説明

放電灯点灯装置

【課題】異なる同期信号の情報に基づくランプ点灯させた場合でも、それぞれの同期信号で生じた照度の違いを補正して異なる同期信号の場合でも照度を一定にする。
【解決手段】制御回路12から出力される駆動信号aに基づき、コンバータ13のスイッチング素子Qをスイッチングさせて入力した直流電源11の電圧を所望の直流電圧に変換させて出力する。コンバータ13の出力電圧を、駆動パルスg,g’に基づき、インバータ15のスイッチング素子Q2,Q3をスイッチングさせて交流電圧に変換し、放電灯16に供給する。読み取り用の異なる同期信号eが供給された場合に、制御回路12からインバータ13を制御する駆動パルスg,g’の制御を行い、異なる同期信号の場合でも放電灯16の照度の一定化を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、スキャナー等の読み取り用光源として用いる外面電極蛍光ランプ等のような容量性を有する放電灯を点灯させる放電灯点灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の同期信号を使用し色度を安定させる機能を備えた放電灯点灯装置は、インバータを構成するハーフブリッジを駆動パルスで駆動している。ハーフブリッジは、スイッチング用のスイッチ素子を用い、スイッチ素子の制御端子を同期信号に基づく期間で交互にオン/オフ制御することにより、イメージセンサに与える読取同期信号に基づく期間内に、放電灯の駆動パルス数が一定になるようにしている。(例えば、特許文献1)
【特許文献1】特開2005−109591公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した特許文献1の技術は、異なる同期信号を制御回路の制御端子から供給し、異なる同期信号であっても制御回路から出力されたる駆動パルスのオン/オフを一致させることにより発振を休止させるポイントを異なる同期信号に同一させることは困難である。異なる同期信号によってランプ電流の波形が異なると照度に差が生じてしまう、という問題があった。
【0004】
この発明の目的は、異なる同期信号が入力された場合であっても一定の照度を得ることができるランプ点灯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するために、この発明の放電灯点灯装置は、透光性バルブに対向配置された電極に電力を供給し、前記バルブ内の封入された放電媒体を放電させ点灯させる放電灯の点灯装置おいて、駆動信号に基づきスイッチング素子をスイッチングさせて入力した直流電圧を所望の直流電圧に変換して出力するコンバータと、前記コンバータの出力電圧を駆動パルスに基づきスイッチング素子をスイッチングさせて交流電圧に変換し、前記放電灯に供給するインバータと、読み取り用の異なる同期信号が供給された場合に、前記インバータの駆動パルスの制御を行い、前記放電灯の照度を一定にする制御回路と、を具備したことを特徴する。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、異なる同期信号の情報に基づくランプ点灯させた場合でも、それぞれの同期信号で生じた照度の違いを補正し、どの同期信号でも照度を一定にすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0008】
図1は、この発明の放電灯点灯装置に関する第1の実施形態について説明するための回路構成図である。
【0009】
図1において、11は例えば24Vの直流電源であり、直流電源11の負極は接地し、正極は電解コンデンサC1を介して接地するとともに、例えばマイコンで構成される制御回路12の電源とするとともにコンバータ13を構成するチョークコイルLの一端に接続する。
【0010】
コンバータ13は、チョークコイルLの他端をダイオードDのアノードに接続するとともに、ソースが接地されたMOS型FETを用いたスイッチ素子Q1のドレインに接続する。スイッチ素子Q1のゲートは抵抗R1を介してスイッチ素子Q1のソースに接続する。ダイオードDのカソードはコンデンサC2を介して接地する。
【0011】
コンバータ13の出力端であるダイオードDとコンデンサC2の接続点は、抵抗R2,R3で構成する電圧検出部14の抵抗R2の一端に接続するとともに、放電ランプ16の駆動電圧を生成する手段であるインバータ15を構成するトランスTRの1次側コイルL1,L2の接続点に接続する。1次側コイルL1,L2の他端は、例えばMOS型FETを組み合わせたソースが接地されたハーフブリッジを構成するスイッチ素子Q2,Q3のドレインにそれぞれ接続する。電圧検出部14の抵抗R2,R3の接続点は、電圧検出信号として制御回路12に供給する。
