法は以下のとおりである。ICカードに代わって、マスター鍵の情報は暗号化されてEMM(Entitlement Managemant Message)に含めて放送波にて送信される。EMMは、トランスポートストリーム(TS)パケットのペイロードに格納されたデータで、受信機の機種別のデバイス鍵とワーク鍵の情報を伝送する。受信機は、機種毎のIDに合致した鍵情報(デバイス鍵)をEMMから抽出する。EMMに含まれるデバイス鍵情報は暗号化されており、特定のデバイス鍵生成手順を適用してデバイス鍵が生成される。デバイス鍵生成手順とは、例えばあるアルゴリズムを実行して鍵を生成するソフトウェア又は所定の処理を施してデバイス鍵を生成するハードウェアを意味する。
コンテンツは3重の鍵で暗号化されており、デスクランブルするにはデバイス鍵とワーク鍵とスクランブル鍵が必要となる。ワーク鍵は、デバイス鍵で暗号化されており、EMMに含まれている。スクランブル鍵は、ワーク鍵で暗号化されており、ECM(Entitlement Control Message)に含まれて、放送波にて伝送される。ECMは、EMM同様、トランスポートストリーム(TS)パケットのペイロードに格納されたデータで、全受信機共通のスクランブル鍵や番組の情報を伝送する。このようにして、正規の受信機ではデバイス鍵を起点として順次、暗号鍵情報を復号することによって、コンテンツが視聴可能となる。
【0007】
デバイス鍵の情報が漏洩し、著作権保護の違反などに悪用された場合、リボークと呼ばれるEMM内の鍵情報を更新して伝送する対応がとられる。リボークにより漏洩したデバイス鍵の情報は使えなくなり、以降のコンテンツに対しては、再び安全に伝送される。但し、デバイス鍵生成手順が漏洩した場合は、EMM内の鍵情報を更新しても、漏洩したデバイス鍵生成手順に従って更新されたデバイス鍵が生成できてしまう。この場合、リボーク対象の機種に対して、漏洩したデバイス鍵生成手順では鍵生成できないようなEMMに更新する。
【0008】
EMMが更新されると、リボーク対象の機種ではその後の放送は視聴不可となる。再び視聴可能とするには、デバイス鍵生成手順をより安全な漏洩困難なものに更新する。例えば、受信装置内に含まれている鍵生成ソフトウェアを更新する方法が適用される(特許文献1参照)。不正な受信機は鍵生成手順を更新できないため、以降のコンテンツに対しては、再び安全に伝送できる。
【0009】
一方、デジタル放送の番組をハードディスクなどの蓄積装置に保存して、繰り返し視聴可能とする装置も実用化されている。デジタル放送では、MPEG(Moving Picture Experts Group)2システムズが採用され、トランスポートストリーム(以下、TS)が使用されている。ビデオ、音声、データ放送用データ、伝送制御情報、受信制御などの各ストリームがTSパケットの伝送単位に分割されて含められており、時分割多重されて伝送される。受信したTSデータを記録メディアに保存する場合、TSデータのまま保存すれば、画質の劣化なく保存できる。
【0010】
またTSデータをデスクランブルする前のTSデータとして保存すれば、そのデータは放送波と同等の著作権保護の性能を持つ。またICカードなどの鍵情報がないというデスクランブルできないような状況においても、デスクランブルしていないTSデータを保存することは可能である。以降、録画TSデータはデスクランブルする前のデータをそのまま保存したものとする。
【0011】
録画番組を再生して視聴する際は、放送波を視聴する場合と同様、録画TSデータをデスクランブルする。その際、録画TSデータに含まれるEMM、ECM内を抽出して、デバイス鍵、ワーク鍵、スクランブル鍵を復号してデスクランブルを行う。
【特許文献1】特開2006−129244号公報
【非特許文献1】電波産業会標準規格「デジタル放送におけるアクセス制御方式」(ARIB STD B−25 Ver5.1)第3部 受信時の制御方式(コンテンツ保護法式)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
新RMP方式において、不正な受信機が発見されデバイス鍵生成手順が更新されると、過去に録画TSデータとして録画したコンテンツが視聴できなくなる。
