説明

新規BANK1スプライスバリアント

本発明は、BANK1の新規スプライスバリアント、BANKにおけるSNPの診断用の使用、及びBANK1及び/又はBANK1経路を調節するためのアンタゴニストの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、BANK1の新規スプライスバリアント、BANK1に関連したSNPsの診断用の使用、並びにBANK1及び/又はBANK1経路を調節するためのアンタゴニストの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝子操作によって、個体の一塩基多型(SNPs)を同定することができる。SNPsとは、たった1つのヌクレオチド中の遺伝子の変化である。SNPsを同定して、特定の疾患を示唆する生物学的経路と相関させることができる。また、統計学的分析を用いて、多型と疾患の素因やリスクとを相関させてもよい。その結果、疾患に関連した特定の生物学的経路を標的とすることが、このような病気を治療する手段となる。
【0003】
B細胞抗原受容体(BCR)刺激の際、アンキリンリピートを有するB細胞足場タンパク質(B−cell scaffold protein with ankyrin repeats(BANK1))がB細胞中で発現し、チロシンがリン酸化される。BANK1遺伝子は284kbである。BANK1は主にB細胞中で発現するアダプタータンパク質(6,7)である。全長785個及び755個のアミノ酸からなる2つのアイソフォームは、選択的エクソン1A(図1e)にコードされるN末端領域において30個のアミノ酸が異なり、BANK1、BCAP及びDofアダプタータンパク質間において構造がよく似ているアンキリンリピートモチーフ及びコイルドコイル領域を含む(8)。BCR結合を介してB細胞が活性化されると、BANK1のチロシンがリン酸化され、これにより、タンパク質チロシンキナーゼであるLyn及びカルシウムチャンネルであるIP3Rとの結合が促進される(3)。LynによるIP3Rのリン酸化及び活性化、それに続く小胞体に貯蔵されたCa2+の放出の橋渡しをし、容易にするドッキングステーションとして、BANK1は機能する(3、9)。IP3Rの結合に必要不可欠な領域に位置するSNPであるrs10516487に、IP3Rが関連することが以前に発見された。
【0004】
BANK1のSNPsであるrs17266594及びrs3733197についても、文献に記載されている。
【0005】
炎症性、自己免疫又は神経性疾患を予測するにあたって、上記SNPsが有用であることは文献に記載されていない。
【0006】
BANK1及びそれに関与する経路は、炎症性及び自己免疫障害を示唆すると考えられている。特に、BANK1はB細胞で発現するため、BANK1に関与する経路は、例えば全身性エリテマトーデス(SLE)等のB細胞と関連した疾患を示唆する。多発性硬化症(MS)はT細胞と関係するが、この疾患でもB細胞の役割について議論がなされている。このため、BANK1遺伝子の多型を用いて、MSの素因やリスクを診断できる可能性がある。更に、BANK1経路は、MSを示唆している可能性がある。その結果、この経路とその調節を標的とすることは、MSを予防又は治療する手段となり得る。
【発明の概要】
【0007】
本発明の一態様によれば、BANK1の新規スプライスバリアントを提供する。
【0008】
本発明の他の態様によれば、BANK1の経路が関与する自己免疫又は炎症性疾患の素因、それらを発症するリスク又は罹患することについて、個体を診断する方法を提供する。
【0009】
本発明の他の態様によれば、BANK1、BANK1の生物学的経路及び/又はBANK1経路に関係した因子を標的とするアンタゴニストを用いて、自己免疫又は炎症性疾患を治療及び/又は予防する方法を提供する。
【0010】
本発明の他の態様によれば、BANK1、BANK1の生物学的経路及び/又はBANK1経路に関係した因子を標的とするアンタゴニストを用いて、BANK1の経路が関与する疾患を治療する方法を提供する。
【0011】
(配列及び図面の簡単な説明)
配列番号1、3及び5は、それぞれ、ヒト、チンパンジー及びマウスのBANK1デルタ2スプライスバリアントの核酸配列である。
【0012】
配列番号2、4及び6は、それぞれ、ヒト、チンパンジー及びマウスのBANK1デルタ2スプライスバリアントのアミノ酸配列である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1a】rs17266594とBANK1の完全長アイソフォーム増大レベルの関連。分離した単核球部分母集団におけるBANK1遺伝子の全発現量。
【図1b】rs17266594とBANK1の完全長アイソフォーム増大レベルの関連。全ヒト脾臓cDNAから増幅したBANK1のコード部分をRT−PCRにかけたもので、ゲル上に2つバンドが現れている。左側は1kbラダー(New England Biolabs)を示す。上の2.3kbバンド及びそれより小さい1.9kbバンドの両方を塩基配列解析により同定した。
【図1c】rs17266594とBANK1の完全長アイソフォーム増大レベルの関連。ヒトPBMCから精製した全RNAに定量的リアルタイムRT−PCRを行うことによって決定した、BANK1の完全長及びデルタ2アイソフォームの相対的なmRNA発現レベル。データは平均±標準偏差を表す。分岐点部位SNPにTT遺伝子型を有する39人、TC遺伝子型を有する34人及びCC遺伝子型を有する10人について分析した。完全長転写物:TT対CC、P=0.0004(スチューデントのt検定);デルタ2転写物:TT対CC、P=0.0088。
