説明

断熱性に優れる開口部装置

【課題】簡易な構造でも断熱性に優れる開口部装置を提供する。
【解決手段】建物開口部の4辺に沿って具備された枠体12と、該枠体の内側に配置される障子50とを備える開口部装置10であって、障子の閉鎖の姿勢で、障子の框52、53、54、55の全部が、枠体により室内側正面視から隠蔽されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は住宅や公共施設等の建物開口部に好適に用いられる開口部装置に関し、特に断熱性に優れる開口部装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建物開口部に備えられるスイング式、引戸式、及び嵌殺し式の窓等のような開口部装置のうち、寒冷地等で好ましく適用される断熱性に優れる種々の開口部装置(以下、「断熱サッシ」と記載することがある。)が提案されている。これら断熱サッシの断熱手段としては例えば、開口部の縁に沿って配置されるサッシ枠、及びその枠の内側に具備される障子の框を見込み方向(室内外方向)に分割し、これを断熱材(ブリッジ材)を介して連結することにより、見込み方向に熱が伝わり難いものが知られている。
【0003】
例えば特許文献1に記載の断熱サッシも、サッシ枠及び障子の框において断熱材を介して室内側部材と室外側部材とが連結されている。当該特許文献1ではさらにアタッチメントについても断熱材を介して室内側部材と室外側部材とが連結されている。
【0004】
その他の手段として断熱サッシの枠体、及び障子の框の両方を樹脂により形成する手段も知られている。
【特許文献1】特許第3248053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように断熱性を向上させるためにブリッジ材を用いたり、枠体、及び障子の框を樹脂により構成したりすると、特に通常開閉動作をさせる障子の框が強度不足となる虞があった。また、枠体及び障子の構造が複雑になり、製造コストの増大を招くこともあり改善が望まれていた。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、簡易な構造でも断熱性に優れる開口部装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0008】
請求項1に記載の発明は、建物開口部の4辺に沿って具備された枠体(12)と、該枠体の内側に配置される障子(50)とを備える開口部装置(10)であって、障子の閉鎖の姿勢で、障子の框(52、53、54、55)の全部が、枠体により室内側正面視から隠蔽されることを特徴とする開口部装置を提供することにより前記課題を解決する。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の開口部装置(10)において、枠体(12)は、見込み方向室外側に配置される室外側部材(15、22、32、42)と、見込み方向室内側に配置される室内側部材(14、21、31、41)と、室外側部材と室内側部材とを連結する断熱性を有するブリッジ材(16、23、24、33、43)と、ブリッジ材より見付方向内側で、見込み方向に略同一位置に配置され、障子の閉鎖の姿勢で該障子の框に接触するとともに断熱性を有するパッキン(17、18、25、26、34、35、44、45)とを備えること特徴とする。
【0010】
ここで「見付方向」とは全体として平板状である開口部装置の該平板状の平面に沿った方向を意味し、開口部装置が建物に取り付けられた姿勢では、建物開口部の開口面に沿った方向を意味する。また、「見付方向内側」とは、見付方向のうち開口部装置の中央方向を意味する。従って「見付方向外側」とは見付方向のうち開口部装置から離れる方向を意味する。さらに、「見込み方向」とは全体として平板状である開口部装置の該平板状の厚さの方向を意味し、開口部装置が建物に取り付けられた姿勢では、建物の室内外方向を示す。
