説明

数値制御装置

【課題】特定の加工工程の加工部位の再加工を容易におこなうことができるとともに、容易に処理を実装することができる数値制御装置を提供する。
【解決手段】NCプログラム23aは、工程が実行順に記述されるとともに、工程はシーケンシャルファンクションチャート310のステップに対応し、加工機械50を各工程が実行される直前の工程別加工準備完了状態に至らせるための工程別加工準備指令が各工程の前段に記述され、NCプログラム実行手段25aは、実行開始ステップ設定手段116bで設定された実行開始ステップに対応する実行開始工程の前段に記述された工程別加工準備指令までスキップし、実行開始工程に対応する工程別加工準備指令を実行することにより、加工機械50を実行開始工程が実行される直前の工程別加工準備完了状態に至らせた後に、実行開始ステップに対応する実行開始工程からNCプログラム23aを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば加工機械の制御に用いる数値制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加工機械の制御装置には、工具軸を数値制御する数値制御部と治具等の補助装置を制御するシーケンス制御部を備えた数値制御装置がある。この数値制御部に用いられるプログラムは、NC言語により記述されたNCプログラムであり、シーケンス制御部に用いられるプログラムは、ラダー回路図や、シーケンシャルファンクションチャート(SFCプログラム)等のプログラム言語により記述されたシーケンスプログラムである。これらのNCプログラムおよびシーケンスプログラムは、加工機械の運転により、一連の加工動作が工程順におこなわれるようにプログラミングされている。
【0003】
例えば、工作物の加工をおこなうマシニングセンタの場合、図7に示すように、NCプログラムは、加工開始からいくつかの加工工程を経て加工完了に至るまでの指令が工程順にプログラミングされている。この加工開始には、初期設定、工作物座標系定義等、全ての工程に共通する準備指令が記述されている。加工工程は、工具交換、工作物座標系選択、加工位置決め等の加工準備指令と、加工部位ごとの加工動作指令と、から構成されている。加工工程は、加工をおこなうドリル、タップ等の工具単位で一つの工程をなすように構成されている。また、複数の加工部位を有する加工工程は、加工順に加工部位を変えて加工をおこなうように構成されている。
【0004】
ところで、このような工作物の加工において、加工完了後の加工精度検査により、特定の加工部位に精度不良が検出されたとき、精度不良の要因を取り除いた後に、この加工部位を再加工したい場合がある。特定の加工部位を再加工するには、NCプログラムにおいて、特定の加工部位の加工を含む加工工程の加工動作指令を実行する必要がある。ただし、加工動作指令の実行に先立って、加工準備指令が実行されている必要があるため、途中工程にある加工工程の場合、加工工程よりも前工程に記述された加工準備指令のブロックを実行開始位置とする必要がある。このため、特定の加工部位の再加工の操作は、NCプログラムを直接見て適切な実行開始位置を判断する必要があり、NC言語に精通した熟練者でなければ難しかった。
【0005】
特許文献1には、NCプログラムから工程の区切りを示す工程情報を作成し、この工程情報に基づき、工程をツリー表示することで、再加工する加工工程を選択させ、選択された加工工程に対応するNCプログラムを実行する制御装置が開示されている。オペレータは、ツリー表示された工程と工程に付けられたコメントを参照して、再加工する加工工程を選択することができる。そして、制御装置のNCプログラム実行処理は、NCプログラムを解析することにより、選択された加工工程の前工程に記述された加工準備指令を判断し、この加工準備指令のブロックを実行開始位置とすることで、途中工程にある加工工程の再加工をおこなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−89813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、複数の加工部位を有する加工工程において、再加工する加工部位を詳細に指定したい場合、ツリー表示された工程から加工工程を選択するだけでなく、NCプログラムを直接見て、再加工したい加工部位の実行開始位置のブロックを設定する必要があった。また、前述のNCプログラムの解析機能を備えたNCプログラム実行処理を実装するには、制御装置のシステムプログラムを変更する必要があり、システムプログラム開発を要するため、容易に実装することができないという問題があった。
【0008】
本発明はかかる問題点を解決するためになされたもので、特定の加工工程の加工部位の再加工を容易におこなうことができるとともに、容易に処理を実装することができる数値制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係わる発明は、上記の課題を解決するため、NC文とマクロ文とから構成されるNC言語により記述され加工機械の各動作工程を制御するためのNCプログラムと、前記NCプログラムを実行する数値制御部と、表示装置を有し前記NCプログラムの実行を操作する操作盤部と、を備え、前記数値制御部は、前記NCプログラムを記憶するプログラム記憶手段と、前記NCプログラムを実行するNCプログラム実行手段と、を備え、前記操作盤部は、前記NCプログラムの工程をシーケンシャルファンクションチャートのステップと対応させた前記シーケンシャルファンクションチャートを前記表示装置に表示するシーケンシャルファンクションチャート表示手段と、前記表示装置に表示された前記シーケンシャルファンクションチャートの前記ステップの1つを選択する選択手段と、前記選択手段により選択された前記ステップを実行開始ステップとする実行開始ステップ設定手段と、を備え、前記NCプログラムは、前記工程が実行順に記述されるとともに、前記工程は前記シーケンシャルファンクションチャートの前記ステップに対応し、前記加工機械を前記各工程が実行される直前の工程別加工準備完了状態に至らせるための工程別加工準備指令が前記各工程の前段に記述され、前記NCプログラム実行手段は、前記実行開始ステップ設定手段で設定された前記実行開始ステップに対応する実行開始工程の前段に記述された前記工程別加工準備指令まで前記NCプログラムをスキップし、前記実行開始工程に対応する前記工程別加工準備指令を実行することにより、前記加工機械を前記実行開始工程が実行される直前の工程別加工準備完了状態に至らせた後に、前記実行開始ステップに対応する実行開始工程から前記NCプログラムを実行することを特徴とする。
