説明

新規製剤

本発明は、新規医薬エーロゾル製剤、それらを調製する方法、治療におけるそれらの使用及び該製剤を含んでいる定量吸入器に関し、並びに、含有量の均一性におけるばらつきを低減させること及び/又は該製剤中の増強された微粒子画分(FPF)を提供することにおける生体適合性ポリマーの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規医薬エーロゾル製剤、それらを調製する方法、治療におけるそれらの使用及び該製剤を含んでいる定量吸入器に関し、並びに、含有量の均一性におけるばらつきを低減させること及び/又は該製剤中の増強された微粒子画分(FPF)を提供することにおける生体適合性ポリマーの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬製剤(例えば、担体中に懸濁しているか又は溶解している状態の薬物を含んでいる医薬製剤)を吸入によって肺に送達することは、気管支喘息及び慢性閉塞性肺疾患などの一般的な状態を包含するさまざまな状態を治療するための重要な手段である。ステロイド類、β2-アドレナリン受容体作動薬及び抗コリン作動薬は、肺に投与される薬物の群に含まれる。そのような薬物は、一般に、当該医薬と1種類以上の噴射剤と界面活性薬及び/又は共溶媒(例えば、エタノール)を含んでいるエーロゾル製剤として投与される。
【0003】
WO02/12265及びWO02/12266には、喘息及びCOPDなどの疾患を治療及び/又は予防するための、式(I)
【化1】

【0004】
で表される化合物又はその溶媒和物を包含するアンドロスタン系の新規抗炎症性化合物及び抗アレルギー性化合物が開示されている。式(I)で表される化合物の医薬エーロゾル製剤を提供するのが望ましい。
【0005】
吸入医薬エーロゾル製剤は、1種類以上のヒドロフルオロアルカン(HFA)噴射剤(例えば、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFA 134a)及び1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパン(HFA 227))を含んでいる懸濁液として製剤化することができる。
【0006】
商業目的のためには、定量吸入器(MDI)から患者に送達されるエーロゾル薬剤の所定用量が、製造業者が主張する規格を一貫して満たすこと、並びに、FDA及び別の規制当局の要件に従うことは、重要である。換言すれば、該缶から分配される全ての用量は、精密許容差の範囲内で同一であるべきである。従って、貯蔵された後であっても、キャニスターの全体にわたって当該製剤が実質的に均質であること及び計量バルブの作動時における投与量が依然として精密許容差の範囲内で同様であることは、重要である。かくして、市販されている装置の耐用期間をとおして分配される用量が均一であることは重要である。
【0007】
粒子状薬物が凝集するという問題は、貯蔵後における微粒子画分(FPF)の減少として現れ得る。FPFは、肺の治療部位に到達する可能性を有する分配された用量の尺度である。かくして、FPFの著しい低減は、患者が利用可能な薬物の治療上有効量が低減することを意味し、そのようなことは、望ましいことではなく、最終的には、危険でさえあり得る。
【0008】
充分には安定化されていない懸濁製剤は、多くの場合、高レベルの薬物の付着を生じる。薬物は、キャニスター壁の表面又は定量吸入器の構成要素(例えば、計量チャンバー又はシールなどのバルブ構成要素)の表面に付着し得る。この付着によって、薬物が失われることによりキャニスター内に含まれている患者が利用可能な薬物の総量が低減し得るのみではなく、当該装置の機能が悪影響を受ける可能性もある(結果として、バルブがスティッキングし、オリフィスが詰まり、薬物のケーキングが生じる可能性がある)。ケーキ状になった薬物は、その後、自由に動くことができ、その結果、予測できない方法で患者に投与される用量が増大される。さらに、キャニスター及び/又はバルブが甚だしい変形を受けた場合、その付着物を処理することが必要となり得る。
【0009】
医薬懸濁製剤において認識されている困難のうちの1つは、種々のヒドロフルオロアルカン(HFA)噴射剤(例えば、HFA 134a及びHFA 227)に充分な量の界面活性剤を溶解させることが困難であるということであった。クロロフルオロカーボン噴射剤と一緒に通常使用される界面活性剤(例えば、オレイン酸)は、HFA 134a又はHFA 227には充分には溶解しない。
【0010】
そのような噴射剤系を使用する多くの種類の医薬エーロゾル製剤が、例えば、EP0372777、WO91/04011、WO91/11173、WO91/11495、WO91/14422及びWO92/00061に開示されている。これらの出願は、吸入により医薬を投与するための加圧エーロゾルの調製に関係しており、製剤中でHFA噴射剤を使用することに伴う問題(特に、不安定性の問題)を克服することを求めている。1種類以上の佐剤、例えば、アルコール類、アルカン類、ジメチルエーテル、界面活性剤(フッ素化界面活性剤、カルボン酸及び特定のポリエトキシレート類など)を添加することがこれまでに提案されており、及び、少量の慣習的なクロロフルオロカーボン噴射剤を添加することさえもこれまでに提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
WO98/34596(これは、薬物を送達する医薬製剤に比較的低分子量の生体適合性高分子化合物(好ましくは、生分解性高分子化合物)を使用することに関係している)又はWO94/21229(これは、粒子状薬物とヒドロキシ酸、メルカプト酸又はアミノ酸から誘導された分散補助剤を含んでいる医薬エーロゾル製剤について開示している)の教示にもかかわらず、式(I)で表される化合物を含んでいるエーロゾル製剤の含有量の均一性及び/又はFPFを改善する佐剤が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記従来技術の問題に取り組むことを企図して、記載されている。
【0013】
一態様において、本発明は、
(i) 治療上有効量の式(I)
【化2】

【0014】
で表される粒子状の薬物又はその溶媒和物;
(ii) 1,1,1,2-テトラフルオロエタン又は1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパン又はそれらの混合物からなる群から選択される噴射剤;及び、
(iii) 生体適合性ポリマーであって、式(II)
【化3】

