説明

新規の置換された1,2,3,−トリアゾリルメチル−ベンゾチオフェン又は−インドール並びにロイコトリエン生合成阻害剤としてのそれらの使用

本発明は、ロイコトリエン生合成阻害剤である式Iの化合物を提供する。Zは、縮合された(場合によってスルホ酸化された)チオフェン環又は縮合されたピロール環であり、R2−R4は、様々な置換基から選択される。式Iの化合物は、抗アテローム性動脈硬化薬、抗喘息薬、抗アレルギー薬、抗炎症薬及び細胞保護剤として有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロイコトリエン生合成の阻害剤として有用である新規化合物を含む。
【背景技術】
【0002】
ロイコトリエン生合成の阻害は、長年にわたって、活発な医薬研究が行われてきた領域である。ロイコトリエンは、生体系中で、アラキドン酸から産生される局所的に作用するホルモンの群を構成する。ロイコトリエンは、5−リポキシゲナーゼによるアラキドン酸の酵素的酸化によって得られる強力な収縮及び炎症媒介物質である。ロイコトリエン生合成阻害剤の1つのクラスは、5−リポキシゲナーゼ(5−LO)の阻害を通じて作用することが知られているクラスである。
【0003】
主要なロイコトリエンは、ロイコトリエンB(LTBと略記される。)、LTC、LTD及びLTEである。これらのロイコトリエンの生合成は、酵素である5−リポキシゲナーゼのアラキドン酸に対する作用から始まりロイコトリエンA(LTA)として知られるエポキシドを産生し、LTAは、その後の酵素的工程によって他のロイコトリエンへ変換される。ロイコトリエンの生合成及び代謝のさらなる詳細は、書籍「Leukotrienes and Lipoxygenases, ed. J. Rokach, Elsevier, Amsterdam(1989)」に記載されている。生体系内でのロイコトリエンの作用及び様々な疾病状態に対するロイコトリエンの寄与も、Rokachによる書物に論述されている。
【0004】
一般に、アレルギー性鼻炎、喘息及び炎症性症状(関節炎を含む。)の治療のために、5−LO阻害剤が求められている。5−LO阻害剤の一例は、喘息の治療を適応症とする市販の薬物ジロイトン(ZYLOFT(R))である。さらに最近になって、5−LOがアテローム性動脈硬化症を生成するプロセスに対する重要な寄与因子であり得ることが報告されている。「Mehrabian, M. et al., Circulation Research, 2002 JuI 26, 91(2):120−126」を参照されたい。
【0005】
5−LO阻害によって影響を受ける症状の治療及び予防における著しい治療的進歩に関わらず、さらなる治療の選択肢が必要とされている。本発明は、ロイコトリエン生合成を阻害するのに有用である新規5−LO阻害剤を提供することによって、この要求に対処する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ロイコトリエン生合成阻害剤である式Iの化合物、これらの調製方法並びに哺乳動物、特にヒトにおいて、これらの化合物を使用するための方法及び医薬製剤に関する。
【0007】
【化8】

【0008】
式Iの化合物は、アテローム性動脈硬化症の生成を遅延又は停止させるための薬剤として有用である。従って、本発明は、アテローム性硬化症の治療を必要としている患者に、式Iの化合物の治療的有効量を投与することを含む、アテローム性動脈硬化症を治療するための方法を提供し、該方法は、一旦、アテローム性動脈硬化疾患が臨床的に明白となった場合に、アテローム性動脈硬化疾患の進行を停止又は遅延することを含む。本発明は、アテローム性動脈硬化症を発症し、又はアテローム性動脈硬化疾患現象を有するリスクがある患者に、式Iの化合物の予防的有効量を投与することを含む、アテローム性動脈硬化症及びアテローム性動脈硬化疾患現象のリスクを抑制又は低減する方法も提供する。
【0009】
さらに、本発明は、抗喘息、抗アレルギー、抗炎症性及び細胞保護剤としての、式Iの化合物の使用を含む。それらは、狭心症、脳攣縮、糸球体腎炎、肝炎、内毒血症、ブドウ膜炎及び同種移植片拒絶を治療する上でも有用である。本発明は、式Iの化合物の治療的有効量を、上記治療を必要としている患者に投与することを含む、治療方法を提供する。
【0010】
本発明は、さらに、他の治療的に有効な薬剤と組み合わせて、式Iの化合物を使用することを提供する。さらなる実施形態は、以下の詳細な説明から明白になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の新規ロイコトリエン生合成阻害剤は、構造式Iの化合物
【0012】
【化9】

並びに医薬として許容されるその塩、エステル及び溶媒和物である。
【0013】
(式中、
【0014】
【化10】

は、
【0015】
【化11】

(数「1」及び「2」は、構造式I内の付着の点を表し;
Aは、−Cl並びに各出現において、(i)−F(ii)−Cl、(iii)例えば、−CFなどの、ハロの1つ又はそれ以上で場合によって置換された−C1−3アルキル、(iv)例えば、−OCHF及び−OCFなどの、ハロの1つ又はそれ以上で場合によって置換された−OC1−3アルキル、(v)−OC3−6シクロアルキル、(vi)−C3−6シクロアルキル、(vii)−CHOH、(viii)−COOR、(ix)−CN及び(x)−NR5aからなる群から独立に選択される置換基で場合によって一置換又は二置換されたフェニルからなる群から選択され;
nは、0、1及び2から選択される整数であり;
は、(i)−H、(ii)−Br、(iii)−Cl、(iv)−COC1−6アルキル、(v)−COOC1−6アルキル、(vi)−COOC3−6シクロアルキル、(vii)−SO1−6アルキル、(viii)−SONR、(ix)−CONR、(x)−CN、(xi)各出現において、−OH及び−Fからなる群から独立に選択される置換基で、場合によって一置換又は二置換された−C1−6アルキル、(xii)各出現において、−OH及び−Fからなる群から独立に選択される置換基で、場合によって一置換又は二置換されたフェニル、(xiii)場合によってメチルで置換されたテトラゾリル、(xiv)場合によってメチルで置換された1,2,4−オキサジアゾリル並びに(xv)メチルで場合によって置換されたピリジニルからなる群から選択され;
は、−H、−OH、−F、−C1−3アルキル、−OC1−3アルキル及び−OC(O)−C1−3アルキルからなる群から選択され;
は、−H、−C1−6アルキル、フルオロの1つ又はそれ以上で置換された−C1−6アルキル(例えば、−CF及び−CFCFなどの−C1−6ペルフルオロアルキルを含むが、これらに限定されない。)、Rで置換された−C1−6アルキル、フェニル、−C2−6アルケニル、−C3−6シクロアルキル及びC5−7シクロアルケニルからなる群から選択され;
は、−H、−C1−6アルキル、フルオロの1つ又はそれ以上で置換された−C1−6アルキル(例えば、−CF及び−CFCFなどの−C1−6ペルフルオロアルキルを含むが、これらに限定されない。)、Rで置換された−C1−6アルキル、フェニル、−C2−6アルケニル、−C3−6シクロアルキル及びC5−7シクロアルケニルからなる群から選択され;
は、各出現において、−H、−C1−6アルキル及び−C3−6シクロアルキルからなる群から独立に選択され;
5aは、各出現において、−H、−C1−6アルキル、−C3−6シクロアルキル及び−COORからなる群から独立に選択され;並びに
は、各出現において、−COOR、−C(O)H、−CN、−CROH、−OR、−S−C1−6アルキル及び−S−C3−6シクロアルキルからなる群から独立に選択される。)
本発明の一実施形態は、変数が式Iに定義されているとおりである、構造式Ia:
【0016】
【化12】

を有する式Iの範囲に属する化合物並びに医薬として許容されるその塩、エステル及び溶媒和物である。
【0017】
本発明の別の実施形態は、変数が式Iに定義されているとおりである、構造式Ib:
【0018】
【化13】

を有する式Iの範囲に属する化合物並びに医薬として許容されるその塩、エステル及び溶媒和物である。
【0019】
式I、Ia及びIbによって定義される各実施形態に含まれるのは、「A」が、フェニル並びに3位又は4位で一置換されたフェニルからなる群から選択される、特に、フェニル上の3位又は4位の置換基が−Cl及び−Fから選択され、より具体的には、置換基が−Fである化合物のクラスである。これらの各クラスのサブクラスに属するのは、Rが、−H、−OH、−F、−C1−3アルキル、−OCH及び−OC(O)CHからなる群から選択され;Rが、−H、−C1−6アルキル、フルオロの1つ又はそれ以上で置換された−C1−6アルキル、−C3−6シクロアルキル及びフェニルからなる群から選択され;並びにRが、−H、−C1−6アルキル、フルオロの1つ又はそれ以上で置換された−C1−6アルキル、Rで置換された−C1−6アルキル及び−C3−6シクロアルキルからなる群から選択される化合物である。各クラスの別のサブクラスに属するのは、Rが、−H及び−OHから選択され;Rが、−CH、−C、フルオロで置換された−C1−2アルキル、特に−CF及び−CFCF、及びシクロプロピルから選択され;並びにRが、−CH、−CHCH、フルオロで置換された−C1−2アルキル、特に−CF及び−CFCF、シクロプロピル及び−CHCOOC1−4アルキルから選択される化合物である。各クラスのさらなるサブクラスに属するのは、Rが−OHであり、Rが−CHCH及びRが−CFである化合物である。
【0020】
式I、Ia及びIbによって定義される各実施形態に含まれるのは、「A」が、フェニル並びに3位又は4位で一置換されたフェニルからなる群から選択され、特に、フェニル上の3位又は4位の置換基が−Cl及び−Fから選択され、より具体的には、置換基が−Fであり、並びにRが、−COOR、−CONR、−SO−C1−6−アルキル及び−SONRから選択される、化合物のクラスである。これらの各クラスのサブクラスに属するのは、Rが、−H、−OH、−F、−C1−3アルキル、−OCH及び−OC(O)CHからなる群から選択され;Rが、−H、−C1−6アルキル、フルオロの1つ又はそれ以上で置換された−C1−6アルキル、−C3−6シクロアルキル及びフェニルからなる群から選択され;並びにRが、−H、−C1−6アルキル、フルオロの1つ又はそれ以上で置換された−C1−6アルキル、Rで置換された−C1−6アルキル及び−C3−6シクロアルキルからなる群から選択される化合物である。各クラスの別のサブクラスに属するのは、Rが、−H及び−OHから選択され;Rが、−CH、−C、フルオロで置換された−C1−2アルキル、特に−CF及び−CFCF、及びシクロプロピルから選択され;並びにRが−CH、−CHCH、フルオロで置換された−C1−2アルキル、特に−CF及び−CFCF、シクロプロピル及び−CHCOOC1−4アルキルから選択される化合物である。各クラスのさらなるサブクラスに属するのは、Rが−OHであり、Rが−CHCH及びRが−CFである化合物である。
【0021】
式I、Ia及びIbによって定義される実施形態の各々に属するのは、Rが、−COOR、−CONR、−SO−C1−6アルキル及び−SONRから選択される化合物のクラスである。これらの各クラスのサブクラスに属するのは、Rが、−H、−OH、−F、−C1−3アルキル、−OCH及び−OC(O)CHからなる群から選択され;Rが、−H、−C1−6アルキル、フルオロの1つ又はそれ以上で置換された−C1−6アルキル、−C3−6シクロアルキル及びフェニルからなる群から選択され;並びにRが、−H、−C1−6アルキル、フルオロの1つ又はそれ以上で置換された−C1−6アルキル、Rで置換された−C1−6アルキル及び−C3−6シクロアルキルからなる群から選択される化合物である。各クラスの別のサブクラスに属するのは、Rが、−H及び−OHから選択され;Rが、−CH、−C、フルオロの1つ又はそれ以上で置換された−C1−2アルキル、特に−CF及び−CFCF、及びシクロプロピルから選択され;並びにRが、−CH、−CHCH、フルオロで置換された−C1−2アルキル、特に−CF及び−CFCF、シクロプロピル及び−CHCOOC1−4アルキルから選択される化合物である。各クラスのさらなるサブクラスに属するのは、Rが−OHであり、Rが−CHCH及びRが−CFである化合物である。
【0022】
式I、Ia及びIbによって定義される実施形態の各々に属するのは、Rが、−H、−OH、−F、−C1−3アルキル、−OCH及び−OC(O)CHからなる群から選択される化合物のクラスである。本クラスのサブクラスには、Rが−H及び−OHから選択される化合物がある。本クラスの別のサブクラスには、Rが−OHである化合物がある。
【0023】
式I、Ia及びIbによって定義される実施形態の各々に属するのは、Rが、−H、C1−6アルキル、フルオロの1つ又はそれ以上で置換されたC1−6アルキル、−C3−6シクロアルキル及びフェニルからなる群から選択される化合物のクラスである。本クラスのサブクラスには、Rが−CH、−C、フルオロで置換された−C1−2アルキル、特に−CF及び−CFCF並びにシクロプロピルから選択される化合物がある。本クラスの別のサブクラスには、Rが−CHCHから選択される化合物がある。
【0024】
式I、Ia及びIbによって定義される実施形態の各々に属するのは、Rが、−H、C1−6アルキル、フルオロの1つ又はそれ以上で置換されたC1−6アルキル、Rで置換された−C1−6アルキル及び−C3−6シクロアルキルからなる群から選択される化合物のクラスである。本クラスのサブクラスには、Rが−CH、−CHCH、フルオロで置換された−C1−2アルキル、特に−CF及び−CFCF、シクロプロピル並びに−CHCOOC1−4アルキルから選択される化合物がある。本クラスの別のサブクラスには、Rが−CFである化合物がある。
【0025】
式I、Ia及びIbによって定義される実施形態の各々に属するのは、Rが、−H、−OH、−F、−C1−3アルキル、−OCH及び−OC(O)CHからなる群から選択され;Rが、−H、−C1−6アルキル、フルオロの1つ又はそれ以上で置換された−C1−6アルキル、−C3−6シクロアルキル及びフェニルからなる群から選択され;並びにRが、−H、−C1−6アルキル、フルオロの1つ又はそれ以上で置換された−C1−6アルキル、Rで置換された−C1−6アルキル及び−C3−6シクロアルキルからなる群から選択される化合物のクラスである。本クラスのサブクラスには、Rが、−H及び−OHから選択され;Rが、−CH、−C、フルオロで置換された−C1−2アルキル、特に−CF及び−CFCF、及びシクロプロピルから選択され;並びRが、−CH、−CHCH、フルオロで置換された−C1−2アルキル、特に−CF及び−CFCF3、シクロプロピル及び−CHCOOC1−4アルキルから選択される化合物である。本クラスの別のサブクラスには、Rが−OHであり、Rが−CHCH及びRが−CFである化合物である。
【0026】
化合物に関連する質量スペクトル(MS)データ又はNMRデータを有する実施例並びに表1及び2の化合物は、合成的に調製された。質量スペクトルは、本明細書記載されているように、電子スプレーイオン化合質量分析(ESI)又は大気圧化学的イオン化質量分析(APCI)によって測定された。
【0027】
式Iaの範囲に属する化合物の例には、表1中の化合物並びに本化合物の医薬として許容される塩、エステル及び溶媒和物が含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
表1
【0029】
【化14】

【0030】
【表3】



【0031】
化合物Ia−4
H NMR(500MHz、アセトン):δ8.15(s,1H),8.11(s,1H),7.62−7.53(m,2H),7.48(s,2H),7.29(t,2H),6.88(s,2H),5.84(s,2H),5.43(s,1H),2.37−2.28(m,1H),2.11−2.03(m,1H),0.80(t,3H)。
【0032】
化合物Ia−5
H NMR(500MHz、アセトン):δ8.17(s,1H),8.12(s,1H),7.70−7.60(m,2H),7.56(d,1H),7.47(d,1H),7.26(t,2H),6.22(s,1H),5.87(s,2H),5.44(s,1H),2.45−2.30(m,1H),2.12−2.03(m,1H),1.17(s,9H),0.84(t,3H)。
【0033】
化合物Ia−18
H NMR(500MHz、アセトン):δ8.17(s,1H),8.16(s,1H),7.71−7.47(m,7H),7.01(t,1H),5.88(s,2H),5.42(s,1H),2.40−2.37(m,1H),2.12−2.04(m,1H),0.83(t,3H)。
【0034】
化合物Ia−21
H NMR(500MHz、アセトン):δ8.18(s,1H),8.16(s,1H),7.75−7.65(m,4H),7.65−7.45(m,3H),5.89(s,2H),5.45(s,1H),2.40−2.30(m,1H),2.39(s,3H),2.12−2.04(m,1H),0.84(t,3H)。
【0035】
式Ibの範囲に属する化合物の例には、表2中の化合物並びに本化合物の医薬として許容される塩、エステル及び溶媒和物が含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
表2
【0037】
【化15】

