説明

新規な9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン誘導体及びこれらのモノアミン神経伝達物質再取り込み阻害剤としての使用

本発明は、モノアミン神経伝達物質再取り込み阻害剤として有用な、新規な9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン誘導体に関する。他の態様では、本発明は、これらの化合物をある治療方法において使用すること、及び本発明の化合物を含む医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノアミン神経伝達物質再取り込み阻害剤として有用な、新規な9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン誘導体に関する。
【0002】
他の態様では、本発明は、これらの化合物をある治療方法において使用すること、及び本発明の化合物を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
WO97/30997(NeuroSearch A/S)には、神経伝達物質再取り込み阻害剤として活性のあるトロパン誘導体について記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、モノアミン神経伝達物質であるセロトニン、ドーパミン及びノルアドレナリンの再取り込みに対する活性に関し、ノルアドレナリン及びドーパミンの再取り込み活性に対するセロトニン再取り込み活性の比などの、最適化された薬理学的プロフィールを有する化合物が今もなお強く必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
その第1の態様では、本発明は、式I
【化1】


の9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン誘導体、
その任意の異性体若しくはその異性体の任意の混合物、又はその医薬として許容できる塩を提供する。
式中、R、R及びXは、下記定義の通りである。
【0006】
その第2の態様では、本発明は、医薬として許容できる少なくとも1種の担体、賦形剤又は希釈剤と共に、本発明の化合物、その任意の異性体若しくはその異性体の任意の混合物、又はその医薬として許容できる塩の治療有効量を含む医薬組成物を提供する。
【0007】
さらなる態様では、本発明は、ヒトを含む哺乳類の疾患又は障害又は状態であり、中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取り込み阻害に反応する疾患、障害又は状態の、治療、予防又は緩和用の医薬組成物を製造するための、本発明の化合物、その任意の異性体若しくはその異性体の任意の混合物、又はその医薬として許容できる塩の使用を提供する。
【0008】
その上さらなる態様では、本発明は、ヒトを含む動物の生体の疾患又は障害又は状態であり、中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取り込み阻害に反応する疾患、障害又は状態の、治療、予防又は緩和方法であって、これを必要とするかかる動物の生体に、本発明の化合物、その任意の異性体若しくはその異性体の任意の混合物、又はその医薬として許容できる塩の治療有効量を投与するステップを含む方法に関する。
【0009】
本発明の他の目的は、当業者であれば以下の詳細な説明及び実施例から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
9−アザ−ビシクロ[3.3.1]オクタン誘導体
その第1の態様では、本発明は、式I
【化2】


の9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン誘導体、
その任意の異性体若しくはその異性体の任意の混合物、
又はその医薬として許容できる塩を提供する。
式中、
は、水素又はアルキルを表し;
ここで、アルキルは、
ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル及びアルキニル
からなる群から独立に選択される1個又は複数の置換基で場合によって置換されており;
Xは、−O−、−S−又は−NR−を表し;
ここで、Rは、水素、アルキル、−C(=O)R又は−SOを表し;
ここで、Rは、水素又はアルキルを表し;
は、アリール基又はヘテロアリール基を表し;
ここで、アリール基又はヘテロアリール基は、
ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル及びアルキニル
からなる群から独立に選択される1個又は複数の置換基で場合によって置換されている。
【0011】
一実施形態では、Rは、水素又はアルキルを表す。特別な実施形態では、Rは、水素を表す。さらなる実施形態では、Rは、メチルなどのアルキルを表す。
【0012】
その上さらなる実施形態では、Rは場合によって置換されたフェニルなどの場合によって置換されたアリール基を表す。
【0013】
さらなる実施形態では、Rは、フェニル基を表す。ここで、フェニル基は、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ及びアルコキシからなる群から独立に選択される1個又は複数の置換基で場合によって置換されている。
【0014】
その上さらなる実施形態では、Rは、フェニル基を表す。ここで、フェニル基は、ハロで2回場合によって置換されている。特別な実施形態では、Rは、3,4−ジクロロ−フェニルなどのジクロロ−フェニルを表す。さらなる実施形態では、Rは、4−クロロ−3−フルオロ−フェニルなどのクロロ−フルオロ−フェニルを表す。
【0015】
さらなる実施形態では、Rは、ピリジル基を表す。ここで、ピリジル基は、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ及びアルコキシからなる群から独立に選択される1個又は複数の置換基で場合によって置換されている。
【0016】
その上さらなる実施形態では、Rは、ピリジル基を表す。ここで、ピリジル基は、ハロ又はアルコキシで1回場合によって置換されている。特別な実施形態では、Rは、6−ブロモ−ピリジン−2−イルなどのブロモ−ピリジルを表す。さらなる実施形態では、Rは、6−メトキシ−ピリジン−2−イルなどのアルコキシ−ピリジルを表す。
【0017】
さらなる実施形態では、Xは−O−を表す。
【0018】
特別な実施形態では、本発明の化合物は、
