説明

整髪化粧料

【課題】高いセット力を有しながらもアレンジ力をも十分に兼ね備えた整髪化粧料を提供すること。従来の整髪化粧料の欠点を追求し、近年の消費者の要望を適えたヘアスタイル用商品として極めて有用な毛髪化粧料を提供すること。
【解決手段】本発明は、皮膜性高分子と、糖及び/又は糖アルコールとを含有する整髪化粧料において、(A)皮膜性高分子を1〜15質量%、(B)糖及び/又は糖アルコールを0.5〜30質量%、(C)エステル結合を含むロウを0.2〜15質量%、(D)液状油分とを含有し、さらに(E)(A)成分と(B)成分の含有量の質量比が(B)/(A)=1/2〜3、(F)(A)成分と(C)成分の含有量の質量比が(C)/(A)=1/5〜1、(G)(C)成分と(D)成分の含有量の質量比が(D)/(C)=1/2〜3/2であることを特徴とする整髪化粧料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は整髪化粧料に関する。さらに詳しくは、高いセット力を有しながらもアレンジ力をも十分に兼ね備えた整髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
整髪化粧料は、従来、ヘアジェル、ヘアフォーム、ヘアスプレー等が一般的であった。しかし、これらの整髪化粧料はヘアスタイルを皮膜性高分子で固めて維持するというものである。したがって、ヘアスタイルのセット力とセット力を持続する機能であるヘアスタイルキープ力に優れているが、ごわつきからくる感触の悪さが生じるという欠点があった。さらにセット力とそのキープ力に優れるが故に、一度セットしてしまうと再び違うヘアスタイルに再セットし難い、さらにはセット中にヘアスタイルをアレンジし難い即ちアレンジ力がないという機能面での悪さが欠点であった。
そして、糖アルコール誘導体等を配合してごわつきを低減させるための技術は開発されているものの、再セットは難しく、またアレンジ力にも乏しいというのが現状であり、また皮膜が脆くフレーキングが生じ易いという問題もあった(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
一方、近年若年層を中心に支持されてきているヘアワックスは、固形油脂の粘着性で毛髪を絡ませ動かしたりアレンジしたりできるものであるが、セット力やヘアスタイルキープ力の弱さが欠点であった(特許文献3)。
そして、その固定力や持続力を向上させるために、皮膜性高分子と半固体のワックスとを配合した技術も開発されてきている(特許文献4)。
しかしながら、アレンジ力に乏しく、真に消費者が望む整髪化粧料としてはまだまだ物足りないのが実情である。
【0004】
【特許文献1】特開2002-167317
【特許文献2】特開2006-69903
【特許文献3】特開平10-45546
【特許文献4】特開2005-239555
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は上述した観点に鑑み鋭意研究した結果、(A)皮膜性高分子と(B)糖及び/又は糖アルコールと(C)エステル結合を含むロウと(D)液状油分のそれぞれを特定量含有し、さらに各成分の含有量が特定の質量比になるように調整すると、従来技術の欠点を見事に解決し、消費者が真に望む整髪化粧料を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明は、セット力とヘアスタイルキープ力に優れ、かつ、使用時の感触の悪さとを解決し、アレンジ力にも優れ、フレーキングの問題も生じない整髪化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明は、皮膜性高分子と、糖及び/又は糖アルコールとを含有する整髪化粧料において、
(A)皮膜性高分子を1〜15質量%
(B)糖及び/又は糖アルコールを0.5〜30質量%
(C)エステル結合を含むロウを0.2〜15質量%
(D)液状油分
とを含有し、さらに
(E)(A)成分と(B)成分の含有量の質量比が(B)/(A)=1/2〜3
(F)(A)成分と(C)成分の含有量の質量比が(C)/(A)=1/5〜1
(G)(C)成分と(D)成分の含有量の質量比が(D)/(C)=1/2〜3/2
であることを特徴とする整髪化粧料を提供するものである。
【0008】
また本発明は、前記(A)皮膜性高分子が、アクリル系、ビニル系、ウレタン系、又は多糖類系の高分子からなる皮膜剤であることを特徴とする上記の整髪化粧料を提供するものである。
【0009】
さらに本発明は、前記(B)糖及び/又は糖アルコールが、マルチトール及び/又はソルビトールであることを特徴とする上記の整髪化粧料を提供するものである。
【0010】
また本発明は、前記(C)エステル結合を含むロウが、キャンデリラ及び/又はカルナバロウであることを特徴とする上記の整髪化粧料を提供するものである。
【0011】
さらに本発明は、前記(D)液状油分が、エステル結合を有するエステル油であることを特徴とする上記の整髪化粧料を提供するものである。
【0012】
