説明

新規なNO−供与アスピリン誘導体

本発明は、新規なNO-供与アスピリン誘導体、それらの製造方法、およびそれらを含む医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な酸化窒素(NO)-供与アスピリン誘導体、それらの製造方法、およびそれらを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アスピリンは、抗炎症、鎮痛、解熱および抗血栓活性を含む種々の作用を示す、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)のクラスに属する非常に確立された医薬である。その使用を制限する主な欠点は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍症状の悪化、胃腸の出血およびびらん性胃炎の原因となる関連胃毒性である(Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics. 第10版; McGraw-Hill, 27章)。
【0003】
WO 92/01668は、単純なエステルまたはアミド結合によりニトロオキシ基がカルボキシ基に結合している、血管緊張低下および抗狭心効果を有するモノ硝酸エステルのアスピンリン誘導体を開示している。
【0004】
US 5,859,053は、アスピリンのジ硝酸エステル、ならびに疼痛の緩和、血小板凝集の阻害、発熱の低下、および心血管疾患の予防のためのそれらの使用を開示している。
【0005】
WO 95/30641およびWO 97/16405は、ニトロオキシ基を有する部分が、単純なエステル結合によりカルボキシ基に結合している新規なアスピリン誘導体を開示している。これらの化合物は、アスピリンと比較して低い胃腸毒性を有するとともに抗炎症、鎮痛および抗血栓活性を有する。
【0006】
J. Med. Chem. 2003, 46, 747-754は、アスピリンがフロキサン部分にエステル結合で結合する一連の新規なNSAIDsを開示している。記載された生成物は抗炎症傾向を有し、それらは急性胃毒性を欠き、抗血小板活性を示す。それらは、ヒト血清中でアスピリンプロドラッグとして挙動しない。
【0007】
J. F. Gilmer et al. Bioorg. Med. Chem. Lett., 17 (2007) 3217-3220は、アスピリンのカルボン酸がエステルに変換されるとき、血漿中で非常に不安定になるエステル、アセテートを既にアスピリンが有しているので、アスピリンエステルプロドラッグを設計することの困難性を開示している。先行技術で知られているNO-アスピリンが、ヒト組織中で有意にアスピリンを放出する証拠はない。
【0008】
これらのプロドラッグの限界は、それらが血漿および血清中で、少しもアスピリンを形成することなく、直ぐにサリチル酸エステルに代謝されることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
先行技術で知られている化合物の欠点を解消するかまたは少なくとも減少することができる新規な(NO)-供与アスピリン誘導体を提供することが、ここでの本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
連続的に酵素的および化学的な代謝開裂を受けるある種のアシルオキシアルキルエステルの有用性が知られていること(Bundgaard, H. "Design of prodrugs: bioreversible derivatives for various functional groups and chemical entities" in Design of prodrugs, Bundgaard, H. Ed. Elsevier, Amsterdam, 1985; Nielsen, N.M.; Bundgaard, H. "Evaluation of glycolamide esters and various other esters of aspirin as true aspirin prodrugs" J. Med. Chem. 1989, 32, 727-734)に基づき、本出願人は、ニトロオキシまたはフロキサンのいずれかのNO-供与部分を含むアシルオキシアルキル基礎構造をアスピリンのカルボキシ基と結合させることによって特定のクラスのアスピリン誘導体を開発した。これらのプロドラッグは、ヒト血清中に非常に良好にアスピリンを放出する。
【0011】
本発明の化合物は、血小板凝集により引き起こされる血栓性の心血管系イベント(event)、血栓症、およびそれに続く、血栓性もしくは血栓塞栓性の脳梗塞、心筋の虚血、心筋梗塞、狭心症、一過性脳虚血発作、可逆性虚血性神経障害を含む、虚血性臨床イベント、ならびにあらゆる血管床(内臓、腎臓、大動脈、末梢等)におけるあらゆる同様の血栓性イベントを予防および治療するために用いることができる。
【0012】
本発明の化合物は、リウマチ熱、インフルエンザまたはその他のウイルス感染に関連する症状、感冒、腰痛および頸痛、月経困難症、頭痛、歯痛、捻挫および挫傷、筋炎、神経痛、滑膜炎、リウマチ性関節炎、変形性関節疾患(骨関節炎)を含む関節炎、痛風および強直性脊椎炎、滑液包炎、やけど、外傷を含む種々の状態、外科手術および歯科手術後の疼痛、発熱および炎症の除去に有用である。
【0013】
本発明の化合物は、単独またはGoodman and Gilman's, The Pharmacological Basis of Therapeutics, 10版, p. 687-716に記載されているようなNSAIDsとの組み合わせで用いられ得る。
【0014】
本発明の化合物は、癌疾患、特に大腸癌、膀胱癌および前立腺癌のような、胃腸および泌尿生殖器の器官に影響を及ぼす癌疾患の予防および治療に役立つ。
【0015】
本発明の目的は、一般式(I):
【化1】

[式中、
R'およびR''は独立して、H、直鎖もしくは分枝鎖状のC1-C6 アルキルであるか、またはR'およびR''は一緒になったとき、3〜7の炭素原子のシクロアルキルを形成し;
【0016】
Y は次の意味を有する2価の基であり:
a) ハロゲン原子、ヒドロキシ、-ONO2、-OC(O)(C1-C10 アルキル)-ONO2および-O(C1-C10 アルキル)-ONO2からなる群から選択される1以上の置換基で任意に置換されていてもよい直鎖または分枝鎖状のC1-C10 アルキレン;
【0017】
b)
【化2】

(ここで、R1 はH、-COOH、-OH、CH3 またはハロゲンであり、n0 は0〜10の整数であり;ここで、X部分は-(CH2)n0に結合していない)
【0018】
c)
【化3】

(ここで、
n1 は0〜1の整数であり;
n2 は0〜2の整数であり;
Y1 は-CH2-CH2- または -CH=CH-(CH2)n2-であり;
X1 = -OCO- または -COO- であり、R2 はHまたはCH3であり;
ここで、X部分はX1に結合している);
【0019】
d)
【化4】

(ここで、
n4 は0〜10の整数であり;
R3 およびR4 は、同一または異なって、Hまたは直鎖もしくは分枝鎖状のC1-C6 アルキルであり;
ここで、X部分はY2に結合している;
【0020】
Y2 は、窒素、酸素、硫黄から選択される1以上のヘテロ原子を含む、飽和、不飽和もしくは芳香族の、
【化5】

からなる群から選択される5もしくは6員の複素環である);
【0021】
X は、-OH、-NH2、-COOHのような可溶化基を任意に含んでいてもよい、C1-C10 アルキレン、-O-C1-C10 アルキレン、-S-C1-C10 アルキレン、-S(O)-C1-C10 アルキレンおよび-S(O)2-C1-C10 アルキレンからなる群から選択される部分であり;
D = -ONO2、1以上の-ONO2 基で置換されたC1-C10 アルキル、好ましくは-CH(ONO2)CH2ONO2 であるか、または
【0022】
【化6】

(ここで、Vは-CH2-、-O-、-S-または-NH-であり;Uは、-OHもしくは-NH2で任意に置換されていてもよいC1-C10 アルキル、アリール、C1-C10 アルコキシ、アリールオキシ、C1-C10 チオアルキル、チオアリール、ハロゲン、ジ-C1-C10(アルキルアミノ)、ジアリールアミノ、アリールC1-C10 (アルキルアミノ)、C1-C10(アルキルスルホキシ)、アリールスルホキシ、C1-C10 (アルキルスルホン)、アリールスルホン、-CN、-NO2、-NHCOR0、-COR0、-COOR0、-CON(R0)(R1)(ここで、R0 およびR1 は同一または異なって、H、C1-C10 アルキルまたはアリールである)である)]
の化合物、およびそられの医薬的に許容される塩または立体異性体である。
【0023】
本明細書で用いられる「シクロアルキル」の用語は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のような、3〜7の炭素原子を含む、飽和または不飽和の環式炭化水素を意味する。
【0024】
本明細書で用いられる「C1-C10アルキル」の用語は、1〜10の炭素原子を含む分枝鎖または直鎖状のアルキル基を意味し、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル等を含む。
【0025】
本明細書で用いられる「C1-C6」アルキルの用語は、1〜6の炭素原子を含む分枝鎖または直鎖状のアルキル基を意味し、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル等を含む。
【0026】
本明細書で用いられる「C1-C10アルキレン」の用語は、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、n-ブチレン、ペンチレン、n-ヘキシレン等のような、分枝鎖または直鎖状のC1-C10の炭化水素鎖を意味する。
【0027】
本明細書で用いられる「複素環式」の用語は、例えばピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピロリジン、モルホリン、イミダゾール等のような、窒素、酸素、硫黄から選択される1以上のヘテロ原子を含む、飽和、不飽和もしくは芳香族の、5員または6員の環を意味する。
【0028】
「アリール基」の用語は、フェニル、ナフチル等を含む、1または2個の芳香環を有する単環または2環式の炭素環を意味する。アリール基は、無置換であるか、またはアルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアリールアミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、ハロゲン原子およびニトロから独立して選択される1、2または3個の置換基で置換され得る。
【0029】
本明細書で用いられる「C1-C10アルコキシ」の用語は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、t-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ等のような、R2O-(ここで、R2は、本明細書で定義されるアルキル基である)を意味する。
【0030】
本明細書で用いられる「アリールオキシ」の用語は、ナフチルオキシ、キノリルオキシ、イソキノリジニルオキシ等のような、R3O-(ここで、R3は、本明細書で定義されるアリール基である)を意味する。
【0031】
本明細書で用いられる「ハロゲン」の用語は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を意味する。
本明細書で用いられる「チオ」の用語は、-S-を意味する。
【0032】
本明細書で用いられる「アルキルアミノ」の用語は、メチルアミノ、エチルアミノ、ブチルアミノ等のような、R2NH-(ここで、R2は本明細書で定義されるアルキル基である)を意味する。
本明細書で用いられる「ジアルキルアミノ」の用語は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ等のような、R2R4NH-(ここで、R2およびR4は独立して、本明細書で定義されるアルキル基である)を意味する。
【0033】
本明細書で用いられる「ジアリールアミノ」の用語は、R3R5NH-(ここで、R3およびR5は独立して、本明細書で定義されるアリール基である)を意味する。
本明細書で用いられる「スルホキシ」の用語は、-S(O)-を意味する。
本明細書で用いられる「スルホン」の用語は、-S(O)2-を意味する。
【0034】
上記のように、本発明は、式(I)の化合物の医薬的に許容される塩およびそれらの立体異性体も含む。
医薬的に許容される塩の例は、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびアルミニウム水酸化物のような無機塩基との塩、またはリジン、アルギニン、トリエチルアミン、ジベンジルアミン、ピペリジンおよびその他の許容される有機アミンのような有機塩基、あるいは例えばWermuth, C.G. and Stahl, P.H.Pharmaceutical Salts:Properties, Selection, and Use - A Handbook Verlag Helvetica Chimica Acta, 2002に報告されているような塩基との塩のいずれかである。
【0035】
本発明の化合物は、それらが分子中に塩形成性の1個の窒素原子を含むとき、アセトニトリル、テトラヒドロフランのような有機溶媒中、対応する有機または無機酸との反応により対応する塩に変換され得る。
有機酸の例は、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸である。無機酸の例は、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸である。硝酸との塩が好ましい。
【0036】
1以上の不斉炭素原子を有する本発明の化合物は、光学的に純粋なエナンチオマー、純粋なジアステレオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、エナンチオマーのラセミ混合物、ラセミ化合物またはラセミ化合物混合物として存在することができる。式(I)の化合物の可能な全ての異性体、立体異性体およびある特定の異性体に富んだ混合物を含むそれらの混合物も本発明の範囲内である。
【0037】
式(I)の好ましい化合物は、
R'およびR''が独立して、Hまたは直鎖もしくは分枝鎖状のC1-C6 アルキルであり;
Yが次の意味を有する2価の基であり:
a) 直鎖または分枝鎖状のC1-C10 アルキレン;
【0038】
b)
【化7】