【0012】
トランスTRは、コンバータ13から出力される直流電圧を、スイッチ素子Q2,Q3の制御に基づき交流電力に変換させ、コイルL1,L2より巻線数の多い2次側のコイルL3から高圧に変換させて矩形波状の高周波電圧を放電ランプ16に供給している。放電ランプ16は、例えば内部に希ガスを主体とする放電媒体が封入された石英ガラス製のバルブの内面または外面に配設された一対の電極を備えた外面電極型である。
【0013】
制御回路12には同期信号が制御端子Tcから供給される。同期信号は、放電ランプ16を例えばカラーあるいはモノクロ複写における画像の読み取り周期に対応した照度に切り換えるもので、周波数はモノクロの場合が高く、カラーの場合が低い設定となっている。制御回路12は、制御端子Tcに供給された同期信号に基づき、コンバータ13のスイッチ素子Q1のオンデューティを制御する制御信号を出力する。
【0014】
さらに、制御回路12は、ドライバ18に制御信号を供給し、インバータ15のスイッチ素子Q2とQ3を交互にオンオフさせる駆動パルスを出力している。スイッチ素子Q2とQ3が交互にオンオフすることで交流に変換し、2次側のコイルL3から高い交流電圧を誘起させ、この交流電圧で放電ランプ16を点灯させている。
【0015】
次に、コンバータ13の動作について、図2のタイミングチャートを参照しながら説明する。
制御回路12から図2(a)に示す駆動信号aがコンバータ13のスイッチ素子Q1のゲートに供給されると、スイッチ素子Q1は、オンオフ動作が行われる。スイッチ素子Q1がオンしたときにチョークコイルLにエネルギーを蓄積し、オフした瞬間に、蓄積されたエネルギー移行が負荷側に行われ、図2(b)に示す例えば5倍程度に昇圧された電圧出力bが得られる。移行したエネルギーは、ダイオードDとコンデンサC2により整流され、コンバータ13の出力として図2(d)に示す直流の出力電圧Vdが得られる。出力電圧Vdは、図2(b)の電圧出力bのデューティにより異なってくる。つまり、電圧出力bのパルス幅が狭いと出力電圧Vdは大きく、パルス幅が広いと出力電圧Vdは小さい値となる。なお、図2(c)は図2(b)の電流波形を示す。
【0016】
次に、図1の制御回路12の制御端子Tcに同期信号eが供給された場合の動作について、図3のフローチャートおよび図4、図5の説明図とともに説明する。
【0017】
先ず、制御回路12は、同期信号eが制御端子Tcから供給されたかを判断し(S1)、同期信号eが供給された場合、同期信号eがカラー(e1)であるかモノクロ(e2)であるかの判断を行う(S2)。
【0018】
同期信号eがカラーe1であった場合の制御回路12は、予めカラー用に設定されたデューティの図2(a)の駆動信号aをスイッチ素子Q1のゲートに供給し(S3)、スイッチ素子Q1をオンオフ制御する。コンバータ13から同期信号eのデューティに基づいた直流電圧Vdを出力し(S4)、インバータ15のトランスTRの1次側コイルL1,L2に供給する。ここでの直流電圧Vdは、図4のVd1に相当する。
【0019】
同時に制御回路12は、駆動回路17に対して制御信号を供給し、出力からスイッチ素子Q2とQ3を交互にオンオフさせる駆動パルスg,g’を出力する(S5)。インバータ15から直流電圧Vd1に相当のランプ電流を出力し(S6)、このランプ電流で放電ランプ16を駆動し、図5の破線で示すカラー照度を、実線に示すモノクロと同じ照度に上昇させ修正する(S7)。
【0020】
同期信号eがモノクロe2であった場合の制御回路12は、予めモノクロ用に設定されたデューティの図2(a)の駆動信号aをスイッチ素子Q1のゲートに供給し(S8)、スイッチ素子Q1をオンオフ制御する。コンバータ13から同期信号eのデューティに基づいた直流電圧Vdを出力し(S9)、インバータ15のトランスTRの1次側コイルL1,L2に供給する。ここでの直流電圧Vdは、図4のVd2に相当する。
【0021】
同時に制御回路12は、駆動回路17に対して制御信号を供給し、出力からスイッチ素子Q2とQ3を交互にオンオフさせる駆動パルスg,g’を出力する(S10)。インバータ15から直流電圧Vd2に相当のランプ電流を出力し(S11)、このランプ電流で放電ランプ16を駆動し、図5の実線に示す照度での点灯を行う(S7)。
