新車両企画検討支援方法
【課題】新車両企画検討用の車両モデルを構築するにあたって、既存車両を構成するプラットフォームをどの程度共用することができるかを簡単かつ直感的に把握する上で有利な新車両企画検討支援方法を提供する。
【解決手段】基本車両モデルの変形に伴う既存のプラットフォームへの影響を、プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整によって吸収させ、プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整量が既存のプラットフォーム構成部品を使用することで吸収可能な範囲内であるか否かを判定する。そして、その判定結果に応じて、外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品として既存の部品を使用できるか、外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品を新規に製作する必要があるかを表示する。
【解決手段】基本車両モデルの変形に伴う既存のプラットフォームへの影響を、プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整によって吸収させ、プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整量が既存のプラットフォーム構成部品を使用することで吸収可能な範囲内であるか否かを判定する。そして、その判定結果に応じて、外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品として既存の部品を使用できるか、外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品を新規に製作する必要があるかを表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新車両企画検討支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、効率的に車両の企画検討あるいは設計を行うために、企画検討あるいは設計を支援する支援方法が種々提案されている(特許文献1乃至5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−99499号公報
【特許文献2】特開2003−108625号公報
【特許文献3】特開2004−302673号公報
【特許文献4】特開2002−366606号公報
【特許文献5】特開2007−4423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
新車両の企画検討の際に車両モデルの外形形状のイメージを作り上げ、企画検討を短時間で実施するにあたっては、車両としての成立性を確保しつつ、車両モデルの外形形状の変形を簡単な操作でかつ短時間に行うことが要求される。
そこで、既存車両を構成するプラットフォームの共用を図りつつ、新車両企画検討用の車両モデルを構築することが考えられる。
この場合、車両モデルの外形形状を変形させたときに、その外形形状の変形を既存のプラットフォームを構成する既存のプラットフォーム構成部品を用いることで実現できるか、あるいは、プラットフォーム構成部品として新規部品を製作する必要があるかを把握することができれば、新車両の企画検討を行う上で好ましい。
しかしながら、上述した従来技術では、このような要求を十分に満たしているものとはいえなかった。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、新車両企画検討用の車両モデルを構築するにあたって、既存車両を構成するプラットフォームをどの程度共用することができるかを簡単かつ確実に把握する上で有利な新車両企画検討支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明は、新車両企画検討用モデルとしての車両モデルを表示装置の画面に表示することにより新車両の企画検討を支援する新車両企画検討支援方法であって、複数の既存のプラットフォーム構成部品からなる既存のプラットフォームに複数の車両構成部品を組み付けることで構成された車両のモデルを基本車両モデルとして構築する基本車両モデル構築ステップと、前記基本車両モデルに基づいて該基本車両モデルの外形画像を前記画面上に表示する第1の画像表示ステップと、前記画面上に表示された前記基本車両モデルの外形画像を使用者の操作に基づいて変形させると共に、前記外形画像の変形に連動して前記基本車両モデルを変形し、かつ、前記基本車両モデルの変形に伴う既存のプラットフォームへの影響を、前記プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整によって吸収させる車両モデル変形ステップと、前記変形された基本車両モデルの外形画像を前記画面上に表示する第2の画像表示ステップと、前記車両モデル変形ステップによる前記プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整量が既存のプラットフォーム構成部品を使用することで吸収可能な範囲内であるか否かを判定する調整量判定ステップと、前記調整量判定ステップの判定結果が肯定である場合に、前記外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品が既存のプラットフォーム構成部品で構成されることを示す第1の表示を前記画面上で行う第1の表示ステップと、前記調整量判定ステップの判定結果が否定である場合に、前記外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品が新規に製作されるプラットフォーム構成部品で構成されることを示す第2の表示を前記画面上で行う第2の表示ステップとを含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、基本車両モデルの変形に伴う既存のプラットフォームへの影響を、プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整によって吸収させ、プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整量が既存のプラットフォーム構成部品を使用することで吸収可能な範囲内であるか否かを判定する。そして、その判定結果に応じて、外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品として既存の部品を使用できるか、外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品を新規に製作する必要があるかを表示する。
したがって、新車両企画検討用の車両モデルを構築するにあたって、既存車両を構成するプラットフォームをどの程度共用することができるかを簡単かつ直感的に把握する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明が適用される新車両企画検討支援システムの構成図である。
【図2】クライアント端末6の構成を示すブロック図である。
【図3】サーバ2およびクライアント端末6の機能ブロック図である。
【図4】実施の形態における新車両企画検討支援方法のフローチャートである。
【図5】車両モデルの外形画像の変形操作の説明図である。
【図6】車両モデルの外形画像の変形操作の説明図である。
【図7】プラットフォーム構成部品を説明する車両の平面図である。
【図8】プラットフォーム構成部品を説明する車両の側面図である。
【図9】(A)は図8のa部の拡大図、(B)は図8のb部の拡大図、(C)は図8のc部の拡大図である。
【図10】プラットフォーム構成部品を説明する車両の正面図である。
【図11】(A)は図10のa部の拡大図、(B)は図10のa部の拡大図である。
【図12】プラットフォーム構成部品を説明する車両の後面図である。
【図13】図12のa部の拡大図である。
【図14】基本諸元および計測箇所を説明する車両の平面図である。
【図15】基本諸元および計測箇所を説明する車両の側面図である。
【図16】基本諸元および計測箇所を説明する車両の正面図である。
【図17】基本諸元および計測箇所を説明する車両の後面図である。
【図18】グランドラインと番線(車体基準)の説明図である。
【図19】車両モデルの外形輪郭を示すシルエット線を示す車両の側面図である。
【図20】車両モデルの外形画像の変形操作の説明図である。
【図21】車両モデルの外形画像の変形操作による第1の表示を示す説明図である。
【図22】車両モデルの外形画像の変形操作による第2の表示を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に本発明の実施の形態について図1乃至図21を参照して説明する。
まず、本発明方法を実行する新車両企画検討支援システムの構成について説明する。
図1に示すように、新車両企画検討支援システム8は、サーバ2と、通信ネットワーク4を介してサーバ2に接続された1つ以上のクライアント端末6とを含んで構成されている。
サーバ2は後述する各データベースを構成するものである。
通信ネットワーク4としては、LAN、WANなど従来公知のさまざまな通信ネットワークが使用可能である。
【0009】
クライアント端末6は、パーソナルコンピュータによって構成されている。
図2に示すように、クライアント端末6は、中央演算装置(CPU)6A、主記憶装置6B、外部記憶装置6C、入力装置6D、表示装置6E、通信装置6Fなどを含んで構成され、これら各部6A、6B、6C、6D、6E、6Fはバス6Gで接続されている。
主記憶装置6Bは、中央演算処理装置6Aのワーキングエリアを提供するものであり、RAMなどによって構成されている。
外部記憶装置6Cは、従来公知の制御プログラムや情報に加えて、新車両企画検討支援プログラムなどを格納するものであり、例えば、ハードディスク装置などによって構成されている。
入力装置6Dは、キーボードやマウスなどで構成され、操作者の入力操作を受け付けるものである。
表示装置6Eは、ディスプレイ装置で構成され、その画面上に画像や文字などのデータを出力するものである。
通信装置6Fは、通信ネットワーク4を介してサーバ2との間で情報の授受を行うものである。
中央演算装置6Aは、前記制御プログラムを実行することにより主記憶装置6B、外部記憶装置6C、入力装置6D、表示装置6E、通信装置6Fの制御を司るものである。
また、中央演算装置6Aは前記新車両企画検討支援プログラムを実行することにより、図3に示す各部の機能を実現するものである。
【0010】
次にサーバ2について説明する。
図3に示すように、サーバ2は、既存車両モデルデータベース(以下データベースをDBと表記する)10、既存車両2DDB12、プラットフォーム構成部品DB14、車両構成部品DB16などを含んで構成されている。
【0011】
既存車両3DモデルDB10は、既存の車両の3次元形状を示す車両モデルを格納するものである。
【0012】
既存車両2DDB12は、既存の車両を2次元図面上で表現した場合の各部の寸法を示すデータ、すなわち、基本レイアウトのデータを格納するものである。
【0013】
プラットフォーム構成部品DB14は、プラットフォームを構成する既存の複数のプラットフォーム構成部品の外形形状および外形寸法を示すデータを格納するものである。
ここで、プラットフォームとプラットフォーム構成部品について説明する。
プラットフォーム(Platform)とは、車両の基本性能を決定する重要な部分であり、アッパーボデーが載っていない車台と呼ばれるものである。
自動車を作る場合にプラットフォームに多大な費用がかけられ、プラットフォームに組み付ける車両構成部品を種々変更することにより、異なる車種の車両が作られる。
