説明

断層撮影装置

【課題】画像のぼけを防止しつつ、統計精度の高い画像を取得することができる断層撮影装置を提供することを目的とする。
【解決手段】位相毎の投影データをエミッションデータ収集部41は取得し、そのエミッションデータ収集部41で取得された位相毎の投影データをエミッションデータ加算部42は加算する。そのエミッションデータ加算部42で加算された画像を画像再構成部44は再構成して断層画像を取得し、その画像再構成部44で再構成された断層画像を初期画像として、エミッションデータ収集部41で取得された位相毎の投影データに基づいて初期画像を画像更新部46は更新して最終的な断層画像を取得する。位相毎の投影データを用いて更新を行うので、画像のぼけを防止することができ、初期画像は加算された画像であるので、統計精度の高い画像であり、更新された断層画像も統計精度の高い画像となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、断層画像を取得することで断層撮影を行う断層撮影装置に係り、特に、呼吸ゲートや心電同期によって画像の位相分割を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した断層撮影装置として、核医学診断装置、すなわちECT(Emission Computed Tomography)装置として、PET(Positron Emission Tomography)装置を例に採って説明する。PET装置は、陽電子(Positron)、すなわちポジトロンの消滅によって発生する複数本のγ線を検出して複数個の検出器でγ線を同時に検出したときのみ被検体の断層画像を再構成するように構成されている。
【0003】
具体的には、陽電子放出核種を含んだ放射性薬剤を被検体内に投与して、投与された被検体内から放出される511KeVの対消滅γ線を多数の検出素子(例えばシンチレータ)群からなる検出器で検出する。そして、2つの検出器で一定時間内にγ線を検出した場合に同時に検出したとして、それを一対の対消滅γ線として計数し、さらに対消滅発生地点を、検出した検出器対の直線上と特定する。このような同時計数情報を蓄積して再構成処理を行って、陽電子放出核種分布画像(すなわち断層画像)を得る。
【0004】
PET装置で断層画像を取得する際には、被検体の心臓の動き(拡張・収縮)により体動が生じ、画像がぼけるという問題がある。そこで、呼吸ゲートや心電同期によって画像の位相分割を行い、同じ位相の投影データを収集して断層画像を求めることで、画像のぼけを防止することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−299489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような位相分割の場合には、次のような問題がある。すなわち、再構成においては、各位相毎のデータは画像再構成に必要な情報を完全に含んでいる必要がある。例えば、完全投影データを必要とする画像再構成(例えばフィルタード・バックプロジェクション(FBP: Filtered Back Projection)を用いたフェルドカンプ(Feldkamp)法など)では全投影角度方向のデータが必要である。
【0007】
したがって、PET装置で得られたデータ(エミッションデータ)において位相分割を行うと、位相分割を行わない場合と比べると、投影データに欠けが生じて、各位相毎の投影データの統計精度が劣化してしまう。
【0008】
また、PET装置単独以外に、PET装置とX線CT装置とを組み合わせた装置(「PET−CT装置」とも呼ばれる)や、放射線薬剤と同種の放射線を被検体の外部から照射する外部線源を備え、その外部線源で得られたデータ(トランスミッションデータ)を用いて吸収補正を行う装置がある。これらの装置の場合には、外部線源(PET−CT装置の場合にはX線管)を被検体の周囲を回転させて断層画像を得る際に、外部線源の回転位相と心臓の位相とが同期しない関係で、位相毎の投影データでは完全投影が得られない。また、PET装置単独の場合と同様に、位相分割を行わない場合と比べると、各位相毎の投影データの統計精度が劣化してしまう。
【0009】
さらに、上述のトランスミッションデータを用いた吸収補正や、PET装置で得られた画像とX線CT装置で得られた画像とを重畳出力(重ね合わせ)する場合には、外部線源の回転位相と心臓の位相とが同期しない関係で、吸収補正や重ね合わせの対象となる両画像間で同期がとれない。したがって、体動によって補正精度が劣化する、あるいは重ね合わせ精度が劣化してしまう。以上をまとめると、これらの各装置で共通する問題点は、各位相毎の投影データでは、統計精度が劣化する点である。
【0010】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、画像のぼけを防止しつつ、統計精度の高い画像を取得することができる断層撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、この発明に係る断層撮影装置は、断層画像を取得することで断層撮影を行う断層撮影装置であって、
位相毎の投影データを取得する画像取得手段と、
その画像取得手段で取得された前記位相毎の投影データを加算する画像加算手段と、
その画像加算手段で加算された画像を再構成して断層画像を取得する再構成手段と、
その再構成手段で再構成された前記断層画像を初期画像として、前記画像取得手段で取得された前記位相毎の投影データに基づいて前記初期画像を更新して断層画像を取得する画像更新手段と
を備えることを特徴とするものである。
【0012】
[作用・効果]この発明に係る断層撮影装置によれば、位相毎の投影データを画像取得手段は取得し、その画像取得手段で取得された位相毎の投影データを画像加算手段は加算する。その画像加算手段で加算された画像を再構成手段は再構成して断層画像を取得し、その再構成手段で再構成された断層画像を初期画像として、画像取得手段で取得された位相毎の投影データに基づいて初期画像を画像更新手段は更新して最終的な断層画像を取得する。位相毎の投影データを用いて更新を行うので、画像のぼけを防止することができる。一方、初期画像は加算された画像であるので、統計精度の高い画像であり、更新された断層画像も統計精度の高い画像となる。その結果、画像のぼけを防止しつつ、統計精度の高い画像を取得することができる。
【0013】
上述した発明の一例は、上述の画像更新手段は、位相毎の投影データに基づいて初期画像を更新し、その更新された画像および位相毎の投影データに基づいて画像をさらに更新する処理を繰り返し行うことで、画像を逐次に近似して更新する逐次近似法を用いて断層画像を取得することである。このような逐次近似法を用いて各更新された画像および位相毎の投影データに基づいて画像を逐次に近似して更新することで、統計ノイズを低減させて収束させて、統計精度の高い画像を取得することができる。
【0014】
上述した逐次近似法を用いる場合には、画像更新手段による逐次近似法で用いられる物理量を調整する物理量調整手段を備えるのが好ましい。逐次近似法の場合には、基となるデータが統計ノイズを含むときには、逐次近似法を行うことで、「リミットサイクル」と呼ばれる周期解に収束して、統計ノイズが大きくなるのみならず、周期的に変動する現象がある。その結果、基となる初期画像や位相毎の投影データよりもノイズが増幅する場合がある。そこで、画像更新手段による逐次近似法で用いられる物理量を物理量調整手段が調整することで、かかる現象を防止して、基となる初期画像や位相毎の投影データよりもノイズを低減させることができる。
【0015】
ノイズを低減させるためには、上述の逐次近似法のときのみに限定されない。位相毎の投影データを平滑化処理する平滑化手段を備え、その平滑化手段で平滑化処理された位相毎の投影データに基づいて画像更新手段は更新してもよい。逐次近似法のときのみに限定されず、基となるデータ(特に位相毎の投影データ)がノイズを含むときには、そのデータに基づいて更新を行うことで、基となるデータよりもノイズが増幅する場合がある。位相毎の投影データにおいて体動による形状の変化量は低周波成分であると仮定できるので、位相毎の投影データを平滑化処理して、その平滑化処理された位相毎の投影データに基づいて画像更新手段は更新することで、基となる初期画像や位相毎の投影データよりもノイズを低減させることができる。
