説明

新規な複素環式化合物、それらの調製方法及び染料及び顔料としてのそれらの使用

式(I)〔式中、Rは、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アミノ、カルボキシ、カルボン酸エステル、スルホ、スルホン酸エステル、カルボン酸アミド、スルホン酸アミド、アルキルチオ、アリールチオ、アルコキシ又はアリールオキシであり、R’は、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アミノ、カルボキシ、カルボン酸エステル、スルホ、スルホン酸エステル、カルボン酸アミド、スルホン酸アミド、アルキルチオ、アリールチオ、アルコキシ又はアリールオキシであり、Xは、−O−、−S−、−NH−又は−N(アルキル)−であり、X’は、−O−、−S−、−NH−又は−N(アルキル)−であり、Yは、水素又はカルボン酸エステルであり、Y’は、水素又はカルボン酸エステルであり、Zは、=C−又は=N−であり、Z’は、=C−又は=N−であり、xは0又は1であり、Zが=N−である場合、xは0であり、yは0又は1であり、Z’が=N−である場合、yは0であり、Aは、式(II)、(III)、(IV)、(V)又は(VI)の共役結合架橋であり、式中、nは0、1、2又は3であり、mは0、1、2又は3であり、Bはフェニル環であり、Tは=C(R)−又は=N−であり、ここでRは、水素、C〜C12アルキル又はCNであり、Wは、非置換、又はアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ若しくはアミノによって置換された複素環、又は直鎖若しくは重縮合芳香族基であり、Gは、−CH=又は−N=であり、Rは、水素、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ又はアミノである〕の化合物、それらの調製及び着色されたプラスチック又は着色ポリマー粒子の製造におけるそれらの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な化合物、それらの調製、及び着色されたプラスチック又は着色ポリマー粒子の製造におけるそれらの使用に関する。
【0002】
本発明の主題は、式(1):
【0003】
【化8】

【0004】
〔式中、
は、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アミノ、カルボキシ、カルボン酸エステル、スルホ、スルホン酸エステル、カルボン酸アミド、スルホン酸アミド、アルキルチオ、アリールチオ、アルコキシ又はアリールオキシであり、
R’は、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アミノ、カルボキシ、カルボン酸エステル、スルホ、スルホン酸エステル、カルボン酸アミド、スルホン酸アミド、アルキルチオ、アリールチオ、アルコキシ又はアリールオキシであり、
Xは、−O−、−S−、−NH−又は−N(アルキル)−であり、
X’は、−O−、−S−、−NH−又は−N(アルキル)−であり、
Yは、水素又はカルボン酸エステルであり、
Y’は、水素又はカルボン酸エステルであり、
Zは、=C−又は=N−であり、
Z’は、=C−又は=N−であり、
xは0又は1であり、Zが=N−である場合、xは0であり、
yは0又は1であり、Z’が=N−である場合、yは0であり、
Aは、式
【0005】
【化9】

【0006】
の共役結合架橋であり、
式中、
nは0、1、2又は3であり、
mは0、1、2又は3であり、
Bはフェニル環であり、
Tは=C(R)−又は=N−であり、ここでRは、水素、C〜C12アルキル又はCNであり、
Wは、非置換、又はアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ若しくはアミノによって置換された複素環、又は直鎖若しくは重縮合芳香族基であり、
Gは、−CH=又は−N=であり、
は、水素、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ又はアミノである〕
の化合物である。
【0007】
本発明によれば、アルキルは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、2,4,4−トリメチルペンチル、2−エチルヘキシル又はオクチルのような、直鎖又は分枝のC1〜8アルキルであり、好ましくはC1〜4アルキルである。
【0008】
本発明によれば、アルキルチオは、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ヘプチルチオ又はヘキシルチオである。
【0009】
本発明によれば、アルコキシは、例えば、直鎖又は分枝のC1〜8アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、2−ペンチルオキシ、3−ペンチルオキシ、2,2−ジメチルプロポキシ、n−ヘキシルオキシ、n−ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、1,1,3,3−テトラメチルブトキシ又は2−エチルヘキシルオキシである。
【0010】
本発明によれば、アリールオキシは、例えばC6〜24アリールオキシ、好ましくはC6〜12アリールオキシ基、例えばフェノキシ又は4−メチルフェノキシであると理解されるべきである。
【0011】
本発明によれば、アリールチオは、例えば、フェニルチオ又はナフチルチオである。
【0012】
Gは好ましくは−CH=である。
【0013】
芳香族基としてのWとしては、例えば、フェニレン、ナフタレン、アセナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ナフタセン、クリセン、ピレン又はペリレンが挙げられる。Wは、好ましくは、フェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ペリレン又はピレンであり、最も好ましくはフェニレン又はナフタレンである。
【0014】
複素環基としてのWは、例えば、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドールイソインドール、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、フェノチアジン,ベンズイミダゾロン、ベンゾチアゾール、ピロロ、イミダゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン又はピラゾルである。本発明によれば、エステルは、例えば、メチル−、エチル−、プロピル−又はブチルエステルである。
【0015】
Aが1個の二重結合
【0016】
【化10】

【0017】
である場合、式(1)の好ましい化合物は、
(a)式:
【0018】
【化11】

【0019】
のフェニル−ブチロラクタムの化合物、
(b)式:
【0020】
【化12】

【0021】
のフェニル−ブチロラクトンの化合物、
(c)式:
【0022】
【化13】

【0023】
のフェニルオキサゾロンの化合物、及び
(d)式:
【0024】
【化14】

【0025】
のフェニルイミダゾロンの化合物
〔式中、Rは、式(1)で与えられる意味を有し、Etは−CHCHである〕
である。
【0026】
Aが共役結合架橋である場合、式(1)の好ましい化合物は、
(e)式:
【0027】
【化15】