【0010】
請求項2に係わる発明は、請求項1に記載の数値制御装置であって、前記NCプログラムは、前記加工機械を全ての前記動作工程に共通する全工程共通加工準備完了状態に至らせるための全工程共通加工準備指令が1番目の前記工程別加工準備指令より前に記述され、前記NCプログラム実行手段は、前記全工程共通加工準備指令を実行した後に、前記実行開始ステップ設定手段で設定された前記実行開始ステップに対応する前記実行開始工程の前段に記述された前記工程別加工準備指令まで前記NCプログラムをスキップすることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係わる発明は、請求項1または2に記載の数値制御装置であって、前記操作盤部は、前記選択手段で選択された前記シーケンシャルファンクションチャートの前記ステップに対応する前記NCプログラムの工程が、前記動作工程のうちの前記加工機械が工作物に加工を施す加工工程を制御するものである場合、前記加工工程の加工動作指令の内容を示すダイアログボックス表示画面を前記表示装置に表示するダイアログボックス表示手段と、前記ダイアログボックス表示画面に前記工作物の図面または画像を表示するとともに、加工部位の加工位置番号を表示する加工部位表示手段と、前記加工工程における前記加工部位の加工開始位置番号を設定する加工部位設定手段と、を備え、前記NCプログラム実行手段は、前記加工部位設定手段に設定された前記加工開始位置番号に対応する前記加工工程の前記加工部位の前記加工動作指令から前記NCプログラムの実行を開始することを特徴とする。
【0012】
請求項4に係わる発明は、請求項1または2に記載の数値制御装置であって、前記数値制御装置は、前記NCプログラム実行手段が実行中の前記NCプログラムの実行中工程を記憶する実行工程記憶手段を備え、前記選択手段は、前記NCプログラム実行手段が前記NCプログラムの実行を中断したときに前記実行工程記憶手段に記憶されていた前記実行中工程に対応する前記シーケンシャルファンクションチャートの前記ステップを選択することを特徴とする。
【0013】
請求項5に係わる発明は、請求項3に記載の数値制御装置であって、前記数値制御装置は、前記NCプログラム実行手段が実行中の前記NCプログラムの前記実行中工程および前記実行工程中において実行中の前記加工部位の前記加工位置番号を記憶する実行工程記憶手段を備え、前記選択手段は、前記NCプログラム実行手段が前記NCプログラムの実行を中断したときに前記実行工程記憶手段に記憶されていた前記実行中工程に対応する前記シーケンシャルファンクションチャートの前記ステップを選択し、前記実行開始ステップ設定手段は、前記選択手段により選択された前記ステップを前記実行開始ステップとし、前記NCプログラム実行手段は、前記実行開始ステップ設定手段で設定された前記実行開始ステップに対応する前記実行開始工程の前段に記述された前記工程別加工準備指令まで前記NCプログラムをスキップし、前記実行工程に対応する前記工程別加工準備指令を実行することにより、前記加工機械を前記実行開始工程が実行される直前の工程別加工準備完了状態に至らせた後に、前記実行開始ステップに対応する前記実行開始工程の前記加工位置番号の前記加工部位の前記加工動作指令から前記NCプログラムを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上記のように構成した請求項1の発明によれば、数値制御装置の操作盤部の表示装置には、シーケンシャルファンクションチャート表示手段により、NCプログラムの工程がステップとして実行順に配列されて表示されている。オペレータは、選択手段により、このシーケンシャルファンクションチャートのステップの1つを選択し、実行開始ステップ設定手段により、このステップを実行開始ステップとして設定することができる。このとき、シーケンシャルファンクションチャートにおいて、工程順序が視覚的に表示されているので、オペレータは確実に実行開始ステップを設定することができる。そして、NCプログラムにおいて、加工機械の工程が実行順に記述されるとともに、加工機械を各工程が実行される直前の工程別準備完了状態に至らせるための工程別準備指令が各工程の前段に記述されている。そして、NCプログラム実行手段は、実行開始ステップ設定手段で設定された実行開始ステップに対応する実行開始工程の前段に記述された工程別準備指令までNCプログラムをスキップし、実行開始工程に対応する工程別準備指令を実行することにより、加工機械を実行開始工程が実行される直前の工程別準備完了状態に至らせた後に、実行開始ステップに対応する実行開始工程からNCプログラムを実行することができる。このように、実行開始工程を実行する前に、実行開始工程に対応する工程別準備指令を実行することにより、動作に必要な工作物座標系設定や工具設定等がおこなわれ、工程別準備完了状態に至らせているので、確実に実行開始工程の動作を実行することができる。オペレータは、シーケンシャルファンクションチャート上で実行開始ステップを設定するだけで、確実に実行開始工程を実行することができる。NCプログラムを直接見る必要がないので、NC言語に精通した熟練者でなくても、特定の工程を選択して実行することができる。このように、特定の工程を実行するための処理をNCプログラムにより構成しているので、NCプログラム編集機能を備えた周辺装置により、容易に処理を実装することができる。
【0015】