【0038】
【表4】

【0039】
化合物Ib−3
Η NMR(500MHz、アセトン):δ8.06(s,1H),7.88(s,1H),7.62(d,1H),7.56−7.46(m,3H),7.40−7.32(m,3H),7.09(d,1H),5.77(s,2H),5.42(s,1H),2.55(s,3H),2.38−2.27(m,1H),2.05(s,1H),0.83(t,3H)。
【0040】
化合物Ib−4
H NMR(500MHz、アセトン):δ8.06(s,1H),7.67(s,1H),7.60(m,2H),7.42−7.56(m,3H),7.15(d,1H),7.02(d,1H),6.65(s,1H),5.77(s,2H),5.42(s,1H),4.82(m,1H),4.19(d,1H),2.30(m,1H),2.08−2.05(m,1H),1.42(d,3H),0.83(t,3H)。
【0041】
化合物Ib−5
H NMR(500MHz、アセトン):δ8.06(s,1H),7.70(s,1H),7.62(m,2H),7.52(m,3H),7.20(d,1H),7.12(d,1H),6.68(d,1H),5.77(s,2H),5.42(s,1H),4.62(d,2H),4.18(t,1H),2.38−2.27(m,1H),2.08(s,1H),0.82(t,3H)。
【0042】
化合物Ib−7
H NMR(500MHz、アセトン):δ8.06(s,1H),7.85(s,1H),7.56−7.46(m,3H),7.45(s,1H),7.40−7.32(m,3H),7.10(d,1H),5.78(s,2H),5.42(s,1H),4.18(q,2H),2.35(m,1H),2.08(m,1H),1.18(t,3H),0.83(t,3H)。
【0043】
「式I」、「式Ia」、「式Ib」の化合物と表記されている化合物又は本発明の化合物を記載するために本明細書において使用される他の全ての包括的構造式を含む本発明の化合物は、医薬として許容されるその塩、エステル及び溶媒和物(このような塩、エステル及び溶媒和物が可能な場合)を含むこれらの構造式の各々の範囲に属する化合物を包含するものとする。
【0044】
本明細書において、「医薬として許容される塩」という用語は、遊離の酸を適切な有機又は無機塩基と反応させることによって一般的に調製することができる、本発明で使用される化合物の無毒の塩、特に、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛及びテトラメチルアンモニウムなどの陽イオンから形成されるもの、並びにアンモニア、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、リジン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、1−p−クロロベンジル−2−ピロリジンー1’−イル−メチルベンゾイミダゾール、ジエチルアミン、ピペラジン、モルホリン、2,4,4−トリメチル−2−ペンタミン及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどのアミンから形成される塩を表す。本発明の化合物が塩基性である場合には、塩は、無機酸及び有機酸を含む医薬として許容される無毒の酸から調製され得る。このような酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩化水素酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが含まれる。特に好ましいのは、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸及び酒石酸である。
【0045】
また、本発明の化合物中にカルボン酸(−COOH)又はアルコール基が存在する場合には、カルボン酸誘導体の医薬として許容されるエステルを使用することが可能である。医薬として許容されるエステルの例には、−C1−4アルキル(例えば、メチル、エチル)、ピバロイルオキシメチル並びにフェニルで置換された−C1−4アルキル、ジメチルアミノ及びアセチルアミノが含まれるが、これらに限定されない。−O−アセチル、−O−ピバロイル、−O−ベンゾイル及び−O−アミノアシルなどのアルコール基のアシル誘導体を、同様に使用することが可能である。プロドラッグ又は徐放又は製剤として使用するための医薬化合物の溶解度又は加水分解特性を改変するために本分野で公知のエステル及びアシル基が含まれる。
【0046】
本明細書に記載されている化合物の幾つかは、1つ又はそれ以上の不斉中心を含有し、従って、ラセミ体、ラセミ混合物、単一の鏡像異性体、ジアステレオ異性体の混合物及び個別のジアステレオ異性体として存在することが可能である。本発明には、ラセミ、ラセミ混合物及び鏡像異性体的に純粋な分割された形態のこのような全ての可能な異性体並びに医薬として許容されるこれらの塩が含まれる。さらに、本発明の化合物の結晶形態の幾つかは、多形として存在し得、これらも、本発明に含まれるものとする。さらに、本発明の化合物の幾つかは、水又は一般的な有機溶媒との溶媒和物を形成し得る。このような溶媒和物及び水和物は、同様に、本発明の範囲内に包含される。本明細書に記載されている化合物の幾つかは、オレフィン二重結合を含有する。本発明は、E及びZ幾何異性体の両者を含む。
【0047】
本発明の化合物は、例えば、適切な溶媒、例えば、塩化メチレン/ヘキサン又はEtOAc/ヘキサンからの分別結晶によって、又は光学的に活性な固定相を用いたキラルクロマトグラフィーを介して、それらの個別のジアステレオ異性体へと分離され得る。絶対的な立体化学は、必要であれば、公知の立体配置の立体中心を含有する試薬で誘導体化された結晶産物又は結晶中間体のX線結晶学によって決定され得る。あるいは、本発明の化合物のあらゆる立体異性体は、公知の絶対立体配置の光学的に純粋な出発材料又は試薬を用いた立体特異的な合成によって取得され得る。
【0048】
本明細書で使用される「アルキル」には、炭素原子の指定された数を有する分岐及び直鎖の飽和脂肪族炭化水素基の両方、例えば、メチル(Me)、エチル(Et)、n−プロピル(Pr)、n−ブチル(Bu)、n−ペンチル、n−ヘキシル並びにイソプロピル(i−Pr)、イソブチル(i−Bu)、secブチル(s−Bu)、tertブチル(t−Bu)、イソペンチル、イソヘキシルなどのそれらの異性体が含まれるものとする。「シクロアルキル」は、炭素原子の指定された数、例えば、3、4、5又は6個の炭素原子を有する単環式飽和炭素環式環を意味する。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが含まれる。
【0049】
本明細書において使用される「C2−6アルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する2から6の直鎖又は分岐炭素鎖を表す。アルケニルの例には、ビニル(−CH=CH)、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニルなどが含まれるが、これらに限定されない。本明細書において使用される「C5−7シクロアルケニル」という用語は、環中に、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する、5から7個の炭素原子を有する非芳香族単環式環を意味する。
【0050】
別段の記載がなければ、「ハロ」または「ハロゲン」という用語には、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードが含まれるものとする。フルオロ及びクロロが好ましく、フルオロが最も好ましい。
【0051】
「場合によって」置換されたという用語は、「置換されていない又は置換された」を意味し、従って、本明細書に記載されている包括的構造式は、場合によって存在する指定の置換基を含有する化合物及び場合によって存在する置換基を含有しない化合物を包含する。例えば、「メチルで場合によって置換されたテトラゾリル」という用語は、置換されていないテトラゾリル及びメチルで置換されたテトラゾリルを包含する。各変数は、各回、包括的な構造式の定義内に出現するごとに、独立に定義される。例えば、Rが、−SONRである場合には、Rは、出現ごとに独立に選択され、各Rは、同一又は別異であり得る。
【0052】
「置換された」という用語の使用は、別段の記載がなければ、指定された部分上の一置換及び多置換を包含するものとする。一置換された部分は1個の置換基を有するのに対して、多置換された部分は2個以上の置換基を有し、前記部分中の置換に利用可能な各炭素原子及び窒素原子などの複素原子(存在する場合)は、独立に、置換されていないか、適切な構造の生成をもたらすように一置換又は多置換され得る。例えば、「フルオロで場合によって置換されたC1−6アルキル」には、−CH、−CHF、−CHF、−CF及び−CHCFが含まれるが、これらに限定されない。
【0053】
本発明の化合物がロイコトリエンの生合成を阻害する能力によって、本発明の化合物は、ヒト対象内でロイコトリエンによって誘導される症候を抑制又は逆転させるのに有用である。従って、本発明は、本発明の化合物の5−LO阻害的有効量を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物中のロイコトリエンの合成、作用又は放出を抑制する方法を提供する。このような5−LO阻害活性は、本明細書に記載されているヒト5−リポキシゲナーゼ酵素アッセイ及び5−リポキシゲナーゼヒト全血アッセイを用いて測定することが可能である。ロイコトリエンは強力な炎症性媒介物質であるので、本発明の化合物の治療的有効量を、炎症性症状の治療を必要としている哺乳動物に投与することを含む、前記哺乳動物中の炎症性症状を治療する方法も提供される。
【0054】
ロイコトリエンの哺乳動物による生合成の阻害は、前記化合物及びその医薬組成物が、哺乳動物、特にヒトにおいて、アテローム性動脈硬化症を治療、予防又は軽減するのに有用であることも示す。従って、本発明の化合物は、本発明の化合物の治療的有効量を、アテローム性動脈硬化症の治療を必要としている患者に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症の治療のために使用することが可能である。
【0055】
本発明の方法は、新たなアテローム性動脈硬化性病変又は斑の形成を抑制又は遅延させ、及び既存の病変又は斑の進行を抑制又は遅延させ、並びに既存の病変又は斑の退行を引き起こす役割を果たす。従って、アテローム性動脈硬化症の治療の範囲に包含される本発明の一態様は、本発明の化合物の治療的有効量を、アテローム性動脈硬化症の進行の停止又は遅延(アテローム性動脈硬化斑の進行を停止又は遅延させることを含む。)の処置を必要としている患者に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症の進行を停止又は遅延させる方法を含む。本方法は、本治療が開始された時点に存在するアテローム性動脈硬化斑(すなわち、既存のアテローム性動脈硬化斑)の進行を停止又は遅延させること、及びアテローム性動脈硬化症を有する患者における新たなアテローム性動脈硬化斑の形成を停止又は遅延させることを含む。
【0056】
アテローム性動脈硬化症の治療の範囲に包含される本発明の別の態様は、本発明の化合物の治療的有効量を、アテローム性動脈硬化症の退行の処置(本治療が開始された時点で存在するアテローム性動脈硬化斑の退行を実施することを含む。)を必要としている患者に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症の退行を実施すること(本治療が開始された時点で存在するアテローム性動脈硬化斑の退行を実施することを含む。)を含む。
【0057】
アテローム性動脈硬化斑破裂のリスクを抑制又は軽減する目的で、アテローム性動脈硬化症を有する患者に、本発明の化合物を投与することを含む方法も提供される。従って、本発明は、アテローム性動脈硬化斑を有する患者に、本発明の化合物の予防的有効量を投与することを含む、アテローム性動脈硬化斑破裂のリスクを抑制又は低減する方法を提供する。
【0058】
本発明は、アテローム性動脈硬化症を発症するリスクを抑制又は低減する処置を必要としている患者(例えば、アテローム性動脈硬化症を発症するリスクがある患者を含む。)に、本発明の化合物の予防的有効量を投与することを含む、アテローム性動脈硬化症を発症するリスクを抑制又は低減する方法も含む。
【0059】
アテローム性動脈硬化症は、大型及び中型サイズの動脈の壁の最も内側層上に、コレステロール及び脂質を含有するアテローム性斑の沈着を特徴とする。
アテローム性動脈硬化症は、医学の当該分野を専門とする医師によって認識及び理解される血管疾患及び症状を包含する。血行再建術後の再狭窄、冠状動脈性心臓病(冠動脈疾患又は虚血性心疾患としても知られる。)、多梗塞性認知症を含む脳血管疾患及び勃起不全を含む末梢血管疾患などのアテローム性動脈硬化性心血管疾患は全て、アテローム性動脈硬化症の臨床的な徴候であり、従って、「アテローム性動脈硬化症」及び「アテローム性動脈硬化性疾患」という用語に包含される。
【0060】
本発明の化合物は、冠状動脈性心臓病(CHD)現象、脳血管現象及び/又は間欠性跛行の発生又は再発(可能性が存在する場合)のリスクを抑制又は低減するために投与され得る。冠状動脈性心臓病現象には、CHD死、心筋梗塞(すなわち、心臓発作)及び冠血行再建術が含まれるものとする。脳血管現象には、虚血性又は出血性卒中(脳血管発作としても知られる。)及び一過性虚血性発作も含まれるものとする。間欠性跛行は、末梢血管疾患の臨床的な徴候である。本明細書において使用される「アテローム性動脈硬化疾患現象」という用語には、冠状動脈性心臓病現象、脳血管現象及び間欠性跛行が包含されるものとする。1つ又はそれ以上の非致死的アテローム性動脈硬化性疾患現象を以前に経験したことがある者は、このような現象の再発が存在する可能性を有する者であるものとする。
【0061】
従って、本発明は、アテローム性動脈硬化疾患現象の初発又は続発のリスクを抑制又は低減する処置を必要としている患者(このような現象に対するリスクがある患者など)に、本発明の化合物の予防的有効量を投与することを含む、アテローム性動脈硬化疾患現象の初発又は続発のリスクを抑制又は低減する方法も提供する。このような処置を必要とする患者は、投与の時点で既にアテローム性動脈硬化疾患を有し得、又はアテローム性動脈硬化疾患を発症するリスクを有し得る。
【0062】
本発明は、適宜本発明の化合物の治療的有効量又は予防的有効量を、狭心症及び/又は心筋虚血を治療し、予防し又は軽減する処置を必要としている患者に投与することを含む、狭心症及び/又は心筋虚血を治療し、予防し又は軽減する方法も提供する。
【0063】
さらに、ロイコトリエン生合成阻害剤としての本発明の化合物の活性により、本発明の化合物は、1)喘息、慢性気管支炎及び関連する閉塞性気道疾患などの疾患を含む肺疾患、2)アレルギー性鼻炎、接触性皮膚炎、アレルギー性結膜炎などのアレルギー及びアレルギー反応、3)関節炎又は炎症性腸疾患などの炎症、4)疼痛、5)アトピー性湿疹などの皮膚疾患、6)高血圧、血小板凝集などの心血管疾患、7)免疫学又は化学(シクロスポリン)的病因によって誘発された虚血から生じた腎不全及び8)偏頭痛又は群発性頭痛、9)ブドウ膜炎などの眼症状、10)化学、免疫学又は感染性刺激から生じた肝炎、11)火傷、内毒血症などの外傷又はショック状態、12)同種移植拒絶、13)インターロイキンII及び腫瘍壊死因子などのサイトカインの治療的投与に伴う副作用の予防、14)嚢胞性繊維症、気管支炎並びに他の小及び大気道疾患などの慢性肺疾患、15)胆嚢炎、16)多発性硬化症、17)筋芽細胞性白血病細胞の増殖、18)肺繊維症、19)呼吸器合胞体ウイルス、20)にきび及び21)睡眠時無呼吸を治療し、予防し又は軽減するのに有用である。
【0064】
特に、本発明の化合物は、喘息の予防及び喘息の長期的治療のために、成人及び小児の患者などの患者に投与することが可能である。本発明の化合物は、(1)軽度の持続的喘息を有する患者に対する低用量吸入コルチコステロイド(ICS)に対する代替として、(2)軽度の持続的喘息を有する患者に対する低用量吸入コルチコステロイド(ICS)との同時療法として、又は3)吸入コルチコステロイド(ICS)若しくは併用ICS/長期作用βアゴニスト(LABA)療法において十分に抑制されない持続的喘息を有する患者での同時療法として、喘息の治療のために患者(成人及び小児患者を含む。)に投与することが可能である。化合物は、ステロイド耐性/非応答喘息患者、ロイコトリエン修飾物質が以前に奏功しなかった喘息患者、喫煙している喘息患者及びアスピリン感受性喘息患者など(但し、これらに限定されない。)の喘息患者の治療に対して使用することが可能である。
【0065】
前記化合物は、(1)FEV1(1分間努力呼気肺活量)を改善するために、(2)朝及び晩のPEF(最大呼気流量)を改善するために、(3)βアゴニストの使用を低減するために(パフ数/日によって測定)、(4)吸入/全身性ステロイド使用を低減するために、(5)日中の喘息症候を改善するために、(6)夜間の覚醒回数を減少するために、7)喘息管理日を改善するために、(8)喘息の悪化回数を減少させるために(悪化は、全身性ステロイドを必要とすること、緊急治療室の訪問、入院、喘息に関連する医師の予定外の往診、A.M.PEFが20%超減少すること又は180L/分未満のA.M.PEF、ベースラインから70%超増加したSABA(短期作用β−アゴニスト)の使用(最小増加2パフ)又は50%超の増加した症候スコアとして定義される。)、(9)(全ての日の指定された期間にわたって少なくとも1回発作が起きた日の%として測定される。)喘息発作の回数を低下させるため(発作とは、全身性ステロイドの使用、緊急治療室の訪問、入院又は喘息に関連する医師の予定外の往診を必要とする発作をいう。)、(10)急性喘息発作の回数を低下させるため、(11)血液及び痰の好酸球を減少させるために、及び/又は(12)EIB(運動負荷によって誘発された気管支収縮(exercised induced bronchoconstriction))を予防及び治療するために患者に投与することが可能である。