【0015】
[式中、n及びmは、独立して、1以上の整数を表し、また、該生体適合性ポリマーにおけるn及びmの独立した平均値は、6〜25であり;式
【化4】

【0016】
で表される各単位は、独立して、D配置にあるか又はL配置にある]で表される1以上の化合物を含んでいる、上記生体適合性ポリマー;
を含んでいる医薬エーロゾル製剤を提供する。
【0017】
本発明は、上記態様及びさらに別の態様を意図しており、それらの態様は、本明細書に組み入れられている。
【0018】
図面の簡単な説明
図1は、式(I)で表される化合物についての、バルブを通して送達された平均用量及び%FPF(アンダーセンカスケードインパクター 段階3〜5、近似空気動力学的直径1.1〜4.7μm)に対する式(II)で表される化合物を含んでいる生体適合性ポリマーの効果を示している。データは、使用の始めに、アンダーセンカスケードインパクターを用いて収集した。
【0019】
図2及び図3は、式(I)で表される化合物とβ2-アドレナリン受容体作動薬(化合物B)の組合せについての、バルブを通して送達された平均用量及び%FPFに対する式(II)で表される化合物を含んでいる生体適合性ポリマーの効果を示している。データは、使用の始めに、アンダーセンカスケードインパクターを用いて収集した。
【0020】
図4及び図5は、式(I)で表される化合物とβ2-アドレナリン受容体作動薬(化合物C)の組合せについての、バルブを通して送達された平均用量及び%FPFに対する式(II)で表される化合物を含んでいる生体適合性ポリマーの効果を示している。データは、使用の始めに、アンダーセンカスケードインパクターを用いて収集した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の幾つかの実施形態では、該生体適合性ポリマーにおけるn及びmの独立した平均値は、7〜11である。
【0022】
本発明の別の態様において、該医薬エーロゾル製剤は、本質的に、以下のものからなる:
(i) 治療上有効量の式(I)で表される粒子状の薬物又はその溶媒和物;
(ii) 1,1,1,2-テトラフルオロエタン又は1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパン又はそれらの混合物からなる群から選択される噴射剤;及び、
(iii) 式(II)で表される1以上の化合物を含んでいる生体適合性ポリマー。
【0023】
本発明の別の態様において、該医薬エーロゾル製剤は、以下のものからなる:
(i) 治療上有効量の式(I)で表される粒子状の薬物又はその溶媒和物;
(ii) 1,1,1,2-テトラフルオロエタン又は1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパン又はそれらの混合物からなる群から選択される噴射剤;及び、
(iii) 式(II)で表される1以上の化合物を含んでいる生体適合性ポリマー。
【0024】
上記で述べたように、本明細書に記載されている医薬エーロゾル製剤は、ヒト医学及び獣医学において、特に、炎症及び/又はアレルギー状態を患っているヒト又は動物の被験者の治療において、有用であり得る。
【0025】
かくして、本発明のさらなる態様として、ヒト医学及び獣医学において使用するための、特に、炎症及び/又はアレルギー状態を患っているヒト又は動物の被験者の治療において使用するための、上記医薬エーロゾル製剤が提供される。
【0026】
本発明の別の態様により、呼吸器疾患(例えば、炎症及び/又はアレルギー状態、例えば、喘息又はCOPD)を治療するために吸入投与するための薬物を製造するための、上記医薬エーロゾル製剤が提供される。
【0027】
さらなる態様において、呼吸器疾患を治療及び/又は予防する方法が提供され、ここで、該方法は、上記医薬エーロゾル製剤をヒト又は動物の被験者に投与することを含む。
【0028】
本発明の医薬製剤には、1種類以上の別の治療活性薬、例えば、別の抗炎症薬、抗コリン作動薬(特に、M1受容体拮抗薬、M2受容体拮抗薬、M1/M2受容体拮抗薬又はM3受容体拮抗薬)、β2-アドレナリン受容体作動薬、抗感染薬(例えば、抗生物質、抗ウイルス薬)又は抗ヒスタミン薬から選択される1種類以上の別の治療活性薬を、付加的に含ませることができる。
【0029】
かくして、本発明は、さらなる態様において、1種類以上の別の治療活性薬を加えた上記医薬エーロゾル製剤、例えば、別の抗炎症薬(例えば、コルチコステロイド又はNSAID)、抗コリン作動薬、β2-アドレナリン受容体作動薬、抗感染薬(例えば、抗生物質又は抗ウイルス薬)又は抗ヒスタミン薬から選択される1種類以上の別の治療活性薬を加えた上記医薬エーロゾル製剤を提供する。好ましい製剤は、β2-アドレナリン受容体作動薬及び/又は抗コリン作動薬及び/又はPDE-4阻害薬と一緒に、式(I)で表される化合物又はその製薬上許容される塩、溶媒和物若しくは生理学的に機能的な誘導体を含んでいる。好ましい組合せは、1種類又は2種類の別の治療薬を含んでいる組合せである。
【0030】
当該別の治療活性成分の活性及び/又は安定性及び/又は物理的特性(例えば、溶解性)を最適化するために、適切な場合には、その治療活性成分を、塩の形態(例えば、アルカリ金属塩若しくはアミン塩として、又は、酸付加塩として)で、又は、プロドラッグの形態で、又は、エステル(例えば、低級アルキルエステル)として、又は、溶媒和物(例えば、水和物)として使用し得るということは、当業者には明らかであろう。当該活性成分を、適切な場合には、光学的に純粋な形態で使用し得るということも明らかであろう。
【0031】
β2-アドレナリン受容体作動薬と一緒に上記式(I)の化合物を含んでいる医薬エーロゾル製剤が、特に好ましい。
【0032】
β2-アドレナリン受容体作動薬の例としては、以下のものを挙げることができる:サルメテロール(例えば、ラセミ化合物として、又は、R-エナンチオマー若しくはS-エナンチオマーなどの単一のエナンチオマーとして)、サルブタモール(例えば、ラセミ化合物として、又は、R-エナンチオマーなどの単一のエナンチオマーとして)、ホルモテロール(例えば、ラセミ化合物として、又は、R,R-エナンチオマーなどの単一のエナンチオマーとして)、フェノテロール、カルモテロール、エタンテロール、ナミンテロール、クレンブテロール、ピルブテロール、フレロブテロール(flerbuterol)、レプロテロール、バンブテロール、テルブタリン、サルメファモール、インダカテロール及びそれらの塩、例えば、サルメテロールのキシナホ酸塩(1-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸塩)、サルブタモールの硫酸塩又はホルモテロールのフマル酸塩。長時間作用性のβ2-アドレナリン受容体作動薬(例えば、約12時間又はそれ以上の期間にわたって効果的に気管支拡張する化合物)が、好ましい。
【0033】
別のβ2-アドレナリン受容体作動薬としては、WO02/066422、WO02/070490、WO02/076933、WO03/024439、WO03/072539、WO03/091204、WO04/016578、WO2004/022547、WO2004/037807、WO2004/037773、WO2004/037768、WO2004/039762、WO2004/039766、WO01/42193及びWO03/042160に記載されているものなどがある。
【0034】
特定のβ2-アドレナリン受容体作動薬としては、以下のものなどがある:
3-(4-{[6-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド;
3-(3-{[7-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}-アミノ)ヘプチル]オキシ}プロピル)ベンゼンスルホンアミド;
4-{(1R)-2-[(6-{2-[(2、6-ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
N-[2-ヒドロキシル-5-[(1R)-1-ヒドロキシ-2-[[2-4-[[(2R)-2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル]アミノ]フェニル]エチル]アミノ]エチル]フェニル]ホルムアミド;
N-{2-[4-(3-フェニル-4-メトキシフェニル)アミノフェニル]エチル}-2-ヒドロキシ-2-(8-ヒドロキシ-2(1H)-キノリノン-5-イル)エチルアミン;及び、
5-[(R)-2-(2-{4-[4-(2-アミノ-2-メチル-プロポキシ)-フェニルアミノ]-フェニル}-エチルアミノ)-1-ヒドロキシ-エチル]-8-ヒドロキシ-1H-キノリン-2-オン;
並びに、それらの製薬上許容される塩。
【0035】
上記β2-アドレナリン受容体作動薬は、硫酸、塩酸、フマル酸、ヒドロキシナフトエ酸(例えば、1-又は3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸)、ケイ皮酸、置換ケイ皮酸、トリフェニル酢酸、スルファミン酸、スルファニル酸、ナフタレンアクリル酸、安息香酸、4■メトキシ安息香酸、2-又は4-ヒドロキシ安息香酸、4-クロロ安息香酸及び4-フェニル安息香酸から選択される製薬上許容される酸を用いて形成された塩の形態であることができる。
【0036】
適切な抗炎症薬としては、コルチコステロイドなどがある。本発明の化合物と組み合わせて使用し得る適切なコルチコステロイドは、経口によるコルチコステロイド及び吸入されたコルチコステロイド並びに抗炎症活性を有するそれらのプロドラッグである。例としては、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、デキサメサゾン、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-[(4-メチル-1,3-チアゾール-5-カルボニル)オキシ]-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸 S-フルオロメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-プロピオニルオキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸 S-(2-オキソ-テトラヒドロ-フラン-3S-イル)エステル、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-(2,2,3,3-テトラメチルシクロプロピルカルボニル)オキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸 S-シアノメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-(1-メチルシクロプロピルカルボニル)オキシ-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸 S-フルオロメチルエステル、ベクロメタソンエステル類(例えば、17-プロピオン酸エステル又は17,21-ジプロピオン酸エステル)、ブデソニド、フルニソリド、モメタゾンエステル類(例えば、フランカルボン酸エステル)、トリアムシノロンアセトニド、ロフレポニド、シクレソニド(16α,17-[[(R)-シクロヘキシルメチレン]ビス(オキシ)]-11β,21-ジヒドロキシ-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン)、ブチキソコートプロピオネート、RPR-106541及びST-126などを挙げることができる。好ましいコルチコステロイドとしては、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-[(4-メチル-1,3-チアゾール-5-カルボニル)オキシ]-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸 S-フルオロメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-(2,2,3,3-テトラメチルシクロプロピルカルボニル)オキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸 S-シアノメチルエステル及び6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-(1-メチルシクロプロピルカルボニル)オキシ-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸 S-フルオロメチルエステルなどを挙げることができる。
【0037】
トランス活性化よりもトランスリプレッションに対して選択性を有することが可能で、併用療法において有用であり得る、グルココルチコイド作動性(agonism)を示す非ステロイド系化合物としては、以下の特許に含まれている化合物などがある:WO03/082827、WO01/10143、WO98/54159、WO04/005229、WO04/009016、WO04/009017、WO04/018429、WO03/104195、WO03/082787、WO03/082280、WO03/059899、WO03/101932、WO02/02565、WO01/16128、WO00/66590、WO03/086294、WO04/026248、WO03/061651及びWO03/08277。
【0038】
非ステロイド抗炎症薬(NSAID)は、適切な抗炎症薬に包含される。
【0039】
適切なNSAIDとしては、以下のものを挙げることができる:クロモグリク酸ナトリウム、ネドクロミルナトリウム、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬(例えば、テオフィリン、PDE4阻害薬又は混合PDE3/PDE4阻害薬)、ロイコトリエン拮抗薬、ロイコトリエン合成の阻害薬(例えば、モンテルカスト)、iNOS阻害薬、トリプターゼ及びエラスターゼ阻害薬、ベータ-2インテグリン拮抗薬及びアデノシン受容体作動薬又は拮抗薬(例えば、アデノシン2a作動薬)、サイトカイン拮抗薬(例えば、ケモカイン拮抗薬、例えば、CCR3拮抗薬)若しくはサイトカイン合成の阻害薬、又は、5-リポキシゲナーゼ阻害薬。iNOS(誘導型一酸化窒素合成酵素阻害薬)は、好ましくは、経口投与用である。適切なiNOS阻害薬としては、WO93/13055、WO98/30537、WO02/50021、WO95/34534及びWO99/62875に開示されているものなどがある。適切なCCR3阻害薬としては、WO02/26722に開示されているものなどがある。
【0040】
特に興味深いのは、式(I)で表される化合物とホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬の併用、とりわけ、吸入用に適合させた製剤の場合における式(I)で表される化合物とホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬の併用である。本発明のこの態様において有用なPDE4特異的阻害薬は、PDE4酵素を阻害することが知られているか又はPDE4阻害薬として作用することが見いだされていて、且つ、PDE4のみの阻害薬である任意の化合物であることができ、、PDE4に加えてPDE3やPDE5などのPDEファミリーの他のメンバーも阻害する化合物ではない。
【0041】
興味深い化合物としては、シス-4-シアノ-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)シクロヘキサン-1-カルボン酸、2-カルボメトキシ-4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オン及びシス-[4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オール]などを挙げることができる。さらにまた、1996年9月3日に発行された米国特許5,552,438号(この特許及びこの特許に開示されている化合物は、参照によりその全てを本明細書に組み入れる)に記載されている、シス-4-シアノ-4-[3-(シクロペンチルオキシ)-4-メトキシフェニル]シクロヘキサン-1-カルボン酸(「シロミラスト」としても知られている)及びその塩、エステル、プロドラッグ又は物理的形状も興味深い化合物として挙げることができる。
【0042】
興味深い別の化合物としては、以下のものなどを挙げることができる:AWD-12-281(Elbion製)(Hofgen, N. et al. 15th EFMC Int Symp Med Chem(Sept 6-10, Edinburgh)1998, Abst P.98;CAS reference No. 247584020-9);NCS-613(INSERM)と称される9-ベンジルアデニン誘導体;D-4418(Chiroscience and Schering-Plough製);CI-1018(PD-168787)として識別されるベンゾジアゼピン系PDE4阻害薬(Pfizer製);WO99/16766において「Kyowa Hakko」によって開示されたベンゾジオキソール誘導体;K-34(Kyowa Hakko製);V-11294A(Napp製)(Landells, L.J. et al. Eur Resp J [Annu Cong Eur Resp Soc(Sept 19-23, Geneva)1998]1998, 12(Suppl. 28):Abst P2393);ロフルミラスト(CAS reference No 162401-32-3)及びフタラジノン(pthalazinone)(WO99/47505、この特許の開示内容は参照により本明細書に組み入れる)(Byk-Gulden製);プマフェントリン、(-)-p-[(4aR*,10bS*)-9-エトキシ-1,2,3,4,4a,10b-ヘキサヒドロ-8-メトキシ-2-メチルベンゾ[c][1,6]ナフチリジン-6-イル]-N,N-ジイソプロピルベンズアミド(これは、混合PDE3/PDE4阻害薬であり、Byk-Gulden(現在は、Altana)によって、調製され、公開された);アロフィリン(Almirall-Prodesfarmaによる開発段階にある);VM554/UM565(Vernalis製);又は、T-440(Tanabe Seiyaku;Fuji, K. et al. J Pharmacol Exp Ther,1998, 284(1):162)及びT2585。
【0043】
興味深いさらなる化合物は、公開された国際特許出願第WO04/024728号(Glaxo Group Ltd)、同第PCT/EP2003/014867号(Glaxo Group Ltd)及び同第PCT/EP2004/005494号(Glaxo Group Ltd)に開示されている。
【0044】
適切な抗コリン作動薬は、ムスカリン性受容体において拮抗薬として作用する化合物、特に、M1受容体若しくはM3受容体の拮抗薬である化合物、又は、M1/M3受容体若しくはM2/M3受容体の二重拮抗薬(dual antagonist)である化合物、又は、M1/M2/M3受容体の総拮抗薬(pan-antagonist)である化合物である。吸入によって投与するための代表的な化合物としては、イプラトロピウム(例えば、臭化物として、CAS 22254-24-6、「Atrovent」の商品名で販売されている)、オキシトロピウム(例えば、臭化物として、CAS 30286-75-0)及びチオトロピウム(例えば、臭化物として、CAS 136310-93-5、「Spiriva」の商品名で販売されている)などを挙げることができる。さらにまた、レバトロパン酸(revatropate)(例えば、臭化水素酸塩として、CAS 262586-79-8)及びLAS-34273(これは、WO01/04118開示されている)も興味深い。経口投与のための代表的な化合物としては、ピレンゼピン(CAS 28797-61-7)、ダリフェナシン(CAS 133099-04-4、又は、CAS 133099-07-7(臭化水素酸塩、「Enablex」の商品名で販売されている)、オキシブチニン(CAS 5633-20-5、「Ditropan」の商品名で販売されている)、テロジリン(CAS 15793-40-5)、トルテロジン(CAS 124937-51-5、又は、CAS 124937-52-6(酒石酸塩、「Detrol」の商品名で販売されている)、オチロニウム(例えば、臭化物として、CAS 26095-59-0、「Spasmomen」の商品名で販売されている)、塩化トロスピウム(CAS 10405-02-4)及びソリフェナシン(CAS 242478-37-1、又は、CAS 242478-38-2(コハク酸塩、YM-905としても知られており、「Vesicare」の商品名で販売されている)などを挙げることができる。
【0045】
適切な別の抗コリン作動薬としては、米国特許出願第60/487981号に開示されている式(XXI):
【化5】