プラットフォームは、既存の複数のプラットフォーム構成部品で構成されている。
プラットフォーム構成部品は、プラットフォームの大部分を構成するアンダーボデーと、アンダーボデーに組み付けられるフレーム組み付け部品とを含む。
ここでアンダーボデーとは、メインフロアなどと呼ばれるフレームであり、フロアパン、サイドメンバ、クロスメンバ、サイドシルなどである。
さらにフレーム組み付け部品は、エンジン、パワートレイン、マフラー、燃料タンク、サスペンションなどであり、アクスル(車軸)、サスペンションアームなどを含む。
本実施の形態では、これら既存のプラットフォーム構成部品を、外形寸法を固定する固定プラットフォーム構成部品と、基本車両モデルの変形に連動して外形寸法が変形する変形プラットフォーム構成部品との2種類に分けて定義する。
本実施の形態では、このように外形寸法を固定する固定プラットフォーム構成部品を用いることで、言い換えると、プラットフォーム構成部品の共通化を図ることで企画検討用の車両モデルの作成を簡単かつ短時間で行えるようにしている。
【0014】
車両構成部品DB16は、プラットフォームに組み付けることで車両を構成する既存の複数の車両構成部品の外形形状および外形寸法を示すデータを格納するものである。
本実施の形態では、車両構成部品は、主として車両の外形およびデザインや車室空間を決定する部品であって、アッパーボデーの外板、車室内のトリム部品、シートなどが含まれる。
アッパーボデーの外板および車室内のトリム部品は、車両の外観、デザインの変形に対応して変形される部分である。
【0015】
次にクライアント端末6について説明する。
クライアント端末6は、前述したように、中央演算装置6Aが前記新車両企画検討支援プログラムを実行することにより次の各部として機能するものである。
本実施の形態では、クライアント端末6は、基本車両モデル構築部40、画像表示部42、車両モデル変形部44、調整量判定部45、車両モデル計測部46、車両モデル出力部48などを含んで構成されている。
【0016】
基本車両モデル構築部40は、複数のプラットフォーム構成部品からなる既存のプラットフォームに複数の車両構成部品を組み付けることで構成された車両のモデルを基本車両モデルとして構築するものである。
本実施の形態では、基本車両モデル構築部40は、既存車両3DモデルDB10から読み出した既存の車両の3次元形状を示す車両モデルと、既存車両2DDB12から読み出した既存の車両の基本レイアウトのデータを提供し、新車両企画検討用モデルを作成する上で必要十分な情報を有する基本車両モデルを構築する。
また、基本車両モデルは、車両を外方から見た車両の形状と、車室内から車室を見た車室の形状とを含むものである。
【0017】
画像表示部42は、基本車両モデル構築部40で構築された基本車両モデルに基づいて該基本車両モデルの外形画像を表示装置6Eの画面上に表示するものである。
また、画像表示部42は、次に述べる車両モデル変形部44により変形された基本車両モデル、すなわち新車両企画検討用モデルの外形画像を表示装置6Eの画面上に表示するものである。
また、画像表示部42は、車両構成部品DB16から読み出したプラットフォーム構成部品モデルに基づいて、プラットフォーム構成部品の外形画像を基本車両モデルの外形画像に重ね合わせて表示装置6Eの画面上に表示するものである。
また、画像表示部42は、次に述べる調整量判定部45の判定結果に基づいてプラットフォーム構成部品の外形画像の表示形態を異ならせて表示するものである。
ここで、基本車両モデルの外形画像および新車両企画検討用モデルの外形画像とは、3次元空間上に描画された3次元形状としての外形画像と、平面上に描画された2次元形状としての外形画像との双方を含むものである。
なお、本実施の形態では、画像表示部42は、基本車両モデルおよび新車両企画検討用モデルの外形画像に加えて、車室内の形状を示す画像も表示装置6Eの画面上に表示する。
【0018】
車両モデル変形部44は、表示装置6Eの画面上に表示された基本車両モデルの外形画像を使用者の操作に基づいて変形させると共に、外形画像の変形に連動して基本車両モデルを変形するものである。
ここで、車両モデル変形部44による基本車両モデルの外形画像の変形および基本車両モデルの変形は、プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整することによって行なう。
言い換えると、基本車両モデルの変形に伴う既存のプラットフォームへの影響を、プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整によって吸収させる。
このように基本車両モデルの外形画像が変形されることで、所望の外形形状の車両モデルの外形画像、すなわち、新車両企画検討用モデルの外形画像が画像表示部42の画面上に表示される。
また、基本車両モデルが変形されることで、所望の外形形状の車両モデル、すなわち、新車両企画検討用モデルが得られることになる。
【0019】
さらに、本実施の形態では、車両モデル変形部44による基本車両モデルの外形画像の変形および基本車両モデルの変形を行う際の制約条件を設定することができる。
制約条件としては、次に示す第1乃至第3の条件がある。
第1の条件は、基本車両モデルを側方から見た状態で、ボンネットを構成する外板部分とフロントガラスとが交差する箇所であるフロントデッキと、前輪の中心点とが予め定められた相対的位置関係に設定されているという条件である。
また、第2の条件は、基本車両モデルを側方から見た状態で、既存車両で乗員がアクセルペダルに足を置いたときのフロアと踵との交点であるヒール点と、前輪の中心点とが予め定められた相対的位置関係に設定されているという条件である。
また、第3の条件は、新車両企画検討用モデルとしての車両モデルの外形寸法を規定する基本諸元の値(諸元値)を定めるという条件である。
なお、基本諸元とは、後述するように、全長、ホイルベース、フロントオーバーハング、リアオーバーハング、全高、車体幅などを含む。
これら3つ条件は必要に応じて設定されるものであり、3つの条件を設定するか否か、あるいは、3つの条件をどのように選択するかは任意である。
また、第3の条件における基本諸元をどのように設定するかは任意であり、予め設定されていてもよいし、必要に応じて基本諸元を変更して設定してもよい。
制約条件の設定操作は、例えば、クライアント端末6の入力装置6Dの操作により行うなど任意である。
【0020】
調整量判定部45は、車両モデル変形部44によるプラットフォーム構成部品の外形寸法の調整量が既存のプラットフォーム構成部品を使用することで吸収可能な範囲内であるか否かを判定するものである。
上記判定動作は、調整量判定部45がプラットフォーム構成部品DB14から読み出した前記のプラットフォーム構成部品のデータに基づいてなされる。
【0021】
車両モデル計測部46は、車両モデル変形部44によって得られた新車両企画検討用モデルの所望の箇所の寸法、あるいは、面積、容積、角度などを計測しその計測結果を計測データとして出力するものである。
また、車両モデル計測部46から出力される新車両企画検討用モデルの計測データの出力形態は、表示装置6Eの画面上に表示出力し、あるいは、プリンタを用いて印刷出力するなど従来公知の様々な形態が可能である。
【0022】
車両モデル出力部48は、車両モデル変形部44によって得られた新車両企画検討用モデルのデータを出力するものである。
車両モデル出力部48から出力される新車両企画検討用モデルのデータは、例えば、CGやCADなどで使用される従来公知の様々な画像処理用のアプリケーションソフトウェアで利用可能なデータ形式であればよく限定されるものではない。
また、車両モデル出力部48から出力される新車両企画検討用モデルのデータの出力形態は、プリンタを用いた印刷出力など従来公知の様々な形態が可能である。
【0023】
次に、図4のフローチャートを参照して新車両企画検討支援システム8の動作、すなわち、新車両企画検討支援方法について説明する。
まず、複数のプラットフォーム構成部品のうち、後述するステップS18(車両モデル変形ステップ)による車両モデルの変形に連動することなく外形寸法を固定する固定プラットフォーム構成部品と、車両モデルの変形に連動して外形寸法の調整を行う変形プラットフォーム構成部品とを設定する(ステップS10:部品設定ステップ)。
すなわち、その外形寸法を固定する固定プラットフォーム構成部品と、基本車両モデルの変形に連動して外形寸法を調整する変形プラットフォーム構成部品とを設定する。
言い換えると、ステップS10により、基本諸元の寸法の変化を吸収する変形プラットフォーム構成部品が定められることになる。
以下、これらのプラットフォーム構成部品について詳細に説明する。
【0024】
図7に示すように、車両50は、プラットフォーム52と、プラットフォーム52に組み付けられる車両構成部品としてのボデー54および外板56と、前後の車輪58、60を含んで構成されている。
プラットフォーム52を構成するプラットフォーム構成部品は、プラットフォーム52の大部分を構成するフレーム5202と、フレームに組み付けられる複数のフレーム組み付け部品とを含む。
本実施の形態では、フレーム組み付け部品のうち下記の部品が外形寸法の調整を行う変形プラットフォーム構成部品であり、これら変形プラットフォーム構成部品に薄い濃度のハッチングを施している。
本実施の形態では、フレーム5202(アンダーボデー)およびフレーム組み付け部品のうち下記の部品が変形プラットフォーム構成部品であり、これらプラットフォーム構成部品に薄い濃度のハッチングを施している。
フロアエクステンション5204、フロントアクスル5210、フロントサスペンションアーム5212、サイドシル5214、フロントバンパー取り付け部品5216、リアアクスル5218、リアサスペンションアーム5220、リアバンパー取り付け部品5226。
また、ボデー54の一部を構成するアッパーボデーとプラットフォーム52との合わせ部位53を図7において濃いハッチングで示す。
【0025】
変形プラットフォーム構成部品について詳細に説明する。
図9(A)に示すように、フレーム5202の前端にフロントバンパー取り付け部品5216が取着されており、フロントバンパー取り付け部品5216にフロントバンパー5230が取着されている。
図中L1は、車両の前後方向におけるフレーム5202の前端とフロントバンパー5230前端との水平方向の距離を示す。
言い換えると、図8に示すフロントオーバーハングCが車両の外形形状の変化に応じて変化する際、フロントバンパー取り付け部品5216の外形寸法が変化することで距離L1が調整される。
【0026】
図9(B)に示すように、フレーム5202は前半部5202Aと後半部5202Bとに2分割されており、前半部5202Aと後半部5202Bとはフロアエクステンション5204を介して連結されている。
図中L2は、車両の前後方向における前半部5202Aの後端と後半部5202Bの前端との水平方向の距離を示す。
言い換えると、図8に示すホイールベースBが車両の外形形状の変化に応じて変化する際、フロアエクステンション5204の外形寸法が変化することで距離L2が調整される。
【0027】
図9(C)に示すように、フレーム5202の後端にリアバンパー取り付け部品5226が取着されており、リアバンパー取り付け部品5226にリアバンパー5232が取着されている。
図中L3は、車両の前後方向におけるフレーム5202の後端とリアバンパー5232後端との水平方向の距離を示す。
言い換えると、図8に示すリアオーバーハングDが車両の外形形状の変化に応じて変化する際、リアバンパー取り付け部品5226の外形寸法が変化することで距離L3が調整される。
【0028】
図11(A)に示すように、フレーム5202の前部の左右両側と前輪58とはフロントアクスル5210で連結されている。
