説明

新規な澱粉分解物、該澱粉分解物を含有する食品添加剤、飲食物、及び薬剤

【課題】甘味度、味質、浸透圧、粘度、吸湿性等の基本的物性のバランスに優れ、風味増強効果を有する新規な澱粉分解物を提供すること。
【解決手段】グルコース重合度(DP)3〜19の含量が70〜88%、かつ、グルコース重合度(DP)8〜12の含量が12〜28%の澱粉分解物を提供する。また、澱粉分解物を製造する方法であって、澱粉を分解して得られる澱粉分解中間物にαアミラーゼ(1,4-α-D-glucan glucanohydrolase)を作用させる工程と、前記αアミラーゼ酵素作用量の300倍以上の枝切り酵素を作用させる工程と、を少なくとも含む澱粉分解物製造方法を提供する。本発明に係る澱粉分解物は、構成する糖の分子量分布が特定の範囲に集約されていることにより、甘味度、味質、浸透圧、粘度、吸湿性等の基本的物性のバランスに優れ、風味増強効果を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、澱粉分解物に関する。より詳しくは、澱粉を分解して得られる澱粉分解物であって、それを構成する糖の分子量分布がグルコース重合度(DP)3〜19に集約された澱粉分解物、該澱粉分解物を含有する食品添加剤、飲食物、及び薬剤に関する。
【背景技術】
【0002】
澱粉分解物は、澱粉から酸や酵素を用いて製造される、様々な重合度の糖の混合物であり、広範な用途に利用されている。例えば、食品分野においては、甘味料、味質調整、浸透圧調整、保湿剤、粉末化基材などの用途に利用されている。医療分野においては、経腸栄養剤の炭水化物源や薬剤の賦形剤などの用途に利用され、中には澱粉分解物自体に薬効を有するものもある。また、化粧品分野においては、化粧品を固形化する際の結合剤やクリーム状の化粧品の粘度調整などの用途に利用されている。
【0003】
澱粉分解物は、通常、その甘味度、味質、浸透圧、粘度、吸湿性等の基本的物性に合わせて上記のような様々な用途に利用される。例えば、甘味度の高いものは甘味料として用いることに適し、逆に甘味度の低いものは味質調整剤、浸透圧調整剤、粉末化基材等に適する。また、吸湿性、粘度なども用途を選択する上で、重要な要素となる。例えば、吸湿性が高すぎると、菓子などの甘味料として適さない場合もあり、粉末化基材としても不適である。また、粘度が高すぎても、作業性が悪くなり、粉末化基材、浸透圧調整剤などへは適さない。
【0004】
澱粉分解物の甘味度、味質、浸透圧、粘度、吸湿性等の基本的物性は、構成成分である糖のグルコース重合度(DP)によって左右される。例えば、グルコース重合度(DP)の低いものを多く含む澱粉分解物は、甘味度が高くなる。逆にグルコース重合度(DP)の高いものを多く含む澱粉分解物は、粘度が高くなる。
【0005】
近年、用途に合わせて、澱粉分解物の基本的物性をコントロールするために、澱粉分解物の糖組成を操作する技術が開発されている。例えば、特許文献1では、食品や飲料に利用する際のカロリー、甘味、着色の点で好ましくないマルトトリオース以下の低分子オリゴ糖を含まないデンプン分解物が、特許文献2では、加工特性が良好で、甘味質の良い低う蝕性とするために、ソルビトール(DP1)が20重量%未満、マルチトール(DP2)が35重量%未満、DP21以上のポリオールが3重量%未満の水素化澱粉水解組成物が、特許文献3では、低甘味で、こく味を有し、耐熱・耐酸性、低着色性等の特性を有する、マルトヘキサオース、マルトヘプタオースを主成分とする澱粉糖含有組成物が開示されている。
【0006】
一方、澱粉分解物の基本的物性をコントロールする指標として、DE値(dextrose equivalent)を求めることも多い。「DE(dextrose equivalent)」とは、デキストロース当量とも称され、還元糖をグルコースとして測定し、その全固形分に対する割合(数式1参照)を示す値である。このDE値は、澱粉の加水分解の程度(分解度)、即ち糖化の進行の程度を示す指標である。
【0007】
【数1】