【0066】
さらに、本発明の化合物は、季節性アレルギー性鼻炎を含むアレルギー性鼻炎の緩和のために、患者(成人及び小児の患者を含む。)に投与することが可能である。
【0067】
従って、本発明の化合物は、びらん性胃炎;びらん性食道炎;下痢;脳攣縮;早産;自然流産;月経困難;虚血;有害物質によって誘導された、肝臓、膵臓、腎臓又は心筋組織の損傷又は壊死;CCl及びD−ガラクトサミンなどの肝毒性因子によって引き起こされた肝実質の損傷;虚血性腎不全;疾病によって誘導された肝障害;胆汁酸塩によって誘導された膵臓又は胃の損傷;外傷又はストレスによって誘導された細胞損傷;並びにグリセロールによって誘導された腎不全などの哺乳動物(特に、ヒト)の病状を治療又は予防するためにも使用され得る。ロイコトリエン生合成阻害剤は、腫瘍転移の阻害剤としても作用し、細胞保護作用も示す。
【0068】
化合物の細胞保護活性は、強力な刺激物質、例えば、アスピリン又はインドメタシンの潰瘍生成効果の有害な効果に対する胃腸粘膜の増加した抵抗性に注目することによって、動物及びヒトの両方において観察され得る。消化管に対する非ステロイド性抗炎症薬の効果を弱めることに加え、動物実験は、細胞保護化合物が強酸、強塩基、エタノール、高張生理的食塩水溶液などの経口投与によって誘導された胃病変を予防することを示している。2つのアッセイを、細胞保護能力を測定するために使用することが可能である。これらのアッセイは、(A)エタノール誘導性病変アッセイ及び(B)インドメタシン誘導性潰瘍アッセイであり、EP140,684に記載されている。特に、本発明の化合物は、ロフェコキシブ(VIOXX(R))、エトリコキシブ(ARCOXIATM)及びセレコキシブ(CELEBREX(R))及び低用量アスピリンなどのシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤の同時投与によって引き起こされた胃のびらんを低減するのに有用である。
【0069】
さらに、本発明の化合物は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療のために使用することも可能である。「S. Kilfeather, Chest, 2002, vol 121, 197」に記載されているように、COPD患者中の気道好中球増多症は、炎症に寄与している原因であり、気道のリモデリングに関連していると考えられている。好中球の存在は、部分的にLTBによって媒介されており、本発明の化合物を用いた治療は、COPDを有する患者における好中球性炎症を低減し、及びCOPDの悪化速度の低減させるために使用することができる。特に、本発明の化合物は、慢性気管支炎及び気腫など、COPDに関連する気道閉塞の毎日の、好ましくは1日1回の管理治療のために使用することが可能である。
【0070】
「患者」という用語には、医学的症状の予防又は治療のために本発明の活性剤を使用する哺乳動物、特にヒトが含まれる。患者への薬物の投与には、自己投与及び別の者による患者への投与の両方が含まれる。患者は、既存の疾病又は医学症状に対する治療を必要とする場合があり得、又はロイコトリエン生合成の阻害によって影響を受ける疾病及び医学的症状に対するリスクを予防若しくは軽減するための予防的治療を望む場合があり得る。
【0071】
「治療的有効量」という用語は、研究者、獣医、医師又はその他の臨床医によって求められている、組織、系、動物又はヒトの生物的応答又は医学的応答を惹起する薬物又は薬剤の量を意味するものとする。「予防的有効量」という用語は、研究者、獣医、医師又はその他の臨床医によって、抑制することが求められている、組織、系、動物又はヒト中の生物的現象又は医学的現象の発生のリスクを抑制又は低減する医薬の量を意味するものとする。
【0072】
本発明の化合物の予防的用量又は治療的用量の規模は、もちろん、治療されるべき症状の重度の性質に応じて、並びに具体的な化合物及びその投与経路に応じて変動する。本発明の化合物の予防的用量又は治療的用量の規模は、個別の患者の年齢、体重及び応答に従っても変動する。具体的な一日投薬量は、同時に、(例えば、既存のアテローム性動脈硬化症の進行を遅延させる治療のための)治療的有効量であり、且つ(例えば、新規病変のアテローム性動脈硬化疾患現象又は形成の予防のための)予防的有効量であり得ることが理解される。一般に、抗喘息、抗炎症、抗アレルギー又は抗アテローム性動脈硬化症用途、及び一般に、細胞保護以外の用途に対する一日用量範囲は、単回投薬又は分割投薬で、約0.001mgから約100mg/哺乳動物のkg体重、好ましくは0.01mgから約10mg/kg、最も好ましくは0.1から1mg/kgの範囲内に収まる。これに対して、幾つかの事例において、これらの限界外の投薬量を使用することが必要であり得る。
【0073】
経口組成物が使用される場合には、抗喘息、抗炎症、抗アレルギー又は抗アテローム性動脈硬化症用途に対する適切な一日投薬範囲は、例えば、本発明の化合物の約0.01mgから約100mg/kg体重/日、好ましくは約0.1mgから約10mg/kgである。細胞保護用途の場合、適切な一日投薬範囲は、本発明の化合物の0.1mgから約100mg、好ましくは、約1mgから約100mg/kg体重/日であり、より好ましくは約10mgから約100mgである。
静脈内投与用の組成物が使用される用途の場合、抗喘息、抗炎症、抗アテローム性動脈硬化症又は抗アレルギー用途に対する適切な一日投薬範囲は、本発明の化合物の約0.001mgから約25mg(好ましくは、0.01mgから約1mg)/kg体重/日であり、細胞保護用途の場合、本発明の化合物の約0.1mgから約100mg(好ましくは、約1mgから約100mg、より好ましくは約1mgから約10mg)/kg体重/日である。眼の疾病の治療の場合、許容可能な眼用製剤中に本発明の化合物の0.001から1重量%溶液又は懸濁液を含む眼投与用の眼用調製物を使用し得る。
【0074】
細胞保護剤として使用されるべき本発明の化合物の正確な量は、損傷を受けた細胞を治癒するために投与される場合であれ、又は将来の損傷を回避するために投与される場合であれ、特に、損傷を受けた細胞(例えば、胃腸の潰瘍vs.ネフローゼ壊死)の性質及び原因因子の性質に依存する。将来の損傷を回避する上での本発明の化合物の使用の例は、本発明の化合物を使用しなければ、このような損傷を引き起こす可能性があるNSAID(例えば、インドメタシン)との、本発明の化合物の同時投与である。このような使用の場合、本発明の化合物は、NSAIDの投与から30分前から最長30分後までに投与される。好ましくは、本発明の化合物は、NSAIDの前に、又はNSAIDと同時に(例えば、組み合わせ剤形で)投与される。
【0075】
本発明の医薬組成物は、活性成分としての本発明の化合物及び医薬として許容される担体を含み、及び他の治療成分を場合によって含む。哺乳動物、特にヒトに本発明の化合物の有効投薬量を与えるために、あらゆる適切な投与経路を使用し得る。例えば、経口、直腸、局所、非経口、眼、経肺、経鼻などを使用し得る。剤形には、錠剤、トローチ、分散液、懸濁液、溶液、カプセル、クリーム、軟膏、エアロゾルなどが含まれる。アテローム性動脈硬化症及び関連疾患現象を治療又は予防する上で使用する場合、経口製剤が好ましい。
【0076】
組成物には、経口、直腸、局所、非経口(皮下、筋肉内及び静脈内を含む。)、眼(眼の)、経肺(経鼻又は口内吸入)又は経鼻投与に適した組成物が含まれるが、与えられた症例において最も適切な経路は、治療されている症状の性質及び重度並びに活性成分の性質に依存するであろう。組成物は、単位剤形として都合よく与えることができ、薬学の分野で周知の任意の方法によって調製することができる。
【0077】
吸入による投与の場合、本発明の化合物は、加圧されたパック又は噴霧器からエアロゾルスプレー提示の形態で都合よく送達される。化合物は、製剤化され得る粉末としても送達され得、粉末組成物は、ガス注入粉末吸入装置の補助を得て吸入され得る。吸入のための好ましい送達系は、定量吸入(MDI)エアロゾルであり、これは、フッ化炭素又は炭化水素などの適切な噴射剤中に、本発明の化合物の懸濁液又は溶液として製剤化され得る。
【0078】
本発明の化合物の適切な局所製剤には、経皮装置、エアロゾル、クリーム、軟膏、ローション、粉塵粉末などが含まれる。
【0079】
実際に使用する場合には、本発明の化合物は、慣用の医薬配合技術に従って、医薬担体と緊密に混合された活性成分として配合することが可能である。担体は、投与に対して所望される調製の形態(例えば、経口又は非経口(静脈内を含む。))に応じて、多様な形態を採り得る。経口剤形用の組成物を調製する場合、例えば、懸濁液、エリキシル及び溶液などの経口液体調製物のケースでは、例えば、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、防腐剤、着色剤など;又は、例えば、粉末、カプセル及び錠剤など経口固体調製物のケースでは、デンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、顆粒化剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などの担体など、通常の医薬媒体の何れをも使用することができ、液体調製物に比べて固体経口調製物が好ましい。投与が容易なので、錠剤及びカプセルが最も有利な経口投薬単位形態であり、この場合、固体の医薬担体が明らかに使用される。所望であれば、錠剤は、標準的な水性又は非水性技術によってコートし得る。
【0080】
上記の一般的な剤形に加えて、本発明の化合物は、U.S. Patent Nos.3,845,770;3,916,899;3,536,809;3,598,123;3,630,200;4,008,719;及び5,366,738(これらの開示は、参照により、本明細書に組み込まれる。)に記載されているものなど、徐放手段及び/又は送達装置によっても投与され得る。
【0081】
経口投与に適した本発明の医薬組成物は、各々が活性成分の所定量を含有するカプセル、カシェ剤又は錠剤などの分離した単位として、粉末若しくは顆粒として、又は水性液体中の溶液若しくは懸濁液として、非水性液体、水中油エマルジョン若しくは油中水液体エマルジョンとして与え得る。このような組成物は、薬学の方法の何れによっても調製され得るが、全ての方法は、活性成分を、1つ又はそれ以上の必要な成分を構成する担体と一緒にする工程を含む。一般的に、組成物は、活性成分を、液体担体若しくは細かく砕かれた固体担体又は両者と、均一及び緊密に混合し、次いで、必要であれば、所望の形状になるように生成物を成形することによって調製される。例えば、錠剤は、場合によって1つ又はそれ以上の補助成分とともに、打錠又は成形することによって調製し得る。打錠された錠剤は、結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、界面活性剤又は分散剤と場合によって混合された自由流動形態の活性成分(粉末又は顆粒など)を、適切な機械の中で、打錠することによって調製し得る。成形された錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿らせた、粉末化された化合物の混合物を、適切な機械の中で成形することによって作製し得る。望ましくは、各錠剤、カシェ剤又はカプセルは、活性成分の約1mgから約500mg、例えば、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg及び75mg(但し、これらに限定されない。)を含有する。以下は、本発明の化合物に対する代表的な医薬剤形の例である。
【0082】
注射可能懸濁液(I.M.) mg/mL
式Iの化合物 10
メチルセルロース 5.0
Tween80 0.5
ベンジルアルコール 9.0
塩化ベンゾアルコニウム 1.0
1mLの総容積になるように注射用の水
錠剤 mg/錠剤
式Iの化合物 25
微結晶性セルロース 415
プロビドン 14.0
予めゼラチン化されたデンプン 43.5
ステアリン酸マグネシウム 2.5
500
カプセル mg/カプセル
式Iの化合物 25
ラクトース粉末 573.5
ステアリン酸マグネシウム 1.5
600
エアロゾル筒 筒当り
式Iの化合物 24mg
レシチン、NF液体濃縮物 1.2mg
トリクロロフルオロメタン、NF 4.025gm
ジクロロジフルオロメタン、NF 12.15gm
【0083】
本発明は、本発明の化合物を、医薬として許容される担体と組み合わせることを含む、医薬組成物を調製するための方法も包含する。医薬として許容される担体と本発明の化合物を組み合わせることによって作製される医薬組成物も包含される。
【0084】
本発明の化合物の治療的有効量は、本明細書に記載されている投薬量で、本明細書に記載されている医学的症状の何れかを治療又は予防するのに有用な医薬の調製のために使用することが可能である。例えば、本発明の化合物は、アテローム性動脈硬化疾患を発症するリスクを抑制又は低減し、一旦、アテローム性動脈硬化疾患が臨床的に顕在化したときに、アテローム性動脈硬化疾患の進行を停止又は遅延させ、及びアテローム性動脈硬化疾患現象の最初の発生又はその後の発生のリスクを抑制又は低減するのに有用な医薬の調製のために使用することが可能である。さらに、本発明の化合物は、喘息、アレルギー及びアレルギー性症状、炎症、COPD又はびらん性胃炎の治療に有用な医薬の調製のために使用することが可能である。本発明の化合物から構成される医薬も、以下に記載されているような1つ又はそれ以上の追加の活性剤とともに調製され得る。
【0085】
1つ又はそれ以上の追加の活性剤は、単一の投薬製剤中において、本発明の化合物と組み合わせて使用することができ、又は組み合わせの活性剤は、別個の投薬製剤中で患者に投与することができ、これにより、活性剤の同時又は順次投与が可能となる。別段の記載がなければ、本明細書において、他の活性剤と組み合わされて使用されている本発明の化合物又は併用療法などの一部として使用される本発明の化合物という表記には、1つ又はそれ以上の追加の活性剤とともに本発明の化合物から構成される単一の医薬組成物及び別個に製剤化された1つ又はそれ以上の他の活性剤との併用療法の一部として投与される本発明の化合物から構成される医薬組成物の両方が包含される。
【0086】
本発明の化合物に加えて、本発明の医薬組成物は、その他の活性剤(すなわち成分)を含有することも可能であり、本発明の化合物から構成される医薬組成物は、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、ゾメピラク・ジフルニサール(zomepirac diflumsal)などの末梢性鎮痛剤などの、別個に製剤化された1つ又はそれ以上の他の活性剤との組み合わせのために使用され得る。第二の活性成分に対する本発明の化合物の重量比は変動し得、各成分の有効用量に依存する。一般に、それぞれの有効用量が使用される。従って、例えば、本発明の化合物がNSAIDと組み合わされる場合には、NSAIDに対する前記化合物の化合物の重量比は、一般に、約1000:1から約1:1000、好ましくは約200:1から約1:200の範囲である。本発明の化合物と他の活性成分の組み合わせも、一般に、上記範囲内に属するが、各事例において、各活性成分の有効用量を使用すべきである。
【0087】
NSAIDは、(1)プロピオン酸誘導体;(2)酢酸誘導体;(3)フェナム酸誘導体;(4)オキシカム;及び(5)ビフェニルカルボン酸誘導体という5つの群又は医薬として許容されるこれらの塩に特徴付けることが可能である。
【0088】
使用され得るプロピオン酸誘導体には、アミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロクス酸、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸及びチオキサプロフェンが含まれる。類似の鎮痛及び抗炎症性特性を有する構造的に関連したプロピオン酸誘導体も、この群に含められるものとする。従って、本明細書で定義される「プロピオン酸誘導体」は、典型的には、直接付着された、又はカルボニル官能基を介して環系に、好ましくは芳香族環系に付着された遊離の−CH(CH)COOH又は−CHCHCOOH基(場合によって、医薬として許容される塩の基、例えば、−CH(CH)COONa又は−CHCHCOONaの形態とすることが可能である。)を有する非麻酔性の鎮痛薬/非ステロイド性の抗炎症薬である。
【0089】
使用され得る酢酸誘導体には、インドメタシン(好ましいNSAIDである。)、アセメタシン、アルクロフェナク、クリダナク、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、フェンクロジン酸、フェンチアザク、フロフェナク、イブフェナク、イソキセパク、オクスピナク、スリンダク、チオピナク、トルメチン、ジドメタシン及びゾメピラクが含まれる。類似の鎮痛及び抗炎症性特性を有する構造的に関連した酢酸誘導体も、この群に包含されるものとする。従って、本明細書で定義される「酢酸誘導体」は、典型的には、環系に、好ましくは芳香族又は複素芳香族の環系に直接付着された、遊離の−CHCOOH基(場合によって、医薬として許容される塩の基、例えば、CHCOONaの形態とすることが可能である。)を有する非麻酔性の鎮痛薬/非ステロイド性の抗炎症薬である。
【0090】
使用され得るフェナム酸誘導体には、フルフェナム酸、メクロフェナム酸、メフェナミム酸、ニフルム酸及びトルフェナム酸が含まれる。類似の鎮痛及び抗炎症性特性を有する構造的に関連したフェナム酸誘導体も、この群に包含されるものとする。従って、本明細書に定義される「フェナム酸誘導体」は、様々な置換基を有することが可能であり、遊離の−COOH基が、医薬として許容される塩の基、例えば−COONaの形態であり得る基本構造:
【0091】
【化16】