図中L4は、車両の幅方向におけるフレーム5202の左右両側と前輪58の内面との水平方向の距離を示す。
言い換えると、図10に示すフロントトレッドUが車両の外形形状の変化に応じて変化する際、フロントアクスル5210とフロントサスペンションアーム5212の外形寸法が変化することで距離L4が調整される。
【0029】
図11(B)に示すように、フレーム5202の両側にはサイドシル5214が取着されている。
図中L5は、車両の幅方向におけるフレーム5202の左右両側と前輪58の内面との距離を示す。
言い換えると、図10、図12に示す車両の車体幅Wが車両の外形形状の変化に応じて変化する際、サイドシル5214の外形寸法が変化することで距離L5が調整される。
【0030】
図13に示すように、フレーム5202の後部の左右両側と後輪60とはリアアクスル5218で連結されている。
図中L6は、車両の幅方向におけるフレーム5202の左右両側と後輪60の内面との距離を示す。
言い換えると、図12に示すリアトレッドLが車両の外形形状の変化に応じて変化する際、リアアクスル5218、リアサスペンションアーム5220での外形寸法が変化することで距離L6が調整される。
【0031】
次に制約条件の設定を行う(ステップS12)。
前述したように第1乃至第3の条件の設定の有無、組み合わせは任意である。
第1乃至第3の条件を具体的に説明する。
第1の条件は、図8に示すように、基本車両モデルを側方から見た状態で、ボンネットを構成する外板56部分とフロントガラス62とが交差する箇所であるフロントデッキFDと、前輪58の中心点P1とが予め定められた相対的位置関係に設定されているという条件である。
第2の条件は、図15に示すように、基本車両モデルを側方から見た状態で、既存車両で乗員がアクセルペダルに足を置いたときのフロアと踵との交点であるヒール点78と、前輪の中心点とが予め定められた相対的位置関係に設定されているという条件である。
第3の条件は、基本諸元の値を定めることである。
図8に示すように、本実施の形態では、基本諸元を、全長A(フロントバンパー5230先端からリアバンパー5282後端までの水平方向の距離)、ホイルベースB(前輪58と後輪60の中心点間の水平方向の距離)、フロントオーバーハングC、リアオーバーハングD、全高Hとする。
そして、第3の条件として、各基本諸元のうちの少なくとも一部の基本諸元を固定して変更させない固定値として設定する。この場合、値が固定されていない残りの基本諸元は、車両の外形形状の変形に応じて変更されることになる。
【0032】
図4に戻って説明を続ける。
次に、クライアント端末6の基本車両モデル構築部40は、サーバ2の既存車両3DモデルDB10から読み出した既存の車両の3次元形状を示す車両モデルと、既存車両2DDB12から読み出した既存の車両の基本レイアウトのデータとに基づいて基本車両モデルを構築する(ステップS14:基本車両モデル構築ステップ)。
そして、画像表示部42は、基本車両モデル構築部40で構築された基本車両モデルに基づいて該基本車両モデルの外形画像を表示装置6Eの画面上に表示する(ステップS16:第1の画像表示ステップ)。
【0033】
次に、車両モデル変形部44は、ステップS12で設定された制約条件を満たした状態で、表示装置6Eの画面上に表示された基本車両モデルの外形画像を使用者の操作に基づいて変形させると共に、外形画像の変形に連動して基本車両モデルを変形する(ステップS18:車両モデル変形ステップ)。
この際、基本車両モデルの外形画像の変形および基本車両モデルの変形は変形プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整によって行う。すなわち、基本車両モデルの変形に伴う既存のプラットフォームへの影響を、変形プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整によって吸収させる。
このように基本車両モデルの外形画像が変形されることで、所望の外形形状の車両モデルの外形画像、すなわち、新車両企画検討用モデルの外形画像が画像表示部42の画面上に表示される。
また、基本車両モデルが変形されることで、所望の外形形状の車両モデル、すなわち、新車両企画検討用モデルが得られることになる。
この結果、画像表示部42は、車両モデル変形部44により変形された基本車両モデル、すなわち新車両企画検討用モデルの外形画像および車室内の形状を示す画像を表示装置6Eの画面上に表示する(ステップS20:第2の画像表示ステップ)。
【0034】
以下、ステップS18における基本車両モデルの外形画像の変形操作について具体的に説明する。
本実施の形態では、基本車両モデルの外形画像の使用者の操作による変形は、表示装置6Eの画面上に表示されるガイドバーを操作することによって行う。
図5、図6は、基本車両モデルの変形に伴いホイールベースの調整が必要となる場合を示している。
図6に示すように、画面上に車両モデルの側面の外形画像64が表示され、この外形画像64の上方に操作用のガイドバー66が表示される。
ガイドバー66は、車両モデルの外形画像64の上方に間隔をおいて車両モデルの前後方向に沿って延在する直線部6602を有している。
ガイドバー66は、車両の前後方向において車両前端、後端に対応する第1、第2操作点6604、6606と、フロントデッキFDに対応する基準点6608と、直線部6602に沿って移動可能な可動基準点6610とを有している。
可動基準点6610は、車両モデルの外形画像64が変形される際に、可動基準点6610に対応する車両モデルの外形画像64の箇所が画面上で移動しない固定点とされる点である。
【0035】
使用者が画面上に表示されるマウスポインタを第2操作点6606上に位置させてクリックした状態を維持して第2操作点6606を前方あるいは後方にドラッグする。
すると、この操作入力を受け付けた車両モデル変形部44は、第2操作点6602を直線部6602に沿って前後に移動させて表示する。この際、第2操作点6602の移動に連動して可動基準点6610と第2操作点6606とを接続する直線部6602の部分6612が伸縮して表示される。
車両モデル変形部44は、車両モデルの外形画像64のうち直線部6602の部分6612に対応する箇所が直線部6602の部分6612の伸縮に追従して伸縮し、これにより外形画像64が実線と破線で示すように変形して表示される。
基本車両モデルの外形画像64は、図5に示す三次元画像として、あるいは、図6に示す2次元画像として表示される。
【0036】
また、本例では、図20に示すように、基本車両モデルの外形画像64の変形および基本車両モデルの変形は、変形プラットフォーム構成部品としてのフロアエクステンション5204の外形寸法の調整によって行うものとする。
前述したように、フレーム5202の前半部5202Aと後半部5202Bは、フロアエクステンション5204を介して連結されている。
したがって、基本車両モデルの外形画像64の変形および基本車両モデルの変形は、フロアエクステンション5204の外形寸法の調整によってなされ、言い換えると、ホイールベースの調整はフロアエクステンション5204の外形寸法の調整によってなされる。
【0037】
図4に戻って説明を続ける。
次に、調整量判定部45は、車両モデル変形ステップS18によるプラットフォーム構成部品の外形寸法の調整量が既存のプラットフォーム構成部品を使用することで吸収可能な範囲内であるか否かを判定する(ステップS22:調整量判定ステップ)。
【0038】
ステップS22の判定結果が肯定である場合には、外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品が既存のプラットフォーム構成部品で構成されることを示す第1の表示を画面上で行う(ステップS24:第1の表示ステップ)。
すなわち、図21に示すように、第1の表示は、変形された基本車両モデルの外形画像64にフロアエクステンション5204の外形画像を重ねて画面上に表示する。このように表示した状態で、フロアエクステンション5204の外形画像を、変形された基本車両モデルの外形画像64を表示する色と異なる第1の表示色、例えば、青色で表示する。図21において第1の表示色は、平行する複数の直線によるハッチングで表示している。
【0039】
ステップS22の判定結果が否定である場合には、外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品が新規に製作されるプラットフォーム構成部品で構成されることを示す第2の表示を画面上で行う(ステップS26:第2の表示ステップ)。
すなわち、図22に示すように、第2の表示は、変形された基本車両モデルの外形画像64にフロアエクステンション5204の外形画像を重ねて画面上に表示する。このように表示した状態で、フロアエクステンション5204の外形画像を第1の表示色である青色とは異なる第2の表示色、例えば、赤色で表示する。図22において第2の表示色は、互いに交差する直線によるハッチングで表示している。
このように、プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整量が既存のプラットフォーム構成部品を使用することで吸収可能な範囲内であるか否かに応じて、外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品(本例ではフロアエクステンション5204)の表示色が第1の表示色と第2の表示色とに変化する。
【0040】
使用者は、画面上で外形画像64を視認して変形操作を終了するか否かを判断する(ステップS28)。所望の外形画像64が得られなければ、ステップS18に戻って変形操作を行う。
所望の外形画像64が得られたならば、使用者は、変形操作を終了して計測操作を行う。
すなわち、車両モデル計測部46が使用者の計測操作に応じて新車両企画検討用モデルの各部を計測し、計測結果である新車両企画検討用モデルの計測データを出力する(ステップS30:車両モデル計測ステップ)。
計測操作について説明する。
図14乃至図19に示すように、新車両企画検討用モデルの外形画像64および車室内の形状を示す画像66が表示装置6Eの画面上に表示されている。
【0041】
より詳細には、図14、図15に示すように、エンジンの外形線68、マフラーおよび燃料タンクの外形線69、前輪58及び後輪60の中心線70、72、内装(ヘッドラインニング)の内面を示す外形線74、グランドラインGLが表示されている。
また、図14、図15に示すように、車両の前後方向において前方から後方に向かって第1列シート68A、第2列シート68B、第3列シート68Cが並べられて表示されている。
第1列シート68A、第2列シート68B、第3列シート68Cのそれぞれに着座する乗員M1、M2、M3が表示されている。
各部計測に際しては、上述した画像の変形操作の場合と同様に、入力装置6Dとしてのマウスなどのポインティングデバイスを用いて表示装置60Eの画面上に表示されるカーソルやポインタなどの操作用の指標を操作することで行う。
例えば、新車両企画検討用モデルの外形画像上にカーソルやポインタなどの操作用の指標を位置させた状態でクリックして始点としての計測位置を決定する。
そして、それらカーソルやポインタなどの操作用の指標を終点としての計測位置までドラッグしたのち再度クリックする。
このように操作することで、始点から終点までの寸法を計測する。
このような画面上の画像の任意箇所の計測操作は、CGやCADなどで使用される従来公知の様々な画像処理用のアプリケーションソフトウェアを用いた場合の操作と同様である。
【0042】
図15、図16、図17に示すように、計測する各部分としては、前述した全長A、ホイルベースB、フロントオーバーハングC、リアオーバーハングD、全高H、フロントトレッドK、リアトレッドL、車体幅Mに加えて下記の各部分の寸法がある。