また、「見込み方向に略同一位置」とは、ブリッジ材の見込み方向中心と、パッキンの見込み方向中心との位置が、見込み方向の位置において完全に同一であることの他、ブリッジ材の見込み方向幅、及びパッキンの見込み方向幅の範囲でそのいずれかの部分において見込み方向の位置が同じであればよいことを含むことを意味する。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の開口部装置(10)において、パッキン(17、18、25、26、34、35、44、45)が見付方向に所定の間隔を有して2つ並列して具備されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡易な構造でも断熱性に優れる開口部装置を提供することができる。
【0013】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
【0015】
図1は開口部装置10が建物の開口部に取り付けられた姿勢における該開口部装置10の室内視正面図である。図2は、図1にA−A線(垂直方向)に沿った断面図、図3は、図1にB−B線(水平方向)に沿った断面図である。図2では紙面左が室外側、紙面右が室内側をそれぞれ示している。また、図3では紙面上が室外側、紙面下が室内側を表している。本実施形態において開口部装置10は、縦すべり形式の断熱サッシであり、図2、図3に示した開閉装置11を操作することにより障子50を縦すべり式に開閉させることができる。
【0016】
開口部装置10は、建物開口部の4辺の縁に沿って配置される枠体12、及び該枠体12の内側に具備されて縦すべり式に開閉する障子50を備えている。図1〜図3及び適宜示す図により開口部装置10について説明する。
【0017】
枠体12は、上下のそれぞれに水平に配置される長尺部材である横枠13、20、及び該横枠13、20の端部を渡して設けられる長尺部材である縦枠30、40が枠状に形成されて構成されている。
【0018】
横枠13は、枠体12のうち上枠に相当する枠材であり、室内側に配置される室内側部材14と、室外側に配置される室外側部材15と、室内側部材14と室外側部材15とを連結するブリッジ材16と、パッキン17、18とを備えている。図4は、図2にCで示した部分を拡大した図である。
【0019】
図2、図4からわかるように室内側部材14は、図2、図4に表される断面において、見付方向上下(紙面上下方向)に配置される片14aを備えている。片14aの室外側面からは、その見込み方向室外側(紙面左方向)に延在する片14bが設けられ、片14bの室外側端部には矩形部14cが形成されている。該矩形部14cの室外側面には係合突起14dが具備されている。
【0020】
さらに、片14aの室外側面のうち片14bよりも見付方向内側には、片14bと略平行に延在する片14eが設けられて、該片14eの室外側端部からは見付方向内側に向けて片14fが形成されている。片14fは、図2、図4からわかるように、後述する障子50の横框52の見付方向内側端部より内側まで延在している。また、片14fの室外側面には、2つの係合突起14g、14hが所定の間隔を有して見付方向上下に並列されている。2つの係合突起14g、14hのうち、見付方向内側に設けられる係合突起14hは、片14fの端部に設けられている。
【0021】
室外側部材15は、図2、図4に表される断面において、全体として概ね矩形状である矩形部15aにより形成されている。該矩形部15aの室内側面には係合突起15bが形成されるとともに、矩形部15aの見付方向内側には係合部15cが設けられている。係合部15cには緩衝部材が挿入されている。
【0022】
ブリッジ材16は、断熱材等の熱伝導率の小さい材料で形成されており、その室内側端部が室内側部材14の係合突起14dに係合され、室外側端部が室外側部材15の係合突起15bに係合されている。これにより室内側部材14と室外側部材15とはブリッジ材16を介して連結されているので、室内外方向の断熱がされている。
【0023】
パッキン17は、熱伝導率が小さいとともに気密性の高い材料で形成されており、その室内側端部が室内側部材14の片14fの係合突起14gに係合されている。パッキン17の室外側端部は開放されているが、図2、図4からわかるように、障子50の閉鎖時に横框52に密着して気密を得ることができるように構成されている。
【0024】
パッキン18は、熱伝導率が小さいとともに気密性の高い材料で形成されており、その室内側端部が室内側部材14の片14fの係合突起14hに係合されている。パッキン18の室外側端部は開放されているが、図2、図4からわかるように、障子50の閉鎖時に横框52に密着して気密を得ることができるように構成されている。