を含有する非麻酔性鎮痛薬/非ステロイド性抗炎症薬である。
【0092】
使用され得るビフェニルカルボン酸誘導体には、ジフルニサール及びフルフェニサールが含まれる。類似の鎮痛及び抗炎症性特性を有する構造的に関連したビフェニルカルボン酸誘導体も、この群に包含されるものとする。従って、本明細書で定義される「ビフェニルカルボン酸誘導体」は、様々な置換基を有することが可能であり、遊離の−COOH基が、医薬として許容される塩の基、例えば−COONaの形態であり得る基本構造:
【0093】
【化17】

を含有する非麻酔性鎮痛薬/非ステロイド性抗炎症薬である。
【0094】
本発明において使用することができるオキシカムには、イソキシカム、ピロキシカム、スドキシカム及びテノキシカンが含まれる。類似の鎮痛及び抗炎症性特性を有する構造的に関連したオキシカムも、この群に包含されるものとする。従って、本明細書で定義される「オキシカム」は、一般式:
【0095】
【化18】

(Rは、アリール又はヘテロアリール環系である。)
を有する非麻酔性鎮痛薬/非ステロイド性抗炎症薬である。
【0096】
以下のNSAIDも使用し得る。アムフェナクナトリウム、アミノプロフェン、アニトラザフェン、アントラフェニン、オーラノフィン、ベンダザク・リシナート、ベンジダニン、ベプロジン、ブロペラモール、ブフェゾラク、シンメタシン、シプロクアゾン、クロキシマート、ダジダミン、デボキサメト、デルメタシン、デトミジン、デキシンドプロフェン、ジアセレイン、ジ−フィサラミン、ジフェンピラミド、エモルファゾン、エフェナム酸、エノリカム、エピリゾール、エテルサラート、エトドラク、エトフェナマート、メシル酸ファネチゾール、フェンクロラク、フェンドサール、フェンフルミゾール、フェプラゾン、フロクタフェニン、フルニキシン、フルノキサプロフェン、フルプロクアゾン、フォピルトリン、フォスフォサール、フルクロプロフェン、グルカメタシン、グアイメサール、イブプロキサム、イソフェゾラク、イソニキシム、イソプロフェン、イソキシカム、塩酸レフェタミン、レフルノミド、ロフェミゾール、ロナゾラクカルシウム、ロチファゾール、ロキソプロフェン、リジンクロニキシナート、メクロフェナム酸ナトリウム、メセクラゾン、ナブメトン、ニクチンドール、ニメスリド、オルパノキシン、オキサメタシン、オキサパドール、クエン酸ペリソキサール、ピメプロフェン、ピメタシン、ピプロキセン、ピラゾラク、ピルフェニドン、マレイン酸プログルメタシン、プロクアゾン、ピリドキシプロフェン、スドキシカム、タルメタシン、タルニフルマート、テノキシカム、チアゾリノブタゾン、チエラビンB、塩酸チアラミド、トリフラミゾール、チメガジン、トルパドール、トリプタミド及びウフェナマート。会社コード番号によって表記される(例えば、Pharmaprojects参照)以下のNSAIDも使用し得る。480156S、AA861、AD1590、AFP802、AFP860、A177B、AP504、AU8001、BPPC、BW540C、CHINOIN127、CN100、EB382、EL508、F1044、GV3658、ITF182、KCNTEI6090、KME4、LA2851、MR714、MR897、MY309、ONO3144、PR823、PV102、PV108、R830、RS2131、SCR152、SH440、SIR133、SPAS510、SQ27239、ST281、SY6001、TA60、TAI−901(4−ベンゾイル−1−インダンカルボン酸)、TVX2706、U60257、UR2301及びWY41770。
【0097】
最後に、同じく使用され得るNSAIDには、サリチラート、特にアセチルサリチル酸、及びフェニルブタゾン、並びに医薬として許容されるこれらの塩が含まれる。
【0098】
インドメタシンの他に、他の好ましいNSAIDは、アセチルサリチル酸、ジクロフェナク、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク及びトルメチンである。本発明の化合物を含む医薬組成物及び組み合わせは、EP 138,481(1985年4月24日)、EP 115,394 (1984年8月8日)、EP136,893(1985年4月10日)及びEP140,709(1985年5月8日)(参照により、本明細書に組み込まれる。)に開示されているようなロイコトリエンの生合成の阻害剤も含有し得る。
【0099】
本発明の化合物は、EP106,565(1984年4月25日)及びEP104,885(1984年4月4日)(参照により、本明細書に組み込まれる。)に開示されているもの並びにEP Application Nos. 56,172(1982年7月21日)及び61,800(1982年6月10日)及びU.K.特許明細書No.2,058,785(1981年4月15日)(参照により、本明細書に組み込まれる。)に開示されているものなどの本分野で公知のその他のものなどのロイコトリエンアンタゴニストと組み合わせても使用され得る。
【0100】
本発明の化合物を含む医薬組成物及び組み合わせは、EP11,067(1980年5月28日)に開示されているものなどのプロスタグランジンアンタゴニスト又はU.S.Pat.4,237,160に開示されているものなどのトロンボキサンアンタゴニストを第二の活性成分として含有してもよく、又はこれらとともに、併用療法において使用され得る。本発明の化合物を含む医薬組成物及び組み合わせは、U.S.Pat.4,325,961に記載されているα−フルオロメチルヒスチジンなどのヒスチジン脱炭酸酵素阻害剤を含有し、又はこれらとともに使用することもできる。本発明の化合物は、H又はH受容体アンタゴニスト、例えば、アセトアマゾール、EP40,696(1981年12月2日)に開示されているアミノチアジアゾール、ベナドリル、シメチジン、ファモチジン、フラマミン、ヒスタジル、フェネルガン、ラニチジン、テルフェナジン並びにU.S.Patent Nos.4,283,408;4,362,736;及び4,394,508に開示されているものなどの類似の化合物とも有利に組み合わされ得る。前記医薬組成物は、U.S. Pat.4,255,431などに開示されているオメプラゾールなどのK/HATPアーゼ阻害剤を含有し、又はこれらと組み合わせて使用することもできる。本発明の化合物は、1,3−ビス(2−カルボキシクロモン−5−イルオキシ)−2−ヒドロキシプロパン並びに英国特許明細書1,144,905及び1,144,906に記載されている関連化合物など、多くの細胞安定化剤とも有用に組み合わされ得る。別の有用な医薬組成物は、Nature, 316,126−131(1985)などに記載されているセロトニンアンタゴニストであるメチセルギドなどのセロトニンアンタゴニストと組み合わせて、本発明の化合物を含む。本パラグラフ中に引用されている各参考文献は、参照により、本明細書に組み込まれる。
【0101】
他の有利な医薬の組み合わせは、イプラトロピウムブロミド及びチオトロピウムなどの抗コリン薬、βアゴニストサルブタモール、メタプロテレノール、テルブタリン、フェノテロール、サルメテロール、ホルモテロールなどの気管支拡張薬、並びに抗喘息薬であるテオフィリン、コリンテオフィリナート及びエンプロフィリン、カルシウムアンタゴニストであるニフェジピン、ジルチアゼム、ニトレンジピン、ベラパミル、ニモジピン、フェロジピンなど、並びにコルチコステロイド、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニソロン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、ベクロメタゾンなどと組み合わせて、本発明の化合物を含む。
【0102】
特に、喘息の予防及び治療の場合、本発明の化合物は、ベクロメタゾン(例えば、QVAR(R)吸入エアロゾル)、ブデソニド(例えば、パルミコートレスピュール)、フルニソリド(例えば、AEROBID(R)及びAEROBID(R)−M吸入器システム)、フルチカゾン(例えば、FLOVENT(R)DISKUS(R)吸入粉末、FLOVENT(R)HFA吸入エアロゾル)、モメタゾン(例えば、ASMANEX(R)TWISTHALER(R))及びトリアムシノロン(例えば、AZMACORT(R)吸入エアロゾル)などの経口吸入されるコルチコステロイドと組み合わせて、並びにフルチカゾンプロピオナート/サルメテロール(例えば、ADVAIR DISKUS(R))などの吸入されるコルチコステロイド/LABA製品と組み合わせて使用することが可能である。本発明の化合物は、モンテルカスト(例えば、SINGULAIR(R))などのロイコトリエン受容体アンタゴニスト;ロフルミラスト、N−シクロプロピル−1−[3−(1−オキシド−3−ピリジニルエチニル)フェニル]−1,4−ジヒドロ[1,8]ナフチリジン−4−オン−3−カルボキサミド及びPCT Publication WO2003/018579に開示されている化合物などのホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤;並びにU.S.Pat.No.6,229,011に開示されている化合物、特に、活性部分のエステルプロドラッグであるR411(N−(2−クロロ−6−メチルベンゾイル)−4−[(2,6−ジクロロベンゾイル)アミノ]−L−フェニルアラニン−2−(ジエチルアミノ)エチルエステル、N−(2−クロロ−6−メチルベンゾイル)−4−[(2,6−ジクロロベンゾイル)アミノ]−L−フェニルアラニン及びPCT publication WO2006/023396に開示されている化合物などの最晩期抗原4(VLA4)阻害剤と組み合わせて使用することも可能である。
【0103】
さらに、抗アテローム性動脈硬化剤、抗糖尿病薬、抗肥満薬及びメタボリックシンドロームの治療のために使用される薬剤などのさらなる活性剤が、本発明の化合物と組み合わせて使用され得る。さらなる活性剤
は、HMG−CoA還元酵素阻害剤などの脂質改変化合物、又は他の医薬活性を有する剤、又は脂質改変効果と他の医薬活性の両方を有する剤であり得る。この目的のために有用なHMG−CoA還元酵素阻害剤の例には、ロバスタチン(MEVACOR(R);US Patent No.4,342,767参照);シンバスタチン(ZOCOR(R);US Patent No.4,444,784参照);ジヒドロキシ開環酸シンバスタチン、特に、そのアンモニウム又はカルシウム塩;プラバスタチン、特に、そのナトリウム塩(PRAVACHOL(R);US Patent No.4,346,227参照);フルバスタチン、特にそのナトリウム塩(LESCOL(R);US Patent No.5,354,772参照);アトロバスタチン、特にそのカルシウム塩(LIPITOR(R)、US Patent No 5,273,995参照);NK−104とも称されるピタバスタチン(PCT international publication number WO97/23200参照);及びロスバスタチン(CRESTOR(R);US Patent No 5,260,440参照)などの(但し、これらに限定されない)ラクトン化された形態又はジヒドロキシ開環酸形態のスタチン並びに医薬として許容されるその塩及びエステルが含まれる。本発明の化合物と組み合わせて使用し得る追加活性剤には、HMG−CoA合成酵素阻害剤;U S. Patent No.’s Re 37721及び5,846,966に記載されている1−(4−フルオロフェニル)−3(R)−[3(S)−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル)]−4(S)−(4−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノンであるエゼチミブ(ZETIA(R))並びにエゼチミブとシンバスタチン(VYTORIN(R))の定用量の組み合わせなどのコレステロール吸収阻害剤;コレステロールエステル転移タンパク質(CETP)阻害剤、例えば、JTT−705(Japan Tobacco Company)及びトルセトラピブ(Pfizer)などのHDL上昇剤;スクアレンエポキシダーゼ阻害剤;スクアレン合成酵素(synthetase)阻害剤(スクアレン合成酵素(synthase)阻害剤としても知られる。);ACAT−1又はACAT−2の選択的阻害剤並びにACAT1及び−2の二重阻害剤などのアシル−補酵素A:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤;ミクロソームトリグリセリド転移タンパク質(MTP)阻害剤;プロブコール;ナイアシン;胆汁酸封鎖剤;LDL(低密度リポタンパク質)受容体誘導物質;血小板凝集阻害剤、例えば、糖タンパク質IIb/IIIaフィブリノーゲン受容体アンタゴニスト及びアスピリン;一般に、グリタゾンと称される化合物、例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン及びロシグリタゾンなどの、並びに、チアゾリジンジオンとして知られる構造クラス内に含まれる化合物及びチアゾリジンジオン構造クラス外のPPARγアゴニストなどのヒトペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)アゴニスト;クロフィブラート、微粉末化されたフェノフィブラートを含むフェノフィブラート及びゲムフィブロジルなどのPPARαアゴニスト;ムラグリタザールなどのPPAR二重α/γアゴニスト;ビタミンB6(ピリドキシンとしても知られる。)及び医薬として許容されるその塩(HCl塩など);ビタミンB12(シアノコバラミンとしても知られる。);葉酸又はナトリウム塩及びメチルグルカミン塩などの医薬として許容されるその塩又はエステル;ビタミンC及びE及びβカロテンなどの抗酸化ビタミン;β遮断薬;ロサルタン及びヒドロクロロチアジドを加えたロサルタンなどのアンギオテンシンIIアンタゴニスト;エナラプリル及びカプトプリルなどのアンギオテンシン変換酵素阻害剤;ニフェジピン及びジルチアザムなどのカルシウムチャンネル遮断剤;エンドセリンのアンタゴニスト(endothelian アンタゴニスト);ABC1遺伝子発現を増強する剤;阻害剤及びアゴニストの両方を含むFXR及びLXRリガンド;アレンドロン酸ナトリウムなどのビスホスホナート化合物;並びにロフェコキシブ、エトリコキシブ及びセレコキシブなどのシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。シブトラミン、オルリスタット、トピラマート、ナルトレキソン、ブプリオピオン、フェンテルミン及びフェンテルミン/トピラマートの組み合わせ(QNEXA(R));NPY5アンタゴニスト;アセチル−CoAカルボキシラーゼ−1及び−2(ACC)阻害剤;MCH1Rアンタゴニスト;並びにWO03/077847及びWO05/000809に記載されているものなどのCB1アンタゴニスト/インバースアゴニストなどの(但し、これらに限定されない。)抗肥満薬は、本発明の化合物と組み合わせて使用することが可能である。本発明の化合物と組み合わせて使用し得るさらなる抗糖尿病薬には、シタグリプチン(JANUVIA(R))及びビルダグリプチン(GALVUS(R))などのDPP−4(ジペプチジルペプチダーゼ−4)阻害剤;スルホニル尿素、例えば、クロルプロパミド、トラザミド、グリブリド、グリピジド及びグリメプリド;ビグアニド、例えば、メトホルミン;α−グルコシダーゼ阻害剤、例えばアカルボース及びミグリトール;メグリチニド、例えば、レパグリニド;グルカゴン受容体アゴニスト;及びグルコキナーゼ活性化因子が含まれるが、これらに限定されない。
【0104】
本発明の化合物は、これらの哺乳動物ロイコトリエン生合成阻害活性を測定するために、以下のアッセイを用いて検査することが可能である。検査された本発明の代表的化合物の多くは、以下に記載されているヒト5−リポキシゲナーゼ酵素アッセイにおいて、4μM未満又は4μMに等しいIC50を有するロイコトリエン生合成の阻害剤であることが示され、本アッセイで検査された好ましい化合物は、0.100μM未満又は0.100μMに等しいIC50を有する。検査された代表的な化合物は、以下に記載されている5−リポキシゲナーゼヒト全血アッセイにおいて、多くは5μ未満又は5μMに等しいIC50を有する5−LO阻害剤としての活性を有し、好ましい化合物は0.500μM未満又は0.500μMに等しいIC50を有することも示された。
【0105】
ヒト5−リポキシゲナーゼ酵素アッセイ
分光学的アッセイ及び酵素源として組換え型ヒト5−リポキシゲナーゼを使用し、5−リポキシゲナーゼの活性を測定した。Percival et al.、(Eur.J.Biochem 210、109−117、1992)に記載されているとおり、ヒト5−リポキシゲナーゼのコード配列を含む組換え型バキュロウイルスrvH5LO(8−1)で感染されたSf9細胞から、ヒト5−リポキシゲナーゼを精製した。若干の修正を伴うRiendau et al.(Biochem.Pharmacol.38、2313−2321、1989)に記載の手順を用い、共役ジエン生成の最適速度から(238nmにおける吸光度)、分光学的アッセイを使用して酵素活性を測定した。温置混合物は、25mMリン酸カリウム、pH7.5、0.1mM EDTA,0.3mM CaCl、24μg/mlホスファチジルコリン、0.1mM ATP、0.5mM DTT、20μMアラキドン酸(エタノール中の100倍溶液から2μl)、阻害薬(DMSO中の100倍溶液から2μlの分取試料)及び精製された5−リポキシゲナーゼの分取試料を含有した。精製された5−リポキシゲナーゼを添加することにより反応を開始し、共役ジエン生成率を室温で5分間追跡した。Costar UVプレート(カタログ番号3635)中で反応を実行し、SOFTmax PROソフトウェアを使用し、238nmでの吸光度変化をMolecular Devices UV/VIS 96ウェル分光光度計(Spectra Max 190)で記録した。36秒にわたる238nmでの吸光度の上昇における線形フィットにより、反応の最適速度から酵素活性を計算した。ジエン形成の速度が低い場合(<0.01吸光度単位/分)、線形フィットを180秒にわたって実行した。DMSOビヒクルを含む対照(通例、0.001−0.005吸光度単位/分)と比較した反応速度の阻害率として結果が示されている。
【0106】
5−リポキシゲナーゼのヒト全血アッセイ
同意を得たボランティアからの静脈穿刺により、新鮮血をヘパリン化チューブ中に集める。被験者たちは明らかな炎症症状を有しておらず、血液収集前の少なくとも4日間は非ステロイド系の抗炎症剤を服用していない。ビヒクル(DMSO)0.5μl又は試験化合物のいずれかを用いて、血液の分取試料250μlを37℃で15分間事前に温置する。これに続いて、血漿又は血漿におけるカルシウムイオノフォアA23187(Sigma、St.Louis、Mo、USA)の1.25mM溶液のいずれか5μlを用いて血液の温置を行う。各ドナーからの血液を約10ml遠心分離し、血漿を収集することにより、後者の溶液を調製する。DMSO中におけるA23187の50mM原溶液を血漿中に40倍希釈し、1.25mMの作業溶液を生成する。血漿を調製した同一ドナーの血液の適切な各250μL分取試料へ、この作業溶液5μLを添加し、最終濃度が25μMのA23187を提供する。次いで、血液を37℃で30分間温置する。温置に続き、1500gで4℃にて10分間、血液を遠心分離する。その後、同じ試料から血漿を収集し、酵素の免疫吸着アッセイ(EIA)の時点まで4℃で保存する。Assay Designs(Ann Arbor、MI、USA)からのLTB4 EIAキットを使用し、使用説明書に従って、ロイコトリエンB4(LTB4)の生成に対し全試料をテストする。
【0107】
当技術分野で既知の一般的合成手順を適用し、本発明の化合物を調製し得る。以下の方法、反応スキーム及び実施例で示す合成経路が例示の目的で記載されている。
【0108】
本明細書において使用されるいくつかの略語には、以下のものが含まれる:Ac=アシル、AIBN=2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、Bz又はbz=ベンジル、CAN=硝酸アンモニウムセリウム、CDI=1,1’−カルボニルジイミダゾール、cy=シクロヘキシル、DAST=ジエチルアミノサルファートリフルオリド、DBU=1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン、DCC=1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、DCM=ジクロロメタン、DIBAL=ジイソブチルアルミニウムヒドリド、DIPEA=N,N−ジイソプロピルエチルアミン、DMAP=4−(ジメチルアミノ)ピリジン、DME=エチレングリコールジメチルエーテル、DMF=N,N−ジメチルホルムアミド、DMSO=ジメチルスルホキシド、eq=当量、EtOH=エタノール、EtO=ジエチルエーテル、EtN=トリエチルアミン、EtOAc=酢酸エチル、h=時間、H NMRはプロトン核磁気共鳴である、HOAc=酢酸、KHMDS=カリウムビス(トリメチルシリル)アミド、LAH=リチウムアルミニクムヒドリド、LDA=リチウムジイソプロピルアミド、m−CPBA(又はMCPBA)=3−クロロペルオキシ安息香酸、MsCl=メタンスルホニルクロリド、MeOH=メタノール、NBS=N−ブロモスクシンイミド、NCS=N−クロロスクシンイミド、NMO=4−メチルモルホリンN−オキシド、NMP=1−メチル−2−ピロリジノン、OTf=トリフルオロメタンスルホナート=トリフラート、O−THP=O−テトラヒドロピラン−2−イル、Ph=フェニル、PPTS=ピリジニウムp−トリエンスルホナート、rt=室温、TBAF=テトラブチルアンモニウムフルオリド、TfO=無水トリフルオロメタンスルホン酸(トリフルオロメタンスルホン酸無水物としても知られている)、TFA=トリフルオロ酢酸、TFAA=無水トリフルオロ酢酸、THF=テトラヒドロフラン、TMSCN=トリメチルシリルシアニド。
【0109】
本発明の化合物調製に使用する合成手順が、スキーム1−12にまとめられている。スキーム中のいくつかの構造で示す変数「−X」は、Xが結合しているフェニル環の一つ又は二つの置換基を表し、置換基は構造式Iの範囲内で定義されるとおりである。下記のいくつかのスキームで使用される「リガンド」という用語は、化合物:
【0110】
【化19】