請求項2に係わる発明によれば、NCプログラムにおいて、加工機械を全ての動作工程に共通する全工程共通準備完了状態に至らせるための全工程共通準備指令が1番目の工程別準備指令より前に記述されている。そして、NCプログラム実行手段は、全工程共通準備指令を実行した後に、実行開始ステップ設定手段で設定された実行開始ステップに対応する実行開始工程の前段に記述された工程別準備指令までNCプログラムをスキップすることができる。このように、実行開始工程の1番目の工程別準備指令を実行する前に、加工機機械を全ての動作工程に共通する全工程共通準備完了状態に至らせるための全工程共通準備指令を実行することにより、工程別準備指令に必要な工作物座標系定義や工具定義等がおこなわれ、全工程共通準備完了状態に至らせているので、確実に1番目の工程別準備指令を実行することができる。オペレータは、シーケンシャルファンクションチャート上で実行開始ステップを設定するだけで、確実に実行開始工程の工程別準備指令を実行することができる。NCプログラムを直接見る必要がないので、NC言語に精通した熟練者でなくても、特定の工程を選択して、その工程の工程別準備指令を実行することができる。このように、特定の工程の工程別準備指令を実行するための処理をNCプログラムにより構成しているので、NCプログラム編集機能を備えた周辺装置により、容易に処理を実装することができる。
【0016】
請求項3に係わる発明によれば、数値制御装置の操作盤部の表示装置には、シーケンシャルファンクションチャート表示手段により、NCプログラムの工程がステップとして実行順に配列されて表示されている。オペレータは、選択手段により、このシーケンシャルファンクションチャートのステップの1つを選択することができる。このステップに対応するNCプログラムの工程が、動作工程のうちの加工機械が工作物に加工を施す加工工程を制御するものである場合、ダイアログボックス表示手段により、加工工程の加工動作指令の内容を示すダイアログボックス表示画面を表示することができる。また、加工部位表示手段により、ダイアログボックス表示画面に工作物の図面または画像を表示するとともに、加工部位の加工位置番号を表示することができる。さらに、加工部位設定手段により、加工工程における加工部位の加工開始位置番号を設定することができる。このとき、ダイアログボックス表示画面には、加工部位の加工位置番号が工作物の図面または画像上に表示されているので、加工開始置番号の設定を確実におこなうことができる。そして、NCプログラム実行手段により、加工部位設定手段に設定された加工開始位置番号に対応する加工工程の加工部位の加工動作指令からNCプログラムの実行を開始することができる。オペレータは、シーケンシャルファンクションチャート上のステップを選択し、ステップに対応する加工工程のダイアログボックス表示画面を表示する。そして、画面上に表示された工作物の図面または画像を参照して、加工部位の加工位置番号を設定することにより、確実に加工工程の加工部位の加工動作指令を実行することができる。オペレータがNCプログラムを直接見る必要がないため、NC言語に精通した熟練者でなくても、特定の加工工程の加工部位の加工動作指令の実行が可能である。
【0017】
請求項4に係わる発明によれば、数値制御装置は、実行工程記憶手段により、NCプログラム実行手段が実行中のNCプログラムの実行中工程を記憶することができる。そして、選択手段は、NCプログラム実行手段がNCプログラムの実行を中断したときに実行工程記憶手段に記憶されていた実行中工程に対応するシーケンシャルファンクションチャートのステップを選択することができる。このように、NCプログラムの実行を中断しても、実行中工程を記憶しているので、シーケンシャルファンクションチャート上で該当ステップを選択し、実行開始ステップとして設定することで、実行中工程を容易に再実行することができる。オペレータがNCプログラムを直接見る必要がないため、NC言語に精通した熟練者でなくても、実行中工程を容易に再実行することが可能である。
【0018】
請求項5に係わる発明によれば、数値制御装置は、実行工程記憶手段により、NCプログラム実行手段が実行中のNCプログラムの実行中工程および実行工程中において実行中の加工部位の加工位置番号を記憶することができる。そして、選択手段は、NCプログラム実行手段がNCプログラムの実行を中断したときに実行工程記憶手段に記憶されていた実行中工程に対応するシーケンシャルファンクションチャートのステップを選択することができる。このように、NCプログラムの実行を中断しても、実行中工程および実行工程中において実行中の加工部位の加工位置番号を記憶しているので、シーケンシャルファンクションチャート上で該当ステップを選択し、実行開始ステップとして設定することができる。NCプログラム実行手段は、実行開始ステップに対応する実行開始工程の前段に記述された工程別準備指令までNCプログラムをスキップし、実行工程に対応する工程別準備指令を実行することにより、加工機械を実行開始工程が実行される直前の工程別準備完了状態に至らせた後に、実行開始ステップに対応する実行開始工程の加工位置番号の加工部位の加工動作指令からNCプログラムを実行することができる。これにより、実行中工程の加工部位の加工動作指令を容易に再実行することができる。オペレータがNCプログラムを直接見る必要がないため、NC言語に精通した熟練者でなくても、実行中工程の加工部位の加工動作指令を容易に再実行することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態の数値制御装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態の数値制御装置を用いた加工機械の概略図。
【図3】本発明の実施形態の数値制御装置によるシーケンシャルファンクションチャート(SFCプログラム)の例。
【図4】本発明の実施形態の数値制御装置によるシーケンシャルファンクションチャート(NCプログラム)の例。
【図5】本発明の実施形態の数値制御装置によるダイアログボックス表示画面。
【図6】本発明の実施形態の数値制御装置によるNCプログラムのフローチャート。