【0016】
上述したこれらの発明において、断層撮影装置の一例は、放射性薬剤が投与された被検体から発生した放射線に基づいて被検体の核医学用データを求める核医学診断装置であって、画像取得手段は、放射線に基づいて位相毎の投影データを取得する。また、断層撮影装置の他の一例は、放射性薬剤が投与された被検体から発生した放射線に基づいて被検体の核医学用データを求める核医学診断装置と、被検体の外部から放射線を照射する外部線源を備えた装置とを組み合わせた装置であって、画像取得手段は、放射線に基づいて位相毎の投影データを取得する。なお、断層撮影装置は、核医学診断装置や、核医学診断装置と他とを組み合わせた装置に限定されず、被検体の体軸の軸心周りに回転(断層面内に回転)して断層撮影(「トモグラフィ」とも呼ぶ)を行う装置や、被検体の体軸の軸心周り以外の方向に移動して断層撮影(「トモシンセシス」とも呼ぶ)を行う装置や、これらの装置と他とを組み合わせた装置であってもよい。また、断層撮影に用いられるのは、核医学診断装置で用いられる放射性薬剤からの放射線に限定されず、後述するX線CT装置で用いられるX線であってもよいし、X線以外の放射線であってもよいし、MRI装置で用いられる電磁波であってもよいし、光であってもよい。
【0017】
上述の核医学診断装置と外部線源を備えた装置とを組み合わせた装置の一例は、外部線源は、被検体の周囲を相対的に回転してX線を照射するX線照射源であって、外部線源を備えた装置は、上述のX線照射源を備えたX線CT装置である。また、核医学診断装置と外部線源を備えた装置とを組み合わせた装置の他の一例は、外部線源は、放射線薬剤と同種の放射線を被検体に照射することである。
【0018】
核医学診断装置と外部線源を備えた装置とを組み合わせた装置において、核医学診断装置で得られた画像と、外部線源を備えた装置で得られた画像とを重畳出力する重畳出力手段を備えてもよい。この場合には、各位相毎の投影データが完全な投影データとして揃わない場合であったとしても、加算された画像を初期画像として更新を行うので、統計精度が高い画像が得られ、体動を考慮した画像を得ることができる。したがって、重畳出力(重ね合わせ)の対象となる両画像間でのズレが生じることなく、重ね合わせ精度が向上する。
【0019】
また、核医学診断装置と外部線源を備えた装置とを組み合わせた装置において、核医学診断装置で得られた画像を、外部線源を備えた装置で得られた画像に基づいて補正する画像補正手段を備えてもよい。この場合においても、各位相毎の投影データが完全な投影データとして揃わない場合であったとしても、加算された画像を初期画像として更新を行うので、統計精度が高い画像が得られ、体動を考慮した画像を得ることができる。したがって、補正の対象・基となる両画像間でのズレが生じることなく、補正精度が向上する。
【発明の効果】
【0020】
この発明に係る断層撮影装置によれば、位相毎の投影データを用いて更新を行うので、画像のぼけを防止することができ、初期画像は加算された画像であるので、統計精度の高い画像であり、更新された断層画像も統計精度の高い画像となる。その結果、画像のぼけを防止しつつ、統計精度の高い画像を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1に係るPET装置の側面図である。
【図2】実施例1に係るPET装置のブロック図である。
【図3】γ線検出器の具体的構成の概略図である。
【図4】実施例1に係る一連の断層画像の取得の流れを示すフローチャートである。
【図5】(a)は、実施例1と比較のための従来の一連の断層画像の取得の流れを画像で模式化したチャートであり、(b)は、実施例1に係る一連の断層画像の取得の流れを画像で模式化したチャートである。
【図6】画素とLORとの関係を模式的に示した図である。
【図7】サブLORを描画したときの図である。
【図8】実施例2に係るPET−CT装置の側面図である。
【図9】実施例2に係るPET−CT装置のブロック図である。
【図10】実施例3に係るトランスミッション型のPET装置の側面図である。
【図11】実施例3に係るトランスミッション型のPET装置のブロック図である。
【実施例1】
【0022】
以下、図面を参照してこの発明の実施例1を説明する。
図1は、実施例1に係るPET装置の側面図であり、図2は、実施例1に係るPET装置のブロック図である。本実施例1では、断層撮影装置として、核医学診断装置を例に採って説明するとともに、核医学診断装置として、PET (Positron Emission Tomography) 装置を例に採って説明する。
【0023】
後述する実施例2、3も含めて、図1に示すように、本実施例1に係るPET装置1は、水平姿勢の被検体Mを載置する天板2を備えている。この天板2は、上下に昇降移動、被検体Mの体軸に沿って平行移動するように構成されている。PET装置1は、天板2に載置された被検体Mを診断するPET検出部3を備えている。その他に、被検体Mの呼吸を検出して呼吸信号を出力する呼吸信号センサ51(図2を参照)を備えている。呼吸信号センサ51については、必ずしもPET装置1に備えられる必要はなく、PET装置1に対して着脱自在に構成して、普段はPET装置1から外れる構成であってもよい。PET装置1は、この発明における核医学診断装置に相当し、この発明における断層撮影装置にも相当する。
【0024】
PET検出部3は、開口部31aを有したガントリ31と被検体Mから発生したγ線を検出するγ線検出器32とを備えている。γ線検出器32は、被検体Mの体軸周りを取り囲むようにしてリング状に配置されており、ガントリ31内に埋設されている。γ線検出器32は、シンチレータブロック32aとライトガイド32bと光電子増倍管(PMT)32c(図3を参照)とを備えている。シンチレータブロック32aは、複数個のシンチレータからなる。放射性薬剤が投与された被検体Mから発生したγ線をシンチレータブロック32aが光に変換して、変換されたその光をライトガイド32bが案内して、光電子増倍管32cが光電変換して電気信号に出力する。γ線検出器32は、この発明における放射線検出手段に相当する。γ線検出器32の具体的な構成については、図3で後述する。
【0025】
続いて、PET装置1のブロック図について説明する。図2に示すように、PET装置1は、上述した天板2やPET検出部3の他に、コンソール4を備えている。PET検出部3は、上述したガントリ31やγ線検出器32の他に、増幅器33とAD変換器34と同時計数回路35とを備えている。
【0026】
コンソール4は、エミッションデータ収集部41とエミッションデータ加算部42とスムージング処理部43と画像再構成部44と緩和パラメータ調整部45と画像更新部46とメモリ部47と入力部48と出力部49とコントローラ50とを備えている。エミッションデータ収集部41は、この発明における画像取得部に相当し、エミッションデータ加算部42は、この発明における画像加算手段に相当し、スムージング処理部43は、この発明における平滑化手段に相当し、画像再構成部44は、この発明における再構成手段に相当し、緩和パラメータ調整部45は、この発明における物理量調整手段に相当し、画像更新部46は、この発明における画像更新手段に相当する。
【0027】
増幅器33は、γ線検出器32で検出されて出力された電気信号を増幅させる。AD変換器34は、増幅器33で増幅された電気信号のアナログ値をディジタル値に変換してディジタル出力する。
【0028】
同時計数回路35は、γ線がγ線検出器32で同時に検出(すなわち同時計数)されたか否かを判定する。同時計数回路35で同時計数されたデータ(エミッションデータ)をコンソール4のエミッションデータ収集部41に送り込む。
【0029】
