説明

新規Exendin変異体及びその複合物

本発明は、新規Exendin変異体及びその上に重合体を複合させたExendin変異体複合物を提供し、さらに、それらを含む薬物組成物及びそれらの疾病治療の用途、例えば血糖の低下、糖尿病の治療、特にII型糖尿病の治療にける用途を提供する。本発明は、体重減少におけるExendin複合物の用途をさらに提供している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規Exendin変異体及びその重合体と複合した複合物、並びに、これらを含む薬物組成物及びこれらの血糖の低下、特に糖尿病の治療、特にII型糖尿病の治療における用途に関する。さらに、本発明は、体重の減少におけるExendin複合物の用途に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、経済社会の発展、人口平均寿命の延長及び生活方式の変化に伴い、世界各国における主要な保健衛生問題になって来た。糖尿病の発症率は、先進国や発展途上国のいずれにおいても急増している。2007年において、全世界では糖尿病患者の数が約2.46億になり、全世界範囲内で、10秒毎に一人の糖尿病患者が死亡しており、2025年に全世界の糖尿病患者の数は3.33億になると予想されている。その中、中国は、糖尿病発症の「重い罹災地」であり、現在では、糖尿病患者4000万、糖尿病の発症率約5%、世界第二位の「糖尿病大国」(第一位はインド)である。糖尿病患者は、インスリン依存型糖尿病(I型糖尿病)とインスリン非依存型糖尿病(II型糖尿病)という2種類に分けられる。その中、II型糖尿病は糖尿病患者の90%以上を占めている。II型糖尿病の特徴は、インスリンの分泌若しくは作用の異常、及びβ−細胞機能障害によって、脂肪、炭水化合物及びタンパク質の代謝異常を引き起こして、慢性の高血糖を招き、最終的に各種の微血管、大血管及び各種の臓器の合併症が現れる。今では、糖尿病制御薬物として、1)例えばスルホニル尿素類、メグリチニド類、ジペプチジルペプチダーゼ阻害剤、GLP−1アナログ等の、インスリン分泌を促進する類と、2)例えばインスリン、α―グルコシダーゼ阻害薬、ビグアニド類、チアゾリジンジオン類、インスリンアナログ等の、非インスリン分泌促進薬物という2種類がある。現在、臨床に多く使用されている伝統的な糖尿病治療薬物は、II型糖尿病患者に対していずれも効果的ではなく、膵臓β−細胞の経年的な悪化を抑制できず、血液中のグリコヘモグロビン(HbA1c)レベルを低下できず、さらに例えば心蔵病、腎不全などの糖尿病の合併症も抑制できず、且ついずれも異なる程度の副作用を有する。従って、新規のII型糖尿病治療用薬物の研究が要求されている。
【0003】
消化管ホルモンのグルカゴン様ペプチド−1(Glucagon−like peptide−1、GLP−1)は、1985年に発見され、摂食後、グルカゴン原遺伝子から発見され、主に消化管粘膜のL−細胞に分泌される産物であって、それは膵β−細胞を刺激してインスリンを分泌させることができ(J Med Chem, 47, 4128−4134, 2004)、血糖レベルの安定化に重要な作用を有する。外部からGLP−1を投与すると、II型糖尿病患者の血糖レベルを正常化になる(Diabetes Care, 15, 270−276, 1992; Lancet, 359, 824−830, 2002; Endoer. Rev, 16, 390−410, 1996; Diabetologia, 28, 565−573, 1985)。GLP−1は、下記のような機能を持ち:即ち、グルコース依存性で膵β−細胞に作用して、インスリン遺伝子の転写を促進させ、インスリンの生物合成及び分泌を増加させる機能;β−細胞の増殖と分化を刺激してβ−細胞のアポトーシスを抑制することによって、膵β−細胞の数量を増加させる機能;グルカゴンの分泌を抑制する機能;周辺細胞のインスリン受容体感受性を増加する機能; HbA1cを低下させる機能;食欲及び摂食を抑制する機能;胃腸の内容物の排出を遅らせる機能を有する(Diabetic Med, 18, 144−149, 2001; Diabetes, 51, 1443−1452, 2002; Diabetologia, 45, 1263−1273, 2002; Diabetes, 50, 525−529, 2001; Diabetes, 50, 725, 2001; Diabetes, 52, 365−371, 2003; Recent Prog. Hormne Res. 56, 377−399, 2001; Disbetologia, 39, 1546−1553, 1996; Am. J. Physicl Endocrinol. Metab, 281, E242−247, 2001; U.S. patent 477967, 478017, 478425; Diabetes Care, 22, 403−408, 1999; J. Clin. Endocrinology and Metabolism, 88, 3082−3089, 2003; Diabetes, 44, 1295, 1995)。しかし、GLP−1は、生体内のにおいて、ジペプチジルペプチダーゼ(DPPIV)により非常に分解され易く、半減期は2分間未満であって、恐らく有効な抗糖尿病薬物にならない。
【0004】
Exendin−4は、毒トカゲ(アメリカアリゾナ州及び北メキシコ州に生息する内陸爬虫類)の唾液分泌物から見つかったポリペプチド(J. Biol. Chem, 265, 20259−20262, 1990; J. Biol. Chem, 267, 7402−7405, 1992)であって、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1(7−36))に対し高度な相同性(53%)を有している。研究によると、 Exendin−4は、同様にGLP−1受容体と結合することができ、また薬理学的にもGLP−1と類似したアゴニスト作用を有し、例えば、インスリン合成の増加及びグルコース依存的にインスリンの分泌を促進する機能;β細胞の増殖及び再生を刺激し、β細胞のアポトーシスを抑制することによって、β細胞の数量を増加する機能;グルカゴンの分泌を抑制する機能;グリコーゲンの生成を抑制するが、厳重な低血糖を引き起こさない機能;食後の胃腸の蠕動と分泌機能を抑制する機能;食欲を低減させ、食物の摂入を減少させる機能;神経細胞に対する保護作用、を有する(Nat. Biotech, 23, 857−861, 2005; J. Biol. Chem., 266, 2897−2902, 1991; J. Biol. Chem., 266, 21432−21437, 1992; Diabetes, 44, 16−19, 1995; Nature, 379, 69−72, 1996)。Exendin−4のインスリン分泌を促進する作用と食後グルカゴンの分泌を抑制する作用は、血糖依存性を有し、現在使われているスルホニル尿素類血糖降下薬より優れており、低血糖反応を引き起こし難く、血糖の検査回数を大幅に減少でき、かつ体重を低減できる。アメリカのアミリン社(Amylin)とイーライリリー社(Eli Lilly)が共同開発した、一日二回注射のExendin−4製剤(Exenatide、商品名:Byetta)は相次ぎ2005年及び2006年にアメリカとヨーロッパで販売開始し(U.S. patent 5,424,286, 6,858,576, 6,872,700, 6,902,744, 6,956,026, 7,297,761)、当該類の薬物は、全世界の糖尿病及び肥満の治療分野において幅広く使用されるようになった。
【0005】
ポリペプチド類の薬物は、通常、生体内の半減期が短い、物理、化学安定性が悪く、生体内における各種のプロテアーゼに分解され易い等の特性を有しているので、これらの薬物を一日当たり通常複数回注射する必要がある。Exenatideは、皮下注射製剤として、一日当たり2回使用する必要があり、患者の体、心理と経済上に大きな負担を与え、患者の服薬遵守に影響する。従って、Exendin−4に対して構造の変更や新規製剤の開発を行うことによって、その血漿の周期を延長し、その全身薬剤曝露(systemic drug exposure)を増加することは、今の抗糖尿病薬物の研究において注目を集めている。
【0006】
重合体の修飾技術は、前世紀70年代から発展を始めた強力な修飾技術であり、その中、特にポリエチレングリコール化技術は代表的である。当該技術は、ポリエチレングリコール(PEG)とタンパク質薬物とを化学結合させて、タンパク質の表面に対して修飾を行い、PEGの修飾によって、タンパク質の分子量を増加して、その腎蔵における排泄速度を低減する一方、カップリングしたPEG鎖が修飾されたタンパク質分子の表面に立体障害効果を発揮し、血液中のタンパク質加水分解酵素の当該タンパク質に対する加水分解作用を低減させることによって、その循環系における滞留時間を有効に延長して、薬物血漿周期の延長及び全身薬剤曝露の増加を得る上で、治療の効能を向上させる。
【0007】
現在、ポリエチレングリコール化技術は、既に、第二世代―部位特異的ポリエチレングリコール化技術(site specific PEGylation)まで推進されている。部位特異的ポリエチレングリコール化技術は、特異的に、タンパク薬物のある特定のアミノ酸を修飾することが可能であり、これによってランダムに修飾することによる盲目性を避けることができる。よって、タンパク質のポリペプチド活性中心構造に対する影響を少なくすると共に、ある抗原部位を選択的に干渉することによって、非部位特異的なポリエチレングリコール化による生物活性の低下と均一性の低下等の欠点を減少できる。
【0008】
研究者は、Exendin−4の重合体修飾に対しても一連の研究を行っている。YOUNGとPRICKETT(CN1372570A)の研究は、Exendin−4が主に腎クリアランスによって代謝することを証明しており、よって、彼らは分子量範囲が500〜20,000ダルトン(Dalton、Da)のポリエチレングリコールを用いてExendin−4に対し修飾を行った。また、包文超、徐宏景、余剛、左亞軍(CN101125207A)は、分子量範囲が20 kDa〜50 kDaのポリエチレングリコールを用いてExendin−4に対しアミノ基修飾を行った。
【0009】
しかし、現在既存のExendin−4若しくはその変異体及び各種の修飾形態は、依然として、生体内の使用において投与頻度が高いことと、患者の体、心理と経済上に大きな負担を与えることと、患者の服薬遵守に影響し、汎用できないことなどの欠点がある。従って、依然として新規なExendin−4変異体及びその重合体修飾形態が必要とされている。
【発明の概要】
【0010】
一方、本発明は、野生型Exendin配列と比べて、1若しくは複数のアミノ酸残基がシステインに置換された、GLP−1受容体アゴニスト活性を有するExendin変異体を提供する。野生型Exendin配列と比べて、前記Exendin変異体は、任意に、1若しくは複数の更なるアミノ酸欠失、挿入及び/または置換を有しており、その中、挿入若しくは置換されたアミノ酸残基が、天然若しくは非天然アミノ酸、或いはアミノ酸アナログであってもよい。
【0011】
一つの実施の形態において、前記Exendin変異体は、
野生型Exendin−4配列:His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser (SEQ ID NO: 1)、若しくは
Exendin−3配列:
His−Ser−Asp−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser (SEQ ID NO: 2)、若しくは
これらに類似の配列と比べて、1若しくは複数のアミノ酸残基がシステイン及び任意に選択したそのほかのアミノ酸に置換されたアミノ酸配列を有する。前記アミノ酸の置換は、それぞれ独立に野生型アミノ酸配列のN−末端、C−末端及び/または内部に位置する。
【0012】
一つの好ましい実施の形態において、前記Exendin変異体は、少なくとも当該変異体のC末端にシステイン置換を有する。さらに、前記Exendin変異体はC末端の最後のアミノ酸にてシステイン置換されていることが好ましい。また、前記Exendin変異体は、少なくとも下記の1若しくは複数の位置でシステイン置換されていることが好ましい:Exendin−4若しくはExendin−3における第20番目Arg(アルギニン)、25番目Trp(トリプトファン)、35番目Ala(アラニン)及び第39番目Ser(セリン)に対応する位置。
【0013】
一方、本発明は、前記Exendin変異体に、1若しくは複数の天然若しくは合成重合体基、好ましくは生理的に許容される重合体基、例えばポリアルキレングリコール基、より具体的にはポリエチレングリコール基等を複合した、Exendin変異体複合物を提供する。複数の重合体基を含む場合、前記重合体基は、同一若しくは異なってもよい。前記重合体基が1若しくは複数のシステイン残基によって前記Exendin変異体に複合することが好ましい。一つ実施の形態において、前記重合体基は、チオエーテル結合によって前記Exendin変異体に複合する。
【0014】
重合体基が複合された生物活性分子において、複合基の分子量(例えば4 kDaから)の増加に伴って複合生物分子の生物活性が指数関数的に低下していくことは、当業者に周知である(Bailon et al. Rational design of potent, long−lasting form of interferon: A 40 kDa branched polyethylene glycol−conjugated interferon α −2a for the treatment of hepatitis C. Bioconjugate Chem 2001; 12 : 195 −202; Bowen et al. Relationship between molecular mass and duration of activity of polyethylene glycol conjugated granulocyte colony−stimulating factor mutein. Experimental Hematology 1999; 27: 425−32;Bailon et al. PEG−modified biopharmaceuticals. Expert Opin Deliv. 2009; 6: 1−16)。さらに、前記重合体基の分子量の増加に伴って当該複合物分子の生物半減期及び/または血漿半減期、及び全身薬剤曝露は延長若しくは増加していくことは、当業者に周知である。
【0015】
しかしながら、本発明者は、本発明のExendin変異体複合物において、前記重合体基の分子量が30 kDaまでに増加されても、複合していないExendin変異体と比べて、当該複合物分子は大部分のGLP−1受容体アゴニスト活性を保留できることを、意外にも見出した。さらに、PEG分子量が40 kDa若しくはそれ以上に増加されても、本発明のExendin変異体複合物は、依然として相当量のGLP−1受容体アゴニスト活性を保留している。特に、前記重合体基の分子量が5 kDa から27 kDaまでに増加された場合に、複合していないExendin変異体と比べて、前記Exendin変異体複合物のGLP−1受容体アゴニスト活性は殆ど変化しない。
従って、一つの好ましい実施の形態において、本発明は、生物半減期及び/または血漿半減期が延長され、また、顕著なGLP−1受容体アゴニスト活性を有するExendin変異体複合物を提供する。
【0016】
一つの実施の形態において、前記重合体は、ポリアルキレングリコールであって、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等を含む。前記1若しくは複数の重合体基は任意の適合な分子量を有すことができ、例えば、その分子量は、2 kDa〜50 kDa、好ましくは5 kDa〜30 kDa、より好ましくは20 kDa〜30 kDaであることができ、例えば、21 kDa、22 kDa、23 kDa、24 kDa、25 kDa、26 kDa、27 kDa、28 kDa、29 kDa及び30 kDa、及び上記の分子量値の間の任意の値である。
【0017】
任意に、前記Exendin変異体複合物は、1若しくは複数のそのほかのアミノ酸残基位置にて1若しくは複数の同一若しくは異なる上記の重合体を複合してもよい。前記1若しくは複数のそのほかのアミノ酸残基位置は、それぞれExendin変異体のN−末端、C−末端及び/または任意中間位置であることができる。
【0018】
本発明において、複合された重合体は、いかなる適切な態様であることができ、例えば、シングルアーム、ダブルアーム、マルチアーム及び/または分岐の構造を含み、その中、各アーム若しくは分岐は同一若しくは異なってもよい。
【0019】
さらに、本発明は、前記Exendin変異体と前記重合体を接触させ、その中、好ましくは前記重合体が活性化基を持ち、若しくは接触する際に活性化させて、前記活性化重合体を当該Exendin変異体の1若しくは複数のシステイン残基上に連結させることを含む、上記Exendin変異体複合物の調製方法を提供する。一つの実施の形態において、特異的な活性化基及び適切なpH値を選択して、異なる重合鎖の長さ及び重合構造のポリエチレングリコール(PEG)によってそれぞれExendin変異体のシステインに対して特異的な化学修飾をする。一つの具体実施の形態において、当該特異的な活性化基はマレインイミドである。
【0020】
また、本発明は、本発明のExendin変異体及び/またはExendin変異体複合物、及び任意に選択した薬学許容できるキャリアを含む、薬物組成物を提供する。
【0021】
また、本発明は、需要がある対象に、治療有効量の本発明のExendin変異体及び/またはExendin変異体複合物及び/または薬物組成物を施す、疾病の治療方法を提供する。相応して、本発明は、治療疾病用薬物の調製における、本発明のExendin変異体及び/またはExendin変異体複合物及び/または薬物組成物の用途を提供する。前記疾病は、例えば食後ダンピング症候群、食後高血糖症、耐糖能障害、及びグルカゴン分泌の抑制、トリグリセリドレベルの調節、摂食量の減少などによって緩解できる症状若しくは疾病、肥満症、摂食障碍、インスリン抵抗症候群、糖尿病、高血糖症及び低血糖症から選ぶことができる。好ましくは、前記疾病が糖尿病であり、より好ましくは、I型糖尿病若しくはII型糖尿病であり、特にII型糖尿病である。
【0022】
周知のように、Exendinは、肥満患者の体重を低減できるが、引起吐き気・嘔吐反応を引き起こすものであり、その作用メカニズムは中枢神経系において、摂食中枢を抑制することや嘔吐中枢を刺激することに関与している(Larsen. Mechanisms behind GLP−1 induced weight loss. Br J Diabetes Vasc Dis 2008; 8: S34−S41; Schick et al. Glucagonlike peptide 1 (7−36)−amide acts at lateral and medial hypothalamic sites to suppress feeding in rats. Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol 2003; 284:R1427−35)。但し、Exendin若しくはその変異体の複合物は、分子量が増加しており、血液脳関門を透過し難いので、Exendinによる嘔吐反応を低減できる。従って、本研究を開始する前に、発明者は、Exendin若しくはその変異体の複合物でも、Exendinの中枢神経系を介して摂食量及び体重を減少する作用が低減されると予測していた。しかしながら、野生型Exendin及び複合していないExendin変異体も体重及び摂食量を減少させるが、本発明のExendin若しくはその変異体の複合物は、顕著な強力な体重及び摂食量を減少する作用を有すことを、意外に見出した。
【0023】
従って、一方、本発明は、Exendin若しくはその変異体の複合物及び/またはこの複合物を含む薬物組成物を用いて、体重を減少させる方法を提供する。また、体重減少用薬物の調製における、Exendin若しくはその変異体の複合物及び/またはこの複合物を含む薬物組成物の用途を提供する。一つの実施の形態において、前記Exendin若しくはその変異体の複合物は、上記本発明のExendin変異体複合物である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は実施例1で得られたPB−105のマススペクトルを示す図である。
【図2】図2はPEGの一種の分子構造を示す図である。
【図3】図3はHPLC分析による、実施例2で得られたPB−110 (PEG5000−PB−105)の純度分析結果を示す図である。
【図4】図4はPEG5000bの分子構造を示す図である。
【図5】図5はPEG5000cの分子構造を示す図である。
【図6】図6はPB−105ポリエチレングリコール化複合物の(A)ヨード染色画像及び(B)クマシーブリリアントブルー染色画像を示す図であり、その中、各レーンは、1. 分子量基準、2. PB−106 (PEG20000−PB−105)、3. PB−107 (PEG30000−PB−105)、4. PB−108 (PEG40000−PB−105)、及び5. PB−109 (PEG20000*2−PB−105)を代表している。
【図7】図7はHPLC分析による、実施例3で得られたPB−106 (PEG20000−PB−105)の純度分析結果を示す図である。
【図8】図8はPEG20000bの分子構造を示す図である。
【図9】図9はPEG20000cの分子構造を示す図である。
【図10】図10はPEG20000dの分子構造を示す図である。
【0025】
【図11】図11はPEG20000eの分子構造を示す図である。
【図12】図12はHPLC分析による、実施例3で得られたPB−112 (PEG20000−PB−111)の純度分析結果を示す図である。
【図13】図13はHPLC分析による、実施例4で得られたPB−107 (PEG30000−PB−105)の純度分析結果を示す図である。
【図14】図14はHPLC分析による、実施例5で得られたPB−108 (PEG40000−PB−105)の純度分析結果を示す図である。
【図15】図15はHPLC分析による、実施例5で得られたPB−114 (PEG40000−PB−113)の純度分析結果を示す図である。
【図16】図16はPEG20000×2の分子構造を示す図である。
【図17】図17はHPLC分析による、実施例6で得られたPB−109 (PEG20000*2− PB−105)の純度分析結果を示す図である。
【図18】図18はPEG20000×2bの分子構造を示す図である。
【図19】図19は示す図PEG20000×2cの分子構造である。
【図20】図20はPEG20000×2dの分子構造を示す図である。
【0026】
【図21】図21はHPLC分析による、実施例7で得られたPB−119 (PEG23000−PB−105)の純度分析結果を示す図である。
【図22】図22はHPLC分析による、実施例8で得られたPB−120 (PEG27000−PB−105)の純度分析結果を示す図である。
【図23A】図23AはPB−106 (PEG20000−PB−105)のpH4.5、−20℃で60日間保存後のHPLC分析結果を示す図である。
【図23B】図23BはPB−106 (PEG20000−PB−105)のpH7.0、4℃で60日間保存後のHPLC分析結果を示す図である。
【図23C】図23CはPB−106 (PEG20000−PB−105)のpH7.0、−20℃で60日間保存後のHPLC分析結果を示す図である。
【図24】図24はPB−101及びPB−105の、PC12細胞内cAMPに対する作用の用量反応関係を示す図である。
【図25】図25はPB−105及びそのポリエチレングリコール化複合物の、体外において細胞内cAMP活性に対する作用を示す図である。
【図26A】図26Aはポリエチレングリコール化複合物におけるポリエチレングリコールの分子量と体外薬物活性(LogEC50)の関連性を示す図である。
【図26B】図26Bはポリエチレングリコール化複合物におけるポリエチレングリコールの分子量と薬物最大活性(Emax)の関連性を示す図である。
【図27】図27はPB−105及びそのポリエチレングリコール化複合物の、体外において細胞内cAMP活性に対する作用を示す図である。
【図28】図28はPB−101及びPB−105の血糖降下作用の、時間と効果の関係を示す図である。
【図29】図29はPB−101及びPB−105の血糖降下作用の、用量反応関係を示す図である。
【0027】
【図30】図30はPB−101及その変異体PB−102の血糖降下作用の、用量反応関係を示す図である。
【図31】図31はPB−105及びそのポリエチレングリコール化複合物の等量血糖降下作用の、時間と効果の関係を示す図である。
【図32A】図32Aはポリエチレングリコール化Exendin変異体におけるポリエチレングリコールの分子量と生物半減期(T1/2)の関連性を示す図である。
【図32B】図32Bはポリエチレングリコール化Exendin変異体におけるポリエチレングリコールの分子量と最大血糖降下作用(%投与前の血糖濃度)の関連性を示す図である。
【図32C】32C図32Cはポリエチレングリコール化Exendin変異体におけるポリエチレングリコールの分子量と血糖降下作用曲線の面積(Area Above Curve、AAC)の関連性を示す図である。
【図33】図33はPB−105及びそのポリエチレングリコール化(PEG30000)複合物PB−107の、同程度の有効投与量における血糖降下作用の、時間と効果の関係を示す図である。
【図34】図34はPB−105及びそのポリエチレングリコール化(PEG20000)複合物PB−106の血糖降下作用の用量反応関係を示す図である。
【図35】図35はPB−105、PB−111及びそのポリエチレングリコール化複合物の等量血糖降下作用の、時間と効果の関係を示す図。実験データは平均値±SEMで表されるである。
【0028】
【図36】図36はPB−101及その変異体PB−105、PB−111及びPB−113及びポリエチレングリコール化複合物PB−106、PB−112及びPB−114の血糖降下作用の、時間と効果の関係を示す図。実験データは平均値±SEMで表される。
【図37】図37はPB−105及びそのポリエチレングリコール化複合物の等量血糖降下作用の、時間と効果の関係を示す図である。実験データは平均値±SEMで表される。*はPB−105群と比べて有意差を有している(p < 0.05)。
【図38】図38はPB−101、PB−105、PB−106及びPB−120の、ハトの嘔吐の潜伏期間(A)及び嘔吐回数(B)に対する影響を示す図である。実験データは平均値±SEMで表される。aは3 mg/kg投与量においてPB−105群と比べて統計学的に有意差(p < 0.05)を有することを示し(p < 0.05)、bは6 mg/kg投与量においてPB−101及びPB−105群と比べていずれにしても統計学的に有意差(p < 0.05)を有することを示している。
【図39】図39はPB−101、PB−105及びPB−106の、テンジクネズミの全身において免疫アレルギー反応に対する影響を示す図である。実験データは平均値±SEMで表される。aは生理食塩水群と比べて統計学的に有意差(p < 0.05)を有することを示し、bはPB−101若しくはPB−105群と比べて統計学的に有意差(p < 0.05)を有することを示している。
【0029】
【図40】図40はPB−101、PB−105及びPB−106の、投与後(A)0−18日間及び(B)0−4日間においてテンジクネズミの体重増加に対する影響を示す図である。実験データは平均値±SEMで表される。aは生理食塩水群と比べて統計学的に有意差(p < 0.05)を有することを示し、bはExenatide若しくはPB−105群と比べて、統計学的に有意差(p < 0.05)を有することを示している。
【図41】図41はPB−105、PB−106、PB−119及びPB−120投与後、(A)ラット体重及び(C)摂食量への影響を示す図である。B及びDはそれぞれ投与後相応する各群ラット体重−時間曲線下面積図及び摂食量−時間曲線下面積図である。実験データは平均値±SEMで表される。Aは生理食塩水群と比べて統計学的に有意差(p < 0.05)を有することを示し、bはPB−105群と比べて、統計学的に有意差(p < 0.05)を有することを示している。
【図42】図42はExenatide及びPB−105の単回静脈内投与の薬物−時間曲線を示す図である。
【図43】図43はPB−105及びそのポリエチレングリコール化Exendin複合物の単回静脈内投与の薬物−時間曲線を示す図である。
