説明

新規脂質化合物

一般式(I):
【化148】


[式中,
およびRは,同じまたは異なり,水素原子,ヒドロキシ基,アルキル基,ハロゲン原子,アルコキシ基,アシルオキシ基,アシル基,アルケニル基,アルキニル基,アリール基,アルキルチオ基,アルコキシカルボニル基,カルボキシ基,アルキルスルフィニル基,アルキルスルホニル基,アミノ基,およびアルキルアミノ基から選択され;
Pは,水素原子,
【化149】


[式中,P,P,およびPは,水素原子,アルキル基,およびC14−C22アルケニル基から選択され,ここで,アルキル基およびアルケニル基は任意にヒドロキシ基で置換されていてもよい]
【化150】


を表し,および
Yは,少なくとも1つの二重結合をEおよび/またはZコンフィギュレーションで有するC14−C22アルケニル基であり;
ただし,RおよびRは同時に水素原子ではない]
のオメガ−3脂質化合物,またはその薬学的に許容しうる複合体,溶媒和物,塩またはプロドラッグ。また,そのような化合物を含む医薬組成物および脂質組成物,および医薬品,特に心臓血管および代謝性疾患の治療用の医薬品として用いるためのそのような化合物も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は,一般式(I):
【化1】

[式中,R,R,P,およびYは下記に定義される]
のオメガ−3脂質化合物に関する。
【0002】
本発明はまた,そのような化合物を含む医薬組成物および脂質組成物,および医薬品,特に心臓血管および代謝性疾患の治療用の医薬品として用いるためのそのような化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
食用ポリ不飽和脂肪酸(PUFA)は,多様な生理学的プロセスに影響を及ぼし,普通の健康および慢性疾患,例えば,血漿脂質レベル,心臓血管および免疫機能,インスリンの作用および神経発生および視覚機能の制御に影響を与える。PUFA(通常はエステルの形,例えば,グリセリドおよびリン脂質の形)を摂取すると,これらは体内の事実上すべての細胞に分布し,膜組成および機能,エイコサノイド合成,細胞シグナリング,および遺伝子発現の制御に影響を及ぼす。細胞特異的脂質代謝に加え,異なる脂肪酸/脂質の異なる組織への分布ならびに脂肪酸により制御される転写因子の発現における変動は,細胞がPUFA組成の変化にどのようにして応答するかを決定するのに重要な役割を果たしているようである(Benatti,P.et al,J.Am.Coll.Nutr.2004,23,281)。PUFAまたはその代謝産物は,いくつかの核レセプターと相互作用することにより遺伝子転写を調節することが示されている。これらは,ペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR),肝臓核レセプター(HNF−4),肝臓Xレセプター(LXR),および9−シスレチノイン酸レセプター(レチノイン酸Xレセプター,RXR)である。PUFAによる処理はまた,核内の多くの転写因子,例えば,SREBP,NFkB,c/EBPβ,およびHIF−1αの量を制御することができる。これらの影響は,脂肪酸の転写因子への直接の結合によるものではなく,転写因子の核含有量に影響を与えるメカニズムが関与している。PUFAによる遺伝子転写の制御は,細胞および組織代謝に多大な影響を及ぼし,栄養物と遺伝子との相互作用が肥満,糖尿病,心臓血管疾患,免疫炎症性疾患および癌等の疾病の開始および予防または軽減に関与しているという,信頼できる説明を提供する(Wahle,J.,et al,Proceedings of the Nutrition Society,2003,349)。ω−3ポリ不飽和脂肪酸エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)が豊富な魚油は,部分的には血中トリグリセリド濃度を低下させることにより,心臓血管疾患のリスクを低下させることが示されている。この望ましい効果は,主としてSPEBP−1の減少による脂質生成の阻害と肝臓におけるPPAR−αの活性化による脂肪酸の酸化の促進との組み合わせの効果から生ずる。
【0004】
インビボでの安定性が限定されていること,および生物学的特異性を有していないため,PUFAは治療薬として広く使用されるには至っていない。これらの代謝作用を変化または増加させるために,いくつかの研究グループによりn−3ポリ不飽和脂肪酸の化学的修飾が行われている。
【0005】
例えば,EPAエチルエステル(EE)のα位にメチルまたはエチルを導入することにより,EPAの脂質低下効果が増強された(Vaagenes,et al,Biochemical Pharmacology,1999,58,1133)。これらの化合物は血漿遊離脂肪酸も低下させたが,EPAEE化合物は影響を及ぼさなかった。
【0006】
L.Larsenにより公表された最近の研究では(Larsen,L.et al,Lipids,2005,40,49),著者らは,EPAおよびDHAのα−メチル誘導体がEPA/DHAと比較して核レセプターPPARαの活性化を増加させ,このことによりL−FABPの発現を増加させることを示している。著者らは,これらのα−メチルPUFAの異化作用の遅れがこれらの増加した効果に寄与することを示唆している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の概要
本発明の1つの目的は,薬学的活性を有するオメガ−3脂質化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は,式(I)のオメガ−3脂質化合物:
【化2】

[式中,
およびRは,同じまたは異なり,水素原子,ヒドロキシ基,アルキル基,ハロゲン原子,アルコキシ基,アシルオキシ基,アシル基,アルケニル基,アルキニル基,アリール基,アルキルチオ基,アルコキシカルボニル基,カルボキシ基,アルキルスルフィニル基,アルキルスルホニル基,アミノ基,およびアルキルアミノ基から選択され;
Pは,水素原子,
【化3】

[式中,P,P,およびPは,水素原子,アルキル基,およびC14−C22アルケニル基から選択され,ここで,アルキル基およびアルケニル基は任意にヒドロキシ基で置換されていてもよい]
【化4】

を表し,
Yは少なくとも1つの二重結合をEおよび/またはZコンフィギュレーションで有するC14−C22アルケニル基であり;
ただし,RおよびRは同時に水素原子ではない]
またはその薬学的に許容しうる複合体,溶媒和物,塩またはプロドラッグにより達成される。
【0009】
特に,本発明は,式(I)のオメガ−3脂質化合物に関し,ここで,
Yは,2−6個の二重結合を有するC16−C22アルケニルである;
Yは,2−6個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC16−C20アルケニルである;
Yは,6個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC20アルケニルである;
Yは,5個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC20アルケニルである;
Yは,3−5個の二重結合を有するC16−C20アルケニルである;
Yは,3−5個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC16−C20アルケニルである;
Yは,5個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC18アルケニルである;
Yは,3個の二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC16アルケニルである;または
Yは,3個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC16アルケニルである。
【0010】
より詳細には,本発明は,以下:
(全Z)−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オール,
(全Z)−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン−1−オール,
(全Z)−9,12,15−オクタデカトリエン−1−オール,
(全Z)−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン−1−オール,
(全Z)−11,14,17−エイコサトリエン−1−オール,
(4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサペンタエン−1−オール,
(5E,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサペンタエン−1−オール,および
(4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサヘキサエン−1−オール
からなる群より選択されるオメガ−3脂質化合物,またはその薬学的に許容しうる複合体,溶媒和物,塩,またはプロドラッグに関し,ここで,前記オメガ−3脂質化合物は,ヒドロキシル官能基から数えて炭素2で,水素原子,ヒドロキシ基,アルキル基,ハロゲン原子,アルコキシ基,アシルオキシ基,アシル基,アルケニル基,アルキニル基,アリール基,アルキルチオ基,アルコキシカルボニル基,カルボキシ基,アルキルスルフィニル基,アルキルスルホニル基,アミノ基,およびアルキルアミノ基から選択される少なくとも1つの置換基で置換されており,ただし,RおよびRは同時に水素原子ではない。
【0011】
本発明の例示的態様においては,オメガ−3脂質化合物は,以下:
【化5】