exo−3−(3,4−ジクロロ−フェノキシ)−9−メチル−9−アザ−ビシクロ [3.3.1]ノナン;
exo−3−(4−クロロ−3−フルオロフェノキシ)−9−メチル−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン;
exo−3−(3,4−ジクロロ−フェノキシ)−9−H−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン;
exo−3−(6−ブロモピリジン−2−イルオキシ)−9−メチル−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン;
exo−3−(6−ブロモピリジン−2−イルオキシ)−9−H−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン;
exo−3−(6−メトキシピリジン−2−イルオキシ)−9−メチル−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン;
又はこれらの医薬として許容できる塩である。
【0019】
上記実施形態のうち、2つ以上のいずれの組合せも本発明の範囲内にあると考えられる。
【0020】
置換基の定義
本発明の文脈において、ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを表す。
【0021】
本発明の文脈において、アルキル基は、直鎖又は分枝の1価の飽和炭化水素鎖を意味する。該炭化水素鎖は、1から6個の炭素原子を含むことが好ましく(C1〜6−アルキル)、これにはペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ターシャリーペンチル、ヘキシル及びイソヘキシルが含まれる。好ましい実施形態では、アルキルは、C1〜4−アルキル基を表し、これにはブチル、イソブチル、セカンダリーブチル及びターシャリーブチルが含まれる。本発明の他の好ましい実施形態では、アルキルは、C1〜3−アルキル基を表し、具体的にはメチル、エチル、プロピル又はイソプロピルであってもよい。
【0022】
本発明の文脈において、アルケニル基は、1個又は複数の二重結合を含む炭素鎖を意味し、これにはジ−エン、トリ−エン及びポリ−エンが含まれる。好ましい実施形態では、本発明のアルケニル基は、2から6個の炭素原子を含み(C2〜6−アルケニル)、少なくとも1個の二重結合を含む。最も好ましい実施形態では、本発明のアルケニル基は、エテニル、すなわち1−若しくは2−プロペニル;1−、2−若しくは3−ブテニル、又は1,3−ブタジエニル;1−、2−、3−、4−若しくは5−ヘキセニル、又は1,3−ヘキサジエニル又は1,3,5−ヘキサトリエニルである。
【0023】
本発明の文脈において、アルキニル基は、1個又は複数の三重結合を含む炭素鎖を意味し、これにはジ−イン、トリ−イン及びポリ−インが含まれる。好ましい実施形態では、本発明のアルキニル基は、2から6個の炭素原子を含み(C2〜6−アルキニル)、少なくとも1個の三重結合を含む。その最も好ましい実施形態では、本発明のアルキニル基は、エチニル、すなわち1−若しくは2−プロピニル;1−、2−若しくは3−ブチニル、又は1,3−ブタジイニル;1−、2−、3−、4−ペンチニル、又は1,3−ペンタジイニル;1−、2−、3−、4−若しくは5−ヘキシニル、又は1,3−ヘキサジイニル又は1,3,5−ヘキサトリイニルである。
【0024】
本発明の文脈において、シクロアルキル基は、3から7個の炭素原子を含むことが好ましい(C3〜7−シクロアルキル)環状アルキル基を意味し、これにはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルが含まれる。
【0025】
アルコキシは、O−アルキルであり、ここでアルキルは上記定義の通りである。
【0026】
シクロアルコキシは、O−シクロアルキルを意味し、ここでシクロアルキルは上記定義の通りである。
【0027】
シクロアルキルアルキルは、上記のシクロアルキル及び上記のアルキルを意味し、例えばシクロプロピルメチルを意味する。
【0028】
アミノは、NH又はNH−アルキル又はN−(アルキル)であり、ここでアルキルは上記定義の通りである。
【0029】
本発明の文脈において、アリール基は、炭素環式芳香族環系を意味し、例えばフェニル、ナフチル(1−ナフチル若しくは2−ナフチル)又はフルオレニルなどが挙げられる。
【0030】
本発明の文脈において、ヘテロアリール基は、芳香族の単環式又は二環式の複素環基を意味し、その環状構造において1個又は複数のヘテロ原子を有する。好ましいヘテロ原子には、窒素(N)、酸素(O)及び硫黄(S)が含まれる。
【0031】
本発明の好ましい単環式ヘテロアリール基は、5−及び6−員の芳香族複素単環式基を含み、これには例えば、オキサゾリル(オキサゾール−2−イル、−4−イル、又は−5−イル)、イソオキサゾリル(イソオキサゾール−3−イル、−4−イル、又は−5−イル)、チアゾリル(チアゾール−2−イル、−4−イル、又は−5−イル)、イソチアゾリル(イソチアゾール−3−イル、−4−イル、又は−5−イル)、1,2,4−オキサジアゾリル(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル又は−5−イル)、1,2,4−チアジアゾリル(1,2,4−チアジアゾール−3−イル又は−5−イル)、1,2,5−オキサジアゾリル(1,2,5−オキサジアゾール−3−イル又は−4−イル)、1,2,5−チアジアゾリル(1,2,5−チアジアゾール−3−イル又は−4−イル)、イミダゾリル(2−、4−、又は5−イミダゾリル)、ピロリル(2−又は3−ピロリル)、フラニル(2−又は3−フラニル)、チエニル(2−又は3−チエニル)、ピリジル(2−、3−又は4−ピリジル)、ピリミジル(2−、4−、5−又は6−ピリミジル)、又はピリダジニル(3−又は4−ピリダジニル)が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0032】