【図44A】図44Aはポリエチレングリコール化Exendin変異体複合物におけるポリエチレングリコールの分子量と血漿半減期の関係を示す図である。
【図44B】図44Bはポリエチレングリコール化Exendin変異体複合物におけるポリエチレングリコールの分子量と薬物−時間曲線下面積(AUC)の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
定義
本文に使われる用語「アミノ酸」は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、及びアミノ酸アナログ及びこれらのDとL立体異性体を含む。非天然アミノ酸は下記に限定されないが、アゼチジンカルボン酸、2−アミノアジピン酸、3−アミノアジピン酸、β−アラニン、アミノプロパン酸、2−アミノ酪酸、4−アミノ酪酸、6−アミノカプロン酸、2−アミノヘプタン酸、2−アミノイソ酪酸、3−アミノイソ酪酸、2−アミノピメリン酸、t−ブチルグリシン、2,4−ジアミノイソ酪酸、2,2’−ジアミノピメリン酸、2,3−ジアミノプロパン酸、N−エチルグリシン、N−エチルアスパラギン、ホモプロリン、ヒドロキシリジン、δ−ヒドロキシリシン、3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリン、イソデスモシン 、アロイソロイシン、N−メチルアラニン、N−メチルグリシン、N−メチルイソロイシン、N−メチルペンチルグリシン、N−メチルバリン、ナフチルアラニン、ノルバリン、ノルロイシン、オルニチン、ペンチルグリシン、2−ピペコリン酸及びチオプロリンを含む。アミノ酸アナログは、そのC−末端カルボキシル基、N末端アミノ基若しくはその側鎖基にて可逆的若しくは不可逆的に化学的閉鎖された、若しくはその他の官能基に化学修飾された天然アミノ酸及び非天然アミノ酸、例えばメチオニンスルホキシド、メチオニンスルホン、S−(カルボキシメチル)−システイン、S−(カルボキシメチル)−システインスルホキシド及びS−(カルボキシメチル)−システインスルホンを含む。
【0031】
本文に用いる用語「ポリペプチド」若しくは「タンパク質」とは、互いに取り交わって、共有結合(例えばペプチド結合)によって接す一連の少なくとも二つのアミノ酸残基を指し、組換えポリペプチド、天然ポリペプチド若しくは合成ポリペプチドであってもよい。
【0032】
本文に用いる用語「システイン置換」とは、例えば遺伝子工学若しくは人工化学合成の手段によって、システイン残基で天然ポリペプチド(例えばExendin−4)中の1若しくは複数のそのほかのアミノ酸残基を置換することを指す。
【0033】
本文に用いる用語「ポリペプチド変異体」、「変異体」若しくは「アナログ」とは、1若しくは複数の置換、欠失、挿入、融合、短縮若しくはその任意の組合せによってアミノ酸配列上に若干相違するポリペプチドを指す。変異体ポリペプチドは、全部な機能を有するもの若しくはその一種若しくは複数種の活性に係る機能を欠陥しているものであってもよい。全部な機能を有す変異体は、例えば保守的な変更若しくは非肝心的な残基若しくは非肝心的な区域の変更を含む。また、機能性の変異体は、類似なアミノ酸の置換による機能が未変若しくは顕著ではない変更をさらに含む。当分野既知の方法によって機能上重要なアミノ酸を同定できる。前記方法として、例えば部位特異的突然変異誘発若しくはグリシン走査突然変異誘発がある(Cunningham,B.及びWells,J.,Science,244:1081−1085,1989)。例えば、構造決定、例えば結晶、核磁気共鳴分光法若しくは親和性標識によって、ポリペプチド活性に対して重要な位置を確定できる(Smith,L.等,J.Mol.Biol.,224:899−904,1992;de Vos, A.等,Science,255:306−312,1992)。用語「チオール変異体」とは、置換、挿入、融合若しくはその任意の組合せによってアミノ酸配列上にチオールを持たせたポリペプチド変異体を指す。
【0034】
本文に用いる用語「複合物」とは、ポリペプチド若しくはポリペプチド変異体と、本文に前述した修飾基とが共有結合若しくは非共有結合して形成された産物を指す。前記修飾基は、上文に記載の例を含むが、これらに限定されない。
【0035】
本文に用いる用語「修飾されたポリペプチド」若しくは「修飾されたポリペプチド変異体」とは、その1若しくは複数のアミノ酸が化学修飾されたポリペプチド若しくはポリペプチド変異体を指し、その中、前記修飾とは、異なる種類の基の共有結合若しくは非共有結合的な修飾を指し、リン酸化、グリコシル化、メチル化、PEG化、ビオチン化、SUMO化、アシル化等を含むが、これらに限定されない。
【0036】
本文に用いる用語「アルキル基」は、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐鎖アルキル基、例えば、C1−C30アルキル基、C1−C20アルキル基、C2−C15アルキル基若しくはC3−C10アルキル基を表し、その中、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基等から独立的に任意選択される1若しくは複数の置換基を有してもよい。
【0037】
本文に用いる用語「シクロアルキル基」とは、置換もしくは非置換のC3−C8シクロアルキル基を表し、その中、C1−C10アルキル基、C2−C10アルキレン基、C2−C10アルキニル、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基等から独立的に任意選択される1若しくは複数の置換基を有してもよい。
【0038】
本文に用いる用語「アルキレン基」とは、1若しくは複数の炭素−炭素の二重結合を有する置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基を表し、その中、例えば2−20個、3−15個、4−10個の炭素を含んでもよく、また、例えばハロゲン、アミノ基、ニトロ基等から独立的に任意選択される1若しくは複数の置換基を有してもよい。
【0039】
本文に用いる用語「アリール基」とは、C6−C10アリール基を表し、例えばC1−C10アルキル基、C2−C10アルキレン基、C2−C10アルキニル、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基等から独立的に任意選択される1若しくは複数の置換基で置換されてもよい。
【0040】
本文に用いる用語「結合基」とは、PEGとExendinを連結する有機基を表す。本発明において、結合基はアルキル基、エーテル基、アミド、エステル基、ニトロ基等であり、その中、例えば30個までの炭素も含むことができ、例えば1−25、2−20、3−15若しくは3−10個の炭素を含む。
【0041】
一般に、本文に用いる用語「ポリエチレングリコール」は、当業者が通常理解している意味であり、即ち、特に説明していない限りに、ポリエチレングリコール自身を含む上で、その末端修飾の誘導体も含む。
【0042】
また、重合体、例えばポリエチレングリコールについて、その分子量を様々な方法で測定できる。重合体は、一定の分布範囲内の異なる重合度の分子から構成するため、通常、平均分子量で重合体の分子量を表している。具体的には、数平均分子量若しくは重量平均分子量である。重合体の重合度の差が大きい場合、数平均分子量と重量平均分子量は若干異なる場合あるが、分布範囲がシャープな重合体については、両者がほぼ等しいである。本文にかかる重合体、例えばポリエチレングリコールにおいては、その分子量を言及すると、重量平均分子量であってもよく、数平均分子量であってもよい。
【0043】
Exendin変異体
一方、本発明は、Exendin野生型配列若しくはその類似配列と比べて、1若しくは複数の、例えば1、2、3、4、5若しくはそれ以上のアミノ酸残基がシステインに置換されたアミノ酸配列を有する、GLP−1受容体アゴニスト活性を有すExendin変異体に関する。その中、前記システイン置換は、それぞれ独立に前記Exendin変異体配列のN−末端、C−末端若しくは内部に位置することができる。一部の実施の形態において、前記Exendin変異体は、少なくともそのC末端の1、2、3若しくは4個のアミノ酸残基にてシステインに置換されている。好ましくは、前記Exendin変異体のC末端の最後のアミノ酸がシステインに置換される。また一部の実施の形態において、前記Exendin変異体は、そのC末端、N末端及び/または内部の1、2、3、4個若しくはそれ以上のアミノ酸残基にてシステインに置換されている。
【0044】
本発明における前記のExendin野生型配列若しくは類似配列は、本分野における既知のいかなる配列であり、その各種の変異体若しくはアナログ若しくはアゴニストの配列を含む。Exendinに関する教示については、例えばEng J.ら,J. Biol. Chem., 265: 20259−62, 1990; Eng J.ら,J. Biol. Chem., 267: 7402−05, 1992; WO00/66629及びWO00/41546等を参照でき、本文において、そのすべての内容を援引する。
【0045】
本発明のExendin変異体は、1若しくは複数の、例えば1、2、3、4、5個若しくはそれ以上の更なるアミノ酸修飾、例えばアミノ酸置換、欠失、挿入及び/または添加を任意に選択して有することができる。同様に、前記更なるアミノ酸修飾は、それぞれ独立にExendin配列のN−末端、C−末端及び/または内部に位置することができる。置換、挿入及び/または添加のアミノ酸は、いかなる天然アミノ酸、非天然アミノ酸若しくはアミノ酸アナログ、若しくはこれらのD若しくはL立体異性体であることができる。一部の実施の形態において、前記更なるアミノ酸修飾は、保守的なアミノ酸置換、例えばAla/Gly、Ser/Thr、Glu/Asp、Gln/Asn、Ala/Val/Ile/Leu、Arg/Lys、Phe/Tyr等の間の相互置換である。保守的なアミノ酸置換について従来技術において数多くの教示があり、例えば、WO/2006/083301等を参照でき、本文において、そのすべての内容を援引する。
【0046】
本発明において、前記野生型Exendinは、Exendin−3若しくはExendin−4であることができる。従って、一部の実施の形態において、本発明は下記のようなExendin変異体に関し、アミノ酸配列
His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met− Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser(SEQ ID NO: 1;Exendin−4)若しくは
His−Ser−Asp−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser(SEQ ID NO: 2;Exendin−3)若しくは
その類似配列と比べて、1若しくは複数の、例えば1、2、3、4、5若しくはより多くのアミノ酸残基がシステインに置換された、アミノ酸配列を有する。好ましくは、前記Exendin変異体における少なくとも下記から選ばれる1若しくは複数の位置でシステインに置換されている:即ち、SEQ ID NO: 1若しくはSEQ ID NO: 2における第20位Arg(アルギニン)、25位Trp(トリプトファン)、35位Ala(アラニン)及び39位Ser(セリン)と対応する位置。
【0047】
一つの好ましい実施の形態において、前記Exendin変異体は、下記から選ばれるアミノ酸配列を有する:
His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Cys(SEQ ID NO: 3);
His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Cys−Pro−Pro−Pro−Ser(SEQ ID NO: 4);
His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly− Cys−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser(SEQ ID NO: 5);
His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Cys−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser(SEQ ID NO: 6);
His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Cys−Tyr(SEQ ID NO:7);若しくは
His−dAla−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Cys(SEQ ID NO: 8)。
【0048】
前記のように、本発明のExendin変異体において、1若しくは複数の、例えば1、2、3、4、5個若しくはより多くの更なるアミノ酸修飾、例えばアミノ酸残基の置換、欠失、挿入及び/または添加を任意に選択して含むことができる。前記更なるアミノ酸修飾は、それぞれ独立にExendin配列のN−末端、C−末端及び/または内部に位置することができる。置換、挿入及び/または添加のアミノ酸は、いかなる天然アミノ酸、非天然アミノ酸若しくはアミノ酸アナログ、若しくはこれらのD若しくはL立体異性体であることができる。一部の実施の形態において、前記更なるアミノ酸修飾は、保守的なアミノ酸置換、例えばAla/Gly、Ser/Thr、Glu/Asp、Gln/Asn、Ala/Val/Ile/Leu、Arg/Lys、Phe/Tyr等の間の相互置換である。
【0049】
本発明のExendin変異体は、当分野の公知の様々な方法で得られる。例えば、組換え調製方法、化学合成法等を含む。
【0050】
一つの実施の形態において、本発明のExendin変異体は、ペプチド固相合成技術によって化学合成され、実験室で、例えば、逆相HPLCカラム上で単に精製するステップ若しくはそのほかの適切なクロマトグラフィー方法で多量に精製される。
【0051】
その他の実施の形態において、本発明のExendin変異体は、組換え方法によって生産され、例えば、適切な原核若しくは真核宿主細胞にて発現させて、その後常用の技術により本発明のExendin変異体を単離させることを含む。例えば、まず化学合成法により前記ペプチドをコードするヌクレオチド配列を合成し、その後、前記配列を適切な発現ベクタにクローニングして、適切なプロモーターの制御下で発現させる。或いは、突然変異誘発法を採用することができ、例えば、PCR突然変異誘発法によって野生型ExendinからExendin変異体をコードするヌクレオチド配列を獲得して、その後前記配列を適切な発現ベクタにクローニングし、適切なプロモーターの制御下で発現される。これらの技術は当業者の実施できる範囲内にあり、且つ従来技術において数多くの教示がある。
【0052】
適切な真核宿主細胞としては、哺乳動物の細胞、例えばCHO、COS、HEK 293、BHK、SK−Hep及びHepG2がある。前記細胞は、本発明のExendin変異体の発現に適した条件下で成長することが好ましい。本発明のExendin変異体を生産若しくは単離するための試薬及び条件については特に限定がなく、当分野既知若しくは商売で入手可能ないかなる系を適用できる。一つの好ましい実施の形態において、前記Exendin変異体は、本分野に報告されている方法によって獲得されている。
【0053】
Exendin及び/またはその変異体の調製には、各種の発現ベクタを用いることができ、真核及び原核発現ベクタから選ぶことができる。 原核発現ベクタとしては、例えば、pRSET、pET及びpBAD等のプラスミドを含む。それらに采用できるプロモーターとしては、例えばlac、trc、trp、recA若しくはaraBAD等がある。真核発現ベクタとしては、(i)酵母中の発現用のベクタ、例えばpAO、pPIC、pYES、pMETがあり、例えばAOX1、GAP、GAL1、AUG1等のプロモーターを使用できる;(ii)昆虫細胞中の発現用のベクタ、例えばpMT、pAc[delta]、plB、pMIB、pBAC等があり、例えばPH、p10、MT、Ac5、OplE2、gp64、polh等のプロモーターを使用できる;及び(iii)哺乳動物細胞中の発現用のベクタ、例えばpSVL、pCMV、pRc/RSV、pcDNA3、pBPV等、及びウイルス系由来のベクタ、例えばワクチンウイルス、アデノ付随ウイルス、ヘルペスウイルス、レトロウイルス等があり、例えばCMV、SV40、EF−1 、UbC、RSV、ADV、BPV及びβアクチン等のプロモーターを使用できる。一つの好ましい実施の形態において、前記Exendin変異体は、原核若しくは真核細胞系中に発現され、且つコドン最適化されたコーディング配列を使用した。一つの好ましい実施の形態において、前記Exendin変異体を発現させる配列は、リーダーペプチド及び/またはシグナルペプチドを含み、前記Exendin変異体の細胞中から細胞外への分泌に有利であり、そして単離精製を行う。もう一つの好ましい実施の形態において、前記Exendin変異体を発現される配列はリーダーペプチド及び/またはシグナルペプチドを含まず、それを細胞外へ分泌しなく、細胞を破壊することによってその単離精製を行う。
【0054】
Exendin変異体複合物
本発明のExendin変異体は、1若しくは複数の重合体基と複合してExendin変異体複合物を形成できる。本文に用いられる「重合体」としては、生理的に許容されることが好ましく、水溶液若しくは懸濁液に可溶であって、且つ薬学的に有効量で当該重合体−Exendin複合物に実施した後に哺乳動物に対し例えば副作用などのマイナスの影響がない重合体を含む。本発明に用いられる重合体としては特に限定がない。通常、前記重合体は2ないし約3000個の繰返し単位を有することが好ましい。当該重合体基は、自天然若しくは合成重合体から選ぶことができ、その実例として、例えば多糖、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合物、ポリビニルアルコール等若しくはそれらのいかなる組合せであるが、これらに限定されない。一つの好ましい実施の形態において、本発明のExendin変異体複合物において、1若しくは複数のPEG基で複合修飾を行っている。
【0055】
本発明において、前記重合体の構造は特に限定がなく、線状(例えばアルコキシPEG若しくは二重官能基PEG)、分支若しくはマルチアームの(例えば分岐PEG若しくはポリオールの核心に連結したPEG)、樹枝状、若しくは分解可能な結合を持つ構造を有することができる。また、重合体の内部構造は、任意数の異なる型で組み合わせることができ、ホモポリマー、交互コポリマー、ランダムコポリマー、ブロック共重合体、交互三量体、ランダム三量体及びブロック三量体等を含む。さらに、前記重合体は、ポリアルキレンオキシド重合体、ポリマレイン酸、ポリ(D,L−アラニン)等を含む。
【0056】
一部の実施の形態において、前記重合体は、ポリエチレングリコール(PEG)若しくはその誘導体、例えばメトキシポリエチレングリコール(mPEG)。本文において、特に説明していない限り、前記ポリエチレングリコール(PEG)は、末端基がヒドロキシ基であるものと末端がそのほかの基であるものを含む。前記そのほかの基は、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アルキレン基、アリーロキシ基若しくはアリールアルキルオキシ基を含むが、これらに限定されない。これらPEG分子形態は従来技術において周知のものであり、且つポリペプチド修飾において一般的に使用されている。PEG側鎖は、線状、分枝、分岐若しくは複数のアームからなってもよく、異なるポリエチレングリコールは、異なる重合鎖の長さ及び重合構造を有することができる。
【0057】
本発明において用いるPEGの分子量は、特に限定されない。その分子量の範囲は0.1〜200 kDa、例えば1〜150 kDa、2〜100 kDa、3〜80 kDa若しくは4〜50 kDaであってもよく、さらに、5〜40 kDaであってもよい。一種の特に有用なPEGは5〜30 kDa範囲の分子量を有している。他の一部の有用なPEG分子として、例えばWO 03/040211、US 6,566,506、US 6,864,350及びUS 6,455,639に開示されたものを含む。特に、前記PEGは、一般式HO−CHCHO−(CHCHO)−CHCH−OHで表され、その中、nの範囲は約5〜4000である。前記のように、本発明のPEGは、そのほかの末端基を持つPEG、例えば、メトキシPEG、分支PEG、分岐PEG等を含む。米国特許No. 5,932,462の記載に従って、適切な分支PEGを調製できる。本文において当該特許のすべての開示した内容を参考または援引する。前記分岐PEGとは、重合体鎖の一末端に近い箇所で分支したPEGを指し、分岐PEGの主鎖は直鎖もしくは分岐鎖であることができる。
【0058】
当業者に周知のように、重合体基を複合させた生物活性分子において、前記重合体基の分子量の増加に伴って当該複合物分子の生物活性が低下していく(Bailon et al. Rational design of potent, long−lasting form of interferon: A 40 kDa branched polyethylene glycol−conjugated interferon α −2a for the treatment of hepatitis C. Bioconjugate Chem 2001 ; 12 : 195 −202; Bowen et al. Relationship between molecular mass and duration of activity of polyethylene glycol conjugated granulocyte colony−stimulating factor mutein. Experimental Hematology 1999; 27: 425 −32;Bailon et al. PEG−modified biopharmaceuticals. Expert Opin Deliv. 2009; 6: 1−16)。また、前記重合体基の分子量の増加に伴って当該複合物分子の生物半減期及び/または血漿半減期が延長していくことも当業者に周知である。
【0059】
しかしながら、本発明は、本発明のExendin変異体複合物において、前記重合体基(例えばPEG)の分子量を30 kDaまで増加しても、複合していないExendin変異体と比べて、当該複合物分子は依然として大部分のGLP−1受容体アゴニスト活性(例えば生体内の活性)が保留されていることを意外に見出した。さらに、PEG分子量が40 kDa若しくはそれ以上増加しても本発明のExendin変異体複合物は、依然として相当のGLP−1受容体アゴニスト活性(例えば生体内の活性)が保留されている。特に、前記重合体基の分子量が5 kDaから27 kDaまで増加した場合、複合していないExendin変異体と比べて、前記Exendin変異体複合物のGLP−1受容体アゴニスト活性は殆ど変化していない。
【0060】
長時間に渡って安定した治療作用を提供し、また投与頻度減少して患者の服薬遵守性を向上させるために、顕著なGLP−1受容体アゴニスト活性を保留すると共に、前記Exendin変異体複合物の生物半減期をできるだけ延長させることが希望されている。従って、一つの実施の形態において、本発明は、生物半減期が延長され、顕著なGLP−1受容体アゴニスト活性を有するExendin変異体複合物を提供している。
【0061】
一つの具体的な実施の形態において、本発明のExendin変異体複合物において、前記1若しくは複数の重合体基(例えばPEG)の分子量が2 kDa〜50 kDaであり、好ましくは3 kDa〜40 kDa、より好ましくは4 kDa〜35 kDa、更に好ましくは5 kDa〜30 kDaであって、例えば5 kDa、10 kDa、15 kDa、20 kDa、30 kDa及び40 kDa及び上記各分子量値の間の任意の値である。なお、Exendin変異体複合物における複合重合体基の分子量について、特に説明していない限り、当該複合物において複数の複合重合体基を有す場合、当該複合物におけるすべての複合重合体基の分子量の合計で計算する。
【0062】
一つの好ましい実施の形態において、本発明のExendin変異体複合物は、その中、前記1若しくは複数の重合体基(例えばPEG)の分子量が20 kDa〜30 kDa、好ましくは21 kDa〜29 kDa、より好ましくは23 kDa〜27 kDaであり、例えば20 kDa、21 kDa、22 kDa、23 kDa、24 kDa、25 kDa、26 kDa、27 kDa、28 kDa、29 kDa、30 kDa及び上記各分子量の値の間の任意の値である。
【0063】
本発明に用いられる重合体は、従来技術において既知のものである、様々なルートで得ることができる。例えば、例えばCarboMer, Inc.,J.T. Baker,The Dow Chemical Company等からビジネスルートで獲得でき、若しくは当分野既知の方法、例えばEP1245608の記載に基づいて調製できる。本発明は、いかなる具体的な方法で調製された重合体に限定されない。
【0064】
本発明の複合物において、前記少なくとも一つの重合体は、Exendinのアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基及び/またはチオール基等によって、Exendinとカップリングしている。このような基は、通常アミノ酸残基、例えばリシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン等のα−アミノ基、α−カルボキシル基及び側鎖上に位置する。
【0065】
一部の実施の形態において、1若しくは複数の重合体分子は、Exendin変異体におけるシステインのチオール基によって、Exendin変異体とカップリングしている。タンパク質におけるシステイン残基のチオール基に対して、重合体例えばポリエチレングリコールで修飾すると、修飾の選択性を向上できる。これは、チオール基特異的な反応の試薬は多く存在し、且つタンパク質において、有用なチオールは、例えばリシン残基のラジカルアミノ基に比べてかなり少ないためである。
【0066】
従って、一つの好ましい実施の形態において、前記1若しくは複数の重合体基は、Exendin変異体のシステイン残基に複合しており、より好ましくはチオエーテル結合によってExendin変異体のシステイン残基に複合する。
【0067】
前記Exendin変異体は、野生型exendin−3若しくはexendin−4において第20位、25位、35位及び/または第39位と対応する位置にて、1若しくは複数のシステイン置換を有し、且つ、チオール基によって、重合体例えばポリエチレングリコールとカップリングすることが好ましい。前記Exendin変異体は、野生型exendin−3若しくはexendin−4における第35位及び/または第39位と対応する位置でシステイン置換されていることがより好ましい。前記Exendin変異体は、野生型exendin−3若しくはexendin−4における第39位と対応する位置でシステイン置換されていることが最も好ましい。
【0068】
一つの具体的な実施の形態において、前記重合体基は、チオエーテル結合によって本発明Exendin変異体のシステイン残基に複合する。例えば、マレインイミド活性化基を持つポリエチレングリコール分子に対して、マレインイミドのアルキレン基とシステインのチオール基の間にチオエーテル結合を形成させ、これによって1若しくは複数のポリエチレングリコール基を、本発明Exendin変異体のシステイン残基に複合させる。他の一部の実施の形態において、システイン残基のPEG化は、例えばPEG−ビニルスルホン、PEG−ヨードアセトアミド若しくはPEG−ジサルファイドピリジンによって行ってもよい。従来技術において様々な重合体基例えばPEGをポリペプチドに複合させる方法が知られており、これらすべてが本発明に使用できる。
【0069】
本文において、「PEG化Exendin」、「PEG修飾Exendin」若しくは「Exendin変異体−PEG複合物」は、1若しくは複数のPEGが複合されたExendin変異体を含む。例えば、本文に用いられる「PEG化」若しくは「PEG修飾」は、1若しくは複数のPEG基とExendin複合させることを含む。適切なPEG化方法として、例えばUS 5,122,614及びUS5,539,063において開示されており、本文においてその開示したすべてのPEG化方法を引用によって援用する。
【0070】
一部の実施の形態において、前記複合物は、下記の式(I)の構造を有する:
【化1】