(ここで、R1 はH、-COOHまたは-OHであり、n0 は0〜5の整数であり;
ここで、X部分は-(CH2)n0に結合していない);
【0039】
d)
【化8】

(ここで、
n4 は0〜5の整数であり;
R3 およびR4 はHであり;
ここで、X部分はY2に結合している;
【0040】
Y2 は、
【化9】

からなる群から選択される複素環式である);
Xが、C1-C10 アルキレン、-O-C1-C10 アルキレン、-S-C1-C10 アルキレン、-S(O)-C1-C10 アルキレンおよび-S(O)2-C1-C10 アルキレンからなる群から選択される部分であり;
Dが前記と同じ意味を有する、
化合物である。
【0041】
特に好ましい化合物は、
【化10−1】

【化10−2】

【化10−3】

【化10−4】

【化10−5】

【化10−6】

からなる群から選択される式(I)の化合物である。
【0042】
前記のように、本発明の目的は、医薬の分野で通常用いられる無毒性の補助剤および/または担体とともに、式(I)の本発明の化合物を少なくとも1つ含む医薬組成物でもある。
【0043】
投与されるべき活性成分の1日用量は、単回量であり得るか、またはその日を通して投与することができるいくつかのより少ない量に分けられた有効量であり得る。通常、全1日用量は好ましくは50〜500 mgの量であってよい。本発明の化合物および/または本発明の医薬組成物によって、前記の疾病を治療するための用法および投与回数は、例えば、患者の年齢、体重、性別および病状を含む種々の因子、ならびに疾病の重篤度、投与経路、薬理学的考慮および他の薬剤との併用療法によって選択されるであろう。ある場合には、上記の範囲以下もしくはそれ以上および/またはより多い回数の用量レベルが適当であり、必然的にこれは医師により判断され、その病状に依存するであろう。
【0044】
本発明の化合物は、慣用の無毒性の医薬的に許容される担体、補助剤および賦形剤を含んでいてもよい所望の製剤の形態で、経口、非経口、直腸または局所的に、吸入または噴霧によって投与され得る。局所投与は、経皮パッチまたはイオン導入装置のような経皮投与の使用をも含み得る。本明細書で用られる「非経口」の用語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射または点滴法を含む。
【0045】
例えば無菌の注射可能な水性または油性の懸濁液のような注射可能な製剤は、当分野で公知の適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて製剤化され得る。無菌の注射可能な製剤は、無毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶剤の、無菌の注射可能な溶液または懸濁液でもあり得る。許容される媒体および溶剤には、水、リンゲル溶液および等張食塩水がある。さらに、無菌の不揮発性油が、溶剤または懸濁化媒体として慣用的に使用される。この目的のために、合成のモノまたはジグリセライドを含むあらゆる無刺激の不揮発性油が使用され得るし、さらにオレイン酸のような脂肪酸が、注射可能な製剤の製造において使用され得る。
【0046】
医薬の直腸投与用坐剤は、活性成分をカカオ脂およびポリエチレングリコールのような適当な無刺激性の賦形剤と混合することにより製造することができる。
経口投与用の固体剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤およびゲル剤を含み得る。そのような固体剤形において、活性化合物は、ショ糖、乳糖またはデンプンのような不活性な希釈剤の少なくとも1つと混合され得る。そのような剤形は、慣例のように、不活性な希釈剤の他に追加物質、例えばステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤をも含み得る。カプセル剤、錠剤および丸剤において、その剤形は緩衝剤をも含み得る。さらに、錠剤および丸剤は腸溶コーティングにより製造することができる。
【0047】
経口投与用の液体剤形は、当分野で一般的に使用される水のような不活性希釈剤を含む、医薬的に許容される乳液、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルを含み得る。そのような組成物は、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、香味剤などのような補助剤をも含み得る。
【0048】
実験手順
合成手順
前記で定義された式(I)の化合物は、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル、双極性の非プロトン性溶媒、特にテトラヒドロフランまたはN,N-ジメチルホルムアミドおよびそれらの混合物のような有機溶媒中、3級アミンまたはK+t-BuO-のような適当な塩基の存在下、-40℃〜還流温度の間の温度で、数分〜72時間の間の時間、クロロメチルエステル体(3)を得るためのアスピリン(1)とClCH2Br(2)との反応を含む方法により製造され得る。
【0049】
中間体(3)は、ハロゲン化炭化水素、エーテル、芳香族炭化水素、双極性の非プロトン性溶媒、好ましくはDMFのような有機溶媒中、3級アミン、特にトリエチルアミン、または炭酸セシウムのような適当な塩基の存在下、生成物(5)を得るために、カルボン酸(4)と処理された。
【0050】
合成手順をスキーム1に示した:
【化11】

【0051】
Dが-ONO2である化合物(4)は、-50℃〜0℃の温度範囲で硝酸と無水酢酸との反応によるか、またはN-ブロモスクシンイミド(NBS)とトリフェニルホスフィン(Ph3P)とAgNO3との反応により、式HO-X-Y-COOH(II)の対応するアルコールから得ることができる。
【0052】
さらに、Dが-ONO2 である化合物(4)は、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、好ましくはアソトニトリルのような適当な非プロトン性溶媒中で、式L-X-Y-COOH(IIa)(ここで、Lは塩素、臭素、ヨウ素、トシレート、メシレート、トリフルオロメタンスルホネート等である)と硝酸銀との反応により得ることができる。
化合物(II)および(Iia)は商業的に入手可能であるか、または当該技術分野でよく知られた方法により得ることができる。
【0053】
Dが基(III):
【化12】

である化合物(4)は、3級アミン、特にトリエチルアミンのような適当な塩基の存在下、適当なブロモメチルフロキサンとp-置換安息香酸、特にp-メルカプト安息香酸との反応により製造される。
【0054】
Dが-CH(ONO2)CH2ONO2である化合物(4)は、アセトニトリル中、-20℃〜80℃の間の温度で、ヨウ素と硝酸銀で処理することにより、式(IV):
【化13】

の対応する化合物から製造することができる。
式(IV)の化合物は公知の化合物であるか、または当該技術分野でよく知られた方法により得ることができる。
【0055】
最後に、化合物(4)は、酢酸等のような適当な有機溶媒中、0〜80℃の温度で、1分〜72時間の時間、過マンガン酸カリウム、亜塩素酸ナトリウム、または亜塩素酸ナトリウム/H2O2のような適当な酸化剤との反応により、式D-X-Y-COHの対応するアルデヒドから得ることができる。
【0056】
あるいは、物質(5)は、DMFのような適当な溶媒中、トリエチルアミンの存在下、クロロメチルエステル体(6)をアスピリン(1)に直接カップリングすることにより得ることができる。
化合物(6)は、上記の(1)から(3)を製造するために用いられたのと同様の条件下で得られた。
【0057】
代替の合成手順をスキーム2に示した:
【化14】

【0058】
アスピリンの1-クロロエチルエステル(8)は、塩化亜鉛の存在下、アスピリンのアシルクロライド(7)をアセトアルデヒドと反応させることにより得ることができる(WO 04/018484):
【化15】

【0059】
次の式:
【化16】

の物質(5a)は、ハロゲン化炭化水素、エーテル、芳香族炭化水素、双極性非プロトン性溶媒、好ましくはDMFのような適当な有機溶媒中、3級アミン、特にトリエチルアミン、または炭酸セシウムのような適当な塩基の存在下、(8)をカルボン酸(4)と直接カップリングすることにより得ることができる:
【0060】
【化17】

【0061】
あるいは、物質(5a)は、炭酸セシウムの存在下、式D-X-Y-COO-CH(CH3)Cl (7a)の化合物をアスピリン(1)と反応させることにより得ることができる。化合物(7a)は、アセトアルデヒドの存在下、式D-X-Y-COOHの化合物を塩化亜鉛と反応させることにより得ることができる(J. Med. Chem. 37(26), 4423, 1994)。
【実施例】
【0062】
実施例1
({4-[2,3-ビス(ニトロオキシ)プロピル]ベンゾイル}オキシ)メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル:化合物(1)
【化18】

【0063】
乾燥DMF(30 mL)中のクロロメチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル(1.20 g, 5.25 mmol; EP 136266)の溶液に、4-[2,3-ビス(ニトロオキシ)プロピル]安息香酸(1.50 g, 5.25 mmol; J. Pineal Res. 2007, 42, 371-385)、Et3N(0.75 mL, 5.25 mmol)および触媒量のKIを加えた。混合物を8日間撹拌し、次いで、H2O(50 mL)中に注ぎ、Et2O(4×50 mL)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO3 1N (2×30 mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 9:1〜8:2 v/v)で精製し、無色の油状物として標記の化合物(1.30 g)を得た。
【0064】
収率 51 %
TLC: Rf = 0.20 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 2.35 (3H, s), 3.03-3.18 (2H, m), 4.39-4.46 (1H, dd, AMX様の系), 4.69-4.75 (1H, dd, AMX様の系), 5.42-5.50 (1H, m), 6.19 (2H, s), 7.12 (1H, d, Arom), 7.26-7.35 (3H, m, Arom), 7.60 (1H, t, Arom), 8.06-8.10 (3H, m, Arom). 13C-NMR (CDCl3) δ 21.0, 35.6, 60.4, 70.9, 80.1, 124.5, 126.2, 128.1, 129.9, 130.9, 132.2, 135.6, 141.4, 151.9, 159.6, 161.7, 169.5, 171.2. MS (CI) m/z 479 (M+1)+.
【0065】
実施例2
({4-[3-(ニトロオキシ)プロポキシ]ベンゾイル}オキシ)メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル:化合物(2)
合成手順A
3-(4-ホルミルフェノキシ)プロピル ナイトレート
【化19】

【0066】
CH3CN (25 mL)中の4-(3-ブロモプロポキシ)ベンズアルデヒド(2.20 g, 9.05 mmol; Bioorg. Med. Chem. 2006, 14, 866-874)およびAgNO3(3.10 g, 18.10 mmol)の溶液を70℃で1時間撹拌した。次いで、過剰なAgNO3を沈殿させるために食塩水を加え、混合物をセライトにより濾過し、減圧下に濃縮した。残渣をCH2Cl2(50 mL)およびH2O(50 mL)で処理した。分離後、水層をCH2Cl2(50 mL)で2回抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 90/10 v/v)で精製し、淡黄色の油状物として標記の化合物(1.89 g)を得た。
【0067】
収率 93 %.
TLC: Rf = 0.14 PE/EtOAc 90/10 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 2.26 (2H, qi), 4.16 (2H, t , J = 6.0 Hz), 4.69 (2H, t , J = 6.3 Hz), 7.00 (2H, d, Arom), 7.84 (2H, d, Arom), 9.89 (1H, s). 13C-NMR (CDCl3) δ 26.8, 64.0, 69.7, 115.2, 130.3, 132.0, 163.4, 190.8 . MS (CI) m/z 226 (M+1)+.
【0068】
4-[3-(ニトロオキシ)プロポキシ]安息香酸
【化20】