呼吸信号センサ51は、被検体Mの鼻あるいは口周りに装着されるセンサで、被検体Mの呼吸運動に伴ってセンサ内の空気圧が変化すると、これを検知して電圧値に変換する。この変換された電圧値を呼吸信号(図5を参照)として出力して、コンソール4のエミッションデータ収集部41に送り込む。
【0030】
エミッションデータ収集部41は、同時計数回路35で同時計数されて収集されたエミッションデータを、呼吸信号センサ51からの呼吸信号に同期したタイミングで取り出す。この取り出されたエミッションデータは位相毎の投影データとなる。エミッションデータ収集部41は、位相毎の投影データをエミッションデータ加算部42に送り込むとともに、スムージング処理部43に送り込む。
【0031】
エミッションデータ加算部42は、位相毎の投影データ(エミッションデータ)を加算する。加算された画像を画像再構成部44に送り込む。スムージング処理部43は、位相毎の投影データ(エミッションデータ)のスムージングを行うことで平滑化処理を行う。スムージング後の位相毎の投影データを画像更新部46に送り込む。
【0032】
画像再構成部44は、加算された画像を再構成して断層画像を生成する。再構成された断層画像を初期画像として、画像更新部46に送り込む。緩和パラメータ調整部45は、後述する逐次近似法で用いられる緩和パラメータλを調整し、調整された緩和パラメータを画像更新部46に送り込む。
【0033】
画像更新部46は、エミッションデータ収集部41で取得され、スムージング処理部43でスムージングが行われた位相毎の投影データに基づいて、画像再構成部44で再構成された初期画像を更新して断層画像を取得する。後述する実施例2、3も含めて、本実施例1では、画像更新部46は、位相毎の投影データに基づいて初期画像を更新し、その更新された画像および位相毎の投影データに基づいて画像をさらに更新する処理を繰り返し行うことで、画像を逐次に近似して更新する逐次近似法を用いて断層画像を取得する。その逐次近似法を行う際に、緩和パラメータ調整部45で調整された緩和パラメータλを用いることでノイズを低減させる。
【0034】
メモリ部47は、コントローラ50を介して、PET検出部3で得られた各々のデータやエミッションデータ収集部41で取得されたあるいはスムージング処理部43でスムージングが行われた位相毎の投影データやエミッションデータ加算部42で加算された画像や画像再構成部44で再構成されたあるいは画像更新部46で更新された断層画像や呼吸信号センサ51で出力された呼吸信号などのデータを書き込んで記憶し、適宜必要に応じて読み出して、コントローラ50を介して、各々のデータを出力部49に送り込んで出力する。メモリ部47は、ROM(Read-only Memory)やRAM(Random-Access Memory)などに代表される記憶媒体で構成されている。
【0035】
入力部48は、オペレータが入力したデータや命令をコントローラ50に送り込む。入力部48は、マウスやキーボードやジョイスティックやトラックボールやタッチパネルなどに代表されるポインティングデバイスで構成されている。出力部49は、モニタなどに代表される表示部やプリンタなどで構成されている。
【0036】
コントローラ50は、後述する実施例2、3も含めて、本実施例1に係るPET装置1を構成する各部分を統括制御する。コントローラ50は、中央演算処理装置(CPU)などで構成されている。PET検出部3で得られた各々のデータやエミッションデータ収集部41で取得されたあるいはスムージング処理部43でスムージングが行われた位相毎の投影データやエミッションデータ加算部42で加算された画像や画像再構成部44で再構成されたあるいは画像更新部46で更新された断層画像や呼吸信号センサ51で出力された呼吸信号などのデータを、コントローラ50を介して、メモリ部47に書き込んで記憶、あるいは出力部49に送り込んで出力する。出力部49が表示部の場合には出力表示し、出力部49がプリンタの場合には出力印刷する。
【0037】
放射性薬剤が投与された被検体Mから発生したγ線をγ線検出器32のうち該当するγ線検出器32のシンチレータブロック32a(図3を参照)が光に変換して、変換されたその光をγ線検出器32の光電子増倍管32c(図3を参照)が光電変換して電気信号に出力する。その電気信号を画像情報(画素値)として同時計数回路35とともに増幅器33に送り込む。
【0038】
具体的には、被検体Mに放射性薬剤を投与すると、ポジトロン放出型のRIのポジトロンが消滅することにより、2本のγ線が発生する。同時計数回路35は、γ線検出器32のシンチレータブロック32a(図3を参照)の位置とγ線の入射タイミングとをチェックし、被検体Mを挟んで互いに対向位置にある2つのシンチレータブロック32aでγ線が同時に入射したとき(すなわち同時計数したとき)のみ、送り込まれた画像情報を適正なデータと判定する。一方のシンチレータブロック32aのみにγ線が入射したときには、同時計数回路35は、ポジトロンの消滅により生じたγ線ではなくノイズとして扱い、そのときに送り込まれた画像情報もノイズと判定してそれを棄却する。
【0039】
同時計数回路35に送り込まれた画像情報を投影データ(エミッションデータ)として、エミッションデータ収集部41に送り込む。エミッションデータ収集部41は、呼吸信号センサ51からの呼吸信号に同期したタイミングでエミッションデータを取り出すことで、位相毎の投影データを取得して、エミッションデータ加算部42およびスムージング処理部43に送り込む。エミッションデータ加算部42は、位相毎の投影データを加算して画像再構成部44に送り込む。スムージング処理部43は、位相毎の投影データのスムージングを行い、スムージング後の位相毎の投影データを画像更新部46に送り込む。
【0040】
画像再構成部44は、加算された画像を再構成して断層画像を生成し、再構成された断層画像を初期画像として、画像更新部46に送り込む。画像更新部46は、スムージング後の位相毎の投影データに基づいて、初期画像を更新して断層画像を取得する。画像更新部46による逐次近似法の具体的な手法については、図4〜図7で詳しく後述する。
【0041】
次に、本実施例1に係るγ線検出器32の具体的な構成について、図3を参照して説明する。図3は、γ線検出器の具体的構成の概略図である。
【0042】
γ線検出器32は、深さ方向に減衰時間が互いに異なる検出素子であるシンチレータを複数組み合わせて構成されたシンチレータブロック32aと、シンチレータブロック32aに光学的に結合されたライトガイド32bと、ライトガイド32bに光学的に結合された光電子増倍管32cとを備えて構成されている。シンチレータブロック32a中の各シンチレータは、入射されたγ線によって発光して光に変換することでγ線を検出する。なお、シンチレータブロック32aについては、必ずしも深さ方向(図3ではr)に減衰時間が互いに異なるシンチレータを組み合わせる必要はない。また、深さ方向に2層のシンチレータを組み合わせたが、単層のシンチレータでシンチレータブロック32aを構成してもよい。
【0043】
次に、逐次近似法およびそれによる画像の更新について、図4〜図7を参照して説明する。図4は、実施例1に係る一連の断層画像の取得の流れを示すフローチャートであり、図5(a)は、実施例1と比較のための従来の一連の断層画像の取得の流れを画像で模式化したチャートであり、図5(b)は、実施例1に係る一連の断層画像の取得の流れを画像で模式化したチャートであり、図6は、画素とLORとの関係を模式的に示した図であり、図7は、サブLORを描画したときの図である。
【0044】
(ステップS1)位相毎の投影データの取得
放射性薬剤が投与された被検体Mを天板2に載置して、被検体Mの鼻あるいは口周りに呼吸信号センサ51を装着する。そして、放射性薬剤が投与された被検体Mから発生したγ線をγ線検出器32が検出して、増幅器33、AD変換器34および同時計数回路35を介して、投影データ(エミッションデータ)をエミッションデータ収集部41に送り込む。ここでは、投影データ(エミッションデータ)として、縦軸を投影方向,横軸を画素としたサイノグラムのようなヒストグラムデータを例に採って説明する。ヒストグラムデータとは、所定の時間で積分されたデータである。これに対して、投影データ(エミッションデータ)として、リストデータを採用してもよい。リストデータとは、イベント毎のデータである。ここで、イベントとは、γ線を検出する事象を言う。