から選択される。
【0012】
本発明にしたがう化合物においては,前記アルキル基は,メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,sec−ブチル,およびn−ヘキシルから選択することができ;前記ハロゲン原子はフッ素であることができ;前記アルコキシ基は,メトキシ,エトキシ,プロポキシ,イソプロポキシ,sec−ブトキシ,フェノキシ,ベンジルオキシ,OCHCF,およびOCHCHOCHから選択することができ;前記アルケニル基は,アリル,2−ブテニル,および3−ヘキセニルから選択することができ;前記アルキニル基は,プロパルギル,2−ブチニル,および3−ヘキシニルから選択することができ;前記アリール基は,ベンジル基,および置換ベンジル基から選択することができ;前記アルキルチオ基は,メチルチオ,エチルチオ,イソプロピルチオ,およびフェニルチオから選択することができ;前記アルコキシカルボニル基は,メトキシカルボニル,エトキシカルボニル,プロポキシカルボニル,およびブトキシカルボニルから選択することができ;前記アルキルスルフィニル基は,メタンスルフィニル,エタンスルフィニル,およびイソプロパンスルフィニルから選択することができ;前記アルキルスルホニル基は,メタンスルホニル,エタンスルホニル,およびイソプロパンスルホニルから選択することができ;および前記アルキルアミノ基は,メチルアミノ,ジメチルアミノ,エチルアミノ,およびジエチルアミノから選択することができる。
【0013】
特に,RおよびRは,水素原子;アルキル基,例えばC−Cアルキル基;アルコキシ基,例えばC−Cアルコキシ基;アルキルチオ基,例えばC−Cアルキルチオ基;アミノ基,アルキルアミノ基,例えばC−Cアルキルアミノ,アルコキシカルボニル基,例えばC−Cアルコキシカルボニル基,およびカルボキシ基から選択することができる。
【0014】
例えば,前記C−Cアルキル基は,メチル,エチル,またはプロピルであることができ;前記C−Cアルコキシ基は,メトキシ,エトキシまたはプロポキシであることができ;前記C−Cアルキルチオ基は,メチルチオ,エチルチオ,またはプロピルチオであることができ;前記C−Cアルキルアミノ基は,エチルアミノまたはジエチルアミノであることができる。
【0015】
本発明にしたがえば,Pは水素原子を表すか,またはPは,
【化6】

[式中,P,P,およびPは,水素原子,アルキル基,およびC14−C22アルケニル基から選択され,ここで,アルキル基およびアルケニル基は,任意にヒドロキシ基で置換されていてもよい]
を表すか,またはPは,
【化7】

を表すか,またはPは,
【化8】

を表すか,またはPは,
【化9】

を表す。
【0016】
本発明にしたがう化合物の例は,Pが水素であり,YがZコンフィギュレーションで位置する6個のメチレン中断二重結合を有するC20アルケニルであるものであり,ここで,
およびRの一方はメチルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はエチルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はプロピルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はメトキシであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はエトキシであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はプロポキシであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はチオメチルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はチオエチルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はチオプロピルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はエチルアミノであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はベンジルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はジエチルアミノであり,他方は水素原子であり;または
およびRの一方はアミノであり,他方は水素原子である。
【0017】
本発明にしたがう化合物の別の例は,Pが水素であり,YがZコンフィギュレーションで位置する5個のメチレン中断二重結合を有するC20アルケニルであるものであり,ここで,
およびRの一方はメチルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はエチルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はプロピルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はメトキシであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はエトキシであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はプロポキシであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はベンジルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はチオメチルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はチオエチルであり,他方は水素原子であり;または
およびRの一方はチオプロピルであり,他方は水素原子である。
【0018】
本発明にしたがう化合物のさらに別の例は,Pが水素であり,YがZコンフィギュレーションで位置する5個のメチレン中断二重結合を有するC18アルケニルであるものであり,ここで,
およびRの一方はメチルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はエチルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はプロピルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はメトキシであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はエトキシであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はプロポキシであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はチオメチルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はチオエチルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はチオプロピルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はエチルアミノであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はベンジルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はジエチルアミノであり,他方は水素原子であり;または
およびRの一方はアミノであり,他方は水素原子である。
【0019】
本発明にしたがう化合物のさらに別の例は,Pが水素であり,YがZコンフィギュレーションで位置する3個のメチレン中断二重結合を有するC16アルケニルであるものであり,ここで,
およびRの一方はメチルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はエチルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はプロピルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はメトキシであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はエトキシであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はプロポキシであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はチオメチルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はチオエチルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はチオプロピルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はエチルアミノであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はベンジルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はジエチルアミノであり,他方は水素原子であり;または
およびRの一方はアミノであり,他方は水素原子である。
【0020】
本発明の式(I)にしたがうオメガ−3脂質化合物においては,RおよびRは,同じであっても異なっていてもよい。異なる場合には,式(I)の化合物は立体異性体の形で存在することができる。本発明は,式(I)の化合物のすべての光学異性体およびこれらの混合物,例えばラセミ体を包含することが理解される。すなわち,本発明は,RとRとが異なる場合,ラセミ体であるか,または(S)または(R)エナンチオマーのいずれかとしてエナンチオマー的に純粋である式(I)の化合物を含む。
【0021】
本発明はまた,医薬品として,または診断目的で使用するための,例えば,ポジトロン放出断層撮影法(PET)において用いるための,式(I)にしたがうオメガ−3化合物に関する。さらに,本発明にしたがう化合物および組成物は,化粧製品,特に皮膚局所用調製物として用いることができる。これらの調製物は,様々な目的に,例えば乾癬の治療に用いることができる。
【0022】
さらに,本発明は,式(I)にしたがうオメガ−3脂質化合物を含む医薬組成物に関する。医薬組成物は,薬学的に許容しうる担体,賦形剤または希釈剤,またはこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよく,好適には経口投与用に,例えば,カプセルまたはサシェの形で製剤される。式(I)にしたがう化合物の好適な1日投与量は,5mgから10gの前記化合物;50mgから1gの前記化合物,または50mgから200mgの前記化合物である。
【0023】
本発明はまた,式(I)にしたがうオメガ−3脂質化合物を含む脂質組成物に関する。好適には,前記オメガ−3脂質化合物は,脂質組成物の少なくとも60重量%,または少なくとも80重量%の濃度で存在する。脂質組成物はさらに,(全Z)−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン−1−オール(EPA),(全Z)−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オール酸(DHA),(全Z)−6,9,12,15,18−ヘンエイコサペンタエン−1−オール酸(HPA),および/または(全Z)−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン−1−オール(DPA),またはこれらの誘導体,すなわち,その2−置換形で存在する誘導体から選択されるオメガ−3脂肪酸アルコール,またはそのプロドラッグ,および/または薬学的に許容しうる抗酸化剤,例えばトコフェロールを含んでいてもよい。
【0024】
さらに,本発明は,式(I)にしたがうオメガ−3脂質化合物の,下記のための医薬品の製造のための使用に関する:
ヒトペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR)アイソフォームの少なくとも1つの活性化または調節,ここで,前記ペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR)はペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR)αおよび/またはγであり;
末梢インスリン耐性および/または糖尿病性状態の治療および/または予防;
血漿インスリン,血中グルコースおよび/または血清トリグリセリドの低下;
2型糖尿病の治療および/または予防;
トリグリセリドレベル,LDLコレステロールレベル,および/またはVLDLコレステロールレベルの上昇の予防および/または治療;
脂質異常症状態,例えば高トリグリセリド血症(HTG)の予防および/または治療;
ヒトにおける血清HDLレベルの増加;
肥満または体重過多の治療および/または予防;
体重の減少および/または体重増加の予防;
脂肪肝疾患,例えば非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療および/または予防;
インスリン耐性,高脂血症および/または肥満または体重過多の治療;
炎症性疾患または状態の治療および/または予防用の医薬品の製造。
【0025】
本発明はまた,上述の病気を治療および/または予防する方法に関し,この方法は,それを必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の式(I)にしたがう化合物を投与することを含む。
【0026】
さらに,本発明は,式(I)にしたがうオメガ−3脂質化合物を製造する方法も包含する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
発明の詳細な説明
研究により,ポリ不飽和脂肪酸のα−位に置換基を導入すると,核レセプター,特にPPARへのこれらの親和性が増加することが示されている。PPARはエネルギーホメオスタシスおよび炎症の鍵となる制御因子であるため,合成PPARリガンドの開発に向けて多くの研究が行われている。
【0028】
PUFAのカルボン酸官能基は,PPARにおける標的の結合に重要であるが,このイオン性基は薬剤が胃壁の細胞膜を横切ることを妨げる。このため,薬剤中のカルボン酸官能基はしばしばエステルとして保護される。より極性が低いエステル基は,脂肪性の細胞膜を横切ることができ,いったん血流に入れば,これは血中のエステラーゼにより加水分解されて,遊離カルボン酸に戻ることができる。
【0029】
血漿酵素がこれらのエステルを十分に速く加水分解せず,エステルから遊離カルボン酸への変換は主として肝臓で起こる可能性がある。インビボで加水分解されて遊離カルボン酸となるポリ不飽和脂肪酸のエチルエステルについても同じことが生ずる。
【0030】
2−置換ポリ不飽和脂肪酸誘導体は治療目的に用いられる可能性があるため,本発明にしたがう化合物は,α−置換脂肪酸の新規なプロドラッグである。これらのプロドラッグは,改良された治療活性,増加した生物利用性および細胞膜を横切る能力を有するであろう。
【0031】
それぞれのPPARレセプターサブタイプは,異なる発現パターンを示し,重複しているが異なる生物学的活性を示す。PPAR−αおよびPPAR−γは主としてそれぞれ肝臓および脂肪組織に存在するが,PPAR−δは遍在的に発現されている。PPARレセプターサブタイプの分布が異なるため,これらのレセプターを標的とする薬剤は,所望のレセプターが発現している組織を標的とするはずである。鎖長および二重結合の数に加えて,官能基の変化も本発明の化合物にある種の組織特異性を与えるかもしれない。
【0032】
例示的態様には,2位で置換されているオメガ−3ポリ不飽和アルコールまたはそのプロドラッグが含まれる。さらに,本発明にしたがうオメガ−3化合物を含む脂質組成物,トリグリセリドレベルおよびコレステロールを低下させることができ,同時にHDLレベルを増加させることができる。本発明にしたがう医薬製品はまた,炎症性疾患,神経発生および視覚機能に増大した影響を及ぼすことができる。
【0033】
用語および術語
脂肪酸は,一方の末端(α)にカルボキシル(COOH)基を,他方の末端(ω)に(通常は)メチル基を有する直鎖炭化水素である。脂肪酸は,ω末端から最初の二重結合の位置により命名される。ω−3(オメガ−3)との用語は,最初の二重結合が炭素鎖の末端CH(ω)から3番目の炭素−炭素結合として存在することを意味する。しかし,化学の命名法の慣習では,炭素原子の番号付けはα末端から開始する。
【化10】