を表す。
【0111】
スキーム2に示されているとおり、出発物質の3−クロロ−6−メチル−1−ベンゾチオフェン−2−カルボニルクロリド(T.Higa and A.J.Krubsack、J.Org.Chem.、1976、41、3399−3403を参照)をメタノールで処理して、対応するメチルエステルを生成する。ベンジル臭素化に続くアジド置換により、アジド中間体を得る。3−(トリフルオロメチル)ペント−1−イン−3−オール(スキーム1で示す反応にしたがって調製)及びこのようにして形成されたベンジルアジドのヨウ化銅によって誘導された環化により、対応するトリアゾールを得る。スズキクロスカップリング反応を通じて、最終の芳香環を導入し、溶媒は100:1−1.5の比率での1,4−ジオキサン:水が好ましく、NaOHに対して安定な何れかの中間体が使用される場合、2N NaOHで反応を停止するのが好ましい。標準的条件を使用して、メチルエステルを鹸化することが可能で、同様に、標準的プロトコルを使用して様々なアルコール又はアミンと結合し、対応するエステル又はアミドを形成することができる。また、還流キノリン中で銅と処理することにより、中間体のカルボン酸も脱カルボキシル化することが可能である。
【0112】
スキーム3及び4に例示されているとおり、ベンゾチオフェンのメチルエステル置換基を多数の他の基へと修飾することが可能である。例えば、スキーム3で強調されているとおり、DIBALとの処理により、エステルを第一級アルコールに還元することが可能である。MnOの作用により、このアルコールを対応するアルデヒドに酸化できる。メチルリチウムなどの有機金属試薬との処理により第二級アルコールを生成し、同様に、MnOにより対応するケトンに酸化することが可能である。更に、スキーム4に例示されているように、上記のとおり、3−クロロベンゾチオフェン中間体のメチルエステルをDIBALで還元し、得られたアルコールを対応するアルデヒドに酸化することができる。まずヒドロキシルアミン、続いてCDIで処理することにより、このアルデヒドをニトリルに変換することが可能である。2−シアノ−3−クロロベンゾチオフェンと様々なボロン酸とのスズキクロスカップリングを標準的方法に従って達成できる。非置換又は置換されたフェニルボリン酸は市販されており、又はByrant,J.A.et al.,J.Org.Chem.1990、55、4622−4634などに記載されている文献の標準的手順に従って、対応する臭化物から調製できる。ニトリルをアジ化トリブチル錫で処理し、対応するテトラゾリル類縁体を提供することが可能である。
【0113】
スキーム5には、市販の4−ブロモ−2−フルオロベンズアルデヒドから開始するベンゾチオフェン環系の合成のための別の経路が示されている。ベンゾチオフェン環系の形成後、標準的なカルボニル化条件により、アリールブロミドを対応するメチルエステルへ変換する。酢酸中の臭素を使用するベンゾチオフェンの選択的臭素化により、2−ブロモベンゾチオフェンの類縁体を得る。スキーム5に示された標準的条件に従い、同様に、2−ブロモ置換基を導入することにより、メチルエステルをトリアゾール環系に変換する。
【0114】
スキーム6は、実行可能なベンゾチオフェンの多数の更なる変換に焦点を当てている。スキーム6aでは、対応する第三級アルコールを生成するために、過剰のメチルリチウムでのメチルエステルの処理を例示している。スキーム6b及び6cでは、メチルエステルの予め混合されたNH4Cl−AlCl3で処理、あるいは、対応するニトリルの酸化のいずれかにより、第一級アミド生成の二つのアプローチに焦点を当てている。スキーム6dに示されているとおり、熱いDMF中の、メチルスルフィン酸ナトリウム塩及びCuIで処理することにより、2−ブロモベンゾチオフェンをメチルスルホンに変換することができる。適切なスルフィン酸ナトリウム塩のカップリング対(アルキル−SO2Na)を使用することにより、追加のアルキルスルホン付加物を生成できる。臭素中間体を様々なボロン酸又は有機スタンナンと結合し、対応する2−アリール又はヘテロ環付加物を生成できる(スキーム11を参照)。また、まずBuLiでの処理によって2−リチオ種を生成し、この陰イオンを二酸化硫黄で反応停止させて、NCSで塩素化し、最後にアミンで処理することにより、臭化物をスルホンアミドに変換できる。スキーム6e及び6fでは、過酸化水素又はMCPBAのいずれかで各々処理することにより、ベンゾチオフェン環の硫黄原子を、対応するスルホキシド又はスルホンヘ酸化できることを示している。
【0115】
2−スルホンアミドベンゾチオフェンの合成が、スキーム7に例示されている。酸塩化物の加水分解に続く脱カルボキシル化により、2−ヒドロ−ベンゾチオフェンを得る。BuLiなどの強塩基の補助を得て、この中間体の2位を脱プロトン化し、生じた陰イオンを二酸化硫黄と反応させることが可能である。生じたスルフィン酸リチウム塩をNCSで処理してスルホニルクロリドを生成し、同様に、tBuNH2などのアミンと反応させ、対応するスルホンアミドを得る。3−クロロベンゾチオフェンのクロスカップリング及びトリアゾール環の導入は、上記のように実行する。ジクロロメタン中のTFAで処理することによって、tert−ブチル基を容易に除去し、対応する第一級スルホンアミドを提供することができる。
【0116】
スキーム8に示されているとおり、2−ホルミルベンゾチオフェンを(MeOEt)2NSF3となどのフッ素化剤と処理し、対応するジフルオリドを生成する。トリアゾール単位を導入するにあたり、この中間体の合成を前述どおりに行った。
【0117】
スキーム9には、2−オキサジアゾールベンゾチオフェン類縁体の調製が例示されている。標準的方法によって対応するカルボン酸から調製された酸塩化物を、処理し、N−ヒドロキシエタンイミドアミドと反応させ、次いで、生じた付加物をピリジン中で加熱し、対応するオキサジアゾール環系を生成する。前述のとおり、この中間体を更に合成し、トリアゾール単位を導入することができる。
【0118】
スキーム10に示されているとおり、メチル3−フェニル−1−ベンゾチオフェン−6−カルボキシラートなどのベンゾチオフェンの塩素化によって、対応する2−クロロ誘導体が得られる。前述のとおり、トリアゾール環系を導入するために、メチルエステルを合成することが可能である。
【0119】
スキーム12には、式Ibの5−LO阻害薬の合成が例示されている。標準的方法を使用して、メチル5−メチル−1H−インドール−2−カルボキシラートに、フェニル基をN−結合した。ベンジル臭素化に続くアジド置換により、対応するベンジルアジドを得る。CuIの存在下で、このアジドをアルキンと曝露することにより、トリアゾール環系が生成する。標準的条件下において、メチルエステルの鹸化により、カルボキサミド又は対応するニトリルに変換できるカルボン酸を与える。或いは、先のスキームにおける以下の上記手順によって、酸を、様々なエステル又はアミドに変換できる。
【0120】
スキーム13には、最終生成物のキラル合成のために好ましい、Rが−COOC1−6アルキル、−COOC3−6シクロアルキル又は−CONRである式Iaの別の化合物合成が例示されている。T.Higa and A.J.Krubsack、J.Org.Chem、1976、41、3399−3403の手順に従い、出発物質の3−クロロ−6−メチル−1−ベンゾチオフェン−2−カルボニルクロリド2を生成する。実施例1の段階1に記載されている手順を使用し、不活性(例えば、窒素)雰囲気下において、0℃で、DMAPを用いて、例えばメタノールなどのアルキルアルコールと化合物2を3にエステル化することが可能である。同様の方法で、0℃で不活性(例えば、窒素)雰囲気下において、CHCl中の適切なアミン(4当量、例えばNH1−6アルキル)の混合物をカルボニルクロリド2(1当量)へ添加し、続いて水で反応停止させ、抽出及び溶媒蒸発を行うことにより、3のアミド型も調製できる。スキーム2に記載及び実施例1の段階6の手順と同様に、スズキクロスカップリング反応を通じて芳香族環を導入し、4を生成する。4を調製する際、100:1−1.5の比率で1,4−ジオキサン:水を溶媒として使用するのが好ましい。好ましくは、2N NaOHの添加により反応を停止し、これは過剰のボロン酸を除去する役割を果たす。
【0121】
スキーム2並びに実施例1の段階2及び3に記載されている手順と同様の手順を使用し、4のベンジル臭素化に続くアジド置換により、アジド中間体6を生成する。四塩化炭素又はベンゼンなどの溶媒を使用し、NBSを約1.1当量用いて、並びに一回又は二回分に分けたベンゾイルペルオキシド約0.05ないし0.3当量から、4(1当量)のベンジル臭素化を実行できる。アジ化ナトリウムを約1から2当量使用し、アジド置換を実行することができる。
【0122】
不活性(例えば、窒素)雰囲気下において、THFなどの溶媒中で、6(1当量)及び9(1.1g)の混合物を、室温にて、DIPEA(5当量)及びヨウ化銅(I)(1.5当量)で処理し、続いて生成物の単離を行うことにより、結合された生成物10を調製することができる。溶媒の除去、EtOAc中での再溶解及びシリカゲルパッドを通したろ過などの標準的方法を用いて生成物を単離する。下記の多数の実施例に記載どおり、COMBI−FLASH(R)システム(Teledyne Iscoからの自動フラッシュクロマトグラフィーシステム)などのフラッシュクロマトグラフィーを使用し、生成物を更に精製できる。
【0123】
10を水酸化ナトリウムなどの塩基で処理することにより、ニトロベンゾイル基を除去して11を取得する。例えば、室温にて、1:1THF/MeOH中の10(1当量)の溶液へ、水酸化ナトリウム(2M、1.7当量)を滴下し、続いて反応が完了するまで攪拌し、次いでEtOAc及び水を添加することにより反応を停止する。EtOAcで抽出し、混合した有機層を水、飽和NaHCO溶液、次いで塩水で洗浄して、NaSOなどの乾燥剤上で乾燥させ、続いて得られた物質を濃縮するなどの標準的方法を使用し、生成物を単離する。COMBI−FLASH(R)システムなどのフラッシュクロマトグラフィーを使用し、生成物を更に精製することができる。上記のスキームに示されているとおり、−C(O)R1a=アルキルエステルである化合物11に対し、アルキルエステル基に対して更なる修飾を実行できる。−C(O)R1aが−NH−t−ブチルなどのアルキル置換アミドである場合、追加の溶媒を加えた又は加えないTFAでの処理により、アルキル基を容易に除去し、対応する第一級アミンを提供することができる。
【0124】
スキーム14には、ラセミ体の1−エチル−1−(トリフルオロメチル)プロプ−2−イン−1−イル4−ニトロベンゾエート8を生成し、クロマトグラフィーで分離して9を取得することができる方法が例示されている。スキーム13に記載されているとおり、キラル中間体9を、本発明の化合物のキラル合成に対して使用することができる。−78℃で、不活性(例えば、窒素)雰囲気下などの標準的条件を使用して、THF中のエチニル(トリメチル)シラン(1.2当量)の攪拌中の混合物へn−ブチルリチウム(1当量)を添加し、続いて、−78℃で約1時間、その後室温で約1時間攪拌することにより、化合物8を調製した。次いで、1,1,1−トリフルオロブタン−2−オン(1当量)を−78℃で滴下し、生じた混合物を室温で約2時間攪拌して、次いで−78℃に再度冷却した後、4−ニトロベンゾイルクロリド(1.3当量)を添加した。飽和NaHCO溶液で反応停止させ、続いて有機層を分離し、EtOAcで水相を抽出して、合わせた有機層を塩水で洗浄し、その後NaSO上で乾燥させるなどの標準的処理を行った。ろ過後、THF(1.2当量)中のテトラブチルアンモニウムフルオリド1Mを滴下し、得られた混合物を室温で2時間攪拌して、塩水の添加により反応を停止させた。有機層を分離し、水相をEtOAcで抽出した。有機層を混合し、塩水で洗浄して、NaSO上で乾燥させた。蒸発後、トルエンを用いたCOMBI−FLASH(R)クロマトグラフィーシステムにより、粗製物を精製し、化合物8を取得した。
【0125】
流速70mL/分、320nMにて、10%i−PrOH/ヘキサンで溶出するCHIRALCEL OD(R)HPLCカラム5cm×50cm(Daicel Chemical Industries,Ltd.から)を使用し、8のキラル分離を実行して、カラムへの適用に対し、化合物8を純粋な20%i−PrOH/CHCl3(「原溶液」)中に溶解した。好ましくは、HPLC中への各注入直前に、1:4の原溶液:ヘキサンの割合で、原溶液をヘキサンとゆっくり混合する。カラムからの第一の鏡像異性体(画分A)に対する保持時間は約10から12分であり、所望の鏡像異性体9(画分B)に対する保持時間は約18から20分である。
【0126】
前記構造中でトリアゾリル環に結合された1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル−部分を含有する式Iの化合物については、1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル−の(S)−立体異性体が好ましい。
【0127】
【化20】

