説明

新規ピペリジン誘導体及びこれをモノアミン神経伝達物質再取り込み阻害薬として使用する方法

本発明は、モノアミン神経伝達物質再取り込み阻害薬として有用な新規ピペリジン誘導体に関する。
別の局面で、本発明は治療方法でこの化合物を使用する方法及び本発明の化合物を含む薬学的調合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノアミン神経伝達物質再取り込み阻害薬として有用な新規ピペリジン誘導体に関する。
【0002】
その他の局面で、本発明は治療方法でこの化合物を使用する方法 及び本発明の化合物を含む薬学的調合物に関する。
【背景技術】
【0003】
Petukhov等[非特許文献1]に、コカインのピペリジンを主体とする同族体のSAR研究が開示されている。
【0004】
特許文献1には、 モノメリック及びジメリックヘテロ環類及びその治療での適用が記載されている。
【0005】
特許文献2には、神経伝達物質再取り込み阻害薬として有効である3-アルコキシイミドメチル-ピペリジン誘導体が記載されている。その例1及び2は、2つの中間体混合物;(±)-シス/トランス-1-メチル-3-メトキシカルボニル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン及び(±)-シス/トランス-1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジンが記載されている。これらの2つの中間体混合物の薬理学的適用について何ら開示されていない。
【0006】
しかし,モノアミン神経伝達物質:セロトニン, ドパミン及びノルアルドレナリンの再取り込みでの活性, たとえばノルアルドレナリン及びドパミン活性に対するセロトニン再取り込みの割合に関して最適化された生化学的プロフィールを有する化合物を見出すことに、引き続いて強い要求がある。
【0007】
更に, 構造上及び合成上コカインに関連しない有効な化合物に強い要求がある。
【特許文献1】特許出願公開(WO)第00/20390号明細書(Georgetown University)。
【特許文献2】特許出願公開(WO)第98/51668号明細書(NeuroSearch A/S)。
【非特許文献1】Petukhov P A, Zhang J, Kozikowski A P, Wang C Z, Ye Y P, Johnson K M 及び Tella S R; J. Med. Chem. 2002 45 3161-3170。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の要旨
その第一の局面で, 本発明は式I
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、R1, R3及び R4 は下記に定義する通りである。)
で表わされるピペリジン誘導体、又はそのあらゆる異性体又はその異性体のあらゆる混合物, 又はその薬学的に許容し得る塩を提供する。
【0011】
第二の局面で, 本発明は、本発明の化合物又はそのあらゆる異性体又はその異性体のあらゆる混合物, 又はその薬学的に許容し得る塩の治療上有効な量を、少なくとも1種の薬学的に許容し得るキャリヤー,賦形剤又は希釈剤と共に含む薬学的調合物を提供する。
【0012】
別の局面で, 本発明は本発明の化合物, 又はそのあらゆる異性体又はその異性体のあらゆる混合物, 又はその薬学的に許容し得る塩を疾患又は障害又は病態―――この疾患又は障害又は病態は中枢神経系でモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に応答する―――の治療、予防又は緩和用薬学的調合物の製造のために使用する方法を提供する。
【0013】
また、別の局面で、本発明はヒトを含めた動物生体の疾患又は障害又は病態----------この障害、疾患又は病態は中枢神経系でモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に応答する------------を治療、予防又は緩和する方法であって、この方法が本発明の化合物、又はそのあらゆる異性体又はその異性体のあらゆる混合物, 又はその薬学的に許容し得る塩の治療上有効な量を、これを必要とするヒトを含めた動物生体に投与する工程を含むことを特徴とする、上記治療、予防又は緩和方法に関する。
【0014】
本発明のその他の目的は、下記の詳細な説明及び実施例から当業者に明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明の詳細な説明
ピペリジン誘導体
その第一の局面で、本発明は式I
【0016】
【化2】

【0017】
{式中、
R1 は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル又は2-ヒドロキシエチルを示し、
R3 は-C(=O)-O-Rc 又は -CH2-O-Rc を示し、この際Rc は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はシクロアルキルアルキルを示し、
R4
【0018】
【化3】