【0045】
エミッションデータ収集部41は、図5に示すように、呼吸信号センサ51からの呼吸信号(図5では「体動位相」で表記)に同期したタイミングでエミッションデータを取り出すことで、位相毎の投影データを取得する。図5では、呼吸の周期を4分割して、位相1〜4とする(図5では「Phase 1」、「Phase 2」、「Phase 3」、「Phase 4」で表記)。
【0046】
(ステップS2)スムージング処理
ステップS1で位相毎に投影データを取得したら、スムージング処理部43は各位相毎の投影データのスムージングを行う。各位相毎の投影データは、体動による変化の変化量に起因したノイズを含んでいる。かかる変化量は低周波成分と仮定できるので、例えば平滑化フィルタや窓関数等を用いることで、かかる変化量を除去する。
【0047】
(ステップS3)位相毎の投影データの加算
ステップS2での処理とは別に、位相毎の投影データを全て取得したら、エミッションデータ加算部42は位相毎の投影データを加算する。加算された画像を、図5では「All」と表記する。
【0048】
(ステップS4)画像の再構成
ステップS3で加算された画像を画像再構成部44は再構成する。再構成処理については、周知のフィルタード・バックプロジェクション(FBP: Filtered Back Projection)(「フィルタ補正逆投影法」とも呼ばれる)を用いたフェルドカンプ(Feldkamp)法や、ここで述べる逐次近似法を行えばよい。本実施例1では、逐次近似法について詳しく述べる。
【0049】
逐次近似法として、Nakamura T, Kudo H: Derivation and implementation of ordered-subsets algorithms for list-mode PET data, IEEE Nuclear Science Symposium Conference Record: 1950-1954, 2005や田中栄一, 「PET画像の再構成法の現状と展望」,日本放射線技術学会雑誌, 浜松ホトニクス株式会社, p.771−777の文献を参照して、DRAMA法(Dynamic Row-Action Maximum Likelihood Algorithm)を例に採って説明する。再構成される画素をj(j=0,1,…,J−1)とし、再構成される画素値をxとし、γ線検出器32で同時計数されるLOR(Line Of Response)をLOR(i=0,1,…,I−1)とする。LORとは、同時計数する2つの検出器を結ぶ仮想上の直線のことである。したがって、画素jとLORとの関係は、図6、図7(a)に示す通りである。
【0050】
また、画素jから放出されたγ線がLORで検出される確率(「吸収確率」とも呼ばれる)をaijとする。吸収確率aijは「システム行列」とも呼ばれ、PET装置1の検出特性を表す。対象となるLORに対して(図7では一点鎖線で図示)に対して間隔ΔLでS本のサブLOR(図7(b)では二点鎖線で図示)を描いた図は、図7(b)となる。このとき対象となるLORも含めてS本のサブLORによって分割される微小領域の個数もSとなる。なお、図7(b)では、各々のサブLORを平行に図示したが、必ずしも平行である必要はない。また、サブLORは等間隔である必要はない。
【0051】
ここで、視野内の位置rから放出されたγ線がi番目の投影データとなる確率は、「検出器応答関数(DRF: Detector Response Function)」と呼ばれ(図7(b)では「DRF」で表記)、h(r)で表す。シンチレータ素子の線減弱係数をμとし、シンチレータ素子A内でのγ線の経路長をDiAとし、シンチレータ素子Aへの入射前のシンチレータブロック32a(図3を参照)内での経路長をD´iAとし、注目素子B内でのγ線の経路長をDiBとし、注目素子B内への入射前のシンチレータブロック32a(図3を参照)内での経路長をD´iBとすると、DRFは、下記(1)式のように表される。
【0052】
【数1】

【0053】
上記(1)式で求められたh(r)を、図7(b)に示すように、ある微小領域sではhisで表し、対象となるLも含めて各々のサブLORが画素jと交わる長さをljsで表すと、システム行列中の要素(すなわち吸収確率aij)は、上述した長さljsをDRF(his)で重み付けて足し合わせた下記(2)式で表される。
【0054】
【数2】

【0055】
上記(2)式中のhis,ljsの積(his・ljs)によって、γ線が検出器の微小領域sで検出される吸収確率aij(s)は下記(3)式のように表される。
【0056】
【数3】

【0057】
したがって、上記(2)式、(3)式をまとめると、吸収確率aij(s)の和によってaijは下記(4)式のように表される。
【0058】
【数4】

【0059】
上記(4)式を用いてaij(s)を加算していけば、システム行列中の要素であるaijを求めることができる。
【0060】
画像再構成部44は、このように求められたシステム行列に基づいて加算された画像(画素値)を用いてDRAMA法により再構成する。同時計数されたLORをM個のサブセットS(m=0,1,…,M−1)に分割する。各画素jに関し、n回目(n=0,1,…)の反復におけるm番目のサブセットに対応する画素値更新が行われる直前,直後の画素値をそれぞれx(n,m),x(n,m+1)とする。
【0061】
偶発、散乱イベントや吸収の効果を無視した場合、画素値x(n,m)の更新式は下記(5)式のように表される。
【0062】
【数5】

【0063】
なお、上記(5)式中のλ(n,m)は緩和パラメータ(relaxation parameter)であり、上記(5)式中のCは規格化行列(normalization matrix)である。また、βは、下記(6)式のように表され、ノイズの伝搬が各近似内で一定になるように決められる。また、yは、測定データであり、このステップS4(画像の再構成)ではステップS3で加算された投影データの画像(画素値)をyとして上記(5)式に代入し、後述するステップS5(画像の更新)では位相毎の投影データ(エミッションデータ)の画像(画素値)をyとして上記(5)式に代入する。
【0064】
【数6】

【0065】
ここで、上記(6)式中のg(Δm)は任意の2つのサブセットのLORの幾何学的相関関数で、Δmはその2つのサブセット番号の差である。βの実際の計算方法については文献(Tanaka E, Kudo H: Subset-dependent relaxation in block-iterative algorithms for image reconstruction in emission tomography. In: Phys Med Biol 48, 1405-1422, 2003)を参照されたい。
【0066】
また、緩和パラメータλ(上記(5)式では「λ(n,m)」)は、収束を制御する緩和係数であり、緩和パラメータが1に近いほど収束は速いが、データがノイズを含む場合には、周期的に変動する「リミットサイクル」現象が甚だしいので、0≦λ(n,m)≦1の間を満たすように緩和パラメータを適当に選択する。また、後述するRAMLA法の場合には、適当な初期値から緩和パラメータλ(RAMLA法ではλ(n))が徐々に小さくなるように選び、例えばλ(n)=a/(n/b+1)の式が用いられる。ただし、aはλ(n)の初期値を決めるパラメータ、bはλ(n)の減少の度合いを決めるパラメータで、これらの値については経験的に決められる。
【0067】
先ず、上記(4)式を用いて求められたaijを、考えられる全てのLORで加算し、Σaij(i=0,1,…までのaijの総和)を求める。Σaijは再構成された画像(再構成画像)と等しいサイズを持つ画像で、画素jがいずれかのLORで検出される確率を表すので、「感度分布マップ」と呼ぶ。この感度分布マップを用いることで、上記(5)式中のCを求めることができる。
【0068】