【0034】
本発明にしたがえば,カルボキシル基は,アルコール,またはそのプロドラッグの形の新たな官能基により置き換えられている。
【0035】
本明細書において用いる場合,“メチレン中断二重結合”との表現は,オメガ−3脂質化合物の炭素鎖中の2つの別々の二重結合の間にメチレン基が存在する場合に関する。
【0036】
本明細書を通じて,“2−置換”,2位で置換される,および“オメガ−3脂質化合物の官能基から数えて炭素2で置換される”との表現は,炭素鎖の上述の番号付けにしたがって2で示される炭素原子における置換を表す。あるいは,そのような置換は,“2−置換”と称してもよい。
【0037】
本明細書を通じて,“オメガ−3脂質化合物”(ω−3ないしn−3と対応)との用語は,上で定義したとおり,炭素鎖のω末端から3番目の炭素−炭素結合に最初の二重結合を有する脂質化合物に関する。
【0038】
本発明の基本的概念は,式(I):
【化11】

[式中,
およびRは,同じまたは異なり,水素原子,ヒドロキシ基,アルキル基,ハロゲン原子,アルコキシ基,アシルオキシ基,アシル基,アルケニル基,アルキニル基,アリール基,アルキルチオ基,アルコキシカルボニル基,カルボキシ基,アルキルスルフィニル基,アルキルスルホニル基,アミノ基,およびアルキルアミノ基から選択され;
Pは水素原子を表すか,または
Pは,
【化12】

[式中,P,P,およびPは,水素原子,アルキル基,およびC14−C22アルケニル基から選択され,ここで,アルキル基およびアルケニル基は任意にヒドロキシ基で置換されていてもよい]
を表し,またはPは,
【化13】

を表し,またはPは,
【化14】

を表し,またはPは,
【化15】

を表し,
Yは少なくとも1つの二重結合をEおよび/またはZコンフィギュレーションで有するC14−C22アルケニル基であり,
ただし,RおよびRは同時に水素原子ではない
のオメガ−3脂質化合物またはその薬学的に許容しうる複合体,溶媒和物,塩またはプロドラッグである。
【0039】
得られる化合物は,2−置換オメガ−3脂質化合物,すなわち,カルボニル末端から数えて2位の炭素原子で置換されているオメガ−3脂質化合物である。より詳細には,得られる化合物は,2−置換ポリ不飽和オメガ−3アルコール,またはそのプロドラッグである。例示的プロドラッグは,式(II):
【化16】

[式中,RはC−Cアルキルである]
のオメガ−3脂質化合物に関連する。
【0040】
別の例示的プロドラッグには以下のものが含まれる:
【化17】

【0041】
他の例示的態様には,2位で置換された以下のオメガ−3誘導体が含まれる:
(全Z)−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オール,
(全Z)−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン−1−オール,
(全Z)−9,12,15−オクタデカトリエン−1−オール,
(全Z)−6,9,12,15−オクタデカテトラエン−1−オール,
(全Z)−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン−1−オール,
(全Z)−11,14,17−エイコサトリエン−1−オール,
(全Z)−6,9,12,15,18,21−テトラコサヘキサエン−1−オール,
(4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサペンタエン−1−オール,
(5E,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサペンタエン−1−オール,
(全Z)−8,11,14,17−エイコサテトラエン−1−オール,および
(4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサヘキサエン−1−オール。
【0042】
およびRについて上で挙げられる可能な置換基のうち,低級アルキル基,特にメチルおよびエチル基が好ましい態様である。他の例示的置換基は,例えば,1−3個の炭素原子を有する低級アルコキシ基または低級アルキルチオ基である。RまたはRのいずれか一方がこれらの置換基の任意の1つで置換され,他方が水素であるものが,最も有効な結果を与えると考えられる。
【0043】
この位置で置換することができる例示的オメガ−3ポリ不飽和脂質としては,(全Z)−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オール,(全Z)−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン−1−オール,(全Z)−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン−1−オールおよび(全Z)−9,12,15−オクタデカトリエン−1−オールが挙げられる。好適な置換基としては,水素原子および低級アルキル基,好ましくは1−3個の炭素原子,より好ましくは2−3個の炭素原子を有するものが挙げられる。
【0044】
本発明にしたがうオメガ−3脂質化合物,すなわち,置換されたオメガ−3アルコールおよびその可能なプロドラッグは,下記のカテゴリーA−Hに分けることができる。
【0045】
カテゴリーA
官能基から数えて2位で置換されている(全Z)−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オール:
【化18】

Yは6個のメチレン中断二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC20アルケニルである。
【0046】
カテゴリーB
官能基から数えて2位で置換されている(全Z)−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン−1−オール,またはそのプロドラッグ:
【化19】

Yは5個のメチレン中断二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC18アルケニルである。
【0047】
カテゴリーC
官能基から数えて2位で置換されている(全Z)−9,12,15−オクタデカトリエン−1−オール,またはそのプロドラッグ:
【化20】

Yは3個のメチレン中断二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC16アルケニルである。
【0048】
カテゴリーD
官能基から数えて2位で置換されている(全Z)−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン−1−オール,またはそのプロドラッグ:
【化21】

Yは5個のメチレン中断二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC20アルケニルである。
【0049】
カテゴリーE
官能基から数えて2位で置換されている(4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサペンタエン−1−オール,またはそのプロドラッグ:
【化22】

Yは5個の二重結合を有するC18アルケニルである。
【0050】
カテゴリーF
官能基から数えて2位で置換されている(全Z)−11,14,17−エイコサトリエン−1−オール,またはそのプロドラッグ:
【化23】

