説明

数字ディスプレイのハウジングの製造方法

【課題】数字ディスプレイのハウジングの製造方法を提供する。
【解決手段】
上下開口した複数の空間ユニットを有する反射蓋構造を成形する第1の射出成形工程であって、前記複数の空間ユニットが前記反射蓋構造上における複数の反射面からなる第1の射出成形工程と、透明プラスチックを前記複数の空間ユニットに成形し、成形後の前記透明プラスチックの外壁面と前記透明プラスチックの外壁面が接する反射面とを接合することで前記数字ディスプレイのハウジングを形成するようにする第2の射出成形工程と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数字ディスプレイのハウジングの製造方法に関し、特に製造工程を簡素化させ、数字ディスプレイのハウジングを生産するための製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
数字ディスプレイは、文字、数字、符号又は図形等の情報表示に対して開発された数字表示モジュールであり、現在、様々な電子製品(例えば家電、音響、撮影機、機材設備等の指示ライト又は表示装置)に広汎に応用され、発光ダイオード又は電場発光物質(electro−optical substance)によって文字又は図形を表示する。
【0003】
従来の数字ディスプレイの製造工程は、まず、数字ディスプレイの反射蓋構造を製造し、次に、エポキシ(epoxy)樹脂をアンダーフィルによって反射蓋構造に注入することによりハウジングを形成し、ベーキングを行った後、発光ダイオードチップを有する回路板を接合し、上記のハウジングにリフロー(reflow)する。
【0004】
しかしながら、従来の製造工程は下記の欠点を有している。
1.製造工程の時間が長すぎる:アンダーフィル製造工程は、ベーキング工程を行わないとエポキシ樹脂を固化成形できないため、全体の製造時間は、エポキシ樹脂をまず110℃で1.5時間熱処理(プリベーキングとも称する)し、さらに120℃で3時間固化処理(長ベーキングとも称する)する。よって従来の数字ディスプレイの製造工程は、時間が長すぎるという生産にとって不利となる欠点を有する。
【0005】
2.製品の欠陥が多い:現在のアンダーフィル製造工程は、アンダーフィル漏れ又はアンダーフィルの量不足が発生しやすいため、ベーキング工程が行われた後、パッケージゲル体の発光面に凹みが生じることがあり、これにより数字ディスプレイの発光ダイオードの発光特性にライトスポット、気泡又は発光不均一等が生じてしまう。
【0006】
3.製品の構造に変異が生じる:上述した1、2のように、エポキシ樹脂に対してベーキング固化工程を行う場合、エポキシ樹脂は、固化反応によって内応力が生じるため、反射蓋構造に彎曲変形が生じやすくなり、製品の構造に変異が起こり、製造工程の歩留まりが低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来のアンダーフィル製造工程の替わりに、透明プラスチックを射出成形によって反射蓋構造に固化成形することにより数字ディスプレイのハウジングを生成することができ、ベーキング/固化の時間を余計に必要としないため、数字ディスプレイのハウジングの製造時間を大幅に短縮することができる数字ディスプレイのハウジングの製造方法を提供することを課題とする。
【0008】
本発明は、数字ディスプレイのハウジングを2回の射出成形工程により直接製造し、アンダーフィル製造工程を必要としないため、従来の高温ベーキングにより樹脂材料が熱応力によって変形するという問題を回避することができる。さらに、本発明は、従来のアンダーフィル製造工程が使用されていないため、アンダーフィル時のアンダーフィル漏れ又はアンダーフィルの量不足が生じることはなく、これにより高温ベーキング固化された後に生じる発光面のライトスポット、気泡又は発光不均一の問題を回避することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、上下開口した複数の空間ユニットを有する反射蓋構造を成形する第1の射出成形工程であって、前記複数の空間ユニットは、前記反射蓋構造上における複数の反射面からなる第1の射出成形工程と、前記複数の空間ユニットに透明プラスチックを成形し、成形後の前記透明プラスチックの外壁面は、前記透明プラスチックの外壁面に接する反射面と接合することで前記数字ディスプレイのハウジングを形成する第2の射出成形工程と、を備えることを特徴とする数字ディスプレイのハウジングの製造方法を提供する。
【0010】