【0069】
0℃で撹拌した、アセトン(25 mL)中の3-(4-ホルミルフェノキシ)プロピル ナイトレート(1.89 g, 8.39 mmol)の溶液に、KMnO4 (2.00 g, 12.58 mmol)を加えた。反応をr.t.に達するままにし、反応を1時間後に完了した(TLC検出、溶離液PE/EtOAc 70/30 v/v)。シュウ酸を加え、混合物を濾過し、濾液をCH2Cl2(50 ml)で希釈した。有機層をH2O(50 mL)で洗浄し、次いでMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮して、白色の固体として標記の化合物(1.64 g)を得た。
【0070】
収率 81 %.
TLC: Rf = 0.30 PE/EtOAc/HCOOH 80/20/0.1 v/v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 2.26 (2H, qi), 4.15 (2H, t), 4.69 (2H, t), 6.94 (2H, d, Arom), 8.08 (2H, d, Arom). MS (CI) m/z 242 (M+1)+.
【0071】
({4-[3-(ニトロオキシ)プロポキシ]ベンゾイル}オキシ)メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル
【化21】

【0072】
乾燥DMF(20 mL)中のクロロメチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル(0.95 g, 4.14 mmol)の溶液に、4-[3-(ニトロオキシ)プロポキシ]安息香酸(1.00 g, 4.14 mmol)、Et3N(0.58 mL, 4.14 mmol)および触媒量のKIを加えた。混合物を8日間撹拌し、次いで、H2O(50 mL)中に注ぎ、Et2O(2×50 mL)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO3 1N (2×30 mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 8/2 v/v)で精製し、無色の油状物として標記の化合物(0.81 g)を得た。
【0073】
収率 45 %.
TLC: Rf = 0.24 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 2.24 (2H, qi), 2.35 (3H, s), 4.13 (2H, t, J = 6.0 Hz), 4.67 (2H, t, J = 6.3 Hz), 6.17 (2H, s), 6.92 (2H, d, Arom), 7.11 (1H, d, Arom), 7.34 (1H, t, Arom ), 7.59 (1H, t, Arom), 8.03-8.10 (3H, m, Arom). 13C-NMR (CDCl3) δ 21.0, 26.8, 63.8, 69.6, 79.7, 114.2, 121.6, 122.1, 124.0, 126.1, 132.3, 134.6, 151.1, 162.8, 163.2, 164.8, 169.7. MS (CI) m/z 434 (M+1)+.
【0074】
合成手順B
クロロメチル 4-[3-(ニトロオキシ)プロポキシ]安息香酸エステル
【化22】

【0075】
N2下に撹拌した、乾燥THF(10 mL)中の4-[3-(ニトロオキシ)プロポキシ]安息香酸(0.48 g, 2 mmol)の溶液に、乾燥THF(10 mL)中のtBuO-K+(0.23 g, 2 mmol)を加えた。1時間後、乾燥DMF(10 mL)およびブロモクロロメタン(13 mL, 100当量)を加え、得られる混合物を48時間撹拌した。次いで、混合物をNH4Clの飽和溶液(50 mL)中に注ぎ、層を分離した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 8/2 v/v)で精製し、無色の油状物として標記の化合物(0.30 g)を得た。
【0076】
収率 39 %.
TLC: Rf = 0.55 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 2.25 (2H, qi), 4.14 (2H, t, J = 5.7 Hz), 4.68 (2H, t, J = 6.3 Hz), 5.94 (2H, s), 6.93 (2H, d, Arom), 8.03 (2H, d, Arom). MS (CI) m/z 290 (M+1)+.
【0077】
({4-[3-(ニトロオキシ)プロポキシ]ベンゾイル}オキシ)メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル
【化23】

【0078】
乾燥DMF(5 mL)中のクロロメチル 4-[3-(ニトロオキシ)プロポキシ]安息香酸エステル(0.21 g, 0.74 mmol)の溶液に、2-アセチルオキシ安息香酸(0.13 g, 0.74 mmol)、Et3N(0.10 mL, 0.74 mmol)および触媒量のKIを加えた。混合物を7時間撹拌し、次いで、H2O(15 mL)中に注ぎ、Et2O(4×15 mL)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO3 1N (2×15 mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 8/2 v/v)で精製し、無色の油状物として標記の化合物(0.17 g)を得た。
【0079】
収率 53 %.
TLC: Rf = 0.24 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 2.24 (2H, qi), 2.35 (3H, s), 4.13 (2H, t, J = 6.0 Hz), 4.67 (2H, t, J = 6.3 Hz), 6.17 (2H, s), 6.92 (2H, d, Arom), 7.11 (1H, d, Arom), 7.34 (1H, t, Arom ), 7.59 (1H, t, Arom), 8.03-8.10 (3H, m, Arom). 13C-NMR (CDCl3) δ 21.0, 26.8, 63.8, 69.6, 79.7, 114.2, 121.6, 122.1, 124.0, 126.1, 132.3, 134.6, 151.1, 162.8, 163.2, 164.8, 169.7. MS (CI) m/z 434 (M+1)+.
【0080】
実施例3
({4-[2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]ベンゾイル}オキシ)メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル:化合物(3)
【化24】

【0081】
乾燥DMF(10 mL)中のクロロメチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル(0.60 g, 2.62 mmol)の溶液に、4-[2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]安息香酸(0.79 g, 2.62 mmol; J. Pineal Res. 2007, 42, 371-385)、Et3N(0.36 mL, 2.62 mmol)および触媒量のKIを加えた。混合物を8日間撹拌し、次いで、H2O(25 mL)中に注ぎ、Et2O(3×25 mL)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO3 1N (3×20 mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 8/2 v/v)で精製し、無色の油状物として標記の化合物(0.52 g)を得た。
【0082】
収率 33 %.
TLC: Rf = 0.45 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 2.35 (3H, s), 4.31 (2H, d), 4.75-4.81 (1H, dd, AMX様の系), 4.90-4.96 (1H, dd, AMX様の系), 5.30-5.64 (1H, m), 6.17 (2H, s), 6.93 (2H, d, Arom), 7.13 (1H, d, Arom), 7.32 (1H, t, Arom ), 7.59 (1H, t, Arom), 8.05-8.09 (3H, m, Arom). 13C-NMR (CDCl3) δ 21.0, 64.7, 68.6, 76.4, 79.8, 114.2, 122.0, 122.7, 124.0, 126.1, 132.2, 132.2, 134.3, 151.0, 161.6, 163.1, 164.6, 169.7. MS (CI) m/z 495 (M+1)+.
【0083】
実施例4
{[5-(ニトロオキシ)ペンタノイル]オキシ}メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル:化合物(4)
【化25】

【0084】
乾燥DMF(10 mL)中のクロロメチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル(1.00 g, 4.37 mmol)の溶液に、5-ニトロオキシペンタン酸(0.71 g, 4.37 mmol; J. Med. Chem. 2005, 48, 1322-1329)、Et3N(0.61 mL, 4.37 mmol)および触媒量のKIを加えた。混合物を10日間撹拌し、次いで、H2O(25 mL)中に注ぎ、Et2O(3×25 mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 8/2 v/v)で精製し、無色の油状物として標記の化合物(0.15 g)を得た。
【0085】
収率 10 %.
TLC: Rf = 0.35 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 1.72-1.80 (4H, m), 2.36 (3H, s), 2.43-2.46 (2H, m), 4.43-4.47 (2H, m), 5.95 (2H, s), 7.12 (1H, d, Arom), 7.34 (1H, t, Arom), 7.61 (1H, t, Arom ), 8.07 (1H, d, Arom). 13C-NMR (CDCl3) δ 20.5, 21.0, 26.1, 33.2, 72.6, 79.3, 121.9, 124.0, 126.2, 132.2, 134.7, 151.1, 163.0, 169.7, 171.6. MS (CI) m/z 356 (M+1)+.
【0086】
実施例5
{[6-(ニトロオキシ)ヘキサノイル]オキシ}メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル:化合物(5)
【化26】

【0087】
乾燥DMF(10 mL)中のクロロメチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル(1.00 g, 4.37 mmol)の溶液に、6-ニトロオキシへキサン酸(0.77 g, 4.37 mmol; US2006189603)、Et3N(0.61 mL, 4.37 mmol)および触媒量のKIを加えた。混合物を10日間撹拌し、次いで、H2O(25 mL)中に注ぎ、Et2O(3×25 mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 8/2 v/v)で精製し、無色の油状物として標記の化合物(0.29 g)を得た。
【0088】
収率 17 %.
TLC: Rf = 0.38 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 1.41-1.49 (2H, m), 1.64-1.78 (4H, m), 2.36 (3H, s), 2.41 (2H, t, J = 7.2 Hz), 4.41 (2H, t, J = 6.6 Hz), 5.95 (2H, s), 7.11 (1H, d, Arom), 7.34 (1H, t, Arom), 7.61 (1H, t, Arom ), 8.07 (1H, d, Arom). 13C-NMR (CDCl3) δ 21.2, 24.3, 25.3, 26.7, 33.8, 73.1, 79.4, 122.2, 124.3, 126.4, 132.4, 135.0, 151.4, 163.2, 169.9, 172.2. MS (CI) m/z 370 (M+1)+.
【0089】
実施例6
{[5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサノイル]オキシ}メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル:化合物(6)
【化27】

【0090】
乾燥DMF(3 mL)中のクロロメチル 2-(アセチリルオキシ)安息香酸エステル(0.30 g, 1.31 mmol)の溶液に、5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサン酸(0.31 g, 1.31 mmol; J. Med. Chem. 2005, 48, 1322-1329)、Et3N(0.19 mL, 1.31 mmol)および触媒量のKIを加えた。混合物を10日間撹拌し、次いで、H2O(30 mL)中に注ぎ、Et2O(3×25 mL)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO3 1N (2×30 mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 9/1〜8/2 v/v)で精製し、無色の油状物として標記の化合物(0.19 g)を得た。
【0091】
収率 33 %.
TLC: Rf = 0.26 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 1.74-1.83 (4H, m), 2.36 (3H, s), 2.45-2.48 (2H, m), 4.39-4.46 (1H, dd, AMX様の系), 4.68-4.74 (1H, dd, AMX 様の系), 5.25-5.28 (1H, m), 5.95 (2H, s), 7.10 (1H, d, Arom), 7.32 (1H, t, Arom), 7.62 (1H, t, Arom ), 8.07 (1H, d, Arom). 13C-NMR (CDCl3) δ 20.0, 21.0, 28.4, 33.0, 71.0, 78.7, 79.2, 121.8, 124.0, 126.2, 132.2, 134.9, 151.1, 163.0, 169.6, 171.3. MS (CI) m/z 431 (M+1)+.
【0092】
実施例7
{[7-(ニトロオキシ)ヘプタノイル]オキシ}メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル:化合物(7)
6-ニトロオキシヘプタン酸
【化28】

