説明

新規なアシルヒドラジノチオフェン誘導体、それらの製法、それらの医薬品としての使用、医薬組成物および新規な使用。

本発明は、医薬品としての式(I)(式中、R1は、特にフェニルによって、縮合環から成る炭素環式もしくは複素環式の基によって、またはそれ自体が場合により置換されるアミノ基によって置換されるアルキルまたはアルコキシを表し;R2は、特に場合により置換されるアルキル、特にアルコキシまたはベンジルオキシによって場合により置換されるフェニル、ナフチル、場合により置換されるアミノおよび基>=N−O−R8aを表し;R3およびR4は、特に水素、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシまたは場合により置換されるフェニルを表し;R5およびR6は、特に水素、ヒドロキシル、場合により置換されるアルキルまたはアルケニルを表し;R8は、特に水素、アルキルまたはベンジルを表す)の新規化合物、あらゆる異性体の形態である前述の化合物、ならびにそれらの塩に関する。
【化1】


【化2】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規なアシルヒドラジノチオフェン誘導体、それらの製法、得られた新規な中間体、医薬品としてのそれらの使用、それらを含有する医薬組成物、およびかかるアシルヒドラジノチオフェン誘導体の新規な使用に関する。
【背景技術】
【0002】
従って本発明の1つの主題は、代謝酵素に対する阻害特性を有する新規なアシルヒドラジノチオフェン誘導体である。かかる代謝酵素は、特にキナーゼまたはプロテアーゼ、および特にシステインプロテアーゼもしくはセリンプロテアーゼである。
【0003】
甲殻類のシステインプロテアーゼが脊椎動物において、ホルモンのカルシトニンの作用と同一の生物学的作用を誘発することがこれまでに見出されていることを想起し得る。このことは、これらの酵素およびこのホルモンの共通の進化を示唆する:この発見は、軟骨および骨の代謝の疾患ならびに特に骨粗鬆症およびパジェット病の新規な治療の開発の基盤である。
【0004】
代謝酵素、例えばプロテアーゼまたはキナーゼは、動物界において広く分布する酵素である。例として網羅的ではないが、言及し得る参考文献はプロテアーゼに関しては以下の文献:“Methods in Enzymology XLII (1975)”および“Journal of Medicinal Chemistry” vol. 43 No 3(D. Leung, G. Abbenante and D.P. Fairlie)、そしてキナーゼに関しては以下の文献:“Methods in Enzymology”, Vol 80(1981) (Academic Press Inc.)がある。
【0005】
ポリペプチド結合の加水分解を選択的に触媒できるプロテアーゼの中では、4つの主な種類を言及し得る:アスパラギン酸プロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、メタロプロテアーゼおよびシステインプロテアーゼ。
【0006】
システインプロテアーゼは、活性部位にチオール基を有するプロテアーゼの群である。かかるプロテアーゼは細菌、ウイルス、真核微生物、植物および動物において存在する。かかるシステインプロテアーゼは極めて数が多く、そして網羅的ではないが次に挙げるものがある。システインプロテアーゼの例としては、例えばパパイン、フィシン、アレウレイン、オリザインおよびアクチニジンといった植物由来のシステインプロテアーゼ;例えばカテプシンB、H、J、L、N、S、T、C、V、W、KまたはO、およびO2、インターロイキン変換酵素(ICE)、カルパインIおよびII、ならびにブレオマイシン加水分解酵素といった哺乳類由来のシステインプロテアーゼ;ピコルニアン2Aおよび3C、アフタウイルス、カルジオウイルス、コモウイルス、ポチウイルスIおよびII、アデノウイルスならびにトガウイルスエンドペプチダーゼ、または他にはポリオもしくはライノウイルスシステインプロテアーゼといったウイルスのシステインプロテアーゼである。システインプロテアーゼはまた、或る種の寄生生物の生存に不可欠であることが知られている。
【0007】
特に言及され得るシステインプロテアーゼとしては、カテプシンおよび特にカテプシンK、B、LおよびS、ならびにパパインがある。
【0008】
その教示が本特許出願の一部を構成する文献として、以下の文献を言及し得る:WO98/48799、WO96/40737およびまたRawlings他, Biochem. J. 290: 205-218 1993。
【0009】
かかるキナーゼまたはプロテアーゼの酵素は、異化ならびに細胞間および細胞内の伝達の過程に関与する:それらは種々の分野の多数の疾患、例えば特に心血管の分野、腫瘍、中枢神経系、炎症、骨の障害、歯周の病訴およびまた寄生虫性、真菌性またはウイルス性の感染症において重要な役割を果たす。このことがこれらのタンパク質が薬学的研究において多大な関心の的であることの理由である。
【0010】
従ってかかるプロテアーゼの阻害剤は、多数および種々の治療分野において有効であり得る。
【0011】
従って本発明の化合物は、かかる代謝酵素が関与する疾患、例えば或る種の心血管疾患、中枢神経系疾患、炎症性疾患、骨粗鬆症、変形性関節症または歯肉炎のような骨疾患、感染症、特にそれらの治療に抗感染症剤を必要とする感染症、または或る種の癌の予防または治療において特に有効であり得る。
【0012】
従って本発明のかかる化合物は、下記の定義の通りである、かかるプロテアーゼが関与する疾患、そして特に骨または軟骨の実質的な減少に関連する疾患の治療に特に使用し得る。
【0013】
骨組織は、恒久的に続けられる再構築される部位であり、再構築はリン酸カルシウムのホメオスタシスを確実にし、そして骨の物理学的特質を維持する。骨の特性が何であれ(長い、短い、平坦等)この再構築は4つの連続した段階の順序に従って行われる:
1.活性化:ホルモンまたは物理的なシグナルによる、前破骨細胞の分化を含む;
2.骨吸収:成熟した破骨細胞によって行われる。これらの細胞の骨基質への付着で始まり、先端の膜のシーリングゾーンへの器質化を生じる。シーリングゾーンはミクロ環境(ハウシップ窩)の範囲を定めるもので、その中には該細胞によって生産されたプロトンが放出され、これは骨の無機成分の脱石質化(demineralization)を担う。そしてまたタンパク分解酵素が膜を横断して放出され、該酵素は基質タンパク質の分解を担う;
3.転位:破骨細胞の剥離を特徴とし、破骨細胞は骨芽細胞で置き替えられる;
4.再構成:基質(類骨)の再生組織形成および石質化(mineralization)が、骨芽細胞によって行われる。
【0014】
正常なヒトの成人における再構築の周期の期間は、約3か月である。
【0015】
いくつかのタンパク分解酵素は基質タンパク質の分解に関与する。これは特にカテプシンK、B、LおよびSならびにまた或る種のメタロプロテアーゼについてそうである。
【0016】
該カテプシンはリソソームタンパク質であると定義され、その大半は「パパイン様」酵素である。システインカテプシンをコード化するヒトゲノムのいくつかの配列は、現在までに同定されている(例:B、H、L、S、C、K、O、F、V、X、W)。これらの酵素はすべて、これらの触媒部位にシステイン−ヒスチジン−アスパラギンの組合せを有し、酵素活性に必要とされるチオレート−イミダゾリウムの組合せを形成する。それらは種々の基質、例えばペプチド、アミド、エステル、チオールエステルおよびチオノエステルを加水分解することができる。
【0017】
システインカテプシンの系統群は、いくつかの生理学的過程に関与する種々のタンパク分解酵素を含み、そして従って種々の症状において重要な役割を果たし得る。
【0018】
カテプシンK(以前はOまたはO2として知られていた)は、ウサギcDNAライブラリーから同定された後、ヒト卵巣および破骨細胞〔成熟した接着細胞中(Tezuka K, Tezu
ka Y, Maejima S: J. Biol. Chem. (1994)269: 1106-1109〕で見出された。それは前述の細胞において優勢に発現し(Broemme D, Okamoto K, Wang B, Biroc S: J. Biol. Chem. (1996) 271: 2126-2132)、そしてそれはその本来の基質が天然コラーゲンである少数のプロテアーゼの1つであるために、そして従ってその局在化に関してはこの過程における重要なプロテアーゼであると考えられる(Yamaza T, Goto T, Kamiya T, Kobayashi Y, Sakai H, Tanaka T: Bone (1998) 23: 499-509)。天然コラーゲンは、骨基質のタンパク質の90%を構成し(Garnero P, Borel O, Byrjalsen I, Ferreras M, Drake FH, McQueney MS, Foged NT, Delmas P, Delaisse JM: J. Biol. Chem. (1998) 273: 32347-32352);残りの10%は、場合によってはカテプシンKの基質(オステオポンチン、トロンボスポンジン、フィブロネクチンおよびビトロネクチン)でありそして場合によってはタンパク分解活性の制御因子(プロテオグリカン)である、多数の非コラーゲンタンパクから構成される。
【0019】
カテプシンKをコード化する遺伝子のための遺伝子導入マウス、KOは、骨質量の増加および質の劣る厚い骨を含む、大理石骨病の表現型を有する。このモデルでは、骨吸収はほとんどない。脱石質化のみが残存する。この表現型は、不活性型カテプシンKの生成により生じる遺伝子病である、濃化異骨症(トゥルーズ−ロートレック病)に罹患した患者の表現型と似ており、不活性型カテプシンKは、顔の形成不全および、重篤な骨硬化を伴う長骨の成長の早期停止の原因となる(Saftig P, Hunziker E, Wehmeyer O, Jones S, Boyde A, Rommerskirch W, Moritz JD, Schu P, Von Figura K: Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1998) 95: 13453-13458)。
【0020】
カテプシンKアンチセンスオリゴヌクレオチド(S−ODN)の使用は、インビトロのピット形成試験において、破骨細胞が中介する骨吸収の阻害を可能にしている(Inuit FW, J. Biol. Chem (1997) 272: 8109-8112)。
【0021】
骨吸収の過程におけるカテプシンKの関与によって、この酵素は症状、例えば、吸収が優勢である骨の代謝回転の不均衡によって生じる骨粗鬆症を治療するための有利な標的となるものでこの標的は、酵素活性を阻害する新規な分子についてのものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
従って本発明は、システインプロテアーゼ、より特にはカテプシンBおよびKの群、そしてとりわけカテプシンKの群の阻害剤である新規なアシルヒドラジノチオフェン誘導体に関する。
【課題を解決するための手段】
【0023】
従って本発明の1つの主題は、式(I)
【化1】

(式中:
R1は、8個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基またはアルコキシ基であって、単環式基か、14環員までの飽和または不飽和の、縮合環式の炭素環式基であるか、またはO、N、NHまたはSである1個または2個以上の同一または異なった複素原子を含む複素環式基で置換され、そしてこの単環式基であるか縮合環式基はそれ自体
場合によって以下に示す通りに置換されるものであるか、またはそれ自体が基−C(O)−O−R7または−C(O)−R7で場合により置換されるアミノ基、のいずれかで置換される基を表し、
【0024】
R2は、
a)8個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基であって、場合により、基−NH−C(O)−O−R7、基−NH−C(O)−alk−NH−C(O)−O−R7、単環式基か、14環員までの飽和または不飽和の、縮合環式の炭素環式基であるか、またはO、N、NHまたはSである1個または2個以上の同一または異なった複素原子を含む複素環式基で置換され、そしてこの単環式基であるか縮合環式基はそれ自体場合によって以下に示す通りに置換されるもの、
b)フェニル基であって、場合により6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシ基で置換されたもの、またはアリールアルコキシ基であって、これらのアルコキシ基およびアリールアルコキシ基自体は場合によって以下に示す通りに置換されるもの、
c)ナフチル基であって、場合により以下に示す通りに置換されるもの、
d)アミノ基であって、場合により6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基、基−C(O)−alk−NH−C(O)−O−R7およびアリールアルキル基から選ばれる1個または2個の同一または異なった基で置換されるもので、これらの基自体は場合によってアルコキシフェノキシ基(ここで直鎖または分枝鎖のアルコキシ基は6個までの炭素原子を有する)で置換され、これらアルキル、アリールアルキル、アルコキシおよびアルコキシフェニル基自体は場合によって以下に示す通りに置換されるもの、
【0025】
e)>=N−O−R8
を表し、
R3およびR4は、同一または異なり、水素原子、またはアルキル、アリールアルキルもしくはアリール基(ここで、アルキル基は6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖であり、アリール基は10個までの炭素原子を有する)を表し、これらのアルキル、アリールアルキルおよびアリール基は場合によりハロゲン原子、ヒドロキシル基、または4個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキルもしくはアルコキシ基で置換され、
R5およびR6は、同一または異なり、水素原子、ヒドロキシル基、および6個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキルもしくはアルコキシ基から選ばれ、これらアルキルおよびアルコキシ基自体は場合によって以下に示す通りに置換されるものであり、
R7は、6個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキルであって、場合により置換されたアリールまたはヘテロアリール(インダゾリル基)で場合により置換されたものを表し、
【0026】
R8は、水素原子または、場合によりアリール(フェニル)基で置換された6個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキルを表し、場合により置換されるものであると上述で示したすべての、アルキルおよびアルコキシ基、単環式基、縮合環式基、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、アリールアルコキシおよびアルコキシフェノキシ基は、場合により、ハロゲン原子;ヒドロキシ基;6個までの炭素原子を有するアルキル、アルケニル,アルキルチオ、またはアルコキシ;6環員までのシクロアルキル;7個までの炭素原子を有するアシル;シアノ;ニトロ;遊離型か、塩型かまたはエステル型のカルボキシル;テトララゾリル;インダゾリル;−NH2、−NH(alk)または−N(alk)(alk);−SO2−NH−CO−NHR5(ここでR5はalkまたはフェニルを表す);−C(O)−NH2、−C(O)−NH(alk)、−C(O)−N(alk)(alk)、 −NH−C(O)−(alk)、−NH(alk)−C(O)−(alk);および4個までの炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシ基で場合により置換されたフェニルから選ばれる1個またはそれ以上の基で置換されるものと理解され、alkは4個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキルを表すものと理解されるものとする)
の化合物であって、この式(I)の化合物のすべての可能なラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体の形態のもの、ならびに上記化合物(I)と無機または有機の酸との、または無機塩基または有機塩基との付加塩である。
【0027】
式(I)の化合物において、そして以下の文章において:
−「直鎖または分枝鎖のアルキル基」という語は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二級ブチル、第三級ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルおよびイソヘキシル基、ならびにまたヘプチル、オクチル、ノニルおよびデシル基、ならびにまたそれらの直鎖または分枝鎖の位置異性体を意味し、
−「直鎖または分枝鎖のアルコキシ基」という語は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、第一級、第二級または第三級ブトキシ、ペントキシまたはヘキソキシ、およびまたそれらの直鎖または分枝鎖の位置異性体を意味し、
−「ハロゲン原子」という語は、塩素、臭素、ヨウ素またはフッ素原子、そして好ましくは塩素、臭素またはフッ素原子を意味し、
−「炭素環式基であるか、または複素、単環式基であるか、または14個までの環員のO、N、NHおよびSから選ばれる1つまたはそれ以上の同一または異なる複素原子を含有する、飽和または不飽和の縮合環から成る基」という語は、以下の定義を含む:
−「飽和炭素環式の基」という語は、特にシクロアルキル基を意味し、
−「シクロアルキル基」という語は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル基、殊にシクロペンチルおよびシクロヘキシル基を意味し、
【0028】
−「単環式複素環式の基」という語は、1つまたはそれ以上の員環が酸素、硫黄または窒素原子を表すといった、特に5または6員環である、飽和または不飽和の基を表し:
従って、かかる複素環式の基は、酸素、窒素および硫黄の原子から選ばれる1つまたはそれ以上のヘテロ原子が割り込んだ炭素環式の基を意味し、該複素環式の基は酸素、窒素または硫黄の原子から選ばれる1つまたはそれ以上のヘテロ原子を有し得るしそしてこれらの複素環式の基が2つ以上のヘテロ原子を有する場合にはこれらの複素環式の基のへテロ原子は同一または異なるものであり得ると理解される。以下の基を特に言及し得る:ジオキソラン、ジオキサン、ジチオラン、チオオキソラン、チオオキサン、モルホリニル、ピペラジニル、4個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基で置換されたピペラジニル、ピペリジル、チエニル例えば2−チエニルおよび3−チエニル、フリル例えば2−フリル、ピリミジニル、ピリジル例えば2−ピリジル、3−ピリジルおよび4−ピリジル、ピリミジル、ピラゾリニル、ピロリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ジアゾリル、チアジアゾリル、遊離型または塩形成したトリアゾリル、チアトリアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、3−または4−イソオキサゾリル。殊に以下の基を挙げることができる:モルホリニル、チエニル例えば2−チエニルおよび3−チエニル、フリル例えば2−フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、テトラヒドロチエニル、ピロリル、ピロリニル、ピラゾリニル、イソオキサゾリル、ピリジルならびにピロリジニル基、
【0029】
−「縮合環から成る複素環式の基」という語は、1つまたはそれ以上の員環が酸素、硫黄または窒素の原子を表すといった、14員環までの飽和または不飽和の基、そして特に硫黄、窒素および酸素から選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を有する縮合した複素環式の基、例えば3−ベンゾチエニルのようなベンゾチエニル、ベンゾチアゾリル、キノリル、イソキノリル、テトラロン、ベンゾフリル、ベンゾピロリル、ベンゾイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、チオナフチル、インドリルまたはプリニルを意味し、
−「アリール」という語は、単環式の基または上述の定義の通りである不飽和の炭素環式の縮合環から成る基を意味し、そしてまた特にフェニルおよびナフチル基、特にフェニ
ル基を意味し、
−「ヘテロアリール」という語は、単環式の基または上述の定義の通りである不飽和の複素環式の縮合環から成る基を意味し、そして例えば特にインダゾリル、チエニル、ベンゾチエニル、フリル、ピラニル、イソベンゾフリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリルおよびその窒素原子の位置異性体、インダゾリル、キノリルおよびその窒素原子の位置異性体、キナゾリニルおよびその2つの窒素原子の位置異性体、イソチアゾリル、イソオキサゾリルならびにフラザニル基を意味し、
【0030】
−「アリールアルコキシ」という語は、基中で、アリールおよびアルコキシは、上述で与えられた定義を有するものを意味し、そして特にフェニルアルコキシ基(式中、アルコキシは、4個までの炭素原子を有する)を表し、
−「アルコキシフェノキシ」という語は、基中で、アルコキシは、上述で与えられた定義を有し、そして特に4個までの炭素原子を有するアルコキシを表すものを意味し、
−「アリールアルキル」という語は、基中で、アリールおよびアルキルは、上述で与えられた定義を有するものを意味し、そして特にフェニールアルキル基中で、アルキルは、4個までの炭素原子を有するものを表し、
−「アルキルフェニル」という語は、上述の定義の通りである1つまたはそれ以上の直鎖または分枝鎖の、好ましくは4個までの炭素原子を有する、アルキル基で置換されたフェニル基を意味し、
−「NH(alk)」および「N(alk)(alk)」という語は、それぞれ1つまたは2つのアルキル基で置換されたアミノ基を意味し、かかるアルキルまたはalk基は直鎖または分枝鎖であり、そして好ましくは4個までの炭素原子を有し、
−「アシルアミノ」という語は、基−C(O)−NH2、−C(O)−NH(alk)および−C(O)−N(alk)(alk)を意味し:これらの基において、そしてまた基NH−C(O)−(alk)、−N(alk)−C(O)−(alk)−および−C(O)−alk−NH−C(O)−O−R7において、alk、NH(alk)およびN(alk)(alk)という語は上述で与えられた意味を有し、
【0031】
−「アシル」という語は、基R−C(O)−(式中、Rは、水素原子、6個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、フェニル基またはピロリジニル基から選ばれる基を表す)を意味し:従って「アシル」という語は、特にホルミル、ならびにアセチル、プロピオニル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ベンゾイルおよびピロリジニルカルボニル基を意味し、
−「アルケニル」という語は、6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の基を意味し:ビニル、1−プロペニル、アリル、ブテニルおよび3−メチル−2−ブテニル基を殊に挙げ得るものであり、
−「アルキルチオ」という語は、6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の基、特に例えばメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、第二級ブチルチオ、第三級ブチルチオ、ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ヘキシルチオまたはイソヘキシルチオ基、およびまたそれらの直鎖または分枝鎖の位置異性体を意味し:これらのアルキルチオ基について、上述したものの中では、4個までの炭素原子を有する基が好ましくは選ばれ、
−「アミノ酸」という語は、熟練した当業者に既知の「天然」アミノ酸または「合成」アミノ酸を意味し、該アミノ酸は一般的な文献、例えば文献Acids' (1999), 16 (3-4), 345-379において見出され得る。
【0032】
式(I)の化合物のカルボキシル基は、熟練した当業者に既知の種々の基で塩形成またはエステル化され得る。該基としては、例えば以下のものを挙げ得る:
−塩形成化合物としては、無機塩基、例えば1当量のナトリウム、カリウム、リチウム
、カルシウム、マグネシウムもしくはアンモニウム、または有機塩基、例えばメチルアミン、プロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、エタノールアミン、ピリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミン、モルホリン、ベンジルアミン、プロカイン、リシン、アルギニン、ヒスチジンもしくはN−メチルグルカミン、
−エステル形成化合物としては、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、第三級ブトキシカルボニルまたはベンジルオキシカルボニルのようなアルコキシカルボニルを形成するアルキル基があり、これらのアルキル基は、クロロメチル、ヒドロキシプロピル、メトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、メチルチオメチル、ジメチルアミノエチル、ベンジルまたはフェネチル基におけるように、例えばハロゲン原子およびヒドロキシル、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アルキルチオ、アミノまたはアリール基から選ばれる基で置換され得る。
【0033】
式(I)の化合物の無機または有機の酸を用いた付加塩は、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、プロピオン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、グリオキシル酸、アスパラギン酸またはアスコルビン酸、アルキルモノスルホン酸、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸もしくはプロパンスルホン酸、アルキルジスルホン酸、例えばメタンジスルホン酸もしくはα,β−エタンジスルホン酸、アリールモノスルホン酸、例えばベンゼンスルホン酸、およびアリールジスルホン酸を用いて形成した塩であり得る。
【0034】
立体異性は、同一の構造式を有する化合物の異性体形であるといったその広範な意味で定義され得るが、式中の種々の基は空間において、例えば特に、置換基がアキシアルまたはエクアトリアル位にあり得る一置換体のシクロヘキサンにおいて、およびエタン誘導体の種々の可能な回転性立体配座において、異なって配列されると想定され得る。一方、二重結合または環のいずれかにおける固定した置換基の異なる立体配置のために、別の種類の立体異性が存在し、それは幾何異性またはシス−トランス異性と呼ばれることが多い。本特許出願において「立体異性体」という語は、その最も広範な意味で使用し、そして従って上述で示したすべての化合物に関わるものである。
【0035】
R1が、それ自体が場合により置換されたアミノで置換されたアルキルを表す場合には、R1は特に、場合により置換された脱カルボキシル化アミノ酸残基を、そしてより具体的には、場合により置換された脱カルボキシル化Leu残基を表すと指摘し得る。
【0036】
従って本発明の1つの主題は、式(Ia)
【化2】

