説明

断熱ガラス窓要素およびその製造方法

断熱ガラス窓要素が、第1の外側ガラス板と第2の外側ガラス板を備えるガラス板構成であって、第1の外側ガラス板が、全周に沿って、重畳面の分だけ第2の外側ガラス板よりも突出するガラス板構成と、ガラス板の間の距離を設定するために提供されるスペーサを備えるスペーサアセンブリと、ガラス板の間の隙間を外環境から封止するための縁部シールアセンブリであって、第1の外側ガラス板の内側の重畳面に対して真空気密で取り付けられたプロファイルフレームを備える縁部シールアセンブリとを備え、ガラス窓要素が、隙間内の圧力が外気圧よりも低くなるように設定され、フレームが、第2の外側ガラス板の外面に対して真空気密に取り付けられ、第2の外側ガラス板の側縁部に、隙間に接続された排気空間を形成し、少なくとも1つの排気デバイスが提供され、排気デバイスが、排気空間を排気するためにフレームを通して配置される。さらに、ガラス窓要素を製造するための方法を述べる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の特徴部による断熱ガラス窓要素、およびその製造方法に関する。さらに、ガラス窓要素の使用についても述べる。
【背景技術】
【0002】
一般に、排気隙間を備え、規定のスペーサおよび円周封止アセンブリによって互いに接続された少なくとも2枚のガラス板を有する真空断熱ガラスを製造する方法が、従来技術より知られている。スペーサは、ガラス板の間に、それらの表面全体にわたって、例えば均一なドットスクリーンを使用して、20mm〜約50mm以上の相互距離で分布する。隙間内の真空は、ガラス板の一方、および/または縁部シールアセンブリ、および/または真空チャンバ内に配置された排気デバイスによって生成することができる。例えば、国際公開第87/03327A1号(特許文献1)に、ガラス板構成を有するガラス窓要素であって、ガラス板構成の縁部シールアセンブリが、ガラス板構成の外側ガラス板の内面に真空気密接続されたプロファイルフレームを備えるガラス窓要素が記載されている。
【0003】
真空は、ガラス板の間の気体の対流および熱伝導による熱損失を防止するために提供される。これは、真空断熱ガラスを用いて高い断熱値を実現するための重要なパラメータである。したがって、真空の品質(実現可能な圧力)、真空の維持および改良(真空気密性およびゲッタリング)、ならびに排気デバイスおよび縁部シールアセンブリを提供するための方法に対する要求は高い。縁部シールアセンブリは特に重要である。なぜなら、真空気密をそれによって保護する必要があるだけでなく、構成要素の使用に伴う機械的および熱機械的な歪、ならびに例えば熱膨張による不自然な変形を、機能を損なわずに少なくとも部分的に吸収して補償する必要があるからである。これまで、従来の技法は、空間内の全方向に影響を及ぼすそのような歪みを考慮していないか、または考慮していても不適切でしかない。
【0004】
特に、歪は、外気圧と、個々のガラス板の互いに異なる熱膨張との組合せにより生じる。後者は、個々のガラス板がそれらの所期の用途に応じて異なる温度を有することによる。例えば建造物のガラス窓に関して、内側ガラス板は通常ほぼ一定の温度を有するが、他方で、外側ガラス板は、かなり高いまたはかなり低い温度を有することがある。例えば最大60K以上のガラス板の温度差は、異なる熱膨張、およびその結果生じるガラス板の幾何学的寸法の互いに異なる変化をもたらし、これは、真空気密を損なわずに縁部シールによって補償する必要がある。このプロセスでは、互いに対するガラス板のごくわずかな変位でさえ、ガラス板縁部および/または縁部シールアセンブリが破損することがあるほど高い機械的または熱機械的な張力をもたらすことがあり、それによりガラス窓要素の制御できない完全な破壊が起こることがある。約1.5mの平均的な構成要素ジオメトリでさえ、温度変動によって引き起こされる幾何学的寸法の変化は、結局は1mm範囲以上になる。しかし、より大きな構成要素寸法も実際に要求される。
【0005】
真空ガラス窓の脆弱性は、特にコーナー領域で高い。そこでは、全方向で生じる熱膨張現象が局所的に重なり合い、それに伴う機械的な張力が歪みまたは同様の影響をもたらすことさえある。
【0006】
実際、従来の真空ガラス窓要素の破損および破壊は、延性のガラス状接着剤および結合材料の不適切な塗布による、縁部領域全体に関わる破砕および欠けの形で見られることがある。さらに、従来の真空断熱ガラス窓では、例えば局所投影、局所冷却、または同様の影響によって引き起こされるガラス縁部に沿った歪みが観察される。そのような局所的に変化し得る、または局所的に活性となる負荷または力の成分を、機能的縁部シールが損傷を受けずに吸収して補償することができることも可能でなければならない。
【0007】
断熱ガラス窓要素の提供は、精度、信頼性、および再現性に関して、プロセス技術に対する高い要求を伴う。したがって、概説した要件に見合い、最小のスクラップ率を有し、同時に費用対効果が高い断熱ガラス窓要素を製造するための方法に関心が持たれている。従来の処置は、これらの要件を適切には満たすことができない。従来の真空断熱ガラスのいくつかの欠点、ならびにプロセスおよび技術に関連する問題点を以下により詳細に説明する。
【0008】
既知の真空断熱ガラス窓の第1の欠点は、排気のために、ガラス板の間に配置される非常に小さな体積しか利用可能でないことである。例えば約50μm〜300μmのガラス板の典型的な距離に関して、体積の値は、1平方メートル当たり約0.05L〜0.3Lしかない。対照的に、排気隙間に面するガラス表面の内面は非常に大きく、これは、既知の真空断熱ガラス窓が、0.5mm未満(典型的には約0.025mm〜0.15mmの間)の非常に低い体積対表面積の比を有することを意味する。例えば脱着または拡散プロセスなどによって引き起こされ、非常に低い濃度にせよ、内面、内面に近い領域、またはスペーサに吸収されている、または結合している残留気体分子(例えば水や炭化水素など)または他の汚染物質が、上記特に好ましくない条件により解放され、排気隙間内で望ましくない圧力増加が生じることになる。例えば、ガラス窓要素を使用するための一般的な条件に関連して常に生じる温度上昇または照射は、そのような残留気体分子の解放(「仮想の」漏れ)を引き起こすのに十分なものである。非常に小さい体積しか利用できないため、残留気体分子の影響は、微小量でさえ非常に好ましくないものとなることがある。なぜなら、圧力が上昇すれば、場合によってはその後短時間で既に、構成要素が完全に故障に至るほど真空断熱ガラス窓の断熱特性の顕著な劣化を生じるからである。
【0009】
従来の真空断熱ガラス窓の第2の欠点は、10−1Pa〜10−3Pa以下の所要の真空を提供するために、数分から、場合によっては数時間までの範囲の非常に長い排気時間が必要とされることである。したがって、構成要素の製造は非常にコストがかかり、場合によっては、排気デバイスに関して追加の高い技術的および経済的な負担が必要になる。排気は、高圧での粘性気体流を低圧での分子流に変えることに関わる。分子流は、分子間衝突の平均自由経路がガラス板間の距離にほぼ等しくなるとすぐに始まる。約50μm〜300μmのガラス板間の典型的な距離により、この状況は、(室温の空気で)数十Paという低い圧力で生じる。しかし、これは、0.8W/(mK)未満、特に0.5W/(mK)未満の特に良好な断熱値を実現するには全くもって不十分である。分子流に関して、吸引速度は、排気すべき体積の幾何学的条件に大きく依存する。例えば、この分子流の範囲において、排気管を通る吸引速度は、直径の4乗に従う。その結果、断面をわずかに拡大しただけで排気時間の大幅な減少が得られ、またはその逆も生じる。すなわち、直径が非常に小さいと、排気時間が顕著に長くなる。
【0010】
排気時間を短縮するための条件は、従来の真空断熱ガラス窓では特に好ましくないものである。一方では、排気時間は、排気すべきガラス板間の開口の断面寸法に依存する。ガラス板の間の距離は短い(低い伝導値である)ので、真空ポンプによって後に排気すべきガラス表面との衝突が主な原因となって、気体分子が偶然的に排気デバイスに到達して最終的に排気デバイスを通過するまでには非常に長い時間が必要となる。別の側面は、排気管がガラス窓アセンブリの縁部またはガラス板表面の一方に取り付けられており、実際の排気が通常は局所的に生じることである。しかし、構成に関連する理由から、従来の真空断熱ガラス窓の排気管は、典型的には約1mm〜2mmの範囲内の小さな直径でしか提供することができない。高速であり、したがって費用対効果の高い排気を実行するには、これらの直径はあまりに小さすぎる。実際、原理的には、実効断面積を増加させるために複数の排気管を同時に配置することができる。しかし、これには、大規模な追加の技術的設備を提供する必要があり、コストがさらに増える。さらに、排気デバイスから遠く離れている気体分子は、最終的に狭い排気管を通ってポンプ除去されるために、ガラス板間の非常に狭い空間の全経路を進む必要があることを考慮する必要がある。これは、特に大型のガラス窓要素においては、ポンプ時間のさらなる増加をもたらす。
【0011】
これらの欠点は、技術的に先進の高価な真空システムにおける真空断熱ガラス窓の排気によってさえ補償することができない。実際、この方法では、分子がガラス窓要素の全側面で真空チャンバ内に移動して、これを排気できるようになっており、排気時間の短縮を可能にする。しかし、排気前に、まずガラス窓要素を真空アセンブリ内に移送する必要があり、その後、真空チャンバを排気して、少なくとも10−1Pa〜10−3Paの良好な圧力を実現する必要があることを念頭に置く必要がある。これは、この場合の排気時間が同程度かそれよりも長くなることを意味する。さらに、真空システム内部でもガラス窓要素の真空気密封止を行う必要があり、これは、実際上、非常に複雑であり非常に高価になることが実証されていることを考慮する必要がある。
【0012】
一般的な真空断熱ガラス窓の第3の欠点は、ガラス板の間の非常に小さい体積が、十分な量のゲッター材料を収容するのに十分な空間を提供しないことである。最後に、既知のガラス窓要素の内部では、例えば熱蒸発によって、ただし蒸発された材料が使用者の目に見えて邪魔になることがないようにゲッター材料を活性化することができるような、適切に排気される空間が利用可能でない。蒸発された材料が目に見えると、それは結局、ガラス窓要素の品質が損なわれたことと同じである。
【0013】
従来のガラス窓要素のコーナー領域が別の重要な点であり、そこでは、空間内で異なる方向に作用する長手方向変化および形状変化が複雑に重なり合い、そこで生じる機械的張力の値が特に高い。実際、ガラスの破壊に至るほどの破砕、欠け、材料疲労が、従来のガラス窓要素で観察される。コーナー領域内での微小孔および微小破砕または時として微視的レベルで小さいその他の損傷がわずかに発生しただけで、ガラス窓要素が全く使用できなくなることを考慮する必要がある。これは、これらの領域での漏れにより、ガラス窓要素内部の真空を保つことができないからである。特に、縁部シールを提供するために箔が使用される場合、コーナーの周りでの箔の折り重なりが、褶曲、ねじれ、および同様の影響を生み出すことが示されている。その結果、完全な真空気密を保証することはできない。これらの問題は、ガラス窓要素の寸法が大きくなればなるほど重大になる。既存の欠点が克服された、大きな寸法で製造することができるガラス窓要素を、使用者が提供できるようにする適切な教示は、既知の方法では提供されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第87/03327A1号
