説明

断熱コンクリート型枠装置とコンクリート型枠用断熱成形体およびコンクリート型枠組み立て方法

【課題】コンクリート構造物を構築するコンクリート打設に使用されるコンクリート型枠装置と、前記コンクリート型枠装置に必要な断熱性能を確保する目的で型枠へ取り付けられる断熱成形体、および前記断熱成形体を採用した断熱コンクリート型枠装置の組み立て方法を提供する。
【解決手段】面板1aの背面に、同面板1aの外周縁に沿って立つ周辺リブ1b、1cと、同周辺リブで囲まれた枠内を仕切る中リブ1d、1eとを備えたコンクリート型枠の前記背面の周辺リブと中リブとで区画された枡4内に断熱成形体2が嵌め込まれて成るコンクリート型枠装置において、前記断熱成形体2は、その各側面が前記枡4を形成するリブ1b、1cと1d、1eに内接する形状であり、厚さはリブの高さ以下とされ、該断熱成形体2の背面の外周辺と接する位置に複数の窪み2aを備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンクリート構造物を構築するコンクリート打設に使用されるコンクリート型枠装置、特に言えば鋼製で断熱構造のコンクリート型枠装置と、前記コンクリート型枠装置に必要な断熱性能を確保する目的で型枠へ取り付けられる断熱成形体、および前記断熱成形体を採用した断熱コンクリート型枠装置の組み立て方法の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート打設にあたっては、寒冷期のコンクリートの保温養生、また、夏期のコンクリートの温度上昇に対する適切な保温養生が重要である。特に鋼製型枠の場合は、鋼材の熱伝導率が高いので、前記した外気温の高低に対する対策が特に重要視される。
そこで従来の対策は、鋼製型枠に発熱体や断熱材を設置してコンクリート打設時の温度の悪影響を緩和する手法が提案され、実施もされている。
【0003】
例えば下記の特許文献1に記載された型枠は、鋼製型枠本体の外側に、通電することにより発熱する面状発熱体を設けることで保温効果を発揮させ、寒冷地における冬期のコンクリート打設における外気温の悪影響を緩和してひび割れの防止を図る、と説明されている。
また、下記の特許文献2に記載された断熱型枠は、地下にコンクリート壁を構築する場合に埋め殺し用として使用する特殊用途の型枠であるが、鋼製型枠に断熱材を取り付けた構成が提案されている。前記断熱材は、例えば接着剤を用いて貼り付けると記載されている(同公報の例えば段落番号[0016])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−21087号公報
【特許文献2】特開2001−3564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示された型枠は、鋼製型枠本体の外側に、通電することにより発熱する面状発熱体を設けた構成なので、寒冷地における冬期のコンクリート打設にはそれなりの保温効果を発揮するであろうと推定できる。
また、上記特許文献2に開示された断熱型枠は、地下にコンクリート壁を構築する場合に埋め殺し用として使用する特殊な用途である点はさておき、鋼製型枠の背面の周縁部に沿って立てた周辺リブに、当該鋼製型枠同士を横並びに連結するための連結孔を設けた構成を前提に、同連結用孔を利用するボルトやフックを通す作業の邪魔にならないように、同周辺リブとの間に一定の隙間を形成する幅および高さに構成した断熱材を設置すると説明されている(同公報の例えば段落番号[0016])。そして、前記の隙間は、鋼製型枠の背面の周縁部に沿って立てた周辺リブの全周にわたり設ける構成が、図1ないし図3の記載から明らかである。
前記隙間の大きさについて具体的な記載は見当たらない。しかし、同隙間が連結用孔を利用するボルトやフックを通す作業の邪魔にならないようにするためであることを考慮すれば、少なくとも50mm〜100mm程度は必要になるであろう。そうすると鋼製型枠の面板に、前記の如き断熱材の不存在箇所(隙間)を生じさせることは明らかであり、そのような断熱材不存在箇所を設けた構成では、打設コンクリートの特定の局部に温度が高いか又は低い部分を生じさせることとなり、かえって養生効果を害する欠陥をもたらすと云わねばならない。
【0006】
本発明の目的は、コンクリート型枠を使用して打設したコンクリートの養生に必要な断熱性能を全面的に等しく発揮して、コンクリート打設時の外気温の悪影響を緩和する断熱コンクリート型枠装置を提供することである。即ち、コンクリート型枠の面板の背面側に断熱材を取り付ける場合に、面板の全面に断熱材が等しく行き渡り、断熱効果を面板の全面にわたり等しく期待でき、打設コンクリートに良好な養生効果を期待できる断熱コンクリート型枠装置を提供することである。
本発明の目的は、面板の全面に断熱材が行き渡り、断熱効果を面板の全面にわたって等しく期待でき、打設コンクリートの良好な養生効果を期待できることは当然として、コンクリート型枠の組み立て、使用に不可欠であるフックボルトの取り付け、或いはクリップによる型枠相互間の接合の作業に一切支障のない構成の断熱コンクリート型枠装置を提供することである。
本発明の次の目的は、コンクリート型枠装置に必要な断熱保温の性能を確保するべく型枠へ取り付け又は取り外すことが容易に行え、また、型枠への取り付け又は取り外しの時期に制約がなく、しかも事後的に必要に応じ適宜に加工して使用することに適するなど、使い勝手の良い断熱成形体を提供することである。
