放電灯点灯装置及び照明器具
【課題】放電灯の点灯電力を一定に保持可能な、簡易構成の放電灯点灯装置を提供する。
【解決手段】放電灯点灯装置101は、整流回路1と、整流回路1の出力の脈流電圧を昇圧する直流電源回路2と、所定の周波数のドライブ信号に従って駆動して、直流電源回路2から供給される直流電圧を高周波電圧に変換して出力するインバータ回路3と、放電灯8が装着される負荷回路4と、前記所定の周波数の制御信号を生成して出力するマイコン10と、制御信号を入力してドライブ信号を生成し、インバータ回路3に出力するインバータ駆動回路9と、放電灯8が装着された負荷回路4によって消費される消費電力に対応する直流電圧を検出する電力検出回路12とを備えた。マイコン10は、リミット値として設定された周波数よりも高い周波数の範囲で、電力検出回路12の検出した直流電圧値に基づき制御信号の周波数を修正することで放電灯8の消費電力を一定に保持する。
【解決手段】放電灯点灯装置101は、整流回路1と、整流回路1の出力の脈流電圧を昇圧する直流電源回路2と、所定の周波数のドライブ信号に従って駆動して、直流電源回路2から供給される直流電圧を高周波電圧に変換して出力するインバータ回路3と、放電灯8が装着される負荷回路4と、前記所定の周波数の制御信号を生成して出力するマイコン10と、制御信号を入力してドライブ信号を生成し、インバータ回路3に出力するインバータ駆動回路9と、放電灯8が装着された負荷回路4によって消費される消費電力に対応する直流電圧を検出する電力検出回路12とを備えた。マイコン10は、リミット値として設定された周波数よりも高い周波数の範囲で、電力検出回路12の検出した直流電圧値に基づき制御信号の周波数を修正することで放電灯8の消費電力を一定に保持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は放電灯を点灯させる放電灯点灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放電灯点灯装置は、多機能化及び回路簡略化面において、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)を用いて制御することが有利であることが明らかである。
【0003】
特開平4−269500号公報(特許文献1)に示されているように、インバータの発振制御をマイコンで実施することは一般的である。
【0004】
また、特開2004−206930号(特許文献2)に示されているように、負荷電力に応答して、インバータ回路の動作周波数を変化させて、負荷である放電灯の環境変化でも略均一の明るさを得ることが示されている。
【0005】
また、マイコンを動作させるための基本である電源は、特開平7−57887号公報(特許文献3)に簡易電源回路の開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−269500号公報
【特許文献2】特開2004−206930号公報
【特許文献3】特開平7−57887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2は、負荷電力に応答してインバータ回路の動作周波数を変化させる技術を開示しているが回路構成が複雑である。
【0008】
また、マイコンを使用すると非常に有効であるが、一方でマイコンの電源回路をどのように構成するかという課題がある。通常マイコンの電源回路は、商用電源を整流した電位から抵抗を介して電圧降下させて直流電圧を生成することで得ることができる。しかし、そのような電源回路では、商用電源の変化に対して得られる電流が異なるため、電流が大きくなると抵抗損失が大きくなるという課題があった。そこで、特許文献3に示されているように、損失の少ない電源回路が提案されているが、多くの回路部品が必要であり、また、昨今の省スペースの要請に反する。
【0009】
この発明は、放電灯の点灯電力を一定に保持可能な、簡易構成の放電灯点灯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の放電灯点灯装置は、
放電灯を点灯させる放電灯点灯装置において、
交流電源を脈流電圧に整流する整流回路と、
前記整流回路から得られる脈流電圧を昇圧または降圧することにより直流電源を生成する直流電源回路と、
所定の周波数のドライブ信号に従って前記所定の周波数で駆動することにより前記直流電源回路から供給される直流電圧を高周波電圧に変換し、変換された高周波電圧を出力するインバータ回路と、
前記放電灯が装着されると共に、前記インバータ回路によって出力された前記高周波電圧が入力される負荷回路と、
前記所定の周波数の制御信号を生成して出力するマイクロコンピュータと、
前記マイクロコンピュータが出力した前記所定の周波数の前記制御信号から前記インバータ回路を駆動させる前記所定の周波数の前記ドライブ信号を生成し、生成された前記所定の周波数の前記ドライブ信号を前記インバータ回路に出力するインバータ駆動回路と、
前記放電灯が装着された前記負荷回路によって消費される消費電力に対応する直流電圧を検出する電力検出回路と
を備え、
前記マイクロコンピュータは、
予めリミット値として設定された周波数よりも高い周波数の範囲において、前記電力検出回路によって検出された前記直流電圧の値に基づいて前記制御信号の前記所定の周波数を修正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明により、放電灯の点灯電力を一定に保持可能な、簡易構成の放電灯点灯装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1の放電灯点灯装置101の回路構成図。
【図2】実施の形態1のマイコン10が出力する周波数信号を示す図。
【図3】実施の形態1の点灯周波数f1の修正を示す図。
【図4】実施の形態1の定電力制御のフローチャート。
【図5】実施の形態2の予熱時及び始動時の補正を示す図。
【図6】実施の形態2の予熱時及び始動時の補正を示す図。
【図7】実施の形態2の閾値Vthの補正を示す図。
【図8】実施の形態2の放電灯点灯装置102aの回路構成図。
【図9】実施の形態2の放電灯点灯装置102bの回路構成図。
【図10】実施の形態3の放電灯点灯装置103の回路構成図。
【図11】実施の形態3の電源同期回路23の出力する矩形波電圧信号を示す図。
【図12】実施の形態3の動作クロックから決まる検出周期を示す図。
【図13】実施の形態4の照明システム1000を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1〜図4を参照して実施の形態1を説明する。図1は、実施の形態1の放電灯点灯装置101の回路構成図を示す。放電灯点灯装置101は、整流回路1と、直流電源回路2(チョッパ回路とも呼ばれる)と、インバータ回路3と、負荷回路4と、インバータ駆動回路9、マイコン10、マイコン用電源回路11、電力検出回路12とを備える。
【0014】
(1)整流回路1は、商用電源31を脈流電圧に整流する。
(2)直流電源回路2は、整流回路1から得られる脈流電圧を昇圧または降圧することにより直流電源を生成する。図1は昇圧回路を示している。
(3)インバータ回路3は、インバータ駆動回路9の出力する所定の周波数(マイコン10の出力する制御信号の周波数に同じである)のドライブ信号を入力し、このドライブ信号に従ってドライブ信号の周波数で駆動することにより直流電源回路2から供給される直流電圧を高周波電圧に変換し、変換された高周波電圧を負荷回路4に出力する。
(4)負荷回路4は、放電灯8が装着されると共に、インバータ回路3によって出力された高周波電圧が入力される共振回路である。
(5)マイコン10は、所定の周波数の制御信号を生成してインバータ駆動回路9に出力する。