【特許文献2】欧州特許第247098号
【特許文献3】ドイツ特許出願公開第10 2006 061 360号
【特許文献4】ドイツ特許出願公開第10 2007 053 824号
【特許文献5】ドイツ特許出願公開第10 2007 030 031号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、従来のガラス窓要素の欠点を防止するのに適した、改良されたガラス窓要素を提供することである。特に、ガラス窓要素は、高い機械的安定性、単純な設計、および簡略化された製造によって特徴付けられるものと考えられる。本発明の目的は、特に、製品寿命を通じてガラス窓要素内部で高い真空を維持することができるようにしながら、最大2500mmの縁部長さ、および縁部での自由に選択可能なジオメトリ(形状、サイズ)を有する、ガラス窓要素を提供することである。さらに、本発明の目的は、ガラス窓要素を製造するための従来の技法の欠点を防止するのに適した、ガラス窓要素を製造するための改良された方法を提供することである。
【0016】
これらの目的は、独立請求項の特徴によるガラス窓要素およびその製造方法によって解決される。有利な実施形態および用途は、従属請求項で概説する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の態様によれば、上述した目的は、少なくとも2つのガラス板を有するガラス板アセンブリを備えるガラス窓要素であって、第1のガラス板が、全周に沿って、重畳面の分だけ第2の外側ガラス板よりも突出するガラス窓要素によって解決される。さらに、ガラス窓要素は、ガラス板の間の距離を設定するために提供されるスペーサを備えるスペーサアセンブリを備える。スペーサは、ガラス板の間に隙間を形成し、隙間内では圧力が外気圧よりも低い。さらに、ガラス窓要素は、ガラス板間の隙間を環境から封止するように配設された縁部シールアセンブリを備える。本発明によれば、縁部シールアセンブリはプロファイルフレームを有し、プロファイルフレームは、第1の外側ガラス板の内面の突出面、および第2の外側ガラス板の1つの外面に真空気密で取り付けられ、第2の外側ガラス板の側縁部に、隙間と接続された排気空間を形成する。
【0018】
有利には、縁部シールアセンブリは、薄片または箔形状の、複数回折り返した湾曲形の寸法的に安定な材料からなるプロファイルフレームで形成される。フレームは、フレームがガラス板と広範に接続される固定領域(連結点)と、固定領域間に延在するプロファイル領域とを備える。固定領域は、互いに平行な2つの実質的に平坦な領域を備え、これらの領域は、ガラス板との接続により剛性を有する。ガラス板が(例えば熱膨張により)変形する際、固定領域はほとんどまたは全く変形しない。これは、ガラス板の表面に垂直方向の大きな剥離力が生じないことを意味する。
【0019】
第1のガラス板上の第1の固定領域から第2の固定領域への移行部を形成するプロファイル領域は、機械的に延性である。プロファイル領域は、平坦でよく、またはいくつかの場所で湾曲させることもできる。周囲の部分よりも大きく湾曲されたプロファイル領域の部分をアーチ領域と呼ぶ。アーチ領域の曲率半径は、少なくとも0.5mm、好ましくは少なくとも1mmである。フレームは、ガラス板の縁部に沿って延在する、複数回折り返した波形またはアーチ形の薄片を形成する。フレームは蛇腹状であり、その褶曲は、ねじれはなく湾曲しており、アーチ領域によって形成される。
【0020】
フレームのプロファイルは、アーチ領域を含むプロファイル領域の形状が外気圧への露出によって変化しないか、ごくわずかしか変化しないように、材料の選択およびその厚さによって形状を定められる。これは、従来のガラス窓要素に関して提供される箔に比べて大きな利点を提供する。従来の箔では、空気圧の力によって強い偏位が生じ、したがってガラス板の変形によって引き起こされる力に材料が耐えることができない。
【0021】
より大きなガラス板の内面とより小さなガラス板の外面との接続により、本発明によるガラス窓要素の寸法的に安定なフレームは、有利には、ガラス板間の堅固な接続を形成するのに適しており、また、ガラス板との真空気密接続を途切れさせることなく、ガラス板の移動またはサイズ変化による生じ得る変形を許容するのにも適している。
【0022】
フレームと、より小さなガラス板の外面との接続により、隙間に接続された排気空間は、有利には、例えば欧州特許第247098号(特許文献2)による従来のガラス窓要素に比べて拡大されており、したがって、ガラス窓要素の排気およびガラス板の互いに対する熱的移動の吸収に関する利点が実現される。
【0023】
また、排気空間は、フレームのプロファイルの複数回折り返したアーチ形状により、従来のガラス窓要素に比べて拡大されており、有利には、排気空間内に追加の排気可能な緩衝および/または機能空間が形成される。
【0024】
本発明の第2の態様によれば、上述した目的は、上記の第1の態様による少なくとも1つのガラス窓要素を備える構成要素によって解決される。この構成要素は、例えば、断熱の長期安定性によって特徴付けられる建造物または車両用の窓である。この構成要素は、それが設置されたときに外部環境に向くように提供された外面と、設置されたときに例えば建造物または車両の内側に向くように提供された内面とを有する。ガラス板アセンブリの最大の外側ガラス板は、構成要素の内面または外面に提供することができる。
【0025】
本発明の第3の態様によれば、上述した目的は、上記の第1の態様によるガラス窓要素を製造するための方法によって解決される。
【0026】
本発明の好ましい実施形態によれば、ガラス窓要素のフレームは、ガラス板の側縁部(縁辺)に沿って延在する複数のアーチ領域を備える。アーチ領域は、一方向で突出面に平行に湾曲させることができ、すなわち、縁部シールアセンブリのプロファイルは、ガラス板の広がりに垂直な波形である。この場合、突出面の上の複数のアーチ領域が、排気空間の拡大に関する利点を生み出すことができる。あるいは、アーチ領域は、一方向で突出面に垂直に湾曲させることができ、すなわち、縁部シールアセンブリのプロファイルは、ガラス板の広がりに平行な波形である。この場合、突出面上の拡大されたプロファイル領域が、排気空間の拡大に関する利点を生み出すことができる。本発明の他の好ましい実施形態によれば、フレームのプロファイル領域は、突出面にほぼ垂直に、またはほぼ平行に配置される。
【0027】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、アーチ領域は、(突出領域に平行に湾曲される場合に)第1の外側ガラス板に向いたアーチ領域が、少なくとも部分的に第1の外側ガラス板の内面と機械的に接触するように形状を定められる。アーチ領域は、第1のガラス板の内面で突出面上に位置し、有利には、フレームを安定させる機械的な支持点が形成される。本発明者は、意外にも、排気空間を封止することなくこの安定化機能を実現することができることを確認した。
【0028】
固定領域は、封止面に沿ってガラス板と接続される。本発明の別の好ましい実施形態によれば、第1の封止面と第2の封止面は、平坦に、かつ互いに平行に設計される。常に(各場合に)より大きなガラス板の上に、内側に向けて、第1の封止面を介してフレームの第1の固定領域を取り付けること、および常に(各場合に)より小さなガラス板の上に、内側に向けて、第2の封止面上でフレームの第2の固定領域を取り付けることは、フレーム材料の一方の側(表面)が第1と第2の外側ガラス板どちらにも接続されるという利点を有する。接続は、表面を切り替えることなく実現することができ、したがってフレームの安定性を改良する。
【0029】
フレームとガラス板の接続の機械的な安定性および真空気密に関する特別な利点は、本発明の別の好ましい変形形態によれば、第1の封止面と第2の封止面が、600℃未満、特に540℃未満の温度で軟化するはんだガラスからなる、またはそのようなはんだガラスを少なくとも一部含む場合に実現される。特に好ましくは、固定領域は、ガラス板およびフレームの熱膨張率に合致する、すなわちそれらの熱膨張率と最小差で選択された熱膨張率を有する。封止面が、鉛、リチウム、ビスマス、ナトリウム、ホウ素、リン、およびケイ素といった元素の酸化物の少なくとも1つを含む場合に特に有利であることが示されている。
【0030】
好ましくは、縁部シールアセンブリのフレームは、ガラス窓要素が排気状態にある場合に外気圧がフレームの第1および第2の固定領域に作用するように形状を定められ、ガラス板に接続される。これは、固定領域を封止面に対して押し、それらをさらに安定させる。
【0031】
本発明の別の有利な実施形態は、排気空間に向いた第1の封止面の内縁部と次のスペーサとの間の垂直距離が、70mm以下、特に45mm以下であることを特徴とする。
【0032】
好ましくは、本発明によるガラス窓要素のフレームは、以下の特徴の1つまたは組合せを備える。フレームが少なくともC字形、U字形、Z字形、Ω字形、またはS字形プロファイルを備える場合、アーチ領域を含むプロファイル領域の寸法安定性は特に高い。好ましくは、フレームは、少なくとも3つのアーチ領域を備える。交互に逆向き(カーブ)を有する少なくとも3つのアーチ領域を形成するように、上述したプロファイルを複数組み合わせることができる。寸法安定性は、フレームが例えば凹部、チャネル、または溝など安定化要素を備える場合にさらに改良することができる。同様に、好ましくはガラス板の縁部の方向に沿った、および/または縁部に垂直な厚さおよび/または安定性(剛性)の変動により、フレームの機械的安定性が実現される。好ましくは、フレームの材料の厚さは500μm未満である。本発明者は、より大きな厚さが、フレーム材料内で(例えばアーチで)非常に高い張力を生み出すことがあり、また、ガラス板の熱的変形が早期の材料疲労をもたらすことがあることを確認した。さらに、非常に厚く、したがって堅いフレーム材料は、封止面の領域で非常に高い力を引き起こし、それにより真空気密を損なうことがある。300μm未満の厚さが特に好ましい。さらに、フレームの材料の厚さは、好ましくは50μmよりも大きい。より小さい厚さは、機械的な負荷に非常に弱いことが実証されている。70μm超の厚さが特に好ましい。
【0033】
好ましくは、フレームは、鉄ニッケル(FeNi)、鉄ニッケルクロム(FeNiCr)、鉄クロム(FeCr)、白金、バナジウム、チタン、クロム、アルミニウム、およびコバルト、特にニッケル比率が40%〜約55%であるFe−Ni合金、Fe−Ni−Cr合金、クロム比率が23%〜30%であるFe−Cr合金、またはクロム比率が15%〜20%である高級鋼を含む。