第1列シート68Aと第2列シート68Bのヒップポイント幅E1、
第2列シート68Bと第3列シート68Cのヒップポイント幅E2、
フロアからの第1列シート68Aのヒップポイント高さF、
フロアからの第2列シート68Bのヒップポイント高さG1、
フロアからの第3列シート68Cのヒップポイント高さG2、
第1列シート68Aのヒップポイントから内装のヘッドライニングまでの寸法である第1列シートヘッドルームI、
第2列シート68Bのヒップポイントから内装のヘッドライニングまでの寸法である第2列シートヘッドルームJ1、
第3列シート68Cのヒップポイントから内装のヘッドライニングまでの寸法である第3列シートヘッドルームJ2、
第1列シート68AのショルダールームN、
第1列シート68Aのヒップポイント幅O。
ここで、ヒップポイントとはシートに着座した乗員の腰の中心をいう。
また、第1列シートヘッドルームI、第2列シートヘッドルームJ1、第3列シートヘッドルームJ2は、シートに着座した乗員の胴体が鉛直線に対してなす角度を指定して計測する。
また、図15に示すように、計測する各部分として、さらに、アプローチアングルθ1、ランプブレークオーバーアングルθ2、デパーチャアングルθ3、地上最低高さHL(マフラー部品の高さ)がある。
【0043】
また、図19に示すように、外板56のホイールカット部は車両を側面視した状態で前輪58、後輪60と、基本車両モデルとして使用したアッパーボデーのホイールカット部に相当する外形形状との間隔を保持する。
【0044】
図4に戻って説明を続ける。
次に、車両モデル出力部48により、車両モデル変形部44によって得られた新車両企画検討用モデルのデータを出力する(ステップS32:車両モデル出力ステップ)。
【0045】
このように車両モデル計測部46から出力された新車両企画検討用モデルの計測データと、車両モデル出力部48から出力された新車両企画検討用モデルのデータは、表示装置の画面上に表示され、あるいは、印刷画面として表示され、評価検討に供される。
【0046】
本実施の形態によれば、基本車両モデルの変形に伴う既存のプラットフォームへの影響を、プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整によって吸収させ、プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整量が既存のプラットフォーム構成部品を使用することで吸収可能な範囲内であるか否かを判定するようにした。
そして、その判定結果に応じて、外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品が既存のプラットフォーム構成部品で構成されるか、外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品が新規に製作されるプラットフォーム構成部品で構成されるかを表示するようにした。
したがって、新車両企画検討用の車両モデルを構築するにあたって、既存車両を構成するプラットフォームをどの程度共用することができるかを簡単かつ確実に把握する上で有利となる。
また、車両モデルの外形画像を変形操作に対応して、既存のプラットフォーム構成部品で足りるか、あるいは、プラットフォーム構成部品を新規に製作する必要があるかを即座に把握できる。
したがって、新車両の開発、設計、製造に要するコストや期間を考慮しながら新車両企画検討用モデルを効率よく構築する上で有利となる。
【0047】
また、本実施の形態では、複数のプラットフォーム構成部品のうち、外形寸法を固定する固定プラットフォーム構成部品と、基本車両モデルの変形に連動して外形寸法を調整する変形プラットフォーム構成部品とを設定するようにした。
そのため、固定プラットフォーム構成部品を設定することにより、使用する既存のプラットフォーム構成部品の種類を低減できる。
【0048】
また、本実施の形態では、制約条件として、基本車両モデルを側方から見た状態で、フロントデッキFDと、前輪58の中心点とが予め定められた相対的位置関係に設定されているという第1の条件を含む。
FF車の場合、フロントデッキFDと、前輪58の中心点との相対的位置関係を変更すると、エンジンルームと室内空間に影響を及ぼすことになる。
すると、エンジンルームおよび車室空間の技術的な検討をやり直す必要があり設計工数がかかる不利が生じる。
【0049】
また、本実施の形態では、制約条件が、基本車両モデルを側方から見た状態で、既存車両で乗員がアクセルペダルに足を置いたときのフロアと踵との交点であるヒール点と、前輪の中心点とが予め定められた相対的位置関係に設定されているという第2の条件を含む。
【0050】
また、本実施の形態では、制約条件が、新車両企画検討用モデルとしての車両モデルの外形寸法を規定する基本諸元の値、すなわち諸元値を定めるという第3の条件を含む。
諸元値を定めるとは、各基本諸元のうちの少なくとも一部の基本諸元の値を固定して変更させない固定値として設定することである。この場合、諸元値が固定されていない残りの諸元値は、車両の外形形状の変形に応じて変更されることになる。
例えば、ホイルベースBを固定値とすると、車室空間の前後方向の長さが固定されるため、既存の内装部品を使用できる可能性が高まる。
一方、ホイルベースBを変更可能とすると、車室空間の前後方向の長さの変化に応じて、内装部品を新規に設計する必要があり、設計コスト、製造コストの上昇の要因となる。
このように、諸元値を定めるという第3の条件を満たして基本車両モデルの外形を変形させることにより、新車両企画検討用モデルを構築できる。
【0051】
また、本実施の形態では、車両モデル計測ステップにより、新車両企画検討用モデルの各部を計測し、計測結果である新車両企画検討用モデルの計測データを出力するため、商品としての特徴をアピールする上で必要な諸元値あるいは性能の検証および評価を効率的に実施する上で有利となる。
【0052】
なお、本実施の形態では、外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品がフロアエクステンション5204である場合について説明した。
しかしながら、外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品は、例えば、ロントアクスル5210、フロントサスペンションアーム5212、サイドシル5214、フロントバンパー取り付け部品5216、リアアクスル5218、リアサスペンションアーム5220、リアバンパー取り付け部品5226など従来公知の様々なプラットフォーム構成部品も対象として実施可能である。
【0053】
また、本実施の形態では、車両が乗用車である場合について説明したが、本発明方法が適用される車両は乗用車に限定されず、従来公知の様々な作業用車両や建築用車両に適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
64……外形画像、5204……リヤフロアエクステンション、S14……基本車両モデル構築ステップ、S16……第1の画像表示ステップ、S18……車両モデル変形ステップ、S20……第2の画像表示ステップ、S22……調整量判定ステップ、S24……第1の表示ステップ、S26……第2の表示ステップ。
【技術分野】
【0001】
本発明は新車両企画検討支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、効率的に車両の企画検討あるいは設計を行うために、企画検討あるいは設計を支援する支援方法が種々提案されている(特許文献1乃至5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−99499号公報
【特許文献2】特開2003−108625号公報
【特許文献3】特開2004−302673号公報
【特許文献4】特開2002−366606号公報
【特許文献5】特開2007−4423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
新車両の企画検討の際に車両モデルの外形形状のイメージを作り上げ、企画検討を短時間で実施するにあたっては、車両としての成立性を確保しつつ、車両モデルの外形形状の変形を簡単な操作でかつ短時間に行うことが要求される。
そこで、既存車両を構成するプラットフォームの共用を図りつつ、新車両企画検討用の車両モデルを構築することが考えられる。
この場合、車両モデルの外形形状を変形させたときに、その外形形状の変形を既存のプラットフォームを構成する既存のプラットフォーム構成部品を用いることで実現できるか、あるいは、プラットフォーム構成部品として新規部品を製作する必要があるかを把握することができれば、新車両の企画検討を行う上で好ましい。
しかしながら、上述した従来技術では、このような要求を十分に満たしているものとはいえなかった。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、新車両企画検討用の車両モデルを構築するにあたって、既存車両を構成するプラットフォームをどの程度共用することができるかを簡単かつ確実に把握する上で有利な新車両企画検討支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明は、新車両企画検討用モデルとしての車両モデルを表示装置の画面に表示することにより新車両の企画検討を支援する新車両企画検討支援方法であって、複数の既存のプラットフォーム構成部品からなる既存のプラットフォームに複数の車両構成部品を組み付けることで構成された車両のモデルを基本車両モデルとして構築する基本車両モデル構築ステップと、前記基本車両モデルに基づいて該基本車両モデルの外形画像を前記画面上に表示する第1の画像表示ステップと、前記画面上に表示された前記基本車両モデルの外形画像を使用者の操作に基づいて変形させると共に、前記外形画像の変形に連動して前記基本車両モデルを変形し、かつ、前記基本車両モデルの変形に伴う既存のプラットフォームへの影響を、前記プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整によって吸収させる車両モデル変形ステップと、前記変形された基本車両モデルの外形画像を前記画面上に表示する第2の画像表示ステップと、前記車両モデル変形ステップによる前記プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整量が既存のプラットフォーム構成部品を使用することで吸収可能な範囲内であるか否かを判定する調整量判定ステップと、前記調整量判定ステップの判定結果が肯定である場合に、前記外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品が既存のプラットフォーム構成部品で構成されることを示す第1の表示を前記画面上で行う第1の表示ステップと、前記調整量判定ステップの判定結果が否定である場合に、前記外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品が新規に製作されるプラットフォーム構成部品で構成されることを示す第2の表示を前記画面上で行う第2の表示ステップとを含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、基本車両モデルの変形に伴う既存のプラットフォームへの影響を、プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整によって吸収させ、プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整量が既存のプラットフォーム構成部品を使用することで吸収可能な範囲内であるか否かを判定する。そして、その判定結果に応じて、外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品として既存の部品を使用できるか、外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品を新規に製作する必要があるかを表示する。