その中、Exendinは本発明のExendin変異体を表し、 YはH若しくはRPEG−X−を表し、且つ各X及びZがそれぞれ独立に結合基であり、PEGは−(OCHCH−を表し、nが正の整数、RがPEGの末端基を表し、好ましくは各Rがそれぞれ独立に、水素、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル基アルキル基、アルキレン基、アリール基若しくはアリールアルキル基から選ばれる。
【0071】
一部の具体的な実施の形態において、前記アルキル基は、C1−C6アルキル基であってもよく、好ましくはC1−C4アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基及びt−ブチル基であり;前記シクロアルキル基はC3−C7シクロアルキル基であってもよく、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル、シクロへキシル基及びシクロヘプチル基であり;前記シクロアルキル基アルキル基は、シクロアルキル基C1−C4アルキル基であってもよく、例えばシクロアルキル基メチル基及びシクロアルキル基エチル基であり、シクロへキシル基メチル基及びシクロへキシル基エチル基等を含み;前記アリール基はフェニル基、メチルフェニル基及びナフチル基等であってもよく;前記アリールアルキル基はベンジルメチル基、フェニルエチル基及びナフチルメチル基及びナフチルエチル基等であってもよい。従来技術において複数種の末端基を持つPEG分子が知られており、必要に応じて、これら及びそのほかのPEG分子から適当に選択できる。且つ、必要に応じて、従来技術である既知の方法で所望の末端基を持つPEG分子を合成できる。
【0072】
一部の実施の形態において、式(I)中、前記の各「RPEG−」は、独立して下記の構造を有す:
【化2】

その中、k及びnはいずれも整数であり、k = 0、1、2、3、4、5若しくは6;n = 40、41、…、45、46、47、48、……、1200。
【0073】
他の一部の好ましい実施の形態において、式(I)中、前記の各「RPEG−」は、独立して下記の構造を有す:
【化3】

その中:k及びnはいずれも整数であり、k = 0、1、2若しくは3;n = 40、41、…、45、46、47、48、……、1200。
【0074】
一部の実施の形態において、式(I)中、前記の各「−X−」は、独立して下記の構造を有す:
【化4】

その中、p及びmはいずれも整数であり、p = 0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11若しくは12;m = 0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11若しくは12。
【0075】
他の一部の実施の形態において、式(I)中、前記の各「−X−」は、独立して下記の構造を有す:
【化5】

その中:p及びmはいずれも整数であり、p = 0、1、2、3、4若しくは5;m = 0、1、2、3若しくは4。
【0076】
一部の実施の形態において、式(I)中、前記の「−Z−Exendin」は、下記の構造を有す:
【化6】