具体的には、初期画像であるx(0,0)を適宜に設定する。初期画像x(0,0)については、例えば一様な画素値を有する画像であればよく、x(0,0)>0とする。設定された初期画像x(0,0)と、上記(4)式を用いて求められたaijと、ステップS3で加算された投影データの画像(画素値)yとを用いて、上記(5)式に繰り返し代入することで、x(0,0),…,x(0,M−1)が逐次に求められ、最終的に求められたx(0,M−1)をx(1,0)とすることでx(1,0)に繰り上げる。以下、同様に、xを順に繰り上げる(x(0,0),x(1,0)…,x(n,0))。反復を表すnの回数については特に限定されず、適宜に設定すればよい。このように最終的に求められたxをそれに対応する画素jごとに並べることで、ステップS3で加算された画像を画像再構成部44は再構成して断層画像を生成する。この再構成された断層画像を初期画像とする。
【0069】
なお、システム行列に基づいた再構成については、上述したDRAMA法に限定されず、スタティックな(つまり静的な)RAMLA法(Row-Action Maximum Likelihood Algorithm)でもよいし、ML−EM法(Maximum Likelihood Expectation Maximization)でもよいし、OSEM法(Ordered Subset ML-EM)でもよい。上記(5)式のような逐次近似式を用いた逐次近似法を用いて再構成するのが好ましい。ただし、緩和パラメータλを用いて、ノイズを低減させるのであれば、緩和パラメータを用いたDRAMA法あるいはRAMLA法を用いた逐次近似法を行って再構成するのがより好ましい。
【0070】
ここまでの手法は、再構成の対象が従来の場合には位相毎の投影データであったのに対して、本実施例1の場合には加算された画像であるのを除けば、従来の画像の再構成手法と同じで、以降のステップS5での画像の更新が、この発明の特徴部分となる(図5(b)を参照)。
【0071】
(ステップS5)画像の更新
ステップS2でスムージングされたスムージング後の位相毎の投影データに基づいて、ステップS4で再構成された初期画像を画像更新部46は更新して、最終的な断層画像を取得する。逐次近似法については、ステップS4での画像の再構成と同じ式((1)式〜(6)式)を用いる。
【0072】
ただし、上記(5)式に代入される測定データyが、上述のステップS4(画像の再構成)ではステップS3で加算された投影データの画像(画素値)であったのに対して、このステップS5(画像の更新)では位相毎の投影データ(エミッションデータ)の画像(画素値)となる。また、初期画像であるx(0,0)が、上述のステップS4(画像の再構成)では、適宜に設定された画像(例えば一様な画素値を有する画像)であったのに対して、このステップS5(画像の更新)ではステップS4で再構成された初期画像となる。さらに、上記(5)式で用いられるサブセットSの個数Mは、全位相の個数に一致する。
【0073】
具体的には、ステップS4で再構成された初期画像x(0,0)と、上記(4)式を用いて求められたaijと、ステップS2でスムージングされたスムージング後の位相毎の投影データ(画素値)yとを用いて、上記(5)式に繰り返し代入することで、x(0,0),…,x(0,M−1)が逐次に求められ、最終的に求められたx(0,M−1)をx(1,0)とすることでx(1,0)に繰り上げる。以下、同様に、xを順に繰り上げる(x(0,0),x(1,0)…,x(n,0))。このとき、n回目において逐次に求められるx(n,0),…,x(n,M−1)が、更新された各位相毎の画像(断層画像)となる。このようにして、画像更新部46は更新して、最終的な断層画像を取得する。
【0074】
上述の構成を備えた本実施例1に係るPET装置1によれば、位相毎の投影データをエミッションデータ収集部41は取得し、そのエミッションデータ収集部41で取得された位相毎の投影データをエミッションデータ加算部42は加算する。そのエミッションデータ加算部42で加算された画像を画像再構成部44は再構成して断層画像を取得し、その画像再構成部44で再構成された断層画像を初期画像として、エミッションデータ収集部41で取得された位相毎の投影データに基づいて初期画像を画像更新部46は更新して最終的な断層画像を取得する。位相毎の投影データを用いて更新を行うので、画像のぼけを防止することができる。一方、初期画像は加算された画像であるので、統計精度の高い画像であり、更新された断層画像も統計精度の高い画像となる。その結果、画像のぼけを防止しつつ、統計精度の高い画像を取得することができる。
【0075】
本実施例1では、画像更新部46は、位相毎の投影データに基づいて初期画像を更新し、その更新された画像および位相毎の投影データに基づいて画像をさらに更新する処理を繰り返し行うことで、画像を逐次に近似して更新する逐次近似法を用いて断層画像を取得している。このような逐次近似法を用いて各更新された画像および位相毎の投影データに基づいて画像を逐次に近似して更新することで、統計ノイズを低減させて収束させて、統計精度の高い画像を取得することができる。
【0076】
上述した逐次近似法を用いる場合には、好ましくは、画像更新部46による逐次近似法で用いられる物理量(本実施例1では緩和パラメータλ)を調整する物理量調整手段(本実施例1では緩和パラメータ調整部45)を備えている。逐次近似法の場合には、基となるデータが統計ノイズを含むときには、逐次近似法を行うことで、「リミットサイクル」と呼ばれる周期解に収束して、統計ノイズが大きくなるのみならず、周期的に変動する現象がある。その結果、基となる初期画像や位相毎の投影データよりもノイズが増幅する場合がある。そこで、画像更新部46による逐次近似法で用いられる物理量(緩和パラメータλ)を調整する物理量調整手段(緩和パラメータ調整部45)が調整することで、かかる現象を防止して、基となる初期画像や位相毎の投影データよりもノイズを低減させることができる。
【0077】
ノイズを低減させるためには、本実施例1では、緩和パラメータλを調整する以外に、位相毎の投影データを平滑化処理(スムージング処理)するスムージング処理部43を備え、そのスムージング処理部43でスムージングされた位相毎の投影データに基づいて画像更新部46は更新している。逐次近似法のときのみに限定されず、基となるデータ(本実施例1では位相毎の投影データ)がノイズを含むときには、そのデータに基づいて更新を行うことで、基となるデータよりもノイズが増幅する場合がある。位相毎の投影データにおいて体動による形状の変化量は低周波成分であると仮定できるので、位相毎の投影データをスムージング処理して、そのスムージングされた位相毎の投影データに基づいて画像更新部46は更新することで、基となる初期画像や位相毎の投影データよりもノイズを低減させることができる。
【0078】
本実施例1では、断層撮影装置として、放射性薬剤が投与された被検体Mから発生した放射線(特に本実施例1ではγ線)に基づいて被検体Mの核医学用データを求める核医学診断装置(特に本実施例1ではPET装置1)を例に採って説明している。エミッションデータ収集部41は、γ線に基づいて位相毎の投影データを取得している。
【実施例2】
【0079】
次に、図面を参照してこの発明の実施例2を説明する。
図8は、実施例2に係るPET−CT装置の側面図であり、図9は、実施例2に係るPET−CT装置のブロック図である。本実施例2では、断層撮影装置として、核医学診断装置と外部線源を備えた装置とを組み合わせた装置を例に採って説明するとともに、核医学診断装置として、PET (Positron Emission Tomography) 装置を例に採って説明し、外部線源を備えた装置として、X線CT装置を例に採って説明する。したがって、本実施例2では、断層撮影装置として、PET装置とX線CT装置とを組み合わせたPET−CT装置を例に採って説明する。
【0080】