Yは3個のメチレン中断二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC18アルケニルである。
【0051】
カテゴリーG
官能基から数えて2位で置換されている(4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサヘキサエン−1−オール,またはそのプロドラッグ:
【化24】

Yは6個の二重結合を有するC20アルケニルである。
【0052】
カテゴリーH
官能基から数えて2位で置換されている(5E,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサペンタエン−1−オール,またはそのプロドラッグ:
【化25】

Yは5個の二重結合を有するC18アルケニルであり,
Pは−CHCOOHである。
【0053】
カテゴリーI
α−置換オメガ−3脂質化合物,ここで,Pは
【化26】

[式中,P,P,およびPはそれぞれ水素原子を表す]
であり,R,R,およびYは上で定義したとおりである。
【0054】
カテゴリーJ
α−置換オメガ−3脂質化合物,ここでPは,
【化27】

[式中,P,P,およびPはそれぞれメチル基を表す]
であり,R,R,およびYは上で定義したとおりである。
【0055】
カテゴリーK
α−置換オメガ−3脂質化合物,ここでPは,
【化28】

[式中,Pは,ヒドロキシ基で置換されたエチルであり,P,およびPはそれぞれ水素原子を表す]
であり,R,R,およびYは上で定義したとおりである。
【0056】
カテゴリーL
α−置換オメガ−3脂質化合物,ここでPは,
【化29】

を表し,R,R,およびYは上で定義したとおりである。
【0057】
カテゴリーM
α−置換オメガ−3脂質化合物,ここでPは,
【化30】

を表し,R,R,およびYは上で定義したとおりである。
【0058】
カテゴリーN
α−置換オメガ−3脂質化合物,ここで,Pは,
【化31】

[式中,P,P,およびPはそれぞれメチル基を表す]
である。
【0059】
カテゴリーO
α−置換オメガ−3脂質化合物,ここで,Pは,
【化32】

[式中,Pはアルケニル基であり,P,およびPはそれぞれ水素原子を表す」
であり,R,R,およびYは上で定義したとおりである。
【0060】
カテゴリーA−例(1)−(8):
例(1)−(8)のすべてについて:
Pは水素であり,
Yは6個のメチレン中断二重結合を有するC20アルケニルである。
【化33】

(全Z)−2−メチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オール(1)
=メチル,R=水素原子,または
=メチル,R=水素原子
【化34】

(全Z)−2−エチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オール(2)
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【化35】

(全Z)−2−プロピル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オール(3)
=プロピル,R=水素原子,または
=プロピル,R=水素原子
【化36】

(全Z)−2−メトキシ−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オール(4)
=メトキシ,R=水素原子,または
=メトキシ,R=水素原子
【化37】

(全Z)−2−エトキシ−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オール(5)
=エトキシ,R=水素原子,または
=エトキシ,R=水素原子
【化38】

(全Z)−2−プロポキシ−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オール(6)
=プロポキシ,R=水素原子,または
=プロポキシ,R=水素原子
【化39】

(全Z)−2−チオメチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オール(7)
=チオメチル,R=水素原子,または
=チオメチル,R=水素原子
【化40】

(全Z)−2−チオエチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オール(8)
=チオエチル,R=水素原子,または
=チオエチル,R=水素原子
【0061】
カテゴリーB−例(9)−(17):
例(9)−(17)のすべてについて:
P=水素原子
Y=5個のメチレン中断二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC18アルケニル
【化41】

(全Z)−2−メチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン−1−オール(9)
=メチル,R=水素原子,または
=メチル,R=水素原子
【化42】

(全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン−1−オール(10)
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【化43】

(全Z)−2−プロピル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン−1−オール(11)
=プロピル,R=水素原子,または
=プロピル,R=水素原子
【化44】

(全Z)−2−メトキシ−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン−1−オール(12)
=メトキシ,R=水素原子,または
=メトキシ,R=水素原子
【化45】

(全Z)−2−エトキシ−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン−1−オール(13)
=エトキシ,R=水素原子,または
=エトキシ,R=水素原子
【化46】

(全Z)−2−プロポキシ−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン−1−オール(14)
=プロポキシ,R=水素原子,または
=プロポキシ,R=水素原子
【化47】

(全Z)−2−チオメチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン−1−オール(15)
=メチルチオ,R=水素原子,または
=メチルチオ,R=水素原子
【化48】

(全Z)−2−チオエチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン−1−オール(16)
=エチルチオ,R=水素原子,または
=エチルチオ,R=水素原子
【化49】

(全Z)−2−チオプロピル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン−1−オール(17)
=プロピルチオ,R=水素原子,または
=プロピルチオ,R=水素原子
【0062】
カテゴリーC−例(18)−(26):
例(18)−(26):のすべてについて
P=水素原子
Y=3個のメチレン中断二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC16アルケニル
【化50】

(全Z)−2−メチル−9,12,15−オクタデカトリエン−1−オール(18)
=メチル,R=水素原子,または
=メチル,R=水素原子
【化51】

(全Z)−2−エチル−9,12,15−オクタデカトリエン−1−オール(19)
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【化52】

(全Z)−2−プロピル−9,12,15−オクタデカトリエン−1−オール(20)
=プロピル,R=水素原子,または
=プロピル,R=水素原子
【化53】

(全Z)−2−メトキシ−9,12,15−オクタデカトリエン−1−オール(21)
=メトキシ,R=水素原子,または
=メトキシ,R=水素原子
【化54】

(全Z)−2−エトキシ−9,12,15−オクタデカトリエン−1−オール(22)
=エトキシ,R=水素原子,または
=エトキシ,R=水素原子
【化55】

(全Z)−2−プロポキシ−9,12,15−オクタデカトリエン−1−オール(23)
=プロポキシ,R=水素原子,または
=プロポキシ,R=水素原子
【化56】

(全Z)−2−チオメチル−9,12,15−オクタデカトリエン−1−オール(24)
=メチルチオ,R=水素原子,または
=メチルチオ,R=水素原子
【化57】

(全Z)−2−チオエチル−9,12,15−オクタデカトリエン−1−オール(25)
=エチルチオ,R=水素原子,または
=エチルチオ,R=水素原子
【化58】

(全Z)−2−チオプロピル−9,12,15−オクタデカトリエン−1−オール(26)
=プロピルチオ,R=水素原子,または
=プロピルチオ,R=水素原子
【0063】
カテゴリーD−例(27)−(35):
例(27)−(35):のすべてについて
P=水素原子
Y=5個のメチレン中断二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC20アルケニル
【化59】

(全Z)−2−メチル−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン−1−オール(27)
=メチル,R=水素原子,または
=メチル,R=水素原子
【化60】

(全Z)−2−エチル−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン−1−オール(28)
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【化61】

(全Z)−2−プロピル−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン−1−オール(29)
=プロピル,R=水素原子,または
=プロピル,R=水素原子
【化62】

(全Z)−2−メトキシ−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン−1−オール(30)
=メトキシ,R=水素原子,または
=メトキシ,R=水素原子
【化63】

(全Z)−2−エトキシ−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン−1−オール(31)
=エトキシ,R=水素原子,または
=エトキシ,R=水素原子
【化64】

(全Z)−2−プロポキシ−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン−1−オール(32)
=プロポキシ,R=水素原子,または
=プロポキシ,R=水素原子
【化65】

(全Z)−2−チオメチル−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン−1−オール(33)
=メチルチオ,R=水素原子,または
=メチルチオ,R=水素原子
【化66】

(全Z)−2−チオエチル−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン−1−オール(34)
=エチルチオ,R=水素原子,または
=エチルチオ,R=水素原子
【化67】

(全Z)−2−チオプロピル−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン−1−オール(35)
=プロピルチオ,R=水素原子,または
=プロピルチオ,R=水素原子
【0064】
カテゴリーE−例(36)−(44):
例(36)−(44)のすべてについて
Y=5個の二重結合を有するC18アルケニル
P=水素原子
【化68】