【0013】
録画TSデータに含まれるEMMから生成されるデバイス鍵は既にリボークされたものであるためである。即ち、従来は、著作権保護機能を不正に破っていない正規の視聴者であるにも関わらず、リボーク以前にTSフォーマットで録画したコンテンツが視聴できなくなる、という問題があった。
【0014】
本発明は、放送受信機がリボーク対象となった場合でも、著作権保護機能を有したまま、リボーク実施前に録画したコンテンツを視聴可能にする放送受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の放送受信装置は、
デジタル放送信号を受信してコンテンツ保護を伴う番組を視聴可能とする放送受信装置であって、
前記コンテンツ保護を伴う番組の番組データを保存する保存手段と、
リボークを検出するリボーク検出手段と、
前記コンテンツ保護を伴う番組の番組データのスクランブルに係るデータを変換する限定受信処理手段と、
前記リボークを検出した場合、前記限定受信処理手段が更新される前に、前記保存手段に保存されたコンテンツ保護を伴う番組の番組データの前記スクランブルに係るデータを変換し、スクランブルに係るデータが変換された番組データを再度前記保存手段に保存するように、前記保存手段及び前記限定受信処理手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、放送受信機がリボーク対象となった後、正規の視聴者がデバイス鍵生成手順を更新しても、著作権保護機能を有したまま、リボーク実施前に録画した番組が視聴可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<実施例1>
図1は本発明の放送受信装置の構成を示すブロック図である。受信アンテナ100で受信されたデジタル放送波はデジタル放送信号として放送受信装置120に入力される。デジタル放送信号より生成された映像データはテレビモニタ106に、音声データはスピーカ111に出力される。テレビモニタ106及びスピーカ111を介して、視聴者はデジタル放送コンテンツを視聴することができる。
【0018】
選局部101は、入力されたデジタル放送信号から所望の番組の番組データを選択する。番組データは、映像データや音声データ、情報データを含む。選択部102では、受信した番組と録画した番組のどちらを視聴するのかを、視聴者の指示により選択する。コンテンツ保護を伴う番組に対しては、受信した番組の番組データである受信データ及び録画した番組の番組データである録画データともにスクランブル処理の施されたトランスポートストリーム形式のTSデータである。TSデータは、スクランブル鍵を用いて、デスクランブル部103にてスクランブル処理が解除される。スクランブルが解かれたTSデータは、デコード部104でデコードされて映像データ及び音声データとして出力される。放送受信装置120は録画機能を持ち、EMM、ECMを含む多重化されたTSデータを録画データとして保存できる。録画する番組は選局部101で選択され、選択された番組に係るTSデータが出力される。TSデータは録画処理部107に送られ、著作権保護制御などの処理が行われる。処理後のTSデータは、例えばハードディスクドライブ(HDD)等の録画データ保存部(保存手段)112に保存される。ここでは、放送受信装置120は、録画機能を内蔵するものとして記述しているが、録画機能は装置外部の外付け機器に備えられてもよい。
【0019】
限定受信処理は、各ブロックからなる限定受信処理部(限定受信処理手段)において実行される。限定受信処理部は、スクランブル鍵復号部109、視聴可否判定部110、EMM抽出部113、ワーク鍵復号部114、ワーク鍵メモリ115、デバイス鍵生成部116、デバイス鍵生成手段更新部118、暗号化部119から構成される。(スクランブル鍵復号部(スクランブル鍵復号手段)109、ワーク鍵復号部(ワーク鍵復号手段)114、デバイス鍵生成部(デバイス鍵生成手段)116、デバイス鍵生成手段更新部(鍵生成手段更新手段)118、暗号化部(暗号化手段)119)。
【0020】
各ブロックはシステム制御部(制御手段)117(マイコン)により制御され、連携して動作する。リボークが実施され、デバイス鍵生成手段を更新する場合は、鍵生成手段更新部118によりデバイス鍵生成部が制御され、更新が実行される。