(式中:
R1aは、8個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基またはアルコキシ基であって、フェニル基か、14環員までの飽和または不飽和の、炭素環式の縮合環式基およびそれ自体基−C(O)−O−R7aまたは−C(O)−R7aで場合により置換されるアミノ基からなる基で置換されるもので、このフェニル基および飽和または不飽和の、炭素環式の縮合環式基は場合によって以下に示す通りに置換されるものであり、
【0037】
R2aは、
a)6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基であって、基NH−C(O)−O−R7aおよび基−NH−C(O)−alk−NH−C(O)−O−R7から選ばれる1個またはそれ以上の基、フェニル基、並びに10環員までの飽和または不飽和の複素環式基で、場合により置換されるもの、
b)フェニル基であって、6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシ基、またはベンジルオキシ基で場合により置換されるもの、
c)ナフチル基、
d)アミノ基であって、場合により4個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基、基−C(O)−alk−NH−C(O)−O−R7aおよびベンジル基から選ばれる1個または2個の同一または異なった基で置換されるもので、これらの基自体は場合によってアルコキシフェノキシ基(ここで直鎖または分枝鎖のアルコキシ基は4個までの炭素原子を有する)で置換されるもの、
e)>=N−O−R8a
を表し、
【0038】
R3aおよびR4aは、同一または異なり、水素原子、6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基であるかまたは、場合によりヒドロキシル基か4個までの炭素原子を有するアルコキシ基で置換されたフェニル基であり、
R5aおよびR6aは、同一または異なり、水素原子、ヒドロキシル基、および6個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキルもしくはアルコキシ基から選ばれ、場合によってフェニルまたはインダゾリル基で置換されるものであり、
R7aは、4個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキルであって、場合によりフェニル基またはインダゾリル基で置換されたものを表し、
R8aは、水素原子または、場合によりフェニル基で置換された4個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキルを表し、
alkは4個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキルを表すものと理解されるものとする)
の化合物であって、この式(Ia)の化合物のすべての可能なラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体の形態のもの、ならびに上記化合物(Ia)と無機または有機の酸との、または無機塩基または有機塩基との付加塩である。
【0039】
本発明の主題は特に、式(Ib)
【化3】

(式中:
R1bは、6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基またはアルコキシ基であって、フェニル基およびフルオレンから選ばれる基(実施例1および実施例20)で置換されるものであるか、それ自体基−C(O)−O−R7bまたは−C(O)−R7bで場合により置換されるアミノ基からなる基で置換されるものであり、
【0040】
R2bは、
a)6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基であって、場合により、基−NH−C(O)−O−R7bおよび基−NH−C(O)−alk−NH−C(O)−O−R7b、フェニル、ピリジル、ピペリジル、ベンゾフリル、モルフォリニル、キノリル、インドリル、ベンゾイミダゾリル並びにインダゾリルから選ばれる1個またはそれ以上の基で置換されるもの、
b)フェニル基であって、4個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシ基、またはベンジルオキシ基で場合により置換されるもの、
c)ナフチル基、
d)アミノ基であって、4個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基、基−C(O)−alk−NH−C(O)−O−ベンジルおよびベンジル基から選ばれる1個または2個の同一または異なった基で場合により置換されるもので、これらの基自体は場合によってアルコキシフェノキシ基(ここでアルコキシ基は4個までの炭素原子を有する)で置換されるもの、
e)>=N−O−R8a
を表し、
【0041】
R3bおよびR4bは、水素原子を表し、
R5bおよびR6bは、同一または異なり、水素原子、ヒドロキシル基、および4個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキルもしくはアルコキシ基で、場合によってフェニル基で置換されるものであり、
R7bは、4個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキルであって、場合によりフェニル基またはインダゾリルで置換されたものを表し、
R8bは、水素原子または、ベンジル基を表し、
alkは4個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキルを表すものと理解されるものとする)
の化合物であって、この式(Ib)の化合物のすべての可能なラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体の形態のもの、ならびに上記化合物(Ib)と無機または有機の酸との、または無機塩基または有機塩基との付加塩である。
【0042】
本発明の主題は特に、上述の定義の通りである式(I)、(Ia)および(Ib)(式中、R3、R3a、R4、R4a、R5、R5a、R5b、R6、R6aおよびR6bは、水素原子を表す)の化合物、
あらゆる可能なラセミ体、鏡像体またはジアステレオ異性体の形態である式(I)、(Ia)および(Ib)の前述の化合物、ならびにまた、無機および有機の酸と、または無機および有機の塩基と式(I)、(Ia)および(Ib)の前述の化合物と付加塩である。
【0043】
本発明の主題はさらにより特には、以下の式:
−5−[(2S)−1−[[4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)−カルボニル]アミノ]ペンチル]アミノ]エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド、
−5−[1−(ヒドロキシイミノ)エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[[(9H−フルオレン−9−イル)メトキシ]カルボニル]ヒドラジド、
−5−[2−(フェニルメトキシ)フェニル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)−カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド、
−5−[[[3−(4−メトキシフェノキシ)フェニル]メチル](フェニルメチル)アミノ]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド、
−5−[1−[(フェニルメトキシ)イミノ]エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[
(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペ
ンチル]ヒドラジド、
−5−[1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[[(9H−フルオレン−9−イル)メトキシ]カルボニル]ヒドラジド、
−5−[1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド、
−5−[3−メチル−1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ブチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド、
−5−[3−メチル−1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ブチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド異性体A、
−5−[3−メチル−1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ブチル]−2−チオフェンカルボン酸[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド異性体B、
に相当する、上述の定義の通りである式(I)の化合物である。
【0044】
本発明の主題はまた、上述の定義の通りである式(I)の化合物を製造する方法であって、使用する出発物質は式(II)
【化4】

(式中、Wは、水素原子、ハロゲン原子またはニトロ基を表し、R5′およびR6′は、R5およびR6に対して上述で与えられた意味をそれぞれ有し、場合によって存在する反応性官能基は場合により保護基で保護されている)の化合物であって、
【0045】
Wの意味に応じて、式(II)の化合物を以下の反応に付するものとする:
a)Wが水素原子を表す場合には、式(II)の化合物を経路i)またはii)の反応に付す:
経路i)式(II)(式中、Wは水素原子を表す)の化合物を、式(III)
R2′−Br (III)
(式中、R2′は、R2に対して上述で与えられた意味を有し、場合によって存在する反応性官能基は場合により保護基で保護されている)のブロモ誘導体との反応に付して、
【0046】
式(IV)
【化5】

(式中、R2′、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とし、
【0047】
R2′が−CH2−フェニル基を表す場合には、式(IV1)
【化6】

(式中、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とし、
【0048】
この化合物を、式(III)の化合物を用いる第2の反応に付して、式(IV2)
【化7】

(式中、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とし、
【0049】
この式(IV)、(IV1)および(IV2)の化合物をエステル化反応に付して、式(V)、(V1)および(V2)
【化8】

(式中、R2′、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有し、そしてalkは、4個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基を表す)の相当する化合物とする、
【0050】
経路ii)式(II)(式中、Wは水素原子を表す)の化合物を、式(VI)
Rc−OH (VI)
(式中、Rcは、6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基を表す)のアルコールを用いるエステル化反応に付し、
【0051】
式(VII)
【化9】

(式中、Rc、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とし、
【0052】
この式(VII)の化合物を式(VIII)
Rd−CHO (VIII)
(式中、Rdは、水素原子、上述の定義の通りであるアルキル基、または単環式の基または飽和もしくは不飽和の炭素環式もしくは複素環式の14員環までの縮合環から成り、1つもしくはそれ以上の同一もしくは異なるヘテロ原子O、N、NHもしくはSを有する基であってそれら自体が場合により置換される基を表す)のアルデヒドとの反応に付して、
【0053】
式(IX)
【化10】

(式中、Rc、Rd、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とし、
【0054】
この式(IX)の化合物を式(X)
H2N−CH2−ORe (X)
(式中、Reは、場合により置換されたアリールアルキル基を表す)のアミンと反応させて、
【0055】
式(XI)
【化11】

(式中、Rc、Rd、Re、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とし、
【0056】
この式(XI)の化合物を選択的還元反応に供して、式(XII)
【化12】

(式中、Rd、Re、Rf、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とし、
【0057】
この式(XI)および(XII)の化合物を還元反応に付して、式(XIII)
【化13】

(式中、Rd、Rf、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の相当する化合物とし、
【0058】
この式(XIII)の化合物をけん化反応に付して、式(XIV)
【化14】

(式中、Rd、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の相当する化合物とし、
【0059】
この式(XIV)の化合物を式(XV)
【化15】

(式中、R1′は、上述で与えられた意味を有し、場合によって存在する反応性官能基は場合により保護基で保護されている)の化合物と反応させて、
【0060】
式(I′x)
【化16】

(式中、R1′、Rd、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有し、そしてRhは、上述の定義の通りであるR7を有する−C(O)−O−R7または−C(O)−alk
−NH−C(O)−O−R7を表す)の化合物とするか、
【0061】
b)Wがハロゲン原子を表す場合には、式(II)の化合物を、上述の定義の通りである式(VI)のアルコールを用いたエステル化反応に付して、式(XVI)
【化17】

(式中、Rc、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有し、そしてHalはハロゲン原子を表す)の化合物とし、
【0062】
この式(XVI)の化合物を、式(XVII)
R2′−B(OH)2 (XVII)
(式中、R2′は、上述で与えられた意味を有する)のホウ素誘導体と反応に付して、式(XVIII)
【化18】

(式中、Rc、R2′、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とするか、
【0063】
または、式(XVI)の化合物を、式(XIX)
NH−RaRb (XIX)
(式中、RaおよびRbは、同一または異なり得るものであって、上述の定義の通り場合により置換されているアルキルまたはアリール基を表す)の化合物の反応に付して、
式(XX)
【化19】

(式中、Rc、Ra、Rb、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とする、
【0064】
c)Wがニトロ基を表す場合には、式(II)の化合物を、上述の定義の通りである式(VI)のアルコールを用いたエステル化反応に付して、式(XXI)
【化20】

(式中、Rc、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とし、
【0065】
この式(XXI)の化合物を式(XXII)
RaRbHal (XXII)
(式中、RaおよびRbは、上述で与えられた意味を有し、そしてHalはハロゲン原子を表す)のハロゲン誘導体を用いた反応に付して、
上述の定義の通りである式(XX)の化合物とし、
【0066】
上述の定義の通りである式(IV)、(IV1)、(IV2)、(V)、(V1)、(V2)、(スキームI)(XVIII)および(XX)の化合物を、ジアミンNH2−NH2と反応させて、式(XXIII)
【化21】

(式中、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有し、そしてR2wは、−CH2−フェニル、−(CH)フェニル−CH2(フェニル)、上述の定義の通りであるR2′またはNRaRbを表す)の化合物とし、
【0067】
この式(XXIII)の化合物を式(XXIV)
R1′−COOH (XXIV)
(式中、R1′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物を用いた反応に付して、
式(I′y)
【化22】

(式中、R1′、R2w、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とするものであって、
【0068】
この式(Ix′)および(Iy′)の化合物は、式(I)の化合物であり得るもので、そして式(I)の化合物または他の化合物を得るためには、所望する場合および必要な場合には、1つまたはそれ以上の下記の変換反応:
a)酸性官能基のエステル化反応、
b)エステル官能基の酸性官能基へのけん化反応、
c)アルキルチオ基の相当するスルホキシドまたはスルホンへの酸化反応、
d)ケトン官能基のオキシム官能基への変換反応、
e)遊離型またはエステル型のカルボキシル官能基のアルコール官能基への還元反応、
f)アルコキシ官能基のヒドロキシル官能基への、または他にはヒドロキシル官能基の
アルコキシ官能基への変換反応、
g)アルコール官能基のアルデヒド、酸性またはケトン官能基への酸化反応、
h)ニトリル基のテトラゾリルへの変換反応、
i)ボロンでありうる保護反応官能基によって生じた保護基を除去するための反応、
j)無機もしくは有機の酸を用いたまたは塩基を用いて相当する塩を得る塩形成反応、
k)ラセミ型のものを、分割された化合物に分割する反応、
に任意の順序で付し得るものとし、
こうして得た式(I)の前述の化合物は、あらゆる可能なラセミ体、鏡像体またはジアステレオ異性体の形態である、
ことを特徴とする、上記の方法である。
【0069】
以下に、上述の方法に従って式(I)の化合物を合成するための反応スキームを示す。本発明を実行するための好ましい条件下では、上述に記載した方法は以下の様式で実施し得る。
スキームI:
【化23】