【0008】
一般にDE値が高いほど、甘味度、浸透圧、吸湿性が高く、逆に粘度は低くなる。また、DE値が低いほど、デキストリン特有の風味が強くなる。このDE値を指標として、用途に合わせて澱粉分解物を生産する技術も開発されている。例えば、特許文献4では、低甘味、低粘度で老化による白濁を生じない特性を有し、取り扱いが容易な低DEの澱粉分解物の製造方法、及び新規な白色デキストリンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−143191号公報
【特許文献2】特開平7−258466号公報
【特許文献3】特開平5−38265号公報
【特許文献4】特開2006−204207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
澱粉分解物の甘味度、味質、浸透圧、粘度、吸湿性等の基本的物性を各々コントロールするために、上述のように澱粉分解物の糖組成を操作する技術があるが、この技術には、まだまだ改良の余地がある。例えば、甘味度を調整するために、グルコース重合度(DP)の高い糖の含有量を多くすると、澱粉分解物の粘度が高くなりすぎることや、独特の風味が増強されて、後味が悪くなることがあった。逆に作業性や後味の良さを追及するために、グルコース重合度(DP)の低い糖の含有量を多くすると、澱粉分解物の甘味度が増し、飲食物や薬剤の味に影響を与えてしまう場合もあった。
【0011】
また、DE値を指標に澱粉分解物を調整しても、グルコース重合度(DP)が高い糖や低い糖を一定以上含有すると、澱粉分解物全体のデキストリン特有の風味が増強したり、甘味度が増強したりする場合がある。即ち、澱粉分解物を構成する一部の糖の基本的物性が、澱粉分解物全体の基本的物性に影響をするという弊害もあった。
【0012】
そこで、本発明では、甘味度、味質、浸透圧、粘度、吸湿性等の基本的物性のバランスに優れ、風味増強効果を有する新規な澱粉分解物を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明者らは、上記目的を解決するために、澱粉分解物の含有成分のグルコース重合度(DP)について鋭意研究を行った。その結果、本願発明者らは、分子量分布が特定の範囲に集約された澱粉分解物を新規に開発し、該澱粉分解物が、甘味度、味質、浸透圧、粘度、吸湿性等の基本的物性のバランスに優れ、風味増強効果を有することを突き止めた。
【0014】
具体的には、本発明では、まず、グルコース重合度(DP)3〜19の含量が70〜88%、かつ、グルコース重合度(DP)8〜12の含量が12〜28%の澱粉分解物を提供する。本発明に係る澱粉分解物は、グルコース重合度(DP)3〜19の糖を多く含み、かつ、グルコース重合度(DP)8〜12の糖が特定範囲の含有量であるという特徴ある構成である。そして、ゲルろ過により分子量分布図を作成すると、グルコース重合度3〜19に単一のピークを有する、即ち、構成する糖の分子量分布が特定の範囲に集約されたものとなる特徴も有する。
【0015】
本発明に係る澱粉分解物は、上記の組成特性に加え、グルコース重合度(DP)20以上の含量が20%以下であることが望ましい。独特の風味を抑え、低粘度の澱粉分解物とするためである。
【0016】
本発明に係る澱粉分解物は、その基本的物性のバランスが優れ、風味増強効果を有しているため、食品添加剤、飲食物、薬剤に適用することが可能である。
【0017】
また、本願発明者らは、本発明に係る澱粉分解物を効率良く得る方法として、一般的な使用では想定できない過剰な量の枝切り酵素を用いた澱粉分解物製造方法を見出した。具体的には、澱粉を分解して得られる澱粉分解中間物(例えば、液化液など)にαアミラーゼ(1,4-α-D-glucan glucanohydrolase)を作用させる工程と、前記αアミラーゼ酵素作用量の300倍以上の枝切り酵素を作用させる工程と、を少なくとも含む澱粉分解物製造方法を提供する。
【0018】
ここで本発明で「酵素作用量」とは、酵素活性単位(以下酵素活性量)と作用時間の積のことをいう。本発明では、酵素活性量の単位をUnit、作用時間の単位を時間(略号hr)、酵素作用量の単位をUnit・hrを用いる。
【0019】
つまり、α−アミラーゼ酵素作用量の300倍以上の枝切り酵素を作用させる工程とは、数式2または数式3の条件を満たすように前記各酵素を作用させることである。
【0020】
【数2】