(6)インバータ駆動回路9は、マイコン10が出力した所定の周波数の制御信号からインバータ回路3を駆動させるドライブ信号(マイコン10が生成した制御信号と周波数が同じである)を生成し、このドライブ信号をインバータ回路3に出力してインバータ回路3を駆動する。
(7)電力検出回路12は、放電灯8が装着された負荷回路4によって消費される消費電力に対応する直流電圧を検出する。
(8)マイコン用電源回路11はマイコン10に電源を供給する。
【0015】
(インバータ回路3の駆動過程)
(1)上記のように、マイコン10は、所定の周波数の制御信号を生成してインバータ駆動回路9に出力する。
(2)インバータ駆動回路9は、マイコン10から出力された所定の周波数の制御信号を入力し、制御信号と同じ周波数のドライブ信号を生成してインバータ回路3に出力する。
(3)インバータ回路3は、インバータ駆動回路9から出力されたドライブ信号を入力し、ドライブ信号に従ってドライブ信号の周波数で駆動する。
【0016】
放電灯点灯装置101ではマイコン10が、予めリミット値として設定された周波数よりも高い周波数の範囲において、電力検出回路12によって検出された直流電圧の値に基づいて、出力中(点灯モード)の制御信号の周波数を修正する。この過程を以下に説明する。
【0017】
(電力検出回路12)
電力検出回路12は、放電灯8が点灯中の負荷回路4の負荷電力(放電灯8の電力に相当する)を検出する。電力検出回路12は、図1に示すように、放電灯8が点灯中の負荷回路4に流れる電流を直流電圧に変換する。マイコン10は、この直流電圧を入力し、A/D(Analog to Digital)変換機能を使用して、この直流電圧をデジタル変換し、マイコン10に予め設定されている閾値Vthと比較/判定する。この閾値Vthは、放電灯8の消費電力の目標値としてマイコン10に予め設定されている値である。マイコン10は、比較結果に基づいて、出力中の制御信号の周波数を修正する。すなわち、マイコン10は制御信号の周波数を修正することにより、放電灯の消費電力を閾値Vthに近づける。
【0018】
図2は、マイコン10がインバータ駆動回路9に与える周波数信号を示している。すなわち、図2は、マイコン10がインバータ駆動回路9に出力する制御信号の周波数を示す表である。マイコン10は所定の周波数の制御信号をインバータ駆動回路9に出力するが、制御信号の周波数はマイコン10のクロックfcpuを整数である指令値nで割った値である。指令値nはマイコン10のプログラム中で指定される。マイコン10は、放電灯8の予熱(予熱モード)及び始動中(始動モード)では、周波数fp(予熱周波数)及びfi(始動周波数)の制御信号を出力し、放電灯8が点灯している時(点灯モード)は、f1を出力する。
【0019】
(点灯周波数)
図3は、点灯周波数f1の修正を示す図である。マイコン10は、電力検出回路12による電力検出結果(直流電圧の検出値)により、図3に示す通り、初期周波数f1を増加または減少させて、一定電力の閾値Vthに対応する周波数f’1に遷移させる。前述のように、マイコン10から出力する制御信号の周波数は、マイコン10が動作する固有のクロックfcpuを整数nで割った値である。すなわち、マイコン10の出力可能な制御信号の周波数fxは、次の式(1)のように指令値nで定まる。
fx=fcpu/n・・・式(1)
すなわち、放電灯8が点灯している時にマイコン10の出力している制御信号の周波数(点灯周波数)f1は、指令値n1に対応している。
すなわち、
f1=fcpu/n1
である。マイコン10が電力検出回路12による電力検出結果に応答し、定電力制御する為には、すなわち電力検出結果を閾値電圧Vthに近づけるには、図3の共振特性及び式(1)より、指令値nを修正してやればよい。すなわち、点灯周波数f1に対応する指令値n1について、
n1=n1±1・・・式(2)
の修正処理により、図2に示した閾値Vthに対応する点灯周波数f’1に近づけることができる。
【0020】
(マイコン10による点灯周波数f1の補正処理)
図4は、マイコン10が放電灯8を一定の電力で点灯させる一定電力制御方式を説明するフローチャートである。
S11において、マイコン10は、電力検出回路12から検出電圧を取得する。
S12において、マイコン10は、取得した検出電圧をA/D変換する。
S13において、マイコン10は、A/D変換した検出電圧Vと閾値Vthとを比較する。
V<Vth
の場合、マイコン10は、現在の点灯周波数f1に対応する指令値n1を「1」だけ増加する(S14)。これにより、
f1=fcpu/n1
における分母が大きくなるので点灯周波数f1が小さくなり、図2により、検出電圧Vは増加する方向になる。マイコン10は修正後の指令値の周波数の制御信号を出力する(S15)。
一方、
V≧Vth
の場合は、S16に進み、マイコン10は、
V>Vth
か
V=Vth
を判定する。
V>Vth
の場合、マイコン10は、現在の点灯周波数f1に対応する指令値n1を「1」だけ減少する。これにより、
f1=fcpu/n1
における分母が小さくなるので点灯周波数f1が大きくなり、図2により、検出電圧Vは減少する方向になる。マイコン10は修正後の指令値の周波数の制御信号を出力する(S15)。
V=Vth
の場合は、マイコン10は指令値n1を補正しない。
【0021】
(リミット値:リミット周波数f2)
一般的に負荷回路4は、前述したように、インダクタL及びコンデンサCで構成される。放電灯8に流れる電流は、インバータ回路3の出力電圧V、インダクタL及びコンデンサCと放電灯8のインピーダンスRLで決まる。また、放電灯8の電力は、放電灯電流と放電灯8のインピーダンスRLの積で決まる。これまで述べてきた負荷回路4の負荷電力がほぼ放電灯8の電力に等しいとすると、放電灯8の周囲環境(温度など)により放電灯8のインピーダンスRLが小さくなり、放電灯8の電力が小さくなると、電力検出回路12の検出電圧が小さくなる。この場合、マイコン10は図4に示したように、図3に示した動作周波数をこれまでの動作周波数から低い周波数である共振周波数側に近づけて、放電灯8の電力を大きくする。ところが、放電灯8の周囲環境がより厳しい場合、放電灯8のインピーダンスRLはかなり小さくなり、その際の共振曲線は、図3の左側のようになる。この左側の共振特性になると、マイコン10が指令値を修正して周波数を変更しても、設定している閾値Vthにはならない。すなわち、一定の負荷電力になることはない。この場合、マイコン10は、周波数を低く制御し続けることになる。すなわち、図4のフローチャートにおいて、S11、S12、S13、S14、S15、S11をループしてしまう。
【0022】
また、一般的にインバータの動作周波数、即ち、マイコン10から出力する制御信号の周波数は、LとC、RLから成る共振特性の遅相領域である。よって、負荷電力を一定にする定電力制御の上で、遅相領域の動作を保つ為に、リミットを設ける必要がある。従って、マイコン10は、所定の指令値をリミット値として保有しており、このリミット値よりも大きな指令値は採用しない。すなわちマイコン10は、予めリミット値として設定された周波数よりも高い周波数の範囲において、電力検出回路12によって検出された直流電圧の値に基づいて制御信号の周波数を修正する。
【0023】
図3には、共振特性とリミット周波数の関係を示している。すなわち、マイコン10は、放電灯8が点灯しているときに定電力制御を実施する。しかし、放電灯8の予熱及び始動後から即実施する必要は無く、所定時間経過後から動作してもよい。特に、低温中などの放電灯8が点灯直後で安定していないときなどは、所定時間の遅れ後に、安定した放電状態となってから動作させるとなお良い。
【0024】
実施の形態1の放電灯点灯装置101は、マイコン10が放電灯8の定電力制御を実施するので、簡易な構成で定電力制御が可能となる。また、マイコン10はリミット値を参照するので、放電灯8のインピーダンスRLの低下により制御信号の周波数が低くなりすぎることを防止できる。
【0025】
実施の形態2.