【0046】
[式中、
トロパン環に結合しているアルキル鎖の好ましい配向は、エンドであり;
R31及びR32は、独立して、直鎖又は分枝鎖の好ましくは1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル基、5〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル-アルキル、2-チエニル、2-ピリジル、フェニル、4個以下の炭素原子を有するアルキル基で置換されているフェニル及び4個以下の炭素原子を有するアルコキシ基で置換されているフェニルからなる群から選択され;
X-は、N原子の正電荷と関連するアニオンを表す(X-は、限定するものではないが、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン及びトルエンスルホン酸アニオンであり得る)]
で表される化合物などがあり、そのような化合物としては、例えば、以下のものを挙げることができる:
(3-エンド)-3-(2,2-ジ-2-チエニルエテニル)-8,8-ジメチル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3-エンド)-3-(2,2-ジフェニルエテニル)-8,8-ジメチル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3-エンド)-3-(2,2-ジフェニルエテニル)-8,8-ジメチル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン 4-メチルベンゼンスルホネート;
(3-エンド)-8,8-ジメチル-3-[2-フェニル-2-(2-チエニル)エテニル]-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;及び/又は、
(3-エンド)-8,8-ジメチル-3-[2-フェニル-2-(2-ピリジニル)エテニル]-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド。
【0047】
さらなる適切な抗コリン作動薬としては、米国特許出願第60/511009号に開示されている式(XXII)又は式(XXIII):
【化6】