【0021】
【数3】

【0022】
ここで、本発明における「α−アミラーゼの酵素活性量」は、「ファデバス アミラーゼテスト」(Magle Life Sciences社製)を用いて測定する。すなわち、試験管に酵素溶液試料100μLと水4mLを加え、37℃の恒温槽で5分間加温する。次いで、この試験管に基質である青色澱粉ポリマーに一定量の牛血清アルブミンを含有した錠剤を1錠加え、錠剤が崩壊するまで混和し、37℃の恒温槽で30分間正確に保温し酵素反応を行う。酵素反応を0.5mol/L水酸化ナトリウム溶液1mlを加え停止させた後、遠心分離(1500G、5分間)を行い、上清の吸光度を波長620nmで測定する。得られた値を既知活性の酵素「ファデバスヒューミラーゼコントロール」より作成した検量線を用いて酵素活性量(Unit)に換算する。
【0023】
また、本発明における「枝きり酵素の酵素活性量」は、ワキシーコーンスターチに枝切り酵素を作用させ,切断された直鎖の糖鎖をヨウ素溶液による呈色反応(波長610nmの吸光度)で測定して、吸光度の増加量から酵素活性を求める。
具体的には、十分高濃度の酵素試料に対して、pH6.0の50mM酢酸緩衝液(20mM塩化カルシウム含)で希釈して酵素溶液を調整する。正確に測定するためには、酵素活性量が後述の15〜25Unit/mLに入るようにする。また、加熱失活した酵素溶液をブランク溶液とする。
試験管に各々45±0.5℃に加温したpH6.0の50mM酢酸緩衝液(20mM塩化カルシウム含)0.1mLと0.5%リントナー可溶化ワキシーコーンスターチ溶液(基質溶液)0.35mLを正確に量りとり、それに、酵素溶液、または、ブランク溶液0.1mLを正確に加え、直ちに振り混ぜる。45±0.5℃で正確に15分間反応させた後、0.1Mヨウ化カリウム-0.01Mヨウ素-0.08N塩酸混合溶液0.5mLを加え反応を停止する。室温で正確に15分間放置した後、水を10mL加え十分に混合する。水を対照とし、610nmにおける吸光度を測定する。枝切り酵素活性量1Unitは、上記の条件で試験するとき、610nmにおける吸光度(ブランクとの差)を1分間に0.01増加させる酵素活性量とする。
【0024】
本発明で、「澱粉分解中間物」とは、澱粉を酸または酵素である程度加水分解した状態のことである。またα−アミラーゼを添加する工程と枝切り酵素を添加する工程の順序は特に限定されず、同一工程内で同時に作用させる方法も含む。
【0025】
本発明で使用する「α−アミラーゼ」とは、澱粉のα-1,4-グルコシド結合を加水分解する酵素である。α−アミラーゼは、特に限定されないが、糖化工業用で水飴、粉飴を製造するために一般に利用されている耐熱性を有する酵素を用いるのが望ましい。このような酵素としては、Bacillus属、Aspergillus属、Rhizopus属等の細菌由来のα−アミラーゼが知られている。
【0026】
本発明で使用する「枝切り酵素(debranching enzyme)」は、澱粉の分岐点であるα-1,6-グルコシド結合を加水分解する反応を触媒する酵素の総称である。例えば、「イソアミラーゼ(Isoamylase,glycogen 6-glucanohydrolase)」、「プルラナーゼ(Pullulanase,pullulan 6-gulucan hydorolase)」「アミロ-1,6-グルコシダーゼ/4-αグルカノトランスフェラーゼ(amino-1,6-glucosidase/4-α glucanaotransferase)」が知られている。なお、これらの枝切り酵素を、目的に応じて組み合わせて用いてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る澱粉分解物は、甘味度、味質、浸透圧、粘度、吸湿性等の基本的物性のバランスに優れ、風味増強効果を有している。そのため、様々な分野で、幅広い用途への適用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る澱粉分解物を構成する糖の分子量分布を示す図面代用グラフである。
【図2】公知の澱粉分解物を構成する糖の分子量分布を示す図面代用グラフである。
【図3】公知の澱粉分解物を構成する糖の分子量分布を示す図面代用グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0030】
<澱粉分解物について>
本発明に係る澱粉分解物は、澱粉原料、例えば、コーンスターチなどの澱粉(地上系澱粉)、馬鈴薯、タピオカ、甘藷などのような地下茎または根由来の澱粉(地下系澱粉)、あるいはこれらの加工澱粉などを分解(糖化)することによって得られるものである。使用する澱粉原料は、特に限定されず、あらゆる澱粉原料を用いることがでる。
【0031】
本発明に係る澱粉分解物の組成特性としては、グルコース重合度(DP)3〜19の含量が70〜88%、かつ、グルコース重合度(DP)8〜12の含量が12〜28%である。即ち、本発明に係る澱粉分解物は、グルコース重合度(DP)3〜19の糖を多く含み、かつ、グルコース重合度(DP)8〜12の糖を多く含んでいる構成であって、構成する糖の分子量分布が特定の範囲に集約されてばらつきが少ない。
【0032】
また、本発明に係る澱粉分解物は、上記の組成特性に加え、グルコース重合度(DP)20以上の含量が20%以下であることが望ましい。これは、澱粉分解物独特の風味を十分に抑え、同時に、粘度を低減することができるからである。
【0033】
公知の澱粉分解物を構成する糖の分子量分布は特定の範囲に集約されることなくばらつきがみられるが、本発明に係る澱粉分解物を構成する糖の分子量分布は、特定の範囲に集約されている。
【0034】
具体例として、本発明に係る澱粉分解物(後述の実施例4に対応する澱粉分解物)を構成する糖の分子量分布を図1に、公知の澱粉分解物(後述の比較例3、6に対応する澱粉分解物)を構成する糖の分子量分布の例を図2、及び図3に示す。
【0035】
図1に示す澱粉分解物に比べて、図2、及び図3に示す澱粉分解物では、DP10〜20の糖組成物が少なく、分子量の大きい糖組成物が多いため、澱粉分解物の全体的な甘味度が低くても、一部の分子量の大きい糖組成物によって、高粘度となり、独特の風味も増強されてしまう。
【0036】
一方、本発明に係る澱粉分解物は、構成する糖の分子量分布にばらつきが少ないため、一部のグルコース重合度(DP)の高い糖や低い糖による、澱粉分解物全体の基本的物性への影響がほとんどない。
【0037】