【0093】
50℃で撹拌した、CH3CN(15 mL)中のAgNO3(4.40 g, 25.83 mmol)の溶液に、CH3CN(15 mL)中の7-ブロモへキサン酸(1.80 g, 8.61 mmol; J. Am. Chem. Soc. 1947, 69, 2466)の溶液を加えた。添加の終了に、混合物を70℃で12時間加熱した。次いで、過剰のAgNO3を沈殿させるために食塩水を加え、混合物をセライトにより濾過し、減圧下に濃縮した。残渣をCH2Cl2(20 mL)とH2O(20 mL)で処理した。分離後、水層をCH2Cl2(20 mL)で2回抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮し、淡黄色の油状物として標記の化合物(1.34 g)を得た。
【0094】
収率 81 %.
TLC: Rf = 0.61 PE/EtOAc 60/40 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 1.43-1.49 (4H, m), 1.61-1.78 (4H, m), 2.37 (2H, t, J = 7.2 Hz), 4.45 (2H, t, J = 6.6 Hz). 13C-NMR (CDCl3) δ 24.3, 25.3, 26.5, 28.5, 33.8, 73.2, 180.1. MS (CI) m/z 192 (M+1)+.
【0095】
{[7-(ニトロオキシ)ヘプタノイル]オキシ}メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル
【化29】

【0096】
乾燥DMF(10 mL)中のクロロメチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル(1.00 g, 4.37 mmol)の溶液に、7-ニトロオキシへキサン酸(0.83 g, 4.37 mmol)、Et3N(0.61 mL, 4.37 mmol)および触媒量のKIを加えた。混合物を10日間撹拌し、次いで、H2O(25 mL)中に注ぎ、Et2O(3×25 mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 8/2 v/v)で精製し、無色の油状物として標記の化合物(0.38 g)を得た。
【0097】
収率 17 %.
TLC: Rf = 0.36 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 1.34-1.43 (4H, m), 1.61-1.71 (4H, m), 2.36-2.42 (5H, m), 4.41 (2H, t, J = 6.6 Hz), 5.95 (2H, s), 7.11 (1H, d, Arom), 7.34 (1H, t, Arom), 7.60 (1H, t, Arom ), 8.08 (1H, d, Arom). 13C-NMR (CDCl3) δ 21.0, 24.3, 25.3, 26.5, 28.4, 33.7, 73.2, 79.2, 122.0, 124.1, 126.2, 132.2, 134.8, 151.2, 163.0, 169.7, 171.1. MS (CI) m/z 384 (M+1)+.
【0098】
実施例8
{[6,7-ビス(ニトロオキシ)ヘプタノイル]オキシ}メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル:化合物(8)
【化30】

【0099】
乾燥DMF(3 mL)中のクロロメチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル(0.20 g, 0.87 mmol)の溶液に、6,7-ビス(ニトロオキシ)ヘキサン酸(0.33 g, 0.87 mmol)、Et3N (0.13 mL, 0.87 mmol)および触媒量のKIを加えた。混合物を10日間撹拌し、次いで、H2O(30 mL)中に注ぎ、Et2O(3×25 mL)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO3 1N (2×30 mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 9/1〜8/2 v/v)で精製し、無色の油状物として標記の化合物(0.12 g)を得た。
【0100】
収率 27 %.
TLC: Rf = 0.31 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 1.45-1.51 (2H, m), 1.67-1.76 (4H, m), 2.35 (3H, s), 2.42 (2H, t, J = 6.9 Hz), 4.38-4.45 (1H, dd, AMX様の系), 4.67-4.72 (1H, dd, AMX様の系), 5.15-5.28 (1H, m), 5.95 (2H, s), 7.11 (1H, d, Arom), 7.34 (1H, t, Arom), 7.60 (1H, t, Arom ), 8.08 (1H, d, Arom). 13C-NMR (CDCl3) δ 21.0, 24.0, 24.2, 29.0, 33.4, 71.1, 78.9, 79.2, 121.9, 124.0, 126.1, 132.2, 134.8, 151.1, 163.0, 169.7, 171.8. MS (CI) m/z 445 (M+1)+.
【0101】
実施例9
({4-[3-(ニトロオキシ)プロポキシ]ベンゾイル}オキシ)メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル:化合物(9)
【化31】

【0102】
乾燥DMF(10 mL)中のクロロメチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル(0.60 g, 2.62 mmol)の溶液に、{4-[3-(ニトロオキシ)プロポキシ]フェニル}酢酸(0.67 g, 2.62 mmol)、Et3N(0.37 mL, 2.62 mmol)および触媒量のKIを加えた。混合物を8日間撹拌し、次いで、H2O(30 mL)中に注ぎ、Et2O(4×30 mL)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO3 1N (2×25 mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 9/1 v/v)で精製し、無色の油状物として標記の化合物(0.22 g)を得た。
【0103】
収率 21 %.
TLC: Rf = 0.30 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 2.19 (2H, qi), 2.33 (3H, s), 3.54 (2H, s), 4.03 (2H, t, J = 5.7 Hz), 4.66 (2H, t, J = 6.3 Hz), 5.95 (2H, s), 6.83 (2H, d, Arom), 7.12 (1H, d, Arom), 7.19 (2H, d, Arom), 7.31 (1H, t, Arom), 7.60 (1H, t, Arom ), 8.01 (1H, d, Arom). 13C-NMR (CDCl3) δ 20.9, 27.0, 40.0, 63.5, 70.0, 79.5, 114.6, 122.0, 124.0, 125.6, 126.1, 130.4, 132.2, 134.7, 151.1, 157.7, 163.0, 169.7, 170.6. MS (CI) m/z 448(M+1)+.
【0104】
実施例10
[(2-{4-[2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]フェニル}アセチル)オキシ]メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル:化合物(10)
【化32】

【0105】
乾燥DMF(10 mL)中のクロロメチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル(0.60 g, 2.62 mmol)の溶液に、{4-[2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]フェニル}酢酸(0.83 g, 2.62 mmol)、Et3N (0.37 mL, 2.62 mmol)および触媒量のKIを加えた。混合物を10日間撹拌し、次いで、H2O(30 mL)中に注ぎ、Et2O(4×30 mL)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO3 1N (2×30 mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 9/1 v/v)で精製し、無色の油状物として標記の化合物(0.51 g)を得た。
【0106】
収率 38 %.
TLC: Rf = 0.24 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 2.32 (3H, s), 3.64 (2H, s), 4.19 (2H, d), 4.73-4.79 (1H, dd, AMX様の系), 4.88-4.93 (1H, dd, AMX様の系), 5.56-5.59 (1H, m), 5.95 (2H, s), 6.84 (2H, d Arom), 7.12 (1H, d, Arom), 7.21 (2H, d, Arom), 7.31 (1H, t, Arom), 7.62 (1H, t, Arom), 8.00 (1H, d, Arom). 13C-NMR (CDCl3) δ 21.0, 40.0, 64.7, 68.8, 76.7, 79.5, 114.7, 121.9, 124.0, 126.1, 126.7, 130.7, 132.2, 134.7, 151.1, 156.8, 162.9, 169.7, 170.4. MS (CI) m/z 509 (M+1)+.
【0107】
実施例11
[(4-{[3-(ニトロオキシ)プロピル]チオ}ベンゾイル)オキシ]メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル:化合物(11)
4-[(3-ブロモプロピル)チオ]安息香酸
【化33】

【0108】
0℃で撹拌した、CH3CN (30 mL)中の4-メルカプト安息香酸 90% (3.0 g, 17.50 mmol)の懸濁液に、1,3-ジブロモプロパン(9.0 mL, 87.50 mmol)およびEt3N(5.00 mL, 35.0 mmol)を加えた。3時間後、反応を完了した。混合物をHCl 1M (30 mL)中に注ぎ、CH2Cl2(3×40 mL)で抽出した;合わせた有機層を食塩水(30 mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc/HCOOH 90/10/0.1〜70/30/0.1 v/v/v)で精製し、白色の固体として標記の化合物(3.32 g)を得た。
【0109】
収率 70 %.
TLC: Rf = 0.38 PE/EtOAc/HCOOH 80/20/0.1 v/v/v
1H-NMR (CD3OD) δ 2.18 (2H, qi), 3.18 (2H, t, J = 6.9 Hz), 3.57 (2H, t, J = 7.2 Hz), 7.37 (2H, d, Arom), 7.92 (2H, d, Arom). 13C-NMR (CD3OD) δ 30.9, 32.5, 32.9, 127.7, 128.7, 131.0, 144.7, 169.5. MS (CI) m/z 275/277 (M+1)+.
【0110】
4-{[3-(ニトロオキシ)プロピル]チオ}安息香酸
【化34】

【0111】
CH3CN(50 mL)中の4-[(3-ブロモプロピル)チオ]安息香酸(2.70 g, 10.0 mmol)およびAgNO3(3.40 g, 20.0 mmol)の溶液を70℃で5時間撹拌した。次いで、過剰のAgNO3を沈殿させるために食塩水を加え、混合物をセライトにより濾過し、減圧下に濃縮した。残渣をCH2Cl2(50 mL)およびH2O(50 mL)で処理した。分離後、水層をCH2Cl2(50 mL)で2回抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc/HCOOH 80/20/0.1 v/v/v)で精製し、白色の固体として標記の化合物(1.90 g)を得た。
【0112】
収率 80 %.
TLC: Rf = 0.28 PE/EtOAc/HCOOH 80/20/0.1 v/v/v
1H-NMR (CD3OD) δ 2.07 (2H, qi), 3.13 (2H, t, J = 7.2 Hz), 4.60 (2H, t, J = 6.3 Hz), 7.38 (2H, d, Arom ), 7.93 (2H, d, Arom ). 13C-NMR (CD3OD) δ 27.4, 28.9, 72.8, 127.9, 128.8, 131.3, 144.4, 169.4. MS (CI) m/z 258 (M+1)+.
【0113】
[(4-{[3-(ニトロオキシ)プロピル]チオ}ベンゾイル)オキシ]メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル
【化35】

【0114】
乾燥DMF(10 mL)中のクロロメチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル(0.35 g, 1.55 mmol)の溶液に、4-{[3-(ニトロオキシ)プロピル]チオ}安息香酸(0.40 g, 1.55 mmol)、Et3N (0.22 mL, 1.55 mmol)および触媒量のKIを加えた。混合物を10日間撹拌し、次いで、H2O(30 mL)中に注ぎ、Et2O(3×30 mL)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO3 1N (2×30 mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 8/2 v/v)で精製し、無色の油状物として標記の化合物(0.19 g)を得た。
【0115】
収率 40 %.
TLC: Rf = 0.32 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 2.11 (2H, qi), 2.35 (3H, s), 3.10 (2H, t, J = 7.2 Hz), 4.58 (2H, t, J = 6.3 Hz), 6.17 (2H, s), 7.12 (1H, d, Arom), 7.33-7.35 (3H, m, Arom), 7.60 (1H, t, Arom), 7.99 (2H, d, Arom), 8.09 (1H, d, Arom). 13C-NMR (CDCl3) δ 21.0, 26.1, 28.1, 71.0, 79.8, 122.0, 124.0, 125.9, 126.1, 126.9, 130.6, 132.2, 134.7, 143.7, 151.1, 161.9, 163.1, 164.8, 169.3, 169.7. MS (CI) m/z 450 (M+1)+.
【0116】
あるいは、化合物 [(4-{[3-(ニトロオキシ)プロピル]チオ}ベンゾイル)オキシ]メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステルは、次の手順で得ることができる:
乾燥DMF(10 mL)中のクロロメチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル(0.50 g, 2.19 mmol)の溶液に、4-{[3-(ニトロオキシ)プロピル]チオ}安息香酸(0.56 g, 2.19 mmol)および炭酸セシウム(0.36 g, 1.1 mmol)を加えた。混合物を24時間撹拌し、次いで、H2O(30 mL)中に注ぎ、Et2O(3×20 mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO3溶液(20 mL)で2回洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 9/1 v/v)で精製し、無色の油状物として標記の化合物(0.61 g)を得た。
収率 62 %.
【0117】
実施例12
({4-[3-(ニトロオキシ)プロピル]ベンゾイル}オキシ)メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル:化合物(12)
3-[4-(1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]プロパン-1-オール
【化36】