本発明の好ましい二環式ヘテロアリール基には、例えば、インドリジニル(2−、5−又は6−インドリジニル)、インドリル(2−、5−又は6−インドリル)、イソインドリル(2−、5−又は6−イソインドリル)、インダゾリル(1−又は3−インダゾリル)、ベンゾフラニル(2−、5−又は6−ベンゾフラニル)、ベンゾ[b]チエニル(2−、5−又は6−ベンゾチエニル)、ベンズイミダゾリル(2−、5−又は6−ベンズイミダゾリル)、ベンゾオキサゾリル(2−、5−又は6−ベンゾオキサゾリル)、ベンゾチアゾリル(2−、5−又は6−ベンゾチアゾリル)、ベンゾ[d]イソチアゾリル(1,2−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イル)、プリニル(2−又は8−プリニル)、キノリニル(2−、3−、6−、7−又は8−キノリニル)、イソキノリニル(1−、3−、5−、6−又は7−イソキノリニル)、シンノリニル(6−又は7−シンノリニル)、フタラジニル(6−又は7−フタラジニル)、キナゾリニル(2−、6−又は7−キナゾリニル)、キノキサリニル(2−又は6−キノキサリニル)、1,8−ナフチリジニル(1,8−ナフチリジン−2−、3−、6−又は7−イル)、プテリジニル(2−、6−又は7−プテリジニル)、及びインデニル(1−、2−、3−、5−又は5−インデニル)が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0033】
医薬として許容できる塩
本発明の化合物は、目的とする投与に適した任意の形態で提供され得る。適当な形態は、本発明の化合物の、医薬として(すなわち生理的に)許容できる塩、及びプレドラッグ又はプロドラッグの形態を含む。
【0034】
医薬として許容できる付加塩の例には、限定するものではなく、非毒性の無機酸及び有機酸の付加塩が含まれる。例えば、塩酸由来の塩酸塩、臭化水素酸由来の臭化水素酸塩、硝酸由来の硝酸塩、過塩素酸由来の過塩素酸塩、リン酸由来のリン酸塩、硫酸由来の硫酸塩、ギ酸由来のギ酸塩、酢酸由来の酢酸塩、アコニット酸由来のアコニット酸塩、アスコルビン酸由来のアスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸由来のベンゼンスルホン酸塩、安息香酸由来の安息香酸塩、桂皮酸由来の桂皮酸塩、クエン酸由来のクエン酸塩、エンボン酸由来のエンボン酸塩、エナント酸由来のエナント酸塩、フマル酸由来のフマル酸塩、グルタミン酸由来のグルタミン酸塩、グリコール酸由来のグリコール酸塩、乳酸由来の乳酸塩、マレイン酸由来のマレイン酸塩、マロン酸由来のマロン酸塩、マンデル酸由来のマンデル酸塩、メタンスルホン酸由来のメタンスルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸由来のナフタレン−2−スルホン酸塩、フタル酸由来のフタル酸塩、サリチル酸由来のサリチル酸塩、ソルビン酸由来のソルビン酸塩、ステアリン酸由来のステアリン酸塩、琥珀酸由来の琥珀酸塩、酒石酸由来の酒石酸塩、p−トルエンスルホン酸由来のトルエン−p−スルホン酸塩などが挙げられる。かかる塩は、当技術分野においてよく知られ、且つ記載されている手法で形成され得る。
【0035】
シュウ酸などの、医薬として許容できないと考えられ得るような他の酸は、本発明の化合物及びその医薬として許容できる酸付加塩を得る際に、中間体として有用な塩の調製に役立つ可能性がある。
【0036】
本発明の化合物の、医薬として許容できる陽イオンの塩の例には、限定するものではなく、陰性基を含む本発明の化合物のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩、リチウム塩、コリン塩、リジン塩及びアンモニウム塩などが含まれる。かかる陽イオンの塩は、当技術分野においてよく知られ、且つ記載されている手法で形成され得る。
【0037】
本発明の文脈において、Nを含む化合物の「オニウム塩」はまた、医薬として許容できる塩として企図されている。好ましい「オニウム塩」には、アルキル−オニウム塩、シクロアルキル−オニウム塩及びシクロアルキルアルキル−オニウム塩が含まれる。
【0038】
本発明の化合物のプレドラッグ又はプロドラッグの形態の例には、親化合物の有する1個又は複数の反応基又は誘導体化できる基において修飾された化合物を含む、本発明による物質の適当なプロドラッグの例が含まれる。特に関心のあるものは、カルボキシル基、ヒドロキシル基又はアミノ基において修飾された化合物である。適当な誘導体の例は、エステル又はアミドである。
【0039】
本発明の化合物は、水、エタノールなどの医薬として許容できる溶媒と共に、溶解性又は不溶解性の形態で提供されることが可能である。溶解性の形態はまた、一水和物、二水和物、半水和物、三水和物、四水和物などの水和物の形態を含む。一般的に、溶解性の形態は、本発明において不溶解性の形態と同等であると考えられる。
【0040】
立体異性体
本発明の化合物が1個又は複数のキラル中心を含むことができ、かかる化合物が異性体の形態で存在することは、当業者によって認識されるであろう。
【0041】
例えば、式Iの9−アザ−ビシクロ[3.3.1]−オクタン骨格の3位にある置換基−X−Rは、具体的にはエキソ又はエンド配置にあることが可能である。本発明の1つの実施形態では、3位の置換基はエキソ配置にある。本発明の他の実施形態では、3位の置換基はエンド配置にある。
【0042】
本発明には、かかるすべての異性体、及びラセミ混合物を含めたその任意の混合物が含まれる。
【0043】
ラセミ体は、知られている方法及び技術によって光学対掌体に分割することができる。異性体の塩を分離する1つの方法は、光学活性な酸を使用すること、及び光学活性なアミン化合物を塩基で処理することによって遊離させることである。ラセミ化合物を光学対掌体に分割するための他の方法は、光学活性な基質上でのクロマトグラフィーに基づいている。従って、本発明のラセミ化合物は、例えば、d−又はl−の塩(酒石酸塩、マンデル酸塩又はカンファースルホン酸塩)の分別結晶によって、光学対掌体に分割することができる。
【0044】
本発明の化合物はまた、以下による分割も可能である。すなわち、(+)若しくは(−)フェニルアラニン、(+)若しくは(−)フェニルグリシン、(+)若しくは(−)カンファン酸由来などの光学活性な活性カルボン酸と本発明の化合物との反応により、ジアステレオマーのアミドを形成させることによる分割、又は光学活性なクロロギ酸塩などと本発明の化合物との反応により、ジアステレオマーのカルバミン酸塩を形成させることによる分割などである。
【0045】
光学異性体を分割するためのさらなる方法が、当技術分野において知られている。かかる方法には、Jaques J、Collet A及びWilen Sによって、“Enantiomers、Racemates、and Resolutions”、John Wiley and Sons、New York(1981)に記載されたものが含まれる。
【0046】
光学活性な化合物はまた、光学活性な出発物質から調製され得る。
【0047】
標識化合物