【0028】
のフェニル−カルボエトキシ−ブチロラクタムの化合物、
(f)式:
【0029】
【化16】

【0030】
のフェニル−ブチロラクトンの化合物、
(g)式:
【0031】
【化17】

【0032】
のフェニル−ブチロラクタムの化合物、
(h)式:
【0033】
【化18】

【0034】
のフェニル−オキサゾロンの化合物、
及び
(i)式:
【0035】
【化19】

【0036】
のフェニル−イミダゾロンの化合物
〔式中、R及びRは、式(1)で与えられる意味を有し、Etは−CHCHであり、nButはn−ブタノールである〕
である。
【0037】
さらに好ましいのは、Rが、水素、クロロ、ブロモ、メチル、メトキシ、エトキシ、tert−ブチル、フェニル又はニトロであり、R’が、水素、クロロ、ブロモ、メチル、メトキシ、エトキシ、tert−ブチル、フェニル又はニトロであり、Rが水素又はメトキシであり、Xが、−NH−、−N(n−C)−、又は−O−であり、X’が、−NH−、−N(n−C)−、又は−O−であり、Yが、水素又はCOOCであり、Y’が、水素又はCOOCであり、Zが=C−又は=N−であり、Z’が=C−又は=N−であり、Aが、=又は
【0038】
【化20】

【0039】
であり、Tが=C(R)−であり、Rが水素であり、nが0、1又は2である、式(1)の化合物である。
【0040】
式(1)の最も好ましい化合物は、式:
【0041】
【化21】



【0042】
の化合物である。
【0043】
本発明に従う式(1)の化合物は、例えば、活性メチレン基−CHを保有する式(50):
【0044】
【化22】

【0045】
の化合物2mol又は式(50)の化合物1mol及び活性メチレン基−CHを保有する式(51):
【0046】
【化23】

【0047】
の化合物1molと、式:
【0048】
【化24】

【0049】
の化合物のうちの1種の1molとを高い温度で反応させるか、又は式(50)の化合物2molを高い温度で酸化するか、
又は式(50)の化合物1mol及び式(51)の化合物1molを高い温度で酸化することによって調製され、ここで、
、R’、X、X’、Y、Y’、Z、Z’、x及びyは式(1)について上に定義されるとおりであり、nは0、1、2又は3であり、mは0、1、2又は3であり、Bはフェニル環であり、Rは、水素、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ又はアミノであり、Rは、水素、C〜C12アルキル又はCNである。
【0050】
フェニル−ブチロラクタム(この場合には、カルボエトキシによってC−置換されている)誘導体の一般的な合成は、以下の反応スキームによって特徴付けられる:
【0051】
【化25】

【0052】
ここで、Acは酢酸残基を意味し、Etはエチルを意味する。
【0053】
フェニル−ブチロラクタム及びフェニル−ブチロラクトン(N−未置換及びC−未置換)誘導体の一般的な合成は、以下の反応スキームによって特徴付けられる:
【0054】
【化26】

【0055】
ここで、AcOは無水酢酸を意味する。
【0056】
フェニル−オキサゾロン誘導体の一般的な合成は、以下の反応スキームによって特徴付けられる:
【0057】
【化27】

【0058】
ここで、Phはフェニルを意味し、AcOは無水酢酸を意味する。
【0059】
フェニル(pheny)−イミダゾロン誘導体の一般的な合成は、以下の反応スキームによって特徴付けられる:
【0060】
【化28】

【0061】
ここで、Rは式(1)で与えられる意味を有し、Meはメチルである。
【0062】
ジアルデヒドと活性メチレン化合物との縮合に基づく一般的な合成は、以下の反応スキームによって特徴付けられる:
【0063】
【化29】