【0019】
(式中、Ra及びRbは相互に独立して ハロ又はトリフルオロメチルを示す。)
で表わされる基を示す。}
で表わされるピペリジン誘導体、又はそのあらゆる異性体又はその異性体のあらゆる混合物, 又はその薬学的に許容し得る塩
(但し、異性体の混合物は、
(±)-シス/トランス-1-メチル-3-メトキシカルボニル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン又は
(±)-シス/トランス-1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジンでない。)
を提供する。
【0020】
1つの実施態様において、R1 は水素又はアルキルを示す。
【0021】
第二の実施態様において、Ra 及びRb は相互に独立してハロを示す。具体な実施態様において、Ra は塩素を示す。別の実施態様において, Rb は塩素を示す。また別の実施態様において、Ra は塩素を示し、そして Rb は塩素を示す。
【0022】
別の実施態様において, R3 は -C(=O)-O-Rcを示す。 別の実施態様において, R3 は -CH2-O-Rcを示す。
【0023】
また別の実施態様において、Rc は水素, アルキル又はシクロアルキルアルキルを示す。別の実施態様において、Rc は水素又はアルキルを示す。また別の実施態様において, Rc はアルキル又はシクロアルキルアルキルを示す。具体的な実施態様んみおいて, Rc は水素を示す。別の実施態様において, Rc はアルキル, たとえばメチル又はエチルを示す。また別の実施態様において, Rc はシクロアルキルアルキル, たとえばシクロプロピルメチルを示す。
【0024】
式Iで表わされる化合物の別の実施態様において,
R1 は水素, アルキル 又は シクロアルキルアルキルを示し、
Rc は水素又はアルキルを示し、そして
Ra 及びRb は相互に独立してハロを示す。.
式Iで表わされる化合物のまた別の実施態様において、
R1 は水素又はアルキルを示し、
Rc は水素又はアルキルを示し、そして
Ra 及びRb は相互に独立してハロを示す。
【0025】
式Iで表わされる化合物のまた別の実施態様において、
R1 は水素又はアルキルを示し、
R3 は-CH2-O-Rcを示し、
Rc はアルキル又はシクロアルキルアルキルを示し、そして
Ra 及び Rb は相互に独立してハロを示す。.
具体的な実施態様において、本発明の化合物は、
1-メチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン-3-カルボン酸メチルエステル;
1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
1-メチル-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
1-メチル-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
又はそのあらゆる異性体又はその異性体のあらゆる混合物, 又はその薬学的に許容し得る塩である。
【0026】
別の具体的な実施態様において、本発明の化合物は、
(±)-シス-1-メチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン-3-カルボン酸メチルエステル;
(±)-トランス-1-メチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン-3-カルボン酸メチルエステル;
(±)-シス-1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(±)-トランス-1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-シス-1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-シス-1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-トランス-1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン
(-)-トランス-1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(±)-シス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(±)-シス-1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(±)-トランス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(±)-トランス-1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-シス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-シス-1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-シス-1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-シス-1-メチル-3-シクロプロピルメトキシメチル-4- (3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-シス-1-メチル-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-シス-1-メチル-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-トランス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-トランス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-トランス-1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-トランス-1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-トランス-1-メチル-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-トランス-1-メチル-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-シス-1-メチル-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-トランス-1-メチル-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-トランス-1-メチル-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-シス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-シス-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-シス-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-シス-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-シス -3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-シス-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-シス-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-トランス-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-トランス-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-トランス-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-トランス-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-トランス-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-トランス-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-シス-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-シス-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-トランス-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-トランス-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
又はその薬学的に許容し得る塩である。
【0027】
上記の実施態様2種以上のあらゆる組み合わせは、本発明の範囲内であるとみなされる。
【0028】
置換基の定義
本発明の範囲において、ハロゲンはフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。
【0029】
本発明の範囲において、アルキル基は一価の飽和、直鎖状又は分枝状炭化水素鎖を示す。炭化水素鎖は好ましくは炭素原子1〜18個を有し(C1-18-アルキル)、更に好ましくは炭素原子1〜6個を有し(C1-6-アルキル:低級アルキル)、これはペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、ヘキシル及びイソヘキシルを包む。好ましい具体例において、アルキルはC1-4-アルキル基を示し、これはブチル、イソブチル、s−ブチル及びt−ブチルを含む。本発明の好ましい具体例において、アルキルはC1-3-アルキル基を示し、これは特にメチル、エチル、プロピル又はイソプロピルであってよい。
【0030】
本発明の範囲において、アルケニル基は二重結合1個以上を有する炭素鎖を示し、これはジエン、トリエン及びポリエンを含む。好ましい具体例において、本発明のアルケニル基は少なくとも1個の二重結合を含む炭素原子2〜6個(C2-6-アルケニル)を有する。最も好ましい具体例において、本発明のアルケニル基はエテニル;1−又は2−プロペニル;1−、2−又は3−ブテニル,又は1,3−ブチジエニル;1−、2−、3−、4−又は5−ヘキセニル、又は1,3−ヘキシジエニル、又は1,3,5−ヘキシトリエニルである。
【0031】
本発明の範囲において、アルキニル基は三重結合1個以上を有する炭素鎖を示し、これはジイン、トリイン及びポリインを含む。好ましい具体例において、本発明のアルキニル基は少なくとも1個の三重結合を含む炭素原子2〜6個(C2-6-アルキニル)を有する。最も好ましい具体例において、本発明のアルキニル基はエチニル、1−又は2−プロピニル;1−、2−、3−又は4−ブチニル又は1,3−ブトジイニル;1−、2−、3−,4−ペンチニル、又は1,3−ペントジイニル;1−、2−、3−,4−又は5−ヘニニル、又は1,3−ヘキシジイニル、又は1,3,5−ヘキシトリイニルである。
【0032】
本発明の範囲において、シクロアルキル基は環状アルキル基、好ましくは炭素原子3〜7個を有するシクロアルキル基であって(C3-7-シクロアルキル)、これはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルを含む。
【0033】
薬学的に許容し得る塩
本発明の化合物を、意図される投与に適するすべての形態で提供することができる。適する形態は薬学的に(すなわち生理学的に)許容し得る塩及び本発明の化合物のプレドラッグ形及びプロドラッグ形を含む。
【0034】
薬学的に許容し得る付加塩の例としては、以下のものに限定されないが、非毒性無機- 及び有機酸付加塩、たとえば塩酸に由来する塩酸塩、臭化水素酸に由来する臭化水素酸塩、硝酸に由来する硝酸塩、過塩素酸に由来する過塩素酸塩、リン酸に由来するリン酸塩、硫酸に由来する硫酸塩、ギ酸に由来するギ酸塩、酢酸に由来する酢酸塩、アコニチン酸に由来するアコニチン酸塩、アスコルビン酸に由来するアスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸に由来するベンゼンスルホン酸塩、安息香酸に由来する安息香酸塩、ケイヒ酸に由来するケイヒ酸塩、クエン酸に由来するクエン酸塩、エンボン酸(embonic acid)に由来するエンボン酸塩、エナンチン酸(enanthic acid) に由来するエナンチン酸塩、フマル酸に由来するフマル酸塩、グルタミン酸に由来するグルタミン酸塩、グリコール酸に由来するグリコール酸塩、乳酸に由来する乳酸塩、マレイン酸に由来するマレイン酸塩、マロン酸に由来するマロン酸塩、マンデル酸に由来するマンデル酸塩、メタンスルホン酸に由来するメタンスルホン酸塩、ナフタレン-2- スルホン酸に由来するナフタレン-2- スルホン酸塩、フタル酸に由来するフタル酸塩、サリチル酸に由来するサリチル酸塩、ソルビン酸に由来するソルビン酸塩、ステアリン酸に由来するステアリン酸塩、コハク酸に由来するコハク酸塩、酒石酸に由来する酒石酸塩、トルエン-p- スルホン酸に由来するトルエン-p- スルホン酸塩を包含している。この様な塩は従来公知のかつ当該技術分野で記載されている方法で製造することができる。
【0035】
その他の酸、たとえばシュウ酸−−これ自体、薬学的に許容し得るとは考えられていない−−は、本発明の化合物及びその薬学的に許容し得る酸付加塩を得る際の中間体化合物として有用な塩の製造に適している。
【0036】
本発明の化合物の薬学的に許容し得る塩の例は、以下のものに限定されることなく、アニオン基を含む本発明の化合物のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩、リチウム塩、コリン塩、リジン塩及びアンモニウム塩等々を含む。このようなカチオン塩は、従来公知のかつ当該技術分野で記載されている方法で製造することができる。
【0037】
本発明の範囲いおいて、N−含有化合物の“オニウム塩”も薬学的に許容し得る塩(アザ−オニウム塩)として考慮される。好ましい“オニウム塩”はアルキル-オニウム塩, シクロアルキル-オニウム塩及びシクロアルキルアルキル-オニウム塩を含む。
【0038】
本発明の化合物のプレ-又はプロドラッグの例は、親化合物の反応性又は誘導可能な基1個以上で修飾された(modified)化合物を包含する。特に重要なことはカルボキシル基、ヒドロキシル基又はアミノ基を用いて修飾された化合物である。適当な誘導体の例はエステル類又はアミド類である。
【0039】
本発明の化合物は薬学的に許容し得る溶剤、たとえば水、エタノール等々と共に溶解性形(dissoluble forms)で又は非溶解性形(indissoluble forms)で提供されてよい。溶解性形は水和された形、たとえば一水和物、二水和物、半水和物、三水和物、四水和物等を包含してよい。一般に、溶解性形は本発明の目的のための非溶解性形に相当するものと考えられる。
【0040】
立体異性体
本発明の化合物は(+)-及び(-) 形並びにラセミ形で存在することができる。これらの異性体のラセミ化合物及び個々の異性体それ自体は本発明の範囲内にある。
【0041】
ラセミ形は公知の方法及び処理で光学対掌体に分割することができる。そのジアステレオマー塩を分離する一つの方法は、光学的に活性な酸を使用し、次いで塩基で処理して光学的に活性アミン化合物を遊離することにある。ラセミ化合物の光学対掌体への他の分割法は、光学的活性なマトリックス上でのクロマトグラフィー法に基づく。本発明のラセミ化合物は、たとえばd- 又はl- 塩 (酒石酸塩、マンデル酸塩、又はシヨウノウスルホン酸塩)の分別結晶によって、その光学的対掌体に分割することができる。
【0042】
本発明の化合物はまた、本発明の化合物と光学的活性に活性化されたカルボン酸、たとえば(+)又は(−)フエニルアラニン、(+)又は(−)フエニルグリシン、(+)又は(−)カンフアン酸に由来するカルボン酸とを反応させてジアステレオマーアミドを生成させることによってあるいは本発明の化合物と光学的活性なクロロギ酸塩等々とを反応させて、ジアステレオマーカルバミン酸塩を生成させることによって分割することができる。
【0043】
他の光学的異性体分割法は技術上周知である。この様な方法は、Jaques J. Collet A, 及び Wilen S, “対掌体, Racemates, and Resolutions", John Wiley 及び Sons,ニューヨーク(1981)中に記載されている方法を含む。
【0044】
光学活性な化合物も、光学活性出発化合物から製造することができる。
【0045】
更に, 本発明の化合物は、シス又はトランス配置及びその混合物で存在することができる。式Iで表わされるピペリジン骨格の置換基R3及び 置換基R4 は特にお互いに対してシス又はトランス配置にあることができる。本発明の1つの実施態様において、置換基R3 及び R4 はトランス配置にある。本発明のもう一つ実施態様において、置換基R3 及び R4 はシス配置にある。本発明は、このような異性体すべて及び ラセミ化合物を含めて、そのあらゆる混合物を含む。