また本発明は、さらに(H)揮発性油分を含有することを特徴とする上記の整髪化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の整髪化粧料はセット力とヘアスタイルキープ力に優れながら、かつ、感触の悪さを解決し、アレンジ力に優れ、またフレーキングの問題もない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を詳述する。
<(A)皮膜性高分子>
皮膜性高分子としては、アクリル系、ビニル系、ウレタン系、多糖類系の皮膜性高分子が挙げられる。
【0015】
アクリル系及びビニル系皮膜性高分子としては、アニオン性であれば例えば、アクリル酸アルキル・ジアセトンアクリルアミド共重合体(プラスサイズL−53P、プラスサイズL−9909B、プラスサイズL−9948Bなど(いずれも互応化学工業株式会社製))、アクリル酸アルキル・オクチルアクリルアミド共重合体(Dermacryl 79(日本エヌエスシー株式会社製))、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール−25・ジメチコン・アクリレーツ共重合体(ルビフレックスSILK(BASF社製))、アクリル酸・アクリル酸アミド・アクリル酸エチル共重合体(ウルトラホールド8、ウルトラホールドStrong(BASF社製))、アクリル酸アルキル共重合体(アニセットNF−1000,アニセットHS−3000など(大阪有機化学工業株式会社製))などを、両性であれば例えば、アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸ヒドロキシプロピルプロピル・メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体(AMPHOMER SH30、AMPHOMER LV-71(日本エヌエスシー株式会社製))、メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体(ユカフォーマーR205、ユカフォーマー301、ユカフォーマーSM、ユカフォーマー104Dなど(三菱化学株式会社製)、RAMレジン−1000、RAMレジン−2000、RAMレジン−3000、RAMレジン−4000(大阪有機化学工業株式会社製))、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体(マーコート280、マーコート295(ナルコ社製))、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド・アクリル酸共重合体(マーコートプラス3330、マーコートプラス3331(ナルコ社製))などを、カチオン性であれば例えば、ビニルピロリドン・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体ジエチル硫酸塩(H.C.ポリマー1S(M)、H.C.ポリマー2(大阪有機化学工業株式会社製)、ガフコート755N(ISP社製))、ビニルピロリドン・ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド・ラウリルジメチルアミノプロピルメタクリルアミド共重合体(スタイリーゼW−20(ISP社製))、ビニルピロリドン・メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル・アクリル酸アルキル・ジアクリル酸トリプロピレングリコール共重合体(コスカットGA467,コスカットGA468(大阪有機化学工業株式会社製)、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム(マーコート100(ナルコ社製))、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(マーコート550(ナルコ社製))、塩化トリメチルアミノプロピルアクリルアミド・ジメチルアクリルアミド共重合体などを、ノニオン性であれば例えば、ポリビニルピロリドン(ルビスコールK17、ルビスコールK30、ルビスコールK90(BASF社製)、PVP K(ISP社製))、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体(PVP/VA S−630、PVP/VA E−735、PVP/VA E−335(以上ISP社製)、ルビスコールVA73W、ルビスコール37E(以上BASF社製)、PVA−6450(大阪有機化学工業株式会社製))、ビニルメチルエーテル・マレイン酸アルキル共重合体(ガントレッツA-425、ガントレッツES-225、ガントレッツES-335など(ISP社製))、ビニルピロリドン・メタクリルアミド・ビニルイミダゾール共重合体(ルビセットクリア(BASF社製))などを例示することができる。
【0016】
ウレタン系であれば、ヨドゾールPUD(日本エヌエスシー株式会社製)、ルビセットP.U.R.(BASF社製)、特開2006-213706のポリマーを、アクリル−ウレタン系であれば、DynamX(日本エヌエスシー株式会社製)、特願2006-183144のポリマーを例示することができる。