本発明の化合物は、これらの標識されている形態、又はこれらの標識されていない形態で使用され得る。本発明の文脈において、該標識化合物は、通常天然に見られる原子質量すなわち質量数とは異なる原子質量すなわち質量数を有する原子で置換されている、1個又は複数の原子を有する。標識することにより、前記化合物を定量的に検出することが容易になるであろう。
【0048】
本発明の標識化合物は、種々の診断方法における、診断ツール、放射線トレーサー又はモニタリング試薬として、及びin vivo受容体画像に有用であり得る。
【0049】
本発明の標識異性体は、標識として少なくとも1種の放射性核種を含むことが好ましい。陽電子放出核種はすべて使用に値する。本発明の文脈において、該放射性核種は、H(重水素)、H(三重水素)、13C、14C、131I、125I、123I及び18Fから選択されることが好ましい。
【0050】
本発明の標識異性体を検出するための物理的方法は、陽電子放射断層撮影法(PET)、単光子イメージングコンピュータ断層撮影法(SPECT)、磁気共鳴分光法(MRS)、磁気共鳴映像法(MRI)及びコンピュータ体軸X線断層撮影法(CAT)、又はこれらの組合せから選択することが可能である。
【0051】
調製方法
本発明の化合物は、従来の化学合成法、例えば実施例に記載されている方法によって調製されることが可能である。本明細書に記載されている工程のための出発物質は、知られているか、又は市販の薬品から従来の方法によって容易に調製され得る。
【0052】
本発明のある化合物はまた、従来の方法を用いて、本発明の別の化合物に変換することが可能である。
【0053】
本明細書に記載されている反応の最終生成物は、従来の技術、例えば、抽出、結晶化、蒸留によって単離され得る。
【0054】
生物活性
本発明の化合物については、例えばWO97/30997に記載されているようなシナプトソームにおいて、モノアミンであるドーパミン、ノルアドレナリン及びセロトニンの再取り込みを阻害する能力を試験することができる。これらの試験で認められた平衡状態にある活性に基づいて、本発明の化合物は、ヒトを含む哺乳類の疾患又は障害又は状態であり、中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取り込み阻害に反応する疾患、障害又は状態の、治療、予防又は緩和に有用であると考えられる。
【0055】
特別な実施形態では、本発明の化合物は、以下の治療、予防又は緩和に有用であると考えられる。すなわち、気分障害、うつ病、非定型うつ病、痛みに続発するうつ病、大うつ病性障害、気分変調性障害、双極性障害、双極性I型障害、双極性II型障害、気分循環性障害、全身性病状による気分障害、物質誘発性気分障害、仮性痴呆、ガンザー症候群、強迫性障害、パニック障害、広場恐怖を伴わないパニック障害、広場恐怖を伴うパニック障害、パニック障害歴のない広場恐怖、パニック発作、記憶障害、記憶喪失、注意欠陥多動障害、肥満症、不安、全般性不安障害、摂食障害、パーキンソン病、パーキンソニズム、痴呆、加齢による痴呆、老年痴呆、アルツハイマー病、後天性免疫不全症候群痴呆症、加齢による記憶機能障害、特定の恐怖症、対人恐怖、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、薬物嗜癖、薬物乱用、コカイン乱用、ニコチン乱用、タバコ乱用、飲酒癖、アルコール依存症、痛み、慢性の痛み、炎症性疼痛、神経因性疼痛、片頭痛の痛み、緊張型頭痛、慢性緊張型頭痛、うつ病を伴う痛み、線維筋痛、関節炎、変形性関節症、関節リウマチ、背痛、癌性疼痛、過敏性腸痛、過敏性腸症候群、術後疼痛、乳腺切除術後疼痛症候群(PMPS)、脳卒中後の痛み、薬物誘発性神経障害、糖尿病性神経障害、交感神経性の持続痛、三叉神経痛、歯痛、顔面筋疼痛、幻肢痛、過食症、月経前症候群、黄体期後期症候群、外傷後症候群、慢性疲労症候群、尿失禁、緊張性尿失禁、切迫性尿失禁、夜尿、性的機能不全、精液早漏、勃起困難、勃起不全、女性早期オルガスム、不穏下肢症候群、摂食障害、神経性食欲不振、睡眠障害、自閉症、無言症、抜毛癖、ナルコレプシー、脳卒中後のうつ病、脳卒中誘発性脳損傷、脳卒中誘発性神経損傷又はジルドラトゥーレット病である。好ましい実施形態では、該化合物は、うつ病の治療、予防又は緩和に有用であると考えられる。
【0056】
活性医薬成分(API)の適当な投与量は、約0.1から約1000mgAPI/日、より好ましくは約10から約500mgAPI/日、最も好ましくは約30から約100mgAPI/日の範囲内であるが、その投与量は、的確な投与方法、該成分が投与される形態、考えられる適応症、被験者及び特に関係被験者の体重、並びにその上、主治医又は担当獣医の優先選択及び経験によって決まると現在では考えられている。
【0057】
本発明の好ましい化合物は、サブミクロモル及びミクロモル、すなわち1μM未満から約100μMの範囲で生物活性を示す。
【0058】
医薬組成物
本発明の他の態様では、本発明の化合物の治療有効量を含む新規医薬組成物を提供する。
【0059】
治療に使用するための本発明の化合物は、未改変の化合物の形態で投与され得るが、該活性成分を場合によって生理的に許容できる塩の形態で、医薬組成物中に1種又は複数種の補助剤、賦形剤、担体、緩衝剤、希釈剤及び/又は他の通例の医薬助剤と共に導入することが好ましい。
【0060】
好ましい実施形態では、本発明は、医薬として許容できる1種又は複数種の担体、及び場合によって、当技術分野において知られており、且つ使用されている他の治療成分及び/又は予防成分と共に、本発明の化合物、又はその医薬として許容できる塩若しくは誘導体を含む医薬組成物を提供する。該担体(1種又は複数種)は、製剤の他の成分と化学反応を起こさない、且つこれを投与された者に害を及ぼさないという意味で「許容できる」必要がある。
【0061】
本発明の医薬組成物は、経口、直腸、気管支、経鼻、経肺、局所(頬側及び舌下を含む)、経皮、経膣又は非経口(皮膚、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、動脈内、大脳内、眼内の注射若しくは注入を含む)投与に適したもの、或いは、粉末剤及び液体エアゾール剤の投与を含む吸入若しくは通気、又は持続放出性製剤に適した形態にあるものであってもよい。持続放出性製剤の適当な例には、本発明の化合物を含む固体の疎水性ポリマーの半透性基質が含まれる。その基質は、成形品、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態であってもよい。
【0062】