【0128】
【化21】

【0129】
【化22】

【0130】
【化23】

【0131】
【化24】

【0132】
【化25】

【0133】
【化26】

【0134】
【化27】

【0135】
【化28】

【0136】
【化29】

【0137】
【化30】

【0138】
【化31】

【0139】
【化32】

【0140】
【化33】

【0141】
【化34】

【実施例1】
【0142】
メチル6−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−3−フェニル−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキシラート
【0143】
【化35】

【0144】
段階1:メチル3−クロロ−6−メチル−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキシラート
【0145】
【化36】

【0146】
窒素雰囲気下において0℃で攪拌したCHCl(50mL、0.652M)中のメタノール(1.582mL、39.1mmol、1.2当量)及びDMAP(4.78g、39.1mmol、1.2当量)の混合物へ、3−クロロ−6−メチル−1−ベンゾチオフェン−2−カルボニルクロリド(8g、32.6mmol)を少量ずつ添加した。生じた混合物を室温で3時間攪拌した。シリカゲルパッドに通すことにより、反応停止させ、20%EtOAc/ヘキサンで洗浄した。溶媒を蒸発により除去し、このようにして得られた粗製物をCOMBI−FLASH(R)により精製し(純粋なヘキサンで4分−15%EtOAc/ヘキサンで20分−20%EtOAc/ヘキサンで20分)、表題化合物を得た。H NMRδ(ppm)(アセトン):7.88(1H,d),7.84(1H,s),7.45(1H,d),3.95(3H,s),2.53(3H,s)。
【0147】
段階2:メチル6−(ブロモメチル)−3−クロロ−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキシラート
【0148】
【化37】

【0149】
窒素雰囲気下において還流で攪拌した四塩化炭素(80mL、0.171M)中のメチル3−クロロ−6−メチル−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキシラート(3.3g、13.71mmol)の混合物へ、予め混合されたNBS99%(2.68g、15.08mmol、1.1当量)及びベンゾイルペルオキシド(166mg、0.686mmol、0.05当量)を添加した。生じた混合物を還流で1時間攪拌した。溶媒を蒸発により除去し、このようにして取得した粗製物をEtOAc中に再溶解し、水を添加することによって混合物を処理した。有機層を分離し、水相をEtOAcで抽出した。有機層を混合し、塩水で洗浄して、NaSO上で乾燥させた。溶媒を蒸発により除去し、粗製の表題化合物を得た。
【0150】
段階3:メチル6−(アジドメチル)−3−クロロ−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキシラート
【0151】
【化38】

【0152】
窒素雰囲気下において室温で攪拌したDMF(150mL、0.116M)中のメチル6−(ブロモメチル)−3−クロロ−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキシラート(4.2g、17.45mmol)の混合物へ、アジ化ナトリウム(854mg、13.14mmol、1当量)を添加した。生じた混合物を室温で1時間攪拌した。水の添加により反応停止させた。有機層を分離し、水相をEtOAcで抽出した。有機層を混合し、塩水で洗浄して、NaSO上で乾燥させた。溶媒を蒸発により除去し、このようにして取得した粗製物をCOMBI−FLASH(R)により精製し(純粋なヘキサンで4分−20%EtOAc/ヘキサンで20分−35%EtOAc/ヘキサンで20分)、表題化合物を得た。H NMRδ(ppm)(アセトン):8.12(1H,s),8.05(1H,d,J=8.3Hz),7.66(1H,d,J=8.4Hz),4.71(2H,s),3.98(3H,s)。
【0153】
段階4:3−(トリフルオロメチル)ペント−1−イン−3−オール
【0154】
【化39】

【0155】
窒素雰囲気下において−78℃で攪拌したTHF(500mL、0.396M)中のトリメチルシリルアセチレン(19.4g、198mmol、1当量)の混合物へ、n−ブチルリチウム1.6Mヘキサン(124mL、198mmol、1当量)を添加した。生じた混合物を−78℃で1時間攪拌した。次いで、−78℃にて、1,1,1−トリフルオロ−2−ブタノン(25.0g、198mmol、1当量)を滴下し、生じた混合物を室温で2時間攪拌した。0℃にて飽和NaHCO3溶液の添加により反応停止させた。有機層を分離し、水相をエーテル/ヘキサン(1:1)で抽出した。有機層を混合し、塩水で洗浄して、NaSO上で乾燥させた。溶媒を慎重な蒸留により除去した。0℃で窒素雰囲気下において、このようにして取得した粗製物をTHF(200mL、1M)中に再溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオリド1M THF(238mL、238mmol、1.2当量)を滴下した。生じた混合物を室温で2時間攪拌した。塩水の添加により反応停止させた。有機層を分離し、水相をヘキサンで抽出した。有機層を混合し、塩水で洗浄して、NaSO上で乾燥させた。溶媒を慎重な蒸留により除去し、残留物を蒸留により精製して(100〜140℃で画分を収集)、表題化合物を得た。H NMRδ(ppm)(アセトン):5.86(1H,s),3.27(1H,s),1.91−1.81(2H,m),1.15(3H,t)。
【0156】
段階5:メチル3−クロロ−6−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキシラート
【0157】
【化40】

【0158】
窒素雰囲気下において室温で攪拌したTHF(80mL、0.151M)中のメチル6−(アジドメチル)−3−クロロ−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキシラート(3.4g、12.07mmol)及び3−(トリフルオロメチル)ペント−1−イン−3−オール(1.84g、12.07mmol、1当量)の混合物へ、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(10.53mL、60.3mmol、5当量)及びヨウ化銅(I)(2.299g、12.07mmol、1当量)を添加した。生じた混合物を室温で一晩攪拌した。蒸発後、このようにして取得した粗製物をEtOAc中に再溶解し、シリカゲル層を通してろ過した。溶媒を蒸発により除去し、このようにして取得した粗製物をCOMBI−FLASH(R)により精製し(純粋なヘキサンで4分−45%EtOAc/ヘキサンで20分−70%EtOAc/ヘキサンで20分)、表題化合物を得た。H NMRδ(ppm)(アセトン):8.18(1H,s),8.08(1H,s),8.03(1H,d),7.62(1H,d),5.90(2H,s),5.45(1H,s),3.97(3H,s),2.37−2.30(1H,m),2.09(1H,m),0.84(3H,t)。
【0159】
段階6:メチル6−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−3−フェニル−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキシラート
【0160】
窒素雰囲気下において、メチル3−クロロ−6−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキシラート(900mg、2.074mmol)、フェニルボロン酸(0.758g、6.22mmol、3当量)、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチル−アミノ)ビフェニル(73.6mg、0.187mmol、0.09当量)、酢酸パラジウム(II)(27.8mg、0.124mmol、0.06当量)及びフッ化セシウム(1.89g、12.44mmol、6当量)の混合物へ、1,4−ジオキサン−水(101mL、100:1、0.021M)を添加した。生じた混合物を室温で1日間攪拌した。水を添加することにより反応を停止した。有機層を分離し、水相をEtOAcで抽出した。有機層を混合し、塩水で洗浄して、NaSO上で乾燥させた。溶媒を蒸発により除去し、このようにして取得した粗製物をCOMBI−FLASH(R)により精製し(純粋なヘキサンで4分−50%EtOAc/ヘキサンで20分−75%EtOAc/ヘキサンで20分)、表題化合物を得た。H NMR(500MHz,アセトン):δ8.16(s,1H),8.09(s,1H),7.55−7.49(m,3H),7.38(dd,1H),5.87(s,2H),5.45(s,1H),3.75(s,3H),2.36−2.29(m,1H),2.08(m,1H),0.83(t,3H)。
【実施例2】
【0161】
1,1,1−トリフルオロ−2−(1−{[2−(ヒドロキシメチル)−3−フェニル−1−ベンゾチエン−6−イル]メチル}−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)ブタン−2−オール
【0162】
【化41】

【0163】
窒素雰囲気下において−78℃で攪拌したTHF(5mL、0.076M)中のメチル6−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−3−フェニル−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキシラート(180mg、0.379mmol)の混合物へ、DIBAL−H(1.011mL、1.516mmol、4当量)を滴下した。生じた混合物を−78℃で10分間及び室温で1時間攪拌した。シリカゲル及び水を添加し、シリカゲルのパッドを通してろ過することにより反応停止させた。溶媒を蒸発により除去し、このようにして取得した粗製物をトルエン及びヘキサンで粉砕することにより精製し、表題化合物を得た。H NMR(500MHz,アセトン):δ8.12(s,1H),8.02(s,1H),7.58−7.54(m,3H),7.48(m,3H),7.40(dd,1H),5.82(s,2H),5.43(s,1H),4.85(d,2H),4.75(t,1H),2.36−2.29(m,1H),2.08(m,1H),0.83(t,3H)。
【実施例3】
【0164】
6−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−3−フェニル−1−ベンゾチオフェン−2−カルバルデヒド
【0165】
【化42】

【0166】
窒素雰囲気下において室温で攪拌したCHCl(50mL、0.0067M)中の1,1,1−トリフルオロ−2−(1−{[2−(ヒドロキシメチル)−3−フェニル−1−ベンゾチエン−6−イル]メチル}−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)ブタン−2−オール(150mg、0.335mmol)の混合物へ、酸化マンガン(IV)(437mg、5.03mmol、15当量)を添加した。生じた混合物を室温で2時間攪拌した。シリカゲルパッドに通すことにより反応停止させ、50%EtOAc/ヘキサンで洗浄した。溶媒を蒸発により除去し、このようにして取得した粗製物をCOMBI−FLASH(R)により精製し(純粋なヘキサンで4分−50%EtOAc/ヘキサンで20分−75%EtOAc/ヘキサンで20分)、表題化合物を得た(137mg、収率=92%)。H NMR(500MHz,アセトン):δ9.95(s,1H)。8.18(s,1H),8.15(s,1H),7.84(d,1H),7.69−7.61(m,5H),7.52(d,1H),5.89(s,2H),5.46(s,1H),2.34(m,1H),2.08(s,1H),0.84(t,3H)。
【実施例4】
【0167】
1,1,1−トリフルオロ−2−(1−{[2−(1−ヒドロキシエチル)−3−フェニル−1−ベンゾチエン−6−イル]メチル}−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)ブタン−2−オール
【0168】
【化43】

【0169】
窒素雰囲気下において−78℃で攪拌したTHF(5mL、0.062M)中の1,1,1−トリフルオロ−2−(1−{[2−(ヒドロキシメチル)−3−フェニル−1−ベンゾチエン−6−イル]メチル}−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)ブタン−2−オール(137mg、0.308mmol)の混合物へ、メチルリチウム(660μL、0.924mmol、3当量)を添加した。生じた混合物を−78℃で15分間攪拌した。水の添加により反応停止させた。有機層を分離し、水相をEtOAcで抽出した。有機層を混合し、塩水で洗浄して、NaSO上で乾燥させた。溶媒を蒸発により除去し、こうした取得した粗製物をCOMBI−FLASH(R)により精製し(純粋なヘキサンで4分−%EtOAc/ヘキサンで20分−%EtOAc/ヘキサンで20分)、表題化合物を得た。H NMR(500MHz,アセトン):δ8.10(s,1H),8.02(s,1H),7.56(t,2H),7.50−7.44(m,5H),7.38(dd,1H),5.81(s,2H),5.44(s,1H),5.21−5.17(m,1H),4.77(d,1H),2.32(m,1H),2.09(m,1H),1.47(d,3H),0.83(t,3H)。
【実施例5】
【0170】
1−[6−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−3−フェニル−1−ベンゾチエン−2−イル]エタノン
【0171】
【化44】

【0172】
窒素雰囲気下において室温で攪拌したCHCl(20mL、0.0056M)中の1,1,1−トリフルオロ−2−(1−{[2−(1−ヒドロキシエチル)−3−フェニル−1−ベンゾチエン−6−イル]メチル}−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)ブタン−2−オール(52mg、0.113mmol)の混合物へ、酸化マンガン(IV)(147mg、1.695mmol、15当量)を添加した。生じた混合物を室温で3時間攪拌した。シリカゲルパッドに通すことにより反応停止させ、50%EtOAc/ヘキサンで洗浄した。溶媒を蒸発により除去し、このようにして取得した粗製物をCOMBI−FLASH(R)により精製し(純粋なヘキサンで4分−40%EtOAc/ヘキサンで20分−60%EtOAc/ヘキサンで20分)、表題化合物を得た。H NMR(500MHz,アセトン):δ8.16(s,1H),8.06(s,1H),7.64−7.57(m,3H),7.52(d,2H),7.42(s,2H),5.86(s,2H),5.46(s,1H),2.36−2.29(m,1H),2.10(m,4H),0.83(t,3H)。
【実施例6】
【0173】
6−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−3−フェニル−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド
【0174】
【化45】

【0175】
窒素雰囲気下において0℃で攪拌したベンゼン(10mL、0.042M)中の塩化アンモニウム(225mg、4.21mmol、10当量)の混合物へ、トリメチルアルミニウム2Mヘプタン(2.105mL、4.21mmol、10当量)を添加した。生じた混合物を室温で1時間攪拌した。次いで、メチル6−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−3−フェニル−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキシラート(200mg、0.421mmol)を室温で添加し、生じた混合物を60℃で2日間攪拌した。シリカゲル及び水の添加により反応停止させ、次いでシリカゲル層を通してろ過し、80%EtOAc/ヘキサンで洗浄した。溶媒を蒸発により除去し、このようにして取得した粗製物をCOMBI−FLASH(R)により精製し(純粋なヘキサンで4分−40%EtOAc/ヘキサンで20分−60%EtOAc/ヘキサンで20分)、表題化合物を得た。H NMR(500MHz,アセトン):δ8.15(s,1H),8.08(s,1H),7.66−7.58(m,3H),7.54(d,2H),7.43(m,2H),6.83(br s,1H),5.89(br s,1H),5.85(s,2H),5.44(s,1H),2.34−2.30(m,1H),2.08(m,1H),0.83(t,3H)。
【実施例7】
【0176】
6−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−N−メチル−3−フェニル−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド
【0177】
【化46】