【0034】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、フレームを縁部およびコーナーコネクタと組み立てて、封止された連続構成要素を形成する。縁部は、ガラス板の縁部に沿って延在し、ガラス板のコーナー領域で、それぞれの隣接するコーナーコネクタと接続される。コーナーコネクタはそれぞれ、丸みの付いた、特に複数回折り返した湾曲材料ウェブを備える。フレームは、コーナーコネクタによってガラス板のコーナー領域に形成され、このコーナーコネクタは、長手方向縁部に沿って延在する縁部と真空気密接続される。縁部とコーナーコネクタが接続される領域を、接続領域または移行領域とも呼ぶ。好ましくは、密接した輪郭の接続が提供される。
【0035】
本発明によるガラス窓要素は、少なくとも1つの排気デバイスを設けられ、排気デバイスは、ガラス窓要素と真空アセンブリを接続するように、排気空間、およびそこを通して少なくとも2枚のガラス板の間の隙間を排気するように、ならびに排気後に真空気密封止を行うように構成される。本発明によれば、排気デバイスは、縁部シールアセンブリのフレームを通って延びる排気ラインを形成する。排気デバイスの目的は、フレームを通る排気を促進することである。例えば欧州特許第247098号(特許文献2)による、ガラス板の1枚を通した従来の排気とは異なり、有利には、ガラス窓要素の製造中に、より高速の排気が実現され、ガラス板への穴開けはしなくてよい。本発明は、この排気デバイスが、本発明によるプロファイル縁部シールアセンブリと、適切な安定性があり永久的に真空気密である接続を成すことを確認した。
【0036】
好ましくは、排気デバイスが、真空アセンブリを取り付けるために配設された少なくとも1つの排気ラインと、フレームのプロファイルに少なくとも部分的に適合したカフス領域とを備え、カフス領域がフレームと真空気密接続される。排気ラインは、所期の用途に応じて、例えば円形内部断面(排気パイプ)または異なる形状の断面を特徴とする。本発明によれば、カフス領域を、縁部およびコーナーコネクタの少なくとも1つと真空気密接続することができる。
【0037】
あるいは、またはさらに、排気デバイスは、フレームのコーナーコネクタの1つの代わりに使用されるコーナー部片でもよい。コーナー部片は、例えば、コーナー部片に溶接することができる排気ライン用の開口を有する予成形された(特に押し抜きされた、変形された)金属構成要素である。
【0038】
本発明は、正確に2枚のガラス板を有するガラス窓要素に限定されず、3枚以上のガラス板を有するガラス板構成によって実現することもできる。少なくとも1つの内側ガラス板は、第1のガラス板と第2のガラス板の間に配置することができ、第2のガラス板の表面積は、第1の外側ガラス板の表面積よりも小さく、ガラス板の間の隙間が排気空間に通じる。好ましくは、少なくとも1枚の内側ガラス板が、縁部シールアセンブリと接触しない。
【0039】
本発明による縁部シールアセンブリによって実現される、従来技術と比べて拡大された排気空間の形成は、排気空間内への補助機器の取付けに関して追加の利点を有する。例えば残留気体またはその特性(例えば熱伝導率、イオン化挙動、吸収および放出挙動など)を記録するための少なくとも1つのセンサアセンブリ、例えば圧力を測定するための少なくとも1つの測定アセンブリ、および少なくとも1つのゲッターアセンブリなどを排気空間内に提供することができる。
【0040】
本発明によるガラス窓要素を製造するために、まず、ガラス積層としてのガラス板に、スペーサアセンブリのスペーサ、縁部およびコーナーコネクタを有する縁部シールアセンブリのフレームの材料、ならびに少なくとも1つの排気デバイスを設ける。次いで、フレームの材料を、縁部コーナーコネクタの所望の寸法および形状に切断する。縁部シールアセンブリの縁部および/またはコーナーコネクタの材料に少なくとも1つの開口を設け、その開口に少なくとも1つの排気デバイスを取り付ける。次いで、ガラス板積層、縁部シールアセンブリのフレーム、および排気デバイスをプーリングし、縁部、コーナーコネクタ、および排気デバイスの真空気密接続を提供して、円周フレームを形成し、かつフレームとガラス板積層の外側ガラス板の外面との真空気密接続を形成する。最後に、従来のガラス窓要素から知られているように、ガラス窓要素の排気、排気デバイスの封止、および封包体の固定を行う。
【0041】
本発明の他の特徴および利点を、添付図面を参照しながら以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1A】本発明によるガラス窓要素の第1の実施形態の概略断面図である。
【図1B】本発明によるガラス窓要素の第1の実施形態の概略断面図である。
【図1C】本発明によるガラス窓要素の第1の実施形態の概略断面図である。
【図2A】本発明に従って設計されたフレームの変形形態の概略断面図である。
【図2B】本発明に従って設計されたフレームの変形形態の概略断面図である。
【図2C】本発明に従って設計されたフレームの変形形態の概略断面図である。
【図3A】本発明に従って設計されたフレームの変形形態の概略断面図である。
【図3B】本発明に従って設計されたフレームの変形形態の概略断面図である。
【図3C】本発明に従って設計されたフレームの変形形態の概略断面図である。
【図3D】本発明に従って設計されたフレームの変形形態の概略断面図である。
【図3E】本発明に従って設計されたフレームの変形形態の概略断面図である。
【図3F】本発明に従って設計されたフレームの変形形態の概略断面図である。
【図3G】本発明に従って設計されたフレームの変形形態の概略断面図である。
【図4A】本発明に従って設計されたフレームの変形形態の概略断面図である。
【図4B】本発明に従って設計されたフレームの変形形態の概略断面図である。
【図4C】本発明に従って設計されたフレームの変形形態の概略断面図である。
【図5A】本発明に従って設計されたフレームの追加の、特に好ましい変形形態の概略断面図である。
【図5B】本発明に従って設計されたフレームの追加の、特に好ましい変形形態の概略断面図である。
【図5C】本発明に従って設計されたフレームの追加の、特に好ましい変形形態の概略断面図である。
【図5D】本発明に従って設計されたフレームの追加の、特に好ましい変形形態の概略断面図である。
【図5E】本発明に従って設計されたフレームの追加の、特に好ましい変形形態の概略断面図である。
【図6A】本発明に従って設計されたフレームのコーナー接続領域を示す概略上面図である。
【図6B】本発明に従って設計されたフレームのコーナー接続領域を示す概略上面図である。
【図7】本発明によるガラス窓要素を製造するための方法の特徴を示す図である。
【図8A】本発明によるガラス窓要素を製造するための方法の特徴を示す図である。
【図8B】本発明によるガラス窓要素を製造するための方法の特徴を示す図である。
【図8C】本発明によるガラス窓要素を製造するための方法の特徴を示す図である。
【図8D】本発明によるガラス窓要素を製造するための方法の特徴を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明によるガラス窓要素およびそれらの製造方法の例示的実施形態を、特に縁部シールおよび排気デバイスの特徴に言及しながら説明する。さらに、ガラス窓要素は、ドイツ特許出願公開第10 2006 061 360号(特許文献3)、ドイツ特許出願公開第10 2007 053 824号(特許文献4)、およびドイツ特許出願公開第10 2007 030 031号(特許文献5)に記載されているように実現することができ、いくつかの特徴に関する上記特許文献の内容、特に、構成要素、設計、太陽光吸収特性、真空の生成および封止のための機構、ならびにガラス窓要素のスペーサおよびスペーサを含むガラス板の提供に関する上記特許文献の内容を、参照により本明細書に組み込む。本発明の実現形態は、これらのガラス窓要素に限定されず、特にガラス板およびスペーサの構成、形状、サイズ、および材料に関して設計が異なるガラス窓要素でも同様に実現可能である。
【0044】
添付図面は、ガラス窓要素のいくつかの区域を概略的に示すものであることを強調しておく。本発明が実現されるとき、特定の条件に応じて、ガラス窓要素の幾何学的または機械的特徴は、図示されるものとは異なる形で設計されることがある。本発明によるガラス窓要素は、例えば、自由に選択可能な形状および形式での平坦な構成を可能にするだけでなく、特にまた湾曲または屈曲した構成も可能である。本発明は、好ましくは、少なくとも3枚のガラス板を有するガラス窓要素で実現されるが、2枚のガラス板または4枚以上のガラス板からなるガラス板構成を備える真空断熱ガラスで使用することもできる。
【0045】
図1A〜図1Cは、2枚または3枚のガラス板1、2、3を有する設計のガラス板構成を備えるガラス窓要素10の変形形態を示す。具体的には、図1Aによるガラス窓要素10は、第1の外側ガラス板1と第2の外側ガラス板2を有するガラス板構成を備える。図1Bおよび図1Cによれば、ガラス板1、2の間に配置された第3の内側ガラス板3が提供される。ガラス板はそれぞれ、同様に内側に位置された表面1−2、3−1、3−2、および2−1と、外側に位置された表面1−1および2−2とを備える。排気可能な空間4、4−1、4−2、および4−3が、ガラス板1、2、および3の間に形成される。熱放射による熱の損失を防止するために、内面1−2、3−1、3−2、2−1の少なくとも1つに防熱コーティングが設けられる(例えばドイツ特許出願公開第10 2006 061 360.0号(特許文献3)参照)。
【0046】
第1の外側ガラス板1の表面は、第2の外側ガラス板2の表面よりも大きく、第1の外側ガラス板1が全周に沿って第2の外側ガラス板よりも重畳面11の分だけ突出するように配置される。重畳面11は、第1の外側ガラス板1の内面の全周にわたってストリップを形成する。さらに、ガラス窓要素10は、ガラス板1、2、3間の距離a(図1A参照)を設定するために設けられたスペーサアセンブリ5を備え、またスペーサ5を備える。図では、例として、外側ガラス板1、2の間に配置された第3のガラス板3の両側で、ガラス表面3−1および3−2で第1の接触領域5−2上に固定スペーサが設けられ、一方、隣接するガラス板1および2は、スペーサ5の第2の接触領域5−1の領域において、ほぼ自由に移動できるようにされている。図1A〜図1Cは、球形セグメントのジオメトリの平坦化による、球形または同様の形状の接触領域5−1を有する例示的なスペーサ5を示す。
【0047】