【0021】
ICカードを持たない新RMP方式においては、デスクランブル時の鍵の元となるデバイス鍵のセキュリティを高めることが重要である。新RMP方式によれば、受信機の機種ごとに固有のデバイスIDとデバイス鍵が割り振られる。デバイス鍵情報は暗号化されて、EMMに含まれおり、EMMは放送波に多重化されている。信号分離部(分離手段)108は、受信データからEMMを分離する。EMMには全受信機の鍵情報が含まれているため、EMM抽出部113において、自らの受信機に必要なデバイス鍵情報を持つEMMのみを抽出する。
【0022】
抽出されたEMMは、デバイス鍵生成部116に入力され、デバイス鍵生成手順の適用によりデバイス鍵が生成される。デバイス鍵生成手順は、ソフトウェアによる処理で実現している場合には、鍵生成アルゴリズムを意味する。
【0023】
デバイス鍵や、鍵生成アルゴリズムが漏洩した場合に、リボークが実施される。EMM、ECMには視聴制御情報が含まれているため、漏洩したデバイス鍵の使用を停止するように、放送事業者側がEMM、ECMの情報を更新する。EMM、ECMの情報が更新されると、漏洩したデバイス鍵又はデバイス鍵生成手順を適用して生成されたデバイス鍵は無効になる。
【0024】
リボークが実施されると、デバイス鍵は受信機の機種毎に共通であるため、漏洩した受信機と同じ機種の他の受信機も同様にデバイス鍵が無効となり、他の受信機を使用している正規の視聴者も番組視聴できなくなる。そのため、リボークが検出されると、鍵生成手段更新部118により、デバイス鍵生成部を更新後EMMに対応するものに更新する。ソフトウェア処理の場合は、該当ソフトウェアを入れ替えて更新することになる。デバイス鍵生成手順をハードウェア処理として実現することも可能である。その場合、生成手順の更新はハードウェアの交換といった方法となる。
リボークの実施は、EMMに含まれるリボーク情報を不図示のリボーク検出部(リボーク検出手段)が分析することにより検出される。
【0025】
デバイス鍵生成手順の更新以降に放送される番組は、正常に視聴可能となる。漏洩した鍵を利用した不正な受信機はデバイス鍵生成手順を更新できないため、更新以降に放送される番組は視聴不可となる。なお、更新された生成手順が、漏洩に対して安全性が改善されているという条件を満たしていることが必要である。
【0026】
一方、デバイス鍵生成手順更新前に録画した番組も再生不可となる。録画TSデータは、更新前のEMM情報を含み、更新後デバイス鍵生成手順に対応していないためである。この影響は、デバイス鍵生成手順を更新した全ての受信機及び録画機に及ぶので、違法な使用をしていないにも関わらず、録画した番組の再生ができない。
【0027】
本実施形態は、リボーク発生を検出した場合に、デバイス鍵更新手順が更新される前に、更新前のデバイス鍵更新手順を用いて録画TSデータをデスクランブルするものである。
【0028】
さらに、デスクランブルされたTSデータを放送受信装置内120で再暗号化して保存しなおすものである。
【0029】
即ち、デスクランブルされたTSデータは、暗号化部119を介して録画処理部107へ戻される。この経路のデータフロー制御は、リボーク発生が検出された場合に、システム制御部117で行われる。
【0030】
図2はリボーク発生後、デバイス鍵生成手順を更新する際の録画TSデータを処理に関するフローチャートである。まずデバイス鍵更新手順の更新が必要であるか否かを判定する(S21)。リボークを検出してデスクランブルが不可能になった場合には更新が必要となる。更新不要であれば、完了する。更新が必要であれば、更新可能なデバイス鍵生成手順が存在するか否かを判定する(S22)。存在しなければ、ステップS28にてエラーを表示して完了する。
【0031】
更新可能なデバイス鍵生成手順が存在すれば、録画データ保存部112内部に保存してあるデスクランブルに必要な録画TSデータが存在するか否かを検出する(S23)。存在していない場合、更新前のデバイス鍵生成手順を必要とするデータがないことを意味し、デバイス鍵生成手順を更新して、完了する(S27)。
【0032】