【0178】
窒素雰囲気下において室温で攪拌したTHF(5mL、0.042M)中のメチルアミン/THF(1.05mL、2.1mmol、10当量)の混合物へ、トリメチルアルミニウム2Mヘプタン(1.05mL、2.1mmol、10当量)を添加した。生じた混合物を室温で15分間攪拌した。次いで、メチル6−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−3−フェニル−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキシラート(100mg、0.21mmol)を室温で添加し、生じた混合物を60℃で1日攪拌した。室温でシリカゲルを添加し、続いて水4滴を添加することにより反応停止させた。生じた混合物を、シリカゲルパッドを通してろ過し、70%EtOAc/ヘキサンで洗浄した。溶媒を蒸発により除去し、このようにして取得した粗製物をCOMBI−FLASH(R)により精製し(純粋なヘキサンで4分−60%EtOAc/ヘキサンで15分−75%EtOAc/ヘキサンで15分)、表題化合物を得た。H NMR(500MHz,アセトン):δ8.14(s,1H),8.07(s,1H),7.62−7.48(m,6H),7.42(d,1H),6.43(s,1H),5.84(s,2H),5.45(s,1H),2.71(d,3H),2.37−2.29(m,1H),2.09(m,1H),0.83(t,3H)。
【実施例8】
【0179】
1,1,1−トリフルオロ−2−(1−{[2−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−3−フェニル−1−ベンゾチエン−6−イル]メチル}−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)ブタン−2−オール
【0180】
【化47】

【0181】
窒素雰囲気下において−78℃で攪拌したTHF(5mL、0.028M)中のメチル6−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−3−フェニル−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキシラート(66mg、0.139mmol)の混合物へ、メチルリチウム(261μL、0.417mmol、3当量)を滴下した。生じた混合物を−78℃で10分間攪拌した。水の添加により反応停止させた。有機層を分離し、水相をEtOAcで抽出した。有機層を混合し、塩水で洗浄して、乾燥させた。溶媒を蒸発により除去し、このようにして取得した粗製物をCOMBI−FLASH(R)により精製し(純粋なヘキサンで4分−50%EtOAc/ヘキサンで20分−75%EtOAc/ヘキサンで20分)、表題化合物を得た。H NMR(500MHz,アセトン):δ8.08(s,1H),7.96(s,1H),7.55−7.49(m,3H),7.34(d,2H),7.30(d,1H),7.02(d,1H),5.78(s,2H),5.42(s,1H),4.87(s,1H),2.31(m,1H),2.11(m,1H),1.45(s,6H),0.82(t,3H)。
【実施例9】
【0182】
1メチル3−(4−フルオロフェニル)−6−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキシラート
【0183】
【化48】

【0184】
窒素雰囲気下において、メチル3−クロロ−6−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキシラート(900mg、2.074mmol)、(4−フルオロフェニル)ボロン酸(0.87g、6.22mmol、3当量)(2902mg、20.74mmol、10当量)、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル(73.6mg、0.187mmol、0.09当量)、酢酸パラジウム(II)(27.8mg、0.124mmol、0.06当量)及びフッ化セシウム(1.89g、12.44mmol、6当量)の混合物へ、1,4−ジオキサン−水(101mL、100:1、0.021M)を添加した。生じた混合物を室温で1日攪拌した。水の添加により反応停止させた。有機層を分離し、水相をEtOAcで抽出した。有機層を混合し、塩水で洗浄して、NaSO上で乾燥させた。溶媒を蒸発により除去し、このようにして取得した粗製物をCOMBI−FLASH(R)により精製し(純粋なヘキサンで4分−50%EtOAc/ヘキサンで20分−75%EtOAc/ヘキサンで20分)、表題化合物を得た。H NMR(500MHz,アセトン):δ8.13(s,1H),8.07(s,1H),7.52−7.42(m,3H),7.28−7.24(m,3H),5.87(s,2H),5.46(s,1H),3.77(s,3H),2.37−2.30(m,1H),2.09(m,1H),0.83(t,3H)。
【実施例10】
【0185】
3−(3−フルオロフェニル)−6−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボニトリル
【0186】
【化49】

【0187】
段階1:2−(1−{[3−クロロ−2−(ヒドロキシメチル)−1−ベンゾチエン−6−イル]メチル}−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1,1,1−トリフルオロブタン−2−オール
【0188】
【化50】

【0189】
窒素雰囲気下において−78℃で攪拌したTHF(100mL、0.055M)中のメチル3−クロロ−6−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキシラート(2.4g、5.53mmol)の混合物へ、DIBAL−H(11.06mL、16.59mmol、3当量)を添加した。生じた混合物を室温で1時間攪拌した。シリカゲル及び水の添加により反応停止させ、次いでシリカゲル層を通してろ過し、70%EtOAc/ヘキサンで洗浄した。溶媒を蒸発により除去し、このようにして取得した粗製物をCOMBI−FLASH(R)により精製し(純粋なヘキサンで4分−50%EtOAc/ヘキサンで20分−75%EtOAc/ヘキサンで20分)、表題化合物を得た。H NMR(500MHz,アセトン):δ8.12(s,1H),8.01(s,1H),7.80(d,1H),7.53(d,1H),5.84(s,2H),5.67(d,1H),5.45(s,1H),4.96(d,2H),2.41−2.29(m,1H),2.10(m,1H),0.86(t,3H)。
【0190】
段階2:3−クロロ−6−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボニトリル
【0191】
【化51】

【0192】
窒素雰囲気下において室温で攪拌したCHCl(50mL、0.000108M)中の2−(1−{[3−クロロ−2−(ヒドロキシメチル)−1−ベンゾチエン−6−イル]メチル}−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1,1,1−トリフルオロブタン−2−オール(2.2g、5.42mmol)の混合物へ、酸化マンガン(IV)(7.04g、81mmol、15当量)を添加した。生じた混合物を室温で3時間攪拌した。シリカゲルパッドを通すことにより反応停止させ、50%EtOAc/ヘキサンで洗浄した。蒸発後、このようにして取得した粗製物をEtOH−THF(65mL、3.3:1、0.07M)中に再溶解し、ヒドロキシルアミンヒドロクロリド(1151mg、16.56mmol、3当量)及び酢酸ナトリウム(1.334g、16.26mmol、3当量)を添加した。生じた混合物を室温で3時間攪拌し、飽和NaHCO溶液の添加により反応停止させた。有機層を分離し、水相をEtOAcで抽出した。有機層を混合し、塩水で洗浄して、NaSO上で乾燥させた。蒸発後、室温で窒素雰囲気下において、このようにして取得した粗製物をCHCl(50mL)中に再溶解し、CDI(1,1’−カルボニルジイミダゾール)(1.054g、6.5mmol、1.2当量)を添加した。生じた混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を蒸発により除去し、このようにして取得した粗製物をCOMBI−FLASH(R)により精製し(純粋なヘキサンで4分−50%EtOAc/ヘキサンで20分−75%EtOAc/ヘキサンで20分)、所望の表題化合物を得た。H NMR(500MHz,アセトン):δ8.20(s,1H),8.19(s,1H),8.05(d,1H),7.70(t,1H),5.93(s,2H),5.46(s,1H),2.38−2.30(m,1H),2.09(d,1H),0.83(t,3H)。
【0193】
段階3:3−(3−フルオロフェニル)−6−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボニトリル
【0194】
窒素雰囲気下において、3−クロロ−6−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボニトリル(400mg、0.998mmol)、(3−フルオロフェニル)ボロン酸(1396mg、9.98mmol、10当量)、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチル−アミノ)ビフェニル(83mg、0.21mmol、0.21当量)、酢酸パラジウム(II)(31.4mg、0.14mmol、0.14当量)及びフッ化セシウム(4542mg、29.9mmol、30当量)の混合物へ、1,4−ジオキサン(25mL、39.9M)を添加した。生じた混合物を室温で1日攪拌した。水の添加により反応停止させた。有機層を分離し、水相をEtOAcで抽出した。有機層を混合し、塩水で洗浄して、NaSO上で乾燥させた。。溶媒を蒸発により除去し、このようにして取得した粗製物をCOMBI−FLASH(R)により精製し(純粋なヘキサンで4分−50%EtOAc/ヘキサンで20分−75%EtOAc/ヘキサンで20分)、表題化合物を得た。H NMR(500MHz,アセトン):δ8.22(s,1H),8.19(s,1H),7.93(d,1H),7.73(d,1H),7.62−7.52(m,2H),7.44−7.40(m,2H),5.92(s,2H),5.46(s,1H),2.37−2.30(m,1H),2.08(m,1H),0.84(t,3H)。
【実施例11】
【0195】
3−(4−フルオロフェニル)−6−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボニトリル
【0196】
【化52】

【0197】
室温で窒素雰囲気下において、3−クロロ−6−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボニトリル(400mg、0.998mmol)、(3−フルオロフェニル)ボロン酸(0.4g、0.998mmol)、(4−フルオロフェニル)ボロン酸(418mg、2.99mmol、3当量)、POPd(C1638ClPd、50.2mg、0.1mmol、0.1当量)及び炭酸セシウム(1.952g、5.99mmol、6当量)の混合物へ、1,2−ジメトキシエタン(16mL、0.062M)を添加した。生じた混合物を4時間還流で攪拌した。反応物をEtOAcで希釈し、シリカゲル層を通してろ過した。溶媒を蒸発により除去し、このようにして取得した粗製物をCOMBI−FLASH(R)により精製し(純粋なヘキサンで4分−50%EtOAc/ヘキサンで20分−75%EtOAc/ヘキサンで20分)、表題化合物を得た。H NMR(500MHz,アセトン):δ8.20(s,1H),8.19(s,1H),7.89(d,1H),7.79−7.77(m,2H),7.60(d,1H),7.44(dd,2H),5.91(s,2H),5.48(s,1H),2.37−2.30(m,1H),2.08−2.06(m,1H),0.84(t,3H)。
【実施例12】
【0198】
3−(3−フルオロフェニル)−6−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボニトリル
【0199】
【化53】

【0200】
窒素雰囲気下において室温で攪拌した水−アセトン(10mL、1:1.5、0.054M)中の3−(3−フルオロフェニル)−6−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボニトリル(250mg、0.543mmol)の混合物へ、過炭酸ナトリウム(256mg、1.629mmol、3当量)を添加した。生じた混合物を還流で一晩攪拌した。水の添加により反応停止させ、EtOAcで抽出した。有機層を混合し、塩水で洗浄して、NaSO上で乾燥させた。溶媒を蒸発により除去し、このようにして取得した粗製物をCOMBI−FLASH(R)により精製し(純粋なヘキサンで4分−50%EtOAc/ヘキサンで20分−75%EtOAc/ヘキサンで20分)、表題化合物を得た。H NMR(500MHz,アセトン):δ8.15(s,1H),8.08(s,1H),7.68−7.64(m,1H),7.51−7.44(m,2H),7.38−7.32(m,3H),6.89(s,1H),6.19(s,1H),5.85(s,2H),5.46(s,1H),2.36−2.29(m,1H),2.09(d,12H),0.83(t,3H)。
【実施例13】
【0201】
2−(1−{[2−ブロモ−3−(4−フルオロフェニル)−1−ベンゾチエン−6−イル]メチル}−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1,1,1−トリフルオロブタン−2−オール
【0202】
【化54】

【0203】
段階1:6−ブロモ−3−(4−フルオロフェニル)−1−ベンゾチオフェン
【0204】
【化55】

【0205】
窒素雰囲気下において0℃で攪拌したTHF(100mL、0.493M)中の4−ブロモ−2−フルオベンズアルデヒド(10g、49.3mmol)の混合物へ、(4−フルオロフェニル)マグネシウムブロミド(54.2mL、54.2mmol、1.1当量)を添加した。生じた混合物を室温で1時間攪拌した。水(3ml)の添加により反応停止させた。生じた混合物をシリカゲル層を通してろ過した。蒸発後、室温で窒素雰囲気下において、このようにして取得した粗製物をCHCl(100mL、0.493M)中に再溶解し、酸化マンガン(IV)(64.2g、739mmol、15当量)を添加した。生じた混合物を室温で週末かけて攪拌した。シリカゲルパッドを通すことにより反応停止させ、20%EtOAc/ヘキサンで洗浄した。蒸発後、このようにして取得した粗製物をTHF(200mL、0.239M)中に再溶解し、メルカプト酢酸メチル(4.7mL、52.6mmol、1.1当量)を添加した。生じた混合物を炭酸セシウム(31.3g、96mmol、2当量)で還流にて一晩攪拌した。シリカゲルパッドを通すことにより反応停止させ、50%EtOAc/ヘキサンで洗浄した。蒸発後、このようにして取得した粗製物を溶媒混合物(THF200mL+HO200mL)中に再溶解した。室温にて、生じた溶液へ、水酸化ナトリウム(120mL、239mmol、5当量)を添加した。生じた混合物を還流で2時間攪拌した。10%HClの添加により反応停止させた。有機層を分離し、水相をEtOAcで抽出した。有機層を混合し、塩水で洗浄して、NaSO上で乾燥させた。蒸発後、このようにして取得した粗製物をキノリン100mL中に再溶解し、銅(1.52g、23.9mmol、0.5当量)と160℃で一晩攪拌した。1N HClの添加により反応停止させ、EtOAcで抽出した。有機層を混合し、塩水で洗浄して、NaSO上で乾燥させた。蒸発後、このようにして取得した粗製物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し(純粋なヘキサン、シリカゲル)、表題化合物を得た。H NMR(500MHz,アセトン):δ8.29(s,1H),7.83(d,1H),7.74(s,1H),7.70−7.68(m,2H),7.64−7.60(d,1H),7.33(t,2H)。
【0206】
段階2:メチル3−(4−フルオロフェニル)−1−ベンゾチオフェン−6−カルボキシラート
【0207】
【化56】

【0208】
COの雰囲気下において(バルーン)室温で攪拌したメタノール−DMSO(518mL、1:2、0.054M)中の6−ブロモ−3−(4−フルオロフェニル)−1−ベンゾチオフェン(8.6g、28mmol)及びトリエチルアミン(7.87mL、56mmol、2当量)の混合物へ、(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)−ジクロロパラジウム(II)・CHCl(2287mg、2.8mmol、0.1当量)を添加した。生じた混合物を65℃で一晩攪拌し、室温まで冷却した。次いで、水を添加し、生じた混合物を50%EtOAc/THFで抽出した。混合した有機層を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、蒸発乾固した。このようにして取得した粗製物をCOMBI−FLASH(R)により精製し(純粋なヘキサンで4分−15%EtOAc/ヘキサンで20分−30%EtOAc/ヘキサンで20分)、表題化合物を得た。H NMR(500MHz,アセトン):δ8.72(s,1H),8.08(d,1H),8.00(d,1H),7.98(s,1H),7.73−7.71(m,2H),7.34(t,2H),3.96(s,3H)。
【0209】
段階3:メチル2−ブロモ−3−(4−フルオロフェニル)−1−ベンゾチオフェン−6−カルボキシラート
【0210】
【化57】