【図1d】rs17266594とBANK1の完全長アイソフォーム増大レベルの関連。SNPであるrs17266594は、BANK1の全発現量に有意に影響しなかった。
【図1e】rs17266594とBANK1の完全長アイソフォーム増大レベルの関連。遺伝子の5’末端の概略的な構造。イントロン1の分岐点部位に位置するSNPであるrs17266594は、完全長及びデルタ2転写物のスプライシング効率を変える。SNPであるrs10516487により、Arg61からHisへの非同義置換が生じる。選択的スプライシングにより、BANK1の完全長及びエクソン2全体のインフレーム欠失が生じたデルタ2の2つのアイソフォームが生じる。そのため、短いタンパク質アイソフォームにはIP3R結合の推定ドメインがなく、完全長タンパク質からのシグナル伝達を弱めてしまうドミナントネガティブなアイソフォームとして機能している可能性がある。IP3R BD−イノシトール1,4,5−三リン酸受容体結合ドメイン。Lyn BD−チロシンキナーゼLyn結合ドメイン。
【図2a】Bank1全体の連鎖不平衡及びハプロタイプブロック構造。スウェーデン人患者及びコントロールを用いたデータのHaploview解析で計算したデータについて、遺伝子全体で30種類のSNPsを調べた。
【図2b】BANK1の全てのSNPsのR2。
【図2c】図2a及び2bを合わせたもの。
【図3】rs17266594及びrs10516487から構成されるハプロタイプ頻度(74.1% TG、24.2% CA)並びにrs3733197の対立遺伝子頻度(68.0% G, 32.0% A)。この図は、3つ全てのSNPsを含むハプロタイプ頻度も示す(64.1% TGG, 10.1% TGA, 20.3% CAA, 3.8% CAG)。全ての母集団を合わせてデータを計算した。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の段落には本発明において使用される言葉の定義が含まれており、より広い定義を明記しない限り、明細書及び特許請求の範囲全体において均等に適用される。
【0015】
本発明は、エクソン2が欠失したBANK1の配列を含む単離核酸配列に関する。好ましい実施形態において、核酸はヒト、チンパンジー又はマウス由来である。BANK1配列の参考文献として、Nature 431(7011)、931−945(2004)を参照してもよい。
【0016】
NCBIのヒトゲノムアセンブリ(build 36)に記載されたヒトBANK1配列において、染色体4のエクソン/イントロンは以下の通りである。
【表1】

【0017】
BANK1のエクソン2の一部だけが欠失することも好ましくあり得る。本発明によれば、そのような分子も同様に有用である。
【0018】
一の実施形態において、単離核酸は、配列番号:1、3又は5、あるいは当該核酸配列の相補的鎖を含む。
【0019】
一の実施形態において、本発明は、
配列番号:1、3又は5、あるいは前記核酸配列の相補鎖からなる群より選ばれた核酸と、
a.高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイゼーションし、又は
b.少なくとも約30個のヌクレオチドの連なりと少なくとも約85%の同一性を示す
単離核酸に関する。
【0020】
本発明の他の実施形態は、上記いずれかの核酸配列にコードされたポリペプチドである。
【0021】
他の実施形態は、上記核酸を含むベクターであって、好ましくは配列番号:1、3又は5、あるいは前記核酸配列の相補鎖からなる群より選ばれた核酸である。
【0022】
原核又は真核宿主細胞において前記コードされたポリペプチドを発現させる少なくとも1つの発現調節配列に、前記核酸分子を含むベクターが作用可能に連結することが好ましい。
【0023】
他の実施形態は、上記ベクター又は核酸で形質転換した宿主細胞である。
【0024】
本発明の更に他の実施形態は、前記核酸を発現させる条件下で上記定義された宿主細胞を培養し、当該核酸にコードされたポリペプチドを培養液から回収することを含む上記ポリペプチドを生産する方法である。
【0025】
他の実施形態は、
a.個体のサンプルから核酸を単離するステップと、
b.二対立遺伝子マーカーに、rs10516487のグアニン又はアデニン、rs17266594のチロシン又はシトシン、rs3733197のアデニン又はグアニンがあるか否かを決定するステップと
を含む遺伝子型解析方法である。
【0026】
好ましい方法においては、前記個体のゲノムにある前記二対立遺伝子マーカーの両コピーについて、当該二対立遺伝子マーカーにおける前記ヌクレオチドの同一性を決定する。
【0027】
本発明による遺伝子型解析方法をマイクロシーケンシング法で行うのが好ましい。この方法は、前記決定するステップより前に、前記二対立遺伝子マーカーを含む配列の一部を増幅することを更に含むことが好ましい。前記増幅をPCR法で行うのが好ましい。本発明による方法は、前記遺伝子型解析のステップの結果と自己免疫疾患又は炎症性疾患を罹患するリスク又は素因とを相関させるステップを更に含む。
【0028】
好ましい実施形態において、前記個体におけるrs10516487のグアニン、rs17266594のチロシン及びrs3733197のチロシンの存在は、当該個体が前記自己免疫疾患又は炎症性疾患を罹患し、素因を有し又は罹患するリスクがあることを示す前記方法を行う。
【0029】
