説明

断熱容器及びその製造方法

【課題】無駄な工程を必要とせずに注入液体の適量位置を表示できる断熱容器及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ブランクの両端部が互いに重ねられて貼り合わされた胴貼部21aを有する胴部21を備えたカップ本体2と、胴部21の外側を覆うスリーブ3と、ブランクの両端部のうち胴部21の内周面側に位置する端部21′aを覆うようにして胴貼部21aに貼り付けられた透光性を有する端面テープ4と、端面テープ4の表面と胴貼部21aとの間に配置され、かつカップ本体2の内部へ注入する液体の適量位置を示す目印線5と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は胴部を有する容器本体の外側が被覆部材にて覆われた断熱容器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱湯等の高温液体の注入に適した断熱容器として、紙を主材料とした容器本体の外側にスリーブを被せ又は発泡ポリエチレン等の発泡部材を設けて断熱性を向上させたものが広く知られている。容器本体の胴部は所定輪郭を持つブランクの両端を互いに重ねて貼り合わせることにより形成されることが多い。このように形成された容器の場合、容器本体の内面側に位置する端部が露出していると容器本体の紙の臭いがその端部から容器本体へ注入する液体に移ったり、これとは反対にその液体の成分が端部から侵入して胴部に吸着する等の問題が生じる。これらの問題に対処するため、その端部を覆うようにテープ部材を貼り付けることが知られている(特許文献1)。
【0003】
ところで、このような断熱容器では容器本体へ注入する液体の適量位置の目安を設けることが要請される。例えば、胴部の周方向に延びる目印線を胴部の内周面に印刷しその目印線の上にポリエチレン等の被覆層を設けることにより、その適量位置を示すものも知られている(特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−35591号公報
【特許文献2】特開平11−100075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に開示された容器では、目印線等の目印部を印刷にて設け、その印刷面を保護する保護層を設ける工程が必要となるので無駄が多い。
【0006】
そこで、本発明は、無駄な工程を必要とせずに注入液体の適量位置を表示できる断熱容器及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、本発明の断熱容器及びその製造方法について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0008】
本発明の断熱容器は、所定の輪郭が与えられたブランク(21′)の両端部(21′a)が互いに重ねられて貼り合わされた胴貼部(21a)を有する胴部(21)を備えた容器本体(2)と、前記容器本体の前記胴部の外側を覆う被覆部材(3)と、所定の透光性を有し、かつ前記ブランクの両端部のうち前記胴部の内周面側に位置する端部を覆うようにして前記胴貼部に貼り付けられたテープ部材(4、42、44)と、前記テープ部材の表面と前記胴貼部との間に配置され、かつ前記容器本体の内部へ注入する液体の適量位置を示す目印部(5)と、を具備することにより、上述した課題を解決する。
【0009】
この断熱容器によれば、胴部の内周面側に位置する端部がテープ部材で覆われるので、その端部が内周面側に露出することによる弊害、例えば容器本体の材料の臭いがその端部から容器本体へ注入する液体に移ったり、これとは反対にその液体の成分が端部から侵入して胴部に吸着する等を防止することができる。しかも、容器本体へ注入する液体の適量位置を示す目印部がテープ部材の表面と胴貼部との間に配置されるので、目印部が胴部の内周面に露出することがない。そのため、例えば目印部をインキにて印刷した場合に、そのインキが注入する液体と接触することを回避できる。テープ部材は目印部の露出防止を兼ねているので、目印部の保護のために独自の保護層を設ける場合と比較して製造コスト及び資材管理の負担を低減することができる。
【0010】
本発明の断熱容器においては、前記テープ部材に前記目印部が設けられていてもよい。この場合には、目印部が設けられたテープ部材を端部に貼り付けると同時に目印部が形成されるので、作業性が向上する。
【0011】