透明プラスチックは、熱塑性プラスチック又は熱固性プラスチックであってもよく、透明プラスチックが熱塑性プラスチックである場合、その主成分は、フェニレンジアミン(phenylenediamine、PPA)又はポリアミド(polyamide、PA)であってもよい。主成分がPPAである場合は、220℃以上である高温リフロー製造工程を通過する必要がある工程に適用できるため、SMT形式の数字ディスプレイに適用することができる。主成分がPAである場合は、高温リフロー製造工程を通過する必要がない工程、例えばDIP形式の数字ディスプレイに適用することができる。また、透明プラスチックが熱固性プラスチックである場合は、シリコンゲル又は樹脂材料であってもよい。
【0011】
第2の射出成形工程によって成形された透明プラスチックの表面上に、数字ディスプレイ製品の発光特性を高めるための異なる微構造(例えば横溝、V溝、等価凹レンズ構造等)、又はレンズ(lens)がさらに設けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】本発明に係る第1の実施形態の数字ディスプレイのハウジングの製造方法のフローである。
【図1B】本発明に係る第2の実施形態の数字ディスプレイのハウジングの製造方法のフローである。
【図2A】本発明に係る数字ディスプレイの反射蓋構造の背面立体模式図である。
【図2B】本発明に係る数字ディスプレイの反射蓋構造の正面立体模式図である。
【図3】本発明に係る数字ディスプレイの反射蓋構造上の空間ユニットの断面模式図である。
【図4A】本発明に係る第2の段階の射出成形工程の模式図である。
【図4B】本発明に係る第2の段階の射出成形工程の模式図である。
【図5A】本発明に係る第2の段階の射出成形工程の変化実施例の模式図である。
【図5B】本発明に係る第2の段階の射出成形工程の他の変化実施例の模式図である。
【図5C】図5Bにおける金型を除去した後の模式図である。
【図5D】本発明に係る第2の段階の射出成形工程の他の変化実施例の模式図である。
【図5E】本発明に係る第2の段階の射出成形工程の他の変化実施例の模式図であり、図5E(a)は透明プラスチックの内表面のパターン構造の上面図である。
【図6A】本発明に係る異なる態様の上金型の模式図である。
【図6B】本発明に係る異なる態様の上金型の模式図である。
【図6C】本発明に係る異なる態様の上金型の模式図である。
【図6D】本発明に係る異なる態様の上金型の模式図である。
【図6E】本発明に係る異なる態様の上金型の模式図である。
【図7A】本発明に係るハウジングが適用されて組み付けられた数字ディスプレイの光学分布グラフであり、発光表面が滑面である。
【図7B】本発明に係るハウジングが適用されて組み付けられた数字ディスプレイの光学分布グラフであり、発光表面が粗面である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る数字ディスプレイのハウジングの製造方法によれば、数字ディスプレイのハウジングを2つの階段の射出成形工程によって製造することにより、アンダーフィルやベーキング固化による数字ディスプレイの製造によって起こるエポキシ樹脂漏れ、アンダーフィル量の不均一、又はライトスポット、気泡又は発光不均一の製品問題が生じることを解決することができる。
【0014】
図1Aに示すように、本発明に係る製造方法は下記の工程を含む。
ステップS101:反射蓋構造を成形するための第1の射出成形工程を提供する。図2A及び図2Bに示すように、このステップにおいて、まず第1の段階の射出成形方法を用いて反射蓋構造10を製造する。反射蓋構造10は、数字ディスプレイのハウジングのメイン構造であり、後述の第2の段階の射出成形では、透明プラスチックを反射蓋構造10に成形し、数字ディスプレイのハウジングとして組み合わせることができる。なお、本発明において透明プラスチックの「透明」とは、特定の波長範囲の光が透過可能であり、通常、可視光範囲の波長であることを指す。また、反射蓋構造10には上下開口した複数の空間ユニット101が設けられる。図3は、図2Aにおける該空間ユニット101のいずれか一つの断面模式図であり、即ち反射蓋構造10に設けられる空間ユニット101の内の一つを示している。空間ユニット101は、反射蓋構造10における複数の反射面102からなる。本実施例において、図2A、図2Bに示す反射蓋構造10は、数字“8”及びその近傍にある小数点(decimal point,DP)“.”を表示するために構成されている。第1の段階の射出成形工程においては、横型射出成形機器により金型に合せながら反射蓋構造10を成形する。図2Bに示すように、本実施例における反射蓋構造10の正面は、上下開口した空間ユニット101を8つ有し、この8つの空間ユニット101に対して、後述する第2の段階の射出成形工程を行い、最終的に数字“8”を7つのセグメント(segment)により、近傍にある小数点“.”を一つのセグメントにより構成する。