【図7】従来のNCプログラムの構成例。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態の数値制御装置1を図面に従って説明する。
図1に示すように、数値制御装置1は、シーケンス制御部10と、数値制御部20と、操作盤部100から構成されている。シーケンス制御部10には、CPU11の内部バス12を介して、プログラムメモリ13、RAM14、ROM15、I/O制御回路17、信号入出力インターフェース18、通信インターフェース19が接続されている。
【0021】
数値制御部20には、CPU21の内部バス22を介して、プログラムメモリ23、RAM24、ROM25、サーボインターフェース27、信号入出力インターフェース28、通信インターフェース29が接続されている。
【0022】
表示部110は、液晶表示板121と、その液晶表示板121上を被覆した透明の電極板からなるタッチパネル122とにより構成されている。
【0023】
操作盤部100は、表示装置からなる表示部110を備え、CPU111の内部バス112を介して、RAM114、ROM115、表示部インターフェース118、通信インターフェース119が接続されている。
【0024】
シーケンス制御部10と操作盤部100は、それぞれの通信インターフェース19,119を介して接続されている。同様に、数値制御部20と操作盤部100は、それぞれの通信インターフェース29,119を介して接続されている。シーケンス制御部10と数値制御部20は、それぞれの信号入出力インターフェース18,28を介して接続されている。
【0025】
加工機械50は、シーケンス制御部10のI/O制御回路17を介して、補助装置41,42,43に接続されている。また、数値制御部20のサーボインターフェース27を介して、制御軸の各軸用のモータ31,32,33,34に接続されている。
【0026】
シーケンス制御部10のROM15は、システムプログラムに含まれるシーケンスプログラム実行処理部15aが格納されている。RAM14は、システムプログラムがシーケンスプログラム13aを実行する際に使用されるワークメモリ14aが設けられている。プログラムメモリ13には、加工機械50の運転動作を制御するためのSFCプログラムや補助装置41,42,43を制御するためのラダー回路図からなるシーケンスプログラム13aが格納されている。システムプログラムは、CPU11により実行されてシーケンス制御部10の全体を制御する。
【0027】
数値制御部20のROM25は、システムプログラムに含まれるNCプログラム実行手段であるNCプログラム実行処理部25aが格納されている。NCプログラム実行処理部25aは、NC文とマクロ文とから構成されるNC言語により記述されたNCプログラムを実行することができる。RAM24には、システムプログラムがNCプログラム23aを実行する際に使用されるワークメモリ24aが設けられている。プログラム記憶手段であるプログラムメモリ23には、工作物Wの加工をおこなうためのNCプログラム23aが格納されている。システムプログラムは、CPU21により実行されて数値制御部20の全体を制御する。
【0028】
操作盤部100のROM115は、システムプログラム116に含まれるシーケンシャルファンクションチャート表示手段116a、実行開始ステップ設定手段116b、ダイアログボックス表示手段116c、加工部位設定手段116d、加工部位表示手段116eが格納されている。RAM114は、システムプログラム116が、上記の表示手段116a〜116eを実行する際に使用されるワークメモリ114aが設けられている。システムプログラムは、CPU111により実行されて操作盤部100の全体を制御するとともに、オペレータの操作により、上記の表示手段116a〜116eを適宜呼び出す。上記の表示手段116a〜116eは、表示部インターフェース118を介して、表示部110に表示する。
【0029】
次に、本実施形態の数値制御装置を加工機械に用いた例を示す。
図2に示すように、加工機械150は、テーブル151と工具Tが取り付け可能な主軸装置154を有した、いわゆる立形マシニングセンタである。それぞれの軸部には駆動用のモータが取り付けられ、数値制御部20により制御されている。正面部には、パレット上の工作物Wを固定するジグクランプ装置(図示せず)およびクーラント装置(図示せず)を備え、側面部には、工具マガジン154およびATC155を備えている。数値制御装置1のシーケンス制御部10および数値制御部20は、制御箱156に格納されており、インターフェースを介して加工機械150の各軸モータおよび補助装置に接続されている。また、制御箱156の前面には表示部110を備えている。クーラント装置やATC155は、補助装置に該当し、NCプログラムからのM指令により制御される。
【0030】
加工機械150の制御の全体は、図1のシーケンス制御部10のプログラムメモリ13に格納されたシーケンスプログラム13aのSFCプログラムによりおこなわれている。このSFCプログラムは、制御手順を示す複数のステップと、これらステップを接続するリンクと、ステップから次のステップへの移行条件を示すトランジションとから基本的に構成される。
【0031】
工作物Wの加工は、数値制御部20のプログラムメモリ23に格納されたNCプログラム23aによりおこなわれる。このNCプログラム23aは、SFCプログラムのステップの1つから起動される。補助装置の制御は、シーケンス制御部10のプログラムメモリ13に格納されたシーケンスプログラム13aのラダー回路図によりおこなわれる。
【0032】
NCプログラム23aは、NCプログラム作成装置により作成されている。NCプログラム作成装置では、通常のNCプログラムの編集機能に加え、加工条件のパラメータを設定することで、直接NCプログラムを編集することなく、加工工程のNCプログラム23aが作成可能である。このように作成されたNCプログラム23aは、工程ごとに区分され、工程順に記述された構成となっている。
【0033】