【0064】
ここで、X、Y、及びZは、式(1)で与えられる意味を有する。
【0065】
式(1)の化合物は、対称又は非対称であることができ、1つ以上の水溶性基(スルホン酸基、カルボン酸基、またはカチオン性基)を含有することができる。
【0066】
式(1)の化合物の水溶性誘導体は、全て周知の染色プロセスを用いて、生地用途、綿、ウール、ポリアミド及びポリアクリロニトリルの着色用の染料として使用することができる。
【0067】
このような染料は、製造された天然ポリマー、特に合成疎水性繊維材料、特に生地材料を染色及び印染するのに有用である。このような製造された天然ポリマー又は合成疎水性生地材料を含む混合織物で構成される生地材料は、本発明の染料を用いて、同様に染色可能であるか又は印染可能である。
【0068】
有用な製造された天然ポリマー生地材料は、特に、セルロースアセテート及びセルローストリアセテートである。合成疎水性生地材料は、特に、直鎖芳香族ポリエステル、例えば、テレフタル酸とグリコール(特にエチレングリコール)とから形成されるポリエステル、又はテレフタル酸と1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンとの縮合生成物;ポリカーボネート、例えばα,α−ジメチル−4,4−ジヒドロキシジフェニルメタンとホスゲンとから形成されるもの;又はポリ塩化ビニル又はポリアミドに基づく繊維である。
【0069】
上記染料は、公知の染色プロセスに従って生地材料に適用される。例えば、ポリエステル繊維は、従来のキャリアを用いるか又は用いないで、80〜140℃の温度で従来のアニオン性又は非イオン性の分散剤の存在下で水性分散体から排出染色される。セルロースアセテートは、好ましくは、約65〜85℃で染色され、セルローストリアセテートは115℃までで染色される。
【0070】
上記染料はまた、サーモゾル、排出及び連続プロセスによって染色するために、及び印刷プロセスのために有用である。排出プロセスが好ましい。液比は装置、基材及び製造形態に依存する。しかし、液比は、広い範囲内、例えば4:1〜100:1の範囲内で選択することができるが、好ましくは6:1〜25:1である。
【0071】
上述の生地材料は、種々の加工形態において、例えば繊維、編み糸、若しくはウェブとして、又は織地若しくはループ形成ニット繊維として存在してもよい。使用前に染料を染料調製物に変換するのが有利である。このために、染量を磨砕して、それらの粒径が平均で0.1〜10ミクロンになるようにする。磨砕は分散剤の存在下で実施してよい。例えば、乾燥染料を分散剤で磨砕するか又は、ペースト状に分散剤で混練し、次いで減圧下で乾燥するか又は噴霧乾燥される。このようにして得られた調製物を使用し、水を添加することによって印刷ペースト及び染浴を調製することができる。
【0072】
印刷は、通常の増粘剤、例えば改変されているか又は改変されていない天然生成物、例えばアルギネート、Britishゴム、アラビアゴム、結晶性ゴム、イナゴマメ粉、トラガカント、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン又は合成生成物、例えばポリアクリルアミド、ポリアクリル酸若しくはそれらのコポリマー又はポリビニルアルコールを利用する。
【0073】
上述の染料は、非常に良好な耐サービス堅牢性、例えば特に良好な耐光堅牢性、特に非常に良好な耐高温光堅牢性、耐乾燥熱硬化及び耐プリーティング堅牢性、耐塩素堅牢性及び耐湿潤堅牢性、例えば耐水、耐汗及び耐洗浄堅牢性を有する均等な色相を、上述の材料、特にポリエステル材料に付与する;染色はさらに良好な耐摩擦堅牢性及び熱安定性によって特徴付けられる。
【0074】
式(1)の化合物の水不溶性誘導体は、プラスチックの大量着色のための排出又は顔料によってPETを着色するための分散染料として使用することができるか、又はインク及び塗料として使用することができる。これらの生成物は、また、木材及び金属の着色のためにも使用することができ、それらは、また、光学情報記憶のような特別な用途又はディスプレイデバイス若しくはプリント回路基板のための機能性染料としても好適である。
【0075】
本発明は、また、着色プラスチック又は着色ポリマー粒子の調製方法であって、高分子量有機物質及び着色有効量の式(1)の少なくとも1種の化合物を一緒に混合することを含む方法に関する。
【0076】
本発明は、さらに、式(1)の化合物の、個々に着色剤として、特に有機又は無機の、高分子量又は低分子量の物質、特に高分子量有機物質を着色又は染色するための使用に関する。また、しかし、式(1)の化合物を含む本発明の組成物は、混合物、固溶液又は混合結晶の形態で使用することも可能である。式(1)の化合物は、また、別の化学分類の着色剤と、例えば染料又は顔料と、例えばジケトピロロピロール、キナクリドン、ペリレン、ジオキサジン、アントラキノン、インダントロン、フラバントロン、インジゴ、チオインジゴ、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリン、フタロシアニン、金属錯体、アゾ顔料及びアゾ染料からなる群から選択されるものと組み合わせることもできる。
【0077】
高分子量物質は、有機又は無機であってもよく、合成及び/又は天然物質であってもよい。高分子量有機物質は通常は、10〜10g/molの平均分子量を有する。高分子量有機物質は例えば、天然樹脂又は乾性油、ゴム若しくはカゼイン又は改変された天然物質、例えば塩素化ゴム、油改変アルキド樹脂、ビスコース、又はセルロースエーテル若しくはエステル、例えばエチルセルロース、セルロースアセテート、プロピオネート若しくはブチレート、セルロースアセトブチレート又はニトロセルロースであってもよいが、特に、重合、例えば重縮合又は重付加によって得られるような完全に合成の有機ポリマー(デュロプラスト(duroplast)及びサーモプラスト(thermoplast))である。ポリマーの種類としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレンのようなポリオレフィン、及び、塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、アクリレート、メタクリレートのようなモノマーの重合物のような置換ポリオレフィン、ポリフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロロエチレン又はテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン混合重合物のようなフルオロポリマー、並びに上述のモノマーの共重合体、特にABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)又はEVA(エチレン/酢酸ビニル)が挙げられる。重付加及び重縮合樹脂のグループから、例えば、ホルムアルデヒドとフェノールとの縮合生成物、いわゆるフェノプラスト(phenoplast)、及びホルムアルデヒドと尿素又はチオ尿素との縮合生成物、またメラミン、いわゆるアミノプラスト、並びに、アルキド樹脂のような飽和されているか、又はマレイン酸樹脂のような不飽和の表面被覆用樹脂として使用されるポリエステル、また、直鎖ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド又はシリコーン、及びシリコーン樹脂を使用することが可能である。上述の高分子量化合物は、混練可能な化合物、溶融物の形態で又は紡績溶液の形態で、個々に又は混合物で存在してもよい。これらは、また、塗料又は印刷インクのためのそれらのモノマーの形態又は被膜形成剤又は結合剤として溶解した形態における重合化状態、例えば、沸騰アマニ油、ニトロセルロース、アルキド樹脂、メラミン樹脂及び尿素−ホルムアルデヒド樹脂又はアクリル系樹脂として存在してもよい。
【0078】
低分子量物質は、例えば、鉱油、ワックス又は潤滑グリースである。
【0079】
従って、本発明はさらに、インクの製造のための、印刷プロセスにおける印刷インクのための、フレキソ印刷、スクリーン印刷、パッケージングの印刷、セキュリティーカラー印刷、凹版印刷又はオフセット印刷のための、予備印刷段階のための、及び捺染のための、会社使用及び家庭使用のための又はグラフィックスのための、例えば、紙製商品のための、ボールペン、フェルトチップペン、ファイバーチップペン、厚紙、木材、(ウッド)ステイン、金属、スタンプパッド、又は衝撃式印刷プロセス(衝撃式印刷インクリボンを用いる)のためのインクのための、着色剤の製造のための、塗料のための、産業又は広告における使用のための、生地の装飾及び産業用ラベリングのための、ロールコーティング若しくは粉末被覆組成物のための、又は自動車塗料のための、ハイソリッド(低−溶媒)、水含有若しくは金属性塗料のための、又は水性塗料のための染色された配合物のための、鉱油、潤滑グリース又はワックスのための、コーティングのために着色されたプラスチック、繊維、プレート又は成形基材の製造のための、デジタル印刷のための非衝撃性印刷材料の製造のための、熱ワックス移動印刷プロセス、インクジェット印刷プロセスのための、又は熱移動印刷のための、また、特に、400〜700nmの範囲の可視光線用の着色フィルターの製造のための、液晶ディスプレイ(LCD)若しくは電荷結合素子(CCD)のための、又は化粧品の製造のための、又は着色ポリマー粒子、トナー、乾燥コピートナー、液体コピートナー若しくは電子写真用トナーの製造のための、式(1)の化合物の使用に関する。
【0080】
本発明は、さらに、高分子量有機物質と、発色量の式(1)の化合物とを含むインクに関する。
【0081】
例えば、インクは、本発明の化合物とポリマー分散剤とを混合することによって製造することができる。
【0082】
本発明の化合物とポリマー性分散剤との混合は、好ましくは、一般的に公知の混合方法、例えば、攪拌又は混合によって行われ、強力なミキサー、例えばUltraturaxを使用することが特に推奨される。
【0083】
本発明の化合物とポリマー分散剤とを混合する場合、水希釈可能な有機溶媒が有利に使用される。
【0084】
本発明の化合物対インクの重量比は、インクの全重量に基づいて、0.0001対75重量%、好ましくは0.001対50重量%の範囲で有利に選択される。それ故に、本発明は、また、インクの製造方法であって、高分子量有機物質と、発色量の式(1)の化合物とを混合することを含む方法にも関する。
【0085】
本発明は、さらに、高分子量有機物質及び発色量の本発明の式(1)の化合物を含む着色剤に関する。
【0086】
本発明は、加えて、高分子量有機物質と、発色量の本発明の式(1)の化合物とを混合することを含む、着色剤の調製方法に関する。
【0087】