【0077】
好ましくは、式(I)中、前記の「−Z−Exendin」は、下記の構造を有す:
【化7】

その中:i、j、q、wは整数であり、i = 0若しくは1;j = 1、2、3、4、5若しくは6;q = 1、2、3、4、5若しくは6;w = 1、2、3、4、5若しくは6。
【0078】
本発明のExendin変異体複合物は、いかなる適切な方法によって調製できる。従来技術において、複数種の重合体をタンパク質若しくはペプチドに複合させる方法が知られており、その中、適切な条件下、本発明のExendin変異体と重合体、好ましくは活性化された重合体とをインキュベートすることを含む。一つの実施の形態において、前記重合体は、ポリエチレングリコールであり、例えば臭化シアン法、カルボニルジイミダゾール法、N−ヒドロキシスクシンイミド法、シアヌル酸クロリド法等によって、活性化及びExendin変異体に複合できる。若しくは、PEG−マレインイミド、PEG−ビニルスルホン、PEG−ヨードアセトアミド若しくはPEG−ジサルファイドピリジンによって、Exendin変異体におけるシステイン残基のチオール基に、PEGを特異的に複合できる。
【0079】
一部の具体的な実施の形態において、下記の条件下で、活性化されたPEGと本発明のExendin変異体とを共同インキュベートさせる。条件は、pH値5.0−7.0、PEGとペプチドのモル比の値が1−10、反応時間が0.5−12時間、反応温度が0−50℃で、例えば2−40℃若しくは4−37℃である。
【0080】
複合反応を行った後、適切な方法によって複合物を単離できる。活用の方法として、例えば限外濾過法、透析法若しくはクロマトグラフィー法等を含み、これらのいずれも当業者の実施できる範囲内のものである。
【0081】
薬物組成物
本発明のExendin変異体及び/またはExendin変異体複合物は、血糖低下用などの複数種の用途を有することができる。従って、本発明は、さらに、治療有効量の本発明のExendin変異体及び/またはExendin変異体複合物、及び任意に選択した薬学的に許容されるキャリアを含む、血糖低下用の薬物組成物を提供する。好ましくは、前記薬物組成物は糖尿病治療用であり、より好ましくはI型糖尿病及び/またはII糖尿病治療用、特に好ましくはII型糖尿病治療用である。
【0082】
本発明のExendin変異体若しくはExendin変異体複合物の治療有効量は、投与ルート、受験者の類型及び考慮する具体的な哺乳動物の身の特徴によって決められる。これらの要素及びその確定しようとする当該量との関係は、医薬分野における技術者に周知のものである。該量及び施す方法を調整することによって最適な效力を達成でき、これによってペプチドを受験者に伝送できるが、医薬分野の技術者が周知の要因、例えば体重、飲食、併用薬物及びそのほかの要因に決められる。
【0083】
本発明の薬物組成物は、併用療法で使用でき、即ち、一種若しくは複数種のそのほかの薬剤と併用でき、その中、前記治療剤と同時に施す、若しくは順次施す。他の一部の実施の形態において、前記そのほかの薬剤は、一種若しくは複数種本発明のExendin変異体及び/またはExendin変異体複合物若しくはその薬物組成物を施す前、施す中若しくは之施す後に用いられる。本発明に用いられる前記そのほかの薬剤は、例えば血糖低下薬剤、例えばインスリン、インスリンアナログ、アミリンアゴニスト及びコレシストキニン、及び/またはそのほかの治療疾病用化合物若しくは組成物を含む。これらの併用薬物は、組合せ、さらに相乗の效果を実現できるものが好ましい。
【0084】
本文に用いる「薬用キャリア」、「薬学的に許容されるキャリア」若しくは「生理的に許容されるキャリア」とは、相互に転換使用が可能で、いかなる生理的に許容される塩、溶媒、分散媒体、カプセル、抗菌剤及び抗真菌剤、等張及び吸收緩和剤等の一種若しくは複数種を含む。一部の実施の形態において、前記キャリアは、静脈内、筋肉内、皮下、胃腸外、脊髄若しくは表皮の投与(例えば注射若しくは注入による投与)に適したものである。投与ルートにもよるが、前記治療剤を所定の材料で被覆して、当該治療剤を酸及びそのほかの当該治療剤を失活させる可能な自然な条件から保護する作用を付与できる。
【0085】
施す際に、本発明の薬物製剤は、薬用できる量で、薬用できる組成物に使用される。用語「薬用できる」とは、活性成分の生物活性效力を阻害しない無毒物質であるという意味である。このような製剤は、通常、塩、緩衝剤、防腐剤、許容キャリア及び任意に選択できるそのほかの治療剤、例えば補助剤、走化因子と細胞因子を含む補充性免疫賦活剤を含む。薬物中に用いる場合、前記塩は、薬用できるものであるが、非薬用塩は薬用できる塩に簡単に調製できるならば、それを除外したわけではない。
【0086】
必要に応じて、本発明のExendin変異体若しくはExendin変異体複合物と、薬用キャリアと組合せることができる。本文に用いられる用語「薬用キャリア」とは、一種若しくは複数種の許容の固体若しくは液体充填剤、希釈剤若しくはパッケージ用物質であり、哺乳動物例えば人に施すことに適している。用語「キャリア」は、有機若しくは無機、天然若しくは合成の成分を表し、容易に応用するように、活性成分と組合せて使用する。薬物組成物の成分は、薬物治療効果を顕著に阻害する相互作用を生じないように、混合できる。
【0087】
好ましくは、本発明の薬物組成物は緩衝系を含むことができ、好ましくは前記緩衝系は、pHが約3.0〜約6.0の酢酸塩緩衝溶液、若しくはpHが約5.0〜約9.0のリン酸塩緩衝溶液である。一部の具体的な実施の形態において、適切な緩衝剤として、酢酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩を含む。
【0088】
前記薬用組成物は、任意に、適切な防腐剤、例えば、塩化ベンザルコニウム 、クロロt−ブタノール、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類及びチオメルサールを含むことができる。
【0089】
前記薬用組成物は、簡単にユニットドーズの形式で存在することができ、薬学分野のいかなる既知の方法で調製できる。すべての方法は、前記活性剤とキャリアを組合せるステップを含み、前記キャリアは、一種若しくは複数種の補助成分を含む。通常、前記活性化合物と、液体キャリア、細かく分割された固体キャリア若しくは上記両者と、を均一且つ密切に組合せることによって前記組成物を調製して、必要の場合、引き続き製品成形を行う。
【0090】
胃腸外投与に適用の薬物組成物は、一種若しくは複数種Exendin変異体若しくはExendin変異体複合物を含む無菌水性若しくは非水性製剤であってもよい。一部の実施の形態において、前記製剤は受験者の血液と等張性である。既知の方法によって適切な分散剤若しくは湿潤剤及び懸濁助剤を使用してこの製剤を調製できる。前記無菌注射製剤は、無毒な胃腸外許容できる希釈剤若しくは溶媒中の無菌注射溶液若しくは懸濁液、例えば1,3−ブチレングリコール中の溶液であってもよい。用いられる許容できるキャリア及び溶媒としては、水、リンガー溶液及び等張塩化ナトリウム溶液を含む。また、無菌の非揮発性油は溶媒若しくは懸濁媒体として一般に用いられる。従って、いかなる温和な非揮発性油を使用でき、合成のグリセリンモノエステル若しくはグリセリンジエステルを含む。また、油酸などの脂肪酸は注射製剤に用いられる。経口、皮下、静脈内、筋肉内等での施すに適用のキャリアのレシピは、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PAを参照できる。
【0091】
本発明のExendin変異体若しくはExendin変異体複合物は、それを保護して高速放出から避けるキャリア、例えば、植込剤、経皮吸収促進剤及びマイクロカプセル送達システムを含む放出制御構成のキャリアと共に調製できる。例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル及びポリ乳酸などの、生物分解性、生物相容性重合体を使用できる。このような構成の調製方法として、従来技術において多くのものが知られており、例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J.R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978等を参照できる。
【0092】
本発明の薬物組成物は、注射若しくは経時的な注入を含む、いかなる一般的なルートで施すことができる。例えば、経口、静脈内、腹膜内、筋肉内、腔内、腫瘍内若しくは経皮投与によって施すことができる。
【0093】
本発明の薬物組成物は有効量で施す。「有効量」とは、本文に提供されたいかなるExendin変異体若しくはExendin変異体複合物の量であって、単独若しくは、更なる投与量及び/またはそのほかの治療剤と共に、期待の応答(例えば、受験者における血糖の低下)を獲得できる。これは、一時的な糖尿病の発症に対する抑制を含み、また一部の実施の形態において、糖尿病の発展を永久性に停止することを含む。
【0094】
当然ながら、このような量は治療を受ける具体的な疾病、前記疾病の発症程度、患者自身のパラメタ(年齢、生理状况、身長及び体重を含む)、治療継続時間、同時に行われる治療の性質(あるとする場合)、具体的な投与ルート及び医療分野の当業者の知識の範囲内の類似の要因によって決められる。これらの要因は、当業者にとって既知のもであり、一般的な実験だけで獲得できる。一般に、各成分若しくはその組合せの最大投与量、即ち合理的な医学上の判断による一番高い安全な投与量を使用することが好ましい。但し、当業者の理解のように、患者は、医学的原因、心理原因若しくはすべてのそのほかの原因によって、低い投与量若しくは許容できる投与量を要求し得る。
【0095】
前記方法に使用される薬物組成物は、無菌で、且つ患者の適用の重量単位若しくは体積単位当たり、有効量の、単独若しくほかの製剤と組合せたExendin変異体若しくはExendin変異体複合物を含むことが好ましく、これによって期待の応答、例えば血糖の降低を実現できる。
【0096】
受験者に施すExendin変異体若しくはExendin変異体複合物の投与量は、異なるパラメタによって選択でき、特に、使用した投与形態及び受験者の状態によるものである。そのほかの要因としては、必要な治療期間も含む。応用後の最初の投与量で、受験者における応答が不足である場合、患者が耐える範囲内で、より高い投与量にする(若しくは異なる局部的な送達ルートにより高い有効投与量を実現する)。
【0097】
一部の実施の形態において、本発明の薬物組成物は、0.20 mg/ml〜5 mg/mlのExendin変異体及び/または4mg/ml〜40 mg/mlのExendin変異体複合物を含み、好ましくは0.20 mg/ml〜5 mg/mlのExendin変異体及び/または4mg/ml〜40 mg/mlのExendin変異体複合物を含み、より好ましくは0.5 mg/ml〜2 mg/mlのExendin変異体及び/または10mg/ml〜20 mg/mlのExendin変異体複合物を含む。一般に、本発明のExendin変異体若しくはExendin変異体複合物の投与量範囲は、約10 μg/kg患者体重〜約100,000 μg/kg患者体重である。一部の実施の形態において、前記投与量範囲は、約0.1 mg/kg〜約20 mg/kgである。他の一部の実施の形態において、前記投与量範囲は、約0.1 mg/kg〜5 mg/kg、0.1 mg/kg〜10 mg/kg、若しくは0.1 mg/kg〜15 mg/kgである。他の一部の実施の形態において、前記投与量範囲は、約1 mg/kg〜5 mg/kg、5 mg/kg〜10 mg/kg、10 mg/kg〜15 mg/kg、若しくは15 mg/kg〜20 mg/kgである。他の一部の実施の形態において、前記投与量は約0.1 mg/kg、0.5 mg/kg、1 mg/kg、2 mg/kg、3 mg/kg、5 mg/kg、7 mg/kg、10 mg/kg、12 mg/kg、15 mg/kg、17 mg/kg、20 mg/kg、25 mg/kg若しくは30 mg/kgである。他の一つの実施の形態において、前記投与量は、約1 mg/kg、3 mg/kg、5 mg/kg若しくは6 mg/kgである。前記組成物によって、前記投与量で連続的に送達(例えば連続ボンプによる)、若しくは周期性で間歇的に送達できる。
【0098】
一部の実施の形態において、静脈内に投与する場合、本発明のExendin変異体若しくはExendin変異体複合物の投与量は、0.1〜20 mg/kg若しくはその間のいかなる値である。特定の組成物の複数回投与における望ましい時間間隔は、当業者によって確定でき、余剰の実験を必要しない。提供される組成物のそのほかの投与案は、当業者にとって既知であり、その投与量、施す時間表、投与の位置、投与形態等は前述と異なってもよい。一つの実施の形態において、前記投与量で静脈内投与する。他の一つの実施の形態においては、薬剤の施す方案が単回静脈内投与である。
【0099】
Exendin変異体若しくはExendin変異体複合物(例えば薬物組成物に含まれる)、及び使用取扱説明書を含む試薬キットも本発明の範囲内である。前記試薬キットは、少なくとも一種のそのほかの試薬、例えば一種若しくは複数種のそのほかの血糖低下の薬剤をさらに含むことができる。他の一つの実施の形態において、試薬キットは、キャリアを含み、前記キャリアは区画化されて、その中に、1若しくは複数の容器装置若しくは一連の容器装置(例えば試験管、チューブ、フラスコ、ボトル、注射器等)を緊密に固定して収容できる。前記試薬キットの成分は、水性媒体に包装され、或いは凍結乾燥の形式である。
【0100】
本文に提供される組成物は凍結乾燥形式若しくは水性媒体により提供されるものである。
【0101】
好ましくは、前記受験者は、脊椎動物、より好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトであるが、そのほかの動物、例えば家庭飼い動物(例えばイヌ、ネコ等)、家畜(例えばウシ、ヒツジ、豚、馬等)若しくは実験動物(例えば猿、ラット、マウス、ウサギ、テンジクネズミ等)であってもよい。
【0102】
本発明におけるExendin変異体及び/またはExendin変異体複合物は、単独に施すことができるが、薬物組成物として施すことが好ましく、通常、施す設計方式によって選ばれる適切な薬物賦型剤、希釈剤若しくはキャリアを含む。いかなる適合な方式によって治療を必要とする患者/受験者に適用される。精確な投与量は、複数の要因によって決められ、当該Exendin変異体及びExendin変異体複合物の精確な性質にもよります。
【0103】
一部の適切な施す方式として、(これらに限定されないが)経口、直腸、鼻、局部(口腔と舌下を含む)、皮下、膣若しくは胃腸外(皮下、筋肉、静脈、皮内、髄こう内及び硬膜外)における投与を含む。
【0104】
一部の実施の形態において、本発明の薬物組成物は、等浸透圧調整剤及び/または防腐剤を含み、前記等浸透圧調整剤は蔗糖、マンニトール、塩化ナトリウム及びグリセロール中の一種若しくは複数種、及び、前記防腐剤はm−クレゾール、ベンジルアルコール、p− ヒドロキシ安息香酸メチル 、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル及びp−ヒドロキシ安息香酸ブチルから選ばれることが好ましい。当分野の技術者は、例えば生理食塩水、リンガー注射液若しくは乳酸リンガー注射液等の張力賦型剤を使用することによって、本発明のExendin変異体若しくはExendin変異体複合物の適切な溶液を調製できる。必要に応じて、さらに、安定剤、緩衝剤、抗酸化剤及び/またはそのほかの一部の添加剤を添加できる。経口投与の薬物組成物は、錠剤、カプセル、粉末剤若しくは内服液等の形式である。錠剤は、例えばゼラチン若しくは補助剤などの固体キャリアを含むことができる。液体薬物組成物は、通常、液体キャリア、例えば水、石油、動物若しくは植物油、鉱物油若しくは合成油を含む。さらに、生理食塩水溶液、グルコース若しくはそのほかの糖溶液若しくは、エチレングリコール、プロピレングリコール若しくはポリエチレングリコールななどのグリコール類を含んでもよい。一部の実施の形態において、前記薬物組成物は、液体製剤及び/または凍結乾燥製剤の形式であり、好ましくは前記凍結乾燥製剤が凍結乾燥保護剤を含み、より好ましくは前記凍結乾燥保護剤は、蔗糖、ラクトース、マンニトール、トレハロース等の糖から選ばれるものである。
【0105】
本文に記載のExendin変異体及び/またはExendin変異体複合物は、「治療有効量」若しくは「有効量」で受験者に投与されることが好ましい。前記組成物は、「治療有効量」で受験者で投与され、前記治療有効量若しくは有効量は前記受験者に対する有利効果を示すできることが好ましい。投与の実際の量、及び投与の速度及び時間過程は、治療者の自身の情况及び発症程度に決められる。治療の処方(例えば投与量等の確定)は医者により決められ、かつ、通常は治療の疾病、患者個体の情况、送達部位、投与方法、及び医者が既知のそのほかの要因を考慮する。
【0106】
一部の実施の形態において、前記のExendin変異体及び/またはExendin変異体複合物の投与量範囲は、30 mg/kg体重/日〜0.00001 mg/kg体重/日、若しくは3 mg/kg/日〜0.0001 mg/kg/日、若しくは0.3 mg/kg /日〜0.01 mg/kg/日である。
【0107】
本発明は疾病の治療方法を提供する。前記方法は、このような必要がある受験者に治療有効量のExendin変異体及び/またはExendin変異体複合物を施すことを含む。一部の実施の形態において、前記疾病は、食後ダンピング症候群、食後高血糖、耐糖能障害、肥満、摂食異常、インスリン抵抗性症候群、糖尿病及び高血糖症から選ばれるものである。一つの好ましい実施の形態において、前記疾病はII型糖尿病である。
【0108】
周知のように、Exendinは、肥満患者の体重を低減できるが、引起吐き気・嘔吐反応を引き起こすものであり、その作用メカニズムは中枢神経系において、摂食中枢を抑制することや嘔吐中枢を刺激することに関与している(Larsen. Mechanisms behind GLP−1 induced weight loss. Br J Diabetes Vasc Dis 2008; 8: S34−S41; Schick et al. Glucagonlike peptide 1 (7−36)−amide acts at lateral and medial hypothalamic sites to suppress feeding in rats. Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol 2003; 284:R1427−35)。但し、Exendin若しくはその変異体の複合物は、分子量が増加しており、血液脳関門を透過し難いので、Exendinによる嘔吐反応を低減できる。従って、本研究を開始する前に、発明者は、Exendin若しくはその変異体の複合物においても、Exendinの中枢神経系を介して摂食量及び体重を減少する作用が低減されると予測していた。しかしながら、野生型Exendin及び複合していないExendin変異体も体重及び摂食量を減少させるが、本発明において、Exendin若しくはその変異体の複合物は、顕著な強力な体重及び摂食量を減少する作用を有すことを、意外に見出した。
【0109】
従って、一方、本発明は、Exendin若しくはその変異体の複合物及び/またはこの複合物を含む薬物組成物を用いて、体重を減少させる方法を提供する。また、体重減少用薬物の調製における、Exendin若しくはその変異体の複合物及び/またはこの複合物を含む薬物組成物の用途を提供する。一つの実施の形態において、前記Exendin若しくはその変異体の複合物は、上記本発明のExendin変異体複合物である。
【0110】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明されるが、これらはいかなる方式でさらなる限制であると理解してはいけない。本出願におけるすべての引用された参考文献のすべての内容(文献参考、授権された特許、公開された特許出願及び共同未决の特許出願を含む)は、明確的に引用によって本文に援用される。以下の実施例において、具体的に説明していない限りに、用いた試薬及び材料は、ビジネス上で獲得できる、少なくとも分析用純度若しくはそれと相当レベレの製品である。
【0111】
実施例
下記の実施例にかかる技術方案を理解しやすくするために、下記表をもって、実施例において使用された各種のExendin、Exendin変異体及びその複合物の番号及び簡単な説明を示す。
【表1】