【0025】
ここで、ブリッジ材16、パッキン17、及びパッキン18は見付方向上下に一直線上、すなわち見込み方向に略同じ位置に並列されるように配置されることが好ましい。ここで、ブリッジ材16の見込み方向中心と、パッキン17、18の見込み方向中心との位置が、見込み方向の位置において同一であることがさらに好ましいが、必ずしもこれに限定されることはなく、ブリッジ材16の見込み方向幅、及びパッキン17、18の見込み方向幅の範囲でそのいずれかの部分において見込み方向の位置が同じであればよい。さらには、ブリッジ材16、パッキン17、及びパッキン18の見込み方向幅が同じであることがさらに好ましい。
【0026】
また、ブリッジ材、及びパッキンの形状は特に限定されるものではなく、上記した目的を達するものであればどのような形状のブリッジ材、及びパッキンを適用してもよい。ここで、ブリッジ材及びパッキンの断熱性能は、断熱材としての効果を奏するものであれば特に限定されるものではないが、通常は、熱伝導率が0.2W/mK以下のものを用いることが多い。
【0027】
横枠20は、枠体12のうち下枠に相当する枠材であり、室内側に配置される室内側部材21と、室外側に配置される室外側部材22と、室内側部材21と室外側部材22とを連結するブリッジ材23、24と、パッキン25、26とを備えている。図5は、図2にDで示した部分を拡大した図である。図5では分かり易さのため開閉装置11を省略している。
【0028】
図2、図5からわかるように室内側部材21は、図2、図5に表される断面において、見付方向上下(紙面上下方向)に配置される片21aを備えている。ここで、片21aの見付方向内側端部は、図2、図5からわかるように、後述する障子50の横框53の見付方向内側端部より内側まで延在している。
片21aの室外側面には、その見込み方向室外側(紙面左方向)に矩形部21bが設けられ、該矩形部21bの室外側面には係合突起21dが具備されている。
【0029】
さらに、片21aの室外側面のうち矩形部21bよりも見付方向内側には、見込み方向室外側に延在する片21eが設けられその室外側端部には係合部21fが形成されている。また、片21aの室外側面のうち片21eより見付方向内側には、片21eと略平行に延在する片21gが設けられ、その室外側端部には係合部21hが形成されている。従って、2つの係合突起21f、21hが所定の間隔を有して見付方向上下に並列されている。2つの係合突起のうち、見付方向内側に設けられる係合突起21hは、片21aの見付方向内側端部に設けられている。
【0030】
室外側部材22は、図2、図5に表される断面において、矩形状である矩形部22aを有し、矩形部22aの室外側下端からは室外側に向けて水切り22bが設けられている。また、矩形部22aの室内側面には係合突起22cが具備されている。
【0031】
ブリッジ材23、24は、断熱材等の熱伝導率の小さい材料で形成されており、その室内側端部が室内側部材21の係合突起21dに係合され、室外側端部が室外側部材22の係合突起22cに係合されている。これにより室内側部材21と室外側部材22とはブリッジ材23、24を介して連結されているので、室内外方向の断熱がされている。
【0032】
パッキン25は、熱伝導率が小さいとともに気密性の高い材料で形成されており、その室内側端部が室内側部材21の片21eの係合部21fに係合されている。パッキン25の室外側端部は開放されているが、図2、図5からわかるように、障子50の閉鎖時に横框53に密着して気密を得ることができるように構成されている。
【0033】
パッキン26は、熱伝導率が小さいとともに気密性の高い材料で形成されており、その室内側端部が室内側部材21の片21gの係合部21hに係合されている。パッキン26の室外側端部は開放されているが、図2、図5からわかるように、障子50の閉鎖時に横框53に密着して気密を得ることができるように構成されている。
【0034】
ここで、ブリッジ材23、24、パッキン25、及びパッキン26は見付方向上下に一直線上、すなわち見込み方向に略同じ位置に並列されるように配置されることが好ましい。ここで、ブリッジ材23、24の見込み方向中心と、パッキン25、26の見込み方向中心との位置が、見込み方向の位置において同一であることがさらに好ましいが、必ずしもこれに限定されることはなく、ブリッジ材23、24の見込み方向幅、及びパッキン25、26の見込み方向幅の範囲でそのいずれかの部分において見込み方向の位置が同じであればよい。さらには、ブリッジ材23、24、パッキン25、及びパッキン26の見込み方向幅が同じであることがさらに好ましい。