この場合、前記テープ部材は、前記目印部が印刷された印刷層(4a)と前記印刷層の表面を覆う保護層(4b)とを備えていてもよい。保護層は胴部の内周面側の片面のみに設けてもよいし両面に設けてもよい。
【0012】
また、前記テープ部材の前記胴貼部と対向する面に、前記目印部が印刷されていてもよい。この場合には、テープ部材の製造過程で保護層を設ける必要がないので、製造コストを低減できる。目印部の印刷はインクジェットプリンタ等の印刷機で実現可能である。
【0013】
また、前記テープ部材はレーザ光(La)の照射により発色可能なレーザ発色層(45)を含み、前記目印部は前記レーザ光が照射されることにより形成されてもよい。一般に、目印部の位置は断熱容器の要求仕様に基づいて設定される。この態様においては、要求仕様が変わることで目印部の位置の変更が必要となった場合でも、レーザ光の照射位置を変えることで目印部の位置を簡単に変更できる。従って要求仕様の変更に機動的に対応できる利点がある。
【0014】
本発明の断熱容器においては、テープ部材に目印部が設けられる態様に限らず、前記胴貼部の表面に前記目印部が設けられていてもよい。この場合には、胴貼部の表面に設けられた目印部がテープ部材で覆われることになり、目印部がテープ部材にて保護される。
【0015】
本発明の断熱容器においては、テープ部材にて端部が覆われていれば十分であり、そのテープ部材の貼付態様に制限はない。例えば、前記テープ部材は、前記ブランクの端部にて折り返されて当該端部の両面に貼り付けられるとともに、前記胴部の内周面側に貼り付けられる横幅(Wi)がその反対側に貼り付けられる横幅(Wo)よりも大きくてもよい。同一幅のテープ部材の使用を前提とした場合、内周面側の横幅を広くとることができる一方で、内周面側の反対側の横幅を狭めることができる。そのため、胴貼部の貼り合わせを所定の加圧部材で挟み込んで実施する場合、内周面側と反対側の横幅が同一の態様に比べて挟み込む際の負荷を減らすことができるので、貼り合わせ面の接着を安定化できる。しかも、胴部の外周面側にテープ部材がはみ出ることを抑制でき、なおかつ表示可能な目印部を拡大することも可能となる。
【0016】
本発明の断熱容器においては、前記目印部は、前記ブランクの端部と前記テープ部材の端部との間に収まるように設けられてもよい。この場合、目印部の露出が完全に防止される。また、前記胴部には、前記目印部が設けられた位置にて周方向に延び、かつ内側又は外側に突出する突条部(21b)が設けられてもよい。この場合、突条部と目印部とがそれぞれ設けられることにより、注入する液体の適量位置を明示する効果が向上する。
【0017】
本発明の断熱容器の製造方法は、シート状部材(10)に所定輪郭を与えてからその両端部(21′a)を互いに重ねて貼り合わせることにより胴部(21)を形成し、前記胴部の一端側に底部(22)を設けて容器本体(2)を得るとともに、前記容器本体の前記胴部の外側を被覆部材(3)にて覆う断熱容器の製造方法において、前記シート状部材に前記所定輪郭が与えられる前に、前記容器本体の内部へ注入する液体の適量位置を示す目印部(5)が設けられたテープ部材(4、42)を前記シート状部材の端部に貼り付けるテープ貼り工程と、前記テープ部材が貼り付けられた前記シート状部材の端部が前記両端部のいずれか一方の端部に対応するように、当該シート状部材に前記所定輪郭を与えるブランク形成工程とを備える。
【0018】
この製造方法によれば、目印部が設けられたテープ部材をシート状部材の端部に貼り付けてから、その目印部を目安としてシート状部材に輪郭を与えることができる。そのため、シート状部材に所定輪郭を与えた後に目印部が適正位置に設けられるようにテープ部材を貼り付ける態様と比較して、目印部を適正位置に設けることが容易になる。
【0019】
この製造方法のテープ貼り工程では、前記目印部が設けられたテープ部材がロール状に巻き上げられた状態から一方向に繰り出し、繰り出された前記テープ部材を前記シート状部材の端部に貼り付けてもよい。この態様においては、テープ部材を細かく切断してから貼り付ける手間を省くことができるので、テープ部材の貼り付けを効率的に実現できる。
【0020】