従って、本発明の化合物は、従来の補助剤、担体又は希釈剤と共に、医薬組成物及びこれらの単位調剤の形態中に入れることが可能である。かかる形態には、固体、及び特に錠剤、増量剤入りカプセル剤、粉末剤及びペレット剤、並びに液剤、特に水溶液又は非水溶液、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、並びに同化合物入りカプセル剤、経口用のすべて、直腸投与用坐剤、並びに非経口用の無菌注射用溶液が含まれる。かかる医薬組成物及びこれらの単位剤形は、従来の成分を従来の割合で含むことができ、さらなる活性化合物又は成分を含んでも含まなくてもよく、かかる単位剤形は、使用されるように意図された1日投与量の範囲に相当する、任意の適当な有効量の活性成分を含むことができる。
【0063】
本発明の化合物は、幅広い種類の経口及び非経口の単位剤形で投与されることが可能である。以下の単位剤形が、活性成分として、本発明の化合物か、又は本発明の化合物の医薬として許容できる塩のいずれかを含み得ることは、当業者には明らかであろう。
【0064】
医薬組成物を本発明の化合物から調製するためには、医薬として許容できる担体は、固体又は液体のいずれかの可能性がある。固形製剤には、粉末剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、及び分散可能な顆粒剤が含まれる。固体担体は1種又は複数種の物質であることが可能であり、かかる物質はまた、希釈剤、着香剤、可溶化剤、潤滑剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、又はカプセル化材としての働きをすることができる。
【0065】
粉末剤において、該担体は、微粉化した固体であり、微粉化した活性成分との混合物の状態にある。
【0066】
錠剤において、該活性成分は、適当な割合で必要な結合能力を有する該担体と混合され、且つ所望の形状及び大きさで圧縮されている。
【0067】
該粉末剤及び錠剤は、5又は10%から約70%の活性化合物を含むことが好ましい。適当な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオバターなどである。「製剤」という用語は、カプセルを提供する担体として、カプセル化材を有する活性化合物の製剤を含むことを意味する。かかるカプセル中、活性成分は、担体の有無にかかわらず、1つの担体に取り囲まれているので、かかるカプセルは該活性成分と関連している。同様に、カシェ剤及びトローチ剤が含まれる。錠剤、粉末剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤及びトローチ剤は、経口投与に適した固体剤形として用いることができる。
【0068】
坐剤の調製については、脂肪酸グリセリドの混合物又はカカオバターなどの低融点ワックスを最初に融解させ、その中に撹拌によって活性成分を均質に分散させる。次いで、融解した均質な混合物を手頃な大きさの金型へ注入し、冷却することにより固める。
【0069】
経膣投与に適した組成物は、活性成分に加えて、当技術分野において適当であると知られているような担体を含む、ペッサリー、タンポン、クリーム、ジェル、軟膏、フォーム又はスプレーとして提示することができる。
【0070】
液体製剤には、液剤、懸濁剤及び乳剤、例えば水又はプロピレングリコール水溶液などが含まれる。例として、注射用液体製剤は、ポリエチレングリコール水溶液中の溶液として調剤することができる。
【0071】
従って本発明による化合物は、非経口投与用(例として注射、例えばボーラス注射又は持続注入などによる投与用)に調剤することができ、且つアンプル剤、プレフィルドシリンジ、少容量注入、又は追加の保存剤を有する反復投与用容器での単位剤形で提示することができる。該組成物は、懸濁剤、液剤、又は油性若しくは水溶性の溶媒中での乳剤などの形態を取ることができ、且つ懸濁化剤、安定化剤及び/又は分散剤などの製剤用薬剤を含んでもよい。また、活性成分は、粉末の形態であってもよい。かかる粉末は、無菌固体を無菌単離すること、又は溶液から凍結乾燥することによって得られ、使用前に、適当な溶媒、例えば発熱物質なしの滅菌水を用いて構成することを目的としている。
【0072】
経口用に適した水溶性液剤は、所望通り、活性成分を水に溶解させること、並びに適当な着色剤、着香剤、安定化剤及び増粘剤を加えることによって調製され得る。
【0073】
経口用に適した水溶性懸濁剤は、粘性材料を用いて、微粉化した活性成分を水に分散させることによって調製され得る。かかる粘性材料には、天然又は合成のゴム糊、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、又は他のよく知られている懸濁化剤などが挙げられる。
【0074】
使用直前に、経口投与用の液体剤形に変換されるように意図された固形製剤も含まれる。かかる液体剤形には、液剤、懸濁剤及び乳剤が含まれる。活性成分に加えて、かかる製剤は、着色剤、着香剤、安定化剤、緩衝剤、人工及び天然甘味剤、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含んでもよい。
【0075】
表皮への局所投与用に、本発明の化合物を、軟膏、クリーム、ローションとして、又は経皮貼付剤として調剤することが可能である。軟膏及びクリームは、例えば、水溶性又は油性の基剤を用い、適当な増粘剤及び/又はゲル化剤を追加して調剤され得る。ローションは、水溶性又は油性の基剤を用いて調剤することができ、通常、1種又は複数種の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤又は着色剤をも含むものである。
【0076】
口内の局所投与に適した組成物には、通常、蔗糖及びアカシア又はトラガカントなどの香味を添えた基剤中に活性薬剤を含むトローチ剤;ゼラチン及びグリセリン又は蔗糖及びアカシアなどの不活性な基剤中に活性成分を含む香錠;並びに適当な液体担体中に活性成分を含むうがい薬が含まれる。
【0077】
液剤又は懸濁剤は、従来の方法、例えばスポイト、ピペット又は噴霧器を用いた方法によって、鼻腔に直接塗布される。該組成物は、単回投与又は反復投与用の剤形で提供され得る。
【0078】
呼吸器管への投与もまた、エアゾール剤を用いて実現することができ、かかるエアゾール剤では、該活性成分が適当な噴射剤を有する加圧型容器の状態で提供される。かかる噴射剤には、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン若しくはジクロロテトラフルオロエタンなどのクロロフルオロカーボン(CFC)、二酸化炭素又は他の適当な気体などが挙げられる。好都合なことに、該エアゾール剤は、レシチンなどの界面活性剤を含むことも可能である。1回分の薬剤は、定量噴霧式バルブを備えることによって制御され得る。