【0035】
また、ブリッジ材、及びパッキンの形状は特に限定されるものではなく、上記した目的を達するものであればどのような形状のブリッジ材、及びパッキンを適用してもよい。ここで、ブリッジ材及びパッキンの断熱性能は、断熱材としての効果を奏するものであれば特に限定されるものではないが、通常は、熱伝導率が0.2W/mK以下のものを用いることが多い。
【0036】
次に縦枠30について説明する。縦枠30は、枠体12の2つの縦枠のうち一方を形成する枠材であり、室内側に配置される室内側部材31と、室外側に配置される室外側部材32と、室内側部材31と室外側部材32とを連結するブリッジ材33と、パッキン34、35とを備えている。図6は、図3にEで示した部分を拡大した図である。
【0037】
図3、図6からわかるように室内側部材31は、図3、図6に表される断面において、見込み方向(紙面上下方向)に配置される片31aを備えている。片31aの室外側端部からは見付方向外側に向けて延在する片31bが設けられ、片31bの室外側面には係合突起31cが具備されている。
【0038】
さらに、片31aの見付方向内側面からは見付方向内側に向けて延在する片31dが設けられている。片31dは、図3、図6からわかるように、後述する障子50の縦框54の見付方向内側端部よりさらに内側にまで延在している。また、片31dの室外側面には、2つの係合突起31e、31fが所定の間隔を有して左右に並列されている。2つの係合突起のうち、見付方向内側に設けられる係合突起31fは、片31dの端部に設けられている。
【0039】
室外側部材32は、図3、図6に表される断面において、見込み方向に延在する片32aを有している。片32aの室内側端部からは、見付方向外側に向けて片32bが設けられ、該片32bの室内側面に係合突起32cが具備されている。また、片32aの見付方向内側面には緩衝部材係合部32dが設けられ、ここには緩衝部材32eが係合されている。
【0040】
ブリッジ材33は、断熱材等の熱伝導率の小さい材料で形成されており、その室内側端部が室内側部材31の係合突起31cに係合され、室外側端部が室外側部材32の係合突起32cに係合されている。これにより室内側部材31と室外側部材32とはブリッジ材33を介して連結されているので、室内外方向の断熱がされている。
【0041】
パッキン34は、熱伝導率が小さいとともに気密性の高い材料で形成されており、その室内側端部が室内側部材31の片31dの係合突起31eに係合されている。パッキン34の室外側端部は開放されているが、図3、図6からわかるように、障子50の閉鎖時に縦框54に密着して気密を得ることができるように構成されている。
【0042】
パッキン35は、熱伝導率が小さいとともに気密性の高い材料で形成されており、その室内側端部が室内側部材31の片31dの係合突起31fに係合されている。パッキン35の室外側端部は開放されているが、図3、図6からわかるように、障子50の閉鎖時に縦框54に密着して気密を得ることができるように構成されている。
【0043】
ここで、ブリッジ材33、パッキン34、及びパッキン35は見付方向上下に一直線上、すなわち見込み方向に略同じ位置に並列されるように配置されることが好ましい。ここで、ブリッジ材33の見込み方向中心と、パッキン34、35の見込み方向中心との位置が、見込み方向の位置において同一であることがさらに好ましいが、必ずしもこれに限定されることはなく、ブリッジ材33の見込み方向幅、及びパッキン34、35の見込み方向幅の範囲でそのいずれかの部分において見込み方向の位置が同じであればよい。さらには、ブリッジ材33、パッキン34、及びパッキン35の見込み方向幅が同じであることがさらに好ましい。
【0044】
また、ブリッジ材、及びパッキンの形状は特に限定されるものではなく、上記した目的を達するものであればどのような形状のブリッジ材、及びパッキンを適用してもよい。ここで、ブリッジ材及びパッキンの断熱性能は、断熱材としての効果を奏するものであれば特に限定されるものではないが、通常は、熱伝導率が0.2W/mK以下のものを用いることが多い。