デスクランブルが必要な録画TSデータが存在していると判定された場合は、ステップS24以下の処理を行う。該当する録画TSデータを更新前のデバイス鍵生成手順を用いてデスクランブルする(S24)。その後、暗号化部119にて、デスクランブルしたTSデータを暗号化して再度保存しなおす(S25)。即ち、著作権保護性能を損なうことなく保存しなおすために、再度暗号化するのである。なお、暗号化部119での暗号化には、例えば受信機固有の暗号鍵を使用することができる。暗号化したTSデータを視聴する際は、暗号鍵をデスクランブル部103に渡して復号を行う。変換元の録画TSデータは不要であるため、削除する(S26)。
【0033】
ステップS24からステップS26までの処理を録画データ保存部112内に含まれる全てのデスクランブルしていない録画TSデータに対して実行する。デスクランブルが必要な録画TSデータがなくなった後、デバイス鍵生成手順を更新する(S27)。
【0034】
以上のようにして、デバイス鍵生成手順更新時に変換した録画TSデータは、更新されたデバイス鍵に依存せず、復号可能となる。またデバイス鍵情報に代わって機器が持つ暗号鍵にて暗号化しており、著作権保護機能は保持されている。
【0035】
本実施の形態では、デコード前のTSデータを再暗号化して保存しなおす構成であるが、TSデータをデコードした後の非圧縮データを再度圧縮、暗号化して保存しなおしてもよい。
【0036】
<実施例2>
図3は本発明の放送受信装置の別の構成を示すブロック図である。
【0037】
以下、第1の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0038】
本実施形態では、図1に示す暗号化部119が削除され、EMM生成部201が追加されている。EMM生成部201では、デスクランブルに必要なデバイス鍵が生成されるように、更新後のデバイス鍵生成手順に対応したEMMに逆変換する機能を持っている。
【0039】
即ち、更新されたデバイス鍵生成手段を用いて更新デバイス鍵を生成する前に、更新されたデバイス鍵生成手段と更新前のデバイス鍵を用いてEMMを逆変換する。録画TSデータのEMMを逆変換された更新EMMに置き換える。録画TSデータ再生時には、更新EMMから更新されたデバイス鍵生成手段を用いて、更新前デバイス鍵、更新前ワーク鍵及び更新前スクランブル鍵を限定受信処理部にて逐次生成することにより、録画TSデータがデスクランブル可能となる。
【0040】
図4に示すように、EMM生成部201は、EMM逆変換手段生成部202と更新EMM逆変換部203により構成される。EMM逆変換とは、EMMからデバイス鍵を生成する処理とは逆に、デバイス鍵からEMMを生成する処理である。EMM逆変換手段生成部202には、リボーク発生後に入手した更新後のデバイス鍵生成手段が入力され、更新EMM逆変換手段を生成する。更新EMM逆変換部203では、更新前のデバイス鍵とEMM逆変換手段を用いて、更新EMMを生成する。更新EMMは、更新後のデバイス鍵生成手段を用いて、録画TSデータ用デバイス鍵を復元することが可能な情報となる。
【0041】
本実施形態では、限定受信処理部は、スクランブル鍵復号部109、視聴可否判定部110、EMM抽出部113、ワーク鍵復号部114、ワーク鍵メモリ115、EMM生成部201、デバイス鍵生成部116、デバイス鍵生成手段更新部118より構成される。
【0042】
放送波の受信及び視聴する際のスクランブル手順は、第1の実施形態と同様である。本実施形態では、デバイス鍵生成手順を更新する際に、EMM生成部(EMM生成手段)201において、録画TSデータのEMMを更新されたデバイス鍵生成手順に対応したものに変更する構成となっている。
【0043】
図5はリボーク発生後、デバイス鍵生成手順を更新する際の録画TSデータの処理に関するフローチャートである。フローの開始からステップS22までは第1の実施形態と同じである。ステップ22で、更新可能なデバイス鍵生成手順が存在しなければ、ステップS28にてエラーを表示して完了する。
【0044】
更新可能なデバイス鍵生成手順が存在すれば、EMM生成部での処理を更新するデバイス鍵生成手順に対応するものに更新する(S41)。この際、EMM逆変換手段生成部202は更新するが、デバイス鍵生成部116内のデバイス鍵生成手順は更新しない。