【0017】
多糖類系としては、アラビアガム、グルカン、サクシノグリカン、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、グアガム、ローカストビーンガム、ガラクトマンナンガム、キサンタンガム、デンプン、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアガム、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ローカストビーンガム、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムでんぷんを例示することができる。
【0018】
皮膜性高分子の種類は限定されないが、中でもアクリル系、ビニル系、ウレタン系の皮膜剤が好ましい。
【0019】
皮膜性高分子の含有量は整髪化粧料全量に対して1〜15質量%である。
【0020】
<(B)糖及び/又は糖アルコール>
糖としては、単糖類及びオリゴ糖類が挙げられる。
【0021】
単糖類としては、三炭糖(例えば、D-グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等);四炭糖(例えば、D-エリトロース、D-エリトルロース、D-トレオース等);五炭糖(例えば、L-アラビノース、D-キシロース、L-リキソース、D-アラビノース、D-リボース、D-リブロース、D-キシルロース、L-キシルロース等);六炭糖(例えば、D-グルコース、D-タロース、D-ブシコース、D-ガラクトース、D-フルクトース、L-ガラクトース、L-マンノース、D-タガトース等);七炭糖(例えば、アルドヘプトース、ヘプロース等);八炭糖(例えば、オクツロース等);デオキシ糖(例えば、2-デオキシ-D-リボース、6-デオキシ-L-ガラクトース、6-デオキシ-L-マンノース等);アミノ糖(例えば、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等);ウロン酸(例えば、D-グルクロン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-ガラクツロン酸、L-イズロン酸等)等が挙げられる。また、これらの誘導体(POE・POP付加、アルキル基付加、カチオン化、アニオン化、シリル化類)も挙げられる。
【0022】
オリゴ糖類としては、ショ糖、マルトース、セロビオース、グンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類等が挙げられる。また、これらの誘導体(POE・POP付加、アルキル基付加、カチオン化、アニオン化、シリル化類)も挙げられる。
【0023】
糖アルコールとしては、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、ソルビトール、マルチトール、イノシトール等が挙げられる。また、これらの誘導体(POE・POP付加、アルキル基付加、カチオン化、アニオン化、シリル化類)も挙げられる。
【0024】
糖及び/又は糖アルコールの種類は限定されないが、中でも糖アルコール、特にはマルチトール、ソルビトールが最適である。
【0025】
糖及び/又は糖アルコールの含有量は整髪化粧料全量に対して0.5〜30質量%である。そして要件(E)で規定された(A)成分と(B)成分の含有量の質量比が(B)/(A)=1/2〜3)となるように決定される。
【0026】
<(C)エステル結合を含むロウ>
エステル結合を含むロウとしては、モクロウ、ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、雪ロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、米ヌカロウ、ライスワックス、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ等が挙げられる。ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、 POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、その他植物や果実からの抽出ワックス等も挙げられる。
【0027】
エステル結合を含むロウの種類は限定されないが、中でもキャンデリラロウ、カルナウバロウが最適である。
【0028】
エステル結合を含むロウの含有量は整髪化粧料全量に対して0.2〜15質量%である。そして要件(F)で規定された(A)成分と(C)成分の含有量の質量比が(C)/(A)=1/5〜1となるように決定される。
【0029】
<(D)液状油分>
本発明において液状油分とは25℃にて液状を呈する油分である。液状油分は、炭化水素油、エステル結合を有するエステル油が挙げられる。
【0030】
炭化水素油としては、流動パラフィン、イソパラフィン、スクワラン、スクワレン、ポリブテン等が挙げられる。
