説明

新規イソキノリン誘導体

【課題】医薬として有用な新規イソキノリン誘導体を創製すること、また、その誘導体の新たな薬理作用を見出すこと。
【解決手段】式[I]の化合物またはその塩は、Rhoキナーゼが関与する疾患の治療剤として有用であり、特に緑内障等の眼疾患治療剤に有用である。環Xはベンゼン環または芳香族複素環;Yはイソキノリン環基、R1とR2は水素原子またはアルキル基;R3とR4はハロゲン原子、水素原子、アルキル基、アルケニル基、カルボキシ基、そのエステル若しくはそのアミド、アルキルカルボニル基、アリール基、アリールカルボニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、スルホン酸基、ニトロ基、シアノ基または1若しくは複数の窒素原子を環内に有する芳香族複素環を示す。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬として有用な新規イソキノリン誘導体またはその塩に関する。本発明に係るイソキノリン誘導体は、Rhoキナーゼ阻害作用を有し、Rhoキナーゼが関与する疾患、例えば、緑内障等の眼疾患治療剤として有用である。
【背景技術】
【0002】
低分子量GTP結合タンパク質であるRhoは種々の細胞膜受容体からのシグナルにより活性化される。活性化されたRhoは、Rhoキナーゼ情報伝達系およびアクトミオシン情報伝達系を介して、平滑筋収縮、細胞の形態変化、細胞運動、細胞分裂、細胞間接着、血小板凝集、白血球凝集、癌細胞の浸潤・亢進等、種々の細胞現象の分子スイッチとして機能する。
【0003】
また、これらの細胞現象が、高血圧症、狭心症、喘息、抹消循環障害、早産、動脈硬化症、癌、炎症性疾患、自己免疫疾患、AIDS、受精および受精卵の着床、骨粗鬆症、脳機能障害、細菌の消化管障害、緑内障、網膜症等の疾患に深く関与していることが知られている。
【0004】
したがって、Rhoを阻害することで、前記のRhoが関与する疾患の予防および/または治療が可能になると考えられている。
【0005】
一方、Rhoを介する情報伝達系の下流に存在するRhoキナーゼを阻害することによっても、Rhoによる種々の細胞現象を抑制できることが知られている。
【0006】
すなわち、Rhoキナーゼを阻害する化合物は、前記のRhoが関与する疾患、例えば、高血圧症、狭心症、喘息、抹消循環障害、早産、動脈硬化症、癌、炎症性疾患、自己免疫疾患、AIDS、受精および受精卵の着床、骨粗鬆症、脳機能障害、細菌の消化管障害、緑内障、網膜症等の有効な予防および/または治療剤となると考えられている(特許文献1)。
【0007】
Rhoキナーゼ阻害剤は、一般的にRhoの活性化に伴い活性化されるセリン/スレオニンキナーゼの阻害剤として定義されている。そのRhoキナーゼ阻害剤には、ROCKα(ROCK−II)、p160ROCK(ROKβ、ROCK−I)、その他のセリン/スレオニン活性を有するタンパク質を阻害する化合物が含まれる。
【0008】
公知のRhoキナーゼ阻害剤としては、特許文献1に開示されているアミド誘導体、特許文献2、非特許文献1および特許文献3に開示されているイソキノリンスルホニル誘導体、特許文献4に開示されているヘテロサイクルアミノ誘導体、特許文献5に開示されているインダゾール誘導体、特許文献6および特許文献7に開示されているキナゾリン誘導体等が挙げられる。
【0009】
また、Rhoキナーゼ阻害剤が緑内障の治療剤として有用であることが特許文献8および特許文献9に開示されている。
【0010】
しかしながら、上記いずれの文献にも本発明に係る化合物についての具体的な開示はない。
【特許文献1】国際公開WO98/06433号パンフレット
【特許文献2】国際公開WO97/23222号パンフレット
【非特許文献1】Nature,389,990−994(1997)
【特許文献3】国際公開WO99/64011号パンフレット
【特許文献4】国際公開WO01/56988号パンフレット
【特許文献5】国際公開WO02/100833号パンフレット
【特許文献6】国際公開WO02/076976号パンフレット
【特許文献7】国際公開WO02/076977号パンフレット
【特許文献8】国際公開WO00/09162号パンフレット
【特許文献9】国際公開WO00/57914号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
医薬として有用な新規イソキノリン誘導体を創製すること、また、その誘導体の新たな薬理作用を見出すことは非常に興味のある課題である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、上記の課題を解決するために新規イソキノリン誘導体の合成研究を行い、数多くの新規化合物を創製することに成功した。
【0013】
また、本発明に係るイソキノリン誘導体(以下、特記なき限り、これを「本イソキノリン誘導体」とする)の医薬としての有用性を種々検討したところ、本イソキノリン誘導体はRhoキナーゼ阻害作用を有し、Rhoキナーゼが関与する疾患の治療剤として有用であることを見出した。
【0014】
さらに、本イソキノリン誘導体のRhoキナーゼが関与する具体的な疾患への適用を検証するために、本イソキノリン誘導体の眼圧下降作用についても検討した。その結果、本イソキノリン誘導体は優れた眼圧下降作用を有しており、緑内障等の眼疾患治療剤としても有用であることを併せて見出し、本発明を完成させた。
【0015】
すなわち、本発明は、下記一般式[I]で表される化合物またはその塩(以下、特記なき限り、これを「本発明化合物」とする)および本発明化合物を含有する医薬に関し、より詳しくは、本発明化合物を有効成分とするRhoキナーゼ阻害剤に関するものであり、例えば、緑内障等の眼疾患治療剤に関するものである。
【0016】
本発明化合物は、以下1〜3)に示す化学構造的特徴を有する:
1)下記一般式(a)〜(f)で表されるイソキノリン環を主骨格とする。
【化1】


2)環Xがイソキノリン環のベンゼン環部分に直接結合している。
【0017】
3)環Xがアミノ基で置換されたアルキル基を有する。
【0018】
それら1〜3)の各構造的特徴および/またはそれらの組み合わせが、本発明化合物のRhoキナーゼ阻害作用の発現に非常に重要である。
【化2】

[式中、
環Xはベンゼン環または1若しくは複数の窒素原子を環内に有する芳香族複素環を示し;
環Yは、下記一般式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f)
【化3】

で表される環を示し;
1とR2は同一または異なって、水素原子またはアルキル基を示し;
3とR4は同一または異なって、ハロゲン原子、水素原子、アルキル基、アルケニル基、カルボキシ基、そのエステル若しくはそのアミド、アルキルカルボニル基、アリール基、アリールカルボニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、スルホン酸基、ニトロ基、シアノ基または1若しくは複数の窒素原子を環内に有する芳香族複素環を示し;
上記で規定した各アルキル基およびアルケニル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリール基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヒドロキシイミノ基およびアルコキシイミノ基からなる群より選択される1または複数の基で置換されていてもよい。以下、同じ。]
【発明の効果】
【0019】
本発明は、医薬として有用な新規イソキノリン誘導体またはその塩を提供する。特に本発明に係るイソキノリン誘導体は、優れたRhoキナーゼ阻害作用を有し、Rhoキナーゼが関与する疾患、例えば、緑内障等の眼疾患治療剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
前記で規定した各基について以下に詳しく説明する。
【0021】
ハロゲン原子とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を示す。
【0022】
アルキル基とは、炭素原子数1〜6個の直鎖または分枝のアルキルを示す。具体例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル等が挙げられる。
【0023】
アルコキシ基とは、炭素原子数1〜6個の直鎖または分枝のアルコキシを示す。具体例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、イソペントキシ、n−ヘキシルオキシ等が挙げられる。
【0024】
アルケニル基とは、炭素原子数が2から6個の直鎖または分枝のアルケニルを示す。具体例として、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、1−メチルビニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基、4−ヘキセニル基等が挙げられる。
【0025】
アリール基とは、炭素数が6〜14個の単環式または縮合多環式芳香族炭化水素を示す。具体例として、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル等が挙げられる。
【0026】
1若しくは複数の窒素原子を環内に有する芳香族複素環とは、1または2個の窒素原子を環内に有する単環式若しくは縮合多環式の芳香族複素環を示す。具体例として、ピリジン、ピリミジン、ピロール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール等の1または2個の窒素原子を環内に有する単環式芳香族複素環、キノリン、インドール、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール等の1または2個の窒素原子を有する縮合多環式芳香族複素環が挙げられる。
【0027】
カルボキシ基のエステルとは、アルキルアルコール、アリールアルコール等とのエステルを示す。アルキルアルコールの具体例として、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられ、アリールアルコールの具体例として、フェノール、ナフトール等が挙げられる。
【0028】
カルボキシ基のアミドとは、アンモニアまたは1級若しくは2級アミン等とのアミドを示す。アミンはアルキルアミンまたはアリールアミンであってよく、アルキルアミンの具体例として、メチルアミン、エチルアミン、エチルメチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン等が挙げられ、アリールアミンの具体例として、アニリン、メチルフェニルアミン、エチルフェニルアミン、ジフェニルアミン等を挙げられる。
【0029】
本発明化合物が、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基またはアリールアミノ基を置換基として有する場合、それらの基は保護基で保護されていてもよい。
【0030】
ヒドロキシ基の保護基とは、ベンジルオキシメチル基、アリル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、トリチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等の置換または無置換アルキル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ビニルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル等のエステル;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基等の置換または無置換シリル基等のヒドロキシ基の保護基として汎用されるものを示す。
【0031】
アミノ基、アルキルアミノ基またはアリールアミノ基の保護基とは、アリル基、ベンジル基、トリチル基、(4−メトキシフェニル)ジフェニルメチル基、ジフェニルメチル基等の置換または無置換のアルキル基;ホルミル基、アセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、ピコリノイル基、ベンゾイル基等のアシル基;メトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、ジフェニルメトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のエステル基;メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホニル基等の置換または無置換のスルホニル基等のアミノ基、アルキルアミノ基またはアリールアミノ基の保護基として汎用されるものを示す。
【0032】
また、一般式Iで表される本発明化合物のY環が、一般式(c)、(d)、(e)または(f)で表される環の場合、その窒素原子は保護基で保護されていてもよい。
【0033】
一般式(c)、(d)、(e)または(f)で表される環の窒素原子の保護基としては、アリル基、ベンジル基、トリチル基、(4−メトキシフェニル)ジフェニルメチル基、ジフェニルメチル基等の置換または無置換のアルキル基;ホルミル基、アセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、ピコリノイル基、ベンゾイル基等のアシル基;メトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、ジフェニルメトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のエステル基;メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホニル基等の置換または無置換のスルホニル基等の一般式(c)、(d)、(e)または(f)で表される環の窒素原子の保護基として汎用されるものを示す。
【0034】
本発明化合物における『塩』とは、医薬として許容される塩であれば、特に制限はなく、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸との塩、酢酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、アジピン酸、乳酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸との塩、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、アンモニア、ヨウ化メチル等との四級塩等が挙げられる。
【0035】
本発明化合物に幾何異性体または光学異性体が存在する場合は、それらの異性体も本発明の範囲に含まれる。例えば、幾何異性体であれば、そのシン−アンチ(syn-anti)異性体も本発明の範囲に含まれる。
【0036】
本発明化合物の一般式[I]の環Yが、一般式(e)の場合には、その互変異性体(e’)も本発明の範囲に含まれる。
【化4】

本発明化合物における好ましい例としては、一般式[I]で規定された各基が以下の基から選択され、若しくはそれらの組み合わせからなる化合物またはその塩が挙げられる:
環X:ベンゼン環または1若しくは2個の窒素原子を環内に有する芳香族複素環を示し;
環Y:一般式(a)、(b)、(e)または(f)で表される環を示し;
1とR2:同一または異なって、水素原子またはアルキル基を示し;
3:水素原子、アルキル基、アルケニル基、カルボキシ基、そのアミド、アルキルカルボニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、スルホン酸基、ニトロ基、シアノ基または1若しくは2個の窒素原子を環内に有する芳香族複素環を示し;
4:ハロゲン原子、水素原子、アミノ基またはアルキルアミノ基を示し;
3で規定したアルキル基:ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシイミノ基およびアルコキシイミノ基から選択される1または複数の基で置換されていてもよく;
3で規定したアルケニル基:ヒドロキシ基で置換されていてもよい。
【0037】
より好ましい例としては、一般式[I]で規定された各基が以下の基から選択され、若しくはそれらの組み合わせからなる化合物またはその塩が挙げられる:
環X:ベンゼン環、ピリジン環またはピリミジン環を示し;
環Y:一般式(a)、(b)、(e)または(f)で表される環を示し;
1とR2:同一または異なって、水素原子またはメチル基を示し;
3:水素原子、tert−ブチル基、1−メチルビニル基、カルボキシ基、アミノカルボニル基、メチルカルボニル基、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、スルホン酸基、ニトロ基、シアノ基、ピリジン環、ピリダジン環、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,2−ジヒドロキシ−1−メチルエチル基、1−メチル−1−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシイミノ−1−メトキシメチル基、アミノメチル基、1−アミノ−1−ヒドロキシイミノメチル基、ヒドロキシイミノメチル基、1−ヒドロキシイミノエチル基、メトキシイミノメチル基または1−ヒドロキシメチルビニル基を示し、
4:臭素原子、水素原子、アミノ基またはメチルアミノ基を示す。
【0038】
本発明化合物における別の好ましい例としては、一般式[I]で規定された各基が以下の基から選択され、若しくはそれらの組み合わせからなる化合物またはその塩が挙げられる:
環X:ベンゼン環を示し;
環Y:一般式(a)、(b)、(e)または(f)で表される環を示し;
1とR2:アルキル基を示し;
3:水素原子、アルキル基、アルケニル基、カルボキシ基、そのアミド、アルキルカルボニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、スルホン酸基、ニトロ基、シアノ基、1個の窒素原子を環内に有する芳香族複素環を示し;
4:ハロゲン原子、水素原子、アミノ基またはアルキルアミノ基を示し;
3で規定したアルキル基:ヒドロキシ基、アミノ基およびヒドロキシイミノ基から選択される1または複数の基で置換されていてもよい。
【0039】
別のより好ましい例としては、一般式[I]で規定された各基が以下の基から選択され、若しくはそれらの組み合わせからなる化合物またはその塩が挙げられる:
環X:ベンゼン環を示し;
環Y:一般式(a)、(b)、(e)または(f)で表される環を示し;
1とR2:メチル基を示し;
3:水素原子、1−メチルビニル基、カルボキシ基、アミノカルボニル基、メチルカルボニル基、アミノ基、エチルアミノ基、スルホン酸基、ニトロ基、シアノ基、ピリジン環、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、アミノメチル基またはヒドロキシイミノメチル基を示し、
4:臭素原子、水素原子、アミノ基またはメチルアミノ基を示す。
【0040】
本発明化合物における薬理作用の点から好ましい例としては、一般式[I]で規定された各基が以下の基から選択され、若しくはそれらの組み合わせからなる化合物またはその塩が挙げられる:
環X:ベンゼン環を示し;
環Y:一般式(a)または(e)で表される環を示し;
1とR2:アルキル基を示し;
3:水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキルカルボニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基またはシアノ基を示し;
4:ハロゲン原子、水素原子またはアミノ基を示し;
3で規定したアルキル基:ヒドロキシ基およびヒドロキシイミノ基から選択される1または複数の基で置換されていてもよい。
【0041】
本発明化合物における薬理作用の点から特に好ましい例としては、一般式[I]で規定された各基が以下の基から選択され、またはそれらの組み合わせからなる化合物またはその塩が挙げられる:
環X:ベンゼン環を示し;
環Y:一般式(a)または(e)で表される環を示し;
1とR2:メチル基を示し;
3:水素原子、1−メチルビニル基、メチルカルボニル基、アミノ基、エチルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシメチル基またはヒドロキシイミノメチル基を示し、
4:臭素原子、水素原子またはアミノ基を示す。
【0042】
本発明化合物は前述したとおり、以下1〜3)に示す化学構造的特徴を有し、また、それら1〜3)の各構造的特徴および/またはそれらの組み合わせが、本発明化合物のRhoキナーゼ阻害作用の発現に非常に重要である。
【0043】
1)下記一般式(a)〜(f)で表されるイソキノリン環を主骨格とする。
【化5】