前記疾患が全身性エリテマトーデス又は多発性硬化症の場合において、本発明の方法を用いるのが好ましい。
【0030】
ところで、本願発明者らは、BANK1とSLE、MS又は関係した疾患の関連の確証を得たため、遺伝子又はポリペプチドにおける他の感受性変化も、例えば実施例に開示された方法を用いて、同定され得ることが分かる。
【0031】
BANK1遺伝子の変化の存在を、シーケンシング法、ピロシーケンシング法、選択的ハイブリダイゼーション法、選択的増幅法及び/又はマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI−TOF MS) (Gut et al., 2004)等の質量分析法など、当業者に本質的に知られている任意の技術で検出してもよい。特定の実施形態において、1つ以上の特異的プライマーを用いた選択的核酸増幅によって、変化を検出できる。この変化は、1つ以上の特異的プローブを用いた選択的ハイブリダイゼーションによって検出される。
【0032】
他の技術として、PCR−RFLP法、多重PCR法、オリゴヌクレオチド連結法及びミニシーケンシング法などのゲル電気泳動を基礎とした遺伝子型解析法;オリゴヌクレオチド連結法、ピロシーケンシング法、蛍光検出される一塩基伸長法、TaqMan等を用いた均一溶液ハイブリダイゼーション法及びMolecular Beaconsを用いた遺伝子型解析などの蛍光色素を基礎とした遺伝子型解析技術;ローリングサークル増幅法及びインベーダーアッセイ法、並びにDNAチップを基礎としたマイクロアレイ法及び質量分析遺伝子型解析技術(Shi et al , 2001)等が挙げられる。
【0033】
更に、サブトラクティブハイブリダイゼーション法、定量的PCR法、TaqMan、ディファレンシャルディスプレイ逆転写PCR法、cDNAの連続的、断片的な配列決定法(発現配列タグ(EST)の配列決定及び遺伝子発現の連続解析(SAGE法))、標識されたcDNAとグリッドに固定された特異的なプローブとのパラレルなハイブリダイゼーション法(マクロ及びマイクロアレイ並びにDNAチップ)等の、当該技術分野において知られている方法によって、変化した遺伝子のRNA発現を定量化することができる。特定の方法として、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド法(ASO)、対立遺伝子特異的増幅法、蛍光in situハイブリダイゼーション法(FISH)、サザン及びノーザンブロット法及び締付変性ゲル電気泳動法が挙げられる。
【0034】
当該技術分野において様々なタンパク質発現分析方法が知られており、二次元ゲル電気泳動法、質量分析法及び抗体マイクロアレイ(Freeman et al., 2004及びZhu et al., 2003)等が挙げられる。
【0035】
自動シーケンサーを用いて、当該技術分野の周知技術により配列決定を行うことができる。遺伝子全体に対して配列決定を行ってもよいが、一般的に有害な突然変異又はその他の変異を有することが知られている又は推定されている特定のドメインについて行うのがより好ましい。
【0036】
ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)、リガーゼ連鎖反応法(LCR)及び鎖置換増幅法(SDA)等、当該技術分野において知られている様々な技術によって増幅を行ってもよい。市販の試薬及びプロトコルを用いてこれらの技術を行うことができる。好ましい技術は、対立遺伝子特異的PCR法である。
【0037】
BANK1遺伝子の配列を増幅するのに有用な核酸プライマーは、感受性変化部分と近接又は重複するBANK1の一部と特異的にハイブリダイズすることができる。プライマーがハイブリダイズするBANK1遺伝子の配列中にその変化部分が含まれている場合、プライマー配列は変化部分と重複する。当該変化部分から好ましくは300bp未満、より好ましくは250、200、150、100、50、40、30、20bp未満の距離に位置したBANK1の部分とプライマーがハイブリダイズする場合、プライマー配列は変化部分に近接する。当該変化部分から5、4、3、2、1bpの距離又は直接隣接したBANK1の部分とプライマーがハイブリダイズすることが好ましい。
【0038】
他の実施形態において、本発明によれば、個体が自己免疫疾患又は炎症性疾患の素因又はリスクを有するか否かを検出する方法は、
a.個体の核酸を単離するステップと、
b.BANK1完全長核酸を検出及び定量化するステップと、
c.BANK1デルタ2核酸を検出及び定量化するステップと、
d.ステップb及びcの結果の比であるb./c.及び/又はc./b.を決定するステップと
を含む。
【0039】
この方法において、前記核酸がmRNA、cRNA又はcDNAであることが好ましい。
【0040】
上記方法のステップdにおいて、決定した比は疾患又は増大した感受性を示す。完全長mRNAがより多く、デルタ2スプライスバリアントがより少ない場合、個体の疾患に対するリスクがより高くなる。特に、この比がb./c.相関関係においてより高く、この比がc./b.相関関係においてより低い場合、特にSLEやMSのような自己免疫又は炎症性疾患が発症するリスクがより高くなる。
【0041】
本願発明者らは、BANK1のmRNAの総量が、特定のSNPsの存在によって影響を受けないことを見出した。特に、SNPsであるrs10516487、rs17266594及びrs3733197によって、BANK1のmRNAの総含有量は変動しない。したがって、BANK1のmRNA又はcDNAの完全長対デルタ2スプライスバリアントの比は、本発明のSNPsの存在に影響されない。b./c.比又はc./b.比は約1であることが好ましい。本発明において有用な比は、上述したようにb./c.又はc./b.である。