【0045】
次に録画データ保存部112内部に保存してあるデスクランブルに必要な録画TSデータが存在するか否かを検出する(S42)。存在していない場合、更新前のデバイス鍵生成手順を必要とするデータがないことを意味し、デバイス鍵生成手順を更新して、完了する(S27)。
【0046】
デスクランブルに必要な録画TSデータ存在していると判定された場合、デバイス鍵生成手順更新後にその録画TSデータが再生できなくなるため、再生可能とするようにステップS43以下の処理を行う。録画TSデータのEMMを抽出し、更新前のデバイス鍵生成手順を用いてデバイス鍵を生成しておく(S43)。生成したデバイス鍵から、更新後のデバイス鍵生成手順に対応したEMMを生成する(S44)。変換対象の録画TSデータに含まれるEMMを、ステップS44にて生成した更新EMMに書き換え、再度録画データ保存部112に保存する(S45)。EMMの書き換え処理は録画処理部(EMM書き換え手段)107で実行される。図6に録画TSデータ内のEMMと映像/音声パケットの構成を示す。ステップS44にてEMMを書き換えられた録画TSデータは、更新後のデバイス鍵生成手段を用いてデスクランブル可能なデータとなる。
【0047】
ステップS42からステップS45までの処理を録画データ保存部112内に含まれる全てのデスクランブルしていない録画TSデータに対して実行する。デスクランブルが必要な録画TSデータがなくなった後、デバイス鍵生成手順を更新する(S27)。
【0048】
以上のようにして、デバイス鍵生成手順更新後でも著作権保護機能を有したまま、録画TSデータを再生可能とする。第1の実施形態ではTSデータを再暗号化するのに対して、本実施形態では、EMMを書き換えることにより著作権保護機能を保持している。変換処理としては、EMMの書き換えの方が容易であり、処理時間、構成を簡易化できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施例1に係る放送受信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例1に係る放送受信装置のデバイス鍵生成手順更新時の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施例2に係る放送受信装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施例2に係るEMM生成部の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施例2に係る放送受信装置のデバイス鍵生成手順更新時の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例2に係る録画TSデータの構造を示す説明図である。
【符号の説明】
【0050】
120 放送受信装置
100 受信アンテナ
101 選局部
102 選択部
103 デスクランブル部
104 デコード部
105 表示制御部
106 テレビモニタ
107 録画処理部
108 多重信号分離部
109 スクランブル鍵復号部
110 視聴可否判定部
111 スピーカ
112 録画データ保存部
113 EMM抽出部
114 ワーク鍵復号部
115 ワーク鍵メモリ
116 デバイス鍵生成部
117 システム制御部
118 鍵生成手段更新部
119 暗号化部
201 EMM生成部
202 EMM逆変換手段生成部
203 更新EMM逆変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送信号を受信してコンテンツ保護を伴う番組を視聴可能とする放送受信装置であって、
前記コンテンツ保護を伴う番組の番組データを保存する保存手段と、
リボークを検出するリボーク検出手段と、
前記コンテンツ保護を伴う番組の番組データのスクランブルに係るデータを変換する限定受信処理手段と、