【0031】
エステル結合を有するエステル油としては、合成エステル油として、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、アジピン酸ジヘプチルウンデシル、アジピン酸ジヘキシルデシル、(水添ロジン/ジイソステアリン酸)グリセリル、オレイン酸デシル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、 12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステロール、マカデミアナッツ脂肪酸コレステリル、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、イソノナン酸イソノニル、テトラ(エチルヘキサン酸/安息香酸)ペンタエリスリチル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0032】
天然エステル油としては、カボカド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、ユーカリ油及びその水素添加物等が挙げられる。
【0033】
液状油分の種類は限定されないがエステル結合を有するエステル油が好ましく、中でもトリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、2-エチルヘキサン酸セチル、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルが好ましく、特にはテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルが好ましい。
【0034】
液状油分の含有量は、化粧料全量に対して0.1〜22.5質量%が好ましい。そして
要件(G)で規定された(C)成分と(D)成分の含有量の質量比が(D)/(C)=1/2〜3/2となるように決定される。
【0035】
<(H)揮発性油分>
本発明においては、さらに(H)揮発性油分を含有することが好ましい。
揮発性油分としては、炭素数が10〜16の低級パラフィン、イソパラフィンなどの揮発性炭化水素油、デカメチルペンタシロキサン、オクタメチルテトラシロキサン、ドデカメチルヘキサシロキサンなどの直鎖及び環状シリコーン類、メチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテルなどのフッ素変性油等が挙げられる。
【0036】
(H)揮発性油分(D)液状油分の含有量は適宜決定されるが、化粧料全量に対して1〜10質量%が好ましい。
【0037】
本発明の整髪化粧料は上記必須成分を混合して常法により製造される。その剤型は限定されないが、ジェル状、ワックス状、クリーム状が好ましい。
本発明の整髪化粧料は適宜乳化剤を配合して常法により乳化組成物としても好ましい。本発明に特に好ましい製品はヘアジェル、ヘアクリーム、ヘアミルク、ヘアワックスである。
【実施例】
【0038】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。配合量については特に断りのない限り質量%を示す。実施例に先立ち、本発明で用いた評価方法及び評価基準を説明する。
【0039】
(1)セット力
黒髪バージンヘア(長さ10cm,重さ0.5g)に、試料を0.2g塗布し、くしを使いなじませ、まっすぐになるよう形を整え、室温で2時間乾燥させ、1試料あたり5本のストランドを作製した。このストランドを5mm押し当てたときの最大応力をレオメーター(RTC-2002DD(レオテック社製))を用いて測定した。評価基準は次のとおりである。
<評価基準>
A:最大応力値が200g重以上
B:最大応力値が150〜200g重未満
C:最大応力値が100〜150g重未満
D:最大応力値が50〜100g重未満
E:最大応力値が50g重未満
【0040】
(2)ヘアスタイルキープ力
黒色バージンヘア(長さ15cm,重さ1g)に、試料を0.4g塗布し、くしを使いなじませ、まっすぐになるよう形を整え、1試料あたり5本のストランドを作製した。これを50℃で1時間乾燥させた後目盛りの付いたボードに吊り下げ、温度30℃,湿度90%RHの恒温恒湿器にてストランドのたわんだ長さを(b)を測定した。試料未塗布時にあらかじめ測定しておいた、たわんだストランドの長さ(a)を用い、次式に従いキープ力を求めた。数値が100%に近いほどキープ力が高く、耐湿性に優れることを示している。
ヘアスタイルキープ力(%)={(a−b)/a}×100
<評価基準>
A:値が90%以上
B:値が70〜90%未満
C:値が50〜70%未満
D:値が50%未満
【0041】
(3)感触(ごわつきのなさ)
1束の黒色バージンヘア(長さ20cm,質量4.0g)に試料を0.5g塗布し、常温にて乾燥させた後の毛束について、10名の女性専門パネラーによる官能試験を行い、毛髪用化粧料としての感触(しなやかさ,なめらかさ)を評価した。評価は下記評価点基準により各人が点数をつけ、10人の点数を合計し、下記の評価基準で各テスト品の評価を行った。