また、本発明の製造方法においては、前記テープ部材がロール状に巻き上げられた状態から一方向に繰り出し、繰り出された前記テープ部材に前記目印部を設ける目印部形成工程を更に備えてもよい。この場合には、テープ部材が繰り出された後に、その繰り出されたテープ部材に目印部を設けるので、目印部の位置を自由に設定できる利点がある。これにより、例えば要求仕様の変更によって目印部の設定位置が変わった場合でも、ロール状に保持されたテープ部材が無駄になることがない。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明の断熱容器によれば、胴部の内周面側に位置する端部がテープ部材で覆われるので、その端部が内周面側に露出することによる弊害を防止することができる。しかも、容器本体へ注入する液体の適量位置を示す目印部がテープ部材の表面と胴貼部との間に配置されるので、目印部が胴部の内周面に露出することがない。テープ部材は目印部の露出防止を兼ねているので、目印部の保護のために独自の保護層を設ける場合と比較して製造コスト及び資材管理の負担を低減することができる。また、本発明の断熱容器の製造方法によれば、このような断熱容器を効率的に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1の形態)
図1は本発明に係る断熱容器としての紙カップを示している。紙カップ1は容器本体としてのカップ本体2とその外周を覆う被覆部材としてのスリーブ3とを組み合わせて構成される。カップ本体2は胴部21と底部22とを有する略円錐台形に形成される。胴部21の上端には外側に向かってカール部23が形成されている。また胴部21は所定輪郭が与えられたブランク21′の両端部21′a(図6参照)が重ねられて貼り合わされた胴貼部21aを有し、その胴貼部21aには端部21′aを覆うテープ部材としての端面テープ4が貼り付けられている。端面テープ4は所定の透光性を有していて、その内部にカップ本体2の内部へ注入する液体(例えば湯)の適量位置を示す目印部としての目印線5が設けられている。目印線5は端面テープ4の表面と胴貼部21との間に配置されているが、端面テープ4が持つ透光性により目印線5が透けて見える。胴部21の内周面には、目印線5が設けられた位置に突条部21bが形成されている。突条部21bは胴部21の内側に突出し、かつ胴部21の周方向に沿って延びている。カップ本体2の素材には例えば坪量150〜400g/mの紙が使用され、少なくともその内面には耐熱性や耐水性を高めるための被覆層(例えばポリエチレン層)にて覆われる。
【0023】
スリーブ3は紙カップ1の断熱性を高めるために設けられる。スリーブ3は不図示の扇形のブランクの両端部を貼り合わせることにより形成され、その下端には内向きのカール部31が設けられる。紙カップ1は、カップ本体2のカール部23の直下に接着剤を塗布してカップ本体2とスリーブ3とを組み合わせ、スリーブ3の上端部とカップ本体2の胴部21とを相互に接着することにより形成される。スリーブ3の素材には例えば坪量150〜400g/mの紙が使用される。なお、スリーブ3においては、カップ本体2のような被覆層は省略してもよい。
【0024】
図2は胴貼部21aの断面を拡大して示した断面模式図であり、図2の上側が胴部21の外周面側に、下側が胴部21の内周面側にそれぞれ対応する。図2に示すように、端面テープ4は胴部21の内周面側に位置する端部21′aにて折り返されてその両面に貼り付けられている。その端面テープ4の内周面側の横幅Wiは外周面側の横幅Woよりも大きく、図示の形態では横幅Wiが横幅Woの略2倍となっている。目印線5は横幅Wiの範囲内に収まるように、換言すればブランク21′の端部21′aと端面テープ4の端部との間に収まるように設けられている。このため目印部5は胴部21の内周面側に露出することがない。図3は端面テープ4の詳細を示している。図3に示すように、端面テープ4は目印線5が印刷にて設けられた印刷層4aと、印刷層4aの両面にそれぞれ設けられた保護層4bとを有している。印刷層4aはナイロンやポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂製のフィルムに目印線5が印刷されることにより構成されている。端面テープ4はポリエチレンの押し出しコーティングにて印刷層4aの両面に保護層4bが積層されることにより構成されている。
【0025】
(製造方法について)
次に、以上の紙カップ1の製造方法について図4〜図6を適宜参照しながら説明する。まず、上述した被覆層が設けられたロール状の原反(シート状部材)を用意する。次に、図4に示すように、一方向に繰り出された原反10の端部10aのそれぞれに、複数の目印線5が所定間隔で設けられた端面テープ4をロール状に巻き上げられた状態から一方向に繰り出して貼り付ける(テープ貼り工程)。端面テープ4の貼り付けは、図5に示すように、まず端部10aから端面テープ4の一部がはみ出るようにして端部10の一面に熱溶着し、次に端部10aからはみ出た部分を折り返して反対側の面に熱溶着することにより実施される。