【0070】
式(II)(式中、Wは水素原子を表す)の化合物は、溶媒、例えばTHF中で、LDAの存在中で、式(III)のハロゲン誘導体との反応に付されて、式(IV)の化合物とされる。
【0071】
式(III)の化合物はハロゲン誘導体、例えばアルキルHalまたはアリールアルキルHal(式中、Halはハロゲン原子を表し、そしてアリールおよびアルキルは、それぞれ上述の定義の通りであるアリール基およびアルキル基を表す)を表す:従って(III)は、例えばフェニル−CH2−Brまたは臭化イソプロピルのような臭化アルキルを表す。得られた式(IV)の化合物は、式(III)の同一化合物との反応に同一条件下で再び付され得る。
【0072】
従って、(III)がフェニル−CH2−Brを表す場合には、得られた式(IV1)の化
合物は式(III)の同一化合物との反応に同一条件下で再び付され得るもので、そして上述の定義の通りである式(IV2)の化合物はこうして得られる。
【0073】
式(IV1)および(IV2)の化合物は通常の条件下で、例えばH2SO4を触媒としてエタノールもしくはメタノールのようなアルコール中で、または塩化メチレン中でジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)もしくはそれの誘導体またはジアゾメタンを用いたカップリングによって、エステル化反応に付して、上述の定義の通りである式(V)、(V1)および(V2)の相当する化合物は得られる。
【0074】
式(II)(式中、Wは水素原子を表す)の化合物は、溶媒、例えばSOCl2中で、または上述で示した条件下で、式(VI)のアルコール、例えばメタノールまたはエタノールとの反応に付して、上述の定義の通りである式(VII)の化合物を得る。こうして得た式(VII)の化合物は、例えばTHF中で、式(VIII)のアルデヒドと反応させて、上述の定義の通りである式(IX)の化合物を得る。
【0075】
上述の定義の通りである式(VIII)の化合物において、Rdは特に水素原子を表すか、または場合により特にヒドロキシル、フェニルもしくはヒドロキシフェニル基で置換されたアルキルまたはアリール基を表す。
【0076】
式(IX)の化合物と式(X)のアミンとの反応は、ピリジン中またはジクロロメタン中で、トリエチルアミンの存在下に行なわれ、上述の定義の通りである式(XI)の化合物を得る。
【0077】
こうして得た式(XI)の化合物は、DCCまたはそれの誘導体の存在下で、CH2Cl2またはDMF中でカップリング反応に付されて、上述の定義の通りである式(XII)の化合物を得る。
【0078】
式(XI)および(XII)の化合物は、Znの存在下にトリフルオロ酢酸中で還元反応に付されて、上述の定義の通りである式(XIII)の化合物を得る。
【0079】
式(XIII)の化合物は通常の条件下で、例えば、塩基は水酸化リチウム(LiOH)または水酸化ナトリウムであり得る、THF/水/塩基混合物中で、けん化反応に付して、式(XIV)の化合物を得る。
【0080】
式(XIV)の化合物は、DMFの存在下にCH2Cl2中で、カップリング剤、例えばDCCまたはそれの誘導体を用いて、上述の定義の通りである式(V)の化合物と反応させて、上述の定義の通りである式(I′x)の化合物を得る。
【0081】
式(II)(式中、Wはハロゲン原子を表す)の化合物は、上述の定義の通りである式(VI)のアルコールを用いたエステル化反応に付して、例えば、(II)および(VI)からの(VII)の製造の場合と同一の条件下で操作して、式(XVI)の化合物を得る。
【0082】
該ハロゲン原子は好ましくは臭素原子であると指摘し得る。
【0083】
こうして得た式(XVI)の化合物は、例えばトルエン中でPd(P(フェニル)3)4の存在下で、式(XVII)のホウ素誘導体と反応させて、上述の定義の通りである式(XVIII)の化合物を得る。
【0084】
こうして得た式(XVI)の化合物はまた、DMF中で、好ましくは加圧下165℃で、上述の定義の通りである式(XIX)のアミンと反応させて、上述の定義の通りである式(XX)の化合物を得る。
【0085】
式(II)(式中、Wはニトロ基を表す)の化合物は、上述の定義の通りである式(VI)のアルコールを用いたエステル化反応に付して、例えば、(II)および(VI)からの(VII)の製造の場合と同一の条件下で操作して、式(XXI)の化合物を得る。
【0086】
こうして得た式(XXI)の化合物は、DMF中で上述の定義の通りである式(XXII)の化合物と反応させて、上述の定義の通りである式(XX)の化合物を得る。
【0087】
式(IV)、(IV1)、(IV2)、(V)、(V1)、(V2)、(XVIII)または(XX)の化合物は、次いで、溶媒、例えばDMF中で、またはアルコール、例えばエタノール中で、水和物の形態のヒドラジンと反応させて、上述の定義の通りである式(XXIII)の相当する化合物を得る。
【0088】
次いで、こうして得た式(XXIII)の化合物を、例えばジクロロメタンおよびDMF中で、式(XXIV)の酸と反応させ得て、上述の定義の通りである式(Iy′)の化合物を得る。
【0089】
式(XXIV)R1′−COOHの化合物は、場合により置換された、アミノ酸残基、例えばPheまたはLeuを特に表し得る。
【0090】
R1′、R5′、R6′、Rd、RhおよびR2Wの意味によって、こうして得た式(Ix′)および(Iy′)の化合物は式(I)の化合物を構成し得るか、または構成し得ない。
【0091】
式(Ix′)および(Iy′)の化合物は、式(I)(式中、反応性であり得る官能基は保護されている)の化合物を構成し得るし、そして従って、これらの官能基の脱保護後に、上述の定義の通りである式(I)の化合物を得る。
【0092】
式(Ix′)および(Iy′)の化合物はまた、前述しそして後で詳述する、1つまたはそれ以上の反応a)からk)に付することによって、式(I)の化合物を与え得るか、または式(I)の他の化合物に変換し得る。
【0093】
従って、上述で定義した反応のいくつかの化合物が担持し得る種々の反応性官能基は、もし必要ならば保護され得るが、それらの基は例えばヒドロキシル、アシル、遊離型のカルボキシルまたはアミノ、およびモノアルキルアミノ基であり、該基は適当な保護基で保護され得る。
【0094】
網羅的ではないが、反応性官能基の保護の例として以下のリストを言及し得る:
−ヒドロキシル基は例えば第三級ブチルのようなアルキル基、トリメチルシリル、第三級ブチルジメチルシリル、メトキシメチル、テトラヒドロピラニル、ベンジルまたはアセチルで保護し得る、
−アミノ基は例えばアセチル、トリチル、ベンジル、第三級ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルもしくはフタルイミド基、またはペプチド化学で既知の他の基で保護し得る、
−アシル基、例えばホルミル基は例えば、ジメチルケタールもしくはジエチルケタールもしくはエチレンジオキシケタール、またはジエチルチオケタール、またはエチレンジチオケタールのような、ケタールまたは環状もしくは非環状チオケタールの形態で保護し得る、
−上述した化合物の酸性官能基は、所望する場合には、例えば塩化メチレン中で、例えば1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸の存在中で、室温で第一級または第二級アミンでアミド化し得る、
−酸性官能基は例えば、ベンジルエステルもしくは第三級ブチルエステル、またはペプチド化学で既知のエステルのような、容易に開裂可能なエステルを用いて形成するエステルの形態で保護し得る。
【0095】
上述の定義の通りである式(IV)および(I′)の化合物に付されうる反応は、所望する場合または必要な場合には、例えば以下に示す通りに実施し得る。
a)上述した化合物は、所望する場合には、可能なカルボキシル官能基において、熟練した当業者に既知の通常の方法に従って実施し得るエステル化反応を行い得る。
b)上述した化合物のエステル官能基の酸性官能基へのなされうる変換反応は、所望する場合には、熟練した当業者に既知の通常の条件下で、特に酸加水分解またはアルカリ加水分解によって、例えば水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムを用いてアルコール性溶媒、例えばメタノール中で、または別法として塩酸もしくは硫酸を用いて実施し得る。
c)上述した化合物の存在しうるアルキルチオ基は、所望する場合には、熟練した当業者に既知の通常の条件下で、例えば過酢酸もしくはメタ−クロロ過安息香酸のような過酸を用いて、または別法としてオゾン、オキソンもしくは過ヨウ素酸ナトリウムを用いて、溶媒、例えば塩化メチレンまたはジオキサン中で、室温で、相当するスルホキシドまたはスルホン官能基に変換し得る。
スルホキシド官能基の生成は、アルキルチオ基を有する化合物および試薬、例えば特に過酸の、等モルの混合物によって促進し得る。
スルホン官能基の生成は、アルキルチオ基を有する化合物および過量の試薬、例えば特に過酸の混合物によって有利に行ない得る。
【0096】
d)ケトン官能基のオキシムへの変換反応は、熟練した当業者に既知の通常の条件下で、例えば特に、エタノールのようなアルコール中で、場合によりO−置換ヒドロキシルアミンの存在中の作用下で、室温でまたは加熱しながら実施し得る。
e)上述した化合物の存在しうる遊離型またはエステル型のカルボキシル官能基は、所望する場合には、熟練した当業者に既知の方法を介してアルコール官能基に還元し得る:存在しうるエステル型のカルボキシル官能基は、所望する場合には、熟練した当業者に既知の方法を介して、そして特に溶媒、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサンまたはジエチルエーテル中で、水素化アルミニウムリチウムを用いてアルコール官能基に還元し得る。上述した化合物の存在しうる遊離型のカルボキシル官能基は、所望する場合には、特に水素化ホウ素を用いてアルコール官能基に還元し得る。
f)上述した化合物の存在しうるアルコキシ官能基、例えば特にメトキシは、所望する場合には、熟練した当業者に既知の通常の条件下で、そして特に後述の実施例の箇所に記載した条件下で、ヒドロキシル官能基に変換し得る。
【0097】
g)上述した化合物の存在しうるアルコール官能基は、所望する場合には、熟練した当業者に既知の通常の条件下で酸化によって、例えば酸化マンガンの作用を介してアルデヒドとするか、またはジョーンズ試薬の作用を介して酸とする、アルデヒドまたは酸性官能基に変換し得る。
h)上述した化合物の存在しうるニトリル官能基は、所望する場合には、熟練した当業者に既知の通常の条件下で、例えばニトリル官能基におけるアジ化ナトリウムまたはアジ化トリアルキルスズのような金属アジドの付加環化によって、以下のような関連文献:J.
Organometallic Chemistry, 33, 337 (1971) Kozima S. 他、に記載した方法に示されたように、テトラゾリルに変換し得る。
カルバメートの尿素への、および特にスルホニルカルバメートのスルホニル尿素への変換反応は、例えばトルエンのような溶媒の還流温度で、妥当なアミンの存在中で実施し得ると指摘し得る。上述に記載した該反応は指示した通りに、または妥当な場合には、熟練した当業者に既知である他の通常の方法に従って実施し得ると理解される。
【0098】
i)保護基、例えば上述した該基の除去は、熟練した当業者に既知の通常の条件下で、特に酸、例えば塩酸、ベンゼンスルホン酸もしくはパラ−トルエンスルホン酸、ギ酸もしくはトリフルオロ酢酸を用いて実施する酸加水分解を介して、または別法として接触水素添加によって実施し得る。
フタルイミド基はヒドラジンで除去し得る。用い得る種々の保護基の一覧表は、例えば特許出願BF2 499 995に見出し得る。
j)上述した化合物は、所望する場合には、例えば無機もしくは有機の酸を用いて、または無機もしくは有機の塩基を用いて、熟練した当業者に既知の通常の方法に従って塩形成反応を行い得る。
k)上述した化合物の存在しうる光学活性型は、熟練した当業者に既知の通常の方法に従って、ラセミ混合物を分割することによって製造し得る。
【0099】
前述で定義したかかる反応の例は、後述する実施例の製法において示される。
【0100】
上述の定義の通りである式(I)の化合物、およびまた酸を用いたそれの付加塩は、有利な薬理学的特性を有する。
【0101】
従って本発明の化合物は、上述の定義の通りである1つまたはそれ以上の代謝酵素に対して、そして特に或る種のプロテインキナーゼまたはプロテアーゼに対して阻害特性を備え得る。
【0102】
いくつかのキナーゼ阻害剤が文献に記載されており、例えばブチロラクトン、フラボピリドール、およびオロムシンとして知られる2−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−6−ベンジルアミノ−9−メチルプリンである。
【0103】
いくつかのプロテアーゼ阻害剤もまた、特に“Journal of Medicinal Chemistry", Vol. 43 No 3 (D. Leung, G. Abbenante and D. P. Fairlie)に記載されている。言及し得るトロンビン阻害剤のリストは、網羅的ではないが例えばアルガトロローン、ナプサガトラン、イノガトラン、エフェガトラン、CVS−1123およびメラガトランを含む。
【0104】
同様に言及し得る強力な第Xa因子阻害剤は、DX−9065a、YM−60828およびZK807−191またはFX2212を含む。
【0105】
言及し得るエラスターゼ阻害剤はICI−200800、MR889、L−658、758、MDL101、146およびZD8321、または他には種々の複素環式誘導体、例えばペニシリン、ペネム、β−ラクタム、イソクマリン、ベンズイソチアゾロンおよびアルキルアゼチジノンを含む。
【0106】
言及し得るトリプターゼ阻害剤はAPC−366であり、そして言及し得る「補体転換酵素」阻害剤はセピモスタットメシレート(FUT−187)およびナファモスタットメシレート(FUT175)を含む。
【0107】
同様に言及し得る強力なカテプシンK阻害剤は、Cbz−Leu−Leu−Leu−CHO、1,3−ビス(アシルアミノ)−2−プロパノンまたは1,5−ジアシルカルボヒドラジド誘導体を含み;言及し得るカスパーゼ阻害剤は、5−アミノピリミジン−6−オン誘導体およびフェニルケトメチルエーテルまたはアミノメチレンケトン誘導体を含み;言及し得るカルパイン阻害剤は、ペプチドアルデヒド、例えばCbz−Val−Phe−CHOおよびカルペプチンを含む。
【0108】
上述の定義の通りである本発明の化合物は、キナーゼまたはプロテアーゼに対して、そして特にシステインプロテアーゼに対して阻害特性を有する。従って、上述の定義の通りである本発明の化合物は、特にカテプシンB、H、J、L、N、S、T、C、V、W、KまたはO、O2に対して、そして最も特にはカテプシンKに対して阻害特性を有する。
【0109】
従って本発明の化合物またはその薬学的に許容し得る塩は、キナーゼまたはプロテアーゼ阻害剤、特にシステインプロテアーゼ阻害剤、格別にはカテプシンB、H、J、L、N、S、T、C、V、W、KまたはO、O2阻害剤、そして最も格別にはカテプシンK阻害剤の使用を必要とする疾患の予防または治療に特に有効である。
【0110】
いくつかの数のプロテインキナーゼまたはプロテアーゼのレベル、制御および活性は、種々のヒトの病状において或る役割を果たす。プロテインキナーゼの活性は、膜貫通領域を有するレセプターと、または細胞内タンパク質と特に関連し得る。
【0111】
いくつかのキナーゼまたはプロテアーゼは、細胞分裂周期の現象の開始、展開および終了において或る役割を果たし得るし、そして従って、かかるキナーゼまたはプロテアーゼを阻害する分子は、望ましくない細胞増殖、例えば癌、乾癬、および真菌または寄生生物(動物もしくは原生生物)の成長において観察される細胞増殖の制限に関与するものである:従って、これらのキナーゼまたはプロテアーゼを阻害するかかる分子はまた、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病の制御において関与することも可能である。
【0112】
従って、本発明の式(I)の或る化合物は、抗有糸分裂性の特性を備え得る。
【0113】
上述の定義の通りである式(I)の或る化合物は、キナーゼまたはプロテアーゼの阻害剤と同様に、破骨細胞媒介の骨吸収を阻害する特性を特に有し得る。従ってそれらは、少なくともある程度は骨吸収の好ましくない増大によって生じる疾患、例えば骨粗鬆症の治療的または予防的処置に有効であり得る。従って、本発明の式(I)の或る化合物は例えば、破骨細胞の骨表面への付着を阻害し、そしてそれによって破骨細胞による骨吸収を阻害し得る。
【0114】
治療または予防が式(I)の化合物またはそのプロドラッグの使用を必要とする骨疾患は特に、骨粗鬆症、高カルシウム血症、例えば骨転移によって生じる骨減少症、歯科疾患、例えば歯周炎、副甲状腺機能亢進症、関節リウマチにおける関節周囲のびらん、パジェット病、および固定によって誘発される骨減少症である。加えて、式(I)の化合物は、治療、ステロイドもしくはコルチコステロイドの服用に関連するグルココルチコイド療法、または雄性もしくは雌性ホルモンの欠乏症によって生じる骨疾患の緩和、予防または治療に使用し得る。
【0115】
これらの疾患はすべて、骨形成と骨破壊との間の不適切な均衡に基づく骨の損失を特徴とし、そして骨の損失は、破骨細胞による骨吸収を阻害することによって有利な影響を受け得る。
【0116】
本発明の式(I)の或る化合物は、キナーゼまたはプロテアーゼに対するそれらの特異的な阻害特性に加えて、有利な細胞作用、例えば抗増殖性特性、および特にアポトーシスに対する作用を有し得る。
【0117】
文献、例えばWO97/20842に記載された研究によって、細胞分裂周期とアポトーシスとの間に関連性が存在することが知られている。アポトーシスをもたらす経路の中で、キナーゼまたはプロテアーゼ依存性のものがいくつかある。
【0118】
本発明の化合物は、腫瘍の治療に特に有効である。
【0119】
従って本発明の化合物はまた、一般的に使用する抗癌剤の治療効果を増大し得る。
【0120】
従って本発明の式(I)の化合物は、抗有糸分裂性および抗神経変性特性を最も特に有する。
【0121】
本発明の或る化合物は、血管収縮性および昇圧性作用の阻害剤であり得るし、そして従って抗虚血性作用を生じ得るか、または他には或る種の細胞型、特に平滑筋細胞、線維芽細胞、神経細胞および骨細胞において興奮性作用を抑制し得る。
【0122】
従って本発明に記載の化合物は疾患、例えば増殖性疾患、癌、再狭窄または炎症;アレルギー、心血管疾患または或る種の感染症の治療に使用し得る。
【0123】
本発明の化合物はまた、或る種の胃腸障害または婦人科学的障害の治療に、そして特に子宮に対する弛緩作用のために使用し得る。
【0124】
これらの特性はそれらの治療への適用を正当化し、そして本発明の主題は特に、
医薬品としての、上述の定義の通りである式(I)の化合物、あらゆる可能なラセミ体、鏡像体またはジアステレオ異性体の形態である式(I)の前述の化合物、ならびにまた、無機および有機の酸を用いたまたは無機および有機の塩基を用いた式(I)の前述の化合物の薬学的に許容し得る塩である。
【0125】
従って本発明の主題は特に、医薬品としての、上述の定義の通りである式(I)の化合物、ならびにまた、無機および有機の酸を用いたまたは無機および有機の塩基を用いた式(I)の前述の化合物の薬学的に許容し得る付加塩である。
【0126】
本発明の主題はより特別には、医薬品としての、上述の定義の通りである式(Ia)または(Ib)の化合物、ならびにまた、無機および有機の酸を用いたまたは無機および有機の塩基を用いた式(Ia)または(Ib)の前述の化合物の薬学的に許容し得る付加塩である。
【0127】
本発明の主題は最も特別には、医薬品としての、後述の実施例に記載した化合物、および格別には以下の式に相当する、上述の定義の通りである式(I)の化合物:
−5−[(2S)−1−[[4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)−カルボニル]アミノ]ペンチル]アミノ]エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒ
ドラジド、
−5−[1−(ヒドロキシイミノ)エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[[(9H−フルオレン−9−イル)メトキシ]カルボニル]ヒドラジド、
−5−[2−(フェニルメトキシ)フェニル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)−カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド、
−5−[[[3−(4−メトキシフェノキシ)フェニル]メチル](フェニルメチル)アミノ]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド、
−5−[1−[(フェニルメトキシ)イミノ]エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド、
−5−[1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[[(9H−フルオレン−9−イル)メトキシ]カルボニル]ヒドラジド、
−5−[1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド、
−5−[3−メチル−1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ブチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド、
−5−[3−メチル−1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ブチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド異性体A、
−5−[3−メチル−1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ブチル]−2−チオフェンカルボン酸[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド異性体B、
ならびにまた、無機および有機の酸を用いたまたは無機および有機の塩基を用いた式(I)の前述の化合物の薬学的に許容し得る付加塩である。
【0128】
従って本発明の式(I)の化合物は、1つまたはそれ以上のプロテアーゼまたはキナーゼの作用による症状を引き起こす、望ましくない仕組みを阻害するための医薬品の形態で特に使用し得る:例えば該方法は、かかるプロテアーゼまたはキナーゼの作用の阻害をその治療が必要とする患者に、本発明に記載のかかる医薬品の阻害量を投与することから成り得る。
【0129】
従って本発明の主題である医薬品は、血管運動機能の障害に関連する心血管の病訴、または過食症、心筋梗塞およびその結果、心不全、腎不全、狭心症、高アルドステロン症、高血圧およびその結果の治療および予防、特に心臓および血管の肥大ならびにまた標的器官の線維症の発生における合併症の治療および予防、高血圧症、代謝性、内分泌学および神経学的疾患、内毒素ショック、「クモ膜下」出血、不整脈、喘息、急性腎不全、子癇前症ならびに糖尿病の予防および治療に使用し得る。
【0130】
従って本発明の主題である医薬品は、血管痙攣の治療に、脳出血の後遺症の治療に、または冠動脈痙攣もしくは末梢血管痙攣の治療に使用し得る。これらの医薬品は特に、鬱血性心不全の治療に、血管形成後の再狭窄の予防に、心臓および血管の線維症の予防に、アテローム性動脈硬化症および或る種の型の高血圧症、例えば肺高血圧症の治療に、ならびにまた喘息の治療に使用し得る。
【0131】
本発明の主題を形成するこれらの医薬品はまた、緑内障および種々の種類の内臓痙攣の治療に、ならびにまた神経保護物質として、または血管形成後の再狭窄の予防に使用し得
る。
【0132】
本発明の主題である医薬品は特に、それらの心臓および血管の降圧性および抗線維性作用のために使用し得る。最も特にはそれらは、糖尿病に関連する心血管障害の治療および予防に使用し得る。
【0133】
本発明の主題である医薬品はまた、骨粗鬆症の治療において、および神経細胞保護剤としての適用を見出され得る。
【0134】
本発明の主題である医薬品はまた、記憶および認知の機能障害ならびにまた不安の治療に使用し得る。
【0135】
本発明の主題である医薬品はまた、有糸分裂阻害剤と同様に、癌の化学療法に、または他には乾癬、寄生虫症、例えば原生生物もしくは真菌によって生じるもの、または他にはアルツハイマー病の治療に、または神経細胞アポトーシスの治療に使用し得る。
【0136】
本発明は、上述の定義の通りである少なくとも1つの医薬品を、有効成分として含有する医薬組成物を含む。
【0137】
本発明のかかる医薬組成物はまた、妥当な場合には、他の有糸分裂阻害性医薬品、例えば特にタキソール、シス−プラチン、DNA挿入剤および類似のものに基ずく医薬品の、有効成分を含有し得る。
【0138】
これらの医薬組成物は、経口的、非経口的に、または皮膚および粘膜への局所適用によって、または静脈内もしくは筋肉内注射によって、局所的に投与し得る。
【0139】
これらの組成物は固体または液体であり得るし、そしてヒトの医療において一般的に使用する薬剤の形態、例えば単純なもしくは糖衣の錠剤、丸剤、口中剤、ゼラチンカプセル剤、ドロップ剤、 顆粒剤、注射用製剤、軟膏剤、乳剤またはゲル化剤のいずれかであり得る;それらは通常の方法に従って調製され得る。有効成分はその中に、これらの医薬組成物に通常使用する賦形剤、例えばタルク、アラビアゴム、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、カカオ脂、水性または非水性ビヒクル、動物または植物由来の脂肪性物質、パラフィン誘導体、グリコール、種々の湿潤剤、分散剤または乳剤、および保存剤と共に混和され得る。
【0140】
使用する化合物、治療する個体および当該の症状によって変化する通常の投与量は、例えば成人1日当たり0.05〜5g、そして好ましくは1日当たり0.1〜2gであり得る。
【0141】
本発明の主題は最も特別には、上述の定義の通りである、1つまたはそれ以上の式(I)の化合物をそれらが含有することを特徴とする、上述の定義の通りである医薬組成物である:従ってかかる医薬組成物は、上述の定義の通りである1つまたはそれ以上のキナーゼまたはプロテアーゼ阻害剤をそれらが含有すること、そして上述に示した治療の適用に医薬品としてそれらを用いることを特徴とする。
【0142】
本発明の主題は特に、上述の定義の通りである1つまたはそれ以上の代謝酵素の阻害を必要とする症状を治療または予防する医薬組成物の製造のための、上述の定義の通りである式(I)の化合物の使用である。
【0143】
従って本発明の主題は特に、いくつかの数の代謝酵素のレベル、制御および活性におけ
る異常から生じた疾患を治療する医薬組成物の製造のための、上述の定義の通りである式(I)の化合物の使用である。かかる異常は、本発明が特に関連する或る種のヒトの病状において、或る役割を果たす。
【0144】
従って本発明は特に、本発明の式(I)の化合物の、プロテアーゼまたはキナーゼ阻害剤としての使用に関する。従って本発明は、或る種のかかるプロテアーゼまたはキナーゼの酵素の阻害に関するし、そしてかかるプロテアーゼまたはキナーゼの阻害を指摘される症例において、本発明の化合物の阻害剤としての使用を特許請求する。
【0145】
従って本発明の主題は最も特別には、代謝酵素、例えばプロテアーゼまたはキナーゼの関連する疾患を予防または治療する医薬品の製造のための、上述の定義の通りである式(I)の化合物または式(I)の前述の化合物の薬学的に許容し得る塩の使用である。
【0146】
従って本発明の主題は、システインプロテアーゼ、例えば特にカテプシンB、H、J、L、N、S、T、C、V、W、KもしくはO、O2またはパパインの分泌および/または活性における異常な生理学的作用に関連する疾患を予防または治療するための医薬品を製造するための、上述の定義の通りである式(I)の化合物または式(I)の前述の化合物の薬学的に許容し得る塩の使用である。
【0147】
本発明の主題はより特別には、カテプシンKの分泌および/または活性における異常な生理学的作用に関連する疾患を予防または治療するための医薬品を製造するための、上述の定義の通りである式(I)の化合物または式(I)の前述の化合物の薬学的に許容し得る塩の使用である。
【0148】
本発明の主題は特に、システインプロテアーゼ、カテプシンKの阻害剤としての、上述の定義の通りである式(I)の化合物または式(I)の前述の化合物の薬学的に許容し得る塩の使用である。
【0149】
従って本発明の主題は特に、システインプロテアーゼ、カテプシンKの阻害剤の使用を必要とする疾患を予防または治療するための医薬品を製造するための、上述の定義の通りである式(I)の化合物または式(I)の前述の化合物の薬学的に許容し得る塩の使用である。
【0150】
本発明の主題は特に、軟骨および骨の代謝障害、増殖性疾患、癌、心血管疾患、再狭窄、中枢神経系疾患、免疫系疾患、アレルギー、感染性および炎症性疾患ならびに自己免疫疾患を予防または治療するための医薬品を製造するための、上述の定義の通りである式(I)の化合物または式(I)の前述の化合物の薬学的に許容し得る塩の使用である。
【0151】
従って本発明の主題は最も特別には、高血圧、心不全、血管形成後の再狭窄、血管痙攣、脳出血の後遺症および腎不全を治療する医薬組成物を製造するための、上述の定義の通りである式(I)の化合物の使用である。
【0152】
従って本発明の主題は最も特別には、心筋梗塞を治療するための、血管形成後の再狭窄を予防するための、そして心臓および血管の線維症を予防するための医薬組成物を製造するための、上述の定義の通りである式(I)の化合物の使用である。
【0153】
従って本発明の主題は最も特別には、腎不全を治療する医薬組成物を製造するための、上述の定義の通りである式(I)の化合物の使用である。
【0154】
従って本発明の主題は最も特別には、糖尿病に関連する心血管障害を治療および予防す
る医薬組成物を製造するための、上述の定義の通りである式(I)の化合物の使用である。
【0155】
本発明の主題は特に、癌の化学療法のための、乾癬、寄生虫症、例えば真菌もしくは原生生物によって生じるものを治療するための、アルツハイマー病を治療するための、または神経変性疾患、特に神経細胞アポトーシスを治療するための医薬品を製造するための、上述の定義の通りである式(I)の化合物の使用である。
【0156】
本発明の主題はより特には、予防または治療する疾患が、軟骨および骨の代謝疾患、増殖性疾患、癌、ならびに神経変性疾患、例えばアルツハイマー病から選ばれることを特徴とする、上述の定義の通りである使用である。
【0157】
本発明の主題は最も特別には、予防または治療する疾患が、軟骨および骨の代謝疾患ならびに骨癌から選ばれることを特徴とする、上述の定義の通りである使用である。
【0158】
本発明の主題は特に、予防または治療する疾患が、特に骨粗鬆症、歯肉炎および歯周症を含む歯肉疾患、関節炎、例えば特に変形性関節症および関節リウマチ、パジェット病、高カルシウム血症ならびに骨癌であることを特徴とする、上述の定義の通りである使用である。
【0159】
従って本発明の主題は、予防または治療する疾患が、特に骨粗鬆症であることを特徴とする、上述の定義の通りである使用である。
【0160】
上述の定義の通りである式(I)の化合物の製造は、上述に記載した種々の式の出発化合物、例えば式(II)(式中、Wは、水素原子、ハロゲン原子またはニトロ基を表す)の化合物、式(III)および(IV)のアルコール、式(VIII)のアルデヒド、式(X)のアミン、式(XV)のジアミン(R1′−CO−NR3−NR4−)、式(XVII)のホウ素誘導体(R2′−B−(OH)2)、式(XIX)のジアミン、式(XXII)の試薬および式(XXIV)の酸(R1′−COOH)を含む。
【0161】
かかる出発物質の中で、いくつかは既知であって、そして商業的に入手し得る。或る種の出発物質は、熟練した当業者に既知の通常の方法に従って製造し得る。
【0162】
或る種の出発物質を市販の製品から、例えばそれらを、同様に上述に記載した条件下で実施する、a)からk)において上述に記載した1つまたはそれ以上の反応に付することによって、製造することがまた特に可能である。
【0163】
式(XXIV)の出発物質は天然または合成のアミノ酸であり得るし、商業的に入手可能であり得るか、または熟練した当業者に既知の通常の方法に従って製造し得る。
【0164】
以下のアミノ酸を特に言及し得る:場合により保護された形態である、例えばFmoc、allocまたは第三級ブチル基で保護される、Glu、Gly、Ala、Val、PheまたはTyr。
【0165】
「天然」または「合成」アミノ酸を用いて始めて、Fmoc基を当該アミノ酸のN末端アミン官能基に結合させることが特に可能である:かかる反応は特に論文に記載されており、その参考文献を以下に示す:Mueller, A. ; Vogt, C. ; Sewald, N. ; Synthesis (1998), (6), 837-841.
【0166】
Fmocで保護された形態の多数のアミノ酸もまた商業的に見出されるし、そして従っ
て本特許出願の方法の出発物質に成り得る。特にFmoc−Leu、Fmoc−L−Glu(Alloc); Fmoc−Gly;Fmoc−Ala;Fmoc−Val; Fmoc−PheまたはFmoc−Tyr(OtBu)を言及し得る。
【0167】
後述の実施例の箇所は、かかる出発物質の例を与える。
【0168】
最後に本発明の主題は、新規な工業製品としての、上述の定義の通りである式(XIII)、(XIV)および(XXIII)の化合物である。
【0169】
以下の実施例は本発明を例示するが、それを限定するものではない。
【実施例】
【0170】
実施例1
5[(2S)−1−[[4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]アミノ]エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド
工程1:5−[1−(ヒドロキシイミノ)エチル]−2−チオフェンカルボン酸
塩酸ヒドロキシルアミン1.84gを、5−アセチル−2−チオフェンカルボン酸2.25gを含有するピリジン15mlの溶液にアルゴン下で加えた。その薬剤を100℃で8時間保持した後、濃縮乾固し、2N HCl溶液20ml中に取り、酢酸エチル50mlで抽出し、MgSO4上で乾燥し、濾過しそして真空下で蒸発させた。残留物をシリカ上で95/5/0.5のCH2Cl2/MeOH/CH3COOHで溶離して精製し、そしてこうして予想した生成物0.450gを得た。
NMR (1H, DMSO):
2.17 (s, 3H); 2.28 (s, 3H); 7.37 (d, 1H); 7.49 (d, 1H); 7.55 (d, 1H); 7.70 (d, 1H); 11.57 (s, 1H); 12.13 (ブロード s, 1H); 13.08 (ブロード s, 1H)。
【0171】
工程2:5−[1−(ヒドロキシイミノ)エチル]−2−チオフェンカルボン酸[(2,2−ジメチルエトキシ)カルボニル]ヒドラジド
HOBT0.28gを約0〜5℃(氷塩浴)で、上述の工程1で得た化合物を含有するDMF2mlおよびCH2Cl23mlの溶液に加え、続いてEDC0.39gを加えた。その反応薬剤を室温に戻した後、30分間攪拌した。CH2Cl21ml中に溶解したBoc−ヒドラジンを約0〜5℃で加えた。その薬剤を室温で3時間攪拌した。真空下で蒸発させた後、残留物を酢酸エチル50ml中に取り、そして水溶液(pH=4)25mlで洗浄した。その酢酸エチル溶液を相の沈降によって分離した後、水溶液20mlで洗浄した。次いで有機相を分離し、真空下で乾燥した後、蒸発させた。残留物をシリカ上のクロマトグラフィーによって、90/10のジクロロメタン/メタノール溶液で溶離して精製した。こうして予想した生成物0.460gを得た。
NMR (1H, DMSO)
1.47 (s, 9H); 2.17 (s, 3H); 2.27 (s, 3H); 7.37 (d, 1H); 7.50 (d, 1H); 7.71 (d, 1H); 7.77 (d, 1H); 8.95 (ブロード s, 1H); 10.24 (ブロード s, 1H); 10.27 (s, 1H); 11.51 (s, 1H); 12.0 (s, 1H)。
【0172】
工程3:5−(1−アミノエチル)−2−チオフェンカルボン酸ヒドラジドビス(トリフルオロアセテート)
オキシムの還元およびカルバメートの脱保護を以下の通りに実施した。
Zn0.44gをアルゴン下室温で、上述の工程2で得たオキシム誘導体0.2gを含有する溶液に加えた。得た懸濁液を1時間保管した後、セライトを通して濾過した。濾過した溶液を濃縮した後、ジエチルエーテル50ml中に取った。得た沈殿物を濾去した。こうして予想した生成物0.20gを得た。
【0173】
工程4:5[(2S)−1−[[4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]アミノ]エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド
HOBT0.18gを、Z−Leu誘導体0.35gを含有するDMF2mlおよびCH2Cl22mlの溶液に加え、続いて0℃でEDC0.26gを加えた。次いでその混合物を30分間で室温に戻した後、DMF2ml中に溶解した上述の工程3で得たチオフェン誘導体0.24gを加えた。この混合物を室温で12時間保持した後、真空下で蒸発させ、酢酸エチル50ml中に取り、そして2N HCl溶液25mlで、そして次いで飽和NaCl溶液25mlで洗浄した。生成した溶液をMgSO4上で乾燥し、濾過した後、クロマトグラフィーによって95/5のジクロロメタン/メタノール溶液で溶離して精製した。こうして予想した生成物0.070gを回収した。
NMR (1H, DMSO)
0.86 (m, 12H); 1.32-1.78 (m, 6H); 4.06 (m, 1H); 4.16 (m, 1H); 5.03 (s, 4H); 5.14
(m, 1H); 6.96 (d, 1H); 7.0 (d, 1H); 7.35 (m, 10H); 7.66 (d, 1H); 7.67 (d, 1H); 7.39 (d, 1H); 7.52 (d, 1H); 8.52 (d, 1H); 8.56 (d, 1H); 10.04 (ブロード s, 1H); 10.32 (ブロード s, 1H)。
【0174】
実施例2
5−[1−(ヒドロキシイミノ)エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[[(9H−フルオレン−9−イル)メトキシ]カルボニル]ヒドラジド
HOBT0.53gを、実施例1の工程1で得た生成物0.73gを含有するCH2Cl25mlおよびDMF3mlの溶液に0℃(氷塩浴)で加え、続いてEDC0.75gを加えた。その混合物を室温に加温した後、20分間保持した。DMF5ml中に溶解したFmoc−ヒドラジン1gを、この溶液に約0〜5℃(氷塩浴)で加えた。次いでその薬剤を室温に加温し、そしてその温度で6時間保持した後、蒸発乾固し、そして酢酸エチル50mlおよびH2O25ml中に取った。その酢酸エチル溶液を相の沈降によって分離し、MgSO4上で乾燥し、濃縮した後、シリカ上のクロマトグラフィーによって98/2/0.5のCH2Cl2/MeOH/CH3COOH溶液で溶離して精製し、予想した生成物1.42gを得た。
NMR (1H, DMSO):
2.17 (s, 3H); 2.28 (s, 3H); 4.23 (m, 3H); 4.28 (ブロード s, 1H); 4.40 (ブロード d, 1H); 7.05-7.70 (m, 2H); 7.35 (ブロード t, 2H); 7.45 (ブロード t, 2H); 7.75 (ブロード d, 2H); 7.91 (ブロード d, 2H); 9.09 (s, 1H); 9.44 (s, 1H); 10.39 (s, 1H); 10.62 (s, 1H); 11.52 (s, 1H); 12.04 (s, 1H)。
【0175】
実施例3
5−(4−メトキシフェニル)−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド
工程1:エチル5−ブロモ−2−チオフェンカルボキシレート
5−ブロモ−2−チオフェンカルボン酸10g(48.29mM、1当量)をSOCl2(24mM、5当量)17.6ml中で1時間30分、100℃で攪拌した。その混合物を蒸発乾固した後、2回のトルエン20mlを用いて溶解した。得た粗製生成物を、EtOH40ml中で還流しながら2時間攪拌した。その混合物を蒸発乾固し、残留物をCH2Cl2中に取り、そして水で洗浄した後、MgSO4上で乾燥し、そして蒸発乾固した。こうして予想した生成物10.95g(96%)を、褐色液体の形態で得た。
【0176】
工程2:エチル5−(4−メトキシフェニル)−2−チオフェンカルボキシレート
ボロン酸2.58g(17.01mM、2当量)および2M炭酸ナトリウム18mlを、トル
エン48mlおよびEtOH74ml中の上述の工程1で得たブロモエステル2.0g(8.5mM、1当量)の溶液に加えた後、生成した混合物をN2で5分間脱気した。次いでPd(Pφ341.21g(1.05mM、0.124当量)を加えた。その混合物を3時間80℃(外部温度)で攪拌した。H2O200mlを加えた後、生成した混合物をEtOAc100mlで抽出し、MgSO4上で乾燥し、そして蒸発乾固した。こうして粗製生成物5.28gを得た後、シリカのカラム上で98/2そして次いで95/5のシクロヘキサン/EtOAcで溶離して精製した。こうして予想した生成物2.22gを得た。
【0177】
工程3:5−(4−メトキシフェニル)−2−チオフェンカルボン酸ヒドラジド
上述の工程2で得たエステル200ml(0.762mM、1当量)を、DMF5mlおよびヒドラジン水和物1.1ml(22.8mM、30当量)中で24時間還流しながら攪拌した後、蒸発乾固した。
シリカのカラム上で、5/5のCH2Cl2/EtOAcそして次いで9/1/0.1のCH2Cl2/MeOH/NH4OHで溶離して精製した後、予想した生成物245mgを得た。
【0178】
工程4:5−(4−メトキシフェニル)−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド
上述の工程3で得たケトヒドラジド70mg(0.282mM、1当量)、EDC70mg(0.366mM、1.3当量)およびHOBT49mg(0.366mM、1.3当量)を、DMF5ml中のZLeu−OH97.0mg(0.366mM、1.3当量)の溶液にシリポライト(siliporite)上で加えた後、0℃に冷却した。
その混合物を2時間0℃で、そして2時間室温で攪拌し、次いでDMFを蒸発除去した後、残留物をEt2O20ml中に取り、飽和Na2CO3溶液20mlで洗浄し、水20mlで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、そして蒸発乾固した。粗製生成物268mgを得て、そしてシリカのカラム上で、5/5のシクロヘキサン/EtOAcで溶離して精製した後、こうして予想した生成物73mg(68%)を得た。
IR:
NH: 〜3403; 〜3289 cm-1
C=O: 1708; 1633 cm-1
複素環、芳香族およびアミド II: 1611, 1573, 1539, 1505 cm-1;
NMR (1H, CDCl3)
0.93 (cm) 6H: (CH3)2-CH
1.56-1.78 (cm): CH2-CH(CH3)2
3.82 (s) 3H: OCH3
4.46 (m) 1H: NH-CH
5.03, 5.13: (2H) AB: OCH2
5.57 (d) 1H: NH-CH
6.87, 7.47 (4H): AA’BB’
〜7.30 (m) フェニル
7.08 (ブロード) 1H: H4
7.58 (ブロード) 1H: H3
9.14, 9.31: 2H 可動
【0179】
実施例4
5−(4−メトキシフェニル)−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−1−オキソ−3−フェニル−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]プロピル]ヒドラジド
実施例3の工程3で得たケトヒドラジン188mg(0.757mM、1当量)、EDC218mg(1.13mM、1.5当量)、ZPheOH340mg(1.13mM、1.5当量)およびHOBT154mg(1.13mM、1.5当量)を用いて、実施例3の工程4におけるのと同様に操作を行なった。こうして粗製生成物934mgを得た後、シリカ上で9/1のCH2Cl2/EtOAcで溶離して精製した。こうして予想した生成物225mg(73%)を、各比率85%および15%の2つの異性体CおよびDの形態で得た。
NMR (1H, DMSO)
次のものは、Cに帰属するものである。
2.82 (m), 3.08 (m): フェニル-CH2-CH
4.38 (td): フェニル-CH2-CH
3.81 (s): CH3-O-フェニル
7.02, 7.67: AA’BB’
7.46 (d), 7.83 (d): Ha および Hb
次のものは、Dに帰属するものである。
4.11 (ブロード s): フェニル-CH2-CH
3.05 (m, 2.84 (m): フェニル-CH2-CH
次のものは、CおよびDに帰属するものである。
4.95 (m): フェニル-CH2-O
7.10-7.40 (m): 芳香族 H
7.69 (マスクされた): NH-CH-CH2-
10.28 (ブロード s), 10.48 (ブロード s): 可動 H
【0180】
実施例5
5−[2−(フェニルメトキシ)フェニル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド
工程1:2−(フェニルメトキシ)フェニルボロン酸
BuLi19.93ml(ヘキサン中1.6M)(31.9mM、1当量)を、−78℃で注入器によって、THF50ml中のブロモ誘導体8.4gの溶液(N8)(31.9mM、1当量)に加えた後、その混合物を−78℃で30分間攪拌した。こうして酸化リチウム誘導体を含有する溶液を得た後、それを滴下漏斗を介して−78℃で、THF50ml中のB(OiPr)330g(159.5mM、5当量)の溶液に加えた。次いでその混合物を室温に加温させながら、4時間攪拌した。生成した混合物を3N HCl20ml中に注入し、EtOAc50mlで2回抽出し、水で洗浄し、MgSO4上で乾燥した後、蒸発乾固した。粗製生成物8.53gを得た後、シリカ上で9/1のシクロヘキサン/EtOAcで溶離して精製した。こうして純粋な生成物3.6g(47%)を得た。
【0181】
工程2:エチル5−[2−(フェニルメトキシ)フェニル]−2−チオフェンカルボキシレート
上述の工程1で得たボロン酸1.0g(4.23mM、2当量)、実施例3の工程1で得たブロモチオフェン500mg(2.11mM、1当量)、トルエン12ml中のPd(Pφ3)43.07mg(0.266mM、0.125当量)、EtOH18mlおよび2M Na2CO34.6mlを用いて、実施例3の工程2に記載したのと同じ実験条件下で操作を行なった。こうして粗製生成物1.79gを得た後、シリカ上で99/1のシクロヘキサン/EtOAcで溶離して精製した。こうして予想した生成物760mgを得た。
【0182】
工程3:5−[2−(フェニルメトキシ)フェニル]−2−チオフェンカルボン酸ヒドラジド
ヒドラジン水和物4.2g(84mM、40当量)を、EtOH20ml中の上述の工程2で得たチオフェンエステル713mg(2.1mM、1当量)の溶液に加えた後、その混合物を還流しながら48時間攪拌した。生成した混合物を蒸発乾固した後、シリカ上で5/5のCH2Cl2/EtOAcで、そして次いで9/1/0.1のCH2Cl2/MeOH/NH4OHで溶離して精製した。こうして予想した生成物540mgを得た。
【0183】
工程4:5−[2−(フェニルメトキシ)フェニル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド
上述の工程3で得たケトヒドラジド95mg(0.293mM、1当量)、ZLeuOH117mg(0.439mM、1.5当量)、EDC8.4mg(0.439mM、1.5当量)およびHOBT59mg(0.439mM、1.5当量)を用いて、実施例3の工程4に記載したものと同じ操作条件下で操作を行なった。こうして粗製生成物196mgを得た後、シリカ上で8/2のCH2Cl2/EtOAcで溶離して精製した。こうして予想した生成物140mgを得た。
NMR (H, CDCl3)
0.93 (ブロード s) 6H: (CH3)2-CH-CH2-CH-NH
1.61 (マスクされた), 1.73 (m) 2H: (CH3)-CH-CH2-CH-NH
4.43 (m) 1H: (CH3)-CH-CH2-CH-NH
5.45 (ブロード d) 1H: (CH3)-CH-CH2-CH-NH
5.08, 5.14, 5.22 (ブロード s) 4H: the O-CH2-フェニル
6.97 (ブロード t) 2H: H3 および H4
7.25 (m): H2
7.63 (dd) 1H: H5
7.44 (d), 7.60 (d): Ha および Hb
7.21-7.46 (m) 10H 芳香族
8.80 (ブロード s), 9.16 (ブロード s): 2H NH
【0184】
実施例6
5−[2−(フェニルメトキシ)フェニル]−2−チオフェンカルボン酸2−[[(2S)−2−[[(1,1−ジメチル)エトキシ]カルボニル]アミノ]−4−メチル−1−オキソペンチル]ヒドラジド
実施例5の工程3で得たケトヒドラジド336mg(1.035mM、1当量)、Boc−Leu−OH387mg(1.55mM、1.5当量)、EDC298mg(1.55mM、1.5当量)およびHOBT210mg(1.55mM、1.5当量)を用いて、実施例3の工程4にすでに記載したものと同じ操作条件下で操作を行なった。粗製生成物635mgを得た後、シリカのカラム上で9/1のCH2Cl2/EtOAcで溶離して精製した。こうして予想した生成物439mgを得た。
NMR (1H, CDCl3)
0.95 (d), 0.97 (d) 6H: (CH3)2-CH-CH2
1.59 (m), 1.75 (m) 3H: (CH3)-CH-CH2
1.46 (s) 9H: O-C(CH3)3
4.33 (ブロード s) 1H: NH-CH-CO
5.03 (ブロード d) 1H: NH-CH-CO
5.23 (AB) 2H: O-CH2-フェニル
7.46 (d), 7.60 (d): 2H Ha および Hb
6.99 (d), 7.65 (m), 7.25 (マスクされた) 4H: H2, H3, H4 および H5
7.33 (t) 1H Hc'
7.37 (ブロード t) 2H Hb'
7.41 (m) 2H Ha'
【0185】
実施例7
5−(2−(フェニルメトキシ)フェニル)−2−チオフェンカルボン酸2−((2S)−2−アミノ−4−メチル−1−オキソペンチル)−ヒドラジン
実施例9の生成物の代わりに実施例6の生成物を用いて、実施例10に記載したものと
同じ操作条件下で操作を行ない、そしてこうして予想した生成物を得た。
【0186】
実施例8
5−(1−ナフチル)−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]−アミノ]ペンチル]ヒドラジド
工程1:エチル5−(1−ナフチル)−2−チオフェンカルボキシレート
実施例3の工程1で得たブロモエステル、エチル5−ブロモ−2−チオフェンカルボキシレート1.83g(7.78mM、1当量)、ナフタ−ボロン酸N11 2.67g(15.56mM、2当量)、Pd(Pφ3)41.124g(0.97mM、0.125当量)、トルエン44ml、EtOH67mlおよび2M Na2CO317mlを用いて、実施例3の工程2に上述した同じ操作条件下で操作を行なった。こうして粗製生成物4.88gを得た後、シリカのカラム上で98/2のシクロヘキサン/EtOAcで溶離して精製した。こうして精製した生成物486mg(22%)を得た。
【0187】
工程2:5−(1−ナフチル)−2−チオフェンカルボン酸ヒドラジド
上述の工程1で得たチオフェンエステル430mg(1.52mM、1当量)、ヒドラジン水和物2.28g(45.6mM、30当量)およびEtOH15mlを用いて、実施例3の工程3にすでに記載したものと同じ操作条件下で操作を行なった。蒸発させた後、残留物をシリカ上で5/5のCH2Cl2/EtOAcで、そして次いで9/1/0.1のCH2Cl2/MeOH/NH4OHで溶離して精製した。こうして予想した生成物306mg(75%)を得た。
【0188】
工程3:5−(1−ナフチル)−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]−アミノ]ペンチル]ヒドラジド
上述の工程2で得たチオフェンケトヒドラジド90mg(0.336mM、1当量)、ZLeu−OH133mg(0.502mM、1.5当量)、EDC96mg(0.502mM、1.5当量)、HOBT68mg(0.502mM、1.5当量)およびDMF5mlを用いて、実施例3の工程4にすでに記載したものと同じ条件下で操作を行なった。こうして粗製生成物302mgを得た後、シリカ上で6/4のシクロヘキサン/EtOAcで溶離して精製した。こうして予想した生成物150mgを得た。
NMR (1H, CDCl3)
0.94 (d), 0.96 (d): iPr の CH3
1.75 (m): iPr の CH
1.75; 1.64: CH2-CH-NH-COO-
4.47 (m): CH2-CH-NH-COO-
5.54: CH2-CH-NH-COO-
5.15 (d, J = 12); 5.06 (d, J = 12): OCH2-C=
7.31 (m): 芳香族 H
7.16 (d, J = 4): H4
7.75 (d, J = 4): H3
7.41-7.51: 4H; 7.86 (m): H2' および H5'; 8.10 (d, J = 8.5): H8'; ナフチルのH;
9.20 (ブロード s), 9.31 (ブロード s): NH-NH
CHCl3中のIR
NH: 3400, 3288 cm-1
C=O: 1707, 1635 cm-1
複素環 + 芳香族 + アミド II = 1593, 1534, 1509; 1500 cm-1
【0189】
実施例9
5−(1−ナフチル)−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−2−[[[(1,1−ジメチル)エトキシ]カルボニル]アミノ]−4−メチル−1−オキソペンチル]ヒドラジド
実施例8の工程2で得た生成物247mgを用いて、そしてZLeuOHの代わりにBoc−LeuOHを使用して、実施例3の工程4にすでに記載したものと同じ操作条件下で操作を行なった。こうして粗製生成物890mgを得た後、シリカ上で7/3のシクロヘキサン/EtOAcで溶離して精製した。
こうして予想した生成物337mg(76%)を得た。
NMR (H, CDCl3)
0.96 (d), 0.98 (d): 6H CH-CH2-CH-(CH3)2
1.76 (m): CH-CH2-CH-(CH3)2
1.76, 1.62: CH-CH2-CH-(CH3)2
4.39 (ブロード s): 1H CH-CH2-CH-(CH3)2
5.14 (ブロード d): 1H NH-CH-CH2
7.17 (d) 7.75 (d): 2H Ha および Hb
1.46 (s): 9H O-C(CH3)3
7.37-7.53 (m): 4H H2, H3, H5 および H6
7.85 (dd) 7.89 (dd): 2H H1 および H4
8.12 (ブロード d): 1H H7
9.18 (ブロード s): 2H 可動 H
CHCl3中のIR
NH: 3420, 3288 cm-1
C=O: 1703, 1690, 1635 cm-1
複素環 + 芳香族: 1592, 1540, 1508 cm-1
【0190】
実施例10
5−(1−ナフチル)−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−2−アミノ−4−メチル−1−オキソペンチル]ヒドラジド
CF3CO2H4.5mlを、CH2Cl24.5ml中の実施例9の生成物(−N−BOC)275mgの溶液に加えた後、その混合物を室温で3時間攪拌した。生成した混合物を蒸発乾固した後、残留物をCH2Cl210ml中に取り、10%NH4OH10mlで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、そして蒸発乾固した。こうして予想した生成物177mg(81%)を得た。
NMR (H, CDCl3)
0.97 (d) 1.00 (d): 6H the CH3-CH-CH2-CH
1.80 (m): CH3-CH-CH2-CH
1.50 (m), 1.80 (m): CH3-CH-CH2-CH
3.62 (dd): 1H CH3-CH-CH2-CH
7.17 (d), 7.74 (d): 2H Ha および Hb
7.35-7.53 (m): 4H H3, H4, H6 および H7
7.86 (m): 2H H2 および H5
8.13 (d): 1H H8
IR in CHCl3
NH/NH2 (コンプレックス): 3365, 3221 cm-1
C=O: 1687, 1635 cm-1
複素環 + 芳香族: 1592, 1540, 1508 cm-1
【0191】
実施例11
5−(1−ナフチル)−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−2−[[[(1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メチル]カルボニル]アミノ]−4−メチル−1−オキソペンチル]ヒドラジド
実施例10で得たチオフェンアミン68mg(0.178mM、1当量)、2−((1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メチル)カルボン酸47mg(0.267mM、1.5当量)
、EDC51mg(0.267mM、1.5当量)およびHOBT36mg(0.267mM、1.5当量)を用いて、実施例3の工程4に記載したものと同じ操作条件下で操作を行なった。こうして粗製生成物118mgを得た後、シリカ上で97.5/2.5のCH2Cl2/MeOHで溶離して精製した。こうして予想した生成物19mg(20%)を得た。
NMR (1H, DMSO)
0.87 (d), 0.94 (d): 6H CH3-CH-CH2-CH-NH
1.73 (m): 1H CH3-CH-CH2-CH-NH
1.58 (t): 2H CH3-CH-CH2-CH-NH
4.48 (q): 1H CH3-CH-CH2-CH-NH
8.51 (d): 1H CH3-CH-CH2-CH-NH
3.86 (2 × s): 2H CH2-CO
7.07 (t): 1H H11
7.32 (t): 1H H10
7.40 (d), 7.94 (d): 2H Ha および Hb
7.46 (d): 1H H9
7.56-7.66: 4H H3, H4, H6 および H7
8.03 (m): 2H H2 および H5
8.14 (m): 1H H8
10.21 (ブロード s), 10.51 (ブロード s): 2H NH-NH
12.77 (ブロード s): 1H NH-C=N
【0192】
実施例12
5−(フェニルメチル)−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド
工程1:エチル5−(フェニルメチル)−2−チオフェンカルボキシレート生成物G
エチル5−(1,2−ジフェニルエチル)−2−チオフェンカルボキシレート生成物H
アルキル化そして次いでエステル化を以下の通りに実施した。
【0193】
1)アルキル化
THF30ml(39mM、1当量)中のテトラメチレンジアミン12ml(82mM、2.1当量)およびチオフェン酸5gを、−78℃に冷却したTHF中の2M LDA41ml(82mM、2.1当量)の溶液に加え、続いて20分後にブロモフェニル8g(46.8mM、1.2当量)を加えた後、その混合物を室温に加温させながら2時間攪拌した。水300mlを(T<20℃で)加えた後、混合物をEt2O100mlで洗浄し、それがpH≒4になるようにクエン酸を加え、その混合物をEt2O100mlで抽出し、NaCl100mlで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、そして蒸発乾固した。粗製生成物6.87gを得た。
【0194】
2)エステル化
粗製生成物をEtOH68mlおよびH2SO413.7ml中で120℃(外部温度)で還流しながら8時間攪拌した。EtOHを蒸発除去した後、残留物をEt2O100mlで抽出し、Na2CO350mlで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、そして蒸発乾固した。こうして粗製生成物6.76gを得た後、シリカ上で99/1のn−ヘキサン/EtOAcで溶離して精製した。こうして予想した生成物3.34gを、生成物G(モノアルキル):2.5g(26%)および生成物H(ジアルキル):0.385g(3%)の混合物の形態で得た。
【0195】
工程2:5−(フェニルメチル)−2−チオフェンカルボン酸ヒドラジド
上述の工程1で生成物Gとして得たチオフェンエステル1.0g(4.06mM、1当量)、ヒドラジン水和物2.5ml(173mM、43当量)およびEtOH40mlを用いて、実施例3の工程3にすでに記載したものと同じ条件下で操作を行なった。生成物をシリカ上で5/5のCH2Cl2/EtOAcで、そして次いで9/1/0.1のCH2Cl2/MeOH/NH4OHで溶離して精製した。こうして予想した生成物987mgを得た。
【0196】
工程3:5−(フェニルメチル)−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド
上述の工程2で得たケトヒドラジド400mg(1.72mM、1当量)、ZLeuOH685mg(2.58mM、1.5当量)、EDC495mg(2.58mM、1.5当量)、HOBT349mg(2.58mM、1.5当量)およびDMF15mlを用いて、実施例3の工程4にすでに記載したものと同じ条件下で操作を行なった。生成物をシリカ上で6/4のシクロヘキサン/EtOAcで溶離して精製した。こうして予想した生成物779mgを得た(収率95%)。
NMR (H, CDCl3)
0.90 (ブロード s) 6H the CH3-CH-CH2-CH-NH
1.66 (マスクされた) CH3-CH-CH2-CH-NH
1.57 (m), 1.66 (マスクされた) CH3-CH-CH2-CH-NH
4.40 (m) CH3-CH-CH2-CH-NH
5.50 (ブロード d) CH3-CH-CH2-CH-NH
4.10 (s) 2H = C-CH2-フェニル
5.00, 5.10 AB 2H O-CH2-フェニル
6.71 (d), 7.46 (d) Ha および Hb
7.21 (m), 7.29 (m) 10H 芳香族
8.93 (ブロード s), 9.21 (ブロード s) 2H the 可動 H
IR CHCl3
NH: 3420, 3286 cm-1
C=O: 1706, 1630 cm-1
複素環 + 芳香族 + アミドII: 1587, 1540, 1509, 1497 cm-1.
【0197】
実施例13
5−[(ジメチル)アミノ]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド
工程1:エチル5−(ジメチルアミノ)−2−チオフェンカルボキシレート
DMF60ml中の実施例3の工程1で得たブロモエステル2.0g(8.5mM、1当量)およびエタノール中の33%ジメチルアミン60mlを165℃(外部温度)で一晩攪拌した。溶媒を蒸発除去した後、残留物をCH2Cl2中に取り、10%NaHCO3で洗浄し、MgSO4上で乾燥し、そして蒸発乾固した。こうして粗製生成物1.668gを得た後、シリカ上で8/2のシクロヘキサン/EtOAcで溶離して精製した。こうして予想した生成物632mg(37%)を得た。
【0198】
工程2:5−(ジメチルアミノ)−2−チオフェンカルボン酸ヒドラジド
実施例3の工程3にすでに記載したものと同じ操作条件下で操作を行なった。上述の工程1で得たチオフェンエステル200mg(1mM、1当量)を、EtOH10ml中に溶解した。ヒドラジン水和物1.5ml(30mM、30当量)を加えた後、その混合物を還流しながら2時間攪拌した。生成した混合物を蒸発乾固した後、こうして予想した生成物195gを得た。
【0199】
工程3:5−[(ジメチル)アミノ]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド
上述の工程2で得たケトヒドラジド100mg(0.540mM、1当量)、ZLeuOH186mg(0.701mM、1.3当量)、EDC135mg(0.701mM、1.3当量)、HOBT95mg(0.701mM、1.3当量)およびDMF5mlを用いて、実施例3の工程4
にすでに記載したものと同じ操作条件下で操作を行なった。こうして粗製生成物671mgを得た後、シリカ上で5/5のシクロヘキサン/EtOAcで溶離して精製した。こうして予想した生成物141mg(61%)を得た。
NMR (H, CDCl3)
0.92 (m): 6H the (CH3)2-CH
1.53-1.78: (CH3)2CH-CH2
2.99 (s): 6H the NCH3
4.40 (m): 1H CH-NH
5.50 (d): CH-NH
5.03, 5.13: 2H AB OCH2φ
5.77 (d): 1H H3
7.32 (ブロード s): フェニルの5H
7.40 (d): 1H H4
8.49 (ブロード s), 9.14 (ブロード s): 2H 可動
IR (H, CHCl3)
NH: 3408, 3290 cm-1
C=O: 1710, 1623 cm-1
複素環 + 芳香族 + アミド II: 1546, 1501 cm-1
【0200】
実施例14
5−[(ジメチル)アミノ]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−1−オキソ−3−フェニル−2[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]プロピル]ヒドラジド
実施例13の工程2で得たケトチオフェンヒドラジド81mg(0.437mM、1当量)、ZPheOH197mg(0.656mM、1.5当量)、EDC126mg(0.656mM、1.5当量)、HOBT89mg(0.656mM、1.5当量)およびDMF5mlを用いて、実施例3の工程4ですでに用いたものと同じ操作条件下で操作を行なった。こうして粗製生成物452mgを得た後、シリカ上で5/5のシクロヘキサン/EtOAcで溶離して精製した。こうして予想した生成物130mg(64%)を得た。
NMR (H, CDCl3)
2.88 (dd), 3.14 (マスクされた): フェニル-CH2-CH
3.00 (s): 6H the CH3-N-
4.44 (m): 1H フェニル-CH2-CH-NH
4.99 (s): 2H フェニル-CH2-O
5.94 (d), 7.61 (d): 2H Ha および Hb
7.13-7.46 (m): 10H 芳香族s
9.79 (ブロード s), 9.91 (ブロード s): 可動 H
【0201】
実施例15
5−[(フェニルメチル)アミノ]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド
工程1:エチル5−ニトロ−2−チオフェンカルボキシレート
SOCl218ml(252mM、5当量)中の5−ニトロ−2−チオフェンカルボン酸8.72g(50.4mM、1当量)の溶液を3時間還流した。トルエン50ml2回に取りながら、SOCl2を蒸発除去した。生成した物質をEtOH35ml中に取った後、その溶液を3時間還流した。生成した混合物を蒸発乾固した後、10%NaHCO325mlで洗浄し、EtOAc50mlで抽出し、MgSO4上で乾燥し、そして蒸発乾固した。こうして予想した生成物9.69g(96%)を得た。
【0202】
工程2:エチル5−アミノ−2−チオフェンカルボキシレート
上述の工程1で得た生成物1.0g(4.97mM、1当量)の懸濁液および氷酢酸8ml中
の鉄粉1.64g(29.82mM、6当量)を75℃で3時間攪拌した。水10mlを加え、その混合物を濾過し、濾液をNa2CO3でpH≒8に中和し、EtOAc25mlで抽出し、MgSO4上で乾燥し、そして蒸発乾固した。こうして粗製生成物917mgを得た後、シリカ上で9/1のCH2Cl2/EtOAcで溶離して精製した。こうして予想した生成物619mg(73%)を得た。
【0203】
工程3:エチル5−[ビス(フェニルメチル)アミノ]−2−チオフェンカルボキシレート生成物E
エチル5−[(フェニルメチル)アミノ]−2−チオフェンカルボキシレート生成物F
DMF10ml中の、上述の工程2で得たチオフェンアミン470mg(2.75mM、1当量)、2,6−ルチジン(3.84mM、1.4当量)およびBrCH2φブロモメチルフェニル(3.57mM、1.3当量)の溶液を60℃で36時間攪拌した。水10mlを加えた後、その混合物をEt2O25mlで抽出し、MgSO4上で乾燥し、そして蒸発乾固した。こうして粗製生成物940mgを得た後、シリカ上で8/2のシクロヘキサン/EtOAcで溶離して精製した。こうして生成物E182mg(19%)および生成物F269mg(37%)を得た。
NMR (H, CDCl3) 生成物E
1.31 (t): 3H CH3-CH2-O-CO
4.26 (q): 2H CH3-CH2-O-CO
4.56 (ブロード s): 4H the フェニル-CH2-N
5.91 (d), 7.50 (d): 2H Ha および Hb
7.20-7.26 (m): 4H; 7.27-7.38 (m) 6H: 芳香族 H
NMR (H, CDCl3) 生成物F
1.33 (t): 3H CH3-CH2-O-CO
4.27 (q): 2H CH3-CH2-O-CO
4.36 (d): 2H フェニル-CH2-NH
4.75 (ブロード s): 1H フェニル-CH2-NH
5.97 (d), 7.49 (d): 2H Ha および Hb
7.36 (m): 5H 芳香族
【0204】
工程4:5−[(フェニルメチル)アミノ]−2−チオフェンカルボン酸ヒドラジド
上述の工程3で得たチオフェンエステル生成物E150mg(0.57mM、1当量)、ヒドラジン水和物1.1g(23mM、40当量)およびEtOH5mlを用いて、実施例3の工程3ですでに記載したものと同じ条件下で操作を行なった。生成物をシリカ上で5/5のCH2Cl2/EtOAcで、そして次いで9/1/0.1のCH2Cl2/MeOH/NH4OHで溶離して精製した。こうして予想した生成物119mg(84%)を得た。
【0205】
工程5:5−[(フェニルメチル)アミノ]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド
上述の工程4で得たケトヒドラジド119mg(0.481mM、1当量)、ZLeuOH191mg(0.721mM、1.5当量)、EDC138mg(0.721mM、1.5当量)、HOBT98mg(0.721mM、1.5当量)およびDMF5mlを用いて、実施例3の工程4にすでに記載したものと同じ条件下で操作を行なった。こうして粗製生成物254mgを得た後、シリカ上で7/3のCH2Cl2/EtOAcで溶離して精製した。こうして予想した生成物162mg(68%)を得た。
NMR (H, CDCl3)
0.91 (m): 6H the (CH3)2-CH-CH2-CH-NH
1.69 (マスクされた): (CH3)2-CH-CH2-CH-NH
1.58 (m): (CH3)2-CH-CH2-CH-NH
4.38 (m): 1H (CH3)2-CH-CH2-CH-NH
5.48 (ブロード d): 1H (CH3)2-CH-CH2-CH-NH
4.30 (d): 2H フェニル-CH2-NH
4.80 (t): 1H フェニル-CH2-NH
5.01, 5.11: AB 2H フェニル-CH2-O
7.30-7.40 (m): 10H 芳香族
5.90 (d), 7.33 (マスクされた): Ha および Hb
8.53 (ブロード d), 9.10 (ブロード d): 2H 可動 H
IR CHCl3
-NH: 3409, 3288 cm-1
>=O:1708, 1626 cm-1
共役系 + 芳香族 + アミドII: 1585, 1485 cm-1
【0206】
実施例16
5−[ビス(フェニルメチル)アミノ]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド
工程1:5−[ビス(フェニルメチル)アミノ]−2−チオフェンカルボン酸ヒドラジド
実施例15の工程3で得たチオフェンエステル生成物F180mg(0.512mM、1当量)、NH2NH2・H2O3ml(60mM、120当量)およびEtOH16mlを用いて、実施例15の工程4におけるのと同様に操作を行なった。粗製生成物をシリカ上で5/5のCH2Cl2/EtOAcで、そして次いで9/1/0.1のCH2Cl2/MeOH/NH4OHで溶離して精製した。こうして予想した生成物96mg(56%)を得た。
【0207】
工程2:5−[ビス(フェニルメチル)アミノ]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド
上述の工程1で得たケトヒドラジド96mg(0.284mM、1当量)、ZLeuOH113mg(0.426mM、1.5当量)、EDC82mg(0.426mM、1.5当量)、HOBT58mg(0.426mM、1.5当量)およびDMF5mlを用いて、実施例3の工程4にすでに記載したものと同じ操作条件下で操作を行なった。こうして粗製生成物205mgを得た後、シリカ上で9/1のCH2Cl2/EtOAcで溶離して精製した。こうして予想した生成物129mg(78%)を得た。
NMR (H, CDCl3)
0.90 (ブロード s): 6H (CH3)2-CH-CH2-CH-NH
1.69 (マスクされた): 1H (CH3)2-CH-CH2-CH-NH
1.56 (m): 2H (CH3)2-CH-CH2-CH-NH
4.37 (m): 1H (CH3)2-CH-CH2-CH-NH
5.44 (ブロード d): 1H (CH3)2-CH-CH2-CH-NH
4.52 (ブロード s): 4H N-CH2
5.02 (d), 5.11 (d): 2H O-CH2
5.85 (d): 1H H4
7.20 (dd): 4H Ha
7.26-7.35: 11H Hb, Hc, Hd, He, Hf
7.32 (マスクされた): 1H Hg
8.36 (ブロード s), 9.05 (ブロード s): 2H 可動 H
【0208】
実施例17
5−[[[3−(4−メトキシフェノキシ)フェニル]メチル](フェニルメチル)アミノ]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニル
メトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド
工程1:エチル5−[[3−[(4−メトキシ)フェノキシ]フェニル](フェニルメチル)アミノ]−2−チオフェンカルボキシレート
ベンジルアミンのアルキル化を以下の通りに実施した。
DMF5ml中の、実施例15の工程3で得たチオフェンエステル生成物E110mg(0.420mM、1当量)、3−((4−メトキシフェノキシ)フェニル)メチルブロミド160mg(0.547mM、1.3当量)および2,6−ルチジン63mg(0.586mM、1.4当量)の溶液を80℃で24時間攪拌した。Et2O25mlを加えた後、その混合物を水25mlで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、そして蒸発乾固した。粗製生成物333mgを得た後、シリカ上で9/1のシクロヘキサン/EtOAcで溶離して精製した。こうして予想した生成物108mg(54%)を得た。
【0209】
工程2:5−[[3−[(4−メトキシ)フェノキシ]フェニル](フェニルメチル)アミノ]−2−チオフェンカルボン酸ヒドラジド
上述の工程1で得たチオフェンエステル93mg(0.196mM、1当量)、ヒドラジン水和物1.4ml(28.8mM、147当量)およびEtOH5mlを用いて、実施例3の工程3ですでに記載したものと同じ操作条件下で操作を行なった。生成物をシリカのカラム上で5/5のCH2Cl2/EtOAcで、そして次いで9/1/0.1のCH2Cl2/MeOH/NH4OHで溶離して精製した。こうして予想した生成物49mg(54%)を得た。
【0210】
工程3:5−[[[3−(4−メトキシフェノキシ)フェニル]メチル](フェニルメチル)アミノ]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド
上述の工程2で得たケトヒドラジド48mg(0.104mM、1当量)、ZLeuOH42mg(0.157mM、1.5当量)、EDC30mg(0.157mM、1.5当量)、HOBT21mg(0.157mM、1.5当量)およびDMF5mlを用いて、実施例3の工程4にすでに記載したものと同じ条件下で操作を行なった。こうして粗製生成物81mgを得た後、シリカ上で5/5のCH2Cl2/EtOAcで溶離して精製した。こうして予想した生成物60mg(81%)を得た。
NMR (H, CDCl3)
0.91 (ブロード s): 6H (CH3)2-CH-CH2-CH-NH
1.56 (m): 1H (CH3)2-CH-CH2-CH-NH
1.69 (m): 2H (CH3)2-CH-CH2-CH-NH
4.36 (m): 1H (CH3)2-CH-CH2-CH-NH
5.36 (ブロード d): 1H (CH3)2-CH-CH2-CH-NH
3.80 (s): 3H CH3-O-フェニル
4.47 (s), 4.51 (s): 4H the N-CH2-フェニル
5.04, 5.16: AB 2H フェニル-CH2-O
5.85 (d), 7.31 (マスクされた): 2H Ha および Hb
6.82, 6.94: AA.BB' O-フェニル-O-
6.76-6.96 (m): 3H, 7.15-7.34 (m) 11H: 芳香族 H
8.24 (ブロード s), 8.91 (ブロード s): 2H the NH
【0211】
実施例18
5−[(1,2−ジフェニル)エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド
工程1:5−(1,2−ジフェニルエチル)−2−チオフェンカルボン酸ヒドラジド
チオフェンエステル315mg(0.936mM、1当量)、ヒドラジン水和物2.4g(4
8mM、52当量)およびEtOH15mlを用いて、実施例12の工程2におけるのと同様に操作を行なった。生成物をシリカ上で5/5のCH2Cl2/EtOAcで、そして次いで9/1/0.1のCH2Cl2/MeOH/NH4OHで溶離して精製した。こうして予想した生成物135mg(50%)を得た。
【0212】
工程2:5−[(1,2−ジフェニル)エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド
上述の工程1で得たケトヒドラジド120mg(0.372mM、1当量)、ZLeuOH148mg(0.558mM、1.5当量)、EDC1.07mg(0.558mM、1.5当量)、HOBT75mg(0.558mM、1.5当量)およびDMF5mlを用いて、実施例3の工程4にすでに記載したものと同じ条件下で操作を行なった。生成物をシリカのカラム上で9/1のCH2Cl2/EtOAcで溶離して精製した。こうして予想した生成物161mg(76%)を得た。
NMR (H, CDCl3)
0.90 (CH3)-CH-CH2-CH-NH
1.39 (m) (CH3)-CH-CH2-CH-NH
1.57 (m) (CH3)-CH-CH2-CH-NH
4.39 (マスクされた) (CH3)-CH-CH2-CH-NH
5.44 (CH3)-CH-CH2-CH-NH
3.34 (m) φ-CH2-CH
4.40 (t) φ-CH2-CH
5.06 (AB) OCH2 φ
6.88 (d), 7.40 チオフェンのH
7.10-7.35 芳香族 H
8.73 (s), 9.22 (s) CO-NH NH-CO
【0213】
実施例19
5−[1−[(フェニルメトキシ)イミノ]エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド
工程1:5−[1−(フェニルメトキシイミノ)エチル]−2−チオフェンカルボン酸
ベンジルヒドロキシルアミン0.94gを、N31の酸0.5gを含有するピリジン7mlの溶液に加えた。その薬剤を100℃で20時間保持した。次いで溶液を真空下で蒸発させた後、残留物を2N HCl溶液25mlおよび酢酸エチル15ml中に取った。この混合物を相の沈降によって分離した後、有機相をMgSO4上で乾燥し、濾過しそして濃縮し
た。予想した生成物0.430gを取り出した後、さらなる精製なしに以下の合成に使用した。
【0214】
工程2:5−[1−[(フェニルメトキシ)イミノ]エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド
実施例3の工程4に記載したものと同じ操作条件下で、酸およびZLeuのカップリングのための操作を行なった。こうして予想した生成物0.5gを取り出した後、クロマトグラフィーによってジクロロメタン/メタノール溶液(95/5)で溶離して精製した。NMR (1H, DMSO):
1.49 (s, 9H); 2.19 (s, 3H); 2.27 (s, 3H); 5.18 (s, 2H); 5.30 (s, 2H); 6.65 (ブロード s, 1H); 7.09 (d, 1H); 7.29-7.45 (m, 5H); 7.32 (ブロード s, 1H); 7.50 (d, 1H)。
【0215】
実施例20
5−[1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[[(9H−フルオレン−9−イル)メトキシ]カルボニル]ヒドラジド
工程1:5−(1−アミノエチル)−2−チオフェンカルボン酸2−[[(9H−フルオレン−9−イル)メトキシ]カルボニル]ヒドラジド
実施例2の生成物を用いて、実施例1の工程3におけるのと同様に操作を行なった。反応媒体を処理した後、アミン塩0.64gを得た。この塩を以下の工程に直接使用した。
【0216】
工程2:5−[1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[[(9H−フルオレン−9−イル)メトキシ]カルボニル]ヒドラジド
?0.22gを窒素下で、上述の工程1で得たアミンのトリフルオロ酢酸塩0.64gを含有するTHF溶液5mlに加えた。その反応媒体を約0〜5℃に冷却した(氷塩浴)。次いでベンジルクロロホルメート0.22gをそれに滴下した。この温度で30分後、その薬剤を室温で4時間保持した。生成した混合物を真空下で蒸発させた後、残留物をCH2Cl225ml中に取り、そして1N HCl溶液15mlで洗浄した。そのCH2Cl2溶液を相の沈降によって分離した後、濃縮した。得た残留物をクロマトグラフィーによってジクロロメタン/メタノール溶液(96/4)で溶離して精製した。こうして予想した生成物0.40gを得た。
NMR (1H, CDCl3):
1.56 (d, 3H); 4.26 (t, 1H); 4.47 (d, 2H); 5.13 (m, 2H); 6.91 (m, 2H); 7.34 (m, 9H); 7.59 (d, 2H); 7.75 (d, 2H); 8.17 (ブロード s, 1H)。
【0217】
実施例21
5−[1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド
工程1:5−[1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]エチル]−2−チオフェンカルボン酸ヒドラジド
Fmocカルボネートの脱保護を以下の通りに実施した。
ピペリジン2mlを、実施例20で得たチオフェン誘導体0.35gを室温で含有するアセトニトリル溶液10mlに加えた。その媒体を室温で2時間攪拌した後、真空下で濃縮した。残留物をクロマトグラフィーによってCH2Cl2/MeOH溶液(95/5)で溶離して精製した。こうして予想した生成物0.150gを得た。
【0218】
工程2:5−[1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カル
ボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド
実施例3の工程4に記載した操作条件下で、酸−アミンカップリングを実施した。こうして予想した生成物0.050gを得た後、クロマトグラフィーによってジクロロメタン/MeOH溶液(96/4)で溶離して精製した。
【0219】
実施例22
5−[3−メチル−1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ブチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド
工程1:メチル5−(1−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−2−チオフェンカルボキシレート
THF20ml中に溶解した2−チオフェンカルボン酸2.5g(19.5mM、1当量)を、−78℃に冷却したLDAの溶液(THF中2M)22.5ml(44.87nM、2.3当量)に加え、イソバレルアルデヒド1.84g(21.46mM、1当量)を加えた後、その混合物を室温で2時間攪拌した。H2O(150ml)を加え、その混合物をEt2O50mlで洗浄し、クエン酸をpH≒4まで加え、生成した混合物をCH2Cl250mlで抽出した後、有機抽出物をMgSO4上で乾燥した。こうして粗製生成物3.37gを得た後、CH2Cl250ml中に取った。CH22/CH2Cl2(12g/L)60ml(1.65当量)を加えた後、その混合物を室温で3時間攪拌し、そして蒸発乾固した。こうして粗製生成物1.67gを得た後、シリカ上で9/1のn−ヘキサン/EtOAcで溶離して精製した。こうして予想した生成物855mg(37%)を得た。
【0220】
工程2:メチル5−(3−メチル−1−オキソブチル)−2−チオフェンカルボキシレート
上述の工程1で得たチオフェンエステル787mgの懸濁液、MnO22.36g(質量で3の割合)およびCH2Cl215mlを5時間還流しながら攪拌した。生成した混合物を濾過した後、濾液を蒸発乾固した。こうして粗製生成物722mgを得た。
【0221】
工程3:メチル5−(3−メチル−1−ヒドロキシイミノブチル)−2−チオフェンカルボキシレート
塩酸ヒドロキシルアミン319mg(4.59mM、2当量)を、ピリジン5ml中の、上述の工程2で得たチオフェン520mg(2.29mM、1当量)の溶液に加えた後、その混合物を2時間還流しながら攪拌した。そのピリジンを蒸発除去し、2N HCl50mlを加え、生成した混合物をEtOAc50mlで抽出した後、有機抽出物をMgSO4上で乾燥し、そして蒸発乾固した。こうして予想した生成物554mgを得た。
【0222】
工程4:メチル5−(1−アミノ−3−メチルブチル)−2−チオフェンカルボキシレート
CF3CO2H10ml中の、上述の工程3で得たチオフェンヒドロキシアミン550mg(2.28mM、1当量)、亜鉛粉末1.49g(22.8mM、10当量)の懸濁液、CF3CO2Hを蒸発除去した後、残留物をMeOH25ml中に取り、濾過しそして蒸発乾固した。この残留物をCH2Cl250ml中に取り、1N HCl25mlで抽出し、10%NaHCO3でpH≒8にし、EtOAc50mlで抽出し、MgSO4上で乾燥し、そして蒸発乾固した。こうして予想した生成物316mg(61%)を得た。
【0223】
工程5:メチル5−[1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]−3−メチルブチル]−2−チオフェンカルボキシレート
TEA238mg(2.365mM、1.7当量)およびClCO2CH2φ403mg(2.365mM、1.7当量)を、0℃に冷却したTHF10ml中の上述の工程4で得たチオフェンアミン315mg(1.39mM、1当量)の溶液に加えた。THFを蒸発除去した後、残留物をCH2Cl250ml中に取り、2N HCl25mlで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、そして蒸発乾固した。こうして粗製生成物548mgを得た後、シリカ上で9/1のn−ヘキサン/EtOAcで溶離して精製した。こうして予想した生成物312mg(62%)を得た。
【0224】
工程6:5−[1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]−3−メチルブチル]−2−チオフェンカルボン酸
THF6mlおよびH2O3ml中の、上述の工程5で得たチオフェンエステル277mg(0.766mM、1当量)およびLiOH48mg(1.148mM、1.5当量)の溶液を40℃で一晩攪拌した。
THFを蒸発除去し、残留物をCH2Cl225mlで洗浄した後、NaHCO310mlで抽出し、2N HClでpH≒1にし、EtOAc25mlで3回抽出し、水25mlで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、そして蒸発乾固した。こうして予想した生成物280mgを得た。
【0225】
工程7:5−[3−メチル−1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ブチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド
上述の工程6で得たチオフェン酸270mg(0.778mM、1当量)、ケトヒドラジン310mg(1.1mM、1.42当量)、EDC164mg(0.855mM、1.1当量)、HOBT115mg(0.855mM、1.1当量)およびDMF10mlを用いて始めて、実施例3の工程4にすでに記載したものと同じ条件下で作業を実施した。こうして粗製生成物360mgを得た後、シリカ上で95/5のCH2Cl2/MeOHで溶離して精製した。こうして予想した生成物310mg(67%)を、ジアステレオイソマーの混合物の形態で得た。NMR (1H, DMSO)
0.89 (m): 12H (CH3)2-CH-CH2
1.71 (m): 2H (CH2)2-CH-CH2
1.54 (m): 4H (CH2)2-CH-CH2
4.16 (ddd): 1H CO-CH-NH
7.53 (ブロード d): 1H CO-CH-NH
4.83 (ddd): 1H C=C-CH-NH-
7.48 (ブロード d): 1H C=C-CH-CH
5.03 (ブロード s): 4H O-CH2
7.00 (d) および 7.66 (d): 2H Ha および Hb
7.27-7.39 (m): 10H 芳香族
10.05 (ブロード s) および 10.32 (ブロード s): 2H CO-NH-NH-CO
【0226】
実施例23
5−[3−メチル−1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ブチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド異性体A
【0227】
実施例24
5−[3−メチル−1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ブチル]−2−チオフェンカルボン酸[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド異性体B
キラルカラム上での実施例22の生成物50mgの精製および分離後に、実施例23である異性体A、および実施例24である異性体Bを得た。
NMR 実施例23 異性体A
0.89 (m) 12H: the (CH3)2-CH-CH2
1.43-1.78 (m) 6H: the (CH3)2-CH-CH2
4.15 (ddd) 1H: CO-CH-NH
7.52 (ブロード d) 1H: CO-CH-NH
4.83 (ddd) 1H: =C-CH-NH
7.96 (ブロード d) 1H: =C-CH-NH
5.03 (ブロード s) 4H: the O-CH2-フェニル
7.34 (m) 10H: the O-CH2-フェニル
6.98 (d), 7.63 (d) 2H: Ha および Hb
10.07 (ブロード s) 2H: NH-NH
NMR 実施例24 異性体B
0.89 (m) 12H: the (CH3)2-CH-CH2
1.46-1.78 (m) 6H: the(CH3)2-CH-CH2
4.13 (ddd) 1H: CO-CH-NH
7.53 (ブロード d) 1H: CO-CH-NH
4.82 (ddd) 1H: =C-CH-NH
7.93 (ブロード d) 1H: =C-CH-NH
5.04 (ブロード s) 4H: the O-CH2-フェニル
7.35 (m) 10H: the O-CH2-フェニル
6.96 (d), 7.56 (ブロード s) 2H: Ha および Hb
10.02 (ブロード s) 10.37 (ブロード s) 2H: NH-NH
【0228】
実施例25
医薬組成物
以下の配合に相当する錠剤を調製した:
実施例1の生成物 0.2g
最終的な錠剤に対する賦形剤の秤量値 1g
(賦形剤の詳細:乳糖、タルク、デンプン、ステアリン酸マグネシウム)
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】