【0015】
ステップS103:第2の射出成形工程を提供する。このステップにおいて、主に透明プラスチック11を上述した反射蓋構造10の空間ユニット101に成形させる。即ち第2の段階の射出成形である。図4A及び図4Bは、図3に示す空間ユニット101に対して行なわれる第2の射出成形工程の断面模式図を示す。透明プラスチック11を射出成形により該反射蓋構造10における空間ユニット101に成形させ、固化成形された透明プラスチック11の外壁面111が該反射面102と接合する。これにより反射蓋構造10と固化成形された透明プラスチック11とが数字ディスプレイのハウジングとして形成され、発光ダイオードを有する回路板と組み付けられることにより、数字ディスプレイが形成される。
【0016】
一方、上述した数字ディスプレイのハウジングの製造方法には、さらに印刷工程(例えば図1AにおけるステップS120又は図1BにおけるステップS105)が含まれてもよい。図1Aに示すように、具体的な製造工程において、この印刷工程(即ちステップS102)は、ステップS102の第1の段階の射出成形工程とステップS103の第2の段階の射出成形工程との間の工程であり、印刷機器設備を用いて反射蓋構造10上に所定の色彩を塗布する(例えば反射蓋構造10の正面にカラープレート番号に応じてインク印刷製造工程を行う)ことにより、上表面100に色彩又はパターンである印刷面(図2Bに示す)を形成する。また、図1Bに示すように、この印刷工程(即ちステップS105)は、ステップS103における第2の段階の射出成形工程の後に実施されてもよい。なお、この印刷工程は、下記の製造方法により達成することができる。一つ目の製造方法は、上述したインク印刷製造工程であり、二つ目の製造方法は、まず、パターン接着ピースを反射蓋構造10の正面に貼着し、レーザ選択により透明プラスチック11の成形領域に必要とするパターンを形成する方法。3つ目の製造方法は、反射蓋構造10の正面に対して全面の印刷を行った後、レーザ選択により透明プラスチック11の成形領域に必要とするパターンを製造することにより、反射蓋構造10の正面に色彩又はパターンを有する印刷面を形成する方法。
【0017】
本実施例においては、金型20を用いて第2の射出成形工程を行う。金型20は、下金型20Aと上金型20Bとの組み合わせであり、下金型20Aと突出構造201を有する上金型20Bとは、反射蓋構造10を上下から挟み込む。本実施例において、下金型20Aの数量は一つであり、一つの反射蓋構造10が載置され、反射蓋構造10の印刷面(即ち上表面100)に接する。好ましくは、下金型20Aに反射蓋構造10が完全に収容され、上金型20Bの突出構造201の寸法は、反射蓋構造10の空間ユニット101の中まで延伸して進入する長さである。また、上金型20Bは、突出構造201上に形成されたゲート2011をさらに有し、埋め込み直立式成形機器を用いて透明プラスチック11を上金型20Bのゲート2011より射出させ、空間ユニット101における残留空間(図4A及び図4Bにおける上金型20Bの突出構造201によって充満されていない領域、即ち下金型20A、反射面102及び突出構造202によって定義された空間である)に充填させ、最後に固化成形された透明プラスチック11の外壁面111を接触する反射面102と接合する。透明プラスチック11は、ベーキング製造工程を行うことなく固化成形できるため、本発明によれば、従来の樹脂をベーキングする場合における熱応力によって反射蓋構造10が容易に彎曲を起し、製品の欠陥が生じるという問題を解決することができる。
【0018】
また、この第2の射出成形工程を行う場合は、通常、下金型20Aが固定的であり、上金型20Bが可動的である。本実施例において一つの上金型20Bは、一つの突出構造201及び一つのゲート2011のみを有し、透明プラスチック11を単一の空間ユニット101に注入する。したがって、反射蓋構造10に複数の空間ユニット101がある場合、各空間ユニット101にそれぞれ対応する数量分の上金型20B、及び突出構造201とゲート2011が必要となる。つまり、一つの反射蓋構造10を形成するために必要な金型20の組み合わせは、一つの下金型20A及び複数の上金型20Bとなる。また、その他の可能な実施例として、単一の反射蓋構造10の形成に対応する金型20Hが単一の下金型20A及び単一の上金型20Bの組み合わせであってもよく、この場合、上金型20Bは、空間ユニット101の数量に対応する突出構造201及びゲート2011を有している。その際、単一の下金型20Aには同時に複数の反射蓋構造10(例えば6個又は8個の反射蓋構造10)が収容され、それに対応する単一の上金型20Bは、複数の反射蓋構造に含まれるすべての空間ユニットの個数分(反射蓋構造10が6個であったとすると、48個の空間ユニット101)の突出構造201及びゲート2011を有してもよい。