【0079】
別の方法として、活性成分を、乾燥粉末の形態、例えば、該化合物を、ラクトース、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのデンプン誘導体及びポリビニルピロリドン(PVP)のような適当な粉末基材中に混合した粉末の形態で提供することが可能である。好都合なことに、該粉末の担体は鼻腔内でゲルを形成する。該粉末組成物は、例えば、ゼラチンなどのカプセル若しくは薬包、又は該粉末が吸入器を用いることで投与され得るブリスターパックなどの単位剤形で提示することができる。
【0080】
呼吸器管への投与を目的とした、経鼻投与の組成物を含む組成物において、該化合物は通常粒径が小さく、例えば5ミクロン以下の位数である。かかる粒径は、当技術分野において知られている方法、例えば微粉化によって得ることが可能である。
【0081】
所望の場合には、該活性成分が持続放出されるように構成された組成物を使用してもよい。
【0082】
医薬製剤は、単位剤形であることが好ましい。かかる形態において、該製剤は、適切な分量の活性成分を含む単位剤形に細分される。該単位剤形は、別個の分量の製剤を含む包装である、包装された製剤、例えば包装された錠剤、包装されたカプセル剤、及びバイアル又はアンプル中の粉末剤などである。同様に、該単位剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤若しくはトローチ剤そのものであってもよく、又は包装された形態で、これらのうちのいずれかを適切に組み合わせることもできる。
【0083】
経口投与用の錠剤又はカプセル剤、並びに静脈内投与及び持続注入用の液剤は、組成物であることが好ましい。
【0084】
製剤及び投与のための技術に関するさらなる詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co.,Easton,PA)の最新版において見出すことができる。
【0085】
治療有効量は、症状又は状態を改善する活性成分の量を指す。治療効果及び毒性、例えばED50及びLD50は、細胞培養又は実験動物といった標準的な薬理学的手法によって測定され得る。治療効果と毒性作用との間の用量比は治療指数であり、LD50/ED50の比によって表すことができる。治療指数の大きい医薬組成物が好ましい。
【0086】
言うまでもなく、投与量は、投与経路、剤形及び処方計画のみならず、治療されている個々の年齢、体重及び状態、並びに所望の結果に合わせて慎重に調節される必要があり、且つ当然ながら、正確な投与量が医師によって決定されるべきである。
【0087】
実際の投与量は、治療されている疾患の性質及び重症度によって決まり、且つ医師の自由裁量の範囲内にあり、且つ所望の治療効果を生み出すために、本発明の詳細に合わせて投与量を漸増することによって変更され得る。しかしながら、個々の投与量につき約0.1mgから約500mg、好ましくは約1mgから約100mg、最も好ましくは約1mgから約10mgの活性成分を含む医薬組成物が治療上の処置に適していると現在では考えられている。
【0088】
該活性成分は、1日に1回又は数回投与されてもよい。場合によっては、満足のいく結果を、静脈内投与にて0.1μg/kg、及び経口投与にて1μg/kgと少ない投与量で得ることができる。投与量範囲の上限は、静脈内投与にて約10mg/kg、及び経口投与にて約100mg/kgであると現在では考えられている。好ましい範囲は、静脈内投与にて約0.1μg/kgから約10mg/kg/日、及び経口投与にて約1μg/kgから約100mg/kg/日である。
【0089】
治療方法
他の態様では、本発明は、ヒトを含む動物の生体の疾患又は障害又は状態であり、中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取り込み阻害に反応する疾患、障害又は状態の、治療、予防又は緩和方法であって、これを必要とする、ヒトを含むかかる動物の生体に、本発明の化合物の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0090】
適当な投与量範囲は、0.1から1000mg/日、10から500mg/日、及び特に30から100mg/日であり、従来通り、その投与量範囲は、的確な投与方法、投与される形態、投与が指導される適応症、関係被験者及び関係被験者の体重、並びにその上、主治医又は担当獣医の優先選択及び経験によって決まると現在では考えられている。
【実施例】
【0091】
本発明は、以下の実施例を参照してさらに説明されるが、かかる実施例は、請求された本発明の範囲に何らかの限定をするためのものではない。
【0092】
通則:大気中で不安定な試薬又は中間体を必要とするすべての反応は、窒素雰囲気下、及び無水溶媒中で行われた。後処理の手法において、硫酸マグネシウムを乾燥剤として使用し、且つ溶媒を減圧下で蒸発させた。
【0093】
エンド−9−メチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−オール
9−メチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−オン(プソイドペレチエリン(20g、130mmol)とメタノール(200ml)との混合物を0℃で撹拌した。水素化ホウ素ナトリウム(5.2g、144mmol)を加え、その混合物を0℃で1.5時間撹拌し、次いで1.5時間かけて室温に戻した。水(50ml)を加え、メタノールを蒸発させた。その混合物を酢酸エチル(100ml)で抽出した。収率12g(59%)。
【0094】
方法A
エキソ−3−(3,4−ジクロロ−フェノキシ)−9−メチル−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン遊離塩基
トリフェニルホスフィン(12.6g、48mmol)とジオキサン(80ml)との混合物を5℃で撹拌した。アゾカルボン酸ジエチル(7.6ml、48mmol)を5℃でゆっくり加えた。ホモトロピン(エンド−9−メチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−オール)及び3,4−ジクロロフェノールを加え、その混合物を室温に戻し、15時間撹拌した。塩酸(100ml、2M)及びジエチルエーテル(100ml)を加え、有機相を分離した。
【0095】