次に図5〜図9を参照して実施の形態2を説明する。実施の形態2は、実施の形態1で述べた、
(1)及び予熱周波数、始動周波数、点灯周波数(電力検出回路12の検出結果に基づく修正前)
(2)閾値Vth、
(3)リミット値、
の決定方法を説明する。
【0026】
(予熱周波数、始動周波及び点灯周波数の設定)
負荷回路4を構成するL、Cには特性のバラツキがあるため、所定の動作特性を得ることは難しいが、動作周波数(マイコン10が出力する制御信号の周波数)に補正を行えば、部品特性のバラツキがあっても所定の動作特性を得ることが可能である。マイコン10は、放電灯8の点灯時における定電力制御を実施していないときは、マイコン10に予め設定された指令値nで動作する。しかし、部品特性のバラツキにより、所定の動作特性を得ることは難しい。このため、前述した指令値nを、初期値n0(工場でのデフォルト値)に符号を有する補正値「±A」の和として式(3)のように設定する。これにより動作特性の補正が可能である。
n=n0+(±A)・・・式(3)
すなわち、マイコン10は「n0」、「±A」を格納すると共に、プログラムにより、
fn=fcpu/(n0+(±A))
の周波数の制御信号を生成する。このように補正値「±A」は、製造ライン上で、放電灯点灯装置を動作させ、決定する。
【0027】
図5、図6は、上記の補正を示す図である。上記の補正値は、必要があれば、予熱周波数、始動周波数、点灯周波数(定電力制御前)のいずれにも設ける。すなわち、マイコン10は、図4に示したように放電灯8が点灯中においては電力検出回路12の出力電圧に応じて定電力制御するため補正値「±A」は関連しないが、初期値動作時は、図5、図6に示すように、補正値「±A」を反映した周波数の制御信号を出力する。
【0028】
(閾値Vthの設定)
電力検出回路12の構成部品にも特性のバラツキがあるため、電力検出回路12の検出電圧にも補正が必要である。すなわち、放電灯8が実際に40W(ワット)の電力を消費していても、電力検出回路12によって検出される直流電圧には、例えば35W相当の直流電圧が検出されるような場合である。マイコン10は、電力検出回路12の出力電圧と閾値Vthとを比較するため、閾値Vthを補正すればよい。
例えば、製造ライン上で放電灯点灯装置の出力を検出して適正出力(例えば40W)になるように点灯周波数を変化させる。放電灯点灯装置の出力が適正出力になるときに電力検出回路12の出力電圧を検出し、閾値Vthを補正する補正値を算出する。閾値Vthは、前述したように、マイコン10のA/D検出機能を使用する。マイコン10の検出判定値は一般的に、
V=(VDD/m)×n・・・式(4)
で決めることができる。ここで、mはマイコン10のもつ固有のA/D検出の分解能を示し、nは指令値である。
【0029】
図7は閾値Vthの補正を示す。指令値nを符号をもつ「補正値±B」と初期n0の和として設定することで、電力検出回路12のバラツキを補正することができる。
n=n0+(±B)・・・式(5)
この補正値「±B」は、製造ライン上で、放電灯点灯装置を動作させ決定する。マイコン10は「n0」、「±B」を格納すると共に、プログラムにより、式(5)を計算する。
【0030】
(リミット値の設定)
同様に、前述したリミット値も負荷回路4の特性バラツキ、特に、共振特性のバラツキがあるため、補正値を反映させる必要がある。リミット値については、予熱周波数等の場合と同じである。なお、リミット値のデフォルト値の補正値は、点灯周波数補正値と同じ値を用いてもよい。
【0031】
以上に説明した、(1)予熱周波数、始動周波数及び点灯周波数、(2)閾値Vth、(3)リミット値のそれぞれの補正値は、不揮発性メモリ(記憶部)に記憶させ、マイコン10のプログラムにおいて反映させるようにする。上記のように補正値は、製造ライン上で放電灯点灯装置を動作させ決定する。特にマイコンを使用しているため、補正値としてパルスを外部装置から送り込むことが有効である。図8、図9は補正値、初期指令値などの情報を格納する不揮発性メモリを搭載した例を示す。図8は、マイコン10が不揮発性メモリを搭載した放電灯点灯装置102aを示し、図9はマイコン10とは別個に不揮発性メモリにEEPROMを用いた放電灯点灯装置102aを示している。また、図8に示すようにマイコン10はROM、RAMを保有しており、ROMにはプログラムが格納されている。
【0032】
実施の形態2の放電灯点灯装置102a,102bは、制御信号に対応する補正値、電力制御の閾値に対応する補正値及びリミット値に対応する補正値を格納し、これらの補正値を反映して動作するので、回路を構成する素子の特性のバラツキを補正することができる。
【0033】
実施の形態3.
次に図10〜図12を参照して実施の形態3の放電灯点灯装置103を説明する。図10は放電灯点灯装置103の回路構成図である。放電灯点灯装置103は、実施の形態1の放電灯点灯装置103に対してさらに、マイコン用第2電源回路22と電源同期回路23とを備えた構成である。なお放電灯点灯装置103では、電力検出回路12は省略しているが、電力検出回路12を備えることで放電灯点灯装置101と同様に、放電灯8の点灯中において定電力制御が可能である。なお、実施の形態3では、放電灯点灯装置101におけるマイコン用電源回路11をマイコン用第1電源回路11と呼ぶ。
【0034】
(2つのマイコン用電源回路)
マイコン10の電源回路は、図10に示すように、商用電源31または脈流電圧から供給できるマイコン用第1電源回路11と、駆動周波数を出力した後は、インバータ回路3の出力から得るマイコン用第2電源回路22がある。マイコン用第1電源回路11は、整流回路1から得られる脈流電圧と、交流電源31の出力電圧を半波整流した電圧とのいずれかの電圧に基づく直流電圧をマイコン10に供給する。図10では、マイコン用第1電源回路11として整流回路1から得られる脈流電圧を供給する場合を示したが交流電源31の出力電圧を半波整流した電圧に基づく直流電圧をマイコン10に供給する電源でもよい。
マイコン用第2電源回路22は、インバータ回路3の出力に基づく直流電圧をマイコン10に供給する。
【0035】
(電源同期回路23)
電源同期回路23は、商用電源31の有無を検出する回路であり、商用電源31に同期した検出回路である。図11で後述するが、電源同期回路23は、投入された商用電源31の電圧値が正常な場合には商用電源31の電圧値に対応する矩形波電圧を一定の周期で出力し、投入された商用電源31の電圧値が正常よりも低い場合には矩形波電圧のHigh信号に相当する電圧を出力する。
【0036】
図11は、電源同期回路23から得られる矩形波電圧信号を示す。図11に示す矩形波電圧では、L(Lowレベル)信号があるときが、商用電源31の電圧は所定値以上であることを示す。すなわち、電源同期回路23は、投入された商用電源31の電圧値が正常な場合には商用電源31の電圧値に対応する矩形波電圧を一定の周期で出力し、投入された商用電源31の電圧値が正常よりも低い場合には矩形波電圧のHigh信号に相当する電圧を出力する。
【0037】
マイコン用第1電源回路11は、マイコン用第2電源回路22から電力供給されるまでの起動電源となる。マイコン用第1電源回路11は起動電源である。このため、マイコン用第2電源回路22から電力供給される定常状態に比べて、マイコン用第1電源回路11からの電力供給の場合はマイコン10は低消費電力で動作する。すなわち、マイコン10は、マイコン用第1電源回路11を電源とする場合の第1動作クロックがマイコン用第2電源回路22を電源とする場合の第2動作クロックよりも低くなる。
【0038】
この低消費電力(マイコン用第1電源回路11)で動作しているときは動作クロックが低いため、マイコン10による電源同期検出信号の検出は、マイコン用第2電源回路22の第2動作クロックの場合に比べて大きい周期で検出せざるを得ない。通常、矩形波電圧の時間を判定したいときは、その判定する時間未満の検出周期で実施することが好ましい。しかし、前述した動作クロックが低いときは、検出周期が大きくなってしまう。
【0039】
図12は、動作クロックから決まる検出周期を示す図である。図12に示す通り、マイコン10による検出周期t3は、電源同期検出信号の発生周期T0から、検出周期t3の整数n倍した値を引いた差分「T0−t3×n」が、検出したい矩形波電圧の時間t1よりも小さければ検出することができる。
すなわち、
T0−t3×n<t1・・・式(6)
であれば検出することができる。
このとき、検出できるまでの最長の時間T1は、図12より、
T1=(t3/(T0−t3×n)×T0)−t3
(ただし、n=1,2,…の整数で、t1>0となる最大値)
で示すことができる。
【0040】
すなわち、マイコン10は、商用電源31が投入されるとマイコン用第1電源回路11を電源として動作を開始し、マイコン用第1電源回路11を電源として動作を開始すると電源同期回路23によって出力された電圧を入力し、入力した電圧から第1動作クロックに応じて予め定められた前記式(6)を満たす第1検出周期t3で矩形波電圧のLow信号を検出する検出処理を開始する。マイコン10は、Low信号を検出した場合(交流電源31が正常の場合)には、制御信号の生成を開始し、かつ、電源をマイコン用第1電源回路11からマイコン用第2電源回路22に切り替える。一方、Low信号を検出しない場合(交流電源31が正常な電圧ではない場合)には、マイコン10は、制御信号の生成を開始しない(インバータ回路3を駆動しない)。また、マイコン10は、マイコン用第2電源回路22を電源として制御信号を出力中にLow信号を検出できなくなると、予め組み込まれているプログラムに従ってインバータ回路3の駆動を停止させる停止制御とインバータ回路3の出力を低減させる低出力制御とのいずれかを実行する。
【0041】
放電灯点灯装置103はマイコン用第2電源回路22を有している。マイコン10による駆動周波数(制御信号)出力後は、マイコン10は、マイコン用第2電源回路22から電力供給を受け、第1動作クロックよりもクロックの高い第2動作クロックで動作する。そこでマイコン10は、マイコン用第2電源回路22を電源とする場合には、第2動作クロックに応じて予め定められた第2検出周期で矩形波電圧のLow信号を検出する検出処理を実行する。検出周期を短くすることで、例えば、商用電源31の瞬時停電、または瞬時電圧低下を検出し、インバータ回路3を停止あるいは出力低減することで、部品の故障などを防止できる。
【0042】
実施の形態3の放電灯点灯装置103は、マイコン用第1電源回路11、マイコン用第2電源回路22及び電源同期回路23を備えた。このため、簡易な構成であり、しかも損失の少ないマイコン用の電源回路を提供できる。
【0043】
実施の形態4.