本発明は、さらに、高分子量有機物質及び発色量の式(1)の化合物を含む、着色又は染色されたプラスチック又は着色ポリマー粒子に関する。
【0088】
加えて、本発明は、高分子量有機物質と、発色量の式(1)の化合物とを一緒に混合することを含む、着色又は染色されたプラスチック又は着色ポリマー粒子の調製方法に関する。
【0089】
式(1)の着色剤を用いた高分子量有機物質の着色は、例えば、このような着色剤を、場合によりマスターバッチの形態で、ロールミル又は混合装置又は磨砕装置を用いてこれらの基材に混入することによって行われ、着色剤は高分子量物質に溶解されるか又は微細に分布される。次いで、混合した着色剤を含む高分子量有機物質をそれ自体公知の手順、例えば、圧延、圧縮成形、押出成形、コーティング、紡績、鋳込み成形又は射出成形に従って加工し、着色した物質を最終形態にする。着色剤の混合は、また、例えば本発明の粉末化着色剤及び顆粒化高分子量有機物質及び場合によりさらなる成分、例えば添加剤を、押出機の注入ゾーンに同時に直接的に連続的に計量することによって、実際の加工工程の直前に行うことができ、混合は加工操作の直前に行う。しかし、一般に、さらに均一な結果が得られるため、着色剤を高分子量有機物質に予め混入するのが好ましい。
【0090】
非剛性成形品を製造する目的のために、又はそれらの脆性を減らす目的のために、成形のまえにいわゆる可塑剤を高分子量化合物に組み込むことが望ましい場合がしばしばある。可塑剤として、例えば、リン酸、フタル酸又はセバシン酸のエステルを使用してもよい。本発明の方法において、着色剤を組み込む前又は組み込んだ後に、可塑剤をポリマーに組み込むことができる。異なる色相を得るために、式(1)の化合物に加えて、任意の所望な量の構成要素、例えば、白色、着色又は黒色顔料を高分子量有機基剤に添加することも可能である。
【0091】
塗料及び印刷インクの着色のために、高分子量有機物質及び式(1)の化合物を場合によりさらなる成分、例えば、充填剤、染料、顔料、乾燥剤又は可塑剤とともに、通常の有機溶媒又は溶媒混合物に微細に分散又は溶解する。その手順は、各々の個々の成分をそれ自身で分散もしくは溶解するか、又はいくつかの成分を一緒に分散若しくは溶解してから、単に次に全ての成分を一緒にすることを含んでもよい。加工は、通常の方法、例えば、噴霧、被膜塗布又は多くの印刷方法の1つに従って行う、それで塗料又は印刷インクを有利には、場合により前乾燥の後に熱硬化又は照射によって硬化させる。
【0092】
着色される高分子量物質が塗料である場合、それは、従来の塗料又は特別な塗料、例えば、自動車用仕上げ剤、好ましくは、例えば金属粒子又は雲母粒子を含有する金属効果仕上げ剤であってもよい。
【0093】
好ましくは、特に繊維の形態の、熱可塑性樹脂及び印刷インクの着色である。本発明により着色することができる好ましい高分子量有機物質は、非常に一般的に、誘電率≧2.5を有するポリマー、特にポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン/アクリロニトリル(SAN)又はアクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)である。特により好ましくは、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン及びPMMAである。特に最も好ましくは、ポリエステル、ポリカーボネート及びPMMA、特にテレフタル酸の重縮合によって得ることができる芳香族ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリブチレンテレフタレートである。
【0094】
それらは、それらのモノマー若しくはコポリマーの形態で、あるいは金属装飾のために若しくは装飾的着色仕上げのために、及び例えば、インクジェット印刷プロセスにおいて使用される印刷インクのために、又はまたウッドステインのために使用することができる塗料のための被膜形成剤又は結合として溶解形態における重合化状態において使用することができる。
【0095】
特に好ましいことは、また、鉱油、潤滑グリース及びワックスを本発明の化合物で着色することでもある。
【0096】
本発明は、また、高分子量有機物質と、発色量の式(1)の化合物とを含む、鉱油、潤滑グリース及びワックスにも関する。
【0097】
本発明は、また、高分子量有機物質と発色量の式(1)の化合物とを混合すること含む、鉱油、潤滑グリース及びワックスの製造方法にも関する。
【0098】
本発明は、また、高分子量有機物質と、発色量の式(1)の化合物とを含む、非衝撃性印刷物質にも関する。
【0099】
本発明は、加えて、高分子量有機物質と、発色量の式(1)の化合物とを一緒に混合することを含む、非衝撃性印刷物質の調製方法に関する。
【0100】
本発明は、さらに、赤色、青色及び緑色のコーティングを製造するために式(1)の対応する着色化合物を使用することを含む、透明基材、及びそれに任意の所望の順序で適用される赤色、青色及び緑色のコーティングを含むカラーフィルターの製造方法に関する。
【0101】
異なる色で着色されたコーティングは、好ましくは、これらのそれぞれの表面積の少なくとも5%を超えて重複しない、最も好ましくは全く重複しないようなパターンで配置される。
【0102】
カラーフィルターは、例えば、本発明の化合物を含むインク、特に印刷インクを用いるか、又は、例えば、本発明の化合物と、化学的、熱的又は光分解的に構造化可能な高分子量物質(レジスト)とを混合することによってコーティングすることができる。さらなる製造は、EP−A−654711に類似して、例えば、基材、例えばLCDに適用し、その後に光構造化及び現像することによって、実施することができる。本発明は、さらに、染色された高分子量有機物質を含む、式(1)の対応する着色された化合物の赤色、青色、及び緑色のコーティングの各々で被覆された透明基材を含む。
【0103】
被覆を行う順序は原則として重要ではない。異なる色で着色されたコーティングを、好ましくは、それらのそれぞれの表面積の少なくとも5%を超えて重複しない、最も好ましくは全く重複しないようなパターンで配置する。
【0104】
本発明は、また、透明基材と、それに適用する、式(1)の対応する着色された化合物から各々得られる赤色、青色及び緑色のコーティングとを含む、カラーフィルターを含む。
【0105】
本発明は、また、式(1)の化合物の、光学情報記憶用金(ois)のための使用を含む。
【0106】
本発明は、加えて、高分子量有機物質と、発色量の式(1)の化合物とを含む、トナーに関する。
【0107】
本発明は、また、高分子量有機物質と発色量の式(1)の化合物とを一緒に混合することを含む、トナーの製造方法に関する。
【0108】
本発明はまた、塗料、印刷インク、鉱油、潤滑グリース若しくはワックス、又は着色若しくは染色されたプラスチック、非衝撃性印刷物質、カラーフィルター、化粧品又はトナーのための、高分子量有機物質と、発色量の式(1)の化合物とを含むインク又は着色剤に関する。
【0109】
本発明の方法の特別な実施態様では、トナー、塗料、インク又は着色されたプラスチックを、トナー、塗料、インク又は着色されたプラスチックのマスターバッチをロールミル又は混合若しくは磨砕装置において加工することによって製造する。
【0110】
(1)の化合物の発色量とは、本発明において通常は、それらを用いて着色又は染色される物質の全重量に基づいて、0.0001〜99.99重量%、好ましくは0.001〜50重量%、特に0.01〜50重量%を意味する。
【0111】
得られる着色/染色された高分子量物質、例えば、プラスチック、繊維、塗料及び印刷物は、非常に高い色強度、高い飽和度、過剰噴霧に対する良好な堅牢性、良好な移動安定性、熱、光及び天候に対する良好な堅牢性、高い光沢及び良好なIR反射率挙動によって区別される。
【0112】
耐光堅牢性を改良するために、UV吸収剤を、本発明の式(1)の化合物で着色されるプラスチック又はポリマー粒子に有利に混入する。UV吸収剤の量は、広い範囲内で変えることができ;有利には、プラスチック又はポリマー粒子の重量に基づいて、UV吸収剤0.01〜1.0重量%、特に0.05〜0.6重量%、より特に0.1〜0.4重量%を使用する。
【0113】
以下の実施例は、本発明を説明するのに役立つ。他に示されない限り、部は重量部であり、パーセンテージは重量パーセンテージである。温度は摂氏で与える。重量部と容量部との関係は、グラムと立法センチメートルとの関係と同じである。
【0114】
実施例1:(酸化的二量化の一般的手順)
5−フェニル4−カルボエトキシ−1,3−ジヒドロ−ピロール−2−オン(10.0g,0.04mol)の溶液を、無水DMF(ジメチルホルムアミド)(100ml)中で攪拌しながら、130℃で加熱する。ゆっくりとした酸素ガス流を、溶液を通して泡立たせ、反応の進行をTLCによってモニターする(約3時間)。反応が終了した後に、それを水(5回)に注ぐ。青色を帯びた懸濁液をブフナー漏斗を通してろ過し、暗紫色の粗生成物(11.0g)を得る。この粗生成物をヘキサン−酢酸エチル溶媒混合物から選択的に沈殿させることによって精製し、純粋な生成物(2.0g、20%)を得る。H NMR(dmso):δ1.1(6H,t),4.1(4H,q),7.4〜7.7(10H,m),11.2(2H,s)。表1に挙げる全ての他の化合物(項目1、3、4、7)は、同じ手順に従って得る。
【0115】
実施例2:(N−ブチル化の一般的手順)
実施例1のプロセスから得られた二量体(4.5g、0.009mol)を窒素雰囲気下で無水DMF(70ml)にとり、この溶液を5℃まで冷却する。これに、50%水素化ナトリウム(0.94g、0.019mol)を少量ずつ加える。しばらく時間がたった後に、臭化n−ブチル(4.65g、0.034mol)を1度に添加する。反応をTLCによってモニターし、終了後に、それをブラインに注ぐ。水性部分を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。有機層を蒸発させて粗紫色生成物を得る。それを、ヘキサン−酢酸エチル溶媒混合物(10:90)を用いてシリカゲルカラムで精製し、純粋な生成物(3.3g、58%)を得る。H NMR(dmso):δ0.6(6H,t),0.8(10H,m),1.2(4H,t),3.4(4H,t),3.9(4H,q),7.7(10H,s)。表1に挙げる全ての他の化合物(項目2、5、6)は、同じ手順に従って得る。
【0116】
以下の表において、Etは−CHCHを意味し、Meは−CHを意味し、OMeは−OCHを意味し、t−Butは−C(CHを意味し、Phは−フェニルを意味し、OEtは−OCHCHを意味し、n−Butは−(CHCHを意味する。
【0117】
【表1】