即ち単一の下金型20Aと単一の上金型20Bとからなる金型20を用いて複数の反射蓋構造10を同時に形成することができる。しかしながら、その他の可能な実施例において、金型20は、一つの下金型20Aと一つの上金型20B、又は一つの下金型20Aと複数の上金型20Bとの組み合わせであるほか、単一である場合の上金型20Bは、複数の突出構造201を有するが単一のゲート2011しか有さない、又は突出構造201の数量よりもゲートが少ない場合に一つのゲート2011から同時に複数の空間ユニット101に透明プラスチック11を注入することができるように構成されてもよい。
【0019】
ここで注意すべき点は、本発明は、金型20の形態及び使用態様には制限がなく、例えば、本実施例のように上金型20Bに反射蓋構造10における空間ユニット101まで延伸して進入する突出構造201が設けられることに限定されず、突出構造201上に設けられたゲート2011の位置にも制限はない点である。本発明にかかるその他の可能な実施例として、上金型20Bには突出構造201を設けず、上金型20B上にゲート2011のみを設け、空間ユニット101の開口外に向けることで、透明プラスチック11を容易に注入するように構成してもよい。また、ゲート2011は、本実施例のように突出構造201の中央に設けることに限定されず、その他の可能な実施例において、ゲート2011を突出構造201の真中央より一側寄(後述する)に設けるように構成してもよい。また、透明プラスチック11は、空間ユニット101に注入される態様に限定されず、例えば、本実施例における突出構造201は、空間ユニット101まで延伸して進入し、透明プラスチック11が残留空間全体に充填されるが、その他の可能な実施例において、一部の残留空間のみに充填されるように構成してもよい。また、突出構造201を空間ユニット101の外にのみ設け、透明プラスチック11が空間ユニット101の全体又は空間ユニット101の一部分に充填されるようにしてもよい。言い換えれば、透明プラスチック11の空間ユニット101への固化成形、及び透明プラスチック11の空間ユニット101への充填については、如何なる方法又は金型を用いた場合においても本発明の実施態様に属する。
【0020】
具体的な実施例において、透明プラスチック11が熱塑性プラスチックである場合、その主成分は、フェニレンジアミン(phenylenediamine、PPA)であり、操作温度が220℃以上の高温リフロー製造工程を通過する。好ましくは該高温リフロー製造工程の操作温度は、240℃〜260℃であり、操作時間は、4〜5分間である。この実施例において、PPAを主成分とする透明材(即ち透明プラスチック11に相当する)は、スズ炉(IR−reflow,260℃,4.5分間)のリフロー製造工程を通過しても軟化しないものである。言い換えれば、上述したPPAを主成分とする透明材は、高温リフロー製造工程を通過する数字ディスプレイのハウジングの製造において本発明に係る製造方法が適用可能であり、SMT形式の数字ディスプレイ製品に適用することができる。
【0021】
他の具体的な実施例の熱塑性の透明プラスチック11は、ポリアミド(polyamide、PA)を主成分とする透明材であり、その特性は、ガラス転移温度(Tg)が200℃であるため、PAを主成分とする透明材は、高温リフロー製造工程を通過する必要がない数字ディスプレイのハウジングの製造において本発明に係る製造方法が適用可能であり、例えばDIP形式の数字ディスプレイ製品に適用することができる。また、熱塑性の透明プラスチック11は、少なくともポリアミド(PA)又はフェニレンジアミン(PPA)を含むが、これに限定されるものではない。
【0022】
一方、本発明に用いられる透明プラスチック11は、熱固性プラスチックであってもよく、例えば成分に少なくともシリカゲル又は樹脂材料を含む。熱固性の透明プラスチック11の製造工程は、上述した熱塑性の透明プラスチック11の製造工程と同様であるため、ここでは詳しい説明を省略する。また、透明プラスチック11は、上述したものに限定されず、例えば、異なる温度において異なる熱塑性又は熱固性の性質を有する複合性プラスチックであってもよい。
【0023】
本発明に係る具体的な実施例において、上述した成分の異なる透明プラスチック11のいずれにおいても、製品の発光特性を変更するために、少なくとも1種の添加剤、例えば拡散剤(その主成分は炭酸カルシウムである)、蛍光粉等が添加されてもよい。
【0024】
さらに、ステップS101の第1の段階の射出成形及びステップS103の第2の段階の射出成形の工程において、図5Aないし図5Eに示すように、下記の変形実施態様がある。