【0045】
次に縦枠40について説明する。縦枠40は、枠体12の2つの縦枠のうち他方を形成する枠材であり、室内側に配置される室内側部材41と、室外側に配置される室外側部材42と、室内側部材41と室外側部材42とを連結するブリッジ材43と、パッキン44、45とを備えている。図7は、図3にFで示した部分を拡大した図である。
【0046】
図3、図7からわかるように室内側部材41は、図3、図7に表される断面において、見込方向(紙面上下方向)に配置される片41aを備えている。片41aの室外側端部からは見付方向外側に向けて延在する片41bが設けられ、片41bの室外側面には係合突起41cが具備されている。
【0047】
さらに、片41aの見付方向内側面からは見付方向内側に向けて延在する片41dが設けられている。片41dは、図3、図7からわかるように、後述する障子50の縦框55の見付方向内側端部よりさらに内側にまで延在している。また、片41dの室外側面には、2つの係合突起41e、41fが所定の間隔を有して左右に並列されている。2つの係合突起41e、41fのうち、見付方向内側に設けられる係合突起41fは、片41dの端部に設けられている。
【0048】
室外側部材42は、図3、図7に表される断面において、見込方向に延在する片42aを有している。片42aの室内側端部からは、見付方向外側に向けて片42bが設けられ、該片42bの室内側面に係合突起42cが具備されている。また、片42aの見付方向内側面には緩衝部材係合部42dが設けられ、ここには緩衝部材42eが係合されている。
【0049】
ブリッジ材43は、断熱材等の熱伝導率の小さい材料で形成されており、その室内側端部が室内側部材41の係合突起41cに係合され、室外側端部が室外側部材42の係合突起42cに係合されている。これにより室内側部材41と室外側部材42とはブリッジ材43を介して連結されているので、室内外方向の断熱がされている。
【0050】
パッキン44は、熱伝導率が小さいとともに気密性の高い材料で形成されており、その室内側端部が室内側部材41の片41dの係合突起41eに係合されている。パッキン44の室外側端部は開放されているが、図3、図7からわかるように、障子50の閉鎖時に縦框55に密着して気密を得ることができるように構成されている。
【0051】
パッキン45は、熱伝導率が小さいとともに気密性の高い材料で形成されており、その室内側端部が室内側部材41の片41dの係合突起41fに係合されている。パッキン45の室外側端部は開放されているが、図3、図7からわかるように、障子50の閉鎖時に縦框55に密着して気密を得ることができるように構成されている。
【0052】
ここで、ブリッジ材43、パッキン44、及びパッキン45は見付方向上下に一直線上、すなわち見込み方向に略同じ位置に並列されるように配置されることが好ましい。ここで、ブリッジ材43の見込み方向中心と、パッキン44、45の見込み方向中心との位置が、見込み方向の位置において同一であることがさらに好ましいが、必ずしもこれに限定されることはなく、ブリッジ材43の見込み方向幅、及びパッキン44、45の見込み方向幅の範囲でそのいずれかの部分において見込み方向の位置が同じであればよい。さらには、ブリッジ材43、パッキン44、及びパッキン45の見込み方向幅が同じであることがさらに好ましい。
【0053】
また、ブリッジ材、及びパッキンの形状は特に限定されるものではなく、上記した目的を達するものであればどのような形状のブリッジ材、及びパッキンを適用してもよい。ここで、ブリッジ材及びパッキンの断熱性能は、断熱材としての効果を奏するものであれば特に限定されるものではないが、通常は、熱伝導率が0.2W/mK以下のものを用いることが多い。
【0054】
以上示した枠体12の室内側部材14、21、31、41及び室外側部材15、22、32、42の材質は特に限定されるものではないが、サッシを構成する部材として最も良く用いられるアルミニウムを用いることができる。また、ブリッジ材16、23、24、33、43も通常サッシに用いるブリッジ材を用いることができる。これには例えば塩化ビニル樹脂(PVC)を挙げることができる。
【0055】