【0026】
次に、図6に示すように、端面テープ4が貼り付けられた原反10を不図示のプラテン打ち抜き機にて平面状に保持しながら打ち抜くことにより原反10に所定輪郭を与えてブランク21′を得る(ブランク形成工程)。この打ち抜きは目印線5を目安として実施され、その際には原反10の端部10aがブランク21′の端部21′aに対応し、かつ目印線5が適正位置に設けられるようにプラテン打ち抜き機が位置決めされている。
【0027】
次に、ブランク形成工程で得たブランク21′の両端部21′aを互いに重ねて貼り合わせることにより筒状の胴部21を得るとともにその胴部21の下端に底部22を設ける。そして、所定の型押し部材を押し付けることで胴部21の上端にカール部23を形成する。次いで、突条21bを不図示のローラを胴部21に押し当てることにより形成してカップ本体2を得る。このカップ本体2にスリーブ3を被せて互いに接着することにより、図1に示す紙カップ1が完成する。
【0028】
(第2の形態)
次に本発明の第2の形態を図7及び図8を参照して説明する。この形態は端面テープの構成を除き、第1の形態と同一構成を有している。従って、第1の形態と共通する構成の説明を省略する。図7は端面テープの長手方向に沿った断面の一部を示している。この図に示すように、端面テープ42には胴部21と対向する面に、言い換えれば胴部21に貼り付けられる面に目印線5が印刷にて設けられている。端面テープ42はナイロンやポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂製のフィルムでよい。また、端面テープ42は単層構造でも多層構造でもよい。この形態は、端面テープ42の製造過程で第1の形態のように保護層を設ける必要がないので、製造コストを低減できる。
【0029】
このような端面テープ42を使用した紙カップ1の製造は、第1の形態(図4)と同様に、予め端面テープ42に目印線5を設けておき、その端面テープ42をロール状に巻き上げられた状態から一方向に繰り出して原反10に貼り付けてもよい。また、図8に示すように、端面テープ42をロール状に巻き上げられた状態から一方向に繰り出し、繰り出された端面テープ42に目印線5を印刷にて設けることもできる(目印部形成工程)。この印刷はインクジェットプリンタ等の印刷機にて実施できる。この形態によれば、端面テープ42が繰り出された後に、その繰り出された端面テープ42に目印線5を設けるので、目印線5の位置を自由に設定できる。そのため、たとえば紙カップの要求仕様の変更によって目印線5の設定位置が変わった場合でも、ロール状に保持された端面テープ42が無駄になることがない。
【0030】
(第3の形態)
次に本発明の第3の形態を図9を参照して説明する。この形態は第2の形態の変形例に相当し、製造方法のみが第2の形態と相違する。図9に示すように、原反10の端部10aに所定間隔で複数の目印線5を印刷にて設け、その後目印線5を覆うようにして端面テープ42を貼り付ける。原反10への目印線5の印刷は、第2の形態と同様にインクジェットプリンタ等の印刷機にて実施できる。端面テープ42は図9のように所定長さに切断された状態で準備してもよいし、図8のようにロール状に巻き上げられた状態で準備してもよい。この形態によっても、第2の形態と同等の効果を発揮できる。
【0031】
(第4の形態)
次に本発明の第4の形態を図10及び図11を参照して説明する。この形態は、端面テープの構成を除き第1の形態と同一構成を有している。従って、第1の形態と共通する構成の説明を省略する。図10は第4の形態に係る端面テープの詳細を示している。図10に示すように、端面テープ44はレーザ光の照射により発色可能なレーザ発色層としてのレーザ発色フィルム45と、レーザ発色フィルム45の両面にそれぞれ設けられた保護層46とを有している。端面テープ44はポリエチレンの押し出しコーティングにてレーザ発色フィルム45の両面に保護層46が積層されることにより構成されている。レーザ発色フィルム45は、低密度ポリエチレン等の樹脂をビヒクルとし、レーザ光線の照射により発色する発色剤を含み、かつその発色剤の含有量が樹脂に対して0.01重量%から50.0重量%に調製された樹脂組成物からなる公知のフィルムである。
【0032】