このように、本発明に係る澱粉分解物は、構成する糖の分子量分布を特定の範囲に集約してばらつきを低減することで、一部の糖組成物による基本的物性への影響を防ぐことができる。そのため、様々な分野において、幅広い用途への適用が可能となる。
【0038】
また、本発明に係る澱粉分解物は、上記の組成特性に加え、グルコース重合度(DP)1の含量が5%以下、グルコース重合度(DP)2の含量が15%以下であることが望ましい。低甘味の澱粉分解物とするためである。
【0039】
<澱粉分解物を含む食品添加剤について>
本発明に係る澱粉分解物は、甘味度、味質、浸透圧、粘度、吸湿性等の基本的物性のバランスに優れ、風味増強効果を有しているため、食品添加剤として用いることに適している。
【0040】
前記食品添加剤の用途は、特に限定されないが、一例としては、ダイエット食品、糖尿病用食品、畜肉等の食品の増量剤、粉末化基材、味質調整剤、浸透圧調整剤として用いることが挙げられる。
【0041】
<澱粉分解物を含む飲食物について>
本発明に係る澱粉分解物は、甘味度、味質、浸透圧、粘度、吸湿性等の基本的物性のバランスに優れ、風味増強効果を有しているため、あらゆる飲食物に含有することができる。
【0042】
本発明に係る澱粉分解物を含有することが可能な飲食物は、特に限定されず、例えば、ジュース、スポーツ飲料、お茶、コーヒー、紅茶などの飲料、醤油などの調味料、スープ類、クリーム類、各種乳製品類、アイスクリームなどの冷菓、各種粉末食品(飲料を含む)、保存用食品、冷凍食品、パン類、菓子類などの加工食品など、あらゆる飲食物に含有することができる。また、保健機能食品(特定保健機能食品、栄養機能食品、飲料を含む)や、いわゆる健康食品(飲料を含む)、濃厚栄養剤、流動食、乳児・幼児食又は飼料にも含有することができる。
【0043】
<澱粉分解物を含む薬剤について>
本発明に係る澱粉分解物は、薬剤に適用することが可能である。
薬剤への適用方法は、特に限定されないが、浸透圧を調整しやすいこと、粘度、吸湿性などの基本的物性のバランスに優れる特徴から、錠剤、散剤、顆粒剤などの剤形成形のための賦形剤、経腸栄養剤等の炭水化物源などに適用することが可能である。
【0044】
<澱粉分解物製造方法について>
本発明に係る澱粉分解物は、その組成自体が新規であって、その収得の方法については特に限定されることはない。例えば、澱粉分解工程として一般的な酸や酵素を用いた加水分解工程(糖化工程)に所定の工夫を施すことによって得ることができる。
【0045】
好適な一例としては、澱粉を分解して得られる澱粉分解中間物に、枝切り酵素とαアミラーゼを作用させることにより、本発明に係る澱粉分解物を得ることができる。澱粉分解中間物としては、澱粉を軽度に分解したものであれば用いることができ、例えば酵素や酸により澱粉を可溶化した澱粉液化液などが好適に使用できる。前記枝切り酵素は、特に限定されない。例えば、プルラナーゼ(Pullulanase,pullulan 6-gulucan hydorolase)、アミロ-1,6-グルコシダーゼ/4-αグルカノトランスフェラーゼ(amino-1,6-glucosidase/4-α glucanaotransferase)を挙げることができ、より好適な一例としては、イソアミラーゼ(Isoamylase,glycogen 6-glucanohydrolase)を用いることができる。
【0046】
また、本発明に係る澱粉分解物を効率的に得る方法としては、前記枝切り酵素を、前記αアミラーゼ酵素作用量の300倍以上の酵素作用量で作用させることが望ましい。
【0047】
従来、枝切り酵素は、グルコースやマルトオリゴ糖の収率を高めるために、グルコアミラーゼ、βアミラーゼ、αアミラーゼなどと同時に用いられることが一般的であった。しかし、本願発明者らは、発想を大きく転換し、一般的には想定できない酵素作用量比率の枝切り酵素を用いることで、分子量分画を行うことなくグルコースや低分子のマルトオリゴ糖を増加させずに高分子の糖の含有量を減少させ、しかも構成する糖の分子量分布を特定の範囲に集約させてばらつきを低減することに成功した。
【実施例】
【0048】
以下、本発明に係わる代表的な実施例について、比較例と対照しながら説明する。
【0049】
<澱粉分解物の作製>
まず、以下の実施例1〜5、及び比較例1〜6の澱粉分解物を準備した。
【0050】
(実施例1)
10重量%炭酸カルシウムでpH5.8に調整した30重量%コーンスターチスラリーに、糖質固形分1gあたり0.2%のαアミラーゼ(ターマミル(登録商標)、ノボザイムズ ジャパン株式会社製、特に断らない限り以下同じものを使用)を加え、温度110℃の下、ジェットクッカーで液化した。
【0051】
次に、αアミラーゼを糖質固形分1gあたり0.94Unit添加し、経時的にDEを測定した。DEの測定は、「澱粉糖関連工業分析法」(澱粉糖技術部会編)の氷点降下度からの算出度に従って算出した(以下同じ)。DEが10になった時点で、澱粉分解中間物の温度を45℃に冷却した。
【0052】
この澱粉分解中間物に、枝切り酵素(イソアミラーゼ:合同酒精株式会社製、特に断らない限り以下同じものを使用)を糖質固形分1gあたり1000Unit添加し、45℃にて10時間作用させ、DE18に調整した。
【0053】
前記で得た澱粉分解物の溶液を、活性炭・イオン精製処理・濃縮し、固形分濃度70%の実施例1の澱粉分解物を得た。
【0054】
(実施例2)
35重量%塩酸でpH2に調整した30重量%タピオカ澱粉スラリーを、温度条件130℃で、DE10まで加水分解した。得られた澱粉分解中間物を、pH5.8に調整し、枝切り酵素を糖質固形分1gあたり600Unit添加して50℃にて10時間作用させた後、煮沸により反応を停止した。次いでαアミラーゼを0.32Unit添加し、50℃にて30時間作用させ、DE20に調整した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭・イオン精製処理・濃縮し、固形分濃度70%の実施例2の澱粉分解物を得た。
【0055】
(実施例3)
10重量%炭酸カルシウムでpH5.8に調整した30重量%コーンスターチスラリーに、糖質固形分1gあたり0.2%のαアミラーゼを加え、温度110℃の下、ジェットクッカーで液化した。次に、αアミラーゼを糖質固形分1gあたり0.1%添加し、経時的にDEを測定した。DEが16になった時点で、pH4になるよう塩酸で調整し、煮沸により反応を停止した。
【0056】