【0042】
rs17266594におけるTTからTC、CCへの変化は、検出できるデルタ2BANK1スプライスバリアントのmRNAの量に影響する。b./c.比が1超である場合、好ましくは1より有意に大きい場合、自己免疫又は炎症性疾患、好ましくは全身性エリテマトーデス又は多発性硬化症を罹患し又はその素因があることを示す。c./b.比が1未満の場合、好ましくは1より有意に小さい場合、自己免疫又は炎症性疾患、好ましくは全身性エリテマトーデス又は多発性硬化症を罹患し又はその素因があることを示す。この予測をするにあたって、このSNPのTTからCCへの変化を最も信頼して用いてもよい。オッズ比(OR)を計算して、罹患又は素因を表してもよい。自己免疫又は炎症性疾患の素因を検出するために、SNPであるrs17266594及び/又はBANK1の完全長及び/又はデルタ2スプライスバリアントのmRNA又はcDNAの変化を検出及び/又は計算する任意の方法を用いてよいことは、当業者に認識されるであろう。一の実施形態において、サンプルのBANK1デルタ2スプライスバリアントのmRNAをコントロールと比較して、本発明を用いてもよい。1つのサンプル又は複数のプールサンプルからコントロールを選んでもよい。
【0043】
SNPsであるrs10516487及びrs3733197を用いて罹患又は素因を予測することもでき、それらを間接マーカーとして使用してもよい。本発明によれば、上記マーカーとの連鎖が検出できるのであれば、他のSNPsを予測マーカーとして用いてもよい。このような連鎖、好ましくは強い連鎖は、LDで表され、好ましくはD’0.7、好ましくはD’0.8、より好ましくはD’0.9である。当該技術分野において知られている通常の技術を用いて、このようなマーカーを同定することができる。
【0044】
他の実施形態において、本発明は、BANK1、BANK1の生物学的経路及び/又はBANK1経路に関係する因子を標的とするアンタゴニストを用いて、自己免疫又は炎症性疾患から選ばれた疾患を治療及び/又は予防する方法に関する。前記疾患が全身性エリテマトーデス又は多発性硬化症であることが好ましい。
【0045】
アンタゴニストは、所望の標的を部分的又は本質的に完全にアンタゴナイズする任意の分子であればよい。前記アンタゴニストがBANK1、LYN及び/又はIP3R、あるいはこれらの相互作用を標的とすることが好ましい。アンタゴニストが前記BANK1の核酸を標的とすることが好ましい。一の実施形態において、前記アンタゴニストは、アンチセンスRNA、siRNA、アプタマー、ペプチド又は小分子である。他の実施形態において、アンタゴニストは、標的であるBANK1、LYN及び/又はIP3Rに特異的に結合する抗体又は抗体フラグメントである。IP3Rに特異的に結合又はIP3Rの機能を阻害するアンタゴニストが特に好ましい。この場合、疾患の発症又は疾患の兆候に関与するB細胞の影響を正に調節、好ましくは阻害することが好ましく達成できる。
【0046】
本発明において用いられる好ましいSNPsは以下の通りである。
【表2】

【0047】
rs10516487のリスク対立遺伝子はGである。rs17266594のリスク対立遺伝子はTであり、rs3733197の場合はAである。明細書中に記載されている本発明の観念において、連鎖不平衡(LD)中の他のSNPsを用いてもよいことが分かる。
【0048】
本願に引用されている全ての参照文献は、参照によって本願明細書に引用したものとする。以下に、本発明について以下の実施例を用いて説明するが、本発明の範囲を限定するものと理解し、解釈してはならない。
【実施例1】
【0049】
100k Affymetrix SNPsアレイで、スウェーデン人SLE患者279人及びスウェーデン人コントロール515人のセットについて、遺伝子型解析を行った。選別後、85042個のSNPsのデータを用いた。非MHC遺伝子及び重要な機能的多型を同定することが目的であったため、遺伝子砂漠を除去し、既知の遺伝子内にある関連SNPsの遺伝子位置の分析を進めた。データ分析の結果、全ての非MHC関連SNPsのうち、1つ(rs10516487)は、BANK1翻訳タンパク質のアミノ酸位置61(エクソン1Aから)において、アルギニンからヒスチジン(トリプレットcGc→cAc、Arg→His)に非同義的置換していたことが分かった(対立遺伝子関連、P=6.4×10-3、遺伝子型関連、P=2.01×10-2)。このSNPは、対立遺伝子関連分析で全ゲノムスキャンの679位、遺伝子型テストで2148位であった。これらにおいて、推定FDR(偽検出率(False Discovery Rate))はそれぞれ71.1%及び77.5%であった。BANK1の更に4つのSNPについても、Affymetrixスキャンにおいて、SLEと関連があることが分かった。上述したBANK1のB細胞に特異的な発現及びB細胞受容体介在活性化における潜在的役割から、この遺伝子を追求することにした(3、4)。
【0050】