【0118】
実施例8:ベンゾイルアクリル酸(10.0g、0.056mol)、塩化第一銅(2.0g、0.010mol)、塩化アンモニウム(2.2g、0.041mol)を無水酢酸(50ml)にとる。それを、攪拌しながら、還流するまで2時間徐々に加熱する。反応が終了した後に、氷浴で十分に冷却する。沈降した固体をブフナー漏斗を通してろ過する。固体を無水酢酸、水及びエタノールで洗浄して粗生成物(5.2g)を得る。粗固体をトルエン中でソックスレー抽出によって精製し、純粋な赤色固体(3.8g、42%)を得る。m.p.315℃、C2012について分析、計算する;C,75.94;H,3.82;実測値:C,74.79;H,3.82。表2に挙げる全ての他の化合物は、同じ手順に従って得る。
【0119】
【表2】

【0120】
実施例17:実施例8からの上記の二量体(dimmer)2.0gを酢酸(50ml)にとる。次いで、アンモニアガスを、溶液を通して還流下で2時間、泡立たせた。反応混合物を70℃まで冷却し、ろ過する。固体を水、エタノール及びエーテルで洗浄する。粗生成物を連続ソックスレー抽出によって精製して紫色生成物(1.4g、70%)を得る。C2014について分析、計算する;C,76.42;H,4.49;N,8.90;実測値:C,75.84;H,5.10;N,7.70。表3に挙げる全ての他の化合物は、同じ手順に従って得る。
【0121】
【表3】