次に障子50について説明する。障子50は、図2、図3からわかるように、ガラスパネル51、及び該ガラスパネルの4辺に具備される横框52、53、縦框54、55を備え、ガラスパネル51の4辺の端部はグレージングチャンネル60を介して横框52、53、縦框54、55に差し込まれるように取り付けられる。
【0056】
ガラスパネル51は、複層ガラスで構成され、断熱性が図られている。ただし、必ずしも複層ガラスである必要はなく、サッシに用いられるガラスパネルを用いることができる。
【0057】
横框52は上横框に相当する框材である。図2、図4からわかるように横框52は、図2、図4に表される断面において、矩形状である矩形部52aを有している。矩形部52aの見付方向内側面の両端部からは見付方向内側に向けて延在する52b、52cが設けられておりガラスパネル51端部の受け入れ部を形成している。また、矩形部52aの室外側面から見付方向外側に向けて延在する片52dが備えられている。
【0058】
このように本発明の断熱サッシ10では、備えられる障子50の横框52にはブリッジ材等の断熱部材が用いられていない。これにより断熱サッシの構造を簡略化し、備えられる部材を削減することができ、これにともなって製造も容易となる。横框52の材質は特に限定されるものではないが、サッシを構成する部材として最も良く用いられるアルミニウムを用いることができる。本発明の断熱サッシは、このように通常に用いられる材料を適用した場合であっても断熱性を向上させることができる。
【0059】
横框53は下横框に相当する框材である。図2、図5からわかるように横框53は、図2、図5に表される断面において、矩形状である矩形部53aを有している。矩形部53aの見付方向内側面の両端部からは見付方向内側に向けて延在する53b、53cが設けられておりガラスパネル51端部の受け入れ部を形成している。また、矩形部53aの室外側面から見付方向外側に向けて延在する片53dが備えられている。
【0060】
このように横框53についても、横框52と同様にブリッジ材等の断熱部材が用いられていない。これにより断熱サッシの構造を簡略化し、備えられる部材を削減することができ、これにともなって製造も容易となる。横框53の材質は特に限定されるものではないが、サッシを構成する部材として最も良く用いられるアルミニウムを用いることができる。
【0061】
縦框54は2つの縦框のうちの1つを構成する框材である。図3、図6からわかるように縦框54は、図3、図6に表される断面において、見込み方向(室内外方向)に延在する片54aを有している。該片54aの見込方向両端からは、見付方向内側向けて延在する54b、54cが設けられており、ガラスパネル51端部の受け入れ部を形成している。また、片54aの室外側端部から見付方向外側に向けて延在する片54dが具備されている。
【0062】
縦框55は2つの縦框のうちの他方を構成する框材である。図3、図7からわかるように縦框55は、図3、図7に表される断面において、見込方向(室内外方向)に延在する片55aを有している。該片55aの見込方向両端からは、見付方向内側向けて延在する55b、55cが設けられており、ガラスパネル51端部の受け入れ部を形成している。また、片55aの室外側端部から見付方向外側に向けて延在する片55dが具備されている。
【0063】
このように縦框54、55についても、ブリッジ材等の断熱部材が用いられていない。これにより断熱サッシの構造を簡略化し、備えられる部材を削減することができ、これにともなって製造も容易となる。縦框54、55の材質は特に限定されるものではないが、サッシを構成する部材として最も良く用いられるアルミニウムを用いることができる。
【0064】
以上のように、縦横框にブリッジ材を用いることなく、一体に形成されているので、ブリッジ材を用いた開口部装置や框を樹脂とした開口部装置に比べ高い強度を得ることができる。
【0065】
以上のような構成を有する断熱サッシ10では、障子50が閉鎖されたときに枠体12と障子50との各部位が次のように配置される。ここでは、図2、図4を参照しつつ説明する。これ以外の横枠20、縦枠30、40、と横框53、縦框54、55との関係についても以下に説明する趣旨が該当するので説明を省略する。
【0066】