2)環Xがイソキノリン環のベンゼン環部分に直接結合している。
【0044】
3)環Xがアミノ基で置換されたアルキル基を有する。
【0045】
特に、環Xがイソキノリン環の6位に直接結合している本発明化合物が、優れたRhoキナーゼ阻害作用を示し、この位置に環Xが置換された本発明化合物がより好ましい。
【0046】
本発明化合物における特に好ましい具体例として、以下に示す化合物またはその塩が挙げられる。尚、特記なき限り、化学構造式中、Bocはtert−ブトキシカルボニル基を表す。
【0047】
・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]イソキノリン
【化6】

・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−ニトロイソキノリン
【化7】

・5−アミノ−6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]イソキノリン
【化8】

・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(ヒドロキシスルホニル)イソキノリン
【化9】

・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(ヒドロキシイミノメチル)イソキノリン
【化10】

・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−シアノイソキノリン
【化11】

・5−アミノカルボニル−6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]イソキノリン
【化12】

・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(1−メチルビニル)イソキノリン
【化13】

・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−メチルカルボニルイソキノリン
【化14】

・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(1−ヒドロキシエチル)イソキノリン
【化15】

・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン
【化16】

・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−4−ブロモ−2H−イソキノリン−1−オン
【化17】

・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−ニトロ−2H−イソキノリン−1−オン
【化18】

・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−エチルアミノ−2H−イソキノリン−1−オン
【化19】

・5−アミノ−6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン
【化20】

・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(ピロール−1−イル)−2H−イソキノリン−1−オン
【化21】

・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−(4−メトキシベンジルアミノ)イソキノリン
【化22】

・1−アミノ−6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]イソキノリン
【化23】

・3−アミノ−6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]イソキノリン
【化24】

・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−(4−メチルアミノ)イソキノリン
【化25】

・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(ヒドロキシメチル)イソキノリン
【化26】

・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(アミノメチル)イソキノリン
【化27】

・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−カルボキシイソキノリン
【化28】

本発明化合物の代表的な製造方法を以下に記す。尚、本発明化合物の個々の具体的な製造方法については、後述の実施例[製造例の項]で詳細に説明する。
【化29】

合成経路1:化合物Aと化合物Bとを有機溶媒中、金属触媒および塩基存在下、カップリング反応させることで本発明化合物を得ることができる。
【0048】
上記の製造方法において、製造の便宜上、保護基を使用した場合には、その保護基を汎用される方法にて除去することができる。
【0049】
イソキノリン環の置換基は、当初から所望の置換基を導入しておいてもよく、また、上記の方法により基本骨格を製造した後に、酸化、還元、アルキル化、エステル化、アミド化、オキシム化、脱水反応、脱保護反応および/またはそれらの反応を組み合わせた汎用される合成方法を使用して、基本骨格に所望の置換基を導入してもよい。
【0050】
本発明化合物の合成中間体の製造方法については、後述の実施例[製造例の項]で詳述する。
【0051】
本発明化合物の有用性を見出すため、本発明化合物のRhoキナーゼ阻害活性について評価検討した。その詳細は後述の実施例[薬理試験の項(Rhoキナーゼ阻害活性評価試験)]で説明するが、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー,274巻,32418頁,1999年発行[J.Biol.Chem.,274,32418(1999)]に記載の貝淵等の方法および市販の活性型ROCKII[アップステイツ バイオテクノロジー,カタログ 番号14−338,(5Unit/50μl)[upstate biotechnology,Catalog No.14-338,(5Unit/50μl)]]付属の説明書記載の方法に準じて、本発明化合物のRhoキナーゼ阻害活性を評価検討した。その結果、本発明化合物は優れたRhoキナーゼ阻害作用を有しており、Rhoキナーゼが関与する疾患の治療剤として非常に有用であることを見出した。
【0052】
さらに本発明化合物のRhoキナーゼが関与する具体的な疾患への適用を検証するために、本発明化合物の眼圧下降作用についても検討した。その詳細は後述の実施例[薬理試験の項(眼圧下降作用測定試験)]で説明するが、カニクイザル(性別:雄性、一群6匹)に本発明化合物を点眼投与したところ、本発明化合物は優れた眼圧下降作用を有しており、緑内障等の眼疾患治療剤としても有用であることを併せて見出した。
【0053】
前述したようにRhoキナーゼは、高血圧症、狭心症、喘息、抹消循環障害、早産、動脈硬化症、癌、炎症性疾患、自己免疫疾患、AIDS、受精および受精卵の着床、骨粗鬆症、脳機能障害、細菌の消化管障害、緑内障、網膜症等の疾患と深く関係していることが知られている。したがって、本発明化合物はRhoキナーゼの関与するそれら疾患の治療剤として非常に期待されるものである。
【0054】
また、本発明におけるRhoキナーゼ阻害剤とはRhoの活性化に伴い活性化されるセリン/スレオニンキナーゼを阻害する化合物を意味する。
【0055】
さらに本発明における緑内障としては、原発性開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、房水産生過多緑内障、高眼圧症、急性閉塞隅角緑内障、慢性閉塞隅角緑内障、混合型緑内障、ステロイド緑内障、アミロイド緑内障、血管新生緑内障、悪性緑内障、水晶体の嚢性緑内障、台地状虹彩シンドローム(plateau iris syndrom)等が例示される。
【0056】
本発明化合物は経口でも、非経口でも投与することができる。投与剤型として、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、注射剤、点眼剤等が挙げられ、それらは汎用される技術を組合わせて使用することで製剤化することができる。
【0057】
例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等の経口剤は、乳糖、マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム等の賦形剤、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の結合剤、カルボキシメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルメチルセルロース、クエン酸カルシウム等の崩壊剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール、シリコーン樹脂等のコーティング剤、パラオキシ安息香酸エチル、ベンジルアルコール等の安定化剤、甘味料、酸味料、香料等の矯味矯臭剤等を必要に応じて本発明化合物に組合わせて調製することができる。
【0058】
また、注射剤、点眼剤等の非経口剤は、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ソルビトール、マンニトール等の等張化剤、リン酸、リン酸塩、クエン酸、酢酸、ε-アミノカプロン酸、トロメタモール等の緩衝剤、塩酸、クエン酸、リン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のpH調節剤、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、マクロゴール4000、精製大豆レシチン、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール等の可溶化または分散剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の増粘剤、エデト酸、エデト酸ナトリウム等の安定化剤、汎用のソルビン酸、ソルビン酸カリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、クロロブタノール等の保存または防腐剤、クロロブタノール、ベンジルアルコール、リドカイン等の無痛化剤を必要に応じて本発明化合物に組合わせて調製することができる。
【0059】
尚、注射剤または点眼剤の場合、pHは4.0〜8.0に設定することが望ましく、また、浸透圧比は1.0付近に設定することが望ましい。
【0060】
本発明化合物の投与量は、症状、年齢、剤型等により適宜選択して使用することができる。例えば、経口剤であれば通常1日当たり0.01〜1000mg、好ましくは1〜100mgを1回または数回に分けて投与することができる。
【0061】
また、点眼剤であれば通常0.0001%〜10%(w/v)、好ましくは0.01%〜5%(w/v)の濃度のものを1回または数回に分けて投与することができる。
【0062】
以下に本発明化合物(実施例1〜15)および合成中間体(参考例1〜22)の製造例、製剤例ならびに薬理試験の結果を示す。尚、これらの例示は本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。また、実施例の物性におけるRf値は、薄層クロマトグラフィー(メルク社製、TLCプレートシリカゲル60F254(商品名))を用いて測定した値である。
【0063】
[製造例]
(参考例1)
1−ブロモ−4−(1−シアノ−1−メチルエチル)ベンゼン(参考化合物1)の合成
【化30】

1−ブロモ−4−シアノメチルベンゼン100g(510mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド1500ml溶液に、アルゴン気流下撹拌しながら水素化ナトリウム(鉱物油60%分散物)45g(1100mmol)を0℃で分割添加した。次いでヨウ化メチル95ml(1500mmol)を撹拌下0℃で滴下し、10℃で1時間撹拌した。
【0064】
反応終了後、反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液900gにゆっくり注加し、水500mlを加えた後、酢酸エチル2000mlで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮することにより標記の化合物110gを茶褐色油状物として得た。(収率96%)
Rf値:0.78(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0065】
マススペクトル(CI,m/z):224,226(M+1)。
【0066】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.71(s,6H),7.32-7.38(m,2H),7.49-7.54(m,2H)。
【0067】
(参考例2)
4−(1−アミノカルボニル−1−メチルエチル)−1−ブロモベンゼン(参考化合物2)の合成
【化31】

1−ブロモ−4−(1−シアノ−1−メチルエチル)ベンゼン(参考化合物1)100g(450mmol)のトルエン1000ml溶液に、アルゴン気流下撹拌しながらカリウムトリメチルシラノレート(純分90%)250g(1800mmol)を室温で添加し、加熱還流条件で4.5時間撹拌した。
【0068】
反応終了後、室温まで冷却し水500mlを滴下した。次いで室温で25分間撹拌後、生成した固体を濾取し、水400mlで洗浄、乾燥することにより標記の化合物99gを白色粉末として得た。(収率92%)
融点:139-141℃。
【0069】
Rf値:0.23(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0070】
マススペクトル(CI,m/z):242,244(M+1)。
【0071】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.56(s,6H),5.18(brs,1H),5.52(brs,1H),7.25-7.30(m,2H),7.46-7.51(m,2H)。
【0072】
(参考例3)
1−ブロモ−4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)ベンゼン(参考化合物3−1)の合成
【化32】

4−(1−アミノカルボニル−1−メチルエチル)−1−ブロモベンゼン(参考化合物2)99g(410mmol)のtert−ブタノール1000ml溶液に、アルゴン気流下撹拌しながら[ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼン260g(600mmol)を室温で添加し、加熱還流条件で30分間撹拌した。次いでピリジン100ml(1200mmol)を添加し、加熱還流条件で1時間撹拌した。
【0073】
反応終了後、反応溶液を減圧濃縮して、得られた残渣に10重量%クエン酸水溶液500gを加え、トルエン2000mlで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣にn−ヘキサン200mlを加えて生成した固体を濾取し、冷n−ヘキサン400mlで洗浄、乾燥することにより標記の化合物77gを薄茶色粉末として得た。(収率60%)
融点:92-93℃。
【0074】
Rf値:0.56(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1(V/V))。
【0075】
マススペクトル(CI,m/z):314,316(M+1)。
【0076】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.36(brs,9H),1.59(s,6H),4.90(brs,1H),7.24-7.29(m,2H),7.39-7.45(m,2H)。
【0077】
以下、参考化合物3−1の製造方法に準じて、参考化合物3−2を製造した。
【0078】
1−ブロモ−4−(1−ベンジルオキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)ベンゼン(参考化合物3−2)
性状:微黄色粉末。
【0079】
融点:102-103℃。
【0080】
Rf値:0.30(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1(V/V))。
【0081】
マススペクトル(CI,m/z):348,350(M+1)。
【0082】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.63(s,6H),5.01(s,2H),5.15(brs,1H),7.26(d,J=8.5Hz,2H),7.27-7.39(m,5H),7.42(d,J=8.5Hz,2H)。
【0083】
(参考例4)
4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)−1−(4,4,5,5−テトラメチル[1,3,2]ジオキサボロラニル)ベンゼン(参考化合物4−1)の合成
【化33】