図3のシーケンシャルファンクションチャート(SFCプログラム)300は、加工機械150の自動運転サイクルのSFCプログラムをシーケンシャルファンクションチャート形式として表示したものである。
【0034】
図3に示すように、シーケンシャルファンクションチャート(SFCプログラム)300は、イニシャルステップST001から開始され、次のステップST002にてジグクランプをおこない、工作物Wをクランプする。このクランプ動作はシーケンスプログラム13aにより制御される。トランジションTR002には、ジグクランプ動作完了を移行条件とするプログラムが設けられているので、ジグクランプ動作完了の信号が検出されると、次のステップST003に移行する。ステップST003により、工作物Wを加工するNCプログラム23aを起動し、工作物Wの加工をおこなっている。
【0035】
ここで、図1に示すように、数値制御部20は、シーケンス制御部10からNCプログラム23aが起動されると、プログラムメモリ23からNCプログラム23aを取得し、NCプログラム実行処理部25aにより、先頭ブロックから順次実行している。
【0036】
そして、図3のトランジションTR003には、工作物Wの加工完了を移行条件とするプログラムが設けられているので、加工完了の信号が検出されると、次のステップST004に移行する。ステップST004では、ジグアンクランプをおこなう。トランジションTR004には、ジグアンクランプ動作完了を移行条件とするプログラムが設けられているので、ジグアンクランプ動作完了の信号が検出されると、次のステップ305のジャンプステップに移行する。そして、ジャンプ先の先頭ステップST001に戻り、動作を繰り返すことで、自動運転サイクルが連続しておこなわれている。
【0037】
表示部110に表示されたシーケンシャルファンクションチャート(SFCプログラム)300において、選択手段のタッチパネル122からステップをオペレータがタッチすると、そのステップの内容が表示される。ステップの内容表示は、選択されたステップがシーケンス動作のステップの場合と、またはNCプログラム動作のステップの場合で異なる。
【0038】
シーケンス動作のステップであるステップST002が選択された場合、シーケンス制御部10から通信インターフェース19および119を介して、シーケンスプログラム13aのラダー回路図を取得する。そして、ラダー回路図から、ステップST002に対応する制御回路を検索し、該当した制御回路を表示部110に表示する。
【0039】
また、NCプログラム動作のステップであるステップST003が選択された場合、システムプログラム116は、シーケンシャルファンクションチャート表示手段116aを呼び出す。シーケンシャルファンクションチャート表示手段116aは、数値制御部20から通信インターフェース29および119を介して、ステップST003のコメントに記載された工作物Wの加工に対応したNCプログラム23aを取得する。シーケンシャルファンクションチャート表示手段116aは、工程別に区切られ、工程順に記述されたNCプログラム23aの各工程をシーケンシャルファンクションチャートのステップと対応させ、シーケンシャルファンクションチャート形式にして、表示部110に表示する。
【0040】
これにより、図4に示すように、NCプログラム23aは、シーケンシャルファンクションチャート(NCプログラム)310として表示される。このシーケンシャルファンクションチャートの形式は、シーケンシャルファンクションチャート(SFCプログラム)300の形式に等しい。
【0041】
次に、本実施形態のNCプログラムの概要について説明する。
以下、シーケンシャルファンクションチャート(NCプログラム)310に合わせ、各工程をステップと記している。
【0042】
このNCプログラム23aのステップST001は、加工開始の工程であり、初期設定等をおこなっている。ステップST002〜ステップST005は、全ての工程に共通する準備指令であり、それぞれ工作物座標系定義、工具長設定、熱変位補正、治具締め確認をおこなっている。
【0043】
ステップST006は、次に続くステップST007,ST008の加工工程に対応する加工準備指令をおこなう工程であり、加工に使用する工具T01に工具交換するとともに、動作時の工作物座標系選択をおこなっている。
【0044】
ステップST007の加工工程は、工作物Wの前面A部の取付面1の加工をおこない、ステップST008の加工工程は、工作物Wの前面B部の取付面2の加工をおこなっている。
【0045】
ステップST009は、次に続くステップST010の加工工程に対応する加工準備指令をおこなう工程であり、加工に使用する工具T02に工具交換するとともに、動作時の工作物座標系選択をおこなっている。
【0046】
ステップST010の加工工程は、工作物Wの前面A部のねじ穴のドリル加工をおこなっている。この加工工程の加工部位は、ねじ穴1およびねじ穴2の2箇所あり、最初にねじ穴1に位置決めして、加工をおこなった後、ねじ穴2に位置決めして、加工をおこなっている。
【0047】
ステップST011は、次に続くステップST012の加工工程に対応する加工準備指令をおこなう工程であり、加工で使用する工具T03に工具交換するとともに、動作時の工作物座標系選択をおこなっている。
【0048】
ステップST012の加工工程は、工作物Wの前面A部のねじ穴のタップ加工をおこなっている。この加工工程の加工部位は、ねじ穴1およびねじ穴2の2箇所あり、最初にねじ穴1に位置決めして、加工をおこなった後、ねじ穴2に位置決めして、加工をおこなっている。
【0049】
ステップST013は、次に続くステップST014の加工工程に対応する加工準備指令をおこなう工程であり、加工に使用する工具T05に工具交換するとともに、動作時の工作物座標系選択をおこなっている。
【0050】
ステップST014の加工工程は、工作物Wの前面C部のねじ穴のドリル加工をおこなっている。ステップST015は、加工完了の工程であり、加工完了処理をおこなっている。
【0051】
なお、トランジション411〜416は、図3のシーケンシャルファンクションチャート(SFCプログラム)300と形式を合わせるために付けられたものであり、プログラム要素ではない。