【0046】
標識された化合物
本発明の化合物は、その標識された形でか又は標識されていない形で使用することができる。本発明の範囲において、“標識”とは当該化合物にマーカーを結合させることを意味し、これがその化合物の定量的検出を容易に可能にする。
【0047】
本発明の標識された化合物は、診断機器、放射性トレーサー又は種々の診断法での監視剤として、及び生体内レセプターイメージング(in vivo receptor imaging) に有用であることができる。
【0048】
本発明の標識された化合物は、標識として少なくとも1種の放射性核種を含有するのが好ましい。陽電子射出放射性核種類はすべて使用することができる。本発明の範囲において、放射性核種は好ましくは2H (ジュウテリウム), 3H (トリチウム), 13C, 14C, 131I, 125I, 123I, 及び 18Fより成る群から選ばれる。
【0049】
本発明の標識された異性体の理学検出法は、陽電子発光断層撮影法(PET)、シングルフォトン画像撮影法(Single Photon Imaging Computed Tomography (SPECT))、磁気共鳴分光法(MRS)、磁気共鳴画像法(MRI)及び計算機軸X線断層撮影法(Computed Axial X-ray Tomography (CAT))及びその組み合わせから選ぶことができる。
【0050】
製造方法
本発明の化合物を化学合成に通常の方法、たとえば下記例に記載する方法によって製造することができる。本発明で記載される方法の出発化合物は公知であるか又は市販化合物から常法で製造することができる。
【0051】
また、本発明のある化合物は、常法で本発明の他の化合物に変えることができる。
【0052】
ここに記載される反応最終生成物を、通常の手段、たとえば抽出、結晶化、蒸留、クロマトグラフィー等によって単離することができる。
【0053】
生物学的活性
本発明の化合物は, シナプトソーム中でモノアミン類;ドパミン,ノルアルドレナリン及びセロトニンの再取り込みを阻害するその活性を、たとえば特許出願公開(WO)第97/30997号明細書に記載されているようにテストすることができる。
【0054】
したがって、別の局面で, これらのテストで観察される安定した活性に基づき、 本発明の化合物は、 ヒトを含めた動物生体の疾患又は障害又は病態----------この障害、疾患又は病態は中枢神経系でモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に応答する------------を治療、予防又は緩和するのに有用であると考えられる。
【0055】
具体的な実施態様において、本発明の化合物は情動障害, うつ病, 非定型うつ病, 大うつ病性障害, 気分変調性障害, 双極性障害, 双極性 I 障害, 双極性 II 障害, 循環病, 全身状態に起因する情動障害、物質誘発性情動障害, 仮性痴呆, ガンザー症候群, 強迫性障害, パニック障害, 広場恐怖症を伴わないパニック障害, 広場恐怖症を伴うパニック障害, パニック障害の病歴のない広場恐怖症, パニック発作, 記憶障害, 記憶喪失, 注意欠陥多動性障害, 肥満, 不安, 全身性不安障害, 摂食障害, パーキンソン病, パーキンソン症候群, 痴呆, 加齢による痴呆, 老人性痴呆, アルツハイマー病, 後天性免疫不全症候群、痴呆コンプレックス(dementia complex), 加齢による記憶機能障害, 社会恐怖症, 心的外傷後ストレス障害, 急性ストレス障害, 薬物嗜癖, 薬物乱用, コカイン中毒, ニコチン中毒, タバコ中毒, アルコール嗜癖, アルコール依存症, 苦痛、炎症性苦痛, 神経障害性苦痛, 偏頭痛の痛み, 緊張型頭痛, 慢性緊張型頭痛,うつ病に関連する苦痛、線維筋痛症, 関節炎, 変形性関節症, 慢性関節リウマチ, 背痛, 癌性疼痛, 過敏腸性疼痛, 過敏腸症候群, 術後の痛み, 発作後の痛み, 薬物に誘発された神経障害, 糖尿病性神経障害, 交感神経依存性疼痛, 三叉神経痛, 歯痛, 顔面筋疼痛, 幻想肢痛, 過食症, 月経前症候群、遅い黄体期症候群, 外傷後症候群, 慢性疲労症候群, 尿失禁, ストレス性尿失禁, 切迫尿失禁, 夜尿, 早漏, 勃起障害, 神経性食欲不振, 睡眠障害, 自閉症, 無言症, トリコチロマニー, 睡眠発作, 発作後うつ病, 発作に誘発された脳損傷, 発作に誘発されたニューロン損傷, 又は ジル・ド・ラ・ツレット病の治療、予防又は緩和に有用であると考えられる。
【0056】
有効な医薬成分(API)の適する投薬量は、投与の厳密なモード、投与される形態、投与の対象となる症状、患者(subject)及び特にその患者の体重、そして更に担当する医者又は獣医の好み又は経験に通常基づいて1日あたりAPI約0.1 〜約1000mg、1日あたりAPI約10-約500 mg, そして特に1日あたりAPI約30-約100mgであると現在考えられている。
【0057】
好ましい本発明の化合物は、サブ-マイクロモル及びマイクロモル範囲で, すなわち1未満から約100μMの生物学的活性を示す。
【0058】
薬学的調合物
もう一つの局面において、本発明は、本発明の化合物の治療上有効な量を含有する新規の薬学的調合物を提供する。
【0059】
本発明の化合物を治療で使用するにあたり、そのまま化合物として投与することもできるが、有効成分を場合により生理学的に許容し得る塩の形で、1種以上の佐薬、賦形剤、希釈剤、緩衝剤及び(又は)その他の慣用の薬学的助剤と共に薬学的調合物の形で提供するが好ましい。
【0060】
好ましい実施態様において、本発明は、本発明の化合物又はその薬学的に許容し得る塩又は誘導体を薬学的に容認されたキャリヤー1種以上及び場合により他の治療及び(又は)予防成分と共に含有する薬学的調合物を提供する。このキャリヤーは、調合物中の他の成分と適合し、そしてこれを投与される患者に有害でないという意味で“許容し得”なければならない。
【0061】
本発明の薬学的調合物は経口、直腸、気管支、鼻腔、肺、局所(バッカル及び舌下を含めて)、経皮、膣又は腸管外(皮膚−、皮下−、筋肉内−、腹腔内−、静脈内−、動脈内−、脳内−、眼内注射又は注入)投与に適するものであるか、あるいは粉末及び液体エアゾール投与を含む吸入又はガス注入による又は徐放システムによる投与に適する形のものであってよい。徐放システムの適当な例は、本発明の化合物を含有する固形疎水性ポリマーの半透過性マトリックス-------そのマトリックスは製品の形で、たとえばフィルム又はマイクロカプセルであってよい--------を含む。
【0062】
通常の佐薬、キャリヤー又は希釈剤と共に、本発明の化合物を、薬学的調合物及びその単位投薬形とすることができる。このような形態は固体、特に錠剤又は充填カプセル、粉末及びペレット形態及び液体、特に水溶液又は非水溶液、懸濁液、エマルジョンン、エリキシル又はこれによって充填されたカプセル、経口使用するためのすべての形で、直腸投与様坐剤の形で又は非経口用滅菌注射溶液の形で使用する。この様な薬学的調合物及びその単位投薬形は通常の成分を通常の割合で、別の有効物質又は成分の存在下又は不存在下に含有し、この様な単位投薬形は、有効成分の適する有効量を、使用される、計画された一日投薬範囲に相応して含有することができる。
【0063】
本発明の化合物を、多種の経口及び非経口投薬形で投与することができる。下記の投薬形は、有効成分として本発明の化合物又は本発明の化学物の薬学的に容認された塩のどちらかを含有してよいことは当業者に明らかである。
【0064】
本発明の化合物から薬学的調合物を製造することに関して薬学的に容認されたキャリヤーは固体又は液体のどちらかである。固形医薬として粉末、錠剤、丸薬、カプセル、カッシェ、坐剤及び分散可能な顆粒が挙げられる。固形キャリヤーは、希釈剤、風味剤、可溶化剤、滑沢剤、沈殿防止剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤又はカプセル化材料として作用してもよい物質1種以上であることができる。
【0065】
粉末中で、キャリヤーは微粉砕された固体であって、これは微粉砕された有効成分との混合物中にある。
【0066】
錠剤中に、有効成分は適する割合で必要な結合容量を有するキャリヤーと混合され、所望の形態と大きさに圧縮される。
【0067】
粉末及び錠剤は有効物質約5又は10〜約70%を含有する。適するキャリヤーは炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、でんぷん、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、低融点ロウ、カカオバター等々である。“製造”なる表現は、キャリヤーとしてのカプセル化材料を用いて有効物質を調製することを含み、1個以上のキャリヤー含有又は不含で、有効物質が有効物質と結合するあるキャリヤーによって囲まれたカプセルを提供する。同様にカッシェ及びロゼンジも含まれる。錠剤、粉末、カプセル、丸薬、カッシェ及びロゼンジを経口投与に適する固形で使用することができる。
【0068】
坐剤を製造するために、低融点ロウ、たとえば脂肪酸グリセリド又はカカオバターの混合物を先ず融解し、有効成分をこれ中に均一に攪拌によって分散する。次いで融解された均一な混合物を通常のサイズの型に注ぎ、冷却し、それによって固化する。
【0069】
膣投与に適する製剤を、有効成分に加えて技術上適することが周知であるキャリヤーを含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム又はスプレーとして製造する。
【0070】
液剤としては、溶液、懸濁液及びエマルジョン、たとえば水又は水- プロピレングリコール溶液が挙げられる。たとえば非経口注射液剤をポリエチレングリコール水溶液中の溶液として調製することができる。
【0071】
本発明の化合物を非経口投与(たとえば注射、たとえばボルス注射液又は連続注入による)のために調製し、そして単位投薬形でアンプル、前もって充填された注射器、少量の注入剤中に又は多様な投薬容器中に添加される保存剤と共に存在する。調合物は油状又は水性賦形剤中で懸濁液、溶液又はエマルジョンのような形態をとり、調製剤、たとえば沈殿防止剤、安定剤及び(又は)分散剤を含有することができる。あるいは有効成分は、無菌固体の無菌単離によって得られる粉末形であるか又は適する賦形剤、たとえば発熱性物質不含無菌水で構成されているために、使用前に溶液からの凍結乾燥によって得られる粉末形であってよい。
【0072】
経口使用に適する水溶液を、水中に有効成分を溶解し、所望に応じて適する着色剤、風味剤、安定剤及び増粘剤を加えて製造することができる。
【0073】
経口使用に適する水性懸濁液を、微粉砕された有効成分を水中で粘性物質、たとえば天然又は合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、又は他のよく知られた沈殿防止剤と共に分散することによって製造することができる。
【0074】
使用する少し前に、経口投与のために液状形調合物に変えられる固形調合物も挙げられる。この様な液状形として溶液、懸濁液及びエマルジョンが挙げられる。これらの調合物は、有効成分に加えて、着色剤、風味剤、安定剤、緩衝物質、人工及び天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤等々を含有する。
【0075】
表皮への局所投与のために、本発明の化合物を軟膏、クリーム又はローションとして又は経皮吸収パッチとして調製する。軟膏及びクリームをたとえば適する増粘剤及び(又は)ゲル化剤の添加して水性又は油性ベースを用いて調製する。ローションを水性又は油性ベースを用いて調製し、これは一般に1種又はそれ以上の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、又は着色剤を含有する。
【0076】
口中での局所投与に適する調合物としては風味ベース、通常ショ糖及びアカシア又はトラガント中に有効成分を含有するロゼンジ、不活性ベース、たとえばゼラチン及びグリセリン又はショ糖及びアカシア中に有効成分を含有するパスチル、及び適する液体キャリヤー中に有効成分を含有する洗口剤が挙げられる。
【0077】
溶液又は懸濁液を鼻腔に通常の手段、たとえば点滴器、ピペット又はスプレーによって直接に投与する。調合物は単一又は多様- 投薬形で供給される。
【0078】
呼吸器官への投与はエアゾール調合物によって達成される。このエアゾール中に有効成分を適する噴射剤、たとえばクロロフルオロカーボン(CFC)、たとえばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン又はジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適するガスで圧縮パックして供給する。エアゾールはまた界面活性剤、たとえばレシチンを通常含有する。医薬の投薬量は計量バルブの供給によって調節される。
【0079】
あるいは有効成分を、乾燥粉末の形でたとえば適する粉末ベース、たとえば乳糖、でんぷん、でんぷん誘導体、たとえばヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドン(PVP)中の化合物の粉末混合物の形で供給することができる。通常、粉末キャリヤーは鼻腔内でゲルを形成する。粉末調合物は、単位投薬形の形で、たとえばゼラチンのカプセル又はカードリッジ、又は発泡パックの形で存在し、これから粉末を吸入器によって投与する。
【0080】
呼吸器官への投与を意図する調合物(鼻腔調合物を含む)中で、化合物はたとえば5ミクロン以下の大きさの小粒サイズを一般に有する。この様な粒子サイズは技術上周知の方法、たとえば微粒子への細砕化によって得られる。
【0081】
所望の場合、有効成分の遊離を維持する適した調合物を使用する。
【0082】
薬学的調合物は、単位投薬形であるのが好ましい。この様な形で、調合物を有効成分の適する量を含有する単位投薬形に再分割する。単位投薬形は、包装された医薬、医薬の別々の量を含有するパッケージ、たとえば包装された錠剤、カプセル、及び小瓶又はアンプル中の粉末であってよい。単位投薬形はまたカプセル、錠剤、カッシェ又はロゼンジそれ自体であるか又は包装された形でこれらのいずれかの適する数であってもよい。
【0083】
経口投与用錠剤又はカプセル及び静脈内投与用液体及び連続注入剤が好ましい調合物である。
【0084】
調合物及び投与方法に関する更に詳しい説明は、Remington’s Pharmaceutical Sciences (Maack Publishing Co., Easton, PA)の最新版中に見出される。
【0085】
治療上有効な薬用量とは、症状又は病態を改善する有効成分のその量を意味する。治療効果及び毒性, たとえばED50 及びLD50, を細胞培養又は動物実験で標準薬理学的処理によって測定することができる。治療効果と毒性作用の間の薬用量割合は、治療指標であって、比率LD50/ED50によって表わすことができる。大きい治療指標を示す薬学的調合物が好ましい。
【0086】
当然のことながら投薬量は、治療される個体(individual)の年齢、体重及び病態、並びに投与経路、投薬形及び療法, 及び所望の結果に対して慎重に調整せねばならず、そして正確な投薬量は医師によって当然決定されるのがよい。
【0087】
実際の薬用量は治療される疾患の性質及び過酷さ及び投与経路に依存し、更にその量は医師の裁量にまかされており、所望の治療効果を生じるために本発明の特定の状況に薬用量を適合させることによって変化させることができる。しかし個々の薬用量あたり有効成分約0.1 〜約500 mg、好ましくは約1〜約100 mg、最も好ましくは約1〜 約10 mgを含有する調合物が治療的処置に適当であると現在考えられている。
【0088】
有効成分を、1日1回又は数回の薬用量で投与することができる。満足のいく結果は、ある場合、0.1 μg /kg i.v.(静脈内)及び1 μg /kg p.o.(腹腔内)ほどの低い薬用量で得ることができる。薬用量範囲の上限は約10 mg/kg i.v.(静脈内)及び100 mg/kg p.o.(腹腔内)であると現在見なされる。好ましい範囲は、一日あたり約0.1 μg /kg〜約10 mg/kg(静脈内)及び約1 μg /kg 〜約100 mg/kg(腹腔内)である。
【0089】
治療法
別の局面で、本発明はヒトを含めた動物生体の疾患又は障害又は病態----------この障害、疾患又は病態は中枢神経系でモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に応答する------------を治療、予防又は緩和する方法であって、この方法が本発明の化合物の有効量を、これを必要とするヒトを含めた動物生体に投与する工程を含むことを特徴とする、上記治療、予防又は緩和方法を提供する。
【0090】
適する薬用量は1日あたり0.1〜1000 mg , 10 〜500 mg, 特に30 〜100 mgの範囲内であるが、しかし投与の厳密なモード、投与される形態、投与の対象となる症状、患者及び特に係わる患者の体重及び更に担当する医者又は獣医の好み又は経験に通常基づくと現在考えられる。疾患の治療のために、従来公知の化合物との組み合わせて投与した場合、服用量を減少させることができる。
【実施例】
【0091】