(4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−メチル−エイコサペンタエン−1−オール(36)
=メチル,R=水素原子,または
=メチル,R=水素原子
【化69】

(4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−エチル−エイコサペンタエン−1−オール(37)
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【化70】

(4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−プロピル−エイコサペンタエン−1−オール(38)
=プロピル,R=水素原子,または
=プロピル,R=水素原子
【化71】

(4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−メトキシ−エイコサペンタエン−1−オール(39)
=メトキシ,R=水素原子,または
=メトキシ,R=水素原子
【化72】

(4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−エトキシ−エイコサペンタエン−1−オール(40)
=エトキシ,R=水素原子,または
=エトキシ,R=水素原子
【化73】

(4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−プロポキシ−エイコサペンタエン−1−オール(41)
=プロポキシ,R=水素原子,または
=プロポキシ,R=水素原子
【化74】

(4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−チオメチル−エイコサペンタエン−1−オール(42)
=メチルチオ,R=水素原子,または
=メチルチオ,R=水素原子
【化75】

(4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−チオエチル−エイコサペンタエン−1−オール(43)
=エチルチオ,R=水素原子,または
=エチルチオ,R=水素原子
【化76】

(4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−チオプロピル−エイコサペンタエン−1−オール(44)
=プロピルチオ,R=水素原子,または
=プロピルチオ,R=水素原子
【0065】
カテゴリーF−例(45)−(54)
すべての例について:
Y=3個のメチレン中断二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC18アルケニル
P=水素原子
【化77】

(全Z)−2−エチル,2−ヒドロキシメチル−11,14,17−エイコサトリエン−1−オール(45)
=エチル,R=ヒドロキシ,または
=ヒドロキシ,R=エチル
【化78】

(全Z)−2−メチル−11,14,17−エイコサトリエン−1−オール(46)
=メチル,R=水素原子,または
=メチル,R=水素原子
【化79】

(全Z)−2−エチル−11,14,17−エイコサトリエン−1−オール(47)
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【化80】

(全Z)−2−プロピル−11,14,17−エイコサトリエン−1−オール(48)
=プロピル,R=水素原子,または
=プロピル,R=水素原子
【化81】

(全Z)−2−メトキシ−11,14,17−エイコサトリエン−1−オール(49)
=メトキシ,R=水素原子,または
=メトキシ,R=水素原子
【化82】

(全Z)−2−エトキシ−11,14,17−エイコサトリエン−1−オール(50)
=エトキシ,R=水素原子,または
=エトキシ,R=水素原子
【化83】

(全Z)−2−プロポキシ−11,14,17−エイコサトリエン−1−オール(51)
=プロポキシ,R=水素原子,または
=プロポキシ,R=水素原子
【化84】

(全Z)−2−チオメチル−11,14,17−エイコサトリエン−1−オール(52)
=メチルチオ,R=水素原子,または
=メチルチオ,R=水素原子
【化85】

(全Z)−2−チオエチル−11,14,17−エイコサトリエン−1−オール(53)
=エチルチオ,R=水素原子,または
=エチルチオ,R=水素原子
【化86】

(全Z)−2−チオプロピル−11,14,17−エイコサトリエン−1−オール(54)
=プロピルチオ,R=水素原子,または
=プロピルチオ,R=水素原子
【0066】
カテゴリーG−例(55)−(63):
例(55)−(63)のすべてについて:
Y=6個の二重結合を有するC20アルケン
P=水素原子
【化87】

4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z−2−メチル−ドコサヘキサエン−1−オール(55)
=メチル,R=水素原子,または
=メチル,R=水素原子
【化88】

(4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−2−エチル−−ドコサヘキサエン−1−オール(56)
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【化89】

(4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−2−プロピル−ドコサヘキサエン−1−オール(57)
=プロピル,R=水素原子,または
=プロピル,R=水素原子
【化90】

(4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−2−メトキシ−ドコサヘキサエン−1−オール(58)
=メトキシ,R=水素原子,または
=メトキシ,R=水素原子
【化91】

(4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−2−エトキシ−−ドコサヘキサエン−1−オール(59)
=エトキシ,R=水素原子,または
=エトキシ,R=水素原子
【化92】

(4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−2−プロポキシ−ドコサヘキサエン−1−オール(60)
=プロポキシ,R=水素原子,または
=プロポキシ,R=水素原子
【化93】

(4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−2−チオメチル−ドコサヘキサエン−1−オール(61)
=メチルチオ,R=水素原子,または
=メチルチオ,R=水素原子
【化94】

(4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−2−チオエチル−ドコサヘキサエン−1−オール(62)
=エチルチオ,R=水素原子,または
=エチルチオ,R=水素原子
【化95】

(4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−2−チオプロピル−ドコサヘキサエン−1−オール(63)
=プロピルチオ,R=水素原子,または
=プロピルチオ,R=水素原子
【0067】
カテゴリーH−例(64)−(66):
例(64)−(66)のすべてについて:
Y=5個の二重結合を有するC18アルケン
P=水素原子
【化96】

5E,8Z,11Z,14Z,17Z−2−メチル−エイコサペンタエン−1−オール(64)
=メチル,R=水素原子,または
=メチル,R=水素原子
【化97】

5E,8Z,11Z,14Z,17Z−2−エチル−エイコサペンタエン−1−オール(65)
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【化98】

5E,8Z,11Z,14Z,17Z−2−エトキシ−エイコサペンタエン−1−オール(66)
=エトキシR=水素原子,または
=エトキシ,R=水素原子
【0068】
カテゴリーI−例(67)−(69):
例(67)−(69)のすべてについて:
Pは,
【化99】

である。
【0069】
【化100】

(全Z)−2−エチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オールアセテート(67)
Y=6個のメチレン中断二重結合を有するC20アルケニル
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【化101】

(全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン−1−オールアセテート(68)
Y=5個のメチレン中断二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC18アルケニル
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【化102】

(全Z)−2−エチル−9,12,15−オクタデカトリエン−1−オールアセテート(69)
Y=3個のメチレン中断二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC16アルケニル
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【0070】
カテゴリーJ−例(70)−(72):
すべての例(70)−(72)について:
Pは,
【化103】

である。
【化104】

(全Z)−2−エチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オールピバロエート(70)
Y=6個のメチレン中断二重結合を有するC20アルケニル
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【化105】

(全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン−1−オールピバロエート(71)
Y=5個のメチレン中断二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC18アルケニル
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【化106】

(全Z)−2−エチル−9,12,15−オクタデカトリエン−1−オールピバロエート(72)
Y=3個のメチレン中断二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC16アルケニル
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【0071】
カテゴリーK−例(73)−(75):
すべての例(73)−(75)について:
Pは,
【化107】

である。
【0072】
【化108】

(全Z)−2−エチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オールヘミスクシネート(73)
Y=6個のメチレン中断二重結合を有するC20アルケニル
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【化109】

(全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン−1−オールヘミスクシネート(74)
Y=5個のメチレン中断二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC18アルケニル
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【化110】

(全Z)−2−エチル−9,12,15−オクタデカトリエン−1−オールヘミスクシネート(75)
Y=3個のメチレン中断二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC16アルケニル
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【0073】
カテゴリーL−例(76)−(78):
例(76)−(78)のすべてについて:
Pは,
【化111】

である。
【0074】
【化112】

(全Z)−2−エチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オールホスホネート(76)
Y=6個のメチレン中断二重結合をで有するC20アルケニル
=エチル,R=水素原子,またはR=エチル,R=水素原子
【化113】

(全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン−1−オールホスホネート(77)
Y=5個のメチレン中断二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC18アルケニル
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【化114】

(全Z)−2−エチル−9,12,15−オクタデカトリエン−1−オールホスホネート(78)
Y=3個のメチレン中断二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC16アルケニル
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【0075】
カテゴリーM−例(79)−(81):
例(79)−(81)のすべてについて:
Pは,
【化115】

である。
【0076】
【化116】

(全Z)−2−エチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オールスルホネート(79)
Y=6個のメチレン中断二重結合を有するC20アルケニル
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【化117】

(全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン−1−オールスルホネート(80)
Y=5個のメチレン中断二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC18アルケニル
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【化118】