図13を参照して実施の形態4を説明する。図13は、実施の形態1、あるいは実施の形態2で説明した放電灯点灯装置を組み込んだ照明器具50の複数からなる照明システム1000を示す図である。
【0044】
図13は照明システム1000の全体図である。照明システム1000は、複数の照明器具50と、スイッチボックス70とを備える。各照明器具50は、器具本体51、反射板52及び放電灯8を装着するソケット53a,53bを備える。なお、図13ではソケット53bは器具本体51に隠れている。器具本体51には、実施の形態1、あるいは実施の形態2で説明した放電灯点灯装置が取り付けられている。器具本体51の長手方向両端部には放電灯点灯装置からの出力が電線を介して接続されている。図13では、器具本体21のランプソケットには放電灯8が取り付けられている。スイッチボックス70は、第1の電源スイッチ60を備えている。
【0045】
図13に示す照明システム1000では、それぞれの照明器具50の放電灯点灯装置が定電力制御を実施するので、放電灯の周囲環境によらず、一定の明るさを得ることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 整流回路、2 直流電源回路、3 インバータ回路、4 負荷回路、5 インダクタ、6,7 コンデンサ、8 放電灯、9 インバータ駆動回路、10 マイコン、11 マイコン用第1電源回路、12 電力検出回路、13 不揮発性メモリ、22 マイコン用第2電源回路、23 電源同期回路、50 照明器具、51 器具本体、52 反射板、53a,53b ソケット、60 電源スイッチ、70 スイッチボックス、101,102a,102b,103 放電灯点灯装置、1000 照明システム。
【技術分野】
【0001】
この発明は放電灯を点灯させる放電灯点灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放電灯点灯装置は、多機能化及び回路簡略化面において、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)を用いて制御することが有利であることが明らかである。
【0003】
特開平4−269500号公報(特許文献1)に示されているように、インバータの発振制御をマイコンで実施することは一般的である。
【0004】
また、特開2004−206930号(特許文献2)に示されているように、負荷電力に応答して、インバータ回路の動作周波数を変化させて、負荷である放電灯の環境変化でも略均一の明るさを得ることが示されている。
【0005】
また、マイコンを動作させるための基本である電源は、特開平7−57887号公報(特許文献3)に簡易電源回路の開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−269500号公報
【特許文献2】特開2004−206930号公報
【特許文献3】特開平7−57887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2は、負荷電力に応答してインバータ回路の動作周波数を変化させる技術を開示しているが回路構成が複雑である。
【0008】
また、マイコンを使用すると非常に有効であるが、一方でマイコンの電源回路をどのように構成するかという課題がある。通常マイコンの電源回路は、商用電源を整流した電位から抵抗を介して電圧降下させて直流電圧を生成することで得ることができる。しかし、そのような電源回路では、商用電源の変化に対して得られる電流が異なるため、電流が大きくなると抵抗損失が大きくなるという課題があった。そこで、特許文献3に示されているように、損失の少ない電源回路が提案されているが、多くの回路部品が必要であり、また、昨今の省スペースの要請に反する。
【0009】
この発明は、放電灯の点灯電力を一定に保持可能な、簡易構成の放電灯点灯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の放電灯点灯装置は、
放電灯を点灯させる放電灯点灯装置において、
交流電源を脈流電圧に整流する整流回路と、
前記整流回路から得られる脈流電圧を昇圧または降圧することにより直流電源を生成する直流電源回路と、
所定の周波数のドライブ信号に従って前記所定の周波数で駆動することにより前記直流電源回路から供給される直流電圧を高周波電圧に変換し、変換された高周波電圧を出力するインバータ回路と、
前記放電灯が装着されると共に、前記インバータ回路によって出力された前記高周波電圧が入力される負荷回路と、
前記所定の周波数の制御信号を生成して出力するマイクロコンピュータと、
前記マイクロコンピュータが出力した前記所定の周波数の前記制御信号から前記インバータ回路を駆動させる前記所定の周波数の前記ドライブ信号を生成し、生成された前記所定の周波数の前記ドライブ信号を前記インバータ回路に出力するインバータ駆動回路と、
前記放電灯が装着された前記負荷回路によって消費される消費電力に対応する直流電圧を検出する電力検出回路と
を備え、
前記マイクロコンピュータは、
予めリミット値として設定された周波数よりも高い周波数の範囲において、前記電力検出回路によって検出された前記直流電圧の値に基づいて前記制御信号の前記所定の周波数を修正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明により、放電灯の点灯電力を一定に保持可能な、簡易構成の放電灯点灯装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1の放電灯点灯装置101の回路構成図。
【図2】実施の形態1のマイコン10が出力する周波数信号を示す図。
【図3】実施の形態1の点灯周波数f1の修正を示す図。
【図4】実施の形態1の定電力制御のフローチャート。
【図5】実施の形態2の予熱時及び始動時の補正を示す図。
【図6】実施の形態2の予熱時及び始動時の補正を示す図。
【図7】実施の形態2の閾値Vthの補正を示す図。
【図8】実施の形態2の放電灯点灯装置102aの回路構成図。
【図9】実施の形態2の放電灯点灯装置102bの回路構成図。
【図10】実施の形態3の放電灯点灯装置103の回路構成図。
【図11】実施の形態3の電源同期回路23の出力する矩形波電圧信号を示す図。
【図12】実施の形態3の動作クロックから決まる検出周期を示す図。
【図13】実施の形態4の照明システム1000を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1〜図4を参照して実施の形態1を説明する。図1は、実施の形態1の放電灯点灯装置101の回路構成図を示す。放電灯点灯装置101は、整流回路1と、直流電源回路2(チョッパ回路とも呼ばれる)と、インバータ回路3と、負荷回路4と、インバータ駆動回路9、マイコン10、マイコン用電源回路11、電力検出回路12とを備える。
【0014】
(1)整流回路1は、商用電源31を脈流電圧に整流する。
(2)直流電源回路2は、整流回路1から得られる脈流電圧を昇圧または降圧することにより直流電源を生成する。図1は昇圧回路を示している。
(3)インバータ回路3は、インバータ駆動回路9の出力する所定の周波数(マイコン10の出力する制御信号の周波数に同じである)のドライブ信号を入力し、このドライブ信号に従ってドライブ信号の周波数で駆動することにより直流電源回路2から供給される直流電圧を高周波電圧に変換し、変換された高周波電圧を負荷回路4に出力する。
(4)負荷回路4は、放電灯8が装着されると共に、インバータ回路3によって出力された高周波電圧が入力される共振回路である。
(5)マイコン10は、所定の周波数の制御信号を生成してインバータ駆動回路9に出力する。