本発明の更なる目的は、前記断熱成形体を採用した断熱コンクリート型枠装置の組み立て方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る断熱コンクリート型枠装置10は、
面板1aの背面に、同面板1aの外周縁に沿って立つ周辺リブ1b、1cと、同周辺リブで囲まれた枠内を仕切る中リブ1d、1eとを備えたコンクリート型枠の前記背面の周辺リブと中リブとで区画された枡4内に断熱成形体2が嵌め込まれて成るコンクリート型枠装置において、
前記断熱成形体2は、その各側面が前記枡4を形成するリブ1b、1cと1d、1eに内接する形状であり、厚さはリブの高さ以下とされ、該断熱成形体2の背面の外周辺と接する位置に複数の窪み2aを備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した断熱コンクリート型枠装置10において、
断熱成形体2の窪み2aは、コンクリート型枠へフックボルト5およびクリップ6を取り付ける取付孔1f、1gと対応する位置に、それぞれ断熱成形体2の外周辺側を開放された形状に設けられていることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載した断熱コンクリート型枠装置において、
断熱成形体2の背面の形状は、矩形状をなす鋼製面板1aの背面の周辺リブ1b、1cと中リブ1d、1eとで区画された正方形の枡4内に嵌め込まれる大きさの正方形に成形されており、各窪み2aは、正方形をなす断熱成形体2の背面の四周辺それぞれのほぼ中央部位に左右・上下に相対峙する配置に設けられ、且つ各窪み2aは断熱成形体2の外周辺側を開放された形状に設けられており、前記左右・上下に相対峙する配置とされた窪み2a、2aの相互間で接近する部位の窪み内壁面2a’は、指先で挟み持つことに適した手掛かり部を有する形状とされていることを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、請求項1〜3のいずれか一に記載した断熱コンクリート型枠装置において、
断熱成形体2の背面の形状は、矩形状をなす鋼製面板1aの背面の周辺リブ1b、1cと中リブ1d、1eとで区画された長方形の枡4’を同長方形の長辺を二等分した大きさの正方形とされ、各窪み2aは、正方形をなす断熱成形体2の背面の四周辺それぞれのほぼ中央部位に左右・上下に相対峙する配置に設けられ、且つ各窪み2aは断熱成形体2の外周辺側を開放された形状に設けられており、前記左右・上下に相対峙する配置とされた窪み2a、2aの相互間で接近する部位の窪み内壁面2a’は、指先で挟み持つことに適した手掛かり部を有する形状とされていることを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、請求項1〜4のいずれか一に記載した断熱コンクリート型枠装置において、
断熱成形体2における左右・上下に相対峙する配置とされた窪み2aの相互間で接近する部位の窪み内壁面2a’は、その窪み底面から外表面に向かって85度以下の角度に傾けた傾斜面に形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項6に記載した発明に係るコンクリート型枠用の断熱成形体は、
面板1aの背面に、同面板1aの外周縁に沿って立つ周辺リブ1b、1cと、前記周辺リブで囲まれた枠内を仕切る中リブ1d、1eとを備えて成るコンクリート型枠の前記周辺リブと中リブとで区画された枡4内に嵌め込まれる断熱成形体であって、
断熱成形体2は、その各側面が前記枡4を形成するリブへ内接する形状、大きさとされ、厚さは前記リブの高さ以下とされ、該断熱成形体2の背面の外周辺と接する位置に窪み2aを備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項7に記載した発明は、請求項6に記載したコンクリート型枠用の断熱成形体において、
断熱成形体2の窪み2aは、コンクリート型枠の背面の周辺リブ1b、1cと中リブ1d、1eに設けられたフックボルト5の取付孔の位置、および型枠相互間を接合するクリップ6の取付孔1f、1gと対応する位置に、それぞれ外周辺側を開放された形状に設けられていることを特徴とする。
請求項8に記載した発明は、請求項6又は7に記載したコンクリート型枠用断熱成形体において、
断熱成形体2の背面形状は、コンクリート型枠を構成する矩形状の鋼製面板1aの背面の外周縁に沿って立つ鋼製の周辺リブ1b、1cと、同周辺リブに囲まれた枠内を仕切る鋼製の中リブ1d、1eとで区画された四角形の枡4内に嵌め込まれる矩形状に成形されており、各窪み2aは矩形状をなす断熱成形体2の背面の四周辺それぞれのほぼ中央部位に左右・上下に相対峙する配置に設けられ、且つ窪み2aは断熱成形体2の外周辺側を開放された形状に設けられており、前記相対峙する配置とされた窪み2a、2aの相互間で接近する部位の窪み内壁面2a’は、指先で挟み持つことに適した手掛かり部を有する形状とされていることを特徴とする。
請求項9に記載した発明は、請求項6〜8のいずれか一に記載したコンクリート型枠用の断熱成形体において、
断熱成形体2における左右・上下に相対峙する配置とされた窪み2aの相互間で接近する部位の窪み内壁面2a’は、その窪み底面から外表面に向かって85度以下の角度に傾けた傾斜面に形成されていることを特徴とする。
請求項10に記載した発明は、請求項6〜9のいずれか一に記載したコンクリート型枠用の断熱成形体において、