上記したように、横枠13の室内側部材14の片14fの見付方向内側端部が、横框52の見付方向内側端部より内側にまで延在する大きさに形成され、室内側において横框52を隠蔽している。従って、片14fは横框52をカバーすることができる。これにより横框52にブリッジ材を用いなくても断熱サッシに必要とされる断熱性能を得ることができる。本実施形態では備えられる全ての縦横框(52、53、54、55)が縦横枠(13、20、30、40)により上記のように隠蔽されているが、必ずしも全ての縦横框が縦横枠により隠蔽される必要はなく、少なくとも1つの縦又は横框が縦又は横枠により隠蔽されていればよい。
【0067】
また、断熱材として作用するブリッジ材16、パッキン17、及びパッキン18が見付方向に一直線に配置されているので断熱ラインが一直線状となり断熱性能を向上させることができる。ここで、ブリッジ材16、パッキン17、18の見込み方向幅を同じとすればさらにその効果を大きなものとすることができる。また、パッキン17、18は横枠13側に設けられ、その室外側端部が開放されるように取り付けられる態様なので、部材間に挟まれるように配置されるブリッジ材に比べて取り付けが容易である。
【0068】
さらに、本実施形態では、2つのパッキン17、18が見付方向に並列されているので、図4にGで示したような空気層Gを形成させることができる。これにより断熱効果をさらに向上させることが可能となる。このとき、本実施形態のようにパッキン18を片14fの見付方向内側端に配置することにより、横框52の室内側面の大部分を上記空気層Gの内側に含めることができる。これにより、横框52が室内側雰囲気に接触することをより一層防止することが可能となるので断熱性を向上させることができる。
【0069】
以上、現時点においてもっとも実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う開口部装置もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】1つの実施形態に係る開口部装置(断熱サッシ)の外観図である。
【図2】図1に示した開口部装置の断面図である。
【図3】図1に示した開口部装置の断面図である。
【図4】図2にCで示した部分に注目した図である。
【図5】図2にDで示した部分に注目した図である。
【図6】図3にEで示した部分に注目した図である。
【図7】図3にFで示した部分に注目した図である。
【符号の説明】
【0071】
10 断熱サッシ(開口部装置)
11 開閉装置
12 枠体
13 横枠
16 ブリッジ材
17 パッキン
18 パッキン
20 横枠
23 ブリッジ材
24 ブリッジ材
25 パッキン
26 パッキン
30 縦枠
31 室内側部材
32 室外側部材
33 ブリッジ材
34 パッキン
35 パッキン
40 縦枠
41 室内側部材
42 室外側部材
43 ブリッジ材
44 パッキン
45 パッキン
50 障子
51 ガラスパネル
52 横框
53 横框
54 縦框
55 縦框

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部の4辺に沿って具備された枠体と、該枠体の内側に配置される障子とを備える開口部装置であって、
前記障子の閉鎖の姿勢で、前記障子の框の全部が、前記枠体により室内側正面視から隠蔽されることを特徴とする開口部装置。
【請求項2】
前記枠体は、
見込み方向室外側に配置される室外側部材と、
見込み方向室内側に配置される室内側部材と、
前記室外側部材と前記室内側部材とを連結する断熱性を有するブリッジ材と、
前記ブリッジ材より見付方向内側で、見込み方向に略同一位置に配置され、前記障子の閉鎖の姿勢で該障子の框に接触するとともに断熱性を有するパッキンと、
を備える請求項1に記載の開口部装置。
【請求項3】
前記パッキンが前記見付方向に所定の間隔を有して2つ並列して具備されることを特徴とする請求項2に記載の開口部装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−280999(P2009−280999A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−131989(P2008−131989)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(302045705)トステム株式会社 (949)
【Fターム(参考)】