図8に示すように、本実施例2に係るPET−CT装置1は、上述した実施例1と同様に、天板2とPET検出部3とを備えている。本実施例2では、PET−CT装置1は、X線CT装置6を備えている。PET検出部3については、上述した実施例1と同じであるので、その説明を省略する。PET−CT装置1は、この発明における核医学診断装置と外部線源を備えた装置とを組み合わせた装置に相当し、この発明における断層撮影装置にも相当する。X線CT装置6は、この発明における外部線源を備えた装置に相当する。
【0081】
X線CT装置6は、開口部61aを有したガントリ61を備えている。ガントリ61内には、被検体MにX線を照射するX線管62と、被検体Mを透過したX線を検出するX線検出器63とを配設している。X線管62およびX線検出器63が互いに対向位置になるようにそれぞれを配設しており、モータ(図示省略)の駆動によってガントリ61内でX線管62およびX線検出器63を被検体Mの体軸の軸心周りに回転させる。本実施例2では、X線検出器63としてフラットパネル型X線検出器(FPD)を採用している。もちろん、フラットパネル型X線検出器(FPD)以外のX線検出器を用いてもよい。X線管62は、この発明における外部線源に相当し、この発明におけるX線照射源にも相当する。
【0082】
図8(a)では、PET検出部3のガントリ31とX線CT装置6のガントリ61とを互いに別体としたが、図8(b)に示すように、一体型に構成してもよい。
【0083】
続いて、PET−CT装置1のブロック図について説明する。図9に示すように、PET−CT装置1は、上述した天板2やPET検出部3の他に、コンソール4を備えている。PET検出部3およびコンソール4のブロック図については、CTデータ収集部64を除けば、上述した実施例1と同じであるので、その説明を省略する。
【0084】
CTデータ収集部64は、X線検出器63で検出されたX線に基づいて投影データをCTデータ(X線CT用のデータ)として収集する。上述した実施例1と同様に、CTデータを、呼吸信号センサ51からの呼吸信号に同期したタイミングで取り出す。この取り出されたCTデータも、エミッションデータ収集部41で収集されたエミッションデータと同様に、位相毎の投影データとなる。CTデータ収集部64は、位相毎の投影データを画像再構成部44に送り込むとともに、コントローラ50を介して、画像更新部46などに送り込む。
【0085】
画像再構成部44は、実施例1と同様のエミッションデータの再構成を行ってPET画像の断層画像を取得するとともに、本実施例2では、CTデータの再構成を行ってCT画像の断層画像を取得する。CT画像の再構成処理についても、例えばフェルドカンプ(Feldkamp)法に示されるように特に限定されない。また、PET画像の断層画像を取得すべく再構成を行う際に、逐次近似法を採用する場合には、CTデータを吸収確率aijに作用させてから行ってもよい。この場合には、被検体Mの体内でのγ線の吸収を考慮した吸収補正が再構成とともに行われ、逐次近似法での再構成により取得されたPET画像の断層画像も、被検体Mの体内でのγ線の吸収を考慮した吸収補正後のデータとして得られる。この場合には、画像再構成部44は、この発明における画像補正手段に相当する。
【0086】
本実施例2では、画像更新部46は、位相毎の投影データに基づいて初期画像を更新して断層画像を取得する際に、逐次近似法を採用する場合には、逐次近似法を採用した画像再構成部44の説明でも述べたのと同様の手法で、CTデータを吸収確率aijに作用させてから行ってもよい。この場合には、吸収補正が画像更新とともに行われ、逐次近似法での画像更新により取得されたPET画像の断層画像も、被検体Mの体内でのγ線の吸収を考慮した吸収補正後のデータとして得られる。この場合には、画像更新部46は、この発明における画像補正手段に相当する。
【0087】
また、本実施例2では、出力部49は、画像再構成部44で再構成され画像更新部46で更新されたPET画像の断層画像を出力するとともに、画像再構成部44で再構成されたCT画像の断層画像も出力する。また、PET画像の断層画像とCT画像の断層画像とを重畳出力することも可能である。本実施例2での出力部49は、この発明における重畳出力手段に相当する。
【0088】
実施例1でも述べたように、同時計数回路35に送り込まれた画像情報を投影データ(エミッションデータ)として、エミッションデータ収集部41に送り込み、呼吸信号センサ51からの呼吸信号に同期したタイミングでエミッションデータを取り出すことで、位相毎の投影データを取得する。一方、X線管62およびX線検出器63を回転させながらX線管62から被検体MにX線を照射して、被検体Mの外部から照射されて被検体Mを透過したX線をX線検出器63が電気信号に変換することでX線を検出する。X線検出器63で変換された電気信号を画像情報(画素値)としてCTデータ収集部64に送り込む。CTデータ収集部64は、送り込まれた画像情報の分布をX線検出器63の投影面に投影された投影データ(CTデータ)として収集する。CTデータ収集部64は、呼吸信号センサ51からの呼吸信号に同期したタイミングでCTデータを取り出すことで、位相毎の投影データを取得する。
【0089】
上述の構成を備えた本実施例2に係るPET−CT装置1によれば、上述した実施例1と同様に、位相毎の投影データを用いて更新を行うので、画像のぼけを防止することができ、初期画像は加算された画像であるので、統計精度の高い画像であり、更新された断層画像も統計精度の高い画像となる。その結果、画像のぼけを防止しつつ、統計精度の高い画像を取得することができる。
【0090】
本実施例2では、放射性薬剤が投与された被検体Mから発生した放射線(特に本実施例2ではγ線)に基づいて被検体Mの核医学用データを求める核医学診断装置(本実施例2ではPET装置)と、被検体Mの外部から放射線(本実施例2ではX線)を照射する外部線源(本実施例2ではX線管62)を備えた装置(本実施例2ではX線CT装置6)とを組み合わせた装置(特に本実施例2ではPET−CT装置1)を例に採って説明している。上述した実施例1と同様に、エミッションデータ収集部41は、γ線に基づいて位相毎の投影データを取得している。
【0091】
本実施例2では、核医学診断装置と外部線源を備えた装置とを組み合わせた装置として、外部線源は、被検体Mの周囲を相対的に回転してX線を照射するX線照射源(X線管62)であって、外部線源を備えた装置は、上述のX線照射源を備えたX線CT装置6である。なお、本実施例2では、被検体Mを固定した状態で、X線管62を回転(本実施例2では被検体Mの体軸の軸心周りの回転)させたが、天板2を回転させることで被検体Mを回転させて、X線管62を固定させることで、X線管62は、被検体Mの周囲を相対的に回転するようにしてもよい。また、被検体MおよびX線管62をそれぞれ別の回転速度で回転させることで、X線管62は、被検体Mの周囲を相対的に回転するようにしてもよい。
【0092】
本実施例2では、核医学診断装置(本実施例2ではPET装置)で得られた画像(本実施例2ではPET画像の断層画像)と、外部線源(本実施例2ではX線管62)を備えた装置(X線CT装置6)で得られた画像(本実施例2ではCT画像の断層画像)とを出力部49は重畳出力してもよい。この場合には、各位相毎の投影データが完全な投影データとして揃わない場合であったとしても、加算された画像を初期画像として更新を行うので、統計精度が高い画像が得られ、体動を考慮した画像を得ることができる。したがって、重畳出力(重ね合わせ)の対象となる両画像間でのズレが生じることなく、重ね合わせ精度が向上する。
【0093】
本実施例2では、核医学診断装置(本実施例2ではPET装置)で得られた画像(本実施例2ではPET画像の断層画像)を、外部線源(本実施例2ではX線管62)を備えた装置(本実施例2ではX線CT装置6)で得られた画像(本実施例2ではCTデータ)に基づいて画像再構成部44あるいは画像更新部46は補正してもよい。この場合においても、各位相毎の投影データが完全な投影データとして揃わない場合であったとしても、加算された画像を初期画像として更新を行うので、統計精度が高い画像が得られ、体動を考慮した画像を得ることができる。したがって、補正の対象・基となる両画像間でのズレが生じることなく、補正精度が向上する。
【実施例3】