【0052】
次に、本実施形態の加工工程のダイアログボックス表示画面について説明する。
表示部110に表示されたシーケンシャルファンクションチャート(NCプログラム)310において、選択手段のタッチパネル122から加工工程に対応するステップをオペレータがタッチすると、システムプログラム116は、ダイアログボックス表示手段116cを呼び出す。
【0053】
図5に示すように、ダイアログボックス表示手段116cは、選択されたステップに対応するダイアログボックス表示画面550を表示する。加工部位表示手段116dにより、加工工程の加工部位と加工位置番号554,555が示された工作物の図面または画像553をダイアログボックス表示画面550の左側に表示している。また、NCプログラム23aから選択されたステップに対応する加工条件のパラメータ554を取得し、ダイアログボックス表示画面550の右側に表示している。画面下部には、加工部位の加工位置番号を入力する加工開始位置番号556を備えている。ダイアログボックス表示画面550が閉じられると、選択されたステップを実行開始ステップと加工開始位置番号556を設定する。さらに、実行開始ステップ番号および加工開始位置番号556は、数値制御部20へ通知され、ワークメモリに記憶される。また、実行開始ステップ番号が途中ステップの場合、途中ステップフラグをオン状態として、ワークメモリに記憶される。
【0054】
ダイアログボックス表示画面550において、実行開始ステップが設定されると、図4のシーケンシャルファンクションチャート(NCプログラム)310上の該当ステップに実行開始ステップを示す矢印マーク330が表示される。
【0055】
次に、本実施形態のNCプログラムの詳細をフローチャートを用いて説明する。
図4のステップST012に対応するNCプログラム23aのフローチャートを図6に示す。ステップST012は、コメントで示されているように、工作物前面A部のねじ穴のタップ加工をおこなう加工工程であり、ねじ穴1およびねじ穴2の2箇所の加工部位の加工をおこなっている。
【0056】
図6に示すように、ステップST012の加工工程では、実行開始ステップ番号を取得し、実行開始ステップ番号と自ステップ番号(12)を比較し、実行開始ステップ番号が自ステップ番号以下ならば、処理を継続し、実行開始ステップ番号が自ステップ番号より大きいならば、このステップST012をスキップする(ステップS001)。
【0057】
次に、途中ステップフラグがオン状態であるか判別し、オン状態でなければ、加工準備指令をスキップする(ステップS002)。
【0058】
途中ステップフラグがオン状態ならば、この工程の加工準備指令をおこなう(ステップS003)。この加工準備指令は、ATCによる工具交換、工作物座標系選択等の指令からなる。
【0059】
加工準備指令を完了した後、途中ステップフラグをオフ状態とする(ステップS004)。
【0060】
この加工準備指令を完了した状態は、NCプログラム23aを先頭から順に、この工程の直前まで実行した状態に等しい。ここで、途中ステップフラグは、実行開始ステップ番号が途中ステップである場合にオン状態に設定されているフラグである。
【0061】
次に、ねじ穴1を示す加工位置番号1に位置決めをおこなう(ステップS005)。そして、加工開始位置番号を取得し、加工開始位置番号と加工位置番号(1)を比較する(ステップS006)。
【0062】
加工開始位置番号が加工位置番号以下ならば、加工位置番号1の示すねじ穴1の加工動作指令をおこなう(ステップS007)。この加工動作指令は、加工位置番号1の示すねじ穴1のタップ動作の指令からなる。
【0063】
加工開始位置番号が加工位置番号より大きいならば、加工位置番号1の示す加工部位の加工をスキップする。加工動作指令の完了後、次の加工開始位置番号(2)を設定する(ステップS008)。
【0064】
次に、ねじ穴2を示す加工位置番号2に位置決めをおこなう(ステップS009)。そして、加工開始位置番号を取得し、加工開始位置番号と加工位置番号(2)を比較する(ステップS010)。
加工開始位置番号が加工位置番号以下ならば、加工位置番号2の示すねじ穴2の加工動作指令をおこなう(ステップS011)。この加工動作指令は、加工位置番号2の示すねじ穴2のタップ動作の指令からなる。
【0065】
加工開始位置番号が加工位置番号より大きいならば、加工位置番号2の示す加工部位の加工をスキップする。加工動作指令の完了後、次の加工開始位置番号(1)を設定する(ステップS012)。最後に、次の実行開始ステップ番号(13)を設定する(ステップS013)。
【0066】
なお、上記の実行開始ステップ番号、途中ステップフラグ、加工開始位置番号は、操作盤部100にて設定されたものが数値制御部20へ通知され、ワークメモリに記憶されたものを参照している。また、加工準備指令、加工動作指令等は、NC文により記述され、比較、判別等は、マクロ文により記述されている。
【0067】
上記のように構成された数値制御装置1によれば、工作物Wの加工完了後の加工精度検査により、特定の加工部位に精度不良が検出されたとき、精度不良の要因を取り除いた後に、この加工部位を再加工したい場合、以下の操作により再加工することができる。
【0068】
図1の操作盤部100において、図4のシーケンシャルファンクションチャート(NCプログラム)を操作盤部100の表示部110に表示する。
【0069】
オペレータが、図1のタッチパネル122から再加工したい加工工程に対応するステップをタッチすると、選択されたステップの加工内容を示す、図5のダイアログボックス表示画面が表示される。
【0070】
図5のダイアログボックスの表示画面には、選択されたステップに対応する加工工程の加工条件のパラメータおよび加工工程の加工部位と加工位置番号が示された工作物Wの図面または画像が表示されている。
【0071】
オペレータは、加工工程の加工部位と加工位置番号が示された工作物の図面または画像を参照しながら、再加工したい加工部位の加工位置番号を加工開始位置番号として設定する。そして、ダイアログボックスの表示画面を閉じることにより、選択されたステップを実行開始ステップと加工開始位置番号を設定する。