【0118】
0℃で撹拌した、アミレン(66 mL, 0.62 mol)に、乾燥THF(150 mL)中のNaBH4(6.5 g, 0.17 mol)の溶液をゆっくりと加えた。次いで、0℃に維持した混合物にBF3・Et2O(15 mL, 0.12 mol)を30分で加えた(J. Chem Soc. Perkin Trans. I 1985, 1627-1635)。5.5時間後、乾燥THF(40 mL)中の2-[4-(アリルオキシ)フェニル]-1,3-ジオキソラン(3.75 g, 12.3 mmol)の溶液を加え、撹拌を24時間続けた。次いで、0℃に冷却した混合物に、H2O(80 mL)、NaOH 3M (80 mL)およびH2O2 30 % (120 mL)を加え、得られる混合物を40℃で1.5時間加熱した。分離後、有機層をH2O(50 mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。そのようにして得られた粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 8/2〜6/4 v/v)で精製し、無色の油状物として標記の化合物(2.52 g)を得た。
収率 98 %.
【0119】
3-[4-(1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]プロピル ナイトレート
【化37】

【0120】
-15℃で撹拌した、乾燥CH3CN(10 mL)中の3-[4-(1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]プロパン-1-オール(0.50 g, 2.4 mmol)の溶液に、Ph3P(0.79 g, 3 mmol)、AgNO3(0.61 g, 3.6 mmol)およびNBS(0.47 g, 2.64 mmol)を加えた。2時間後、混合物を室温に達するままにし、次いで、濾過した。濾液をCH2Cl2(40 mL)で2回抽出した;有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。そのようにした得られた粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 9/1 v/v)で精製し、無色の油状物として標記の化合物(0.21 g)を得た。
収率 35 %.
【0121】
3-(4-ホルミルフェニル)プロピル ナイトレート
【化38】

【0122】
MeOH/H2O 1/1 (20 mL)中の3-[4-(1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]プロピル ナイトレート(1.0 g, 3.95 mmol)の撹拌溶液に、HCl 4M (5 mL)を加えた。30分後、反応を完了した;混合物をCH2Cl2(20 mL)で2回抽出した。合わせた有機層を食塩水(20 mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。そのようにして得られた粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 9/1 v/v)で精製し、淡黄色の油状物として標記の化合物(0.75 g)を得た。
【0123】
収率 91 %.
TLC: Rf = 0.24 PE/EtOAc 90/10 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 2.10 (2H, qi), 2.83 (2H, t, J = 7.5 Hz), 4.46 (2H, t, J = 6.6 Hz), 7.34 (2H, d, Arom), 7.84 (2H, d, Arom), 9.99 (1H, s). MS (CI) m/z 210 (M+1)+.
【0124】
4-[3-(ニトロオキシ)プロピル]安息香酸
【化39】

【0125】
0℃で撹拌した、アセトン(20 mL)中の3-(4-ホルミルフェニル)プロピル ナイトレート(0.73 g, 3.50 mmol)の溶液に、KMnO4(0.83 g, 5.25 mmol)を加えた。反応をr.t.に達するままにし、1時間後に反応を完了した(TLC検出、溶離液 PE/EtOAc/HCOOH 70/30/0.1 v/v/v)。シュウ酸を加え、混合物を濾過し、濾液をCH2Cl2(30 mL)で希釈した。有機層をH2O(30 mL)で2回洗浄し、次いで、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮し、白色の固体として標記の化合物(0.70 g)を得た。
【0126】
収率 89 %.
TLC: Rf = 0.30 PE/EtOAc/HCOOH 80/20/0.1 v/v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 2.11 (2H, qi), 2.82 (2H, t, J = 7.5 Hz), 4.46 (2H, t, J = 6.3 Hz), 7.26 (2H, d, Arom), 8.06 (2H, d, Arom), 11.7 (1H, s vvbr). 13C-NMR (CDCl3) δ 28.0, 31.9, 72.0, 127.6, 128.6, 130.7, 146.7, 171.9. MS (CI) m/z 226 (M+1)+.
【0127】
({4-[3-(ニトロオキシ)プロピル]ベンゾイル}オキシ)メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル
【化40】

【0128】
乾燥DMF(12 mL)中のクロロメチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル(0.61 g, 2.66 mmol)の溶液に、4-[3-(ニトロオキシ)プロピル]安息香酸(0.60 g, 2.66 mmol)、Et3N(0.37 mL, 2.66 mmol)および触媒量のKIを加えた。混合物を8日間撹拌し、次いで、H2O(50 mL)中に注ぎ、Et2O(3×50 mL)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO3 1N (2×30 mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 85/15 v/v)で精製し、無色の油状物として標記の化合物(0.49 g)を得た。
【0129】
収率 44 %.
TLC: Rf = 0.36 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 2.07 (2H, qi), 2.35 (3H, s), 2.80 (2H, t, J = 7.2 Hz), 4.44 (2H, t, J = 6.3 Hz), 6.18 (2H, s), 7.10 (1H, d, Arom), 7.13-7.35 (3H, m, Arom), 7.60 (1H, t, Arom), 8.06 (2H, d, Arom), 8.10 (1H, d, Arom). 13C-NMR (CDCl3) δ 21.0, 27.9, 31.8, 71.9, 79.8, 122.0, 124.0, 127.1, 128.6, 129.6, 130.2, 132.3, 134.7, 146.6, 151.1, 163.1, 165.0, 169.7. MS (CI) m/z 418 (M+1)+.
【0130】
実施例13
[(2-{[4,5-ビス(ニトロオキシ)ペンタノイル]オキシ}ベンゾイル)オキシ]メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル:化合物(13)
【化41】

【0131】
乾燥DMF(5 mL)中のクロロメチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル(0.25 g, 1.09 mmol)の溶液に、2-{[4,5-ビス(ニトロオキシ)ペンタノイル]オキシ}安息香酸(0.38 g, 1.09 mmol)、Et3N(0.15 mL, 1.09 mmol)および触媒量のKIを加えた。混合物を8日間撹拌し、次いでH2O(50 mL)に注ぎ、Et2O(7×10 mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 75/25 v/v)で精製し、無色の油状物として標記の化合物(0.15 g)を得た。
【0132】
収率 25 %.
TLC: Rf = 0.17 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 2.10-2.19 (2H, m), 2.34 (3H, s), 2.81-2.87 (2H, m), 4.48-4.54 (1H, dd, AMX様の系), 4.81-4.86 (1H, dd, AMX様の系), 5.47-5.51 (1H, m), 6.11 (2H, s), 7.12 (2H, d, Arom), 7.31-7.38 (2H, m, Arom), 7.58-7.65 (2H, m, Arom), 8.09 (2H, t, Arom). 13C-NMR (CDCl3) δ 20.9, 24.1, 29.1, 71.1, 77.9, 79.7, 121.5, 121.9, 123.8, 124.0, 126.2, 126.5, 132.2, 132.3, 134.8, 135.0, 150.9, 151.1, 162.9, 163.0, 169.6, 170.8. MS (CI) m/z 537 (M+1)+.
【0133】
実施例14
{[2-(アセチルオキシ)ベンゾイル]オキシ]メチル 2-ヒドロキシ-4-[3-(ニトロオキシ)プロポキシ]安息香酸エステル:化合物(14)
7-(3-ブロモプロポキシ)-2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-4-オン
【化42】

【0134】
CH3CN(5 mL)中の7-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-4-オン(0.50 g, 2.57 mmol; Tetrahedron 2003, 59, 6873-6887)、1,3-ジブロモプロパン(1.3 mL, 12.85 mmol)およびK2CO3(0.42 g, 3.08 mmol)の溶液を4.5時間還流した。次いで、混合物をH2O(30 mL)中に注ぎ、CH2Cl2(15 mL)で2回抽出した;合わせた有機層を食塩水(10 mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 9/1 v/v)で精製し、淡黄色の油状物として標記の化合物(0.55 g)を得た。
【0135】
収率 76 %.
TLC: Rf = 0.49 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 1.72 (6H, s), 2.34 (2H, qi), 3.54-3.62 (2H, m), 4.16 (2H, t, J = 5.7 Hz), 6.44 (1H, s, Arom ), 6.65 (1H, d, Arom ), 7.85 (1H, d, Arom ). 13C-NMR (CDCl3) δ 25.7, 29.6, 31.9, 65.8, 101.5, 106.3, 110.5, 131.1, 157.8, 160.8, 165.3. MS (CI) m/z 315/317 (M+1)+.
【0136】
3-[(2,2-ジメチル-4-オキソ-4H-1,3-ベンゾジオキシン-7-イル)オキシ]プロピル ナイトレート
【化43】

【0137】
CH3CN(10 mL)中の7-(3-ブロモプロポキシ)-2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-4-オン(0.55 g, 1.74 mmol)およびAgNO3(0.59 g, 3.49 mmol)の溶液を70℃で3.5時間撹拌した。次いで、過剰のAgNO3を沈殿させるために食塩水を加え、混合物をセライトにより濾過し、減圧下に濃縮した。残渣をEtOAc(10 mL)とH2O(10 mL)で処理した。分離後、水層をEtOAc(10 mL)で2回抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 90/10 v/v)で精製し、淡黄色の油状物として標記の化合物(0.50 g)を得た。
【0138】
収率 90 %.
TLC: Rf = 0.15 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 1.73 (6H, s), 2.25 (2H, qi), 4.12 (2H, t, J = 5.8 Hz), 4.67 (2H, t, J = 6.0 Hz), 6.42 (1H, s, Arom ), 6.64 (1H, d, Arom ), 7.87 (1H, d, Arom ). 13C-NMR (CDCl3) δ 25.8, 26.8, 64.1, 69.5, 101.6, 106.4, 106.6, 110.4, 131.3, 157.9, 160.9, 165.0. MS (CI) m/z 298 (M+1)+.
【0139】
2-ヒドロキシ-4-[3-(ニトロオキシ)プロポキシ]安息香酸
【化44】

【0140】
ジオキサン(7 mL)中の3-[(2,2-ジメチル-4-オキソ-4H-1,3-ベンゾジオキシン-7-イル)オキシ]プロピル ナイトレート(0.50 g, 1.68 mmol)の溶液に、HCl 37 % (0.70 mL)を加えた。得られる混合物を60℃で2時間加熱し、次いで、減圧下に濃縮した。残渣をMeOH/CH2Cl2(10 mL)で溶解し、減圧下に濃縮し、この処理を、3回繰り返し、白色の固体として標記の化合物(0.38 g)を得た。
【0141】
収率 92 %.
TLC: Rf = 0.30 PE/EtOAc/HCCOH 80/20/0.1 v/v/v
1H-NMR (DMSO-d6) δ 2.15 (2H, qi), 4.12 (2H, t, J = 6.0 Hz), 4.68 (2H, t, J = 6.5 Hz), 6.51 (2H, m, Arom ), 7.71 (1H, d, Arom ). MS (CI) m/z 258 (M+1)+.
【0142】
{[2-(アセチルオキシ)ベンゾイル]オキシ]メチル 2-ヒドロキシ-4-[3-(ニトロオキシ)プロポキシ]安息香酸エステル
【化45】