BANK1遺伝子の284kb全てにわたるAffymetrix SNPsを含む30個のSNPsについて、スウェーデン人患者及びコントロール352人の遺伝子型解析を行った。この集団において、2つのSNPsは多型ではなかった。各SNP分析により、rs10516487を含む9つのSNPsが関連していることが分かった(表1)。Haploviewから入手できるソリッド−スパイン(solid−spine)LD(連鎖不平衡)ハプロタイプブロック定義を用いると、5LDブロックを認識できた。遺伝的関連を示す全てのSNPsは、ブロック2、3及び4に位置していた。ブロック5に位置するSNPsでは、遺伝的関連が検出されなかった(表1、付表2及び図2a)。遺伝的関連を確認するために、ドイツ、スペイン、イタリア及びアルゼンチンの更に4つのセットの患者及びコントロールについて、rs10516487の遺伝子型解析を行った。アルゼンチンのセットについては有意性まで届かないまでも明らかな傾向があったが、ヨーロッパのセットについては全て遺伝的関連の確証がとれた(表2)。Breslow−Day検定を用いて、セットの均一性及び統合可能性の分析を行った。データを統合できたため、3971人からなる全てのセットについてメタ分析を行った。Mantel−Haenzel(MH)検定において、対立遺伝子関連について、P値がゲノムワイドな有意性に届き、プールしたオッズ比が1.38 (X2=39.243、P=3.74×10-10、95% Cl 1.25−1.53)であることが明らかになった。遺伝子型関連の有意性についても観察された(表2)。
【0051】
BANK1の発現及び構造について、詳細な分析を行った。上述したように、BANK1が主にCD19+B細胞において高レベルで発現し、CD4+、CD8+及びCD14+細胞において非常に低レベルで発現していたことを確かに観察した(図1a)。そして、SLE患者24人とコントロール8人の近位プロモーター領域、エクソン1A、エクソン1B及びエクソン2(ハプロブロック2が位置する場所)、並びにこれらエクソンの500bp上流および下流の配列決定を行った。これらの領域で新規SNPは見つからなかった。機能分析を行うために、発現ベクター中のBANK1のcDNAをクローニングするにあたって、遠位プライマーを用いて完全長cDNAを増幅した。意外にも、PCR後のゲル上において2つのバンドが検出された(図1b)。その後のクローニング及び配列決定によって、エクソン2全体のインフレーム欠失が起こった新しいアイソフォームが明らかになった(BANK1のデルタ2アイソフォーム)。健常者83人及びSLE患者30人のcDNAを分析し、このアイソフォームが各サンプルに存在していたことを見出した。このことは、構成的にスプライシングされたことを示す。更に、このアイソフォームがチンパンジー及びマウスの脾臓のcDNAのPCR増幅によっても検出され、種に渡って発現が保存されていたことが示唆される。このため、エクソン1A又はエクソン1B及びデルタ2アイソフォームを用いて、3つのBANK1のアイソフォーム(2つは完全長)の転写物を検出した。
【0052】
次に、末梢血単核球におけるアイソフォームの発現について、定量分析を行った。最初に、2つの完全長アイソフォーム(エクソン1A及びエクソン1Bの順)の相対的なレベルを決定した。後者の転写物の存在が非常に低レベルであったため、通常の完全長アイソフォームのレベルを測定して分析を続けた。完全長(FL)アイソフォームとデルタ2の比が一定でないことに気付き、分析したサンプルの遺伝子型に関係なくデルタ2が同等に発現していると予測した。逆に、FL/デルタ2アイソフォームの比にしたがって、サンプルが分類されている可能性もあった。スプライシングに影響する推定シグナルが位置するエクソン2周辺のゲノム配列について詳しく調べた後、1つのSNP(rs17266594)が推定分岐点部位にあることが分かり、スプライシングに影響している可能性があった。このSNPにしたがって、発現データを再分類してみると、遺伝子型間に明らかな違いがあることが観察できた(図1c)。T対立遺伝子がホモであり、それにより分岐点部位(5)(YNYTGYYN)が古典的構造である個体においては、両方のアイソフォームが同等の発現をしていた。一方、マイナー対立遺伝子Cがホモである個体においては、完全長転写物の発現が著しく抑制され(最大で40%)、同時にデルタ2アイソフォームの発現が増加していた。全BANK1の転写レベルは、そのSNPに有意に影響されなかった(図1d)。患者とコントロールの全てのセットについてrs17266594の遺伝子型解析を行い、T対立遺伝子がSLEと関連していることが分かった(表2;P=4.74×10-11、 OR=1.42、95%CI 1.28−1.58)。
【0053】
SNPsであるrs17266594及びrs10516487は互いに153ヌクレオチド(nt)離れており、強いLD関係にある(D’=0.95、R2=0.90、図2b)。第1のSNPのT対立遺伝子と第2のSNPのG対立遺伝子が、SLEに関連した同じリスクハプロタイプにあることを見出した(表2の下、P=4.75×10-6、OR=1.30、95%CI 1.16−1.45)及び図3。
【0054】
データベースにおいて、非同義的置換を5ヶ所同定した。ほぼ全てのSNPは非多型であったが、1つ(rs3733197)は、アンキリンリピート様モチーフをコードするエクソン7のアミノ酸位置383(トリプレットGca→Aca)においてアラニンからスレオニンに置換されたものであり、スウェーデン人及びスカンジナビア人セット全体の最初の分析において関連がなかったものの、統合したサンプル(X2=16.576、P=4.67×10-5(OR=1.23、95% Cl 1.11−1.36)において関連があることが分かった(表1及び付表3)。このSNPはrs10516487 (D’=0.72、R2=0.39)及びrs17266594(R2=0.27)から88211bp離れたハプロブロック4(図2a)にあり、他の2つのSNPsからなるリスクハプロタイプと分離できる場合があり(図3)、軽度の機能多型である可能性がある。