【0211】
窒素雰囲気下において室温で攪拌した酢酸(61.2mL、0.428M)中のメチル3−(4−フルオロフェニル)−1−ベンゾチオフェン−6−カルボキシラート(7.5g、26.2mmol)の混合物へ、臭素/CHCl(1M、52.4mL、52.4mmol、2当量)を添加した。生じた混合物を室温で3時間攪拌した。水の添加により反応停止させ、EtOAcで抽出した。有機層を混合し、NaSO溶液及び飽和NaHCO溶液で洗浄して、NaSO上で乾燥させた。蒸発後、このようにして取得した粗製物をH NMRにより表題化合物であると決定した。H NMR(500MHz,アセトン):δ8.63(s,1H),7.99(d,1H),7.61(d,1H),7.58−7.56(m,2H),7.39−7.35(t,2H),3.92(s,3H)。
【0212】
段階4:2−(1−{[2−ブロモ−3−(4−フルオロフェニル)−1−ベンゾチエン−6−イル]メチル}−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1,1,1−トリフルオロブタン−2−オール
【0213】
窒素雰囲気下において−78℃で攪拌したTHF(350mL、0.075M)中のメチル2−ブロモ−3−(4−フルオロフェニル)−1−ベンゾチオフェン−6−カルボキシラート(9.57g、26.2mmol)の混合物へ、DIBAL−H(52.7mL、79mmol、3当量)を添加した。生じた混合物を−78℃で1時間攪拌した。シリカゲル及び水の添加により反応停止させ、シリカゲルパッドに通し、30%EtOAc/ヘキサンで洗浄した。溶媒を蒸発により除去し、このようにして取得した粗製物を次の段階で直接使用した。窒素雰囲気下において−30℃で攪拌したCHCl(50mL、0.095M)中のこのようにして取得したアルコール(1.6g、4.74mmol)及びトリエチルアミン(3.99mL、28.4mmol、6当量)の混合物へ、メタンスルホニルクロリド(1.108mL、14.22mmol、3当量)を添加した。生じた混合物を−30℃で1時間攪拌した。飽和NaHCO溶液の添加により反応停止させた。有機層を分離し、水相をEtOAcで抽出した。有機層を混合し、塩水で洗浄して、NaSO上で乾燥させた。溶媒を蒸発により除去し、室温で窒素雰囲気下において、このようにして取得した粗製物をDMF(25mL)中に再溶解し、アジ化ナトリウム(3.08g、47.4mmol、10当量)を添加した。生じた混合物を室温で3時間攪拌した。水の添加により反応停止させ、EtOAcで抽出した。有機層を混合し、塩水で洗浄して、NaSO上で乾燥させた。溶媒を蒸発により除去し、このようにして取得した粗製物を次の段階で直接使用した。窒素雰囲気下において室温で攪拌したTHF(29.3mL、0.151M)中の取得粗製物(1.6g、4.42mmol)及び3−(トリフルオロメチル)ペント−1−イン−3−オール(806mg、5.3mmol、1.2当量)の混合物へ、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(3.86mL、22.1mmol、5当量)及びヨウ化銅(I)(842mg、4.42mmol、1当量)を添加した。生じた混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を蒸発により除去し、このようにして取得した粗製物をEtOAc中に再溶解し、シリカゲルパッドを通してろ過し、60%EtOAc/へキサンで洗浄した。溶液を蒸発により除去し、このようにして取得した粗製物をCOMBI−FLASH(R)により精製し(純粋なヘキサンで4分−50%EtOAc/ヘキサンで20分−65%EtOAc/ヘキサンで20分)、表題化合物を得た。H NMR(500MHz,アセトン):δ8.13(s,1H),8.04(s,1H),7.59−7.55(m,3H),7.44(d,1H),7.37(t,2H),5.81(d,2H),5.43(s,1H),2.37−2.29(m,1H),2.11(s,1H),0.83(t,3H)。
【実施例14】
【0214】
3−(4−フルオロフェニル)−6−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド
【0215】
【化58】

【0216】
窒素雰囲気下において室温で攪拌したDMSO(50mL、0.046M)中の2−(1−{[2−ブロモ−3−(4−フルオロフェニル)−1−ベンゾチエン−6−イル]メチル}−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1,1,1−トリフルオロブタン−2−オール(1.2g、2.333mmol)の溶液へ、シアン化銅(I)(418mg、4.67mmol、2当量)を添加した。生じた混合物を150℃で6時間攪拌した。水の添加により反応停止させ、EtOAcで抽出した。有機層を混合し、塩水で洗浄して、NaSO上で乾燥させた。蒸発後、室温で窒素雰囲気下において、このようにして取得した粗製物をアセトン/HO(50mL、1:1、0.047M)中に再溶解し、過炭酸ナトリウム(1.099g、7mmol、3当量)を添加した。生じた混合物を還流で3時間攪拌した。水の添加により反応停止させ、EtOAcで抽出した。有機層を混合し、塩水で洗浄して、NaSO上で乾燥させた。溶媒を蒸発により除去し、このようにして取得した粗製物をCOMBI−FLASH(R)により精製し(純粋なヘキサンで4分−50%EtOAc/ヘキサンで20分−70%EtOAc/ヘキサンで20分)、表題化合物を得た。H NMR(500MHz,アセトン):δ8.15(s,1H),8.07(s,1H),7.60−7.58(m,2H),7.48−7.42(m,2H),7.39(t,2H),6.87(s,1H),6.08(s,1H),5.85(s,2H),5.44(s,1H),2.36−2.29(m,2H),2.08−2.04(m,1H),0.83(t,3H)。
【0217】
キラルカラムを用いたHPLC分離を使用し、このようにして取得したラセミ物質を各鏡像異性体に分離した。HPLC装置中への注入に対し、ラセミ体の3−(4−フルオロフェニル)−6−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミドを純粋なEtOH中に溶解した。クロマトグラフィー条件:ChiralPak AD 19×250mmのカラム、流速=8mL/分、254nm検出、溶媒系:50%イソプロパノール/ヘキサン。第一鏡像異性体の保持時間=17分、第二鏡像異性体の保持時間=27分。
【実施例15】
【0218】
メチル5−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−1−フェニル−1H−インドール−2−カルボキシラート
【0219】
【化59】

【0220】
段階1:メチル5−メチル−1−フェニル−1H−インドール−2−カルボキシラート
【0221】
【化60】

【0222】
ジオキサン250mL中のメチル5−メチル−1H−インドール−2−カルボキシラート(10.0g)へ、ヨードベンゼン(10.03g)、ヨウ化銅(0.468g)、リン酸カリウム(21.86g)及び1,2−ジアミノシクロヘキサン(0.604mL)を添加した。反応混合物を12時間還流した。反応溶媒を蒸発乾固し、残留物をジクロロメタン中に再溶解し、次いでSiO2のプラグを通し、ヘキサン/EtOAc10%で溶出し、表題生成物を得た。
【0223】
段階2:メチル5−ブロモメチル−1−フェニル−1H−インドール−2−カルボキシラート
【0224】
【化61】

【0225】
CCl(100mL)中のメチル5−メチル−1−フェニル−1H−インドール−2−カルボキシラート(1.5g)へ、NBS(1.05g)及びアゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(26mg)を添加した。反応物を2時間還流した。反応物を冷却し、ヘキサンで希釈し、セライトのパッドでろ過した。有機抽出物を蒸発乾固し、残留物をトルエンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、表題生成物を得た。
【0226】
段階3:メチル5−アジド−1−フェニル−1H−インドール−2−カルボキシラート
【0227】
【化62】

【0228】
DMF(20mL)中のメチル5−ブロモメチル−1−フェニル−1H−インドール−2−カルボキシラート(1g)へ、アジ化ナトリウム(0.726g)を添加した。反応混合物を室温で1時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム溶液で反応停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機画分を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発乾固した。残留物をSiOのプラグに通し、ヘキサン/EtOAc20%で溶出し、表題生成物を得た。
【0229】
段階4:メチル5−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−1−フェニル−1H−インドール−2−カルボキシラート
【0230】
室温にて、THF(15mL)中のメチル5−アジド−1−フェニル−1H−インドール−2−カルボキシラート(0.85g)及び3−(トリフルオロメチル)ペント−1−イン−3−オール(631mg)の溶液へ、DIPEA(2.3mL)及びヨウ化銅(758mg)を添加した。反応物を室温で一晩攪拌した。飽和塩化アンモニウム溶液で反応停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機画分を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発乾固した。ヘキサン/EtOAc40%で溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより、残留物を精製して表題生成物を得た。H NMR(500MHz,アセトン):δ8.07(s,1H);7.86(s,1H);7.59−7.51(m,3H);7.47(s,1H);7.42−7.36(m,3H);7.11(d,1H);5.77(s,2H);5.44(s,1H);3.75(s,3H);2.35−2.28(m,1H);2.09(m,1H);0.83(t,3H)。
【実施例16】
【0231】
5−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−1−フェニル−1H−インドール−2−カルボキサミド
【0232】
【化63】

【0233】
段階1:5−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−1−フェニル−1H−インドール−2−カルボン酸
【0234】
【化64】

【0235】
室温にて、THF/メタノール1/1(15mL)及び水(3mL)中のメチル5−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−1−フェニル−1H−インドール−2−カルボキシラート(1.2g)へ、NaOH(0.21g)を添加した。反応物を室温で一晩攪拌した。反応物を蒸発させ、THF/メタノールを除去して、次いで水で希釈し、HCl10%で酸性化した。このようにして取得した懸濁液をガラスフィルターでろ過し、空気乾燥させた。
【0236】
段階2:5−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−1−フェニル−1H−インドール−2−カルボキサミド
【0237】
0℃にて、CHCl/THF(4mL/1mL)中の5−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−1−フェニル−1H−インドール−2−カルボン酸(0.15g)の溶液へ、微量のDMFに続いて塩化オキサリル(0.037mL)を添加した。反応物を室温で30分間攪拌した。反応物を−78℃で冷却し、NH(g)を溶液中に発泡した。次いで、温度を室温に1時間上昇させた。反応混合物をHCl10%で酸性化し、EtOAcで抽出した。抽出物をMgSO上で乾燥させ、蒸発乾固した。ヘキサン/EtOAc80%で溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより、残留物を精製して表題生成物を得た。H NMR(500MHz,アセトン):δ8.04(s,1H),7.79(s,1H),7.54(dd,2H),7.46(t,1H),7.39(t,2H),7.31−7.29(m,3H),7.15(d,1H),6.65(s,1H),5.75(s,2H),5.41(s,1H),2.35−2.28(m,1H),2.08(m,1H),0.82(t,3H)。
【実施例17】
【0238】
5−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−1−フェニル−1H−インドール−2−カルボニトリル
【0239】
【化65】

【0240】
5℃にて、ジオキサン(15mL)中の5−({4−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)−1−フェニル−1H−インドール−2−カルボキサミド(0.5g)及びピリジン(0.19mL)の溶液へ、TFAA(0.16mL)を添加した。反応物を室温で1時間攪拌した。反応混合物を飽和NHCl溶液で反応停止させ、EtOAcで抽出した。抽出物をMgSO上で乾燥させ、蒸発乾固した。ヘキサン/EtOAc10−30%で溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより、残留物を精製して表題生成物を得た。H NMR(500MHz,アセトン):δ8.10(s,1H),7.90(s,1H),7.71(dd,2H),7.63(dd,4H),7.49(dd,1H),7.39(d,1H),5.80(s,2H),5.42(s,1H),2.36−2.29(m,1H),2.09(d,1H),0.83(t,3H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式I
【化1】

の化合物並びに医薬として許容されるその塩、エステル及び溶媒和物。
(式中、
【化2】

は、
【化3】

(数「1」及び「2」は、構造式I内の付着の点を表し;
Aは、−Cl並びに各出現において、(i)−F(ii)−Cl、(iii)ハロの1つ又はそれ以上で場合によって置換された−C1−3アルキル、(iv)ハロの1つ又はそれ以上で場合によって置換された−OC1−3アルキル、(v)−OC3−6シクロアルキル、(vi)−C3−6シクロアルキル、(vii)−CHOH、(viii)−COOR、(ix)−CN及び(x)−NR5aからなる群から独立に選択される置換基で場合によって一置換又は二置換されたフェニルからなる群から選択され;
nは、0、1及び2から選択される整数であり;
は、(i)−H、(ii)−Br、(iii)−Cl、(iv)−COC1−6アルキル、(v)−COOC1−6アルキル、(vi)−COOC3−6シクロアルキル、(vii)−SO1−6アルキル、(viii)−SONR、(ix)−CONR、(x)−CN、(xi)各出現において、−OH及び−Fからなる群から独立に選択される置換基で、場合によって一置換又は二置換された−C1−6アルキル、(xii)各出現において、−OH及び−Fからなる群から独立に選択される置換基で、場合によって一置換又は二置換されたフェニル、(xiii)場合によってメチルで置換されたテトラゾリル、(xiv)場合によってメチルで置換された1,2,4−オキサジアゾリル並びに(xv)メチルで場合によって置換されたピリジニルからなる群から選択され;
は、−H、−OH、−F、−C1−3アルキル、−OC1−3アルキル及び−OC(O)−C1−3アルキルからなる群から選択され;
は、−H、−C1−6アルキル、フルオロの1つ又はそれ以上で置換された−C1−6アルキル、Rで置換された−C1−6アルキル、フェニル、−C2−6アルケニル、−C3−6シクロアルキル及びC5−7シクロアルケニルからなる群から選択され;
は、−H、−C1−6アルキル、フルオロの1つ又はそれ以上で置換された−C1−6アルキル、Rで置換された−C1−6アルキル、フェニル、−C2−6アルケニル、−C3−6シクロアルキル及びC5−7シクロアルケニルからなる群から選択され;
は、各出現において、−H、−C1−6アルキル及び−C3−6シクロアルキルからなる群から独立に選択され;
5aは、各出現において、−H、−C1−6アルキル、−C3−6シクロアルキル及び−COORからなる群から独立に選択され;並びに
は、各出現において、−COOR、−C(O)H、−CN、−CROH、−OR、−S−C1−6アルキル及び−S−C3−6シクロアルキルからなる群から独立に選択される。)
【請求項2】
構造式Ia
【化4】

を有する、請求項1に記載の化合物並びに医薬として許容されるその塩、エステル及び溶媒和物。
【請求項3】
Aが、フェニル並びに−Cl及び−Fから選択される置換基で一置換されたフェニルからなる群から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が、−H、−OH、−F、−C1−3アルキル、−OCH及び−OC(O)CHからなる群から選択され;Rが、−H、−C1−6アルキル、フルオロの1つ又はそれ以上で置換された−C1−6アルキル、−C3−6シクロアルキル及びフェニルからなる群から選択され;並びにRが、−H、−C1−6アルキル、フルオロの1つ又はそれ以上で置換された−C1−6アルキル、Rで置換された−C1−6アルキル及び−C3−6シクロアルキルからなる群から選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が、−COOR、−CONR、−SO−C1−6アルキル及び−SONRから選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
構造式Ib
【化5】

を有する請求項1に記載の化合物並びに医薬として許容されるその塩、エステル及び溶媒和物。
【請求項7】
Aが、フェニル並びに−Cl及び−Fから選択される置換基で一置換されたフェニルからなる群から選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
が、−H、−OH、−F、−C1−3アルキル、−OCH及び−OC(O)CHからなる群から選択され;Rが、−H、−C1−6アルキル、フルオロの1つ又はそれ以上で置換された−C1−6アルキル、−C3−6シクロアルキル及びフェニルからなる群から選択され;並びにRが、−H、−C1−6アルキル、フルオロの1つ又はそれ以上で置換された−C1−6アルキル、Rで置換された−C1−6アルキル及び−C3−6シクロアルキルからなる群から選択される、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
が、−COOR、−CONR、−SO−C1−6アルキル及び−SONRから選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
【化6】

【表1】



からなる群から選択される請求項1に記載の化合物並びに医薬として許容されるその塩、エステル及び溶媒和物。
【請求項11】
【化7】

【表2】

からなる群から選択される請求項1に記載の化合物並びに医薬として許容されるその塩、エステル及び溶媒和物。
【請求項12】
請求項1に記載の化合物の5−LO阻害的有効量を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物中のロイコトリエンの合成、作用又は放出を抑制する方法。
【請求項13】
哺乳動物がヒトである、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
請求項1に記載の化合物の治療的有効量を、炎症性症状の治療を必要としている哺乳動物に投与することを含む、前記哺乳動物中の炎症性症状を治療する方法。
【請求項15】
請求項1に記載の化合物の治療的有効量を、アテローム性動脈硬化症の治療を必要としている患者に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症を治療する方法。
【請求項16】
アテローム性動脈硬化疾患現象を有するリスクがある患者に、請求項1に記載の化合物の予防的有効量を投与することを含む、アテローム性動脈硬化疾患現象のリスクを抑制又は低減する方法。
【請求項17】
請求項1に記載の化合物の治療的有効量を、喘息の予防又は治療を必要としている患者に投与することを含む、喘息の予防又は治療のための方法。
【請求項18】
請求項1に記載の化合物の治療的有効量を、アレルギー性鼻炎の治療を必要としている患者に投与することを含む、アレルギー性鼻炎の症候を治療する方法。
【請求項19】
請求項1に記載の化合物の治療的有効量を、COPDの治療を必要としている患者に投与することを含む、COPDを治療する方法。
【請求項20】
請求項1に記載の化合物の治療的有効量及び医薬として許容される担体から構成される医薬組成物。
【請求項21】
哺乳動物中の炎症性症状を治療又は予防するために有用な医薬の調製のための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項22】
アテローム性動脈硬化症を治療するために有用な医薬の調製のための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項23】
アテローム性動脈硬化性疾患現象に対するリスクを抑制又は低減するために有用な医薬の調製のための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項24】
喘息を予防又は治療するために有用な医薬の調製のための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項25】
アレルギー性鼻炎の症候を治療するために有用な医薬の調製のための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項26】
COPDを治療するために有用な医薬の調製のための、請求項1に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2009−504575(P2009−504575A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525348(P2008−525348)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【国際出願番号】PCT/CA2006/001306
【国際公開番号】WO2007/016784
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(305042057)メルク フロスト カナダ リミテツド (99)
【Fターム(参考)】