乾燥DMF(5 mL)中のクロロメチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル(0.25 g, 1.09 mmol)の溶液に、2-ヒドロキシ-4-[3-(ニトロオキシ)プロポキシ]安息香酸(0.28 g, 1.09 mmol)、Et3N(0.15 mL, 1.09 mmol)および触媒量のKIを加えた。混合物を8日間撹拌し、次いで、H2O(50 mL)中に注ぎ、CH2Cl2(5×10 mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 8/2 v/v)で精製し、無色の油状物として標記の化合物(0.24 g)を得た。
【0143】
収率 47%.
TLC: Rf = 0.10 PE/EtOAc 85/15 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 2.22 (2H, qi), 2.35 (3H, s), 4.09 (2H, t, J = 6.0 Hz), 4.65 (2H, t, J = 6.0 Hz), 6.18 (2H, s), 6.43-6.45 (2H, m, Arom), 7.12 (1H, d, Arom), 7.33 (1H, t, Arom), 7.59 (1H, t, Arom), 7.80 (1H, d, Arom), 8.09 (1H, d, Arom), 10.6 (1H, s). 13C-NMR (CDCl3) δ 21.0, 26.7, 63.9, 69.6, 79.5, 101.3, 104.8, 108.1, 121.9, 124.0, 126.1, 131.9, 132.2, 134.8, 151.1, 162.9, 164.3, 165.1, 168.5, 169.6. MS (CI) m/z 450 (M+1)+.
【0144】
実施例15
[(4-{[3-(ニトロオキシ)プロピル]スルホニル}ベンゾイル)オキシ]メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル:化合物(15)
【化46】

【0145】
MeOH(3 mL)とH2O(1 mL)中の[(4-{[3-(ニトロオキシ)プロピル]チオ}ベンゾイル)オキシ]メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル(0.10 g, 0.22 mmol)の撹拌溶液に、オキソン(0.40 g, 0.55 mmol)を加えた。2時間後、反応を完了し、混合物をH2O(10 mL)で希釈し、CH2Cl2(3×10 mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。そのようにして得られた粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 8/2 v/v)で精製し、無色の油状物として標記の化合物(0.09 g)を得た。
【0146】
収率 88%.
TLC: Rf = 0.50 PE/EtOAc 60/40 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 2.18 (2H, qi), 2.36 (3H, s), 3.21 (2H, t, J = 7.2 Hz), 4.55 (2H, t, J = 6.0 Hz), 6.18 (2H, s), 7.12 (1H, d, Arom), 7.31 (1H, t, Arom), 7.61 (1H, t, Arom), 8.00 (2H, d, Arom), 8.10 (1H, d, Arom), 8.30 (2H, d, Arom). 13C-NMR (CDCl3) δ 20.6, 21.0, 52.3, 70.2, 80.1, 121.7, 124.1, 126.2, 128.3, 131.1, 132.2, 134.0, 135.0, 143.1, 151.1, 162.9, 163.6, 169.7. MS (CI) m/z 482 (M+1)+.
【0147】
実施例16
[(4-{[2,3-ビス(ニトロオキシ)プロピル]チオ}ベンゾイル)オキシ]メチル
2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル:化合物(16)
4-{[2,3-ビス(ニトロオキシ)プロピル]チオ}安息香酸
【化47】

【0148】
-15℃に保ったCH3CN(100 mL)中の4-アリルチオ安息香酸(6.30 g, 32.38 mmol; Bioorg. Med. Chem. 2002, 10, 639-656)とAgNO3(5.50 g, 32.38 mmol)の撹拌溶液に、ヨウ素(8.2 g, 32.38 mmol)を少しずつ加えた。添加の終了に、撹拌を1時間続けた。次いで、AgNO3(11.0 g, 64.76 mmol)を加え、混合物を70℃で16時間加熱した。冷却後、混合物をセライト(登録商標)により濾過した。濾液を減圧下に濃縮し、水(50 mL)に溶解し、CH2Cl2(3×100 mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(50 mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc/HCOOH 80/20/0.1 v/v/v)で精製し、白色の固体として標記の化合物(6.1 g)を得た。
【0149】
収率 60 %.
TLC: Rf = 0.26 PE/EtOAc/HCOOH 80/20/0.1 v/v/v
1H-NMR (DMSO-d6) δ 3.50-3.63 (2H, m), 4.77-5.05 (2H, m, AMX様の系), 5.51-5.58 (1H, m), 7.53 (2H, d, Arom), 7.87 (2H, d, Arom), 13.00 (1H, s). 13C-NMR (DMSO-d6) δ 30.0, 70.8, 78.1, 127.3, 128.2, 129.5, 138.6, 166.7. MS (CI) m/z 319 (M+1)+.
【0150】
[(4-{[2,3-ビス(ニトロオキシ)プロピル]チオ}ベンゾイル)オキシ]メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル
【化48】

【0151】
乾燥DMF(10 mL)中のクロロメチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル (0.33 g, 1.44 mmol)の溶液に、4-{[2,3-ビス(ニトロオキシ)プロピル]チオ}安息香酸(0.46 g, 1.44 mmol)、Et3N (0.20 mL, 1.44 mmol)および触媒量のKIを加えた。混合物を9日間撹拌し、次いで、H2O(50 mL)中に注ぎ、Et2O(3×50 mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 8/2 v/v)で精製し、無色の油状物として標記の化合物(0.32 g)を得た。
【0152】
収率 37%.
TLC: Rf = 0.24 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 2.35 (3H, s), 3.20-3.28 (1H, dd, AMX様の系), 3.35-3.42 (1H, dd, AMX様の系), 4.63-4.69 (1H, dd, AMX様の系), 4.86-4.91 (1H, dd, AMX様の系), 5.28-5.36 (1H, m), 6.19 (2H, s), 7.12 (1H, d, Arom), 7.33 (1H, t, Arom), 7.37 (2H, d, Arom), 7.60 (1H, t, Arom), 8.04 (2H, d, Arom), 8.07 (1H, d, Arom). 13C-NMR (CDCl3) δ 21.0, 31.4, 69.3, 77.2, 79.9, 121.9, 124.0, 126.2, 127.4, 128.3, 130.6, 132.3, 134.8, 141.1, 151.1, 163.0, 164.5, 169.7. MS (CI) m/z 511 (M+1)+.
【0153】
実施例17
[(4-{[2,3-ビス(ニトロオキシ)プロピル]スルホニル}ベンゾイル)オキシ]メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル:化合物(17)
【化49】

【0154】
0℃で撹拌した、アセトン(10 mL)中の[(4-{[2,3-ビス(ニトロオキシ)プロピル]チオ}ベンゾイル)オキシ]メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル(0.20 g, 0.39 mmol)の溶液に、KMnO4(0.09 g, 0.58 mmol)を加えた。反応をr.t.に達するままにし、反応を1時間後に完了した(TLC検出、溶離剤 PE/EtOAc 8/2 v/v)。シュウ酸を加え、混合物を濾過し、濾液をCH2Cl2(15 mL)で抽出した。有機層をH2O(10 mL)で2回洗浄し、次いで、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。そのようにして得られた粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 8/2 v/v)で精製し、白色の固体として標記の化合物(0.20 g)を得た。
【0155】
収率 95 %.
TLC: Rf = 0.58 PE/EtOAc 60/40 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 2.36 (3H, s), 3.50-3.60 (2H, m), 4.62-4.68 (1H, dd, AMX様の系), 4.93-4.98 (1H, dd, AMX様の系), 5.70-5.75 (1H, m), 6.22 (2H, s), 7.13 (1H, d, Arom), 7.34 (1H, t, Arom), 7.63 (1H, t, Arom), 8.01 (2H, d, Arom), 8.09 (1H, d, Arom), 8.33 (2H, d, Arom). 13C-NMR (CDCl3) δ 21.0, 54.7, 69.8, 72.8, 79.9, 121.7, 124.1, 126.2, 128.2, 131.3, 132.2, 134.5, 135.0, 143.0, 151.2, 162.9, 163.5, 169.7. MS (CI) m/z 543 (M+1)+.
【0156】
実施例18
[(4-{[3-(ニトロオキシ)プロピル]スルフィニル}ベンゾイル)オキシ]メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル:化合物(18)
【化50】

【0157】
-78℃で撹拌した、乾燥CH2Cl2(7 mL)中の[(4-{[3-(ニトロオキシ)プロピル]チオ}ベンゾイル)オキシ]メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル(0.45 g, 1.0 mmol)の溶液に、乾燥CH2Cl2(7 mL)中のmCPBA 70 % (0.25 g, 1.0 mmol)の溶液をゆっくりと加えた。添加の終了で、反応を完了した。混合物をNa2SO3 10 % (50 mL)中に注ぎ、層を分離、水層をEt2O(50 mL)で2回抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。そのようにして得られた粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 6/4 v/v)で精製し、無色の油状物として標記の化合物(0.34 g)を得た。
【0158】
収率 73 %.
TLC: Rf = 0.15 PE/EtOAc 60/40 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 1.97-2.05 (1H, m), 2.23-2-33 (1H, m), 2.37 (3H, s), 2.76-2.85 (1H, m), 2.97-3.07 (1H, m), 4.52-4.57 (2H, m), 6.21 (2H, s), 7.13 (1H, d, Arom), 7.33 (1H, t, Arom), 7.59 (1H, t, Arom), 7.69 (2H, d, Arom), 8.11 (1H, d, Arom), 8.24 (2H, d, Arom). 13C-NMR (CDCl3) δ 19.7, 21.0, 52.3, 71.1, 79.9, 121.8, 124.1, 124.1, 126.2, 131.0, 131.6, 132.5, 134.9, 149.1, 151.2, 162.9, 164.2, 169.7. MS (CI) m/z 466 (M+1)+.
【0159】
実施例19
[(4-{[(3-メチル-フロキサン-4-イル)メチル]チオ}ベンゾイル)オキシ]メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル:化合物(20)
4-{[(3-メチル-フロキサン-4-イル)メチル]チオ}安息香酸
【化51】

【0160】
0℃で撹拌した、CH3CN(10 mL)中の4-メルカプト安息香酸 90 % (1.0 g, 5.34 mmol)の懸濁液に、4-ブロモメチル-3-メチル フロキサン(1.13 g, 5.84 mmol; J. Med. Chem. 1998, 41, 5393-5401)およびEt3N(1.63 mL, 11.67 mmol)を加えた。2時間後、反応を完了した。混合物をHCl 1M (20 mL)中に注ぎ、EtOAc(3×20 mL)で抽出した;合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をiPr2O/MeOHで処理し、白色の固体として標記の化合物(1.41 g)を得た。
【0161】
収率 90 %.
TLC: Rf = 0.31 PE/EtOAc/HCOOH 60/40/0.1 v/v/v
1H-NMR (DMSO-d6) δ 2.23 (3H, s), 4.25 (2H, s), 7.43 (2H, d, Arom), 7.95 (2H, d, Arom). 13C-NMR (CDCl3) δ 7.8, 27.3, 112.4, 128.5, 129.4, 130.0, 139.1, 154.7, 167.4. MS (CI) m/z 267 (M+1)+.
【0162】
[(4-{[(3-メチル-フロキサン-4-イル)メチル]チオ}ベンゾイル)オキシ]メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル
【化52】