【0122】
実施例26:2,3−ビス−ベンゾイルアミノ−コハク酸(5.0g、0.014mol)(Stachel,S.D.ら,Arch.Pharm.312,968,1979に挙げる通りにして合成した)を塩化チオニル(50ml)にとって、2時間還流する。過剰の塩化チオニルを留去する。微量の塩化チオニルをトルエン共沸によって除去する。それを室温まで冷却し、水を添加する。次いで、粗塊をろ過し、一定重量になるまでオーブンで乾燥する。赤色の純粋な生成物を得て、秤量する(3.5g、78%)。C1810について分析、計算する;C,67.90;H,3.17;N,8.8;実測値:C,67.07;H,4.95;N,8.81。表4に挙げる全ての他の化合物を、上記の同じ手順に従って得る。
【0123】
【表4】

【0124】
実施例30:ベンゾアミジン遊離塩基(6.0g、0.049mol)及びジメチルアセチレンジカルボキシレート(3.6g、0.025mol)をベンゼン(約50ml)にとる。得られた深赤色溶液を還流するまで2時間加熱する。冷却した混合物をろ過して粗生成物(9.0g)を得る。粗生成物を最少量の加温DMFにとり、攪拌しながら大過剰量の水に注ぐ。分離した固体(2.1g)をろ過し、メタノールで16時間ソックスレー抽出する。メタノール不溶性の純粋な赤色生成物を得て、秤量する(0.8g、10%)。C1812について分析、計算する;C,68.37;H,3.79;N,17.72;実測値:C,69.33;H,3.43;N,17.47。実施例31からのメトキシ誘導体(表5を参照)を上記と同じ方法を用いて合成する。
【0125】
【表5】

【0126】
実施例33:5−フェニル−4−カルボエトキシ−1,3−ジヒドロ−ピロール−2−オン(2.3g、0.01mol)を酢酸(50ml)に60〜70℃で溶解する。これに、PTSA(0.7g)を添加した後に、2,5−ジメトキシテレフタルアルデヒド(1.0g,0.005mol)を添加し、温度を100℃に上げる。加熱を3時間続け、冷却後、固体をブフナー漏斗を通してろ過する。粗生成物を酢酸、水、DMF及びメタノールで洗浄する。最終的に、粗生成物を濃硫酸に溶解し、水から再沈殿させ、ろ過する。次いで、それをオーブンで乾燥して、赤色の純粋な生成物(1.5g,50%)を得る。C3632について分析、計算する;C,69.60;H,5.15;N,4.52;実測値:C,66.47;H,4.98;N,4.34。表6に挙げる全ての他の化合物を、同じ手順に従って得る。
【0127】
【表6】