【0025】
図5Aを参照して、透明プラスチック11と反射蓋構造10との固着性及び結合性を強化するために、ステップS101における金型は、機械加工、放電加工又はその他の類似した製造工程を行うことにより、反射蓋構造10における空間ユニット101の少なくとも一つの反射面102上に第1の係合微構造1021、例えば空間ユニット101において下金型20Aと上金型20Bの突出構造201とによって定義される残留空間における複数の側辺反射面102上に第1の係合微構造1021を設けることができる。従って、第2の段階の射出成形の工程において、透明プラスチック11が空間ユニット101に注入された場合、固化成形された透明プラスチック11の外壁面111上に第1の係合微構造1021に対応する第2の係合微構造1110が成形される。互いに嵌合された第1の係合微構造1021及び第2の係合微構造1110により、固化された透明プラスチック11と反射蓋構造10との結合性を強化することができる。再び図5Aを参照して、図5Aは断面図であるため、該残留空間における両側辺の反射面102が第1の係合微構造1021を有することを示しているが、実際に該残留空間周囲の全体の反射面102(図2Bに示す数字8の一側の空間ユニット101が6つの側辺を有する)のいずれもが第1の係合微構造1021を有してよく、又は一側のみに第1の係合微構造1021が設けられてもよい。
【0026】
また、本発明に係る数字ディスプレイのハウジングと発光ダイオードとが組み付けられた後の発光特性を高めるために、固化成形された透明プラスチック11の発光表面112及び内表面113上に異なる構造を成形してもよい。以下にその構造にかかる製造方法を記す。
【0027】
ステップS103の第2の段階の射出成形工程において、上金型20Bの突出構造201には予め所定構造、例えば円弧状構造(図6Aに示す)、横溝構造(図6Bに示す)、V形溝構造(図6Cに示す)又は等価凹レンズに対応する凸状構造(図6Eに示す)等が設けられるが、これらに限定されない。透明プラスチック11は、第2の段階の射出成形工程の後、該透明プラスチック11の内表面113が上述円弧状構造、横溝構造、V形溝構造又は等価凹レンズに対応する凸状構造に対応してレンズ状(図4Bに示す)、横溝(図5B、図5Cに示す)、V形溝又は等価凹レンズ(図5Eの(a)、(b)に示す)のパターン構造1131に形成され、これにより、異なる内表面113の形態を製造することができ、異なる応用領域又は需要を満たすことができる。
【0028】
さらに、図5B、図5Cに示すように、ステップS103の第2の段階の射出成形工程において、下金型20Aには、例えば放電加工により微構造203を形成することができる。透明プラスチック11の射出成形工程の後、微構造203は、透明プラスチック11の発光表面112に転写され、光学微構造1121が形成される。これにより拡散光線機能を有する発光表面112の形態を製造することができ、スポット光源が面光源に近似するように拡散することができる。本実施例において、発光表面112の表面粗度(Ra:中心線平均粗度)は、1.6mm〜3.2mmであり、良好な光線霧化効果を有する。
【0029】
また、前述のように、本発明に係るその他の変化実施例において、上金型20Bは、以下の態様を有してもよい。図5Dと図6Dを併せて参照して、ゲート2011の位置を突出構造201の中央位置から突出構造201の一側に移すことにより、固化成形された透明プラスチック11が平滑の内表面113を有する。これにより光学性を高めることができる。また、図5E及び図6Eに示すように、光線が成形された後の透明プラスチック11における光混合効果をより好ましく、より均一にするように、一つの実施例においてゲート2011を突出構造201の一側に移すと共に、突出構造201上にフレスネルレンズ(Fresnel Lens)と等価の凹レンズに転写可能な凸状所定構造202を形成する。この凸状所定構造202は、同心リングに配置された複数の溝を有し、同心リングのサークル毎の溝断面形状が凸レンズの一部に近似している。フレスネルレンズと異なっているのは、同心リングがそれぞれ等ピッチで配置され、中心の最内サークルの同心リングの半径が2倍のピッチであり、異なる同心リングの溝が異なる高さ(最外サークルほど高くなる)を有している点である。このように構成された凸状の突出構造202に対して射出成形を行なうと、凸状の突出構造202に対応するフレスネルレンズと等価の凹レンズ形状のパターン構造1131を形成することができる。