前記リボークを検出した場合、前記限定受信処理手段が更新される前に、前記保存手段に保存されたコンテンツ保護を伴う番組の番組データの前記スクランブルに係るデータを変換し、スクランブルに係るデータが変換された番組データを再度前記保存手段に保存するように、前記保存手段及び前記限定受信処理手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする放送受信装置。
【請求項2】
前記コンテンツ保護を伴う番組の番組データのスクランブルに係るデータは、スクランブル処理を施された番組データであり、
前記限定受信処理手段は、前記スクランブル処理を解除するためのスクランブル鍵を復号するためのデバイス鍵を生成するデバイス鍵生成手段と、
前記デバイス鍵生成手段を更新する鍵生成手段更新手段と、
前記スクランブル処理が解除された番組データを暗号化する暗号化手段とを含み、
前記制御手段は、リボークを検出した場合、前記デバイス鍵生成手段が更新される前に、前記スクランブル鍵を用いて前記保存手段に保存されたコンテンツ保護を伴う番組の番組データのスクランブル処理を解除し、
前記スクランブル処理が解除された番組データを前記暗号化手段により暗号化し、
暗号化された番組データを前記保存手段に再度保存するように、前記デバイス鍵生成手段、前記鍵生成手段更新手段及び前記暗号化手段を制御することを特徴とする請求項1記載の放送受信装置。
【請求項3】
前記デジタル放送信号に多重化されたECM(Entitlement Control Message)及びEMM(Entitlement Management Message)を分離する分離手段を有し、
前記限定受信処理手段は、前記EMMに基いて生成されるデバイス鍵を用いて、前記EMMに含まれるワーク鍵を復号するワーク鍵復号手段と、
前記ワーク鍵を用いて、前記ECMに含まれるスクランブル鍵を復号するスクランブル鍵復号手段とを含み、
前記スクランブル鍵を用いて前記番組データに施されたスクランブル処理を解除するデスクランブル手段とをさらに有することを特徴とする請求項1記載の放送受信装置。
【請求項4】
前記保存手段は、前記番組データをトランスポートストリーム形式で保持することを特徴とする請求項1乃至3記載の放送受信装置。
【請求項5】
前記コンテンツ保護を伴う番組の番組データのスクランブルに係るデータは、前記EMMであり、
前記限定受信処理手段は、
前記EMMに含まれるデバイス鍵情報を用いてデバイス鍵を生成するデバイス鍵生成手段と、
前記デバイス鍵生成手段を更新する鍵生成手段更新手段と、
前記鍵生成手段更新手段により更新されるデバイス鍵生成手段に対応するEMMを生成するEMM生成手段と
前記番組データのEMMを前記EMM生成手段により生成されたEMMに書き換えるEMM書き換え手段とを含み、
前記制御手段は、リボークを検出した場合に、前記デバイス鍵生成手段が更新される前に、前記デバイス鍵を用いて、更新されるデバイス鍵生成手段に対応するEMMを生成し、前記保存手段に保存されたコンテンツ保護を伴う番組の番組データのEMMを前記EMM生成手段により生成されたEMMに書き換えるように前記EMM生成手段及び前記EMM書き換え手段を制御することを特徴とする請求項3記載の放送受信装置。
【請求項6】
デジタル放送信号を受信してコンテンツ保護を伴う番組を視聴可能とする放送受信方法であって、
前記コンテンツ保護を伴う番組の番組データを保存手段に保存するステップと、
リボークを検出するステップと、
前記コンテンツ保護を伴う番組の番組データのスクランブルに係るデータを変換するステップとを有し、
前記リボークを検出した場合、前記スクランブルに係るデータを変換するステップが更新される前に、前記保存手段に保存されたコンテンツ保護を伴う番組の番組データの前記スクランブルに係るデータを変換し、スクランブルに係るデータが変換された番組データを再度前記保存手段に保存することを特徴とする放送受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−303049(P2009−303049A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156901(P2008−156901)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】