(全Z)−2−エチル−9,12,15−オクタデカトリエン−1−オールスルホネート(81)
Y=3個のメチレン中断二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC16アルケニル
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【0077】
カテゴリーN−例(82)−(84):
例(82)−(84)のすべてについて:
Pは,
【化119】

である。
【0078】
【化120】

(全Z)−2−エチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オールt−ブチルカーボネート(82)
Y=6個のメチレン中断二重結合を有するC20アルケニル
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【化121】

(全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン−1−オールt−ブチルカーボネート(83)
Y=5個のメチレン中断二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC18アルケニル
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【化122】

(全Z)−2−エチル−9,12,15−オクタデカトリエン−1−オールt−ブチルカーボネート(84)
Y=3個のメチレン中断二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC16アルケニル
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【0079】
カテゴリーO−例(85)−(86):
【化123】

(全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン−1−オール(全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエノエート(85)
Pは,
【化124】

であり,
Y=5個のメチレン中断二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC18アルケニル
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【化125】

(全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン−1−オール(全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17−エイコサペンテニルカーボネート(86)
Pは,
【化126】

であり,
Y=5個のメチレン中断二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC18アルケニル
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【0080】
本発明にしたがう化合物の製造方法
方法(一般)
本発明にしたがうすべてのアルコールは,その対応するカルボン酸またはエステルから還元条件下で製造することができる。
【0081】
2−置換オメガ−3ポリ不飽和エステルまたはカルボン酸は,水素化物をカルボニル化合物に転移する試薬を用いて還元して,その対応するアルコールとすることができる。そのような還元剤の例としては,LiAlH,LiAlH(OCHCHOCH),LiAlH[OC(CH等の水素化リチウムアルミニウム,またはLiBH,Ca(BH等の水素化ホウ素が挙げられる。好適な溶媒としては,無水条件下でのこの還元反応には,通常はジエチルエーテルまたはTHFが用いられる。
【0082】
【化127】

スキーム(I)
【0083】
さらに,2−置換エチル(全Z)−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエノエートの合成は,特許出願IB2006/001155に記載されている。
【0084】
方法II:オメガ−3ポリ不飽和アルコールのエステルの製造
エステルの合成の最も一般的な方法は,アルコールを塩酸または他の活性化したカルボン酸誘導体と反応させることによるものである。通常の調製方法では,アルコールを塩酸と反応させるときに,しばしばピリジンが触媒として用いられる。4−ジメチル−アミノピリジン(DMAP)もまたこの反応における触媒として魅力的な代替物である。また,アルコールを酸触媒の存在下でカルボン酸と反応させるフィッシャーエステル化法を用いることも可能である。
【0085】
スキーム(II)はオメガ−3ポリ不飽和アルコールのプロドラッグの製造例を示す。
【化128】

スキーム(II)
【0086】
方法III:オメガ−3ポリ不飽和アルコールのホスホネートの製造
t−ブチル保護ホスホネートは,アルコールをテトラゾールの存在下でジ−tert−ブチルジイソプロピルホスホルアミダイトおよび過酸化水素と反応させることにより製造することができる。トリフルオロ酢酸により脱保護して,ホスホネートを得る(スキームIII)。
【化129】

スキーム(III)
【0087】
方法IV:オメガ−3ポリ不飽和アルコールのスルホネートの製造
スルホネートは,スキーム(IV)に示されるようにして,アルコールをピリジンxSOと反応させることにより製造することができる。
【化130】

スキーム(IV)
【0088】
方法V:オメガ−3ポリ不飽和アルコールのオメガ−3ポリ不飽和エステルの製造
一般的方法は,1当量のポリ不飽和脂肪酸を,適当な溶媒中で,EDC(1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩),または別のカルボン酸の活性化剤,および塩基(トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン等)の存在下で,1当量のポリ不飽和アルコールと反応させることを含む。一例をスキーム(V)に示す。
【化131】

スキーム(V)
【0089】
カーボネートは,スキーム(VI)に示されるようにして,塩基(DMAP等)の存在下でアルコールをジ−t−ブチル−ジカーボネート(Boc−O−Boc)と反応させることにより製造することができる。
【化132】

スキーム(VI)
【実施例】
【0090】
合成プロトコル
2−エチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オール(脂質化合物2)の製造:
エチル2−エチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエノエート
【化133】

5mL乾燥THF中の(PRB−2,0.81g,2.11mmol)を,15mL乾燥THF中のLAH(0.084g,2.21mmol)の0℃に保持した撹拌懸濁液に加えた。得られた溶液を0℃で不活性雰囲気下で30分間撹拌し,10%NHCl(20mL)を加え,セライトの短いパッドを通して濾過した。パッドを水(20mL)およびヘプタン(20mL)で洗浄し,層を分離した。水性相をヘプタン(20mL)で抽出し,合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し,乾燥した(MgSO)。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc9:1)により精製して,0.33g(46%)の表題化合物を無色油状物として得た。
H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.86−0.98(m,6H),1.26−1.54(m,3H),1.98−2.17(m,4H),2.76−2.90(m,10H),3.51(d,2H),5.27−5.48(m,12H);13C−NMR(50MHz,CDCl):δ11.29,14.18,20.47,23.33,25.46,25.54,25.57,25.58,25.60,28.41,42.50,65.05,126.94,127.78,128.01,128.02,128.07,128.11,128.17,128.20,128.48,128.99,131.93;MS(エレクトロスプレー):365.3[M+Na]
【0091】
(全Z)−2−エチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オールアセテート
【化134】

塩化アセチル(5.64ml,65.6mmol)を,0℃で,乾燥THF(200ml)中の(全Z)−2−エチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オール(20.4g,59.6mmol)およびピリジン(46μL,0.6mmol)の撹拌混合物に滴加した。混合物をゆっくり室温まで到達させ,一晩撹拌した。反応を飽和NaHCO(120mL)でクエンチし,得られた混合物をヘプタン(200mL)で抽出した。有機層を水(120mL)で洗浄し,乾燥した(NaSO)。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し,ヘプタン/EtOAc100:2.5−95:3−95:5で溶出して,18g(79%)の表題化合物を黄色油状物として得た。
H−NMR(300MHz,CDCl):δ0.90(t,3H,J=7.4Hz),0.95(t,3H,J=7.5Hz),1.35(quint.,2H,J=7.2Hz),1.64(quint.,1H,J=6.4Hz),2.02(s,3H),2.05−2.11(m,4H),2.74−2.84(m,10H),3.96(d,2H,J=5.9Hz),5.26−5.42(m,12H);13C−NMR(75MHz,CDCl):δ11.2,14.2,20.5,20.9,23.6,25.5,25.6,28.4,39.3,66.4,127.0,127.4,127.8,128.0,128.1,128.17,128.19,128.2,128.5,129.4,132.0,171.2(4つのシグナルが隠れている);MS(エレクトロスプレー):407.3[M+Na]
【0092】
(全Z)−2−エチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オールピバロエート
【化135】

塩化ピバロイル(71μl,0.58mmol)を乾燥CHCl(2ml)中の(全Z)−2−エチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オール(200mg,0.59mmol)およびピリジン(0.05ml,0.62mmol)の混合物に加え,反応混合物を室温でN雰囲気下で42時間撹拌した。反応混合物をジエチルエーテル(50ml)で希釈し,水(20ml)およびブライン(20ml)で洗浄し,乾燥し(NaSO),真空下で蒸発させた。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで,ヘプタン−ヘプタン:EtOAc(100:1)で溶出して,195mg(79%)の表題化合物を無色液体として得た。
HNMR(200MHz,CDCl)δ0.87−0.95(m,6H),1.18(s,9H),1.33−1.44(m,2H),1.58−1.73(m,1H),1.99−2.13(m,4H),2.78−2.83(m,10H),3.96(d,J=5.6Hz,2H),5.23−5.48(m,12H);MS(エレクトロスプレー);449[M+Na]
【0093】
(全Z)−2−エチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オールヘミスクシネート
【化136】