反応停止後の澱粉分解中間物を、pH4.2、45℃に調整し、枝切り酵素(イソアミラーゼ:シグマアルドリッチ ジャパン株式会社製)を糖質固形分1gあたり100Unit添加し30時間作用させた後、煮沸により反応を停止した。次いでαアミラーゼを0.85Unit添加し、14時間作用させ、DE25に調整した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭・イオン精製処理・濃縮し、固形分濃度70%の実施例3の澱粉分解物を得た。
【0057】
(実施例4)
10重量%炭酸カルシウムでpH5.8に調整した30重量%コーンスターチスラリーに、糖質固形分1gあたり0.2%のαアミラーゼを加え、温度110℃の下、ジェットクッカーで液化した。次に、αアミラーゼを糖質固形分1gあたり0.1%添加し、経時的にDEを測定した。DEが12になった時点で、pH4になるよう塩酸で調整し、煮沸により反応を停止した。
【0058】
反応停止後の澱粉分解中間物を、pH5.8、45℃に調整し、αアミラーゼ(ファンガミル 800L)を糖質固形分1gあたり0.90Unit添加して40時間作用させた後、pH4になるよう塩酸で調整し、煮沸により反応を停止した。次いで、pH5.8、45℃に調整し、枝切り酵素を糖質固形分1gあたり2000Unit添加して60時間作用させ、DE29に調整した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭・イオン精製処理・濃縮し、固形分濃度70%の実施例4の澱粉分解物を得た。
【0059】
(実施例5)
10重量%炭酸カルシウムでpH5.8に調整した30重量%ワキシーコーンスターチスラリーに、糖質固形分1gあたり0.2%のαアミラーゼを加え、温度110℃の下、ジェットクッカーで液化した。次に、αアミラーゼを糖質固形分1gあたり0.1%添加し、経時的にDEを測定した。DEが8になった時点で、pH4になるよう塩酸で調整し、煮沸により反応を停止した。
【0060】
反応停止後の澱粉分解中間物を、pH5.8に調整し、αアミラーゼを2.2Unit添加して20時間作用させた後、pH4になるよう塩酸で調整し、煮沸により反応を停止した。次いでpH4.2、45℃に調整し、枝切り酵素(イソアミラーゼ:シグマアルドリッチ ジャパン株式会社製)を糖質固形分1gあたり300Unit添加し60時間作用させてDE32に調整した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭・イオン精製処理後、濃度50重量%まで濃縮した。その後、糖質固形分1gあたり4%のラネーニッケル触媒の存在下で、水素圧50kg/cm、温度110℃にて反応時間90分で還元した。
【0061】
得られた澱粉分解物の溶液を、活性炭・イオン精製処理・濃縮した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭・イオン精製処理・濃縮し、固形分濃度70%の実施例5の澱粉分解物を得た。
【0062】
(比較例1)
10重量%炭酸カルシウムでpH5.8に調整した30重量%コーンスターチスラリーに、糖質固形分1gあたり0.2%のαアミラーゼを加え、温度110℃の下、ジェットクッカーで液化した。次に、αアミラーゼを糖質固形分1gあたり0.1%添加し、経時的にDEを測定した。DEが16になった時点で、pH4になるよう塩酸で調整し、煮沸により反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭・イオン精製処理・濃縮し、固形分濃度70%の比較例1の澱粉分解物を得た。
【0063】
(比較例2)
10重量%炭酸カルシウムでpH5.8に調整した30重量%コーンスターチスラリーに、糖質固形分1gあたり0.2%のαアミラーゼを加え、温度110℃の下、ジェットクッカーで液化した。次に、αアミラーゼを糖質固形分1gあたり0.1%添加し、経時的にDEを測定した。DEが25になった時点で、pH4になるよう塩酸で調整し、煮沸により反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭・イオン精製処理・濃縮し、固形分濃度70%の比較例2の澱粉分解物を得た。
【0064】
(比較例3)
10重量%炭酸カルシウムでpH5.8に調整した30重量%コーンスターチスラリーに、糖質固形分1gあたり0.2%のαアミラーゼを加え、温度110℃の下、ジェットクッカーで液化した。次に、αアミラーゼを糖質固形分1gあたり0.1%添加し、経時的にDEを測定した。DEが29になった時点で、pH4になるよう塩酸で調整し、煮沸により反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭・イオン精製処理・濃縮し、固形分濃度70%の比較例3の澱粉分解物を得た。
【0065】
(比較例4)
実施例3の澱粉分解物とマルトオリゴ糖(DP9)(生化学工業株式会社製)を、固形分比90:10で混合し、溶解した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭・イオン精製処理・濃縮し、固形分濃度70%の比較例4の澱粉分解物を得た。
【0066】
(比較例5)
実施例3の澱粉分解物とマルトトリオース(生化学工業株式会社製)を、固形分比40:60で混合し、溶解した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭・イオン精製処理・濃縮し、固形分濃度70%の比較例5の澱粉分解物を得た。
【0067】
(比較例6)
10重量%炭酸カルシウムでpH5.8に調整した24重量%コーンスターチスラリーに、糖質固形分1gあたり0.2%のαアミラーゼを加え、温度110℃の下、ジェットクッカーで液化した。次に、αアミラーゼを糖質固形分1gあたり0.1%添加し、経時的にDEを測定した。DEが7になった時点で、pH4になるよう塩酸で調整し、煮沸により反応を停止した。
【0068】
反応停止後の糖液を、pH6.0に調整し、公知の方法(「澱粉科学」第24巻、p42、1977)により調整した麦芽のαアミラーゼ20Unit、及び枝切り酵素を4000Unit添加し、55℃にて4時間作用させた。この澱粉分解物の溶液を、活性炭・イオン精製処理・濃縮し、固形分濃度70%の比較例5の澱粉分解物を得た。
【0069】
以上実施例1〜5、及び比較例1〜6の澱粉分解物の作製概要及び製造工程において添加した、αアミラーゼ、枝切り酵素の添加量を表1に示す。
ここで、上記実施例1〜5、及び比較例6で使用したα−アミラーゼの酵素活性量、枝切り酵素の酵素活性量は、前記課題を解決するための手段に記載の測定方法で測定した。
【0070】
【表1】