【0022】
このように、同期信号がカラーであった場合は、コンバータ13の出力電圧を上昇させて放電ランプ16の照度を上昇させ、モノクロであった場合の放電ランプ16の照度を合わせるような光量に制御を行う。
【0023】
この実施形態では、カラーとモノクロで異なる同期信号で生成されるコンバータの出力直流電圧を同様の値に制御することにより、放電ランプの光量をほぼ一定にすることが可能となる。
【0024】
なお、この実施形態では、同期信号がカラーの場合に放電ランプの光量を上げるようにしたが、逆にカラーの光量をモノクロに合うような光量の制御を行っても構わない。さらに、カラーとモノクロの中間をとるやり方でも構わない。
【0025】
図6、図7は、この発明の放電灯点灯装置に関する他の実施形態について説明するためのもので、図6はフローチャート、図7は同期信号がモノクロの場合のタイミングチャートである。以下、図6、図7について図1を参照しながら説明する。
【0026】
先ず、制御回路12は、同期信号eが制御端子Tcから供給されたかを判断し(S1)、同期信号eが供給された場合、同期信号eの同期中に入る駆動パルスg(g’)数が奇数か偶数かの判断を行う(S2)。
【0027】
ステップS2において、図7(e)に示す同期信号eに基づく駆動パルスg(g’)が偶数であったと判断すると、制御回路12は、同期信号eのデューティを延ばし(S3)、図7(e’)の同期信号(e’)を駆動回路17に供給する(S4)。駆動回路17では、同期信号e’に基づきスイッチング素子Q2,Q3を駆動する駆動パルスとして図7に示すgg(gg’)を出力し(S5)、インバータ15から図7(i)に示すランプ電流iを出力する。
【0028】
ところで、偶数の駆動パルスでスイッチング素子Q2,Q3を駆動した場合に、ランプ電流iを示す図7(i)の+側電流ピーク値Aと−側電流ピーク値Bが違うことにより、オン/オフのタイミングで同期が+側に入るか−側に入るかにで、奇数の駆動パルスとの間に差が生じる。しかし、異なる同期信号eに関係なく、駆動パルスを奇数にすることにより、ランプ電流iの波高値の違いで生じる照度変動を抑えることができる。
【0029】
この実施形態では、制御回路で同期信号の周波数を判別し、偶数パルスになる周波数の場合には制御回路から出力される駆動パルスのデューティを変えて発振休止期間を延ばし強制的に奇数の駆動パルスとすることで、異なる周波数の同期信号に対しても、放電ランプの照度一定化を図ることができる。
【0030】
図8、図9は、この発明の放電灯点灯装置に関する第3の実施形態について説明するための、図8はフローチャート、図9はタイミングチャートである。以下、図8、図9について図1とともに説明する。
【0031】
この実施形態は、異なる同期信号を検出し、検出結果に基づきインバータを制御する駆動パルスを変更することで、放電ランプの照度を一定しようとしたものである。
【0032】
すなわち、制御回路12に供給される同期信号eが供給されると(S1)、カラーかモノクロかを検出し(S2)する。
【0033】
ステップS2でカラーと判断されると、図9(b)に示す駆動パルスg/g’を生成し、スイッチ素子Q2,Q3を駆動する(S3)。インバータ15からは、スイッチ素子Q2,Q3を駆動する駆動パルスg/g’に対応したランプ電流iを出力し、放電ランプ16を駆動する(S4)。
【0034】
ステップS2でモノクロと判断されると、図9(d)に示す駆動パルスg/g’を生成し、スイッチ素子Q2,Q3を駆動する(S5)。インバータ15からは、スイッチ素子Q2,Q3を駆動する駆動パルスg/g’に対応したランプ電流iを出力し、放電ランプ16を駆動する(S4)。
【0035】
このように、周期の異なる同期信号であっても、インバータを駆動する駆動パルスを制御することで、放電ランプの照度を一定にすることができる。
【0036】
この実施形態では、異なる読み取り用の同期信号の検出を行い、検出結果に基づいた放電ランプの照度の出力を得ることができことから、放電灯の点灯装置の共通化を図ることができる。
【0037】
図10は、この発明の放電灯点灯装置に関する第4の実施形態について説明するためのフローチャートである。図10について図1、図2とともに説明する。
【0038】
この実施形態は、異なる同期信号を検出し、検出結果に基づきコンバータを制御する駆動信号を変更することで、放電ランプの照度を一定化しようとするものである。
【0039】