【0128】
実施例44:5−(p−メチルフェニル)−4−カルボエトキシ−1,3−ジヒドロ−ピロール−2−オン(5.1g、0.0086mol)を窒素雰囲気下で無水DMF(70ml)にとり、溶液を5℃に冷却する。これに、50%水素化ナトリウム(1.0g、0.04mol)を少量ずつ加える。しばらく時間がたった後に、臭化n−ブチル(6.35g、0.046mol)をそれに一度に添加する。反応をTLCによってモニターし、終了後、それをブラインに注ぐ。水性部分を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。有機層を蒸発して、粗紫色生成物を得る。それを、ヘキサン−酢酸エチル溶媒混合物(10:90)を用いてシリカゲルカラムで精製し、純粋な生成物(3.5g,58%)を得る。H NMR(dmso):δ0.6(6H,t),0.8(6H,t),1.2(4H,m),1.4(4H,m),2.4(6H,s),3.4(4H,t),4.0(4H,q),7.2〜8.3(14H,m)。表7に挙げる全ての他の化合物を、同じ手順に従って得る。
【0129】
【表7】

【0130】
実施例54:テレフタルアルデヒド(2.0g、0.015mol)、酢酸ナトリウム(7.5g、0.091mol)及び無水酢酸(70ml)を丸底フラスコにとり、窒素雰囲気下、90℃に加熱する。これに、β−ベンゾイルプロピオン酸(16.0g,0.09mol)を添加する。反応温度を3時間維持し、冷却後、固体をブフナー漏斗を通してろ過し、酢酸、水及びメタノールで洗浄する。粗生成物をDMF中、80〜90℃で2時間加熱する。ろ過し、水で洗浄した後に、一定重量になるまでオーブン中で乾燥して、純粋な生成物(5.2g、83%)を得る。C2818について分析、計算する;C,78.37;H,4.34;実測値:C,78.87;H,4.45。実施例55及び56の化合物(表8参照)を上記と同じ方法を用いて合成する。
【0131】
【表8】

【0132】
実施例57:実施例54の上述のように調製したラクトン(11.5g、0.027mol)を酢酸(200ml)にとる。アンモニアガスをこれに通して泡立たせ、溶液を2時間還流する。反応が終了した後、それを冷却し、ろ過する。固体を酢酸、水及びメタノールで洗浄する。最終的な精製を、固体をDMF中、室温で4〜5時間攪拌することによって行う。次いで、ろ過した固体を水、メタノールで洗浄し、一定重量になるまでオーブンで乾燥し、橙色の純粋な生成物(10.2g、89%)を得る。C2820について分析、計算する;C,80.76;H,4.80;N,6.73 実測値:C,80.37;H,4.14;N,7.21。実施例58(表9参照)を上記と同じ方法を用いて合成する。
【0133】
実施例59:実施例57からの上記のラクタム(6.5g、0.020mol)を窒素雰囲気下で無水DMF(90ml)にとり、溶液を5℃に冷却する。これに、50%水素化ナトリウム(1.8g、0.075mol)を少量ずつ加えた。しばらく時間がたった後に、臭化n−ブチル(9.90g、0.075mol)をそれに一度に添加する。反応をTLCによってモニターし、終了後、それをブラインに注ぐ。水性部分を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。有機層を蒸発して、粗橙色生成物を得る。それを、ヘキサン−酢酸エチル溶媒混合物(10:90)を用いたシリカゲルカラムで精製し、橙色の純粋な生成物(2.0g、18%)を得る。m.p.160℃;H NMR(cdcl):δ0.8(6H,t),1.2(4H,t),1.4(4H,m),3.7(4H,t),6.2(2H,s),7.2〜7.6(16H,m)。
【0134】
【表9】

【0135】
実施例60:テレフタルアルデヒド(7.0g、0.055mol)、酢酸ナトリウム(14g、0.017mol)及び無水酢酸(150ml)を丸底フラスコにとり、窒素雰囲気下、90℃に加熱する。これに、馬尿酸(30.0g、0.167mol)を添加する。反応温度を4時間維持し、冷却後、黄色固体をブフナー漏斗を通してろ過し、酢酸、水及びメタノールで洗浄する。粗生成物をDMF中、80〜90℃で2時間加熱する。ろ過し、水で洗浄した後に、それを、一定重量が得られるまでオーブン中で乾燥し、純粋な生成物(14.5g、66%)を得る。C2616について分析、計算する;C,74.28;H,3.84;N,6.66 実測値:C,73.57;H,3.67;N,6.79。
【0136】
【表10】

【0137】
実施例63:実施例61の上記のオキサゾリンベースの化合物(1.0g、0.0023mol)を酢酸(30ml)にとる。アンモニアガスを、溶液を通して2時間泡立たせながら、反応混合物を還流させる。反応混合物を冷却後にろ過し、酢酸、水及びメタノールで洗浄する。粗塊をDMF中、室温で15時間攪拌した後に、水中で3時間沸騰させる。最終的な洗浄をメタノールで行い、一定重量になるまでオーブン中で乾燥する。この方法で得られた純粋な生成物は純粋な生成物の収率(2.5g,22%)を与える。C2618について分析、計算する;C,74.64;H,4.34;N,13.79 実測値:C,72.75;H,4.19;N,13.60。
【0138】
【表11】

【0139】
染色実施例1:ポリエステル顆粒(PET Arnite D04−300,DSM)1200.00gを130℃で4時間前乾燥し、次いで式
【0140】
【化30】

【0141】
の化合物2.6gと共に「ローラーラック(roller rack)」混合装置で1分あたり60回転で15分間均一に混合する。6個の加熱ゾーンを有する押出機(二軸25mm、Collin製,D−85560 Ebersberg)で最大温度275℃で均一な混合物を押出し、水で冷却し、製粒機(Turb Etuve TE 25、MAPAG AG製,CH−3001 Bern)で製粒し、130℃で4時間乾燥する。得られた緑色を帯びた黄色のポリエステル顆粒は全般的に良好な堅牢性を有し、特に良好な耐光堅牢性及び耐高温光堅牢性を有する。
【0142】
染色実施例2:ポリアミド−6顆粒(Ultramid B3K,BASF)1200.00gを75℃で4時間前乾燥し、次いで、式
【0143】
【化31】