濃アンモニア水(30ml)を加えることにより、水相をアルカリ性にした。その混合物をジエチルエーテル(100ml×2回)で抽出した。粗混合物のシリカゲルクロマトグラフィーを、ジクロロメタン、メタノール及び濃アンモニア水(89:10:1)を用いて行うことにより、油状の遊離塩基として目的の化合物を得た。収率4.8g(50%)。
【0096】
エキソ−3−(4−クロロ−3−フルオロフェノキシ)−9−メチル−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナンフマル酸塩
を方法Aに従って調製した。フマル酸で飽和したジエチルエーテルとメタノールとの混合物(9:1)を加えることにより、相当する塩を得た。融点156.5〜157.8℃。
【0097】
エキソ−3−(4−ニトロベンゾイルオキシ)−9−メチル−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン
を方法Aに従って調製した。
【0098】
エキソ−9−メチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−オール
エキソ−3−(4−ニトロベンゾイルオキシ)−9−メチル−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン(20.4g、67mmol)、エタノール(300ml)及び水酸化カリウム(7.5g、134mmol)の混合物を1時間撹拌した。その混合物を、70mlのエタノールが残るまで蒸発させた。これにジエチルエーテル(250ml)を加えた。その混合物を濾過し、沈殿物を廃棄した。有機相を蒸発させ、石油エーテル(100ml)を加えて、生成物を濾過により単離した。収率5.3g(51%)。
【0099】
方法B
エキソ−3−(3,4−ジクロロ−フェノキシ)−9−H−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナンフマル酸塩
エキソ−3−(3,4−ジクロロ−フェノキシ)−9−メチル−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン(1.0g、3.3mmol)、トルエン(20ml)及びクロロギ酸1−クロロエチル(1.1ml、10mmol)の混合物を室温で1時間撹拌した。その混合物を100℃で15時間撹拌した。水(20ml)を加え、その混合物を還流下で15時間撹拌した。その混合物に、水酸化ナトリウム水溶液(20ml、4M)を加えた。その混合物をジクロロメタン(50ml×2回)で抽出した。シリカゲルクロマトグラフィーを、メタノール、ジクロロメタン及び濃アンモニア水(10:89:1)を用いて行うことにより、目的の化合物を得た。収率0.48g(51%)。
【0100】
方法C
エキソ−3−(6−ブロモピリジン−2−イルオキシ)−9−メチル−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン遊離塩基
エキソ−9−メチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−オール(1.0g 6.4mmol)、2,6−ジクロロピリジン(1.6g、6.7mmol)、THF(20ml)及びKtBuO(2.2g、19.2mmol)の混合物を45℃で1時間撹拌した。水(40ml)を加え、その混合物をジエチルエーテル(25ml×2回)で抽出した。有機相を水で洗浄した。収率1.8g(90%)。
【0101】
方法D
エキソ−3−(6−ブロモピリジン−2−イルオキシ)−9−H−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン遊離塩基
エキソ−3−(6−ブロモピリジルオキシ)−9−メチル−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン(0.80g、2.6mmol)、トルエン(20ml)、アゾカルボン酸ジエチル(1.2ml、7.8mmol)の混合物を還流下で2時間撹拌した。塩酸(10ml、4M)を加え、次いで2.5時間還流させた。その混合物を室温に冷却し、水酸化ナトリウム水溶液(20ml、4M)を加え、ジエチルエーテル(25ml×2回)で抽出した。粗混合物のシリカゲルクロマトグラフィーを、ジクロロメタン、メタノール及び濃アンモニア水(89:10:1)を用いて行うことにより、油状の遊離塩基として目的の化合物を得た。収率100mg(13%)。
【0102】
方法E
エキソ−3−(6−メトキシピリジン−2−イルオキシ)−9−メチル−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン遊離塩基
エキソ−3−(6−ブロモピリジン−2−イルオキシ)−9−メチル−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン(0.9g、3.0mmol)、ナトリウムメトキシド(1.6g、30mmol)及びDMSO(10ml)の混合物を120℃で15時間撹拌した。水酸化ナトリウム水溶液(20ml、4M)を加え、ジエチルエーテル(25ml×2回)で抽出した。粗混合物のシリカゲルクロマトグラフィーを、ジクロロメタン、メタノール及び濃アンモニア水(89:10:1)を用いて行うことにより、油状の遊離塩基として目的の化合物を得た。収率50mg(6%)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン誘導体
【化1】


又はその医薬として許容できる塩:その任意の異性体若しくはその異性体の任意の混合物
[式中、
は、水素又はアルキルを表し;
ここで、アルキルは、
ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル及びアルキニル
からなる群から独立に選択される1個又は複数の置換基で場合によって置換されており;
Xは、−O−、−S−又は−NR−を表し;
ここで、Rは、水素、アルキル、−C(=O)R又は−SOを表し;
ここで、Rは、水素又はアルキルを表し;
は、アリール基又はヘテロアリール基を表し;
ここで、アリール基又はヘテロアリール基は、
ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル及びアルキニル
からなる群から独立に選択される1個又は複数の置換基で場合によって置換されている]。
【請求項2】
が、水素又はアルキルを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、フェニル基を表し、