さらに、ガラス窓要素10は、ガラス板1、2、3の縁部の全周にわたって配置された真空気密縁部シールアセンブリ601〜604を備え、真空気密縁部シールアセンブリ601〜604は、ガラス板の間の隙間4、4−1、および4−2、ならびに排気空間4−3をガラス窓要素の外環境から封止するように提供され、封包体9、9−1、9−2、9−3、9−4(図1C)で取り囲むことができる。縁部シールアセンブリ601〜604は、プロファイルフレーム6を形成する。これはまた、図6において参照番号600で示されている。フレーム6は、封止面6−1、6−2によってフレーム6がガラス板に接続される領域である固定領域601、602と、固定領域601、602(621、622および631、632)の間にある複数のアーチ領域604を有するプロファイル領域603とを備える。アーチ領域604は、ガラス板の側縁部に沿って延在し(図1では投影面に垂直)、突出面11と平行な一方向に湾曲される。フレーム6のプロファイル領域603は、アーチ領域604の間では突出面11にほぼ垂直に配置される。あるいは、アーチ領域604は、突出面11に垂直な一方向で湾曲させることができる(例えば図5参照)。この場合、アーチ領域604の間のプロファイル領域603は、突出領域11にほぼ平行に配置される。
【0048】
フレーム6は、例えば図1〜図5において断面として示されている縁部と、図6を参照しながら以下に説明するコーナーコネクタとを備える。
【0049】
真空を改良または維持するために、ゲッター効果を有するゲッター材料および/またはアセンブリ400が提供される。側部に設けられた排気デバイス710、711が、プロファイルフレーム6またはその一部に通じ、そこに例えば封止要素8が配置される(図1C)。あるいは、排気は、外側に向けて位置されたガラス板表面の少なくとも1つに設けられた少なくとも1つの開口を通して行うことができる。
【0050】
本発明者が実験によって確認したように、意外にも、ガラス板の全周にわたって構成した追加の排気空間4−3を設けることによって、従来のガラス窓要素の欠点を改善することができる。この排気空間4−3は、プロファイルフレーム6および排気デバイス71の取付け方およびジオメトリによって決定される。
【0051】
本発明により、ガラス窓要素10の排気内部空間における重要な体積対表面積の比を大幅に改良することができるようになる。設計変形形態(ガラス板のサイズおよび枚数や、プロファイルフレームの取付けおよびジオメトリなど)に応じて、体積対表面積の比を約100%、さらにはそれ以上に増加させることができる。この増加の意義は、(例えば漏れ率などその他の条件は同一として)本発明によるガラス窓要素10の製品寿命を従来の真空断熱ガラス窓に比べて100%増加させて2倍にすることができるので、特に重要になる。その結果、ここで、本発明によるガラス窓要素は、過去の例のように20年ではなく、40年にわたって使用することができる。追加の重要な利点は、製造に関して、例えばポンピング時間の短縮によって実現される。
【0052】
ガラス板1、2、3の膨張/変形により生じることがある高いせん断力およびねじれ力を、縁部シールアセンブリおよび排気デバイス6、600、71によって特に良く補償することができ、差し障りのないものにすることができ、自由に選択可能なサイズおよび形状でガラス窓要素10を提供できるようにすることが特に有利であることが示されている。従来技術と比較して認められるこれらの利点は、好ましくは、本発明の特別な特徴の複雑な相互作用によるものであり、これらの特徴には、異なるサイズのガラス板1、2の構成、ガラス板表面1−2、2−2のみにあるフレーム6の特定の構成、およびガラス板1、2の縁部に沿ったプロファイルフレーム6の少なくとも一区域の構成が含まれる。
【0053】
本発明による追加の排気空間4−3の配設によって、センサ、感知要素、または同様の機器を組み込むことができるようになり、これらの機器は、真空の特徴付けまたは制御を行い、したがって間接的に真空気密封止構成要素の断熱特性の測定も行う。これは、例えば、電気的効果、光学的効果、振動媒介効果、もしくはそれらの組合せを用いた圧力測定アセンブリ、および/または圧力に応じて物理的特性(反射、吸収、例えば吸着質に起因する色特性、化学反応など、圧力に関連する蒸発および/または昇華の特性、それらの組合せなど)が変化する材料を含むアセンブリであってよい。圧力に関する直接的または間接的な測定パラメータおよび情報を読み出すために、例えば、プロファイルフレーム6内の電気リードスルー、および/またはガラス板1を通した無接触の光学的な観察、および/または電磁気効果を用いた機構を提供することができる。
【0054】
図2Aおよび図2Bに、少なくとも一部が金属または金属合金からなるプロファイルフレーム6を示す。有利には、プロファイルフレーム6は、少なくとも2つの固定領域601および602を備え、固定領域601および602は、ほぼ平面状であり、互いにほぼ平行に配置され、固定領域601および602の間に、複数の折返し、アーチ、湾曲、傾斜を有する機械的に展性のプロファイル領域603(ここではS字形のジオメトリで例示する)が設けられる。
【0055】
ガラス窓要素10の真空気密の提供、およびガラス窓要素10へのプロファイルフレーム6の非対称的な取付けは、封止面6−1、6−2によって実現され、封止面6−1、6−2は、本発明によれば、少なくとも部分的にプロファイルフレーム6の固定領域601、602とガラス板1、2(図1および図2B参照)の間に取り付けられ、それぞれが共通の外面に面する。好ましくは、ガラス板1、2はサイズが異なり、互いにずらして配置される。ガラス板1は、常に他のガラス板2、3よりも大きい。
【0056】
本発明によれば、まず、封止面6−1が、2つのガラス板1、2の大きい方のガラス板上で、隙間4、4−1に向かって内側に向いたガラス板1の表面1−2の縁部領域に準備され、封止面6−2が、ガラス板1に比べて小さいガラス板2上で、外側に向いた表面2−2の縁部に準備され、第3に、平均の断面積Aを有する追加の排気空間4−3が設けられるようにして、プロファイルフレーム6が配置される。プロファイルフレーム6の固定領域601、602の、互いに少なくともほぼ平行に配置された延在部x、xは、約3mm〜約15mmの範囲内の値に設定される。
【0057】
特に有利には、常に同じ外面に面するガラス板1および2上への本発明による縁部シールアセンブリ601〜604の非対称的な取付けは、2枚または3枚だけのガラス板からなるガラス板構成に限定されず、任意の厚さを有する任意の数のガラス板で問題なく使用することができる。内側に配置されたガラス板3は、縁部シールアセンブリ601〜604と接触せず、これは、縁部シールアセンブリ601〜604が依然として自由に移動可能であること、すなわち、ガラス窓要素10が完成した後でさえガラス板1、2の間で変位可能であることを意味する。ガラス板2の縁部200に対するガラス板3の縁部300の配置(図2C参照)は、好ましくは、内側に向かって、すなわち構成要素の中心に向かってわずかにずれているか、またはほぼ面一であり、これは、ガラス窓要素10の設置または使用中の損傷を防止する一助となる。プロファイルフレーム6と、内側に配置されたガラス板3の縁部300との間の距離x(図2C参照)は、排気時間を短縮する一助となるように少なくとも約1mmであると好ましい。同様に、プロファイルフレーム6と、ガラス板2の縁部200との間の距離x(図2C参照)は、少なくとも約1mm以上になるように設定される。平均の断面積Aは、ガラス窓要素の内側に向いたフレームジオメトリと、ガラス縁部200および300と、ガラス板表面1−2の領域120とによって決まる面積に対応する。
【0058】
建造物や工業施設などに設置されるガラス板の最も効果的な使用のために、ガラス板積層のうち最大のガラス板1の縁部100と固定領域601との間の距離x(図2C参照)は、できるだけ小さく選択される(典型的には約1mm〜3mm)。他の設置変形形態では、距離xをわずかに拡げて(例えば約5mm〜10mm)、ガラス板1がプロファイルフレーム6よりも明らかに突出するようにすると有利であることもある。なぜなら、このようにすると、ガラス窓要素10の機械的な安定性をさらに高めることができるからである。
【0059】
縁部シールアセンブリ601〜604の最も近くに配置されたスペーサ500と、スペーサに最も近い封止面6−1の内側領域との間の距離xは、好ましくは、一方では、空気圧の影響によって引き起こされるガラス板1の縁部領域での臨界の曲げ/引張りに伴う張力をなくすか最小限にすることができ、他方では、提供される排気可能な体積4−3および断面積Aのサイズが依然として適切であるように選択される。ガラス板1に関して、プレストレスのかかっていない、または硬化していない例えば厚さ約3mm〜6mmのガラスを使用する場合、距離xは、約45mm以下の値に設定すべきである。硬化している、および/またはより厚いガラス板1に関しては、より大きな距離を使用することも可能である(例えば、厚さ10mmのガラスに関して最大約70mm)。
【0060】
ガラス窓要素またはその一部分が、図1、図3、図4、図5、図8に断面図として示されており、ここでは、プロファイルフレームは下に配置されている。本発明は、プロファイルフレームなどを上から取り付けた鏡映構成および構造も包含する。なぜなら、そのようにしても、ガラス窓要素10に関する本発明による利点は変わらないからである。
【0061】
プロファイルフレーム6のアーチ領域604を有するプロファイル領域603の設計に関して、本発明によれば様々なジオメトリまたはそれらの組合せを使用することができる。複数の好ましい設計変形形態が図3に示されており、ここで、周りを取り囲むフレーム6は、ガラス板表面1−2および2−2の縁部領域でガラス板1および2と真空気密接続されている。図2および図3A〜図3Gに示されるように、フレーム6のプロファイル領域603は、例えば、C字形、U字形、Z字形、S字形、Ω字形プロファイル、複数の構成部分からなる様々なジオメトリ、ステップ形、アーチ形/アーチ状、および/もしくは幾何学的に類似した形状、またはそれらの組合せを有することもできる。さらに、縁部シールアセンブリ601〜604の一部が例えばガラス板1の縁部平面100を越えて延在する変形形態(図3Dおよび図3E参照)、ならびに/またはガラス板2の表面2−2および/またはガラス板1の表面1−1よりも突出する変形形態(ここでは図示せず)も可能である。そのような実施形態を使用する場合には、(例えばガラス窓要素10の梱包中、輸送中、設置中などに)フレーム6が損傷を受け、その結果、些細な機械的応力によってさえ破壊されることがあり、したがって追加の外部保護デバイス(封包体9)で保護することが好ましいことに留意されたい。
【0062】
例えば、追加のシールを提供するため、ならびに/または複数のガラス窓要素10もしくは他の構成要素を結合させるため、ならびに/またはフレーム形成、保持、および取扱い機構などと接続するために、プロファイルフレーム6を拡張することができ、または固定領域601、602上で他の部品と組み合わせることができる。
【0063】