1−ブロモ−4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)ベンゼン(参考化合物3−1)50g(160mmol)のジエチルエーテル800ml溶液に、アルゴン気流下撹拌しながら0.95M sec−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液370ml(350mmol)を−78℃で滴下し、30分間撹拌した。次いで2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル[1,3,2]ジオキサボロラン97ml(480mmol)を−78℃で滴下し、−50℃で2時間撹拌した。
【0084】
反応終了後、反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液300g、次いで水450mlを注加し、分液した。水層は酢酸エチル300mlで再抽出し、有機層を合わせて飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣にn−ヘキサン100mlを加えて生成した固体を濾取し、混合溶媒(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1(V/V))100ml、n−ヘキサン100mlで順次洗浄、乾燥することにより標記の化合物33gを白色粉末として得た。(収率57%)
融点:142-144℃。
【0085】
Rf値:0.38(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1(V/V))。
【0086】
マススペクトル(CI,m/z):362(M+1)。
【0087】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.10-1.50(m,21H),1.61(s,6H),4.93(brs,1H),7.40(d,J=8.3Hz,2H),7.77(d,J=8.3Hz,2H)。
【0088】
以下、参考化合物4−1の製造方法に準じて、参考化合物4−2を製造した。
【0089】
4−(1−ベンジルオキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)−1−(4,4,5,5−テトラメチル[1,3,2]ジオキサボロラニル)ベンゼン(参考化合物4−2)
性状:白色粉末。
【0090】
融点:96-98℃。
【0091】
Rf値:0.48(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0092】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.34(s,12H),1.67(s,3H),1.71(s,3H),4.73-4.95(m,2H),5.42(brs,1H),7.02-7.47(m,7H),7.76-7.80(m,2H)。
【0093】
(参考例5)
6−メトキシ−5−ニトロイソキノリン(参考化合物5−1)の合成
【化34】

6−メトキシイソキノリン(J. B. Hendrickson et al.ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー (J. Org. Chem.), 48, 3344(1983)参照)3.0g(19mmol)の濃硫酸30ml溶液に硝酸カリウム2.1g(21mmol)を0℃で撹拌下分割添加し、1.5時間撹拌した。
【0094】
反応終了後、反応溶液を氷水に少しずつ注加し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを11に調整した。生成した固体を濾取し、水で洗浄、乾燥することにより標記の化合物3.8gを黄色粉末として得た。(収率 定量的)
Rf値:0.10(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0095】
マススペクトル(CI,m/z):205(M+1)。
【0096】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):4.10(s,3H),7.47(d,J=9.4Hz,1H),7.56(d,J=6.2Hz,1H),8.15(d,J=9.4Hz,1H),8.60(d,J=6.2Hz),9.23(s,1H)。
【0097】
以下、参考化合物5−1の製造方法に準じて、参考化合物5−2を製造した。
【0098】
1−クロロ−6−ヒドロキシ−5−ニトロイソキノリン(参考化合物5−2)
性状:黄色粉末。
【0099】
マススペクトル(CI,m/z):225(M+1)。
【0100】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):7.54-7.58(m,2H),8.32(d,J=6.0Hz,1H),8.39(d,J=9.5Hz,1H),11.00-13.00(brs,1H)。
【0101】
(参考例6)
6−ヒドロキシ−5−ニトロイソキノリン 1臭化水素酸塩(参考化合物6−1)の合成
【化35】

48%臭化水素酸水溶液20mlに6−メトキシ−5−ニトロイソキノリン(参考化合物5−1)3.8g(19mmol)を撹拌下室温で分割添加し、加熱還流条件で終夜撹拌した。
【0102】
反応終了後冷却、生成した固体を濾取し、水洗、乾燥することにより標記の化合物3.4gを黄色粉末として得た。(収率95%)
Rf値:0.34(クロロホルム:メタノール=5:1(V/V))。
【0103】
マススペクトル(CI,m/z):191(M+1)。
【0104】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):5.93(brs,1H),7.43(d,J=9.3Hz,1H),7.77(d,J=6.8Hz,1H),8.28(d,J=9.3Hz,1H),8.46(d,J=6.8Hz,1H),9.39(s,1H)。
【0105】
5−ホルミル−6−ヒドロキシイソキノリン 1臭化水素酸塩(参考化合物6−2)
48%臭化水素酸水溶液30mlにアルゴン気流下5−ホルミル−6−メトキシイソキノリン(参考化合物9)2.9g(16mmol)を撹拌下室温で分割添加し、加熱還流条件で7.5時間撹拌した。
【0106】
反応終了後、反応溶液を減圧濃縮し、残渣をメタノール−ジエチルエーテルより再沈殿させた。生成した固体を濾取し、エタノール、ジエチルエーテルで順次洗浄、乾燥することにより標記の化合物3.5gを鶯色粉末として得た。(収率89%)
Rf値:0.43(クロロホルム:メタノール=20:1(V/V))。
【0107】
マススペクトル(CI,m/z):174(M+1)。
【0108】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm): 7.64(d,J=9.1Hz,1H),8.55(d,J=9.1Hz,1H),8.64(d,J=6.9Hz,1H),9.25(d,J=6.9Hz,1H),9.62(s,1H),10.70(s,1H)。
【0109】
6−ヒドロキシ−5−(1−メチルビニル)イソキノリン 1臭化水素酸塩(参考化合物6−3)の合成
5−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−6−メトキシイソキノリン(参考化合物13)280mg(1.3mmol)の塩化メチレン3.0ml溶液にアルゴン気流下1.0M三臭化ホウ素/塩化メチレン溶液5.0ml(5.0mmol)を撹拌下0℃で滴下し、室温で終夜撹拌した。
【0110】
反応終了後、反応溶液をメタノールに撹拌下0℃でゆっくり注加、減圧濃縮することにより標記の化合物340mgを茶色粉末として得た。(収率 定量的)
マススペクトル(CI,m/z):186(M+1)。
【0111】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):2.86-2.90(m,3H),6.09-6.12(m,1H),7.58(d,J=9.0Hz,1H),8.17(d,J=9.0Hz,1H),8.48(d,J=6.6Hz,1H),8.52(d,J=6.6Hz,1H),9.00-9.02(m,1H),9.27(s,1H)。
【0112】
以下、参考化合物6−3の製造方法に準じて、参考化合物6−4〜7を製造した。ただし、化合物6−5の合成では、取得固体を飽和重曹水にて中和後抽出しているため、脱塩されている。
【0113】
6−ヒドロキシ−5−メチルカルボニルイソキノリン 1臭化水素酸塩(参考化合物6−4)
性状:茶色粉末。
【0114】
マススペクトル(CI,m/z):188(M+1)。
【0115】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):2.67(s,3H),7.68(d,J=9.0Hz,1H),8.14(d,J1=7.1Hz,1H),8.49(d,J=9.0Hz,1H),8.52(d,J=7.1Hz,1H),9.69(s,1H)。
【0116】
1−クロロ−6−ヒドロキシイソキノリン(参考化合物6−5)
性状:黄色粉末。
【0117】
Rf値:0.20(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0118】
マススペクトル(CI,m/z):180(M+1)。
【0119】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):7.22(d,J=2.3Hz,1H),7.33(dd,J1=9.3Hz,J2=2.3Hz,1H),7.66(d,J=5.4Hz,1H),8.08-8.15(m,2H),10.73(s,1H)。
【0120】
3−カルボキシ−6−ヒドロキシイソキノリン 1臭化水素酸塩(参考化合物6−6)
性状:黄色粉末。
【0121】
マススペクトル(CI,m/z):190(M+1)。
【0122】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):7.56-7.60(m,2H),8.45(d,J=8.5Hz,1H),8.76(s,1H),9.52(s,1H),11.73(brs,1H)。
【0123】
6−ヒドロキシ−1−(メチルアミノ)イソキノリン 1臭化水素酸塩(参考化合物6−7)
性状:黄色粉末。
【0124】
マススペクトル(CI,m/z):175(M+1)。
【0125】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):3.10(d,J=4.9Hz,3H),7.07(d,J=7.1Hz,1H),7.17(d,J=2.4Hz,1H),7.23(dd,J1=9.2Hz,J2=2.4Hz,1H),7.39(d,J=7.1Hz,1H),8.38(d,J=9.2Hz,1H),9.46(d,J=4.9Hz,1H),11.01(s,1H),12.24(brs,1H)。
【0126】
(参考例7)
6−ブロモ−5−ニトロイソキノリン(参考化合物7)
【化36】

オキシ臭化リン7.5g(26mmol)にアルゴン気流下6−ヒドロキシ−5−ニトロイソキノリン(参考化合物6−1)500mg(2.6mmol)を撹拌下室温で分割添加し、150℃で3時間撹拌した。
【0127】
反応終了後冷却、残渣を温水に少しずつ添加し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを11とした後、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;酢酸エチル)に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮することにより標記の化合物540mgを淡黄色粉末として得た。(収率81%)
融点:122-125℃。
【0128】
Rf値:0.56(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0129】
マススペクトル(CI,m/z):253,255(M+1)。
【0130】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):7.64(ddd,J1=6.1Hz,J2=1.0Hz,J3=0.7Hz,1H),8.14(d,J=8.8Hz,1H),8.40(dd,J1=8.8Hz,J2=0.7Hz,1H),8.74(d,J=6.1Hz,1H),9.56(d,J=1.0Hz,1H)。
【0131】
(参考例8)
6−ブロモ−5−ヒドロキシスルホニルイソキノリン(参考化合物8)
【化37】

6−ブロモイソキノリン(W. Grahn et al., ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサエティ・パーキン・トランスアクションズ(J. Chem. Soc. Perkin Trans.) 2, 437(1998)参照)300mg(1.4mmol)を30%SO硫酸3.5mlに0℃で撹拌下分割添加し、室温で終夜撹拌した。
【0132】
反応終了後、反応溶液を氷水にゆっくり注加、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを4に調整した後、生成した固体を濾取した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=4:1:0.1(V/V/V))に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮することにより標記の化合物330mgを茶色粉末として得た。(収率80%)
融点:300℃以上。
【0133】
Rf値:0.05(クロロホルム:メタノール=5:1(V/V))。
【0134】
マススペクトル(CI,m/z):288,290(M+1)。
【0135】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):8.14(d,J=8.8Hz,1H),8.25(dd,J1=8.8Hz,J2=0.7Hz,1H),8.67(dd,J1=6.9Hz,J2=0.7Hz,1H),9.60(d,J=6.9Hz,1H),9.76(s,1H)。
【0136】
(参考例9)
5−ホルミル−6−メトキシイソキノリン(参考化合物9)
【化38】

6−メトキシイソキノリン10g(63mmol)の塩化メチレン300ml溶液にアルゴン気流下塩化アルミニウム25g(190mmol)を撹拌下室温で分割添加し、30分間撹拌した。次いで反応液を−40℃に冷却後、ジクロロメチルメチルエーテル17ml(190mmol)を滴下し、1時間撹拌した。
【0137】
反応終了後、反応溶液に氷水を少しずつ注加、炭酸ナトリウムを用いてpHを11に調整し、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:酢酸エチル=1:1(V/V)〜酢酸エチル)に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮することにより標記の化合物10gを薄黄色粉末として得た。(収率85%)
Rf値:0.37(酢酸エチル)。
【0138】
マススペクトル(CI,m/z):188(M+1)。
【0139】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):4.12(s,3H),7.41(d,J=9.1Hz,1H),8.19(dd,J1=9.1Hz,J2=0.7Hz,1H),8.59(d,J=6.1Hz,1H),9.02(ddd,J1=6.1Hz,J2=0.7Hz,J3=0.7Hz,1H),9.14(d,J=0.7Hz,1H),10.84(s,1H)。
【0140】
(参考例10)
5−ホルミル−6−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)イソキノリン(参考化合物10−1)
【化39】