【0048】
[式中、
示されているH原子は、エキソ位にあり;
R41は、N原子の正電荷と関連するアニオンを表し(R41は、限定するものではないが、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン及びトルエンスルホン酸アニオンであり得る);
R42及びR43は、独立して、直鎖又は分枝鎖の低級アルキル基(好ましくは、1〜6個の炭素原子を有する)、シクロアルキル基(5〜6個の炭素原子を有する)、シクロアルキル-アルキル(6〜10個の炭素原子を有する)、ヘテロシクロアルキル(5〜6個の炭素原子及びヘテロ原子としてN又はOを有する)、ヘテロシクロアルキル-アルキル(6〜10個の炭素原子及びヘテロ原子としてN又はOを有する)、アリール、場合により置換されていてもよいアリール、ヘテロアリール及び場合により置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から選択され;
R44は、(C1-C6)アルキル、(C3-C12)シクロアルキル、(C3-C7)ヘテロシクロアルキル、(C1-C6)アルキル(C3-C12)シクロアルキル、(C1-C6)アルキル(C3-C7)ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C1-C6)アルキル-アリール、(C1-C6)アルキル-ヘテロアリール、-OR45、-CH2OR45、-CH2OH、-CN、-CF3、-CH2O(CO)R46、-CO2R47、-CH2NH2、-CH2N(R47)SO2R45、-SO2N(R47)(R48)、-CON(R47)(R48)、-CH2N(R48)CO(R46)、-CH2N(R48)SO2(R46)、-CH2N(R48)CO2(R45)及び-CH2N(R48)CONH(R47)からなる群から選択され;
R45は、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルキル(C3-C12)シクロアルキル、(C1-C6)アルキル(C3-C7)ヘテロシクロアルキル、(C1-C6)アルキル-アリール及び(C1-C6)アルキル-ヘテロアリールからなる群から選択され;
R46は、(C1-C6)アルキル、(C3-C12)シクロアルキル、(C3-C7)ヘテロシクロアルキル、(C1-C6)アルキル(C3-C12)シクロアルキル、(C1-C6)アルキル(C3-C7)ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C1-C6)アルキル-アリール及び(C1-C6)アルキル-ヘテロアリールからなる群から選択され;
R47及びR48は、独立して、H、(C1-C6)アルキル、(C3-C12)シクロアルキル、(C3-C7)ヘテロシクロアルキル、(C1-C6)アルキル(C3-C12)シクロアルキル、(C1-C6)アルキル(C3-C7)ヘテロシクロアルキル、(C1-C6)アルキル-アリール及び(C1-C6)アルキル-ヘテロアリールからなる群から選択される]
で表される化合物などがあり、そのような化合物としては、例えば、以下のものを挙げることができる:
(エンド)-3-(2-メトキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピオニトリル;
(エンド)-8-メチル-3-(2,2,2-トリフェニル-エチル)-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタン;
3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピオンアミド;
3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピオン酸;
(エンド)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(エンド)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロパン-1-オール;
N-ベンジル-3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピオンアミド;
(エンド)-3-(2-カルバモイル-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
1-ベンジル-3-[3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-尿素;
1-エチル-3-[3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-尿素;
N-[3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-アセトアミド;
N-[3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-ベンズアミド;
3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル)-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-プロピオニトリル;
(エンド)-3-(2-シアノ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
N-[3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-ベンゼンスルホンアミド;
[3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-尿素;
N-[3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-メタンスルホンアミド;及び/又は、
(エンド)-3-{2,2-ジフェニル-3-[(1-フェニル-メタノイル)-アミノ]-プロピル}-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド。
【0049】
本発明において有用なさらに好ましい化合物としては、以下のものを挙げることができる:
(エンド)-3-(2-メトキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(エンド)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(エンド)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(エンド)-3-(2-カルバモイル-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(エンド)-3-(2-シアノ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;及び/又は、
(エンド)-3-{2,2-ジフェニル-3-[(1-フェニル-メタノイル)-アミノ]-プロピル}-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド。
【0050】
適切な抗ヒスタミン薬(H1-受容体拮抗薬とも称される)としては、H1-受容体を阻害し且つヒトでの使用に関して安全な多くの既知拮抗薬のうちの1つ以上を挙げることができる。第1世代の拮抗薬には、エタノールアミン類、エチレンジアミン類及びアルキルアミン類の誘導体、例えば、ジフェニルヒドラミン、ピリラミン、クレマスチン、クロロフェニラミンなどがある。第2世代の拮抗薬(これらは、鎮静作用を有さない)には、ロラチジン、デスロラチジン、テルフェナジン、アステミゾール、アクリバスチン、アゼラスチン、レボセチリジン、フェキソフェナジン及びセチリジンなどがある。
【0051】
好ましい抗ヒスタミン薬の例としては、ロラチジン、デスロラチジン、フェキソフェナジン及びセチリジンなどを挙げることができる。
【0052】
本発明の製剤において、式(II)で表される1以上の化合物を含んでいる生体適合性ポリマーは、優れた界面活性剤の特性を有していると考えられる。これらの界面活性剤の特性としては、缶の内部表面上への付着を低減し、それによって、バルブを通過する薬物の量を増大させること、微粒子画分(FPF)を安定化させること、微粒子画分(FPF)を増強すること、微粒子画分(FPF)におけるばらつきを低減させること、送達される投与量の均一性におけるばらつきを低減させることによって含有量の良好な均一性をもたらすこと、及び、送達される投与量を達成するのに必要とされる当該製品の過多量を低減することなどを挙げることができる。本発明の製剤中の式(II)で表される1以上の化合物を含んでいる生体適合性ポリマーは、薬物の付着を低減させること及び貯蔵寿命を増大させることなどによって該エーロゾル製剤の安定性を改善するという点から見て、有利であると考えられる。
【0053】
本発明の一態様において、式(I)で表される粒子状の前記薬物が6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸 S-フルオロメチルエステルである医薬エーロゾル製剤が提供される。
【0054】
本発明の幾つかの実施形態では、式(I)で表される粒子状の前記薬物が非溶媒和形態にある医薬エーロゾル製剤が提供される。
【0055】
本発明の幾つかの実施形態では、式(I)で表される粒子状の前記薬物が「形態1」多形体の形態にある医薬エーロゾル製剤が提供される。
【0056】
WO02/12265及びWO02/12266には、式(I)で表される化合物(ここで、該化合物は、溶媒和物、非溶媒和形態及び「形態1」多形体を包含している)が開示されている。これらの出願は、参照により本明細書に組み入れる。
【0057】
本発明の一態様において、3-(4-{[6-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミドをさらに含んでいる上記医薬エーロゾル製剤が提供される。
【0058】
本発明の別の態様において、3-(3-{[7-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}-アミノ)ヘプチル]オキシ}プロピル)ベンゼンスルホンアミドをさらに含んでいる上記医薬エーロゾル製剤が提供される。
【0059】
本発明の別の態様において、4-{(1R)-2-[(6-{2-[(2,6-ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノールをさらに含んでいる上記医薬エーロゾル製剤が提供される。
【0060】
本発明の別の態様において、4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノールをさらに含んでいる上記医薬エーロゾル製剤が提供される。
【0061】
本発明の別の態様において、N-[2-ヒドロキシル-5-[(1R)-1-ヒドロキシ-2-[[2-4-[[(2R)-2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル]アミノ]フェニル]エチル]アミノ]エチル]フェニル]ホルムアミドをさらに含んでいる上記医薬エーロゾル製剤が提供される。
【0062】
本発明の別の態様において、N-{2-[4-(3-フェニル-4-メトキシフェニル)アミノフェニル]エチル}-2-ヒドロキシ-2-(8-ヒドロキシ-2(1H)-キノリノン-5-イル)エチルアミンをさらに含んでいる上記医薬エーロゾル製剤が提供される。
【0063】
本発明のさらなる態様において、5-[(R)-2-(2-{4-[4-(2-アミノ-2-メチル-プロポキシ)-フェニルアミノ]-フェニル}-エチルアミノ)-1-ヒドロキシ-エチル]-8-ヒドロキシ-1H-キノリン-2-オンをさらに含んでいる上記医薬エーロゾル製剤が提供される。
【0064】
式(II)で表される1以上の化合物を含んでいる生体適合性ポリマーは、WO94/21229及びWO98/34596において開示されている反応方法などの多くの反応方法によって調製することができる。一実施形態では、乳酸を縮合によって重合させた後、得られたポリマーのヒドロキシル末端をアセチルキャッピング基でキャップすることができる。次いで、得られたオリゴ乳酸に、エチレンジアミンを縮合及びアミド形成によって結合させる。
【0065】
これらの反応は、溶液状態で実施することができる。そのような溶媒は、適用可能な場合は、当該製剤中の噴射剤としての役割を果たし得る。噴射剤としての役割も果たし得る好ましい溶媒としては、HFA 134a及びHFA 227などがある。重合及びポリマーのキャッピングについての適切な合成方法の例は、米国特許出願第60/533172号("Medicinal Compositions and Method for the Preparation Thereof", Capecchi et al.)及び米国特許出願第60/613063号("Medicinal Aerosol Formulations and Methods of Synthesizing Ingredients Therefor", Bechtold et al.)の中に見いだすことができる。これら特許出願の開示内容は、参照により本明細書に組み入れる。
【0066】
米国特許出願第60/533172号に記載されているポリマー縮合方法は、重要な利点をもたらすものと考えられる。それは、生成物の予期できない優位性に加えて、金属ベースの触媒を用いる別の重合法(これは、より多くの費用がかかり、環境的な不利益をもたらし、残留汚染に起因する健康上の懸念を生み出す)と比較して有利であると考えられる。それは、さらに、OH末端基のアシル化又はアセチル化の程度も改善することができ、また、キャッピング基又は架橋基(例えば、エチレンジアミン)による酸官能性の誘導体化の程度も改善することができる。一態様において、該反応方法は、未反応オリゴ乳酸と遊離ヒドロキシル基を有するオリゴ乳酸誘導体のモル比が調製されたN,N'-エチレンビス(アセチルオリゴラクチル)アミドの10%未満、5%未満又は1%未満となるように、完了の程度を規定する。一態様において、該反応方法は、さらにまた、未反応オリゴ乳酸と遊離カルボン酸を有するオリゴ乳酸誘導体のモル比が調製されたN,N'-エチレンビス(アセチルオリゴラクチル)アミドの10%未満、5%未満又は1%未満となるようにも、完了の程度を規定する。未反応オリゴ乳酸と遊離カルボン酸を有するオリゴ乳酸誘導体の相対量は、核磁気共鳴(NMR)又は液体クロマトグラフィー-質量分析法(LC-MS)などの慣習的な分析方法により求めることができる。
【0067】
本発明の製剤を調製するのに上記生体適合性ポリマーを使用することによって、効果的な懸濁安定性がもたらされ、薬物の沈積が低減されると考えられる。かくして、生体適合性ポリマーの使用量は、当該噴射剤に対して、望ましくは、0.0025%(w/w)〜3%(w/w)の範囲、特に、0.01%(w/w)〜0.5%(w/w)の範囲、より特定的には、0.05%(w/w)〜0.2%(w/w)の範囲である。
【0068】
上記粒子状(例えば、微粉化された)薬物の粒径は、該エーロゾル製剤を投与したときに肺内に吸入される当該薬物の量が最適化されるようなものであるべきである。かくして、そのような粒径は、100ミクロン未満、望ましくは、20ミクロン未満であり、また、好ましくは、1〜10ミクロンの範囲(例えば、1〜5ミクロンの範囲)のMMAD(エーロゾル粒子の平均粒子径)を有するであろう。
【0069】
最終的な当該エーロゾル製剤は、製剤の総重量に対して、望ましくは、0.005〜10%(w/w)、好ましくは、0.005〜5%(w/w)、特に、0.01〜1.0%(w/w)の薬物を含んでいる。
【0070】
薬物の投与は、軽度の、中程度の若しくは重篤な急性症状若しくは慢性症状の治療にとって、又は、予防的処置にとって、必要であり得る。正確な投与量が、患者の年齢及び状態、使用される特定の粒子状薬物並びに投与頻度に依存すること、また、最終的には担当医の判断によるということは、理解されるであろう。薬物の組合せを使用する場合、当該組合せの各成分の用量は、一般に、単独で使用された場合の各成分について用いられる用量である。典型的には、1日当たり1回以上、例えば、1〜8回投与することができ、1回の投与において、例えば、1吹き、2吹き、3吹き又は4吹きする。
【0071】
適切な1日用量は、疾患の重症度に応じて、例えば、式(I)の化合物については25〜800マイクログラムの範囲、化合物Bについては5〜20マイクログラムの範囲、化合物Cについては10〜50マイクログラムの範囲内であり得る。
【0072】
典型的には、定量吸入器内で使用するための充填されている各キャニスターは、100、160又は240の計量された用量又はパフ(1吹き)の薬物を含んでいる。
【0073】
幾つかの実施形態では、単一の噴射剤、例えば、1,1,1,2-テトラフルオロエタン又は1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパンを使用し、適切には、1,1,1,2-テトラフルオロエタンを使用する。
【0074】
本発明の製剤は、成層圏のオゾンの分解を惹起し得る成分を含んでいないのが望ましい。特に、該製剤は、CCl3F、CCl2F2及びCF3CCl3などのクロロフルオロカーボン類を実質的に含んでいないのが望ましい。
【0075】
必要に応じて、該噴射剤には、飽和炭化水素(例えば、プロパン、n-ブタン、イソブタン、ペンタン及びイソペンタン)又はジアルキルエーテル(例えば、ジメチルエーテル)などの揮発性佐剤を付加的に含ませることができる。一般に、当該噴射剤の最大で50%(w/w)まで(例えば、1〜30%(w/w))、揮発性炭化水素を含有させることができる。しかしながら、揮発性佐剤を実質的に含んでいない製剤が好ましいと思われる。場合によっては、適切な量の水を含ませるのが望ましいこともあり得る。そのような水は、当該噴射剤の誘電特性を改変する上で有利であり得る。