したがって、新車両企画検討用の車両モデルを構築するにあたって、既存車両を構成するプラットフォームをどの程度共用することができるかを簡単かつ直感的に把握する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明が適用される新車両企画検討支援システムの構成図である。
【図2】クライアント端末6の構成を示すブロック図である。
【図3】サーバ2およびクライアント端末6の機能ブロック図である。
【図4】実施の形態における新車両企画検討支援方法のフローチャートである。
【図5】車両モデルの外形画像の変形操作の説明図である。
【図6】車両モデルの外形画像の変形操作の説明図である。
【図7】プラットフォーム構成部品を説明する車両の平面図である。
【図8】プラットフォーム構成部品を説明する車両の側面図である。
【図9】(A)は図8のa部の拡大図、(B)は図8のb部の拡大図、(C)は図8のc部の拡大図である。
【図10】プラットフォーム構成部品を説明する車両の正面図である。
【図11】(A)は図10のa部の拡大図、(B)は図10のa部の拡大図である。
【図12】プラットフォーム構成部品を説明する車両の後面図である。
【図13】図12のa部の拡大図である。
【図14】基本諸元および計測箇所を説明する車両の平面図である。
【図15】基本諸元および計測箇所を説明する車両の側面図である。
【図16】基本諸元および計測箇所を説明する車両の正面図である。
【図17】基本諸元および計測箇所を説明する車両の後面図である。
【図18】グランドラインと番線(車体基準)の説明図である。
【図19】車両モデルの外形輪郭を示すシルエット線を示す車両の側面図である。
【図20】車両モデルの外形画像の変形操作の説明図である。
【図21】車両モデルの外形画像の変形操作による第1の表示を示す説明図である。
【図22】車両モデルの外形画像の変形操作による第2の表示を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に本発明の実施の形態について図1乃至図21を参照して説明する。
まず、本発明方法を実行する新車両企画検討支援システムの構成について説明する。
図1に示すように、新車両企画検討支援システム8は、サーバ2と、通信ネットワーク4を介してサーバ2に接続された1つ以上のクライアント端末6とを含んで構成されている。
サーバ2は後述する各データベースを構成するものである。
通信ネットワーク4としては、LAN、WANなど従来公知のさまざまな通信ネットワークが使用可能である。
【0009】
クライアント端末6は、パーソナルコンピュータによって構成されている。
図2に示すように、クライアント端末6は、中央演算装置(CPU)6A、主記憶装置6B、外部記憶装置6C、入力装置6D、表示装置6E、通信装置6Fなどを含んで構成され、これら各部6A、6B、6C、6D、6E、6Fはバス6Gで接続されている。
主記憶装置6Bは、中央演算処理装置6Aのワーキングエリアを提供するものであり、RAMなどによって構成されている。
外部記憶装置6Cは、従来公知の制御プログラムや情報に加えて、新車両企画検討支援プログラムなどを格納するものであり、例えば、ハードディスク装置などによって構成されている。
入力装置6Dは、キーボードやマウスなどで構成され、操作者の入力操作を受け付けるものである。
表示装置6Eは、ディスプレイ装置で構成され、その画面上に画像や文字などのデータを出力するものである。
通信装置6Fは、通信ネットワーク4を介してサーバ2との間で情報の授受を行うものである。
中央演算装置6Aは、前記制御プログラムを実行することにより主記憶装置6B、外部記憶装置6C、入力装置6D、表示装置6E、通信装置6Fの制御を司るものである。
また、中央演算装置6Aは前記新車両企画検討支援プログラムを実行することにより、図3に示す各部の機能を実現するものである。
【0010】
次にサーバ2について説明する。
図3に示すように、サーバ2は、既存車両モデルデータベース(以下データベースをDBと表記する)10、既存車両2DDB12、プラットフォーム構成部品DB14、車両構成部品DB16などを含んで構成されている。
【0011】
既存車両3DモデルDB10は、既存の車両の3次元形状を示す車両モデルを格納するものである。
【0012】
既存車両2DDB12は、既存の車両を2次元図面上で表現した場合の各部の寸法を示すデータ、すなわち、基本レイアウトのデータを格納するものである。
【0013】
プラットフォーム構成部品DB14は、プラットフォームを構成する既存の複数のプラットフォーム構成部品の外形形状および外形寸法を示すデータを格納するものである。
ここで、プラットフォームとプラットフォーム構成部品について説明する。
プラットフォーム(Platform)とは、車両の基本性能を決定する重要な部分であり、アッパーボデーが載っていない車台と呼ばれるものである。
自動車を作る場合にプラットフォームに多大な費用がかけられ、プラットフォームに組み付ける車両構成部品を種々変更することにより、異なる車種の車両が作られる。
プラットフォームは、既存の複数のプラットフォーム構成部品で構成されている。
プラットフォーム構成部品は、プラットフォームの大部分を構成するアンダーボデーと、アンダーボデーに組み付けられるフレーム組み付け部品とを含む。
ここでアンダーボデーとは、メインフロアなどと呼ばれるフレームであり、フロアパン、サイドメンバ、クロスメンバ、サイドシルなどである。
さらにフレーム組み付け部品は、エンジン、パワートレイン、マフラー、燃料タンク、サスペンションなどであり、アクスル(車軸)、サスペンションアームなどを含む。
本実施の形態では、これら既存のプラットフォーム構成部品を、外形寸法を固定する固定プラットフォーム構成部品と、基本車両モデルの変形に連動して外形寸法が変形する変形プラットフォーム構成部品との2種類に分けて定義する。
本実施の形態では、このように外形寸法を固定する固定プラットフォーム構成部品を用いることで、言い換えると、プラットフォーム構成部品の共通化を図ることで企画検討用の車両モデルの作成を簡単かつ短時間で行えるようにしている。
【0014】
車両構成部品DB16は、プラットフォームに組み付けることで車両を構成する既存の複数の車両構成部品の外形形状および外形寸法を示すデータを格納するものである。
本実施の形態では、車両構成部品は、主として車両の外形およびデザインや車室空間を決定する部品であって、アッパーボデーの外板、車室内のトリム部品、シートなどが含まれる。
アッパーボデーの外板および車室内のトリム部品は、車両の外観、デザインの変形に対応して変形される部分である。
【0015】
次にクライアント端末6について説明する。
クライアント端末6は、前述したように、中央演算装置6Aが前記新車両企画検討支援プログラムを実行することにより次の各部として機能するものである。
本実施の形態では、クライアント端末6は、基本車両モデル構築部40、画像表示部42、車両モデル変形部44、調整量判定部45、車両モデル計測部46、車両モデル出力部48などを含んで構成されている。
【0016】
基本車両モデル構築部40は、複数のプラットフォーム構成部品からなる既存のプラットフォームに複数の車両構成部品を組み付けることで構成された車両のモデルを基本車両モデルとして構築するものである。
本実施の形態では、基本車両モデル構築部40は、既存車両3DモデルDB10から読み出した既存の車両の3次元形状を示す車両モデルと、既存車両2DDB12から読み出した既存の車両の基本レイアウトのデータを提供し、新車両企画検討用モデルを作成する上で必要十分な情報を有する基本車両モデルを構築する。
また、基本車両モデルは、車両を外方から見た車両の形状と、車室内から車室を見た車室の形状とを含むものである。
【0017】
画像表示部42は、基本車両モデル構築部40で構築された基本車両モデルに基づいて該基本車両モデルの外形画像を表示装置6Eの画面上に表示するものである。
また、画像表示部42は、次に述べる車両モデル変形部44により変形された基本車両モデル、すなわち新車両企画検討用モデルの外形画像を表示装置6Eの画面上に表示するものである。
また、画像表示部42は、車両構成部品DB16から読み出したプラットフォーム構成部品モデルに基づいて、プラットフォーム構成部品の外形画像を基本車両モデルの外形画像に重ね合わせて表示装置6Eの画面上に表示するものである。
また、画像表示部42は、次に述べる調整量判定部45の判定結果に基づいてプラットフォーム構成部品の外形画像の表示形態を異ならせて表示するものである。
ここで、基本車両モデルの外形画像および新車両企画検討用モデルの外形画像とは、3次元空間上に描画された3次元形状としての外形画像と、平面上に描画された2次元形状としての外形画像との双方を含むものである。
なお、本実施の形態では、画像表示部42は、基本車両モデルおよび新車両企画検討用モデルの外形画像に加えて、車室内の形状を示す画像も表示装置6Eの画面上に表示する。
【0018】
車両モデル変形部44は、表示装置6Eの画面上に表示された基本車両モデルの外形画像を使用者の操作に基づいて変形させると共に、外形画像の変形に連動して基本車両モデルを変形するものである。
ここで、車両モデル変形部44による基本車両モデルの外形画像の変形および基本車両モデルの変形は、プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整することによって行なう。
言い換えると、基本車両モデルの変形に伴う既存のプラットフォームへの影響を、プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整によって吸収させる。
このように基本車両モデルの外形画像が変形されることで、所望の外形形状の車両モデルの外形画像、すなわち、新車両企画検討用モデルの外形画像が画像表示部42の画面上に表示される。
また、基本車両モデルが変形されることで、所望の外形形状の車両モデル、すなわち、新車両企画検討用モデルが得られることになる。
【0019】
さらに、本実施の形態では、車両モデル変形部44による基本車両モデルの外形画像の変形および基本車両モデルの変形を行う際の制約条件を設定することができる。
制約条件としては、次に示す第1乃至第3の条件がある。
第1の条件は、基本車両モデルを側方から見た状態で、ボンネットを構成する外板部分とフロントガラスとが交差する箇所であるフロントデッキと、前輪の中心点とが予め定められた相対的位置関係に設定されているという条件である。
また、第2の条件は、基本車両モデルを側方から見た状態で、既存車両で乗員がアクセルペダルに足を置いたときのフロアと踵との交点であるヒール点と、前輪の中心点とが予め定められた相対的位置関係に設定されているという条件である。
また、第3の条件は、新車両企画検討用モデルとしての車両モデルの外形寸法を規定する基本諸元の値(諸元値)を定めるという条件である。
なお、基本諸元とは、後述するように、全長、ホイルベース、フロントオーバーハング、リアオーバーハング、全高、車体幅などを含む。
これら3つ条件は必要に応じて設定されるものであり、3つの条件を設定するか否か、あるいは、3つの条件をどのように選択するかは任意である。
また、第3の条件における基本諸元をどのように設定するかは任意であり、予め設定されていてもよいし、必要に応じて基本諸元を変更して設定してもよい。
制約条件の設定操作は、例えば、クライアント端末6の入力装置6Dの操作により行うなど任意である。
【0020】