【0071】
<各指標項目の測定>
上記で作製した実施例1〜5、及び比較例1〜6の澱粉分解物について、DP3〜19の含量、DP8〜12の含量、DP20以上の含量、DE、甘味度、をそれぞれ測定した。それぞれの測定方法を以下、説明する。
【0072】
DP3〜19の含量、DP8〜12の含量、及びDP20以上の含量の測定は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で、次の表2に示す条件設定の下で行った。
【0073】
【表2】

【0074】
DEの測定は、「澱粉糖関連工業分析法」(澱粉糖技術部会編)の氷点降下度[修正4]による方法に従って算出した。
【0075】
「甘味度」の算出は、Pauliの全系列法(澱粉糖技術会報、第14号、1956、p44)に準じて行った。即ち、20℃で、10w/v%スクロースの甘味度を100として求めた。
【0076】
実施例1〜5、及び比較例1〜6の澱粉分解物について、DP3〜19の含量、DP8〜12の含量、DP20以上の含量、DP1の含量、DP2の含量、DP6〜7の含量、DE、甘味度の測定結果を表3に示す。また、代表して、実施例4、比較例3、比較例6の澱粉分解物を構成する糖の分子量分布を図1〜図3に示す。これは、溶出時間を横軸に、示差屈折計の出力を縦軸に記録した高分子分析用のゲルろ過(排除限界分子量1.0×10)のクロマトグラムである。図中で、点線は、DP3、DP19の分子量マーカーの位置を示す。
【0077】
【表3】