(式中:
R1は、8個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルまたはアルコキシ基であって、単環式基か、14環員までの飽和または不飽和の、縮合環の炭素環式基であるか、またはO、N、NHまたはSである1個または2個以上の同一または異なった複素原子を含む複素環式基で置換され、そしてこの単環式基または縮合環からなる基はそれ自体場合によって以下に示す通りに置換されるものであるか、またはそれ自体が基−C(O)−O−R7または−C(O)−R7で場合により置換されるアミノ基、のいずれかで置換される基を表し、
R2は、
a)8個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基であって、場合により、基−NH−C(O)−O−R7、基−NH−C(O)−alk−NH−C(O)−O−R7、単環式基か、14環員までの飽和または不飽和の、縮合環の炭素環式基であるか、またはO、N、NHまたはSである1個または2個以上の同一または異なった複素原子を含む複素環式基で置換され、そしてこの単環式基または縮合環からなる基はそれ自体場合によって以下に示す通りに置換されるもの、
b)フェニル基であって、場合により6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシ基で置換されたもの、またはアリールアルコキシ基であって、これらのアルコキシ基およびアリールアルコキシ基自体は場合によって以下に示す通りに置換されるもの、
c)ナフチル基であって、場合により以下に示す通りに置換されるもの、
d)アミノ基であって、場合により6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基、基−C(O)−alk−NH−C(O)−O−R7およびアリールアルキル基から選ばれる1個または2個の同一または異なってよい基で置換されるもので、これらの基自体は場合によってアルコキシフェノキシ基(ここで直鎖または分枝鎖のアルコキシ基は6個までの炭素原子を有する)で置換され、これらアルキル、アリールアルキル、アルコキシおよびアルコキシフェノキシ基自体は場合によって以下に示す通りに置換されるもの、
e)>=N−O−R8
を表し、
R3およびR4は、同一または異なり、水素原子、またはアルキル、アリールアルキルもしくはアリール基(ここで、アルキル基は6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖であり、アリール基は10個までの炭素原子を有する)を表し、これらのアルキル、アリールアルキルおよびアリール基は場合によりハロゲン原子、ヒドロキシル基、または4個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキルもしくはアルコキシ基で置換され、
R5およびR6は、同一または異なり、水素原子、ヒドロキシル基、および6個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキルおよびアルコキシ基から選ばれ、これらアルキルおよびアルコキシ基自体は場合によって以下に示す通りに置換されるものであり、
R7は、6個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基であって、場合により置換されたアリールまたはヘテロアリール(インダゾリル)基で場合により置換されたものを表し、
R8は、水素原子、または場合によりアリール(フェニル)基で置換された6個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基を表し、場合により置換されるものであると上述で示したすべての、アルキルおよびアルコキシ基、単環式基、もしくは縮合環、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、アリールアルコキシおよびアルコキシフェノキシ基からなる基は、場合により、ハロゲン原子;ヒドロキシル基;6個までの炭素原子を有するアルキル、アルケニル,アルキルチオ、またはアルコキシ;6環員までのシクロアルキル;7個までの炭素原子を有するアシル;シアノ;ニトロ;遊離型か、塩型かまたはエステル型のカルボキシル;テトララゾリル;インダゾリル;−NH2、−NH(alk)または−N(alk)(alk);−SO2−NH−CO−NHR5(ここでR5はalkまたはフェニルを表す);−C(O)−NH2、−C(O)−NH(alk)、−C(O)−N(alk)(alk)、 −NH−C(O)−(alk)、−N(alk)−C(O)−(alk);および4個までの炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシ基で場合によりそれ自体置換されたフェニルから選ばれる1個またはそれ以上の基で置換されるものであり、alkは4個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基を表すものである)
の化合物、式(I)の化合物のすべての可能なラセミ体、鏡像異性体およびジアステレオ異性体の形態のもの、ならびに上記式(I)の化合物と無機もしくは有機の酸との、または無機塩基もしくは有機塩基との付加塩。
【請求項2】
式(Ia)
【化2】

