説明

整髪料組成物

【課題】 セット力が良好であり、かつ塗布後の毛髪のべたつきを抑え得る整髪料組成物を提供する。
【解決手段】 少なくとも、ロウ類または25℃で固体のエステルと、ヒドロキシプロピル変性デンプンとが配合されており、ロウ類または25℃で固体のエステルの配合量が0.1〜10質量%であり、水中油滴型エマルションの形態を有することを特徴とする整髪料組成物により、上記課題を解決する。本発明の整髪料組成物には、乳化剤として、界面活性剤が配合されているか、または、脂肪酸とアルカリとを配合することにより形成される脂肪酸塩が含まれていることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セット力が良好であり、かつ塗布後の毛髪のべたつきを抑え得る整髪料組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ヘアスタイルを整える機能を確保するために、ロウ類や固体のエステルを使用した整髪料が知られており(特許文献1、2など)、また、セット力を更に高めるためにロウ類や固体のエステルと各種の高分子とを組み合わせて構成した整髪料も知られている(特許文献3〜6など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−12521号公報
【特許文献2】特開2004−107218号公報
【特許文献3】特開平10−45546号公報
【特許文献4】特開2004−67622号公報
【特許文献5】特開2007−223943号公報
【特許文献6】特開2009−40740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ロウ類や固体のエステルと高分子とを組み合わせた整髪料を毛髪に塗布すると、べたつきが生じて複数本の束毎にかたまりやすく、却って所望のヘアスタイルを形成することが困難になる虞がある。よって、セット力を高めつつ、毛髪のべたつきも抑え得る整髪料の開発が求められる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、セット力が良好であり、かつ塗布後の毛髪のべたつきを抑え得る整髪料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定構造の変性デンプンであれば、特定量のロウ類または25℃で固体のエステルと組み合わせることで、セット力を高めつつ、塗布後の毛髪のべたつきを抑えて、所望のヘアスタイルを形成しやすい整髪料組成物を構成し得ることを見出した。
【0007】
すなわち、上記目的を達成し得た本発明の整髪料組成物は、少なくとも、ロウ類または25℃で固体のエステルと、ヒドロキシプロピル変性デンプンとが配合されており、ロウ類または25℃で固体のエステルの配合量が0.1〜10質量%であり、水中油滴型エマルションの形態を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、セット力が良好であり、かつ塗布後の毛髪のべたつきを抑え得る整髪料組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の整髪料組成物に係るロウ類としては、例えば、ミツロウ、キャンデリラロウ、鯨ロウ、カルナウバロウ、コメヌカロウ、ラノリン、モクロウなどが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、本発明の整髪料組成物に係る25℃で固体のエステルとしては、例えば、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸ミリスチルなどが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、本発明の整髪料組成物には、上記のロウ類と25℃で固体のエステルとを併用しても構わない。上記例示のロウ類の中でも、ヒドロキシプロピル変性デンプンと組み合わせることによるセット力の向上効果および塗布後の毛髪のべたつきを抑える効果が、より良好である点で、ミツロウ、キャンデリラロウ、鯨ロウがより好ましい。また、上記例示の25℃で固体のエステルの中でも、水中油滴型エマルションの安定性をより高め得る点で、パルミチン酸セチルがより好ましい。
【0010】
整髪料組成物におけるロウ類または25℃で固体のエステルの配合量(ロウ類と25℃で固体のエステルとを併用する場合には、その合計量。ロウ類または25℃で固体のエステルの配合量について、以下同じ。)は、その使用による効果(特にセット力向上効果)を良好に確保する観点から、0.1質量%以上であり、1質量%以上であることが好ましい。ただし、ロウ類または25℃で固体のエステルの量が多くなるに従って、毛髪のべたつきを抑制する効果が小さくなる傾向があることから、整髪料組成物におけるロウ類または25℃で固体のエステルの配合量は、10質量%以下であり、5質量%以下であることが好ましい。
【0011】
本発明の整髪料組成物で使用するヒドロキシプロピル変性デンプンには、アクゾノーベル株式会社から上市されている「AMAZE(商品名)」を使用することができる。このヒドロキシプロピル変性デンプンは、トウモロコシデンプンの変性物であり、以下に示す構造を有している。
【0012】
【化1】