調整量判定部45は、車両モデル変形部44によるプラットフォーム構成部品の外形寸法の調整量が既存のプラットフォーム構成部品を使用することで吸収可能な範囲内であるか否かを判定するものである。
上記判定動作は、調整量判定部45がプラットフォーム構成部品DB14から読み出した前記のプラットフォーム構成部品のデータに基づいてなされる。
【0021】
車両モデル計測部46は、車両モデル変形部44によって得られた新車両企画検討用モデルの所望の箇所の寸法、あるいは、面積、容積、角度などを計測しその計測結果を計測データとして出力するものである。
また、車両モデル計測部46から出力される新車両企画検討用モデルの計測データの出力形態は、表示装置6Eの画面上に表示出力し、あるいは、プリンタを用いて印刷出力するなど従来公知の様々な形態が可能である。
【0022】
車両モデル出力部48は、車両モデル変形部44によって得られた新車両企画検討用モデルのデータを出力するものである。
車両モデル出力部48から出力される新車両企画検討用モデルのデータは、例えば、CGやCADなどで使用される従来公知の様々な画像処理用のアプリケーションソフトウェアで利用可能なデータ形式であればよく限定されるものではない。
また、車両モデル出力部48から出力される新車両企画検討用モデルのデータの出力形態は、プリンタを用いた印刷出力など従来公知の様々な形態が可能である。
【0023】
次に、図4のフローチャートを参照して新車両企画検討支援システム8の動作、すなわち、新車両企画検討支援方法について説明する。
まず、複数のプラットフォーム構成部品のうち、後述するステップS18(車両モデル変形ステップ)による車両モデルの変形に連動することなく外形寸法を固定する固定プラットフォーム構成部品と、車両モデルの変形に連動して外形寸法の調整を行う変形プラットフォーム構成部品とを設定する(ステップS10:部品設定ステップ)。
すなわち、その外形寸法を固定する固定プラットフォーム構成部品と、基本車両モデルの変形に連動して外形寸法を調整する変形プラットフォーム構成部品とを設定する。
言い換えると、ステップS10により、基本諸元の寸法の変化を吸収する変形プラットフォーム構成部品が定められることになる。
以下、これらのプラットフォーム構成部品について詳細に説明する。
【0024】
図7に示すように、車両50は、プラットフォーム52と、プラットフォーム52に組み付けられる車両構成部品としてのボデー54および外板56と、前後の車輪58、60を含んで構成されている。
プラットフォーム52を構成するプラットフォーム構成部品は、プラットフォーム52の大部分を構成するフレーム5202と、フレームに組み付けられる複数のフレーム組み付け部品とを含む。
本実施の形態では、フレーム組み付け部品のうち下記の部品が外形寸法の調整を行う変形プラットフォーム構成部品であり、これら変形プラットフォーム構成部品に薄い濃度のハッチングを施している。
本実施の形態では、フレーム5202(アンダーボデー)およびフレーム組み付け部品のうち下記の部品が変形プラットフォーム構成部品であり、これらプラットフォーム構成部品に薄い濃度のハッチングを施している。
フロアエクステンション5204、フロントアクスル5210、フロントサスペンションアーム5212、サイドシル5214、フロントバンパー取り付け部品5216、リアアクスル5218、リアサスペンションアーム5220、リアバンパー取り付け部品5226。
また、ボデー54の一部を構成するアッパーボデーとプラットフォーム52との合わせ部位53を図7において濃いハッチングで示す。
【0025】
変形プラットフォーム構成部品について詳細に説明する。
図9(A)に示すように、フレーム5202の前端にフロントバンパー取り付け部品5216が取着されており、フロントバンパー取り付け部品5216にフロントバンパー5230が取着されている。
図中L1は、車両の前後方向におけるフレーム5202の前端とフロントバンパー5230前端との水平方向の距離を示す。
言い換えると、図8に示すフロントオーバーハングCが車両の外形形状の変化に応じて変化する際、フロントバンパー取り付け部品5216の外形寸法が変化することで距離L1が調整される。
【0026】
図9(B)に示すように、フレーム5202は前半部5202Aと後半部5202Bとに2分割されており、前半部5202Aと後半部5202Bとはフロアエクステンション5204を介して連結されている。
図中L2は、車両の前後方向における前半部5202Aの後端と後半部5202Bの前端との水平方向の距離を示す。
言い換えると、図8に示すホイールベースBが車両の外形形状の変化に応じて変化する際、フロアエクステンション5204の外形寸法が変化することで距離L2が調整される。
【0027】
図9(C)に示すように、フレーム5202の後端にリアバンパー取り付け部品5226が取着されており、リアバンパー取り付け部品5226にリアバンパー5232が取着されている。
図中L3は、車両の前後方向におけるフレーム5202の後端とリアバンパー5232後端との水平方向の距離を示す。
言い換えると、図8に示すリアオーバーハングDが車両の外形形状の変化に応じて変化する際、リアバンパー取り付け部品5226の外形寸法が変化することで距離L3が調整される。
【0028】
図11(A)に示すように、フレーム5202の前部の左右両側と前輪58とはフロントアクスル5210で連結されている。
図中L4は、車両の幅方向におけるフレーム5202の左右両側と前輪58の内面との水平方向の距離を示す。
言い換えると、図10に示すフロントトレッドUが車両の外形形状の変化に応じて変化する際、フロントアクスル5210とフロントサスペンションアーム5212の外形寸法が変化することで距離L4が調整される。
【0029】
図11(B)に示すように、フレーム5202の両側にはサイドシル5214が取着されている。
図中L5は、車両の幅方向におけるフレーム5202の左右両側と前輪58の内面との距離を示す。
言い換えると、図10、図12に示す車両の車体幅Wが車両の外形形状の変化に応じて変化する際、サイドシル5214の外形寸法が変化することで距離L5が調整される。
【0030】
図13に示すように、フレーム5202の後部の左右両側と後輪60とはリアアクスル5218で連結されている。
図中L6は、車両の幅方向におけるフレーム5202の左右両側と後輪60の内面との距離を示す。
言い換えると、図12に示すリアトレッドLが車両の外形形状の変化に応じて変化する際、リアアクスル5218、リアサスペンションアーム5220での外形寸法が変化することで距離L6が調整される。
【0031】
次に制約条件の設定を行う(ステップS12)。
前述したように第1乃至第3の条件の設定の有無、組み合わせは任意である。
第1乃至第3の条件を具体的に説明する。
第1の条件は、図8に示すように、基本車両モデルを側方から見た状態で、ボンネットを構成する外板56部分とフロントガラス62とが交差する箇所であるフロントデッキFDと、前輪58の中心点P1とが予め定められた相対的位置関係に設定されているという条件である。
第2の条件は、図15に示すように、基本車両モデルを側方から見た状態で、既存車両で乗員がアクセルペダルに足を置いたときのフロアと踵との交点であるヒール点78と、前輪の中心点とが予め定められた相対的位置関係に設定されているという条件である。
第3の条件は、基本諸元の値を定めることである。
図8に示すように、本実施の形態では、基本諸元を、全長A(フロントバンパー5230先端からリアバンパー5282後端までの水平方向の距離)、ホイルベースB(前輪58と後輪60の中心点間の水平方向の距離)、フロントオーバーハングC、リアオーバーハングD、全高Hとする。
そして、第3の条件として、各基本諸元のうちの少なくとも一部の基本諸元を固定して変更させない固定値として設定する。この場合、値が固定されていない残りの基本諸元は、車両の外形形状の変形に応じて変更されることになる。
【0032】
図4に戻って説明を続ける。
次に、クライアント端末6の基本車両モデル構築部40は、サーバ2の既存車両3DモデルDB10から読み出した既存の車両の3次元形状を示す車両モデルと、既存車両2DDB12から読み出した既存の車両の基本レイアウトのデータとに基づいて基本車両モデルを構築する(ステップS14:基本車両モデル構築ステップ)。
そして、画像表示部42は、基本車両モデル構築部40で構築された基本車両モデルに基づいて該基本車両モデルの外形画像を表示装置6Eの画面上に表示する(ステップS16:第1の画像表示ステップ)。
【0033】
次に、車両モデル変形部44は、ステップS12で設定された制約条件を満たした状態で、表示装置6Eの画面上に表示された基本車両モデルの外形画像を使用者の操作に基づいて変形させると共に、外形画像の変形に連動して基本車両モデルを変形する(ステップS18:車両モデル変形ステップ)。
この際、基本車両モデルの外形画像の変形および基本車両モデルの変形は変形プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整によって行う。すなわち、基本車両モデルの変形に伴う既存のプラットフォームへの影響を、変形プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整によって吸収させる。
このように基本車両モデルの外形画像が変形されることで、所望の外形形状の車両モデルの外形画像、すなわち、新車両企画検討用モデルの外形画像が画像表示部42の画面上に表示される。
また、基本車両モデルが変形されることで、所望の外形形状の車両モデル、すなわち、新車両企画検討用モデルが得られることになる。
この結果、画像表示部42は、車両モデル変形部44により変形された基本車両モデル、すなわち新車両企画検討用モデルの外形画像および車室内の形状を示す画像を表示装置6Eの画面上に表示する(ステップS20:第2の画像表示ステップ)。
【0034】
以下、ステップS18における基本車両モデルの外形画像の変形操作について具体的に説明する。
本実施の形態では、基本車両モデルの外形画像の使用者の操作による変形は、表示装置6Eの画面上に表示されるガイドバーを操作することによって行う。
図5、図6は、基本車両モデルの変形に伴いホイールベースの調整が必要となる場合を示している。
図6に示すように、画面上に車両モデルの側面の外形画像64が表示され、この外形画像64の上方に操作用のガイドバー66が表示される。
ガイドバー66は、車両モデルの外形画像64の上方に間隔をおいて車両モデルの前後方向に沿って延在する直線部6602を有している。
ガイドバー66は、車両の前後方向において車両前端、後端に対応する第1、第2操作点6604、6606と、フロントデッキFDに対応する基準点6608と、直線部6602に沿って移動可能な可動基準点6610とを有している。
可動基準点6610は、車両モデルの外形画像64が変形される際に、可動基準点6610に対応する車両モデルの外形画像64の箇所が画面上で移動しない固定点とされる点である。
【0035】
使用者が画面上に表示されるマウスポインタを第2操作点6606上に位置させてクリックした状態を維持して第2操作点6606を前方あるいは後方にドラッグする。
すると、この操作入力を受け付けた車両モデル変形部44は、第2操作点6602を直線部6602に沿って前後に移動させて表示する。この際、第2操作点6602の移動に連動して可動基準点6610と第2操作点6606とを接続する直線部6602の部分6612が伸縮して表示される。
車両モデル変形部44は、車両モデルの外形画像64のうち直線部6602の部分6612に対応する箇所が直線部6602の部分6612の伸縮に追従して伸縮し、これにより外形画像64が実線と破線で示すように変形して表示される。
基本車両モデルの外形画像64は、図5に示す三次元画像として、あるいは、図6に示す2次元画像として表示される。