【0055】
よって、ここで、SLEに関連したBANK1の機能多型を3つ同定する。rs17266594の関連したT対立遺伝子は、BANK1の完全長アイソフォームの増大レベルと相関する。このため、両方の多型を組み合わせると、IP3R結合ドメイン中のアルギニン残基を有するタンパク質をコードする完全長転写物のより効果的なスプライシングを通して、より活性度の高いタンパク質の高発現という1つの効果が達成される可能性がある。デルタ2アイソフォームは、IP3R結合及びPHドメインをコードするエクソン2全体を欠失しているため、ドミナントネガティブなアイソフォームとして機能し、それによってBANK1介在シグナル伝達が弱くなってしまう可能性がある(図1e)。
【0056】
心不整脈及び心臓突然死とアダプタータンパク質であるアンキリンB中の単一アミノ酸置換の関連が発見されたことにより、IP3Rの相互作用におけるアンキリンモチーフの突然変異の重要性が最近注目された(10)。アラニンはSLEと関連しており、rs3733197の稀な対立遺伝子であるAがスレオニンキナーゼ(11)の部位を構成している可能性がある。
【0057】
SLEの場合、B細胞が最も影響を受ける細胞型である。新規療法では、自己抗体産生細胞のみとしてではなく、抗原提示及びサイトカイン介在シグナル伝達を通して先天性及び後天性免疫応答の重要な制御因子としても機能している可能性がある活性過剰なB細胞を除去することを目的としている(12)。狼瘡におけるB細胞中のシグナル伝達物質の機能及び発現異常について、記載されている。興味深い事実として、BANK1の結合相手であるLynがヒト及びマウスの狼瘡のような自己免疫疾患において極めて重要なことが挙げられる(13−18)。
【0058】
免疫応答の際のB細胞反応亢進又はB細胞活性化の制御の欠如
これまでに発表された2つの論文において、B細胞活性化におけるBANK1の刺激又は抑制の役割について矛盾したデータが示されているため、BANK1のBCR介在シグナル伝達における役割は正確にはまだ分からない。エクソン2の選択的スプライシングの存在について未だに発表されていないことを考慮すると、KOモデルに割り当てられたBANK1の負の役割が一部あることについて推測することができる。これは、デルタ2アイソフォームの残存発現があり、このエクソンはKOコンストラクトの標的とされているからである(4)。
【0059】
DNAサンプル
100kアレイで患者279人及びコントロール515人の遺伝子型解析を行った。これらの個体について、患者279人及びコントロール352人の遺伝子型を決定し、表1にBANK1関連を示した。
【0060】
機能的多型を調べるため、更にスウェーデン人患者185人の遺伝子型解析を行い、コントロール465人についてrs17266594及びrs3733197の遺伝子型解析を行った。最終的なMH(Mantel Haentsel)分析及びOR(オッズ比)推定のため、表2に示すスカンジナビア人セットを含むスウェーデン人患者と共に、デンマーク人患者84人も加えた。複製セットには北ドイツ人患者384人、コントロール374人、アルゼンチン人患者288人及びコントロール372人、イタリア人患者286人及びコントロール252人が含まれた。スペイン人コホートには、スペインのいくつかの地域からの患者799人及びコントロール542人が含まれた。rs10516487及びrs3733197について患者707人及びコントロール469人、rs17266594について患者678人及びコントロール457人の遺伝子型解析を行った。これは、何人かのコントロールからDNAを入手できなかったためである。ドイツ人、スペイン人及びアルゼンチン人患者については、全て既に記載されている(19)。イタリア人患者は、複数の医療機関にまたがった、イタリア北部及ぶ中部であるローマ、シエナ、ミラノ及びナポリから患者とそれらに合うコントロールからなる。全ての患者はSLE分類においてACR(米国リウマチ学会)診断基準を満たす。
【0061】
遺伝子型解析
製造元の説明書にしたがって、100k Affymetrixアレイで遺伝子型解析を行った。SNPsであるrs10516487、rs17266594及びrs3733197の精密なマッピング及び複製を、TaqMan SNP genotyping assays(Applied Biosystems、Foster City、CA)を用いて行った。フランスのエブリーに所在するSerono Genetics Institute(現在のMerckSerono SA)にて、Affymetrix遺伝子型解析及び精密なマッピングを行った。機能的多型の複製を行った。確認のためサンプル106個の遺伝子型解析を2回行い、100%一致した。全てのサンプルの遺伝子型解析の成功率は92%を超えた。
【0062】
統計分析
100K Affymetrixで全ゲノム走査解析を行うために、前処理として選別を行った。(i)失った遺伝子型の割合が5%を超えた場合、(ii)相対的マイナー対立遺伝子頻度が1%未満の場合、又は(iii)ハーディ−ワインベルグ平衡にしたがう、サンプルしたSNPの観測した遺伝子型分布の確率が0.02未満の場合、SNPsを破棄した。男性個体と女性個体間の均一性のため、常染色体のSNPsのみを保存した。SNP配列をNCBI36ヒトゲノムアセンブリーにマッピングし、複数箇所に局在化したSNPsを破棄した。残りの各SNPについては、患者とコントロールの遺伝子型及び対立遺伝子頻度を算定し、正確(非漸近)で不偏のアルゴリズムを用いて対応する確率値を計算する(21)。そして、Forner, et al.による方法を用いて、偽検出率(FDR)を推定する(2)。