次の例によって本発明を詳述するが、これらが請求項に記載される本発明の範囲に何らの限定を与えることを意図するものではない。
【0092】
例 1
【0093】
【化4】

【0094】
(±)-シス-1-メチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン-3-カルボン酸メチルエステル (1) 及び
(±)-トランス-1-メチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン-3-カルボン酸メチルエステル (2)
ジエチルエーテル (20 ml) 中にマグネシウム屑(3.4 g, 142 mmol)を有する攪拌された懸濁液を、ジエチルエーテル (150 ml)中に1-ブロモ-3,4-ジクロロベンゼン (29 g,130 mmol)を有する溶液に添加する。混合物を20分間還流加熱し、 ついで-40°Cで冷却する。トルエン (100 ml)中にアレコリン(10 g, 65 mmol)を有する溶液を、-40°C〜 -30°Cの内部温度を維持しながら徐々に添加する。反応混合物を-20°Cで6 時間攪拌し、ついで4 N HCl (50 ml)を添加する。ついで相を分離し、塩基性pHまで水相にアンモニア (水溶液)を添加し、ジクロロメタン (4 x 100 ml)で抽出し, 硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させて油状物とする。異性体(1)及び(2)を、カラムクロマトグラフィー (石油エーテル、エーテル, トリエチルアミン 70:25:5)によって分離し、 5.0 g (25%) の(1) (融点(mp.) 70-75°C) 及び2.0 g (10%) の (2) (油状物)を生じさせる。
【0095】
例 2
方法A1
【0096】
【化5】