5−ホルミル−6−ヒドロキシイソキノリン 1臭化水素酸塩(参考化合物6−2)3.5g(14mmol)の塩化メチレン−トリエチルアミン混合溶媒(1:1(V/V))100ml溶液にアルゴン気流下N−フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)7.3g(20mmol)を撹拌下0℃で添加し、2時間撹拌した。
【0141】
反応終了後、反応溶液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮することにより標記の化合物4.0gを黄色粉末として得た。(収率95%)
Rf値:0.38(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0142】
マススペクトル(CI,m/z):306(M+1)。
【0143】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):7.64(d,J=9.1Hz,1H),8.36(dd,J1=9.1Hz,J2=0.7Hz,1H),8.79(d,J=6.2Hz,1H),9.00(dd,J1=6.2Hz,J2=0.7Hz,1H),9.37(s,1H),10.75(s,1H)。
【0144】
以下、参考化合物10−1の製造方法に準じて、参考化合物10−2〜9を製造した。
【0145】
5−(1−メチルビニル)−6−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)イソキノリン(参考化合物10−2)
性状:褐色油状物。
【0146】
Rf値:0.56(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1(V/V))
マススペクトル(CI,m/z):318(M+1)。
【0147】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):2.16-2.17(m,3H),5.18-5.19(m,1H),5.71-5.73(m,1H),7.52(d,J=8.9Hz,1H),7.82(ddd,J1=6.1Hz,J2=1.0Hz,J3=0.7Hz,1H),8.01(dd,J1=8.9Hz,J2=0.7Hz,1H),8.63(d,J=6.1Hz,1H),9.31(d,J=1.0Hz,1H)。
【0148】
5−メチルカルボニル−6−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)イソキノリン(参考化合物10−3)
性状:赤色油状物。
【0149】
Rf値:0.26(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0150】
マススペクトル(CI,m/z):320(M+1)。
【0151】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):2.74(s,3H),7.61(d,J=9.1Hz,1H),7.70(ddd,J1=6.1Hz,J2=1.2Hz,J3=0.7Hz,1H),8.17(dd,J1=9.1Hz,J2=0.7Hz,1H),8.67(d,J=6.1Hz,1H),9.36(d,J=1.2Hz,1H)。
【0152】
6−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−2H−イソキノリン−1−オン(参考化合物10−4)
性状:白色粉末。
【0153】
Rf値:0.45(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0154】
マススペクトル(CI,m/z):294(M+1)。
【0155】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):6.66(d,J=7.1Hz,1H),7.31(d,J=7.1Hz,1H),7.54(dd,J1=8.8Hz,J2=2.4Hz,1H),7.88(d,J=2.4Hz,1H),8.34(d,J=8.8Hz,1H),11.50(brs,1H)。
【0156】
5−ニトロ−6−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−2H−イソキノリン−1−オン(参考化合物10−5)
性状:黄色粉末。
【0157】
Rf値:0.65(酢酸エチル)。
【0158】
マススペクトル(CI,m/z):339(M+1)。
【0159】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):6.46(d,J=7.3Hz,1H),7.50-7.55(m,1H),7.81(d,J=8.9Hz,1H),8.61(d,J=8.9Hz,1H),11.85-12.10(m,1H)。
【0160】
1−(4−メトキシベンジルアミノ)−6−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)イソキノリン(参考化合物10−6)
性状:白色粉末。
【0161】
Rf値:0.75(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0162】
マススペクトル(CI,m/z):413(M+1)。
【0163】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):3.71(s,3H),4.65(d,J=5.9Hz,2H),6.83-6.88(m,2H),7.01(d,J=5.7Hz,1H),7.27-7.31(m,2H),7.59(dd,J1=9.2Hz,J2=2.7Hz,1H),7.90(d,J=2.7Hz,1H),7.94(d,J=5.7Hz,1H),8.16(t,J=5.9Hz,1H),8.49(d,J=9.2Hz,1H)。
【0164】
1−アミノ−6−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)イソキノリン(参考化合物10−7)
性状:白色粉末。
【0165】
Rf値:0.50(酢酸エチル:n−ヘキサン=4:1(V/V))。
【0166】
マススペクトル(CI,m/z):293(M+1)。
【0167】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):7.02(d,J=5.6Hz,1H),7.05(brs,2H),7.55(dd,J1=9.0Hz,J2=2.4Hz,1H),7.88-7.90(m,2H),8.39(d,J=9.0Hz,1H)。
【0168】
3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−6−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)イソキノリン(参考化合物10−8)
性状:白色粉末。
【0169】
Rf値:0.38(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1(V/V))。
【0170】
マススペクトル(CI,m/z):393(M+1)。
【0171】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.57(s,9H),7.30(dd,J1=9.0Hz,J2=2.4Hz,1H),7.49(brs,1H),7.66(d,J=2.4Hz,1H),7.96(d,J=9.0Hz,1H),8.29(s,1H),9.00(s,1H)。
【0172】
1−メチルアミノ−6−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)イソキノリン(参考化合物10−9)
性状:無色油状物。
【0173】
Rf値:0.60(酢酸エチル:n−ヘキサン=4:1(V/V))。
【0174】
マススペクトル(CI,m/z):307(M+1)。
【0175】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):3.18(d,J=4.2Hz,3H),5.20-5.40(m,1H),6.94(d,J=5.9Hz,1H),7.33(dd,J1=9.0Hz,J2=2.4Hz,1H),7.57(d,J=2.4Hz,1H),7.83(d,J=9.0Hz,1H),8.10(d,J=5.9Hz,1H)
(参考例11)
5−(1−ヒドロキシエチル)−6−メトキシイソキノリン(参考化合物11)
【化40】

5−ホルミル−6−メトキシイソキノリン(参考化合物9)13g(70mmol)のジメトキシエタン500ml溶液にアルゴン気流下3.0M臭化メチルマグネシウム/ジエチルエーテル溶液36ml(110mmol)を撹拌下0℃で滴下し、1.5時間撹拌した。
【0176】
反応終了後、反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液をゆっくり注加した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮することにより標記の化合物14gを黄褐色粉末として得た。(収率99%)
Rf値:0.35(酢酸エチル)。
【0177】
マススペクトル(CI,m/z):204(M+1)。
【0178】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.65(d,J=6.6Hz,3H),4.06(s,3H),5.62-5.74(m,1H),7.38(d,J=9.3Hz,1H),7.93(d,J=9.3Hz,1H),7.95(d,J=6.3Hz,1H),8.46(d,J=6.3Hz,1H),9.14(s,1H)。
【0179】
(参考例12)
6−メトキシ−5−メチルカルボニルイソキノリン(参考化合物12)
【化41】

5−(1−ヒドロキシエチル)−6−メトキシイソキノリン(参考化合物11)14g(69mmol)の混合溶媒(水:アセトン=1:1(V/V))300ml溶液に撹拌下0℃でJone’s試薬を溶液に赤色が残るまで滴下し、終夜撹拌した。次いで反応溶液に撹拌下イソプロパノールを溶液の赤色が消失するまで滴下し、30分間撹拌した。
【0180】
反応終了後、反応溶液を減圧濃縮してアセトンを留去、炭酸ナトリウムを用いてpHを11に調整し、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;酢酸エチル)に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮することにより標記の化合物12gを淡黄色粉末として得た。(収率87%)
融点:113-115℃。
【0181】
Rf値:0.45(酢酸エチル)。
【0182】
マススペクトル(CI,m/z):202(M+1)。
【0183】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):2.65(s,3H),4.04(s,3H),7.39(d,J=9.0Hz,1H),7.66(ddd,J1=6.1Hz,J2=1.0Hz,J3=0.7Hz,1H),8.05(dd,J1=9.0Hz,J2=0.7Hz,1H),8.47(d,J=6.1Hz,1H),9.16(d,J=1.0Hz,1H)。
【0184】
(参考例13)
5−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−6−メトキシイソキノリン(参考化合物13)
【化42】

6−メトキシ−5−ホルミルイソキノリンの代わりに、6−メトキシ−5−メチルカルボニルイソキノリン(参考化合物12)750mg(3.7mmol)を用い、反応溶媒としてジメトキシエタンの代わりにテトラヒドロフランを用いた他は、(参考例11)と同様に反応させて標記の化合物620mgを白色粉末として得た。(収率77%)
Rf値:0.47(酢酸エチル)。
【0185】
マススペクトル(CI,m/z):218(M+1)。
【0186】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.88(s,6H),3.49(brs,1H),4.00(s,3H),7.35(d,J=9.0Hz,1H),7.88(d,J=9.0Hz,1H),8.38(d,J=6.3Hz,1H),8.59(d,J=6.3Hz,1H),9.09(s,1H)。
【0187】
(参考例14)
6−ヒドロキシ−2H−イソキノリン−1−オン(参考化合物14−1)
【化43】

1−クロロ−6−ヒドロキシイソキノリン(参考化合物6−5)72mg(0.40mmol)の酢酸2.0ml溶液に酢酸アンモニウム310mg(4.0mmol)を加え、100℃で3.5時間撹拌した。
【0188】
反応終了後、反応溶液を減圧濃縮した。残渣に水1.0mlを加え、生成した沈殿物を濾取することにより、標記の化合物66mgを白色粉末として得た。(収率 定量的)
Rf値:0.13(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0189】
マススペクトル(CI,m/z):162(M+1)。
【0190】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):6.36(d,J=7.1Hz,1H),6.86(d,J=2.4Hz,1H),6.90(dd,J1=8.8Hz,J2=2.4Hz,1H),7.05(dd,J1=7.1Hz,J2=5.6Hz,1H),8.01(d,J=8.8Hz,1H),9.90-10.60(m,1H),10.88(brs,1H)。
【0191】
以下、参考化合物14−1の製造方法に準じて、参考化合物14−2を製造した。
【0192】
6−ヒドロキシ−5−ニトロ−2H−イソキノリン−1−オン(参考化合物14−2)
性状:黄色粉末。
【0193】
マススペクトル(CI,m/z):207(M+1)。
【0194】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):6.16(d,J=7.3Hz,1H),7.12(d,J=9.0Hz,1H),7.28(dd,J1=7.3Hz,J2=3.5Hz,1H),8.21(d,J=9.0Hz,1H),11.35-11.50(m,1H),11.96(brs,1H)。
【0195】
(参考例15)
6−ヒドロキシ−1−(4−メトキシベンジルアミノ)イソキノリン(参考化合物15)
【化44】

1−クロロ−6−ヒドロキシイソキノリン(参考化合物6−5)72mg(0.40mmol)に4−メトキシベンジルアミン0.55g(4.0mmol)、濃塩酸0.050mlを加え10℃で4時間撹拌した。
【0196】
反応終了後、反応溶液を水に注加し、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:酢酸エチル=4:1(V/V))に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮することにより標記の化合物67mgを黄土色粉末として得た。(収率61%)
Rf値:0.20(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0197】
マススペクトル(CI,m/z):281(M+1)。
【0198】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):3.70(s,3H),4.62(d,J=5.6Hz,2H),6.68(d,J=5.9Hz,1H),6.84(d,J=8.8Hz,2H),6.89(d,J=2.4Hz,1H),6.96(dd,J1=9.0Hz,J2=2.4Hz,1H),7.27(d,J=8.8Hz,2H),7.60-7.70(m,2H),8.12(d,J=9.0Hz,1H),9.97(s,1H)。
【0199】
(参考例16)
1−アミノ−6−ヒドロキシイソキノリン 1トリフルオロ酢酸塩(参考化合物16)
【化45】

6−ヒドロキシ−1−(4−メトキシベンジルアミノ)イソキノリン(参考化合物15)1.1g(3.9mmol)にトリフルオロ酢酸30mlを加え、室温で1.5時間撹拌した。
【0200】
反応終了後、反応溶液を減圧濃縮した。残渣に酢酸エチル5.0mlを加え、生成した沈殿物を濾取することにより、標記の化合物0.93gを黄色粉末として得た。(収率86%)
Rf値:0.05(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=100:10:1(V/V/V))
マススペクトル(CI,m/z):161(M+1)。
【0201】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):7.06(d,J=7.0Hz,1H),7.15(d,J=2.4Hz,1H),7.22(dd,J1=9.2Hz,J2=2.4Hz,1H),7.54(d,J=7.0Hz,1H),8.39(d,J=9.2Hz,1H),8.70(brs,2H),11.13(brs,1H),12.65(brs,1H)。
【0202】
(参考例17)
2−ホルミルアミノ−2−(3−メトキシベンジル)マロン酸ジエチルエステル(参考化合物17)の合成
【化46】

水素化ナトリウム(鉱物油62.6%分散物)5.96g(155mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド200ml溶液に、アルゴン気流下、0℃で撹拌しながら2−ホルミルアミノマロン酸ジエチルエステル30.0g(148mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド50ml溶液を滴下した。滴下終了後、氷浴をはずし徐々に室温まで昇温した。次いで3−メトキシベンジルクロライド25.5g(163mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド50ml溶液を滴下した。室温で25分間撹拌後、60℃で3時間撹拌した。
【0203】
反応終了後、反応溶液を氷水700mlに注加し、酢酸エチル1200mlで抽出した。有機層を水、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた粗結晶を混合溶媒(酢酸エチル:n−ヘキサン=19:1(V/V))200mlで洗浄することにより、標記の化合物43.0gを白色粉末として得た。(収率90%)
Rf値:0.49(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0204】
マススペクトル(CI,m/z):324(M+1)。
【0205】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.30(t,J=7.1Hz,6H),3.64(s,2H),3.76(s,3H),4.28(q,J=7.1Hz,2H),4.29(q,J=7.1Hz,2H),6.58-6.64(m,2H),6.70-6.75(m,1H),6.76-6.80(m,1H),7.15-7.20(m,1H),8.19(d,J=1.2Hz,1H)。
【0206】
(参考例18)
6−メトキシ−4H−イソキノリン−3,3−ジカルボン酸ジエチルエステル(参考化合物18)の合成
【化47】

2−ホルミルアミノ−2−(3−メトキシベンジル)マロン酸ジエチルエステル(参考化合物17)42.6g(132mmol)にポリリン酸400gを加え、130℃で30分間撹拌した。
【0207】
反応終了後、反応溶液を水800mlに注加し、炭酸カリウムで中和後、酢酸エチル1100mlで抽出した。有機層を水、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1(V/V))に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮することにより、標記の化合物34.0gを黄色油状物として得た。(収率85%)
Rf値:0.24(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0208】
マススペクトル(CI,m/z):306(M+1)。
【0209】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.25(t,J=7.1Hz,6H),3.37(s,2H),3.84(s,3H),4.22(q,J=7.1Hz,2H),4.24(q,J=7.1Hz,2H),6.73(d,J=2.3Hz,1H),6.80(dd,J1=8.3Hz,J2=2.3Hz,1H),7.30(d,J=8.3Hz,1H),8.43(s,1H)。
【0210】
(参考例19)
3−カルボキシ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン(参考化合物19)の合成
【化48】

6−メトキシ−4H−イソキノリン−3,3−ジカルボン酸ジエチルエステル(参考化合物18)6.40g(21.0mmol)のエタノール130ml溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液130mlを加え、室温で1.5時間撹拌した。
【0211】
反応終了後、反応溶液に1N塩酸160mlを加えて酸性化し、混合溶媒(クロロホルム:メタノール=3:1(V/V))1200mlで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮し、標記の化合物1.13gを黄色粉末として得た。(収率26%)
マススペクトル(CI,m/z):206(M+1)。
【0212】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):3.40-3.46(m,2H),3.93(s,3H),5.05(t,J=6.9Hz,1H),7.12(dd,J1=8.5Hz,J2=2.4Hz,1H),7.18(d,J=2.4Hz,1H),7.97(d,J=8.5Hz,1H),9.17(s,1H),13.65(brs,1H)。
【0213】
(参考例20)
3−エトキシカルボニル−6−メトキシイソキノリン(参考化合物20)の合成
【化49】