【0063】
精密なマッピング解析を行うために、遺伝的関連、ハプロタイプの推定、LD及びR2について、全てHaploview(v4.0RC2)を用いて推定した。StatsDirectソフトウェア(v2.4.6)を用いて、統合可能性のためのBreslow−Day検定及びMantel−Haenzel検定を行った。Breslow−Day検定で層の統合可能性が見出せたため、解析にあたって、固定効果を調べるためにMH検定を用いた。PHASEソフトウェア(v2.1)を用いて、ハプロタイプを推定した(22、23)。Unphasedソフトウェア(v3.0.9)を用いて遺伝子型オッズ比を算定した(24)。
【0064】
配列決定
Uppsala Genome Centerで、配列決定を行うDNAフラグメントを対応するプライマーで増幅し(付表4を参照)、QIAquick gel extraction kit(Qiagen)でアガロースゲルから精製し、BigDye Terminator 3.1(Applied Biosystems)を用いて配列を決定した。
【0065】
RNA精製及びBANK1発現分析
健康なドナー及び狼瘡患者から同意して得た末梢血単核球(PBMCs)から全RNAをTRIZOL Reagent(Invitrogen)で精製した。5mMのMgCl2、1mMのdNTPs、0.4UのRNase阻害剤及び5μMのオリゴ−dTを含むPCRバッファーII中で、2μgのRNAを2UのMultiScribe転写酵素で逆転写した。全ての試薬はApplied Biosystemsから購入した。42℃で80分間cDNA合成を行い、その後95℃で5分間に反応を終わらせた。全てのcDNAサンプルを15ng/μlまで希釈した。
【0066】
SDS 1.9.1ソフトウェア付きのABI PRISM 7700 Sequence Detector(Applied Biosystems)を用いてリアルタイムPCRを行い、BANK1発現を決定した。SYBR Green及び関係したプライマーを用いて、全てのBANK1、つまり選択的完全長アイソフォーム及びデルタ2アイソフォームを定量化した(付表4を参照)。最初の変性を95℃で5分間行い、その後PCR(95℃で15秒、62℃で15秒、72℃で30秒)を45サイクル行った。酵素を含むPCRバッファーに、3mMのMgCI2、200μMの各dNTP、プライマー、SYBR Green(Molecular Probes)、15ngのcDNAを及び0.5UのPlatinum Taq polymerase (Invitrogen)を加えた。市販の試薬(Applied Biosystems)で増幅した同じサンプルのTBPレベルまで、発現レベルを標準化した。全ての実験を3回ずつ行った。独立したcDNA合成を2回行った。
【0067】
ヒト、マウス及びチンパンジーのBANK1デルタ2アイソフォームのクローニング
上述したヒトPBMCと同様に、マウス脾臓の全RNAの精製及びcDNA合成を行った。チンパンジー(Pan troglodytes)脾臓の全RNAは、Uppsala UniversityのTomas Bergstrom博士及びLucia Cavelier博士に提供していただいた。ヒト遺伝子はHuman Spleen BD Marathon−Ready cDNA (Clontech)で増幅した。最初の変性を95℃で5分間行った後、2mMのMgSO4、200μMの各dNTP、0.4μMの対応する各プライマー(付表4を参照)及び0.5UのPlatinum Taq−High Fidelity enzyme(Invitrogen)を含むPCRバッファー中で、35サイクル(95℃で20秒、60℃で15秒、72℃で2分30秒)行った。チンパンジーのcDNAをヒト特異的プライマーで増幅した。製造元の説明書にしたがって、PCR生産物をアガロースゲルから精製し、pCR 4−TOPO vector(Invitrogen)でクローニングした。陽性クローンのプラスミドDNAをQIAprep Spin Miniprep kit(Qiagen)で精製し、配列決定により確認した。
【0068】
アクセションコード
BANK1のデルタ2転写物について、ヒトはEU051376、チンパンジーはEU051377、マウスはEU051378のアクセション番号でGenbankに保管された。
【0069】
URLs. Haploview: www.broad.mit.edu/mpg/haploview/;
GraphPad Software: http://www.graphpad.com;
Protein analysis: http://www.ebi.ac.uk/saps/; http://smart.embl−heidelberg.de/, http://ca.expasy.org/prosite/, http://www.cbs.dtu.dk/services/NetPhos/。
【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エクソン2が欠失したBANK1の配列を含む単離核酸配列。
【請求項2】
ヒト配列、チンパンジー配列又はマウス配列である請求項1記載の単離核酸。
【請求項3】
配列番号:1、3又は5、あるいは前記核酸配列の相補鎖を含む請求項1記載の単離核酸。
【請求項4】
配列番号:1、3又は5、あるいは前記核酸配列の相補鎖からなる群より選ばれた核酸と、