<評価点基準>
5点:非常に良い
4点:良い
3点:普通
2点:悪い
1点:非常に悪い
<評価基準>
A:合計点が40点以上
B:合計点が30点以上40点未満
C:合計点が20点以上30点未満
D:合計点が20点未満
【0042】
(4)アレンジ力
1束の黒色バージンヘア(長さ20cm,質量2g)に試料を0.5g塗布し、常温にて乾燥させた後の毛束について、つまんでねじって動かしたときのアレンジのしやすさを10名の女性専門パネラーによる官能試験にて評価した。評価基準は、以下の通りである。
<評価点基準>
5点:かなりアレンジしやすい
4点:ややアレンジしやすい
3点:普通
2点:ややアレンジしにくい
1点:アレンジできない
<評価基準>
A:合計点が40点以上
B:合計点が30点以上40点未満
C:合計点が20点以上30点未満
D:合計点が20点未満
【0043】
(5)フレーキング
1束の黒色バージンヘア(長さ20cm,質量2g)に試料を0.5g塗布し、常温にて乾燥させた後の毛束について、10名の女性専門パネラーにより、櫛を通したときのフレーキングの発生具合を評価した。評価は下記評価点基準により各人が点数をつけ、10人の点数を合計し、下記の評価基準で各テスト品の評価を行った。
<評価点基準>
5点:フレーキングが全く起こらない。
4点:フレーキングがほとんど起こらない。
3点:普通(どちらともいえない。)
2点:フレーキングがやや起こる。
1点:フレーキングが非常に起こる。
<評価基準>
A:合計点が40点以上
B:合計点が30点以上40点未満
C:合計点が20点以上30点未満
D:合計点が20点未満
【0044】
各表に示す整髪化粧料(ヘアクリーム)を常法により製造し、上記方法に従って評価した。本発明の実施例はいずれも優れた効果を実証している。


【0045】
【表1】

※1:ユカフォーマー301(三菱化学株式会社製)
※2:ハイビスワコー105(和光純薬工業株式会社製)
<製法>
(4)、(8)を(10)の一部に溶解させた後、(6)を加え均一分散させたものを水相部とする。一方、(2)、(3)、(5)を混合し90℃にて加温溶解させた油相部を90℃に加温した残りの(10)に添加し、ホモミキサーにより乳化しワックス乳化部を得た。ワックス乳化部を水相部に一気に添加し均一混合後、(7)、(9)、(1)を添加、均一溶解させて、ヘアスタイリング用の整髪化粧料(整髪クリーム)を得た。








【0046】
【表2】

※1:ユカフォーマー301(三菱化学株式会社製)
※2:ハイビスワコー105(和光純薬工業株式会社製)
<製法>
表1の実施例と同様にして製造した。














【0047】
【表3】

※1:ユカフォーマー301(三菱化学株式会社製)
※2:ハイビスワコー105(和光純薬工業株式会社製)
<製法>
表1の実施例と同様にして製造した。












【0048】
【表4】

※1:ユカフォーマー301(三菱化学株式会社製)
※2:ハイビスワコー105(和光純薬工業株式会社製)
<製法>
表1の実施例と同様にして製造した。
【0049】
以下にその他の実施例を示す。
実施例18
成分 (質量%)
(1)カルボキシビニルポリマー 0.5
(ハイビスワコー105(和光純薬工業株式会社製))
(2)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.2
(メトローズ65SH−04T(信越化学株式会社製))
(3)ビニルピロリドン・メタクリルアミド・ビニルイミダゾール共重合体溶液
(ルビセットクリア(BASF社製)) 15.0
(4)特願2006-183144製造例1のウレタン変性アクリル系重合体水分散物(実分40質量%)
5.0
(5)ポリオキシプロピレンデカグリセリルエーテル(70PO) 2.5
(6)マルチトール 10.0
(7)ココアンホ酢酸ナトリウム 1.0
(8)イソステアリン酸 0.7
(9)ライスワックス 2.0
(10)トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル 1.5
(11)ポリブテン 1.0
(脱臭ポリブテン−P(日興リカ株式会社製))
(12)2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(pH7.0に調整)
適量
(13)エタノール 30.0
(14)香料 0.1
(15)エデト酸三ナトリウム 0.03
(16)イオン交換水 残余
(17)無水ケイ酸 1.0
<製法>
(6)、(15)を(16)の一部に溶解させた後、(1)、(2)を加え均一分散させ水相部とする。一方、残りの(16)に(7)を加え90度にて加温溶解させ、(17)を加えホモミキサーで分散させたところに、(8)、(9)、(10)、(11)、(14)を混合し90℃にて加温溶解させた油相部を添加し、ホモミキサーにより乳化しワックス乳化部とする。ワックス乳化部を水相部に一気に添加し均一混合後、(12)、(13)、(5)、(3)、(4)の順に添加、均一溶解させて目的のヘアスタイリング用の整髪化粧料(ヘアワックス)を得た。