【0163】
乾燥DMF(10 mL)中のクロロメチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル(0.90 g, 3.94 mmol)の溶液に、4-{[(3-メチル-フロキサン-4-イル)メチル]チオ}安息香酸(1.05 g, 3.94 mmol)、Et3N(0.55 mL, 3.94 mmol)および触媒量のKIを加えた。混合物を7日間撹拌し、次いで、H2O(50 mL)中に注ぎ、CH2Cl2(20 mL)で抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/EtOAc 8/2 v/v)で精製し、白色の固体として標記の化合物(0.90 g)を得た。
【0164】
収率 50%.
m.p. 96-97℃ (iPr2Oから)
TLC: Rf = 0.12 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 2.21 (3H, s), 2.35 (3H, s), 4.16 (2H, s), 6.18 (2H, s), 7.12 (1H, d, Arom), 7.26 (1H, t, Arom), 7.35 (2H, d, Arom), 7.58 (1H, t, Arom), 8.08 (2H, d, Arom), 8.10 (1H, d, Arom). 13C-NMR (CDCl3) δ 7.95, 21.0, 27.4, 80.2, 112.2, 121.9, 124.0, 126.2, 127.3, 128.4, 130.8, 132.2, 134.7, 140.6, 151.1, 154.1, 163.0, 164.5, 169.7. MS (CI) m/z 459 (M+1)+.
【0165】
実施例20
[(4-{[(3-アミノカルボニル-フロキサン-4-イル)メチル]チオ}ベンゾイル)オキシ]メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル:化合物(21)
4-({[3-(アミノカルボニル)-フロキサン-4-イル]メチル}チオ)安息香酸
【化53】

【0166】
0℃で撹拌した、CH3CN(10 mL)中の4-メルカプト安息香酸 90 % (1.16 g, 6.75 mmol)の懸濁液に、4-ブロモメチル-3-アミノカルボニル フロキサン(1.5 g, 6.75 mmol; J. Med. Chem. 1998, 41, 5393-5401)およびEt3N(1.9 mL, 13.5 mmol)を加えた。1時間後、反応を完了した。混合物をHCl 1M (20 mL)中に注ぎ、CH2Cl2(3×20 mL)で抽出した;合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をiPr2O/CH2Cl2で処理し、白色の固体として標記の化合物(1.69 g)を得た。
【0167】
収率 85 %.
TLC: Rf = 0.16 PE/EtOAc/HCOOH 80/20/0.1 v/v/v
1H-NMR (CD3OD) δ 4.53 (2H, s), 7.50 (2H, d, Arom), 7.97 (2H, d, Arom). 13C-NMR (CD3OD + DMSO-d6) δ 27.9, 126.8, 128.6, 129.3, 130.7, 131.1, 141.8, 156.9, 167.9. MS (CI) m/z 296 (M+1)+.
【0168】
[(4-{[(3-アミノカルボニル-フロキサン-4-イル)メチル]チオ}ベンゾイル)オキシ]メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル
【化54】

【0169】
乾燥DMF(10 mL)中のクロロメチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル(0.90 g, 3.94 mmol)の溶液に、4-({[3-(アミノカルボニル)-フロキサン-4-イル]メチル}チオ)安息香酸(1.16 g, 3.94 mmol)、Et3N(0.55 mL, 3.94 mmol)および触媒量のKIを加えた。混合物を9日間撹拌し、次いで、H2O(50 mL)中に注ぎ、CH2Cl2(5×20 mL)で抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/EtOAc 9/1 v/v)で精製し、白色の固体として標記の化合物(0.41 g)を得た。
【0170】
収率 46%.
m.p. 149-151℃ (iPr2O/iPrOHから)
TLC: Rf = 0.33 PE/EtOAc 60/40 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 2.35 (3H, s), 4.49 (2H, s), 5.96 (1H, s br), 6.18 (2H, s), 7.12 (1H, d, Arom), 7.30 (1H, t, Arom), 7.44 (2H, d, Arom), 7.51 (1H, s br), 7.58 (1H, t, Arom), 8.05 (2H, d, Arom), 8.10 (1H, d, Arom). 13C-NMR (CDCl3) δ 21.0, 27.7, 79.8, 110.0, 122.0, 124.0, 125.9, 126.9, 128.0, 130.8, 132.3, 134.7, 141.9, 151.1, 155.5, 163.0, 164.7, 169.7. MS (CI) m/z 488 (M+1)+
【0171】
実施例21
[(4-{[(3-シアノ-フロキサン-4-イル)メチル]チオ}ベンゾイル)オキシ]メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル:化合物(22)
【化55】

【0172】
不活性雰囲気下、0℃に保った、乾燥THF(6 mL)中の[(4-{[(3-アミノカルボニル-フロキサン-4-イル)メチル]チオ}ベンゾイル)オキシ]メチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル(0.14 g, 0.29 mmol)および乾燥ピリジン(0.05 mL, 0.58 mmol)の撹拌溶液に、無水トリフルオロ酢酸(0.10 mL, 0.55 mmol)をゆっくりと加えた。20分後、反応を完了した。混合物をH2O(10 mL)中に注ぎ、Et2O(10 mL)で2回抽出した。有機層をHCl 0.5 M (10 mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。そのようにして得られた粗生成物をPE/MeOHで処理し、白色の固体として標記の化合物(0.12 g)を得た。
【0173】
収率 86%.
m.p. 98.5-101.5℃ (iPr2O/iPrOHから)
TLC: Rf = 0.21 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 2.35 (3H, s), 4.24 (2H, s), 6.18 (2H, s), 7.12 (1H, d, Arom), 7.32 (1H, t, Arom), 7.45 (2H, d, Arom), 7.60 (1H, t, Arom), 8.07 (2H, d, Arom), 8.10 (1H, d, Arom). 13C-NMR (CDCl3) δ 21.0, 27.4, 79.9, 104.9, 121.9, 124.0, 126.2, 128.0, 129.0, 129.5, 131.0, 132.2, 134.8, 139.2, 151.1, 153.7, 163.0, 164.4, 169.7. MS (CI) m/z 470 (M+1)+.
【0174】
実施例22
{[2-(アセチルオキシ)ベンゾイル]オキシ}メチル 6-[(ニトロオキシ)メチル]ピリジン-2-カルボキシレート:化合物(23)
{[2-(アセチルオキシ)ベンゾイル]オキシ}メチル 6-(ヒドロキシメチル)ピリジン-2-カルボキシレート
【化56】

【0175】
乾燥DMF(10 mL)中のクロロメチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル(0.50 g, 2.18 mmol)の溶液に、6-(ヒドロキシメチル)ピリジン-2-カルボン酸(0.33 g, 2.18 mmol; J. Med. Chem. 2006, 49, 2628-2639)およびEt3N(0.30 mL, 2.18 mmol)を加えた。混合物を6日間撹拌し、次いで、H2O(50 mL)中に注ぎ、Et2O(3×10 mL)で抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/EtOAc 9/1 v/v)で精製し、無色の油状物として標記の化合物(0.06 g)を得た。
【0176】
収率 25%.
TLC: Rf = 0.20 CH2Cl2/EtOAc 95/5 v/v
1H-NMR (CD3OD) δ 2.29 (3H, s), 4.76 (2H, s), 6.24 (2H, s), 7.18 (1H, d, Arom), 7.39 (1H, t, Arom), 7.66 (1H, t, Arom), 7.80 (1H, d, Arom), 7.99-8.09 (3H, m, Arom). 13C-NMR (CD3OD) δ 21.0, 65.3, 81.8, 118.1, 120.0, 124.6, 125.3, 127.4, 131.6, 132.9, 134.9, 139.6, 148.0, 163.5, 163.8. MS (CI) m/z 346 (M+1)+.
【0177】
{[2-(アセチルオキシ)ベンゾイル]オキシ}メチル 6-[(ニトロオキシ)メチル]ピリジン-2-カルボキシレート
【化57】

【0178】
0℃で撹拌した、(CH3CO)2O (0.30 mL)中の{[2-(アセチルオキシ)ベンゾイル]オキシ}メチル 6-(ヒドロキシメチル)ピリジン-2-カルボキシレート(0.10 g, 0.29 mmol)の溶液に、HNO3 65 % (0.10 mL)と(CH3CO)2O (0.20 mL)の混合物を加えた。次いで、反応混合物を室温に達するままにし、撹拌を2時間続けた。混合物をH2O(10 mL)中に注ぎ、CH2Cl2(5×5 mL)で抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。そのようにして得られた粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/EtOAc 95/5 v/v)で精製し、放置しておいたら固体となる無色の油状物として標記の化合物を得た。
【0179】
収率 50%.
TLC: Rf = 0.74 CH2Cl2/EtOAc 90/10 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 2.37 (3H, s), 5.67 (2H, s), 6.26 (2H, s), 7.12 (1H, d, Arom), 7.34 (1H, t, Arom), 7.58-7.63 (2H, m, Arom), 7.93 (1H, t, Arom), 8.09-8.17 (2H, m, Arom). 13C-NMR (CDCl3) δ 21.0, 73.9, 80.5, 121.8, 124.0, 125.4, 125.6, 126.2, 132.3, 134.8, 138.4, 147.0, 151.2, 153.8, 162.8, 163.2, 169.7. MS (CI) m/z 391 (M+1)+.
【0180】
実施例23
1-[(4-{[3-(ニトロオキシ)プロピル]チオ}ベンゾイル)オキシ]エチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル:化合物(24)
1-(クロロエチル) 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル
【化58】

【0181】
不活性雰囲気下に保った、乾燥CH2Cl2(100 mL)中の2-(クロロカルボニル)フェニル 酢酸エステル(10.0 g, 50.35 mmol)の溶液に、ZnCl2(0.14 g, 1.01 mmol)を加えた。15分後、反応混合物を-15℃に冷却し、乾燥CH2Cl2(30 mL)中のCH3CHO(2.8 mL, 50.35 mmol)の溶液をゆっくりと加えた。次いで、反応を室温に達するままにし、18時間撹拌した。混合物をH2O(100 mL)およびNaHCO3の飽和溶液(100 mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 9/1 v/v)で精製し、無色の油状物として標記の化合物(7.84 g)を得た。
【0182】
収率 64 %.
TLC: Rf = 0.35 PE/EtOAc 90/10 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 1.89 (3H, d), 2.37 (3H, s), 6.73 (1H, q), 7.13 (1H, d, Arom), 7.34 (1H, t, Arom), 7.60 (1H, t, Arom), 8.04 (1H, d, Arom). 13C-NMR (CDCl3) δ 21.0, 25.3, 81.1, 122.1, 124.0, 126.1, 132.0, 134.7, 151.0, 162.0, 169.5. MS (CI) m/z 242/244 (M+1)+.
【0183】
1-[(4-{[3-(ニトロオキシ)プロピル]チオ}ベンゾイル)オキシ]エチル 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル
【化59】