【0072】
これらの設定は数値制御部20へ通知される。操作盤部100の表示部110には、シーケンシャルファンクションチャート(NCプログラム)上の該当ステップに実行開始ステップを示す矢印マークが表示される。
【0073】
オペレータは、加工機械150が運転可能な状態であることを確認し、操作盤部100からNCプログラムの実行を指示すると、NCプログラム23aの実行が開始される。
【0074】
次に、上記のように構成されたNCプログラム23aの動作について説明する。
ここで、再加工する加工工程を実行開始ステップをST012、加工開始位置番号を2としている。
【0075】
図6に示すように、NCプログラム23aは、先頭ステップST001から順に実行される。ステップST001にて、初期設定がおこなわれる。ステップST002〜ステップST005にて、全ての動作工程に共通する加工準備指令がおこなわれる。
【0076】
ステップST006の加工準備工程は、実行開始ステップがST006でないのでスキップされる。また、ステップST007の加工工程は、実行開始ステップがST007でないのでスキップされる。同様にして、ステップST008〜ステップST011は、スキップされる。
【0077】
ステップST012の加工工程は、実行開始ステップがST012であるので処理が継続される。ステップST012は途中ステップなので、途中ステップフラグがオン状態に設定され、加工準備指令が実行される。
【0078】
次に、工具軸はねじ穴1を示す加工位置番号1に位置決めされる。そして、加工開始位置番号を取得し、加工開始位置番号と加工位置番号(1)を比較すると、加工開始位置番号が加工位置番号より大きいので、加工位置番号1の示す加工部位の加工をスキップされる。
【0079】
次に、工具軸はねじ穴2を示す加工位置番号2に位置決めされる。そして、加工開始位置番号を取得し、加工開始位置番号と加工位置番号(2)を比較すると、加工開始位置番号が加工位置番号以下なので、加工位置番号2の示す加工部位の加工動作指令が実行される。最後に、次の実行開始ステップ番号(13)が設定される。
【0080】
ステップST013の加工準備工程は、実行開始ステップが13であるのでスキップされず、加工準備指令がおこわれ、次の実行開始ステップ番号(14)が設定される。
【0081】
ステップST014の加工工程は、実行開始ステップが14であるので、加工動作指令がおこなわれ、次の実行開始ステップ番号(15)が設定される。
【0082】
ステップST015は、加工完了の工程であり、原位置復帰した後、加工完了の信号を出力し、NCプログラム23aの実行が終了する。
【0083】
このように、再加工をおこなう加工工程において、加工動作指令を実行する前に、加工動作に必要な加工準備指令を実行して、加工準備完了状態に至らせているので、確実に再加工の動作を実行することができる。再加工する加工工程は、NCプログラム23aのシーケンシャルファンクションチャート(NCプログラム)上に視覚的に表示された工程と各工程の概要を示すコメントを参照しながら設定できるので、再加工したい加工工程に対応するステップを確実に選択することができる。
【0084】
また、再加工する加工部位は、ダイアログボックス表示画面に表示された工作物の図面または画像を参照しながら設定できるので、再加工したい加工部位の加工開始位置番号を確実に設定することができる。NCプログラムを直接見る必要がないので、NC言語に精通した熟練者でなくても、再加工の設定操作をおこなうことができる。さらに、再加工の処理をNCプログラムにより構成しているので、制御装置のシステムプログラムの変更を不要とし、NCプログラム編集機能を備えた周辺装置により処理を容易に実装することができる。
【0085】
なお、本実施形態では、NCプログラム実行手段は、NCプログラムを先頭ブロックから順次実行しているが、実行開始ステップ設定手段で設定された実行開始ステップに対応する実行開始工程の前段に記述された工程別加工準備指令までジャンプすることにより、NCプログラムを工程別加工備指令までスキップしてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1:数値制御装置、
10:シーケンス制御部、 11:CPU、 12:内部バス、
13:プログラムメモリ、 13a:シーケンスプログラム、
14:RAM、 14a:ワークメモリ、 15:ROM、
15a:シーケンスプログラム実行処理部、
18:信号入出力インターフェース、 19:通信インターフェース、
20:数値制御部、 21:CPU、 22:内部バス、
23:プログラムメモリ、 23a:NCプログラム、
24:RAM、 24a:ワークメモリ、
25:ROM、 25a:NCプログラム実行処理部、
27:サーボインターフェース、 28:信号入出力インターフェース、
29:通信インターフェース、
31:X軸モータ、 32:Y軸モータ、 33:Z軸モータ、 34:主軸モータ、
41:補助装置1、 42:補助装置2、 43:補助装置3、 50:加工機械、
100:操作盤部、 110:表示部、 111:CPU、
112:内部バス、 114:RAM、 114a:ワークメモリ、
115:ROM、 116:システムプログラム、
116a:シーケンシャルファンクションチャート表示手段、
116b:実行開始ステップ設定手段、
116c:ダイアログボックス表示手段116c、
116d:加工部位設定手段、 116e:加工部位表示手段、
118:表示部インターフェース、 119:通信インターフェース、
121:液晶表示板、 122:タッチパネル、
150:加工機械、 151:テーブル、 152:パレット、
153:主軸装置、 154:工具マガジン、 155:ATC、 156:制御箱、
300:シーケンシャルファンクションチャート(SFCプログラム)、
301〜305:ステップ、
310:シーケンシャルファンクションチャート(NCプログラム)、
311〜325:ステップ、
330:矢印マーク、