図11に示すように、端面テープ44にレーザ光Laが照射されると、そのレーザ光Laは保護層46を透過してレーザ発色フィルム45に到達する。レーザ光Laの到達により、レーザ光Laが持つエネルギーがレーザ発色フィルム45にて吸収され、レーザ光Laの到達部分が炭化した黒色の発色部45′が生成され、その発色部45′が端面テープ44の保護層46越しに表示される。レーザ光Laの照射位置を適宜変更することにより、文字、数字、記号、図柄等の画像を所定位置に形成できる。従って、この形態によれば、適量位置にレーザ光Laを照射することにより、目印線5を形成できる。なお、発色剤を適宜選択することにより、レーザ光Laの照射により発泡して白色発色するレーザ発色フィルムを使用することもできる。
【0033】
目印線5の形成は端面テープ44を原反10(図6参照)に貼り付ける前に行ってもよいし、その後に行ってもよい。端面テープ44の貼り付け後に目印線5を形成する場合には、図6に示すように原反10又はブランク21′を平面状に保持した状態で行ってもよいし、ブランク21′の両端部21′aが貼り合わされて胴部21が形成された後に行ってもよい。原反10又はブランク21′の段階で目印線5を形成する場合には、胴部21の形成後に行う場合と比べてレーザ光の照射が容易になるので目印線5の形成が効率よく実施できる利点がある。
【実施例】
【0034】
次に、上述した各形態に対応する紙カップの具体的な実施例を説明する。
【0035】
<実施例1>
実施例1は上記第1の形態に対応する。坪量255g/mの紙にポリエチレンを押し出しラミネートにより25μmの厚さにコーティングしたロール状の原反を用意した。ポリエチレンのコーティングは紙の片面のみに行ってもよいし、その両面に行ってもよい。
【0036】
一方、目印部が印刷された所定寸法のナイロン製フィルム(印刷層)を用意し、そのフィルムの両面に押し出しコーティングによりポリエチレンを積層して保護層を形成した。そして、保護層が形成されたフィルムをロール状に巻き上げた後に15mm巾にスリット加工して端面テープを得た。なお、ナイロン製フィルムの代りにポリエチレンテレフタレート製フィルムを用いてもよい。
【0037】
次に、この端面テープをロール状に巻き上げられた状態から一方向に繰り出し、繰り出された端面テープを原反の端部の内面側に10mm巾で熱溶着し、その後、はみ出した5mmの部分を折り返して外面側に熱溶着した。そして、端面テープが貼り付けられたシート状原紙をプラテン打ち抜き機によりブランク形状に打ち抜いた(図6参照)。なお、原反から複数のブランクを打ち抜くために面付け数を巾方向に2面とした。その後、上述した方法で紙カップ成型を行った後に突条部21bを形成してカップ本体2を得た。そして、このカップ本体2にスリーブ3を装着して紙カップ1を形成した(図1参照)。
【0038】
なお、この実施例1においては原反となる上記の紙として、端面テープと紙面との接着を安定させるために、抄紙の段階でポリエチレンイミンを抄き込んだもの、又はポリエチレンイミンを印刷する所定の処理を施したものを使用できる。ポリエチレンイミンを印刷する方法は工程数及び色数が増えるので、抄紙の段階でポリエチレンイミンを抄き込んだものを採用することが望ましい。
【0039】
<実施例2>
実施例2は上記第2の形態に対応する。まず、実施例1と同一仕様のロール状の原反を用意した。一方、所定寸法のナイロン製フィルムを用意し、そのフィルムの両面に押し出しコーティングによりポリエチレンを積層した。そして、ポリエチレンが積層されたフィルムをロール状に巻き上げた後に15mm巾にスリット加工して端面テープを得た。なお、ナイロン製フィルムの代りにポリエチレンテレフタレート製フィルムを用いてもよい。
【0040】
次に、この端面テープをロール状に巻き上げられた状態から一方向に繰り出し、繰り出された端面テープの貼付面にインクジェットプリンタで目印部を印刷し(図8参照)、目印部が印刷された端面テープを原反の端部の内面側に10mm巾で熱溶着し、はみ出した5mmの部分を折り返して外面側に熱溶着した。そして、端面テープが貼り付けられた原反をプラテン打ち抜き機によりブランク形状に打ち抜いた(図6参照)。その後、上述した方法で紙カップ成型を行った後に突条部21bを形成してカップ本体2を得た。そして、このカップ本体2にスリーブ3を装着して紙カップ1を形成した(図1参照)。
【0041】
<実施例3>
実施例3は上記第3の形態に対応する。まず、実施例1と同一仕様のロール状の原反を用意した。一方、所定寸法のナイロン製フィルムを用意し、そのフィルムの両面に押し出しコーティングによりポリエチレンを積層した。そして、ポリエチレンが積層されたフィルムをロール状に巻き上げた後に15mm巾にスリット加工して端面テープを得た。なお、ナイロン製フィルムの代りにポリエチレンテレフタレート製フィルムを用いてもよい。