(なお、上記構造式中、Rは、トウモロコシデンプン由来の構造部分である。)
【0013】
整髪料組成物におけるヒドロキシプロピル変性デンプンの配合量は、その使用による効果(セット力を高めつつ、塗布後の毛髪のべたつきを抑制する効果)を良好に確保する観点から、0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。ただし、ヒドロキシプロピル変性デンプンの量が多すぎる整髪料組成物を毛髪に塗布すると、濡れたような状態が長く続くようになって、セットまでに時間がかかるようになる。よって、整髪料組成物におけるヒドロキシプロピル変性デンプンの配合量は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。
【0014】
本発明の整髪料組成物は、水中油滴(O/W)型エマルションの形態を有しており、水を主たる媒体とする。なお、媒体には、水のみを用いてもよく、必要に応じて、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール(炭素数が6以下のアルコール)などの有機溶媒を、媒体全量中20質量%以下程度の量で水と併用してもよい。また、整髪料組成物における媒体の配合量は、例えば、40〜90質量%であることが好ましい。
【0015】
また、本発明の整髪料組成物は、O/W型エマルションの形態を安定に保つなどの理由から、乳化剤が配合されていることが好ましい。乳化剤としては、例えば、界面活性剤が挙げられる。
【0016】
界面活性剤としては、例えば、ノニオン性界面活性剤またはカチオン性界面活性剤が挙げられ、これらを併用してもよい。
【0017】
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類(ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなど)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン2−デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン水添ラノリン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリンエーテルなど)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル(モノステアリン酸ソルビタンなど)、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンベンジルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、N−アルキルジメチルアミンオキシド、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。ノニオン性界面活性剤は、例えば上記例示のものの中から、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
カチオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、脂肪酸アミドアミン塩(ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドなど)、モノアルキル型4級アンモニウム塩(塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウムなど)、ジアルキル型4級アンモニウム塩(塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウムなど)、ベンザルコニウム型4級アンモニウム(塩化ベンザルコニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウムなど)、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウムなどが挙げられる。カチオン性界面活性剤は、例えば上記例示のものの中から、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
整髪料組成物における界面活性剤の配合量は、その使用による効果を良好に確保する観点から、0.5質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。ただし、整髪料組成物中の界面活性剤量が多すぎると、頭皮に刺激を生じるようになる虞があり、また、毛髪のべたつきを抑える効果が小さくなる虞がある。よって、整髪料組成物における界面活性剤の配合量は、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましい。
【0020】
また、本発明の整髪料組成物に係る乳化剤には、脂肪酸とアルカリとから形成される脂肪酸塩を使用することもできる。上記脂肪酸塩を形成するための脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸などの直鎖脂肪酸;イソステアリン酸、18−メチルエイコサン酸などの分岐鎖を有する脂肪酸;ヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシラウリン酸などの水酸基を有する脂肪酸;などが挙げられる。
【0021】
上記脂肪酸塩を形成するためのアルカリとしては、例えば、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1−プロパノール、トリエタノールアミン、アルギニンなどの有機アルカリ;アルカリ金属の水酸化物(水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)、アンモニアなどの無機アルカリ;が挙げられる。
【0022】
上記脂肪酸塩は、脂肪酸およびアルカリを整髪料組成物中に配合することで形成することができる。よって、整髪料組成物の乳化剤として上記脂肪酸塩を使用する場合には、脂肪酸およびアルカリを用いて整髪料組成物を調製すればよい。なお、整髪料組成物に配合する脂肪酸は、上記例示のもののうちの1種のみでもよく、2種以上であってもよい。また、整髪料組成物に配合するアルカリは、上記例示のもののうちの1種のみでもよく、2種以上であってもよい。