【0097】
(±)-シス-1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン (3)
-50°Cでテトラヒドロフラン (50 ml)中に(1) (5.0 g, 17 mmol)を有する溶液に、LiAlH4 (0.50 g, 13 mmol)を添加する。-30°Cで3時間攪拌し, ついで水の添加によって急冷し、蒸発させて固体となす。残留物をジクロロメタンに溶解させ、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発乾固する。 (3)の収量4.6 g (100%)。 Mp. 127-129°C。
【0098】
【化6】

【0099】
(±)-トランス-1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン (4)
(2) (2.0 g, 6.6 mmol) の溶液を方法 (A1)にしたがって還元し、1.9 g (100%) の生成物(4)を生じさせる。Mp. 109-111°C。
【0100】
処理 (a)
ラセミ化合物を、マンデル酸塩の沈殿によって個々の対掌体に分離することができる。
【0101】
(+)-シス-1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン (5)
無水エタノール (60 ml)中に (3) (23.8 g, 86.8 mmol) 及び (-) マンデル酸 (6.6 g, 43.4 mmol)を有する混合物を、澄明溶液になるまで加熱する。反応混合物を蒸発乾固させ、一回トルエン(100 ml)から、ついで一回トルエン (100 ml ) 及び無水エタノール (12 ml)から再結晶させる。沈殿を単離し、水 (75ml)中に注ぐ。濃アンモニア (水溶液) を塩基性pHになるまで添加し、混合物を酢酸エチル (3 x 75 ml)で抽出する。 一緒にされた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ついで蒸発乾固する。(5) の収量8.2 g (69%),mp 94.5-96.5°C,

【0102】
(+)-シス-1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン フマル酸塩, mp 147-149°C,