【0112】
実施例1 Exendin−4及その変異体の固相合成
ポリペプチド合成は、生物化学及び薬学分野の常用の技術として知られており、数多くの商業機構(例えばGE HealthCare、Applied Biosystems Inc.等)によって様々なタイプのポリペプチド合成機器が市場上に商業的に提供され、かつ数多くの商業機構(例えば、上海生工生物工程技術服務有限公司、上海博彩生物科技有限公司等)によってポリペプチドの依頼合成サービスが提供されている。例えば、以下の方法を使用して、ポリペプチド合成機器で所定の配列を有すポリペプチドを合成できる。
【0113】
「Fmoc−Rinker Amide MBHA樹脂」型の固相キャリアを用いて、Fmocによるアミノ基保護手法でExendin−4及びそのチオール変異体を合成させる。ステップ1:Fmoc保護のアミノ酸と、縮合剤としてのHBTU/DIPEAとを、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶媒において、1−5時間反応させ、ニンヒドリン方法で縮合反応が完全に進行しているかどうかを確認する。ステップ2:脱保護試薬として10−30%のピペリジンを用いて、DMF溶媒において、10−30分間反応させ、ニンヒドリン方法でアミノ基保護基が完全に脱出されたかどうかを確認する。ステップ3:目標ポリペプチド配列に基づいて、順次に相応のアミノ酸を用いて、配列中の最後のアミノ酸のカップリングが完成するまで「ステップ1とステップ2」 を繰返す。ステップ4:分解試薬としてトリフルオロ酢酸(TFA)を用いて、1−5時間反応させ、ポリペプチドを固相キャリアから分解させる共に、各種の保護基を脱出させる。ステップ5:分解されたポリペプチド溶液をエチルエーテルで沈殿させ、沈殿をろ過、回収してから、C18タイプのクロマトグラフィーカラムにて、0.1% TFA/アセトニトリル−水系の移動相で溶出させて、画分溶液を回収して、凍結乾燥して産物を得る。ステップ6:高速液体クロマトグラフィー方法にて産物の純度を同定して、アミノ酸配列分析及びマススペクトルで産品の構造を測定した。
【0114】
発明者は、成都凱捷生物医薬科技発展公司に依頼して、上記方法による、以下の配列のポリペプチドを合成させた:
PB−101:野生型Exendin−4、そのアミノ酸配列は、
His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser(SEQ ID NO: 1);
PB−102:C末端第35位がシステイン(Cys)であるExendin−4変異体、そのアミノ酸配列は、
His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Cys−Pro−Pro−Pro−Ser(SEQ ID NO: 3);
PB−105:C末端第39位がシステイン(Cys)であるExendin−4変異体、そのアミノ酸配列は、
His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Cys(SEQ ID NO: 4);
PB−103:C末端第30位がシステイン(Cys)であるExendin−4変異体、そのアミノ酸配列は、
His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Cys−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser(SEQ ID NO: 5);
【0115】
PB−104:C末端第25位がシステイン(Cys)であるExendin−4変異体、そのアミノ酸配列は、
His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Cys−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser(SEQ ID NO: 6);
PB−111:C末端第39位がシステイン(Cys)に置換され且つチロシン(Tyr)が連結されたExendin−4変異体、そのアミノ酸配列は、
His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Cys−Tyr(SEQ ID NO:7);及び
PB−113:N末端第2位のグリシン(Gly)がD型アラニン(dAla)に取替えられ、且つC末端第39位がシステイン(Cys)に置換されたExendin−4変異体、そのアミノ酸配列は、
His−dAla−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Cys(SEQ ID NO: 8)。
【0116】
実例として、図1は、PB−105のマススペクトル分析結果を表し、MALDI−TOFマススペクトル測定によるPB−105のM+1ピーク(分子量+1)は4203.3 Da、その理論的な分子量(4202.8)と一致している。
【0117】
実施例2a PB−110 (PEG5000−PB−105)の調製と分析
2.0 mgのPB−105を1 ml 20 mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.5) に溶解させ、PEGとペプチドのモル比が2:1になるように、5 mg PEG5000(派格生物医薬(蘇州)有限公司により購入、5000はPEGの分子量が5 kDaであることを表し、分子構造は図2を参照)を秤取して、上記溶液を添加し、適当に揺れることによってPEGを溶解させてペプチドと均一に混合し、20 ℃の条件下で1時間反応させた後に、過剰量のシステイン溶液(0.1 ml 0.5Mのシステイン溶液)で反応を停止させ、最後に、−20 ℃に放置して、単離精製用として準備しておく。
【0118】
50 mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)で5倍希釈した試料を用いて、5倍カラム体積の50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)で平衡させたSPイオン交換クロマトグラフィーカラム(GE社、XK16/20カラム、macroCap SPフィラー)にセットして、その後2倍カラム体積の50 mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)で平衡させて、そして20倍カラム体積の内に100% B緩衝液(1 M NaClを含む50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5))に線性的に増加させ、AKTA Purifierにて溶出ピーク画分を回収した。含量を測定したところ、約1mgのポリペプチドであった。
【0119】
300A内径のC4逆相分析カラム(Jupiter C4 300A 4.6*250mm)を用いて、0.1%TFA水溶液/0.1%TFAアセトニトリル溶液を61/39〜54/46の勾配で溶出(10 min)させ、分析性HPLC(Agilent1200)によって分析した結果、試料保持時間が10.4 min、純度が100%(図3を参照)であった。GPC分析(島津LC−20AD、SB−802 HQ/SB−803 HQ/SB−804HQ、3本連続)により、0.1 M 硝酸ナトリウム溶液で1.0 ml/minの条件にて溶出させた。純度が97%であった。
【0120】
実施例2b PB−110b (PEG5000b−PB−105)の調製と分析
2.0 mg PB−105 を取り、1 ml 20 mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.5) に溶解させて、PEGとペプチドのモル比が2:1になるように、5 mg PEG5000b(派格生物医薬(蘇州)有限公司より購入、分子構造は図4を参照)を秤取して、上記溶液を添加し、適当に揺れることによってPEGを溶解させてペプチドと均一に混合させた。そのほかは実施例2aと同様であり、最後に、GPC分析(島津LC−20AD、SB−802 HQ/SB−803 HQ/SB−804HQ、3本連続、条件は0.1 M 硝酸ナトリウム溶液で1.0 ml/minにて溶出)を行った。純度が96.7%であった。
【0121】
実施例2c PB−110c (PEG5000c−PB−102)の調製と分析
2.0 mg PB−105を取り、1 ml 20 mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.5) に溶解させ、PEGとペプチドのモル比が2:1の量になるように、5 mg PEG5000c(派格生物医薬(蘇州)有限公司により購入、分子構造は図5を参照)を秤取して、上記溶液を添加し、適当に揺れることによってPEGを溶解させて、ペプチドと均一に混合させた。そのほかは実施例2aと同様にして、最後に、GPC分析(島津LC−20AD、SB−802 HQ/SB−803 HQ/SB−804HQ、3本連続、条件は0.1 M 硝酸ナトリウム溶液1.0 ml/min溶出)を行った。純度が97.8%であった。
【0122】
実施例3a PB−106 (PEG20000−PB−105)の調製と分析
2.0 mg PB−105を取り、1 ml 20 mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.5) に溶解させ、PEGとペプチドのモル比が2:1の量になるように、20mg PEG20000(派格生物医薬(蘇州)有限公司により購入、20000はPEGの分子量が20 kDaであることを表し、分子構造は図2を参照)秤取して、上記溶液を添加し、適当に揺れることによってPEGを溶解させて、ペプチドと均一に混合し、20 ℃条件下で1時間反応させ、その後過剰量のシステイン溶液(0.1 ml 0.5Mシステイン溶液)で反応を停止させ、最後に−20 ℃に放置して、単離精製用に準備しておく。
【0123】
50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)で5倍希釈した試料を用いて、5 倍カラム体積の50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)で平衡させたSPイオン交換クロマトグラフィーカラム(GE社、XK16/20カラム、macroCap SPフィラー)にセットし、その後2倍カラム体積の50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)で平衡させて、その後20倍カラム体積のうちに、100%のB緩衝液(1 M NaClを含む50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5))に線性的に増加させて、AKTA Purifierにて溶出ピークの画分を回収した。含量測定の結果、約1mgのポリペプチドであった。
【0124】
上記回収液をSDS−PAGEゲル電気泳動に供し、クマシーブリリアントブルー染色法及びヨード染色法で対照染色(図6A及び6Bを参照)を行った。300A内径のC4逆相分析カラム(Jupiter C4 300A 4.6*250mm)を用いて、0.1% TFA水溶液/0.1% TFAアセトニトリル溶液を61/39〜54/46の勾配で溶出させ(10 min)、分析性HPLC(Agilent1200)で分析した結果、試料保持時間が11.5 min、純度が100%であった(図7を参照)。GPC分析(島津LC−20AD、SB−802 HQ/SB−803 HQ/SB−804HQ、3本連続)を、0.1 M 硝酸ナトリウム溶液で1.0 ml/minにて溶出する条件で行った。純度が98.9%であった。
【0125】
実施例3b PB−106b (PEG20000b−PB−105)の調製と分析
1.0 mg PB−105を取り、1 ml 20 mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.5) に溶解させ、PEGとペプチドのモル比が2:1の量になるように、2.5 mg PEG20000b(派格生物医薬(蘇州)有限公司により購入、20000はPEGの分子量が20 kDaであることを表し、分子構造は図8を参照)を秤取して、上記溶液を添加し、適当に揺れることによってPEGを溶解させて、ペプチドと均一に混合させた。そのほかは実施例3aと同様にして、最後にGPC分析(島津LC−20AD、SB−802 HQ/SB−803 HQ/SB−804HQ、3本連続、条件は0.1 M 硝酸ナトリウム溶液で1.0 ml/minにて溶出)を行った。純度が98.2%であった。
【0126】
実施例3c PB−106c (PEG20000c−PB−105)の調製と分析
2.0 mg PB−105を取り、1 ml 20 mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.5) に溶解させ、PEGとペプチドのモル比が2:1の量になるように、20 mg PEG20000c(派格生物医薬(蘇州)有限公司により購入、20000はPEGの分子量が20 kDaであることを表し、分子構造は図9を参照)を秤取して、上記溶液を添加し、適当に揺れることによってPEGを溶解させて、ペプチドと均一に混合させた。そのほかは実施例3aと同様にして、最後に、GPC分析(島津LC−20AD、SB−802 HQ/SB−803 HQ/SB−804HQ、3本連続、条件は0.1 M 硝酸ナトリウム溶液1.0 ml/min溶出)を行った。純度が97.2%であった。
【0127】
実施例3d PB−106d (PEG20000d−PB−105)の調製と分析
2.0 mg PB−105を取り、1 ml 20 mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.5) に溶解させ、按PEGとペプチドのモル比が2:1の量になるように、20 mg PEG20000−3(派格生物医薬(蘇州)有限公司により購入、20000はPEGの分子量が20 kDaであることを表し、分子構造は図10を参照)を秤取し、上記溶液を添加し、適当に揺れることによってPEGを溶解させて、ペプチドと均一に混合させた。そのほかは実施例3aと同様にして、最後に、GPC分析(島津LC−20AD、SB−802 HQ/SB−803 HQ/SB−804HQ、3本連続、条件は0.1 M 硝酸ナトリウム溶液で1.0 ml/minにて溶出)を行った。純度が97.5 %であった。
【0128】
実施例3e PB−106e (PEG20000e−PB−105)の調製と分析
2.0 mg PB−102を取り、1 ml 20 mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.5) に溶解させ、PEGとペプチドのモル比が2:1の量になるように、20 mg PEG20000e(派格生物医薬(蘇州)有限公司により購入、20000はPEGの分子量が20 kDaであることを表し、分子構造は図11を参照)を秤取し、上記溶液を添加し、適当に揺れることによってPEGを溶解させて、ペプチドと均一に混合させた。そのほかは実施例3aと同様にして、最後にGPC分析(島津LC−20AD、SB−802 HQ/SB−803 HQ/SB−804HQ、3本連続、条件は0.1 M 硝酸ナトリウム溶液で1.0 ml/minにて溶出)を行った。純度が95.8 %であった。
【0129】
実施例3f PB−112(PEG20000−PB−111)の調製と分析
2.0 mg PB−111を取り、1 mlの20 mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.5) に溶解させ、PEGとペプチドのモル比が2:1の量になるように、19 mg PEG20000(派格生物医薬(蘇州)有限公司により購入、20000はPEGの分子量が20 kDaであることを表し、分子構造は図2を参照)を秤取し、上記溶液を添加し、適当に揺れることによってPEGを溶解させて、ペプチドと均一に混合し、20 ℃の条件下で1時間反応させ、その後、過剰量のシステイン溶液(0.1 ml 0.5Mシステイン溶液)で反応を停止させ、最後に−20 ℃に放置して、単離精製用に準備しておく。
【0130】
50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)で5倍希釈した試料を用いて、5 倍カラム体積の50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)で平衡化させたSPイオン交換クロマトグラフィーカラム(GE社、XK16/20カラム、macroCap SPフィラー)にセットして、その後2倍カラム体積の50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)で平衡化させ、その後20倍カラム体積内に、100% B緩衝液(1 M NaClを含む50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5))に線性的に増加させて、AKTA Purifierで溶出ピーク画分を回収した。含量を測定した結果、約1mgのポリペプチドであった。
【0131】
上記回収液を、300A内径のC4逆相分析カラム(Jupiter C4 300A 4.6*250mm)を用いて、0.1% TFA水溶液/0.1% TFAアセトニトリル溶液を61/39〜54/46の勾配で溶出させ(10 min)、分析性HPLCによって分析したところ、試料保持時間は10.6 min、純度が98.5%であった(図12を参照)。GPC分析(島津LC−20AD、SB−802 HQ/SB−803 HQ/SB−804HQ、3本連続)を0.1 M 硝酸ナトリウム溶液で1.0 ml/minにて溶出する条件で行った。純度が98.7%であった。
【0132】
実施例4 PB−107 (PEG30000−PB−105)の調製と分析
2.0 mg PB−105を取り、1 mlの20 mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.5) に溶解させ、PEGとペプチドのモル比が2:1の量になるように、30 mg PEG30000(派格生物医薬(蘇州)有限公司により購入、30000はPEGの分子量が30 kDaであることを表し、分子構造は図2を参照)を秤取して、上記溶液を添加し、適当に揺れることによってPEGを溶解させて、ペプチドと均一に混合し、20 ℃の条件下で、1時間反応させ、その後過剰量のシステイン溶液(0.1 ml 0.5Mシステイン溶液)で反応を停止させ、最後に−20 ℃に放置させて、単離精製用に準備しておく。
【0133】
50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)で5倍希釈した試料を用いて、5 倍カラム体積の50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)で平衡化されたSPイオン交換クロマトグラフィーカラム(GE社、XK16/20カラム、macroCap SPフィラー)にセットして、その後2倍カラム体積に50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)で平衡化させ、その後20倍カラム体積内に、100% B緩衝液(1 M NaClを含む50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5))に線性的に増加させ、AKTA Purifierで溶出ピーク画分を回収した。含量を測定した結果、約1mgのポリペプチドであった。
【0134】
上記回収液をSDS−PAGEゲル電気泳動に供し、クマシーブリリアントブルー染色法及びヨード染色法で対照染色(図6A及び6Bを参照)を行った。300A内径のC4逆相分析カラム(Jupiter C4 300A 4.6*250mm)を用いて、0.1% TFA水溶液/0.1% TFAアセトニトリル溶液を61/39〜54/46の勾配で溶出させ(10 min)、分析性HPLCで分析した結果、試料保持時間が11.5 min、純度が97.3%であった(図13を参照)。GPC分析(島津LC−20AD、SB−802 HQ/SB−803 HQ/SB−804HQ、3本連続)を、0.1 M 硝酸ナトリウム溶液で1.0 ml/minにて溶出する条件で行った。純度が98.7%であった。
【0135】
実施例5a PB−108 (PEG40000−PB−105)の調製と分析
2.0 mg PB−105を取り、1 ml 20 mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.5)に溶解させ、PEGとペプチドのモル比が2:1の量になるように、40 mg PEG40000(派格生物医薬(蘇州)有限公司により購入、40000はPEGの分子量が40 kDaであることを表し、分子構造は図2を参照)を秤取して、上記溶液を添加し、適当に揺れることによってPEGを溶解させてペプチドと均一に混合し、20℃の条件下で反応1時間、その後、過剰量のシステイン溶液(0.1 ml 0.5Mシステイン溶液)で反応を停止させ、最後に−20 ℃に放置して、単離精製用に準備しておく。
【0136】
50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)で5倍希釈した試料を用いて、5 倍カラム体積の50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)で平衡化させたSPイオン交換クロマトグラフィーカラム(GE社、XK16/20カラム、macroCap SPフィラー)にセットして、その後2倍カラム体積の50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)で平衡化させ、その後20倍カラム体積内に、100% B緩衝液(1 M NaClを含む50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5))に線性的に増加させて、AKTA Purifierで溶出ピーク画分を回収した。含量を測定した結果、約1mgのポリペプチドであった。
【0137】
上記回収液をSDS−PAGEゲル電気泳動に供し、クマシーブリリアントブルー染色法及びヨード染色法で対照染色(図6A及び6Bを参照)を行った。300A内径のC4逆相分析カラム(Jupiter C4 300A 4.6*250mm)を用いて、0.1% TFA水溶液/0.1 % TFAアセトニトリル溶液を61/39〜54/46の勾配で溶出させ(10 min)、分析性HPLC(Agilent1200)で分析した結果、試料保持時間が11.4 min、純度が100%(図14を参照)。GPC分析(島津LC−20AD、SB−802 HQ/SB−803 HQ/SB−804HQ、3本連続)を、0.1 M 硝酸ナトリウム溶液で1.0 ml/minにて溶出する条件で行った。純度が97.2%であった。
【0138】
実施例5b PB−114(PEG40000−PB−113)の調製と分析
2.0 mg PB−113を取り、1 mlの20 mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.5)に溶解させ、PEGとペプチドのモル比が2:1の量になるように、40 mg PEG40000(派格生物医薬(蘇州)有限公司により購入、40000はPEGの分子量が40 kDaであることを表し、分子構造は図2を参照)秤取して、上記溶液を添加し、適当に揺れることによってPEGを溶解させて、ペプチドと均一に混合し、20℃の条件下で1時間反応させて、その後過剰量のシステイン溶液(0.1 ml 0.5Mシステイン溶液)で反応を停止させ、最後に−20 ℃に放置して、単離精製用に準備しておく。
【0139】
50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)5倍希釈した試料を用いて、5 倍カラム体積の50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)で平衡化させたSPイオン交換クロマトグラフィーカラム(GE社、XK16/20カラム、macroCap SPフィラー)にセットして、その後2倍カラム体積の50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)で平衡化させ、その後20倍カラム体積内に、100% B緩衝液(1 M NaClを含む50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5))に線性的に増加させて、AKTA Purifierで溶出ピーク画分を回収した。含量を測定した結果、約1mgのポリペプチドであった。
【0140】
上記回収液を300A内径のC4逆相分析カラム(Jupiter C4 300A 4.6*250mm)を用いて、0.1% TFA水溶液/0.1% TFAアセトニトリル溶液を61/39〜54/46の勾配で溶出させ(10 min)、分析性HPLCで分析した結果、試料保持時間が12.6 min、純度が97.9%(図15を参照)。GPC分析(島津LC−20AD、SB−802 HQ/SB−803 HQ/SB−804HQ、3本連続)を、0.1 M 硝酸ナトリウム溶液で1.0 ml/minにて溶出する条件で行った。純度が98.4%であった。
【0141】
実施例6a PB−109(PEG20000×2(ダブルアームPEG)−PB−105)の調製と分析
2.0 mg PB−105を取り、1 ml 20 mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.5) に溶解させ、PEGとペプチドのモル比が2:1の量になるように、40mg PEG20000×2(派格生物医薬(蘇州)有限公司により購入、20000は、PEG分子中の一のアームの分子量が20 kDaであることを表し、分子構造は図16を参照)を秤取して、上記溶液を添加し、適当に揺れることによってPEGを溶解させて、ペプチドと均一に混合し、20 ℃の条件下で、1時間反応させ、その後過剰量のシステイン溶液(0.1 ml 0.5 M システイン溶液)で反応を停止させ、最後に−20 ℃に放置して、単離精製用に準備しておく。
【0142】
50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)5倍希釈した試料を用いて、5 倍カラム体積の50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)で平衡化させたSPイオン交換クロマトグラフィーカラム(GE社、XK16/20カラム、macroCap SPフィラー)にセットして、その後2倍カラム体積の50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)で平衡化させ、その後20倍カラム体積内に、100% B緩衝液(1 M NaClを含む50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5))に線性的に増加させて、AKTA Purifierで溶出ピーク画分を回収した。含量を測定した結果、約1mgのポリペプチドであった。
【0143】
上記回収液をSDS−PAGEゲル電気泳動に供し、クマシーブリリアントブルー染色法及びヨード染色法で対照染色(図6A及び6Bを参照)を行った。300A内径のC4逆相分析カラム(Jupiter C4 300A 4.6*250mm)を用いて、0.1% TFA水溶液/0.1% TFAアセトニトリル溶液を61/39〜54/46の勾配で溶出させ(10 min)、分析性HPLCで分析した結果、試料保持時間が11.5 min、純度が100%であった(図17を参照)。GPC分析(島津LC−20AD、SB−802 HQ/SB−803 HQ/SB−804HQ、3本連続)を、0.1 M 硝酸ナトリウム溶液で1.0 ml/minにて溶出する条件で行った。純度が99.3%であった。