乾燥DMF(2ml)中の(全Z)−2−エチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オール(200mg,0.59mmol),無水コハク酸(65.9mg,0.66mmol)およびDMAP(71.6mg,0.59mmol)の混合物を,室温でN雰囲気下で18時間撹拌した。反応混合物をジエチルエーテル(50ml)で希釈し,1MHCl(20ml)およびブライン(20ml)で洗浄し,乾燥し(NaSO),真空下で蒸発させた。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで,ヘプタン:EtOAc(95:5)−(4:1)−(1:1)で溶出して,89mg(34%)の表題化合物を黄色液体として得た。
HNMR(200MHz,CDCl)δ0.86−0.99(m,6H),1.24−1.39(m,2H),1.62−1.68(m,1H),2.02−2.13(m,4H),2.62−2.83(m,4H),2.71−2.83(m,10H),4.01(d,J=5.8Hz,2H),5.22−5.48(m,12H);MS(エレクトロスプレー);465[M+Na],441[M−H]
【0094】
(全Z)−2−エチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オールホスホネート
工程1:(全Z)−2−エチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オールジ−t−ブチルホスホネート
【化137】

CHCN(0.45M,9.2ml,4.14mmol)中のテトラゾールの溶液を,乾燥CHCl(30ml)中の(全Z)−2−エチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オール(428mg,1.25mmol)およびジ−tert−ブチルジイソプロピルホスホルアミダイト(0.635ml,2.01mmol)の溶液に加えた。室温でN雰囲気下で130分間撹拌した後,混合物を0℃に冷却し,50%H(150μl)を加えた。混合物を0℃で2時間撹拌し,CHCl(100ml)で希釈し,10%Na(30mlx2),水(30ml),飽和NaHCO(30mlx2)およびブライン(30ml)で洗浄し,乾燥し(NaSO),真空下で蒸発させた。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで,ヘプタン−ヘプタン:EtOAc(95:5)−(9:1)で溶出して,139mg(21%)の表題化合物を無色液体として得た。
HNMR(200MHz,CDCl)δ0.86−0.99(m,6H),1.24−1.42(m,2H),1.46(s,18H),1.54−1.65(m,1H),1.99−2.14(m,4H),2.79−2.83(m,10H),3.85(t,J=5.6Hz,2H),5.23−5.5.42(m,12H);MS(エレクトロスプレー);557[M+Na]
【0095】
工程2:(全Z)−2−エチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オールホスホネート
【化138】

乾燥CHCl(25ml)中の(全Z)−2−エチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オールジ−t−ブチルホスホネート(133mg,0.25mmol)の溶液に,CFCOOH(0.26ml,3.40mmol)を加えた。混合物を4時間撹拌し,真空下で蒸発させた。CHCl(20ml)を残渣に加え,混合物を真空下で蒸発させて,102mg(97%)の表題化合物を得た。
HNMR(200MHz,CDCl)δ0.86−0.99(m,6H),1.31−1.45(m,2H),1.62−1.68(m,1H),2.02−2.10(m,4H),2.79−2.83(m,10H),3.97(t,J=5.3Hz,2H),5.23−5.48(m,12H),8.91(bs,2H);MS(エレクトロスプレー);421[M−H]
【0096】
(allZ)−2−エチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オールスルホネート
【化139】

ピリジンxSO(45%SO,0.19g,1.16mmol)を,乾燥THF(10ml)中の(全Z)−2−エチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オール(0.20g,0.58mmol)の溶液に加えた。混合物を周囲温度で不活性雰囲気下で18時間撹拌し,1MHCl(20mL)とジエチルエーテル(20mL)とに分配した。水性相をジエチルエーテル(20mL)で抽出し,合わせた有機抽出物をブライン(20mL)で洗浄し,乾燥し(NaSO),真空下で濃縮した。粗油状物を短いシリカカラムでフラッシュクロマトグラフィーにより精製し(EtOAc,次にEtOAc中10%MeOH),0.12g(50%)の表題化合物を淡黄色固体として得た。
H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.86(t,3H),0.94(t,3H),1.23−1.37(m,2H),1.60−1.75(m,1H),1.97−2.11(m,4H),2.70−2.87(m,10H),4.00(d,2H),5.21−5.45(m,12H);MS(エレクトロスプレー):421.2[M−H]
【0097】
(全Z)−2−エチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オールt−ブチルカーボネート
【化140】

ジ−tert−ブチルジカーボネート(0.80g,3.65mmol)を,不活性雰囲気下で,乾燥CHCl(10ml)中の(全Z)−2−エチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−1−オール0.25g,0.73mmol)およびDMAP(0.089g,0.73mmol)の溶液に加えた。混合物を周囲温度で3時間撹拌した。次に混合物をCHCl(15mL)で希釈し,水(2x15mL)およびブライン(15mL)で洗浄し,乾燥し(NaSO),真空下で濃縮した。粗油状物をまずシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc98:2)で,次に逆相Cシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(HO,次にHO:CHCN50:50)で精製して,0.016g(5%)の表題化合物を無色油状物として得た。
H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.89(t,3H),0.95(t,3H),1.32−1.40(m,2H),1.46(s,9H),1.60−1.80(m,1H),2.02−2.14(m,4H),2.76−2.85(m,10H),3.95(d,2H),5.23−5.48(m,12H);MS(エレクトロスプレー):465.3[M+Na]
【0098】
本発明は,示される態様および実施例に限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化141】

[式中,
およびRは,同じまたは異なり,水素原子,ヒドロキシ基,アルキル基,ハロゲン原子,アルコキシ基,アシルオキシ基,アシル基,アルケニル基,アルキニル基,アリール基,アルキルチオ基,アルコキシカルボニル基,カルボキシ基,アルキルスルフィニル基,アルキルスルホニル基,アミノ基,およびアルキルアミノ基から選択され;
Pは水素原子,
【化142】

[式中,P,P,およびPは,水素原子,アルキル基,およびC14−C22アルケニル基から選択され,ここで,アルキル基およびアルケニル基は,任意にヒドロキシ基で置換されていてもよい],
【化143】

を表し,および
Yは,Eおよび/またはZコンフィギュレーションを有する少なくとも1つの二重結合を有するC14−C22アルケニル基である;
ただし,RおよびRは同時に水素原子ではない]
のオメガ−3脂質化合物,そのまたは薬学的に許容しうる複合体,溶媒和物,塩またはプロドラッグ。
【請求項2】
Yは,2−6個の二重結合を有するC16−C22アルケニルである,請求項1記載のオメガ−3脂質化合物。
【請求項3】
Yは,2−6個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC16−C22アルケニルである,請求項1記載の化合物。
【請求項4】
Yは,6個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC20アルケニルである,請求項1記載の化合物。
【請求項5】
Yは,5個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC20アルケニルである,請求項1記載の化合物。
【請求項6】
Yは,3−5個の二重結合を有するC16−C20アルケニルである,請求項1記載の化合物。
【請求項7】
Yは,3−5個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC16−C20アルケニルである,請求項1記載の化合物。
【請求項8】
Yは,5個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC18アルケニルである,請求項1記載の化合物。
【請求項9】
Yは,3個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC16アルケニルである,請求項1記載の化合物。
【請求項10】
前記RおよびRは,同じまたは異なり,メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,sec−ブチル,およびn−ヘキシルから選択される,請求項1−9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
前記RおよびRは,同じまたは異なり,メトキシ,エトキシ,プロポキシ,イソプロポキシ,sec.−ブトキシ,フェノキシ,ベンジルオキシ,OCHCF,およびOCHCHOCHから選択される,請求項1−10のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
前記RおよびRは,同じまたは異なり,アリル,2−ブテニル,および3−ヘキセニルから選択される,請求項1−11のいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
前記RおよびRは,同じまたは異なり,プロパルギル,2−ブチニル,および3−ヘキシニルから選択される,請求項1−12のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
前記RおよびRは,同じまたは異なり,ベンジル基,および置換ベンジル基から選択される,請求項1−13のいずれかに記載の化合物。
【請求項15】
前記RおよびRは,同じまたは異なり,メチルチオ,エチルチオ,イソプロピルチオ,およびフェニルチオから選択される,請求項1−14のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
前記RおよびRはフッ素である,請求項1−15のいずれかに記載の化合物。
【請求項17】
前記RおよびRは,同じまたは異なり,メトキシカルボニル,エトキシカルボニル,プロポキシカルボニル,およびブトキシカルボニルから選択される,請求項1−16のいずれかに記載の化合物。
【請求項18】
前記RおよびRは,同じまたは異なり,メタンスルフィニル,エタンスルフィニル,およびイソプロパンスルフィニルから選択される,請求項1−17のいずれかに記載の化合物。
【請求項19】
前記RおよびRは,同じまたは異なり,メチルアミノ,ジメチルアミノ,エチルアミノ,およびジエチルアミノから選択される,請求項1−18のいずれかに記載の化合物。
【請求項20】
およびRは異なる,請求項1記載の化合物。
【請求項21】
ラセミ体である,請求項20記載の化合物。
【請求項22】
R立体異性体の形である,請求項20記載の化合物。
【請求項23】
S立体異性体の形である,請求項20記載の化合物。
【請求項24】
Pは,
【化144】