【0103】
処理 (b)
(-)-シス-1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン (6)
処理 (a)に示した再結晶から得られたトルエンに水 (75 ml)及び濃アンモニア (水溶液) 塩基性pHになるまで添加する。混合物を、酢酸エチル (2x 75ml)で抽出する。一緒にされた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ついで蒸発乾固する。残留物を無水エタノール(60ml)中に溶解させ、ついで(+) マンデル酸 (6.6 g, 43.4 mmol)を添加する。
【0104】
他の処理は、処理 (a)に示した処理に従い、7.4 g (62%) の(6)[ mp 95-97°C,

【0105】
(-)-シス-1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン フマル酸塩,mp 148-150°C,

【0106】
方法 A2
純粋な対掌体, (+)- 及び (-)-トランス-1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン, を(5) 及び (6)の異性化によって製造することができる。
【0107】
(+)-トランス-1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン (7)
ジメチルホルムアミド (75 ml) 中に(5) (10.0 g, 36 mmol) 及び カリウムtert-ブトキサイド(12.0 g, 1.08 mmol) を有する溶液を一晩攪拌する。CaCl2 (75 ml, 3M) を添加し、反応混合物を酢酸エチル(2 x 200ml)で抽出する。一緒にされた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ついで蒸発乾固する。残留物を酢酸エチル (7 ml)から再結晶させる。(7)の収量6.3 g (63%), mp 137-139°C,

【0108】
(-)-トランス-1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン (8)
方法 (A2)したがって (6) (2.0 g, 7.3 mmol) から(8)を合成し、1.4 g (70%) の(8), mp 137-139°C,

【0109】
(-)-トランス-1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン フマル酸塩, mp 138-140°C,

【0110】
例 3
方法 B1
【0111】
【化7】

【0112】
(±)-シス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン (9)
テトラヒドロフラン (40 ml) 中に(3) (2.4 g, 8.6 mmol) を有する溶液に、60% NaH (0.69 g, 17 mmol) を添加し、室温で1時間攪拌する。硫酸ジエチル (1.4 ml, 11 mmol) を添加し、反応混合物を一晩攪拌する。水を添加し、反応混合物をジエチルエーテル (3 x 40 ml)で抽出する。一緒にされた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、ついで蒸発乾固する。. ジクロロメタン, メタノール及びアンモニア (水溶液) (9:1:1 %)の混合物を用いてカラムクロマトグラフィー分離して、1.5 g (56%) の生成物 (9) (油状物)を生じさせる。
【0113】
同様に次の化合物を製造する:
硫酸ジメチルでメチル化して、(±)-シス-1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン (10) (油状物)を製造。
【0114】
【化8】

【0115】
(±)-トランス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン (11)
方法 (B1) にしたがって、(11)を(4) (1.8 g, 6.6 mmol)から合成し、0.83 g (43%)の 生成物(11) (油状物)を生じさせる。
【0116】
同様に、硫酸ジメチルでメチル化して、(±)-トランス-1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン (12) (油状物)を製造する。
【0117】
方法 B2
【0118】
【化9】

【0119】
(+)-シス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン フマル酸塩 (13)
テトラヒドロフラン(150 ml)中に (5) (11.0 g, 40 mmol)を有する溶液に、カリウムtert-ブトキサイド (13.3 g, 120 mmol)を添加する。反応混合物を1時間攪拌し、ついで5°Cに冷却する。硫酸ジエチル (5.7 ml, 44 mmol) を添加し,反応混合物を一晩攪拌する。飽和塩化ナトリウム (150 ml) 及び水 (50 ml)を添加し、反応混合物を酢酸エチル(2x 80 ml)で抽出し, 硫酸ナトリウムで乾燥させ、ついで蒸発乾固する。(13)の収量12g (99%)。 Mp 72.5-74°C、

【0120】
同様に次の化合物を製造する:
硫酸ジメチルで (5)をアルキル化して、(+)-シス-1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン (14) (油状物)を製造。
【0121】
硫酸ジメチルで (6)をアルキル化して、(-)-シス-1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン (15) (油状物) を製造。
【0122】
(ブロモメチル)シクロプロパンで(5) をアルキル化して、(+)-シス-1-メチル-3-シクロプロピルメトキシメチル-4- (3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン フマル酸塩 (16)を製造。 Mp 187-188.5°C,

【0123】
(ブロモメチル)シクロプロパンで(6) をアルキル化して、(-)-シス-1-メチル-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン フマル酸塩 (17)を製造。Mp 184.5-187.6°C,

【0124】
1-ブロモ-2-メチルプロパンで(6) をアルキル化して、(-)-シス-1-メチル-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン フマル酸塩 (18)を製造。 Mp 181-183°C,

【0125】
硫酸ジエチルで(7) をアルキル化して、(+)-トランス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン (19) (油状物)を製造。
【0126】
硫酸ジエチル で(8) をアルキル化して、(-)-トランス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン (20) (油状物)の製造。
【0127】
硫酸ジメチルで(7) をアルキル化して、(+)-トランス-1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン (21) 、油状物、

【0128】
硫酸ジメチルで(8) をアルキル化して、(-)-トランス-1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン フマル酸塩 (22)、Mp. 50-70°C (吸湿性),

【0129】
(ブロモメチル)シクロプロパンで(8)をアルキル化して、(-)-トランス-1-メチル-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン フマル酸塩 (23)を製造。Mp 180-182°C,

【0130】
1-ブロモ-2-メチルプロパンで(8) をアルキル化して、(-)-トランス-1-メチル-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン フマル酸塩 (24)を製造。Mp 162-164°C,

【0131】
同様に下記の化合物を製造する:
(+)-シス-1-メチル-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン フマル酸塩。
(+)-トランス-1-メチル-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン フマル酸塩。
(+)-トランス-1-メチル-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン フマル酸塩。
【0132】
例 4
方法 C
(±)-シス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン (9) のラセミ化合物を、ジベンゾイル酒石酸塩によって個々の対掌体に分離することができる。
【0133】
処理 (a)
(+)-シス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン 臭化水素酸塩 (13)
(±)-シス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン (9) (1.1 g, 3.7 mmol) 及び (-)-ジベンゾイル酒石酸(0.48 g, 1.3 mmol)を99% エタノール (10 ml)中に溶解させ、蒸発乾固させる。蒸発残留物をトルエン (3 ml)から再結晶させる。トルエン (10 ml) 及びエタノール (10 ml)の混合物から再結晶させる。沈殿を単離し、4 N NaOH (5 ml) 及び ジエチルエーテル (10 ml)の混合物を溶解させる。ジエチルエーテルを分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、 0.25 g (45%) の生成物を遊離塩基として生じさせる。 臭化水素酸(0.20 ml, 1.7 mmol) を添加し、混合物を蒸発乾固する。残留物をエタノール (2 ml) 及び ジエチルエーテル (10 ml)から再結晶させ、0.20 g (28%) の(13), mp 183-185°C,

【0134】
処理 (b)
(-)-シス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン 臭化水素酸塩 (25)
処理(a)に記載した再結晶から得られたトルエンに、4 N NaOH (5 ml)を添加し、ジエチルエーテル (3 x 25 ml)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発乾固する。残留物を99% エタノール (10 ml)中に溶解させ、ついで(+)ジベンゾイル酒石酸(0.67g, 1.8 mmol)を添加する。次の処理は(a)に記載した処理に従って行われ、0.14 g (20%) の (25), mp 183 -185°C,