図3による様々なジオメトリの他に、プロファイルの安定性に影響を及ぼす他の構成的要素、例えば凹部、チャネル、または溝などをプロファイルフレーム6のプロファイル領域603に設けることができる。また、(例えば局所的な加熱処理によって)厚さ、および/または安定性を変えることができる金属材料からなるフレーム6を提供することによって、特定の制限範囲内で機械的特性に影響を及ぼすこともできる。
【0064】
図4は、曲率半径が変化する例示的な好ましい実施形態を示し、この実施形態に関して、フレーム6のプロファイル領域603は、C字形の基本ジオメトリ(大きな曲率半径)を有し、領域609は小さな曲率半径にされ、特にプロファイルフレーム6の局所的な硬化を実現できるようにする。
【0065】
図5によれば、プロファイルフレーム6に関する特に好ましい変形形態は、少なくとも1つの第1のアーチ領域604と、少なくとも1つの第2のアーチ領域605とを含むプロファイル領域603(図5A〜図5E参照)を備え、ここで、アーチ領域の少なくとも1つ(605)は、ガラス板表面1−2に近接して配置され、アーチ領域604、605間のブリッジ領域606は、少なくとも部分的には、縁部平面100、200にほぼ平行に、または縁部平面100、200に対してわずかに傾けて配置される。アーチのカーブの直径は、好ましくは少なくとも約1.0mm以上の値に設定される。アーチ領域間の領域606は、ガラス板表面1−2と縁部平面200とによって形成される空間をプロファイルフレームが完全に占めるように、かつ依然として最大限の排気空間4−3が利用可能であるようにサイズ設定される。プロファイル領域603と固定領域601、602との移行領域607に関する曲率半径は、好ましくは、これらの位置で大きな変形が生じることがないように調節される。
【0066】
図5Aおよび図5Bは、プロファイル領域603が正確に1つの第1のアーチ領域604および1つの第2のアーチ領域605を備える形状を示す。図5Cによれば正確に2つ、または図5Dによれば正確に3つのアーチ領域604および605が、特に好ましい変形実施形態において提供される。実際、4つ以上のアーチ領域を使用することによって、排気空間4−3内の体積をさらに増加することができるが、製造費用がより高くなるため、プロファイルのコストが上昇することがある。
【0067】
意外にも、フレームの部品の特定の配置構成により、大きなサイズのガラス窓要素の使用可能性を高めることもできることが判明した。この特定の配置構成は、本発明によれば、少なくとも1つのアーチ領域605が、少なくとも部分的に、領域608でガラス板表面1−2と直接接触するように配置されることからなる(図5Cおよび図5D参照)。それに伴う摩擦力、およびその結果生じるアーチ領域605とガラス板表面1−2の間の接触領域の損傷を低減するために、隣接する材料の表面に摩擦低減コーティングなどを設けることができる。
【0068】
主アーチとは異なる曲率半径を有することがあるアーチ領域609(図5E参照)を提供することによって、一方では、有利に隙間4−3の体積をさらに増加させることが可能であり、他方では、特定の制限範囲内でフレームの全体的な安定性をさらに高めることが可能であり、それにより、特に封止面6−1、6−2での機械的な張力をさらに減少させることもできる。
【0069】
図5に示される変形実施形態は一例にすぎない。本発明によれば、安定であり有用なガラス窓要素10を得るために、アーチ領域604、605、607、609は、自由に選択可能な、および/または異なる曲率半径および/または形状にすることができ、領域606は、異なる長さおよび/または異なる傾斜角にすることができ、および/または他のジオメトリとの組合せを使用することができる。
【0070】
プロファイルフレーム6を提供するために、例えばパンチングなど既知の屈曲操作を使用することができる。しかし、これらの操作は、約1500mm以上のプロファイル長さに関しては非常に高価であり費用がかかる。プロファイルフレーム6は、好ましくは、ロールフォーミングや輪郭ロールフォーミング、ワイヤおよびバー延伸、またはそれらの組合せによって製造される。好適な方法を用いれば、妥当な価格で、優れた精度でほぼ任意のプロファイル長さのプロファイルフレーム6を製造することができることが実証されている。プロファイルフレーム6に関して金属または金属合金を使用するとき、プロファイルフレーム6は、好ましくは厚さ約50μm〜約300μmにされる。実際の材料厚さは、使用されるプロファイル設計および使用される材料に応じて使用者が選択することができる。好ましくは、すべての材料の厚さが好ましい厚さ範囲内で選択される。
【0071】
プロファイルフレーム6とガラス板1、2の間の封止面6−1、6−2は、好ましくは、はんだガラス、フリットガラス、ガラス状材料、またはこれらの材料を含む物質、金属または金属合金、無機複合材、有機複合材、ゾルゲル化合物、接着剤および/または耐浸透性ポリマー、またはそれらの組合せを含む。封止面6−1、6−2に関して使用される材料は、高性能で耐久性の高い真空気密、ガラス板1、2およびプロファイルフレーム6への優れた接着、ならびにガラス窓要素10の適切な熱機械的安定性が保証されるように設計されることが重要である。特に好ましい変形形態では、低温(<540℃)で軟化するガラスはんだ、またはそのようなガラスはんだを含む材料が少なくとも部分的に使用され、この材料は、ガラス板1、2およびプロファイルフレーム6と同じか少なくとも非常に近い熱膨張率を有し、好ましくは約540℃以下の温度で溶融し、鉛、リチウム、ビスマス、ナトリウム、ホウ素、リン、および/またはケイ素といった元素の酸化物の少なくとも1つを含有する。フレームと封止領域、および封止面とガラス板の直接隣接する材料の組合せの間の熱膨張率の差が、本発明の好ましい変形形態に従って約±1・10−6−1以下である場合、特に低い張力の接続に関して利点が得られる。
【0072】
ガラスはんだを含む材料の好ましい使用によって適切な機械的安定性および真空気密を保証するために、封止面6−1、6−2は、好ましくは約20μm〜約800μm、好ましくは約20μmm〜約600μmの範囲内の厚さにされ、封止面6−1、6−2の幅は、約1mm〜約15mm、好ましくは約1mm〜約10mmの範囲内の値に設定される。
【0073】
金属フレーム6を使用することによって、それらの良好な導電性を、少なくとも部分的には封止面6−1、6−2の局所的な加熱のためにも利用することができる。このために、フレームに抵抗加熱器と同様な電極が取り付けられ、それにより、フレームの少なくとも一部を通る電流を発生させる。
【0074】
また、本発明の好ましい変形形態は、特にガラス板、封止面、およびフレームの間の接触点でのせん断力に対して、接着性およびその結果得られる耐荷重能力を改良するための処置も含み、これは、例えば、追加の接着剤もしくはウェットコーティングを塗布することによって、および/または表面活性化によって、および/または表面酸化によって提供される。特に好ましい実施形態では、少なくともプロファイルフレーム6の封止面6−1、6−2に面する固定領域601、602の面に、少なくとも部分的に規定の表面粗さが設けられる。これによって、ガラスはんだを含む材料が金属表面にさらに良好に接着できるようになる。
【0075】
封止面とフレームの接触点での接着性および耐荷重能力を改良するため、ならびに/または封止領域の厚さの規定の設定を行うために、固定表面601、602に、例えば開口、凹部、チャネル、溝、隆起部、他の表面修飾など追加の構成的要素を設けることができる。
【0076】
封止面6−1、6−2がガラスはんだまたは同様の物質を含む場合、特に好ましい様式では、プロファイルフレーム6は、少なくとも一部は以下のものからなる少なくとも1つの成分を備える。鉄ニッケル(FeNi)、鉄ニッケルクロム(FeNiCr)、鉄クロム(FeCr)などの金属合金、化合物、もしくは成分の少なくとも1つ、および/または白金、バナジウム、チタン(主要成分としても合金成分としても)、クロム(合金成分として)、アルミニウム(合金成分として)、コバルト(合金成分として)といった金属の少なくとも1つ。例えば、以下の入手可能な合金が特に適したものと実証されている。ニッケル比率が約40%〜約55%のFe−Ni合金(例えばFeNi48やFeNi52)、Fe−Ni−Cr合金(例えばFeNi42Cr6、FeNi47Cr5〜6、FeNi48Cr6など)、クロム比率が約23%〜約30%のFe−Cr合金(例えばFeCr28)、クロム比率が約15%〜20%の特殊な高級鋼(例えばX6Cr17)。他の合金成分を追加することもできる。
【0077】
封止面6−1、6−2を提供するために、他の変形実施形態では、低温(約300℃未満)で溶融する金属はんだを使用することができ、これは、少なくとも一部は、スズ、インジウム、および/もしくはスズ−インジウム合金といった物質の1つを含み、ならびに/または元素Ag、Sb、Al、Bi、Cu、Au、およびNiの少なくとも1つを含む少なくとも1つの合金成分を含む。このとき、ガラスはんだを含む封止面に比べて、化合物どうしの熱膨張率の差がわずかに大きいことがあるので、例えばアルミニウムや他のFe−Ni鋼などの金属または金属合金を使用することもできる。
【0078】
一方では、ガラス表面1−2〜2−2に金属はんだを接着できるように、他方では、良好な真空気密および永久的に安定なシールを得るために、はんだ付け可能な接続層、および/または濡れ性を改良した接続層、および/または反応接続層、および/または合金影響接続層、および/または電解活性接続層、および/またはこれらの機能を備え、複数のコーティングで設計されたコーティングパッケージを、固定領域601、602のガラス表面1−2、2−2、または少なくともその一部に塗布する必要がある。しかし、このようなコーティングを金属フレーム6の対応する表面に塗布することもできる。
【0079】
有利には、ドイツ特許出願公開第10 2007 030 031 B3号(特許文献5)に記載されている反応性接続層のための材料およびそれらを提供するための方法を、金属はんだからなる封止面6−1、6−2に適用することができる。
【0080】
封止面6−1、6−2の少なくとも一部を提供するための別の変形形態は、例えば金属(例えばアルミニウム)からなる箔、または表面の少なくとも一部がそのような材料からなるフレーム6が、追加の封止材の塗布を必要とせずにガラス表面1−2、2−2に接続されるというものである。金属箔とフレームとの接着は、好ましくは超音波溶接または同様の処置によって実現される。
【0081】
側部に設けられた少なくとも1つの排気デバイス71によって、真空が提供され、ガラス窓要素10が真空気密封止される。金属フレーム6のプロファイル領域603に、例えばドリル穴などの形態での小さい開口を設け、例えばレーザ溶接によってこのスポットに円形排気管710を取り付けることが提案されている。しかし、この変形形態は、設置が複雑であり、不具合が生じやすく、高い不合格率を伴う可能性があるので、あまり適していないことが実証されている。代わりに、本発明によれば、排気デバイスとフレームの接触点で排気デバイス71が少なくとも1つのカフス領域を備えることによって、これらの欠点を軽減することができ、折返し部分は、フレーム6に対して少なくともほぼ密接した輪郭のジオメトリを有し(図1Cでの711参照)、そこで真空気密接続が少なくとも部分的に提供される。これは、少なくとも部分的に展性が高く、したがって壊れにくい構成を成し、したがって製造コストを節約する。あるいは、カフス領域は、フレーム6のプロファイルからずれた形状からなることがあり、しかし、カフス領域の縁部でフレーム6と真空気密接続することができる。排気後、および好ましくは少なくとも約1・10−1Pa以下の真空圧を達成した後、排気管と結合要素710を真空気密封止するために、封止アセンブリ8が提供される。