【0144】
実施例6b PB−109b(PEG20000×2(ダブルアームPEG)b−PB−105)の調製と分析
2.0 mg PB−105を取り、1 ml 20 mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.5) に溶解させ、PEGとペプチドのモル比が2:1の量になるように、40 mg PEG20000×2b(派格生物医薬(蘇州)有限公司により購入、20000*2はPEG分子量が20*2 kDaであることを表し、分子構造は図18を参照)を秤取し、上記溶液を添加し、適当に揺れることによってPEGを溶解させて、ペプチドと均一に混合させた。そのほかは実施例6aと同様にして、最後にGPC分析(島津LC−20AD、SB−802 HQ/SB−803 HQ/SB−804HQ、3本連続、条件は0.1 M 硝酸ナトリウム溶液で1.0 ml/minにて溶出)を行った、純度が99.2%であった。
【0145】
実施例6c PB−109c(PEG20000×2(ダブルアームPEG)c−PB−105)の調製と分析
2.0 mg PB−105を取り、1 ml 20 mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.5) に溶解させ、PEGとペプチドのモル比が2:1の量になるように、40mg PEG20000×2c(派格生物医薬(蘇州)有限公司により購入、20000*2はPEG分子量が20*2 kDaであることを表し、分子構造は図19を参照)を秤取して、上記溶液を添加し、適当に揺れることによってPEGを溶解させて、ペプチドと均一に混合させた。そのほかは実施例6aと同様にして、最後にGPC分析(島津LC−20AD、SB−802 HQ/SB−803 HQ/SB−804HQ、3本連続、条件は0.1 M 硝酸ナトリウム溶液で1.0 ml/minにて溶出)を行った。純度が98.8%であった。
【0146】
実施例6d PB−109d(PEG20000×2(ダブルアームPEG)d−PB−105)の調製と分析
2.0 mg PB−105を取り、1 ml 20 mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.5) に溶解させ、PEGとペプチドのモル比が2:1の量になるように、40 mg PEG20000×2d(派格生物医薬(蘇州)有限公司により購入、20000*2はPEG分子量が20*2 kDaであることを表し、分子構造は図20を参照)を秤取して、上記溶液を添加し、適当に揺れることによってPEGを溶解させてペプチドと均一に混合させた。そのほかは実施例6aと同様にして、最後にGPC分析(島津LC−20AD、SB−802 HQ/SB−803 HQ/SB−804HQ、3本連続、条件は0.1 M 硝酸ナトリウム溶液で1.0 ml/minにて溶出)を行った、純度が99.2%であった。
【0147】
実施例7 PB−119(PEG23000−PB−105)の調製と分析
2.0 mg PB−105を取り、1 mlの20 mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.5) に溶解させ、PEGとペプチドのモル比が2:1の量になるように、22 mg PEG23000(派格生物医薬(蘇州)有限公司により購入、23000はPEGの分子量が23 kDaであることを表し、その分子構造は図2を参照)秤取して、上記溶液を添加し、適当に揺れることによってPEGを溶解させて、ペプチドと均一に混合し、20℃の条件下で1時間反応させ、その後過剰量のシステイン溶液(0.1ml 0.5Mシステイン溶液)で反応を停止させ、最後に−20 ℃に放置して、単離精製用に準備しておく。
【0148】
50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)5倍希釈した試料を用いて、5 倍カラム体積の50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)で平衡化させたSPイオン交換クロマトグラフィーカラム(GE社、XK16/20カラム、macroCap SPフィラー)にセットして、その後2倍カラム体積の50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)で平衡化させ、その後20倍カラム体積内に、100% B緩衝液(1 M NaClを含む50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5))に線性的に増加させて、AKTA Purifierで溶出ピーク画分を回収した。含量を測定した結果、約1mgのポリペプチドであった。
【0149】
上記回収液を300A内径のC4逆相分析カラム(Jupiter C4 300A 4.6*250mm)を用いて、0.1% TFA水溶液/0.1% TFAアセトニトリル溶液を61/39〜54/46の勾配で溶出させ(10 min)、分析性HPLC(Agilent1200)で分析した結果、試料保持時間が11.6 min、純度が96.0%であった(図21を参照)。GPC分析(島津LC−20AD、SB−802 HQ/SB−803 HQ/SB−804HQ、3本連続)を、0.1 M 硝酸ナトリウム溶液で1.0 ml/minにて溶出する条件で行った。純度が97.1%であった。
【0150】
実施例8 PB−120(PEG27000−PB−105)の調製と分析
2.0 mg PB−105を取り、1 mlの20 mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.5) に溶解させ、PEGとペプチドのモル比が2:1の量になるように、24 mg PEG27000(派格生物医薬(蘇州)有限公司により購入、27000はPEGの分子量が27 kDaであることを表し、その分子構造は図2を参照)を秤取し、上記溶液を添加し、適当に揺れることによってPEGを溶解させて、ペプチドと均一に混合し、20 ℃の条件下で1時間反応させ、その後過剰量のシステイン溶液(0.1ml 0.5Mシステイン溶液)で反応を停止させ、最後に−20 ℃に放置して、単離精製用に準備しておく。
【0151】
50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)5倍希釈した試料を用いて、5 倍カラム体積の50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)で平衡化させたSPイオン交換クロマトグラフィーカラム(GE社、XK16/20カラム、macroCap SPフィラー)にセットして、その後2倍カラム体積の50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5)で平衡化させ、その後20倍カラム体積内に、100% B緩衝液(1 M NaClを含む50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.5))に線性的に増加させて、AKTA Purifierで溶出ピーク画分を回収した。含量を測定した結果、約1mgのポリペプチドであった。
【0152】
上記回収液を300A内径のC4逆相分析カラム(Jupiter C4 300A 4.6*250mm)を用いて、0.1% TFA水溶液/0.1% TFAアセトニトリル溶液を61/39〜54/46の勾配で溶出させ(10 min)、分析性HPLC(Agilent1200)で分析した結果、試料保持時間が12.1 min、純度が97.7%であった(図22を参照)。GPC分析(島津LC−20AD、SB−802 HQ/SB−803 HQ/SB−804HQ、3本連続)を、0.1 M 硝酸ナトリウム溶液で1.0 ml/minにて溶出する条件で行った。純度が98.4%であった。
【0153】
実施例9 PB−105ポリエチレングリコール化複合物の平衡性試験
PB−110 (PEG5000−PB−105)、PB−106 (PEG20000−PB−105)、PB−107 (PEG30000−PB−105)、PB−108 (PEG40000−PB−105)及びPB−109 (PEG20000*2−PB−105)を、それぞれpH値が4.5の酢酸ナトリウム緩衝液及びpH値が7.0リン酸塩緩衝液、温度が4 ℃及び−20 ℃条件下におき、その安定性を調べた。それぞれ7、15、30、60日目にサンプリングを行ってHPLC分析したが、60日目の結果から、試料は、pH 4.5及び−20 ℃において保存安定であり(図23A)、試料は、pH 7.0において、4 ℃若しくは−20 ℃のいずれにおいても保存安定である(図23B、23C)。
【0154】
実施例10 PB−101とPB−105の体外における細胞内cAMP活性に対する影響
PC12細胞を消化させて、10細胞/mlの密度で24穴プレートに接種し、48時間培養(60−70%にて集め)、原培養液を捨てて、リン酸塩緩衝液(PBS)で2回洗浄し、1 mlの1%牛血清アルブミン(BSA)含有PBSを添加して、実験用のPB−101及びC末端第39位がシステインであるExendin−4変異体PB−105(10−11、10−10、10−9、10−8、10−7及び10−6 M)を、3−イソブチル−1−メチルキサンチン(IBMX、終濃度:100 μM)と30 min共同インキュベートし、試薬培地を捨て、500 μl HCl (0.1 M)を添加して、cAMPに対する酵素の分解を中止させて、細胞を收集し、超音波で細胞破砕を行って、BCA法で細胞のタンパク質含量を測定した。cAMP酵素結合免疫試薬キット(米国RD System公司)の取り扱い書に従って操作を行い、異なる濃度の標準物群を設立して検量線を作成し、反応完成後にELISA リーダー(米国Thermo Fisher Scientific公司)で450 nmの光吸收値を測定し、当該吸收値を用いて検量線にて対応のcAMP濃度を読み出し、最後に試料中のcAMP濃度を計算した。Graphpad Prizmソフトを用いて、PB−101及びPB−105の体外における細胞内cAMPを増加させる用量反応関係の結果について計算を行う。
【0155】
図24に示すように、実験結果は、PB−101が投与量依存的にPC12細胞内cAMP含量を増加させており、cAMP増加の最大値(Emax)が133.2±7.2 pmol/100 μg(タンパク質)、EC50値が1.9x10−9 Mである。 PB−105の体外におけるPC12細胞内cAMPに対する影響は、PB−101と非常に類似している。その中、PB−105のcAMP増加最大値(Emax)が129.4±6.8 pmol/100 μg(タンパク質)(PB−105 vs PB−101, P > 0.05)であり、EC50値が2.5x10−9 Mである。さらなる分析から、PB−101と PB−105のLog EC50値がそれぞれ−8.71±0.15と−8.61±0.15 (PB−105 vs PB−101, P > 0.05)であることを分かる。これは、C末端第39位にシステイン(チオール)を導入することは、PB−101自身の生物活性を変化させないことを示唆している。
【0156】
実施例11 PB−105及びそのポリエチレングリコール化複合物の体外における細胞内cAMP活性に対する影響
PC12細胞を消化させて、10細胞/ml密度で24穴プレートに接種して、48時間(到60−70%にて集め)培養し、原培養液を捨て、PBSで2回洗浄し、1 mlの1%BSA含有PBSを添加し、受験薬物PB−105、PB−105ポリエチレングリコール化(PEG5000)複合物PB−110、PB−105ポリエチレングリコール化(PEG20000)複合物PB−106、PB−105ポリエチレングリコール化(PEG30000)複合物PB−107、PB−105ポリエチレングリコール化(PEG40000)複合物PB−108及びPB−105ポリエチレングリコール化(PEG20000x2,ダブルアーム)複合物PB−109(10−11、10−10、10−9、10−8、10−7、10−6 及び10−5 M)を、3−イソブチル−1−メチルキサンチン(IBMX、終濃度:100 μM)と30 min共同インキュベートし、試薬培地を捨て、500 μl HCl (0.1 M)を添加して、cAMPに対する酵素の分解を中止して、細胞を收集し、超音波で細胞破砕を行って、BCA法で細胞のタンパク質含量を測定した。cAMP酵素結合免疫試薬キットの取り扱い書に従って操作を行い、異なる濃度の標準物群を設立して検量線を作成し、反応完成後にELISA リーダーで450 nmの光吸收値を測定し、当該吸收値を用いて検量線にて対応のcAMP濃度を読み出し、最後に試料中のcAMP濃度を計算した。Graphpad Prizmソフトを用いて、PB−106、PB−107、PB−108、PB−109及PB−110の体外における細胞内cAMPを増加させる用量反応関係の結果について計算を行う。
【0157】
実験結果から分かるように、PB−105は、投与量依存的にPC12細胞内cAMP含量を増加させており、そのcAMP増加最大値(Emax)が103.9±1.5 pmol/100 μg(タンパク質)、EC50値が1.3x10−9 Mである。ポリエチレングリコール化修飾は、分子量(5−40 kDa)−依存的に右へ平行に移動する用量反応関係曲線を示し、PB−105の生物活性が低下する(図25)。PB−110、PB−106、PB−107、PB−108及びPB−109のEC50値はそれぞれ1.1x10−9、1.1x10−9、1.2x10−8、9.7x10−8及び1.3x10−7 Mである。その中、5 kDa (PB−110) 及び20 kDa (PB−106) ポリエチレングリコール化修飾は、ほぼPB−105の活性を影響しない(それぞれPB−105活性の115%)が、30 kDa (PB−107)及び40 kDa (線性的及びダブルアームを含む、PB−108及びPB−109) ポリエチレングリコール化修飾は、それぞれPB−105の活性を約90%及び99%低下させる。ポリエチレングリコール化複合物におけるポリエチレングリコールの分子量とこれら薬物の活性(Log EC50)の関連性は図26A(図24におけるPB−105のEC50値を含む)に参照されたい。
【0158】
実施例12 PB−105及びそのポリエチレングリコール化複合物の体外における細胞内cAMP活性に対する影響
PC12細胞を消化させて、10細胞/ml密度で24穴プレートに接種して、48時間培養し(60−70%にて集め)、原培養液を捨て、PBS で2回洗浄し、1 mlの1%BSA含有PBSを添加して、受験薬物PB−105、PB−105ポリエチレングリコール化(PEG23000)複合物PB−119及びPB−105ポリエチレングリコール化(PEG27000)複合物PB−120 (10−11、10−10、10−9、3x10−9、10−8及び10−7 M)を、3−イソブチル−1−メチルキサンチン(IBMX、終濃度:100 μM)と30 min共同インキュベートし、試薬培地を捨て、500 μl HCl (0.1 M) を添加して、cAMPに対する酵素の分解を中止させて、細胞を收集し、超音波で細胞破砕を行って、BCA法で細胞のタンパク質含量を測定した。cAMP酵素結合免疫試薬キットの取り扱い書に従って操作を行い、異なる濃度の標準物群を設立して検量線を作成し、反応完成後にELISA リーダーで450 nmの光吸收値を測定し、当該吸收値を用いて検量線にて対応のcAMP濃度を読み出し、最後に試料中のcAMP濃度を計算した。Graphpad Prizmソフトを用いて、PB−105、PB−119、及びPB−120の体外における細胞内cAMPを増加させる用量反応関係の結果について計算を行う。
【0159】
実験結果から分かるように、PB−105は投与量に依存的にPC12細胞内cAMP含量を増加させており、 EC50値が2.7x10−9 Mである。PB−106(PEG20000)及びPB−119(PEG23000)は、PB−105のcAMP活性を影響しないが、PB−120(PEG27000)は用量反応関係曲線が右へ平行に移動して、PB−105のcAMP生物学的効果を約50%低下させる(図27)。PB−106、PB−119及びPB−120のEC50値はそれぞれ1.5x10−9、2.5x10−9及び5.4x10−9 Mである。
【0160】
通常、複合基の分子量(例えば4 kDaから)の増加に伴って、複合生物分子の生物活性が指数関数的に低下していくと知られている(Bailon et al. Rational design of potent, long−lasting form of interferon: A 40 kDa branched polyethylene glycol−conjugated interferon α−2a for the treatment of hepatitis C. Bioconjugate Chem 2001 ; 12 : 195 −202; Bowen et al. Relationship between molecular mass and duration of activity of polyethylene glycol conjugated granulocyte colony−stimulating factor mutein. Experimental Hematology 1999; 27: 425 −32;Bailon et al. PEG−modified biopharmaceuticals. Expert Opin Deliv. 2009; 6: 1−16)。しかし、図25及び図27において、複合された重合体基の分子量とExendin変異体複合物の体外における刺激によるcAMP活性の間の関係は、このような予想とは完全に一致していないことを意外に見出した。少なくとも複合されたPEG分子量が23 kDaまで高いExendin変異体複合物では、ポリエチレングリコール化修飾は、Exendin変異体複合物の体外における刺激による細胞のcAMP作用を影響しない(さらにPEG分子量が27 kDaまで高くても軽くだけに影響する)。逆に、ポリエチレングリコール化修飾は、PB−105の最大の刺激によるcAMP生成作用(Emax)を影響しなく、PB−110、 PB−106、PB−107、PB−108及びPB−109のEmax値は、それぞれ102.1±1.8、111.9±2.1、126.2±3.4、100.4±1.7及び115.5±3.5 pmol/100 μgタンパク質である。ポリエチレングリコール化複合物におけるポリエチレングリコールの分子量とこれら薬物のEmax値は関連性がない(図26Bを参照)(図24におけるPB−105のEmax値を含む)。
【0161】
発明者は、このような意外な試験結果に基づいて、下記のその後の分析を行った。本実施例では反応系として血清含有培地(その中、プロテアーゼを多く含む)を使用していない上で、且つ反応溶液中にもプロテアーゼを外添していないので、本実施例において、体外条件でのExendin変異体及びその複合物の酵素分解促進作用は、生体内の環境の場合と比べて顕著に低い。即ち、より長い作用時間の生体内の試験では、複合していない野生型Exendin若しくはExendin変異体と比べて、本発明のExendin変異体複合物の生物活性の低下の程度がより低く、複合Exendin若しくはその変異体の生物活性よりも高い可能性が高いと考えられる。一方、さらに23 kDaを超えた重合体基とExendin変異体を複合しても、その生体内の生物活性を顕著に影響しない。本発明はこれらの理論推測に限定されないが、これらの予測結果は、この後の実施例において証明されている。
【0162】
実施例13 PB−101及びPB−105の血糖降下作用の、時間と効果の試験
雄昆明マウス(体重27−32 g)を用い、実験前にマウスを非絶食絶水して、ランダムに3群にわけ、群ごとに6匹にする。等体積の、生理食塩水(10 ml/kg)、PB−101(10 μg/kg)及びC末端第39位がシステインであるExendin変異体PB−105(10 μg/kg)を、それぞれ皮下単回注射した。注射後の0、1、2、4、8、12時間に、尾尖採血を行い、米国ジョンソン・エンド・ ジョンソン社の「OneTouch Ultra」型グルコメーター及び付きの試験紙で血糖を測定する。縦軸が異なる時点の血糖値、横軸が時間で血糖降下作用の時間と効果の曲線を作成して、PB−101及PB−105の血糖降下作用の生物半減期を算出した。結果は図28に示したように、システイン置換された後のExendin−4変異体とExendin−4の生物半減期はそれぞれ4.7±0.2 hrs及び4.4±0.2 hrs (PB−105 vs PB−101, P>0.05)である。C末端39位にてシステイン置換された後のExendin−4変異体とExendin−4とは同程度の生物半減期を有していることを示した。
【0163】
実施例14 PB−101及びPB−105血糖降下作用の、用量反応試験
雄昆明マウス(体重23−27 g)を用い、実験前にマウスを3 h絶食させたが、絶水せず、ランダムに16群に分け、一群当たり18匹にした。等体積の生理食塩水(10 ml/kg)と、PB−101 (0.01,0.1,0.3,1,3,10,100 μg/kg)及びC末端第39位がシステインであるExendin変異体PB−105 (0.01、0.1、0.3、1,3、10、100 μg/kg)とをそれぞれ皮下単回注射した。注射後の1時間に、尾尖採血を行い、米国ジョンソン・エンド・ ジョンソン社の「OneTouch Ultra」型グルコメーター及び付きの試験紙で血糖を測定する。縦軸に血糖値を表し、横軸に投与量を表して、血糖降下作用の用量反応曲線を作成し(図29)、かつGraphpad Prizmソフトを用いて、PB−101及びPB−105の血糖降下作用の用量反応関係パラメタ(Emax及びED50)を計算した。その結果、PB−101及びPB−105の単回注射における最大血糖降下效率はそれぞれ32.2%及び36.1%であり、ED50値がぞれぞれ0.6 及び1.2 μg/kgであった。さらなる分析から、PB−101及びPB−105のLog ED50値がそれぞれ−0.25±0.17及び0.08±0.20 (PB−105 vs PB−101, P>0.05)であることを分かった。実験結果から分かるように、C末端39位でシステイン置換された後のExendin−4変異体PB−105とExendin−4は、血糖降下効果において顕著性な差がなかった。
【0164】
実施例15 PB−101及その変異体PB−102血糖降下作用の、用量反応試験
雄昆明マウス(体重22−26g)を用い、実験前にマウスを3 h絶食したが、絶水せず、ランダムに18群にわけて、一群当たりに6匹にした。等体積の生理食塩水(10 ml/kg)、PB−101 (0.01,0.1,1,10,100μg/kg)及びC末端第35位がシステインであるExendin変異体PB−102(0.01,0.1,1,10,100μg/kg)をそれぞれ皮下単回注射した。注射後の1時間に尾尖採血して、米国ジョンソン・エンド・ ジョンソン社の「OneTouch Ultra」型グルコメーター及び付きの試験紙で血糖を測定する。縦軸に血糖値を表し、横軸に投与量を表して、血糖降下作用の用量反応曲線を作成し(図30)、Graphpad Prizmソフトを用いて、PB−101及びPB−102の血糖降下作用の用量反応関係パラメタ(Emax及びED50)を計算した。その結果、単回注射PB−101及びPB−102の最大血糖降下效率はぞれぞれ39.8%及び32.8%であり、ED50値がそれぞれ0.5及び2.5 μg/kgであった。さらなる分析により、PB−101及びPB−102のLog ED50値がぞれぞれ−0.2867±0.2272及び0.4015±0.2946 (PB−102 vs PB−101, P>0.05)であることを分かった。実験結果からわかるように、C末端35位でシステイン置換された後のExnedin−4変異体PB−102とExendin−4は血糖降下効果において顕著な差がなかった。
【0165】
実施例16 PB−105及びそのポリエチレングリコール化複合物の、等量血糖降下作用の、時間と効果の試験
雄昆明マウス(体重22−26g)を用いて、実験前にマウスを非絶食絶水にし、ランダムに6群に分けて、一群当たりに12匹にした。PB−105(10 μg/kg)、PB−105ポリエチレングリコール化(PEG5000)複合物PB−110(10 μg/kg)、PB−105ポリエチレングリコール化(PEG20000)複合物PB−106(10 μg/kg)、PB−105ポリエチレングリコール化(PEG30000)複合物PB−107(10 μg/kg)、PB−105ポリエチレングリコール化(PEG40000)複合物PB−108(10 μg/kg)及びPB−105ポリエチレングリコール化(PEG20000x2,ダブルアーム)複合物PB−109(10 μg/kg)を、それぞれ皮下単回注射した。注射後の0、1、2、4、8、12、18、24、36時間目に尾尖採血して、米国ジョンソン・エンド・ ジョンソン社の「OneTouch Ultra」型グルコメーター及び付きの試験紙で血糖を測定する。縦軸が異なる時点の血糖値、横軸が時間で血糖降下作用の時間と効果の曲線を作成して(図31)、PB−105及びそのポリエチレングリコール化複合物血糖降下作用の生物半減期及び最大血糖降下作用及び血糖降下作用曲線下面積(表1)を算出した。
【0166】
表1からわかるように、複合していないPB−105と比べて、試験に用いた各種のExendin変異体複合物はいずれも類似または顕著に高い(PB−106)累積血糖降下效果(血糖曲線下面積を参照)を示しており、且つこれらのExendin変異体複合物はいずれも顕著なより長い生物半減期を有している。さらなるPEG分子量vs.生物半減期、最大血糖降下作用及び血糖降下作用曲線下面積の関連分析の結果から、PB−105ポリエチレングリコール化複合物PB−106、PB−107、PB−108及びPB−109は、いずれもPB−105血糖降下作用の時間(生物半減期t1/2)を顕著に延長させているが、PEG分子量が5−20 kDaの間において、その生物半減期の延長と分子量が正比になり、20 kDaからの血糖降下作用の、時間(生物半減期)はほぼ変化ずに維持され(図32A);ポリエチレングリコール化複合物は、PEG分子量が5−20 kDaの間に最大血糖降下作用が変化ずに保持され、その後ポリエチレングリコール分子量の増加に伴って低下していく(図32B)。
【0167】
血糖降下作用曲線下面積において、PB−106(PEG20 kDa)のみがPB−105より顕著に高く、そのほかの複合物分子はPB−105と近似若しくはわずかに低い累積血糖降下作用を有している(図32C)。これからわかるように、少なくともPEG分子量が20 kDaまで高い場合に、部位特異的なポリエチレングリコール化修飾(PB−110及びPB−106)はExendin変異体複合物の最大血糖降下作用(それぞれがPB−105活性の96%)を顕著に影響せず、PEG分子量が30 kDa若しくはそれ以上の場合(PB−107、PB−108及びPB−109)、これらの複合物がかなりの累積血糖降下作用及び顕著なより長い生物半減期を有しているが、ポリエチレングリコール化修飾はその最大血糖降下作用を顕著に降低させる。当該結果は、相対的に高い分子量の複合基を用いてExendin変異体を複合することによって、顕著なより長い生物半減期及びより緩和及び安定な血糖レベルを獲得でき、血糖レベルの短時間内での過剰低下及び大範囲の波動を避けることができる。当該発現は、前述の体外cAMP実験の結果と一致している(図26を参照)。
【0168】
【表2】