【0184】
乾燥DMF(10 mL)中の1-(クロロエチル) 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル(0.50 g, 2.06 mmol)の溶液に、4-{[3-(ニトロオキシ)プロピル]チオ}安息香酸(0.53 g, 2.06 mmol)、Et3N(0.28 mL, 2.06 mmol)および触媒量のKIを加えた。混合物を10日間撹拌し、次いで、H2O(30 mL)中に注ぎ、Et2O(4×30 mL)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO3 1N (2×30 mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 9/1 v/v)で精製し、無色の油状物として標記の化合物(0.11 g)を得た。
【0185】
収率 11 %.
TLC: Rf = 0.20 PE/EtOAc 90/10 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 1.72 (3H, d), 2.10 (2H, qi), 2.30 (3H, s), 3.10 (2H, t), 4.58 (2H, t), 7.11 (1H, d, Arom), 7.29-7.34 (4H, m, Arom), 7.58 (1H, t, Arom ), 7.97 (2H, d, Arom), 8.04 (1H, d, Arom),. 13C-NMR (CDCl3) δ 19.8, 21.0, 26.1, 28.3, 71.0, 89.6, 122.5, 123.9, 126.1, 126.4, 127.0, 130.5, 132.0, 134.4, 143.3, 150.9, 162.4, 164.0, 169.5. MS (CI) m/z 463 (M+1)+.
【0186】
代替手順
【化60】

【0187】
乾燥DMF(10 mL)中の1-(クロロエチル) 2-(アセチルオキシ)安息香酸エステル(0.50 g, 2.19 mmol)の溶液に、4-{[3-(ニトロオキシ)プロピル]チオ}安息香酸(0.56 g, 2.19 mmol)および炭酸セシウム(0.34 g, 1.1 mmol)を加えた。混合物を4日間撹拌し、次いで、H2O(30 mL)中に注ぎ、Et2O(3×20 mL)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO3の飽和溶液(20 mL)で2回洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 9/1 v/v)で精製し、無色の油状物として標記の化合物(0.21 g)を得た。
収率 22 %.
【0188】
加水分解実験
酸性媒体(pH 1)およびリン酸緩衝液(pH 7.4)中での加水分解
アセトニトリル中の本発明の各化合物の溶液(10 mM)を、必要な場合は共溶媒として10〜20%のアセトニトリルを含む、HCl 0.1Mまたはリン酸緩衝液 50 mM pH = 7.4に加えた。化合物の最終濃度は250 μMであった。得られた溶液を37 ( 0.5℃に保ち、適当な時間間隔で、反応溶液の20 μLの一定量をRP-HPLCで分析した。
【0189】
ヒト血清中での加水分解
アセトニトリル中の本発明の各化合物の溶液(10 mM)を、前もって37℃に加熱したヒト血清(ヒト男性AB血漿, Sigmaから)に加え、化合物の最終濃度は250 μMであった。得られた溶液を37 ( 0.5℃でインキュベートし、適当な時間間隔で、反応混合物の500 μLを取り出し、血清のタンパク質を取り除くために0.1%のトリフルオロ酢酸を含むアセトニトリルの750 μLに加えた。試料を超音波処理し、ボルテックス(vortexed)し、2150 gで10分間遠心分離した。透明な上澄み液を0.45 μm PTFEフィルター(Alltech)により濾過し、RP-HPLCで分析した。
【0190】
分析は、HP1100システムに組み込まれたクォータナリー・ポンプ(モデル 1311A)、膜脱気装置(G1379A)、ダイオードアレイ検出器(DAD) (モデル G1315B)を備えたHP 1100クロマトグラフシステム(Agilent Technologies, Palo Alto, CA, USA)を用いて行われた。データ分析はHP ChemStationシステム(Agilent Technologies)を用いてなされた。分析カラムは、Nucleosil 100-5C18 Nautilus (250×4.6 mm, 5 μm 粒径) (Macherey-Nagel)であった。移動相は、0.1%のトリフルオロ酢酸を有するアセトニトリル/水(55/45)からなり、流速は1.2 mL/分であった。注入容積は20 μLであった(Rheodyne, Cotati, CA)。カラム溶出液は、240 nm(サリチル酸に対して)および226 nm(全ての他の物質に対して)でモニターされ、360 nmの波長に対して参照された。定量は、同条件下でクロマトグラフされた標準のピーク面積の比較によりなされた。加水分解は1次速度論に従った。観察された擬1次速度定数(kobs)は、時間に対する残った物質のパーセントの自然対数の直線プロットの傾きから計算され、対応する半減期は
t1/2=0.693 / kobs
から得られた。
その結果を表1に示す。
本発明の化合物は、酸性媒体中で安定で、ヒト血清中でインキュベートされるとアスピリンを放出する。
【0191】
【表1】

【0192】
血管拡張活性
体重180〜200 gの雄性Wistarラットから胸大動脈を単離した。内皮細胞を除去し、血管を螺旋状に切断した:各大動脈から3つの細片を得た。該組織を、次の組成(mM):NaCl 111.2、KCl 5.0、CaCl2 2.5、MgSO4 1.2、KH2PO4 1.0、NaHCO3 12.0、グルコース 11.1を有するクレブス-重炭酸緩衝液を含み、37℃に維持され、95% O2−5% CO2を通気した(pH = 7.4)オルガン・バス(organ baths)中、1.0 gの張力でマウント(mounted)した。大動脈細片を120分間、均衡化させ、次いで、1 μM L-フェニレフリンで収縮した。アゴニストに対する応答がプラトーに達したとき、血管拡張剤の累積濃度を加えた。
【0193】
本発明の全ての化合物は、前もって収縮させたラット大動脈細片を濃度依存的に弛緩することができた。線形回帰分析により計算され、EC50で表された血管拡張効力を表2に示す。
血管拡張実験が、良く知られている可溶性のグアニル酸シクラーゼ(sGC)の阻害剤の1 μM ODQ(1H-[1,2,4]オキサジアゾロ[4,3-a]キノキサリン-1-オン)の存在下で繰り返されたとき、血管拡張効力の減少が観察された。
【0194】
【表2】

【0195】
インビトロでの血小板凝集阻害
アスピリンニトロ誘導体が血小板凝集を阻害する能力を、ヒト血小板におけるインビトロで評価した。
静脈血の試料を、少なくとも2週間、いかなる薬剤も摂取していない健康なボランティアから得た。血小板が豊富な血漿(PRP)を、200 gで20分間のクエン酸血の遠心分離により調製した。PRPの一定量(500 μL)を、血小板凝集計(Chrono-log modello 4902D)キュベットに加え、37℃で連続撹拌(1000 rpm)下、刺激剤(コラーゲン)の添加後10分間、増加した光透過率として凝集を記録した。化合物の阻害活性は、刺激剤の添加前10または30分に、薬剤をPRPに添加することにより試験した。PRPに添加された薬剤の媒体(0.5% DMSO)は、コントロール試料における凝集作用に影響を及ぼさなかった。
【0196】
本発明の化合物の抗凝集活性は、コントロール試料と比較した血小板凝集の阻害%として評価される。ニトロ誘導体は血小板凝集を阻害することができ、アスピリンより強力であった。
非-線形回帰分析により計算されたIC50値を表3に示す。
【0197】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

[式中、
R'およびR''は独立して、H、直鎖もしくは分枝鎖状のC1-C6 アルキルであるか、またはR'およびR''は一緒になったとき、3〜7の炭素原子のシクロアルキルを形成し;
Y は次の意味を有する2価の基であり:
a) ハロゲン原子、ヒドロキシ、-ONO2、-OC(O)(C1-C10 アルキル)-ONO2および-O(C1-C10 アルキル)-ONO2からなる群から選択される1以上の置換基で任意に置換されていてもよい直鎖または分枝鎖状のC1-C10 アルキレン;
b)
【化2】

(ここで、R1 はH、-COOH、-OH、CH3 またはハロゲンであり、n0 は0〜10の整数であり;ここで、X部分は-(CH2)n0に結合していない);
c)
【化3】

(ここで、
n1 は0〜1の整数であり;
n2 は0〜2の整数であり;
Y1 は-CH2-CH2- または -CH=CH-(CH2)n2-であり;
X1 = -OCO- または -COO- であり、R2 はHまたはCH3であり;
ここで、X部分はX1に結合している);
d)
【化4】

(ここで、
n4 は0〜10の整数であり;
R3 およびR4 は、同一または異なって、Hまたは直鎖もしくは分枝鎖状のC1-C6 アルキルであり;
ここで、X部分はY2に結合している;
Y2 は、窒素、酸素、硫黄から選択される1以上のヘテロ原子を含む、飽和、不飽和もしくは芳香族の、
【化5】

からなる群から選択される5員もしくは6員の複素環である);
X は、-OH、-NH2、-COOHのような可溶化基を任意に含んでいてもよい、C1-C10 アルキレン、-O-C1-C10 アルキレン、-S-C1-C10 アルキレン、-S(O)-C1-C10 アルキレンおよび-S(O)2-C1-C10 アルキレンからなる群から選択される部分であり;
D = -ONO2、1以上の-ONO2 基で置換されたC1-C10 アルキル、好ましくは-CH(ONO2)CH2ONO2 であるか、または
【化6】

(ここで、Vは-CH2-、-O-、-S-または-NH-であり;Uは、-OHもしくは-NH2で任意に置換されていてもよいC1-C10 アルキル、アリール、C1-C10 アルコキシ、アリールオキシ、C1-C10 チオアルキル、チオアリール、ハロゲン、ジ-C1-C10(アルキルアミノ)、ジアリールアミノ、アリールC1-C10 (アルキルアミノ)、C1-C10(アルキルスルホキシ)、アリールスルホキシ、C1-C10 (アルキルスルホン)、アリールスルホン、-CN、-NO2、-NHCOR0、-COR0、-COOR0、-CON(R0)(R1)(ここで、R0 およびR1 は同一または異なって、H、C1-C10 アルキルまたはアリールである)である)]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体。
【請求項2】
R'およびR''が独立して、Hまたは直鎖もしくは分枝鎖状のC1-C6 アルキルであり;
Yが次の意味を有する2価の基であり:
a) 直鎖または分枝鎖状のC1-C10 アルキレン;
b)
【化7】

(ここで、R1 はH、-COOHまたは-OHであり、n0 は0〜5の整数であり;
ここで、X部分は-(CH2)n0に結合していない);
d)
【化8】

(ここで、
n4 は0〜5の整数であり;
R3 およびR4 はHであり;
ここで、X部分はY2に結合している;
Y2 は、
【化9】

からなる群から選択される複素環式である);
Xが、C1-C10 アルキレン、-O-C1-C10 アルキレン、-S-C1-C10 アルキレン、-S(O)-C1-C10 アルキレンおよび-S(O)2-C1-C10 アルキレンからなる群から選択される部分であり;
Dが請求項1と同じ意味を有する、
請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
【化10−1】

【化10−2】

【化10−3】

【化10−4】

【化10−5】

【化10−6】

からなる群から選択される、請求項1または2に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
医薬として使用するための、請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項5】
抗炎症、抗血栓および抗血小板活性を有する医薬を製造するための、請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項6】
炎症、疼痛、発熱および心血管疾患の治療用医薬を製造するための、請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項7】
癌疾患の予防または治療用医薬を製造するための、請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項8】
大腸癌、膀胱癌、前立腺癌の治療用医薬を製造するための、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
医薬的に許容される担体、および請求項1〜3のいずれか1つで定義された一般式(I)の化合物および/またはその塩もしくは立体異性体の医薬的に有効な量を含む医薬組成物。

【公表番号】特表2011−500619(P2011−500619A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529313(P2010−529313)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【国際出願番号】PCT/EP2008/061596
【国際公開番号】WO2009/049961
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(398034032)ニコックス エス エイ (36)
【住所又は居所原語表記】Taissounieres HB4,1681 route des Dolines−BP313,06560 Sophia Antipolis−Valbonne,France
【Fターム(参考)】