断熱成形体2の側面形状は、コンクリート型枠の背面にリブで形成された枡4内へ嵌め込む側面先端部位に、面取りした先細形状のテーパ部2cが形成され、反対の側面後端側には側面から薄肉の縁出し2dが突き出されていることを特徴とする。
請求項11に記載した発明は、請求項6〜10のいずれか一に記載したコンクリート型枠用の断熱成形体において、
断熱成形体2は、JIS A 9511:2006R(なお、JIS A 1412−2熱計流計法(HFM法)に基づき、断熱成形体から200×200×25mmの寸法の試験体に切り出し、測定装置の加熱板(35℃)と冷却熱板(5℃)の間に挟み、試験体温度差30℃、試験体平均温度20℃の条件で測定する。)で測定した熱伝導率が0.02〜0.06W/(m・K)、ASTM E−96で測定した透湿度が0.03〜0.10g/(m・時)の性能を有する、コンクリートやモルタルが付着し難いポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンとポリオレフィンとの複合樹脂等の独立気泡発泡樹脂成形体を10〜55mmの厚さに形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項12に記載した発明に係る断熱コンクリート型枠の組み立て方法は、
鋼製面板1aの背面に、同面板1aの外周縁に沿って立つ鋼製の周辺リブ1b、1cと、前記周辺リブで囲まれた枠内を仕切る鋼製の中リブ1d、1eとを備えて成る鋼製型枠1の前記背面のリブで区画された枡4又は4’内へ、上記請求項6〜11のいずれか一に記載した断熱成形体2を嵌め込み、
しかる後に、鋼製型枠1の取付孔1f、1gの位置へフックボルト5を取り付け、また、取付孔の位置へクリップ6を取り付けて鋼製型枠1、1の相互間を接合し、更に前記フックボルト5をバタ材7と結合してコンクリート型枠を組み立てることを特徴とする。
請求項13に記載した発明は、請求項12に記載した断熱コンクリート型枠組み立て方法において、
鋼製型枠1の背面の枡4又は4’内へは、上記請求項6〜11のいずれか一に記載した断熱成形体2を1個ずつ、又は複数個を一組みとして嵌め込み、一方、脱型後の鋼製型枠1からは前記断熱成形体2を各枡4から抜き外して回収することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1〜5に記載した発明に係る断熱コンクリート型枠装置10は、同型枠の面板1aの背面側へ断熱材を取り付けるにあたり、断熱成形体2は、その各側面が枡4を形成するリブ1b、1cと1d、1eに内接する大きさの正方形とし、同断熱成形体2の厚さはリブの高さ以下として、面板1aの全面に断熱材を等しく行き渡らせた構成であり、隙間の無い構成であるから、面板1aの全面にわたり断熱効果を等しく期待でき、外気温の影響を打設コンクリートへ直接伝えないから、温度差に起因するひび割れ防止等の養生に良好な効果を期待できる。
また、断熱成形体2は、フックボルト5の取付孔1fの位置、および型枠相互間を接合するクリップ6の取付孔1gと対応する位置に、それぞれ断熱成形体2の背面の外周辺に向かって開放された形状に設けているので、コンクリート型枠の組み立て、使用に不可欠であるフックボルト5の取り付け作業、或いはクリップ6による型枠相互間の接合作業は、断熱成形体2に設けた窪み2aを利用して従前どおりに支障なく行える。しかも前記窪み2aの位置においても、面板1aを断熱材がきっちり覆った構成に変わりないので、養生効果を害されない。
本発明の断熱コンクリート型枠装置10は、面板1aの背面の周辺リブ1b、1cと中リブ1d、1eとで区画された正方形の枡4内へ1個ずつ、又は長方形の枡4’内へは2個を一組とする正方形の断熱成形体2が嵌め込まれた構成であり、断熱成形体2の取り付け、取り外しの時期は型枠の使用上自由に選べるから、当該コンクリート型枠装置を製作した工場の出荷前に予め型枠へ取り付けておくと、現場で使用する際の手数と時間を省くことができる。
【0013】
請求項6〜11に記載した発明に係るコンクリート型枠用の断熱成形体2は、熱伝導率が低く、吸湿性が低く、コンクリートやモルタルが付着し難い、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリオレフィン複合樹脂等の独立気泡発泡樹脂成形体を、断熱効果に富む25mm前後の厚さに形成されているので、保温養生の効果に優れている上に、柔軟性に富んで割れ難く、破片が飛び散る不都合もない。
そして、コンクリート型枠の背面の周辺リブ1b、1cと中リブ1d、1eとで区画された枡4又は4’内へ嵌め込んで使用する構成であるが、枡4又は4’の大きさとの関係に多少の不整合性(寸法誤差など)があっても、或いは多少湾曲させるようでも無理矢理に枡4又は4’内へ嵌め込むこと、又はカッター等で切削したり切り込みを入れる等の事後的加工を施して使用すること、或いは裏返し状態で枡4内へ嵌めて使用することなど、使用上の自由と自在性があり使い勝手が良い。もちろん、時期的に気温が打設コンクリートの自然養生に問題がない温度であれば、型枠へ断熱成形体2を取り付けない(使用しない)という選択も自由に出来る。いずれにせよ、窪み2aの壁面2a’に2本の指先で挟み持つことに適した手掛かり部を有するので、各断熱成形体2は、作業員が2本の指先で掴んでしっかりと支持でき、枡4又は4’内への嵌め込み、又は枡からの取り外す作業を軽便に行える。枡4又は4’へ嵌め込む先端部位に、面取りした先細形状のテーパ部2cを形成しておくと、枡4又は4’内への嵌め込み作業は一層楽になる。また、反対の後端側面に薄肉の縁出し2dが突き出された構成にすると、枡4が少々大きい場合でも使用の適性があるし、運搬時等に簡単に脱落しない程度に強く付着した状態に設置することが出来、使い勝手が良い。