【0082】
本発明によるガラス窓要素およびそれらを製造するための方法の実施形態を参照することによって、特に、排気、封止、および真空生成アセンブリを参照することによって、排気デバイス71に関して、特にドイツ特許出願公開第10 2007 030 031 B3号(特許文献5)に記載されている使用材料、構成要素、設計、設置、提供処置、真空発生の実施を使用することができる。
【0083】
排気デバイス71(図1Cおよび図6A参照)は、少なくとも1つの排気管および結合要素710を備え、これらは、真空発生アセンブリに連係するように、および/または少なくとも1つの追加の排気機構または排気対象の機構(例えば追加のガラス窓要素、排気フレームおよび保持構成、真空パネルおよびファサード要素、ならびに他の断熱要素など)との真空気密接続を成すように配設されている。排気デバイス71はさらに、少なくとも1つの部分的に密接した輪郭のカフス領域711を備え、そこで、少なくとも部分的にフレーム6との真空気密接続が提供される。ガラス板1、2との真空気密接続は、領域631、632において封止面6−1、6−2によって提供される。
【0084】
従来の方法とは対照的に、排気デバイス71は、排気に必要な開口をより大きな断面積(既知の方法でのわずか約1mm〜約3mmに対し、少なくとも約6mm〜20mm以上)で提供することができるようにし、それによって、特に分子の流れの圧力範囲内での排気時間を、時として数十秒まで減少させることができる。これは、製造時間を短縮するだけでなく、真空技術に関する投資コストを節約する一助にもなる。
【0085】
排気管および結合要素710は、好ましくは円形、長円形、または楕円形の断面を備えるが、それらの形状からずれたほぼ任意のジオメトリを使用することができ、例えば、正方形断面、長方形断面、区分化された断面、ねじり可能な断面または展性の断面、波形断面、または複数の区分からなる断面などを使用することができる。最も単純な場合には、図2Cに側面図として示される排気管および結合要素710は、両側が完全に開いている円筒形状を有する。管のジオメトリおよび設置に関する他の変形形態も可能である。排気管および結合要素710は、ガラス板縁部に平行に設置することができ(図1C参照)、または任意の傾斜で、もしくは下方向に面するように設置することもできる。他の変形実施形態は、排気管および結合要素710またはその一部がさらに隙間4−3内に突出するというものであり、このとき、排気時間が不必要に延びないように、内側に面する排気管710の開口と縁部200、300の間で好ましくは少なくとも1mm以上の距離を取るべきである。
【0086】
好ましくは、排気管および結合要素710は、外側に面する側面に、幾何学的に延性の部品、アダプタ、接続および結合部片などを設けられ、それにより真空装置との結合が非常に容易になる。
【0087】
排気管および結合要素710のための材料および材料厚さは、少なくとも1barの圧力に耐えることができ、気体不浸透性に悪影響を及ぼす孔、破砕、および他の微視的損傷が生じることがないように提供すべきである。好ましい金属材料の使用において、それぞれの実際のジオメトリに応じて、約50μm〜400μmの厚さが適していることが実証された。
【0088】
排気管および結合要素710に関して、そのような金属もしくは金属合金、またはそれらを含む物質を使用することが好ましく、これらの物質は、密接した輪郭のカフス領域711に関しても使用される。排気デバイス71は、平板に圧延された開始材料の多段階の機械的湾曲または多段階の深絞りなどによって一部片で提供されると有利である。
【0089】
排気管および結合要素710と、密接した輪郭のカフス領域711と、プロファイルフレーム6とに関して、同一材料、または同様の機械的特性を有する材料が使用されると特に好ましい。また、排気管および結合要素710と、密接した輪郭のカフス領域711と、プロファイルフレーム6とに関して、異なる金属および金属合金を使用することもできることを明示的に指摘しておく。例えば、ガラス窓要素10に対する制限または破損をもたらさずに、鉄ニッケル(FeNi)、鉄ニッケルクロム(FeNiCr)、鉄クロム(FeCr)などを含む合金をNiCr含有化合物と組み合わせることができる。この文脈での唯一の重要な要素は、使用される材料が、一方では真空気密接続することができ、他方では、ガラス窓要素10と共に使用するときに材料疲労を全く示さないことである。
【0090】
接続点での熱機械的な張力を最小限にするために、熱膨張率が互いに大きくは異ならない材料を提供することが有利である。異なる材料を使用すると、間に挟んだ金属固定具などを使用して中間層を提供することによって、特定の制限範囲内で熱膨張率のいくらかの調節を実現することができる。
【0091】
ドイツ特許出願公開第10 2007 030 031 B3号(特許文献5)を参照すると、封止アセンブリ8は、好ましくは、一部としては、低温(<約300℃)で溶融する金属封止材を備え、この材料は、好ましくは、スズおよび/またはインジウムといった元素、それらの合金、ならびにこれらの材料を主成分として含む化合物を含み、ここで、元素Ag、Sb、Al、Bi、Cu、Au、Niなどの少なくとも1つを含む他の合金物質を追加することもできる。真空気密は、排気管または結合要素710内に予め組み入れられている開始材料の既知の溶融処置(例えば加熱コイルやレーザなどによる熱供給)によって、排気プロセスの完了後に提供される。
【0092】
本発明によるフレームおよび排気デバイスが金属および金属合金で構成されることにより、封止アセンブリ8のさらなる有利な変形形態が得られる。この変形形態は、(例えばガラス状材料を含む縁部シールとは異なり)金属の優れた熱伝導性により、好ましくはより高温(約540℃のガラス転移温度よりも高い温度)でも真空封止を行うことができることからなる。封止アセンブリ8に関して、少なくとも一部は、約600℃を超える温度範囲で溶融する金属封止材(硬質はんだ)を使用することが好ましく、これは、好ましくは、銀、銅、および/またはニッケルといった元素を主成分として含む。ガラス窓要素10において所望の真空圧を実現した後、排気管および結合要素710が機械的に押されるようにして、または(例えば放射や誘導加熱などによる)熱供給による硬質はんだの局所的な溶融によって封止および/または真空気密封止されるようにして、封止を行うことができる。好ましい封止材の溶融温度がより高いので、ここで、封止アセンブリ8に必要な開始材料と、封止アセンブリ8と排気管または結合要素710との間の永久的なシールに必要であることがある接続層(ドイツ特許出願公開第10 2007 030 031 B3号(特許文献5)参照)とを、少なくとも一部、(例えばコーティングまたは塗布やセグメントなどの形態で)排気デバイス71の構成要素として予め提供することも可能である。
【0093】
真空を永久的に維持するために、ガラス板構成の少なくとも1つの排気空間4−1、4−2、4−3内に少なくとも1つのゲッター材料またはゲッター材料を含むアセンブリ400(ゲッターアセンブリ)が配置されると有利であることがある。好ましい実施形態によれば、ゲッター材料またはゲッターアセンブリは、好ましくは、少なくとも大部分を排気領域4−3内に組み入れられる。なぜなら、この領域内で利用可能な体積は特に大きく、したがって、十分な量のゲッター材料の円滑な組込みまたは適切な活性化が可能になるからである。好ましくは、元素バリウム、マグネシウム、特に好ましくはトリウム、ジルコニウム、アルミニウム、チタンなど、より高い溶融点を有する元素の少なくとも1つ、またはそれらの組合せを含む物質がゲッタリングのために使用される。活性化は、好ましくは局所的な熱蒸発によって実現され、必要なエネルギーは、例えば電気、レーザ、マイクロ波、プラズマ、または誘導機構によって提供される。本発明による縁部シールアセンブリ601〜604および排気設備71が金属材料から構成されていることにより、ゲッターアセンブリは、好ましくはそれらと直接接続されるか、またはそれらと直接接触し、それによって、活性化に必要な熱エネルギーが、縁部シールまたは排気デバイスの対応する部分の局所的な加熱によって実現される。例えばレーザ放射などによってガラス板1、2を通して熱エネルギーを結合させるとき、縁部シールまたは排気デバイスを形成する金属の良好な熱伝導性を、特に局所的な冷却のために使用することができ、ガラス窓要素10の他の構成要素および部分に損傷を及ぼさないようにする。
【0094】
有利な変形形態では、縁部シールアセンブリ601〜604および場合によってはまた排気デバイス71のジオメトリおよび配置は、それらが使用時にさえガラス板1の平面100から突出しないように選択される(図2C参照)。これにより、例えば少なくとも部分的にはガラス縁部100の上に垂直姿勢または傾斜姿勢でガラス窓要素10を設置できるようになり、縁部シールおよび排気デバイスに損傷を及ぼす可能性はない。
【0095】
図1Cによれば、ガラス窓要素10は、縁部に、少なくとも部分的に封包体9などを設けることができる。封包体9は、図示されるように例えばC字形あるいはまたL字形の断面を備えることができる。これは、輸送中や設置中などに、ガラス縁部ならびに縁部シールアセンブリおよび排気デバイスの機械的な損壊、ならびに望ましくない腐食環境への露出を防止する助けとなる。封包体9に関して、例えば金属、合成材料およびポリマー、複合繊維材料、木材など、およびそれらの材料の組合せを含む様々な構成を使用することができる。封包体9は、クランプおよびプレスデバイスまたはそれらの組合せなどの形態で、少なくとも部分的には接着によって、領域9−1、9−2、および/または9−3の1つにおいて少なくとも1枚のガラス板1、2に結合される。ガラス窓要素10の実際の所期の使用に応じて、領域9−1、9−2、9−3は、使用される材料とジオメトリのどちらに関しても、異なる設計にすることができる。封包体9は、少なくとも部分的には、ガラス窓要素10に関する取付けおよび設置デバイスの一部として配設することができ、ならびに/または追加の断熱拡散防止および/または真空気密機能を設けることもできる。
【0096】