【0036】
また、本例では、図20に示すように、基本車両モデルの外形画像64の変形および基本車両モデルの変形は、変形プラットフォーム構成部品としてのフロアエクステンション5204の外形寸法の調整によって行うものとする。
前述したように、フレーム5202の前半部5202Aと後半部5202Bは、フロアエクステンション5204を介して連結されている。
したがって、基本車両モデルの外形画像64の変形および基本車両モデルの変形は、フロアエクステンション5204の外形寸法の調整によってなされ、言い換えると、ホイールベースの調整はフロアエクステンション5204の外形寸法の調整によってなされる。
【0037】
図4に戻って説明を続ける。
次に、調整量判定部45は、車両モデル変形ステップS18によるプラットフォーム構成部品の外形寸法の調整量が既存のプラットフォーム構成部品を使用することで吸収可能な範囲内であるか否かを判定する(ステップS22:調整量判定ステップ)。
【0038】
ステップS22の判定結果が肯定である場合には、外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品が既存のプラットフォーム構成部品で構成されることを示す第1の表示を画面上で行う(ステップS24:第1の表示ステップ)。
すなわち、図21に示すように、第1の表示は、変形された基本車両モデルの外形画像64にフロアエクステンション5204の外形画像を重ねて画面上に表示する。このように表示した状態で、フロアエクステンション5204の外形画像を、変形された基本車両モデルの外形画像64を表示する色と異なる第1の表示色、例えば、青色で表示する。図21において第1の表示色は、平行する複数の直線によるハッチングで表示している。
【0039】
ステップS22の判定結果が否定である場合には、外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品が新規に製作されるプラットフォーム構成部品で構成されることを示す第2の表示を画面上で行う(ステップS26:第2の表示ステップ)。
すなわち、図22に示すように、第2の表示は、変形された基本車両モデルの外形画像64にフロアエクステンション5204の外形画像を重ねて画面上に表示する。このように表示した状態で、フロアエクステンション5204の外形画像を第1の表示色である青色とは異なる第2の表示色、例えば、赤色で表示する。図22において第2の表示色は、互いに交差する直線によるハッチングで表示している。
このように、プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整量が既存のプラットフォーム構成部品を使用することで吸収可能な範囲内であるか否かに応じて、外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品(本例ではフロアエクステンション5204)の表示色が第1の表示色と第2の表示色とに変化する。
【0040】
使用者は、画面上で外形画像64を視認して変形操作を終了するか否かを判断する(ステップS28)。所望の外形画像64が得られなければ、ステップS18に戻って変形操作を行う。
所望の外形画像64が得られたならば、使用者は、変形操作を終了して計測操作を行う。
すなわち、車両モデル計測部46が使用者の計測操作に応じて新車両企画検討用モデルの各部を計測し、計測結果である新車両企画検討用モデルの計測データを出力する(ステップS30:車両モデル計測ステップ)。
計測操作について説明する。
図14乃至図19に示すように、新車両企画検討用モデルの外形画像64および車室内の形状を示す画像66が表示装置6Eの画面上に表示されている。
【0041】
より詳細には、図14、図15に示すように、エンジンの外形線68、マフラーおよび燃料タンクの外形線69、前輪58及び後輪60の中心線70、72、内装(ヘッドラインニング)の内面を示す外形線74、グランドラインGLが表示されている。
また、図14、図15に示すように、車両の前後方向において前方から後方に向かって第1列シート68A、第2列シート68B、第3列シート68Cが並べられて表示されている。
第1列シート68A、第2列シート68B、第3列シート68Cのそれぞれに着座する乗員M1、M2、M3が表示されている。
各部計測に際しては、上述した画像の変形操作の場合と同様に、入力装置6Dとしてのマウスなどのポインティングデバイスを用いて表示装置60Eの画面上に表示されるカーソルやポインタなどの操作用の指標を操作することで行う。
例えば、新車両企画検討用モデルの外形画像上にカーソルやポインタなどの操作用の指標を位置させた状態でクリックして始点としての計測位置を決定する。
そして、それらカーソルやポインタなどの操作用の指標を終点としての計測位置までドラッグしたのち再度クリックする。
このように操作することで、始点から終点までの寸法を計測する。
このような画面上の画像の任意箇所の計測操作は、CGやCADなどで使用される従来公知の様々な画像処理用のアプリケーションソフトウェアを用いた場合の操作と同様である。
【0042】
図15、図16、図17に示すように、計測する各部分としては、前述した全長A、ホイルベースB、フロントオーバーハングC、リアオーバーハングD、全高H、フロントトレッドK、リアトレッドL、車体幅Mに加えて下記の各部分の寸法がある。
第1列シート68Aと第2列シート68Bのヒップポイント幅E1、
第2列シート68Bと第3列シート68Cのヒップポイント幅E2、
フロアからの第1列シート68Aのヒップポイント高さF、
フロアからの第2列シート68Bのヒップポイント高さG1、
フロアからの第3列シート68Cのヒップポイント高さG2、
第1列シート68Aのヒップポイントから内装のヘッドライニングまでの寸法である第1列シートヘッドルームI、
第2列シート68Bのヒップポイントから内装のヘッドライニングまでの寸法である第2列シートヘッドルームJ1、
第3列シート68Cのヒップポイントから内装のヘッドライニングまでの寸法である第3列シートヘッドルームJ2、
第1列シート68AのショルダールームN、
第1列シート68Aのヒップポイント幅O。
ここで、ヒップポイントとはシートに着座した乗員の腰の中心をいう。
また、第1列シートヘッドルームI、第2列シートヘッドルームJ1、第3列シートヘッドルームJ2は、シートに着座した乗員の胴体が鉛直線に対してなす角度を指定して計測する。
また、図15に示すように、計測する各部分として、さらに、アプローチアングルθ1、ランプブレークオーバーアングルθ2、デパーチャアングルθ3、地上最低高さHL(マフラー部品の高さ)がある。
【0043】
また、図19に示すように、外板56のホイールカット部は車両を側面視した状態で前輪58、後輪60と、基本車両モデルとして使用したアッパーボデーのホイールカット部に相当する外形形状との間隔を保持する。
【0044】
図4に戻って説明を続ける。
次に、車両モデル出力部48により、車両モデル変形部44によって得られた新車両企画検討用モデルのデータを出力する(ステップS32:車両モデル出力ステップ)。
【0045】
このように車両モデル計測部46から出力された新車両企画検討用モデルの計測データと、車両モデル出力部48から出力された新車両企画検討用モデルのデータは、表示装置の画面上に表示され、あるいは、印刷画面として表示され、評価検討に供される。
【0046】
本実施の形態によれば、基本車両モデルの変形に伴う既存のプラットフォームへの影響を、プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整によって吸収させ、プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整量が既存のプラットフォーム構成部品を使用することで吸収可能な範囲内であるか否かを判定するようにした。
そして、その判定結果に応じて、外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品が既存のプラットフォーム構成部品で構成されるか、外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品が新規に製作されるプラットフォーム構成部品で構成されるかを表示するようにした。
したがって、新車両企画検討用の車両モデルを構築するにあたって、既存車両を構成するプラットフォームをどの程度共用することができるかを簡単かつ確実に把握する上で有利となる。
また、車両モデルの外形画像を変形操作に対応して、既存のプラットフォーム構成部品で足りるか、あるいは、プラットフォーム構成部品を新規に製作する必要があるかを即座に把握できる。
したがって、新車両の開発、設計、製造に要するコストや期間を考慮しながら新車両企画検討用モデルを効率よく構築する上で有利となる。
【0047】
また、本実施の形態では、複数のプラットフォーム構成部品のうち、外形寸法を固定する固定プラットフォーム構成部品と、基本車両モデルの変形に連動して外形寸法を調整する変形プラットフォーム構成部品とを設定するようにした。
そのため、固定プラットフォーム構成部品を設定することにより、使用する既存のプラットフォーム構成部品の種類を低減できる。
【0048】
また、本実施の形態では、制約条件として、基本車両モデルを側方から見た状態で、フロントデッキFDと、前輪58の中心点とが予め定められた相対的位置関係に設定されているという第1の条件を含む。
FF車の場合、フロントデッキFDと、前輪58の中心点との相対的位置関係を変更すると、エンジンルームと室内空間に影響を及ぼすことになる。
すると、エンジンルームおよび車室空間の技術的な検討をやり直す必要があり設計工数がかかる不利が生じる。
【0049】
また、本実施の形態では、制約条件が、基本車両モデルを側方から見た状態で、既存車両で乗員がアクセルペダルに足を置いたときのフロアと踵との交点であるヒール点と、前輪の中心点とが予め定められた相対的位置関係に設定されているという第2の条件を含む。
【0050】
また、本実施の形態では、制約条件が、新車両企画検討用モデルとしての車両モデルの外形寸法を規定する基本諸元の値、すなわち諸元値を定めるという第3の条件を含む。
諸元値を定めるとは、各基本諸元のうちの少なくとも一部の基本諸元の値を固定して変更させない固定値として設定することである。この場合、諸元値が固定されていない残りの諸元値は、車両の外形形状の変形に応じて変更されることになる。
例えば、ホイルベースBを固定値とすると、車室空間の前後方向の長さが固定されるため、既存の内装部品を使用できる可能性が高まる。
一方、ホイルベースBを変更可能とすると、車室空間の前後方向の長さの変化に応じて、内装部品を新規に設計する必要があり、設計コスト、製造コストの上昇の要因となる。
このように、諸元値を定めるという第3の条件を満たして基本車両モデルの外形を変形させることにより、新車両企画検討用モデルを構築できる。
【0051】
また、本実施の形態では、車両モデル計測ステップにより、新車両企画検討用モデルの各部を計測し、計測結果である新車両企画検討用モデルの計測データを出力するため、商品としての特徴をアピールする上で必要な諸元値あるいは性能の検証および評価を効率的に実施する上で有利となる。
【0052】
なお、本実施の形態では、外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品がフロアエクステンション5204である場合について説明した。
しかしながら、外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品は、例えば、ロントアクスル5210、フロントサスペンションアーム5212、サイドシル5214、フロントバンパー取り付け部品5216、リアアクスル5218、リアサスペンションアーム5220、リアバンパー取り付け部品5226など従来公知の様々なプラットフォーム構成部品も対象として実施可能である。