図5E(a)に示すように、パターン構造1131は、等ピッチHの同心リングを有し、最内サークルの同心リングが2倍のピッチHであり、図5E(b)に示すように、パターン構造1131の最外サークルの同心リングは、断面が凹レンズの一部に近似した最も深い溝を有し、内側の同心リングほど溝の深さが浅くなる。また、該パターン構造1131における各同心リングの溝の最頂端は略平行である。このように球面凹レンズを形成することができ、大きい発光角度を提供することができるとともに、同一の厚さに近似した光混合距離を提供することができる。これにより、均一性の優れた光線の生成が可能となる。その他の可能な実施例において、パターン構造1131を一般のフレスネルレンズ(図示せず)に成形してもよい。各同心リング毎は、溝の深さが同一であるが、異なるピッチを有し、各同心円上の溝の最頂端は、ほぼ平行とする。つまり一般の平凹レンズと等価の発散光線特性を提供することができる。この際、対応する所定構造202は、フレスネルレンズに対応する凸状構造である。
【0030】
また、図7A、図7Bは、本発明に係る製造方法を適用して製造された数字ディスプレイの光学分布グラフであり、透明プラスチック11を本発明に係る方法によって反射蓋構造10の空間ユニット101に固化成形させることにより数字ディスプレイのハウジングを形成するとともに、発光ダイオードを該ハウジングに入れることにより図2Bに示す数字“8”における底辺の空間ユニット101からなるセグメントAの光学分布特性を測定する。ここで、発光表面112は、平坦な平滑面であり、図7Aから分かるように、数字ディスプレイのハーフピークの幅比率は27.6%であり、ハーフピークの幅が40画素距離(pixel)であり、セグメントAの画素距離が約145画素距離である。また、図7Bを参照して、同様に本発明に係る方法を用いて数字ディスプレイを製造する。ここでは、発光表面112の粗度を1.6mmとし、図2Bに示す数字“8”の底辺空間ユニット101に基づいて構成されたセグメントAに対して光学測定を行う。図7Bから分かるように、粗度化された数字ディスプレイのハーフピーク幅比率は86.2%であり、セグメントAのハーフピークが約124画素距離の間であり、該セグメントAの画素距離が約145画素距離である。従って、本発明は、発光表面112の粗度により数字ディスプレイからの光線の霧化程度を変更することができ、均一の光学拡散効果を生成することがでる。つまり、ライトスポットの発生を効果的に回避することができる。
【0031】
上述のように、ステップS103の第2の段階の射出成形工程を用いて透明プラスチック11を成形し、固化成形された透明プラスチック11を反射蓋構造10と接合することができ、これにより数字ディスプレイのハウジングを製造することができる。さらに金型20上に異なる光学構造/微構造(例えば、上述した所定構造202又は微構造203)を設け、固化成形された透明プラスチック11上に所定構造202又は微構造203に対応するパターン構造1131又は光学微構造1121を転写することができる。また、ステップS103の後、金型20を取り外し、熱溶融接合等の技術を利用することにより発光ダイオードが設けられた回路板を成形されたハウジング上に組み付けることができ、発光ダイオードからの光線が反射蓋構造10の反射面102により集光され、透明プラスチック11の内表面113及び発光表面112を通じて出射される。さらに、上述の実施例における内表面113上のパターン構造1131又は発光表面112上の光学微構造1121を含む光学構造/光学微構造により、全体の拡散特性を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
上述のように、本発明は下記の利点を有している。
1.本発明は、第2の段階の射出成形工程を用いて透明プラスチックを反射蓋構造に固化成形しているため、従来のアンダーフィルの固化時間を節約することができる。本発明の具体的な実験データによれば、約4.5時間の節約が可能となった。つまり、本発明によれば、数字ディスプレイのハウジングの製造時間を大幅に短縮することができる。
【0033】
2.本発明は、従来の樹脂アンダーフィルの製造工程の替わりに、第2の段階の射出成形工程によって透明プラスチックを固化成形させているため、オーブンによるベーキング固化を行う必要がなく、従来の樹脂材料において起こるオーブンの高温環境を通過することによって生じる熱応力により反射蓋構造が変形するという問題を解決することができる。
【0034】
3.本発明は、従来の樹脂アンダーフィルの製造工程が使用されていないため、アンダーフィル漏れ又はアンダーフィルの量不足や、高温ベーキング固化によって発光面が凹むことによるライトスポット、気泡又は発光不均一という問題が発生しない。
【0035】