領域9−1、9−2、9−3は、好ましくは、少なくとも1つの付着、接着、封止、阻止物質および/または1つの充填成分を備え、これは、好ましくは、アクリレート、シアノアクリレート、樹脂、エポキシ系、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリスチロール、酢酸塩、ポリ硫酸塩、シリコーン系、コポリマー、可撓性ゴム物質などから選択される。さらに、薄い金属箔や、薄い金属層および/または酸化物層を含む箔を一部として含む拡散防止複合材システムまたは材料組合せを使用することができる。
【0097】
腐食への露出から縁部シールアセンブリ601〜604をより良く保護するために、封包体9と縁部シール6または排気デバイス71との間の空間9−4に、例えば乾燥剤など、水蒸気抑制および/または水蒸気吸収成分を設けることができる。例えばミネラルウールやポリスチロールなどの断熱材を空間9−4内に組み込むことによって、ガラス窓要素10の縁部での熱損失をさらに最小限にすることができる。また、いくつかの条件下では、外気圧に比べて低い空間9−4内の圧力を提供することもでき、それにより縁部領域内での断熱をさらに改良することができる。
【0098】
本発明によるガラス窓要素10およびその製造方法は、コーナー領域の破損しやすさに関して、上述した従来のガラス窓要素の欠点を克服することができる。好ましい変形実施形態は、完全に独立型の線細工および小型縁部シールアセンブリ600(図6A参照)を備え、縁部シールアセンブリ600は、領域621、622、623を有する少なくとも1つのコーナーコネクタ62を含み、これらの領域621、622、623は、領域624において、フレーム6の縁部の固定領域601、602およびプロファイル領域603と真空気密接合される。好ましくは、すべてのコーナーにコーナーコネクタ62が設けられる。ガラス板1および2は、封止面6−1および6−2によって領域601、621および602、622と接続され、このようにしてガラス窓要素10のための真空気密封包体を提供する。
【0099】
意外にも、線細工縁部シールアセンブリ600は、2000mm×2500mm以上の大きな寸法を有するガラス窓要素を提供するためにも使用することができる。これらの利点は、本発明による縁部シールアセンブリ600を用いると、(とりわけ約500℃を超える高いプロセス温度において)封止面6−1、6−2の提供によってガラス板の積層と縁部シールアセンブリが自己調節および自己安定するようにガラス板1、2、3が構成されることによるものである。このようにすると、ほとんどの場合に、高価であり、複雑であり、したがって費用がかかる保持およびプレス機構は、ガラス窓要素の製造に必要なくなる。
【0100】
コーナーコネクタ62のコーナーは、尖った縁部ではなく、好ましくはいくらかの丸みを付けられている。これらの丸みまたは湾曲の寸法は、例えば、ガラス窓要素の形状およびサイズならびに実際の設置および利用条件に応じて異なることがある。この丸みを付けた設計によって、ガラス表面1−2、2−2に対する機械的な力の結合を、正確にコーナーにではなく、ガラス板1、2のコーナーからわずかにずらして提供することができるようになり、それにより、例えばガラス板が切断されたときに生じた微視的損傷が原因でコーナーまたはそのすぐ近くで生じるガラスの破壊および破砕などをできるだけ防止できるようになる。
【0101】
コーナーコネクタ62の領域623の側部プロファイルジオメトリは、接触領域624間の表面全体にわたって領域603と同一または同様である必要はない(図2、図3、図4参照)。しかし、フレーム6とコーナーコネクタ62の側部プロファイルジオメトリが少なくともほぼ同一であり、少なくともフレームとコーナーコネクタの接触点624では非常に類似していることが重要である。これにより、ガラス窓要素を製造するときに、正確な嵌め合いで無張力で構成要素を合わせることができるようになる。永久的な真空気密接続は、接続部どうしの垂直または傾斜配置によって提供することができ、例えばアーク溶接など既知の処置によって成すことができる。1つの好ましい変形形態は、レーザ溶接によって接続が成されるというものである。このプロセスでは、一対の接続部であるコーナーコネクタ62とフレーム6とが、接触点624上で当接位置またはわずかに重なった位置に置かれ、次いで一体に真空気密溶接される。
【0102】
別の特に好ましい変形実施形態は、約600℃〜約1000℃、好ましくは約650℃〜900℃の範囲内の典型的な作業温度で硬質はんだを使用する特別なはんだ処置によって接続が成される、というものである。この特別なはんだ付け処置は、例えば、始めに、コーナーコネクタ62が特別なツール内に正確な嵌め合いで配置されるように設定される。コーナーコネクタに隣接するフレーム6の縁部がツール内に横向きに配置され、それにより、接続部どうしが重なり合う接触領域624が形成され、重畳領域624の幅は、好ましくは少なくとも約1mm〜約10mmの範囲内で選択される。はんだ材料は、好ましくは、少なくとも一部は銀、銅、および/またはニッケルといった元素を成分として含む物質を含む。はんだ材料が接触領域624内に入れられた後、または少なくとも、例えばペースト、ワイヤ、箔などの形態(必要であればフラックスの形態でもよい)で接触領域624のすぐ近くに置かれた後、はんだ材料が溶融するように、領域624が例えば誘導加熱によって加熱される。特別なツールが、所要の局所的な接触圧および離間を提供し、冷却後に、真空気密および機械的に良好な耐荷重性の接続を提供する。はんだ厚さは、好ましくは約10μm〜約250μmの値に設定される。
【0103】
接触領域624を提供するのに好ましい材料、設備、および方法は、例えば少なくとも1つの排気デバイス71とフレーム6の間の接触領域625を提供するためにも使用することができ、本発明の構成要素とみなすことを指摘しておく。
【0104】
特に安定な接続は、プロファイルフレームの縁部とコーナーコネクタとに関して密接した輪郭のジオメトリが設定される場合に実現され、封止面6−1、6−2の間の接触領域624全体に沿って、プロファイルされる側が外側から内側に、およびその逆に切り替えられることがないようにされる(例えば図1A〜図1C、図3F、図3G、図4B、図4C、図5B〜5E参照)。この利点は、この特に好ましい設計変形形態によって、封止面6−1、6−2に対する機械的な張力をさらに減少させることができることによるものである。重畳接続部624の封止面6−1、6−2においてガラス板縁部に沿って生じる水準および高さの差(プロファイル厚さとはんだ層の厚さ)は、封止面の厚さを調節することによって均すことができる。
【0105】
プロファイルフレーム6の縁部、排気デバイス71、およびプロファイルフレーム6のコーナーコネクタ62に関する他の変形形態は、少なくとも一部には、耐浸透性コーティングおよび/または(例えば酸化による)表面修飾を表面に施すことを含み、それにより、ガラス窓要素10の内部へのガラス分子の拡散をさらに減少させることができ、したがって構成要素のより長い寿命を実現する。
【0106】
図6での上面図は、例示的な縁部封止アセンブリ600を示し、ここでは、丸み部分、屈曲部分、および湾曲部分において、領域621、622、623の相互距離も互いに一定に保たれる(図2Aでの距離x〜x参照)。ここに図示した対称的な実施形態では、丸み部分および湾曲部分は、円の相互中心を有する円のセグメントとして設計される。しかし、領域601〜603および621〜623などに関して、円からずれたジオメトリ、異なる基準点、異なる延在部x、xを使用することもできる。さらに、異なる度合いの屈曲や湾曲などを領域621、622に与えたコーナーコネクタ62も可能である。
【0107】
さらに、縁部、排気管および結合要素710、ならびに密接した輪郭の構成要素711に関して本文および図面で説明するように、コーナーコネクタ62に、同一のまたは少なくとも同様の材料および成分、ならびに同一または少なくとも同様の構造的な処置およびプロセス制御に関連する処置(例えばチャネル、溝、コーティングなど)を提供することもできることを明示的に指摘しておく。
【0108】
ガラス縁部200、300とフレームの間の全周にわたる開口は、縁部シールアセンブリ、コーナーコネクタ、およびフレーム形成アセンブリを配置することによって形成されることが特に有利であることが示されている。既知の真空断熱ガラス窓に比べて、円形開口は、はるかに大きい断面積(少なくとも約6mm〜20mm以上)にされ、それにより、排気デバイスから遠く離れた位置の気体分子は、ポンプすべきガラス板間の非常に狭い開口を通って移動することによって全経路を進む必要はもはやない。本発明は、円形開口4−3と空間4−1、4−2の間の適切な圧力差を生み出すことができるようにし、したがって、このとき分子は、ガラス窓要素の全側面にある開口の最も近い部分に移動することができ、この開口を通して排気デバイスに供給される。
【0109】
以下の単純化したプロセス手順が、本発明による縁部シールアセンブリ600の製造に当てはまる。
−フレーム用の開始材料に縁部およびコーナーコネクタ62を提供するステップ。
−排気デバイス71を提供するステップ。
−フレーム用の開始材料をそれぞれのガラス窓要素10の所望の寸法に切断するステップ。
−排気デバイス71を収容するために、少なくとも1つのフレーム6に少なくとも1つの凹部または開口を提供するステップ。
−個別の構成要素6、71、62をプーリングして、真空気密接続624、625を提供するステップ。
【0110】
縁部シールアセンブリ600を提供するのに必要とされる構造構成要素を図6Bに概略的に示す。例示的な図示した例において、排気デバイス71は、フレーム6の縁部の1つに個別に取り付けられ、したがってコーナー領域からはわずかに距離を取られ、これによって機械的な張力をさらに減少させることができるようになる。このために、プロファイルフレーム6は構成要素6aおよび6bに分割され、その後、排気デバイス71が、接触点625によって構成要素6aおよび6bと接続される(図6A参照)。真空システムとの単純な結合を実現するために、排気管およびカフス領域711は、好ましくは、フレーム6の縁部からわずかに突出することができる。排気および真空気密封止の後、排気管およびカフス領域を所望の長さに短縮することができる。
【0111】
また、縁部シールアセンブリ600は、排気デバイス71がコーナーコネクタ62の直接の構成要素である、および/または接触点624でコーナーコネクタ62と直接接続される変形形態も備える。それぞれの個々の構成要素6、71、62の数および形状、ならびに縁部シールアセンブリ600のジオメトリは、図6Bからずれていてもよく、それぞれの実際の設計に応じて使用者が定義するものとする。
【0112】
本発明による縁部シール(6、6−1、6−2)、排気(71)、およびコーナー接続(62)のためのアセンブリを含む、以下に説明するガラス窓要素10を製造するための方法が、本発明の特に好ましい変形実施形態である。他の方法を用いた他の組合せおよび修正形態も可能である。
【0113】