(6)インバータ駆動回路9は、マイコン10が出力した所定の周波数の制御信号からインバータ回路3を駆動させるドライブ信号(マイコン10が生成した制御信号と周波数が同じである)を生成し、このドライブ信号をインバータ回路3に出力してインバータ回路3を駆動する。
(7)電力検出回路12は、放電灯8が装着された負荷回路4によって消費される消費電力に対応する直流電圧を検出する。
(8)マイコン用電源回路11はマイコン10に電源を供給する。
【0015】
(インバータ回路3の駆動過程)
(1)上記のように、マイコン10は、所定の周波数の制御信号を生成してインバータ駆動回路9に出力する。
(2)インバータ駆動回路9は、マイコン10から出力された所定の周波数の制御信号を入力し、制御信号と同じ周波数のドライブ信号を生成してインバータ回路3に出力する。
(3)インバータ回路3は、インバータ駆動回路9から出力されたドライブ信号を入力し、ドライブ信号に従ってドライブ信号の周波数で駆動する。
【0016】
放電灯点灯装置101ではマイコン10が、予めリミット値として設定された周波数よりも高い周波数の範囲において、電力検出回路12によって検出された直流電圧の値に基づいて、出力中(点灯モード)の制御信号の周波数を修正する。この過程を以下に説明する。
【0017】
(電力検出回路12)
電力検出回路12は、放電灯8が点灯中の負荷回路4の負荷電力(放電灯8の電力に相当する)を検出する。電力検出回路12は、図1に示すように、放電灯8が点灯中の負荷回路4に流れる電流を直流電圧に変換する。マイコン10は、この直流電圧を入力し、A/D(Analog to Digital)変換機能を使用して、この直流電圧をデジタル変換し、マイコン10に予め設定されている閾値Vthと比較/判定する。この閾値Vthは、放電灯8の消費電力の目標値としてマイコン10に予め設定されている値である。マイコン10は、比較結果に基づいて、出力中の制御信号の周波数を修正する。すなわち、マイコン10は制御信号の周波数を修正することにより、放電灯の消費電力を閾値Vthに近づける。
【0018】
図2は、マイコン10がインバータ駆動回路9に与える周波数信号を示している。すなわち、図2は、マイコン10がインバータ駆動回路9に出力する制御信号の周波数を示す表である。マイコン10は所定の周波数の制御信号をインバータ駆動回路9に出力するが、制御信号の周波数はマイコン10のクロックfcpuを整数である指令値nで割った値である。指令値nはマイコン10のプログラム中で指定される。マイコン10は、放電灯8の予熱(予熱モード)及び始動中(始動モード)では、周波数fp(予熱周波数)及びfi(始動周波数)の制御信号を出力し、放電灯8が点灯している時(点灯モード)は、f1を出力する。
【0019】
(点灯周波数)
図3は、点灯周波数f1の修正を示す図である。マイコン10は、電力検出回路12による電力検出結果(直流電圧の検出値)により、図3に示す通り、初期周波数f1を増加または減少させて、一定電力の閾値Vthに対応する周波数f’1に遷移させる。前述のように、マイコン10から出力する制御信号の周波数は、マイコン10が動作する固有のクロックfcpuを整数nで割った値である。すなわち、マイコン10の出力可能な制御信号の周波数fxは、次の式(1)のように指令値nで定まる。
fx=fcpu/n・・・式(1)
すなわち、放電灯8が点灯している時にマイコン10の出力している制御信号の周波数(点灯周波数)f1は、指令値n1に対応している。
すなわち、
f1=fcpu/n1
である。マイコン10が電力検出回路12による電力検出結果に応答し、定電力制御する為には、すなわち電力検出結果を閾値電圧Vthに近づけるには、図3の共振特性及び式(1)より、指令値nを修正してやればよい。すなわち、点灯周波数f1に対応する指令値n1について、
n1=n1±1・・・式(2)
の修正処理により、図2に示した閾値Vthに対応する点灯周波数f’1に近づけることができる。
【0020】
(マイコン10による点灯周波数f1の補正処理)
図4は、マイコン10が放電灯8を一定の電力で点灯させる一定電力制御方式を説明するフローチャートである。
S11において、マイコン10は、電力検出回路12から検出電圧を取得する。
S12において、マイコン10は、取得した検出電圧をA/D変換する。
S13において、マイコン10は、A/D変換した検出電圧Vと閾値Vthとを比較する。
V<Vth
の場合、マイコン10は、現在の点灯周波数f1に対応する指令値n1を「1」だけ増加する(S14)。これにより、
f1=fcpu/n1
における分母が大きくなるので点灯周波数f1が小さくなり、図2により、検出電圧Vは増加する方向になる。マイコン10は修正後の指令値の周波数の制御信号を出力する(S15)。
一方、
V≧Vth
の場合は、S16に進み、マイコン10は、
V>Vth
か
V=Vth
を判定する。
V>Vth
の場合、マイコン10は、現在の点灯周波数f1に対応する指令値n1を「1」だけ減少する。これにより、
f1=fcpu/n1
における分母が小さくなるので点灯周波数f1が大きくなり、図2により、検出電圧Vは減少する方向になる。マイコン10は修正後の指令値の周波数の制御信号を出力する(S15)。
V=Vth
の場合は、マイコン10は指令値n1を補正しない。
【0021】
(リミット値:リミット周波数f2)
一般的に負荷回路4は、前述したように、インダクタL及びコンデンサCで構成される。放電灯8に流れる電流は、インバータ回路3の出力電圧V、インダクタL及びコンデンサCと放電灯8のインピーダンスRLで決まる。また、放電灯8の電力は、放電灯電流と放電灯8のインピーダンスRLの積で決まる。これまで述べてきた負荷回路4の負荷電力がほぼ放電灯8の電力に等しいとすると、放電灯8の周囲環境(温度など)により放電灯8のインピーダンスRLが小さくなり、放電灯8の電力が小さくなると、電力検出回路12の検出電圧が小さくなる。この場合、マイコン10は図4に示したように、図3に示した動作周波数をこれまでの動作周波数から低い周波数である共振周波数側に近づけて、放電灯8の電力を大きくする。ところが、放電灯8の周囲環境がより厳しい場合、放電灯8のインピーダンスRLはかなり小さくなり、その際の共振曲線は、図3の左側のようになる。この左側の共振特性になると、マイコン10が指令値を修正して周波数を変更しても、設定している閾値Vthにはならない。すなわち、一定の負荷電力になることはない。この場合、マイコン10は、周波数を低く制御し続けることになる。すなわち、図4のフローチャートにおいて、S11、S12、S13、S14、S15、S11をループしてしまう。
【0022】
また、一般的にインバータの動作周波数、即ち、マイコン10から出力する制御信号の周波数は、LとC、RLから成る共振特性の遅相領域である。よって、負荷電力を一定にする定電力制御の上で、遅相領域の動作を保つ為に、リミットを設ける必要がある。従って、マイコン10は、所定の指令値をリミット値として保有しており、このリミット値よりも大きな指令値は採用しない。すなわちマイコン10は、予めリミット値として設定された周波数よりも高い周波数の範囲において、電力検出回路12によって検出された直流電圧の値に基づいて制御信号の周波数を修正する。
【0023】
図3には、共振特性とリミット周波数の関係を示している。すなわち、マイコン10は、放電灯8が点灯しているときに定電力制御を実施する。しかし、放電灯8の予熱及び始動後から即実施する必要は無く、所定時間経過後から動作してもよい。特に、低温中などの放電灯8が点灯直後で安定していないときなどは、所定時間の遅れ後に、安定した放電状態となってから動作させるとなお良い。
【0024】
実施の形態1の放電灯点灯装置101は、マイコン10が放電灯8の定電力制御を実施するので、簡易な構成で定電力制御が可能となる。また、マイコン10はリミット値を参照するので、放電灯8のインピーダンスRLの低下により制御信号の周波数が低くなりすぎることを防止できる。
【0025】
実施の形態2.