3−カルボキシ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン(参考化合物19)1.13g(5.50mmol)のエタノール100ml溶液に濃硫酸1mlを加え、加熱還流条件で6時間撹拌した。
【0214】
反応終了後、反応溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、減圧濃縮した。得られた残渣に水100mlを加え、酢酸エチル400mlで抽出した。有機層を水、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた粗結晶891mgにトルエン30mlを加え、次いで2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン872mg(3.84mmol)を添加し、アルゴン気流下、室温で20分間撹拌した。
【0215】
反応終了後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50mlに注加し、トルエン150mlで抽出した。有機層を水、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1(V/V))に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮することにより、標記の化合物231mgを橙色粉末として得た。(収率18%)
Rf値:0.41(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0216】
マススペクトル(CI,m/z):232(M+1)。
【0217】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.49(t,J=7.1Hz,3H),3.98(s,3H),4.53(q,J=7.1Hz,2H),7.21(d,J=2.4Hz,1H),7.36(dd,J1=8.9Hz,J2=2.4Hz,1H),7.94(d,J=8.9Hz,1H),8.50(s,1H),9.20(s,1H)。
【0218】
(参考例21)
3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−6−ヒドロキシイソキノリン(化合物21)の合成
【化50】

6−ヒドロキシイソキノリン−3−カルボン酸(参考化合物6−6)270mg(1.00mmol)のtert−ブタノール8ml溶液にトリエチルアミン230mg(2.27mmol)のtert−ブタノール1ml溶液及びアジ化ジフェニルホスホリル420mg(1.53mmol)のtert−ブタノール1ml溶液を加え、アルゴン気流下、加熱還流条件で2.5時間撹拌した。
【0219】
反応終了後、反応液を減圧濃縮した。得られた残渣に水20mlを加え、酢酸エチル50mlで抽出した。有機層を水、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=6:1(V/V))に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮した。得られた粗結晶を混合溶媒(酢酸エチル:n−ヘキサン=9:1(V/V))10mlで洗浄することにより、標記の化合物を白色粉末として得た。
【0220】
Rf値:0.61(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V)))
(参考例22)
1−メチルアミノ−6−メトキシイソキノリン(参考化合物22)の合成
【化51】

1−クロロ−6−メトキシイソキノリン(R. A. Robinson et al.ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ( J. Am. Chem. Soc.), 69, 1939(1947)参照)50mg(0.26mmol)に、N−メチルホルムアミド5.0ml、水酸化カリウム0.14g(2.6mmol)を加え、150℃で30分間撹拌した。
【0221】
反応終了後、反応溶液を水100mlに注加し酢酸エチル100mlで2回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール=19:1(V/V))に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮することにより、標記の化合物を微黄色油状物として得た。
【0222】
Rf値:0.20(クロロホルム:メタノール=9:1(V/V))。
【0223】
マススペクトル(CI,m/z):189(M+1)。
【0224】
(実施例1)
6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]イソキノリン(化合物1−1)の合成
【化52】

4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)−1−(4,4,5,5−テトラメチル[1,3,2]ジオキサボロラニル)ベンゼン2.1g(5.8mmol)と6−ブロモイソキノリン300mg(1.4mmol)の混合物のジメトキシエタン30ml溶液に、アルゴン気流下テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム170mg(0.15mmol)、2M炭酸ナトリウム水溶液6.0mlを室温で順次添加し、加熱還流条件で2時間撹拌した。
【0225】
反応終了後、反応溶液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮することにより、標記の化合物520mgを白色粉末として得た。(収率 定量的)
Rf値:0.46(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0226】
マススペクトル(CI,m/z):363(M+1)。
【0227】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.40(brs,9H),1.68(s,6H),5.01(brs,1H),7.54(d,J=8.4Hz,2H),7.68(d,J=8.4Hz,2H),7.69(d,J=5.7Hz,1H),7.87(d,J=8.5Hz,1H),7.99(s,1H),8.03(d,J=8.5Hz,1H),8.54(d,J=5.7Hz,1H),9.27(s,1H)。
【0228】
以下、化合物1−1の製造方法に準じて、化合物1−2〜13を製造した。
【0229】
6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−ニトロイソキノリン(化合物1−2)
性状:薄茶色粉末。
【0230】
融点:166-169℃。
【0231】
Rf値:0.43(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0232】
マススペクトル(CI,m/z):408(M+1)。
【0233】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.38(brs,9H),1.66(s,6H),4.98(brs,1H),7.41-7.45(m,2H),7.50-7.54(m,2H),7.62(dd,J1=6.1Hz,J2=1.0Hz,1H),7.70(d,J=8.5Hz,1H),8.18(d,J=8.5Hz,1H),8.71(d,J=6.1Hz,1H),9.38(d,J=1.0Hz,1H)。
【0234】
6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(ヒドロキシスルホニル)イソキノリン(化合物1−3)
性状:茶色粉末。
【0235】
Rf値:0.50(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=4:1:0.01(V/V/V))。
【0236】
マススペクトル(FAB,m/z):443(M+1)。
【0237】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.36(brs,9H),1.56(s,6H),7.04(brs,1H),7.25-7.35(m,5H),8.01(d,J=7.8Hz,1H),8.48(d,J=6.3Hz,1H),8.94(d,J=6.3Hz,1H),9.23(s,1H)。
【0238】
6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−ホルミルイソキノリン(化合物1−4)
性状:淡黄色泡状物。
【0239】
Rf値:0.38(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0240】
マススペクトル(CI,m/z):391(M+1)。
【0241】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.40(brs,9H),1.69(s,6H),5.01(brs,1H),7.40-7.44(m,2H),7.54-7.58(m,2H),7.69(d,J=8.4Hz,1H),8.21(dd,J1=8.4Hz,J2=0.7Hz,1H),8.71(d,J=6.1Hz,1H),9.01(ddd,J1=6.1Hz,J2=1.0Hz,J3=0.7Hz,1H),9.32(d,J=1.0Hz,1H),10.17(s,1H)。
【0242】
6−[4−(1−ベンジルオキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−ホルミルイソキノリン(化合物1−5)
性状:黄色泡状物。
【0243】
マススペクトル(CI,m/z):425(M+1)。
【0244】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.73(s,6H),5.05(s,2H),5.26(brs,1H),7.28-7.42(m,5H),7.41(d,J=8.3Hz,2H),7.55(d,J=8.3Hz,2H),7.69(d,J=8.5Hz,1H),8.22(d,J=8.5Hz,1H),8.72(d,J=6.1Hz,1H),9.01(dd,J1=6.1Hz,J2=0.7Hz,1H),9.33(d,J=0.7Hz,1H),10.16(s,1H)。
【0245】
6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(1−メチルビニル)イソキノリン(化合物1−6)
性状:淡黄色粉末。
【0246】
融点:158-161℃。
【0247】
Rf値:0.59(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0248】
マススペクトル(CI,m/z):403(M+1)。
【0249】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.38(brs,9H),1.68(s,6H),1.74-1.78(m,3H),4.95(brs,1H),5.05-5.06(m,1H),5.48-5.50(m,1H),7.40-7.46(m,4H),7.56(d,J=8.4Hz,1H),7.90(d,J=6.0Hz,1H),7.93(d,J=8.4Hz,1H),8.53(d,J=6.0Hz,1H),9.25(s,1H)。
【0250】
6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−メチルカルボニルイソキノリン(化合物1−7)
性状:微黄色粉末。
【0251】
融点:205-206℃。
【0252】
Rf値:0.42(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0253】
マススペクトル(CI,m/z):405(M+1)。
【0254】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.38(brs,9H),1.67(s,6H),2.05(s,3H),4.99(brs,1H),7.40-7.45(m,2H),7.50-7.55(m,2H),7.67(d,J=8.4Hz,1H),7.69(d,J=6.0Hz,1H),8.08(d,J=8.4Hz,1H),8.59(d,J=6.0Hz,1H),9.31(s,1H)。
【0255】
6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン(化合物1−8)
性状:白色粉末。
【0256】
Rf値:0.40(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0257】
マススペクトル(CI,m/z):379(M+1)。
【0258】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.35(brs,9H),1.54(s,6H),6.61(d,J=7.1Hz,1H),7.10-7.30(m,2H),7.46(d,J=8.5Hz,2H),7.72(d,J=8.5Hz,2H),7.78(dd,J1=8.5Hz,J2=1.7Hz,1H),7.94(d,J=1.7Hz,1H),8.23(d,J=8.5Hz,1H),11.21(brs,1H)。
【0259】
6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−ニトロ−2H−イソキノリン−1−オン(化合物1−9)
性状:白色粉末。
【0260】
Rf値:0.50(酢酸エチル:n−ヘキサン=4:1(V/V))。
【0261】
マススペクトル(CI,m/z):424(M+1)。
【0262】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.28(brs,9H),1.52(s,6H),6.25(d,J=7.4Hz,1H),7.25(brs,1H),7.35-7.46(m,4H),7.63(d,J=8.3Hz,1H),8.43(d,J=8.3Hz,1H),11.74(brs,1H)。
【0263】
6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−(4−メトキシベンジルアミノ)イソキノリン(化合物1−10)
性状:黄色泡状物。
【0264】
Rf値:0.60(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0265】
マススペクトル(CI,m/z):498(M+1)。
【0266】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.39(brs,9H),1.67(s,6H),3.82(s,3H),4.65(d,J=4.6Hz,2H),4.98(brs,1H),5.30-5.40(m,1H),6.89-6.94(m,2H),7.02(d,J=5.7Hz,1H),7.36-7.40(m,2H),7.51(dd,J1=8.8Hz,J2=2.2Hz,2H),7.64(dd,J1=8.8Hz,J2=2.2Hz,2H),7.68(dd,J1=8.7Hz,J2=1.7Hz,3H),7.78(d,J=8.7Hz,1H),7.94(d,J=1.7Hz,1H),8.16(d,J=5.7Hz,1H)。
【0267】
1−アミノ−6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]イソキノリン(化合物1−11)
Rf値:0.15(酢酸エチル:n−ヘキサン=4:1(V/V))。
【0268】
マススペクトル(CI,m/z):378(M+1)。
【0269】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.35(brs,9H),1.54(s,6H),6.77(brs,2H),6.96(d,J=5.9Hz,1H),7.23(brs,1H),7.45(d,J=8.3Hz,2H),7.74(d,J=8.3Hz,2H),7.78-7.81(m,2H),7.96(d,J=1.7Hz,1H),8.25(d,J=8.8Hz,1H)。
【0270】
3−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ)−6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]イソキノリン(化合物1−12)
性状:白色粉末。
【0271】
Rf値:0.17(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1(V/V))。
【0272】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.39(brs,9H),1.60(s,9H),1.68(s,6H),4.98(brs,1H),7.41(brs,1H),7.51-7.54(m,2H),7.64-7.72(m,3H),7.90-7.95(m,2H),8.27(s,1H),8.94(s,1H)。
【0273】
6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−(メチルアミノ)イソキノリン(化合物1−13)
性状:無色油状物。
【0274】
Rf値:0.45(酢酸エチル:n−ヘキサン=4:1(V/V))。
【0275】
マススペクトル(CI,m/z):392(M+1)。
【0276】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.40(brs,9H),1.68(s,6H),3.20(d,J=4.6Hz,3H),4.99(brs,1H),5.25-5.40(m,1H),6.98(d,J=5.7Hz,1H),7.51(dd,J1=8.8Hz,J2=2.2Hz,2H),7.65(dd,J1=8.8Hz,J2=2.2Hz,2H),7.70(dd,J1=8.5Hz,J2=1.7Hz,1H),7.79(d,J=8.5Hz,1H),7.86(d,J=1.7Hz,1H),8.05(d,J=5.7Hz,1H)。
【0277】
(実施例2)
6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]イソキノリン 2塩酸塩(化合物2−1)の合成
【化53】