上述したものは、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。また、本発明の明細書及び図面に開示された内容に基づいてなされた修正・変更および置換え等は、いずれも本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
10 反射蓋構造
101 空間ユニット
102 反射面
1021 第1の係合微構造
100 上表面
11 透明プラスチック
111 外壁面
1110 第1の係合微構造
112 発光表面
1121 光学微構造
113 内表面
1131 パターン構造
20 金型
20A 下金型
20B 上金型
201 突出構造
2011 ゲート
202 所定構造
203 微構造
S101、S102、S103、S105 フロー工程
A セグメント
H ピッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
数字ディスプレイのハウジングの製造方法であって、
上下開口した複数の空間ユニットを有する反射蓋構造を成形する第1の射出成形工程であって、前記複数の空間ユニットが前記反射蓋構造上における複数の反射面からなる第1の射出成形工程と、
透明プラスチックを前記複数の空間ユニットに成形し、成形後の前記透明プラスチックの外壁面と、前記透明プラスチックの外壁面に接する反射面とを接合することで前記数字ディスプレイのハウジングを形成する第2の射出成形工程と、
を備えることを特徴とする数字ディスプレイのハウジングの製造方法。
【請求項2】
前記透明プラスチックは、操作温度が220℃以上、好ましくは240℃から260℃の高温リフロー製造工程を通過することを特徴とする請求項1に記載の数字ディスプレイのハウジングの製造方法。
【請求項3】
前記透明プラスチックには拡散剤又は蛍光粉である添加剤が添加され、及び/又は前記透明プラスチックは、少なくともポリアミド(polyamide、PA)又はフェニレンジアミン(phenylenediamine、PPA)を含む熱塑性プラスチックであることを特徴とする請求項1に記載の数字ディスプレイのハウジングの製造方法。
【請求項4】
前記第2の射出成形工程は、少なくとも一つの上金型及び一つの下金型を前記反射蓋構造に挟持させて実施され、前記上金型は、突出構造及びゲートを有し、前記突出構造が前記複数の空間ユニットのいずれか一つに延伸して進入し、前記透明プラスチックを前記ゲートを介して前記空間ユニットにおける前記下金型と前記複数の反射面と前記突出構造とによって定義される残留空間に充填させ、且つ前記突出構造が所定の構造を有することで、成形後の前記透明プラスチックの内表面に前記所定構造に対応するパターン構造が設けられ、及び/又は前記第1の射出成形工程において、前記複数の空間ユニットにおける少なくとも一つの反射面上に第1の係合微構造が設けられ、前記第2の射出成形工程において、成形後の前記透明プラスチックの外壁面上に、前記第1の係合微構造に対応する第2の係合微構造を有していることを特徴とする請求項1に記載の数字ディスプレイのハウジングの製造方法。
【請求項5】
前記所定構造が円弧状構造、横溝構造、V形溝構造又は等価凹レンズに対応する凸状構造となるように形成することにより、成形後の前記透明プラスチックの内表面はレンズ状、横溝、V形溝又は前記等価凹レンズのパターン構造を有し、及び/又は前記下金型には、成形後の前記透明プラスチックの発光表面に前記微構造に対応する光学微構造を有するようにするための微構造がさらに形成されていることを特徴とする請求項4に記載の数字ディスプレイのハウジングの製造方法。
【請求項6】
前記反射蓋構造上に所定の色彩が塗布される印刷工程を更に含み、前記印刷工程は、前記第1の射出成形工程と前記第2の射出成形工程との間に実施される、又は前記第2の射出成形工程の後に実施されることを特徴とする請求項1に記載の数字ディスプレイのハウジングの製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図7A】
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【図7B】
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【公開番号】特開2011−235627(P2011−235627A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280824(P2010−280824)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(508107788)旭麗電子(廣州)有限公司 (21)
【出願人】(503419697)光寶科技股▲分▼有限公司 (42)
【Fターム(参考)】