次に図5〜図9を参照して実施の形態2を説明する。実施の形態2は、実施の形態1で述べた、
(1)及び予熱周波数、始動周波数、点灯周波数(電力検出回路12の検出結果に基づく修正前)
(2)閾値Vth、
(3)リミット値、
の決定方法を説明する。
【0026】
(予熱周波数、始動周波及び点灯周波数の設定)
負荷回路4を構成するL、Cには特性のバラツキがあるため、所定の動作特性を得ることは難しいが、動作周波数(マイコン10が出力する制御信号の周波数)に補正を行えば、部品特性のバラツキがあっても所定の動作特性を得ることが可能である。マイコン10は、放電灯8の点灯時における定電力制御を実施していないときは、マイコン10に予め設定された指令値nで動作する。しかし、部品特性のバラツキにより、所定の動作特性を得ることは難しい。このため、前述した指令値nを、初期値n0(工場でのデフォルト値)に符号を有する補正値「±A」の和として式(3)のように設定する。これにより動作特性の補正が可能である。
n=n0+(±A)・・・式(3)
すなわち、マイコン10は「n0」、「±A」を格納すると共に、プログラムにより、
fn=fcpu/(n0+(±A))
の周波数の制御信号を生成する。このように補正値「±A」は、製造ライン上で、放電灯点灯装置を動作させ、決定する。
【0027】
図5、図6は、上記の補正を示す図である。上記の補正値は、必要があれば、予熱周波数、始動周波数、点灯周波数(定電力制御前)のいずれにも設ける。すなわち、マイコン10は、図4に示したように放電灯8が点灯中においては電力検出回路12の出力電圧に応じて定電力制御するため補正値「±A」は関連しないが、初期値動作時は、図5、図6に示すように、補正値「±A」を反映した周波数の制御信号を出力する。
【0028】
(閾値Vthの設定)
電力検出回路12の構成部品にも特性のバラツキがあるため、電力検出回路12の検出電圧にも補正が必要である。すなわち、放電灯8が実際に40W(ワット)の電力を消費していても、電力検出回路12によって検出される直流電圧には、例えば35W相当の直流電圧が検出されるような場合である。マイコン10は、電力検出回路12の出力電圧と閾値Vthとを比較するため、閾値Vthを補正すればよい。
例えば、製造ライン上で放電灯点灯装置の出力を検出して適正出力(例えば40W)になるように点灯周波数を変化させる。放電灯点灯装置の出力が適正出力になるときに電力検出回路12の出力電圧を検出し、閾値Vthを補正する補正値を算出する。閾値Vthは、前述したように、マイコン10のA/D検出機能を使用する。マイコン10の検出判定値は一般的に、
V=(VDD/m)×n・・・式(4)
で決めることができる。ここで、mはマイコン10のもつ固有のA/D検出の分解能を示し、nは指令値である。
【0029】
図7は閾値Vthの補正を示す。指令値nを符号をもつ「補正値±B」と初期n0の和として設定することで、電力検出回路12のバラツキを補正することができる。
n=n0+(±B)・・・式(5)
この補正値「±B」は、製造ライン上で、放電灯点灯装置を動作させ決定する。マイコン10は「n0」、「±B」を格納すると共に、プログラムにより、式(5)を計算する。
【0030】
(リミット値の設定)
同様に、前述したリミット値も負荷回路4の特性バラツキ、特に、共振特性のバラツキがあるため、補正値を反映させる必要がある。リミット値については、予熱周波数等の場合と同じである。なお、リミット値のデフォルト値の補正値は、点灯周波数補正値と同じ値を用いてもよい。
【0031】
以上に説明した、(1)予熱周波数、始動周波数及び点灯周波数、(2)閾値Vth、(3)リミット値のそれぞれの補正値は、不揮発性メモリ(記憶部)に記憶させ、マイコン10のプログラムにおいて反映させるようにする。上記のように補正値は、製造ライン上で放電灯点灯装置を動作させ決定する。特にマイコンを使用しているため、補正値としてパルスを外部装置から送り込むことが有効である。図8、図9は補正値、初期指令値などの情報を格納する不揮発性メモリを搭載した例を示す。図8は、マイコン10が不揮発性メモリを搭載した放電灯点灯装置102aを示し、図9はマイコン10とは別個に不揮発性メモリにEEPROMを用いた放電灯点灯装置102aを示している。また、図8に示すようにマイコン10はROM、RAMを保有しており、ROMにはプログラムが格納されている。
【0032】
実施の形態2の放電灯点灯装置102a,102bは、制御信号に対応する補正値、電力制御の閾値に対応する補正値及びリミット値に対応する補正値を格納し、これらの補正値を反映して動作するので、回路を構成する素子の特性のバラツキを補正することができる。
【0033】
実施の形態3.