【0014】
請求項12、13に記載した発明に係る断熱コンクリート型枠の組み立て方法によれば、鋼製型枠1の取付孔1fへフックボルト5を取り付ける作業、及び取付孔1gへクリップ6を取り付けて鋼製型枠1、1の相互間を接合する作業を容易に行える。そして、前記フックボルト5をバタ材7と結合してコンクリート型枠を組み立てる作業を能率良く、しかも強固に行うことができ、コンクリート打設工事の能率向上と工期の短縮に寄与するのである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の断熱コンクリート型枠装置を構成する鋼製型枠の一例を示した斜視図である。
【図2】本発明による断熱コンクリート型枠装置の一例を示した斜視図である。
【図3】本発明による断熱成形体の一例を示した斜視図である。
【図4】図Aは断熱成形体の背面図、図4Bは図4Aに指示したb−b線に沿って下半分を切断した側面図、図4Cは図4Bとは異なる構成例を示した側面図、図4Dは図4Aの底面図である。
【図5】本発明による断熱コンクリート型枠装置の使用例を示した斜視図である。
【図6】本発明による断熱コンクリート型枠装置の使用例を示した断面図である。
【図7】本発明による断熱コンクリート型枠装置の異なる使用例を示した断面図である。
【図8】本発明による断熱コンクリート型枠装置の異なる使用例を示した断面図である。
【図9】本発明による断熱コンクリート型枠装置を組み立てた使用例を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る断熱コンクリート型枠装置10は、面板1aの背面に、同面板1aの外周縁に沿って立つ周辺リブ1b、1cと、同周辺リブで囲まれた枠内を仕切る中リブ1d、1eとを備えたコンクリート型枠における前記背面の周辺リブと中リブとで区画された正方形又は長方形の枡4又は4’内に断熱成形体2を嵌め込んで構成する。
前記断熱成形体2は、その各側面が前記枡4を形成するリブに内接する正方形であり、厚さはリブの高さ以下とされ、該断熱成形体2の背面の外周辺と接する部位に複数の窪み2aを備えている。
断熱成形体2の窪み2aは、コンクリート型枠における少なくともフックボルト5の取付孔1fの位置、および型枠相互間を接合するクリップ6の取付孔1gの位置に、それぞれ断熱成形体2の背面の外周辺に向かって開放された形状に設けている。
【0017】
本発明に係るコンクリート型枠用の断熱成形体2における左右・上下に相対峙する配置とされた窪み2a、2aの相互間で接近する部位の窪み内壁面2a’は、指先で挟み持つことに適した手掛かり部を有する。即ち、前記手掛かり部として、窪み底面から外表面に向かって約85度以下に傾斜した傾斜面等に形成されており、指先で摘み、断熱成形体2を型枠へ取り付け取り外す作業に便利である。
【0018】
本発明に係る断熱コンクリート型枠組み立て方法は、鋼製型枠1の面板1aの背面に、同面板1aの外周縁に沿って立つ鋼製の周辺リブ1b、1cと、前記周辺リブで囲まれた枠内を仕切る鋼製の中リブ1d、1eとで形成した枡4又は4’内へ断熱成形体2を嵌め込み、
しかる後に、鋼製型枠1の取付孔1fへフックボルト5を取り付ける。また、取付孔1gへクリップ6を取り付けて鋼製型枠1、1の相互間を接合する。更に前記フックボルト5をバタ材7と結合してコンクリート型枠を組み立てる。
鋼製型枠1の背面の枡4又は4’内へ、上記の断熱成形体2を1個ずつ、又は2個を一組みとして嵌め込む。一方、脱型後の鋼製型枠1からは無用となった断熱成形体2を各枡4から抜き外して回収することができる。
【実施例】
【0019】
以下に、本発明を図示した実施例に基づいて説明する。
本発明の断熱コンクリート型枠装置10は、一例を図1に示した鋼製型枠1を主体とし、これに図3、図4に示した断熱成形体2を組み合わせて構成する。
図1に示した鋼製型枠1は、一例として幅×長さが30×150cmの大きさである鋼製面板1aの背面側に、同面板1aの外周縁に沿って立つ周辺リブ(縦リブ1b、横リブ1c)と、同周辺リブ1b、1cで囲まれた枠内を縦、横方向に仕切る中リブ(中縦リブ1d、中横リブ1e)とを備えて、打設したコンクリートの圧力に耐える剛強な構成とされている。
図1の場合は、幅30cmの面板1aの中央部に1本の中縦リブ1dを配置しており、長さ150cmの面板1aの長手方向には中横リブ1eを、先ず両端から15cmずつの位置に1本ずつ配置して両端寄りに15cm×15cmの正方形の枡4、4を形成し、長さ方向の中間には30cmの間隔で3本の中横リブ1eを配置して、15cm×30cmの長方形の枡4’を4個ずつ2列に形成した構成とされている。
但し、面板1aの幅寸が例えば15cmの場合は、前記中縦リブ1dは無いので、中横リブ1eのみを設置した構成で実施される。逆に、図5に示したように幅寸が大きい場合には、必要に応じて中縦リブ1dを3本、等間隔をあけて平行に設置した構成も同様に実施される。各リブのせいの高さは55mmである。
上記横方向のリブ1c、1eには、フックボルトを取り付ける取付孔1fが設けられる。また、縦方向のリブ1b、1dにはUクリップ(又はボルト、ナットの場合もある。以下同じ。)を取り付ける取付孔1gがそれぞれ、後述する枡1個につき縦、横の辺に少なくとも1個ずつの割合で設けられている。