【0135】
(+)-トランス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン 臭化水素酸塩 (19) 及び
(-)-トランス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン 臭化水素酸塩 (20)
(19) 及び (20) を、方法 Cで使用された処理にしたがって(11) (0.83 g, 2.8 mmol )から分割し 、0.16 g (30%) の(19), mp 222°-224°C,

【0136】

【0137】
(+)-シス-1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン 臭化水素酸塩 (14) 及び
(-)-シス-1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン 臭化水素酸塩 (15)
(14) 及び (15)を、方法 Cの処理にしたがって(10) から分割する。(14)に対して

【0138】

【0139】
例 5
(+)-シス-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン (26)
(13) 0.70 g及び1-クロロエチルクロロホルマート (2.5 ml)の混合物を100°Cで 2日間攪拌し、その後4 N NaOH (25 ml)を添加する。混合物を一晩還流攪拌する。冷却後に,混合物をトルエンで抽出する。有機相 を乾燥させ、そして蒸発させて、油状物を生じさせ、これをカラムクロマトグラフィー (SiO2, メチレンクロライド, MeOH, アンモニア 9:1:1%)で分離し、生成物を淡い色の結晶として生じさせる。Mp 68-70°C。
【0140】
(+)-シス-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン フマル酸塩, mp 149-151°C.

【0141】
同様に下記の化合物を製造する:
(-)-シス-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン 臭化水素酸塩 (27), mp.182-184°C,

【0142】
(+)-シス-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン フマル酸塩 (28), mp 154.5 -156°C,

【0143】
(-)-シス-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン フマル酸塩 (29), mp 147-149°C,

【0144】
(+)-シス-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン フマル酸塩 (30), mp 172-173.5°C,

【0145】
(-)-シス-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン フマル酸塩 (31), mp 175-176.5°C,

【0146】
(+)-トランス-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン (32), (油状物),

【0147】
(-)-トランス-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン フマル酸塩 (33), mp.140-142°C,

【0148】
(+)-トランス-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン (34), (油状物),

【0149】
(-)-トランス-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン フマル酸塩(35), mp 140-142°C,

【0150】
(-)-トランス-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジンフマル酸塩 (36), mp 153.5-155.5°C,

【0151】
同様に下記の化合物を製造する:
(+)-トランス-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン フマル酸塩。
(+)-シス-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン フマル酸塩。
(-)-シス-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン フマル酸塩。
(+)-トランス-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン フマル酸塩。
(-)-トランス-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン フマル酸塩。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式 I
【化1】

{式中、
R1 は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル又は2-ヒドロキシエチルを示し、
R3 は-C(=O)-O-Rc 又は -CH2-O-Rc を示し、この際Rc は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はシクロアルキルアルキルを示し、
R4

(式中、Ra及びRbは相互に独立して ハロ又はトリフルオロメチルを示す。)
で表わされる基を示す。}
で表わされるピペリジン誘導体、又はそのあらゆる異性体又はその異性体のあらゆる混合物, 又はその薬学的に許容し得る塩
(但し、異性体の混合物は、
(±)-シス/トランス-1-メチル-3-メトキシカルボニル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン又は
(±)-シス/トランス-1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジンでない。)。
【請求項2】
R1 が水素又はアルキルを示す、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Ra 及びRb が相互に独立してハロを示す、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
R3 が-C(=O)-O-Rc を示す、請求項1-3のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項5】
R3 が-CH2-O-Rc を示す、請求項1-3のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項6】
Rcが水素, アルキル又はシクロアルキルアルキルを示す、請求項1-5のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項7】
R1 が水素又はアルキルを示し、
Rc が水素, アルキル又はシクロアルキルアルキルを示し、そして
Ra及びRbが相互に独立してハロを示す、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
R1 が水素又はアルキルを示し、
R3 が -CH2-O-Rcを示し、
Rc がアルキル又はシクロアルキルアルキルを示し、そして
Ra及びRbが相互に独立してハロを示す、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
1-メチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン-3-カルボン酸メチルエステル;
1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
1-メチル-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
1-メチル-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
又はそのあらゆる異性体又はその異性体のあらゆる混合物, 又はその薬学的に許容し得る塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
(±)-シス-1-メチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン-3-カルボン酸メチルエステル;
(±)-トランス-1-メチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン-3-カルボン酸メチルエステル;
(±)-シス-1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(±)-トランス-1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-シス-1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-シス-1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-トランス-1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン
(-)-トランス-1-メチル-3-ヒドロキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(±)-シス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(±)-シス-1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(±)-トランス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(±)-トランス-1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-シス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-シス-1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-シス-1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-シス-1-メチル-3-シクロプロピルメトキシメチル-4- (3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-シス-1-メチル-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-シス-1-メチル-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-トランス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-トランス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-トランス-1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-トランス-1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-トランス-1-メチル-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-トランス-1-メチル-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-シス-1-メチル-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-トランス-1-メチル-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-トランス-1-メチル-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-シス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-シス-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-シス-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-シス-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-シス-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-シス-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-シス-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-トランス-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-トランス-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-トランス-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-トランス-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-トランス-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-トランス-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-シス-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-シス-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-トランス-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-トランス-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
又はその薬学的に許容し得る塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
請求項1-10のいずれか1つに記載の化合物又はそのあらゆる異性体又はその異性体のあらゆる混合物, 又はその薬学的に許容し得る塩の治療上有効な量を、少なくとも1種の薬学的に許容し得るキャリヤー,賦形剤又は希釈剤と共に含む薬学的調合物。
【請求項12】
請求項1-10のいずれか1つに記載の化合物, 又はそのあらゆる異性体又はその異性体のあらゆる混合物, 又はその薬学的に許容し得る塩を医薬の製造に使用する方法。
【請求項13】
疾患又は障害又は病態―――この疾患又は障害又は病態は中枢神経系でモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に応答する―――の治療、予防又は緩和用薬学的調合物の製造のために、請求項12記載の使用する方法。
【請求項14】
前記疾患、障害又は病態が、情動障害, うつ病, 非定型うつ病, 大うつ病性障害, 気分変調性障害, 双極性障害, 双極性 I 障害, 双極性 II 障害, 循環病, 全身状態に起因する情動障害、物質誘発性情動障害, 仮性痴呆, ガンザー症候群, 強迫性障害, パニック障害, 広場恐怖症を伴わないパニック障害, 広場恐怖症を伴うパニック障害, パニック障害の病歴のない広場恐怖症, パニック発作, 記憶障害, 記憶喪失, 注意欠陥多動性障害, 肥満, 不安, 全身性不安障害, 摂食障害, パーキンソン病, パーキンソン症候群, 痴呆, 加齢による痴呆, 老人性痴呆, アルツハイマー病, 後天性免疫不全症候群、痴呆コンプレックス(dementia complex), 加齢による記憶機能障害, 社会恐怖症, 心的外傷後ストレス障害, 急性ストレス障害, 薬物嗜癖, 薬物乱用, コカイン中毒, ニコチン中毒, タバコ中毒, アルコール嗜癖, アルコール依存症, 苦痛、炎症性苦痛, 神経障害性苦痛, 偏頭痛の痛み, 緊張型頭痛, 慢性緊張型頭痛,うつ病に関連する苦痛、線維筋痛症, 関節炎, 変形性関節症, 慢性関節リウマチ, 背痛, 癌性疼痛, 過敏腸性疼痛, 過敏腸症候群, 術後の痛み, 発作後の痛み, 薬物に誘発された神経障害, 糖尿病性神経障害, 交感神経依存性疼痛, 三叉神経痛, 歯痛, 顔面筋疼痛, 幻想肢痛, 過食症, 月経前症候群、遅い黄体期症候群, 外傷後症候群, 慢性疲労症候群, 尿失禁, ストレス性尿失禁, 切迫尿失禁, 夜尿, 早漏, 勃起障害, 神経性食欲不振, 睡眠障害, 自閉症, 無言症, トリコチロマニー, 睡眠発作, 発作後うつ病, 発作に誘発された脳損傷, 発作に誘発されたニューロン損傷, 又は ジル・ド・ラ・ツレット病である、請求項12記載の使用する方法。
【請求項15】
ヒトを含めた動物生体の疾患又は障害又は病態----------この障害、疾患又は病態は中枢神経系でモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に応答する------------を治療、予防又は緩和する方法であって、この方法が請求項1-10のいずれか1つに記載の化合物、又はそのあらゆる異性体又はその異性体のあらゆる混合物, 又はその薬学的に許容し得る塩の治療上有効な量を、これを必要とするヒトを含めた動物生体に投与する工程を含むことを特徴とする、上記治療、予防又は緩和方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式 I
【化1】