(式中:
R1aは、8個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルまたはアルコキシ基であって、フェニル基か、14環員までの飽和または不飽和の、炭素環式の縮合環およびそれ自体基−C(O)−O−R7aまたは−C(O)−R7aで場合により置換されるアミノ基からなる基で置換されるもので、このフェニル基および飽和または不飽和の、炭素環式の縮合環からなるこれらの基は場合によって以下に示す通りに置換されるものであり、
R2aは、
a)6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基であって、基NH−C(O)−O−R7aおよび基−NH−C(O)−alk−NH−C(O)−O−R7から選ばれる1個またはそれ以上の基、フェニル基、並びに10環員までの飽和または不飽和の複素環式基で、場合により置換されるもの、
b)フェニル基であって、6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシ基、またはベンジルオキシ基で場合により置換されるもの、
c)ナフチル基、
d)アミノ基であって、場合により4個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基、基−C(O)−alk−NH−C(O)−O−R7aおよびベンジル基から選ばれる1個または2個の同一または異なっていてよい基で置換されるもので、これらの基自体は場合によってアルコキシフェノキシ基(このアルコキシ基は4個までの炭素原子を有する)で置換されるもの、
e)>=N−O−R8a
を表し、
R3aおよびR4aは、同一または異なり、水素原子、6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基であるかまたは、場合によりヒドロキシル基か4個までの炭素原子を有するアルコキシ基で置換されたフェニル基であり、
R5aおよびR6aは、同一または異なり、水素原子、ヒドロキシル基、および6個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキルもしくはアルコキシ基から選ばれ、場合によってフェニルまたはインダゾリル基で置換されるものであり、
R7aは、4個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキルであって、場合によりフェニル基またはインダゾリル基で置換されたものを表し、
R8aは、水素原子または、場合によりフェニル基で置換された4個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基を表し、
alkは4個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基を表すものとする)
に相当する、請求項1に記載の式(I)の化合物、式(Ia)の化合物のすべての可能なラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体の形態のもの、ならびに(Ia)の化合物と無機もしくは有機の酸との、または無機塩基もしくは有機塩基との付加塩。
【請求項3】
式(Ib)
【化3】