【0020】
上記した鋼製型枠1の面板1aの背面に設置した周辺リブ(縦リブ1b、横リブ1c)と中リブ(中縦リブ1d、中横リブ1e)とで複数に区画された矩形の枡4(又は4’、以下同じ)の中に、後述する構成の断熱成形体2が1個又は2個を一組として嵌め込まれて、面板1aの背面の全面を断熱材で覆った断熱コンクリート型枠装置10が構成されている。正方形の枡4の大きさは、面板1aの上記寸法例に従って15cm×15cmの大きさとされており、断熱成形体2は、一つの枡4に1個の割合で嵌め込まれる。一方、上記長方形の枡4’(15cm×30cm)には、同形、同大の2個の断熱成形体2、2を一対の配置に組み合わせて嵌め込む。つまり、正方形の枡4と長方形の枡4’にはそれぞれ、図4aに示す正方形の断熱成形体2が共通に使用される。
図示した断熱成形体2は、JIS A9511:2006Rで測定した熱伝導率が0.02〜0.06W/(m・K)、ASTM E−96で測定した透湿度が0.03〜0.10g/(m・時)の性能を有する、コンクリートやモルタルが付着し難いポリエチレン又はポリプロピレン、ポリスチレンとポリオレフィン複合樹脂等による独立気泡発泡樹脂成形体を、上記枡4の大きさにしたがい、図4aに示す背面形状が、縦×横寸法を150×150mmの正方形とし、厚さが25mm前後に成形した構成で使用される。
因みに、断熱成形体2の厚さに関しては、少なくとも10mm〜15mmあれば、鋼製型枠1の面板1aに必要な断熱保温効果を発揮することが確認された。そこで各リブのせいの高さが上記の通り55mmであることを考慮して、同リブの高さの約半分相当の厚さ25mm前後に構成すると、鋼製型枠1によるコンクリート打設における養生に有効的である。しかし、リブの高さ55mmに対して、断熱成形体2の厚さが25mmであると、リブの約30mm分が外気に晒され、それが入熱又は放熱の原因となることを考慮すると、経済性が許す限り、断熱成形体2の厚さは少なくともリブの高さと等しく形成して実施するのが良い。例えば鋼製型枠1のリブが形成する枡4又は4’の中へ上記構成の断熱成形体2を二重層に嵌め込むと丁度リブの高さに等しい断熱材で覆うことになって好都合である。リブの高さより大きい厚さの断熱成形体を使用することも無意味ではないが、少なくとも後述するバタ材が当たる位置には邪魔になる。よって、バタ材が当たる位置の枡には、リブの高さ以下の断熱成形体を嵌め込んだ構成とすることが望まれる。
【0021】
図3と図4に示した断熱成形体2は、鋼製型枠1の面板1aの背面に設置した周辺リブと中リブとで区画した矩形の枡4内へ嵌め込んで使用することを前提に形成されている。即ち、断熱成形体2は、その各側面が前記枡4を形成するリブにほぼぴったり内接して安定すること、即ち、運搬時や使用時に簡単に脱落しない程度に付着力を発揮する大きさの正方形(150×150mm)に形成され(図4a)、厚さはリブの高さ以下(25mm)に構成されている。そして、背面(図4aに現れた面)の外周辺と接する(又は臨む)部位には、四周辺それぞれのほぼ中央部位に1個ずつ合計4個の窪み2aを備えている。
同窪み2aの位置を更に特定すると、つぎのようになる。断熱成形体2の各窪み2aは、図1に示した鋼製型枠1における面板1aの背面に設置した周辺リブ(縦リブ1b、横リブ1c)と中リブ(中縦リブ1d、中横リブ1e)にそれぞれ設けられたフックボルト5の取付孔1fと対応する位置、および型枠相互間を接合するクリップ6の取付孔1gと対応する位置にそれぞれ、丁度窪み2aの後述する開放側端部がぴったり整合する配置に設けられている。また、当該窪み2aの深さdおよび長さe(図4参照)もそれぞれ、図6に示したようにフックボルト5、Uクリップ6の取り付けに支障ない寸法に形成されている。
したがって、鋼製型枠1の前記周辺リブと中リブとで区画された枡4又は4’内に断熱成形体2が嵌め込まれても、フックボルト5を取付孔1fへ取り付ける作業、およびクリップ6を取付孔1gへ取り付ける作業には一切支障が生じない。
【0022】
上記したとおり、断熱成形体2の背面の形状(図4aの形状)は、鋼製面板1aの背面の周辺リブと中リブとで区画された正方形の枡4内にぴったり嵌め込まれる大きさ正方形に成形されている。そして、各窪み2aは、前記正方形の四周辺それぞれのほぼ中央部位に、左右・上下方向に相対峙する配置に合計4個設けられている。しかも各窪み2aは、断熱成形体2の外周辺側(側面)に向かって開放された形状に設けられている。
因みに、断熱成形体2の背面を示した図4aに見られる窪み4の形状と大きさは、断熱成形体2の外周辺から内方への長さeが約40mm、開口部幅Uが30mmの矩形状で、深さは12mmに形成されている。
もっとも、上記したように背面の左右・上下方向に相対峙する配置に設けられた窪み2a、2aの相互間で接近する関係(上記の寸法例で約60mm程度の間隔)となる窪み内壁面2a’には、この断熱成形体2を枡4又は4’内へ嵌め込む作業、又は逆に枡4又は4’から断熱成形体2を抜き外す作業を容易にする手段として、相対峙する関係の窪み内壁面2a’、2a’同士を2本の指先で確実に容易に挟み持てるようにする手掛かり部が形成されている。
具体的には、図4bに示したとおり、断熱成形体2における前記窪み内壁面2a’は、窪み底面から外表面に向かって約85度(又はそれ以下の角度)に傾けた傾斜面に形成されている。前記傾斜面の角度を約85度(又はそれ以下の角度)に傾けると、相対峙して隣り合った二つの窪み2aの窪み内壁面2a’、2a’同士を2本の指先で挟み持つ際に、指先が滑ることなく確実に掴めるからである。傾斜角度を90度以上の窪み内壁面に形成すると、滑って挟み持つことが甚だ困難ないし不可能となるからである。