【0094】
次に、図面を参照してこの発明の実施例3を説明する。
図10は、実施例3に係るトランスミッション型のPET装置の側面図であり、図11は、実施例3に係るトランスミッション型のPET装置のブロック図である。本実施例3では、断層撮影装置として、核医学診断装置と外部線源を備えた装置とを組み合わせた装置を例に採って説明するとともに、核医学診断装置として、PET (Positron Emission Tomography) 装置を例に採って説明し、外部線源を備えた装置として、トランスミッション装置を例に採って説明する。したがって、本実施例3では、断層撮影装置として、PET装置とトランスミッション装置とを組み合わせたトランスミッション型のPET装置を例に採って説明する。
【0095】
図10に示すように、本実施例3に係るトランスミッション型のPET装置1は、上述した実施例1、2と同様に、天板2とPET検出部3とを備えている。本実施例3では、上述した実施例2のX線CT装置6の替わりにトランスミッション装置7を備えている。PET検出部3については、上述した実施例1、2と同じであるので、その説明を省略する。トランスミッション型のPET装置1は、この発明における核医学診断装置と外部線源を備えた装置とを組み合わせた装置に相当し、この発明における断層撮影装置にも相当する。トランスミッション装置7は、この発明における外部線源を備えた装置に相当する。
【0096】
トランスミッション装置7は、開口部71aを有したガントリ71を備えている。ガントリ71内には、被検体Mに投与する放射性薬剤、すなわち放射性同位元素(RI)と同種の放射線(本実施例3ではγ線)を照射させる線源72と、被検体Mを透過したγ線を検出するトランスミッション検出器73とを配設している。モータ(図示省略)の駆動によってガントリ71内で線源72を被検体Mの体軸の軸心周りに回転させる。トランスミッション検出器73については被検体Mの体軸の軸心周りにリング状に配設しており、静止させている。もちろん、線源72と同様に、トランスミッション検出器73を被検体Mの体軸の軸心周りに回転させてもよい。線源72は、この発明における外部線源に相当する。
【0097】
図10(a)では、PET装置3のガントリ31とトランスミッション装置7のガントリ71とを互いに別体としたが、上述した実施例2と同様に、図10(b)に示すように、一体型に構成してもよい。
【0098】
続いて、トランスミッション型のPET装置1のブロック図について説明する。図11に示すように、トランスミッション型のPET装置1は、上述した天板2やPET検出部3やトランスミッション装置7の他に、コンソール4を備えている。PET検出部3およびコンソール4のブロック図については、トランスミッションデータ収集部74を除けば、上述した実施例1、2と同じであるので、その説明を省略する。
【0099】
トランスミッションデータ収集部74は、トランスミッション検出器73で検出されたγ線に基づいてγ線吸収係数の分布データをトランスミッションデータ(吸収補正データ)として収集する。上述した実施例1、2と同様に、トランスミッションデータを、呼吸信号センサ51からの呼吸信号に同期したタイミングで取り出す。この取り出されたトランスミッションデータも、エミッションデータ収集部41で収集されたエミッションデータや実施例2においてCTデータ収集部64で収集されたCTデータと同様に、位相毎の投影データとなる。トランスミッションデータ収集部74は、位相毎の投影データを画像再構成部44に送り込むとともに、コントローラ50を介して、画像更新部46などに送り込む。
【0100】
画像再構成部44は、実施例1、2と同様のエミッションデータの再構成を行ってPET画像の断層画像を取得する。また、PET画像の断層画像を取得すべく再構成を行う際に、逐次近似法を採用する場合には、トランスミッションデータを吸収確率aijに作用させてから行ってもよい。この場合には、被検体Mの体内でのγ線の吸収を考慮した吸収補正が再構成とともに行われ、逐次近似法での再構成により取得されたPET画像の断層画像も、被検体Mの体内でのγ線の吸収を考慮した吸収補正後のデータとして得られる。この場合には、画像再構成部44は、この発明における画像補正手段に相当する。
【0101】
本実施例3では、画像更新部46は、位相毎の投影データに基づいて初期画像を更新して断層画像を取得する際に、逐次近似法を採用する場合には、逐次近似法を採用した画像再構成部44の説明でも述べたのと同様の手法で、トランスミッションデータを吸収確率aijに作用させてから行ってもよい。この場合には、吸収補正が画像更新とともに行われ、逐次近似法での画像更新により取得されたPET画像の断層画像も、被検体Mの体内でのγ線の吸収を考慮した吸収補正後のデータとして得られる。この場合には、画像更新部46は、この発明における画像補正手段に相当する。
【0102】
実施例1、2でも述べたように、同時計数回路35に送り込まれた画像情報を投影データ(エミッションデータ)として、エミッションデータ収集部41に送り込み、呼吸信号センサ51からの呼吸信号に同期したタイミングでエミッションデータを取り出すことで、位相毎の投影データを取得する。一方、線源72を回転させながら線源72から被検体Mにγ線を照射して、被検体Mの外部から照射されて被検体Mを透過したγ線をトランスミッション検出器73が電気信号に変換することでγ線を検出する。トランスミッション検出器73で変換された電気信号を画像情報(画素値)としてトランスミッションデータ収集部74に送り込む。トランスミッションデータ収集部74は、送り込まれた画像情報に基づいてトランスミッションデータ(吸収補正データ)を求める。トランスミッションデータ収集部74は、γ線またはX線の吸収係数とエネルギとの関係を表す演算を利用することで、CT用の投影データ、すなわちX線吸収係数の分布データをγ線吸収係数の分布データに変換して、γ線吸収係数の分布データをトランスミッションデータ(吸収補正データ)として収集する。トランスミッションデータ収集部74は、呼吸信号センサ51からの呼吸信号に同期したタイミングでトランスミッションデータを取り出すことで、位相毎の投影データを取得する。
【0103】
上述の構成を備えた本実施例3に係るトランスミッション型のPET装置1によれば、上述した実施例1と同様に、位相毎の投影データを用いて更新を行うので、画像のぼけを防止することができ、初期画像は加算された画像であるので、統計精度の高い画像であり、更新された断層画像も統計精度の高い画像となる。その結果、画像のぼけを防止しつつ、統計精度の高い画像を取得することができる。
【0104】
本実施例3では、放射性薬剤が投与された被検体Mから発生した放射線(特に本実施例3ではγ線)に基づいて被検体Mの核医学用データを求める核医学診断装置(本実施例3ではPET装置)と、被検体Mの外部から放射線(本実施例3ではγ線)を照射する外部線源(本実施例3では線源72)を備えた装置(本実施例3ではトランスミッション装置7)とを組み合わせた装置(特に本実施例3ではトランスミッション型のPET装置1)を例に採って説明している。上述した実施例1、2と同様に、エミッションデータ収集部41は、γ線に基づいて位相毎の投影データを取得している。
【0105】
本実施例3では、核医学診断装置と外部線源を備えた装置とを組み合わせた装置として、外部線源(本実施例3では線源72)は、放射線薬剤と同種の放射線(本実施例3ではγ線)を被検体Mに照射している。
【0106】
本実施例3では、核医学診断装置(本実施例3ではPET装置)で得られた画像(本実施例3ではPET画像の断層画像)を、外部線源(本実施例3では線源72)を備えた装置(本実施例3ではトランスミッション装置7)で得られた画像(本実施例3ではトランスミッションデータ)に基づいて画像再構成部44あるいは画像更新部46は補正してもよい。この場合においても、各位相毎の投影データが完全な投影データとして揃わない場合であったとしても、加算された画像を初期画像として更新を行うので、統計精度が高い画像が得られ、体動を考慮した画像を得ることができる。したがって、補正の対象・基となる両画像間でのズレが生じることなく、補正精度が向上する。