6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]イソキノリン(化合物1−1)520mg(1.3mmol)のメタノール10ml溶液に4N塩化水素/1,4−ジオキサン溶液2.0mlを撹拌下0℃で滴下し、室温で終夜撹拌した。
【0278】
反応終了後、反応溶液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=5:1:0.01(V/V/V))に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮した。残渣に4N塩化水素/1,4−ジオキサン溶液を添加し、減圧濃縮して得られた粗結晶をメタノール−ジエチルエーテルより再沈殿した。生成した固体を濾取、ジエチルエーテルで洗浄、乾燥することにより標記の化合物390mgを微黄色粉末として得た。(収率81%)
融点:273-274℃。
【0279】
Rf値:0.70(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=5:1:0.01(V/V/V))。
【0280】
マススペクトル(CI,m/z):263(M+1)。
【0281】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.71(s,6H),7.80(d,J=8.5Hz,2H),8.03(d,J=8.5Hz,2H),8.37(d,J=8.8Hz,1H),8.41(d,J=6.5Hz,1H),8.58(d,J=8.8Hz,1H),8.64(s,1H),8.68(d,J=6.5Hz,1H),8.74-8.90(m,3H),9.82(s,1H)。
【0282】
以下、化合物2−1の製造方法に準じて、化合物2−2〜6、8〜20を製造した。
【0283】
6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−ニトロイソキノリン 2塩酸塩(化合物2−2)
性状:微黄色粉末。
【0284】
融点:282-283℃。
【0285】
Rf値:0.70(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=5:1:0.01(V/V/V))。
【0286】
マススペクトル(CI,m/z):308(M+1)。
【0287】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.70(s,6H),7.60(dd,J1=8.7Hz,J2=2.1Hz,2H),7.79(dd,J1=8.7Hz,J2=2.1Hz),7.82(d,J=6.2Hz,1H),7.98(d,J=8.6Hz,1H),8.63(d,J=8.6Hz,1H),8.78(d,J=6.2Hz,1H),8.80-8.89(m,3H),9.73(s,1H)。
【0288】
5−アミノ−6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]イソキノリン 3塩酸塩(化合物2−3)
性状:黄色粉末。
【0289】
融点:230-233℃。
【0290】
Rf値:0.39(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=5:1:0.01(V/V/V))。
【0291】
マススペクトル(CI,m/z):278(M+1)。
【0292】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.71(s,6H),7.63(d,J=8.5Hz,2H),7.67(d,J=8.3Hz,1H),7.76(d,J=8.5Hz,2H),7.79(d,J=8.3Hz,1H),8.61(d,J=7.1Hz,1H),8.77(d,J=7.1Hz,1H),8.78-8.87(m,3H),9.75(s,1H)。
【0293】
6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(ヒドロキシスルホニル)イソキノリン 1塩酸塩(化合物2−4)
性状:緑色粉末。
【0294】
Rf値:0.12(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=5:1:0.01(V/V/V))。
【0295】
マススペクトル(FAB,m/z):343(M+1)。
【0296】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.69(s,6H),7.51(d,J=8.8Hz,2H),7.56(d,J=8.8Hz,2H),7.67(d,J=8.4Hz,1H),8.39(d,J=8.4Hz,1H),8.52-8.65(m,3H),8.69(d,J=7.1Hz,1H),9.43(d,J=7.1Hz,1H),9.79(s,1H)。
【0297】
6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(ヒドロキシイミノメチル)イソキノリン 2塩酸塩(化合物2−5)
異性体1/異性体2=4/1混合物。
【0298】
性状:白色粉末。
【0299】
融点:210℃以上(分解)。
【0300】
Rf値:0.42(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=5:1:0.01(V/V/V))。
【0301】
マススペクトル(CI,m/z):306(M+1)。
【0302】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):異性体1 1.72(s,6H),7.56(d,J=8.4Hz,2H),7.78(d,J=8.4Hz,2H),7.92(d,J=8.4Hz,1H),8.19(s,1H),8.52(d,J=8.4Hz,1H),8.76(d,J=6.6Hz,1H),8.80(brs,3H),8.98(d,J=6.6Hz,1H),9.82(s,1H),11.85(brs,1H)、異性体2 1.70(s,6H),7.61(d,J=8.4Hz,2H),7.72(d,J=8.4Hz,2H),7.86(s,1H),7.93(d,J=6.9Hz,1H),8.00(d,J=8.4Hz,1H),8.56(d,J=8.4Hz,1H),8.70(d,J=6.9Hz,1H),8.84(brs,3H),9.85(s,1H),11.71(s,1H)。
【0303】
6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−シアノイソキノリン 2塩酸塩(化合物2−6)
性状:白色粉末。
【0304】
融点:290℃以上(分解)。
【0305】
Rf値:0.42(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=5:1:0.01(V/V/V))。
【0306】
マススペクトル(CI,m/z):288(M+1)。
【0307】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.73(s,6H),7.83(dd,J1=8.8Hz,J2=2.2Hz,2H),7.88(dd,J1=8.8Hz,J2=2.2Hz,2H),8.02(d,J=8.3Hz,1H),8.13(d,J=6.0Hz,1H),8.66(d,J=8.3Hz,1H),8.78(brs,3H),8.84(d,J=6.0Hz,1H),9.67(s,1H)。
【0308】
5−アミノカルボキシ−6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]イソキノリン 2塩酸塩(化合物2−7)
反応溶媒としてメタノールの代わりに塩化メチレンを用い、反応試薬として4N塩化水素/1,4−ジオキサン溶液の代わりに30%臭化水素酸/酢酸溶液を用いた他は化合物2−1の製造方法に準じて標記の化合物を得た。
【0309】
性状:淡黄色泡状物。
【0310】
マススペクトル(CI,m/z):306(M+1)。
【0311】
1H−NMRスペクトル(CD3OD,δppm):1.58(s,6H),7.63(s,4H),7.74(d,J=8.5Hz,1H),7.94(d,J=6.1Hz,1H),8.23(d,J=8.5Hz,1H),8.53(d,J=6.1Hz,1H),9.30(s,1H)。
【0312】
6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(1−メチルビニル)イソキノリン 2塩酸塩(化合物2−8)
性状:薄黄色粉末。
【0313】
融点:280℃以上。
【0314】
Rf値:0.31(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=5:1:0.01(V/V/V))。
【0315】
マススペクトル(CI,m/z):303(M+1)。
【0316】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.70(s,6H),1.79-1.81(m,3H),5.13-5.14(m,1H),5.61-5.62(m,1H),7.59(d,J=8.5Hz,2H),7.71(d,J=8.5Hz,2H),7.88(d,J=8.5Hz,1H),8.27(d,J=6.6Hz,1H),8.48(d,J=8.5Hz,1H),8.69(d,J=6.6Hz,1H),8.81(brs,3H),9.86(s,1H)。
【0317】
6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−メチルカルボニルイソキノリン 2塩酸塩(化合物2−9)
性状:白色粉末。
【0318】
融点:273-276℃(分解)。
【0319】
Rf値:0.23(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=5:1:0.01(V/V/V))。
【0320】
マススペクトル(CI,m/z):305(M+1)。
【0321】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.70(s,6H),2.14(s,3H),7.55(d,J=8.5Hz,2H),7.76(d,J=8.5Hz,2H),7.90(d,J=6.2Hz,1H),7.92(d,J=8.5Hz,1H),8.51(d,J=8.5Hz,1H),8.67(d,J=6.2Hz,1H),8.68-8.80(m,3H),9.71(s,1H)。
【0322】
6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(1−ヒドロキシエチル)イソキノリン 2塩酸塩(化合物2−10)
性状:白色粉末。
【0323】
融点:290℃以上(分解)。
【0324】
Rf値:0.17(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=5:1:0.01(V/V/V))。
【0325】
マススペクトル(CI,m/z):307(M+1)。
【0326】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.55(d,J=6.8Hz,3H),1.72(s,6H),5.19(q,J=6.8Hz,1H),7.51(d,J=8.4Hz,2H),7.68(d,J=8.3Hz,1H),7.75(d,J=8.4Hz,2H),8.36(d,J=8.3Hz,1H),8.66(d,J=6.7Hz,1H),8.69-8.82(m,3H),9.11(d,J=6.7Hz,1H),9.78(s,1H)。
【0327】
6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン 1塩酸塩(化合物2−11)
性状:白色粉末。
【0328】
融点:300℃以上
Rf値:0.15(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=100:10:1(V/V/V))。
【0329】
マススペクトル(CI,m/z):279(M+1)。
【0330】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.68(s,6H),6.61(d,J=7.1Hz,1H),7.21(dd,J1=7.1Hz,J2=5.6Hz,1H),7.69(d,J=8.5Hz,2H),7.81(dd,J1=8.3Hz,J2=1.7Hz,1H),7.88(d,J=8.5Hz,2H),7.99(d,J=1.7Hz,1H),8.25(d,J=8.3Hz,1H),8.56(brs,3H),11.20-11.35(m,1H)。
【0331】
6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−4−ブロモ−2H−イソキノリン−1−オン 1塩酸塩(化合物2−12)
性状:白色粉末。
【0332】
Rf値:0.30(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=100:10:1(V/V/V))。
【0333】
マススペクトル(CI,m/z):357,359(M+1)。
【0334】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.68(s,6H),7.62(s,1H),7.71(d,J=8.5Hz,2H),7.86-7.94(m,4H),8.33(d,J=8.1Hz,1H),8.48(brs,3H),11.63(brs,1H)。
【0335】
6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−ニトロ−2H−イソキノリン−1−オン 1塩酸塩(化合物2−13)
性状:黄色粉末。
【0336】
融点:288-290℃(分解)。
【0337】
Rf値:0.25(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=100:10:1(V/V/V))。
【0338】
マススペクトル(CI,m/z):324(M+1)。
【0339】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.66(s,6H),6.27(d,J=7.7Hz,1H),7.44(d,J=7.7Hz,1H),7.53(d,J=8.5Hz,2H),7.64(d,J=8.3Hz,1H),7.70(d,J=8.5Hz,2H),8.35(brs,1H),8.47(d,J=8.3Hz,1H),11.79(brs,1H)。
【0340】
6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−エチルアミノ−2H−イソキノリン−1−オン 1塩酸塩(化合物2−14)
性状:淡黄色粉末。
【0341】
Rf値:0.30(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=100:10:1(V/V/V))。
【0342】
マススペクトル(CI,m/z):322(M+1)。
【0343】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):0.88(t,J=7.1Hz,3H),1.69(s,6H),2.80(q,J=7.1Hz,2H),3.17(s,1H),6.87(d,J=7.6Hz,1H),7.17-7.23(m,2H),7.58(d,J=8.4Hz,2H),7.66(d,J=8.4Hz,2H),7.83(d,J=8.2Hz,1H),8.50-8.75(m,3H),11.20-11.35(m,1H)。
【0344】
5−アミノ−6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン 1塩酸塩(化合物2−15)
性状:白色粉末。
【0345】
マススペクトル(CI,m/z):294(M+1)。
【0346】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.70(s,6H),3.17(s,2H),6.80(d,J=7.6Hz,1H),7.11-7.15(m,2H),7.53-7.58(m,3H),7.69(d,J=8.5Hz,2H),8.50-8.80(m,3H),11.15-11.25(m,1H)。
【0347】
6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(ピロール−1−イル)−2H−イソキノリン−1−オン 1塩酸塩(化合物2−16)
性状:白色粉末。
【0348】
Rf値:0.30(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=100:10:1(V/V/V))。
【0349】
マススペクトル(CI,m/z):344(M+1)。
【0350】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.59(s,6H),5.74(d,J=7.3Hz,1H),6.17(dd,J1=2.2Hz,J2=2.2Hz,2H),6.80(dd,J1=2.2Hz,J2=2.2Hz,2H),7.20-7.25(m,1H),7.31(d,J=8.5Hz,1H),7.47(d,J=8.5Hz,1H),7.60(d,J=8.3Hz,1H)8.10-8.50(m,4H),11.40-11.60(m,1H)。
【0351】
6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−(4−メトキシベンジルアミノ)イソキノリン 2塩酸塩(化合物2−17)
性状:薄桃色粉末。
【0352】
Rf値:0.30(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=100:10:1(V/V/V))。
【0353】
マススペクトル(CI,m/z):398(M+1)。
【0354】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.70(s,6H),3.74(s,3H),4.86(d,J=4.9Hz,1H),6.92-6.97(m,2H),7.29(d,J=6.8Hz,1H),7.44(d,J=8.8Hz,2H),7.68(d,J=6.8Hz,1H),7.75(d,J=8.5Hz,2H),7.98(d,J=8.5Hz,2H),8.17(d,J=8.8Hz,1H),8.34(s,1H),8.70-8.90(m,4H),10.20-10.45(m,1H),13.17(brs,1H)。
【0355】
1−アミノ−6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]イソキノリン 2塩酸塩(化合物2−18)
性状:白色粉末。
【0356】
融点:300℃以上
Rf値:0.25(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=100:10:1(V/V/V))。
【0357】
マススペクトル(CI,m/z):278(M+1)。
【0358】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.70(s,6H),7.27(d,J=7.1Hz,1H),
7.74(d,J=7.1Hz,1H),7.77(d,J=8.5Hz,2H),7.97(d,J=8.5Hz,2H),8.15(dd,J1=8.8Hz,J2=1.8Hz,1H),8.32(d,J=1.8Hz,1H),8.72(d,J=8.8Hz,1H)8.85(brs,3H),9.23(brs,2H),13.5(brs,1H)。
【0359】
3−アミノ−6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]イソキノリン(化合物2−19)
性状:白色粉末。
【0360】
Rf値:0.30(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=100:10:1(V/V/V))
マススペクトル(CI,m/z):278(M+1)。
【0361】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.41(s,6H),5.92(brs,2H),6.67(s,2H),7.45(dd,J1=8.5Hz,J2=1.7Hz,1H),7.64(d,J=8.7Hz,2H),7.70(d,J=8.7Hz,1H),7.72-7.78(m,1H),7.86(d,J=8.5Hz,1H),8.81(s,1H)。
【0362】
6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−(メチルアミノ)イソキノリン 2塩酸塩(化合物2−20)
性状:白色粉末。
【0363】
Rf値:0.40(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=100:10:1(V/V/V))。
【0364】
マススペクトル(CI,m/z):292(M+1)。
【0365】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.70(s,6H),3.19(d,J=4.6Hz,3H),7.26(d,J=7.1Hz,1H),7.68(d,J=7.1Hz,1H),7.76(d,J=8.7Hz,2H),7.97(d,J=8.7Hz,2H),8.15(dd,J1=8.8Hz,J2=2.0Hz,1H),8.32(d,J=2.0Hz,1H),8.70-8.90(m,4H),10.05-10.25(m,1H),12.95(brs,1H)。
【0366】
(実施例3)
5−アミノ−6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]イソキノリン(化合物3)の合成
【化54】

6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−ニトロイソキノリン(化合物1−2)230mg(0.56mmol)のエタノール10ml溶液に室温で10%パラジウム−活性炭66mgを添加し、水素雰囲気下終日撹拌した。
【0367】
反応終了後、反応液をセライト(商品名)濾過し、溶液を減圧濃縮した。得られた残渣を分取HPLC(溶離液;0.03容量%トリフルオロ酢酸水溶液:アセトニトリル=1:1(V/V))に付し、目的物を含む画分を水酸化カリウム水溶液で中和後、減圧濃縮によりアセトニトリルを留去し、酢酸エチルで抽出を行った。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮することにより、標記の化合物81mgを薄茶色泡状物として得た。(収率38%)
Rf値:0.34(クロロホルム:メタノール=20:1(V/V))。
【0368】
マススペクトル(CI,m/z):378(M+1)。
【0369】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.41(brs,9H),1.69(s,6H),4.37(brs,2H),5.01(brs,1H),7.40-7.49(m,4H),7.51-7.56(m,2H),7.62(d,J=6.0Hz,1H),8.52(d,J=6.0Hz,1H),9.19(s,1H)。
【0370】
(実施例4)
6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(ヒドロキシメチル)イソキノリン(化合物4)の合成
【化55】