【0050】
実施例19
成分 (質量%)
(1)N−ジメチルアミノエチル・アクリル酸アルキル・ジアクリル酸トリプロピレングリコール共重合体 1.5
(コスカットGA467,コスカットGA468(大阪有機化学工業株式会社製))
(2)塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース 0.5
(ポリマーJR−400(ユニオン・カーバイドジャパン社製))
(3)ビニルピロリドン・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体ジエチル硫酸塩(20%溶液) 20.0
(ガフコート755N(ISP社製))
(4)ポリオキシプロピレンジグリセリル(9PO) 5.0
(5)イノシトール 15.0
(6)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40EO) 0.5
(7)ステアリン酸グリセリル 0.2
(8)カルナバロウ 5.0
(9)2−エチルヘキシル酸セチル 4.0
(10)イソドデカン 2.0
(11)リン酸(pH5.0に調製) 適量
(12)エタノール 10.0
(13)香料 0.1
(14)イオン交換水 残余
<製法>
(4)、(5)を(14)の一部に溶解させた後、(1)、(2)を加え均一分散させた後、(11)を加え中和させたものを水相部とする。一方、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(13)を混合し90℃にて加温溶解させた油相部を90℃に加温した残りの(14)に添加し、ホモミキサーにより乳化しワックス乳化部とする。ワックス乳化部を水相部に一気に添加し均一混合後、(12)、(3)を添加、均一溶解させて目的のヘアスタイリング用の整髪化粧料(ヘアクリーム)を得た。
【0051】
実施例20
成分 (質量%)
(1)ポリオキシエチレンデシルテトラデシルエーテル(20EO)・ヘキサメチレンジイソシアネート・ポリオキシエチレングリコール(240EG)共重合体
1.0
(2)アクリル酸・アクリル酸アルキル(C10−30)共重合体 0.3
(PEMULEN TR-2(B.F.Goodrich Chemical Company社製))
(3)アクリル酸アルキル・ジアセトンアクリルアミド共重合体(40%溶液)
(プラスサイズL−9909B(互応化学株式会社製)) 15.0
(4)プロピレングリコール 2.0
(5)エリスリトール 4.0
(6)イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(20EO)1.0
(7)ステアリン酸 0.5
(8)ミツロウ 4.0
(9)ポリエチレンワックス 1.0
(10)リンゴ酸ジイソステアリル 2.5
(11)デカメチルテトラシロキサン 5.0
(12)アルギニン(pH7.0に調整) 適量
(13)エタノール 5.0
(14)香料 0.1
(15)エデト酸三ナトリウム 0.03
(16)イオン交換水 残余
(17)ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体
(FZ−2222(東レダウコーニング株式会社製) 1.0
<製法>
(5)、(15)を(16)の一部に溶解させた後、(2)を加え均一分散させたものを水相部とする。一方、残りの(16)に(4)、(1)、(12)を加え、80度にて加温溶解させたところに、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(14)を混合し90℃にて加温溶解させた油相部を添加し、ホモミキサーにより乳化しワックス乳化部とする。ワックス乳化部を水相部に一気に添加し均一混合後、(17)を(13)に溶解させて添加、次いで(3)を添加、均一溶解させて目的のヘアスタイリング用の整髪化粧料(ヘアワックス)を得た。
【0052】
実施例21
成分 (質量%)
(1)架橋型N,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体 0.7
(2)キサンタンガム 0.3
(ケルトロール(ケルト社製))
(3)ポリウレタン−10(20%溶液) 15.0
(ヨドゾールPUD(日本エヌエスシー株式会社製))
(4)ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体 8・0
(PVP/VA S−630(ゼネラルアニリンフィルム社製))
(5)ジグリセリン 3.0
(6)ヒドロキシエチル尿素 2.0
(7)ショ糖 5.5
(8)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40EO) 0.5
(9)イソステアリン酸 0.2
(10)カルナウバロウ 2.5
(11)マイクロクリスタリンワックス 0.5
(12)コハク酸ジエチルヘキシル 1.5
(13)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオリゴサクシネート
(3EO,20PO) 1.0
(エステモール50(日清オイリオ株式会社製))
(14)加水分解小麦タンパク抽出液 0.5
(クロペプタイドW(クローダ社製))
(15)エタノール 10.0
(16)香料 0.1
(17)イオン交換水 残余
(18)カオリン 1.0
<製法>
(5)、(6)、(7)を(17)の一部に溶解させた後、(1)、(2)を加え均一分散させたものを水相部とする。一方、残りの(17)を90度にて加温溶解させたところに、(18)を添加しホモミキサーを用い均一分散させ、さらに(8)、(9)、(10)、(11)、(12)、(13)、(16)を混合し90℃にて加温溶解させた油相部を添加し、ホモミキサーにより乳化しワックス乳化部とする。ワックス乳化部を水相部に一気に添加し均一混合後、(14)、(15)、(3)、(4)を添加、均一溶解させて目的のヘアスタイリング用の整髪化粧料(ヘアワックス)を得た。
【0053】
実施例22
成分 (質量%)
(1)アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸ヒドロキシプロピル
プロピル・メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体 2.0
(AMPHOMER LV−71(日本エヌエスシー株式会社製))
(2)特開2006-213706の製造例1(40%溶液) 10.0
(3)1,3−ブチレングリコール 3.0
(4)ポリエチレングリコール(400) 2.0
(5)マンニトール 15.0
(6)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンベヘニルエーテル(15EO、1PO)
3.0
(7)ココアンホ酢酸ナトリウム 2.0
(8)カルナウバロウ 1.2
(9)流動パラフィン 0.6
(10)イオン交換水 残余
(11)2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(pH8.0に調整)
適量
<製法>
(3)、(4)、(5)、(11)を(10)の一部に溶解させた後、(1)を加え均一溶解させたものを水相部とする。一方、(10)の一部、(6)、(7)、(8)、(9)を90度にて加温均一溶解させた後、(10)の一部を冷水として加え35℃まで冷却後、ワックス分散部を得た。水相部にこの分散部、(2)を加え、均一混合後、ヘアフォーム用の原液を得た。この原液90部をエアゾール用の缶に詰め、弁をし、10部の液化石油ガス(LPG)を充填し、スタイリングフォームを得た。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によれば、高いセット力を有しながらもアレンジ力をも十分に兼ね備えた整髪化粧料を提供できる。本発明は従来技術の相反する技術課題を見事に解決した整髪化粧料であり、近年の消費者の要望を適えたヘアスタイル用商品として極めて有用な毛髪化粧料である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膜性高分子と、糖及び/又は糖アルコールとを含有する整髪化粧料において、
(A)皮膜性高分子を1〜15質量%
(B)糖及び/又は糖アルコールを0.5〜30質量%
(C)エステル結合を含むロウを0.2〜15質量%
(D)液状油分
とを含有し、さらに
(E)(A)成分と(B)成分の含有量の質量比が(B)/(A)=1/2〜3
(F)(A)成分と(C)成分の含有量の質量比が(C)/(A)=1/5〜1
(G)(C)成分と(D)成分の含有量の質量比が(D)/(C)=1/2〜3/2
であることを特徴とする整髪化粧料。
【請求項2】
前記(A)皮膜性高分子が、アクリル系、ビニル系、ウレタン系、又は多糖類系の高分子からなる皮膜剤であることを特徴とする請求項1記載の整髪化粧料。
【請求項3】
前記(B)糖及び/又は糖アルコールが、マルチトール及び/又はソルビトールであることを特徴とする請求項1又は2記載の整髪化粧料。
【請求項4】
前記(C)エステル結合を含むロウが、キャンデリラ及び/又はカルナバロウであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の整髪化粧料。
【請求項5】
前記(D)液状油分が、エステル結合を有するエステル油であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の整髪化粧料。
【請求項6】
さらに、(H)揮発性油分を含有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載の整髪化粧料。

【公開番号】特開2010−111594(P2010−111594A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283244(P2008−283244)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】