次に図10〜図12を参照して実施の形態3の放電灯点灯装置103を説明する。図10は放電灯点灯装置103の回路構成図である。放電灯点灯装置103は、実施の形態1の放電灯点灯装置103に対してさらに、マイコン用第2電源回路22と電源同期回路23とを備えた構成である。なお放電灯点灯装置103では、電力検出回路12は省略しているが、電力検出回路12を備えることで放電灯点灯装置101と同様に、放電灯8の点灯中において定電力制御が可能である。なお、実施の形態3では、放電灯点灯装置101におけるマイコン用電源回路11をマイコン用第1電源回路11と呼ぶ。
【0034】
(2つのマイコン用電源回路)
マイコン10の電源回路は、図10に示すように、商用電源31または脈流電圧から供給できるマイコン用第1電源回路11と、駆動周波数を出力した後は、インバータ回路3の出力から得るマイコン用第2電源回路22がある。マイコン用第1電源回路11は、整流回路1から得られる脈流電圧と、交流電源31の出力電圧を半波整流した電圧とのいずれかの電圧に基づく直流電圧をマイコン10に供給する。図10では、マイコン用第1電源回路11として整流回路1から得られる脈流電圧を供給する場合を示したが交流電源31の出力電圧を半波整流した電圧に基づく直流電圧をマイコン10に供給する電源でもよい。
マイコン用第2電源回路22は、インバータ回路3の出力に基づく直流電圧をマイコン10に供給する。
【0035】
(電源同期回路23)
電源同期回路23は、商用電源31の有無を検出する回路であり、商用電源31に同期した検出回路である。図11で後述するが、電源同期回路23は、投入された商用電源31の電圧値が正常な場合には商用電源31の電圧値に対応する矩形波電圧を一定の周期で出力し、投入された商用電源31の電圧値が正常よりも低い場合には矩形波電圧のHigh信号に相当する電圧を出力する。
【0036】
図11は、電源同期回路23から得られる矩形波電圧信号を示す。図11に示す矩形波電圧では、L(Lowレベル)信号があるときが、商用電源31の電圧は所定値以上であることを示す。すなわち、電源同期回路23は、投入された商用電源31の電圧値が正常な場合には商用電源31の電圧値に対応する矩形波電圧を一定の周期で出力し、投入された商用電源31の電圧値が正常よりも低い場合には矩形波電圧のHigh信号に相当する電圧を出力する。
【0037】
マイコン用第1電源回路11は、マイコン用第2電源回路22から電力供給されるまでの起動電源となる。マイコン用第1電源回路11は起動電源である。このため、マイコン用第2電源回路22から電力供給される定常状態に比べて、マイコン用第1電源回路11からの電力供給の場合はマイコン10は低消費電力で動作する。すなわち、マイコン10は、マイコン用第1電源回路11を電源とする場合の第1動作クロックがマイコン用第2電源回路22を電源とする場合の第2動作クロックよりも低くなる。
【0038】
この低消費電力(マイコン用第1電源回路11)で動作しているときは動作クロックが低いため、マイコン10による電源同期検出信号の検出は、マイコン用第2電源回路22の第2動作クロックの場合に比べて大きい周期で検出せざるを得ない。通常、矩形波電圧の時間を判定したいときは、その判定する時間未満の検出周期で実施することが好ましい。しかし、前述した動作クロックが低いときは、検出周期が大きくなってしまう。
【0039】
図12は、動作クロックから決まる検出周期を示す図である。図12に示す通り、マイコン10による検出周期t3は、電源同期検出信号の発生周期T0から、検出周期t3の整数n倍した値を引いた差分「T0−t3×n」が、検出したい矩形波電圧の時間t1よりも小さければ検出することができる。
すなわち、
T0−t3×n<t1・・・式(6)
であれば検出することができる。
このとき、検出できるまでの最長の時間T1は、図12より、
T1=(t3/(T0−t3×n)×T0)−t3
(ただし、n=1,2,…の整数で、t1>0となる最大値)
で示すことができる。
【0040】
すなわち、マイコン10は、商用電源31が投入されるとマイコン用第1電源回路11を電源として動作を開始し、マイコン用第1電源回路11を電源として動作を開始すると電源同期回路23によって出力された電圧を入力し、入力した電圧から第1動作クロックに応じて予め定められた前記式(6)を満たす第1検出周期t3で矩形波電圧のLow信号を検出する検出処理を開始する。マイコン10は、Low信号を検出した場合(交流電源31が正常の場合)には、制御信号の生成を開始し、かつ、電源をマイコン用第1電源回路11からマイコン用第2電源回路22に切り替える。一方、Low信号を検出しない場合(交流電源31が正常な電圧ではない場合)には、マイコン10は、制御信号の生成を開始しない(インバータ回路3を駆動しない)。また、マイコン10は、マイコン用第2電源回路22を電源として制御信号を出力中にLow信号を検出できなくなると、予め組み込まれているプログラムに従ってインバータ回路3の駆動を停止させる停止制御とインバータ回路3の出力を低減させる低出力制御とのいずれかを実行する。
【0041】
放電灯点灯装置103はマイコン用第2電源回路22を有している。マイコン10による駆動周波数(制御信号)出力後は、マイコン10は、マイコン用第2電源回路22から電力供給を受け、第1動作クロックよりもクロックの高い第2動作クロックで動作する。そこでマイコン10は、マイコン用第2電源回路22を電源とする場合には、第2動作クロックに応じて予め定められた第2検出周期で矩形波電圧のLow信号を検出する検出処理を実行する。検出周期を短くすることで、例えば、商用電源31の瞬時停電、または瞬時電圧低下を検出し、インバータ回路3を停止あるいは出力低減することで、部品の故障などを防止できる。
【0042】
実施の形態3の放電灯点灯装置103は、マイコン用第1電源回路11、マイコン用第2電源回路22及び電源同期回路23を備えた。このため、簡易な構成であり、しかも損失の少ないマイコン用の電源回路を提供できる。
【0043】
実施の形態4.
図13を参照して実施の形態4を説明する。図13は、実施の形態1、あるいは実施の形態2で説明した放電灯点灯装置を組み込んだ照明器具50の複数からなる照明システム1000を示す図である。
【0044】
図13は照明システム1000の全体図である。照明システム1000は、複数の照明器具50と、スイッチボックス70とを備える。各照明器具50は、器具本体51、反射板52及び放電灯8を装着するソケット53a,53bを備える。なお、図13ではソケット53bは器具本体51に隠れている。器具本体51には、実施の形態1、あるいは実施の形態2で説明した放電灯点灯装置が取り付けられている。器具本体51の長手方向両端部には放電灯点灯装置からの出力が電線を介して接続されている。図13では、器具本体21のランプソケットには放電灯8が取り付けられている。スイッチボックス70は、第1の電源スイッチ60を備えている。
【0045】
図13に示す照明システム1000では、それぞれの照明器具50の放電灯点灯装置が定電力制御を実施するので、放電灯の周囲環境によらず、一定の明るさを得ることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 整流回路、2 直流電源回路、3 インバータ回路、4 負荷回路、5 インダクタ、6,7 コンデンサ、8 放電灯、9 インバータ駆動回路、10 マイコン、11 マイコン用第1電源回路、12 電力検出回路、13 不揮発性メモリ、22 マイコン用第2電源回路、23 電源同期回路、50 照明器具、51 器具本体、52 反射板、53a,53b ソケット、60 電源スイッチ、70 スイッチボックス、101,102a,102b,103 放電灯点灯装置、1000 照明システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電灯を点灯させる放電灯点灯装置において、
交流電源を脈流電圧に整流する整流回路と、
前記整流回路から得られる脈流電圧を昇圧または降圧することにより直流電源を生成する直流電源回路と、
所定の周波数のドライブ信号に従って前記所定の周波数で駆動することにより前記直流電源回路から供給される直流電圧を高周波電圧に変換し、変換された高周波電圧を出力するインバータ回路と、
前記放電灯が装着されると共に、前記インバータ回路によって出力された前記高周波電圧が入力される負荷回路と、
前記所定の周波数の制御信号を生成して出力するマイクロコンピュータと、
前記マイクロコンピュータが出力した前記所定の周波数の前記制御信号から前記インバータ回路を駆動させる前記所定の周波数の前記ドライブ信号を生成し、生成された前記所定の周波数の前記ドライブ信号を前記インバータ回路に出力するインバータ駆動回路と、
前記放電灯が装着された前記負荷回路によって消費される消費電力に対応する直流電圧を検出する電力検出回路と
を備え、
前記マイクロコンピュータは、
予めリミット値として設定された周波数よりも高い周波数の範囲において、前記電力検出回路によって検出された前記直流電圧の値に基づいて前記制御信号の前記所定の周波数を修正することを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項2】
前記マイクロコンピュータは、
予め設定された閾値と前記電力検出回路によって検出された前記直流電圧とを比較し、比較結果に基づいて、前記制御信号の前記所定の周波数を修正することを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
【請求項3】
前記マイクロコンピュータは、