6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−ホルミルイソキノリン(化合物1−4)8.0mg(0.020mmol)のメタノール1.0ml溶液に水素化ホウ素ナトリウム4.0mg(0.11mmol)を撹拌下室温で添加し、30分間撹拌した。
【0371】
反応終了後、反応溶液を減圧濃縮し、水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;酢酸エチル)に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮することにより標記の化合物4.7mgを無色油状物として得た。(収率59%)
マススペクトル(CI,m/z):393(M+1)。
【0372】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.40(brs,9H),1.69(s,6H),5.02(brs,1H),5.03(s,2H),7.40-7.44(m,2H),7.50-7.54(m,2H),7.57(d,J=8.4Hz,1H),7.97(d,J=8.4Hz,1H),8.10(d,J=6.0Hz,1H),8.63(d,J=6.0Hz,1H),9.28(s,1H)。
【0373】
(実施例5)
6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(ヒドロキシメチル)イソキノリン 2トリフルオロ酢酸塩(化合物5−1)
【化56】

6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(ヒドロキシメチル)イソキノリン(化合物4)7.0mg(0.18mmol)の塩化メチレン2.0ml溶液にトリフルオロ酢酸1.0mlを室温で滴下し、室温で終夜撹拌した。
【0374】
反応終了後、反応溶液を減圧濃縮して、残渣をメタノール−ジエチルエーテルより再沈殿した。生成した固体を濾取、ジエチルエーテルで洗浄、乾燥することにより標記の化合物3.0mgを薄褐色粉末として得た。(収率32%)
Rf値:0.33(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=5:1:0.01(V/V/V))。
【0375】
マススペクトル(CI,m/z):293(M+1)。
【0376】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.70(s,6H),4.79(s,2H),7.64-7.71(m,5H),8.23(d,J=8.3Hz,1H),8.28(d,J=6.5Hz,2H),8.46(brs,3H),8.66(d,J=6.5Hz,1H),9.45(s,1H)。
【0377】
以下、化合物5−1の製造方法に準じて、化合物5−2を製造した。
【0378】
6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(アミノメチル)イソキノリン 3トリフルオロ酢酸塩(化合物5−2)
性状:薄褐色油状物。
【0379】
Rf値:0.19(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=5:1:0.01(V/V/V))。
【0380】
マススペクトル(CI,m/z):292(M+1)。
【0381】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.70(s,6H),4.36-4.52(m, 2H),7.58(d,J=8.4Hz,2H),7.63(d,J=8.4Hz,1H),7.71(d,J=8.4Hz,2H),8.16(d,J=6.1Hz,1H),8.30(d,J=8.4Hz,1H),8.31(brs,3H),8.56(brs,3H),8.73(d,J=6.1Hz,1H),9.48(s,1H)。
【0382】
6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−カルボキシイソキノリン 1トリフルオロ酢酸塩(化合物5−3)
6−[4−(1−ベンジルオキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−カルボキシイソキノリン(化合物9)15mg(0.035mmol)のメタノール2.0ml溶液に10%パラジウム−活性炭3.0mgを室温で添加し、水素雰囲気下6時間撹拌した。
【0383】
反応終了後、反応溶液をセライト濾過し、減圧濃縮した。得られた残渣を分取HPLC(溶離液;0.03容量%トリフルオロ酢酸水溶液:アセトニトリル=9:1(V/V))に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮することにより標記の化合物3.7mgを薄褐色油状物として得た。(収率25%)
Rf値:0.07(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=5:1:0.01(V/V/V))。
【0384】
マススペクトル(CI,m/z):307(M+1)。
【0385】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.68(s,6H),7.64(d,J=9.0Hz,2H),7.68(d,J=9.0Hz,2H),7.77(d,J=8.3Hz,1H),7.82(d,J=6.0Hz,1H),8.34(d,J=8.3Hz,1H),8.47(brs,3H),8.65(d,J=6.0Hz,1H),9.49(s,1H),13.75(brs,1H)。
【0386】
(実施例6)
5−アミノメチル−6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]イソキノリン(化合物6)の合成
【化57】

6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−ホルミルイソキノリン(化合物1−4)80mg(0.21mmol)のメタノール1ml溶液に酢酸アンモニウム30mg(0.39mmol)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム80mg(0.38mmol)を室温で撹拌下順次添加し、2時間撹拌した。
【0387】
反応終了後、反応溶液を減圧濃縮し、水を加えてクロロホルムで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール=9:1(V/V))に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮することにより標記の化合物8.8mgを茶褐色油状物として得た。(収率11%)
マススペクトル(CI,m/z):392(M+1)。
【0388】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.40(brs,9H),1.69(s,6H),4.22(s,2H),5.09(brs,1H),7.33-7.38(m,2H),7.49-7.55(m,3H),7.94(d,J=8.4Hz,1H),8.02(d,J=6.1Hz,1H),8.62(d,J=6.1Hz,1H),9.29(s,1H)。
【0389】
(実施例7)
6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(ヒドロキシイミノメチル)イソキノリン(化合物7)の合成
【化58】

6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−ホルミルイソキノリン(化合物1−4)850mg(2.2mmol)のエタノール15ml溶液にアルゴン気流下ヒドロキシルアミン塩酸塩1.2g(17mmol)、トリエチルアミン3.0ml(21mmol)を撹拌下室温で順次添加し、加熱還流条件で40分間撹拌した。
【0390】
反応終了後、反応溶液を減圧濃縮し、水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮することにより標記の化合物750mgを白色粉末として得た。(収率85%)
融点:212-214℃。
【0391】
Rf値:0.26(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0392】
マススペクトル(CI,m/z):406(M+1)。
【0393】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.40(brs,9H),1.69(s,6H),5.02(brs,1H),7.34-7.39(m,2H),7.50-7.55(m,2H),7.62(d,J=8.4Hz,1H),8.02(d,J=8.4Hz,1H),8.16(brs,1H),8.32(s,1H),8.62(d,J=6.1Hz,1H),8.74(d,J=6.1Hz,1H),9.29(s,1H)。
【0394】
(実施例8)
6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−シアノイソキノリン(化合物8)の合成
【化59】

6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(ヒドロキシイミノメチル)イソキノリン(化合物7)680mg(1.7mmol)のテトラヒドロフラン溶液にアルゴン気流下トリエチルアミン2.3ml(17mmol)、トリフルオロ酢酸無水物1.2ml(8.5mmol)を撹拌下0℃で順次滴下し、40分間撹拌した。次いで反応溶液に28%アンモニア水10mlを撹拌下0℃で滴下し、20分間撹拌した。
【0395】
反応終了後、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮することにより標記の化合物650mgを淡黄色粉末として得た。(収率 定量的)
融点:178-179℃。
【0396】
Rf値:0.37(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0397】
マススペクトル(CI,m/z):388(M+1)。
【0398】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.41(brs,9H),1.70(s,6H),5.01(brs,1H),7.58-7.62(m,2H),7.65-7.69(m,2H),7.77(d,J=8.7Hz,1H),8.12(ddd,J1=6.1Hz,J2=1.0Hz,J3=0.7Hz,1H),8.24(dd,J1=8.7Hz,J2=1.0Hz,1H),8.77(d,J=6.1Hz,1H),9.37(d,J=0.7Hz,1H)。
【0399】
(実施例9)
6−[4−(1−ベンジルオキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−カルボキシイソキノリン(化合物9)の合成
【化60】

6−[4−(1−ベンジルオキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−ホルミルイソキノリン(化合物1−5)15mg(0.035mmol)のアセトン2.0ml溶液に撹拌下0℃でJone’s試薬を溶液に赤色が残るまで滴下し、30分間撹拌した。
【0400】
反応終了後、反応溶液をセライト濾過し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール=9:1(V/V))に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮することにより標記の化合物15mgを黄色泡状物として得た。(収率 定量的)
マススペクトル(CI,m/z):441(M+1)。
【0401】
(実施例10)
5−アミノカルボニル−6−[4−(1−ベンジルオキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]イソキノリン(化合物10)の合成
【化61】

6−[4−(1−ベンジルオキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−カルボキシイソキノリン(化合物9)13mg(0.030mmol)の塩化メチレン1.0ml溶液に、アルゴン気流下塩化チオニル0.50mlを撹拌下室温で滴下し、加熱還流条件で1時間撹拌した。その後反応溶液を減圧濃縮し、残査のテトラヒドロフラン1.0ml溶液に28%アンモニア水0.50mlを撹拌下室温で滴下し、30分間撹拌した。
【0402】
反応終了後、反応溶液を減圧濃縮することにより標記の化合物13mgを黄色油状物として得た。(収率 定量的)
マススペクトル(CI,m/z):440(M+1)。
【0403】
(実施例11)
6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(ヒドロキシエチル)イソキノリン(化合物11)の合成
【化62】

6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−メチルカルボニルイソキノリン(化合物1−7)350mg(0.87mmol)のエタノール10ml溶液に撹拌下0℃で水素化ホウ素ナトリウム50mg(1.3mmol)を分割添加し、室温まで徐々に戻しながら1時間撹拌した。
【0404】
反応終了後、反応溶液を減圧濃縮し、残渣に水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮することにより標記の化合物230mgを白色泡状物として得た。(収率65%)
Rf値:0.26(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))。
【0405】
マススペクトル(CI,m/z):407(M+1)。
【0406】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.39(brs,9H),1.68(s,6H),1.72(d,J=6.8Hz,3H),5.01(brs,1H),5.42(q,J=6.8Hz,1H),7.25(d,J=8.5Hz,2H),7.41(d,J=8.2Hz,1H),7.47(d,J=8.5Hz,2H),7.86(d,J=8.2Hz,1H),8.51(d,J=6.2Hz,1H),8.63(d,J=6.2Hz,1H),9.22(s,1H)。
【0407】
(実施例12)
4−ブロモ−6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン(化合物12)の合成
【化63】

6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン(化合物1−8)38mg(0.10mmol)の酢酸2.0ml溶液に、酢酸ナトリウム14mg(0.17mmol)、臭素5.0μl(0.10mmol)を加え、室温で30分間撹拌した。
【0408】
反応終了後、反応溶液に飽和重曹水を加えpHを7に調整し、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1(V/V))に付し、目的物を含む画分を減圧濃縮することにより標記の化合物17mgを白色粉末として得た。(収率37%)
Rf値:0.40(酢酸エチル:n−ヘキサン=4:1(V/V))。
【0409】
マススペクトル(CI,m/z):457(M+1)。
【0410】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm):1.39(brs,9H),1.66(s,6H),4.98(brs,1H),5.24(d,J=2.6Hz,1H),6.61(d,J=2.6Hz,1H),7.49(d,J=8.5Hz,2H),7.55-7.65(m,3H),7.71(dd,J1=8.3Hz,J2=1.8Hz,1H),8.22(d,J=8.3Hz,1H)。
【0411】
(実施例13)
6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−エチルアミノ−2H−イソキノリン−1−オン(化合物13)の合成
【化64】

6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−ニトロ−2H−イソキノリン−1−オン(化合物1−9)70mg(0.17mmol)のエタノール10ml溶液に、5%パラジウム−炭素粉末30mgを懸濁させ、水素雰囲気下55℃で8.5時間撹拌した。
【0412】
その後、反応溶液をセライト濾過し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1(V/V))に付し、低極性(Rf値:0.30(酢酸エチル:n−ヘキサン=4:1(V/V)))の画分を減圧濃縮することにより標記の化合物10mgを白色粉末として得た。(収率14%)
Rf値:0.30(酢酸エチル:n−ヘキサン=4:1(V/V))。
【0413】
マススペクトル(CI,m/z):422(M+1)。
【0414】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):0.87(t,J=7.1Hz,3H),1.33(brs,9H),1.54(s,6H),2.72-2.81(m,2H),4.25-4.35(m,1H),6.81(d,J=7.6Hz,1H),7.05-7.25(m,3H),7.35-7.50(m,4H),7.78(d,J=8.2Hz,1H),11.19(brs,1H)。
【0415】
(実施例14)
5−アミノ−6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン(化合物14)の合成
【化65】

(実施例13)において、高極性(Rf値:0.25(酢酸エチル:n−ヘキサン=4:1(V/V)))の画分を減圧濃縮することにより標記の化合物32mgを白色粉末として得た。(収率48%)
Rf値:0.25(酢酸エチル:n−ヘキサン=4:1(V/V))。
【0416】
マススペクトル(CI,m/z):394(M+1)。
【0417】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.35(brs,9H),1.55(s,6H),5.11(brs,2H),6.78(d,J=7.3Hz,1H),7.00-7.35(m,3H),7.39(d,J=8.4Hz,2H),7.46(d,J=8.4Hz,2H),7.53(d,J=8.1Hz,1H),11.05-11.20(m,1H)。
【0418】
(実施例15)
6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(ピロール−1−イル)−2H−イソキノリン−1−オン(化合物15)の合成
【化66】