(式中:
R1bは、6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルまたはアルコキシ基であって、フェニルおよびフルオレン基(実施例1および実施例20)およびそれ自体基−C(O)−O−R7bまたは−C(O)−R7bで場合により置換されるアミノ基から選ばれる基で置換されるものであり、
R2bは、
a)6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基であって、場合により、基−NH−C(O)−O−R7bおよび基−NH−C(O)−alk−NH−C(O)−O−R7b、フェニル、ピリジル、ピペリジル、ベンゾフリル、モルフォリニル、キノリル、インドリル、ベンゾイミダゾリル並びにインダゾリル基から選ばれる1個またはそれ以上の基で置換されるもの、
b)フェニル基であって、4個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシ基、またはベンジルオキシ基で場合により置換されるもの、
c)ナフチル基、
d)アミノ基であって、4個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基、基−C(O)−alk−NH−C(O)−O−ベンジルおよびベンジル基から選ばれる1個または2個の同一または異なった基で場合により置換されるもので、これらの基自体は場合によってアルコキシフェノキシ基(ここでアルコキシ基は4個までの炭素原子を有する)で置換されるもの、
e)>=N−O−R8a
を表し、
R3bおよびR4bは、水素原子を表し、
R5bおよびR6bは、同一または異なり、水素原子、ヒドロキシル基、および4個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキルもしくはアルコキシ基で、場合によってフェニル基で置換されるものであり、
R7bは、4個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基であって、場合によりフェニル基またはインダゾリルで置換されたものを表し、
R8bは、水素原子またはベンジル基を表し、
alkは4個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基を表すものとする)
に相当する、請求項1または2に記載の式(I)の化合物、式(Ib)の化合物のすべての可能なラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体の形態のもの、ならびに(Ib)の化合物と無機もしくは有機の酸との、または無機塩基もしくは有機塩基との付加塩。
【請求項4】
R3、R3a、R4、R4a、R5、R5a、R5b、R6、R6a、およびR6bが水素原子を表す請求項1〜3のいずれかに記載された式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物であって、この式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物のすべての可能なラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体の形態のもの、ならびに上記化合物(I)、(Ia)または(Ib)と無機または有機の酸との、または無機塩基または有機塩基との付加塩。
【請求項5】
次の式(I)の化合物:
−5−[(2S)−1−[[4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)−カルボニル]アミノ]ペンチル]アミノ]エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド、
−5−[1−(ヒドロキシイミノ)エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[[(9H−フルオレン−9−イル)メトキシ]カルボニル]ヒドラジド、
−5−[2−(フェニルメトキシ)フェニル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)−カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド、
−5−[[[3−(4−メトキシフェノキシ)フェニル]メチル](フェニルメチル)アミノ]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド、
−5−[1−[(フェニルメトキシ)イミノ]エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド、
−5−[1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[[(9H−フルオレン−9−イル)メトキシ]カルボニル]ヒドラジド、
−5−[1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド、
−5−[3−メチル−1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ブチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド、
−5−[3−メチル−1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ブチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド異性体A、
−5−[3−メチル−1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ブチル]−2−チオフェンカルボン酸[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド異性体B、
ならびに式(I)の前述の化合物と無機および有機の酸と、または無機および有機の塩基との付加塩。
【請求項6】
請求項1に定義された式(I)の化合物を製造する方法であって、使用する出発物質は
式(II)
【化4】