ここで、フェニル基が、
ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ及びアルコキシ
からなる群から独立に選択される1個又は複数の置換基で場合によって置換されている、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
が、フェニル基を表し、
ここで、フェニル基が、ハロで2回場合によって置換されている、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項5】
が、ピリジル基を表し、
ここで、ピリジル基が、
ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ及びアルコキシ
からなる群から独立に選択される1個又は複数の置換基で場合によって置換されている、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項6】
が、ピリジル基を表し、
ここで、ピリジル基が、ハロ又はアルコキシで1回場合によって置換されている、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項7】
Xが、−O−を表す、請求項1から6までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
exo−3−(3,4−ジクロロ−フェノキシ)−9−メチル−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン;
exo−3−(4−クロロ−3−フルオロフェノキシ)−9−メチル−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン;
exo−3−(3,4−ジクロロ−フェノキシ)−9−H−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン;
exo−3−(6−ブロモピリジン−2−イルオキシ)−9−メチル−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン;
exo−3−(6−ブロモピリジン−2−イルオキシ)−9−H−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン;
exo−3−(6−メトキシピリジン−2−イルオキシ)−9−メチル−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン;
又はこれらの医薬として許容できる塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
医薬として許容できる少なくとも1種の担体、賦形剤又は希釈剤と共に、請求項1から8までのいずれか一項に記載の化合物、その任意の異性体若しくはその異性体の任意の混合物、又はその医薬として許容できる塩の治療有効量を含む医薬組成物。
【請求項10】
薬物を製造するための、請求項1から8までのいずれかに記載の化合物、その任意の異性体若しくはその異性体の任意の混合物、又はその医薬として許容できる塩の使用。
【請求項11】
ヒトを含む哺乳類の疾患又は障害又は状態であり、中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取り込み阻害に反応する疾患、障害又は状態の、治療、予防又は緩和用の医薬組成物を製造するための、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記疾患、障害又は状態が、気分障害、うつ病、非定型うつ病、痛みに続発するうつ病、大うつ病性障害、気分変調性障害、双極性障害、双極性I型障害、双極性II型障害、気分循環性障害、全身性病状による気分障害、物質誘発性気分障害、仮性痴呆、ガンザー症候群、強迫性障害、パニック障害、広場恐怖を伴わないパニック障害、広場恐怖を伴うパニック障害、パニック障害歴のない広場恐怖、パニック発作、記憶障害、記憶喪失、注意欠陥多動障害、肥満症、不安、全般性不安障害、摂食障害、パーキンソン病、パーキンソニズム、痴呆、加齢による痴呆、老年痴呆、アルツハイマー病、後天性免疫不全症候群痴呆症、加齢による記憶機能障害、特定の恐怖症、対人恐怖、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、薬物嗜癖、薬物乱用、コカイン乱用、ニコチン乱用、タバコ乱用、飲酒癖、アルコール依存症、痛み、慢性の痛み、炎症性疼痛、神経因性疼痛、片頭痛の痛み、緊張型頭痛、慢性緊張型頭痛、うつ病を伴う痛み、線維筋痛、関節炎、変形性関節症、関節リウマチ、背痛、癌性疼痛、過敏性腸痛、過敏性腸症候群、術後疼痛、乳腺切除術後疼痛症候群(PMPS)、脳卒中後の痛み、薬物誘発性神経障害、糖尿病性神経障害、交感神経性の持続痛、三叉神経痛、歯痛、顔面筋疼痛、幻肢痛、過食症、月経前症候群、黄体期後期症候群、外傷後症候群、慢性疲労症候群、尿失禁、緊張性尿失禁、切迫性尿失禁、夜尿、性的機能不全、精液早漏、勃起困難、勃起不全、女性早期オルガスム、不穏下肢症候群、摂食障害、神経性食欲不振、睡眠障害、自閉症、無言症、抜毛癖、ナルコレプシー、脳卒中後のうつ病、脳卒中誘発性脳損傷、脳卒中誘発性神経損傷又はジルドラトゥーレット病である、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
ヒトを含む動物の生体の疾患又は障害又は状態であり、中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取り込み阻害に反応する疾患、障害又は状態の、治療、予防又は緩和方法であって、これを必要とする前記動物の生体に、請求項1から8までのいずれか一項に記載の化合物、その任意の異性体若しくはその異性体の任意の混合物、又はその医薬として許容できる塩の治療有効量を投与するステップを含む方法。

【公表番号】特表2008−502650(P2008−502650A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515943(P2007−515943)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052730
【国際公開番号】WO2005/123728
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(505377201)ノイロサーチ アクティーゼルスカブ (135)
【Fターム(参考)】