【0078】
図1〜3、表1、表3に示す通り、αアミラーゼと、該αアミラーゼの酵素作用量の300倍以上の枝切り酵素(イソアミラーゼ)の酵素作用量で製造した澱粉分解物(実施例1〜5)は、本発明の澱粉分解物のゲルクロマトグラム(分子量分布)が、DP3とDP19にすそ野を有する左右対称の単一のピークとして現れることを特徴としており、構成する糖の分子量分布が特定の範囲に集約されていることが分かった。
また、本発明の澱粉分解物は、澱粉を分解して得られる澱粉分解中間物にαアミラーゼと、前記αアミラーゼ酵素作用量の300倍以上の枝切り酵素を同時作用させても、枝切り酵素を後に行うαアミラーゼ酵素作用量の300倍以上で作用させて、次いで、αアミラーゼで作用させても、あるいは、その逆でも得ることができることが分かった。
【0079】
<甘味・後味・風味増強効果の評価>
本試験では、実施例1〜5、及び比較例1〜6の澱粉分解物について、甘味度・後味・風味増強効果の評価を行った。それぞれの評価方法を以下説明する。
【0080】
「甘味」については、表4の通りに評価を行った。
【0081】
【表4】

【0082】
「後味」については、実施例1〜5、比較例1〜6の澱粉分解物を10重量%含有する糖液を作製し、10人のパネラーにより官能評価を行った。本試験における評価方法は、表5の通りである。
【0083】
【表5】

【0084】
「風味増強効果」については、市販の100%果汁(アップル)飲料に、実施例1〜5、比較例1〜6の澱粉分解物を、それぞれ1%添加してサンプルを調整し、10人のパネラーが、各サンプルと無添加の飲料とを比較して、官能評価を行った。本試験における評価方法は、表6の通りである。
【0085】
【表6】

【0086】
本試験の「総合評価」については、表7の通りに行った。
【0087】
【表7】

【0088】
結果を表8に示す。表8に示す通り、本発明に係る澱粉分解物(実施例1〜5)は、全て総合評価で○以上がついた。一方、構成する糖の分子量分布が、本発明に係る澱粉分解物の範囲外の澱粉分解物では、甘味・後味・風味増強効果のいずれかの評価で×がつき、総合評価は全て×であった。
【0089】
【表8】

【0090】
本試験の結果より、構成する糖の分子量分布が特定の範囲に集約された澱粉分解物(実施例1〜5)は、甘味・後味・風味増強効果のバランスが良いことが分かった。
【0091】
<粘度評価>
本試験では、実施例3と比較例2、実施例4と比較例3、のそれぞれについて粘度を測定し比較した。
【0092】
粘度の測定は、固形分55重量%に調製した澱粉分解物含有液をレオメーターAR1000(ティー・エイ・インスツルメント社製)にて40℃の条件下にて測定した。
【0093】
実施例3と比較例2の粘度の比較を表9に、実施例4と比較例3の粘度の比較を表10にそれぞれ示す。
【0094】
【表9】

【0095】
【表10】

【0096】
表9及び表10に示す通り、甘味度が同等の澱粉分解物では、構成する糖の分子量分布が特定の範囲に集約された澱粉分解物(実施例3、4)の方が、明らかに粘度が低いことが分かった。このような性質により、本発明の澱粉分解物は作業性や加工効率の向上に寄与すると考えられる。
【0097】
<用途試験:果汁入りアルコール飲料>
本試験では、本発明に係る澱粉分解物を果汁入りアルコール飲料に用いた場合の味質・後味・果汁感・作業性についての評価を行った。
【0098】
本試験では、実施例3、比較例2を用いた。表11に示す配合に従い調整後、加熱した。93℃に達温後、ホット充填して果汁入りアルコール飲料を調整した。
【0099】
【表11】