a.高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイゼーションし、又は
b.少なくとも約30個のヌクレオチドの連なりと少なくとも約85%の同一性を示す
単離核酸。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載の核酸にコードされたポリペプチド。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項記載の核酸を含むベクター。
【請求項7】
原核又は真核宿主細胞において前記コードされたポリペプチドを発現させる少なくとも1つの発現調節配列に、前記核酸分子が作用可能に連結した請求項6記載のベクター。
【請求項8】
請求項1から4又は請求項6から7のいずれかに記載のベクター又は核酸で形質転換した宿主細胞。
【請求項9】
前記核酸を発現させる条件下で請求項8記載の細胞を培養し、当該核酸にコードされたポリペプチドを培養液から回収することを含む請求項5記載のポリペプチドを生産する方法。
【請求項10】
a.個体のサンプルから核酸を単離するステップと、
b.二対立遺伝子マーカーに、rs10516487のグアニン又はアデニン、rs17266594のチロシン又はシトシン、rs3733197のアデニン又はグアニンがあるか否かを決定するステップと
を含む遺伝子型解析方法。
【請求項11】
前記個体のゲノムにある前記二対立遺伝子マーカーの両コピーについて、当該二対立遺伝子マーカーにおける前記ヌクレオチドの同一性を決定する請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記決定をマイクロシーケンシング法で行う請求項10又は11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記決定するステップより前に、前記二対立遺伝子マーカーを含む配列の一部を増幅することを更に含む請求項10から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記増幅をPCR法で行う請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記遺伝子型解析のステップの結果と自己免疫疾患又は炎症性疾患を罹患するリスク又は素因とを相関させるステップを更に含む請求項10から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記個体におけるrs10516487のグアニン、rs17266594のチロシン及びrs3733197のチロシンの存在は、当該個体が前記自己免疫疾患又は炎症性疾患を罹患し、素因を有し又は罹患するリスクがあることを示す請求項10から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記疾患が全身性エリテマトーデス又は多発性硬化症である請求項16に記載の方法。
【請求項18】
a.個体の核酸を単離するステップと、
b.BANK1完全長核酸を検出及び定量化するステップと、
c.BANK1デルタ2核酸を検出及び定量化するステップと、
d.ステップb及びcの結果の比であるb./c.及び/又はc./b.を決定するステップと
を含む、個体が自己免疫疾患又は炎症性疾患の素因又はリスクを有するか否かを検出する方法。
【請求項19】
前記核酸がmRNA、cRNA又はcDNAである請求項18に記載の方法。
【請求項20】
BANK1、BANK1の生物学的経路及び/又はBANK1経路に関係した因子を標的とするアンタゴニストを用いて、自己免疫又は炎症性疾患から選ばれた疾患を治療及び/又は予防する方法。
【請求項21】
前記疾患が全身性エリテマトーデス又は多発性硬化症である請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記アンタゴニストがBANK1、LYN及び/又はIP3R、あるいはこれらの相互作用を標的とする請求項20又は21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記アンタゴニストが前記BANK1の核酸を標的とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記アンタゴニストがアンチセンスRNA、siRNA、アプタマー、ペプチド、抗体又はこれらのフラグメント、あるいは小分子である請求項20から23のいずれかに記載の方法。

【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図1c】
image rotate

【図1d】
image rotate

【図1e】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図2c】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2011−504364(P2011−504364A)
【公表日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534490(P2010−534490)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065980
【国際公開番号】WO2009/068481
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(309025524)メルク セローノ ソシエテ アノニム (49)
【Fターム(参考)】