もっとも、手掛かり部としては、上記の傾斜面とする構成の限りではない。図4cに示したように、垂直壁の上端に水平方向の突き出し部を設けて手掛かり用凹部を形成して2本の指先で挟み持ちやすく滑り難い構成の引っ掛かり部2a”を形成した構成で実施することもできる。
【0023】
次に、図4に示した断熱成形体2の側面形状について更に説明する。図4b〜dに示したように、鋼製型枠1の背面にリブで形成された枡4へ嵌め込む側面先端側の角部には、図示例の場合は約45度方向に面取りした先細形状のテーパ部2cが形成されている。一方、反対の側面後端側(背面側)の角部には、図示例の場合、側面から厚さにして約12mmの範囲が、約3mm程度突き出した薄肉の縁出し2dが形成されている。この縁出し2dの段差部にも、嵌め込み方向の前方に向かって先細形状の面取りが行われている。
もっとも、上記した縁出し2dは、図4dで明らかなように、上記の窪み2aが当該側面に向かって開放された端部分に関しては、同窪み2aの開口幅が、上記したように約30mmであるのに加え、その左右両側に等しい余裕幅を確保した約47mm程度の幅部分には縁出し2dを形成しないで、断熱成形体2の外周辺そのままの側面形状に形成されており、もって窪み2aが当該側面に向かって開放された部分を縁出し成形することが複雑になること、および強度が低下する不都合を回避している。
上記構成の断熱成形体2は、上記側面先端側の角部に形成された先細形状のテーパ部2cを有するから、鋼製型枠1の背面に形成された枡4又は4’へ嵌め込む作業を容易に行える。そして、前記縁出し2dが存在することで、同縁出し2dの厚さと突き出し寸法の分だけ、枡4又は4’へ嵌め込んだ際の安定性、付着力(摩擦力)を高められる。また、枡4又は4’の大きさと断熱成形体2の外周辺寸法との関係に若干の不整合(寸法誤差など)があっても、断熱成形体2の嵌め込み設置の作業と結果にさして支障ない構成とされている。
【0024】
以上に説明した図1記載の鋼製型枠1と、図3、図4に記載した断熱成形体2の構成を前提として、図2に示した断熱コンクリート型枠装置10が次のように構成されている。
鋼製面板1aの背面に同面板1aの外周縁に沿って立つ鋼製の周辺リブ1b、1cと、前記周辺リブで囲まれた枠内を仕切る鋼製の中リブ1d、1eとで区画された、長手方向へ2列の各枡4及び4’内へ、上記構成の断熱成形体2が嵌め込まれている。ただし、図2の断熱コンクリート型枠装置10の場合は、中縦リブ1dが中央部に1本だけ配置され、長手方向の端部寄り位置に中横リブ1eで区画された正方形の枡4(15cm×15cm)には、同形・同大に成形された上記の断熱成形体2が1個づつ嵌め込まれている。その他の長方形の枡4’(15cm×30cm)には、上記の断熱成形体2が2個を一組みとしてきっちり嵌め込まれている。
【0025】
一方、図5に示した断熱コンクリート型枠装置10の場合は、周辺リブで囲まれた枠内を仕切る中縦リブ1dは幅方向に3本が等間隔に平行に配置され、中横リブ1eで区画された正方形の枡4と長方形の枡4’は、長手方向へ4列に形成されている。ただし、この実施例の場合も、面板1aの縦寸は150cmで図2の実施例と変わりなく、幅寸のみが60cmと大きい。よって正方形の枡4はやはり15cm×15cmの大きさとされ、これには同形・同大に成形された上記の断熱成形体2が1個づつ嵌め込まれている。他の長方形の枡4’はいずれも15cm×30cmの大きさに形成されており、これら長方形の枡4’には上記の断熱成形体2が2個を一組みとしてきっちり嵌め込まれている。
図5にはまた、当該断熱コンクリート型枠装置10を、例えば図9に示したように、構築しようとするコンクリート構造物11の形態に組み立てるに当たり使用するフックボルト5およびUクリップ6の形状と取付状態も合わせて記載している。ただし、フックボルト5およびUクリップ6を、鋼製型枠1の周辺リブ1b、1cおよび 中リブ1d、1eに予め設けた取付孔1fおよび取付孔1g(図1を参照)のうち、どの位置の孔を選択して取り付けるかは、型枠を組み立てる作業内容に応じて決定されるのであり、図示例の限りではない。
【0026】
次に、上記のように構成した断熱コンクリート型枠装置10を使用して、構築しようとするコンクリート構造物11の形態に合わせてコンクリート打設用型枠を組み立てる方法について説明する。
上記したように、鋼製面板1aの背面に、同面板1aの外周縁に沿って立つ鋼製の周辺リブ1b、1cと、前記周辺リブで囲まれた枠内を仕切る鋼製の中リブ1d、1eとを備えた鋼製型枠1には、その背面の前記リブで区画された各枡4及び4’内へ、上記構成の断熱成形体2を嵌め込んで、先ずは断熱コンクリート型枠装置10を完成する。もっとも、断熱コンクリート型枠装置10の完成時期は、コンクリート打設工事の現場作業として完成することには限らない。断熱コンクリート型枠装置10を製造する工場内で予め枡4および4’内へ断熱成形体2を嵌め込んで完成した断熱コンクリート型枠装置10を現地へ搬入し、そのまま現地のコンクリート工事に使用する方法も実施できる。
上記の断熱コンクリート型枠装置10を、構築しようとするコンクリート構造物11の形態に合わせて組み立てる方法については、コンクリート構造物11の形状、構造等に応じて多種多様であり、既往技術として公知、周知であるから、ここでいちいちケース分けして説明することは省き、本発明の断熱コンクリート型枠装置10を使用する上での固有の事項を説明するに止める。