{式中、
R1 は水素又はアルキルを示し、
R3 は-CH2-O-Rc を示し、この際Rc はアルキル又はシクロアルキルアルキルを示し、
R4

(式中、Ra及びRbは相互に独立してハロを示す。)
で表わされる基を示す。}
で表わされるピペリジン誘導体、又はそのあらゆる異性体又はその異性体のあらゆる混合物, 又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項2】
R1 が水素を示す、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R1 がアルキルを示す、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
Rc がアルキルを示す、請求項1-3のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項5】
Rc がシクロアルキルアルキルを示す、請求項1-3のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項6】
Raが塩素を示し、そしてRb が塩素を示す、請求項1-5のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項7】
1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
1-メチル-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
1-メチル-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
又はそのあらゆる異性体又はその異性体のあらゆる混合物, 又はその薬学的に許容し得る塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
(±)-シス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(±)-シス-1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(±)-トランス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(±)-トランス-1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-シス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-シス-1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-シス-1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-シス-1-メチル-3-シクロプロピルメトキシメチル-4- (3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-シス-1-メチル-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-シス-1-メチル-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-トランス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-トランス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-トランス-1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-トランス-1-メチル-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-トランス-1-メチル-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-トランス-1-メチル-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-シス-1-メチル-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-トランス-1-メチル-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-トランス-1-メチル-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-シス-1-メチル-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-シス-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-シス-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-シス-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-シス-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-シス-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-シス-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-トランス-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-トランス-3-エトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-トランス-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-トランス-3-メトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-トランス-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-トランス-3-シクロプロピルメトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-シス-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-シス-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(+)-トランス-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
(-)-トランス-3-イソブトキシメチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペリジン;
又はその薬学的に許容し得る塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
請求項1-8のいずれか1つに記載の化合物又はそのあらゆる異性体又はその異性体のあらゆる混合物, 又はその薬学的に許容し得る塩の治療上有効な量を、少なくとも1種の薬学的に許容し得るキャリヤー,賦形剤又は希釈剤と共に含む薬学的調合物。
【請求項10】
請求項1-8のいずれか1つに記載の化合物, 又はそのあらゆる異性体又はその異性体のあらゆる混合物, 又はその薬学的に許容し得る塩を医薬の製造に使用する方法。
【請求項11】
疾患又は障害又は病態―――この疾患又は障害又は病態は中枢神経系でモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に応答する―――の治療、予防又は緩和用薬学的調合物の製造のために、請求項10記載の使用する方法。
【請求項12】
前記疾患、障害又は病態が、情動障害, うつ病, 非定型うつ病, 大うつ病性障害, 気分変調性障害, 双極性障害, 双極性 I 障害, 双極性 II 障害, 循環病, 全身状態に起因する情動障害、物質誘発性情動障害, 仮性痴呆, ガンザー症候群, 強迫性障害, パニック障害, 広場恐怖症を伴わないパニック障害, 広場恐怖症を伴うパニック障害, パニック障害の病歴のない広場恐怖症, パニック発作, 記憶障害, 記憶喪失, 注意欠陥多動性障害, 肥満, 不安, 全身性不安障害, 摂食障害, パーキンソン病, パーキンソン症候群, 痴呆, 加齢による痴呆, 老人性痴呆, アルツハイマー病, 後天性免疫不全症候群、痴呆コンプレックス(dementia complex), 加齢による記憶機能障害, 社会恐怖症, 心的外傷後ストレス障害, 急性ストレス障害, 薬物嗜癖, 薬物乱用, コカイン中毒, ニコチン中毒, タバコ中毒, アルコール嗜癖, アルコール依存症, 苦痛、炎症性苦痛, 神経障害性苦痛, 偏頭痛の痛み, 緊張型頭痛, 慢性緊張型頭痛,うつ病に関連する苦痛、線維筋痛症, 関節炎, 変形性関節症, 慢性関節リウマチ, 背痛, 癌性疼痛, 過敏腸性疼痛, 過敏腸症候群, 術後の痛み, 発作後の痛み, 薬物に誘発された神経障害, 糖尿病性神経障害, 交感神経依存性疼痛, 三叉神経痛, 歯痛, 顔面筋疼痛, 幻想肢痛, 過食症, 月経前症候群、遅い黄体期症候群, 外傷後症候群, 慢性疲労症候群, 尿失禁, ストレス性尿失禁, 切迫尿失禁, 夜尿, 早漏, 勃起障害, 神経性食欲不振, 睡眠障害, 自閉症, 無言症, トリコチロマニー, 睡眠発作, 発作後うつ病, 発作に誘発された脳損傷, 発作に誘発されたニューロン損傷, 又は ジル・ド・ラ・ツレット病である、請求項11記載の使用する方法。
【請求項13】
ヒトを含めた動物生体の疾患又は障害又は病態----------この障害、疾患又は病態は中枢神経系でモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に応答する------------を治療、予防又は緩和する方法であって、この方法が請求項1-8のいずれか1つに記載の化合物、又はそのあらゆる異性体又はその異性体のあらゆる混合物, 又はその薬学的に許容し得る塩の治療上有効な量を、これを必要とするヒトを含めた動物生体に投与する工程を含むことを特徴とする、上記治療、予防又は緩和方法。

【公表番号】特表2006−507363(P2006−507363A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−501800(P2005−501800)
【出願日】平成15年10月30日(2003.10.30)
【国際出願番号】PCT/DK2003/000734
【国際公開番号】WO2004/039778
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(591019645)ニューロサーチ、アクティーゼルスカブ (16)
【氏名又は名称原語表記】NEUROSEARCH A/S
【Fターム(参考)】