(式中、Wは、水素原子、ハロゲン原子またはニトロ基を表し、R5′およびR6′は、R5およびR6に対して請求項1で与えられた意味をそれぞれ有し、任意の反応性官能基は場合により保護基で保護されている)の化合物であり、
Wの意味に応じて、式(II)の化合物を以下の反応に付すものとする:
a)Wが水素原子を表す場合には、式(II)の化合物を経路i)またはii)の反応に付す:
経路i)式(II)(式中、Wは水素原子を表す)の化合物を、式(III)
R2′−Br (III)
(式中、R2′は、R2に対して請求項1で与えられた意味を有し、任意の反応性官能基は場合により保護基で保護されている)のブロモ誘導体の作用に付して、式(IV)
【化5】

(式中、R2′、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とし、R2′が−CH2−フェニル基を表す場合には、式(IV1)
【化6】

(式中、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とし、この化合物を、式(III)の化合物を用いる第2の反応に付して、式(IV2)
【化7】

(式中、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とし、
この式(IV)、(IV1)および(IV2)の化合物をエステル化反応に付して、式(V)、(V1)および(V2)
【化8】

(式中、R2′、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有し、そしてalkは、4個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基を表す)の相当する化合物とする、
経路ii)式(II)(式中、Wは水素原子を表す)の化合物を、式(VI)
Rc−OH (VI)
(式中、Rcは、6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基を表す)のアルコールを用いるエステル化反応に付し、
式(VII)
【化9】

(式中、Rc、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とし、
この式(VII)の化合物を式(VIII)
Rd−CHO (VIII)
(式中、Rdは、水素原子、上述の定義の通りであるアルキル基、または単環式の基または飽和もしくは不飽和の炭素環式もしくは複素環式の14員環までの縮合環から成り、1つもしくはそれ以上の同一もしくは異なるヘテロ原子O、N、NHもしくはSを有する基であってそれら自体が場合により置換される基を表す)のアルデヒドとの反応に付して、式(IX)
【化10】

(式中、Rc、Rd、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とし、
この式(IX)の化合物を式(X)
H2N−CH2−ORe (X)
(式中、Reは、場合により置換されたアリールアルキル基を表す)のアミンと反応させて、式(XI)
【化11】

(式中、Rc、Rd、Re、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とし、
この式(XI)の化合物を選択的還元反応に付して、式(XII)
【化12】

(式中、Rd、Re、Rf、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とし、
この式(XI)および(XII)の化合物を還元反応に付して、式(XIII)
【化13】

(式中、Rd、Rf、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の相当する化合物とし、
この式(XIII)の化合物をけん化反応に付して、式(XIV)
【化14】

(式中、Rd、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の相当する化合物とし、
この式(XIV)の化合物を式(XV)
【化15】

(式中、R1′は、R1に対して請求項1で与えられた意味を有し、任意の反応性官能基は場合により保護基で保護されている)の化合物と反応させて、式(I′x)
【化16】

(式中、R1′、Rd、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有し、そしてRhは、上述の定義の通りであるR7を有する−C(O)−O−R7または−C(O)−alk−NH−C(O)−O−R7を表す)の化合物とする、
b)Wがハロゲン原子を表す場合には、式(II)の化合物を、上述の定義の通りである式(VI)のアルコールを用いたエステル化反応に付して、式(XVI)
【化17】

(式中、Rc、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有し、そしてHalはハロゲン原子を表す)の化合物とし、
この式(XVI)の化合物を、式(XVII)
R2′−B(OH)2 (XVII)
(式中、R2′は、上述で与えられた意味を有する)のホウ素誘導体との反応に付して、式(XVIII)
【化18】

(式中、Rc、R2′、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とするか、
または、式(XVI)の化合物を、式(XIX)
NH−RaRb (XIX)
(式中、RaおよびRbは、同一または異なっていてよく、上述の定義の通り場合により置換されているアルキルまたはアリール基を表す)の化合物との反応に付して、式(XX)
【化19】

(式中、Rc、Ra、Rb、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とする、
c)Wがニトロ基を表す場合には、式(II)の化合物を、上述の定義の通りである式(
VI)のアルコールを用いたエステル化反応に付して、式(XXI)
【化20】

(式中、Rc、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とし、
この式(XXI)の化合物を式(XXII)
RaRbHal (XXII)
(式中、RaおよびRbは、上述で与えられた意味を有し、そしてHalはハロゲン原子を表す)のハロゲン誘導体を用いた反応に付して、
上述の定義の通りである式(XX)の化合物とし、
上述の定義の通りである式(IV)、(IV1)、(IV2)、(V)、(V1)、(V2)、(スキームI)(XVIII)および(XX)の化合物を、ジアミンNH2−NH2と反応させて、式(XXIII)
【化21】

(式中、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有し、そしてR2wは、−CH2−フェニル、−(CH)フェニル−CH2(フェニル)、上述の定義の通りであるR2
′またはNRaRbを表す)の化合物とし、
この式(XXIII)の化合物を式(XXIV)
R1′−COOH (XXIV)
(式中、R1′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物を用いた反応に付して、式(I′y)
【化22】

(式中、R1′、R2w、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とし、
この式(I′x)および(I′y)の化合物は、式(I)の化合物であってよく、そして式(I)の化合物または他の化合物を得るためには、所望する場合および必要な場合には、1つまたはそれ以上の下記の変換反応:
a)酸性官能基のエステル化反応、
b)エステル官能基の酸性官能基へのけん化反応、
c)アルキルチオ基の相当するスルホキシドまたはスルホンへの酸化反応、
d)ケトン官能基のオキシム官能基への変換反応、
e)遊離型またはエステル型のカルボキシル官能基のアルコール官能基への還元反応、
f)アルコキシ官能基のヒドロキシル官能基への、またはヒドロキシル官能基のアルコキシ官能基への変換反応、
g)アルコール官能基のアルデヒド、酸性またはケトン官能基への酸化反応、
h)ニトリル基のテトラゾリルへの変換反応、
i)ボロンでありうる保護反応官能基によって生じた保護基を除去するための反応、
j)無機もしくは有機の酸、または塩基を用いて相当する塩を得る塩形成反応、
k)ラセミ型のものを、分割された化合物に分割する反応、
に任意の順序で付してよく、
こうして得た式(I)の前述の化合物は、あらゆる可能なラセミ体、鏡像体またはジアステレオ異性体の形態である、
ことを特徴とする、上記の方法。
【請求項7】
医薬品としての、請求項1の定義の通りである式(I)の化合物、ならびにまた、無機および有機の酸を用いたまたは無機および有機の塩基を用いた式(I)の該化合物の薬学的に許容し得る付加塩。
【請求項8】
医薬品としての、請求項2〜4の定義の通りである式(Ia)または(Ib)に相当する式(I)の化合物、ならびにまた、無機および有機の酸を用いたまたは無機および有機の塩基を用いた式(Ia)および(Ib)の該化合物の薬学的に許容し得る付加塩。
【請求項9】
医薬品としての、請求項5の定義の通りである式(I)の化合物、ならびにまた、無機および有機の酸を用いたまたは無機および有機の塩基を用いた式(I)の該化合物の薬学的に許容し得る付加塩。
【請求項10】
有効成分として、請求項7〜9のいずれか1項の定義の通りである少なくとも1つの医薬品を含有する医薬組成物。
【請求項11】
システインプロテアーゼ、例えば特にカテプシンB、H、J、L、N、S、T、C、V、W、KもしくはO、O2またはパパインの分泌および/または活性における異常な生理学的作用に関連する疾患を予防または治療する医薬品を製造するための、請求項1〜5のいずれか1項の定義の通りである式(I)の化合物、または式(I)の該化合物の薬学的に許容し得る塩の使用。
【請求項12】
カテプシンKの分泌および/または活性における異常な生理学的作用に関連する疾患を予防または治療するための医薬品を製造するための、請求項11の定義の通りである使用。
【請求項13】
軟骨および骨の代謝障害、増殖性疾患、癌、心血管疾患、再狭窄、中枢神経系疾患、免疫系疾患、アレルギー、感染性および炎症性疾患ならびに自己免疫疾患を予防または治療する医薬品を製造するための、請求項1〜5のいずれか1項の定義の通りである式(I)の化合物、または式(I)の該化合物の薬学的に許容し得る塩の使用。
【請求項14】
予防または治療する疾患が、軟骨および骨の代謝疾患、増殖性疾患、癌、ならびに神経変性疾患、例えばアルツハイマー病から選ばれることを特徴とする、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
予防または治療する疾患が、軟骨および骨の代謝疾患ならびに骨癌から選ばれることを特徴とする、請求項13に記載の使用。
【請求項16】
予防または治療する疾患が、特に骨粗鬆症、歯肉炎および歯周症を含む歯肉疾患、関節炎、例えば特に変形性関節症および関節リウマチ、パジェット病、高カルシウム血症ならびに骨癌であることを特徴とする、請求項13に記載の使用。
【請求項17】
予防または治療する疾患が、特に骨粗鬆症であることを特徴とする、請求項13に記載
の使用。
【請求項18】
新規な工業製品としての、上述の定義の通りである式(XIII)、(XIV)または(XXIII)の化合物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】