【0042】
次に、原反の端部にインクジェットプリンタにて目印部を印刷し、その後、端面テープをロール状に巻き上げられた状態から一方向に繰り出し、繰り出された端面テープを原反の端部の内面側に10mm巾で熱溶着し、はみ出した5mmの部分を折り返して外面側に熱溶着した(図9参照)。そして、端面テープが貼り付けられた原反をプラテン打ち抜き機によりブランク形状に打ち抜いた(図6参照)。その後、上述した方法で紙カップ成型を行った後に突条部21bを形成してカップ本体2を得た。そして、このカップ本体2にスリーブ3を装着して紙カップ1を形成した(図1参照)。
【0043】
<実施例4>
実施例3は上記第4の形態に対応する。まず、実施例1と同一仕様のロール状の原反を用意した。一方、所定寸法のレーザ発色フィルムを用意し、そのフィルムの両面に押し出しコーティングによりポリエチレンを積層して保護層を形成した。そして、保護層が形成されたフィルムをロール状に巻き上げた後に15mm巾にスリット加工して端面テープを得た。
【0044】
次に、端面テープをロール状に巻き上げられた状態から一方向に繰り出し、繰り出された端面テープを原反の端部の内面側に10mm巾で熱溶着し、はみ出した5mmの部分を折り返して外面側に熱溶着した。そして、端面テープが貼り付けられた原反をプラテン打ち抜き機によりブランク形状に打ち抜いた(図6参照)。その後、上述した方法で紙カップ成型を行った後に、胴部の内周面の所定位置にYAGレーザを照射して目印部を形成した。その後、胴部に突条部21bを形成してカップ本体2を得て、このカップ本体2にスリーブ3を装着して紙カップ1を形成した(図1参照)。
【0045】
(他の形態)
本発明は以上の形態に限定されず、種々の形態にて実施できる。本発明に係る目印部は図示した目印線5に限らない。例えば文字、記号、図柄等の線図によって目印部を実施してよい。上述の形態では、シート状部材としてのロール状の原反を一方向に繰り出して端面テープを貼り付けているが、ロール状の原反を所定寸法に断裁することによりシート状原紙を得て、このシート状原紙に端面テープを貼り付けてもよい。この場合、シート状原紙は本発明に係るシート状部材に相当する。端面テープの貼り付けは、ブランク21′を打ち抜いてから行ってもよい。また、上述した突条部21bを胴部21に設けることは必須ではなく、これを省略して本発明を実施してもよい。なお、被覆部材としては、上記した紙製のスリーブに限らず、発泡材料にて胴部の外側を覆うことにより被覆部材として機能させて断熱性を高めてもよい。
【0046】
レーザ発色層としては、図10及び図11に示した形態に限定されず、例えば図12及び図13に示す公知のレーザ発色フィルム145を用いてもよい。図12に示すように、レーザ発色フィルム145はプラスチック基材145aと、金属箔145bと、樹脂をビヒクルの主成分とし黒色顔料を含んだ樹脂組成物からなる黒色着色樹脂層145cとを順次積層した多層積層体として構成されている。図13に示すように、レーザ光Laが照射されると、そのレーザ光Laはプラスチック基材145aを透過し、その次に位置している金属箔145bに到達する。金属箔145bへのレーザ光Laの到達によりレーザ光Laが持つエネルギーが金属箔145bにて吸収され、レーザ光Laの到達部分の金属箔145bが溶融して開口部145′が形成される。これにより黒色着色樹脂層145cが開口部145′越しに露出する。この形態においても、レーザ光Laの照射位置を適宜変更することにより、文字、数字、記号、図柄等の画像を所定位置に形成できるので、適量位置にレーザ光Laを照射することにより、目印線5を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の断熱容器としての紙カップの一形態を示した図。
【図2】胴貼部の断面を拡大して示した断面模式図。
【図3】第1の形態に係る端面テープの詳細を示した断面図。
【図4】テープ貼り工程を説明する説明図。
【図5】図4に示したテープ貼り工程において、端面テープを折り返して端部に貼り付ける様子を説明する説明図。
【図6】ブランク形成工程を説明する説明図。
【図7】第2の形態に係る端面テープの詳細を示した断面図。
【図8】目印部形成工程を説明する説明図。
【図9】第3の形態を説明する説明図。
【図10】第4の形態に係る端面テープの詳細を示した断面図。
【図11】図10の端面テープの作用を説明する断面図。
【図12】端面テープの他の形態の詳細を示した断面図。