図7による第1の処理ステップでは、この方法は、ガラス板1、2、3を提供すること(例えば、切断、洗浄、縁部からコーティングの除去、および必要であれば少なくとも封止面6−1、6−2でのガラス表面の活性化)と、縁部シールアセンブリ600を提供すること(例えばガラス板表面の洗浄および活性化)とを含む。好ましい変形形態では、スペーサ5は、ガラス表面1−2、3−1、3−2、および/または2−1と固定接続され、および/またはガラス板のプーリングまたは積層中にガラス表面に適用することができる。
【0114】
第2のステップ(図8A参照)において、封止材610、620が、ガラス板1、2、3の表面に平行に延びる縁部シールアセンブリ600の外側領域601、602、621、622、631、632、および/またはガラス表面領域1−2、2−2の対応する部分に塗布される。例えば定量供給システムを使用することによる封止材の正確な位置決めでの厳密な塗布が、途切れや開口なしで、全周にわたって行われることが重要である。好ましい封止材610、620は、好ましくは、低温で軟化するガラス状材料および/またはガラスを含む物質(例えばはんだガラスやフリットガラスなど)を含み、これらは、好ましくは、接着剤および/または溶媒を含むペースト、懸濁物、箔、固定具などの形態で提供される。
【0115】
次いで、図8Cに示される積層を得るために、封止材610、620上にガラス板が連続的に配置される。基本的には、逆順で、すなわち、まずガラス板を互いに重ねて配置し、次いでフレーム形成アセンブリを配置することによって積層を提供することもできる。
【0116】
第4のプロセスステップは、排気管/結合要素710と真空システムの間の機械的な接続を提供することと、積層をプーリングすることと、それにより封止面6−1、6−2での真空気密を提供することとを含む。
【0117】
プーリングは、好ましくは、熱処理によって封止材を溶融することによって実現される。特に有利な様式では、高信頼性の封止面を得るのに必要とされる、構成要素の全サイズにわたる特に均一な接触圧が、少なくとも大部分に関してガラス板1、2、3の自重によって提供される。ここで、ガラス窓要素10(図8D参照)が提供されるが、これは、真空がまだ確立されていないので断熱特性を備えない。
【0118】
第5のプロセスステップによれば、ガラス窓要素10内部での所望の真空状態が、好ましくは、外気圧条件下での真空システムによる排気によって提供される。排気は、好ましくは、プーリングプロセス中、すなわち正確には、溶融した封止材がまだ完全には硬化または固化しておらず、いくらかの力の付与によって打ち延ばすことができる時点で既に開始することができる。部分真空と共に提供されるこの追加の接触圧は特に有利である。なぜなら、外部から作用する空気圧により、特に均一な圧力が提供され、溶融した封止材の製造関連公差や寸法精度のさらに良好な一様性を得られるからである。
【0119】
少なくとも10−1〜10−3以下の真空圧を実現した後、排気管710は、上記の方法を使用して真空気密封止される。ゲッター400を活性化させることによって、真空状態をさらに改良することができる。
【0120】
プーリング、排気、および真空気密封止を真空状態で行うこともできる。
【0121】
永久的な真空を提供することで、約0.5〜約0.3W/(mK)以下の特に好ましい断熱値(U値)を実現することができる断熱ガラス窓要素10を製造することができる。
【0122】
図示した例示的実施形態は、図示した形態でしか使用できないわけではない。実際、これらの例の任意の組合せが可能である。
【0123】
構成要素は、板の材料に関してガラスなどに限定されない。ガラスなどの使用は、透明および半透明構成要素に関する特殊な場合である。基本的には、比較的大きなプレート形状または屈曲および湾曲したジオメトリで製造することができ、適切な機械的安定性を有し、かつ真空化可能である任意の材料を使用することができる。
【0124】
本明細書、図面、および特許請求の範囲で開示する本発明の特徴は、その様々な設計単独でも、またはそれらを組み合わせても、本発明の実現にとって本質的なものであり得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の外側ガラス板と第2の外側ガラス板を備えるガラス板構成であって、前記第1のガラス板が、全周に沿って、重畳面の分だけ前記第2の外側ガラス板よりも突出するガラス板構成と、
前記ガラス板の間の距離を設定するために提供されるスペーサを備えるスペーサアセンブリと、
前記ガラス板の間の隙間を外環境から封止するための縁部シールアセンブリであって、前記第1の外側ガラス板の内側の重畳面に対して真空気密で取り付けられたプロファイルフレームを備える縁部シールアセンブリと、
を備え、
前記隙間内の圧力が外気圧よりも低くなるように設定された、断熱ガラス窓要素であって、
前記フレームが、前記第2の外側ガラス板の外面に対して真空気密に取り付けられ、前記第2の外側ガラス板の側縁部に、前記隙間に接続された排気空間を形成すること、および、
少なくとも1つの排気デバイスが提供され、前記排気デバイスが、排気空間を排気するために前記フレームを通して配置されること
を特徴とする、断熱ガラス窓要素。
【請求項2】
前記フレームが、前記フレームが前記ガラス板に接続される固定領域と、前記ガラス板の側縁部に沿って配置された複数のアーチ領域を備えるプロファイル表面とを備え、前記アーチ領域が、前記重畳面に平行または垂直な一方向でアーチを成している、請求項1に記載のガラス窓要素。
【請求項3】
前記アーチ領域間の前記フレームの前記プロファイル領域が、前記重畳面にほぼ垂直またはほぼ平行に配置される、請求項2に記載のガラス窓要素。
【請求項4】
前記第1の外側ガラス板に向いた前記アーチ領域が、前記第1の外側ガラス板の内側に少なくとも部分的に接触する、請求項2または3に記載のガラス窓要素。
【請求項5】
前記ガラス板が、第1の封止面および第2の封止面を設けられ、前記封止面が、互いに面一であり、かつ平行であり、前記封止面において、前記フレームの前記固定領域が、前記第1および前記第2の外側ガラス板と同様に接続される、請求項1から4のいずれか一項に記載のガラス窓要素。
【請求項6】
前記第1の封止面および前記第2の封止面がはんだガラスを含み、前記はんだガラスが、
600℃未満、特に540℃未満の温度で軟化し、
前記ガラス板および前記フレームの熱膨張率に合致した熱膨張率を有し、
鉛、リチウム、ビスマス、ナトリウム、ホウ素、リン、およびケイ素といった元素の酸化物の少なくとも1つを含む、請求項5に記載のガラス窓要素。
【請求項7】
前記外気圧が前記第1および第2の固定領域に作用する、請求項5または6に記載のガラス窓要素。
【請求項8】
前記排気空間に面する前記第1の封止面の内縁部から次のスペーサアセンブリまでの垂直距離が50mm以下である、請求項5から7のいずれか一項に記載のガラス窓要素。
【請求項9】
前記フレームが、
少なくともC字形、U字形、Z字形、Ω字形、またはS字形プロファイルを備えること、
例えば凹部、チャネル、または溝など安定化要素を備えること、
厚さの変化を有すること、
強度の変化を有すること、
500μm未満、特に300μm未満であり、50μm超、特に70μm超である厚さを有すること、
鉄ニッケル(FeNi)、鉄ニッケルクロム(FeNiCr)、鉄クロム(FeCr)、白金、バナジウム、チタン、クロム、アルミニウム、およびコバルト、特にニッケル比率が40%〜約55%であるFe−Ni合金、Fe−Ni−Cr合金、クロム比率が23%〜30%であるFe−Cr合金、またはクロム比率が15%〜20%である高級鋼を含むこと、および
少なくとも3つのアーチ領域を備えること
の少なくとも1つの特徴を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のガラス窓要素。
【請求項10】
前記フレームが、前記ガラス板の縁部に沿って延在する縁部と、コーナーコネクタとを備え、前記コーナーコネクタが、前記ガラス板のコーナー領域内でそれぞれ2つの隣接する縁部を接続するために使用され、前記コーナーコネクタがそれぞれ、丸みを付けられた、特に複数回折り返した湾曲材料ウェブを備える、請求項1から9のいずれか一項に記載のガラス窓要素。
【請求項11】
前記排気デバイスが、真空アセンブリを取り付けるために配設された少なくとも1つの排気ラインと、前記フレームのプロファイルに少なくとも部分的に適合したカフス領域とを備え、前記カフス領域が前記フレームと真空気密接続される、請求項1から10のいずれか一項に記載のガラス窓要素。
【請求項12】
少なくとも1つの内側ガラス板が、前記第1のガラス板と前記第2のガラス板の間に配置され、前記第2のガラス板の表面積が、前記第1の外側ガラス板の表面積よりも小さく、前記ガラス板の間の前記隙間が前記排気空間に通じる、請求項1から11のいずれか一項に記載のガラス窓要素。
【請求項13】
前記少なくとも1つの内側ガラス板が、前記縁部シールアセンブリに直接隣接する、請求項12に記載のガラス窓要素。
【請求項14】
前記排気空間が、センサアセンブリ、測定アセンブリ、およびゲッターアセンブリの少なくとも1つを備える、請求項1から13のいずれか一項に記載のガラス窓要素。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の少なくとも1つのガラス窓要素を備える構成要素。
【請求項16】
請求項1から14のいずれか一項に記載のガラス窓要素を製造するための方法であって、
ガラス板積層としてのガラス板に、前記スペーサアセンブリのスペーサ、前記縁部シールアセンブリの前記フレームの材料、および前記排気デバイスを供給するステップと、
所望の寸法に合致するように前記縁部シールアセンブリの前記フレームの材料を切断し、それにより前記縁部およびコーナーコネクタを供給するステップと、
前記縁部シールアセンブリの前記フレームの材料に少なくとも1つの開口を設け、前記開口内に前記排気デバイスを取り付けるステップと、
前記ガラス板積層、前記縁部シールアセンブリの前記フレーム、および前記排気デバイスをプーリングし、前記縁部、前記コーナーコネクタ、および前記排気デバイスの真空気密接続を提供して、前記円周フレームを形成し、かつ前記フレームと前記ガラス板積層の前記外側ガラス板の外面との真空気密接続を形成するステップと
を含む、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【公表番号】特表2013−514245(P2013−514245A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543470(P2012−543470)
【出願日】平成22年12月4日(2010.12.4)
【国際出願番号】PCT/DE2010/001442
【国際公開番号】WO2011/072646
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(512136570)
【氏名又は名称原語表記】JAGER,Steffen
【住所又は居所原語表記】Nellie−Friedrichs−Strasse 54,38122 Braunschweig Germany
【Fターム(参考)】