【0076】
必要に応じて本発明の製剤に組み入れることができる極性の佐剤としては、例えば、脂肪族のC2-6アルコール類及びポリオール類、例えば、エタノール、イソプロパノール及びプロピレングリコール及びそれらの混合物などを挙げることができる。典型的には、エタノールを使用する。一般に、ほんの少量(例えば、0.05〜3.0%(w/w))の極性佐剤が必要とされ、5%(w/w)を超える量を使用することは、不利なことには、当該薬物を溶解する傾向を有し得る。好ましくは、製剤に、1%(w/w)未満(例えば、約0.1%(w/w))の極性佐剤を含ませる。最も好ましくは、本発明の製剤は、極性溶媒を実質的に含んでいない。極性は、例えば、欧州特許出願公開第0327777号に記載されている方法によって、測定することができる。
【0077】
任意選択の余地があるさまざまな実施形態では、該製剤は、以下のものを実質的に含んでいなくてもよい:(1)揮発性佐剤、例えば、飽和炭化水素(例えば、限定するものではないが、プロパン、n-ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタンなど)又はジアルキルエーテル(例えば、ジメチルエーテルなど)、(2)慣習的な界面活性剤(例えば、オレイン酸、レシチン及びソルビタントリオレエートなど)、及び/又は、(3)高い極性を有する成分、例えば、アルコール(例えば、エタノールなど)。本発明の目的のために、用語「実質的に含んでいない(substantially free)」は、上記成分が存在する場合、それは、検出限界を下回る量で存在していることを意味する。
【0078】
本発明の製剤には、医薬エーロゾル製剤の技術分野で慣習的に使用されている1種類以上のさらなる成分を場合により含ませることができる。そのような場合による成分としては、限定するものではないが、味覚マスキング剤、糖類、バッファー、酸化防止剤、水及び化学安定剤などを挙げることができる。
【0079】
本発明は、当該成分を含むのではなく、むしろ、当該成分からなる上記で既に記載した製剤にも及ぶ。
【0080】
本発明のさらなる実施形態は、上記エーロゾル製剤をその中に含んでいて、上記噴射剤を液体として維持するのに必要とされる圧力に絶えることが可能な密封容器(例えば、定量吸入器)である。
【0081】
用語「定量吸入器」又は「MDI」は、缶、該缶を覆っている固定されたキャップ及びそのキャップ内に位置している製剤計量バルブ(metering valve)を含んでいるユニットを意味する。MDIシステムは、適切なチャネリング装置を含んでいる。適切なチャネリング装置は、例えば、バルブアクチュエーター、及び、そこを通して薬物を充填されているキャニスターから計量バルブを介して患者の鼻又は口に送達し得る円筒形又はコーン様の流路(例えば、マウスピースアクチュエーター)を含んでいる。
【0082】
MDI缶は、一般に、使用する噴射剤の蒸気圧に耐え得る容器、例えば、プラスチック製ボトル若しくはプラスチックでコーティングされたガラス製ボトル、又は、好ましくは、金属製缶、例えば、ステンレス鋼製缶、アルミニウム製缶若しくはその合金製缶(ここで、これらは、場合により、陽極処理されていてもよいか、ラッカーでコーティングされていてもよいか、及び/又は、プラスチックでコーティングされていてもよい(例えば、WO96/32099(これは、参照により本明細書に組み入れる)、ここでは、内部表面の一部又は全体は、場合により1種類以上の非フルオロカーボンポリマーと組み合わされていてもよい1種類以上のフルオロカーボンポリマーでコーティングされている)などを含んでいる。この容器は、計量バルブで密閉されている。上記キャップは、超音波溶接、ねじ込み継手又はクリンピングによって、該缶の上に固定することができる。本明細書において教示されているMDIは、当技術分野の方法で調製することができる(例えば、Byron(上掲)及びWO96/32099を参照されたい)。好ましくは、上記キャニスターにはキャップアセンブリが取り付けてあり、ここで、薬物計量バルブは該キャップ内に位置しており、該キャップは適切な場所にクリンピングされている。
【0083】
本発明の一実施形態では、該缶の内部金属表面は、フルオロポリマーでコーティングされており、最も好ましくは、非フルオロポリマーとブレンドされたフルオロポリマーでコーティングされている。別の実施形態では、該缶の内部金属表面は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とポリエーテルスルホン(PES)のポリマーブレンドでコーティングされている。本発明のさらなる実施形態では、該缶の内部金属表面全体が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とポリエーテルスルホン(PES)のポリマーブレンドでコーティングされている。
【0084】
本発明による製剤では、キャニスター及び/又は構成要素をコーティングによってさらに加工する必要性を無くすることが可能であり、これにより、特に大量製造する場合、例えば、費用節減が可能となり得る。
【0085】
該計量バルブは、1回の作動当たり定量の当該製剤が送達されるように設計されている。また、該計量バルブには、そのバルブを通して噴射剤が漏れるのを防止するために、ガスケットを組み込むことができる。該ガスケットは、任意の適切なエラストマー材料、例えば、低密度ポリエチレン、クロロブチル、ブロモブチル、EPDM、黒色又は白色のブタジエン-アクリロニトリルゴム、ブチルゴム及びネオプレンなどを含み得る。適切なバルブは、エーロゾル工業界でよく知られている製造業者から、例えば、「Valois, France」(例えば、DF10、DF30、DF60)、「Bespak plc, UK」(例えば、BK300、BK357)及び「3M-Neotechnic Ltd, UK」(例えば、SpraymiserTM)から、市販されている。
【0086】
さまざまな実施形態において、上記MDIは、他の構造物、例えば、限定するものではないが、該MDIを内部に含んで収容するための外装(overwrap package)(これは、米国特許第6,119,853号、同第6,179,118号、同第6,315,112号、同第6,352,152号、同第6,390,291号及び同第6,679,374号に記載されているものを包含する)や、用量計数器ユニット(dose counter unit)(例えば、限定するものではないが、米国特許第6,360,739号及び同第6,431,168号に記載されているもの)などと一緒に使用することもできる。
【0087】
本発明の製剤は、適切な容器内で、式(I)で表される薬物及び式(II)で表される生体適合性ポリマーを、例えば超音波処理又は高剪断ミキサーを用いて、該噴射剤に分散させることにより調製することができる。このプロセスは、望ましくは、湿度が制御された条件下で実施する。
【0088】
本発明のさらなる態様は、当該製剤をMDIに充填するプロセスを含んでいる。
【0089】
充填されたキャニスターを営業生産するための大規模バッチを調製するために、医薬エーロゾル製造の当業者にはよく知られている大量製造のための慣習的な方法及び機械類を用いることができる。かくして、例えば、一大量製造方法においては、計量バルブをアルミニウム製缶の上にクリンピングして、空のキャニスターを形成させる。当該粒子状薬物を装填容器に添加し、液化噴射剤を、界面活性剤含有液化噴射剤と一緒に、前記装填容器を通して製造容器の中に圧送注入する。薬物懸濁液は、充填機に再循環させる前に混合し、その薬物懸濁液のアリコートを、次いで、計量バルブを通してキャニスターに充填する。
【0090】
代替え的なプロセスでは、該液化製剤のアリコートを、その製剤が確実に気化しない程充分に冷たい条件下で、蓋のないキャニスターに添加し、次いで、計量バルブを該キャニスターの上にクリンピングする。
【0091】
典型的には、医薬用途用に調製されたバッチにおいて、充填された各キャニスターを、重量検査に付し、バッチ番号を用いてコード化し、貯蔵用トレイに包装した後、放出試験に付す。
【0092】
充填された各キャニスターは、好都合には、使用に先立って適切なチャネリング装置にはめ込んで、患者の肺又は鼻腔内に薬物を投与するための定量吸入器システムを形成させる。
【0093】
本発明のエーロゾル製剤の化学的及び物理的安定性並びに薬学的認容性は、当業者にはよく知られている技術によって決定することができる。かくして、例えば、当該成分の化学的安定性は、例えば製品を長期間貯蔵した後、HPLCアッセイによって決定することができる。物理的安定性データは、別の慣習的な分析技術で、例えば、漏れ試験、バルブデリバリーアッセイ(valve delivery assay)(1回の作動当たりの平均吸入重量)、用量再現性アッセイ(1回の作動当たりの活性成分)及び噴霧分布アッセイなどによって得ることができる。
【0094】
本発明のエーロゾル製剤の微粒子画分は、慣習的な技術で、例えば、粒径分布を測定することによるカスケードインパクションによって、測定することができる。カスケードインパクターは、ヒトの口腔及び気道(bronchial tract)を模倣するように設計されており、カスケードインパクター試験は、そのさまざまな段階において吸入された薬物物質の付着量を示すように設計されている。本明細書で使用される場合、「カスケードインパクション」アッセイについての言及は、「European Pharmacopoeia, Section 2.9.18, 5th edition "Preparations for Inhalation, Apparatus D"」において定義されている、加圧吸入において放出される用量の付着を測定することを意味する。そのような技術によって、当該エーロゾル製剤の「呼吸に適した画分(respirable fraction)」を計算することが可能となる。「呼吸に適した画分」を計算するのに使用される一方法は、1回の作動当たりに肺を表す段階3〜5で集められた活性成分(空気動力学的直径 1.1-4.7μm)の量である「微粒子画分」(ここで、微粒子画分は、上記カスケードインパクター法を用いて1回の作動当たりに送達される活性成分の総量の百分率で表される)を参照することによる。より早い段階は、当該エーロゾル装置自体、のど及び気道の上流を表し、もっと後の段階は、重大な副作用を引き起こし得る肺壁を通した潜在的な体内吸収(systemic absorption)を表している。
【0095】
定量吸入器は、1回の作動又は「パフ」(1吹き)当たり一定の単位投与量の薬物(例えば、1回のパフ当たり10〜5000μgの範囲の薬物)を送達するように設計されている。
【0096】
薬物の投与は、軽度の、中程度の若しくは重篤な急性症状若しくは慢性症状の治療にとって、又は、予防的処置にとって、必要であり得る。正確な投与量が、患者の年齢及び状態、使用される特定の粒子状薬物並びに投与頻度に依存すること、また、最終的には担当医の判断によるということは、理解されるであろう。薬物の組合せを使用する場合、当該組合せの各成分の用量は、一般に、単独で使用された場合の各成分について用いられる用量である。典型的には、1日当たり1回以上、例えば、1〜8回投与することができ、1回の投与において、例えば、1吹き、2吹き、3吹き又は4吹きする。
【0097】
他の薬物についての適切な投与計画は、当業者には既知であるか又は容易に知ることができるであろう。
【0098】
本発明の別の態様は、FPFを増強するために、又は、例えば放出される個々の用量の相対標準偏差(RDS)を低減させることによって、含有量の均一性におけるばらつきを低減させるために、式(II)で表される生体適合性ポリマーを使用することを含んでいる。
【0099】
本明細書及び「特許請求の範囲」を通して、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、単語「含んでいる(comprise)」及びその変形(例えば、「含んでいる(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」)が、記載されている整数又はステップ又は整数の群を含めるが、他の任意の整数又はステップ又は整数若しくはステップの群を除外するものではないということを意味することは、理解されるであろう。
【0100】
以下の非限定的な実施例によって、本発明について例証する。
【実施例】
【0101】
ドーススルーユニット(Dose Through Unit)(DTU)法の手順
用量回収装置(dose collection apparatus)(綿栓が付いている500mL容分液漏斗)を組み立て、流量を20L/分に調整した。被験ユニットを、製造してから周囲条件で2週間貯蔵した後、DTU試験に付した。そのユニットの最初の試験のために、MDIをプライミングアクチュエーターを用いて2回プライミングし、被験アクチュエーターを用いて4回分、空作動させた。その際、各作動の間に当該ユニットを振盪した。2回の被験作動分を用量回収装置内で回収した。その際、各作動の間に当該ユニットを振盪した。その回収装置を適切な容積の希釈剤ですすぎ洗いし、回収された用量を含んでいる洗浄液(rinsate)を、慣習的なHPLC分析で分析した。ユニット試験の終わりに、MDIをさらに48回、空作動させた。その際、各作動の間に振盪した。次いで、MDIを、新しい被験アクチュエーターを通して、4回分、空作動させた。次いで、2回の被験作動分を用量回収装置内で回収した。その際、各作動の間に当該ユニットを振盪した。その回収装置を適切な容積の希釈剤ですすぎ洗いし、回収された用量を含んでいる洗浄液を、慣習的なHPLC分析で分析した。
【0102】
記載されている結果は、ユニットの使用の最初と終わりの両方における10のユニットの平均値である。
【0103】
アンダーセンカスケードインパクター(ACI)法の手順
アンダーセンカスケードインパクター Mark II(ACI)を組み立て、流量を28.3L/分に調整した。そのユニットを被験アクチュエーターを用いて4回プライミングした後、用量を回収した。その際、作動の間に振盪した。5〜20回の作動分をACIアセンブリ内で回収した。該ACIを分解し、その構成要素を、製剤の全ての成分を確実に溶解させる適切な量の溶媒ですすぎ洗いした。その洗浄液を、慣習的なHPLC分析によって分析するために、回収した。
【0104】
被験化合物
被験化合物は、以下のとおりであった:
化合物A:6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸 S-フルオロメチルエステル;
化合物B:N-[2-ヒドロキシ-5-[(1R)-1-ヒドロキシ-2-[[2-4-[[(2R)-2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル]アミノ]フェニル]エチル]アミノ]エチル]フェニル]ホルムアミド;
化合物C:3-(4-{[6-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)-フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド;
化合物D:4-{(1R)-2-[(6-{2-[(2,6-ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
化合物E:N-{2-[4-(3-フェニル-4-メトキシフェニル)アミノフェニル]エチル}-2-ヒドロキシ-2-(8-ヒドロキシ-2(1H)-キノリノン-5-イル)エチルアミン。
【0105】
実施例1
化合物A、MDI、25μg/作動、60回作動
空気駆動式混合機を有するステンレススチール製計量容器(batching vessel)及び充填バルブ(filling valve)を含んでいる低温の充填装置を組み立てた。噴射剤は、約-60℃に冷却した。該計量容器を少なくとも-30℃に冷却し、冷却した前記噴射剤の総量の約半分を添加した。その噴射剤を少なくとも-50℃とした。混合機を稼働させながら、噴射剤に対して0.1%(w/w)の濃度となるように式(II)で表される化合物を含んでいる1.3013gの生体適合性ポリマーを添加し、次いで、0.4294gの6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸 S-フルオロメチルエステル粉末を添加した。次いで、HFA 134aの総重量が1299gとなるまで残りの冷噴射剤を添加し、全ての粉末が確実に添加されるように容器をすすぎ洗いした。得られた懸濁液を、約3000rpmで約15分間混合した。MDIユニットに充填する前に、該製剤の温度が約-60℃であることを確認した。適切な充填重量が送達されるように、充填バルブを調節した。規定された充填重量目標である7.3gのHFA 134aとなるまで、フルオロポリマーでコーティングされたアルミニウム製キャニスターに充填した。直ちに、キャニスターの上に「Valois DF60 Mark 66」バルブを配置し、クリンピングした。各ユニットを、合計で約100回作動分送達するように設定(formulate)した。次いで、該製剤を室温まで加温し、該ユニットが正確に作動していることを保証するために、2回分、空の噴霧試験を行った。
【0106】
式(II)で表される生体適合性ポリマーを製剤に添加しないことを除き、概して上記で記載したように、比較の界面活性剤非含有製剤を調製した。
【0107】
用量均一性 - 化合物A、MDI、HFA 134a、25μg/作動、60回作動
表1は、アクチュエーターを通して送達された薬物の、使用の始めと終わりの用量を合わせた総体的な平均用量を示している。薬物のアウトプットの目標は、22.5μg/作動である(10%がアクチュエーターに付着すると仮定)。
【表1】