【0053】
また、本実施の形態では、車両が乗用車である場合について説明したが、本発明方法が適用される車両は乗用車に限定されず、従来公知の様々な作業用車両や建築用車両に適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
64……外形画像、5204……リヤフロアエクステンション、S14……基本車両モデル構築ステップ、S16……第1の画像表示ステップ、S18……車両モデル変形ステップ、S20……第2の画像表示ステップ、S22……調整量判定ステップ、S24……第1の表示ステップ、S26……第2の表示ステップ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
新車両企画検討用モデルとしての車両モデルを表示装置の画面に表示することにより新車両の企画検討を支援する新車両企画検討支援方法であって、
複数の既存のプラットフォーム構成部品からなる既存のプラットフォームに複数の車両構成部品を組み付けることで構成された車両のモデルを基本車両モデルとして構築する基本車両モデル構築ステップと、
前記基本車両モデルに基づいて該基本車両モデルの外形画像を前記画面上に表示する第1の画像表示ステップと、
前記画面上に表示された前記基本車両モデルの外形画像を使用者の操作に基づいて変形させると共に、前記外形画像の変形に連動して前記基本車両モデルを変形し、かつ、前記基本車両モデルの変形に伴う既存のプラットフォームへの影響を、前記プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整によって吸収させる車両モデル変形ステップと、
前記変形された基本車両モデルの外形画像を前記画面上に表示する第2の画像表示ステップと、
前記車両モデル変形ステップによる前記プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整量が既存のプラットフォーム構成部品を使用することで吸収可能な範囲内であるか否かを判定する調整量判定ステップと、
前記調整量判定ステップの判定結果が肯定である場合に、前記外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品が既存のプラットフォーム構成部品で構成されることを示す第1の表示を前記画面上で行う第1の表示ステップと、
前記調整量判定ステップの判定結果が否定である場合に、前記外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品が新規に製作されるプラットフォーム構成部品で構成されることを示す第2の表示を前記画面上で行う第2の表示ステップとを含む、
新車両企画検討支援方法。
【請求項2】
前記第1の表示ステップによる前記第1の表示は、前記変形された基本車両モデルの外形画像に前記外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品の外形画像を重ねて前記画面上に表示した状態で、前記外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品の外形画像を、前記変形された基本車両モデルの外形画像を表示する色と異なる第1の表示色で表示する表示であり、
前記第2の表示ステップによる第2の表示は、前記変形された基本車両モデルの外形画像に前記外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品の外形画像を重ねて前記画面上に表示した状態で、前記外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品の外形画像を前記第1の表示色と異なる第2の表示色で表示する表示である、
請求項1記載の新車両企画検討支援方法。
【請求項3】
前記車両モデル変形ステップに先立って、前記複数のプラットフォーム構成部品のうち、その外形寸法を固定する固定プラットフォーム構成部品と、前記基本車両モデルの変形に連動して外形寸法を調整する変形プラットフォーム構成部品とを設定する部品設定ステップをさらに含む、
請求項1または2記載の新車両企画検討支援方法。
【請求項4】
前記車両モデル変形ステップによる前記基本車両モデルの画像の変形および前記基本車両モデルの変形は、制約条件を満たした状態でなされ、
前記制約条件は、前記基本車両モデルを側方から見た状態で、ボンネットを構成する外板部分とフロントガラスとが交差する箇所であるフロントデッキと、前輪の中心点とが予め定められた相対的位置関係に設定されているという第1の条件を含む、
請求項1乃至3に何れか1項記載の新車両企画検討支援方法。
【請求項5】
前記車両モデル変形ステップによる前記基本車両モデルの画像の変形および前記基本車両モデルの変形は、制約条件を満たした状態でなされ、
前記制約条件は、前記基本車両モデルを側方から見た状態で、既存車両で乗員がアクセルペダルに足を置いたときのフロアと踵との交点であるヒール点と、前輪の中心点とが予め定められた相対的位置関係に設定されているという第2の条件を含む、
請求項1乃至4に何れか1項記載の新車両企画検討支援方法。
【請求項6】
前記車両モデル変形ステップによる前記基本車両モデルの画像の変形および前記基本車両モデルの変形は、制約条件を満たした状態でなされ、
前記制約条件は、前記新車両企画検討用モデルとしての車両モデルの外形寸法を規定する基本諸元の値を定める第3の条件を含む、
請求項1乃至5に何れか1項記載の新車両企画検討支援方法。
【請求項7】
前記車両モデル変形ステップによって得られた新車両企画検討用モデルの寸法、あるいは、面積、あるいは、容積、あるいは、角度を計測しその計測結果を計測データとして出力する車両モデル計測ステップをさらに含む、
請求項1乃至6に何れか1項記載の新車両企画検討支援方法。
【請求項1】
新車両企画検討用モデルとしての車両モデルを表示装置の画面に表示することにより新車両の企画検討を支援する新車両企画検討支援方法であって、
複数の既存のプラットフォーム構成部品からなる既存のプラットフォームに複数の車両構成部品を組み付けることで構成された車両のモデルを基本車両モデルとして構築する基本車両モデル構築ステップと、
前記基本車両モデルに基づいて該基本車両モデルの外形画像を前記画面上に表示する第1の画像表示ステップと、
前記画面上に表示された前記基本車両モデルの外形画像を使用者の操作に基づいて変形させると共に、前記外形画像の変形に連動して前記基本車両モデルを変形し、かつ、前記基本車両モデルの変形に伴う既存のプラットフォームへの影響を、前記プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整によって吸収させる車両モデル変形ステップと、
前記変形された基本車両モデルの外形画像を前記画面上に表示する第2の画像表示ステップと、
前記車両モデル変形ステップによる前記プラットフォーム構成部品の外形寸法の調整量が既存のプラットフォーム構成部品を使用することで吸収可能な範囲内であるか否かを判定する調整量判定ステップと、
前記調整量判定ステップの判定結果が肯定である場合に、前記外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品が既存のプラットフォーム構成部品で構成されることを示す第1の表示を前記画面上で行う第1の表示ステップと、
前記調整量判定ステップの判定結果が否定である場合に、前記外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品が新規に製作されるプラットフォーム構成部品で構成されることを示す第2の表示を前記画面上で行う第2の表示ステップとを含む、
新車両企画検討支援方法。
【請求項2】
前記第1の表示ステップによる前記第1の表示は、前記変形された基本車両モデルの外形画像に前記外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品の外形画像を重ねて前記画面上に表示した状態で、前記外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品の外形画像を、前記変形された基本車両モデルの外形画像を表示する色と異なる第1の表示色で表示する表示であり、
前記第2の表示ステップによる第2の表示は、前記変形された基本車両モデルの外形画像に前記外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品の外形画像を重ねて前記画面上に表示した状態で、前記外形寸法の調整を行うプラットフォーム構成部品の外形画像を前記第1の表示色と異なる第2の表示色で表示する表示である、
請求項1記載の新車両企画検討支援方法。
【請求項3】
前記車両モデル変形ステップに先立って、前記複数のプラットフォーム構成部品のうち、その外形寸法を固定する固定プラットフォーム構成部品と、前記基本車両モデルの変形に連動して外形寸法を調整する変形プラットフォーム構成部品とを設定する部品設定ステップをさらに含む、
請求項1または2記載の新車両企画検討支援方法。
【請求項4】
前記車両モデル変形ステップによる前記基本車両モデルの画像の変形および前記基本車両モデルの変形は、制約条件を満たした状態でなされ、
前記制約条件は、前記基本車両モデルを側方から見た状態で、ボンネットを構成する外板部分とフロントガラスとが交差する箇所であるフロントデッキと、前輪の中心点とが予め定められた相対的位置関係に設定されているという第1の条件を含む、
請求項1乃至3に何れか1項記載の新車両企画検討支援方法。
【請求項5】
前記車両モデル変形ステップによる前記基本車両モデルの画像の変形および前記基本車両モデルの変形は、制約条件を満たした状態でなされ、
前記制約条件は、前記基本車両モデルを側方から見た状態で、既存車両で乗員がアクセルペダルに足を置いたときのフロアと踵との交点であるヒール点と、前輪の中心点とが予め定められた相対的位置関係に設定されているという第2の条件を含む、
請求項1乃至4に何れか1項記載の新車両企画検討支援方法。
【請求項6】
前記車両モデル変形ステップによる前記基本車両モデルの画像の変形および前記基本車両モデルの変形は、制約条件を満たした状態でなされ、
前記制約条件は、前記新車両企画検討用モデルとしての車両モデルの外形寸法を規定する基本諸元の値を定める第3の条件を含む、
請求項1乃至5に何れか1項記載の新車両企画検討支援方法。
【請求項7】
前記車両モデル変形ステップによって得られた新車両企画検討用モデルの寸法、あるいは、面積、あるいは、容積、あるいは、角度を計測しその計測結果を計測データとして出力する車両モデル計測ステップをさらに含む、
請求項1乃至6に何れか1項記載の新車両企画検討支援方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2010−244404(P2010−244404A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94034(P2009−94034)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【出願人】(509101262)株式会社ワイドソフトデザイン (4)
【出願人】(505173717)株式会社MCOR (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【出願人】(509101262)株式会社ワイドソフトデザイン (4)
【出願人】(505173717)株式会社MCOR (5)
【Fターム(参考)】
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