[式中,P,P,およびPは,水素原子,アルキル基,およびC14−C22アルケニル基から選択され,ここで,アルキル基およびアルケニル基は,任意にヒドロキシ基で置換されていてもよい]
を表し,または
Pは,
【化145】

を表し,または
Pは,
【化146】

を表し,または
Pは,
【化147】

を表し,および
Yは,6個のメチレン中断二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC20アルケニル;5個のメチレン中断二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC18アルケニル,および3個のメチレン中断二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC16アルケニルから選択され,およびRは水素原子であり,Rはエチル基である,
請求項1記載の化合物。
【請求項25】
医薬品として使用するための,または皮膚に使用するための局所製剤として化粧品として使用するための,請求項1−24のいずれかに記載の化合物。
【請求項26】
請求項1−24のいずれかに記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項27】
さらに,薬学的に許容しうる担体,賦形剤または希釈剤,またはこれらの任意の組み合わせを含む,請求項26記載の医薬組成物。
【請求項28】
経口投与用に製剤されている,請求項26または27記載の医薬組成物。
【請求項29】
カプセル,サシェ,固体,または粉体の携帯である,請求項26記載の医薬組成物。
【請求項30】
1mgから10gの前記化合物の1日投与量を与えるよう製剤されている,請求項26−29のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項31】
1mgから1gの前記化合物の1日投与量を与えるよう製剤されている,請求項30記載の医薬組成物。
【請求項32】
1mgから500mgの前記化合物の1日投与量を与えるよう製剤されている,請求項31記載の医薬組成物。
【請求項33】
50mgから250mgの前記化合物の1日投与量を与えるよう製剤されている,請求項32記載の医薬組成物。
【請求項34】
医薬品として用いるための,請求項26−32のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項35】
少なくとも70%のオメガ−3脂質化合物を含む,請求項1−24のいずれかに記載の脂質組成物。
【請求項36】
前記オメガ−3脂質化合物は,脂質組成物の少なくとも60重量%の濃度で存在する,請求項34記載の脂質組成物。
【請求項37】
前記オメガ−3脂質化合物は,脂質組成物の少なくとも80重量%の濃度で存在する,請求項35記載の脂質組成物。
【請求項38】
さらに,(全Z)−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン−1−オール(EPA),および,(全Z)−6,9,12,15,18−ヘンエイコサペンタエン−1−オール(HPA)から選択されるオメガ−3ポリ不飽和脂質を含む,請求項34−36のいずれかに記載の脂質組成物。
【請求項39】
前記オメガ−3ポリ不飽和脂質は,その2−置換形で存在する,請求項37記載の脂質組成物。
【請求項40】
さらに薬学的に許容しうる抗酸化剤を含む,請求項34−36のいずれかに記載の脂質組成物。
【請求項41】
前記抗酸化剤はトコフェロールである,請求項39記載の脂質組成物。
【請求項42】
医薬品としてまたは診断目的で用いるための,請求項34−40のいずれかに記載の脂質組成物。
【請求項43】
ヒトペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR)アイソフォームの少なくとも1つの活性化または調節に関連する医薬品の製造における,請求項1−24のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項44】
前記ペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR)はPPARαである,請求項42記載の使用。
【請求項45】
前記ペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR)は,ペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR)αおよび/またはγである,請求項43記載の使用。
【請求項46】
末梢インスリン耐性および/または糖尿病性状態の治療および/または予防用の医薬品の製造における,請求項1−24のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項47】
血漿インスリン,血中グルコースおよび/または血清トリグリセリドを低下させる医薬品を製造するための,請求項1−24のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項48】
2型糖尿病の治療および/または予防用の医薬品を製造するための,請求項1−24のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項49】
トリグリセリドレベル,および非HDLコレステロールレベル(LDLおよび/またはVLDLコレステロールレベル)の上昇の予防および/または治療用の医薬品を製造するための,請求項1−24のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項50】
脂質異常症状態の予防および/または治療用の医薬品を製造するための,請求項1−24のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項51】
前記脂質異常症状態は高トリグリセリド血症(HTG)である,請求項49記載の使用。
【請求項52】
ヒトにおいて血清HDLレベルを増加させる医薬品を製造するための,請求項1−24のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項53】
肥満または体重過多の治療および/または予防用の医薬品を製造するための,請求項1−24のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項54】
体重の減少および/または体重増加の防止用の医薬品を製造するための,請求項1−24のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項55】
脂肪肝疾患の治療および/または予防用の医薬品を製造するための,請求項1−24のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項56】
前記脂肪肝疾患は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である,請求項54記載の使用。
【請求項57】
インスリン耐性,高脂血症および/または肥満または体重過多の治療用の医薬品を製造するための,請求項1−24のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項58】
炎症性疾患または状態の治療および/または予防用の医薬品を製造するための,請求項1−24のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項59】
ヒトペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR)アイソフォームの少なくとも1つの機能の上昇に関連する状態を治療および/または予防する方法であって,それを必要とする哺乳動物に,薬学的に活性な量の請求項1−24のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項60】
前記ペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR)は,ペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプターαである,請求項58記載の方法。
【請求項61】
前記ペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR)は,ペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプターαおよび/またはγである,請求項59記載の方法。
【請求項62】
末梢インスリン耐性および/または糖尿病性状態を治療および/または予防する方法であって,それを必要とする哺乳動物に,薬学的に活性な量の請求項1−24のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項63】
血漿インスリン,血中グルコースおよび/または血清トリグリセリドを低下させる方法であって,それを必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項1−24のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項64】
2型糖尿病を治療および/または予防する方法であって,それを必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項1−24のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項65】
トリグリセリドレベル,LDLコレステロールレベル,および/またはVLDLコレステロールレベルの上昇を予防および/または治療する方法であって,それを必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項1−24のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項66】
脂質異常症状態を予防および/または治療する方法であって,それを必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項1−24のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項67】
前記脂質異常症状態は高トリグリセリド血症(HTG)である,請求項65記載の方法。
【請求項68】
ヒトにおいて血清HDLレベルを増加させる方法であって,それを必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項1−24のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項69】
肥満または体重過多を治療および/または予防する方法であって,それを必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項1−24のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項70】
体重を減少させるか,および/または体重増加を防止する方法であって,それを必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項1−24のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項71】
脂肪肝疾患を治療および/または予防する方法であって,それを必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項1−24のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項72】
前記脂肪肝疾患は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である,請求項70記載の方法。
【請求項73】
インスリン耐性,高脂血症および/または肥満または体重過多を治療する方法であって,それを必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項1−24のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項74】
炎症性疾患または状態を治療および/または予防する方法であって,それを必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項1−24のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項75】
認識障害を治療および/または予防する方法であって,それを必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項1−24のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項76】
請求項1−24のいずれかに記載の化合物を製造する方法。




【公表番号】特表2010−508261(P2010−508261A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533982(P2009−533982)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際出願番号】PCT/IB2007/004588
【国際公開番号】WO2008/132552
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(509117067)プロノヴァ バイオファーマ ノルゲ アーエス (2)
【Fターム(参考)】