【0108】
表2は、使用の始めと終わりの用量を合わせた個々の用量のばらつきを示している(相対標準偏差(%)、n=20)。
【表2】

【0109】
微粒子画分 - 化合物A、MDI、HFA 134a、25μg/作動、60回作動
表3は、全用量の目標である25μgの百分率で表される微粒子画分(FPF)を示している。
【表3】

【0110】
さまざまな濃度の生体適合性ポリマーからなる本発明のさらなる製剤を、同様の方法で調製した。
【0111】
実施例2
化合物Bと組み合わせた化合物A、MDI、25/10μg/作動、60回作動
空気駆動式混合機を有するステンレススチール製計量容器(batching vessel)及び充填バルブ(filling valve)を含んでいる低温の充填装置を組み立てた。噴射剤は、約-60℃に冷却した。該計量容器を少なくとも-30℃に冷却し、冷却した前記噴射剤の総量の約半分を添加した。その噴射剤を少なくとも-50℃とした。混合機を稼働させながら、噴射剤に対して0.1%(w/w)の濃度となるように式(II)で表される化合物を含んでいる1.0379gの生体適合性ポリマーを添加し、次いで、0.3564gの6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸 S-フルオロメチルエステル粉末及び0.1539gのN-[2-ヒドロキシ-5-[(1R)-1-ヒドロキシ-2-[[2-4-[[(2R)-2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル]アミノ]フェニル]エチル]アミノ]エチル]フェニル]ホルムアミド粉末を添加した。次いで、HFA 134aの総重量が1033gとなるまで残りの冷噴射剤を添加し、全ての粉末が確実に添加されるように容器をすすぎ洗いした。得られた懸濁液を、約3000rpmで約15分間混合した。MDIユニットに充填する前に、該製剤の温度が約-60℃であることを確認した。適切な充填重量が送達されるように、充填バルブを調節した。規定された充填重量目標である7.3gのHFA 134aとなるまで、フルオロポリマーでコーティングされたアルミニウム製キャニスターに充填した。直ちに、キャニスターの上に「Valois DF60 Mark 66」バルブを配置し、クリンピングした。各ユニットを、合計で約100回作動分送達するように設定(formulate)した。次いで、該製剤を室温まで加温し、該ユニットが正確に作動していることを保証するために、2回分、空の噴霧試験を行った。
【0112】
式(II)で表される生体適合性ポリマーを製剤に添加しないことを除き、概して上記で記載したように、比較の界面活性剤非含有製剤を調製した。
【0113】
用量均一性 - 化合物Bと組み合わせた化合物A、MDI、HFA 134a、25/10μg/作動、60回作動
表4は、アクチュエーターを通して送達された薬物の、使用の始めと終わりの用量を合わせた総体的な平均用量を示している。
【0114】
化合物Bのアウトプットの目標は、8.5μgである(15%がアクチュエーターに付着すると仮定)。
【0115】
化合物Aのアウトプットの目標は、22.5μgである(10%がアクチュエーターに付着すると仮定)。
【表4】