(式中:
R1は、8個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルまたはアルコキシ基であって、単環式基か、または14環員までの飽和または不飽和の、炭素環式、またはO、N、NHまたはSである1個または2個以上の同一または異なった複素原子を含む複素環式の縮合環からなる基で置換され、そしてこの単環式基または縮合環からなる基はそれ自体場合によって以下に示す通りに置換されるものであるか、またはそれ自体が基−C(O)−O−R7または−C(O)−R7で場合により置換されるアミノ基、のいずれかで置換される基を表し、
R2は、
a)8個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基であって、場合により、基−NH−C(O)−O−R7、基−NH−C(O)−alk−NH−C(O)−O−R7、単環式基か、または14環員までの飽和または不飽和の、炭素環式、またはO、N、NHまたはSである1個または2個以上の同一または異なった複素原子を含む複素環式の縮合環からなる基で置換され、そしてこの単環式基または縮合環からなる基はそれ自体場合によって以下に示す通りに置換されるもの、
b)フェニル基であって、場合により6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシ基で置換されたもの、またはアリールアルコキシ基であって、これらのアルコキシ基およびアリールアルコキシ基自体は場合によって以下に示す通りに置換されるもの、
c)ナフチル基であって、場合により以下に示す通りに置換されるもの、
d)アミノ基であって、場合により6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のア
ルキル基、基−C(O)−alk−NH−C(O)−O−R7およびアリールアルキル基から選ばれる1個または2個の同一または異なってよい基で置換されるもので、これらの基自体は場合によってアルコキシフェノキシ基(ここで直鎖または分枝鎖のアルコキシ基は6個までの炭素原子を有する)で置換され、これらアルキル、アリールアルキル、アルコキシおよびアルコキシフェノキシ基自体は場合によって以下に示す通りに置換されるもの、
e)>=N−O−R8
を表し、
R3およびR4は、同一または異なっていてもよく、水素原子、またはアルキル、アリールアルキルもしくはアリール基(ここで、アルキル基は6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖であり、アリール基は10個までの炭素原子を有する)を表し、これらのアルキル、アリールアルキルおよびアリール基は場合によりハロゲン原子、ヒドロキシル基、または4個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキルもしくはアルコキシ基で置換され、
R5およびR6は、同一または異なっていてもよく、水素原子、ヒドロキシル基、および6個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキルおよびアルコキシ基から選ばれ、これらアルキルおよびアルコキシ基自体は場合によって以下に示す通りに置換されるものであり、
R7は、6個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基であって、場合により置換されたアリールまたはヘテロアリール(インダゾリル)基で場合により置換されたものを表し、
R8は、水素原子、または場合によりアリール(フェニル)基で置換された6個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基を表し、場合により置換されるものであると上述で示したすべての、アルキルおよびアルコキシ基、単環式基、もしくは縮合環、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、アリールアルコキシおよびアルコキシフェノキシ基からなる基は、場合により、ハロゲン原子;ヒドロキシル基;6個までの炭素原子を有するアルキル、アルケニル,アルキルチオ、またはアルコキシ;6環員までのシクロアルキル;7個までの炭素原子を有するアシル;シアノ;ニトロ;遊離型か、塩型かまたはエステル型のカルボキシル;テトラゾリル;インダゾリル;−NH2、−NH(alk)または−N(alk)(alk);−SO2−NH−CO−NHR5(ここでR5はalkまたはフェニルを表す);−C(O)−NH2、−C(O)−NH(alk)、−C(O)−N(alk)(alk)、 −NH−C(O)−(alk)、−N(alk)−C(O)−(alk);および4個までの炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシ基で場合によりそれ自体置換されたフェニルから選ばれる1個またはそれ以上の基で置換されるものであり、alkは4個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基を表すものである)
の化合物、式(I)の化合物のすべての可能なラセミ体、鏡像異性体およびジアステレオ異性体の形態のもの、ならびに上記式(I)の化合物と無機もしくは有機の酸との、または無機塩基もしくは有機塩基との付加塩。
【請求項2】
式(Ia)
【化2】

(式中:
R1aは、8個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルまたはアルコキシ基であって、フェニル基か、14環員までの飽和または不飽和の、炭素環式縮合環からな
る基またはそれ自体基−C(O)−O−R7aまたは−C(O)−R7aで場合により置換されるアミノ基で置換されるもので、このフェニル基および飽和または不飽和の、炭素環式縮合環からなるこれらの基は場合によって以下に示す通りに置換されるものであり、
R2aは、
a)6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基であって、基NH−C(O)−O−R7aおよび基−NH−C(O)−alk−NH−C(O)−O−R7aから選ばれる1個またはそれ以上の基、フェニル基、並びに10環員までの飽和または不飽和の複素環式基で、場合により置換されるもの、
b)フェニル基であって、6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシ基、またはベンジルオキシ基で場合により置換されるもの、
c)ナフチル基、
d)アミノ基であって、場合により4個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基、基−C(O)−alk−NH−C(O)−O−R7aおよびベンジル基から選ばれる1個または2個の同一または異なっていてよい基で置換されるもので、これらの基自体は場合によってアルコキシフェノキシ基(このアルコキシ基は4個までの炭素原子を有する)で置換されるもの、
e)>=N−O−R8a
を表し、
R3aおよびR4aは、同一または異なっていてもよく、水素原子、6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基であるかまたは、場合によりヒドロキシル基か4個までの炭素原子を有するアルコキシ基で置換されたフェニル基であり、
R5aおよびR6aは、同一または異なっていてもよく、水素原子、ヒドロキシル基、および6個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキルもしくはアルコキシ基から選ばれ、場合によってフェニルまたはインダゾリル基で置換されるものであり、
R7aは、4個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキルであって、場合によりフェニル基またはインダゾリル基で置換されたものを表し、
R8aは、水素原子または、場合によりフェニル基で置換された4個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基を表し、
alkは4個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基を表すものとする)
に相当する、請求項1に記載の式(I)の化合物、式(Ia)の化合物のすべての可能なラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体の形態のもの、ならびに(Ia)の化合物と無機もしくは有機の酸との、または無機塩基もしくは有機塩基との付加塩。
【請求項3】
式(Ib)
【化3】

(式中:
R1bは、6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルまたはアルコキシ基であって、フェニルおよびフルオレン基またはそれ自体基−C(O)−O−R7bまたは−C(O)−R7bで場合により置換されるアミノ基から選ばれる基で置換されるものであり、
R2bは、
a)6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基であって、場合により
、基−NH−C(O)−O−R7bおよび基−NH−C(O)−alk−NH−C(O)−O−R7b、フェニル、ピリジル、ピペリジル、ベンゾフリル、モルフォリニル、キノリル、インドリル、ベンゾイミダゾリル並びにインダゾリル基から選ばれる1個またはそれ以上の基で置換されるもの、
b)フェニル基であって、4個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシ基、またはベンジルオキシ基で場合により置換されるもの、
c)ナフチル基、
d)アミノ基であって、4個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基、基−C(O)−alk−NH−C(O)−O−ベンジルおよびベンジル基から選ばれる1個または2個の同一または異なっていてもよい基で場合により置換されるもので、これらの基自体は場合によってアルコキシフェノキシ基(ここでアルコキシ基は4個までの炭素原子を有する)で置換されるもの、
e)>=N−O−R8a
を表し、
R3bおよびR4bは、水素原子を表し、
R5bおよびR6bは、同一または異なっていてもよく、水素原子、ヒドロキシル基、および4個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキルもしくはアルコキシ基で、場合によってフェニル基で置換されるものであり、
R7bは、4個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基であって、場合によりフェニル基またはインダゾリルで置換されたものを表し、
R8bは、水素原子またはベンジル基を表し、
alkは4個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基を表すものとする)
に相当する、請求項1または2に記載の式(I)の化合物、式(Ib)の化合物のすべての可能なラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体の形態のもの、ならびに(Ib)の化合物と無機もしくは有機の酸との、または無機塩基もしくは有機塩基との付加塩。
【請求項4】
R3、R3a、R4、R4a、R5、R5a、R5b、R6、R6a、およびR6bが水素原子を表す請求項1〜3のいずれかに記載された式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物であって、この式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物のすべての可能なラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体の形態のもの、ならびに上記化合物(I)、(Ia)または(Ib)と無機もしくは有機の酸との、または無機塩基もしくは有機塩基との付加塩。
【請求項5】
次の式(I)の化合物:
−5−[(2S)−1−[[4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)−カ
ルボニル]アミノ]ペンチル]アミノ]エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒ
ドラジド、
−5−[1−(ヒドロキシイミノ)エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[[(9H−フルオレン−9−イル)メトキシ]カルボニル]ヒドラジド、
−5−[2−(フェニルメトキシ)フェニル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S
)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)−カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド、
−5−[[[3−(4−メトキシフェノキシ)フェニル]メチル](フェニルメチル)アミ
ノ]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド、
−5−[1−[(フェニルメトキシ)イミノ]エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[
(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド、
−5−[1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[[(9H−フルオレン−9−イル)メトキシ]カルボニル]ヒドラジド、
−5−[1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]エチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)カルボニ
ル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド、
−5−[3−メチル−1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ブチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキ
シ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド、
−5−[3−メチル−1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ブチル]−2−チオフェンカルボン酸2−[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキ
シ)カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド異性体A、または
−5−[3−メチル−1−[[(フェニルメトキシ)カルボニル]アミノ]ブチル]−2−チオフェンカルボン酸[(2S)−4−メチル−1−オキソ−2−[[(フェニルメトキシ)
カルボニル]アミノ]ペンチル]ヒドラジド異性体B、
ならびに式(I)の前述の化合物と無機もしくは有機の酸と、または無機もしくは有機の塩基との付加塩。
【請求項6】
請求項1に定義された式(I)の化合物を製造する方法であって、使用する出発物質は式(II)
【化4】

(式中、Wは、水素原子、ハロゲン原子またはニトロ基を表し、R5′およびR6′は、R5およびR6に対して請求項1で与えられた意味をそれぞれ有し、任意の反応性官能基は場合により保護基で保護されている)の化合物であり、
Wの意味に応じて、式(II)の化合物を以下の反応に付すものとする:
a)Wが水素原子を表す場合には、式(II)の化合物を経路i)またはii)の反応に付す:
経路i)式(II)(式中、Wは水素原子を表す)の化合物を、式(III)
R2′−Br (III)
(式中、R2′は、R2に対して請求項1で与えられた意味を有し、任意の反応性官能基は場合により保護基で保護されている)のブロモ誘導体の作用に付して、式(IV)
【化5】

(式中、R2′、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とし、R2′が−CH2−フェニル基を表す場合には、式(IV1)
【化6】

(式中、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とし、この化合物を、式(III)の化合物を用いる第2の反応に付して、式(IV2)
【化7】

(式中、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とし、
この式(IV)、(IV1)および(IV2)の化合物をエステル化反応に付して、式(V)、
(V1)および(V2)
【化8】

(式中、R2′、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有し、そしてalkは、4個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基を表す)の相当する化合物とする、
経路ii)式(II)(式中、Wは水素原子を表す)の化合物を、式(VI)
Rc−OH (VI)
(式中、Rcは、6個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基を表す)のアルコールを用いるエステル化反応に付し、
式(VII)
【化9】

(式中、Rc、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とし、
この式(VII)の化合物を式(VIII)
Rd−CHO (VIII)
(式中、Rdは、水素原子、上述の定義の通りであるアルキル基、または単環式の基または飽和もしくは不飽和の炭素環式もしくは複素環式の14員環までの縮合環から成り、1つもしくはそれ以上の同一もしくは異なるヘテロ原子O、N、NHもしくはSを有する基であってそれら自体が場合により置換される基を表す)のアルデヒドとの反応に付して、式(IX)
【化10】

(式中、Rc、Rd、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とし、
この式(IX)の化合物を式(X)
H2N−CH2−ORe (X)
(式中、Reは、場合により置換されたアリールアルキル基を表す)のアミンと反応させて、式(XI)
【化11】

(式中、Rc、Rd、Re、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とし、
この式(XI)の化合物を選択的還元反応に付して、式(XII)
【化12】

(式中、Rd、Re、Rf、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とし、
この式(XI)および(XII)の化合物を還元反応に付して、式(XIII)
【化13】

(式中、Rd、Rf、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の相当する化合物とし、
この式(XIII)の化合物をけん化反応に付して、式(XIV)
【化14】

(式中、Rd、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の相当する化合物とし、
この式(XIV)の化合物を式(XV)
【化15】

(式中、R1′は、R1に対して請求項1で与えられた意味を有し、任意の反応性官能基は場合により保護基で保護されている)の化合物と反応させて、式(I′x)
【化16】

(式中、R1′、Rd、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有し、そしてRhは、上述の定義の通りであるR7を有する−C(O)−O−R7または−C(O)−alk−NH−C(O)−O−R7を表す)の化合物とする、
b)Wがハロゲン原子を表す場合には、式(II)の化合物を、上述の定義の通りである式(VI)のアルコールを用いたエステル化反応に付して、式(XVI)
【化17】

(式中、Rc、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有し、そしてHalはハロゲン原子を表す)の化合物とし、
この式(XVI)の化合物を、式(XVII)
R2′−B(OH)2 (XVII)
(式中、R2′は、上述で与えられた意味を有する)のホウ素誘導体との反応に付して、
式(XVIII)
【化18】

(式中、Rc、R2′、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とするか、
または、式(XVI)の化合物を、式(XIX)
NH−RaRb (XIX)
(式中、RaおよびRbは、同一または異なっていてよく、上述の定義の通り場合により置換されているアルキルまたはアリール基を表す)の化合物との反応に付して、式(XX)
【化19】

(式中、Rc、Ra、Rb、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とする、
c)Wがニトロ基を表す場合には、式(II)の化合物を、上述の定義の通りである式(VI)のアルコールを用いたエステル化反応に付して、式(XXI)
【化20】

(式中、Rc、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とし、
この式(XXI)の化合物を式(XXII)
RaRbHal (XXII)
(式中、RaおよびRbは、上述で与えられた意味を有し、そしてHalはハロゲン原子を表す)のハロゲン誘導体を用いた反応に付して、
上述の定義の通りである式(XX)の化合物とし、
上述の定義の通りである式(IV)、(IV1)、(IV2)、(V)、(V1)、(V2)、(スキームI)(XVIII)および(XX)の化合物を、ジアミンNH2−NH2と反応させて
、式(XXIII)
【化21】

(式中、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有し、そしてR2wは、−CH2−フェニル、−(CH)フェニル−CH2(フェニル)、上述の定義の通りであるR2
′またはNRaRbを表す)の化合物とし、
この式(XXIII)の化合物を式(XXIV)
R1′−COOH (XXIV)
(式中、R1′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物を用いた反応に付して、式(I′y)
【化22】

(式中、R1′、R2w、R5′およびR6′は、上述で与えられた意味を有する)の化合物とし、
この式(I′x)および(I′y)の化合物は、式(I)の化合物であってよく、そして式(I)の化合物または他の化合物を得るためには、所望する場合および必要な場合には、1つまたはそれ以上の下記の変換反応:
a)酸性官能基のエステル化反応、
b)エステル官能基の酸性官能基へのけん化反応、
c)アルキルチオ基の相当するスルホキシドまたはスルホンへの酸化反応、
d)ケトン官能基のオキシム官能基への変換反応、
e)遊離型またはエステル型のカルボキシル官能基のアルコール官能基への還元反応、
f)アルコキシ官能基のヒドロキシル官能基への、またはヒドロキシル官能基のアルコキシ官能基への変換反応、
g)アルコール官能基のアルデヒド、酸またはケトン官能基への酸化反応、
h)ニトリル基のテトラゾリルへの変換反応、
i)保護反応官能基によって担持されうる保護基を除去するための反応、
j)無機もしくは有機の酸、または塩基を用いて相当する塩を得る塩形成反応、
k)ラセミ型のものを、分割された化合物に分割する反応、
に任意の順序で付してよく、
こうして得た式(I)の前述の化合物は、あらゆる可能なラセミ体、鏡像体またはジアステレオ異性体の形態である、
ことを特徴とする、上記の方法。
【請求項7】
医薬品としての、請求項1の定義の通りである式(I)の化合物、ならびにまた、無機もしくは有機の酸を用いたまたは無機もしくは有機の塩基を用いた式(I)の該化合物の薬学的に許容し得る付加塩。
【請求項8】
医薬品としての、請求項2〜4の定義の通りである式(Ia)または(Ib)に相当する式(I)の化合物、ならびにまた、無機もしくは有機の酸を用いたまたは無機もしくは有機の塩基を用いた式(Ia)および(Ib)の該化合物の薬学的に許容し得る付加塩。
【請求項9】
医薬品としての、請求項5の定義の通りである式(I)の化合物、ならびにまた、無機もしくは有機の酸を用いたまたは無機もしくは有機の塩基を用いた式(I)の該化合物の薬学的に許容し得る付加塩。
【請求項10】
有効成分として、請求項7〜9のいずれか1項の定義の通りである医薬品を少なくとも1つ含有する医薬組成物。
【請求項11】
システインプロテアーゼ、例えば特にカテプシンB、H、J、L、N、S、T、C、V、W、KもしくはO、O2またはパパインの分泌および/または活性における異常な生理学的作用に関連する疾患を予防または治療する医薬品を製造するための、請求項1〜5のいずれか1項の定義の通りである式(I)の化合物、または式(I)の該化合物の薬学的
に許容し得る塩の使用。
【請求項12】
カテプシンKの分泌および/または活性における異常な生理学的作用に関連する疾患を予防または治療するための医薬品を製造するための、請求項11の定義の通りである使用。
【請求項13】
軟骨および骨の代謝障害、増殖性疾患、癌、心血管疾患、再狭窄、中枢神経系疾患、免疫系疾患、アレルギー、感染性および炎症性疾患ならびに自己免疫疾患を予防または治療する医薬品を製造するための、請求項1〜5のいずれか1項の定義の通りである式(I)の化合物、または式(I)の該化合物の薬学的に許容し得る塩の使用。
【請求項14】
予防または治療する疾患が、軟骨および骨の代謝疾患、増殖性疾患、癌、ならびに神経変性疾患、例えばアルツハイマー病から選ばれることを特徴とする、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
予防または治療する疾患が、軟骨および骨の代謝疾患ならびに骨癌から選ばれることを特徴とする、請求項13に記載の使用。
【請求項16】
予防または治療する疾患が、骨粗鬆症、歯肉炎および歯周症を含む歯肉疾患、関節炎の変形性関節症および関節リウマチ、パジェット病、高カルシウム血症ならびに骨癌であることを特徴とする、請求項13に記載の使用。
【請求項17】
予防または治療する疾患が、骨粗鬆症であることを特徴とする、請求項13に記載の使用。
【請求項18】
新規な工業製品としての、請求項6に定義の通りである式(XIII)、(XIV)または(XXIII)の化合物。

【公表番号】特表2006−503810(P2006−503810A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−520706(P2004−520706)
【出願日】平成14年7月4日(2002.7.4)
【国際出願番号】PCT/FR2002/002335
【国際公開番号】WO2004/007477
【国際公開日】平成16年1月22日(2004.1.22)
【出願人】(598006222)アベンティス・ファーマ・ソシエテ・アノニム (30)
【Fターム(参考)】