【0023】
整髪料組成物における脂肪酸の配合量は、アルカリとから形成される脂肪酸塩による効果を良好に確保する観点から、0.5質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。ただし、整髪料組成物に配合する脂肪酸量が多すぎると、毛髪のべたつきを抑える効果が小さくなって、感触が悪くなる傾向がある。よって、整髪料組成物における脂肪酸の配合量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
【0024】
また、整髪料組成物におけるアルカリの配合量は、脂肪酸とから形成される脂肪酸塩による効果を良好に確保する観点から、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。ただし、整髪料組成物に配合するアルカリ量が多すぎると、頭皮に刺激を生じるようになる虞がある。よって、整髪料組成物におけるアルカリの配合量は、4質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。
【0025】
また、整髪料組成物に係る乳化剤には、上記の界面活性剤と上記の脂肪酸塩とを併用してもよい。
【0026】
本発明の整髪料組成物には、上記の各種成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の毛髪化粧料に用いられている各種成分を配合することができる。このような成分としては、例えば、高級アルコール、シリコーン、エステル、動植物油、多価アルコール、防腐剤、粉体(粘土鉱物などの無機粉体や有機粉体)、香料などが挙げられる。
【0027】
高級アルコールとしては、例えば、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどが挙げられる。シリコーンとしては、例えば、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルトリシロキサン、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体エマルション、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、トリメチルシロキシケイ酸などが挙げられる。
【0028】
エステルとしては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ステアリル、ラウリン酸イソステアリル、オレイン酸オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸ヘキシル、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、コハク酸ジオクチル、イソステアリン酸フィトステリルなどが挙げられる。動植物油としては、例えば、エミュー油、馬油、ミンク油、オレンジラフィー油などの動物油;ホホバ油、シア脂、ローズヒップ油、ヒマワリ油、綿実油、アルガン油、ツバキ油、サザンカ油、アボカド油、アーモンド油、オリーブ油、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、大豆油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーム油、ヒマシ油、グレープシード油、ヤシ油、硬化油などの植物油;が挙げられる。
【0029】
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、1,3−ブチレングリコールなどが挙げられる。防腐剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、フェノキシエタノール、メチルクロロイソチアゾリノン・メチルイソチアゾリノン液、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
【0030】
本発明の整髪料組成物は、その剤型については特に制限はなく、クリーム状、乳液状、ローション状、フォーム状(泡状)などの各種剤型を採ることができるが、フォーム状であることが好ましい。
【0031】
本発明の整髪料組成物をフォーム状とするには、製品形態をエアゾール式の形態とすることが好ましい。本発明の整髪料組成物をエアゾール式の形態とする場合における噴射剤には、エアゾール製品に利用されている公知の各種噴射剤が使用できる。例えば、各種の液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテルなどや、これらの混合物のような液化ガス;窒素ガス、炭酸ガスなどの圧縮ガス;などが挙げられる。なお、本発明の整髪料組成物においては、原液(本発明の整髪料組成物)と噴射剤との混合比を、例えば、原液/噴射剤=95/5〜30/70(質量比)とすることが一般的である。
【0032】
なお、本発明の整髪料組成物を使用するにあたっては、エアゾール式の形態を採る場合には噴射されたフォームを手に取って毛髪に塗布し、それ以外の形態を採る場合には、例えば容器から直接手に適量取って毛髪に塗布し、その後、所望のスタイルを形成すればよい。
【実施例】
【0033】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。なお、以下の実施例などにおいて、「%」は「質量%」を意味している。また、整髪料組成物の配合量としては、全体で100%となるように各成分の配合量を%で示し、後記の表1から表5中ではその%の表示を省略し、配合量を表す数値のみで表示する。
【0034】
実施例1〜24および比較例1〜5
実施例1〜24および比較例1〜5の整髪料組成物を、表1から表5に示す組成で調製した。なお、調製後の実施例1〜24および比較例1〜5の整髪料組成物は、O/W型エマルションの形態を有していた。
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