【0100】
上記で調整した果汁入りアルコール飲料の味質・後味・果汁感ついて、10人のパネラーが、実施例3を用いた果汁入りアルコール飲料と、比較例2を用いた果汁入りアルコール飲料とを比較して、官能評価を行った。作業性に関しては、製造時の液切れの良さ、攪拌による分散性の良さ、その他作業性の高さに関して総合的に評価した。本試験における味質についての評価基準を表12、後味についての評価基準を表13、果汁感についての評価基準を表14、作業性についての評価基準を表15に示す。
【0101】
【表12】

【0102】
【表13】

【0103】
【表14】

【0104】
【表15】

【0105】
パネラー10人の官能評価の値を表16に示す。
【0106】
【表16】

【0107】
表16に示す通り、本発明に係る澱粉分解物を用いた果汁入りアルコール飲料は、味質・後味・果汁感・作業性の全てにおいて、良好であることが分かった。従って、本発明に係る澱粉分解物は、果汁入りアルコール飲料へも有効に適用できることが分かった。
【0108】
<用途試験:スポーツ飲料>
本試験では、本発明に係る澱粉分解物を、スポーツ飲料に利用した場合の適性を評価した。
【0109】
本試験では、実施例4、比較例3を用いた。表17に示す配合に従い、2000mLに定容し、スポーツ飲料を調整した。「浸透圧」を、浸透圧計(フィスケ社)を用いて測定したところ、両者とも240mOsm/Lであった。
【0110】
【表17】

【0111】
上記で調整したスポーツ飲料の味質・後味・のどごし・作業性について、10人のパネラーが、実施例4を用いたスポーツ飲料と、比較例3を用いたスポーツ飲料とを比較して、官能評価を行った。作業性に関しては、製造時の液切れの良さ、攪拌による分散性の良さ、その他作業性の高さに関して総合的に評価した。本試験における評価基準は、上述の表12〜15と同様である。結果を表18に示す。
【0112】
【表18】

【0113】
表18に示す通り、本発明に係る澱粉分解物を用いたスポーツ飲料は、味質・後味・のどごし・作業性の全てにおいて、良好であることが分かった。従って、本発明に係る澱粉分解物は、スポーツ飲料の浸透圧調整剤として大変適することが分かった。
【0114】
<用途試験:流動食>
本試験では、本発明に係る澱粉分解物を、流動食に利用した場合の適性を評価した。
【0115】
本試験では、実施例3、及び比較例2を用いた。表19に示す配合で混合し、1000mLに定容して、流動食を調整した。
【0116】
【表19】

【0117】
調整した流動食について、味質・嚥下しやすさ・作業性について、10人のパネラーが、実施例3を用いた流動食と、比較例2を用いた流動食とを比較して、官能評価を行った。本試験における評価基準は、上述の表13、表14と同様である。結果を表20に示す。
【0118】
【表20】

【0119】
表20に示す通り、本発明に係る澱粉分解物を用いた流動食は、味質・嚥下しやすさ・作業性の全てにおいて、良好であることが分かった。従って、本発明に係る澱粉分解物は、流動食へも有効に適用できることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、食品分野、医薬品分野などの一般に澱粉分解物を使用する用途で広範な利用が可能である。例えば、食品分野では、畜肉・魚肉加工品、液状および粉末状のタレ類・調味料類・飲料類、その他粉末食品類、乾燥食品類、小麦粉加工品類、菓子類、流動食類、栄養補助食品類、健康食品類(機能性食品類)、各種加工食品類とそれらの冷凍食品類、冷蔵食品類などの添加物あるいは配合組成物として利用できる。医薬品分野では、粉末製剤、顆粒製剤、打錠製剤、液状製剤などの賦形剤や炭水化物源等として用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルコース重合度(DP)3〜19の含量が70〜88%であり、かつ、グルコース重合度(DP)8〜12の含量が12〜28%の澱粉分解物。
【請求項2】
グルコース重合度(DP)20以上の含量が20%以下であることを特徴とする請求項1記載の澱粉分解物。
【請求項3】
請求項1又は2記載の澱粉分解物を少なくとも含む食品添加剤。
【請求項4】
請求項1又は2記載の澱粉分解物を少なくとも含む飲食物。
【請求項5】
請求項1又は2記載の澱粉分解物を少なくとも含む薬剤。
【請求項6】
澱粉分解物を製造する方法であって、
澱粉を分解して得られる澱粉分解中間物にαアミラーゼ(1,4-α-D-glucan glucanohydrolase)を作用させる工程と、
前記αアミラーゼ酵素作用量の300倍以上の枝切り酵素を作用させる工程と、
を少なくとも含む澱粉分解物製造方法。
【請求項7】
前記枝切り酵素は、イソアミラーゼ(Isoamylase,glycogen 6-glucanohydrolase)であることを特徴とする請求項6記載の澱粉分解物製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−229234(P2010−229234A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76532(P2009−76532)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000187079)昭和産業株式会社 (64)
【Fターム(参考)】