前記放電灯の予熱用の前記制御信号を出力する予熱モード、前記放電灯の始動用の前記制御信号を出力する始動モード、前記放電灯の点灯用の前記制御信号を出力する点灯モードに順次移行すると共に、前記始動モードから点灯モードに移行するときには、点灯用として予め設定された点灯周波数と前記点灯周波数の補正値として予め設定された点灯周波数補正値とに基づいて点灯用の前記制御信号を生成し、前記所定の周波数を修正するときには、前記リミット値のデフォルト値に前記デフォルト値の補正値が加算された値を前記リミット値として参照することを特徴とする請求項1または2記載の放電灯点灯装置。
【請求項4】
前記マイクロコンピュータは、
外部から電力出力情報を入力し、前記電力出力情報が所定の電力値のときの電力検出回路の電圧を検知して閾値を補正する補正値を算出することを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項5】
前記リミット値の前記デフォルト値の前記補正値は、
前記点灯周波数補正値と同じ値であることを特徴とする請求項3記載の放電灯点灯装置。
【請求項6】
前記放電灯点灯装置は、さらに、
前記補正値を記憶する記憶部を備えたことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項7】
前記放電灯点灯装置は、さらに、
前記整流回路から得られる脈流電圧と、前記交流電源の出力電圧を半波整流した電圧とのいずれかの電圧に基づく直流電圧を前記マイクロコンピュータに供給する前記マイクロコンピュータ用の第1電源回路と、
前記インバータ回路の出力に基づく直流電圧を前記マイクロコンピュータに供給する前記マイクロコンピュータ用の第2電源回路と、
投入された前記交流電源の電圧値が正常な場合には前記交流電源の前記電圧値に対応する矩形波電圧を一定の周期で出力し、前記投入された前記交流電源の電圧値が正常よりも低い場合には前記矩形波電圧のHigh信号に相当する電圧を出力する電源同期回路と
を備え、
前記マイクロコンピュータは、
前記第1電源回路を電源とする場合の第1動作クロックが前記第2電源回路を電源とする場合の第2動作クロックよりも低くなると共に、前記交流電源が投入されると前記第1電源回路を電源として動作を開始し、前記第1電源回路を電源として動作を開始すると前記電源同期回路によって出力された電圧を入力し、入力した前記電圧から前記第1動作クロックに応じて予め定められた第1検出周期で前記矩形波電圧のLow信号を検出する検出処理を開始し、前記Low信号を検出した場合には、前記制御信号の生成を開始し、かつ、電源を前記第1電源回路から前記第2電源回路に切り替え、前記Low信号を検出しない場合には、前記制御信号の生成を開始しないことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項8】
前記マイクロコンピュータは、
前記第2電源回路を電源として前記制御信号を出力中に前記Low信号を検出できなくなると、予め組み込まれているプログラムに従って前記インバータ回路の駆動を停止させる停止制御と前記インバータ回路の出力を低減させる低出力制御とのいずれかを実行することを特徴とする請求項7記載の放電灯点灯装置。
【請求項9】
前記マイクロコンピュータは、
前記第2電源回路を電源とする場合には、前記第2動作クロックに応じて予め定められた第2検出周期で前記矩形波電圧のLow信号を検出する検出処理を実行することを特徴とする請求項7または8のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の放電灯装置と、
前記放電灯装置の負荷回路に接続すると共に、前記放電灯が装着されるソケットと
を備えた照明器具。
【請求項1】
放電灯を点灯させる放電灯点灯装置において、
交流電源を脈流電圧に整流する整流回路と、
前記整流回路から得られる脈流電圧を昇圧または降圧することにより直流電源を生成する直流電源回路と、
所定の周波数のドライブ信号に従って前記所定の周波数で駆動することにより前記直流電源回路から供給される直流電圧を高周波電圧に変換し、変換された高周波電圧を出力するインバータ回路と、
前記放電灯が装着されると共に、前記インバータ回路によって出力された前記高周波電圧が入力される負荷回路と、
前記所定の周波数の制御信号を生成して出力するマイクロコンピュータと、
前記マイクロコンピュータが出力した前記所定の周波数の前記制御信号から前記インバータ回路を駆動させる前記所定の周波数の前記ドライブ信号を生成し、生成された前記所定の周波数の前記ドライブ信号を前記インバータ回路に出力するインバータ駆動回路と、
前記放電灯が装着された前記負荷回路によって消費される消費電力に対応する直流電圧を検出する電力検出回路と
を備え、
前記マイクロコンピュータは、
予めリミット値として設定された周波数よりも高い周波数の範囲において、前記電力検出回路によって検出された前記直流電圧の値に基づいて前記制御信号の前記所定の周波数を修正することを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項2】
前記マイクロコンピュータは、
予め設定された閾値と前記電力検出回路によって検出された前記直流電圧とを比較し、比較結果に基づいて、前記制御信号の前記所定の周波数を修正することを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
【請求項3】
前記マイクロコンピュータは、
前記放電灯の予熱用の前記制御信号を出力する予熱モード、前記放電灯の始動用の前記制御信号を出力する始動モード、前記放電灯の点灯用の前記制御信号を出力する点灯モードに順次移行すると共に、前記始動モードから点灯モードに移行するときには、点灯用として予め設定された点灯周波数と前記点灯周波数の補正値として予め設定された点灯周波数補正値とに基づいて点灯用の前記制御信号を生成し、前記所定の周波数を修正するときには、前記リミット値のデフォルト値に前記デフォルト値の補正値が加算された値を前記リミット値として参照することを特徴とする請求項1または2記載の放電灯点灯装置。
【請求項4】
前記マイクロコンピュータは、
外部から電力出力情報を入力し、前記電力出力情報が所定の電力値のときの電力検出回路の電圧を検知して閾値を補正する補正値を算出することを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項5】
前記リミット値の前記デフォルト値の前記補正値は、
前記点灯周波数補正値と同じ値であることを特徴とする請求項3記載の放電灯点灯装置。
【請求項6】
前記放電灯点灯装置は、さらに、
前記補正値を記憶する記憶部を備えたことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項7】
前記放電灯点灯装置は、さらに、
前記整流回路から得られる脈流電圧と、前記交流電源の出力電圧を半波整流した電圧とのいずれかの電圧に基づく直流電圧を前記マイクロコンピュータに供給する前記マイクロコンピュータ用の第1電源回路と、
前記インバータ回路の出力に基づく直流電圧を前記マイクロコンピュータに供給する前記マイクロコンピュータ用の第2電源回路と、
投入された前記交流電源の電圧値が正常な場合には前記交流電源の前記電圧値に対応する矩形波電圧を一定の周期で出力し、前記投入された前記交流電源の電圧値が正常よりも低い場合には前記矩形波電圧のHigh信号に相当する電圧を出力する電源同期回路と
を備え、
前記マイクロコンピュータは、
前記第1電源回路を電源とする場合の第1動作クロックが前記第2電源回路を電源とする場合の第2動作クロックよりも低くなると共に、前記交流電源が投入されると前記第1電源回路を電源として動作を開始し、前記第1電源回路を電源として動作を開始すると前記電源同期回路によって出力された電圧を入力し、入力した前記電圧から前記第1動作クロックに応じて予め定められた第1検出周期で前記矩形波電圧のLow信号を検出する検出処理を開始し、前記Low信号を検出した場合には、前記制御信号の生成を開始し、かつ、電源を前記第1電源回路から前記第2電源回路に切り替え、前記Low信号を検出しない場合には、前記制御信号の生成を開始しないことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項8】
前記マイクロコンピュータは、
前記第2電源回路を電源として前記制御信号を出力中に前記Low信号を検出できなくなると、予め組み込まれているプログラムに従って前記インバータ回路の駆動を停止させる停止制御と前記インバータ回路の出力を低減させる低出力制御とのいずれかを実行することを特徴とする請求項7記載の放電灯点灯装置。
【請求項9】
前記マイクロコンピュータは、
前記第2電源回路を電源とする場合には、前記第2動作クロックに応じて予め定められた第2検出周期で前記矩形波電圧のLow信号を検出する検出処理を実行することを特徴とする請求項7または8のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の放電灯装置と、
前記放電灯装置の負荷回路に接続すると共に、前記放電灯が装着されるソケットと
を備えた照明器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−272424(P2010−272424A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124587(P2009−124587)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】
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