【0107】
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0108】
(1)上述した各実施例では、PET装置単独あるいはPET装置と外部線源を備えた装置(実施例2ではX線CT装置6、実施例3ではトランスミッション装置7)とを組み合わせた装置を例に採って説明したが、この発明は、単一のγ線を検出して被検体の断層画像を再構成するSPECT(Single Photon Emission CT)装置単独あるいはSPECT装置と外部線源を備えた装置とを組み合わせた装置などにも適用することができる。このように、PET装置以外の核医学診断装置単独あるいはPET装置以外の核医学診断装置と外部線源を備えた装置とを組み合わせた装置などにも適用することができる。
【0109】
(2)上述した実施例2、3では、核医学診断装置(実施例2、3ではPET装置)と外部線源を備えた装置(実施例2ではX線CT装置6、実施例3ではトランスミッション装置7)とを組み合わせた装置を例に採って説明したが、核医学診断装置との組み合わせの装置は、外部線源を備えた装置に限定されない。例えば、核医学診断装置とMRI装置とを組み合わせた装置に適用してもよい。このように、核医学診断装置と外部線源を備えた装置以外の他の装置とを組み合わせた装置に適用してもよい。
【0110】
(3)上述した各実施例では、核医学診断装置(実施例1ではPET装置)単独あるいは核医学診断装置(実施例2、3ではPET装置)と外部線源を備えた装置(実施例2ではX線CT装置6、実施例3ではトランスミッション装置7)とを組み合わせた装置を例に採って説明したが、核医学診断装置や、核医学診断装置と他とを組み合わせた装置に限定されない。被検体の体軸の軸心周りに回転(断層面内に回転)して断層撮影(「トモグラフィ」とも呼ぶ)を行う装置や、被検体の体軸の軸心周り以外の方向に移動して断層撮影(「トモシンセシス」とも呼ぶ)を行う装置や、これらの装置と他とを組み合わせた装置に適用してもよい。
【0111】
(4)上述した各実施例では、放射線としてγ線を例に採って説明したが、γ線以外(α線やβ線)の放射線を用いた核医学診断に用いることもできる。また、上述したX線CT装置で用いられるX線であってもよいし、X線以外の放射線であってもよいし、MRI装置で用いられる電磁波であってもよいし、光であってもよい。
【0112】
(5)上述した各実施例では、画像更新手段(各実施例では画像更新部46)による逐次近似法で用いられる物理量として、緩和パラメータλを例に採って説明したが、必ずしも緩和パラメータλに限定されない。上記(5)式中の規格化行列Cやβも収束に関係するので、それらの値を物理量として採用して調整してもよい。
【0113】
(6)上述した各実施例では、画像更新手段(各実施例では画像更新部46)による逐次近似法で用いられる物理量(各実施例では緩和パラメータλ)を調整する物理量調整手段(各実施例では緩和パラメータ調整部45)を備えたが、周期的に変動しない、あるいは周期的に変動するのを考慮しないのであれば、必ずしも物理量を調整する必要はない。また、同じ逐次近似法でも緩和パラメータを用いないML−EM法やOSEM法を適用してもよい。
【0114】
(7)上述した各実施例では、位相毎の投影データを平滑化処理(スムージング処理)する平滑化手段(各実施例ではスムージング処理部43)を備えたが、無視できるほどのノイズ、あるいはノイズを考慮しないのであれば、必ずしも平滑化処理を行う必要はない。
【0115】
(8)上述した各実施例では、呼吸ゲートによって画像の位相分割を行ったが、心電同期によって画像の位相分割を行ってもよい。
【符号の説明】
【0116】
1 … PET装置、PET−CT装置、トランスミッション型のPET装置
6 … X線CT装置
7 … トランスミッション装置
32 … γ線検出器
41 … エミッションデータ収集部
42 … エミッションデータ加算部
43 … スムージング処理部
44 … 画像再構成部
45 … 緩和パラメータ調整部
46 … 画像更新部
49 … 重畳出力手段
62 … X線管
72 … 線源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断層画像を取得することで断層撮影を行う断層撮影装置であって、
位相毎の投影データを取得する画像取得手段と、
その画像取得手段で取得された前記位相毎の投影データを加算する画像加算手段と、
その画像加算手段で加算された画像を再構成して断層画像を取得する再構成手段と、
その再構成手段で再構成された前記断層画像を初期画像として、前記画像取得手段で取得された前記位相毎の投影データに基づいて前記初期画像を更新して断層画像を取得する画像更新手段と
を備えることを特徴とする断層撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の断層撮影装置において、
前記画像更新手段は、前記位相毎の投影データに基づいて前記初期画像を更新し、その更新された画像および前記位相毎の投影データに基づいて画像をさらに更新する処理を繰り返し行うことで、画像を逐次に近似して更新する逐次近似法を用いて断層画像を取得することを特徴とする断層撮影装置。
【請求項3】
請求項2に記載の断層撮影装置において、
前記画像更新手段による前記逐次近似法で用いられる物理量を調整する物理量調整手段を備えることを特徴とする断層撮影装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに断層撮影装置において、
前記位相毎の投影データを平滑化処理する平滑化手段を備え、
その平滑化手段で平滑化処理された位相毎の投影データに基づいて前記画像更新手段は更新することを特徴とする断層撮影装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の断層撮影装置において、
前記装置は、放射性薬剤が投与された被検体から発生した放射線に基づいて被検体の核医学用データを求める核医学診断装置であって、
前記画像取得手段は、前記放射線に基づいて前記位相毎の投影データを取得することを特徴とする断層撮影装置。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の断層撮影装置において、
前記装置は、放射性薬剤が投与された被検体から発生した放射線に基づいて被検体の核医学用データを求める核医学診断装置と、前記被検体の外部から放射線を照射する外部線源を備えた装置とを組み合わせた装置であって、
前記画像取得手段は、前記放射線に基づいて前記位相毎の投影データを取得することを特徴とする断層撮影装置。
【請求項7】
請求項6に記載の断層撮影装置において、
前記外部線源は、前記被検体の周囲を相対的に回転して前記X線を照射するX線照射源であって、
前記外部線源を備えた装置は、前記X線照射源を備えたX線CT装置であることを特徴とする断層撮影装置。
【請求項8】
請求項6に記載の断層撮影装置において、
前記外部線源は、前記放射線薬剤と同種の放射線を前記被検体に照射することを特徴とする断層撮影装置。
【請求項9】
請求項6から請求項8のいずれかに記載の断層撮影装置において、
前記核医学診断装置で得られた画像と、前記外部線源を備えた装置で得られた画像とを重畳出力する重畳出力手段を備えることを特徴とする断層撮影装置。
【請求項10】
請求項6から請求項9のいずれかに記載の断層撮影装置において、
前記核医学診断装置で得られた画像を、前記外部線源を備えた装置で得られた画像に基づいて補正する画像補正手段を備えることを特徴とする断層撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−153976(P2011−153976A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16669(P2010−16669)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】