【0169】
実施例17 PB−105及びそのポリエチレングリコール化(PEG30000)複合物PB−107の、同程度の有効投与量における血糖降下作用の、時間と効果の試験
PEG30000(PB−107)は、体外においてPB−105の生物活性の約90%を降低し(図25)、生体内においてPB−105の生物活性の約50%を降低している(図31)ので、本研究は、PB−107の投与量を増加させてPB−105と等效を生じる条件下において、PB−107の生物半減期について、さらに検討した。雄昆明マウス(体重22−25 g)を用いて、実験前にマウス非絶食絶水して、ランダムに2群にわけて、一群当たり6匹にした。PB−105(10 μg/kg)及びPB−105ポリエチレングリコール化(PEG30000)複合物PB−107(100 μg/kg、約10 μg/kg PB−105の100%血糖降下作用を生じる投与量)をそれぞれ皮下単回注射した。注射後に、0、1、2、4、8、12、18、24、36、48、72時間目に尾尖採血を行い、米国ジョンソン・エンド・ ジョンソン社の「OneTouch Ultra」型グルコメーター及び付きの試験紙で血糖を測定する。縦軸が異なる時点の血糖値、横軸が時間で血糖降下作用の時間と効果の曲線を作成して、PB−105(10 μg/kg)及びPB−107(100 μg/kg)血糖降下作用の生物半減期を計算した。その結果、図33に示したように、PB−105(10 μg/kg)及びPB−107(100 μg/kg)の生物半減期はそれぞれ4.5±0.4 hrs及び44.6±4.5 hrs (P > 0.05, PB−107 vs PB−105)であった。等效投与量の時間と効果の関係研究結果から、ポリエチレングリコール化(PEG30000)(PB−107)はPB−105血糖降下作用の時間を10倍までに延長させることを分かった。
【0170】
実施例18 PB−105及びそのポリエチレングリコール化(PEG20000)複合物PB−106の、血糖降下作用の、用量反応試験
雄昆明マウス(体重20−24 g)を用いて、実験前にマウスを3 h絶食したが、絶水せず、ランダムに13群にわけて、一群当たり6匹にした。等体積の塩水(10 ml/kg)、PB−105 (0.1、0.3、1,3、10、30 μg/kg)及び等しい投与量のポリエチレングリコール化(PEG20000)複合物PB−106 (0.1,0.3,1,3,10,30 μg/kg)を、それぞれ皮下単回注射した。PB−105群は、注射後の1時間目(血糖降下ピーク値の時間、図28及び31を参照)に尾尖採血し、PB−106群は注射後の4時間目(血糖降下ピーク値の時間、図31を参照)に尾尖採血して、米国ジョンソン・エンド・ ジョンソン社の「OneTouch Ultra」型グルコメーター及び付きの試験紙で血糖を測定する。縦軸に血糖値を表し、横軸に投与量を表して、血糖降下作用の用量反応曲線を作成し(図34)、Graphpad Prizmソフトを用いて、PB−105及びPB−106の血糖降下作用の用量反応関係パラメタ(Emin、Emax及びED50)を計算した。単回注射されたPB−105及びPB−106のEminはそれぞれ8.3 ± 0.2 及び8.4 ±0.3 mmol/Lであり、そのEmaxはそれぞれ6.0 ± 0.3及び5.5 ± 0.6 mmol/L(最大血糖降下效率はぞれぞれ27.8%及び34.5%)であった。PB−105及びPB−106のED50値はぞれぞれ1.2及び3.3 μg/kgであった。さらなる分析から、PB−105及びPB−106のLog ED50値はそれぞれ0.07 ± 1.2及び0.5 ± 0.2(PB−106 vs. PB−105,P > 0.05)であることを分かった。実験結果に示すように、ポリエチレングリコール(PEG20000)修飾された後のPB−105複合物PB−106とPB−105は、血糖降下効果(Emax及びED50を含む)において顕著な差異がない。
【0171】
実施例19 PB−105、PB−111及びポリエチレングリコール化複合物PB−106及びPB−112の、正常のマウスに対する血糖降下の時間と効果の試験
雄昆明マウス(体重24−30 g)を用いて、実験前にマウスを非絶食絶水し、ランダムに4群に分けて、一群当たりに6匹にした。PB−105(10 μg/kg),PB−105ポリエチレングリコール化(PEG20000)複合物PB−106(10 μg/kg)、PB−111(10 μg/kg)及びPB−111ポリエチレングリコール化(PEG20000)複合物PB−112(10 μg/kg)をそれぞれ皮下単回注射した。その中、PB−111は、C末端39位でシステイン連結チロシンのPB−105誘導体。注射後の0、0.5、1、2、4、8、12、24、48時間目に尾尖採血し、米国ジョンソン・エンド・ ジョンソン社の「OneTouch Ultra」型グルコメーター及び付きの試験紙で血糖を測定する。縦軸が異なる時点の血糖値、横軸が時間で血糖降下作用の時間と効果の曲線を作成して、PB−105及びPB−111及びそのポリエチレングリコール複合物血糖降下作用の生物半減期及び最大血糖降下作用を算出した。その結果、図35に示すように、PB−105、PB−106、PB−111及びPB−112はいずれも時間依存的にマウスのランダムに測る血糖を低下させている。PB−105及びPB−111の生物半減期はそれぞれ4.6 hrs及び6.0 hrsで、最大血糖降下作用はそれぞれ44.7%及び36.4%であった。PB−106及びPB−112の生物半減期はそれぞれ19.6 hrs及び21.7 hrsで、最大血糖降下作用はそれぞれ37.3%及び34.9%であった。結果に示したように、C末端39位にチロシンが付加されてもPB−105及びそのポリエチレングリコール化複合物PB−106の血糖降下活性及び生物半減期に影響しない。
【0172】
実施例20 PB−101及その変異体PB−105、PB−111及びPB−113及びポリエチレングリコール化複合物PB−106、PB−112及びPB−114の、STZ糖尿病マウスに対する血糖降下時間と効果の試験
糖尿病モデルを作成する前にマウスを14時間絶食して、尾尖採血にて空腹時の血糖値を測定し、その直後に新たに調製されたSTZ(ストレプトゾトシン) (120 mg/10 ml/kg、新規調製、pH 4.5の0.1Mのクエン酸緩衝液溶解) を皮下単回性注射し、3日後に血糖を測定して、マウスのランダムに測る血糖は16.7 mmol/Lより高いであれば糖尿病モデルマウスにする。実験前にマウスを非絶食絶水し、7群にわけて、一群当たり4 − 6匹にする。尾静脈採血して0 hの血糖を検査し、そして等体積のPB−101(10 μg/10ml/kg)、PB−105(10 μg/kg)、PB−106(10 μg/kg)、PB−111(10 μg/kg)、PB−112(10 μg/kg)、PB−113(10 μg/kg)及びPB−114(10 μg/kg)をそれぞれ皮下単回注射した。その中、PB−111はC末端39位でシステイン連結チロシンのPB−105誘導体であり、PB−113はN末端第2位でグリシンがD型アラニンで置換されたPB−105誘導体であり、PB−114はPB−113ポリエチレングリコール化(PEG40000)複合物である。注射後に、0.5、1、2、4、8、12、24、48 hrsで採血し、血糖を測定した。ことなる時間点の血糖値を縦軸にし、時間を横軸にして、PB−101、PB−105、PB−106、PB−111、PB−112、PB−113及びPB−114の血糖降下作用の時間と効果の曲線を作成して、GraphPad Prism 5 Demoソフト(Prism v5, Graphpad Software, Inc., San Diego, CA)でプロットし、数理統計学の方法でPB−101、PB−105、PB−106、PB−111、PB−112、PB−113及びPB−114の生物半減期t1/2を分析して、その差を比較した。
【0173】
図36に示すように、PB−101、PB−105、PB−106、PB−111、PB−112、PB−113及びPB−114の単回注射は、いずれもSTZ誘発糖尿病マウスに対して時間依存的にランダム血糖を低下し、その最大血糖降下效率はそれぞれ47.5%、57.6%、69.8%、54.4%、59.7%、49.2%及び17.9%(PB−101の38%だけに相等)であった。 PB−101、PB−105、PB−106、PB−111、PB−112及びPB−113の生物半減期はそれぞれ5.5、5.5、21.8、5.0、20.3及び5.9 hrsであって、PB−114の生物半減期は血糖降下作用が小さいため測算できなかった。実験結果から分かるように、C末端39位でチロシンを付加若しくはN末端第2位にてD型アラニンでグリシンを置換しても、いずれもPB−105の抗高血糖活性を低下しない;ポリエチレングリコール化(PEG20000)修飾はPB−105及びその誘導体の活性を低下しないが、ポリエチレングリコール化(PEG40000)はPB−105及びその誘導体の活性を顕著に低下させる。
【0174】
実施例21 PB−105及びそのポリエチレングリコール化複合物PB−106、PB−119及びPB−120の、等量血糖降下作用の、時間と効果の試験
雄昆明マウス(体重24−30 g)を用いて、実験前にマウスを非絶食絶水にして、ランダムに4群に分け、一群当たり6匹にする。PB−105(10 μg/kg)、PB−105ポリエチレングリコール化(PEG20000)複合物PB−106(10 μg/kg)、PB−105ポリエチレングリコール化(PEG23000)複合物PB−119(10 μg/kg)及びPB−105ポリエチレングリコール化(PEG27000)複合物PB−120(10 μg/kg)を、それぞれ皮下単回注射した。注射後の0、0.5、1、2、4、8、12、24、36、48時間目に尾尖採血し、米国ジョンソン・エンド・ ジョンソン社の「OneTouch Ultra」型グルコメーター及び付きの試験紙で血糖を測定する。縦軸が異なる時点の血糖値、横軸が時間で血糖降下作用の時間と効果の曲線を作成して、PB−105及びそのポリエチレングリコール化複合物血糖降下作用の生物半減期及び最大血糖降下作用を算出した。その結果、図37に示したように、PB−105、PB−106、PB−119及びPB−120は、いずれも時間依存的にマウスのランダム血糖を低下させて、その生物半減期はそれぞれ6.0、21.7、24.1及び26.1 hrsで、且つPEG分子量の増加に伴って増加する。その血糖降下作用のピーク値の時間はそれぞれ約1時間(PB−105)及び4時間(PB−106,PB−119及びPB−120)で、血糖降下作用のピーク値はそれぞれ35.0%、50.9%、48.2%及び42.2%(図37A)であった。血糖降下−時間面積計算において、PB−106、PB−119及びPB−120はいずれもPB−105血糖降下作用(3−4倍増加)を顕著に増加させており、その累積作用は、PEG分子量の増加に伴って増加している(図37B)。実験結果から分かるように、分子量が20−27 kDaの間に、ポリエチレングリコール修飾は、PB−105の血糖降下活性を低下させず、血糖降下の作用時間を顕著に延長させ、且つ累積血糖降下作用を増加させる。これからわかるように、PEG分子量が20−27 kDaの間にある場合、本発明のExendin変異体複合物PB−106、PB−119及びPB−120の血糖降下作用ピーク値は、複合していないPB−105にも超えており、且つこれらの複合物は顕著なより長い血糖降下作用時間を有し、これらの累積血糖降下作用がPEG分子量の増加に伴って増加して、より優れた総合血糖降下作用を提供できる。
【0175】
実施例22 PB−101、PB−105、PB−106及びPB−120によるハト嘔吐試験
健康な家鳩を雌雄に拘らずに7群に分けて、一群当たりに4−8匹にした。PB−101 (3 mg/kg、N = 4若しくは6 mg/kg, N = 8)、PB−105(3 mg/kg、N = 4若しくは6 mg/kg, N = 8)、PB−106(3 mg/kg、N = 4若しくは6 mg/kg、N = 8)及びPB−120(6 mg/kg、N = 8)をそれぞれ皮下単回注射して、電子監視システムで、投与後24時間内の嘔吐回数及び嘔吐発生の潜伏期間(投与後から第一回の嘔吐が発生するまでの時間) を観測して記録した。嘔吐回数は、くび伸びから口開く、肩落し、腹部収束を経って平静に戻す若しくは嘔吐動作が停止するまでが一回であると定義した。以前の経験から分かるように、ハトは薬物を投与していない等の正常の情况下では嘔吐反応発生すず、PB−101 (3及び6 mg/kg)及びPB−105(3及び6 mg/kg)を投与した場合に、ハトはいずれも投与量に依存的に明らかに嘔吐反応する。PB−101、PB−105の相応投与量群と比べて、PB−106(3 mg/kg及び6 mg/kg)及びPB−120(6 mg/kg)群の家鳩の嘔吐潜伏期間は明らかに延長(約5 − 18倍延長、図38Aを参照)され、嘔吐回数は明らかに低下(約50−70%低下、図38Bを参照)しており、その中、6 mg/kg投与量の場合、統計学的に有意差(p < 0.05)を有する。結果に示されたように、ポリエチレングリコール化修飾はExendin及その変異体による嘔吐反応を明らかに低下させた。
【0176】
実施例23 PB−101、PB−105及びPB−106の、テンジクネズミ全身免疫アレルギー反応及び体重に対する影響
体重が300 g程度である健康な雄テンジクネズミ44匹を、生理食塩水群(N = 10)、PB−101(N = 10)、PB−105 (N = 10)、PB−106 (N = 10)及びアルブミン投与群(N = 4)の5群に分けた。生理食塩水 (1 ml/kg)、PB−101 (100 μg/kg)、PB−105 (100 μg/kg)、PB−106 (100 μg/kg)及びニワトリオボアルブミン (80 mg/kg)を、それぞれ一日の間隔で連続に3回皮下注射し、最後一回の皮下注射から14日後に、誘発投与量の生理食塩水(1 ml/kg)、PB−101(300 μg/kg)、PB−105 (300 μg/kg)、PB−106 (300 μg/kg)及びアルブミン(240 mg/kg) をそれぞれ背側の指で静脈注射した。注射後のすぐ動物反応を観測し、観測時間が誘発後0 − 3時間、表2の基準で動物アナフィラキシー反応症状を記録して、そして表3の基準で動物アナフィラキシー反応程度(半定量)を記録した。
【0177】
【表3】