【0116】
表5は、使用の始めと終わりの用量を合わせた個々の用量のばらつきを示している(相対標準偏差(%)、n=20)。
【表5】

【0117】
微粒子画分 - 化合物Bと組み合わせた化合物A、MDI、HFA 134a、25μg/作動、60回作動
表6は、全用量の目標である化合物Bの10μg及び化合物Aの25μgの百分率で表される微粒子画分を示している。
【表6】

【0118】
さまざまな濃度の生体適合性ポリマーからなる本発明のさらなる製剤を、同様の方法で調製した。
【0119】
実施例3
化合物Cと組み合わせた化合物A、MDI、25/12.5μg/作動、60回作動
空気駆動式混合機を有するステンレススチール製計量容器(batching vessel)及び充填バルブ(filling valve)からなる低温の充填装置を組み立てた。噴射剤は、約-60℃に冷却した。該計量容器を少なくとも-30℃に冷却し、冷却した前記噴射剤の総量の約半分を添加した。その噴射剤を少なくとも-50℃とした。混合機を稼働させながら、式(II)で表される化合物を含んでいる1.8037gの生体適合性ポリマーを添加し、次いで、0.5944gの6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸 S-フルオロメチルエステル粉末及び0.3786gの3-(4-{[6-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)-フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド粉末を添加した。次いで、HFA 134aの総重量が1797gとなるまで残りの冷噴射剤を添加し、全ての粉末が確実に添加されるように容器をすすぎ洗いした。得られた懸濁液を、約3000rpmで約15分間混合した。MDIユニットに充填する前に、該製剤の温度が約-60℃であることを確認した。適切な充填重量が送達されるように、充填バルブを調節した。規定された充填重量目標である7.3gのHFA 134aとなるまで、フルオロポリマーでコーティングされたアルミニウム製キャニスターに充填した。直ちに、キャニスターの上に「Valois DF60 Mark 66」バルブを配置し、クリンピングした。各ユニットを、合計で約100回作動分送達するように設定(formulate)した。次いで、該製剤を室温まで加温し、該ユニットが正確に作動していることを保証するために、2回分、空の噴霧試験を行った。
【0120】
式(II)で表される生体適合性ポリマーを製剤に添加しないことを除き、概して上記で記載したように、比較の界面活性剤非含有製剤を調製した。
【0121】
用量均一性 - 化合物Cと組み合わせた化合物A、MDI、HFA 134a、25/12.5μg/作動、60回作動
表7は、アクチュエーターを通して送達された薬物の、使用の始めと終わりの用量を合わせた総体的な平均用量を示している。
【0122】
化合物Cのアウトプットの目標は、11.3μgである(10%がアクチュエーターに付着すると仮定)。
【0123】
化合物Aのアウトプットの目標は、22.5μgである(10%がアクチュエーターに付着すると仮定)。
【表7】

【0124】
表8は、使用の始めと終わりの用量を合わせた個々の用量のばらつきを示している(相対標準偏差(%)、n=20)。
【表8】

【0125】
微粒子画分 - 化合物Cと組み合わせた化合物A、MDI、HFA 134a、25/12.5μg/作動、60回作動
表9は、全用量の目標である化合物Cの12.5μg及び化合物Aの25μgの百分率で表される微粒子画分(FPF)を示している。
【表9】

【0126】
実施例4
化合物Dと組み合わせた化合物A、MDI、100/100μg/作動、60回作動
空気駆動式混合機を有するステンレススチール製計量容器(batching vessel)及び充填バルブ(filling valve)からなる低温の充填装置を組み立てた。噴射剤は、約-60℃に冷却した。該計量容器を少なくとも-30℃に冷却し、冷却した前記噴射剤の総量の約半分を添加した。その噴射剤を少なくとも-50℃とした。混合機を稼働させながら、式(II)で表される化合物を含んでいる4.3119gの生体適合性ポリマーを添加し、次いで、5.6562gの6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸 S-フルオロメチルエステル粉末及び9.0090gの4-{(1R)-2-[(6-{2-[(2,6-ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール粉末を添加した。次いで、HFA 134aの総重量が4294gとなるまで残りの冷噴射剤を添加し、全ての粉末が確実に添加されるように容器をすすぎ洗いした。得られた懸濁液を、約3000rpmで約15分間混合した。MDIユニットに充填する前に、該製剤の温度が約-60℃であることを確認した。適切な充填重量が送達されるように、充填バルブを調節した。規定された充填重量目標である7.3gのHFA 134aとなるまで、フルオロポリマーでコーティングされたアルミニウム製キャニスターに充填した。直ちに、キャニスターの上に「Bespak BK357930MT」バルブを配置し、クリンピングした。各ユニットを、合計で約100回作動分送達するように設定(formulate)した。次いで、該製剤を室温まで加温し、該ユニットが正確に作動していることを保証するために、2回分、空の噴霧試験を行った。
【0127】
用量均一性 - 化合物Dと組み合わせた化合物A、HFA 134a、MDI、100/100μg/作動、60回作動
表10は、アクチュエーターを通して送達された、使用の始めと終わりを合わせた総体的な平均用量を示している。
【0128】
化合物Dのアウトプットの目標は、90μgである(10%がアクチュエーターに付着すると仮定)。
【0129】
化合物Aのアウトプットの目標は、90μgである(10%がアクチュエーターに付着すると仮定)。
【表10】

【0130】
表11は、使用の始めと終わりを合わせた個々の用量のばらつきを示している(相対標準偏差(%)、n=20)。
【表11】

【0131】
微粒子画分 - 化合物Dと組み合わせた化合物A、HFA 134a、MDI、100/100μg/作動、60回作動
表12は、全用量の目標である化合物Dの100μg及び化合物Aの100μgの百分率で表される微粒子画分(FPF)を示している。
【表12】

【0132】
実施例5
化合物Eと組み合わせた化合物A、MDI、100/50μg/作動、60回作動
空気駆動式混合機を有するステンレススチール製計量容器(batching vessel)及び充填バルブ(filling valve)からなる低温の充填装置を組み立てた。噴射剤は、約-60℃に冷却した。該計量容器を少なくとも-30℃に冷却し、冷却した前記噴射剤の総量の約半分を添加した。その噴射剤を少なくとも-50℃とした。混合機を稼働させながら、式(II)で表される化合物を含んでいる3.7025gの生体適合性ポリマーを添加し、次いで、2.4286gの6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸 S-フルオロメチルエステル粉末及び6.9699gのN-{2-[4-(3-フェニル-4-メトキシフェニル)アミノフェニル]エチル}-2-ヒドロキシ-2-(8-ヒドロキシ-2(1H)-キノリノン-5-イル)エチルアミン粉末を添加した。次いで、HFA 134aの総重量が3691gとなるまで残りの冷噴射剤を添加し、全ての粉末が確実に添加されるように容器をすすぎ洗いした。得られた懸濁液を、約3000rpmで約15分間混合した。MDIユニットに充填する前に、該製剤の温度が約-60℃であることを確認した。適切な充填重量が送達されるように、充填バルブを調節した。規定された充填重量目標である7.3gのHFA 134aとなるまで、フルオロポリマーでコーティングされたアルミニウム製キャニスターに充填した。直ちに、キャニスターの上に「Bespak BK357930MT」バルブを配置し、クリンピングした。各ユニットを、合計で約100回作動分送達するように設定(formulate)した。次いで、該製剤を室温まで加温し、該ユニットが正確に作動していることを保証するために、2回分、空の噴霧試験を行った。
【0133】
用量均一性 - 化合物Aと組み合わせた化合物E、MDI、100/50μg/作動、60回作動
表13は、アクチュエーターを通して送達された、使用の始めと終わりを合わせた総体的な平均用量を示している。
【0134】
化合物Eのアウトプットの目標は、90μgである(10%がアクチュエーターに付着すると仮定)。
【0135】
化合物Aのアウトプットの目標は、45μgである(10%がアクチュエーターに付着すると仮定)。
【表13】

【0136】
表14は、使用の始めと終わりを合わせた個々の用量のばらつきを示している(相対標準偏差(%)、n=20)。
【表14】

【0137】
微粒子画分 - 化合物Eと組み合わせた化合物A、MDI、100/50μg/作動、60回作動
表15は、全用量の目標である化合物Eの100μg及び化合物Aの50μgの百分率で表される微粒子画分(FPF)を示している。
【表15】