要するに、本発明の断熱コンクリート型枠装置10も、構築しようとするコンクリート構造物11の形態に合わせて組み立てるのであり、その組み立て方法の基本は、鋼製型枠1の周辺リブ1b、1cおよび 中リブ1d、1eに予め用意された取付孔1fおよび取付用孔1g(図1を参照)の中から、組み立てに適切な位置の取付孔1fおよび取付孔1gを選び出し、取付孔1fへフックボルト5を取り付け、また、取付孔1gへUクリップ6を取り付けて断熱コンクリート型枠装置10、10相互間の接合を行う。こうしたフックボルト5の取り付け、およびUクリップ6を取り付け作業の際に、各枡4および4’に嵌め込まれた断熱成形体2の存在が邪魔にならないことは、上述した通りである。
【0027】
因みに図6は、断熱コンクリート型枠装置10へフックボルト5を取り付け、Uクリップ6を取り付けた組み立て途中の実施例を示している。フックボルト5を取付孔1fへ取り付け、或いはUクリップ6を取付孔1gへ取り付ける場合には、断熱成形体2の窪み2aが丁度、フックボルト5の取付孔への挿入、およびUクリップ6を取付孔へ挿入することを誘導する空所を提供する位置と深さに形成されているのである。
図7の実施例は、断熱コンクリート型枠装置10、10相互の接合を、取付孔1gを利用して、ボルト8とナット8aとによる締結を行った実施例を示している。ボルト8とナット8aとによる締結作業を容易にするため、該当する枡4又は4’へ断熱成形体2を嵌め込む作業は後回しとし、ボルト8とナット8aとによる締結作業を先行して行う。その後に断熱成形体2は裏返し状態に嵌め込んだ構成を示している。かくすると、窪み2aが下向きになって、丁度ボルト8とナット8aを避ける空所を形成することになって好都合である。
もっとも、図8に示す実施例のように、ボルト8とナット8aの締結後に行う断熱成形体2の嵌め込みを、断熱成形体2を正規の向きに行うこともできる。この場合、ボルト8およびナット8aの存在により、断熱成形体2の嵌め込み状態は若干妨げられ、断熱成形体2の一部は屈曲される。しかし、面板1aの全面を断熱材で覆うという目的はほぼ達成されている構成を理解できるであろう。
【0028】
上記のように取り付けたフックボルト5を、図9に例示したように、バタ材7と結合することにより、複数の断熱コンクリート型枠装置10…を、構築するべきコンクリート構造物11の形態に合わせて並べて一連の構成に組み立て、コンクリート打設に備えることができる。
こうして組み立てたコンクリート型枠の内側へコンクリートの打設を行うと、断熱作用により適切な養生で材令を重ねることができる。
即ち、断熱コンクリート型枠装置10の面板1aの背面側へ取り付けた断熱成形体2の断熱作用により、打設コンクリートの断熱(保温)養生を良好に行うことができる。こうした養生により打設コンクリートが所望の強度に硬化(強度を発現)した後には、断熱コンクリート型枠装置10の脱型と解体を行うことは周知の手順である。その際、本発明の断熱コンクリート型枠装置10の場合は、前記脱型および解体後に、その後の保管の目的に応じて、例えば鋼製型枠1の各枡から断熱成形体2を全て抜き外して回収することを自在に行うことができる。
【0029】
以上に本発明を図示した実施例に基づいて説明したが、本発明は、上記実施例の構成に限定されない。本発明の目的と要旨を逸脱しない範囲において、当業者が必要に応じて通常行う設計変更や応用の範囲を含むことを念のため言及する。
【符号の説明】
【0030】
10 断熱コンクリート型枠装置
1 鋼製型枠(コンクリート型枠)
1a 面板
1b、1c 周辺リブ
1d、1e 中リブ
4 枡
2 断熱成形体
2a 窪み
1f 取付孔
1g 取付孔
5 フックボルト
6 クリップ
2c 先細テーパ部
2d 縁出し
7 バタ材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
面板の背面に、同面板の外周縁に沿って立つ周辺リブと、同周辺リブで囲まれた枠内を仕切る中リブとを備えたコンクリート型枠の前記背面の周辺リブと中リブとで区画された枡内に断熱成形体が嵌め込まれて成るコンクリート型枠装置において、
前記断熱成形体は、その各側面が前記枡を形成するリブに内接する形状であり、厚さはリブの高さ以下とされ、該断熱成形体の背面の外周辺と接する位置に複数の窪みを備えていることを特徴とする、断熱コンクリート型枠装置。
【請求項2】
断熱成形体の窪みは、コンクリート型枠へフックボルトおよびクリップを取り付ける取付孔と対応する位置にそれぞれ、断熱成形体の外周辺側を開放された形状に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載した断熱コンクリート型枠装置。
【請求項3】
断熱成形体の背面の形状は、矩形状をなす鋼製面板の背面の周辺リブと中リブとで区画された正方形の枡内に嵌め込まれる大きさの正方形とされ、各窪みは正方形をなす断熱成形体の背面の四周辺それぞれのほぼ中央部位に左右・上下に相対峙する配置に設けられ、且つ各窪みは断熱成形体の外周辺側を開放された形状に設けられており、前記左右・上下に相対峙する配置とされた窪みの相互間で接近する部位の窪み内壁面は、指先で挟み持つことに適した手掛かり部を有する形状とされていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した断熱コンクリート型枠装置。