【0037】
【表3】

【0038】
【表4】

【0039】
【表5】

【0040】
表1から表5における精製水の欄の「計100とする」とは、整髪料組成物を構成する精製水以外の各成分の合計量に、精製水の量を加えて100%となるようにしたことを意味している。
【0041】
なお、実施例1〜24および比較例1〜5の整髪料組成物の調製に用いた原材料は、以下の通りである。
(1)ヒドロキシプロピル変性デンプン(5%水溶液):アクゾノーベル社製「AMAZE(商品名)」。
(2)ヒドロキシプロピルデンプンリン酸(5%水溶液):アクゾノーベル社製「STRUCTURE XL(商品名)」。
(3)ミツロウ:クローダジャパン社製「BEESWAX−S(商品名)」。
(4)キャンデリラロウ:ミツバ貿易社製「精製キャンデリラワックススーパーリファイン(商品名)」。
(5)パルミチン酸セチル:コグニスジャパン社製「CUTINA CP(商品名)」。
(6)ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油:日光ケミカルズ社製「NIKKOL HCO−80(商品名)」。
(7)ミリスチン酸:日油社製「NAA−142(商品名)」。
(8)2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール:ANGUS CHEMICAL COMPANY製「AMP−100(商品名)」。
(9)ミリスチルアルコール:花王社製「カルコール4098(商品名)」。
(10)セチルアルコール:花王社製「カルコール6098(商品名)」。
(11)ステアリルアルコール:花王社製「カルコール8098(商品名)」。
(12)ベヘニルアルコール:花王社製「カルコール220−80(商品名)」。
(13)ポリエチレングリコール:三洋化成社製「PEG−1000(商品名)」。
(14)2−エチルヘキサン酸アルキル(C=14,16,18):クローダジャパン社製「CRODAMOL MIO−LQ(商品名)」。
(15)2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(10%水溶液):ケミクレア社製「ZONEN MT−10(商品名)」。
【0042】
実施例1〜24および比較例1〜5の整髪料組成物のそれぞれを、噴射剤(LPG)と、90:10(質量比)の組成で混合し、エアゾール容器に充填(容器内の圧力:0.30MPa)した。
【0043】
そして、5人の専門のパネラーが、上記のエアゾール容器から噴射したフォーム状の各整髪料組成物を毛髪に塗布したときのセット力および毛髪のべたつきを、下記基準に従って点数付けした。
【0044】
(セット力の評価基準)
ほとんどセット力がない ・・・0点、
ややセット力がある ・・・1点、
セット力がある ・・・2点。
かなりセット力がある ・・・3点。
【0045】
(毛髪のべたつきの評価基準)
かなりべたつきを感じる ・・・3点、
べたつきを感じる ・・・2点、
ややべたつきを感じる ・・・1点、
べたつきを感じない ・・・0点。
【0046】
更に、各評価結果について、全パネラーの点数の平均値を求め、下記基準に従って、各整髪料組成物のセット力、および各整髪料組成物の塗布後の毛髪のべたつきを判定した。
【0047】
(セット力)
0点以上、2点未満 : セット力が不十分である、
2点以上、2.4点未満 : セット力がある、
2.4点以上 : かなりセット力がある。
【0048】
(毛髪のべたつき)
0点以上、0.6点未満 : べたつかない、
0.6点以上、1.0点未満 : 殆どべたつきを感じない、
1.0点以上 : べたつく。
【0049】
これらの評価結果を、表6および表7に示す。
【0050】
【表6】

【0051】
【表7】

【0052】
表6および表7に示す通り、ロウ類または25℃で固体のエステルとヒドロキシプロピル変性デンプンとを配合し、かつロウ類または25℃で固体のエステルの配合量を適正値にして構成した実施例1〜24の整髪料組成物は、セット力が優れており、塗布後の毛髪のべたつきが良好に抑制されている。
【0053】
これに対し、ロウ類または25℃で固体のエステルを配合しなかった比較例1の整髪料組成物、およびロウ類または25℃で固体のエステルとヒドロキシプロピル変性デンプンの両者を配合しなかった比較例3の整髪料組成物は、塗布後の毛髪はべたついていないが、セット力が劣っている。また、ヒドロキシプロピル変性デンプンを配合しなかった比較例2の整髪料組成物、およびヒドロキシプロピル変性デンプンに代えてヒドロキシプロピルデンプンリン酸を配合した比較例4の整髪料組成物は、塗布後の毛髪がべたついていることに加えて、セット力が不十分である。更に、ロウ類の配合量が多すぎる比較例5の整髪料組成物は、セット力は良好であるものの、塗布後の毛髪がべたついている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、ロウ類または25℃で固体のエステルと、ヒドロキシプロピル変性デンプンとが配合されており、ロウ類または25℃で固体のエステルの配合量が0.1〜10質量%であり、水中油滴型エマルションの形態を有することを特徴とする整髪料組成物。
【請求項2】
ロウ類が、ミツロウ、キャンデリラロウまたは鯨ロウである請求項1に記載の整髪料組成物。
【請求項3】
25℃で固体のエステルが、パルミチン酸セチルである請求項1に記載の整髪料組成物。
【請求項4】
ヒドロキシプロピル変性デンプンの配合量が、0.05〜5質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の整髪料組成物。
【請求項5】
界面活性剤が配合されている請求項1〜4のいずれかに記載の整髪料組成物。
【請求項6】
界面活性剤が、ノニオン性界面活性剤および/またはカチオン性界面活性剤である請求項5に記載の整髪料組成物。
【請求項7】
界面活性剤の配合量が、0.5〜10質量%である請求項5または6に記載の整髪料組成物。
【請求項8】
脂肪酸およびアルカリが配合されている請求項1〜4のいずれかに記載の整髪料組成物。
【請求項9】
脂肪酸の配合量が0.5〜10質量%であり、かつアルカリの配合量が0.01〜4質量%である請求項8に記載の整髪料組成物。

【公開番号】特開2011−251953(P2011−251953A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128386(P2010−128386)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(592255176)株式会社ミルボン (138)
【Fターム(参考)】