【0138】
さまざまな濃度の生体適合性ポリマーからなる本発明のさらなる製剤を、同様の方法で調製した。
【0139】
本発明者らは、製剤中の生体適合性ポリマーの濃度が噴射剤に対して少なくとも0.1%(w/w)の濃度まで上昇するにつれてバルブを通して送達される用量及びFPFが増大するということを、データ及び図が示していると考えている。
【0140】
データは、さらにまた、医薬エーロゾル製剤に本発明の生体適合性ポリマーを添加することによって個々の用量のばらつきが低減されるということも示しているように見える。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】式(I)で表される化合物についての、バルブを通して送達された平均用量及び%FPF(アンダーセンカスケードインパクター 段階3〜5、近似空気動力学的直径1.1〜4.7μm)に対する式(II)で表される化合物を含んでいる生体適合性ポリマーの効果を示す図である。データは、使用の始めに、アンダーセンカスケードインパクターを用いて収集した。
【図2】式(I)で表される化合物とβ2-アドレナリン受容体作動薬(化合物B)の組合せについての、バルブを通して送達された平均用量及び%FPFに対する式(II)で表される化合物を含んでいる生体適合性ポリマーの効果を示す図である。データは、使用の始めに、アンダーセンカスケードインパクターを用いて収集した。
【図3】式(I)で表される化合物とβ2-アドレナリン受容体作動薬(化合物B)の組合せについての、バルブを通して送達された平均用量及び%FPFに対する式(II)で表される化合物を含んでいる生体適合性ポリマーの効果を示す図である。データは、使用の始めに、アンダーセンカスケードインパクターを用いて収集した。
【図4】式(I)で表される化合物とβ2-アドレナリン受容体作動薬(化合物C)の組合せについての、バルブを通して送達された平均用量及び%FPFに対する式(II)で表される化合物を含んでいる生体適合性ポリマーの効果を示す図である。データは、使用の始めに、アンダーセンカスケードインパクターを用いて収集した。
【図5】式(I)で表される化合物とβ2-アドレナリン受容体作動薬(化合物C)の組合せについての、バルブを通して送達された平均用量及び%FPFに対する式(II)で表される化合物を含んでいる生体適合性ポリマーの効果を示す図である。データは、使用の始めに、アンダーセンカスケードインパクターを用いて収集した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬エーロゾル製剤であって:
(i) 治療上有効量の式(I)
【化1】

で表される粒子状の薬物又はその溶媒和物;
(ii) 1,1,1,2-テトラフルオロエタン又は1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパン又はそれらの混合物からなる群から選択される噴射剤;及び、
(iii) 生体適合性ポリマーであって、式(II)
【化2】

[式中、n及びmは、独立して、1以上の整数を表し、また、該生体適合性ポリマーにおけるn及びmの独立した平均値は、6〜25であり;式
【化3】

で表される各単位は、独立して、D配置にあるか又はL配置にある]で表される1以上の化合物を含んでいる、上記生体適合性ポリマー;
を含んでいる、前記エーロゾル製剤。
【請求項2】
前記生体適合性ポリマーにおけるn及びmの独立した平均値が、7〜11である、請求項1に記載の医薬エーロゾル製剤。
【請求項3】
式(I)で表される粒子状の前記薬物が、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸 S-フルオロメチルエステルである、請求項1又は請求項2に記載の医薬エーロゾル製剤。
【請求項4】
式(I)で表される前記化合物が非溶媒和形態にある、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬エーロゾル製剤。
【請求項5】
式(I)で表される前記化合物が「形態1」多形体の形態にある、請求項4に記載の医薬エーロゾル製剤。
【請求項6】
前記噴射剤が1,1,1,2-テトラフルオロエタンである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬エーロゾル製剤。
【請求項7】
前記噴射剤が1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパンである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬エーロゾル製剤。
【請求項8】
前記生体適合性ポリマーが前記噴射剤に対して0.0025%(w/w)〜3%(w/w)の範囲で存在している、請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬エーロゾル製剤。
【請求項9】
前記生体適合性ポリマーが前記噴射剤に対して0.01%(w/w)〜0.5%(w/w)の範囲で存在している、請求項8に記載の医薬エーロゾル製剤。
【請求項10】
前記生体適合性ポリマーが前記噴射剤に対して0.05%(w/w)〜0.2%(w/w)の範囲で存在している、請求項9に記載の医薬エーロゾル製剤。
【請求項11】
1種類以上の別の治療活性薬をさらに含んでいる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の医薬エーロゾル製剤。
【請求項12】
前記別の治療活性薬がβ2-アドレナリン受容体作動薬である、請求項11に記載の医薬エーロゾル製剤。
【請求項13】
前記β2-アドレナリン受容体作動薬が以下のものから選択される、請求項12に記載の医薬エーロゾル製剤:
サルメテロール;(R)-サルメテロール;サルブタモール;(R)-サルブタモール;ホルモテロール;(R,R)-ホルモテロール;フェノテロール;カルモテロール;エタンテロール;ナミンテロール;クレンブテロール;ピルブテロール;フレロブテロール;レプロテロール;バンブテロール;テルブタリン;サルメファモール;インダカテロール;
3-(4-{[6-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド;
3-(3-{[7-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}-アミノ)ヘプチル]オキシ}プロピル)ベンゼンスルホンアミド;
4-{(1R)-2-[(6-{2-[(2,6-ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
N-[2-ヒドロキシル-5-[(1R)-1-ヒドロキシ-2-[[2-4-[[(2R)-2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル]アミノ]フェニル]エチル]アミノ]エチル]フェニル]ホルムアミド;
N-{2-[4-(3-フェニル-4-メトキシフェニル)アミノフェニル]エチル}-2-ヒドロキシ-2-(8-ヒドロキシ-2(1H)-キノリノン-5-イル)エチルアミン;
5-[(R)-2-(2-{4-[4-(2-アミノ-2-メチル-プロポキシ)-フェニルアミノ]-フェニル}-エチルアミノ)-1-ヒドロキシ-エチル]-8-ヒドロキシ-1H-キノリン-2-オン;及び、
それらの製薬上許容される塩。
【請求項14】
前記β2-アドレナリン受容体作動薬がサルメテロール及び(R)-サルメテロールから選択される、請求項13に記載の医薬エーロゾル製剤。
【請求項15】
前記β2-アドレナリン受容体作動薬が、硫酸、塩酸、フマル酸、ヒドロキシナフトエ酸、ケイ皮酸、置換ケイ皮酸、トリフェニル酢酸、スルファミン酸、スルファニル酸、ナフタレンアクリル酸、安息香酸、4-メトキシ安息香酸、2-ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸、4-クロロ安息香酸及び4-フェニル安息香酸から選択される製薬上許容される酸を用いて形成された塩の形態にある、請求項12〜14のいずれか1項に記載の医薬エーロゾル製剤。
【請求項16】
前記β2-アドレナリン受容体作動薬がキシナホ酸サルメテロール(1-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボキシレート)である、請求項15に記載の医薬エーロゾル製剤。
【請求項17】
前記β2-アドレナリン受容体作動薬が硫酸サルブタモールである、請求項15に記載の医薬エーロゾル製剤。
【請求項18】
前記β2-アドレナリン受容体作動薬がフマル酸ホルモテロールである、請求項15に記載の医薬エーロゾル製剤。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項に記載のエーロゾル製剤を調製する方法であって、適切な容器内で、式(I)で表される薬物及び式(II)で表される1以上の化合物を含んでいる生体適合性ポリマーを前記噴射剤に分散させることを含む、上記方法。
【請求項20】
獣医学又はヒト医学において使用するための、請求項1〜18のいずれか1項に記載の医薬エーロゾル製剤。
【請求項21】
呼吸器疾患を治療するために吸入投与するための薬物の製造における、請求項1〜18のいずれか1項に記載の医薬エーロゾル製剤の使用。
【請求項22】
前記呼吸器疾患が喘息である、請求項20又は21に記載の使用。
【請求項23】
前記呼吸器疾患がCOPDである、請求項20又は21に記載の使用。
【請求項24】
呼吸器疾患を治療又は予防する方法であって、請求項1〜18のいずれか1項に記載の医薬エーロゾル製剤をヒト又は動物の被験者に投与することを含む、前記方法。
【請求項25】
その中に請求項1〜18のいずれか1項に記載の医薬エーロゾル製剤を含んでいる、定量吸入器。
【請求項26】
当該缶の内部金属表面の全体がポリテトラフルオロエチレンとポリエーテルスルホンのポリマーブレンドでコーティングされている、請求項25に記載の定量吸入器。
【請求項27】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の医薬製剤の微粒子画分を増強するための、該医薬製剤中の式(II)で表される1以上の化合物を含んでいる生体適合性ポリマーの使用。
【請求項28】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の医薬製剤の微粒子画分の安定性を改善するための、該医薬製剤中の式(II)で表される1以上の化合物を含んでいる生体適合性ポリマーの使用。
【請求項29】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の医薬製剤の送達される投与量の均一性におけるばらつきを低減するための、該医薬製剤中の式(II)で表される1以上の化合物を含んでいる生体適合性ポリマーの使用。
【請求項30】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の医薬製剤の微粒子画分のばらつきを低減するための、該医薬製剤中の式(II)で表される1以上の化合物を含んでいる生体適合性ポリマーの使用。
【請求項31】
送達される投与量を達成するのに必要とされる当該製品の過多量を低減するための、請求項1〜18のいずれか1項に記載の医薬製剤中の式(II)で表される1以上の化合物を含んでいる生体適合性ポリマーの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−530419(P2009−530419A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501708(P2009−501708)
【出願日】平成19年3月21日(2007.3.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/064462
【国際公開番号】WO2007/109698
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】