【0144】
の化合物3.5gと共に「ローラーラック(roller rack)」混合装置で1分あたり60回転で15分均一に混合する。6個の加熱ゾーンを有する押出機(二軸25mm、Collin製、D−85560 Ebersberg)で最大温度220℃で均一な混合物を押出し、水で冷却し、製粒機(Turb Etuve TE 25、MAPAG AG製、CH−3001 Bern)で製粒し、75℃で4時間乾燥する。得られた橙色のポリアミド顆粒は良好な全般的に良好な堅牢性を有し、特に良好な耐光堅牢性及び耐高温光堅牢性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】


〔式中、
は、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アミノ、カルボキシ、カルボン酸エステル、スルホ、スルホン酸エステル、カルボン酸アミド、スルホン酸アミド、アルキルチオ、アリールチオ、アルコキシ又はアリールオキシであり、R’は、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アミノ、カルボキシ、カルボン酸エステル、スルホ、スルホン酸エステル、カルボン酸アミド、スルホン酸アミド、アルキルチオ、アリールチオ、アルコキシ又はアリールオキシであり、Xは、−O−、−S−、−NH−又は−N(アルキル)−であり、X’は、−O−、−S−、−NH−又は−N(アルキル)−であり、Yは、水素又はカルボン酸エステルであり、Y’は、水素又はカルボン酸エステルであり、Zは、=C−又は=N−であり、Z’は、=C−又は=N−であり、xは0又は1であり、Zが=N−である場合、xは0であり、yは0又は1であり、Z’が=N−である場合、yは0であり、Aは、式:
【化2】


の共役結合架橋であり、
式中、
nは0、1、2又は3であり、mは0、1、2又は3であり、Bはフェニル環であり、Tは=C(R)−又は=N−であり、ここでRは、水素、C〜C12アルキル又はCNであり、Wは、非置換、又はアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ若しくはアミノによって置換された複素環、又は直鎖若しくは重縮合芳香族基であり、Gは、−CH=又は−N=であり、Rは、水素、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ又はアミノである〕
の化合物。
【請求項2】
が、水素、クロロ、ブロモ、メチル、メトキシ、エトキシ、tert−ブチル、フェニル又はニトロであり、R’が、水素、クロロ、ブロモ、メチル、メトキシ、エトキシ、tert−ブチル、フェニル又はニトロであり、Rが水素又はメトキシであり、Xが、−NH−、−N(n−C)−、又は−O−であり、X’が、−NH−、−N(n−C)−、又は−O−であり、Yが、水素又はCOOCであり、Y’が、水素又はCOOCであり、Zが=C−又は=N−であり、Z’が=C−又は=N−であり、Aが、=又は
【化3】


であり、Tが=C(R)−であり、Rが水素であり、nが0、1又は2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式:
【化4】




の請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項4】
式(1)の化合物を調製する方法であって、活性メチレン基−CHを保有する式(50):
【化5】


の化合物2mol又は式(50)の化合物1mol及び活性メチレン基−CHを保有する式(51):
【化6】


の化合物1molと、式:
【化7】


の化合物のうちの1種の1molとを高い温度で反応させるか、
又は式(50)の化合物2molを高い温度で酸化するか、
又は式(50)の化合物1mol及び式(51)の化合物1molを高い温度で酸化することを含む方法
[ここで、
、R’、X、X’、Y、Y’、Z、Z’、x及びyは式(1)について上に定義されるとおりであり、nは0、1、2又は3であり、mは0、1、2又は3であり、Bはフェニル環であり、Rは、水素、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ又はアミノであり、Rは、水素、C〜C12アルキル又はCNである]。
【請求項5】
着色又は染色されたプラスチック又は着色ポリマー粒子の調製方法であって、高分子量有機物質及び発色量の請求項1に記載の式(1)の少なくとも1種の化合物を一緒に混合することを含む方法。
【請求項6】
請求項1に記載の式(1)の化合物を含む、着色又は染色されたプラスチック又は着色ポリマー粒子。
【請求項7】
インクの製造のための、印刷プロセスにおける印刷インクのための、フレキソ印刷、スクリーン印刷、パッケージングの印刷、セキュリティーカラー印刷、凹版印刷又はオフセット印刷のための、予備印刷段階のための、及び捺染のための、会社使用及び家庭使用のための又はグラフィックスのための、例えば、紙製商品のための、ボールペン、フェルトチップペン、ファイバーチップペン、厚紙、木材、(ウッド)ステイン、金属、スタンプパッド、又は衝撃式印刷プロセス(衝撃式印刷インクリボンを用いる)のためのインクのための、着色剤の製造のための、塗料のための、産業又は広告における使用のための、生地の装飾及び産業用ラベリングのための、ロールコーティング若しくは粉末被覆組成物のための、又は自動車塗料のための、ハイソリッド(低−溶媒)、水含有若しくは金属性塗料のための、又は水性塗料のための染色された配合物のための、鉱油、潤滑グリース又はワックスのための、コーティングのために着色されたプラスチック、繊維、プレート又は成形基材の製造のための、デジタル印刷のための非衝撃性印刷材料の製造のための、熱ワックス移動印刷プロセス、インクジェット印刷プロセスのための、又は熱移動印刷プロセスのための、また、特に、400〜700nmの範囲の可視光線用の着色フィルターの製造のための、液晶ディスプレイ(LCD)若しくは電荷結合素子(CCD)のための、又は化粧品の製造のための、又は着色ポリマー粒子、トナー、乾燥コピートナー、液体コピートナー若しくは電子写真用トナーの製造のための、又は光学情報記憶適用途(ois)のための、請求項1に記載の式(1)の化合物の使用。

【公表番号】特表2006−524729(P2006−524729A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505454(P2006−505454)
【出願日】平成16年3月10日(2004.3.10)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050276
【国際公開番号】WO2004/089941
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】