【0178】
【表4】

【0179】
時間を横軸、アレルギー反応程度(半定量)を縦軸にした図39に示すように、生理食塩水対照群テンジクネズミはすべていずれのアレルギー反応も発生しておらず、アレルギー反応陰性を示す;アルブミン群テンジクネズミはいずれも誘発後にすぐ(< 2 min)死亡し、アレルギー反応が極めて陽性を示す; PB−101群及びPB−105テンジクネズミはアレルギー反応が引き起こされ、陽性反応を示す。PB−101及びPB−105は39アミノ酸残基のポリペプチドであって、長期投与後に生体内に抗体が発生する (Buse et al. Effects of exenatide (exendin−4) on glycemic control over 30 weeks in sulfonylurea−treated patients with type 2 diabetes. Diabetes Care. 2004;27:2628−2635.)。PB−105ポリエチレングリコール化(PEG20000)複合物PB−106はテンジクネズミに対して弱い陰性アレルギー反応を引き起こす。結果から分かるように、ポリエチレングリコール化(PB−106)は、PB−101若しくはPB−105免疫原性を顕著に低下させ、アレルギー反応の発生を減少できる。
【0180】
時間を横軸、テンジクネズミの体重を縦軸にした図(図40)に示すように、感作期間において生理食塩水群テンジクネズミの体重は連続して増加する(実験過程18日内に体重が約38%増加した)。生理食塩水群と比べて、2回連続にアルブミン を投与した4日後に体重は減少しない;しかし2回連続にPB−101 (100 μg/kg)若しくはPB−105 (100 μg/kg) を投与した4日間後に、テンジクネズミ体重はそれぞれ約8%及び11%(p < 0.05)が減少される。同等投与量のPB−106を投与した後、そのテンジクネズミ体重減少作用はPB−101若しくはPB−105より強い; PB−101及びPB−105と比べて、PB−106の投与はそれぞれさらに約8%及び11%(p < 0.05)が減少される。投与停止12日間後に、PB−101、PB−105及びPB−106群テンジクネズミの体重は回復して、生理食塩水群と相当になる。
【0181】
実施例24 PB−105、PB−106、PB−119及びPB−120の、ラット体重及び摂食量に対する影響
体重が200 g程度の健康な雄SDラット24匹を、一匹ずつ200g程度、生理食塩水群(1 ml/kg, N = 4)、PB−105(100 μg/kg, N = 5)、PB−106 (100 μg/kg, N = 5)、PB−119 (100 μg/kg, N = 5)及びPB−120 (100 μg/kg, N = 5)の 5群に分けた。生理食塩水及び薬物を、それぞれ一日の間隔で、連続に3回皮下注射して、ラット体重及摂食量の変化を毎日観測した。
【0182】
時間を横軸、ラット体重を縦軸にした図(図41A)に示すように、投与期間において、生理食塩水群ラットの体重が増加し続き(実験過程9日内に体重が33.4%増加)、生理食塩水群と比べて、PB−105 (100 μg/kg) を連続に3回投与してから9日間後に、体重−時間AUCを指標とし、ラット体重は約5.3%(p < 0.05)減少した;但し、同等投与量のPB−106、PB−119及びPB−120を投与した後、ラット体重減少作用がPB−105よりも強い; PB−105投与と比べて、体重−時間AUCを指標とし、PB−106、PB−119及びPB−120の投与は、それぞれさらに約7%、8%及び8%(p < 0.05)減少させる。
【0183】
時間を横軸、ラット摂食量を縦軸にした図41Bに示すように、投与期間において生理食塩水群ラットの摂食量はほぼ変化しない。生理食塩水群と比べて、摂食量−時間AUCを指標とし、PB−105 (100 μg/kg)を連続に3回投与した後、摂食量は約16%減少する;但し、同等投与量のPB−106、PB−119及びPB−120を投与した後、ラット摂食量を減少させる作用はPB−105より強い; PB−105の投与と比べて、PB−106、PB−119及びPB−120の投与はそれぞれさらに18%、19%及び19%(p < 0.05)減少させる。
【0184】
周知のように、Exendinは、肥満患者の体重を低減できるが、吐き気・嘔吐反応を引き起こすものであり、その作用メカニズムは中枢神経系において、摂食中枢を抑制することや嘔吐中枢を刺激することに関与している(Larsen. Mechanisms behind GLP−1 induced weight loss. Br J Diabetes Vasc Dis 2008; 8(Suppl 2): S34−S41; Schick et al. Glucagonlike peptide 1 (7−36)−amide acts at lateral and medial hypothalamic sites to suppress feeding in rats. Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol 2003; 284:R1427−35)。但し、Exendin若しくはその変異体の複合物は、分子量が増加しており、血液脳関門を透過し難いので、 PB−101による嘔吐反応を低減できる(実施例22を参照)。従って、本研究を開始する前に、発明者は、Exendin若しくはその変異体の複合物においても、Exendinの中枢神経系を介して摂食量及び体重を減少する作用が低減されると予測していた。しかしながら、野生型Exendin及び複合していないExendin変異体も体重及び摂食量を減少させるが、本発明において、Exendin若しくはその変異体のPEG複合物は、顕著な強力な体重及び摂食量を減少する作用を有すことを、意外に見出した。
【0185】
実施例25 PB−101及PB−105薬物動態学試験
雄SDラット(体重250−300 g、中国科学院上海実験動物中心より購入)に30 %抱水クロラール (300 mg/kg、i.p.)を投与して麻醉して、右上縁の鼠径部に切口を開けて、大腿静脈を分離して、大腿静脈カテーテル法(ポリエチレンPE50チューブ、米国Becton Dickinson公司)を実施し、右大腿動脈カニューレは血液採取に用いられ、右大腿静脈カニューレは投与に用いられ、PE−50チューブは背部皮下を経ってくびの背部から引出され、チューブ内にヘパリン液(200 U/ml)を充填して、切口を縫って、手術後のラットを単独の箱に飼いて、12 h以上回復させた。カニューレングされたラットの飼育箱内の活動自由、飲食自由の状態を保持して、PB−101群及びPB−105群(一群当たり3−6匹)に分けて、右大腿静脈により5 μg/kg注入投与して、それぞれ投与後の0.08、0.25、0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、5及び6時間目にPE50チューブにより採血する。血液サンプルを、Eppendorfチューブにて遠心して(5000 rpm、5 min)血漿を調製し、−20 ℃に準備しておく。各群の血漿試料を調製済み後に、Exenatide EIA Kit (Phoenix Pharmaceuticals, Inc. USA)を用いて試料中の薬物濃度を測定した。結果は、血薬濃度値を縦軸、時間を横軸にして、PB−101及びPB−105薬物−時間曲線(図42)を作成した。結果から分るように、PB−105とPB−101は、ラット生体内に類似した分布とクリアランす規律を示す。
【0186】
Kinetica 5.0(Thermo Fisher Scientific Inc., USA)ソフトを用いて、非区分法(Non−compartmental method)にて分析し、PB−101及びPB−105の薬物動態学パラメタ(Cmax, AUC0−t, AUC0−8, t1/2, MRT, CL及びVss等)を算出した。結果は表4に示す。その中、PB−101及びPB−105の血漿半減期はそれぞれ4.8 ± 0.7及び4.9 ± 1.4 hrs (PB−105 vs. PB−101, P > 0.05)であり;薬物−時間曲線下面積はそれぞれ45.4 ± 1.6及び47.9 ± 19.0 ng*hr/ml (PB−105 vs. PB−101, P > 0.05)であった。実験結果に示すように、PB−105及びPB−101は類似した薬物動態学特性を有している。
【0187】
【表5】

【0188】
実施例26 PB−105及びそのポリエチレングリコール化複合物の薬物動態学試験
雄SDラット(体重250−300 g、中国科学院上海実験動物中心より購入)に、30 %抱水クロラール (300 mg/kg、i.p.)を投与して麻醉し、右上縁の鼠径部切口を開けて、大腿静脈を分離して、大腿静脈カテーテル法(ポリエチレンPE50チューブ、米国Becton Dickinson公司)を実施し、右大腿動脈カニューレは血液採取に用いられ、右大腿静脈カニューレは投与に用いられ、PE−50チューブは背部皮下を経ってくびの背部から引出され、チューブ内にヘパリン液(200 U/ml)を充填して、切口を縫って、手術後のラットを単独の箱に飼いて、12 h以上回復させた。カニューレングされたラットの飼育箱内の活動自由、飲食自由の状態を保持した。PB−105、PB−110、PB−106、PB−107、PB−108及びPB−109の6群(一群当たり3匹)に分けた。右大腿静脈により5 μg/kg注入投与し、異なる時点で0.2 mlの血を採血し、投与後の48時間前に、PE50チューブにより採血し、48時間後に尾静脈にて採血する。具体的には、PB−105群(投与後0.08、0.25、0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、5、6時間)、PB−110群(投与後0.08、0.25、0.5、1、2、3、4、5、6、8、10時間)、PB−106群(投与後0.08、0.25、0.5、1、2、4、8、12、24、36、48、60、72、84、96時間)、PB−107群(投与後0.08、0.25、0.5、1、2、4、8、12、24、36、48、60、72、84、96、108、120、132、144時間)、PB−108及びPB−109群(投与後0.08、0.25、0.5、1、2、4、8、12、24、36、48、60、72、84、96、108、120、132、144、156、168時間)である。血液サンプルを、Eppendorfチューブにて遠心して(5000 rpm、5 min)血漿を調製し、−20 ℃に準備しておく。各群の血漿試料を調製済み後に、Exenatide EIA Kit (Phoenix Pharmaceuticals, Inc. USA)を用いて試料中の薬物濃度を測定した。結果は、血薬濃度値を縦軸、時間を横軸にして、ポリエチレングリコール化複合物薬物−時間曲線を作成した。結果から分るように、PB−105及びそのポリエチレングリコール化複合物は快速の分布と緩いクリアランスを示す(図43を参照)。
【0189】
Kinetica 5.0(Thermo Fisher Scientific Inc., USA)ソフトを用いて、非区分法(Non−compartmental method)パラメタにて分析し、PB−105及びそのポリエチレングリコール化複合物の薬物動態学パラメタ(Cmax、AUC0−t、AUC0−8、t1/2、MRT、CL及びVss等)を算出した。結果を表5に示す。その中、PB−105の血漿半減期は2.9±0.1 hrsで、そのポリエチレングリコール化複合物の血漿半減期はポリエチレングリコール分子量の増加に伴って延長する;PB−105薬物−時間曲線下面積は18.2±1.9 ng*hr/mlで、そのポリエチレングリコール化複合物の薬物−時間曲線下面積はポリエチレングリコール分子量の増加に伴って増加する。図44A及び図44Bはそれぞれポリエチレングリコール化複合物におけるポリエチレングリコール分子量と、血漿半減期及び薬物−時間曲線下面積との関係を示している。
【0190】
【表6】

【0191】
本発明のExendin変異体は、薬物動態学性質を改善し、血糖を顕著に低下でき、Exendinと相同若しくはより優れた生物学活性を有する。システインチオール基によって重合体と部位特異的にカップリングしたExendin変異体複合物は、Exendin変異体の半減期を顕著に延長して、高い生物活性を保持できる。
【0192】
本発明は各具体的な実施例によって例を挙げて説明した。しかし、本分野の普通の技術者が理解しているように、本発明は、各具体的な実施方式に限定されるものではなく、普通の技術者は、本発明の趣旨及び範囲から抜けない限り、本発明の範囲内に様々な変更若しくは変形を行うことが可能である。このような変更及び変形は、すべて本発明の範囲内に該当する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
野生型Exendin配列と比べて、1若しくは数個のアミノ酸残基がシステインに置換されたアミノ酸配列を有し、前記野生型Exendin配列が好ましくは、
Exendin−4配列
His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn− Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser(SEQ ID NO: 1)、
Exendin−3配列
His−Ser−Asp−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn− Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser(SEQ ID NO: 2)及びその誘導配列から選ばれたものである、GLP−1受容体アゴニスト活性を有すExendin変異体である。
【請求項2】
少なくとも前記Exendin変異体のC末端でシステインに置換されている、請求項1のExendin変異体。
【請求項3】
少なくとも、SEQ ID NO: 1若しくはSEQ ID NO: 2における第20番目Arg(アルギニン)、25番目Trp(トリプトファン)、35番目Ala(アラニン)、39番目Ser(セリン)と対応する位置から選ばれる1若しくは数個の位置でシステインに置換されている、請求項1のExendin変異体。
【請求項4】
さらに、1若しくは数個の更なるアミノ酸の欠失、挿入及び/または置換を含む、請求項1〜3のいずれか一項のExendin変異体。
【請求項5】
下記から選ばれるアミノ酸配列を有する、請求項1のExendin変異体、
His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn− Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Cys(SEQ ID NO:3);
His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn− Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Cys−Pro−Pro−Pro−Ser(SEQ ID NO:4);
His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn− Gly−Cys−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser(SEQ ID NO:5);
His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Cys−Leu−Lys−Asn− Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser(SEQ ID NO:6);
His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn− Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Cys−Tyr(SEQ ID NO:7);または
His−dAla−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn− Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Cys(SEQ ID NO:8)。
【請求項6】
1若しくは数個の重合体基が請求項1〜5のいずれか一項のExendin変異体に複合し、好ましくは、前記1若しくは数個の重合体基が前記Exendin変異体のシステイン残基上に複合し,より好ましくは、チオエーテル結合により前記Exendin変異体のシステイン残基上に複合する、Exendin変異体複合物。
【請求項7】
前記1若しくは数個の重合体基は、それぞれ独立に、多糖、ポリアルキレングリコール及びその誘導体から選ばれるものであって、例えば、ポリプロピレングリコール及びポリエチレングリコールであり、好ましくはポリエチレングリコールである、請求項6の複合物。
【請求項8】
前記1若しくは数個の重合体基の分子量が、2 kDa〜50 kDa、好ましくは3 kDa〜40 kDa、より好ましくは4 kDa〜35 kDa、さらに好ましくは5 kDa〜30 kDaであって、例えば5 kDa、10 kDa、15 kDa、20 kDa、30 kDa及び40 kDa、並びに上述した各分子量値の間の任意の値である、請求項6或いは7の複合物。
【請求項9】
前記1若しくは数個の重合体基の分子量が、20 kDa〜30 kDa、好ましくは21 kDa〜29 kDa、より好ましくは23 kDa〜27 kDaであって、例えば20 kDa、21 kDa、22 kDa、23 kDa、24 kDa、25 kDa、26 kDa、27 kDa、28 kDa、29 kDa、30 kDa、及び上述した各分子量値の間の任意の値である、請求項6〜8のいずれか一項の複合物。
【請求項10】
下記式(I)の構造を有する、請求項6〜9のいずれか一項の複合物、
【化1】

その中、Exendinは請求項1〜5のいずれか一項に定義されたExendin変異体を表し、 YはH若しくはRPEG−X−を表し、且つ各X及びZがそれぞれ独立に結合基であり、PEGは−(OCHCH−を表し、その中nが正の整数、RがPEGの末端基を表し、好ましくは各Rがそれぞれ独立に、水素、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル基アルキル基、アルキレン基、アリール基若しくはアリールアルキル基から選ばれる。
【請求項11】
各“RPEG−”が、それぞれ独立に下記から選ばれる構造を有する、請求項10の複合物;
【化2】

その中、 k は0、1、2、3、4、5及び6のいずれかの整数であり、各nはそれぞれ独立に40〜1200から選ばれる整数、例えば、46、47、48等である。
【請求項12】
各“RPEG−”は、それぞれ独立に下記から選ばれる構造を有する、請求項10の複合物;
【化3】

その中、kは0、1、2及び3の任意の整数であり、各nはそれぞれ独立に40〜1200から選ばれる整数、例えば、46、47、48等である。
【請求項13】
各結合基“−X−”は、それぞれ独立に下記から選ばれる構造を有する、請求項10の複合物;
【化4】

その中、各p及びmは、それぞれ独立に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11若しくは12中の任意の整数である。
【請求項14】
各結合基“−X−”は、それぞれ独立に下記から選ばれる構造を有する、請求項13の複合物;
【化5】

その中、各pは、それぞれ独立に、0、1、2、3、4若しくは5の任意の整数;各mはそれぞれ独立に、0、1、2、3若しくは4の整数。
【請求項15】
前記の“−Z−Exendin”が、下記の構造を有する、請求項10の複合物;
【化6】

その中、各iは、それぞれ独立に、0若しくは1の整数であり、各jは、それぞれ独立に、1、2、3、4、5若しくは6の整数であり、各qは、それぞれ独立に、1、2、3、4、5若しくは6の整数であり、各wは、それぞれ独立に、1、2、3、4、5若しくは6の整数である。
【請求項16】
前記Exendin変異体が、下記から選ばれるアミノ酸配列を有する、請求項10の複合物;
His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Cys(SEQ ID NO: 3)、若しくは
His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Cys−Pro−Pro−Pro−Ser(SEQ ID NO: 4)。
【請求項17】
請求項6〜16のいずれか一項に記載の複合物の調製方法であって、請求項1〜5のいずれか一項記載のExendin変異体と、前記重合体とを接触させることを含み、好ましくは、その前記重合体は活性化基を持ち、若しくは接触させる際に活性化される、調製方法。
【請求項18】
前記重合体が、ポリエチレングリコールであって、好ましくはその分子量の範囲が2 kDa〜50 kDa、より好ましくは3 kDa〜40 kDa、さらに好ましくは5 kDa〜30 kDa、さらに好ましくは20 kDa〜30 kDa、さらに好ましくは23 kDa〜27 kDaである、請求項17の方法。
【請求項19】
pH値が5.0〜7.0、ポリエチレングリコールとペプチドとのモル比の値が1〜10、反応時間が0.5〜12時間、反応温度が0〜50℃、好ましくは2〜40℃、より好ましくは4〜37℃、の条件下で接触させる、請求項18の方法。
【請求項20】
前記ポリエチレングリコールは、該Exendin−4変異体のアミノ酸配列におけるシステイン残基上に複合し、好ましくは前記ポリエチレングリコールはチオエーテル結合で前記システイン残基上に複合する、請求項18の方法。
【請求項21】
前記ポリエチレングリコールは、マレインイミドによって活性化される、請求項18の方法。
【請求項22】
有効量の、請求項1〜5のいずれか一項に記載のExendin変異体及び/または請求項6〜16のいずれか一項に記載の複合物、及び任意に選択した薬学的に許容されるキャリアを含む、薬物組成物。
【請求項23】
血糖の低下、好ましくは糖尿病の治療、より好ましくはI型糖尿病及び/またはII型糖尿病の治療、特に好ましくはII型糖尿病の治療に用いる、請求項22の薬物組成物。
【請求項24】
前記薬学的に許容されるキャリアが緩衝系を含み、好ましくは前記緩衝系がpH約3.0〜約6.0の酢酸塩の緩衝溶液、若しくはpH約5.0〜約9.0のリン酸塩の緩衝溶液である、請求項22の薬物組成物。
【請求項25】
0.02 mg/ml〜50 mg/ml のExendin変異体、及び/または0.4 mg/ml〜400 mg/mlのExendin変異体複合物を含み、好ましくは0.20 mg/ml〜5 mg/mlのExendin変異体及び/または4mg/ml〜40 mg/mlのExendin変異体複合物を含み、より好ましくは0.5 mg/ml〜2 mg/mlのExendin変異体及び/または10mg/ml〜20 mg/mlのExendin変異体複合物を含む、請求項22の薬物組成物。
【請求項26】
前記薬学的に許容されるキャリアは、等浸透圧調整剤及び/または防腐剤を含み、好ましくは前記等浸透圧調整剤が蔗糖、マンニトール、塩化ナトリウム及びグリセロールの一種若しくは複数種であり、好ましくは前記防腐剤が、m−クレゾール、ベンジルアルコール、p− ヒドロキシ安息香酸メチル 、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル及びp−ヒドロキシ安息香酸ブチルから選ばれる一種若しくは複数種である、請求項22の薬物組成物。
【請求項27】
前記Exendin変異体複合物は、親水性重合体と複合したExendin変異体複合物であり、好ましくは前記親水性重合体がポリエチレングリコール、より好ましくは前記ポリエチレングリコールの分子量が2 kDa〜50 kDaである、請求項22の薬物組成物。
【請求項28】
液体製剤の形態である、請求項22〜27のいずれか一項の薬物組成物。
【請求項29】
凍結乾燥製剤の形態である、請求項22〜27のいずれか一項の薬物組成物。
【請求項30】
前記凍結乾燥製剤は、凍結乾燥保護剤を含み、好ましくは前記凍結乾燥保護剤は、糖類、例えば蔗糖、ラクトース、マンニトール、トレハロース等から選ばれる一種若しくは複数種である、請求項29の薬物組成物。
【請求項31】
血糖低下用薬物の調製における、請求項1〜5のいずれか一項のExendin変異体若しくは請求項6〜16のいずれか一項の複合物の用途。
【請求項32】
前記薬物は、I型糖尿病及びII型糖尿病を含む糖尿病の治療、特にII型糖尿病の治療に用いられる、請求項31の用途。
【請求項33】
血糖を低下させる方法であって、このような需要がある対象に、請求項1〜5のいずれか一項のExendin変異体若しくは請求項6〜16のいずれか一項の複合物を施する方法。
【請求項34】
I型糖尿病及びII型糖尿病を含む糖尿病の治療、特にII型糖尿病の治療に用いられる、請求項33の方法。
【請求項35】
請求項1〜5のいずれか一項のExendin変異体及び/または請求項6〜16のいずれか一項の複合物、及び取扱説明書を含む、試薬キット。
【請求項36】
体重の減少方法であって、このような需要がある対象に、1若しくは数個の重合体基が複合したExendin若しくはその変異体を施することを含み、その中、前記1若しくは数個の重合体基が好ましくはポリエチレングリコール基である方法。
【請求項37】
前記Exendin若しくはその変異体の複合物は、請求項6〜16のいずれか一項の複合物である、請求項36の方法。
【請求項38】
体重減少用薬物の調製における、1若しくは数個の重合体基が複合したExendin若しくはその変異体の用途であって、その中、前記1若しくは数個の重合体基が、好ましくはポリエチレングリコール基である用途。
【請求項39】
前記Exendin若しくはその変異体の複合物は、請求項6〜16のいずれか一項の複合物である、請求項38の用途。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23A】
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【図23B】
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【図23C】
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【図24】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32A】
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【図32B】
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【図32C】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44A】
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【図44B】
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【公表番号】特表2012−524730(P2012−524730A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506327(P2012−506327)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【国際出願番号】PCT/CN2010/072094
【国際公開番号】WO2010/121559
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(511255993)ペグバイオ コーポレーション リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】PEGBIO CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Suite 417, Building A3, Biobay 218 Xinghu Street,Industrial Park, Suzhou,Jiangsu 215123, P. R. China
【Fターム(参考)】