401〜404:トランジション、
411〜424:トランジション、
550:ダイアログボックス表示画面
551:ステップ番号、 552:コメント、 553:図面または画像データ
554:パラメータ、 554,555:加工位置番号、
556加工開始位置番号、
T:工具、 W:工作物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
NC文とマクロ文とから構成されるNC言語により記述され加工機械の各動作工程を制御するためのNCプログラムと、
前記NCプログラムを実行する数値制御部と、
表示装置を有し前記NCプログラムの実行を操作する操作盤部と、
を備え、
前記数値制御部は、
前記NCプログラムを記憶するプログラム記憶手段と、
前記NCプログラムを実行するNCプログラム実行手段と、
を備え、
前記操作盤部は、
前記NCプログラムの工程をシーケンシャルファンクションチャートのステップと対応させた前記シーケンシャルファンクションチャートを前記表示装置に表示するシーケンシャルファンクションチャート表示手段と、
前記表示装置に表示された前記シーケンシャルファンクションチャートの前記ステップの1つを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された前記ステップを実行開始ステップとする実行開始ステップ設定手段と、
を備え、
前記NCプログラムは、前記工程が実行順に記述されるとともに、前記工程は前記シーケンシャルファンクションチャートの前記ステップに対応し、前記加工機械を前記各工程が実行される直前の工程別加工準備完了状態に至らせるための工程別加工準備指令が前記各工程の前段に記述され、
前記NCプログラム実行手段は、前記実行開始ステップ設定手段で設定された前記実行開始ステップに対応する実行開始工程の前段に記述された前記工程別加工準備指令まで前記NCプログラムをスキップし、前記実行開始工程に対応する前記工程別加工準備指令を実行することにより、前記加工機械を前記実行開始工程が実行される直前の工程別加工準備完了状態に至らせた後に、前記実行開始ステップに対応する実行開始工程から前記NCプログラムを実行することを特徴とする数値制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の数値制御装置であって、
前記NCプログラムは、前記加工機械を全ての前記動作工程に共通する全工程共通加工準備完了状態に至らせるための全工程共通加工準備指令が1番目の前記工程別加工準備指令より前に記述され、
前記NCプログラム実行手段は、前記全工程共通加工準備指令を実行した後に、前記実行開始ステップ設定手段で設定された前記実行開始ステップに対応する前記実行開始工程の前段に記述された前記工程別加工準備指令まで前記NCプログラムをスキップすることを特徴とする数値制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の数値制御装置であって、
前記操作盤部は、前記選択手段で選択された前記シーケンシャルファンクションチャートの前記ステップに対応する前記NCプログラムの工程が、前記動作工程のうちの前記加工機械が工作物に加工を施す加工工程を制御するものである場合、
前記加工工程の加工動作指令の内容を示すダイアログボックス表示画面を前記表示装置に表示するダイアログボックス表示手段と、
前記ダイアログボックス表示画面に前記工作物の図面または画像を表示するとともに、加工部位の加工位置番号を表示する加工部位表示手段と、
前記加工工程における前記加工部位の加工開始位置番号を設定する加工部位設定手段と、
を備え、
前記NCプログラム実行手段は、前記加工部位設定手段に設定された前記加工開始位置番号に対応する前記加工工程の前記加工部位の前記加工動作指令から前記NCプログラムの実行を開始することを特徴とする数値制御装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の数値制御装置であって、
前記数値制御装置は、前記NCプログラム実行手段が実行中の前記NCプログラムの実行中工程を記憶する実行工程記憶手段を備え、
前記選択手段は、前記NCプログラム実行手段が前記NCプログラムの実行を中断したときに前記実行工程記憶手段に記憶されていた前記実行中工程に対応する前記シーケンシャルファンクションチャートの前記ステップを選択することを特徴とする数値制御装置。
【請求項5】
請求項3に記載の数値制御装置であって、
前記数値制御装置は、前記NCプログラム実行手段が実行中の前記NCプログラムの前記実行中工程および前記実行工程中において実行中の前記加工部位の前記加工位置番号を記憶する実行工程記憶手段を備え、
前記選択手段は、前記NCプログラム実行手段が前記NCプログラムの実行を中断したときに前記実行工程記憶手段に記憶されていた前記実行中工程に対応する前記シーケンシャルファンクションチャートの前記ステップを選択し、
前記実行開始ステップ設定手段は、前記選択手段により選択された前記ステップを前記実行開始ステップとし、
前記NCプログラム実行手段は、前記実行開始ステップ設定手段で設定された前記実行開始ステップに対応する前記実行開始工程の前段に記述された前記工程別加工準備指令まで前記NCプログラムをスキップし、前記実行工程に対応する前記工程別加工準備指令を実行することにより、前記加工機械を前記実行開始工程が実行される直前の工程別加工準備完了状態に至らせた後に、前記実行開始ステップに対応する前記実行開始工程の前記加工位置番号の前記加工部位の前記加工動作指令から前記NCプログラムを実行することを特徴とする数値制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−114425(P2013−114425A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259575(P2011−259575)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】