【図13】図12の端面テープの作用を説明する断面図。
【符号の説明】
【0048】
1 紙カップ(断熱容器)
2 カップ本体(容器本体)
3 スリーブ(被覆部材)
4、42、44 端面テープ(テープ部材)
4a 印刷層
4b 保護層
5 目印線(目印部)
10 原反(シート状部材)
21 胴部
21′ ブランク
21′a 端部
21a 胴貼部
21b 突条部
22 底部
45、145 レーザ発色フィルム(レーザ発色層)
La レーザ光
Wi、Wo 横幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の輪郭が与えられたブランクの両端部が互いに重ねられて貼り合わされた胴貼部を有する胴部を備えた容器本体と、前記容器本体の前記胴部の外側を覆う被覆部材と、所定の透光性を有し、かつ前記ブランクの両端部のうち前記胴部の内周面側に位置する端部を覆うようにして前記胴貼部に貼り付けられたテープ部材と、前記テープ部材の表面と前記胴貼部との間に配置され、かつ前記容器本体の内部へ注入する液体の適量位置を示す目印部と、を具備することを特徴とする断熱容器。
【請求項2】
前記テープ部材に前記目印部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の断熱容器。
【請求項3】
前記テープ部材は、前記目印部が印刷された印刷層と、前記印刷層の表面を覆う保護層とを備えていることを特徴とする請求項2に記載の断熱容器。
【請求項4】
前記テープ部材の前記胴貼部と対向する面に、前記目印部が印刷されていることを特徴とする請求項2に記載の断熱容器。
【請求項5】
前記テープ部材はレーザ光の照射により発色可能なレーザ発色層を含み、前記目印部は前記レーザ光が照射されることにより形成されていることを特徴とする請求項2に記載の断熱容器。
【請求項6】
前記胴貼部の表面に前記目印部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の断熱容器。
【請求項7】
前記テープ部材は、前記ブランクの端部にて折り返されて当該端部の両面に貼り付けられるとともに、前記胴部の内周面側に貼り付けられる横幅がその反対側に貼り付けられる横幅よりも大きいことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の断熱容器。
【請求項8】
前記目印部は、前記ブランクの端部と前記テープ部材の端部との間に収まるように設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の断熱容器。
【請求項9】
前記胴部には、前記目印部が設けられた位置にて周方向に延び、かつ内側又は外側に突出する突条部が設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の断熱容器。
【請求項10】
シート状部材に所定輪郭を与えてからその両端部を互いに重ねて貼り合わせることにより胴部を形成し、前記胴部の一端側に底部を設けて容器本体を得るとともに、前記容器本体の前記胴部の外側を被覆部材にて覆う断熱容器の製造方法において、
前記シート状部材に前記所定輪郭が与えられる前に、前記容器本体の内部へ注入する液体の適量位置を示す目印部が設けられたテープ部材を前記シート状部材の端部に貼り付けるテープ貼り工程と、前記テープ部材が貼り付けられた前記シート状部材の端部が前記両端部のいずれか一方の端部に対応するように、当該シート状部材に前記所定輪郭を与えるブランク形成工程と、を備えることを特徴とする断熱容器の製造方法。
【請求項11】
前記テープ貼り工程では、前記目印部が設けられたテープ部材がロール状に巻き上げられた状態から一方向に繰り出し、繰り出された前記テープ部材を前記シート状部材の端部に貼り付けることを特徴とする請求項10に記載の断熱容器の製造方法。
【請求項12】
前記テープ部材がロール状に巻き上げられた状態から一方向に繰り出し、繰り出された前記テープ部材に前記目印部を設ける目印部形成工程を更に備えることを特徴とする請求項10に記載の断熱容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−37494(P2008−37494A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−218348(P2006−218348)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】