図10において、制御回路12に供給される同期信号eが供給されると(S1)、カラーかモノクロかを検出し(S2)する。
【0040】
ステップS2でカラーと判断されると、制御回路12はオンデューティの広い駆動信号aを出力し、コンバータ13のスイッチ素子Q1をオンオフさせる。このとき駆動信号aに対応した値の直流電圧Vdを生成し(S4)、コンバータ13からインバータ15に供給される。
【0041】
インバータ15は、カラーの読み取り用の同期信号eに基づいた駆動パルスg,g’でスイッチ素子Q2,Q3を駆動し、インバータ15に供給される直流電圧Vdとにより、ランプ電流iを出力し、放電ランプ16を点灯させる(S5)。
【0042】
ステップS2でモノクロと判断されると、制御回路12はオンデューティの狭い駆動信号aを出力し、コンバータ13のスイッチ素子Q1をオンオフさせる。このとき駆動信号aに対応した値の直流電圧Vdを生成し(S6)、コンバータ13からインバータ15に供給される。
【0043】
インバータ15は、カラーの読み取り用の同期信号eに基づいた駆動パルスg,g’でスイッチ素子Q2,Q3を駆動させ、インバータ15に供給される直流電圧Vdとにより、ランプ電流iを出力し、放電ランプ16を点灯させる(S7)。
【0044】
この実施形態でも、異なる読み取り用の同期信号の検出を行い、検出結果に基づいた放電ランプの照度の出力を得ることができことから、放電灯の点灯装置の共通化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明の放電灯点灯装置に関する第1の実施形態について説明するための回路構成図。
【図2】図1の動作について説明するためのタイミングチャート。
【図3】図1の動作について説明するためのフローチャート。
【図4】図1の動作について説明するための説明図。
【図5】図1の動作について説明するための説明図。
【図6】この発明の第2の実施形態について説明するためのフローチャート。
【図7】この発明の第2の実施形態について説明するためのタイミングチャート。
【図8】この発明の第3の実施形態について説明するためのフローチャート。
【図9】この発明の第3の実施形態について説明するためのタイミングチャート
【図10】この発明の第4の実施形態について説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0046】
11 直流電源
12 制御回路
13 コンバータ
14 電圧検出部
15 インバータ
16 放電ランプ
17 駆動回路
Q1〜Q3 スイッチ素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性バルブに対向配置された電極に電力を供給し、前記バルブ内の封入された放電媒体を放電させ点灯させる放電灯の点灯装置おいて、
駆動信号に基づきスイッチング素子をスイッチングさせて入力した直流電圧を所望の直流電圧に変換して出力するコンバータと、
前記コンバータの出力電圧を駆動パルスに基づきスイッチング素子をスイッチングさせて交流電圧に変換し、前記放電灯に供給するインバータと、
読み取り用の異なる同期信号が供給された場合に、前記インバータの駆動パルスの制御を行い、前記放電灯の照度を一定にする制御回路と、を具備したことを特徴する放電灯点灯装置。
【請求項2】
前記同期信号の1周期に発生する前記駆動パルスの個数が偶数の場合は、奇数個に変換した駆動パルスで前記インバータを制御することを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
【請求項3】
前記同期信号の異なる周期を検出し、1周期当りに前記インバータのスイッチング素子に供給する駆動パルスを予め設定した回数印加したことを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
【請求項4】
前記同期信号の異なる周期を検出し、前記コンバータのスイッチング素子をスイッチングさせる駆動信号のデューティを制御して前記インバータの出力を制御したことを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−245764(P2009−245764A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−91279(P2008−91279)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】