【請求項4】
断熱成形体の背面の形状は、矩形状をなす鋼製面板の背面の周辺リブと中リブとで区画された長方形の枡を同長方形の長辺を二等分した大きさの正方形とされ、各窪みは、正方形をなす断熱成形体の背面の四周辺それぞれのほぼ中央部位に左右・上下に相対峙する配置に設けられ、且つ各窪みは断熱成形体の外周辺側を開放された形状に設けられており、前記左右・上下に相対峙する配置とされた窪みの相互間で接近する部位の窪み内壁面は、指先で挟み持つことに適した手掛かり部を有する形状とされていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載した断熱コンクリート型枠装置。
【請求項5】
断熱成形体における左右・上下に相対峙する配置とされた窪みの相互間で接近する部位の窪み内壁面は、その窪み底面から外表面に向かって85度以下の角度に傾けた傾斜面に形成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載した断熱コンクリート型枠装置。
【請求項6】
面板の背面に、同面板の外周縁に沿って立つ周辺リブと、前記周辺リブで囲まれた枠内を仕切る中リブとを備えて成るコンクリート型枠の前記周辺リブと中リブとで区画された枡内に嵌め込まれる断熱成形体であって、
断熱成形体は、その各側面が前記枡を形成するリブへ内接する形状、大きさとされ、厚さは前記リブの高さ以下とされ、同断熱成形体の背面の外周辺と接する位置に複数の窪みを備えていることを特徴とする、コンクリート型枠用の断熱成形体。
【請求項7】
断熱成形体の窪みは、コンクリート型枠の背面の周辺リブと中リブに設けられたフックボルトの取付孔の位置、および型枠相互間を接合するクリップの取付孔と対応する位置に、それぞれ外周辺側を開放された形状に設けられていることを特徴とする、請求項6に記載したコンクリート型枠用の断熱成形体。
【請求項8】
断熱成形体の背面形状は、コンクリート型枠を構成する矩形状の鋼製面板の背面の外周縁に沿って立つ鋼製の周辺リブと、同周辺リブに囲まれた枠内を仕切る鋼製の中リブとで区画された四角形の枡内に嵌め込まれる矩形状に成形されており、各窪みは、矩形状をなす断熱成形体の背面の四周辺それぞれのほぼ中央部位に左右・上下に相対峙する配置に設けられ、各窪みは断熱成形体の外周辺側を開放された形状に設けられており、前記相対峙する配置とされた窪みの相互間で接近する部位の窪み内壁面は指先で挟み持つことに適した手掛かり部を有する形状とされていることを特徴とする、請求項6又は7に記載したコンクリート型枠用の断熱成形体。
【請求項9】
断熱成形体における左右・上下に相対峙する配置とされた窪みの相互間で接近する部位の窪み内壁面は、その窪み底面から外表面に向かって85度以下の角度に傾けた傾斜面に形成されていることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一に記載したコンクリート型枠用の断熱成形体。
【請求項10】
断熱成形体の側面形状は、コンクリート型枠の背面にリブで形成された枡内へ嵌め込む側面先端部位に、面取りした先細形状のテーパ部が形成され、反対の側面後端側には側面から薄肉の縁出しが突き出されていることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか一に記載したコンクリート型枠用断熱成形体。
【請求項11】
断熱成形体は、JIS A 9511:2006Rで測定した熱伝導率が0.02〜0.06W/(m・K)、ASTM E−96で測定した、透湿度が0.03〜0.10g/(m・時)の性能を有する、コンクリートやモルタルが付着し難いポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンとポリオレフィンとの複合樹脂等の独立気泡発泡樹脂成形体を10〜55mmの厚さに形成されていることを特徴とする、請求項6〜10のいずれか一に記載したコンクリート型枠用断熱成形体。
【請求項12】
鋼製面板の背面に、同面板の外周縁に沿って立つ鋼製の周辺リブと、前記周辺リブで囲まれた枠内を仕切る鋼製の中リブとを備えて成る鋼製型枠の前記背面のリブで区画された枡内へ、上記請求項6〜11のいずれか一に記載した断熱成形体を嵌め込み、
しかる後に、鋼製型枠の取付孔の位置へフックボルトを取り付け、また、取付孔の位置へクリップを取り付けて鋼製型枠の相互間を接合し、更に前記フックボルトをバタ材と結合してコンクリート型枠を組み立てることを特徴とする、断熱コンクリート型枠の組み立て方法。
【請求項13】
鋼製型枠の背面の枡内へは、上記請求項6〜11のいずれか一に記載した断熱成形体を1個ずつ、又は複数個を一組みとして嵌め込み、一方、脱型後の鋼製型枠からは前記断熱成形体を各枡から抜き外して回収することを特徴とする、請求項12に記載した断熱コンクリート型枠の組み立て方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−26918(P2011−26918A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176392(P2009−176392)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(593211636)株式会社ニッケンフェンスアンドメタル (26)
【出願人】(000131810)株式会社ジェイエスピー (245)
【Fターム(参考)】