5−アミノ−6−[4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチルエチル)フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン(化合物14)20mgのメタノール溶液2.0mlに、酢酸2.0ml、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン1.0mlを加え、60℃で1時間撹拌した。
【0419】
反応終了後、反応溶液に飽和重曹水を加えpHを7に調整した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した後、粗結晶を混合溶媒(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1(V/V))で洗浄することにより、標記の化合物14mgを白色粉末として得た。(取率61%)
Rf値:0.75(酢酸エチル)。
【0420】
マススペクトル(CI,m/z):444(M+1)。
【0421】
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.32(brs,9H),1.46(s,6H),5.76(d,J=8.2Hz,1H),6.14(dd,J1=2.2Hz,J2=2.0Hz,2H),6.75(dd,J1=2.2Hz,J2=2.0Hz,2H),7.00-7.30(m,5H),7.60(d,J=8.2Hz,1H),8.31(d,J=9.0Hz,1H),11.42(brs,1H)。
【0422】
[製剤例]
[製剤例]
本発明化合物の一般的な製剤例を以下に示す。
【0423】
1)錠剤
処方1 100mg中
本発明化合物 1mg
乳糖 66.4mg
トウモロコシデンプン 20mg
カルボキシメチルセルロースカルシウム 6mg
ヒドロキシプロピルセルロース 4mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6mg
上記処方の錠剤に、コーティング剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール、シリコーン樹脂等通常のコーティング剤)2mgを用いてコーティングを施し、目的とするコーティング錠を得る(以下の処方の錠剤も同じ)。また、本発明化合物ならびに添加物の種類および量を適宜変更することにより、所望の錠剤を得ることができる。
【0424】
2)カプセル剤
処方2 150mg中
本発明化合物 5mg
乳糖 145mg
本発明化合物と乳糖の混合比を適宜変更することにより、所望のカプセル剤を得ることができる。
【0425】
3)点眼剤
処方3 100ml中
本発明化合物 100mg
塩化ナトリウム 900mg
ポリソルベート80 200mg
水酸化ナトリウム 適量
塩酸 適量
滅菌精製水 適量
化合物ならびに添加物の種類および量を適宜変更することにより、所望の点眼剤を得ることができる。
【0426】
[薬理試験]
A.Rhoキナーゼ阻害活性評価試験
本発明化合物のRhoキナーゼ阻害剤としての有用性を調べるため、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー,274巻,32418頁,1999年発行[J.Biol.Chem.,274,32418(1999)]に記載の貝淵等の方法および市販の活性型ROCKII[アップステイツ バイオテクノロジー,カタログ 番号14−338,(5Unit/50μl)[upstate biotechnology,Catalog No.14-338,(5Unit/50μl)]]付属の説明書記載の方法に準じて、本発明化合物のRhoキナーゼ阻害活性を評価検討した。被験化合物としては、化合物2−1、化合物2−2、化合物2−3、化合物2−5、化合物2−6、化合物2−8、化合物2−9、化合物2−10、化合物2−11、化合物2−12、化合物2−13、化合物2−14、化合物2−15、化合物2−20および化合物5−1を使用した。
【0427】
(試薬の調製)
1)緩衝溶液の調製
50mM トリスヒドロキシアミノメタン(Tris)(pH7.5)、2mM エチレングリコールビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−四酢酸(EGTA)、1mM エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、5mM 塩化マグネシウム(MgCl2)、5mM β−グリセロールホスフェイトおよび2mM ジチオスレイトール(DTT)となるよう混和して緩衝溶液とした。
【0428】
2)300μM ATP[γ−32P]ATP溶液の調製
緩衝溶液で10mM ATP溶液と市販の[γ−32P]ATP溶液[NEN社 Code No.NEG-002A]を希釈して、300μM ATP[γ−32P]ATP溶液とした。
【0429】
3)活性型ROCKII溶液の調製
市販の活性型ROCKII[upstate biotechnology,Catalog No.14-338,(5Unit/50μl)]を緩衝溶液で1/100希釈して、活性型ROCKII溶液とした。
【0430】
4)1mM 基質溶液の調製
S6キナーゼ基質ペプチド(S6 Kinase Substrare Peptide)[アップステイツ バイオテクロノジー,カタログ 番号12−124,(2mg)[upstate biotechnology,Catalog No.12-124,(2mg)]]を蒸留水に溶解して1mM 基質溶液の調製とした。
【0431】
5)被験化合物溶液の調製
被験化合物は、10%ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液に調製し使用した。
【0432】
(評価方法)
1)マイクロチューブに被験化合物溶液を入れる。
【0433】
2)マイクロチューブに300μM ATP[γ−32P]ATP溶液を加えた後、4℃に冷却する。
【0434】
3)次いで、各マイクロチューブに活性型ROCKII溶液、1mM基質溶液および緩衝溶液の順で加えて混和し、再度4℃に冷却する。
【0435】
4)マイクロチューブをインキュベーター(30℃)に入れて15分間反応させる。
【0436】
5)4℃に冷却した後、各マイクロチューブに250mMリン酸溶液(5μl)を加えて反応を停止する。
【0437】
6)各マイクロチューブから反応溶液30μlを採取した後、濾紙(ワットマンP81)にスポットして、反応生成物(リン酸化された基質)を濾紙に吸着させる。
【0438】
7)その濾紙を75mMリン酸溶液の入ったビーカーに移し、5分間振盪することで未反応の[γ−32P]ATPを洗い流す。尚、この洗浄操作は4回行う。
【0439】
8)次いで、濾紙をエタノールに浸けて脱水処理し、液体シンチレーションカウンターにより濾紙に吸着した反応生成物のエネルギー量(放射活性)を測定する。
【0440】
(IC50の算出)
IC50値は、XL−fit(IDBS)にて算出した。
【0441】
(Ki値の算出)
以下の計算式に従って、Ki値を算出する。Sは反応液中に含まれるATP濃度を、Kmはミカエリス−メンテン(Michaelis−Menten)定数を表す。
【0442】
Ki=IC50/(1+S/Km)
(結果および考察)
被験化合物として、化合物2−1、化合物2−2、化合物2−3、化合物2−5、化合物2−6、化合物2−8、化合物2−9、化合物2−10、化合物2−11、化合物2−12、化合物2−13、化合物2−14、化合物2−15、化合物2−20および化合物5−1を使用した時の結果を表1に示す。
【表1】

表1から明らかなように、本発明化合物は、いずれも優れたRhoキナーゼ阻害作用を示した。上記のことから、本発明化合物はRhoキナーゼが関与する疾患の治療剤として非常に有用であることがわかった。
【0443】
B.眼圧下降作用測定試験
本願発明化合物の緑内症治療剤としての有用性を調べるため、カニクイザル(性別:雄性、一群6匹)に本願発明化合物を投与した時の眼圧下降効果を評価検討した。被験化合物としては化合物2−6(以下、被験化合物1とする)および化合物2−13(以下、被験化合物2とする)を使用した。
【0444】
(被験化合物溶液の調製)
1)被験化合物1溶液の調製
被験化合物1を2.6%グリセリン液に溶解後、水酸化ナトリウムを加えてpHを調整し(pH5.0〜7.0)、濃度1%の被験化合物1溶液を調製した。
【0445】
2)被験化合物2溶液の調製
被験化合物2を0.5% Tween80(商品名)含有2.6%グリセリン液に溶解後、水酸化ナトリウムを加えてpHを調整し(pH3.5〜4.5)、濃度1%の被験化合物2溶液を調製した。
【0446】
(眼圧下降評価試験方法)
1)0.4%塩酸オキシブプロカイン点眼液をカニクイザルの両眼に一滴点眼し局所麻酔をした。
【0447】
2)被験化合物溶液投与直前に眼圧を測定し初期眼圧とした。
【0448】
3)被験化合物溶液を実験動物の片眼に点眼した(対側眼は無処置)。
【0449】
4)被験化合物溶液点眼の2時間、4時間および6時間後に0.4%塩酸オキシブプロカイン点眼液を一滴両眼に点眼し局所麻酔後、眼圧を測定した。また、各時間の眼圧は3回測定し、その平均値を算出した。
【0450】
尚、コントロールには被験化合物溶液に代えて、基剤(5% Tween80含有2.6%グリセリン液、または2.6%グリセリン液)のみを投与して、他は上記の1〜4)と同じ方法で試験した。
【0451】
(結果および考察)
被験化合物として、被験化合物1を使用した時の結果を図1に、被験化合物2を使用した時の結果を図2に示す。眼圧は初期眼圧からの変化値を示す。
【0452】
図1および図2から明らかなように、本願発明化合物は、いずれも優れた眼圧下降作用を示した。上記のことから、本願発明化合物は緑内障治療剤として特に有用であることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0453】
【図1】各投与群の眼圧の経時変化を示すグラフである。眼圧は初期眼圧からの変化値で示す。□は被験化合物1投与群を、○はコントロール群を示す。
【図2】各投与群の眼圧の経時変化を示すグラフである。眼圧は初期眼圧からの変化値で示す。□は被験化合物2投与群を、○はコントロール群を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式[I]で表される化合物またはその塩。
【化1】

[式中、
環Xはベンゼン環または1若しくは複数の窒素原子を環内に有する芳香族複素環を示し;
環Yは下記一般式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f)
【化2】

で表される環を示し;
1とR2は同一または異なって、水素原子またはアルキル基を示し;
3とR4は同一または異なって、ハロゲン原子、水素原子、アルキル基、アルケニル基、カルボキシ基、そのエステル若しくはそのアミド、アルキルカルボニル基、アリール基、アリールカルボニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、スルホン酸基、ニトロ基、シアノ基または1若しくは複数の窒素原子を環内に有する芳香族複素環を示し;
上記で規定した各アルキル基およびアルケニル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリール基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヒドロキシイミノ基およびアルコキシイミノ基からなる群より選択される1または複数の基で置換されていてもよい。]
【請求項2】
一般式[I]において、
環Xがベンゼン環または1若しくは2個の窒素原子を環内に有する芳香族複素環を示し;
環Yが一般式(a)、(b)、(e)または(f)で表される環を示し;
1とR2が同一または異なって、水素原子またはアルキル基を示し;
3が水素原子、アルキル基、アルケニル基、カルボキシ基、そのアミド、アルキルカルボニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、スルホン酸基、ニトロ基、シアノ基または1若しくは2個の窒素原子を環内に有する芳香族複素環を示し;
4がハロゲン原子、水素原子、アミノ基またはアルキルアミノ基を示し;
3で規定したアルキル基が、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシイミノ基およびアルコキシイミノ基からなる群より選択される1または複数の基で置換されていてもよく;
3で規定したアルケニル基がヒドロキシ基で置換されていてもよい請求項1記載の化合物またはその塩。
【請求項3】
一般式[I]において、
環Xがベンゼン環、ピリジン環またはピリミジン環を示し;
環Yが一般式(a)、(b)、(e)または(f)で表される環を示し;
1とR2が同一または異なって、水素原子またはメチル基を示し;
3が水素原子、tert−ブチル基、1−メチルビニル基、カルボキシ基、アミノカルボニル基、メチルカルボニル基、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、スルホン酸基、ニトロ基、シアノ基、ピリジン環、ピリダジン環、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,2−ジヒドロキシ−1−メチルエチル基、1−メチル−1−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシイミノ−1−メトキシメチル基、アミノメチル基、1−アミノ−1−ヒドロキシイミノメチル基、ヒドロキシイミノメチル基、1−ヒドロキシイミノエチル基、メトキシイミノメチル基または1−ヒドロキシメチルビニル基を示し、
4が臭素原子、水素原子、アミノ基またはメチルアミノ基を示す請求項1記載の化合物またはその塩。
【請求項4】
一般式[I]において、
環Xがベンゼン環を示し;
環Yが一般式(a)、(b)、(e)または(f)で表される環を示し;
1とR2がアルキル基を示し;
3が水素原子、アルキル基、アルケニル基、カルボキシ基、そのアミド、アルキルカルボニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、スルホン酸基、ニトロ基、シアノ基、または、1個の窒素原子を環内に有する芳香族複素環を示し;
4がハロゲン原子、水素原子、アミノ基またはアルキルアミノ基を示し;
3で規定したアルキル基が、ヒドロキシ基、アミノ基およびヒドロキシイミノ基からなる群より選択される1または複数の基で置換されていてもよい請求項1記載の化合物またはその塩。
【請求項5】
一般式[I]において、
環Xがベンゼン環を示し;
環Yが一般式(a)、(b)、(e)または(f)で表される環を示し;
1とR2がメチル基を示し;
3が水素原子、1−メチルビニル基、カルボキシ基、アミノカルボニル基、メチルカルボニル基、アミノ基、エチルアミノ基、スルホン酸基、ニトロ基、シアノ基、ピリジン環、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、アミノメチル基またはヒドロキシイミノメチル基を示し、
4が臭素原子、水素原子、アミノ基またはメチルアミノ基を示す請求項1記載の化合物またはその塩。
【請求項6】
一般式[I]において、
環Xがベンゼン環を示し;
環Yが一般式(a)または(e)で表される環を示し;
1とR2がアルキル基を示し;
3が水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキルカルボニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基またはシアノ基を示し;
4がハロゲン原子、水素原子またはアミノ基を示し;
3で規定したアルキル基が、ヒドロキシ基および/またはヒドロキシイミノ基で置換されていてもよい請求項1記載の化合物またはその塩。
【請求項7】
一般式[I]において、
環Xがベンゼン環を示し;
環Yが一般式(a)または(e)で表される環を示し;
1とR2がメチル基を示し;
3が水素原子、1−メチルビニル基、メチルカルボニル基、アミノ基、エチルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシメチル基またはヒドロキシイミノメチル基を示し、
4が臭素原子、水素原子またはアミノ基を示す請求項1記載の化合物またはその塩。
【請求項8】
・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]イソキノリン、
・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−ニトロイソキノリン、
・5−アミノ−6−[4−(アミノ−1−メチルエチル)フェニル]イソキノリン、
・6−[4−(アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(ヒドロキシスルホニル)イソキノリン、
・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(ヒドロキシイミノメチル)イソキノリン、
・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−シアノイソキノリン、
・5−アミノカルボニル−6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]イソキノリン、
・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(1−メチルビニル)イソキノリン、
・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−メチルカルボニルイソキノリン、
・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(1−ヒドロキシエチル)イソキノリン、
・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン、
・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−4−ブロモ−2H−イソキノリン−1−オン、
・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−ニトロ−2H−イソキノリン−1−オン、
・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−エチルアミノ−2H−イソキノリン−1−オン、
・5−アミノ−6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン、
・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(ピロール−1−イル)−2H−イソキノリン−1−オン、
・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−(4−メトキシベンジルアミノ)イソキノリン、
・1−アミノ−6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]イソキノリン、
・3−アミノ−6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]イソキノリン、
・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−1−(メチルアミノ)イソキノリン、
・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(ヒドロキシメチル)イソキノリン、
・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−(アミノメチル)イソキノリン、および、
・6−[4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル]−5−カルボキシイソキノリンからなる群より選択される化合物またはその塩。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1記載の化合物またはその塩を含有する医薬。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1記載の化合物またはその塩を有効成分とするRhoキナーゼ阻害剤。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか1記載の化合物またはその塩を有効成分とする緑内障治療剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−8816(P2007−8816A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−354939(P2003−354939)
【出願日】平成15年10月15日(2003.10.15)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【出願人】(000177634)参天製薬株式会社 (177)
【Fターム(参考)】